特許第6987572号(P6987572)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987572
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】情報収集用装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/38 20180101AFI20211220BHJP
   H04W 88/04 20090101ALI20211220BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20211220BHJP
【FI】
   H04W4/38
   H04W88/04
   H04W84/18 110
【請求項の数】22
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-165382(P2017-165382)
(22)【出願日】2017年8月30日
(65)【公開番号】特開2019-47195(P2019-47195A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】391042025
【氏名又は名称】ジオパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096770
【弁理士】
【氏名又は名称】四宮 通
(72)【発明者】
【氏名】時田 義明
(72)【発明者】
【氏名】藤本 晶史
【審査官】 桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−052870(JP,A)
【文献】 特開2013−126094(JP,A)
【文献】 特開2010−183175(JP,A)
【文献】 特開2008−034957(JP,A)
【文献】 特開2012−138653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のセンサからの信号に基づく情報を無線通信を利用して収集するために用いられる情報収集用装置であって、
子機として機能する第1の動作モードと中継機として機能する第2の動作モードとを有し、
前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとを選択的に切り替える切り替え部を備え、
前記第1の動作モードにおいて、前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報を、前記無線通信の親機、又は、前記第2の動作モードと同等に動作する他の装置に送信し、
前記第2の動作モードにおいて、前記第1の動作モードと同等に動作する他の装置から受信した情報、又は、前記第2の動作モードと同等に動作する他の装置から受信した情報を、前記無線通信の親機、又は、前記第2の動作モードと同等に動作する他の装置に送信
前記第1の動作モードは、前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報の少なくとも一部、及び、前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報の少なくとも一部の送信タイミングのうちの、少なくとも一部が互いに異なる複数種類の動作モードを含み、
前記複数種類の動作モードのうちの1つの種類の動作モードを選択する選択部を備え、
前記複数種類の動作モードは、罠に動物が捕獲されたことを検知した旨を示す捕獲検知情報を送信する動作モードと、当該情報収集用装置の位置情報及び救難情報を送信する動作モードとを含む、
ことを特徴とする情報収集用装置。
【請求項2】
1つ以上のセンサからの信号に基づく情報を無線通信を利用して収集するために用いられる情報収集用装置であって、
子機として機能する第1の動作モードと中継機として機能する第2の動作モードとを有し、
前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとを選択的に切り替える切り替え部を備え、
前記第1の動作モードにおいて、前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報を、前記無線通信の親機、又は、前記第2の動作モードと同等に動作する他の装置に送信し、
前記第2の動作モードにおいて、前記第1の動作モードと同等に動作する他の装置から受信した情報、又は、前記第2の動作モードと同等に動作する他の装置から受信した情報を、前記無線通信の親機、又は、前記第2の動作モードと同等に動作する他の装置に送信し、
前記第1及び第2の動作モードにおいて、所定種類の情報を定期的に送信し、
前記所定種類の情報は、当該情報収集用装置のバッテリ残量又は当該情報収集用装置の上流側の装置からの受信電波強度を含む、
ことを特徴とする情報収集用装置。
【請求項3】
1つ以上のセンサからの信号に基づく情報を無線通信を利用して収集するために用いられる情報収集用装置であって、
子機として機能する第1の動作モードと中継機として機能する第2の動作モードとを有し、
前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとを選択的に切り替える切り替え部を備え、
前記第1の動作モードにおいて、前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報を、前記無線通信の親機、又は、前記第2の動作モードと同等に動作する他の装置に送信し、
前記第2の動作モードにおいて、前記第1の動作モードと同等に動作する他の装置から受信した情報、又は、前記第2の動作モードと同等に動作する他の装置から受信した情報を、前記無線通信の親機、又は、前記第2の動作モードと同等に動作する他の装置に送信し、
前記第1及び第2の動作モードにおいて情報を送信した相手先は、当該情報を受信したことに応答してACKを返信するようになっており、
前記第1及び第2の動作モードにおいて、前記情報を送信した後に前記情報に対する前記ACKを受け取らない場合は、所定の条件下で前記情報を同じ送信先に再送信する、
ことを特徴とする情報収集用装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の動作モードにおいて情報を送信した相手先は、当該情報を受信したことに応答してACKを返信するようになっており、
前記第1及び第2の動作モードにおいて、前記情報を送信した後に前記情報に対する前記ACKを受け取らない場合は、所定の条件下で、前記情報を送信する相手先を再決定し、前記情報を前記再決定した相手先に送信し、
前記情報を前記再決定した相手先に送信した後に前記再決定した相手先から前記ACKを受け取らない場合は、所定の条件下で前記情報を前記再決定前の相手先に再送信する、
ことを特徴とする請求項記載の情報収集用装置。
【請求項5】
同じ前記情報の当初の送信先に対する送信回数に関して、1回目の送信時から1時間経過後の時点までの1回目の送信時からの期間の24時間当たりに換算した送信回数は、1回目の送信時から1時間経過後の時点から1回目の送信時から6時間経過後の時点までの期間の24時間当たりに換算した送信回数よりも多く、かつ、1回目の送信時から1時間経過後の時点から1回目の送信時から6時間経過後の時点までの期間の24時間当たりに換算した送信回数は、1回目の送信時から6時間経過時点以降の24時間当たりに換算した送信回数よりも多くなるように、同じ前記情報の再送信が行われる、ことを特徴とする請求項又は記載の情報収集用装置。
【請求項6】
前記第2の動作モードにおいて、送受信が不能であるスリープ状態と送受信が可能である起床状態とを繰り返し、
前記第1の動作モードにおいて、前記第2の動作モードと同等に動作する他の装置へ情報を送信するときに、当該他の装置の起床状態時に同期して情報を送信する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の情報収集用装置。
【請求項7】
1つ以上のセンサからの信号に基づく情報を無線通信を利用して収集するために用いられる情報収集用装置であって、
前記無線通信の子機として機能し、
前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報を、前記無線通信の中継機に送信し、
前記中継機は、送受信が不能であるスリープ状態と送受信が可能である起床状態とを繰り返し、
前記中継機へ情報を送信するときに、前記中継機の起床状態時に同期して情報を送信し、
前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報の少なくとも一部、及び、前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報の少なくとも一部の送信タイミングのうちの、少なくとも一部が互いに異なる複数種類の動作モードを有し、
前記複数種類の動作モードのうちの1つの種類の動作モードを選択する選択部を備え、
前記複数種類の動作モードは、罠に動物が捕獲されたことを検知した旨を示す捕獲検知情報を送信する動作モードと、当該情報収集用装置の位置情報及び救難情報を送信する動作モードとを含む、
ことを特徴とする情報収集用装置。
【請求項8】
1つ以上のセンサからの信号に基づく情報を無線通信を利用して収集するために用いられる情報収集用装置であって、
前記無線通信の子機として機能し、
前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報を、前記無線通信の親機又は前記無線通信の中継機に送信し、
前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報の少なくとも一部、及び、前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報の少なくとも一部の送信タイミングのうちの、少なくとも一部が互いに異なる複数種類の動作モードを有し、
前記複数種類の動作モードのうちの1つの種類の動作モードを選択する選択部を備え、
前記複数種類の動作モードは、罠に動物が捕獲されたことを検知した旨を示す捕獲検知情報を送信する動作モードと、当該情報収集用装置の位置情報及び救難情報を送信する動作モードとを含む、
ことを特徴とする情報収集用装置。
【請求項9】
1つ以上のセンサからの信号に基づく情報を無線通信を利用して収集するために用いられる情報収集用装置であって、
前記無線通信の子機として機能し、
前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報を、前記無線通信の中継機に送信し、
前記中継機は、送受信が不能であるスリープ状態と送受信が可能である起床状態とを繰り返し、
前記中継機へ情報を送信するときに、前記中継機の起床状態時に同期して情報を送信し、
所定種類の情報を定期的に送信し、
前記所定種類の情報は、当該情報収集用装置のバッテリ残量又は当該情報収集用装置の上流側の装置からの受信電波強度を含む、
ことを特徴とする情報収集用装置。
【請求項10】
1つ以上のセンサからの信号に基づく情報を無線通信を利用して収集するために用いられる情報収集用装置であって、
前記無線通信の子機として機能し、
前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報を、前記無線通信の親機又は前記無線通信の中継機に送信し、
前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報の少なくとも一部、及び、前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報の少なくとも一部の送信タイミングのうちの、少なくとも一部が互いに異なる複数種類の動作モードを有し、
前記複数種類の動作モードのうちの1つの種類の動作モードを選択する選択部を備え、
所定種類の情報を定期的に送信し、
前記所定種類の情報は、当該情報収集用装置のバッテリ残量又は当該情報収集用装置の上流側の装置からの受信電波強度を含む、
ことを特徴とする情報収集用装置。
【請求項11】
1つ以上のセンサからの信号に基づく情報を無線通信を利用して収集するために用いられる情報収集用装置であって、
前記無線通信の子機として機能し、
前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報を、前記無線通信の中継機に送信し、
前記中継機は、送受信が不能であるスリープ状態と送受信が可能である起床状態とを繰り返し、
前記中継機へ情報を送信するときに、前記中継機の起床状態時に同期して情報を送信し、
情報を送信した相手先は、当該情報を受信したことに応答してACKを返信するようになっており、
前記情報を送信した後に前記情報に対する前記ACKを受け取らない場合は、所定の条件下で前記情報を同じ送信先に再送信する、
ことを特徴とする情報収集用装置。
【請求項12】
1つ以上のセンサからの信号に基づく情報を無線通信を利用して収集するために用いられる情報収集用装置であって、
前記無線通信の子機として機能し、
前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報を、前記無線通信の親機又は前記無線通信の中継機に送信し、
前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報の少なくとも一部、及び、前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報の少なくとも一部の送信タイミングのうちの、少なくとも一部が互いに異なる複数種類の動作モードを有し、
前記複数種類の動作モードのうちの1つの種類の動作モードを選択する選択部を備え、
情報を送信した相手先は、当該情報を受信したことに応答してACKを返信するようになっており、
前記情報を送信した後に前記情報に対する前記ACKを受け取らない場合は、所定の条件下で前記情報を同じ送信先に再送信する、
ことを特徴とする情報収集用装置。
【請求項13】
情報を送信した相手先は、当該情報を受信したことに応答してACKを返信するようになっており、
前記情報を送信した後に前記情報に対する前記ACKを受け取らない場合は、所定の条件下で、前記情報を送信する相手先を再決定し、前記情報を前記再決定した相手先に送信し、
前記情報を前記再決定した相手先に送信した後に前記再決定した相手先から前記ACKを受け取らない場合は、所定の条件下で前記情報を前記再決定前の相手先に再送信する、
ことを特徴とする請求項11又は12記載の情報収集用装置。
【請求項14】
同じ前記情報の当初の送信先に対する送信回数に関して、1回目の送信時から1時間経過後の時点までの1回目の送信時からの期間の24時間当たりに換算した送信回数は、1回目の送信時から1時間経過後の時点から1回目の送信時から6時間経過後の時点までの期間の24時間当たりに換算した送信回数よりも多く、かつ、1回目の送信時から1時間経過後の時点から1回目の送信時から6時間経過後の時点までの期間の24時間当たりに換算した送信回数は、1回目の送信時から6時間経過時点以降の24時間当たりに換算した送信回数よりも多くなるように、同じ前記情報の再送信が行われる、ことを特徴とする請求項12又は13記載の情報収集用装置。
【請求項15】
前記1つ以上のセンサのうちの少なくとも1つのセンサを備えたことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の情報収集用装置。
【請求項16】
前記1つ以上のセンサは、罠に捕獲対象の動物が捕獲されたと推認される状態を検知するセンサを含み、
前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報は、捕獲検知情報を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の情報収集用装置。
【請求項17】
前記1つ以上のセンサは、当該情報収集用装置の位置を検出する位置検出センサを含み、
前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報は、当該情報収集用装置の位置を示す位置情報を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の情報収集用装置。
【請求項18】
前記1つ以上のセンサは、救難時に行われる使用者の操作を検出するセンサを含み、
前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報は、救難情報を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の情報収集用装置。
【請求項19】
前記1つ以上のセンサは、罠に捕獲対象の動物が捕獲されたと推認される状態を検知するセンサと救難時に行われる使用者の操作を検出するセンサとを兼用する1つのセンサを含むことを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載の情報収集用装置。
【請求項20】
1つ以上のセンサからの信号に基づく情報を無線通信を利用して収集するために用いられる情報収集用装置であって、
子機として機能する第1の動作モードと中継機として機能する第2の動作モードとを有し、
前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとを選択的に切り替える切り替え部を備え、
前記第1の動作モードにおいて、前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報を、前記無線通信の親機、又は、前記第2の動作モードと同等に動作する他の装置に送信し、
前記第2の動作モードにおいて、前記第1の動作モードと同等に動作する他の装置から受信した情報、又は、前記第2の動作モードと同等に動作する他の装置から受信した情報を、前記無線通信の親機、又は、前記第2の動作モードと同等に動作する他の装置に送信し、
前記1つ以上のセンサは、罠に捕獲対象の動物が捕獲されたと推認される状態を検知するセンサと救難時に行われる使用者の操作を検出するセンサとを兼用する1つのセンサを含む、
ことを特徴とする情報収集用装置。
【請求項21】
1つ以上のセンサからの信号に基づく情報を無線通信を利用して収集するために用いられる情報収集用装置であって、
前記無線通信の子機として機能し、
前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報を、前記無線通信の中継機に送信し、
前記中継機は、送受信が不能であるスリープ状態と送受信が可能である起床状態とを繰り返し、
前記中継機へ情報を送信するときに、前記中継機の起床状態時に同期して情報を送信し、
前記1つ以上のセンサは、罠に捕獲対象の動物が捕獲されたと推認される状態を検知するセンサと救難時に行われる使用者の操作を検出するセンサとを兼用する1つのセンサを含む、
ことを特徴とする情報収集用装置。
【請求項22】
1つ以上のセンサからの信号に基づく情報を無線通信を利用して収集するために用いられる情報収集用装置であって、
前記無線通信の子機として機能し、
前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報を、前記無線通信の親機又は前記無線通信の中継機に送信し、
前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報の少なくとも一部、及び、前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報の少なくとも一部の送信タイミングのうちの、少なくとも一部が互いに異なる複数種類の動作モードを有し、
前記複数種類の動作モードのうちの1つの種類の動作モードを選択する選択部を備え、
前記1つ以上のセンサは、罠に捕獲対象の動物が捕獲されたと推認される状態を検知するセンサと救難時に行われる使用者の操作を検出するセンサとを兼用する1つのセンサを含む、
ことを特徴とする情報収集用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ以上のセンサからの信号に基づく情報を無線通信を利用して収集するために用いられる情報収集用装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、箱罠や括り罠等の罠にイノシシやシカ等の野生動物が捕獲されたことを検知し、その検知に基づいて当該罠に野生動物が捕獲された旨を電子メール等でユーザに知らせるシステムが提案されている(例えば、下記特許文献1)。
【0003】
このシステムを用いれば、罠に捕獲された野生動物を早期に回収することができるため、野生動物を長時間に渡って苦しめることがなくなるとともに、高い品質のジビエ(狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉)を得ることが可能となる。
【0004】
このシステムでは、捕獲検知センサ及び罠の位置を検出する位置センサからの信号に基づく捕獲検知情報及び位置情報を、電話回線の通信中継基地局(無線通信の親機に相当)へ無線送信する送信装置を備えたユニットが、捕獲検知情報及び位置情報を無線通信を利用して収集するために用いられる情報収集用装置を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4267268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来の情報収集用装置では、前記ユニットと前記通信中継基地局との間で電波が届かない場合には、両者の間に中継機を設ける必要がある。この中継機は、情報収集用装置と構成が異なるため、情報収集用装置とは別に製造・販売されることになる。
【0007】
この場合、罠ごとに設けられる前記ユニットの数と必要とされる中継機の数とのバランスは、地域や季節などによって大きく変動するため、使用者にとっても製造者にとっても、情報収集用装置の数と中継機の数とをそれぞれ別々に調整・管理しなければならず、その調整・管理が困難となり、その手数やコストが増大してしまう。
【0008】
また、前記中継機は、給電事情の良くない山間部等の野外に設置されることが多いため、省電力化が強く要請される。
【0009】
さらに、前記従来の情報収集用装置では、捕獲検知情報及び位置情報を収集する用途に限られてしまい、多様な使用を行うことができない。
【0010】
これらの事情は、前記従来の情報収集用装置に限らず、1つ以上のセンサからの信号に基づく情報を無線通信を利用して収集するために用いられる他の情報収集用装置についても同様である。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、無線通信の中継を可能としつつ、装置の数の調整・管理を容易にすることができる情報収集用装置を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、無線通信の中継に要する電力を低減することができる情報収集用装置を提供することを他の目的とする。
【0013】
さらに、本発明は、多様な使用を行うことができる情報収集用装置を提供することを更に他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するための手段として、以下の各態様を提示する。第1の態様による情報収集用装置は、1つ以上のセンサからの信号に基づく情報を無線通信を利用して収集するために用いられる情報収集用装置であって、子機として機能する第1の動作モードと中継機として機能する第2の動作モードとを有し、前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとを選択的に切り替える切り替え部を備え、前記第1の動作モードにおいて、前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報を、前記無線通信の親機、又は、前記第2の動作モードと同等に動作する他の装置に送信し、前記第2の動作モードにおいて、前記第1の動作モードと同等に動作する他の装置から受信した情報、又は、前記第2の動作モードと同等に動作する他の装置から受信した情報を、前記無線通信の親機、又は、前記第2の動作モードと同等に動作する他の装置に送信するものである。
【0015】
この第1の態様によれば、子機として機能する第1の動作モードと中継機として機能する第2の動作モードとを有し、前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとを選択的に切り替える切り替え部を備えているので、前記切り替え部で切り替えることによって、当該情報収集用装置を子機として用いることも中継機としても用いることができる。したがって、前記第1の態様によれば、無線通信の中継を可能としつつ、子機と中継機とを別々に構成しそれぞれの数を別々に調整・管理する場合に比べて、子機にも中継機にもなり得る当該情報収集用装置の数のみを調整・管理すればよいので、使用者にとっても製造者にとってもその調整・管理が容易となり、その手数やコストを低減することができる。
【0016】
第2の態様による情報収集用装置は、前記第1の態様において、前記第2の動作モードにおいて、送受信が不能であるスリープ状態と送受信が可能である起床状態とを繰り返し、前記第1の動作モードにおいて、前記第2の動作モードと同等に動作する他の装置へ情報を送信するときに、当該他の装置の起床状態時に同期して情報を送信するものである。
【0017】
この第2の態様によれば、前記第2の動作モードにおいて、送受信が不能であるスリープ状態と送受信が可能である起床状態とを繰り返すので、当該情報収集用装置を中継機とした場合、スリープ状態にせずに起床状態が継続される場合に比べて、消費電力を低減することができる。そして、前記第2の態様によれば、前記第1の動作モードにおいて、前記第2の動作モードと同等に動作する他の装置へ情報を送信するときに、当該他の装置の起床状態時に同期して情報を送信するので、当該情報収集用装置を子機とした場合、支障を来すことなく適切に情報を送信することができる。なお、前記第2の動作モードと同等に動作する他の装置は、例えば、子機とした前記第2の態様による他の情報収集用装置でもよいし、前記第2の動作モードと同等に動作する専用の中継機でもよい。
【0018】
第3の態様による情報収集用装置は、前記第1又は第2の態様において、前記第1の動作モードは、前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報の少なくとも一部、及び、前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報の少なくとも一部の送信タイミングのうちの、少なくとも一部が互いに異なる複数種類の動作モードを含み、前記複数種類の動作モードのうちの1つの種類の動作モードを選択する選択部を備えたものである。
【0019】
この第3の態様によれば、前記第1の動作モードが異なる複数種類の動作モードを含み、前記複数種類の動作モードのうちの1つの種類の動作モードを選択する選択部を備えているので、前記選択部で選択することで、例えば、当該情報収集用装置を互いに用途の異なる複数の装置の一つにすることができる。したがって、前記第3の態様によれば、当該装置の多様な使用が可能となったり、用途の異なる複数種類の動作モード毎に別々の装置を用意する場合に比べて、使用者にとっても製造者にとっても装置の数の調整・管理が容易になったりする。
【0020】
第4の態様による情報収集用装置は、前記第3の態様において、前記複数種類の動作モードは、罠に動物が捕獲されたことを検知した旨を示す捕獲検知情報を送信する動作モードと、当該情報収集用装置の位置情報及び救難情報を送信する動作モードとを含むものである。
【0021】
この第4の態様は、前記複数種類の動作モードの例を挙げたものである。
【0022】
第5の態様による情報収集用装置は、前記第1乃至第4のいずれかの態様において、前記第1及び第2の動作モードにおいて、所定種類の情報を定期的に送信するものである。
【0023】
この第5の態様によれば、所定種類の情報を定期的に送信するので、前記所定種類の情報を受信側で受信することができるか否かによって、当該情報収集用装置がバッテリ切れや故障等により動作不能になっていないかいるかを確認することができる。
【0024】
第6の態様による情報収集用装置は、前記第1乃至第5のいずれかの態様において、前記第1及び第2の動作モードにおいて情報を送信した相手先は、当該情報を受信したことに応答してACKを返信するようになっており、前記第1及び第2の動作モードにおいて、前記情報を送信した後に前記情報に対する前記ACKを受け取らない場合は、所定の条件下で前記情報を同じ送信先に再送信するものである。
【0025】
この第6の態様によれば、当該情報収集用装置は、ACKの返信を受けるので、ACKを受信したか否かによって前記情報を送信先に送信できたか否かを確認することができ、前記情報を送信した後に前記情報に対する前記ACKを受け取らない場合は、所定の条件下で前記情報を同じ送信先に再送信するので、情報の送信回数を極力少なくしつつ当該情報をより確実に送信先に到達させることができる。したがって、前記第6の態様によれば、消費電力を低減しつつ情報をより確実に送信先に到達させることができる。
【0026】
第7の態様による情報収集用装置は、前記第6の態様において、前記第1及び第2の動作モードにおいて情報を送信した相手先は、当該情報を受信したことに応答してACKを返信するようになっており、前記第1及び第2の動作モードにおいて、前記情報を送信した後に前記情報に対する前記ACKを受け取らない場合は、所定の条件下で、前記情報を送信する相手先を再決定し、前記情報を前記再決定した相手先に送信し、前記情報を前記再決定した相手先に送信した後に前記再決定した相手先から前記ACKを受け取らない場合は、所定の条件下で前記情報を前記再決定前の相手先に再送信するものである。
【0027】
この第7の態様によれば、前記情報を送信した後に前記情報に対する前記ACKを受け取らない場合は、所定の条件下で、前記情報を送信する相手先を再決定し、前記情報を前記再決定した相手先に送信し、前記情報を前記再決定した相手先に送信した後に前記再決定した相手先から前記ACKを受け取らない場合は、所定の条件下で前記情報を前記再決定前の相手先に再送信するので、情報をより確実に送信先に到達させることができる。
【0028】
第8の態様による情報収集用装置は、前記第6又は第7の態様において、同じ前記情報の当初の送信先に対する送信回数に関して、1回目の送信時から1時間経過後の時点までの1回目の送信時からの期間の24時間当たりに換算した送信回数は、1回目の送信時から1時間経過後の時点から1回目の送信時から6時間経過後の時点までの期間の24時間当たりに換算した送信回数よりも多く、かつ、1回目の送信時から1時間経過後の時点から1回目の送信時から6時間経過後の時点までの期間の24時間当たりに換算した送信回数は、1回目の送信時から6時間経過時点以降の24時間当たりに換算した送信回数よりも多くなるように、同じ前記情報の再送信が行われるものである。
【0029】
野外において電波が届くか否かは天候の影響を大きく受け、例えば、雨や霧やもや等により電波の減衰量が大きくなる。一方で、天候の変化には時間を要することが多い。したがって、前記第8の態様によれば、天候の影響を受けて情報が送信先に到達できない状況においていたずらに高頻度で再送信されるようなことがなくなり、いたずらに消費電力が低減するのを避けつつ、より確実に情報を送信先に到達させることができる。
【0030】
第9の態様による情報収集用装置は、1つ以上のセンサからの信号に基づく情報を無線通信を利用して収集するために用いられる情報収集用装置であって、前記無線通信の子機として機能し、前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報を、前記無線通信の中継機に送信し、前記中継機は、送受信が不能であるスリープ状態と送受信が可能である起床状態とを繰り返し、前記中継機へ情報を送信するときに、前記中継機の起床状態時に同期して情報を送信するものである。
【0031】
この第9の態様によれば、中継機は送受信が不能であるスリープ状態と送受信が可能である起床状態とを繰り返すので、当該中継機においてスリープ状態にせずに起床状態が継続される場合に比べて、消費電力を低減することができる。そして、前記第9の態様によれば、前記中継機へ情報を送信するときに、当該中継機の起床状態時に同期して情報を送信するので、支障を来すことなく適切に情報を送信することができる。
【0032】
第10の態様による情報収集用装置は、前記第9の態様において、前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報の少なくとも一部、及び、前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報の少なくとも一部の送信タイミングのうちの、少なくとも一部が互いに異なる複数種類の動作モードを有し、前記複数種類の動作モードのうちの1つの種類の動作モードを選択する選択部を備えたものである。
【0033】
この第10の態様によれば、前記複数種類の動作モードを含み、前記複数種類の動作モードのうちの1つの種類の動作モードを選択する選択部を備えているので、前記選択部で選択することで、例えば、当該情報収集用装置を互いに用途の異なる複数の装置の一つにすることができる。したがって、前記第10の態様によれば、当該装置の多様な使用が可能となったり、用途の異なる複数種類の動作モード毎に別々の装置を用意する場合に比べて、使用者にとっても製造者にとっても装置の数の調整・管理が容易になったりする。
【0034】
第11の態様による情報収集用装置は、1つ以上のセンサからの信号に基づく情報を無線通信を利用して収集するために用いられる情報収集用装置であって、前記無線通信の子機として機能し、前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報を、前記無線通信の親機又は前記無線通信の中継機に送信し、前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報の少なくとも一部、及び、前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報の少なくとも一部の送信タイミングのうちの、少なくとも一部が互いに異なる複数種類の動作モードを有し、前記複数種類の動作モードのうちの1つの種類の動作モードを選択する選択部を備えたものである。
【0035】
この第11の態様によれば、前記複数種類の動作モードを含み、前記複数種類の動作モードのうちの1つの種類の動作モードを選択する選択部を備えているので、前記選択部で選択することで、例えば、当該情報収集用装置を互いに用途の異なる複数の装置の一つにすることができる。したがって、前記第11の態様によれば、当該装置の多様な使用が可能となったり、用途の異なる複数種類の動作モード毎に別々の装置を用意する場合に比べて、使用者にとっても製造者にとっても装置の数の調整・管理が容易になったりする。
【0036】
第12の態様による情報収集用装置は、前記第10又は11の態様において、前記複数種類の動作モードは、罠に動物が捕獲されたことを検知した旨を示す捕獲検知情報を送信する動作モードと、当該情報収集用装置の位置情報及び救難情報を送信する動作モードとを含むものである。
【0037】
この第12の態様は、前記複数種類の動作モードの例を挙げたものである。
【0038】
第13の態様による情報収集用装置は、前記第9乃至第12のいずれかの態様において、所定種類の情報を定期的に送信するものである。
【0039】
この第13の態様によれば、所定種類の情報を定期的に送信するので、前記所定種類の情報を受信側で受信することができるか否かによって、当該情報収集用装置がバッテリ切れや故障等により動作不能になっていないかいるかを確認することができる。
【0040】
第14の態様による情報収集用装置は、前記第9乃至第13のいずれかの態様において、情報を送信した相手先は、当該情報を受信したことに応答してACKを返信するようになっており、前記情報を送信した後に前記情報に対する前記ACKを受け取らない場合は、所定の条件下で前記情報を同じ送信先に再送信するものである。
【0041】
この第14の態様によれば、当該情報収集用装置は、ACKの返信を受けるので、ACKを受信したか否かによって前記情報を送信先に送信できたか否かを確認することができ、前記情報を送信した後に前記情報に対する前記ACKを受け取らない場合は、所定の条件下で前記情報を同じ送信先に再送信するので、同じ情報の送信回数を極力少なくしつつ当該情報をより確実に送信先に到達させることができる。したがって、前記第6の態様によれば、消費電力を低減しつつ情報をより確実に送信先に到達させることができる。
【0042】
第15の態様による情報収集用装置は、前記第14の態様において、情報を送信した相手先は、当該情報を受信したことに応答してACKを返信するようになっており、前記情報を送信した後に前記情報に対する前記ACKを受け取らない場合は、所定の条件下で、前記情報を送信する相手先を再決定し、前記情報を前記再決定した相手先に送信し、前記情報を前記再決定した相手先に送信した後に前記再決定した相手先から前記ACKを受け取らない場合は、所定の条件下で前記情報を前記再決定前の相手先に再送信するものである。
【0043】
この第15の態様によれば、前記情報を送信した後に前記情報に対する前記ACKを受け取らない場合は、所定の条件下で、前記情報を送信する相手先を再決定し、前記情報を前記再決定した相手先に送信し、前記情報を前記再決定した相手先に送信した後に前記再決定した相手先から前記ACKを受け取らない場合は、所定の条件下で前記情報を前記再決定前の相手先に再送信するので、情報をより確実に送信先に到達させることができる。
【0044】
第16の態様による情報収集用装置は、第14又は第15の態様において、同じ前記情報の当初の送信先に対する送信回数に関して、1回目の送信時から1時間経過後の時点までの1回目の送信時からの期間の24時間当たりに換算した送信回数は、1回目の送信時から1時間経過後の時点から1回目の送信時から6時間経過後の時点までの期間の24時間当たりに換算した送信回数よりも多く、かつ、1回目の送信時から1時間経過後の時点から1回目の送信時から6時間経過後の時点までの期間の24時間当たりに換算した送信回数は、1回目の送信時から6時間経過時点以降の24時間当たりに換算した送信回数よりも多くなるように、同じ前記情報の再送信が行われるものである。
【0045】
野外において電波が届くか否かは天候の影響を大きく受け、例えば、雨や霧やもや等により電波の減衰量が大きくなる。一方で、天候の変化には時間を要することが多い。したがって、前記第16の態様によれば、天候の影響を受けて情報が送信先に到達できない状況においていたずらに高頻度で再送信されるようなことがなくなり、いたずらに消費電力が低減するのを避けつつ、より確実に情報を送信先に到達させることができる。
【0046】
第17の態様による情報収集用装置は、前記第1乃至第16のいずれかの態様において、前記1つ以上のセンサのうちの少なくとも1つのセンサを備えたものである。
【0047】
この第17の態様は、前記1つ以上のセンサのうちの少なくとも1つのセンサを当該情報収集用装置に設ける例を挙げたものである。もっとも、前記前記第1乃至第16のいずれかの態様では、前記1つ以上のセンサのうちの一部又は全部のセンサを情報収集用装置の外部に設けてもよい。
【0048】
第18の態様による情報収集用装置は、前記第1乃至第17のいずれかの態様において、前記1つ以上のセンサは、罠に捕獲対象の動物が捕獲されたと推認される状態を検知するセンサを含み、前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報は、捕獲検知情報を含むものである。
【0049】
第19の態様による情報収集用装置は、前記第1乃至第18のいずれかの態様において、前記1つ以上のセンサは、当該情報収集用装置の位置を検出する位置検出センサを含み、前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報は、当該情報収集用装置の位置を示す位置情報を含むものである。
【0050】
第20の態様による情報収集用装置は、前記第1乃至第19のいずれかの態様において、前記1つ以上のセンサは、救難時に行われる使用者の操作を検出するセンサを含み、前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報は、救難情報を含むものである。
【0051】
前記第18乃至第20の態様は、前記1つ以上のセンサの例を挙げたものである。
【0052】
第21の態様による情報収集用装置は、前記第1乃至第20のいずれかの態様において、前記1つ以上のセンサは、罠に捕獲対象の動物が捕獲されたと推認される状態を検知するセンサと救難時に行われる使用者の操作を検出するセンサとを兼用する1つのセンサを含むものである。
【0053】
この第21の態様では、2つの機能のセンサが1つのセンサで兼用されているので、小型化及びコストダウンを図ることができる。
【0054】
第22の態様による情報収集用装置は、前記第1乃至第21のいずれかの態様において、前記1つ以上のセンサは温度センサを含み、1つ以上のセンサからの信号に基づく情報は、温度情報、及び、当該温度が上限閾値を超えるかあるいは下限閾値を下回った場合の警報情報を含むものである。
【0055】
この第22の態様は、前記1つ以上のセンサの他の例を挙げたものである。また、この第22の態様によれば、1つ以上のセンサからの信号に基づく情報が前記警報情報を含んでいるので、ビニールハウスの温度管理等を行い易くなる。なお、前記上限閾値及び前記下限閾値は、前記無線通信の親機側から無線通信により当該情報収集用装置に指令して設定したり変更したりしてもよい。
【発明の効果】
【0056】
本発明によれば、無線通信の中継を可能としつつ、装置の数の調整・管理を容易にすることができる情報収集用装置を提供することができる。
【0057】
また、本発明によれば、無線通信の中継に要する電力を低減することができる情報収集用装置を提供することができる。
【0058】
さらに、本発明によれば、多様な使用を行うことができる情報収集用装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】罠に対して取り付けられた罠用子機モード時の本発明の一実施の形態による情報収集用装置を示す概略ブロック図である。
図2】見守り用子機モード時の本発明の一実施の形態による情報収集用装置を示す概略ブロック図である。
図3】中継機モード時の本発明の一実施の形態による情報収集用装置を示す概略ブロック図である。
図4図1乃至図3に示す情報収集用装置を用いたシステムの一例を模式的に示す概略構成図である。
図5図4中のサーバを示す概略ブロック図である。
図6図1乃至図3に示す情報収集用装置の所定動作モード時のリトライ及びリルートのタイミングの一例を模式的に示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下、本発明による情報収集用装置について、図面を参照して説明する。
【0061】
図1は、罠100に対して取り付けられた罠用子機モード時の本発明の一実施の形態による情報収集用装置1を示す概略ブロック図である。図2は、見守り用子機モード時の本実施の形態による情報収集用装置1を示す概略ブロック図である。図3は、中継機モード時の本実施の形態による情報収集用装置1を示す概略ブロック図である。図4は、本実施の形態による情報収集用装置1を用いたシステム200の一例を模式的に示す概略構成図である。
【0062】
図面において、罠用子機モード時の情報収集用装置1を符号1(Aa)で示し、見守り用子機モード時の情報収集用装置1を符号1(Ab)で示し、中継機モード時の情報収集用装置1を符号1(B)で示している。説明の便宜上、罠用子機モード時の情報収集用装置1を罠用子機モード時装置1(Aa)と呼び、見守り用子機モード時の情報収集用装置1を見守り用子機モード時装置1(Ab)と呼び、中継機モード時の情報収集用装置1を中継機モード時装置1(B)と呼ぶ場合がある。
【0063】
本実施の形態による情報収集用装置1は、1つ以上のセンサからの信号に基づく情報を無線通信(本実施の形態では、LPWA(Low Power, Wide Area)の無線通信)を利用して収集するために用いられる装置であり、子機として機能する第1の動作モード(本実施の形態では、罠用子機モード及び見守り用子機モード)と中継機として機能する第2の動作モード(本実施の形態では、中継機モード)とを有し、前記第1の動作モードと前記第2の動作モードとを選択的に切り替える切り替え部としての2位置(A位置とB位置)の切替用スライドスイッチ17bを備えている。切替用スライドスイッチ17bをA位置にすると前記第1の動作モードに切り替えられ、切替用スライドスイッチ17bをB位置にすると前記第1の動作モードに切り替えられるようになっている。
【0064】
そして、本実施の形態による情報収集用装置1は、前記第1の動作モード(本実施の形態では、罠用子機モード及び見守り用子機モード)において、前記1つ以上のセンサからの信号に基づく前記情報を、前記無線通信の親機(本実施の形態では、後述する図4中の親機61b)、又は、前記第2の動作モード(本実施の形態では、中継機モード)と同等に動作する他の装置(本実施の形態では、図4中の他の中継機モード時装置1(B))に送信する。
【0065】
また、本実施の形態による情報収集用装置1は、前記第2の動作モード(本実施の形態では、中継機モード)において、前記第1の動作モード(本実施の形態では、罠用子機モード及び見守り用子機モード)と同等に動作する他の装置(本実施の形態では、他の罠用子機モード時装置1(Aa)又は他の見守り用子機モード時装置1(Ab))から受信した情報、又は、前記第2の動作モード(本実施の形態では、中継機モード)と同等に動作する他の装置(本実施の形態では、図4中の他の中継機モード時装置1(B))から受信した情報を、前記無線通信の親機(本実施の形態では、図4中の親機61b)、又は、前記第2の動作モード(本実施の形態では、中継機モード)と同等に動作する他の装置(本実施の形態では、図4中の他の中継機モード時装置1(B))に送信する。
【0066】
本実施の形態では、情報収集用装置1は、LPWA(Low Power, Wide Area)の無線通信による送受信を行う通信部11と、当該情報収集用装置1の筐体の所定箇所に磁力により吸着されたマグネット31の磁気を検出する磁気センサ12と、計時機能(時計機能)を有し現在時刻情報を出力する計時部14と、自身の位置情報及び現在時刻情報を得るGPS受信機15と、表示部16と、スイッチ部17と、音声合成部18と、スピーカ19と、これら全体を制御するとともに各種の処理を行う制御部20と、乾電池等の内部電源21と、容量の比較的大きい外部電源32(例えば、多数の乾電池等を有する電池パックや、2次電池や、AC電源に接続されるACアダプタなど)を接続し得る接続ジャック22と、を備えている。中継機モード時装置1(B)では、罠用子機モード時装置1(Aa)や見守り用子機モード時装置1(Ab)に比べて通信可能時間が長くなって消費電力が大きくなるので、外部電源32から給電することが好ましい。本実施の形態では、GPS受信機15で得た現在時刻で計時部14の現在時刻を修正し、計時部14の現在時刻の精度を高めている。GPS受信機15は、例えば、3時間毎にGPS信号を受信する。
【0067】
スイッチ部17は、前述した切替用スライドスイッチ17bの他、電源用スライドスイッチ17a、選択用スライドスイッチ17c及び状況確認用押しボタンスイッチ17dを有している。スイッチ部17の各スイッチ17a,17b,17cは手動操作される。
【0068】
電源用スライドスイッチ17aは、3位置のスライドスイッチであり、第1の位置では内部電源21による電源オン状態となり、第2の位置ではいずれの電源も遮断された電源オフ状態となり、第3の位置では接続ジャックに接続された外部電源32による電源オン状態となるようになっている。
【0069】
選択用スライドスイッチ17cは、2位置(a位置及びb位置)のスライドスイッチであり、切替用スライドスイッチ17bがA位置に切り替えられて前記第1の動作モードに切り替えられている状態において、子機として機能する前記第1の動作モードが有する複数種類の動作モードである罠用子機モード及び見守り用子機モードのうちの1つの種類の動作モードを選択する選択部となっている。選択用スライドスイッチ17cがa位置にされると罠用子機モードが選択され、選択用スライドスイッチ17cがb位置にされると見守り用子機モードが選択される。罠用子機モードは、罠100に動物が捕獲されたことを検知した旨を示す捕獲検知情報を送信する動作モードである。見守り用子機動作モードは、当該情報収集用装置1の位置情報及び救難情報を送信する動作モードである。
【0070】
制御部20は、図面には示していないが、CPU、ROM、RAM等を有するマイクロコンピュータ等で構成され、ROM内に格納されたプログラムによって、図1に示すように切替用スライドスイッチ17bがA位置にされかつ選択用スライドスイッチ17cがa位置にされている場合には罠用子機モードが実現されるように、各部を制御し、図2に示すように切替用スライドスイッチ17bがA位置にされかつ選択用スライドスイッチ17cがb位置にされている場合には見守り用子機モードが実現されるように、各部を制御し、図3に示すように切替用スライドスイッチ17bがB位置にされている場合には中継機モードが実現されるように、各部を制御する。
【0071】
罠用子機モード時装置1(Aa)は、罠100に又は罠100の付近に(例えば、罠100の付近の立木に)、罠100に対して1対1に設けられる。もっとも、必ずしも1対1に限らない。例えば、複数の罠100が比較的まとまって配置される場合には、当該複数の罠に対して1つの罠用子機モード時装置1(Aa)を設けてもよい。罠用子機モード時装置1(Aa)では、図1に示すように、マグネット31と罠100の所定箇所との間がワイヤー33で連結され、罠100に捕獲対象の動物が捕獲されていない状態ではマグネット31が磁気センサ12の付近に吸着されて磁気センサ12が磁気を検知している状態を保つ一方で、罠100に捕獲対象の動物が捕獲されると、マグネット31がワイヤー33で引っ張られて、マグネット31が磁気センサ12の付近から外れて磁気センサ12が磁気を検知しなくなる。この原理により、罠用子機モード時装置1(Aa)では、磁気センサ12が、罠に捕獲対象の動物が捕獲されたと推認される状態を検知する捕獲検知センサとして用いられる。本実施の形態では、罠用子機モード時装置1(Aa)では、制御部20は、磁気センサ12が磁気を検知しない状態が所定時間(例えば、30秒)継続した場合に、捕獲検知したものとして捕獲検知情報を送信させる。
【0072】
罠100は、捕獲対象の野生動物を例えばイノシシやシカとするように構成され、例えば、公知の箱罠や括り罠を用いることができる。箱罠の例が、前記特許文献1(特許第4267268号公報)や特開2015−159747号公報に記載されている。括り罠の例が、特開2015−159747号公報や実用新案登録第3187059号公報に記載されている。もっとも、罠100はこれらに限らない。なお、罠100は、図面では簡略化して単に矩形で示している。
【0073】
捕獲検知のためのセンサは、前記磁気センサ12に限らず、例えば、箱罠及び括り罠に対する加速度センサなどの振動検出センサや、箱罠に対する入口扉(シャッタ)が閉じたことを検出するセンサや、箱罠に対する圧力センサマットなどでもよい。なお、捕獲検知のためのセンサは、必要に応じて、当該情報収集用装置1の大部分の要素を収容する筐体の外部に配置してもよい。
【0074】
見守り用子機モード時装置1(Ab)は、見守り対象者(例えば、林業関係者や、罠用子機モード時装置1(Aa)及び中継機モード時装置1(B)の設置者や、登山者や、ハイカーなど)が携帯する。見守り用子機モード時装置1(Ab)では、通常は磁気センサ12の付近に吸着させておき、救難時(SOS時)には見守り対象者がマグネット31を取り外す操作を行う。これにより、通常は磁気センサ12が磁気を検知している状態を保つ一方で、救難時に行われる操作によって磁気センサ12が磁気を検知しなくなる。この原理により、見守り用子機モード時装置1(Ab)では、磁気センサ12が、救難時に行われる使用者の操作を検出するセンサとして用いられる。本実施の形態では、見守り用子機モード時装置1(Ab)では、制御部20は、磁気センサ12が磁気を検知しない状態が所定時間(例えば、30秒)継続した場合に、救難時であるものとして救難情報(SOS情報)を送信させる。これにより、マグネット31が誤って外れてしまった場合、前記所定時間内に磁気センサ12の付近に戻せば、誤った救難情報が発せられることがない。なお、マグネット31が磁気センサ12付近から外れた場合にスピーカ19から注意音を発生させれば、マグネット31が誤って外れてしまった状況を見守り対象者が認識し易くなるので、好ましい。救難時に行われる使用者の操作を検出するセンサは、前記磁気センサに限らず、例えば、緊急時に使用者が操作する操作スイッチ等でもよい。
【0075】
このように、本実施の形態では、1つのセンサ12が、罠に捕獲対象の動物が捕獲されたと推認される状態を検知するセンサと救難時に行われる使用者の操作を検出するセンサとを兼用している。このため、本実施の形態による情報収集用装置1では、小型化及びコストダウンを図ることができる。もっとも、本発明では、両者のセンサを別々に設けてもよい。
【0076】
表示部16は、給電が開始されたことや給電されている電源のバッテリ残量を発光パターンにより表示する赤色LED16aと、当該情報収集用装置1に対して上流側(上位側、親機61b側)の装置から送信されて受信した電波の強度やGPS受信機15による衛星補足数を発光パターンにより表示する緑色LED16bとを有している。制御部20は、電源用スライドスイッチ17aにより電源が投入されたとき及び状況確認用押しボタンスイッチ17dが押されたときに、LED16a,16bに前述した表示を表示させるとともに、音声合成部18に指示して、LED16a,16bの前述した表示内容と同様の内容をスピーカ19から音声として発生させる。このような音声が発生されるので、使用者は前述した表示内容を認識し易くなる。なお、表示部16として、LED16a,16bに代えて液晶パネル等を採用してもよい。
【0077】
本実施の形態では、中継機モード時装置1(B)では、通信部11による送受信が不能であるスリープ状態と通信部11による送受信が可能である起床状態とを繰り返す。例えば、中継機モード時装置1(B)では、45秒間のスリープ状態と15秒間の起床状態とを繰り返す。中継機モード時装置1(B)のスリープ状態時及び起床状態時と、他の中継機モード時装置1(B)のスリープ状態時及び起床状態時とはそれぞれ時刻同期している。罠用子機モード時装置1(Aa)及び見守り用子機モード時装置1(Ab)並びに親機61bは、中継機モード時装置1(B)と時刻同期しており、中継機モード時装置1(B)の起床状態時に同期して情報を送信する。
【0078】
図4に示すシステム200は、罠100に対する動物の捕獲を監視する捕獲監視システム、及び、見守り対象者の各時刻ごとの位置情報と救難が発せられた否かを監視する見守りシステムの両方を含んだものとなっている。
【0079】
図4に示すシステム200は、罠用子機モード時装置1(Aa)と、見守り用子機モード時装置1(Ab)と、中継機モード時装置1(B)と、サーバ41と、ユーザ端末としての携帯端末(本実施の形態では、携帯情報端末としてのスマートフォン)51〜54と、ユーザ端末としてのパーソナルコンピュータ55と、管理用端末としてのパーソナルコンピュータ56と、を備えている。
【0080】
それらの間が、携帯端末51〜54用の基地局61a、及び、情報収集用装置1用の基地局となる親機61b、並びに、インターネット等を含むネットワーク61を介して、接続されるようになっている。携帯端末51〜54と基地局61aとの間で携帯電話事業者による通常の携帯端末用無線通信が行われ、携帯端末51〜54とサーバ41との間が、基地局61aを経由したネットワーク61を介して接続されるようになっている。本実施の形態では、情報収集用装置1のみならず親機61bもLPWA用として構成され、親機61bと罠用子機モード時装置1(Aa)、見守り用子機モード時装置1(Ab)及び中継機モード時装置1(B)との間でもLPWAによる通信が行われ、罠用子機モード時装置1(Aa)及び見守り用子機モード時装置1(Ab)とサーバ41との間が、親機61bを経由したネットワーク51を介して接続されるようになっている。LPWAでは、回線コストが低い、送受信間の距離を長距離にすることができる、子機の消費電力を著しく低減できるためバッテリの持ちが非常に良いなどの利点が得られるため、情報収集用装置1及び親機61bはLPWA(Low Power, Wide Area)用として構成することが好ましい。もっとも、本発明ではこれに限らない。親機51bの数は複数でもよいし1つでもよい。また、パーソナルコンピュータ55,56とサーバ41との間が、ネットワーク61を介して接続されるようになっている。
【0081】
図5は、図4中のサーバ41を示す概略ブロック図である。サーバ41は、コンピュータで構成され、CPU42と、ROM43と、RAM44と、ハードディスク等の記憶装置45と、ネットワーク61等と接続するための通信インターフェース46と、これらを相互に接続するバス47とを備えている。記憶装置45には、所定のプログラムが予めインストールされており、当該プログラムを読み込んで実行することによって、前記CPU42等により後に説明する機能等が実現されるようになっている。
【0082】
本実施の形態では、罠用子機モード時装置1(Aa)と親機61bとの間、罠用子機モード時装置1(Aa)と中継機モード時装置1(B)との間、中継機モード時装置1(B)と他の中継機モード時装置1(B)との間、見守り用子機モード時装置1(Ab)と親機61bとの間、及び、見守り用子機モード時装置1(Ab)と中継機モード時装置1(B)との間は、ユニキャストモードで双方向通信されるようになっている。
【0083】
罠用子機モード時装置1(Aa)では、電源用スライドスイッチ17aにより電源が投入されると、GPS受信機15によりGPS信号が受信され現在時刻が修正された後に、送信先を特定せずに親機61b及び中継機モード時装置1(B)に接続要求を送信する。当該罠用子機モード時装置1(Aa)は、この接続要求に応答して接続応答が返信されて来た親機61b又は中継機モード時装置1(B)のうち最も受信電波強度の高い装置を、自身の送信の相手先として決定する。設置者は、表示部16で受信電波強度を確認することで、送信の相手先が適切に決定できたか否かを知ることができ、送信の相手先が適切に決定できない場合は、中継機モード時装置1(B)を適宜増設する。
【0084】
同様に、中継機モード時装置1(B)では、電源用スライドスイッチ17aにより電源が投入されると、GPS受信機15によりGPS信号が受信され現在時刻が修正された後に、送信先を特定せずに親機61b及び他の中継機モード時装置1(B)に接続要求を送信する。当該中継機モード時装置1(B)は、この接続要求に応答して接続応答が返信されて来た親機61b又は中継機モード時装置1(B)のうち最も受信電波強度の高い装置を、自身の送信の相手先として決定する。設置者は、表示部16で受信電波強度を確認することで、送信の相手先が適切に決定できたか否かを知ることができ、送信の相手先が適切に決定できない場合は、中継機モード時装置1(B)を適宜増設する。
【0085】
このような送信の相手先の決定を、上流側(親機61b側)から行うことで、例えば図4に示すように各装置の送信の相手先を決定される。このように決定された送信の相手先は、後述するリルートが行われるまで変更されない。
【0086】
罠用子機モード時装置1(Aa)では、電源投入に応じて1回だけ、当該情報収集用装置1の識別ID及び罠用子機モード時である旨の情報と関連づけてGPS受信機15が受信した位置情報を、サーバ41宛てに送信する。
【0087】
また、罠用子機モード時装置1(Aa)では、当該情報収集用装置1の識別ID及び罠用子機モード時である旨の情報と関連づけて所定種類の情報(例えば、バッテリ残量及び上流側の装置からの受信電波強度)を、定期的(例えば、24時間ごと)にサーバ41宛てに送信する。サーバ41は、この情報を受けることで、当該情報収集用装置1が生存している(バッテリ切れや故障等により動作不能になっていない)ことを確認することができる。なお、必要に応じて、前記所定種類の情報には、GPS受信機15が受信した位置情報を含めてもよい。
【0088】
さらに、罠用子機モード時装置1(Aa)では、制御部20が磁気センサ12の信号に基づいて捕獲検知したものと判定したときに、当該情報収集用装置1の識別ID及び罠用子機モード時である旨の情報と関連づけて、対応する罠100に動物が捕獲されたことを検知した旨を示す捕獲検知情報と捕獲時刻(捕獲が検知された時刻)を、サーバ41宛てに送信する。
【0089】
罠用子機モード時装置1(Aa)では、このような情報の送信時とそれに応答した直近の上位の装置から送信されて来たACKの受信時以外は、基本的に、通信部11による送受信が不能であるスリープ状態となる。
【0090】
本実施の形態では、中継機モード時装置1(B)及び親機61bは、直近の下位の装置から送信されてきた情報を受信した場合には、これに応答して当該直近の下位の装置にACKを返信する。
【0091】
本実施の形態では、罠用子機モード時装置1(Aa)は、情報を送信した後に前記情報に対する前記ACKを受け取らない場合は、所定の条件下で前記情報を同じ送信先に再送信するリトライを行う。前記ACKを受け取った場合には、再送信されない。
【0092】
また、罠用子機モード時装置1(Aa)は、情報を送信した後に前記情報に対する前記ACKを受け取らない場合は、所定の条件下で、前記情報を送信する相手先を再決定し、前記情報を前記再決定した相手先に送信するリルートを行い、前記情報を前記再決定した相手先に送信した後に前記再決定した相手先から前記ACKを受け取らない場合は、所定の条件下で前記情報を前記再決定前の相手先に再送信する。前記情報を送信する相手先の再決定は、電源投入時の送信相手先決定と同様に行う。罠用子機モード時装置1(Aa)は、リルート後にACKを受け取った場合には、それ以降の当該罠用子機モード時装置1(Aa)の送信の相手先は、再決定後の相手先とする。
【0093】
本実施の形態では、罠用子機モード時装置1(Aa)では、同じ前記情報の当初の送信先に対する送信回数に関して、1回目の送信時から1時間経過後の時点までの1回目の送信時からの期間の24時間当たりに換算した送信回数は、1回目の送信時から1時間経過後の時点から1回目の送信時から6時間経過後の時点までの期間の24時間当たりに換算した送信回数よりも多く、かつ、1回目の送信時から1時間経過後の時点から1回目の送信時から6時間経過後の時点までの期間の24時間当たりに換算した送信回数は、1回目の送信時から6時間経過時点以降の24時間当たりに換算した送信回数よりも多くなるように、同じ前記情報の再送信が行われる。
【0094】
具体的には、本実施の形態では、罠用子機モード時装置1(Aa)は、リトライ及びリルートを図6に示すように行う。図6は、罠用子機モード時装置1(Aa)のリトライ及びリルートのタイミングの一例を模式的に示すタイミングチャートである。
【0095】
図6の左側の時間軸の0時は、罠用子機モード時装置1(Aa)がある情報を最初に(1回目)に送信した時点を示している。中に1回目を記載した白長丸は、当該情報を1回目に現在決定されている送信先に送信することを意味している。中にn回目(nは2以上の整数)を記載した白長丸は、基本的にその位置の時点で、当該情報を1回目と同じ送信先(当初の送信先)に○回目に送信するリトライを行うことを意味している。中に「リルート」を記載した黒長丸は、基本的にその位置の時点で、送信先を再決定して当該情報を前記再決定した送信先に送信するリルートを行うことを意味している。図6は、1回目の送信や2回目以降のリトライやいずれのリルートに対してもACKが返信されて来ない状況を示している。情報送信に応答して所定期間内に受け取った場合には、それ以降のリトライやリルートは行われない。
【0096】
図6に示す例では、当該情報の1回目の送信に応答して所定時間内にACKを受け取らない場合は、直ちに当該情報の当初の送信先への2回目の送信を行う。当該情報の2回目の送信に応答して所定時間内にACKを受け取らない場合は、直ちに当該情報の当初の送信先への3回目の送信を行う。このように、即時のリトライを2回行うので、混線などで一時的に送信できない場合には、送信可能となるまでの時間が短いことが考えられることから、早期に当該情報の送信を完了することができる可能性が高まる。
【0097】
図6に示す例では、4回目から9回目までの送信は、リトライ2回含め3回目までの送信で情報が到達しなかった場合に行われるので、天候悪化などの環境が悪くなって電波が届かない状況が考えられるので、4回目から9回目までの送信によって1時間置きにリトライを6回行っている。
【0098】
図6に示す例では、10回目から12回目までの当初の送信先への送信は、天候条件などがなかなか回復しないことが考えられるので、更に時間を空けてバッテリの消費を抑えつつ再送の必要があることから、6時間置きにリトライを3回行っている。10回目の送信に応答して所定時間内にACKを受け取らない場合は、直ちにリルートを行う。このリルートに応答して所定時間内にACKを受け取らない場合は、11回目の当初の送信先への送信を行う。11回目の送信に応答して所定時間内にACKを受け取らない場合は、直ちにリルートを行う。このリルートに応答して所定時間内にACKを受け取らない場合は、12回目の当初の送信先への送信を行う。12回目の送信に応答して所定時間内にACKを受け取らない場合は、直ちにリルートを行う。このリルートに応答して所定時間内にACKを受け取らない場合は、13回目の当初の送信先への送信を行う。
【0099】
図6に示す例では、13回目以降の当初の送信先への送信は、24時間置きに行う。13回目以降の当初の送信先への送信に応答して所定時間にACKを受け取らない場合は、直ちにリルートを行う。これにより、バッテリの消費をより抑えつつ天候変化の影響をより低減することができる
【0100】
なお、本発明では、リトライやリルートのタイミングは前述した例に限られるものではなく、また、リトライ及びリルートの一方又は両方は必ずしも行わなくてもよい。
【0101】
本実施の形態では、サーバ41は、罠用子機モード時装置1(Aa)から送信された捕獲検知情報を受け取ると、その情報を、当該罠用子機モード時装置1(Aa)に予め関連づけられたユーザー端末にメール等で通知する。これにより、罠100の見回りの労力が軽減され、罠100に捕獲された野生動物を早期に回収することが可能となる。
【0102】
本実施の形態では、中継機モード時装置1(B)も、罠用子機モード時装置1(Aa)と同様に、リトライ及びリルートを行う。
【0103】
また、中継機モード時装置1(B)では、当該情報収集用装置1の識別ID及び中継機モード時である旨の情報と関連づけて所定種類の情報(例えば、バッテリ残量及び上流側の装置からの受信電波強度)を、定期的(例えば、24時間ごと)にサーバ41宛てに送信する。サーバ41は、この情報を受けることで、当該情報収集用装置1が生存している(バッテリ切れや故障等により動作不能になっていない)ことを確認することができる。なお、必要に応じて、前記所定種類の情報には、GPS受信機15が受信した位置情報を含めてもよい。
【0104】
本実施の形態では、見守り用子機モード時装置1(Ab)は、比較的短い時間間隔で(例えば、10分毎に)、GPS受信機15からその時点での位置情報を取得してその位置情報を得た時刻情報を、当該情報収集用装置1の識別ID及び見守り用子機動作モード時である旨の情報と関連づけて、サーバ41宛てに送信する。
【0105】
また、見守り用子機モード時装置1(Ab)では、制御部20が磁気センサ12の信号に基づいて救難時であると判定したときに、当該情報収集用装置1の識別ID及び見守り用子機動作モード時である旨の情報と関連づけて、当該見守り用子機モード時装置1(Ab)を携帯している見守り対象者から救難情報(SOS情報)が発せられた旨の情報とその時刻情報を、サーバ41宛てに送信する。
【0106】
見守り用子機モード時装置1(Ab)においても、必要に応じて、適宜リトライ及びリルートを行ってもよい。
【0107】
本実施の形態では、サーバ41は、見守り用子機モード時装置1(Ab)から送信された位置情報及びその時刻情報、並びに、救難情報及びその時刻情報を、予め登録されているユーザ(見守り者)のパーソナルコンピュータ55へ配信する。したがって、見守り者は、見守り対象者の移動状況を把握することで見守り対象者を見守ることができ、救難時にも早急に対処することができる。
【0108】
本実施の形態による情報収集用装置1は、切替用スライドスイッチ17bで切り替えることで、子機として用いることができる罠用子機モード時装置1(Aa)及び見守り用子機モード時装置1(Ab)にすることも、中継機として用いることができる中継機モード時装置1(B)にすることもできる。したがって、本実施の形態によれば、無線通信の中継を可能としつつ、子機と中継機とを別々に構成しそれぞれの数を別々に調整・管理する場合に比べて、子機にも中継機にもなり得る情報収集用装置1の数のみを調整・管理すればよいので、使用者にとっても製造者にとってもその調整・管理が容易となり、その手数やコストを低減することができる。
【0109】
本実施の形態では、中継機モード時装置1(B)では、送受信が不能であるスリープ状態と送受信が可能である起床状態とを繰り返すので、スリープ状態にせずに起床状態が継続される場合に比べて、消費電力を低減することができる。そして、本実施の形態では、罠用子機モード時装置1(Aa)及び見守り用子機モード時装置1(Ab)は、中継機モード時装置1(B)の起床状態時に同期して情報を送信するので、支障を来すことなく適切に情報を送信することができる。
【0110】
また、本実施の形態による情報収集用装置1は、選択用スライドスイッチ17cで選択することで、罠用子機モード時装置1(Aa)にすることも、見守り用子機モード時装置1(Ab)にすることもできる。したがって、本実施の形態による情報収集用装置1の多様な使用が可能となったり、罠用子機及び見守り用子機をそれぞれ別に用意する場合に比べて、使用者にとっても製造者にとっても装置の数の調整・管理が容易になったりする。
【0111】
本実施の形態によれば、罠用子機モード時装置1(Aa)及び中継機モード時装置1(B)は、ACKの返信を受けるので、ACKを受信したか否かによって情報を送信先に送信できたか否かを確認することができ、前記情報を送信した後に前記情報に対する前記ACKを受け取らない場合は、所定の条件下で前記情報を同じ送信先に再送信するので、同じ情報の送信回数を極力少なくしつつ当該情報をより確実に送信先に到達させることができる。したがって、本実施の形態によれば、消費電力を低減しつつ情報をより確実に送信先に到達させることができる。
【0112】
また、本実施の形態によれば、罠用子機モード時装置1(Aa)及び中継機モード時装置1(B)は、情報を送信した後に前記情報に対する前記ACKを受け取らない場合は、所定の条件下で、前記情報を送信する相手先を再決定し、前記情報を前記再決定した相手先に送信し、前記情報を前記再決定した相手先に送信した後に前記再決定した相手先から前記ACKを受け取らない場合は、所定の条件下で前記情報を前記再決定前の相手先に再送信するので、情報をより確実に送信先に到達させることができる。
【0113】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0114】
例えば、本発明では、図4において、罠用子機モード時装置1(Aa)を、これと同等の機能をもつ罠用子機に置き換え、中継機モード時装置1(B)を、これと同等の機能をもつ中継機に置き換えてもよい。
【0115】
また、本発明では、前記罠用子機モード、前記見守り用子機動作モード及び前記中継機モードのうちのいずれか2つのモードのみを持つようにしてもよい。
【0116】
本発明による情報収集用装置は、1つ以上のセンサからの信号に基づく情報を無線通信を利用して収集するために用いられるものであるが、前記1つ以上のセンサは温度センサを含み、1つ以上のセンサからの信号に基づく情報は、温度情報、及び、当該温度が上限閾値を超えるかあるいは下限閾値を下回った場合の警報情報を含んでもよい。また、本発明による情報収集用装置は、前記1つ以上のセンサは湿度センサを含み、1つ以上のセンサからの信号に基づく情報は、湿度情報、及び、当該湿度が上限閾値を超えるかあるいは下限閾値を下回った場合の警報情報を含んでもよい。
【符号の説明】
【0117】
1 情報収集用装置
1(Aa) 罠用子機モード時の情報収集用装置(罠用子機モード時装置)
1(Ab) 見守り用子機モード時の情報収集用装置(見守り用子機モード時装置)
1(B)中継機モード時の情報収集用装置(中継機モード時装置)
11 通信部
12 磁気センサ
17b 切替用スライドスイッチ
20 制御部
100 罠
図1
図2
図3
図4
図5
図6