特許第6987515号(P6987515)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987515
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】発泡性ポリスチレン系樹脂粒子
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/224 20060101AFI20211220BHJP
   C08J 7/04 20200101ALI20211220BHJP
   C08J 9/232 20060101ALI20211220BHJP
   C08K 5/06 20060101ALI20211220BHJP
   C08K 5/54 20060101ALI20211220BHJP
   C08L 25/04 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   C08J9/224CET
   C08J7/04 B
   C08J9/232
   C08K5/06
   C08K5/54
   C08L25/04
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-66250(P2017-66250)
(22)【出願日】2017年3月29日
(65)【公開番号】特開2018-168265(P2018-168265A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2020年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】南田 賢明
(72)【発明者】
【氏名】田村 充宏
(72)【発明者】
【氏名】大原 洋一
【審査官】 石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−203647(JP,A)
【文献】 特開2000−239571(JP,A)
【文献】 特開2005−015593(JP,A)
【文献】 特開平02−024332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 7/04−7/06、9/00−9/42
B29C 44/00−44/60、67/20
C08L 1/01−101/14
C08K 3/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非イオン界面活性剤と、メチルフェニルポリシロキサンが樹脂粒子表面に被覆され
前記非イオン界面活性剤はポリオキシアルキレンアルキルエーテルであり、
前記非イオン界面活性剤のHLB値が9.0〜15.5であることを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【請求項2】
前記非イオン界面活性剤の被覆量が、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対し、0.001重量部〜0.100重量部であることを特徴とする、請求項1に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【請求項3】
前記メチルフェニルポリシロキサンの被覆量が、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対し、0.001重量部〜0.100重量部であることを特徴とする、請求項1、または2に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【請求項4】
前記非イオン界面活性剤の疎水性構造にアルキル基を有していることを特徴とする、請求項1〜3いずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【請求項5】
前記非イオン界面活性剤のアルキル基の鎖長が炭素数8〜24であることを特徴とする、請求項1〜4いずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【請求項6】
前記メチルフェニルポリシロキサンにおいてフェニル基が含まれている割合が1mol%〜40mol%であることを特徴とする、請求項1〜いずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【請求項7】
前記メチルフェニルポリシロキサンの25℃における粘性が100mm/s〜6000mm/sであることを特徴とする、請求項1〜いずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【請求項8】
請求項1〜のいずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を、発泡させたことを特徴とする、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子。
【請求項9】
請求項に記載のポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を型内成形したことを特徴とする、ポリスチレン系樹脂発泡体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、比較的安価で、特殊な方法を用いずに蒸気等で発泡成形ができ、高い緩衝・断熱の効果が得られる為、社会的に有用な材料である。
【0003】
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、例えば、ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤(すなわち該粒子を僅かに膨潤せしめるにとどまる易揮発性の脂肪族炭化水素、例えばブタン、ペンタン等)を水性懸濁液中で含浸せしめる方法により製造される。このようにして製造された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、発泡ポリスチレン系樹脂成形体を製造するための原料として用いられる。
【0004】
発泡ポリスチレン系樹脂成形体を工業的及び経済的に製造する方法としては、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を水蒸気等により予備発泡粒子とし、該予備発泡粒子を所望の形状を有する壁面に多数の小孔が穿設された閉鎖型の金型内に充填し、金型小孔より水蒸気等の加熱媒体を噴出せしめて予備発泡粒子の軟化点以上の温度に加熱し、互いに融着せしめた後に、冷却工程を経て、金型内より取り出して所望の形状の発泡スチレン系樹脂成形体を製造する方法がある。
【0005】
また、該予備発泡粒子を得る段では、粉体状の外添剤を被覆することで予備発泡粒子同士が結合した状態(ブロッキングという)を解消している。
【0006】
一方、近年市場において外添剤である粉体が剥離することにより、予備発泡時の樹脂送粒によるフィルター、及び成形時金型のスリットが詰まることによる蒸気使用量の増加、送粒時の配管詰まりによる流動性の悪化等の問題が生じている。しかしながら、予備発泡でのブロッキングを抑制するために粉体を使用せざるを得なかった。
【0007】
特許文献1では、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に、該樹脂粒子100重量部に対し、HLB値が10以上15未満である非イオン界面活性剤が0.01〜0.05重量部で被覆される、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法が記載されている。しかしながら、メチルフェニルポリシロキサンを被覆する工程は記載されていない。
【0008】
また、特許文献2では、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に、メチルフェニルポリシロキサンを表面に被覆した発泡性スチレン系樹脂粒子が記載されている。しかしながら、銀、亜鉛、銅から選択される金属の1種または2種以上の粉末上抗菌成分を使用していることから、粉体の剥離によるフィルター詰まりや金型汚染が発生する。
【0009】
特許文献3では、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子表面にメチルフェニルシリコーンオイル(25℃での屈折率1.45以上)、及び高級脂肪酸の金属塩を被覆することで、成形サイクルを短縮し、かつ強度に優れ、光沢のある表面性を有する成形体を得るための発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、およびその製造方法が提案されている。しかしながら、この手法においては、予備発泡時の樹脂送粒によるフィルター、及び成形時金型のスリットを閉塞させる可能性のある粉体(高級脂肪酸の金属塩)を必須成分としていることから、粉体の剥離によるフィルター詰まりや金型汚染の改善には至っていない。
【0010】
特許文献4では、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対して、メチルフェニルポリシロキサン0.025重量部を被覆した工程が記載されている。しかしながら、ステアリン酸亜鉛等粉体外添剤を使用していることから、粉体の剥離によるフィルター詰まりや金型汚染の改善には至っておらず、非イオン界面活性剤を被覆する工程も記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2015−108040号公報
【特許文献2】特開平11−124462号公報
【特許文献3】特開2007−246705号公報
【特許文献4】特開2009−108237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以上のような状況に鑑み、本発明の目的は、粉体の剥離を抑制しつつ、ブロッキングを防止し、さらに良好な融着性、表面性を有した成形体を得ることに適した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記従来技術の欠点を改善することを目的とし、鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明の第1は、非イオン界面活性剤と、メチルフェニルポリシロキサンが樹脂粒子表面に被覆されたことを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【0015】
第2の発明は、前記非イオン界面活性剤の被覆量が、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対し、0.001重量部〜0.100重量部であることを特徴とする、第1の発明に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【0016】
第3の発明は、前記メチルフェニルポリシロキサンの被覆量が、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対し、0.001重量部〜0.100重量部であることを特徴とする、第1または第2の発明に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【0017】
第4の発明は、前記非イオン界面活性剤の疎水性構造にアルキル基を有していることを特徴とする、第1〜3の発明いずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【0018】
第5の発明は、前記非イオン界面活性剤のアルキル基の鎖長が炭素数8〜24であることを特徴とする、第1〜4の発明いずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【0019】
第6の発明は、前記非イオン界面活性剤がポリオキシアルキレンアルキルエーテルであることを特徴とする、第1〜5の発明いずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【0020】
第7の発明は、前記メチルフェニルポリシロキサンにおいてフェニル基が含まれている割合が1mol%〜40mol%であることを特徴とする、第1〜6の発明いずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【0021】
第8の発明は、前記メチルフェニルポリシロキサンの25℃における粘性が100mm2/s〜6000mm2/sであることを特徴とする、第1〜7の発明いずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【0022】
第9の発明は、第1〜8の発明いずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を、発泡させたことを特徴とする、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子。
【0023】
第10の発明は、第9の発明に記載のポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を型内成形したものであることを特徴とする、ポリスチレン系樹脂発泡体。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、粉体の剥離を抑制しつつ、ブロッキングを防止し、さらに良好な融着性、表面性を有した成形体を得ることに適した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、非イオン界面活性剤と、メチルフェニルポリシロキサンが樹脂粒子表面に被覆されたことを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子である。
【0026】
本発明は、非イオン界面活性剤と、メチルフェニルポリシロキサンが共に樹脂粒子表面に被覆されることで、粉体を使用することなく良好な融着性、表面性を有した成形体を得ることを特徴とする。
【0027】
本発明は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を100重量部とした場合に、非イオン界面活性剤を0.001重量部〜0.100重量部が樹脂粒子表面に被覆されていることが好ましい。さらに好ましくは、0.005重量部〜0.050重量部がより好ましい。
【0028】
非イオン界面活性剤の被覆量が0.001重量部未満の場合、成形体の融着性が悪化し、成形体表面を平滑にする効果が充分ではない傾向があり、0.100重量部を超える場合、予備発泡時のブロッキングが増加する。
【0029】
本発明の非イオン界面活性剤において、疎水性構造を有する部分としては、アルキル基を有する構造が好ましい。該非イオン界面活性剤のアルキル基の鎖長は炭素数8〜24であることが好ましい。さらに好ましくは10〜20がより好ましい。
【0030】
アルキル基の炭素数が8未満の場合、成形体の融着性が悪化する傾向があり、24を超える場合、予備発泡時のブロッキングが増加する。
【0031】
本発明の非イオン界面活性剤は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、及びメチルフェニルポリシロキサンと適度な親和性を有することから、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルであることが好ましい。
【0032】
本発明の非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどが挙げられる。これら非イオン界面活性剤は単独で用いてもよいし、2種以上を混合してもよい。さらに、ポリオキシエチレンセチルエーテルがより好ましい。また、これら非イオン界面活性剤は発泡剤含浸時等水系に添加してもよいし、脱水後に若しくは乾燥後に添加し被覆してもよく、被覆方法によらない。好ましい被覆方法は、脱水後に添付し、混合撹拌することにより被覆する方法である。
【0033】
本発明において被覆剤として用いられる非イオン界面活性剤としては、HLB〔親水性−脂肪親和性平衡(Hydrophile−Lipophile Balance)〕値が9.0〜15.5が好ましい。
【0034】
HLB値9.0未満の非イオン界面活性剤は油溶性の傾向が大きくなることから、可塑効果が高くなるため、予備発泡時のブロッキングが増加する。HLB値15.5を超える非イオン界面活性剤は親水性の傾向が大きくなることから、均一に樹脂表面を覆いにくくなるため成形体の融着性が悪化し、成形体表面を平滑にする効果が充分ではない傾向がある。
【0035】
なお、非イオン界面活性剤のHLB値は、産業図書「界面活性剤便覧」、307〜327頁に記載の方法で測定することができる。
【0036】
本発明においては、非イオン界面活性剤を水溶液または水に分散した状態で、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面を被覆することが好ましい。水分を含有しない非イオン界面活性剤を被覆することは、被覆むらが生じたり、また、成形体の表面を平滑にする効果がない為、好ましくない。
【0037】
非イオン界面活性剤を発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に被覆する方法としては、種々の方法がある。例えば、ブレンダー等を用いて、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子と、非イオン界面活性剤の水溶液または水分散液を充分に混合する方法が挙げられる。この際、被覆処理後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に対して、さらに、帯電防止剤等の予備発泡時の集塊化防止剤、撥水剤、等を含浸または被覆しても差しつかえない。
【0038】
また、他の被覆方法としては、水性懸濁液中で発泡剤を含浸させた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を、例えば遠心脱水機等で脱水した後、ブレンダー等を用いて、非イオン界面活性剤または、その水溶液または水分散液を樹脂粒子の表面に付着せしめる方法も、有利である。この場合、非イオン界面活性剤は帯電防止効果も有しているが、必要に応じて他の帯電防止剤を混合して被覆してもよい。
【0039】
非イオン界面活性剤の被覆後の乾燥処理方法としては、特に制限はないが、例えば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に非イオン界面活性剤と共に付着した水分を乾燥させ、さらに、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子内に含有される発泡剤の一部を散逸させる方法があげられる。
【0040】
本発明は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を100重量部とした場合に、メチルフェニルポリシロキサンを0.001重量部〜0.100重量部が樹脂粒子表面に被覆されていることが好ましい。さらに、良好な成形体を得られることから、メチルフェニルポリシロキサンが0.005重量部〜0.050重量部であることが好ましい。メチルフェニルポリシロキサンの被覆量が0.001重量部未満の場合、予備発泡時のブロッキングが増加する。また、0.100重量部を超える場合、成形体の融着性が悪化する。
【0041】
本発明は、メチルフェニルポリシロキサンのフェニル基が含まれている割合が1mol%〜40mol%であることが好ましい。メチルフェニルポリシロキサンのフェニル基が含まれている割合が1mol%未満の場合、ポリスチレンとの相溶性が低下し表面被覆の際均一性が低下する。また、40mol%を超える場合、ポリスチレンとの相溶性が高くなることに起因して強い可塑剤として働き成形体の表面性を悪化させる。
【0042】
本発明におけるメチルフェニルポリシロキサンの屈折率は、1.41〜1.60の範囲であることが好ましい。
【0043】
本発明におけるメチルフェニルポリシロキサンの屈折率は、フェニル基の含有量に依存する。フェニル基の含有率が増加する程、屈折率は大きくなる関係にある。メチルフェニルポリシロキサンの屈折率が1.41未満の場合、フェニル基の含有率が低くポリスチレンとの相溶性が低下し、表面被覆の際均一性が低下する。メチルフェニルポリシロキサンの屈折率が1.60を超える場合、フェニル基の含有率が高くなりポリスチレンとの相溶性が高くなることに起因して強い可塑剤として働き成形体の表面性を悪化させる。
【0044】
本発明は、メチルフェニルポリシロキサンの25℃における粘性が100mm2/s〜6000mm2/sであることが好ましい。メチルフェニルポリシロキサンの25℃における粘性が100mm2/s未満の場合、シロキサンとしての特性が十分に発揮されない。また、6000mm2/sを超える場合、分子量が大きいことに起因して粒子に十分に浸透しない。
【0045】
本発明のメチルフェニルポリシロキサンとは、一般式(1)で示される構造を有するポリシロキサンが好ましい。
【0046】
【化1】
【0047】
上記一般式(1)で示されるメチルフェニルポリシロキサンのMeはメチル基を表わし、Phはフェニル基を表わす。また、繰り返し単位のm、nは、任意の自然数(1,2,3等)である。本発明において用いる一般式(1)で示されるメチルフェニルポリシロキサンは、ジメチル部分とジフェニル部分がランダムに結合したものでも良く、規則的に配列したものでもよい。
【0048】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子には、さらに外添剤及び添付剤として、ブロッキング防止剤、融着促進剤等を、本発明の効果を阻害しない範囲で含有してもよい。
【0049】
本発明において、メチルフェニルポリシロキサンは液状であることから、粉体が剥離することがなく、成形時金型のスリットが詰まることによる蒸気使用量の増加、及び送粒時の配管詰まりによる送粒性の悪化等の問題が生じることはない。
【0050】
本発明におけるメチルフェニルポリシロキサンを発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に被覆するのにかかる時間及び、攪拌時間としては、被覆ムラなく表面に均一に被覆できる時間であれば何分でもよい。さらに、投入時間としては攪拌中に1〜150秒かけて投入するのがよい。
【0051】
本発明で用いられる混合機器としては、例えば、スーパーミキサー、ナウタミキサー、ユニバーサルミキサー、プロシェアミキサー、アペックスミキサー、ヘンシェルミキサー、レーディゲーミキサー、リボンブレンター、タンブラ−型ブレンター、ヘンシェル型ミキサー等、均一に被覆できるものであればよく、混合能力及びメチルフェニルポリシロキサンの被覆量、粘度を鑑み混合時間等を調整することにより、上記いずれのタイプの混合機であっても均一に被覆された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることができる。
【0052】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を構成するスチレン系発泡性樹脂としては、単量体成分としてスチレンを60重量部以上含む重合体がよい、具体的にはスチレン単独重合体、スチレン−エチレン系共重合体、スチレン−ブタジエン系共重合体、スチレン−アクリロニトリル系共重合体、スチレン−アクリル酸エステル系共重合体等が挙げられる。
【0053】
これらのうちでも、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を構成する基材樹脂は、スチレン系単量体およびアクリル酸エステル系単量体を共重合して得られるもがよい。
【0054】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に用いられるスチレン系原料としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン系誘導体が挙げられる。これらスチレン系単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0055】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を構成するアクリル酸エステル系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、などのアクリル酸アルキルエステルが挙げられる。これらアクリル酸エステル系単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0056】
なお、基材樹脂における単量体組成に関しては、重合法としてシード懸濁重合法を実施する場合には、シードとなる樹脂粒子中の単量体組成も単量体組成に反映させる。
【0057】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中に含有される単量体成分は、0.3重量部未満である。含有される単量体成分は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡して得られる発泡成形体から揮発する傾向があり、特に含有される単量体成分が0.3重量部以上では、医療分野あるいは直接食品に接触する包装材料分野、もしくは自動車や建築の部材向けには、好ましくない。
【0058】
含有単量体成分量は、ポリスチレン系樹脂粒子を重合する際の開始剤の使用量と重合温度の組み合わせにより、制御することができる。例えば、開始剤の使用量を多くする、重合温度を高くすることにより、含有単量体成分を下げることができる。
【0059】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子には、沸点が50℃以上の溶剤及び可塑剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で含有してもよい。
【0060】
沸点が50℃以上の溶剤及び可塑剤の具体例としては、例えば、へキサン、ヘプタン等のC6以上の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロオクタン等のC6以上の脂環族炭化水素、ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、グリセリントリステアレート、グリセリントリカプリレート、ヤシ油、パーム油、菜種油、などが挙げられる。
【0061】
本発明における発泡性ポリスチレン系樹脂粒子における発泡剤の含有量は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対して、3.0重量部〜9.0重量部が好ましい。3.5重量部〜8.5重量部がさらに好ましく、4.0重量部〜7.0重量部が特に好ましい。
【0062】
発泡剤の含有量が3.0重量部未満では、予備発泡時間が長くなると共に、成形時の融着率が低下する傾向があり、製造コストが高くなり、経済的に不利である。発泡剤の含有量が9.0重量部以上では、成形体が収縮し、成形体の外観を損なう傾向がある。
【0063】
本発明にて用いられる発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素、シクロブタン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素、メチルクロライド、ジクロルジフルオロメタン、ジクロルテトラフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。これら発泡剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。これら発泡剤のうちでも、ブタンが、発泡力が良好である点から、好ましい。
【0064】
本発明における発泡剤の使用量は、ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対して、3.0重量部〜9.0重量部が好ましく、6.0重量部〜8.0重量部がより好ましい。
【0065】
本発明におけるポリスチレン系予備発泡樹脂粒子における発泡剤の含有量は、ポリスチレン系予備発泡樹脂粒子100重量部に対して、2.0重量部〜7.0重量部が好ましく、3.0重量部〜4.3重量部がより好ましい。
【0066】
発泡剤の含有量が2.0重量部未満では、予備発泡時間が長くなると共に、成形時の融着率が低下する傾向があり、製造コストが高くなり、経済的に不利である。発泡剤の含有量が7.0重量部超では、成形体が収縮し、成形体の外観を損なう傾向がある。
【0067】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、該発泡性ポリスチレン系樹脂粒子から得られる発泡成形体の切断面の気泡の平均弦長が50μm以上200μm未満である。好ましくは80μm以上120μm未満である。
【0068】
平均弦長が50μm未満では、発泡体を構成するセルの膜厚みが薄くなり、内部融着及び表面性が低下する傾向がある。平均弦長が200μm以上では、破壊強度(例えば、JIS A9511の曲げ強度や箱状成形体底割強度など)の破断点変位が短くなり、脆い成形体となる傾向がある。
【0069】
発泡体の切断面の気泡の平均弦長は、造核剤量によって制御することができる。例えば、造核剤を多くすると平均弦長は小さくなり、造核剤を少なくすると平均弦長は大きくなる。
【0070】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子には、添加物として難燃剤、難燃助剤等を、本発明の効果を阻害しない範囲で含有してもよい。
【0071】
本発明において含有されている難燃剤および難燃助剤としては、公知慣用のものが使用できる。難燃剤の具体例としては、例えば、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモブタン、ヘキサブロモシクロヘキサン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系化合物、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールF、2,4,6−トリブロモフェノール等の臭素化フェノール類、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、2,2−ビス[4'(2",3"−ジブロモアルコキシ)−3',5'−ジブロモフェニル]−プロパン等の臭素化フェノール誘導体、臭素化スチレン・ブタジエンブロック共重合体、臭素化ランダムスチレン・ブタジエン共重合体、臭素化スチレン・ブタジエングラフと共重合体などの臭素化ブタジエン・ビニル芳香族炭化水素共重合体(例えば、Chemtura社製EMERALD3000、若しくは、特表2009−516019号公報に開示されている)等が挙げられる。これら難燃剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0072】
難燃助剤の具体例としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等の開始剤を使用してもよい。
【0073】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、これを予備発泡させ、その後、それを加熱発泡させ、発泡成形体とする。
【0074】
予備発泡方法としては、例えば、円筒形の予備発泡装置を用いて、蒸気等で加熱して発泡させる等の、通常の方法を採用することができる。
【0075】
予備発泡粒子を発泡成形させる方法としては、例えば、金型内に予備発泡粒子を充填し、蒸気等を吹き込んで加熱する方法により発泡成形体を得る、いわゆる型内発泡成形法等の通常の方法を採用することができる。
【実施例】
【0076】
以下に、実施例および比較例を挙げるが、本発明は、これらによって制限されるものではない。
【0077】
なお、測定評価法は、以下の通りに実施した。
【0078】
<粉剥離量測定>
ブロアーを使用し発泡性ポリスチレン系樹脂粒子500kgを送粒した。ブロアー直近のフィルターの送粒前後の重量を測定し、その差を剥離量X[g]とした。また、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に被覆した粉体外添剤の総量をY[g]とし、剥離率[%]を下記式により算出した。
【0079】
剥離率[%] = X[g]/Y[g]×100。
【0080】
<予備発泡>
攪拌機付き予備発泡機に発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を投入し、水蒸気で加熱することにより発泡させ、見掛け倍率5〜80倍の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。ブロッキングは予備発泡粒子払出し時破砕機を停止させ、目開き1cmの網を通しブロッキングしていない予備発泡粒子を送粒後、回収・重量測定し投入樹脂に対し回収した予備発泡粒子の割合を重量部で、以下の基準にて、評価した。
◎:ブロッキングの割合が0.10%以下。
○:ブロッキングの割合が0.10%超、0.15%以下。
△:ブロッキングの割合が0.15%超、0.20%以下。
×:ブロッキングの割合が0.20%超。
【0081】
<成形性評価>
成形機[ダイセン製、KR−57]を用いて、底面厚み30mm、側面厚み25mmで長さ550mm×幅350mm×高さ120mmサイズの箱形形状の金型内に充填し、吹き込み蒸気圧0.3〜0.8kgf/cm2の範囲内で変化させた成型条件にて型内成形を行い、箱型の発泡成形品を得た。
【0082】
得られたポリスチレン系樹脂発泡体は、室温で24時間乾燥させた後、下記の評価を実施した。尚、表1には吹き込み蒸気圧0.50kgf/cm2での放冷時間、融着性および表面性の評価結果を示す。
【0083】
(1)融着性評価
得られたポリスチレン系樹脂発泡体を破断し、破断面を観察して、粒子界面ではなく、粒子が破断している割合を求めて、以下の基準にて、融着性を判定した。
◎:粒子破断の割合が90%以上。
○:粒子破断の割合が80%以上、90%未満。
△:粒子破断の割合が70%以上、80%未満。
×:粒子破断の割合が70%未満。
【0084】
(2)表面性評価
得られたポリスチレン系樹脂発泡体の表面状態を目視観察し、以下の基準にて表面性を評価した。
◎:表面の溶融、粒間が無く、非常に美麗。
○:表面の溶融、粒間が少なく、美麗。
△:表面の溶融、粒間があり、外観やや不良。
×:表面の溶融、粒間が多く、外観不良。
【0085】
(実施例1)
<非イオン性界面活性剤被覆粒子の製造>
非イオン界面活性剤、及びメチルフェニルポリシロキサンを被覆する基材樹脂として、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子(製品名カネパールSG:株式会社カネカ、発泡剤量:3.5〜8.5重量部)を用いた。
【0086】
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対して、ポリオキシエチレンセチルエーテル[HLB値11.9、日本油脂(株)製]0.03重量部を3重量%水溶液に調整した状態で、樹脂粒子表面に均一に被覆するよう混合撹拌した。その後、気流乾燥器で水分の乾燥を行い、次いで、箱型通気乾燥器[田中化学機械製]内にて50℃で20分間加熱した後、ポリオキシエチレンセチルエーテルで被覆された発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
【0087】
<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子へのポリシロキサンの被覆>
ナウタミキサー[ホソカワミクロン製]に予め投入しておいた前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100重量部に、メチルフェニルポリシロキサン[製品名KF−50−1000、粘度1000mm2/s(25 度):信越化学工業(株)]0.030重量部を120秒間かけて投入し、15分間ブレンドすることにより発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
【0088】
<予備発泡粒子の製造>
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を、加圧式予備発泡機[大開工業製、BHP]を用いて、吹き込み蒸気圧0.5kgf/cm2の条件にて嵩倍率65倍に予備発泡を実施した。この際、吹き込み蒸気にはエアーを切り込ませて、吹き込み蒸気温度を調節した。その後、常温下で1日放置して、養生乾燥を行った。
【0089】
<型内発泡成形体の製造>
得られたポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を、成形機[ダイセン製、KR−57]を用いて、底面厚み30mm、側面厚み25mmで長さ550mm×幅350mm×高さ120mmサイズの箱形形状の金型内に充填し、吹き込み蒸気圧0.3〜0.8kgf/cm2の成型条件にて型内成形を行い、箱型の発泡成形体を得た。
【0090】
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子および発泡成形体を用いて評価を行い、その結果を表1に示す。
【0091】
(実施例2)
<非イオン性界面活性剤被覆粒子の製造>において、非イオン界面活性剤の種類をポリオキシエチレンステアリルエーテル[HLB値14.2、日本油脂(株)]に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
【0092】
(実施例3)
<非イオン性界面活性剤被覆粒子の製造>において、非イオン界面活性剤の種類をポリオキシエチレンオレイルエーテル[HLB値14.2、日本油脂(株)]に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
【0093】
(実施例4)
<非イオン性界面活性剤被覆粒子の製造>において、非イオン界面活性剤の被覆量をポリオキシエチレンセチルエーテル[HLB値11.9、日本油脂(株)]0.003重量部に変更し、<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子へのポリシロキサンの被覆>において、メチルフェニルポリシロキサンの被覆量をメチルフェニルポリシロキサン[製品名KF−50−1000:信越化学]0.003重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
【0094】
(実施例5)
<非イオン性界面活性剤被覆粒子の製造>において、非イオン界面活性剤の被覆量をポリオキシエチレンセチルエーテル[HLB値11.9、日本油脂(株)]0.003重量部に変更し、<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子へのポリシロキサンの被覆>において、メチルフェニルポリシロキサンの被覆量をメチルフェニルポリシロキサン[製品名KF−50−1000:信越化学]0.070重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
【0095】
(実施例6)
<非イオン性界面活性剤被覆粒子の製造>において、非イオン界面活性剤の被覆量をポリオキシエチレンセチルエーテル[HLB値11.9、日本油脂(株)]0.010重量部に変更し、<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子へのポリシロキサンの被覆>において、メチルフェニルポリシロキサンの被覆量をメチルフェニルポリシロキサン[製品名KF−50−1000:信越化学]0.020重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
【0096】
(実施例7)
<非イオン性界面活性剤被覆粒子の製造>において、非イオン界面活性剤の被覆量をポリオキシエチレンセチルエーテル[HLB値11.9、日本油脂(株)]0.070重量部に変更し、<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子へのポリシロキサンの被覆>において、メチルフェニルポリシロキサンの被覆量をメチルフェニルポリシロキサン[製品名KF−50−1000:信越化学]0.003重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
【0097】
(実施例8)
<非イオン性界面活性剤被覆粒子の製造>において、非イオン界面活性剤の被覆量をポリオキシエチレンセチルエーテル[HLB値11.9、日本油脂(株)]0.070重量部に変更し、<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子へのポリシロキサンの被覆>において、メチルフェニルポリシロキサンの被覆量をメチルフェニルポリシロキサン[製品名KF−50−1000:信越化学]0.040重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
【0098】
(実施例9)
<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子へのポリシロキサンの被覆>において、メチルフェニルポリシロキサンの種類をメチルフェニルポリシロキサン[製品名KF−54HV:信越化学]に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
【0099】
(実施例10)
<非イオン性界面活性剤被覆粒子の製造>において、非イオン界面活性剤の状態をポリオキシエチレンセチルエーテル[HLB値11.9、日本油脂(株)]3重量%水溶液を原液に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
【0100】
(実施例11)
<非イオン性界面活性剤被覆粒子の製造>において、非イオン界面活性剤の被覆量をポリオキシエチレンセチルエーテル[HLB値11.9、日本油脂(株)]0.150重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
【0101】
(実施例12)
<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子へのポリシロキサンの被覆>において、メチルフェニルポリシロキサンの被覆量をメチルフェニルポリシロキサン[製品名KF−50−1000:信越化学]0.150重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
【0102】
(比較例1)
<非イオン性界面活性剤被覆粒子の製造>において、非イオン界面活性剤の種類をアニオン界面活性剤ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム[パーソフトEF、日本油脂(株)]に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
【0103】
(比較例2)
<非イオン性界面活性剤被覆粒子の製造>において、非イオン界面活性剤の種類をアニオン界面活性剤ラウリル硫酸トリエタノールアミン[パーソフトSF−T、日本油脂(株)]に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
【0104】
(比較例3)
<非イオン性界面活性剤被覆粒子の製造>において、非イオン界面活性剤の種類をカチオン界面活性剤ベンザルコニウム塩化物[ニッサンカチオンM2−100、日本油脂(株)]に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
【0105】
(比較例4)
<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子へのポリシロキサンの被覆>の工程を実施しないこと以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
【0106】
(比較例5)
<非イオン性界面活性剤被覆粒子の製造>において、非イオン界面活性剤を被覆しないこと以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
【0107】
(比較例6)
<非イオン性界面活性剤被覆粒子の製造>において、非イオン界面活性剤を被覆しないこと、<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子へのポリシロキサンの被覆>において、外添剤(メチルフェニルポリシロキサン)をステアリン酸亜鉛0.200重量部、及びカスターワックス(ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド)0.050重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。(比較例6)では、ブロッキングを抑制し、かつ良好な成形体物性を得ることができる。一方、この処方においては粉体外添剤を使用していることから粉体が剥離することにより、実際の製造時には成形時金型のスリット詰まりによる蒸気使用量の増加、及び送粒時の配管詰まりによる流動性の悪化等の問題が生じるおそれがある。
【0108】
【表1】