特許第6987635号(P6987635)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987635
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】空調装置及びバルブ
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0358 20190101AFI20211220BHJP
   B01D 53/26 20060101ALI20211220BHJP
   F16K 11/08 20060101ALI20211220BHJP
   F24F 3/14 20060101ALI20211220BHJP
   F24F 11/70 20180101ALI20211220BHJP
   F24F 13/10 20060101ALI20211220BHJP
   F28D 20/02 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   F24F1/0358
   B01D53/26 220
   F16K11/08 Z
   F24F3/14
   F24F11/70
   F24F13/10 B
   F28D20/02 D
【請求項の数】17
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2017-248815(P2017-248815)
(22)【出願日】2017年12月26日
(65)【公開番号】特開2019-113283(P2019-113283A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2020年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】中村 拓樹
【審査官】 佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−161465(JP,A)
【文献】 特開平04−158133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0358
F24F 13/10
F16K 11/08
F24F 11/70
F24F 3/14
F28D 20/02
B01D 53/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略断面円形となる部材に対して等角度間隔で形成された4つのポートを有すると共に、隣接する第1ポートと第2ポートとが連通した第1流路を形成し、隣接する第3ポートと第4ポートとが連通した第2流路を形成し、前記第1及び第2流路のそれぞれにデシカントエレメントを有したバルブと、
前記バルブを断面中心位置を回転中心として回転させる制御手段と、
を備えることを特徴とする空調装置。
【請求項2】
互いに空間を有して配置される2枚の板材を有し、前記2枚の板材のうち室内側板材を冷却すると共に室外側板材を加熱し、又は、前記室外側板材を加熱する空調板材と、
前記空調板材の前記室内側板材に隣接配置されて室内流路を形成する室内流路形成板材と、
前記空調板材の前記室外側板材に隣接配置されて室外流路を形成する室外流路形成板材と、を備え、
前記バルブは、前記空調板材の一端側となる上部側に設けられる上部側バルブである
ことを特徴とする請求項1に記載の空調装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記上部側バルブを第1所定時間間隔で回転させて、前記上部側バルブについて、前記第1流路が室内側と前記室内流路とを接続し、前記第2流路が前記室外流路と室外側とを接続した第1状態と、前記第1流路が前記室外流路と室外側とを接続し、前記第2流路が室内側と前記室内流路とを接続した第2状態とを前記第1所定時間毎に切り替える
ことを特徴とする請求項2に記載の空調装置。
【請求項4】
前記バルブは、複数設けられ、前記上部側バルブに加えて、前記空調板材の他端側となる下部側に設けられる下部側バルブを有する
ことを特徴とする請求項2に記載の空調装置。
【請求項5】
前記制御手段は、第1運転モードを実行可能であり、前記第1運転モードにおいて、
前記上部側バルブを第1所定時間間隔で回転させて、前記上部側バルブについて、前記第1流路が室内側と前記室内流路とを接続し、前記第2流路が前記室外流路と室外側とを接続した第1状態と、前記第1流路が前記室外流路と室外側とを接続し、前記第2流路が室内側と前記室内流路とを接続した第2状態とを前記第1所定時間毎に切り替えると共に、
前記下部側バルブを第2所定時間間隔で回転させて、前記下部側バルブについて前記第1状態と前記第2状態とを前記第2所定時間毎に切り替える
ことを特徴とする請求項4に記載の空調装置。
【請求項6】
前記上部側バルブを介することなく室外側と前記室外流路とを連通させる流路を開放する開放状態と、当該流路を閉塞する閉塞状態とで切替可能な上部側室外弁と、
前記下部側バルブを介することなく室外側と前記室外流路とを連通させる流路を開放する開放状態と、当該流路を閉塞する閉塞状態とで切替可能な下部側室外弁と、を備え、
前記制御手段は、前記第1運転モードを実行する場合、前記上部側室外弁及び前記下部側室外弁の双方を開放状態とする節減モードを実行可能である
ことを特徴とする請求項5に記載の空調装置。
【請求項7】
前記制御手段は、第2運転モードを実行可能であり、前記第2運転モードにおいて、
前記上部側バルブを第3所定時間間隔で回転させて、前記上部側バルブについて、前記第1流路が室内側と前記室内流路とを接続し、前記第2流路が前記室外流路と室外側とを接続した第1状態と、前記第1流路が前記室外流路と室外側とを接続し、前記第2流路が室内側と前記室内流路とを接続した第2状態とを前記第3所定時間毎に切り替えると共に、
前記下部側バルブを第4所定時間間隔で回転させて、前記下部側バルブについて前記第1流路が室内側と室外側とを接続し、前記第2流路が前記室外流路と前記室内流路とを接続した第3状態と、前記第1流路が前記室外流路と前記室内流路とを接続し、前記第2流路が室内側と室外側とを接続した第4状態とを、前記第4所定時間毎に切り替える
ことを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項8】
前記制御手段は、第3運転モードを実行可能であり、前記第3運転モードにおいて、
前記上部側バルブを第5所定時間間隔で回転させて、前記上部側バルブについて、前記第1流路が室内側と室外側とを接続し、前記第2流路が前記室外流路と前記室内流路とを接続した第3状態と、前記第1流路が前記室外流路と前記室内流路とを接続し、前記第2流路が室内側と室外側とを接続した第4状態とを前記第5所定時間毎に切り替えると共に、
前記下部側バルブについて前記第1流路が室内側と前記室内流路とを接続し、前記第2流路が前記室外流路と室外側とを接続した第1状態と、前記第1流路が前記室外流路と室外側とを接続し、前記第2流路が室内側と前記室内流路とを接続した第2状態との一方で維持する
ことを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項9】
前記制御手段は、第4運転モードを実行可能であり、前記第4運転モードにおいて、
前記上部側バルブについて、前記第1流路が室内側と前記室内流路とを接続し、前記第2流路が前記室外流路と室外側とを接続した第1状態と、前記第1流路が前記室外流路と室外側とを接続し、前記第2流路が室内側と前記室内流路とを接続した第2状態との一方で維持し、
前記下部側バルブを第6所定時間間隔で回転させて、前記下部側バルブについて前記第1流路が室内側と室外側とを接続し、前記第2流路が前記室外流路と前記室内流路とを接続した第3状態と、前記第1流路が前記室外流路と前記室内流路とを接続し、前記第2流路が室内側と室外側とを接続した第4状態とを前記第6所定時間毎に切り替える
ことを特徴とする請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項10】
前記上部側バルブのいずれか1つのポートに室内空気を送り込む上部側ファンと、
前記下部側バルブのいずれか1つのポートに外気を送り込む下部側ファンと、
前記室内流路からの空気を前記上部側バルブを介さず前記上部側ファンに送り込むため流路を開放する開放状態と、当該流路を閉塞する閉塞状態とで切替可能な上部側室内弁と、を備え、
前記下部側バルブの室内側は特定温度範囲に融点及び凝固点を有する潜熱蓄熱材が設けられた床下空間に接続され、
前記制御手段は、第5運転モードを実行可能であり、前記第5運転モードにおいて、
前記床下空間に外気を導入する場合、前記下部側ファンを駆動させると共に前記下部側ファンと前記床下空間とを前記下部側バルブの前記第1流路又は前記第2流路で接続し、
前記床下空間から排気する場合、前記上部側ファンを駆動させ且つ前記上部側室内弁を前記開放状態とすると共に、前記室内流路と前記床下空間とを前記下部側バルブの前記第1流路又は前記第2流路で接続し、前記上部側ファンと前記室外側とを前記上部側バルブの前記第1流路又は前記第2流路で接続する
ことを特徴とする請求項5から請求項9のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項11】
前記上部側バルブのいずれか1つのポートに室内空気を送り込む上部側ファンと、
前記下部側バルブのいずれか1つのポートに外気を送り込む下部側ファンと、を備え、
前記下部側バルブの室内側は特定温度範囲に融点及び凝固点を有する潜熱蓄熱材が設けられた床下空間に接続され、
前記上部側バルブの室内側は前記床下空間と連通する前記床下空間上の床上空間に接続され、
前記制御手段は、第6運転モードを実行可能であり、前記第6運転モードにおいて、
前記下部側ファンを駆動させると共に、前記下部側ファンと前記床下空間とを前記下部側バルブの前記第1流路又は前記第2流路で接続し、
前記上部側ファンを駆動させると共に、前記上部側ファンと前記室外側とを前記上部側バルブの前記第1流路又は前記第2流路で接続する
ことを特徴とする請求項5から請求項10のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項12】
前記上部側バルブのいずれか1つのポートに室内空気を送り込む上部側ファンと、
前記下部側バルブのいずれか1つのポートに外気を送り込む下部側ファンと、を備え、
前記下部側バルブは、前記第1流路と前記第2流路との間に直線状に形成された第3流路を有し、
前記制御手段は、第7運転モードを実行可能であり、前記第7運転モードにおいて、
室内に外気を導入する場合、前記下部側ファンを駆動させ且つ前記下部側ファンと前記室内流路とを前記下部側バルブの前記第3流路で接続すると共に、前記上部側ファンと前記室内流路とを前記上部側バルブの前記第1流路又は前記第2流路で接続し、
室内から排気する場合、前記上部側ファンを駆動させると共に、前記上部側ファンと前記室外側とを前記上部側バルブの前記第1流路又は前記第2流路で接続する
ことを特徴とする請求項5から請求項11のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項13】
前記室内流路からの空気を前記上部側バルブを介さず室内側に送り込むため流路を開放する開放状態と、当該流路を閉塞する閉塞状態とで切替可能な上部側室内弁と、を備え、
前記制御手段は、前記第7運転モードにおいて、室内に外気を導入する場合、前記上部側室内弁を開放状態とする
ことを特徴とする請求項5から請求項11のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項14】
前記上部側バルブのいずれか1つのポートに室内空気を送り込む上部側ファンを備え、
前記下部側バルブの室内側は特定温度範囲に融点及び凝固点を有する潜熱蓄熱材が設けられた床下空間に接続され、
前記上部側バルブの室内側は前記床下空間と連通する前記床下空間上の床上空間に接続され、
前記制御手段は、第8運転モードを実行可能であり、前記第8運転モードにおいて、前記上部側ファンを駆動させると共に、前記上部側ファンと前記室内流路とを前記上部側バルブの前記第1流路又は前記第2流路で接続し、前記室内流路と前記床下空間とを前記下部側バルブの前記第1流路又は前記第2流路で接続する
ことを特徴とする請求項5から請求項11のいずれか1項に記載の空調装置。
【請求項15】
互いに空間を有して配置される2枚の板材を有し、前記2枚の板材のうち室内側板材を加熱する空調板材と、
前記空調板材の前記室内側板材に隣接配置されて加熱流路を形成する加熱流路形成板材と、
少なくとも上下方向に延びた第1空気流路と、
一端が前記第1空気流路に接続されると共に、室外側が前記第1空気流路に隣接すると共に室内側が室内に隣接する少なくとも上下方向に延びた第2空気流路と、
前記第2空気流路の他端を室外側と室内側とのいずれか一方に接続するように切り替える切替弁と、
前記第2空気流路の室外側と室内側との双方の内面に液体を滴下する滴下手段と、を備え、
前記バルブは、前記第1流路が前記加熱流路と室外側とを接続し、前記第2流路が室外側と前記第1空気流路とを接続した第5状態と、前記第1流路が室外側と前記第1空気流路とを接続し、前記第2流路が前記加熱流路と室外側とを接続した第6状態と、前記第1流路又は前記第2流路が前記加熱流路と前記第1空気流路とを接続した第7状態とで回転可能であり、
前記制御手段は、前記切替弁を制御して第2空気流路と室外側とを接続し、前記バルブを所定時間間隔で回転させて、前記バルブを前記所定時間毎に前記第5状態と前記第6状態とで切り替えるモードと、前記切替弁を制御して第2空気流路と室内側とを接続し、前記バルブを前記第7状態で維持するモードとで制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の空調装置。
【請求項16】
略断面円形となる部材に対して等角度間隔で形成された4つのポートを有すると共に、隣接する第1ポートと第2ポートとが連通した第1流路を形成し、隣接する第3ポートと第4ポートとが連通した第2流路を形成し、前記第1及び第2流路のそれぞれにデシカントエレメントを有した
ことを特徴とするバルブ。
【請求項17】
前記第1流路と前記第2流路との間に直線状に形成された第3流路を有する
ことを特徴とする請求項16に記載のバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置及びバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
断面円形となる部材に対して等角度間隔で形成された4つのポートを有すると共に、隣接する第1ポートと第2ポートとが連通した第1流路を形成し、隣接する第3ポートと第4ポートとが連通した第2流路を形成した4ポート弁が提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。この4ポート弁によれば、回転角度を調整することで、各ポートの接続先を変更して流路を変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−125556号公報
【特許文献2】特開2016−191403号公報
【特許文献3】特開2001−50559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1〜3に記載の4ポート弁は、流路の切り替えを行うのみであり、空調装置に適用したとしても、装置の小型化に寄与できる程度は決して高くないものであった。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、より小型化を図ることができる空調装置及びバルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、隣接する第1ポートと第2ポートとが連通した第1流路を形成し、隣接する第3ポートと第4ポートとが連通した第2流路を形成し、第1及び第2流路のそれぞれにデシカントエレメントを有したバルブを備え、これを回転制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1及び第2流路のそれぞれにデシカントエレメントを有したバルブを備えるため、これを回転制御することで、流路を切り替える機能のみならず、デシカントエレメントが乾燥状態にあるときに通過する気体を除湿したり、デシカントエレメントが湿潤状態にあるときに通過する気体を加湿したりできる。これにより、例えば別途デシカント部材を設ける必要がなくなったり、仮にデシカント部材を設けたとしてもデシカント部材を小さくしたりできることから、より小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る空調装置を示す概略構成図である。
図2図1に示した太陽熱受領部を示す概略構成図である。
図3図1に示した中央ユニットを示す概略構成図である。
図4図1に示した上部側ユニットの概略構成図である。
図5図1に示した下部側ユニットの概略構成図である。
図6図4に示した上部側バルブの回転状態を示す構成図であって、(a)は第1状態を示し、(b)は第3状態を示している。
図7図5に示した下部側バルブの回転状態を示し、(a)は第1状態を示し、(b)は第3状態を示し、(c)は他の状態を示している。
図8】床下空間の一例を示す概略構成図である。
図9】第1運転モードにおける空調装置の動作状態図である。
図10】第2運転モード(第4運転モード)における空調装置の動作状態図である。
図11】第3運転モードにおける空調装置の動作状態図である。
図12】第5運転モードにおける空調装置の動作状態図である。
図13】第6運転モードにおける空調装置の動作状態図である。
図14】第7運転モードにおける空調装置の動作状態図である。
図15】第8運転モードにおける空調装置の動作状態図である。
図16】第2実施形態に係る空調装置を示す概略構成図である。
図17図16に示した中央室外側ユニットの概略構成図である。
図18図17に示した複数の第1プリズムを示す拡大図である。
図19図16に示した中央室内側ユニットを示す概略構成図である。
図20図16に示した上部側ユニットを示す概略構成図である。
図21図16に示した下部側ユニットを示す概略構成図である。
図22】暖房運転モードにおける空調装置の動作状態図である。
図23】空調構造体の変形例を示す概略構成図である。
図24】空調構造体の第2変形例を示す概略構成図である。
図25図24に示したスロープの詳細を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0010】
図1は、本発明の第1実施形態に係る空調装置を示す概略構成図である。図1に示す空調装置1は、概略的に太陽熱受領部10と、中央ユニット20と、上部側ユニット30と、下部側ユニット40と、制御装置(制御手段)CDとを備えている。
【0011】
図2は、図1に示した太陽熱受領部10を示す概略構成図である。図2に示す太陽熱受領部10は、太陽熱を受領する集エネルギーパネルであって、表面パネル11と、複数の真空管集熱器12と、反射部材13とを備えている。
【0012】
表面パネル11は、太陽光Rayを透過する平板形状に形成された透明性のガラス材や樹脂材である。
【0013】
複数の真空管集熱器12は、真空を形成するための外管と、外管内に挿通された内管とを備えたものである。内管は、表面に選択吸収処理が施されており、表面パネル11を透過した太陽光Rayを受光して管内部の熱媒等を加熱するものである。このような真空管集熱器12は、上下方向に所定の間隔を有して配置されている。
【0014】
反射部材13は、真空管集熱器12の間を通過した太陽光Rayを反射する部材であり、表面パネル11側の面に赤外線反射フィルムが設けられて構成されている。さらに、当該面は、断面視して鋸歯状とされている。鋸歯は、真空管集熱器12の間を通過した太陽光Rayが上下いずれか一方の真空管集熱器12に反射されるように角度設定されたものとなっている。このような角度設定により、真空管集熱器12は効率良く熱媒を加熱することが可能となる。
【0015】
本実施形態では太陽熱受領部10を窓面に対して用いるため、反射部材13は、例えば可視光を所定量(具体的には20%以上40%未満(特に30%))透過し、残りを反射するものが好ましい。可視光を20%以上透過すれば、窓面として用いる際に外部の景色等の視認性がある程度確保できるためである。また、赤外線については90%以上反射することが好ましい。このような反射部材13を用いることにより、太陽光のうち52%程度のエネルギーを占める可視光の70%程度と、42%程度のエネルギーを占める赤外線の90%以上を反射することとなり、合計して74%以上のエネルギーを真空管集熱器12に到達させつつも、外部の景色の視認性の大きな低下を防止できるからである。
【0016】
図3は、図1に示した中央ユニット20を示す概略構成図である。図3に示すように、中央ユニット20は、2枚の板材21,22、周端部材23、複数の介在部材24、冷媒分配器25、及び吸収液分配器26を有した空調構造体(空調板材)ACSと、室内流路形成板材27とを備えている。
【0017】
2枚の板材21,22は、互いに空間を有して略平行配置される水蒸気を不透過とする平板状の透明性板材である。これらの板材21,22は熱伝導性に優れるものが好ましい。周端部材23は、2枚の板材21,22の周端部に設けられている。
【0018】
複数の介在部材24は、2枚の板材21,22と周端部材23とによって形成される内部空間に設けられるものであって、第1介在部材24aと、第2介在部材24bと、複数の第3介在部材24cとを備えている。
【0019】
第1介在部材24aは、2枚の板材21,22の間の上部側に設けられるものである。本実施形態において、上側の周端部材23と第1介在部材24aとで挟まれる空間は、太陽熱受領部10により受領された熱(加熱された熱媒)を利用して吸収液(例えば臭化リチウム水溶液)と冷媒(例えば水)とが混合された希溶液を加熱する再生器Rとして機能するようになっている。再生器Rは、上記の加熱により、当該希溶液から冷媒を蒸発させて希溶液を冷媒蒸気と濃溶液とに分離する。
【0020】
第2介在部材24bは、2枚の板材21,22の間のうち、第1介在部材24aの下部に設けられるものである。本実施形態において、第1介在部材24aと第2介在部材24bとで挟まれる空間は、再生器Rにより生成された蒸気冷媒を液化する凝縮器Cとして機能する。凝縮熱は、第2板材(室外側板材)22側を通じて室外側に排出することが好ましい。
【0021】
複数の第3介在部材24cは、2枚の板材21,22の間のうち、第2介在部材24bの下部側に略等間隔で設けられるものである。本実施形態において、第2介在部材24bと下側の周端部材23とで挟まれる空間(凝縮器Cの下部空間)は、減圧状態とされる。すなわち、複数の第3介在部材24cは、減圧状態に耐え得るように内側から2枚の板材21,22を支える部材として機能する。
【0022】
また、凝縮器Cの下部空間は、蒸発器Eと吸収器Aとして機能するようになっている。詳細に説明すると、この下部空間の第1板材(室内側板材)21側には、凝縮器Cで得られた液体冷媒を第1板材21の内壁に滴下する冷媒分配器25が設けられている。この冷媒分配器25により冷媒が滴下されることで、冷媒は第1板材21側で蒸発して蒸気冷媒とされる。これにより、下部空間のうち第1板材21側は、第1板材21を冷却する蒸発器Eとして機能する。
【0023】
また、この下部空間の第2板材22側には、再生器Rにて得られた濃溶液を第2板材22の内壁に滴下する吸収液分配器26が設けられている。この吸収液分配器26により濃溶液が滴下されることで、濃溶液は、蒸発器Eからの蒸気冷媒を吸収する。これにより、下部空間のうち第2板材22側は、吸収熱により第2板材22を加熱する吸収器Aとして機能する。
【0024】
このように、2枚の板材21,22と、周端部材23と、複数の介在部材24と、冷媒分配器25と、吸収液分配器26とを備えた空調構造体ACSは、2枚の板材21,22のうち室内側となる第1板材21を冷却すると共に室外側となる第2板材22を加熱するものとして機能する。
【0025】
なお、中央ユニット20は不図示のポンプを有し、ポンプ動力により、蒸気冷媒を吸収した希溶液を再生器Rまで送り出すようになっている。
【0026】
室内流路形成板材27は、室内側に配置される平板状の透明性板材であって、空調構造体ACSの第1板材21に略平行となるように所定の隙間を有して隣接配置されるものである。この室内流路形成板材27は、第1板材21に対して所定の隙間を有して隣接配置されることで、第1板材21と室内流路形成板材27との間の隙間を室内流路IPとして機能させる。特に、空調構造体ACSが駆動している場合には第1板材21が冷却されることから、室内流路IPは、冷却された空気が流れる流路となる。
【0027】
さらに、太陽熱受領部10の反射部材(室外流路形成板材)13は、空調構造体ACSの第2板材22に略平行となるように所定の隙間を有して隣接配置されている。反射部材13は、空調構造体ACSの第2板材22に対して所定の隙間を有して隣接配置されることで、第2板材22と反射部材13との間の隙間を室外流路OPとして機能させる。特に、空調構造体ACSが駆動している場合には第2板材22が加熱されることから、室外流路OPは、加熱された空気が流れる流路となる。
【0028】
図4は、図1に示した上部側ユニット30の概略構成図である。図4に示す上部側ユニット30は、太陽熱受領部10及び中央ユニット20の上部に配置されるものである。この上部側ユニット30は、ケーシング31と、室内ルーバー32と、室外ルーバー33と、上部側バルブ(バルブ)34と、弁座35と、上部側室外弁36と、上部側室内弁37と、上部側ファンF1とを備えている。
【0029】
ケーシング31は、上部側ユニット30の各部を収納する筐体である。このケーシング31の室内側は開放されており、この開放部に開閉自在な室内ルーバー32が設けられている。同様にケーシング31の室外側も開放されており、この開放部に開閉自在な室外ルーバー33が設けられている。さらに、ケーシング31は、室内流路IPに対応する箇所に開口部31aが設けられていると共に、室外流路OPに対応する箇所にも開口部31bが設けられている。
【0030】
上部側バルブ34は、略断面円形(真円に限らず例えば正八角形等も含む)となる略円筒部材で形成され、円中心(断面中心位置)を回転中心とした回転が可能なバルブである。この上部側バルブ34は、周方向に等角度間隔で形成された4つのポートP1〜P4を有し、隣接する第1ポートP1と第2ポートP2とが連通した第1流路34aを有すると共に、隣接する第3ポートP3と第4ポートP4とが連通した第2流路34bを有する。加えて、上部側バルブ34は、第1流路34aと第2流路34bとの間に直線状に形成された第3流路34cを有する。
【0031】
さらに、本実施形態に係る上部側バルブ34は、第1及び第2流路34a,34bのそれぞれにデシカントエレメントDを有している。デシカントエレメントDは、例えば段ボール状のペーパーハニカムに吸着剤が塗布されたものであってもよいし、多孔質セラミックであってもよい。なお、第3流路34cには、デシカントエレメントDが設けられていない。
【0032】
弁座35は、上部側バルブ34を回転自在に保持するものであって、略断面円形状の上部側バルブ34の外形に応じて形成された円形部35aと、第1〜第4開放部O1〜O4とを有している。第1開放部O1は室内ルーバー32側につながっており、第2開放部O2は室内流路IPに対応する開口部31aにつながっており、第3開放部O3は室外流路OPに対応する開口部31bにつながっており、第4開放部O4は室外ルーバー33側につながっている。
【0033】
なお、以下の説明において、ケーシング31内のうち弁座35よりも室内側の空間を上部室内側空間UCIといい、ケーシング31内のうち弁座35よりも室外側の空間を上部室外側空間UCOという。
【0034】
上部側ファンF1は、上部室内側空間UCIに設けられ、室内ルーバー32を介して室内空気を弁座35の第1開放部O1に対して送り込むものである。上部側ファンF1は、第1開放部O1に室内空気を送り込むことで、上部側バルブ34のいずれか1つのポートP1〜P4に室内空気を送り込むことができる。
【0035】
上部側室外弁36は、上部室外側空間UCOに設けられ、上部側バルブ34を介することなく上部室外側空間UCO(室外側)と室外流路OP(開口部31b)とを連通させる流路を開放する開放状態(破線参照)と、当該流路を閉塞する閉塞状態(実線参照)とで切替可能なものである。このような上部側室外弁36が開放状態となることにより、例えば室外流路OPからの空気を上部側バルブ34を介することなく室外に排出することができる。
【0036】
上部側室内弁37は、上部室内側空間UCIに設けられ、上部側バルブ34を介することなく上部室内側空間UCI(室内側)と室内流路IP(開口部31a)とを連通させる流路を開放する開放状態(破線参照)と、当該流路を閉塞する閉塞状態(実線参照)とで切替可能なものである。このような上部側室内弁37が開放状態となることにより、例えば室内流路IPからの空気を上部側バルブ34を介することなく上部側ファンF1に供給することができる。
【0037】
図5は、図1に示した下部側ユニット40の概略構成図である。図5に示す下部側ユニット40は、太陽熱受領部10及び中央ユニット20の下部に配置されるものである。この下部側ユニット40は、上部側ユニット30と同様に、ケーシング41と、室内ルーバー42と、室外ルーバー43と、下部側バルブ(バルブ)44と、弁座45と、下部側室外弁46と、下部側ファンF2とを備えている。
【0038】
ケーシング41は、下部側ユニット40の各部を収納する筐体である。このケーシング41の室内側は開放されており、この開放部に開閉自在な室内ルーバー42が設けらている。同様にケーシング41の室外側も開放されており、この開放部に開閉自在な室外ルーバー43が設けられている。さらに、ケーシング41は、室内流路IPに対応する箇所に開口部41aが設けられていると共に、室外流路OPに対応する箇所にも開口部41bが設けられている。
【0039】
下部側バルブ44は、略断面円形(真円に限らず例えば正八角形等も含む)となる略円筒部材で形成され、円中心を回転中心とした回転が可能なバルブである。この下部側バルブ44は、周方向に等角度間隔で形成された4つのポートP1〜P4を有し、隣接する第1ポートP1と第2ポートP2とが連通した第1流路44aを有すると共に、隣接する第3ポートP3と第4ポートP4とが連通した第2流路44bを有する。加えて、下部側バルブ44は、第1流路44aと第2流路44bとの間に直線状に形成された第3流路44cを有する。
【0040】
さらに、本実施形態に係る下部側バルブ44は、第1及び第2流路44b,44bのそれぞれにデシカントエレメントDを有している。デシカントエレメントDは、例えば段ボール状のペーパーハニカムに吸着剤が塗布されたものであってもよいし、多孔質セラミックであってもよい。なお、第3流路44cには、デシカントエレメントDが設けられていない。
【0041】
弁座45は、下部側バルブ44を回転自在に保持するものであって、略断面円形状の下部側バルブ44の外形に応じて形成された円形部45aと、第1〜第4開放部O1〜O4とを有している。第1開放部O1は室内流路IPに対応する開口部41aにつながっており、第2開放部O2は室内ルーバー42側につながっており、第3開放部O3は室外ルーバー43側につながっており、第4開放部O4は室外流路OPに対応する開口部41bにつながっている。
【0042】
なお、以下の説明において、ケーシング41内のうち弁座45よりも室外側の空間を下部室外側空間LCOという。
【0043】
下部側ファンF2は、下部室外側空間LCOに設けられ、室外ルーバー43を介して外気を弁座45の第3開放部O3に対して送り込むものである。下部側ファンF2は、第3開放部O3に外気を送り込むことで、下部側バルブ44のいずれか1つのポートP1〜P4に外気を送り込むことができる。
【0044】
下部側室外弁46は、下部室外側空間LCOに設けられ、下部側バルブ44を介することなく下部室外側空間LCO(室外側)と室外流路OP(開口部41b)とを連通させる流路を開放する開放状態(図5破線参照)と、当該流路を閉塞する閉塞状態(図5実線参照)とで切替可能なものである。このような下部側室外弁46が開放状態となることにより、例えば外気を下部側バルブ44を介することなく室外流路OPに導入させることができる。
【0045】
次に、上部側バルブ34と下部側バルブ44との回転状態を説明する。図6は、図4に示した上部側バルブ34の回転状態を示す構成図であって、(a)は第1状態を示し、(b)は第3状態を示している。また、図7は、図5に示した下部側バルブ44の回転状態を示し、(a)は第1状態を示し、(b)は第3状態を示し、(c)は他の状態を示している。
【0046】
図6(a)に示すように、上部側バルブ34は、回転制御されて第1状態を取り得る。上部側バルブ34の第1状態とは、第1流路34aが上部室内側空間UCI(室内側)と室内流路IPとを接続し、第2流路34bが室外流路OPと上部室外側空間UCO(室外側)とを接続した状態である。
【0047】
図7(a)に示すように、下部側バルブ44も同様に回転制御されて第1状態を取り得る。下部側バルブ44の第1状態とは、第1流路44aが室内側と室内流路IPとを接続し、第2流路44bが室外流路OPと下部室外側空間LCO(室外側)とを接続した状態である。
【0048】
なお、図示を省略するが、第1状態から上部側バルブ34及び下部側バルブ44が180°回転した状態が第2状態である。すなわち、上部側バルブ34の第2状態とは、第1流路34aが室外流路OPと上部室外側空間UCO(室外側)とを接続し、第2流路34bが上部室内側空間UCI(室内側)と室内流路IPとを接続した状態である。また、下部側バルブ44の第2状態とは、第1流路44aが室外流路OPと下部室外側空間LCO(室外側)とを接続し、第2流路44bが室内側と室内流路IPとを接続した状態である。
【0049】
さらに、図6(b)に示すように、上部側バルブ34は、回転制御されて第3状態を取り得る。上部側バルブ34の第3状態とは、第1流路34aが上部室内側空間UCI(室内側)と上部室外側空間UCO(室外側)とを接続し、第2流路34bが室外流路OPと室内流路IPとを接続した状態である。
【0050】
同様に、図7(b)に示すように、下部側バルブ44は、回転制御されて第3状態を取り得る。下部側バルブ44の第3状態とは、第1流路44aが室内側と下部室外側空間LCO(室外側)とを接続し、第2流路44bが室外流路OPと室内流路IPとを接続した状態である。
【0051】
なお、図示を省略するが、第3状態から上部側バルブ34及び下部側バルブ44が180°回転した状態が第4状態である。すなわち、上部側バルブ34の第4状態とは、第1流路34aが室外流路OPと室内流路IPとを接続し、第2流路34bが上部室内側空間UCI(室内側)と上部室外側空間UCO(室外側)とを接続した状態である。また、下部側バルブ44の第4状態とは、第1流路44aが室外流路OPと室内流路IPとを接続し、第2流路44bが室内側と下部室外側空間LCO(室外側)とを接続した状態である。
【0052】
加えて、図7(c)に示すように、下部側バルブ44は、回転制御により他の状態を取り得る。下部側バルブ44の他の状態とは、下部室外側空間LCO(下部側ファンF2)と室内流路IPとを第3流路44cで接続する状態である。なお、本実施形態においては上部側バルブ34について他の状態を取り得ることを想定していないが、特にこれに限らず、上部側バルブ34が他の状態を取るようになっていてもよい。また、他の状態においては室外流路OPとの接続を行うようになっていてもよい。
【0053】
ここで、図1に示す下部側ユニット40の室内側は、床上空間のみならず、床下空間にも接続可能となっている。図8は床下空間の一例を示す概略構成図である。図8に示すように、床下空間UFCは、フロアプレートFCを境界として床上空間の下側に隣接する空間である。この床下空間UFCには、複数のトレイTと、複数の袋状容器Bと、複数のペデスタルPDとが配置されている。
【0054】
複数のトレイTは、潜熱蓄熱材PCMが収納された袋状容器Bを載置するためのものであって、本実施形態において床スラブFS上に載置されている。このようなトレイTは、袋状容器Bが損傷したときに漏れ出した潜熱蓄熱材PCMを受け止めると共に、周囲の空気が露点以下に冷やされて結露した場合の結露水についても受け止めるものとなっている。特に潜熱蓄熱材PCMが床スラブFSの材料であるコンクリート等に有害である場合、複数のトレイTは、これを食い止める役割を果たす。なお、念のため床スラブFSは耐塩コンクリートで形成されているか、塗装されていることが好ましい。
【0055】
複数のペデスタルPDは、フロアプレートFCを支える柱部材であって、床スラブFS上に配置されている。このようなフロア構造は、例えばフリーアクセスフロア(又はOAフロアやフォルスフロアなど)と称呼される。
【0056】
ここで、フロアプレートFCには貫通孔THが形成されている。このため、床下空間UFCに送り込まれた空気は、潜熱蓄熱材PCMに冷却又は加熱される等して、貫通孔THを介して床上空間に供給される。
【0057】
再度図1を参照する。図1に示す制御装置CDは、空調装置1の全体を制御するものであって、上記各図に示した、上部側バルブ34及び下部側バルブ44の回転制御、上部側ファンF1及び下部側ファンF2の駆動制御、ルーバー32,33,42,43の開閉制御、空調構造体ACSの駆動制御、弁36,37,46の開放及び閉塞制御、並びに、下部側ユニット40と床上空間及び床下空間UFCとの接続切替制御等を実行するものである。制御装置CDは、ユーザからの運転モードの指定や、自動制御によって、これらを制御して第1〜第8運転モードを実行可能となっている。
【0058】
次に、図9図15を参照して、本実施形態に係る空調装置1の各運転モードにおける動作を説明する。
【0059】
図9は、第1運転モードにおける空調装置1の動作状態図である。第1運転モードにおいて制御装置CDは、太陽熱受領部10にて受領された熱を利用して再生器Rにおける再生を行うと共に、凝縮器C、蒸発器E及び吸収器Aを機能させて、第1板材21側を冷却すると共に、第2板材22側を加温する。さらに、制御装置CDは、全てのルーバー32,33,42,43を開くと共に、上部側及び下部側ファンF1,F2を駆動状態とする。なお、各弁36,37,46は閉塞状態とされる。
【0060】
この状態で制御装置CDは、上部側バルブ34を第1所定時間(例えば180秒)間隔で回転させて、第1所定時間毎に上部側バルブ34を第1状態と第2状態とで切り替える。さらに、制御装置CDは、下部側バルブ44を第2所定時間(例えば180秒)間隔で回転させて、第2所定時間毎に下部側バルブ44を第1状態と第2状態とで切り替える。
【0061】
これにより、室内空気は、上部側バルブ34の第1流路34aのデシカントエレメントDで除湿された後に室内流路IPで冷却されて下部側バルブ44の第1流路44aのデシカントエレメントDで更に除湿されて、再度室内に戻される。一方、外気は下部側バルブ44の第2流路44bのデシカントエレメントDを再生した後に室外流路OPで加熱されて上部側バルブ34の第2流路34bのデシカントエレメントDを再生して、再度室外に戻される。そして、第1流路34a,44aと第2流路34b,44bとが回転によって入れ替わり、上記が継続的に行われる。従って、第1運転モードでは、継続的に室内空気が冷却乾燥される。
【0062】
なお、第1運転モードには節減モードが設けられており、空調装置1は節減モードでの運転も可能となっている。節減モードにおいて制御装置CDは、上部側室外弁36及び下部側室外弁46を開放状態とする。
【0063】
これにより、外気の吸気の際に風を利用できる場合には上部側バルブ34及び下部側バルブ44を介することなく、外気を直接室外流路OPに導入して排出でき、ややデシカントエレメントDの再生能力が弱まるものの、室外流路OPに空気を流す際の下部側ファンF2の動力を節約することができる。
【0064】
図10は、第2運転モード(第4運転モード)における空調装置1の動作状態図である。第2運転モードにおいて制御装置CDは、再生器R、凝縮器C、蒸発器E及び吸収器Aを機能させて、第1板材21側を冷却すると共に、第2板材22側を加温する。さらに、制御装置CDは、全てのルーバー32,33,42,43を開くと共に、上部側及び下部側ファンF1,F2を駆動状態とし、各弁36,37,46を閉塞状態とする。
【0065】
この状態で制御装置CDは、上部側バルブ34を第3所定時間(例えば180秒)間隔で回転させて、第3所定時間毎に上部側バルブ34を第1状態と第2状態とで切り替える。さらに、制御装置CDは、下部側バルブ44を第4所定時間(例えば60秒)間隔で回転させて、第4所定時間毎に下部側バルブ44を第3状態と第4状態とで切り替える。
【0066】
これにより、例えば室内空気は、上部側バルブ34の第1流路34aのデシカントエレメントDで除湿された後に室内流路IPで冷却されて下部側バルブ44の第2流路44bのデシカントエレメントDを再生し、室外流路OPにて加熱されて上部側バルブ34の第2流路34bのデシカントエレメントDを再生して室外に排出される。一方、外気は下部側バルブ44において全熱交換されて室内に導入される。すなわち、外気は下部側バルブ44の第1流路44aのデシカントエレメントDで除湿されて室内に導入されると共に、下部側バルブ44はある程度の熱容量を持ち、第2流路44bに冷却された空気が流れることから、第1流路44aを通じて室内に導入される空気を冷却する。そして、第1流路34a,44aと第2流路34b,44bとが回転によって入れ替わり、上記が継続的に行われる。従って、第2運転モードでは、換気を行いつつも外気を継続的に全熱交換(冷却乾燥)して導入する。
【0067】
図11は、第3運転モードにおける空調装置1の動作状態図である。第3運転モードにおいて制御装置CDは、再生器R、凝縮器C、蒸発器E及び吸収器Aを機能させず、全てのルーバー32,33,42,43を開くと共に、上部側及び下部側ファンF1,F2を駆動状態とし、各弁36,37,46を閉塞状態とする。
【0068】
この状態で制御装置CDは、上部側バルブ34を第5所定時間(例えば60秒)間隔で回転させて、第5所定時間毎に上部側バルブ34を第3状態と第4状態とで切り替える。さらに、制御装置CDは、下部側バルブ44を第1状態又は第2状態の一方で維持する。
【0069】
これにより、例えば外気温が室温よりも高く室内空気が外気よりも湿度が低い場合において、室内空気は上部側バルブ34の第1流路34aのデシカントエレメントDを再生した後に室外に排出される。一方、外気は上部側バルブ34において全熱交換されて室内に導入される。すなわち、外気は、下部側バルブ44から室外流路OPを流れ上部側バルブ34の第2流路34bのデシカントエレメントDで除湿された後に室内流路IPを流れて下部側バルブ44を通じて室内に導入される。さらに、上部側バルブ34はある程度の熱容量を持ち、第2流路34bに外気温よりも低い室内空気が流れることから、第1流路34aを通じて室内に導入される空気が冷却される。そして、上部側バルブ34の第1流路34aと第2流路34bとが回転によって入れ替わり、上記が継続的に行われる。従って、第3運転モードでは、換気を行いつつも外気を継続的に全熱交換(冷却乾燥)して導入する。
【0070】
図10を参照する。図10に示す第4運転モードにおいて制御装置CDは、再生器R、凝縮器C、蒸発器E及び吸収器Aを機能させず、全てのルーバー32,33,42,43を開くと共に、上部側及び下部側ファンF1,F2を駆動状態とし、各弁36,37,46を閉塞状態とする。
【0071】
この状態で制御装置CDは、上部側バルブ34を第1状態又は第2状態の一方で維持する。さらに、制御装置CDは、下部側バルブ44を第6所定時間(例えば60秒)間隔で回転させて、第6所定時間毎に上部側バルブ34を第3状態と第4状態とで切り替える。
【0072】
これにより、例えば外気温が室温よりも高く室内空気が外気よりも湿度が低い場合において、室内空気は上部側バルブ34から室内流路IPを流れ下部側バルブ44の第2流路44bのデシカントエレメントDを再生した後に室外流路OPを流れて上部側バルブ34を通じて室外に排出される。一方、外気は下部側バルブ44において全熱交換されて室内に導入される。すなわち、外気は、下部側バルブ44の第1流路44aのデシカントエレメントDで除湿された後に室内に導入される。さらに、下部側バルブ44はある程度の熱容量を持ち、第2流路44bに外気温よりも低い室内空気が流れることから、第1流路44aを通じて室内に導入される空気が冷却される。そして、下部側バルブ44の第1流路44aと第2流路44bとが回転によって入れ替わり、上記が継続的に行われる。従って、換気を行いつつも外気を継続的に全熱交換(冷却乾燥)して導入することができる。
【0073】
図12は、第5運転モードにおける空調装置1の動作状態図である。なお、第5運転モードにおいて下部側ユニット40の室内側は床下空間UFCである。また、図12においては制御装置CDの図示を省略する。
【0074】
第5運転モードにおいて制御装置CDは、再生器R、凝縮器C、蒸発器E及び吸収器Aを機能させず、ルーバー33,42,43を開く。なお、ルーバー32については閉じた状態とする。また、制御装置CDは、上部側及び下部側ファンF1,F2を駆動状態とし、弁36,46を閉塞状態とする。
【0075】
この状態で制御装置CDは、床下空間UFCに外気を導入する場合、下部側ファンF2を駆動させると共に下部側ファンF2と床下空間UFCとを下部側バルブ44の第1流路44a又は第2流路44bで接続する。一方、制御装置CDは、床下空間UFCから排気する場合、上部側ファンF1を駆動させ且つ上部側室内弁37を開放状態とすると共に、室内流路IPと床下空間UFCとを下部側バルブ44の第1流路44a又は第2流路44bで接続し、上部側ファンF1と上部室外側空間UCO(室外側)とを上部側バルブ34の第1流路34a又は第2流路34bで接続する。そして、制御装置CDはこれを規定時間(例えば180秒)毎に切り替える。
【0076】
これにより、第5運転モードでは、例えば床下空間UFCからの排気と床下空間UFCへの吸気を時間配分で交互に行うことができる。
【0077】
図13は、第6運転モードにおける空調装置1の動作状態図である。なお、第6運転モードにおいて下部側ユニット40の室内側は床下空間UFCである。第6運転モードにおいて制御装置CDは、再生器R、凝縮器C、蒸発器E及び吸収器Aを機能させず、全ルーバー32,33,42,43を開く。また、制御装置CDは、上部側及び下部側ファンF1,F2を駆動状態とし、弁36,37,46を閉塞状態とする。
【0078】
この状態で制御装置CDは、下部側ファンF2を駆動させると共に、下部側ファンF2と床下空間UFCとを下部側バルブ44の第1流路44a又は第2流路44bで接続し、上部側ファンF1を駆動させると共に、上部側ファンF1と上部室外側空間UCO(室外側)とを上部側バルブ34の第1流路34a又は第2流路34bで接続する。
【0079】
これにより、第6運転モードでは、下部側ユニット40によって外気を床下空間UFCに導入しつつ、上部側ユニット30によって室内空気を排出することができる。
【0080】
図14は、第7運転モードにおける空調装置1の動作状態図である。なお、第7運転モードにおいて下部側ユニット40の室内側は床下空間UFCである。また、図14においては制御装置CDの図示を省略する。
【0081】
第7運転モードにおいて制御装置CDは、再生器R、凝縮器C、蒸発器E及び吸収器Aを機能させず、全ルーバー32,33,42,43を開く。また、制御装置CDは、上部側及び下部側ファンF1,F2を駆動状態とし、弁36,37,46を閉塞状態とする。
【0082】
この状態で制御装置CDは、室内に外気を導入する場合、下部側ファンF2を駆動させ且つ下部側ファンF2と室内流路IPとを下部側バルブ44の第3流路44cで接続すると共に、上部側ファンF1と室内流路IPとを上部側バルブ34の第1流路34a又は第2流路34bで接続する。一方、制御装置CDは、室内から排気する場合、上部側ファンF1を駆動させると共に、上部側ファンF1と上部室外側空間UCO(室外側)とを上部側バルブ34の第1流路34a又は第2流路34bで接続する。そして、制御装置CDはこれを規定時間(例えば180秒)毎に切り替える。
【0083】
これにより、第7運転モードでは、例えば室内からの排気と室内への吸気を時間配分で交互に行うことができる。
【0084】
ここで、第7運転モードでは、室内に外気を導入する場合、上部側室内弁37を開放状態とすることが好ましい。これにより、外気を導入するにあたり、上部側バルブ34の第1流路34a又は第2流路34bのみならず、上部側室内弁37により解放された流路によって外気を導入でき、外気導入抵抗を減らしてスムーズな外気導入に寄与することができるからである。なお、室内から排気する場合、上部側室内弁37は閉塞状態とされる。
【0085】
図15は、第8運転モードにおける空調装置1の動作状態図である。なお、第8運転モードにおいて下部側ユニット40の室内側は床下空間UFCである。第8運転モードにおいて制御装置CDは、再生器R、凝縮器C、蒸発器E及び吸収器Aを機能させず、全ルーバー32,33,42,43を開く。また、制御装置CDは、上部側及び下部側ファンF1,F2を駆動状態とし、弁36,37,46を閉塞状態とする。
【0086】
この状態で前記制御装置CDは、上部側ファンF1を駆動させると共に、上部側ファンF1と室内流路IPとを上部側バルブ34の第1流路34a又は第2流路34bで接続し、室内流路IPと床下空間UFCとを下部側バルブ44の第1流路44a又は第2流路44bで接続する。
【0087】
これにより、室内空気を床下空間UFCに送り込み、床下空間UFCにおいて潜熱蓄熱材PCMにより冷却又は加熱させて床上空間に戻すことが可能となり、潜熱蓄熱材PCMを利用した床上空間の快適化を内気循環により行うことができる。
【0088】
以上が第1〜第8運転モードである。
【0089】
ここで、上記運転モードのうち、第1運転モードと第2運転モードとの切り替えについては、二酸化炭素濃度を参照することが好ましい。すなわち、夏場においてユーザが空調装置1を利用しており、制御装置CDは、第1運転モードで動作させているとする。不図示のガスセンサにより二酸化炭素濃度が所定値以上になったと検出されると、制御装置CDは、第2運転モードで空調装置1を動作させる。これにより、換気を行いつつも室内に冷房効果をもたらすことができるからである。
【0090】
このようにして、第1実施形態に係る空調装置1によれば、第1及び第2流路34a,34b,44a,44bのそれぞれにデシカントエレメントDを有したバルブ34,44を備えるため、これを回転制御することで、流路を切り替える機能のみならず、デシカントエレメントDが乾燥状態にあるときに通過する気体を除湿したり、デシカントエレメントDが湿潤状態にあるときに通過する気体を加湿したりできる。これにより、別途デシカント部材を設ける必要がなくなったり、設けるデシカント部材を小さくしたりできることから、より小型化を図ることができる。
【0091】
また、空調構造体ACSと、その上部側の上部側バルブ34と、その下部側の下部側バルブ44とを備えるため、上部側バルブ34と下部側バルブ44とを回転等させることにより、室内流路IP及び室外流路OPの接続を行うことができ、上部側バルブ34と下部側バルブ44との第1及び第2流路34a,34b,44a,44bに冷却された空気や加熱された空気を流通させることができ、湿度制御だけでなく温度制御も行うことができる空調装置1を提供することができる。
【0092】
また、第1運転モードにおいて上部側バルブ34と下部側バルブ44とを第1状態と第2状態とで切り替えるため、室内空気は、上部側バルブ34の第1流路34aのデシカントエレメントDで除湿された後に室内流路IPで冷却されて下部側バルブ44の第1流路44aのデシカントエレメントDで更に除湿されて、再度室内に戻される。一方、外気は下部側バルブ44の第2流路44bのデシカントエレメントDを再生した後に室外流路OPで加熱されて上部側バルブ34の第2流路34bのデシカントエレメントDを再生して、再度室外に戻される。そして、第1流路34a,44aと第2流路34b,44bとが回転によって入れ替わり、上記が継続的に行われる。従って、継続的に室内空気を冷却乾燥することができる。
【0093】
また、節減モードにおいて上部側室外弁36及び下部側室外弁46の双方を開放状態とするため、外気の吸気の際に風を利用できる場合には上部側バルブ34及び下部側バルブ44を介することなく、外気を直接室外流路OPに導入して排出でき、ややデシカントエレメントDの再生能力が弱まるものの、室外流路OPに空気を流す際の下部側ファンF2の動力を節約することができる。
【0094】
また、第2運転モードにおいて上部側バルブ34を第1状態と第2状態とで切り替え、下部側バルブ44を第3状態と第4状態とで切り替えるため、例えば室内空気は、上部側バルブ34の第1流路34aのデシカントエレメントDで除湿された後に室内流路IPで冷却されて下部側バルブ44の第2流路44bのデシカントエレメントDを再生し、室外流路OPにて加熱されて上部側バルブ34の第2流路34bのデシカントエレメントDを再生して室外に排出される。一方、外気は下部側バルブ44において全熱交換されて室内に導入される。すなわち、外気は下部側バルブ44の第1流路44aのデシカントエレメントDで除湿されて室内に導入されると共に、下部側バルブ44はある程度の熱容量を持ち、第2流路44bに冷却された空気が流れることから、第1流路44aを通じて室内に導入される空気が冷却される。そして、第1流路34a,44aと第2流路34b,44bとが回転によって入れ替わり、上記が継続的に行われる。従って、換気を行いつつも外気を継続的に全熱交換(冷却乾燥)して導入することができる。
【0095】
また、第3運転モードにおいて下部側バルブ44を回転させず維持し、上部側バルブ34を第3状態と第4状態とで切り替えるため、例えば外気温が室温よりも高く室内空気が外気よりも湿度が低い場合において、室内空気は上部側バルブ34の第1流路34aのデシカントエレメントDを再生した後に室外に排出される。一方、外気は上部側バルブ34において全熱交換されて室内に導入される。すなわち、外気は、下部側バルブ44から室外流路OPを流れ上部側バルブ34の第2流路34bにおいて除湿された後に室内流路IPを流れて下部側バルブ44を通じて室内に導入される。さらに、上部側バルブ34はある程度の熱容量を持ち、第2流路34bに外気温よりも低い室内空気が流れることから、第1流路34aを通じて室内に導入される空気が冷却される。そして、上部側バルブ34の第1流路34aと第2流路34bとが回転によって入れ替わり、上記が継続的に行われる。従って、換気を行いつつも外気を継続的に全熱交換(冷却乾燥)して導入することができる。
【0096】
また、第4運転モードにおいて上部側バルブ34を回転させず維持し、下部側バルブ44を第3状態と第4状態とで切り替えるため、例えば外気温が室温よりも高く室内空気が外気よりも湿度が低い場合において、室内空気は上部側バルブ34から室内流路IPを流れ下部側バルブ44の第2流路44bのデシカントエレメントDを再生した後に室外流路OPを流れて上部側バルブ34を通じて室外に排出される。一方、外気は下部側バルブ44において全熱交換されて室内に導入される。すなわち、外気は、下部側バルブ44の第1流路44aにおいて除湿された後に室内に導入される。さらに、下部側バルブ44はある程度の熱容量を持ち、第2流路44bに外気温よりも低い室内空気が流れることから、第1流路44aを通じて室内に導入される空気が冷却される。そして、下部側バルブ44の第1流路44aと第2流路44bとが回転によって入れ替わり、上記が継続的に行われる。従って、換気を行いつつも外気を継続的に全熱交換(冷却乾燥)して導入することができる。
【0097】
また、第5運転モードにおいて、床下空間UFCに外気を導入する場合、下部側ファンF2を駆動させると共に下部側ファンF2と床下空間UFCとを下部側バルブ44の前記第1流路44a又は前記第2流路44bで接続する。一方、床下空間UFCから排気する場合、上部側ファンF1を駆動させ且つ上部側室内弁37を開放状態とすると共に、室内流路IPと床下空間UFCとを下部側バルブ44の第1流路44a又は第2流路44bで接続し、上部側ファンF1と上部室外側空間UCO(室外側)とを上部側バルブ34の第1流路34a又は第2流路34bで接続する。これにより、床下空間UFCからの排気と床下空間UFCへの吸気を時間配分(例えば180秒毎)で交互に行うことができる。
【0098】
また、第6運転モードにおいて、下部側ファンF2を駆動させると共に、下部側ファンF2と床下空間UFCとを下部側バルブ44の第1流路44a又は第2流路44bで接続し、上部側ファンF1を駆動させると共に、上部側ファンF1と上部室外側空間UCO(室外側)とを上部側バルブ34の第1流路34a又は第2流路34bで接続する。これにより、下部側ユニット40によって外気を床下空間UFCに導入しつつ、上部側ユニット30によって室内空気を排出することができる。
【0099】
また、第7運転モードにおいて、室内に外気を導入する場合、下部側ファンF2を駆動させ且つ下部側ファンF2と室内流路IPとを下部側バルブ44の第3流路44cで接続すると共に、上部側ファンF1と室内流路IPとを上部側バルブ34の第1流路34a又は第2流路34bで接続する。一方、室内から排気する場合、上部側ファンF1を駆動させると共に、上部側ファンF1と上部室外側空間UCO(室外側)とを上部側バルブ34の第1流路34a又は第2流路34bで接続する。これにより、室内からの排気と室内への吸気を時間配分(例えば180秒毎)で交互に行うことができる。
【0100】
また、第7運転モードにおいて、室内に外気を導入する場合、上部側室内弁37を開放状態とする。このため、外気を導入するにあたり、上部側バルブ34の第1流路34a又は第2流路34bのみならず、上部側室内弁37により解放された流路によって外気を導入でき、外気導入抵抗を減らしてスムーズな外気導入に寄与することができる。
【0101】
また、第8運転モードにおいて、上部側ファンF1を駆動させると共に、上部側ファンF1と室内流路IPとを上部側バルブ34の第1流路34a又は第2流路34bで接続し、室内流路IPと床下空間UFCとを下部側バルブ44の第1流路44a又は第2流路44bで接続する。これにより、室内空気を床下空間UFCに送り込み、床下空間UFCにおいて潜熱蓄熱材PCMにより冷却又は加熱させて床上空間に戻すことが可能となり、潜熱蓄熱材PCMを利用した床上空間の快適化を内気循環により行うことができる。
【0102】
さらに、第1実施形態に係る上部側バルブ34及び下部側バルブ44によれば、空調装置1の小型化に寄与することができるバルブ34,44を提供することができる。さらに、第3流路34c,44cを備える場合には、直線状の流路を利用した多彩な制御の実現に寄与することができる。
【0103】
次に、本発明に係る第2実施形態を説明する。第2実施形態に係る空調装置は第1実施形態のものと共通構成を有するが、一部構成が異なっている。以下、第1実施形態との相違点について説明する。
【0104】
図16は、第2実施形態に係る空調装置を示す概略構成図である。図16に示す空調装置2は、中央室外側ユニット50と、中央室内側ユニット60と、上部側ユニット70と、下部側ユニット80と、制御装置(制御手段)CDとを備えている。
【0105】
図17は、図16に示した中央室外側ユニット50の概略構成図である。図17に示すように、中央室外側ユニット50は、2枚の板材51,52、周端部材53、複数の第1プリズム54、隔離壁55、複数の第2プリズム56、及び複数の選択吸収膜57を有した空調構造体(空調板材)ACSと、加熱流路形成板材58とを備えている。
【0106】
2枚の板材51,52は、互いに空間を有して略平行配置される平板状の板材である。これらの板材51,52のうち室外側となる第2板材52は透明性の板材である。また、室内側となる第1板材(室内側板材)51は熱伝導性に優れるものが好ましい。周端部材53は、2枚の板材51,52の周端部に設けられている。2枚の板材51,52と周端部材53とで形成される内部空間には、複数の第1プリズム54、隔離壁55、複数の第2プリズム56、及び複数の選択吸収膜57が収納される。
【0107】
図18は、図17に示した複数の第1プリズム54を示す拡大図である。複数の第1プリズム54は、それぞれが断面視して三角形状となるプリズム(すなわち三角柱形状のプリズム)である。これらの第1プリズム54は、第1の辺54aが室外側の第2板材52に沿うように第2板材52に面して配置されている。第1プリズム54の第2の辺54bと第3の辺54cは、第1の辺54aに対して所定の角度を有して延びている。第2の辺54bは、第3の辺54cよりも鉛直下方側に位置する辺である。
【0108】
このような第1プリズム54は中実の透明性部材によって構成されている。なお、第1プリズム54は、外壁部材と外壁部材の内部に収納される液体、ゲル状体又は固体によって構成されていてもよい。また、外壁部材の一部として第2板材52が利用されてもよいし、三角管などのように第2板材52が外壁部材の一部として利用されないものであってもよい。
【0109】
ここで、第1プリズム54は、第1の辺54aを介して入射した太陽光Rayを全反射させて第2の辺54bから出射させるように、その屈折率やそれぞれの内角が設定されている。
【0110】
すなわち、第1プリズム54は、以下の3種の光路OP1〜OP3が実現されるように、屈折率や三角の各内角が設定されている。ここで、3種の光路OP1〜OP3のうち第1光路OP1は、第2板材52を通過して第1の辺54aから第1プリズム54内に進入した太陽光Rayが、直接第2の辺54bに到達して第2の辺54bから第1プリズム54外に出るものである。第2光路OP2は、当該太陽光Rayが第3の辺54cで全反射して第2の辺54bに到達して第2の辺54bから当該第1プリズム54外に出るものである。第3光路OP3は、第3の辺54c及び第1の辺54aの順に全反射した後に第2の辺54bに到達して第2の辺54bから第1プリズム54外に出るものである。
【0111】
さらに、第1プリズム54は、太陽光Rayが地面等で反射したときの散乱光SLについては第1プリズム54の内角の角度設定により通過させることができる。
【0112】
再度図17を参照する。隔離壁55は、断面視してジグザグ状となっており、隔離壁55と第1板材51とによって複数の内部空間ISが形成されている。複数の内部空間ISはそれぞれが断面視して三角形となっている。これら内部空間ISには第2プリズム56となる内部部材(例えば液体、ゲル状体又は固体)が設けられている。
【0113】
なお、第1プリズム54と第2プリズム56とは、同屈折率及び同形状となっており、図17に示す側面視状態で点対称となる向きに配置されている。これにより、第1プリズム54によって散乱光SLが屈折して室内側から視認したときに生じる景色の歪みを抑えることができる。すなわち、第2プリズム56は像回復プリズムとして機能する。
【0114】
複数の選択吸収膜57は、第1プリズム54の第2の辺54b(図18参照)から離間して設けられており、第2プリズム56のうち第2の辺54bに対向する辺56b(図18参照)に接して設けられるものである。このような選択吸収膜57は、太陽光波長領域(0.3〜2.5μm)では吸収率が大きく、赤外線波長領域(3.0〜20μm)では放射率が小さくされている。これら複数の選択吸収膜57は、辺56bに対して設けられていれば、内部空間ISに配置されていてもよいし、内部空間ISの外側となる隔離壁55上に貼り付けられていてもよい。
【0115】
このような構成であるため、空調構造体ACSは、第2板材52を介して入射した太陽光Rayを第1プリズム54の第2の辺54bから出射して選択吸収膜57に照射することとなる。また、選択吸収膜57は第1プリズム54から離間しており第2プリズム56に直接又は間接的に接して設けられていることから、第2プリズム56を加熱することとなり、第2プリズム56及び第1板材51を通じて、第1板材51の室内側を加熱することとなる。
【0116】
加熱流路形成板材58は、空調構造体ACSの室内側に配置される平板状の板材であって、空調構造体ACSの第1板材51に略平行となるように所定の隙間を有して隣接配置されるものである。この加熱流路形成板材58は、第1板材51に対して所定の隙間を有して隣接配置されることで、第1板材51と加熱流路形成板材58との間の隙間を加熱流路HPとして機能させる。
【0117】
図19は、図16に示した中央室内側ユニット60を示す概略構成図である。なお、図19においては中央室外側ユニット50の加熱流路形成板材58についても図示するものとする。
【0118】
図19に示すように、中央室内側ユニット60は、3枚の平板状となる板材61〜63とスペーサ64とによって構成されている。第1板材61は、加熱流路形成板材58にスペーサ64を介して平行配置される板材である。第2板材62は、第1板材61よりも所定の隙間を有して平行配置される板材である。この隙間は第1空気流路AP1となる。第3板材63は、第2板材62よりも所定の隙間を有して平行配置される板材である。この隙間は第2空気流路AP2となる。
【0119】
このような構成により、第1空気流路AP1及び第2空気流路AP2は少なくとも上下方向に延びる流路となり、第2空気流路AP2は、室外側が第1空気流路AP1に隣接し、室内側が室内に隣接する流路となる。
【0120】
なお、第1板材61とスペーサ64と加熱流路形成板材58とで挟まれる空間は真空状態となっている。このため、当該空間は真空断熱層として機能し、加熱流路HPからの熱が第1空気流路AP1に移行し難くなっている。
【0121】
図20は、図16に示した上部側ユニット70を示す概略構成図である。上部側ユニット70は、中央室外側ユニット50及び中央室内側ユニット60の上部に配置されるものである。この上部側ユニット70は、上部第1流路71と、上部第2流路72と、上部第3流路73と、上部第4流路74と、バルブ75と、弁座76と、滴下部77と、切替弁78と、上部側ファンF1とを備えている。
【0122】
上部第1流路71及び上部第2流路72は、一端が室外に接続された流路である。上部第1流路71の中央付近には上部側ファンF1が設けられている。上部側ファンF1は、上部第1流路71の一端側(室外)から外気を取り込み他端側に掃気するものである。上部第2流路72は、上部第1流路71の下方側に隣接する流路である。
【0123】
上部第1流路71及び上部第2流路72の他端側にはバルブ75と弁座76とが設けられている。バルブ75は第1実施形態に係る上部側バルブ34及び下部側バルブ44と同じものであり、弁座76は第1実施形態に係る弁座35,45と同じものであるため説明を省略する。
【0124】
弁座76は、第1開放部O1が上部第1流路71の他端につながっており、第2開放部O2が第1空気流路AP1につながっている。さらに、第3開放部O3は加熱流路HPにつながっており、第4開放部O4が上部第2流路72の他端につながっている。バルブ75が回転制御されることにより、これらの接続が変更されることとなる。
【0125】
上部第3流路73は、一端が第2空気流路AP2につながっており、他端が室外に接続された流路である。上部第4流路74は、一端が上部第3流路73の途中につながっており、他端が室内に接続された流路である。上部第3流路73には、滴下部77と切替弁78とが設けられている。
【0126】
滴下部77は、上部第3流路73から液体(例えば水)を滴下することで、第2板材62と第3板材63との第2空気流路AP2側の面に液体を滴下するものである(図16参照)。なお、第2空気流路AP2の下端まで達した液体は、不図示のポンプによって再度滴下部77まで引き上げられる。さらに、滴下部77の液体は補充可能となっている。
【0127】
切替弁78は、上部第3流路73と上部第4流路74との接続部に設けられるものである。この切替弁78は、上部第3流路73の一端と他端とを接続し上部第4流路74を遮断する室外接続状態(実線参照)と、上部第3流路73の一端と他端とを遮断し上部第4流路74を開放する室内接続状態(破線参照)とで切替可能となっている。
【0128】
ここで、バルブ75は、回転制御されて第5〜第7状態を取り得る。バルブ75の第5状態とは、図20に示す状態である。すなわち、第5状態とは、第1流路75aが加熱流路HPと上部第2流路72(室外側)とを接続し、第2流路75bが上部第1流路71(室外側)と第1空気流路AP1とを接続した状態である。
【0129】
バルブ75の第6状態とは、図20に示す状態から180°回転させた状態である。すなわち、第6状態とは、第1流路75aが上部第1流路71(室外側)と第1空気流路AP1とを接続し、第2流路75bが加熱流路HPと上部第2流路72(室外側)とを接続した状態である。
【0130】
バルブ75の第7状態とは、第5状態から右回り又は左回りに90°回転させた状態であって、第1流路75a又は第2流路75bが加熱流路HPと第1空気流路AP1とを接続した状態である。なお、第7状態は後述の図22に示されている。
【0131】
図21は、図16に示した下部側ユニット80を示す概略構成図である。図21に示すように、下部側ユニット80は、下部第1流路81と、下部第2流路82と、下部第3流路83と、全熱交換エレメント84と、流路開閉弁85と、下部側ファンF2とを備えている。
【0132】
下部第1流路81及び下部第2流路82は、室外と全熱交換エレメント84とを接続する流路である。下部第1流路81には下部側ファンF2が設けられている。下部側ファンF2は、下部第1流路81の一端側(室外)から外気を取り込み他端側の全熱交換エレメント84に掃気するものである。下部第2流路82は、下部第1流路81の上方側に隣接する流路である。
【0133】
下部第3流路83は、室内と全熱交換エレメント84とを接続する流路である。下部第3流路83の室内端には、流路開閉弁85が設けられている。流路開閉弁85は、下部第3流路83の室内端を開放する開放状態と閉塞する閉塞状態とで切替可能な弁である。
【0134】
全熱交換エレメント84は、下部第3流路83からの室内空気と、下部側ファンF2の駆動によって下部第1流路81に取り込まれた外気とを全熱交換するものである。室内空気は全熱交換された後に下部第2流路82を通じて室外に排出される。外気は全熱交換された後に加熱流路HPに導入される。
【0135】
なお、上部側ユニット70の上部第1〜第3流路71〜73の室外側、及び上部第4流路74の室内側にはルーバーが設けられており、空気流通しないときには遮断可能となっている。さらに、下部側ユニット80の下部第1及び第2流路81,82の室内側にもルーバーが設けられており、空気流通しないときには遮断可能となっている。
【0136】
図16に示す制御装置CDは、空調装置2の全体を制御するものであって、バルブ75の回転制御、上部側ファンF1及び下部側ファンF2の駆動制御、ルーバーの開閉制御、並びに、弁78,85の切替制御等を実行するものである。制御装置CDは、ユーザからの運転モードの指定や、自動制御によって、これらを制御して2つの運転モード(冷房運転モード、暖房運転モード)を実行可能となっている。
【0137】
次に、図16及び図22を参照して、本実施形態に係る空調装置2の各運転モードにおける動作を説明する。
【0138】
図16に示すように、冷房運転モードにおいて制御装置CDは、全てのルーバーを開くと共に、上部側及び下部側ファンF1,F2を駆動状態とする。また、制御装置CDは、切替弁78を室外接続状態とし、流路開閉弁85を閉塞状態とする。さらに、制御装置CDは、滴下部77を駆動させて第2板材62と第3板材63の内面(第2空気流路AP2側)に液体を滴下する。
【0139】
この状態で制御装置CDは、バルブ75を所定時間(例えば180秒)間隔で回転させて、所定時間毎にバルブ75を第5状態と第6状態とで切り替える。
【0140】
これにより、外気は、下部側ファンF2によって下部第1流路81に導入され、加熱流路HPにおいて加熱される。加熱された空気は、バルブ75の第1及び第2流路75a,75bのうち一方に供給され、デシカントエレメントDを再生した後に上部第2流路72を介して室外に排出される。
【0141】
さらに、外気は、上部側ファンF1によって上部第1流路71に導入された後に、バルブ75の第1及び第2流路75a,75bのうち他方に供給される。供給された空気は、デシカントエレメントDによって除湿されて第1空気流路AP1に至る。除湿された空気は第1空気流路AP1を通過して第2空気流路AP2に至る。
【0142】
第2空気流路AP2においては液体が滴下されていることから、除湿された空気によって液体を気化させて気化熱により室内側を冷却する。加えて、第1空気流路AP1側の液体も気化させて冷却することから、第1空気流路AP1から第2空気流路AP2に流入する空気も冷却されて、冷却空気が第2空気流路AP2を流れることによっても室内を冷却する。第2空気流路AP2を通過した空気は、上部第3流路73を通じて室外に排出される。
【0143】
これにより、冷房運転モードでは、第3板材63を介した輻射冷房を行うことができる。
【0144】
図22は、暖房運転モードにおける空調装置2の動作状態図である。図22に示すように、暖房運転モードにおいて制御装置CDは、全てのルーバーを開くと共に、上部側及び下部側ファンF1,F2を駆動状態とする。また、制御装置CDは、切替弁78を室内接続状態とし、流路開閉弁85を開放状態とする。さらに、制御装置CDは、滴下部77を駆動させて第2板材62と第3板材63の内面(第2空気流路AP2側)に液体を滴下する。この状態で制御装置CDは、バルブ75を第7状態で維持する。
【0145】
これにより、外気は、下部側ファンF2によって下部第1流路81に導入され、全熱交換エレメント84によって全熱交換された後に(加熱加湿後に)加熱流路HPに至る。加熱流路HPに導入された空気は加熱された後にバルブ75に至り、バルブ75の第1又は第2流路75a,75bを通過した後に第1空気流路AP1に供給される。
【0146】
第1空気流路AP1に供給された空気は第1空気流路AP1を通過して第2空気流路AP2に至る。第2空気流路AP2においては液体が滴下されていることから、空気は、加湿され、上部第3流路73から上部第4流路74を通じて室内に供給される。
【0147】
これにより、暖房運転モードでは、室内に加湿及び暖房された空気を供給することができる。
【0148】
一方、室内空気は下部第3流路83を通じて全熱交換エレメント84に至り、全熱交換エレメント84において全熱交換された後に下部第2流路82を介して室外に排出される。
【0149】
このようにして、第2実施形態に係る空調装置2によれば、第1実施形態と同様に、より小型化を図ることができる。
【0150】
また、切替弁78を制御して第2空気流路AP2と室外側とを接続し、バルブ75を所定時間間隔で回転させて、バルブ75を所定時間毎に第5状態と第6状態とで切り替える冷房運転モードと、切替弁78を制御して第2空気流路と室内側とを接続し、バルブを第7状態で維持する暖房運転モードとで制御する。このため、冷房運転モードでは、第1及び第2流路75a,75bのうち一方のデシカントエレメントDが空調構造体ACSにより加熱された空気によって再生され、他方のデシカントエレメントDが外気を除湿させる。除湿された空気は第1空気流路AP1を通過して第2空気流路AP2に至る。第2空気流路AP2においては液体が滴下されていることから、除湿された空気によって液体を気化させて気化熱により室内側を冷却する。加えて、第1空気流路AP1側の液体も気化させて冷却することから、第1空気流路AP1から第2空気流路AP2に流入する空気も冷却されて、冷却空気が第2空気流路AP2を流れることによっても室内を冷却する。よって、室内を冷房することができる。また、暖房運転モードでは、空調構造体ACSにより加熱された空気が第1及び第2流路75a,75bのうち一方を流れ、第1空気流路AP1及び第2空気流路AP2を通じて室内に放出され、室内を暖房することができる。よって、冷暖房可能な空調装置2を提供することができる。
【0151】
さらに、第2実施形態に係るバルブ75によれば、第1実施形態と同様に、空調装置2の小型化に寄与することができるバルブ75を提供することができる。なお、第2実施形態においては、冷房運転モード及び暖房運転モードの双方のモードで、バルブ75の第3流路を利用していないが、直線状の第3流路を利用して多彩な制御に役立てるようにしてもよい。
【0152】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、可能な範囲で適宜実施形態同士を組み合わせてもよい。さらに、可能な範囲で公知又は周知の技術を組み合わせてもよい。
【0153】
例えば、第1実施形態において空調構造体ACSは吸収冷凍サイクルを利用して第1板材21側を冷却し、第2板材22側を加熱するものであるが、これに限らず、第2板材22側を加熱するだけのものであってもよい(冷却効果が無いものであってもよい)。特に、冷却効果が無いものである場合には、冬場の暖房時において好適に動作させることができる。
【0154】
図23は、空調構造体ACSの変形例を示す概略構成図である。第1実施形態において空調構造体ACSは図23に示すものであってもよい。図23に示す空調構造体ACSは、図16に示した空調構造体ACSを180°上下反転させた構造となっており、第1及び第2板材(室内側板材、室外側板材)101,102、周端部材103、複数の第1プリズム104、隔離壁105、複数の第2プリズム106、及び、複数の選択吸収膜107を備えている。
【0155】
この空調構造体ACSでは、第2プリズム106によって太陽光を選択吸収膜107に効率的に集め、第2プリズム106を加熱する。加熱された第2プリズム106は、第2板材(室外側板材)102を加熱することとなる。なお、この変形例において第1プリズム104は、像回復専用のプリズムとなる。
【0156】
図24は、空調構造体ACSの第2変形例を示す概略構成図である。第1実施形態において空調構造体ACSは図24に示すものであってもよい。
【0157】
図24に示す例に係る空調構造体ACSは、略的に2枚の板材201,202と、周端部材203と、スロープ210と、作動液(液体)HFとを備えている。
【0158】
2枚の板材201,202は、互いに略平行配置される透明性の板材である。これらの板材201,202は例えばガラス材によって構成されている。
【0159】
周端部材203は、2枚の板材201,202の周端部において2枚の板材201,202の間に介在するものである。2枚の板材201,202の周端部に周端部材203が設けられることによって、2枚の板材201,202と周端部材203とによって閉じられた内部空間が形成される。本実施形態において内部空間は断熱性の観点から真空状態とされるが、これに限らず、所定の気体で満たされていてもよい。
【0160】
スロープ210は、2枚の板材201,202の間に介在する透明性の部材であり、図24に示す断面視状態において2回90°に折られて断面略N字状の屈曲体となっている。このスロープ210は、一方の端部210aが第1板材(室内側板材)201の内壁に接しており、他方の端部210bが他方の板材(室外側板材)202の内壁に接して設けられている。このようなスロープ210は、一端側において、第1板材201と共に作動液HFを貯留可能な貯留部Resを構成している。
【0161】
図25は、図24に示したスロープ210の詳細を示す斜視図である。図25に示すように、スロープ210は、下板211と、この下板211と平行配置される上板212と、これらを接続する接続板213とから構成されている。
【0162】
下板211は、上記した端部210aを有すると共に、端部210aの反対側が櫛歯状に突出する櫛歯部211aとなっている。櫛歯部211aの各端面EFは第2板材202の内壁に接する部位となる。上板212は、接続板213を挟んで下板211と点対称構造となっている。すなわち、上板212は、端部210bの反対側が櫛歯状に突出する櫛歯部212aとなっており、櫛歯部212aの各端面EFが第1板材201の内壁に接する部位となる。このように、スロープ210は、下板211の両端部(端部210a及び端面EF)、並びに、上板212の両端部(端部210b及び端面EF)が2枚の板材201,202にそれぞれ接する。これにより、スロープ210は、真空状態とされる2枚の板材201,202をその内側から支えることとなる。
【0163】
再度図24を参照する。本実施形態において作動液HFは水等の透明性の液体である。なお、作動液HFは水に限られるものではない。このような作動液HFは、貯留部Resに貯留されている。貯留部Resの作動液HFは、第1板材201からの熱によって蒸発可能となっている。蒸発した作動液HFは、蒸気となって第2板材202に至る。蒸気となった作動液HFは、第2板材202において凝縮液化する。液化した作動液HFは、第2板材202の内面を流下していき、スロープ210の上板212(図25参照)上に溜まる。一定量以上の作動液HFが上板212上に溜まると、作動液HFは、上板212の櫛歯部212aの隙間から貯留部Resに落下する。
【0164】
具体的に説明すると、室温が20℃であり、外気温が25℃である場合、貯留部Resに溜まっている水(作動液HF)の蒸気圧は2.4kPa程度であり、内部空間が2.5/100気圧程度の真空状態となった断熱ガラスとして機能している。この状態から室温が30℃まで上昇すると、水の蒸発が進み4.3kPaまで内部空間の圧力が上がろうとするが、蒸発した水(水蒸気)は室外側の第2板材202に触れると冷却されて液化し、第2板材202の内面を流下する。流下した水は、スロープ210の上板212を経て貯留部Resに戻る。
【0165】
このように、作動液HFは、貯留部Resから第2板材202を経て再度貯留部Resに戻るようになっており、スロープ210は、このような作動液HFの循環を可能とする液体循環構造となっている。さらに、第1板材201は、作動液HFが蒸発することから蒸発器として機能し、第2板材202は、作動液HFが凝縮することから凝縮器として機能する。よって、第1板材201側は蒸発熱が奪われて冷却化され、第2板材202側からは凝縮熱が破棄されることとなる。結果として第1板材201側の熱が第2板材202側へ貫流することとなり、例えば夏場では室内側が第1板材201となることで、湿気を取り込むことなく室内を快適化することができる。なお、夏場において室温が低いような場合には、作動液HFは蒸発することなく、断熱ガラスとして機能させることができる。
【0166】
以上のように、空調構造体ACSは、常時第1板材201側を冷却し第2板材202側を加熱するものでなくともよく、所定の条件が成立した場合に第1板材201側を冷却し第2板材202側を加熱するものであってもよい。
【0167】
さらに、上記実施形態の第1運転モード(特に図23に示す空調構造体ACSを用いる場合)においては、上部側バルブ34のみを有して回転制御させるようにしてもよい。これにより、デシカントエレメントDの再生を継続的に行って、継続的に室内空気を乾燥させることができる。
【符号の説明】
【0168】
1,2 :空調装置
13 :反射部材(室外流路形成板材)
21 :第1板材(室内側板材)
22 :第2板材(室外側板材)
27 :室内流路形成板材
34 :上部側バルブ(バルブ)
34a :第1流路
34b :第2流路
34c :第3流路
36 :上部側室外弁
37 :上部側室内弁
44 :下部側バルブ(バルブ)
44a :第1流路
44b :第2流路
44c :第3流路
46 :下部側室外弁
51 :第1板材(室内側板材)
52 :第2板材(室外側板材)
58 :加熱流路形成板材
75 :バルブ
75a :第1流路
75b :第2流路
77 :滴下部(滴下手段)
78 :切替弁
101 :第1板材(室内側板材)
102 :第2板材(室外側板材)
201 :第1板材(室内側板材)
202 :第2板材(室外側板材)
ACS :空調構造体(空調板材)
AP1 :第1空気流路
AP2 :第2空気流路
CD :制御装置(制御手段)
D :デシカントエレメント
F1 :上部側ファン
F2 :下部側ファン
HP :加熱流路
IP :室内流路
LCO :下部室外側空間
OP :室外流路
P1〜P4:ポート
PCM :潜熱蓄熱材
Ray :太陽光
UCI :上部室内側空間
UCO :上部室外側空間
UFC :床下空間
図1
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