(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1に本発明の一実施形態に係る重量選別機の外観斜視図が、
図2に重量選別機の本体の側面図が、また、
図3に重量選別機の本体の正面図が、また、
図4に重量選別機の本体の平面図がそれぞれ示されている。
【0024】
この重量選別機は、数キログラム以上、好ましくは、十キログラム以上の比較的重量の大きい被計量物の重量選別に使用されるものであり、この実施形態の重量選別機は、主に数十kg程度の被計量物、例えば、米袋や肥料袋などの被計量物の重量選別に使用される。この重量選別機は、アングル材を中空の箱形に組み上げてなる床置き設置型の基台1及びこの基台1の上部に配備された計量コンベヤ2等を含む本体と、別途床置き設置される筐体3とを備えている。
【0025】
なお、構造を理解し易くするために、以下の説明では、
図1に示される計量コンベヤ2における被計量物の搬送方向Fの下手(
図2,
図4の左方)を前方、搬送方向上手(
図2,
図4の右方)を後方、また、搬送方向Fと直交する水平方向(
図3の左右方向)を左右方向あるいは横方向と呼称することとする。
【0026】
基台1は、計量コンベヤ2を支持する上部基台1Aと、床置き設置される下部基台1Bとで構成されている。
【0027】
上部基台1Aは、
図12及び
図13に示されるように、L型のアングル材からなる四隅の支柱1a(a)における上端部同士を、アングル材からなる上部桟1a(b),1a(c)で連結すると共に、支柱1a(a)の下端より少し上方箇所同士を、アングル材からなる下部桟1a(d),1a(e)で連結して中空の箱形に組み上げられると共に、支柱1a(a)の下端が下方に向けて脚状に延出されている。
【0028】
また、下部基台1Bは、
図12に示されるように、L型のアングル材からなる四隅の支柱1b(a)における下端部同士が、アングル材からなる下部桟1b(b),1b(c)で連結されると共に、下端四隅の内側にはナット32が固着され、ここにネジ軸からなる脚部33が上下に螺進調節可能に装着され、任意の上下調節位置において下方のロックナット34で締込み固定されるようになっている。
【0029】
上部基台1Aの支柱1a(a)は、下部基台1Bにおける支柱1b(a)の内角に係合するように立設されている。下部基台1Bの支柱1b(a)に内嵌係合された上部基台1Aが、上下にスライド移動可能となっている。そして、上部基台1Aの支柱1a(a)には、上下方向に一定ピッチでネジ孔36が形成されると共に、下部基台1Bの支柱1b(a)には、上下方向にネジ孔36と同ピッチでボルト挿通孔37が形成されている。支柱1a(a),1b(a)ごとに、これらネジ孔36とボルト挿通孔37を上下2個ずつ選択して、
図1〜
図3に示すように、ボルト38で連結することで、上部基台1Aの高さ、すなわち計量コンベヤ2の床面からの高さを複数段階(この例では3段階)に調節することができる。
【0030】
すなわち、
図2,
図3,
図9は、下部基台1Bに対して上部基台1Aを最も下げた状態を示しているが、
図16(a)に示すように、上部基台1Aを1段上げた状態、あるいは、
図16(b)に示すように、上部基台1Aを最も高く上げた状態で使用することができる。
【0031】
また、四隅の脚部33を伸縮調節することで、上記複数段階で高さ選択した上部基台1Aの床面からの高さを無段階に調節して、計量コンベヤ2の設置高さを更に広範囲に変更調節することができ、かつ、脚部33の微調節によって基台1の水平調整を行うことができる。なお、下部基台1Bに対して上部基台1Aを最も下げた状態では、脚部33の上部が、
図12に示される上部基台1Aの下端部四隅に設けた透孔35に挿通されることになる。
【0032】
次に、計量コンベヤ2による計量構造について説明する。
【0033】
上部基台1Aの内部空間が、被計量物の重量を計測するための重量計測部Aとなっている。
【0034】
図8は、この重量計測部Aの平面図であり、
図9は、重量選別機の本体の縦断側面図であり、
図10は、
図8におけるD−D断面図であり、
図11は、
図8におけるE−E断面図である。また、
図13は、上部基台1Aの分解斜視図であり、
図14は重量計測部Aの上方を開放した斜視図である。
【0035】
この実施形態の重量選別機では、被計量物の重量が作用する本来の重量計測用のロードセルとは別に、被計量物の重量が作用しないロードセルであるダミーセルを重量計測用のロードセルの近傍に設け、重量計測用のロードセルの計測信号を、ダミーセルの出力信号によって床振動の影響を除くように補正するようにしている。
【0036】
このため、重量計測部Aには、上下に変位可能な可動枠4、重量計測用のロードセル5、及び、補正用のダミーセル6、等が収容配備されている。可動枠4は、
図8,
図13に示すように、角パイプからなる前後方向に延びる左右一対の前後向き桟部4aと、横方向に延びる前後一対の横向き桟部4bとを組み上げて平面形状が中抜き矩形に形成されている。
【0037】
この実施形態では、可動枠4の前後中央より前方に偏った位置において、左右一対の前後向き桟部4a同士が、厚板材からなる中桟部4cによって連結された構造となっている。この中桟部4cによって、可動枠4の中抜き矩形の空間領域が二つに区画されている。また、可動枠4の四隅延長部に支持ボス7が立設され、後述するように、これら4個の支持ボス7に、計量コンベヤ2を載置して脱着可能にボルト連結することができるようになっている。
【0038】
ロードセル5とダミーセル6は、起歪体の適所に歪検出回路を構成するストレインゲージ群を貼付けた周知構造のものであり、ロードセル5とダミーセル6は同一の特性のものが使用される。また、これらロードセル5とダミーセル6は、可動枠4における中桟部4cで前後に仕切られた二つの空間領域に、それぞれ振り分けてその一部が収容されている。
【0039】
上部基台1Aの内方前部には、固定枠部材8が固定配備されている。この固定枠部材8における後向き取付け面に、ロードセル5の固定端がボルト連結されて後向き片持ち状に支持されている。また、ロードセル5の加重印加部である可動端が、前記可動枠4の中桟部4cにボルト連結され、計量コンベヤ2等と可動枠4の全重量が、可動枠4を介してロードセル5の可動端に印加されるようになっている。なお、固定枠部材8は、上部基台1Aにおける下部桟1a(d),1a(e)の四か所に安定的に載置され、その載置箇所において下方からボルト連結される。
【0040】
他方、上部基台1Aの内方後部には、ロードセル5の固定枠部材8と同一仕様の固定枠部材9が前後逆向きに配備されて、固定枠部材8と同様に、上部基台1Aにおける下部桟1a(d),1a(e)に載置されて下方からボルト連結される。この固定枠部材9における前向き取付け面の左右中央部位に、ダミーセル6の固定端がボルト連結されて前向き片持ち状に支持されている。また、ダミーセル6の加重印加部である可動端には重錘10が連結されている。
【0041】
前記重錘10は、複数の金属部材を連結して構成したものである。この重錘10は、
図8におけるE−E断面図である
図11、及び、
図13に示すように、ダミーセル6を収容して左右両側方、前方、及び、下方から囲むロードセル収容凹部10aと、前記可動枠4における左右の前後向き桟部4aが上方から入り込む左右の凹溝10bを備えた形状に形成されている。この重錘10のロードセル収容凹部10aの前端奥部に、ダミーセル6の可動端がボルト連結される。この重錘10の重量は、被計量物が載置されていない計量コンベヤ2等の重量と可動枠4の重量とを含む重量、すなわち、ロードセル5による重量計測系の風袋重量に相当する重量に設定されている。
【0042】
この場合、可動枠4における中桟部4cは、
図8に示すように、計量コンベヤ2の搬送方向(
図8の左右方向)の中心線pより前方に片寄せて設置されて、中桟部4cで前後に仕切られた二つの空間領域の内、後側の空間領域が、ロードセル5が収容配備される前側の空間領域よりも前後に幅広いものとなっている。従って、この大きい後側の空間領域を有効に利用して必要な大きさの重錘10を収容しやすいものとなっている。
【0043】
上記のように被計量物は、例えば、数十kg程度と重量が大きいので、この被計量物を搬送して計量する計量コンベヤ等の風袋重量は相当大きいものとなり、ダミーセル6に負荷される重錘10の重量も相当大きなものとなる。
【0044】
この実施形態では、上記のようにダミーセル6の左右の両側面、可動端側の前面及び下面を囲むダミーセル6の周囲の空間を有効に利用して大重量の重錘10をコンパクトに配備することができる。特に、重錘10は、可動枠4における左右の前後向き桟部4aが上方から入り込む左右の凹溝10bを備えた形状であるので、前後向き桟部4aよりも外方の左右の空間を有効に利用することができる。
【0045】
次に、計量コンベヤ2の構造について説明する。
【0046】
図1〜
図5等に示すように、計量コンベヤ2には、下端辺を内向きに屈折した前後に長い左右一対の側板11a,11bをアングル材からなる前後一対のステー11cで連結してなるコンベヤフレーム11(
図15参照)、側板11a,11bの前後において左右水平に支持した駆動ローラ12と従動ローラ13、これらローラ12,13に亘って巻回された幅広の搬送ベルト14、ベルト駆動用のモータ15、左右の側板11a,11bに亘って架設されて搬送径路の略全域において搬送ベルト14を、内周面(下面)から摺接案内するベルトガイド板16、等が備えられている。
【0047】
駆動ローラ12の両端には、
図6の平面図に示すように、支軸12a,12bが一体に突設され、これら支軸12a,12bが、左右の側板11a,11bの外側にボルト連結した軸受けブラケット18a,18bに、図示されていないベアリングを介して遊転自在に支持されている。ここで、一方の支軸12aは、他方の支軸12bよりも長く突出されて軸受けブラケット18aを貫通し、その貫通軸部が、一方の側板11aの外側に取付け金具22を介して連結固定したギヤケース17に、連動連結されている。すなわち、ギヤケース17には、筒軸状の出力軸17aが横向きに貫通装備されており、軸受けブラケット18aを貫通して突出する支軸12aが、ギヤケース17の出力軸17aに挿通されてキー結合されると共に、軸端において出力軸17aに抜止め連結されるようになっている。
【0048】
ギヤケース17の下面には、
図1〜
図3に示すように、前記モータ15が縦向き姿勢で直結されており、モータ15の縦軸回転が、ギヤケース17に内装された減速ギヤ機構を介して出力軸17aの横軸回転に減速転換されて駆動ローラ12に伝達される。すなわち、ギヤケース17及びモータ15によって、垂直方向の軸(縦軸)の回転を水平方向の軸(横軸)の回転に変換する直交軸モータが構成されている。
【0049】
この実施形態では、直交軸モータによって、計量コンベヤ2の駆動ローラ12を駆動するので、駆動ローラの駆動系にベルト伝動手段を用いる構成のように、伝動ベルトの駆動振動で計量精度が低下することがない。
【0050】
上記のように、ギヤケース17及びモータ15が駆動ローラ12の一端側に配備されるので、計量コンベヤ全体の重心が、モータ設置側に偏ってしまうことになる。
【0051】
しかし、この実施形態では、可動枠4の中桟部4cは、
図8に示すように、計量コンベヤ2における搬送方向の中心(前後中心)線pよりも前方である、モータ15の設置側に偏って設置されると共に、ロードセル5の可動端は、
図8,
図10に示すように、計量コンベヤ2における搬送方向に直交する方向である、幅方向の中心(左右中心)線qよりも横一側方である、モータ15の設置側に偏って中桟部4cの前面に連結されているので、ロードセル5の可動端が計量コンベヤ2全体の重心に近づくことになり、風袋重量によってロードセル5に働くねじりモーメントによる影響が小さいものとなる。
【0052】
次に、上記駆動ローラ12のコンベヤフレーム11に対する取付け構造を説明する。
【0053】
コンベヤフレーム11における側板11a,11bの前部には、
図6及び
図6におけるC−C断面図である
図7に示すように、上方に開放された上下直線状の前方切欠き凹部41と、この前方切欠き凹部41を囲む複数のボルト挿通孔42がそれぞれ形成されており、駆動ローラ12の支軸12a,12bが、左右の側板11a,11bの前方切欠き凹部41に上方から交差するように係入される。
【0054】
軸受けブラケット18a,18bを側板11a,11bに連結するボルト43は、軸受けブラケット18a,18b及びボルト挿通孔42に挿通され、側板11bの内側に配置した上下一対の裏ナット片44に締め込まれる。
【0055】
その後、モータ15を直結したギヤケース17が、取付け金具22を介して側板11aに連結固定されると共に、軸受けブラケット18aを貫通して突出する支軸12aが、ギヤケース17の出力軸17aに挿通連結される。
【0056】
このようにして、駆動ローラ12が側板11a,11bの前部一定位置に駆動回転可能に水平支持される。
【0057】
他方、従動ローラ13は、左右の側板11a,11bの外側にボルト連結した軸受けブラケット19a,19bに亘って左右水平に遊転支持されている。これら軸受けブラケット19a,19bを、側板11a,11bの外面に備えたテンションボルト20によって前後に当接移動調節することで、搬送ベルト14の張り調節を行うことができる。
【0058】
次に、従動ローラ13のコンベヤフレーム11に対する取付け構造の詳細を説明する。
【0059】
コンベヤフレーム11における側板11a,11bの後部には、上方に開口し、かつ、後方に屈折した鉤形の後方切欠き凹部45が形成されると共に、後方切欠き凹部45を囲んで前後に長い複数のボルト挿通長孔46が形成されている。従動ローラ13の両端から一体突出された支軸13a,13bが、左右の側板11a,11bの後方切欠き凹部45に上方から交差するように係入される。ここで、
図7に示すように、後方切欠き凹部45の下端から後方に向けて前後案内部45aが、屈折延長されており、後方切欠き凹部45に係入された支軸13a,13bは、前後案内部45aに沿って前後に移動可能となっている。
【0060】
軸受けブラケット19a,19bを側板11a,11bに連結するボルト47は、軸受けブラケット19a,19b及びボルト挿通長孔46に挿通され、側板11a,11bの内側に配置した上下一対の裏ナット片48に締め込まれる。
【0061】
搬送ベルト14の張り調節を行うテンションボルト20が、側板11a,11bにボルト締め固定した支持ブラケット49に後方からねじ込み装着されている。張り調節に際しては、ボルト47を少し弛めて軸受けブラケット19a,19bが裏ナット片48と共に前後移動できる状態にする。その後、テンションボルト20を後方に移動させ、左右の軸受けブラケット19a,19bを後方に当接移動させることで、支軸13a,13bを後方切欠き凹部45の前後案内部45aに沿って後方へ移動させて、従動ローラ13に巻回した搬送ベルト14を緊張する。搬送ベルト14が所望の緊張状態に張られたところで、ボルト47を締め込んで軸受けブラケット19a,19bを固定する。
【0062】
コンベヤフレーム11における前後のステー11cは、前記可動枠4の四隅に備えた支持ボス7に載置可能な前後位置に配備されており、
図15に示すように、載置したステー11cを連結ボルト21で支持ボス7に締め込み固定することで、計量コンベヤ2を可動枠4に一体連結することができる。また、連結ボルト21を抜き取ることで、計量コンベヤ2を可動枠4から取り外すことができる。
【0063】
ベルトガイド板16の下面には、
図5及び
図21等に示すように、前後方向に一定間隔をもって補強及び連結用の横桟部材16aが固着されている。これら横桟部材16aの両端が、側板11a,11bの上端部の凹部40にボルト39によって脱着可能に連結されている。
【0064】
このように、横桟部材16a群で補強されたベルトガイド板16で左右の側板11a,11bの上端辺同士を支持連結することで、コンベヤフレーム11全体の剛性が高められると共に、搬送ベルト14に作用する大きい荷重を確実に支持することができる。
【0065】
なお、ボルト39は、
図5,
図7等に示すように、側板11a,11bの上端縁に形成した凹部40に上方からに係入されて締め込まれるようになっており、ボルト39を少し弛めることで、横桟部材16aの両端にボルト39をつけたままでベルトガイド板16を上方に取り外すことができるようになっている。
【0066】
計量コンベヤ2における側板11a,11bの前後には、
図1〜
図3に示すように、脱着可能なブラケット26を介して光センサ25が前後及び上下に位置調節可能に配備されている。この光センサ25は、投受光器25aとこれに対向する反射器25bとからなる反射型のものが利用されており、搬送径路を横断するセンサ光路を被計量物が遮断することで被計量物の搬入及び搬出が検知される。
【0067】
図9〜
図11に示すように、上部基台1Aには、可動枠4及び各セル5,6を収容した重量計測部Aを前後、左右、及び、上下の六面から覆うカバー27がねじ止め装着されている。カバー27は、上カバー27a、底カバー27b、左右の横カバー27c,27d、前カバー27e、及び、後カバー27fで構成されている。
図14,
図15に示すように、重量計測部Aを上方から覆う上カバー27aの四隅近くには、可動枠4の支持ボス7を出退可能に挿通する透孔28が形成されている。そして、透孔28から突出した支持ボス7の上端に、コンベヤフレーム11における前後のステー11cを載置して、上カバー27aの上方で連結ボルト21の操作を行うことでコンベヤフレーム11の可動枠4への脱着を行うようになっている。
【0068】
また、上カバー27aの透孔28と上方に突出した支持ボス7を覆う環状シールとしてのベローズ29が、上カバー27aとコンベヤフレーム11のステー11cとの間に介在され、これによって、塵埃や異物、あるいは、液体が上カバー27aの透孔28を介して上部基台1A内の重量計測部Aへ侵入することが防止されている。
【0069】
上部基台1Aの上部に設けられた左右の上部桟1a(b)に、
図15に示すように、計量コンベヤ2の上下変位を規制する変位規制機構50が備えられている。
【0070】
図17に示すように、変位規制機構50は、上部桟1a(b)にねじ込み装着されてロックナット51で立設固定された支持部材としてのボルト52と、ボルト52の上下中間部位に装着された下部規制部材としての下部規制ナット53と、ボルト52の上部に装着される上部規制部材としての上部規制ナット54とを備えている。この例では、下部規制ナット53は、2個のナットを用いたダブルナットである。
【0071】
計量コンベヤ2を可動枠4に連結する際には、コンベヤフレーム11のステー11cを可動枠4の支持ボス7に載置してボルト締め連結すると共に、上部規制ナット54を取り外したボルト52を、ステー11cに形成した透孔55に挿通する。次に、下部規制ナット53を上下に位置調節して、
図17(a)に示すように、ステー11cの下面と下部規制ナット53の座金上面との間に予め設定した大きさ、例えば、数mm程度の間隙sを形成する。また、上部規制ナット54は、ボルト52から取り外しておく。
【0072】
これによって、計量コンベヤ2の最大下方変位量が上記間隙sに相当する大きさに制限され、ロードセル5における可動端の下方への変位量が許容範囲内に規制されることで、計量コンベヤ2に作用する過大な荷重や下向きの衝撃でロードセル5が損傷することが防止される。
【0073】
予め組み上げた重量選別機を据付け現場に搬送する場合や、据付け位置を移動するような場合には、運搬移動中の振動や衝撃で計量コンベヤ2が不用意に上下変位するのを防止することが望ましい。そこで、
図17(b)に示すように、計量コンベヤ2を無荷重状態にした上で、下部規制ナット53の座金上面がステー11cの下面に接するまで位置調節すると共に、ボルト52に上部規制ナット54を装着し、上部規制ナット54と下部規制ナット53とでステー11cを上下から挟持する。
【0074】
変位規制機構50を上記のように調節セットすることで、計量コンベヤ2の上下変位が不能になると共に、運搬移動中のあらゆる方向からの振動や衝撃によってロードセル5に過大な衝撃荷重等が作用することを防止することができる。
【0075】
筐体3は、
図1に示されるように、前面上部にタッチパネル型の液晶表示部31が備えられており、この液晶表示部31によって、重量選別のための境界重量値や計量コンベヤ2の速度設定などの各種の設定を行う共に、計量結果等を表示することができる。
【0076】
この筐体3には、制御装置が内蔵されており、この制御装置は、モータ15をインバータ制御し、計量コンベヤ2の搬送速度を高精度に制御する。
【0077】
次に、以上のように構成された重量選別機の分解手順を
図18〜
図21を参照しながら説明する。
【0078】
(1)先ず、前後左右のブラケット26をコンベヤフレーム11の側板11a,11bから取り外して前後の光センサ25を取り除く。
【0079】
(2)次に、
図18に示すように、左右のテンションボルト20を前方へ大きく後退させると共に、従動ローラ取付け用のボルト47を抜き取って左右の軸受けブラケット19a,19bを前後移動できる状態にして、従動ローラ13を後方切欠き凹部45の前後案内部45aに沿って前方に移動させ、その後、従動ローラ13を後方切欠き凹部45の開口を経て上方に引き上げる。
【0080】
(3)次に、従動ローラ13に巻き掛けた搬送ベルト14の湾曲ループを膨らませ、軸受けブラケット19a,19bを付けたままの従動ローラ13を、搬送ベルト14の湾曲ループから軸心方向に抜き外す。
【0081】
(4)次に、
図19に示すように、ギヤケース17の背面を開いてギヤケース17の出力軸17aと駆動ローラ12の支軸12aとの軸端連結を解除すると共に、ギヤケース17の取付け金具22への連結を解除し、出力軸17aを駆動ローラ12の支軸12aから抜き外しながら、ギヤケース17をモータ15と共に横外方に引き離す。
【0082】
(5)次に、駆動ローラ取付け用のボルト43を抜き取って、
図20に示すように、左右の軸受けブラケット18a,18bを自由にして、軸受けブラケット18a,18bを付けたまま駆動ローラ12を、前方切欠き凹部41を経て上方に引き上げる。
【0083】
(6)その後、駆動ローラ12に巻き掛けた搬送ベルト14の湾曲ループを膨らませて、軸受けブラケット18a,18bを付けたままの駆動ローラ12を、搬送ベルト14の湾曲ループから軸心方向に抜き外す。
【0084】
(7)次に、
図21に示すように、ベルトガイド板16を側板11a,11bに連結している全てのボルト39を少し弛め、横桟部材16aの両端にボルト39をつけたままでベルトガイド板16を上方に持ち上げ可能にする。次いで、内周側から支持された搬送ベルト14の上側部分(搬送径路側部分)を側板11a,11bより上方に持ち上げながらベルトガイド板16を側板11a,11bより上方に持ち上げ、引き続き横外方に抜き取る。これによって搬送ベルト14を側板11a,11bの間から取り出すことができる。
【0085】
(8)以上の操作によってコンベヤフレーム11が露出し、コンベヤフレーム取付け用の連結ボルト21を取り外すことでコンベヤフレーム11を可動枠4と分離することができる。
【0086】
(9)コンベヤフレーム11を取り外すことで上部基台1Aの上部が露出されることになり、ネジ連結を解除して上部カバー27aを取り外すことで、
図14に示すように、重量計測部Aの上面全体が開放され、これによって、ロードセル5やダミーセル6の点検や交換が可能となる。
【0087】
また、例えば、ロードセル5やダミーセル6を交換した後、上記とは基本的に逆の手順で、重量選別機を組み立てる。
【0088】
本実施形態に係る重量選別機は以上のように構成されており、被計量物が計量コンベヤ2上に供給されて載置搬送される間に、被計量物の重量が計測され、
計測された重量に応じて、計量コンベヤ2の下流側で被計量物を、例えば、良品と不良品とに選別するようにしている。なお、良品と不良品の選別に限らず、例えば、「軽量」、「適量」、「過量」といった3ランク以上の重量ランクに選別してもよい。
【0089】
被計量物の計量に際しては、ロードセル5からの重量計測信号を、ダミーセル6からの補正用の信号を用いて床振動成分を除去するように補正する、例えば、ロードセル5の重量計測信号からダミーセル6の補正用信号を減算して床振動成分を除去する。これによって、被計量物の重量を精度よく計測することができる。
【0090】
本実施形態によれば、重量計測用のロードセル5と、このロードセル5からの重量計測信号の補正用のダミーセル6とを、計量コンベヤ2の重量を受ける可動枠4の内部にコンパクトに収容配備するので、重量選別機本体を大型化させることなく、床振動の影響を除去して計量精度を向上させることができる。
【0091】
また、可動枠4、ロードセル5、及び、重錘10が連結されたダミーセル6等を含む重量計測部Aの全体をカバー27で覆うと共に、上カバー27aから突出する支持ボス7及び透孔28を、ベローズ29によって覆っているので、可動枠4が負荷荷重によって上下に変位して支持ボス7が上カバー27aから出退変位しても重量計測部Aの密封状態が確実に維持され、塵埃や異物が侵入するのを防止することができる。
【0092】
[他の実施形態]
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0093】
(1)上記実施形態では、可動枠4の中桟部4cを、前後中央より前方に偏った位置に設けると共に、ロードセル5を、左右中央より側方へ偏った位置に設けたが、本発明の他の実施形態として、
図22の平面図に示すように、可動枠4の中桟部4cを、前後中央付近に設けると共に、ロードセル5を、左右中央位置に設けてもよい。
【0094】
(2)ダミーセル6に連結する重錘10の形状は、ロードセル5における風袋重量によって任意に設定することができるものであり、ダミーセル6を下方から囲むことなく、前方、及び、左右の三方からのみ囲む平面形状がコの字形のものであってもよい。