(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
先ず、本発明に係る紫外線吸収塗料について説明する。
本発明に係る紫外線吸収塗料は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、ZnおよびCeから選ばれる一種以上の遷移金属の酸化物前駆体を含むことを特徴とするものである。
以下、本出願書類において、紫外線とは、波長250〜420nmの領域の光を意味するものとする。また、本出願書類において、遷移金属の酸化物前駆体とは、加熱することにより当該遷移金属の酸化物を形成し得るものを意味する。
【0017】
本発明に係る紫外線吸収塗料は、遷移金属の酸化物前駆体として、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、ZnおよびCeから選ばれる一種以上の遷移金属の酸化物前駆体を含み、上記遷移金属としては、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、CuおよびZnから選ばれる一種以上が好ましく、Ti、Cr、Mn、Fe、CuおよびZnから選ばれる一種以上がより好ましい。
【0018】
上記遷移金属の酸化物前駆体は、遷移金属の金属塩、金属酸塩または有機金属化合物であることが好ましい。
上記遷移金属の金属塩としては、加熱下で遷移金属の酸化物を形成し得るとともに、紫外線吸収塗料中に溶解し得るものであれば特に制限されず、例えば、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、塩化物、リン酸塩、炭酸塩、水酸化物等から選ばれる一種以上の金属塩を挙げることができる。
上記遷移金属の金属酸塩としては、加熱下で遷移金属の酸化物を形成し得るものであるとともに、紫外線吸収塗料中に溶解し得るものであれば特に制限されず、例えば、バナジン酸塩、クロム酸塩、重クロム酸塩、マンガン酸塩、過マンガン酸塩、鉄酸塩、亜鉄酸塩、コバルト酸塩、ニッケル酸塩、銅酸塩、亜鉛酸塩、セリウム酸塩等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
遷移金属の有機金属化合物としても、加熱下で遷移金属の酸化物を形成し得るとともに、紫外線吸収塗料中に溶解し得るものであれば特に制限されず、金属アルコキシド、金属アルコキシドの誘導体(例えば、金属アルコキシドのアルコキシル基の一部または全てを、アセチルアセトンやアセト酢酸エチル等の配位子で置換した有機金属化合物)、ステアリン酸石鹸、ラウリン酸石鹸、リシノール酸石鹸、オクチル酸石鹸、ナフテン酸石鹸、モンタン酸石鹸、ベヘン石鹸、セバシン酸石鹸、ミリスチン酸石鹸、パルミチン酸石鹸、12−ヒドロキシステアリン酸石鹸等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
【0019】
Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、ZnおよびCeから選ばれる一種以上の遷移金属の酸化物は、紫外域の光に対して強い吸収性を発揮する。
本発明に係る紫外線吸収塗料は、光学素子等の塗布対象に塗布し、加熱することにより、光学素子等の塗布対象の表面に遷移金属酸化物を含む紫外線吸収膜を形成し得ることから、光エネルギーが大きな紫外光を高強度に出力し得る装置において紫外線を吸収するために使用された場合であっても、薄膜状態で迷光の発生を高度に抑制することができ、また、紫外線吸収塗料が溶媒等の有機分を含む場合であっても、上記加熱処理によって、有機分を除去しつつ均質な遷移金属酸化膜を形成し得ることから、得られた紫外線吸収膜は、長期間紫外線を照射された場合であっても、有機分の劣化に伴う塗膜の退色、剥離、消失等を抑制し、優れた耐久性を好適に発揮することができる。
【0020】
本発明に係る紫外線吸収塗料は、ケイ素酸化物前駆体およびアルミニウム酸化物前駆体から選ばれる一種以上をさらに含むものであってもよい。
【0021】
本出願書類において、ケイ素酸化物前駆体とは、加熱することによりケイ素酸化物を形成し得るものを意味し、例えば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシランまたはこれ等の一種以上からなるオリゴマーやポリシラザンを挙げることができる。
【0022】
本出願書類において、アルミ二ウム酸化物前駆体とは、加熱することによりアルミニウム酸化物を形成し得るものを意味し、例えば、アルミニウムトリsec−ブトキシド、アルミニウムトリiso−プロポキシド等のアルミニウムアルコキシド、上記アルミニウムアルコキシドのアルコキシル基の一部または全てをアセチルアセトン、アセト酢酸エチル等のキレート剤で修飾したアルミニウムキレート化合物、ステアリン酸アルミニウム、オクチル酸アルミニウム、ナフテン酸アルミニウム等のアルミニウム石鹸、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等のアルミニウム塩等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
【0023】
本発明に係る紫外線吸収塗料は、ケイ素酸化物前駆体およびアルミニウム酸化物前駆体から選ばれる一種以上をさらに含むものであることにより、紫外線吸収膜の形成時に遷移金属酸化物とケイ素酸化物またはアルミニウム酸化物との複合化膜を容易に形成することができ、この複合化膜により、紫外線吸収塗料を塗布して得られる紫外線吸収膜の光学素子への付着力が向上し、紫外線吸収膜が剥離し難くなる。
【0024】
本発明に係る紫外線吸収塗料は、着色剤を含むものであってもよい。
本発明に係る紫外線吸収塗料が、着色剤を含むものである場合、着色剤としては、ゲル化や吸収膜原料の沈澱等を生じることなく塗料中で安定して溶解または分散し、可視光に対して光吸収能を有するものであり、紫外線吸収塗料中に含まれる遷移金属前駆体が金属酸化物を形成する温度下において、分解、揮発等することにより消失するものであるか、無機酸化物を形成し得るものであることが好ましい。
【0025】
上記着色剤としては、染料や顔料などの色素を挙げることができ、染料であることが好ましい。塗料中に溶解し易く、凝集等を生じ難いことから着色剤として染料が好適である。
【0026】
上記着色剤が染料である場合、染料としては、紫外線吸収塗料中に溶解し、塗布膜が視認し得るものであれば、特に制限されず、例えば、メチレンブルー、トリフェニルメタン色素(例えば、マラカイトグリーン)、アゾイック染料、アゾ染料、アクリジン、アニリン染料(例えば、アニリンブラック)、インダンスレン、エオシン、コンゴーレッド、ジヒドロイントール、フェナジン誘導体色素(例えば、ニュートラルレッド)、フェノールフタレイン、フクシン、フルオレセイン、パラレッド、モーブ、カラメル色素、クチナシ色素、アントシアニン色素、アナトー色素、パプリカ色素、紅花色素、紅麹色素、フラボノイド色素、コチニール色素、アマランス(赤色2号)、エリスロシン(赤色3号)、アルラレッドAC(赤色40号)、ニューコクシン(赤色102号)、フロキシン(赤色104号)、ローズベンガル(赤色105号)、アシッドレッド(赤色106号)、タートラジン(黄色4号)、サンセットイエローFCF(黄色5号)、ファストグリーンFCF(緑色3号)、ブリリアントブルーFCF(青色1号)およびインジゴカルミン(青色2号)から選ばれる一種以上を挙げることができる。
【0027】
上記着色剤が顔料である場合、顔料としても、凝集等を生じ難いものである限り特に制限されず、例えば、ベンガラ、ウルトラマリン青、プロシア青、カーボンブラック、イソインドリノン、イソインドリン、アゾメチン、アントラキノン、アントロン、キサンテン、ジケトピロロピロール、ペリレン、ペリノン、キナクリドン、インジゴイド、ジオキサジンおよびフタロシアニン等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
【0028】
本発明に係る紫外線吸収塗料から得られる紫外線吸収膜は、薄膜状態でも迷光の発生を高度に抑制し得るものであるが、得ようとする紫外線吸収膜が薄い場合、紫外線吸収塗料の塗布時に形成される塗布膜の厚みも薄くなり、所定の場所に塗布したか否か、必要量を塗布したか否か、レンズの入射面や出射面等の非塗布面に付着したか否かを視認することが困難になる。紫外線吸収塗料が透明なものである場合には塗布膜の視認はさらに困難になり、使用する遷移金属酸化物前駆体等によっては紫外線吸収塗料が予め着色している場合もあるものの、着色の程度が低い場合や上記塗布膜の厚みが薄くなると同様に塗布膜の視認は困難になる。上記塗布膜を乾燥、熱処理して紫外線吸収膜を形成する前であれば、誤って塗布した塗布膜を拭き取ることも可能であるが、そのまま加熱処理した場合には光学素子表面に焼き付いて除去することが困難になり、製品の歩留まりが低下してしまう。
本発明に係る紫外線吸収塗料が着色剤をさらに含む場合には、上記紫外線吸収塗料の塗布時に塗布膜の有無を容易に視認することが可能になり、光学素子の製造効率や製品の歩留まりを容易に向上させることができる。
【0029】
本発明に係る紫外線吸収塗料が着色剤を含む場合、着色剤の含有割合は、紫外線吸収塗料に対して外割で0.005〜20質量%であることが好ましく、0.01〜10質量%であることがより好ましく、0.05〜5質量%であることがさらに好ましい。
【0030】
本発明に係る紫外線吸収塗料は、バインダー成分または溶媒を含むものであってもよい。
本発明に係る紫外線吸収塗料が、バインダー成分または溶媒を含むものである場合、バインダー成分または溶媒としては、紫外線吸収塗料中に含まれる遷移金属前駆体が金属酸化物を形成する温度下において、分解、揮発等することにより消失するものであることが好ましい。
【0031】
上記バインダー成分としては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ酢酸ビニル、キトサン等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
本発明に係る紫外線吸収塗料がバインダー成分を含むことにより、遷移金属の酸化物前駆体を安定的かつ均質に基材に塗布して紫外線吸収膜を容易に形成することができる。
上記バインダーは、紫外線吸収塗料中に含まれる遷移金属前駆体の種類に応じて適宜選択してもよく、例えば、紫外線吸収塗料が遷移金属前駆体として酸化マンガンの前駆体を含む場合は、バインダーとしてポリビニルピロリドンを含むことが好ましく、バインダーとしてポリビニルピロリドンを含むことにより、紫外線吸収塗料中に酸化マンガンの前駆体を好適に溶解させることができる。
【0032】
また、溶媒としても、紫外線吸収塗料中に含まれる遷移金属前駆体が金属酸化物を形成する温度下において、分解、揮発等するすることにより消失するものであることが好ましい。
上記溶媒としては、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール等のブタノール類、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸、酪酸等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
【0033】
本発明に係る紫外線吸収塗料において、遷移金属の酸化物前駆体含有割合は、各遷移金属の酸化物換算で、0.1〜20.0質量%であることが好ましく、0.5〜15.0質量%であることがより好ましく、1.0〜10.0質量%であることがさらに好ましい。
【0034】
本発明に係る紫外線吸収塗料は、遷移金属酸化物前駆体の含有割合が上記範囲内にあることにより、紫外線吸収膜の形成時にクラックや剥離の発生を好適に抑制することができる。
一般に金属酸化物の前駆体を用いて基材上に無機酸化物膜を形成する場合、生成する無機酸化物膜の基材面側は基材と結合して収縮が抑制され易いのに対し、無機酸化物膜の外表面側は自由に収縮して大きな体積収縮を伴うことになり、金属酸化物膜は有機物の膜に比較して柔軟性が乏しいことから、上記体積収縮によって生じる応力により、酸化物膜にクラックや剥離を生じ易くなる。
上記遷移金属酸化物前駆体の含有割合が0.1質量%未満である場合には、得られる遷移金属酸化物膜の膜厚が薄くなり易く目的とする吸収特性が得られ難くなり、上記遷移金属酸化物前駆体の含有割合が20.0質量%超である場合には、得られる遷移金属酸化物膜の膜厚が厚くなり、上記応力が増大し易くなって、上記クラックや剥離を生じ易くなる。
【0035】
なお、本出願書類において、遷移金属の含有割合算出時における遷移金属の酸化物とは、遷移金属がTiである場合はTiO
2、遷移金属がVである場合はV
2O
5、遷移金属がCrである場合はCr
2O
3、遷移金属がMnである場合はMn
2O
3、遷移金属がFeである場合はFe
2O
3、遷移金属がCoである場合はCoO、遷移金属がNiである場合はNiO、遷移金属がCuである場合はCuO、遷移金属がZnである場合はZnO、遷移金属がCeである場合はCeO
2を意味する。
【0036】
本発明に係る紫外線吸収塗料において、遷移金属の含有割合が上記範囲内にあることにより、遷移金属を好適に溶解させるとともに、所望厚みの紫外線吸収膜を簡便に形成することができる。
【0037】
本発明に係る紫外線吸収塗料が、ケイ素酸化物前駆体およびアルミニウム酸化物前駆体から選ばれる一種以上をさらに含むものである場合、これ等の酸化物換算で、上記酸化物換算した遷移金属の酸化物前駆体との合計含有割合が、1.0〜30.0質量%であることが好ましく、2.0〜25.0質量%であることがより好ましく、3.0〜20.0質量%であることがさらに好ましい。
【0038】
本発明に係る紫外線吸収塗料において、ケイ素酸化物前駆体およびアルミニウム酸化物前駆体から選ばれる一種以上の合計含有割合が上記範囲内にあることにより、得られる紫外線吸収膜の基材に対する密着性を高めることができ、上述したクラックや剥離の発生を容易に抑制することができる。
【0039】
なお、本出願書類において、上記含有割合算出時におけるケイ素酸化物前駆体の酸化物とはSiO
2を意味し、上記含有割合算出時におけるアルミニウム酸化物前駆体の酸化物とはAl
2O
3を意味する。
【0040】
本発明に係る紫外線吸収塗料は、例えば、遷移金属の酸化物前駆体と、必要に応じてケイ素酸化物前駆体およびアルミニウム酸化物前駆体から選ばれる一種以上とを、適宜バインダーや溶媒等存在下に所望量溶解させることにより、容易に調製することができる。
【0041】
本発明によれば、薄膜状態で迷光の発生を高度に抑制しつつ優れた耐久性を発揮し得る塗膜を形成可能な紫外線吸収塗料を提供することができる。
【0042】
次に、本発明に係る紫外線吸収膜について説明する。
本発明に係る紫外線吸収膜は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、ZnおよびCeから選ばれる一種以上の遷移金属の酸化物を含むことを特徴とするものである。
上記遷移金属としては、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、CuおよびZnから選ばれる一種以上が好ましく、Ti、Cr、Mn、Fe、CuおよびZnから選ばれる一種以上がより好ましい。
【0043】
遷移金属は通常複数の価数を採ることから、遷移金属の酸化物も複数の形態を採ることができるが、本出願書類において、遷移金属の酸化物とは、特定の遷移金属の一種類の酸化物からなるものの他、複数の酸化物が混在する形態も含むものとする。
また、本発明に係る紫外線吸収膜は、二種以上の遷移金属の酸化物が混在するものであってもよい。
【0044】
Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、ZnおよびCeから選ばれる一種以上の遷移金属の酸化物は、紫外域の光に対して強い吸収性を発揮する。
本発明に係る紫外線吸収膜は、上記遷移金属の酸化物を含むものであることから、光エネルギーが大きな紫外光を高強度に出力し得る装置において紫外線を吸収するために使用された場合であっても、薄膜状態で迷光の発生を高度に抑制することができ、また、長期間紫外線を照射された場合であっても、塗膜の退色、剥離、消失等を抑制し、優れた耐久性を好適に発揮することができる。
【0045】
また、本発明の紫外線吸収膜は、上記遷移金属の酸化物とともに、ケイ素酸化物およびアルミニウム酸化物から選ばれる一種以上をさらに含むものであってもよい。
本発明に係る紫外線吸収膜は、ケイ素酸化物およびアルミニウム酸化物から選ばれる一種以上をさらに含むものであることにより、遷移金属酸化物とケイ素酸化物またはアルミニウム酸化物等の複合化膜を成し、この複合化膜により基材に対する密着性を高めることができ、上述したクラックや剥離の発生を容易に抑制することができる。
【0046】
本発明の紫外線吸収膜は、上記遷移金属の酸化物を、20〜100質量%含むものであることが好ましく、30〜100質量%含むものであることがより好ましく、35〜100質量%含むものであることがさらに好ましい。
【0047】
本発明に係る紫外線吸収膜は、膜厚が、50μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましく、5μm以下であることが一層好ましい。
本発明に係る紫外線吸収膜は、薄膜であっても紫外光を十分に吸収することができるが、本発明の目的を達成する上で、紫外線吸収膜の膜厚は、0.01μm以上であることが好ましく、0.02μm以上であることがより好ましく、0.05μm以上であることがさらに好ましく0.10μm以上であることが一層好ましい。
【0048】
本発明に係る紫外線吸収膜が光学素子の表面に設けられる場合、特にLED用の光学素子は形状が非常に小さなものが多いことから、光学素子の加工公差は通常±100μm、厳しいもので±50μmとされている。上記光学素子の芯出しを正確に行う上では紫外線吸収膜も薄膜状のものが求められ、また、個々の光学素子を複数並べて構成する場合にも個々の光学素子の位置ずれを抑制する上でも紫外線吸収膜としては薄膜状のものが求められるが、一般に薄膜状にした場合には紫外線吸収膜の紫外線吸収能も低下してしまう。
本発明に係る紫外線吸収膜は、特定の遷移金属の酸化物を含むものであることから、光エネルギーが大きな紫外光を高強度に出力し得る装置において紫外線を吸収するために使用された場合であっても、薄膜状でも迷光の発生を高度に抑制することができる。
【0049】
なお、本出願書類において、紫外線吸収膜の膜厚は、基材および紫外線吸収膜の合計厚みと基材の厚みを各々マイクロメータ((株)ミツトヨ製MDH−25M)を用いて測定し、両者の差から得られる値を意味する。
【0050】
本発明に係る紫外線吸収膜において、紫外線吸収膜の光学濃度(OD)が、1以上であるものが好ましく、2以上であるものがより好ましく、3以上であるものがさらに好ましい。
光学濃度(OD)が上記範囲内にあることにより、光エネルギーが大きな紫外光を高強度に出力し得る装置において紫外線を吸収するために使用された場合であっても、薄膜状でも迷光の発生を高度に抑制することができる。
なお、本出願書類において、光学濃度(OD)とは、紫外可視近赤外分光光度計((株)日立製作所製U−4100)を用い、吸収対象とする波長あるいは波長域の光を含む照射光を照射したときに測定される値を意味する。
【0051】
本発明に係る紫外線吸収膜は、目視観察したときに、クラック(ひび割れ)を有さないものであることが適当である。
本発明に係る紫外線吸収膜が、クラック(ひび割れ)を有さないものであることにより、紫外線吸収膜が光学素子等の被膜対象物から剥離したり、ダストを形成したりすることを抑制し易くなり、所望の迷光吸収効果を容易に得ることができる。
【0052】
本発明に係る紫外線吸収膜は、レンズ、プリズム、鏡筒などの光学素子・光学要素において、本来の光路以外の部分の表面に好適に設けることができ、例えばレンズのコバ等の光学素子の入射面・出射面以外の部分の表面や鏡筒の内面等に好適に設けることができる。
このように本発明に係る紫外線吸収膜を本来の光路以外の部分の表面に好適に設けることにより、光エネルギーが大きな紫外光を高強度に出力し得る装置において紫外線を吸収するために使用された場合であっても、薄膜状でも迷光の発生を高度に抑制することができる。
【0053】
本発明に係る紫外線吸収膜は、本発明に係る紫外線吸収塗料により好適に作製することができる。
本発明に係る紫外線吸収膜の作製方法としては、例えば、基材(吸収膜の形成対象)に対し、本発明に係る紫外線吸収塗料を塗布し、ゾル−ゲル法により膜形成する方法を挙げることができる。
このような紫外線吸収膜の作製方法としては、例えば、本発明に係る紫外線吸収塗料を、被膜対象物上に、刷毛やスプレーを用いて塗布したりディッピング法やスピンコート法により塗布することにより所望厚みの塗布膜を形成した後、適宜乾燥処理し、加熱処理する方法を挙げることができる。上記加熱処理時の温度は、300〜1000℃であることが好ましく、また、上記加熱処理時の処理時間は、1分間〜12時間であることが好ましい。
上記方法により、目的とする金属酸化物膜(紫外線吸収膜)を形成することができる。
【0054】
本発明に係る紫外線吸収膜は、光エネルギーが大きな紫外光を高強度に出力し得る装置において紫外線を吸収するために使用された場合であっても、薄膜状でも迷光の発生を高度に抑制することができる。
【0055】
次に、本発明に係る光吸収膜について説明する。
本発明に係る光吸収膜は、本発明に係る紫外線吸収膜と少なくとも可視光または赤外線を吸収する吸収膜との積層物を含むことを特徴とするものである。
【0056】
本発明に係る紫外線吸収膜の詳細は、上述したとおりである。
【0057】
本発明に係る光吸収膜において、可視光または赤外線を吸収する吸収膜は、本発明に係る紫外線吸収膜上に、可視光または赤外線の吸収膜を形成し得る公知の塗布剤を塗布することにより設けることができる。
上記塗布剤としては、例えば、表面反射防止塗料(キヤノン化成(株)製、型番CS−37等)、近赤外線遮蔽材料(住友金属鉱山(株)製、型番YMF−02A等)等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
【0058】
本発明に係る光吸収膜は、光が入射する側に、紫外線吸収膜が位置するように配置してもよいし可視光または赤外線を吸収する吸収膜が位置するように配置してもよい。
【0059】
本発明に係る光吸収膜は、本発明に係る紫外線を吸収する紫外線吸収膜上に、少なくとも可視光または赤外線のいずれかを吸収する吸収膜を有するものであることにより、光エネルギーの大きな紫外光と共に可視光や赤外線を含む光を放射する発光体に適用した場合においても迷光の発生を高度に抑制することができる。
光エネルギーの大きな紫外光と共に可視光や赤外線を含む光を放射する発光体としては、水銀キセノンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ等のランプや、紫外LED(UV−LED)、白色LED、及び多波長LEDを基板に混載したLEDユニット等の発光素子等を挙げることができる。
【0060】
次に、本発明に係る光学素子について説明する。
本発明に係る光学素子は、本発明に係る紫外線吸収膜または光吸収膜を表面に有することを特徴とするものである。
【0061】
本発明に係る紫外線吸収膜または光吸収膜の詳細は、上述したとおりである。また、本発明に係る光学素子において、紫外線吸収膜の製膜位置や製膜方法の詳細も、上述したとおりである。
【0062】
本発明に係る光学素子としては、レンズ、プリズム、鏡筒、ミラーなどの一般に光学素子、光学要素等と称される物から選ばれる一種以上を挙げることができる。
以下、本発明に係る光学素子について、具体例を示しつつ説明する。
【0063】
図1は、光学素子の一例として、従来の光学素子(両凸レンズ)Lの断面(
図1(a))と、本発明に係る光学素子(両凸レンズ)Lの断面(
図1(b))を示す簡略図であり、通常、両凸レンズにおいては、
図1(a)に示すように光学面に入射した紫外光Iの一部が、レンズのコバ(側面)から入射したりレンズのコバの内壁面で反射して迷光Sを生じるが、本発明に係る光学素子は、
図1(b)に示すように両凸レンズLのコバに紫外線吸収膜Aを有するものであることから、レンズのコバで効果的に紫外光を吸収して迷光Sの発生を抑制することができる(
図1(b)においては、両凸レンズLが紫外線吸収膜Aを有さない場合に発生する迷光Sを便宜的に点線で示している)。
図1においては、レンズLとして両凸レンズを例示しているが、レンズLは、両凸レンズに代えて、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズのいずれかであってもよく、この場合、各レンズのコバに紫外線吸収膜Aが設けられる。
【0064】
図2は、本発明に係る光学素子の一例としてメニスカスレンズの断面を示す簡略図であり、通常、メニスカスレンズにおいては、
図2に示すように光学面に入射した紫外光Iの一部が、レンズのコバ(側面)から入射したり、レンズのコバの内壁面で反射することによって迷光Sを生じるが、本発明に係る光学素子は、レンズLのコバに紫外線吸収膜Aを有するものであることから、レンズのコバで効果的に紫外光を吸収して迷光の発生を抑制することができる(
図2においては、メニスカスレンズLが紫外線吸収膜Aを有さない場合に発生する迷光Sを便宜的に点線で示している)。
また、
図2に示すようなメニスカスレンズにおいては、通常、入射面の凹部から選択的に光を入射させるために入射面の平面部に光を遮蔽するマスクが設けられるが、係るマスクが存在しない場合には入射面の平面部から入射する光によって同様に迷光Sを生じてしまう。このため、
図2に示す例においては、入射面の平面部にも紫外線吸収膜Aを設け、入射面側の平面部で効果的に紫外光を吸収させることにより、上記マスクを兼ねつつ同時に迷光の発生を抑制することができる。
【0065】
図3は、本発明に係る光学素子の一例として鏡筒の断面を示す簡略図であり、通常、鏡筒においては、
図3に示すように鏡筒面に入射した入射光Iの一部が鏡筒の内壁面で反射して迷光Sを生じるが、
図3に示す鏡筒は、鏡筒Tの内壁面に紫外線吸収膜Aを有するものであることから、内壁面で効果的に光吸収して迷光の発生を抑制することができる(
図3においては、鏡筒Tが紫外線吸収膜Aを有さない場合に発生する迷光Sを便宜的に点線で示している)。
従来より、鏡筒においては、内壁面をアルマイト処理して生じた空孔に黒色染料を含浸させる黒アルマイト加工が行われていたが、この黒色染料は有機物であることから、紫外光等の短波長の光や強度の高い光が鏡筒内に照射されると染料が分解して退色し迷光を生じ易かった。これに対して、本発明に係る光学素子は、遷移金属の酸化物を含有する本発明の紫外線吸収膜を有するものであることから、強度の高い紫外光に対しても優れた耐久性を発揮しつつ迷光の発生を抑制することができる。
【0066】
図4は、本発明に係る光学素子の一例としてミラーボックスの断面を示す簡略図であり、通常、ミラーボックスにおいては、
図4に示すようにミラーボックスの入射口から紫外光が出射口から出射するが、入射した紫外光Iの一部がミラーボックスの内壁面で反射して迷光Sを生じる。これに対して、
図4に示すミラーボックスMBは、ミラーボックスMBの内壁面において、ミラー部を除く内壁面や、入射口あるいは出射口のコバに紫外線吸収膜Aを有するものであることから、これ等ミラー面以外の内面における紫外光を効果的に吸収して迷光の発生を抑制することができる(
図4においては、ミラーボックスMBが紫外線吸収膜Aを有さない場合に発生する迷光Sを便宜的に点線で示している)。
【0067】
また、図示していないものの、本発明に係る光学素子は、プリズムの入射面、出射面、反射面を除く面に本発明の紫外線吸収膜が設けられてなるものであってもよい。
【0068】
本発明に係る光学素子は、光エネルギーが大きな紫外光を高強度に出力し得る装置において紫外線を吸収するために使用された場合や、紫外線とともに可視光または赤外光を吸収するために使用された場合であっても、薄膜状でも迷光の発生を高度に抑制することができる。
【0069】
次に、本発明に係る光学ユニットについて説明する。
本発明に係る光学ユニットは、本発明に係る光学素子を有することを特徴とするものである。
【0070】
本発明に係る光学素子の詳細は、上述したとおりである。
【0071】
本発明に係る光学ユニットは、本発明に係る光学素子を有するものであれば、特に制限されない。
【0072】
本発明に係る光学ユニットは、通常、光学素子と共に、光源を有している。
光源としては、紫外光を含む光を照射し得るものであれば特に制限されず、例えば、紫外LED(UV−LED)、ショートアークランプやロングアークランプなどの放電ランプ等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
【0073】
図5は、本発明に係る光学ユニットを例示するものであって、
図5の上図が上面側から見た簡略図、
図5の下図が側面からみた断面の簡略図である。
図5に示す光学ユニットは、基板B上に設けられた4個の紫外LED(LEDダイ)Dと、紫外LED側(照射側)から出射側に順番に、第一レンズL1、第二レンズL2および第三レンズL3とが設けられてなるものであって、上記第一レンズL1、第二レンズL2および第三レンズL3のコバには、本発明に係る紫外線吸収膜を有している。
【0074】
本発明に係る光学ユニットは、光エネルギーが大きな紫外光を高強度に出力し得る装置において使用された場合や、紫外線とともに可視光または赤外光を吸収するために使用された場合であっても、迷光の発生を高度に抑制しつつ光照射することができる。
【0075】
次に、本発明に係る光照射装置について説明する。
本発明に係る光照射装置は、本発明に係る光学ユニットを有することを特徴とするものである。
【0076】
本発明に係る光学ユニットの詳細は、上述したとおりである。
【0077】
本発明に係る光照射装置としては、例えば、スポット型紫外線光源、ライン型紫外線光源、エリア型紫外線光源、ライトガイド型紫外線光源、周辺露光用光源装置等を挙げることができる。
【0078】
本発明に係る光照射装置は、本発明に係る光学ユニットを1個以上含むものであり、通常は、本発明に係る光学ユニットを2個以上含む。
図6は、本発明に係る光照射装置を例示する上面図であり、
図6に示す例に光照射装置は、
図5に示す光学ユニットUを25個含んでおり、使用時にはこれ等の光学ユニットが協働して被照射物に光照射することができる。
【0079】
本発明に係る光照射装置は、光エネルギーが大きな紫外光を高強度に出力し得るものであったり、紫外線とともに可視光または赤外光を出力し得るものであっても、本発明に係る光学ユニットを有するものであるために、迷光の発生を高度に抑制し、迷光が本来の照射光に混入することを高度に抑制することができる。
【実施例】
【0080】
以下、実施例および比較例により本発明を更に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0081】
(実施例1)
ガラス製の容器に、エチレングリコール(示性式:C
2H
4(OH)
2)19.4gと硝酸鉄(III)九水和物(示性式:Fe(NO
3)
39H
2O)12.6gとを加え、マグネティックスターラーを使用して室温下で2時間撹拌し、硝酸鉄(III)九水和物をエチレングリコールに溶解した後、イソプロパノール(示性式:CH
3CH(OH)CH
3)68.0gを加えて、更に室温下で2時間撹拌することにより、茶色透明で均質な吸収膜形成用コート液(Fe
xO
y系紫外線吸収塗料)100gを調製した。
得られた吸収膜形成用コート液中の固形分は、同コート液を熱処理し硝酸鉄から全て酸化物を生成したと仮定した場合に、Fe
2O
3換算で2.5質量%であるものであった。
この吸収膜形成用コート液を、スライドガラス基板(松浪硝子工業(株)製、S1127、縦76mm×横26mm×厚み1.0〜1.2mm)の両面に、ディッピング法により引き上げ速度30cm/分で塗布した。得られた薄膜は、薄橙色を呈する透明均質なものであった。
この薄膜付きスライドガラス基板を70℃で1時間乾燥した後、熱処理炉に入れ、大気雰囲気下、室温から500℃まで200℃/時で昇温し、500℃で1時間保持することによりスライドガラス基板上に酸化鉄(Fe
xO
y)系紫外線吸収膜を形成した。得られた紫外線吸収膜の厚みは1μm未満であった。
上記熱処理により薄膜は薄橙色から濃い橙色に変化し、得られた紫外線吸収膜は均質で、クラックや剥離の発生は認められなかった。
【0082】
得られた紫外線吸収膜付基板および紫外線吸収膜を有さない基板の透過率曲線を
図7に示す。
図7の破線が基板のみ(紫外線吸収膜なし)の透過率曲線であり、実線がFe
xO
y系紫外線吸収膜付基板の透過率曲線であり、250〜420nmの紫外光領域において紫外線吸収膜を構成する鉄酸化物による吸収が生じるために、破線(基板のみ)に比べ、実線(紫外線吸収膜あり)の透過率が紫外光領域全体で高度に抑制されていることが分かる。
【0083】
(紫外線吸収効果の評価)
上記吸収膜形成用コート液を、石英ガラス基板(縦20mm×横50mm×厚み2mm、縦20mm×横50mmの主表面が光学研磨面であり、もう一方の主表面が#1000砂摺り面であるもの)の光学研磨面をマスキングテープを用いてマスクした状態で、ディッピング法により引き上げ速度30cm/分で砂摺り面に塗布した。
この薄膜付き石英ガラス基板からマスキングテープを剥離し、70℃で1時間乾燥した後、熱処理炉に入れ室温から500℃まで200℃/時で昇温し、500℃で1時間保持することにより、石英ガラス基板の砂摺り面に酸化鉄(Fe
xO
y)系紫外線吸収膜を形成した。得られた酸化鉄(Fe
xO
y)系紫外線吸収膜の膜厚は1μm未満であった。
【0084】
得られた紫外線吸収膜付き石英ガラス基板を用い、
図8に簡略的に示すように、石英ガラス基板Gの側面(端面)から入射する光の主表面(砂摺り面W及び光学研磨面P)における強度を測定した(
図8の上図が測定系全体を示す簡略図であり、
図8の下図が上図の円で囲った部分を拡大した簡略図である)。
すなわち、
(1)上記紫外線吸収膜形成前における石英ガラス基板G(縦20mm×横50mm×厚み2mm、縦20mm×横50mmの主表面が光学研磨面Pであり、もう一方の主表面が#1000砂摺り面Wであるもの)を、
図8に示すような配置となるように受光部LRを備えた受光器R上に配置し、当該石英ガラス基板の端部側に紫外光Lを側面から水平に照射したときに、受光部LRの表示値が10.00mW/cm
2となる様にUV−LED光源(ピーク波長365nm)の出力を調整し、
(2)次いで、
図8に示すように、上記石英ガラス基板を、紫外線吸収膜Cを設けた砂摺り面Wと光学研磨面Pとを主表面とする石英ガラス基板G(縦20mm×横50mm×厚み2mm、縦20mm×横50mmの主表面が光学研磨面Pであり、もう一方の主表面が#1000砂摺り面Wであるもの)に変更し、上記と同様に石英ガラス基板の端部側に紫外光Lを水平に照射したときに、
(3)入射光の強度I
0に対して、石英ガラス基板内で内部反射しつつ紫外線吸収膜Cに吸収され、受光部LR側に出射する出射光の強度I
1の割合((I
1/I
0)×100)を測定した。
その結果、紫外線吸収膜を形成しない石英ガラス基板を用いた場合の受光器R側に出射する出射光の強度(I
0)が10.00mW/cm
2であったのに対し、紫外線吸収膜Cを形成した石英ガラス基板Gを用いた場合の受光器R側に出射する出射光の強度(I
1)は0.20mW/cm
2であり、上記入射光の強度I
0に対する受光器R側に出射する出射光の強度I
1の割合((I
1/I
0)×100)は2.0%であった。
【0085】
(耐久性評価)
上記「紫外線吸収効果の評価」で使用したものと同一の紫外線吸収膜付き石英ガラス基板に対し、
図9に示すように、紫外線吸収膜Cを設けた砂摺り面W側から入射角90°で2000mW/cm
2の強度で5000時間入射したが、紫外線吸収膜Cにクラックや剥離が生じること無く、紫外光照射前後で透過率も変化しなかった。
【0086】
(実施例2)
テトラエトキシシラン(示性式:Si(C
2H
5O)
4)23.6gとイソプロパノール18.9gとの混合溶液に、0.7質量%塩酸水溶液16.0gとイソプロパノール18.9gの混合溶液を徐々に加え、2時間撹拌した後、硝酸クロム(III)九水和物(示性式:Cr(NO
3)
3・9H
2O)22.6gを加えて更に2時間撹拌することにより、紺色透明で均質な吸収膜形成用コート液(酸化クロム−SiO
2系(Cr
xO
y−SiO
2系)紫外線吸収塗料)100gを調整した。
得られた吸収膜形成用コート液中の固形分は、同コート液を熱処理し、硝酸クロム(III)から全てCr
2O
3を生成し、テトラエトキシシランから全てSiO
2を生成したと仮定して、Cr
2O
320モル%、SiO
280モル%を含有するものであり、このコート液中の固形分(熱処理し全て酸化物を生成したと仮定して)は、20Cr
2O
3・80SiO
2換算で11.1質量%であるものであった。
この吸収膜形成用コート液を、スライドガラス基板(松浪硝子工業(株)製、S1127、縦76mm×横26mm×厚み1.0〜1.2mm)の両面に、ディッピング法により引き上げ速度30cm/分で塗布した。得られた薄膜は、薄紺色を呈する透明均質なものであった。
この薄膜付きスライドガラス基板を、実施例1と同様の条件、すなわち70℃で1時間乾燥した後、熱処理炉に入れ、大気雰囲気下、室温から500℃まで200℃/時で昇温し、500℃で1時間保持することによりスライドガラス基板上に酸化クロム−SiO
2系(Cr
xO
y−SiO
2系)紫外線吸収膜を形成した。得られた酸化クロム−SiO
2系(Cr
xO
y−SiO
2系)紫外線吸収膜の厚みは1μm未満であった。
上記熱処理により薄膜は薄紺色から濃い緑色に変化し、得られた紫外線吸収膜は均質で、クラックや剥離の発生は認められなかった。
【0087】
得られた紫外線吸収膜付基板および紫外線吸収膜を有さない基板の透過率曲線を
図10に示す。
図10の破線が基板のみ(紫外線吸収膜なし)の透過率曲線であり、実線がCr
xO
y−SiO
2系紫外線吸収膜付基板の透過率曲線であり、250〜420nmの紫外光領域において紫外線吸収膜を構成するクロム酸化物による吸収が生じるために、破線(基板のみ)に比べ、実線(紫外線吸収膜あり)の透過率が紫外光領域全体で高度に抑制されていることが分かる。
【0088】
上記吸収膜形成用コート液を用い、実施例1と同様にして紫外線吸収効果を評価したところ、紫外線吸収膜Cを形成した石英ガラス基板Gを用いたときに受光器R側に出射する出射光の強度(I
1)は0.19mW/cm
2であり、上記入射光の強度I
0に対する受光器R側に出射する出射光の強度I
1の割合((I
1/I
0)×100)は1.9%であった。
【0089】
また、実施例1と同様にして耐久性を評価したところ、紫外線吸収膜付き石英ガラス基板に対し、
図9に示すように、紫外線吸収膜Cを設けた砂摺り面側から入射角90°で2000mW/cm
2の強度で5000時間入射したが、紫外線吸収膜Cにクラックや剥離が生じること無く、紫外光照射前後で透過率も変化しなかった。
【0090】
(実施例3)
ガラス製の容器に、2−メトキシエタノール(示性式:CH
3OCHCH
2OH)85.1gにポリビニルピロリドンK−90 4.1gを徐々に加え、2時間撹拌し、ポリビニルピロリドンを2−メトキシエタノールに溶解させた。この溶液に、硝酸マンガン(II)六水和物(示性式:Mn(NO
3)
26H
2O)10.6gを加えて更に2時間撹拌することにより、極く淡い茶色を呈する均質な吸収膜形成用コート液(酸化マンガン系(Mn
xO
y系))紫外線吸収塗料)100gを調製した。
得られた吸収膜形成用コート液中の固形分は、同コート液を熱処理し、硝酸マンガン(II)から全てMn
2O
3を生成したと仮定して、Mn
2O
3換算で2.9質量%であるものであった。
この吸収膜形成用コート液を、スライドガラス基板(松浪硝子工業(株)製、S1127、縦76mm×横26mm×厚み1.0〜1.2mm)の両面に、ディッピング法により引き上げ速度20cm/分で塗布した。得られた薄膜は、無色透明で均質なものであった。
この薄膜付きスライドガラス基板を、実施例1と同様の条件、すなわち70℃で1時間乾燥した後、熱処理炉に入れ、大気雰囲気下、室温から500℃まで200℃/時で昇温し、500℃で1時間保持することによりスライドガラス基板上に膜厚1.2μmの酸化マンガン系(Mn
xO
y系)紫外線吸収膜を形成した。
上記熱処理により薄膜は無色透明から濃い茶色に変化し、得られた紫外線吸収膜は均質で、クラックや剥離の発生は認められなかった。
【0091】
得られた紫外線吸収膜付基板および紫外線吸収膜を有さない基板の透過率曲線を
図11に示す。
図11の破線が基板のみ(紫外線吸収膜なし)の透過率曲線であり、実線がMn
xO
y系紫外線吸収膜付基板の透過率曲線であり、250〜420nmの紫外光領域において紫外線吸収膜を構成するマンガン酸化物による吸収が生じるために、破線(基板のみ)に比べ、実線(紫外線吸収膜あり)の透過率が紫外光領域全体で高度に抑制されていることが分かる(なお、
図11において、Mn
xO
y系紫外線吸収膜付基板の透過率は、全測定波長領域において0%であったことから、
図11の横軸とMn
xO
y系紫外線吸収膜付基板の透過率曲線とが重なって表示されている)。
【0092】
上記吸収膜形成用コート液を用い、実施例1と同様にして紫外線吸収効果を評価したところ、紫外線吸収膜Cを形成した石英ガラス基板Gを用いたときに受光器R側に出射する出射光の強度(I
1)は0.15mW/cm
2であり、上記入射光の強度I
0に対する受光器R側に出射する出射光の強度I
1の割合((I
1/I
0)×100)は1.5%であった。
【0093】
また、実施例1と同様にして耐久性を評価したところ、紫外吸収膜付き石英ガラス基板に対し、
図9に示すように、紫外線吸収膜Cを設けた砂摺り面側から入射角90°で2000mW/cm
2の強度で5000時間入射したが、紫外線吸収膜Cにクラックや剥離が生じること無く、紫外光照射前後で透過率も変化しなかった。
【0094】
(実施例4)
テトラエトキシシラン(示性式:Si(C
2H
5O)
4)25.2gとイソプロパノール20.2g混合溶液に、0.7質量%塩酸水溶液17.1gとイソプロパノール20.2gの混合溶液を徐々に加え、2時間撹拌した後、硝酸マンガン(II)六水和物17.3gを加えて更に2時間撹拌することにより、無色透明で均質な吸収膜形成用コート液(酸化マンガン−SiO
2系(Mn
xO
y−SiO
2系)紫外線吸収塗料)100gを調製した。
得られた吸収膜形成用コート液中の固形分は、同コート液を熱処理し、硝酸マンガン(II)から全てCr
2O
3を生成し、テトラエトキシシランから全てSiO
2を生成したと仮定して、Mn
2O
320モル%、SiO
280モル%を含有するものであり、このコート液中の固形分(熱処理し全て酸化物を生成したと仮定して)は、20Mn
2O
3・80SiO
2換算で12.0質量%であるものであった。
この吸収膜形成用コート液を、スライドガラス基板(松浪硝子工業(株)製、S1127、縦76mm×横26mm×厚み1.0〜1.2mm)の両面に、ディッピング法により引き上げ速度30cm/分で塗布した。得られた薄膜は、無色透明で均質なものであった。
この薄膜付きスライドガラス基板を、実施例1と同様の条件、すなわち70℃で1時間乾燥した後、熱処理炉に入れ、大気雰囲気下、室温から500℃まで200℃/時で昇温し、500℃で1時間保持することによりスライドガラス基板上に酸化マンガン−SiO
2系(Mn
xO
y−SiO
2系)紫外線吸収膜を形成した。得られた酸化マンガン−SiO
2系(Mn
xO
y−SiO
2系)紫外線吸収膜の膜厚は1μm未満であった。
上記熱処理により薄膜は無色透明から茶色に変化し、得られた紫外線吸収膜は均質で、クラックや剥離の発生は認められなかった。
【0095】
得られた紫外線吸収膜付基板および紫外線吸収膜を有さない基板の透過率曲線を
図12に示す。
図12の破線が基板のみ(紫外線吸収膜なし)の透過率曲線であり、実線がMn
xO
y−SiO
2系紫外線吸収膜付基板の透過率曲線であり、250〜420nmの紫外光領域において紫外線吸収膜を構成するマンガン酸化物による吸収が生じるために、破線(基板のみ)に比べ、実線(紫外線吸収膜あり)の透過率が紫外光領域全体で高度に抑制されていることが分かる。
【0096】
上記吸収膜形成用コート液を用い、実施例1と同様にして紫外線吸収効果を評価したところ、紫外線吸収膜Cを形成した石英ガラス基板Gを用いたときに受光器R側に出射する出射光の強度(I
1)は0.21mW/cm
2であり、上記入射光の強度I
0に対する受光器R側に出射する出射光の強度I
1の割合((I
1/I
0)×100)は2.1%であった。
【0097】
また、実施例1と同様にして耐久性を評価したところ、外線吸収膜付き石英ガラス基板に対し、
図9に示すように、紫外線吸収膜Cを設けた砂摺り面側から入射角90°で2000mW/cm
2の強度で5000時間入射したが、紫外線吸収膜Cにクラックや剥離が生じること無く、紫外光照射前後で透過率も変化しなかった。
【0098】
(比較例1)
吸収膜形成用コート液に代えて市販の反射防止用塗料(キヤノン化成(株)製GT−7II)を用い、実施例1と同様にして紫外線吸収効果を評価したところ、受光器R側に出射する出射光の強度(I
1)は0.19mW/cm
2であり、上記入射光の強度I
0に対する受光器R側に出射する出射光の強度I
1の割合((I
1/I
0)×100)は1.9%であった。
【0099】
一方、実施例1と同様にして耐久性を評価したところ、紫外光の照射時間の経過とともに色が薄くなり(黒色から灰色に変化し)、照射時間1000時間で剥離を生じた。
【0100】
実施例1〜実施例4および比較例1の結果を表1にまとめて記載する。
【0101】
【表1】
【0102】
表1より、実施例1〜実施例4で得られた紫外線吸収膜は、特定の遷移金属の酸化物を含むものであることから、光エネルギーが大きな紫外光を高強度に出力し得る装置において、紫外線を吸収するために使用された場合であっても、薄膜状態で迷光の発生を高度に抑制しつつ優れた耐久性を発揮し得る吸収膜を形成可能なものであることが分かる。
これに対して、表1より、比較例1で使用した市販の反射防止用塗料から得られた塗膜は、特定の遷移金属の酸化物を含まず有機樹脂を含むことから、紫外光を照射する耐久性試験において、耐色や剥離を生じるものであることが分かる。
【0103】
(実施例5)
実施例3において、硝酸マンガン(II)六水和物(示性式:Mn(NO
3)
26H
2O)の添加量を10.6gから12.7gに変更した以外は、実施例3と同様にして、極く淡い茶色を呈する均質な吸収膜形成用コート液(酸化マンガン系(Mn
xO
y系))紫外線吸収塗料)100gを調製した。
得られた吸収膜形成用コート液中の固形分は、同コート液を熱処理し、硝酸マンガン(II)から全てMn
2O
3を生成したと仮定して、Mn
2O
3換算で3.5質量%であるものであった。
この吸収膜形成用コート液を、実施例3と同様に、スライドガラス基板(松浪硝子工業(株)製、S1127、縦76mm×横26mm×厚み1.0〜1.2mm)の両面に、ディッピング法により引き上げ速度5cm/分で塗布した。得られた薄膜は、無色透明で均質なものであった。
この薄膜付きスライドガラス基板を130℃で1時間乾燥させ、上記薄膜の状態を無色透明から薄茶色を呈する透明均質な状態に変化させた後、熱処理炉に入れ、大気雰囲気下、室温から450℃まで200℃/時で昇温し、450℃で1時間保持することにより、スライドガラス基板上に膜厚1.0μmの酸化マンガン系(Mn
xO
y系)紫外線吸収膜を形成した。
上記熱処理により薄膜は塗布直後の無色透明から濃い茶色に変化し、得られた紫外線吸収膜は均質で、クラックや剥離の発生は認められなかった。
【0104】
(実施例6)
実施例5と同様の方法で、Mn
2O
3換算で3.5質量%の硝酸マンガン(II)六水和物(示性式:Mn(NO
3)
26H
2O)を添加した極く淡い茶色を呈する均質な吸収膜形成用コート液(酸化マンガン系(Mn
xO
y系))紫外線吸収塗料)100gを調製した後、同コート液にさらに着色剤としてメチレンブルー三水塩0.50gを添加して、室温で1時間撹拌することにより、着色剤を含有する吸収膜形成用コート液を調製した。得られたコート液は、濃紺色を呈する均質なものであった。
この吸収膜形成用コート液を、実施例5と同様に、スライドガラス基板(松浪硝子工業(株)製、S1127、縦76mm×横26mm×厚み1.0〜1.2mm)の両面に、ディッピング法により引き上げ速度5cm/分で塗布した。得られた薄膜は、青色透明で均質なものであった。
上記薄膜付きスライドガラス基板を、実施例5と同様に130℃で1時間乾燥させ、上記薄膜の状態を青色透明から薄茶色を帯びた青色透明を呈する均質な状態に変化させた後、熱処理炉に入れ、大気雰囲気下、室温から450℃まで200℃/時で昇温し、450℃で1時間保持することにより、スライドガラス基板上に膜厚1.0μmの酸化マンガン系(Mn
xO
y系)紫外線吸収膜を形成した。
上記熱処理により薄膜は塗布直後の青色透明から濃い茶色に変化し、得られた紫外線吸収膜は均質で、クラックや剥離の発生は認められなかった。
上記着色剤を含有する吸収膜形成用コート液をレンズのコバに塗布したところ、青色透明な塗膜を容易に形成して、コート膜の有無を目視にて容易に確認することができた。また、コート液の付着が制限されるレンズの入射面、出射面へのコート液の僅かな付着の有無を容易に確認することもできた。
【0105】
図13は、実施例5で得られた吸収膜形成用コート液をスライドガラスに塗布し、130℃で1時間乾燥させた直後の塗布膜の透過率曲線(破線)と、実施例6で得られた着色剤を含有する吸収膜形成用コート液をスライドガラスに塗布し、130℃で1時間乾燥させた直後の塗布膜の透過率曲線(実線)を示すものである。
図13より、実施例6で得られたコート液は着色剤を有するものであることにより可視光領域における透過率が低下して視認性が向上していることが分かる。
【0106】
図14は、実施例5で得られた吸収膜形成用コート液をスライドガラスに塗布し、130℃で1時間乾燥させた後、熱処理して得られた塗布膜の透過率曲線(破線)と、実施例6で得られた着色剤を含有する吸収膜形成用コート液をスライドガラスに塗布し、130℃で1時間乾燥させた後、熱処理して得られた塗布膜の透過率曲線(実線)を示すものである。
図14に示すように、実施例5で得られた着色剤を含まない吸収膜形成用コート液および実施例6で得られた着色剤を含む吸収膜形成用コート液を、スライドガラスに塗布し、乾燥した後、熱処理することにより得られるいずれも濃い茶色の塗布膜は、同等の透過率を示すことから、吸収膜形成用コート液が着色剤を含むものであっても熱処理後に得られる塗膜の透過性に影響しないことが分かる。
【0107】
図15は、実施例5で得られた吸収膜形成用コート液を光路長10mmのアクリル樹脂製のセルに入れて測定したときの過率曲線(破線)と、実施例6で得られた着色剤を含有する吸収膜形成用コート液を光路長10mmのアクリル樹脂製のセルに入れて測定したときの透過率曲線(実線)を示すものである(
図15においては、実施例6で得られた着色剤を含有する吸収膜形成用コート液の透過率が可視光領域全体でほぼ0%を示し透過率極性が横軸にほぼ重なった状態にある)。
図15より、
図13で測定した塗布膜よりも測定対象の厚みが大きいために、実施例6においてコート液が着色剤を有することによる可視光領域における透過率の低下(視認性の向上)効果をより明確に認識することができる。
【0108】
(実施例7)
図5に示すように、光源として、縦1mm、横1mmのUV−LEDダイ(発光波長:395nm)Dを、基板B上に4個近接配置するとともに、UV−LED側(光出射側)光照射側に順番に、第一レンズL1、第二レンズL2および第三レンズL3が設けられてなる光学ユニットを形成した。
図5に示すように、上記第一レンズL1、第二レンズL2および第三レンズK3は、いずれもコバ全体に実施例3で調製した紫外線吸収塗料を塗布した後、100℃で1時間乾燥し、次いで熱処理炉に入れ、大気雰囲気下、室温から450℃まで200℃/時で昇温し、450℃で1時間保持することによりコバ上に厚さ1.5μmの酸化マンガン系紫外線吸収膜を形成したものである。
次いで、
図6に示すように、上記光学ユニット25個を5個×5個平面配置することにより、光照射装置(周辺露光用光源装置)を作製した。
上記光照射装置を用い、
図16(a)に簡略的に示すように、主表面全体に厚さ3μmのフォトレジスト膜1aがコーティングされた半導体用シリコンウエハ1の周辺部を積算光量25mJという条件下で露光し(周辺露光を行い)、次いでウエハ周辺部の不要なレジスト膜を薬液で除去した。
上記周辺露光を行う場合、
図16(a)に示すウエハ1の周縁(端部)から可能な限り幅広くレジスト膜1aを除去することが望まれる一方で、レジスト膜1aの使用可能面積は極力広い方が望ましいことから、シリコンウエハ1の外周近傍領域において、レジスト1aは、
図16(b)に簡略的に示すように、エッジ部分Eがシャープになるように(立ち上がりが急峻になるように)、可能な限り直角状に除去することが理想とされる。
これに対して上記周辺露光処理して得られたシリコンウエハ1は、
図16(c)に簡略的に示すように、フォトレジスト膜の端部がシャープになるように(立ち上がりが急峻になるように)除去されており、エッジ部分Eにおけるダレ幅d(傾斜部分が形成された部分の横幅)は31μm(膜厚の約10倍)であった。
上記光照射装置を5000時間連続使用して、半導体用シリコンウエハの周辺部のフォトレジスト膜を露光したが、得られたシリコンウエハは、いずれもフォトレジスト膜の端部がシャープになるように(立ち上がりが急峻になるように)除去されており、そのダレ幅dは30μmと、連続使用前と同等であった。
【0109】
(比較例2)
実施例7において、光学ユニットを形成する第一レンズ、第二レンズおよび第三レンズがいずれも紫外線吸収膜を有さないものであることを除けば、実施例7と同様にして光学ユニットを形成し、次いで、実施例7と同様にして当該光学ユニット25個を5個×5個平面配置することにより、光照射装置(周辺露光用光源装置)を作製した。
得られた光照射装置を用い、実施例5と同様にして、主表面全体に厚さ3μmのフォトレジスト膜がコーティングされた半導体用シリコンウエハの周辺部を積算光量25mJという条件下で露光し(周辺露光を行い)、次いでウエハ周辺部の不要なレジスト膜を薬液で除去した。
上記処理して得られたシリコンウエハは、
図16(d)に簡略的に示すように、フォトレジスト膜1のエッジ部分Eがなだらかに傾斜するダレを生じつつ除去されてなるものであり、上記ダレ幅dは、120μm(膜厚の40倍)であった。
【0110】
シリコンウエハは、その周辺部を保持してハンドリングされることから、ウエハの周辺部までレジスト膜がコーティングされていると、ウエハのハンドリング時にレジスト膜が剥がれ、パーティクルが発生して、歩留まりの低下を招いてしまうため、事前にウエハ周辺部の不要なレジスト膜を除去することが望まれる。
このため、上記シリコンウエハ周辺部のレジスト膜を除去する場合、上記パーティクルの発生を抑制する観点からはシリコンウエハの周縁(端部)から可能な限り幅広くレジスト膜を除去することが望まれる一方で、レジスト膜の使用可能面積は極力広い方が望ましいことからシリコンウエハの外周近傍領域において、レジスト膜はエッジ部分がシャープになるように(立ち上がりが急峻になるように)除去することが求められる。
しかしながら、従来より、光照射装置を用いて露光しレジスト膜を除去した場合、レンズ等の光学素子・光学要素で発生する迷光が本来の露光光に混入し、レジスト膜のエッジ部分がなだらかに傾斜するダレを生じ易い。
【0111】
実施例7で得られた光照射装置は、本発明に係る紫外線吸収膜を有する光学素子ないし光学ユニットを含むものであることから、迷光の発生を高度に抑制しつつ優れた耐久性を発揮し得るものであることが分かる。
一方、比較例2で得られた光照射装置は、本発明に係る紫外線吸収膜を有さない光学素子ないしは光学ユニットを含まないものであることから、光迷光の発生を抑制し得ず、レジスト膜のエッジ部分にダレを生じることが分かる。