特許第6987462号(P6987462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987462
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20211220BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20211220BHJP
   B60R 11/02 20060101ALN20211220BHJP
【FI】
   G09F9/00 350Z
   H04N5/64 571Z
   !B60R11/02 C
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-90365(P2018-90365)
(22)【出願日】2018年5月9日
(65)【公開番号】特開2019-197120(P2019-197120A)
(43)【公開日】2019年11月14日
【審査請求日】2021年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(72)【発明者】
【氏名】赤村 高宏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健樹
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 達也
【審査官】 武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−46383(JP,A)
【文献】 特開2014−95792(JP,A)
【文献】 特開2014−130312(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0177541(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 − 9/46
H04N 5/64
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示セルを有する表示ユニットと、前記表示ユニットを支持する支持基台と、前記表示ユニットの背部に配置された金属ブラケットとを有する表示装置において、
前記金属ブラケットよりも弾性係数の低い金属ばね材料で形成された連結板が設けられ、前記連結板は、連結固定部と弾接部および前記連結固定部と前記弾接部との間に位置する締結固定部を有しており、
前記連結固定部が前記金属ブラケットに固定され、前記弾接部が前記金属ブラケットに弾接されて、前記締結固定部が前記支持基台に締結部材により固定されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記金属ブラケットと前記連結板は、共に導電性金属板で形成されている請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記締結固定部と前記弾接部および前記連結固定部が直線状に並んで形成されている請求項1または2記載の表示装置。
【請求項4】
前記連結固定部は、前記金属ブラケットの前記表示ユニットに向く内面に固定され、前記弾接部は、前記金属ブラケットの前記内面と逆側の外面に弾接している請求項1ないし3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
前記支持基台と前記締結固定部との間に回路基板が挟まれ、ねじ止めにより、前記締結固定部と共に前記回路基板が前記支持基台に固定されている請求項1ないし4のいずれかに記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示セルを備えた表示ユニットが支持基台に支持され、表示ユニットの背部を覆う金属ブラケットが前記支持基台に固定された構造の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、筐体部の内部に表示パネルが弾性変形部を介して支持されている表示装置に関する発明が記載されている。
【0003】
特許文献1の図5に記載されている表示装置は、筐体の開口部に、前面保護ガラス基板が配置されている。筐体の内部に、表示パネル(PDP)とその背部に位置する金属板で形成されたシャーシ部材とが設けられ、表示パネルとシャーシ部材とが接着性の接合部材を介して接合されている。シャーシ部材に取り付け部材が固定されている。取り付け部材は、側面筐体部において、前後方向に摺動自在に支持されているとともに、取り付け部材に形成された弾性変形部が前面筐体部に連結されている。この表示装置は、運搬時などに落下衝撃を受けたときに、弾性変形部が変形することで、表示パネルの前面板などの割れを抑制することができる、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−122425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車載用などの表示装置として、カラー液晶表示セルなどの表示セルを含む表示ユニットが支持基台に支持され、表示ユニットの背部を覆う金属ブラケットと支持基台とがねじ止め手段で固定されているものがある。支持基台および金属ブラケットには、寸法公差や反りなどによる寸法誤差が発生するのを避けることができない。そのため、金属ブラケットと支持基台とがねじ止めされる構造では、ねじ止めの締結力で支持基台に歪みが与えられ、この歪みが表示ユニットに伝達されて、表示画面に歪みによる表示ムラが発生しやすくなるという課題がある。
【0006】
特許文献1に記載された表示装置は、表示パネルに接合されたシャーシ部材が弾性変形部を介して前面筐体部に支持されているため、シャーシ部材と筐体部との固定力によって表示ユニットに歪みが与えられるのを抑制することができる。しかしながら、特許文献1に記載された表示装置は、弾性変形部の一端がシャーシ部材に固定され他端が前面筐体部に固定されて、弾性変形部の両端部が固定された構造である。そのため、シャーシ部材と筐体部との間で柔軟に弾性変形できるようにするためには、弾性変形部を十分に長い構造にしなくてはならず、弾性変形部が大型化する欠点がある。
【0007】
また、特許文献1の図5に示されている弾性変形部は、その変形量を大きくするために鋭角部を有して折り曲げられているが、この構造では、鋭角の折曲げ部が電磁アンテナと同様に機能し、電磁ノイズを吸収して、表示パネルや前面保護ガラス基板に設けられるタッチセンサなどに電磁ノイズの影響を与えるおそれがある。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、表示ユニットを支持している支持基台と金属ブラケットとを連結板を介して確実に固定でき、固定力で表示ユニットに歪みが伝達されにくい構造とし、しかも電磁的に安定した構造となる表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、表示セルを有する表示ユニットと、前記表示ユニットを支持する支持基台と、前記表示ユニットの背部に配置された金属ブラケットとを有する表示装置において、
前記金属ブラケットよりも弾性係数の低い金属ばね材料で形成された連結板が設けられ、前記連結板は、連結固定部と弾接部および前記連結固定部と前記弾接部との間に位置する締結固定部を有しており、
前記連結固定部が前記金属ブラケットに固定され、前記弾接部が前記金属ブラケットに弾接されて、前記締結固定部が前記支持基台に締結部材により固定されていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の表示装置は、前記金属ブラケットと前記連結板は、共に導電性金属板で形成されていることが好ましい。
【0011】
本発明の表示装置は、前記締結固定部と前記弾接部および前記連結固定部が直線状に並んで形成されているものが好ましい。
【0012】
また本発明の表示装置は、前記連結固定部は、前記金属ブラケットの前記表示ユニットに向く内面に固定され、前記弾接部は、前記金属ブラケットの前記内面と逆側の外面に弾接しているものが好ましい。
【0013】
本発明の表示装置は、前記支持基台と前記締結固定部との間に回路基板が挟まれ、ねじ止めにより、前記締結固定部と共に前記回路基板が前記支持基台に固定されているものとして構成できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の表示装置は、表示ユニットが支持されている支持基台と、金属ブラケットとが、金属ブラケットよりも弾性係数の低い金属ばね材料で形成された連結板を介して固定されている。そのため、連結板を支持基台に固定するときのねじ締め力によって支持基台に大きな歪みが作用するのを抑制でき、表示ユニットに大きな歪みが与えられるのを防止することができる。
【0015】
連結板は、締結固定部と連結固定部との間で弾性変形し、締結固定部と弾接部との間でも弾性変形し、この弾性力によって、金属ブラケットを支持基台に確実に固定することができる。また、弾接部は金属ブラケットに弾接されて、金属ブラケットに固定されているものではないため、連結板の両側部が過剰に拘束されることがない。したがって、連結板は、比較的小型であっても、支持基台と金属ブラケットとを連結するための最適な弾性力を発揮できるようになる。
【0016】
また、連結板は、弾接部が金属ブラケットに弾接しているため、締結固定部から延び出て弾性力を発揮する弾接部が電磁アンテナと同等の機能を発揮するのを抑制でき、連結板が電磁ノイズを吸収するのを防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態の表示装置の全体構造を前方から見た斜視図、
図2】本発明の実施形態の表示装置を図1のII−II線で切断した一部拡大断面図、
図3図2に示す表示装置をIII方向から見た一部分解斜視図、
図4】表示装置が組み立てられた状態を、図3のIV−IV線で切断した平断面図、
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1ないし図4の各図に示す表示装置1は車載用表示装置である。Y1方向が前方でY2方向が後方である。またY1方向は表示方向である。X1方向は後方から見たときの右方向で、X2方向は後方から見たときの左方向である。Z1方向は上方向で、Z2方向は下方向である。
【0019】
図1図2に示すように、表示装置1は支持基台2を有している。支持基台2は前方基台3と後方基台4を有している。前方基台3と後方基台4は、合成樹脂材料で形成されている。あるいは、アルミニウム合金などを使用してダイキャスト成形されている。前方基台3と後方基台4は、図示しない連結ねじなどで互いに固定されている。支持基台2は、固定ブラケットを介して自動車の車室内のダッシボードやインストルメントパネルに固定される。ダッシボードやインストルメントパネルに昇降装置や前後移動装置が設置されている場合には、これら装置の移動ベースに支持基台2が搭載される。
【0020】
図2に示すように、支持基台2を構成する前方基台3に表示ユニット10が支持されている。表示ユニット10は、透明カバー板11とその後方に光学接着剤層13で接合された表示セル12と、表示セル12の後方に間隔を空けて配置されたバックライトユニット14、およびバックライトユニット14を支持しているユニットシャーシ15を有している。
【0021】
透明カバー板11はガラス基板またはアクリル系などの透明樹脂板である。透明カバー板11は前方(Y1方向)に向く前面11aと後方(Y2方向)に向く背面11bを有している。透明カバー板11の背面11bに、表示セル12が光学接着剤層13によって接合されている。透明カバー板11の背面11bまたは前面11aには、タッチセンサが重ねられている。タッチセンサは透明基板あるいは透明シートに透明電極が形成されたものであり、透明カバー板11に指や手が接触しあるいは接近したときに、静電容量の変化によって、その接触または接近位置が検知される。
【0022】
表示セル12は透過型のカラー液晶表示セルであり、例えばIPSモードで動作するものである。IPSモードで動作するカラー液晶表示セルは、Y1側からY2側に向けて、前方偏光板、後方に向く内面にカラーフィルタが設けられた前方ガラス基板、液晶層、前方に向く内面にITOや銀ナノワイヤなどで形成された透明電極が設けられた後方ガラス基板、後方偏光板の順に重ねられて構成されている。前方偏光板が、透明カバー板11の背面11bに前記光学接着剤層13を介して固定されている。なお、カラー液晶表示セルは、IPSモードで駆動するものに限られず、TN方式やVA方式で動作するものであってもよい。または、表示セル12がエレクトロルミネッセンス表示セルであってもよい。
【0023】
バックライトユニット14は、アクリル樹脂などで形成された導光板と、導光板の前面に重ねられた拡散板、および導光板に照明光を与えるLEDなどの光源を有している。ユニットシャーシ15はアルミニウム板またはステンレス鋼板などで形成されており、バックライトユニット14の後方(Y2方向)に向く背面がユニットシャーシ15に接着されて固定されている。
【0024】
図2に示すように、支持基台2を構成する前方基台3には、表示開口部3aと、表示開口部3aの周囲に形成された支持前面3bが形成されている。表示ユニット10を構成する透明カバー板11の面積は、表示セル12の表示部の面積よりも広く形成されており、透明カバー板11の周囲部分が、前方基台3の支持前面3bに接着剤層16を介して固定されている。透明カバー板11に接着された表示セル12は前方基台3の表示開口部3aの内部に位置している。また、バックライトユニット14を支持しているユニットシャーシ15の側部は、表示開口部3aの後方の内壁部3cに接着や凹凸嵌合またはねじ止めなどの固定手段で固定されている。
【0025】
図1に示すように、表示装置1を前方から見ると、前方基台3の前面の広い領域に透明カバー板11が固定されているが、この透明カバー板11のうちの表示セル12が重ねられている領域が表示画面18である。
【0026】
図2に示すように、支持基台2を構成する前方基台3には、透明カバー板11が設置されている領域よりも下方(Z2方向)に操作開口部3dが設けられている。図1に示すように、操作開口部3dは左右方向(X1−X2方向)に細長く形成されており、操作開口部3d内に複数の操作釦5が並んで配置されている。図2に示すように、前方基台3の後方(Y2方向)に向く背面の下部に、基板固定面3eが形成されており、基板固定面3eに操作基板となる回路基板6がねじ止めなどの手段で固定されている。回路基板6は左右方向(X1−X2方向)に向けて細長いものであり、前方(Y1方向)に向く前面6aに操作機構7が固定されている。実施形態の操作機構7は押釦機構で、X1−X2方向に複数個並んで固定されており、それぞれの操作機構7が操作釦5で個別に押圧可能となっている。
【0027】
図2に示すように、前方基台3の後方に金属ブラケット20が設けられている。金属ブラケット20は、SUS304などのステンレス鋼板や鉄を主体とした圧延鋼板などの導電性の金属材料で形成されている。金属 ブラケット20は、表示ユニット10を支持している前方基台3を背部が補強する機能と、表示セル12の駆動時に発せられる電磁ノイズのシールド機能または外部から表示セル12に向かう電磁ノイズのシールド機能、さらには表示セル12からの発熱を放熱する機能を発揮する。
【0028】
前方基台3の背面と金属ブラケット20は複数箇所のブラケット固定部によって互いに固定されている。図2図3および図4には、そのうちの1か所のブラケット固定部40が示されている。このブラケット固定部40では、回路基板6と金属ブラケット20の一部とが、前方基台3の基板固定面3eに一緒に締結固定されている。
【0029】
図3に示すように、前方基台3の基板固定面3eの一部に雌ねじ穴3fが形成されている。前記回路基板6には、雌ねじ穴3fに対向する部分にねじ挿入穴6cが開口している。金属ブラケット20は、Y1方向に向く内面20aとY2方向に向く外面20bを有している。金属ブラケット20には、ブラケット固定部40に対応する部分に開口部21が形成されている。開口部21は切欠き部である。または、開口部21が矩形状などの穴であってもよい。開口部21の周囲には、設計上は回路基板6の背面6bに当接すべき部分である突き当て部22が形成されている。
【0030】
金属ブラケット20には、開口部21よりも左側(X2側)に連結板取付け部25が形成されている。連結板取付け部25は、突き当て部22よりも後方(Y2方向)へ隆起した部分に形成されている。連結板取付け部25には、いずれもY1方向に突出するかしめ突部23と位置決め突部24が形成されている。かしめ突部23は、金属ブラケット20を構成する金属板を、いわゆるバーリング加工されて形成されており、位置決め突部24は、金属板がY1方向に押圧されて隆起形成されている。金属ブラケット20には、開口部21よりも右側(X1側)に弾接面26が設けられている。弾接面26は、突き当て部22よりも後方(Y2方向)へ隆起した部分における金属ブラケット20の外面20bの一部である。
【0031】
ブラケット固定部40に連結板30が設けられている。連結板30は、導電性の金属板であり、金属ブラケット20を構成している金属板よりも撓み方向の弾性係数(ばね定数)の低い金属ばね材料で形成されている。連結板30は、例えば、厚さ寸法が金属ブラケット20よりも十分に小さいSUS304などのばね性を有するステンレス鋼板で形成されている。
【0032】
図3に示すように、連結板30は締結固定部31を有しており、締結固定部31に固定穴32が形成されている。連結板30には、締結固定部31の左側(X2側)に連結固定部33が、締結固定部31の右側(X1側)に弾接部36が設けられている。締結固定部31と連結固定部33との間には折曲げ部30aが設けられ、連結固定部33は締結固定部31よりも後方(Y2方向)に位置している。締結固定部31と弾接部36との間にも折曲げ部30bが設けられ、弾接部36は締結固定部31よりも後方(Y2方向)に位置している。図4に示すように、弾接部36は、連結固定部33よりもわずかに後方(Y2方向)に位置している。連結板30の連結固定部33には、かしめ穴34と位置決め穴35とが並んで開口しており、弾接部36には、前方(Y1方向)に向けて隆起する弾接突部37がプレス工程で形成されている。
【0033】
締結固定部31は、連結固定部33と弾接部36との間に位置し、締結固定部31と連結固定部33および弾接部36が、X1−X2方向に直線的に並んでおり、固定穴32とかしめ穴34と位置決め穴35および弾接突部37もX1−X2方向へ一直線上に並んで配置されている。ただし、連結板30では、締結固定部31と連結固定部33とが並ぶ方向に延びる直線と、締結固定部31と弾接部36とが並ぶ方向に延びる直線とが、90度以上で180度未満の角度を有していてもよい。この場合も、連結固定部33と弾接部36との間に、締結固定部31が位置しているものとして定義される。
【0034】
図4に示すように、ブラケット固定部40では、連結板30が金属ブラケット20に固定されている。連結板30の連結固定部33は、連結板取付け部25において金属ブラケット20の内面20aに設置され、位置決め穴35に位置決め突部24が挿入され、かしめ穴34にかしめ突部23が挿入され、かしめ突部23が押し潰されて、連結固定部33が連結板取付け部25に位置決めされてかしめ固定されている。連結板30は折曲げ部30bが開口部21内を後方(Y2方向)に向けて通過し、弾接部36の弾接突部37が、金属ブラケット20の外面20bの一部である弾接面26に弾接されている。なお、連結固定部33はねじ止めなどの手段で金属ブラケット20に固定されてもよい。
【0035】
連結板30は、連結固定部33が金属ブラケット20の内面20aに位置決めされて固定され、全体が弾性変形した状態で、弾接部36が金属ブラケット20の外面20bに強く弾接されているため、連結板30が、金属ブラケット20に相対的に動くことなく強固に固定される。
【0036】
図2図4に示すように、ブラケット固定部40では、連結板30の締結固定部31に形成された固定穴32に、締結部材である固定ねじ38が挿入され、固定ねじ38は回路基板6のねじ挿入穴6cに挿入されて、固定ねじ38の雄ねじ部38aが、前方基台3に形成された雌ねじ穴3fに螺着されている。これにより、金属ブラケット20と前方基台3および回路基板6が、連結板30を介して互いに締結されて固定される。なお、締結部材としては、固定ねじ38の代わりに圧入リベットや圧入ピンを使用することが可能である。
【0037】
前方基台3と金属ブラケット20は、それぞれ製造時に寸法公差が発生し、金属ブラケット20には反りが発生しやすく、さらに回路基板6も厚さ寸法に交差を有しているため、公差の累積によって、金属ブラケット20の突き当て部22と回路基板6の背面6bとの相対位置に誤差が発生しやすい。そのため、前方基台3に金属ブラケット20が組み付けられたときに、図4に示すように、回路基板6の背面6bと突き当て部22との間の隙間δが形成されることがある。この場合も、固定ねじ38を強固に締め付け、連結板30を弾性変形させることによって、前記隙間δを無理に解消させることなく、連結板30の締結固定部31を回路基板6の背面6bに密着させることができ、前方基台3と金属ブラケット20とを確実に固定することができる。
【0038】
また、隙間δの分だけ連結板30が大きく撓むため、弾接部36の弾接突部37が金属ブラケット20の外面20bの弾接面26を強く押圧することになり、連結板30によって、金属ブラケット20が回路基板6に強く押し付けられる。弾接突部37が金属ブラケット20をY1方向に押し付けることにより、前方基台3と金属ブラケット20とが強固に固定される。なお、連結板30の弾性係数(ばね定数)は、金属ブラケット20の弾性係数よりも低いため、寸法公差が累積されている状態で、前方基台3と金属ブラケット20とが直接にねじ止めされている固定構造に比べて、連結板30の弾性変形によって前方基台3に与える応力と歪みを低減させることができる。
【0039】
そのため、前方基台3に支持されている表示ユニット10の表示画面18の表示内容に現れる表示ムラ、例えばIPS方式のカラー液晶表示セルによる表示内容の黒ムラを低減させることができる。ここでの黒ムラとは、カラー液晶表示セルの表示画面における「輝度の最小値」を「輝度の最大値」で除した値(「輝度の最小値」/「輝度の最大値」×100(%))であり、黒ムラが低減すると、前記値が大きくなる。
【0040】
前記実施形態と比較するための第1比較例として、連結板30に弾接部36を設けず、締結固定部31と連結固定部33だけで構成するものが考えられる。この場合には、締結固定部31が固定ねじ38で回路基板6に固定されたときに、連結板30の変形により発揮される弾性力が弱すぎ、前方基台3と金属ブラケット20との固定強度が低下しやすい。
【0041】
第2比較例として、締結固定部31の両側に連結固定部33を設け、締結固定部31の両側で、連結板30を金属ブラケット20にかしめやねじ止めで固定する構造が考えられる。この第2比較例では、連結板30の両端部が金属ブラケット20に強固に固定されて拘束されるため、連結板30の変形余裕が小さくなる。そのため、図4に示す隙間δが大きくなると、連結板30の弾性変形による追従ができなくなり、無理に追従させようとすると、連結板30が塑性変形したり破損しやすくなる。この場合には、非常に長く大きな連結板を使用しなくてはならなくなり、ブラケット固定部40の専有スペースが広く必要となる。
【0042】
また、連結板30が導電性の金属ばね材料で形成されていると、弾接部36が電磁アンテナと同等に機能し、弾接部36が電磁ノイズを吸収し、表示セル12に電磁ノイズによる誤動作が生じたり、透明カバー板11に設けられたタッチセンサが電磁ノイズによって誤動作を生じる可能性が高くなる。しかし、連結板30は弾接部36に弾接突部37が形成されて、弾接突部37が導線性の金属ブラケット20に接触しているため、弾接部36と金属ブラケット20とが同じ電位となって、弾接部36が電磁アンテナのような機能を発揮することがなくなる。そのためには、回路基板6に形成されたアースパターンやその他のアース電位部によって、連結板30と金属ブラケット20とが接地電位とされていることが好ましい。
【0043】
図3ないし図5に示すブラケット固定部40では、前方基台3と金属ブラケット20との間に回路基板6が挟まれている。回路基板6のアースパターンに連結板30の締結固定部31を密着させることにより、連結板30を直接に接地電位に設定できる利点がある。ただし、この構造では、回路基板6の厚さ寸法の公差も前記隙間δに影響を与えることになるが、連結板30の弾性変形により、回路基板6の厚さ寸法の公差も無視できるようになる。なお、ブラケット固定部40が回路基板6の無い場所に設定されるときは、連結板30の締結固定部31は前方基台3に直接に固定ねじ38で固定される。
【0044】
図1図2に示す表示装置1では、前方基台3と金属ブラケット20とが複数箇所で固定されるが、この固定部の全てを、連結板30を使用したブラケット固定部40としてもよい。あるいは、X−Z平面において、ブラケット固定部40から離れた位置にある固定部で、連結板30を使用せずに、前方基台3と金属ブラケット20とを直接にねじ止めしてもよい。すなわち、直接ねじ止めした固定部と、連結板30を使用したブラケット固定部40とを組み合わせて配置することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 表示装置
2 支持基台
3 前方基台
3a 表示開口部
3f 雌ねじ穴
4 後方基台
5 操作釦
6 回路基板
6c ねじ挿入穴
10 表示ユニット
11 透明カバー板
13 光学接着剤層
12 表示セル
14 バックライト
20 金属ブラケット
21 開口部
22 突き当て部
23 かしめ突部
24 位置決め突部
25 連結板取付け部
26 弾接面
30 連結板
31 締結固定部
32 固定穴
33 連結固定部
34 かしめ穴
35 位置決め穴
36 弾接部
37 弾接突部
38 固定ねじ(締結部材)
図1
図2
図3
図4