(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記押圧部は、前記蓋部の上方から、前記蓋部の第1領域を下方向に押圧することにより前記蓋部を開放し、前記蓋部の第2領域を下方向に押圧することにより前記開口を密閉する、請求項1または2に記載の検体測定装置。
前記押圧部は、前記第1領域または前記第2領域を下方向に押圧して、前記第1領域と前記第2領域との間の回動中心回りに前記蓋部を回動させることにより、前記蓋部を開閉させる、請求項3に記載の検体測定装置。
前記押圧部は、閉鎖状態の前記蓋部の前記第1領域を下方向に押圧して前記蓋部を開放した後、前記回動中心よりも上方で、開放状態の前記第2領域に接触する上昇位置まで上方移動する、請求項4に記載の検体測定装置。
前記押圧部は、前記上昇位置において開放状態の前記第2領域と水平方向に接触して前記蓋部を仮閉め位置まで回動させた後、前記仮閉め位置における前記第2領域を下方向に押圧して前記蓋部を回動させ、前記蓋部により前記試薬容器の前記開口を密閉させる、請求項5に記載の検体測定装置。
前記押圧部は、前記蓋部の開放時に、前記第1領域の前記回動中心からの長さと等しい量だけ前記回動中心よりも下方に位置する下降位置まで下降する、請求項4〜6のいずれか1項に記載の検体測定装置。
前記蓋部は、前記試薬容器の前記開口を覆う前記第2領域と、前記第2領域から水平方向に突出する前記第1領域との間に配置された水平方向の回動中心回りに回動するように構成され、
前記蓋部を閉鎖する際、前記押圧部により、前記第2領域が前記開口を密閉するまで前記開口に向けて下方向に押圧する、請求項21に記載の検体測定方法。
前記蓋部を閉鎖する際、前記シャッタ機構の閉鎖状態を維持したまま、閉鎖状態の前記第2領域の上面位置である蓋閉め位置へ前記押圧部を下降させて、前記第2領域により前記開口を密閉させる、請求項26に記載の検体測定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、突出部が蓋部を水平方向に押すことによって蓋部を閉じているだけなので、
図19(F)の蓋部を閉じた状態において、蓋部が完全には閉まりきらない可能性がある。隙間ができて蓋部が完全に閉まらない場合、試薬容器の密閉度が不十分となり、その結果、試薬の蒸発や変性が進行しやすいという不都合が生じる。
【0006】
この発明は、開閉可能な蓋部を備えた試薬容器から試薬吸引を行う場合に、蓋部の開閉動作を行っても蓋部による高い密閉度を確保することに向けたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による検体測定装置(100)は、開口(210)を覆う開閉可能な蓋部(220)を有する試薬容器(200)を保持するための容器保持部(10)と、蓋部(220)の開放状態において試薬容器(200)内の試薬を吸引し、吸引した試薬を反応容器(50)に分注するための試薬分注部
(30)と、開口(210)を覆う位置に移動された蓋部(220)を、開口(210)に向けて押圧して開口(210)を密閉するための押圧部(20)と、
容器保持部(10)を内部に収容し、押圧部(20)および試薬分注部(30)が内部へ進入するための孔部(314)を有する上面部(311)を有する試薬保冷庫(300)と、試薬保冷庫(300)の孔部(314)を開閉するためのシャッタ機構(340)と、反応容器(50)に分注された検体および試薬により調製された測定用試料に含まれる成分を測定するための測定部(40)と、を備え
、押圧部(20)は、下方向の移動に伴ってシャッタ機構(340)と接触してシャッタ機構(340)を開放する。
【0008】
第1の局面による検体測定装置では、上記のように、開口(210)を覆う位置に移動された蓋部(220)を、開口(210)に向けて押圧して開口(210)を密閉するための押圧部(20)を設ける。これにより、蓋部(220)を閉じる際に、隙間ができて蓋部(220)が僅かに開いた状態になることなく、押圧部(20)の押圧によって蓋部(220)を完全に閉じて試薬容器(200)を密閉できる。以上により、開閉可能な蓋部(220)を備えた試薬容器(200)から試薬吸引を行う場合に、蓋部(220)の開閉動作を行っても蓋部(220)による高い密閉度を確保することができる。
また、試薬容器(200)を冷温保管することができる。そして、孔部(314)を有する上面部(311)により、押圧部(20)および試薬分注部(30)を試薬保冷庫(300)の外部に配置できる。そのため、試薬保冷庫(300)の容積を極力小さくして冷却効率を向上させることができる。そして、シャッタ機構(340)によって試薬を吸引しない場合に試薬保冷庫(300)の気密性を向上させることができるので、試薬保冷庫(300)内の温度変化の抑制および冷却効率の向上が図れる。また、蓋部(220)を開放する際、押圧部(20)が下降することによりシャッタ機構(340)を開放させるので、シャッタ機構(340)を開放するための駆動源を別途設ける必要がない。そのため、シャッタ機構(340)を設ける場合の装置構成を簡素化できる。
【0009】
上記第1の局面による検体測定装置において、好ましくは、押圧部(20)は、蓋部(220)を押圧して、蓋部(220)に形成された突起部(224)を開口(210)に嵌合させることにより、開口(210)を密閉する。このように構成すれば、押圧部(20)によって突起部(224)が開口(210)に嵌るまで蓋部(220)を押圧できるので、突起部(224)と開口(210)との嵌合によって気密性を向上させることができる。
【0010】
上記第1の局面による検体測定装置において、好ましくは、押圧部(20)は、蓋部(220)の上方から、蓋部(220)の第1領域(221)を下方向に押圧することにより蓋部(220)を開放し、蓋部(220)の第2領域(222)を下方向に押圧することにより開口(210)を密閉する。このように構成すれば、押圧部(20)によって、蓋部(220)を閉じるだけでなく、蓋部(220)を開放することができる。また、蓋部(220)を開放する場合と閉じる場合との両方において、押圧部(20)は同じ下方向に押圧するだけでよいので、押圧部(20)の構成を簡素化できる。また蓋部(220)を閉じる場合に、押圧部(20)により、蓋部(220)を上方から試薬容器(200)の開口(210)に向けて下向きに押圧できるので、より確実に、蓋部(220)を完全に閉じて試薬容器(200)を密閉できる。
【0011】
上記押圧部(20)が蓋部(220)を下方向に押圧する構成において、好ましくは、押圧部(20)は、第1領域(221)または第2領域(222)を下方向に押圧して、第1領域(221)と第2領域(222)との間の回動中心(223)回りに蓋部(220)を回動させることにより、蓋部(220)を開閉させる。このように構成すれば、第1領域(221)を下方向に押圧すれば、開口(210)を覆う第2領域(222)を回動させて蓋部(220)を開くことができる。第2領域(222)を下方向に押圧すれば、第2領域(222)を回動させて開口(210)を塞ぐことができる。したがって、開口(210)を覆う第2領域(222)と第1領域(221)との間に回動中心(223)が設けられただけのシンプルな構造の試薬容器(200)で、蓋部(220)の密閉を確実に行うことができる。
【0012】
この場合、好ましくは、押圧部(20)は、閉鎖状態の蓋部(220)の第1領域(221)を下方向に押圧して蓋部(220)を開放した後、回動中心(223)よりも上方で、開放状態の第2領域(222)に接触する上昇位置(H2)まで上方移動する。このように構成すれば、押圧部(20)を第2領域(222)に確実に接触させることができる。
【0013】
上記押圧部(20)が上昇位置(H2)まで上方移動する構成において、好ましくは、押圧部(20)は、上昇位置(H2)において開放状態の第2領域(222)と水平方向に接触して蓋部(220)を仮閉め位置(CP)まで回動させた後、仮閉め位置(CP)における第2領域(222)を下方向に押圧して蓋部(220)を回動させ、蓋部(220)により試薬容器(200)の開口(210)を密閉させる。このように構成すれば、第2領域(222)が開放状態で略直立するまで回動された場合にも、上昇位置(H2)の押圧部(20)が第2領域(222)に水平方向に接触して第2領域(222)を仮閉め位置(CP)まで開口(210)側へ回動させることができる。その結果、仮閉め位置(CP)の第2領域(222)を、押圧部(20)が容易に下方向に押圧して開口(210)を密閉できる。
【0014】
上記押圧部(20)が第1領域(221)と第2領域(222)との間の回動中心(223)回りに蓋部(220)を回動させる構成において、好ましくは、押圧部(20)は、蓋部(220)の開放時に、第1領域(221)の回動中心(223)からの長さと略等しい量だけ回動中心(223)よりも下方に位置する下降位置(H3)まで下降する。ここで、第1領域(221)の回動中心(223)からの長さは、回動中心(223)回りに回動する第1領域(221)の円弧状軌跡の半径に相当する。そのため、押圧部(20)が半径分だけ回動中心(223)よりも下方に位置する下降位置(H3)まで下降することにより、押圧部(20)に押された第1領域(221)が略真下を向くまで蓋部(220)が回動することになる。その結果、蓋部(220)の回動量を大きくして開口(210)をより大きく開放できるので、試薬吸引時に開放状態の蓋部(220)が邪魔にならずに容易に試薬を吸引できる。
【0015】
上記第1の局面による検体測定装置において、好ましくは、容器保持部(10)を移動させる保持部駆動部(330)をさらに備え、容器保持部(10)は、押圧部(20)の下方に蓋部(220)の第1領域(221)および第2領域(222)をそれぞれ配置するように、水平方向に移動する。このように構成すれば、第1領域(221)および第2領域(222)をそれぞれ押圧するために押圧部(20)を複数設けたり、押圧部(20)を水平移動させる機構を設けたりする必要がないので押圧部(20)の構成を簡素化できる。
【0016】
この場合、好ましくは、容器保持部(10)は、複数の試薬容器(200)を円周方向に並べて保持するように形成され、保持部駆動部(330)は、容器保持部(10)を円周方向に回転移動させて、各々の試薬容器(200)を押圧部(20)の下方に配置させる。このように構成すれば、複数の試薬容器(200)から選択的に試薬を吸引する場合に、個々の試薬容器(200)に対応させて押圧部(20)を複数設ける必要がなくなる。その結果、装置構成を簡素化できる。また、試薬容器(200)を水平面内でXY方向に移動させる場合と比べて、保持部駆動部(330)は単に円周方向に試薬容器(200)を回転移動させればよいので、保持部駆動部(330)の構成も簡素化できる。
【0019】
上記押圧部(20)がシャッタ機構(340)を開放する構成において、好ましくは、押圧部(20)は、第1領域(221)および第2領域(222)と接触する下端部(24)と、下端部(24)よりも上側に設けられ、シャッタ機構(340)と接触する接触面(23)とを有する。このように構成すれば、下端部(24)がシャッタ機構(340)よりも下方に移動した後で接触面(23)がシャッタ機構(340)を開放させる構造となる。そのため、蓋部(220)を開放する直前までシャッタ機構(340)を閉じておくことができるので、試薬保冷庫(300)の温度変化を効果的に抑制できる。
【0020】
この場合、好ましくは、シャッタ機構(340)は、上面部(311)に沿って水平方向に移動可能に構成され、接触面(23)は、下方向移動に伴ってシャッタ機構(340)を水平方向に移動させる傾斜面を含む。このように構成すれば、押圧部(20)が下方向へ移動すると、シャッタ機構(340)が傾斜面に接触し、傾斜面に沿って水平方向に押しのけられるようにして、開放される。そのため、接触面(23)に傾斜面を設ける簡素な構成で、押圧部(20)の下方向への移動を、シャッタ機構(340)の水平方向移動に変換することができる。
【0021】
上記接触面が傾斜面を含む構成において、好ましくは、シャッタ機構(340)は、互いに離れる方向に移動可能に隣接する一対のシャッタ(341)を含み、押圧部(20)は、一対のシャッタ(341)の間の位置で上下方向へ移動可能に配置され、接触面(23)は、押圧部(20)の同じ上下位置で、各々のシャッタと接触するように押圧部(20)の両側に設けられたテーパ状の傾斜面を含む。このように構成すれば、押圧部(20)が、下方向移動に伴って一対のシャッタ(341)を互いに反対方向に割り拡げるように移動させて、シャッタ機構(340)を開放させることになる。そして、傾斜面が両側の同じ位置に設けられるので、シャッタ(341)を一方向のみに移動させる場合と比べて、傾斜面の傾斜角度を大きくしなくても、押圧部(20)の下降量に対するシャッタ機構(340)の開放量を大きくできる。
【0022】
この場合、好ましくは、一対のシャッタ(341)は、それぞれ、互いに一端側の端部でシャッタヒンジ(342)により回動可能に連結された柱状部材により構成され、孔部(314)は、シャッタの一端側の位置に配置された第1孔部(314a)と、シャッタの一端側とは反対の他端側の位置に配置され、第1孔部(314a)よりも大きい第2孔部(314b)とを含み、押圧部(20)が第1孔部(314a)を通過するように設けられ、試薬分注部(30)が第2孔部(314b)を通過するように設けられている。このように構成すれば、押圧部(20)が一対のシャッタ(341)の回動中心に近い側を通過してシャッタ機構(340)を開放し、試薬分注部(30)が回動中心から遠い側を通過する。そのため、押圧部(20)が一対のシャッタ(341)を所定角度だけ回動させると、試薬分注部(30)が通過する第2孔部(314b)の位置では、回動中心からの距離が大きくなる分だけ一対のシャッタ(341)の移動量が大きくなる結果、試薬分注部(30)の吸引動作を妨げないように第2孔部(314b)を大きく開放できる。
【0023】
上記押圧部(20)がシャッタ機構(340)を開放する構成において、好ましくは、シャッタ機構(340)は、孔部(314)を閉鎖する方向に付勢する付勢部材(343)を含み、押圧部(20)は、下方移動に伴って付勢部材(343)の付勢力に抗してシャッタ機構(340)を開放させ、上方移動に伴って付勢部材(343)の付勢力によってシャッタ機構(340)を閉鎖させる。このように構成すれば、シャッタ機構(340)の開放用の駆動源のみならず、シャッタ機構(340)の閉鎖用のモータなどの駆動源も設ける必要がなくなるので、装置構成を簡素化できる。
【0024】
上記押圧部(20)がシャッタ機構(340)を開放する構成において、好ましくは、押圧部(20)は、開放状態の第2領域(222)に接触する上昇位置(H2)と、上昇位置(H2)よりも下方で、開放状態の第1領域(221)に接触する下降位置(H3)と、上昇位置(H2)および下降位置(H3)の間で、第2領域(222)を押圧して蓋部(220)を閉鎖させる蓋閉め位置(H4)と、に上下移動するように構成され、シャッタ機構(340)は、押圧部(20)が上昇位置(H2)および蓋閉め位置(H4)に位置する場合に閉鎖され、押圧部(20)が下降位置(H3)に位置する場合に開放されるように構成されている。このように構成すれば、蓋部(220)が開放される下降位置(H3)まで押圧部(20)が下降した場合にだけシャッタ機構(340)を開放し、蓋閉めを行う場合にはシャッタ機構(340)を閉鎖しておくことができる。そのため、試薬保冷庫(300)の孔部(314)が開放される時間を極力短縮できるので、試薬保冷庫(300)の温度変化を効果的に抑制できる。
【0025】
上記
第1の局面による検体測定装置において、好ましくは、押圧部(20)および試薬分注部(30)は、試薬保冷庫(300)の外部の上面部(311)上に設置されている。このように構成すれば、押圧部(20)および試薬分注部(30)が試薬保冷庫(300)の外部に配置されるので、試薬保冷庫(300)の容積を極力小さくして冷却効率を向上させることができる。
【0026】
この発明の第2の局面による試薬容器(200)は、開口(210)を覆う開閉可能な蓋部(220)を備え、上記第1の局面による検体測定装置(100)に用いられる。
【0027】
上記第2の局面による試薬容器において、好ましくは、開口(210)が設けられた容器本体(231、232、233)と、容器本体(231、232、233)に着脱可能に設けられ、開口(210)を封止するためのキャップ(250)とをさらに備え、蓋部(220)は、キャップ(250)に代えて容器本体(231、232、233)に着脱可能に構成されている。このように構成すれば、内部に試薬を収容した状態での試薬容器(200)の輸送時や保管時などにおいて、キャップ(250)により、試薬を確実に密封して保管できる。また、キャップ(250)により、誤って蓋部(220)が開放されてしまうことも防止できる。そして、試薬容器(200)の開封時に、キャップ(250)を蓋部(220)に付け替えることができる。これにより、輸送時や保管時を含めて、試薬の蒸発や変性を極力抑制することができる。このように本発明の試薬容器(200)では、試薬の蒸発や変性を極力抑制できるので、多数回の検体測定に使用可能なように試薬容器(200)を大容量化した場合にも、測定精度のばらつきなどを効果的に抑制できる点で有効である。
【0028】
この場合、好ましくは、容器本体(231、232、233)は、蓋部(220)を着脱するための取付部(234)を有し、蓋部(220)は、取付部(234)に係合することにより容器本体(231、232、233)を密閉するように構成されている。このように構成すれば、蓋部(220)と容器本体(231、232、233)とを別体で設ける場合でも、蓋部(220)が取付部(234)に係合する構造によって、高い密閉度を容易に確保することができる。
【0029】
この発明の第3の局面による検体測定方法は、被検体から採取された検体を反応容器(50)に分注し、
試薬保冷庫(300)に収容され、開口(210)を覆う開閉可能な蓋部(220)を有する試薬容器(200)の蓋部(220)を開放し、蓋部(220)の開放状態において試薬容器(200)内の試薬を吸引し、
上面部(311)に孔部(314)が形成された試薬保冷庫(300)の孔部(314)を塞ぐシャッタ機構(340)を、上面部(311)の外部から下降する押圧部(20)によって開放させ、試薬の吸引後、開口(210)を覆う位置に移動された蓋部(220)を、押圧部(20)により開口(210)に向けて押圧して開口(210)を密閉し、吸引した試薬を反応容器(50)に分注し、反応容器(50)に分注された検体および試薬により調製された測定用試料に含まれる成分を検出する。
【0030】
第3の局面による検体測定方法では、上記のように、試薬の吸引後、開口(210)を覆う位置に移動された蓋部(220)を、押圧部(20)により開口(210)に向けて押圧して開口(210)を密閉する。これにより、蓋部(220)を閉じる際に、隙間ができて蓋部(220)が僅かに開いた状態になることなく、押圧部(20)の押圧によって蓋部(220)を完全に閉じて試薬容器(200)を密閉できる。以上により、開閉可能な蓋部(220)を備えた試薬容器(200)から試薬吸引を行う場合に、蓋部(220)の開閉動作を行っても蓋部(220)による高い密閉度を確保することができる。
また、シャッタ機構(340)によって試薬を吸引しない場合に試薬保冷庫(300)の気密性を向上させることができるので、試薬保冷庫(300)内の温度変化の抑制および冷却効率の向上が図れる。また、蓋部(220)を開放する際、押圧部(20)が下降することによりシャッタ機構(340)を開放させるので、シャッタ機構(340)を開放するための駆動源を別途設ける必要がない。そのため、シャッタ機構(340)を設ける場合の装置構成を簡素化できる。
【0031】
上記第3の局面による検体測定方法において、好ましくは、押圧部(20)により、蓋部(220)の第1領域(221)を下方向に押圧することにより蓋部(220)を開放し、押圧部(20)により、蓋部(220)の第2領域(222)を下方向に押圧することにより開口(210)を密閉する。このように構成すれば、押圧部(20)によって、蓋部(220)を閉じるだけでなく、蓋部(220)を開放することができる。また、蓋部(220)を開放する場合と閉じる場合との両方において、押圧部(20)は同じ下方向に押圧するだけでよいので、押圧部(20)の構成を簡素化できる。また蓋部(220)を閉じる場合に、押圧部(20)により、蓋部(220)を上方から試薬容器(200)の開口(210)に向けて下向きに押圧できるので、より確実に、蓋部(220)を完全に閉じて試薬容器(200)を密閉できる。
【0032】
上記押圧部(20)が蓋部(220)を下方向に押圧する構成において、好ましくは、蓋部(220)は、試薬容器(200)の開口(210)を覆う第2領域(222)と、第2領域(222)から水平方向に突出する第1領域(221)との間に配置された水平方向の回動中心(223)回りに回動するように構成され、蓋部(220)を閉鎖する際、押圧部(20)により、第2領域(222)が開口(210)を密閉するまで開口(210)に向けて下方向に押圧する。このように構成すれば、第1領域(221)を下方向に押圧すれば、開口(210)を覆う第2領域(222)を回動させて蓋部(220)を開くことができる。第2領域(222)を下方向に押圧すれば、第2領域(222)を回動させて開口(210)を塞ぐことができる。したがって、開口(210)を覆う第2領域(222)と第1領域(221)との間に回動中心(223)が設けられただけのシンプルな構造の試薬容器(200)で、蓋部(220)の密閉を確実に行うことができる。
【0033】
この場合、好ましくは、蓋部(220)を開放する際、押圧部(20)に対して試薬容器(200)を水平方向に相対移動させて第1領域(221)を押圧部(20)の下方に配置し、押圧部(20)を、第1領域(221)の回動中心(223)からの長さと略等しい量だけ回動中心(223)よりも下方に位置する下降位置(H3)まで下降させる。ここで、第1領域(221)の回動中心(223)からの長さは、回動中心(223)回りに回動する第1領域(221)の円弧状軌跡の半径に相当する。そのため、押圧部(20)が半径分だけ回動中心(223)よりも下方に位置する下降位置(H3)まで下降することにより、押圧部(20)に押された第1領域(221)が略真下を向くまで蓋部(220)が回動することになる。その結果、蓋部(220)の回動量を大きくして開口(210)をより大きく開放できるので、試薬吸引時に開放状態の蓋部(220)が邪魔にならずに容易に試薬を吸引できる。
【0034】
上記蓋部(220)が回動中心(223)回りに回動する構成において、好ましくは、蓋部(220)を閉鎖する際、押圧部(20)を、回動中心(223)よりも上方で、開放状態の第2領域(222)に接触する上昇位置(H2)まで移動させ、押圧部(20)に対して試薬容器(200)を水平方向に相対移動させて押圧部(20)と第2領域(222)とを水平方向に接触させることにより、蓋部(220)を仮閉め位置(CP)まで回動させる。このように構成すれば、第2領域(222)が開放状態で略直立するまで回動された場合にも、上昇位置(H2)の押圧部(20)が第2領域(222)に水平方向に接触して第2領域(222)を仮閉め位置(CP)まで開口(210)側へ回動させることができる。その結果、蓋部(220)を大きく回動させる場合でも、確実に蓋部(220)を密閉できる。
【0035】
この場合、好ましくは、押圧部(20)に対して試薬容器(200)を水平方向に相対移動させて仮閉め位置(CP)の第2領域(222)を押圧部(20)の下方に配置し、閉鎖状態の第2領域(222)の上面位置である蓋閉め位置(H4)へ押圧部(20)を下降させて、第2領域(222)により開口(210)を密閉させる。このように構成すれば、第1領域(221)および第2領域(222)をそれぞれ押圧するために押圧部(20)を複数設けたり、押圧部(20)を水平移動させる機構を設けたりする必要がないので押圧部(20)の構成を簡素化できる。そして、仮閉め位置(CP)の第2領域(222)を、押圧部(20)が容易に下方向に押圧して開口(210)を密閉できる。
【0037】
上記蓋部(220)が第2領域(222)と第1領域(221)との間に配置された水平方向の回動中心(223)回りに回動する構成において、好ましくは、蓋部(220)を閉鎖する際、押圧部(20)を、回動中心(223)よりも上方で、開放状態の第2領域(222)に接触する上昇位置(H2)まで移動させることにより、シャッタ機構(340)を閉鎖させる。このように構成すれば、蓋部(220)が開放された後、押圧部(20)が上昇位置(H2)まで移動して蓋閉めの動作を開始する際には、シャッタ機構(340)を閉鎖することができる。そのため、試薬保冷庫(300)の孔部(314)が開放される時間を短縮できるので、試薬保冷庫(300)の温度変化を効果的に抑制できる。
【0038】
上記押圧部(20)を上昇位置(H2)まで移動させることによりシャッタ機構(340)を閉鎖させる構成において、好ましくは、蓋部(220)を閉鎖する際、シャッタ機構(340)の閉鎖状態を維持したまま、閉鎖状態の第2領域(222)の上面位置である蓋閉め位置(H4)へ押圧部(20)を下降させて、第2領域(222)により開口(210)を密閉させる。このように構成すれば、シャッタ機構(340)が閉鎖されたままの状態で、蓋閉めの動作を行うことができる。そのため、試薬保冷庫(300)の孔部(314)が開放される時間をさらに短縮できるので、試薬保冷庫(300)の温度変化をより一層効果的に抑制できる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、開閉可能な蓋部を備えた試薬容器から試薬吸引を行う場合に、蓋部の開閉動作を行っても蓋部による高い密閉度を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
[検体測定装置の概要]
まず、
図1を参照して、一実施形態による検体測定装置100の概要について説明する。
【0042】
検体測定装置100は、被検体から採取された検体に所定の試薬を添加して作製された測定用試料を分析する装置である。
【0043】
被検体は、主としてヒトであるが、ヒト以外の他の動物であってもよい。検体測定装置100は、たとえば患者から採取された検体の臨床検査または医学的研究のための分析を行う。検体は、生体由来の検体である。生体由来の検体は、たとえば、被検体から採取された血液(全血、血清または血漿)、尿、またはその他の体液などの液体、あるいは、採取された体液や血液に所定の前処理を施して得られた液体などである。また、検体は、たとえば、液体以外の、被検体の組織の一部や細胞などであってもよい。検体測定装置100は、検体中に含有される所定の対象成分を検出する。対象成分は、たとえば、血液や尿検体中の所定の成分、細胞や有形成分を含んでもよい。対象成分は、DNA(デオキシリボ核酸)などの核酸、細胞および細胞内物質、抗原または抗体、タンパク質、ペプチドなどでもよい。検体測定装置100は、血球計数装置、血液凝固分析装置、免疫測定装置、尿中有形成分分析装置など、またはこれら以外の分析装置であってよい。
【0044】
一例としては、検体測定装置100は、抗原抗体反応を利用して検体中の被検物質を検出する免疫測定装置である。免疫測定装置は、対象成分として、たとえば、血液に含まれる抗原または抗体、タンパク質や、ペプチドなどを検出する。免疫測定装置は、血清または血漿を検体として取得して、検体に含まれる抗原または抗体などを定量測定または定性測定する。なお、抗原抗体反応は、抗原と抗体との反応のみならず、アプタマー等の特異的結合物質を用いた反応を含む。アプタマーは、特定の物質と特異的に結合するように合成された核酸分子またはペプチドである。
【0045】
検体測定装置100は、検体に所定の1または複数種類の試薬を添加して、測定用試料を調製する。試薬は、ボトル状の試薬容器200に収容された状態で、検体測定装置100にセットされる。試薬の蒸発や変質を抑制するため、試薬容器200は、容器の上部に設けられた開口210と、開口210を覆う開閉可能な蓋部220を有する。開口210は、試薬容器200の上面において上方に向けて開口している。検体測定装置100は、閉鎖状態の蓋部220を開いて開口210を露出させ、開口210を介して試薬容器200内の試薬を吸引する。検体測定装置100は、吸引した試薬を検体に添加する。試薬の吸引後、検体測定装置100は、開放状態の蓋部220を閉じる。
【0046】
図1に示すように、検体測定装置100は、試薬容器200を保持するための容器保持部10と、容器保持部10の上方に配置され、上下方向に移動する押圧部20と、試薬容器200内の試薬を吸引する試薬分注部30と、測定用試料に含まれる成分を検出するための測定部40と、を備える。
【0047】
容器保持部10は、開口210を覆う開閉可能な蓋部220を有する試薬容器200を保持するように構成されている。容器保持部10には、検体測定装置100によって自動で、またはユーザによって手動で、試薬容器200がセットされる。容器保持部10は、セットされた試薬容器200に接触して支持する部分を含む。容器保持部10は、
図1のように試薬容器200の下面を支持してもよいし、たとえば側面を挟んで支持してもよいし、試薬容器200を上方から吊り下げるように支持してもよい。容器保持部10は、試薬容器200の所定箇所に設けられた係合部(図示せず)を容器保持部10の支持する部分に引っかける態様で試薬容器200を保持してもよい。
【0048】
容器保持部10は、試薬容器200を、押圧部20および試薬分注部30の直下の位置に保持できる。押圧部20により、試薬容器200の蓋部220が閉じられる。
図1の構成例では、押圧部20は、後述するように蓋部220を開放することもできるが、蓋部220を開放するための押圧部を押圧部20とは別に設けてもよい。試薬分注部30により、試薬容器200内の試薬が吸引される。位置合わせのため、容器保持部10と、押圧部20および試薬分注部30とのうち、一方または両方が水平方向に移動可能であってもよい。
【0049】
押圧部20は、蓋部220を押圧して、開放状態の蓋部220を閉じる。押圧部20は、による蓋部220に対する押圧方向は、特に限定されない。押圧部20は、蓋部220を上方から下向きに押圧してもよいし、後述するように第1領域221を下方から上向きに押圧してもよい。
図1の構成例では、押圧部20は、容器保持部10に保持された試薬容器200の上方位置に配置され、上下方向に移動する。これにより、押圧部20は、蓋部220の一部を上方から押圧して、閉鎖状態の蓋部220を開いたり、開放状態の蓋部220を閉じたりする。押圧部20は、たとえば、蓋部220を押圧するための押圧片を含んで構成される。押圧部20は、たとえばピン、爪、ロッドなどであり、蓋部220の上面の一部と接触する部分を有する。押圧部20は、押圧部20を上下方向に移動させるための駆動源により動作する。駆動源には、リニアアクチュエータが用いられる。駆動源には、たとえばエアシリンダ、油圧シリンダなどの動力シリンダ、ソレノイドなどを用いることができる。駆動源には、モータと、モータの回転を直線運動に変換する機構と、からなる直動機構を用いることができる。回転を直線運動に変換する機構は、たとえばカム機構、ラックアンドピニオン機構、ベルトプーリ機構などである。
【0050】
試薬分注部30は、蓋部220の開放状態において試薬容器200内の試薬を吸引し、吸引した試薬を反応容器50に分注するように構成されている。試薬分注部30は、開口210を介して試薬容器200の内部に進入できるように構成された吸引管30aを備える。吸引管30aは、容器保持部10に保持された試薬容器200の上方位置に配置され、上下方向に移動する。また、試薬分注部30は、たとえば、吸引管30aにより試薬を吸引し、吸引した試薬を反応容器50に吐出するための送液機構(図示せず)を備える。送液機構は、たとえばポンプを含み、試薬を定量することが可能なシリンダポンプやダイアフラムポンプなどの定量ポンプが好ましい。試薬を定量するためには、非定量のポンプと定量チャンバとを組み合わせてもよい。吸引管30aは、試薬吸引用と、試薬吐出用とで別々に設けられていてもよい。共通の吸引管30aで試薬吸引と試薬吐出とを両方行う場合、吸引管30aと、試薬容器200および反応容器50とのうち、一方または両方が水平方向に移動可能であってもよい。
【0051】
測定部40は、反応容器50に分注された検体および試薬により調製された測定用試料に含まれる成分を検出するように構成されている。測定部40による対象成分の検出方法は問わず、化学的方法、光学的方法、電磁気学的方法などの対象成分に応じた方法が採用できる。検体測定装置100は、測定部40の検出結果に基づいて、たとえば対象成分の有無、対象成分の数または量、対象成分の濃度や存在比率などを分析する。たとえば蛍光、反射光または拡散光、色などの光学的な検出を行う場合、測定部40として、光電子増倍管、分光光度計、ルミノメータなどが利用できる。また、放射性同位体を標識として用いる場合、測定部40としてシンチレーションカウンターなどが利用できる。
【0052】
次に、
図1の例による検体測定装置100における試薬の吸引動作について説明する。本実施形態では、押圧部20は、開口210を覆う位置に移動された蓋部220を、開口210に向けて押圧して開口210を密閉するように構成されている。つまり、蓋部220の表面が開口210の縁部と当接することにより、開口210が隙間なく閉じられる。これにより、検体測定装置100は、蓋部220を開放した後、蓋部220を確実に閉鎖する。吸引動作は、
図2(A)〜(E)に示した順で実行される。
【0053】
図2(A)において、容器保持部10に保持された試薬容器200は、押圧部20の直下の位置に配置されている。蓋部220は閉鎖状態となっている。
【0054】
図2(B)において、検体測定装置100は、試薬容器200の蓋部220を開放する。
【0055】
図2(C)において、検体測定装置100は、蓋部220の開放状態において試薬容器200内の試薬を吸引する。すなわち、試薬分注部30が、開口210を介して試薬容器200内に進入し、試薬容器200内の試薬を吸引する。
【0056】
図2(D)において、検体測定装置100は、試薬容器200の蓋部220を、開口210を覆う位置に移動させる。たとえば蓋部220は自重により開口210側に移動する。蓋部220を開口210側に付勢するための付勢部材などを設けてもよい。しかし、開口210を覆う位置へ向けて蓋部220を移動させただけでは、
図2(D)のように、蓋部220が完全には閉まらずに隙間ができる可能性がある。
【0057】
図2(E)において、検体測定装置100は、試薬の吸引後、押圧部20により、開口210を覆う位置に移動された蓋部220を、開口210に向けて押圧して開口210を密閉する。すなわち、
図2(D)の位置にある蓋部220を押圧部20が開口210側に押圧して、蓋部220を開口210に押し付ける。その結果、
図2(E)のように、開口210が蓋部220により確実に密閉される。
【0058】
上記のように、本実施形態の検体測定装置100では、開口210を覆う位置に移動された蓋部220を、開口210に向けて押圧して開口210を密閉するための押圧部20を設ける。これにより、蓋部220を閉じる際に、隙間ができて蓋部220が僅かに開いた状態になることなく、押圧部20の押圧によって蓋部220を完全に閉じて試薬容器200を密閉できる。以上により、開閉可能な蓋部220を備えた試薬容器200から試薬吸引を行う場合に、蓋部220の開閉動作を行っても蓋部220による高い密閉度を確保することができる。
【0059】
なお、
図1および
図2の構成例では、押圧部20によって、蓋部220の開放も行うことが可能である。
【0060】
具体的には、
図2(B)において、検体測定装置100は、試薬容器200の第1領域221を押圧部20により下方向に押圧することによって蓋部220を開放する。蓋部220は、第1領域221が下方向に押圧されるのに伴って開口210から離れる方向に移動する。その結果、開口210が開放される。
【0061】
蓋部220を閉じる際には、
図2(D)において、押圧部20が上方向に移動する。この際、第1領域221を押圧していた押圧部20が上方向に移動するのに伴って蓋部220は自重により開口210側に移動する。
図2(E)において、検体測定装置100は、試薬の吸引後、蓋部220の第2領域222を押圧部20により下方向に押圧することによって開口210を密閉する。すなわち、押圧部20が、蓋部220の第2領域222を開口210に向けて下方向に押圧して、蓋部220により開口210側に押し付ける。
【0062】
このように、
図1および
図2の構成例では、押圧部20は、蓋部220の上方から、蓋部220の第1領域221を下方向に押圧することにより蓋部220を開放し、蓋部220の第2領域222を下方向に押圧することにより開口210を密閉する。これにより、押圧部20によって、蓋部220を閉じるだけでなく、蓋部220を開放することができる。また、蓋部220を開放する場合と閉じる場合との両方において、押圧部20は同じ下方向に押圧するだけでよいので、押圧部20の構成を簡素化できる。また蓋部220を閉じる場合に、押圧部20により、蓋部220を上方から試薬容器200の開口210に向けて下向きに押圧できるので、より確実に、蓋部220を完全に閉じて試薬容器200を密閉できる。
【0063】
また、
図1および
図2の構成例では、押圧部20は、蓋部220を押圧して、蓋部220に形成された突起部224を開口210に嵌合させることにより、開口210を密閉する。突起部224は、蓋部220の開口210側の表面に開口210側に突出するように設けられている。突起部224は、開口210と蓋部220との間を塞ぐ栓体として機能する。たとえば
図2(D)の状態では、突起部224が開口210内に完全に嵌っておらず、隙間が形成されている。そこで、
図2(E)のように、押圧部20の押圧によって、突起部224が開口210内に嵌合する。突起部224は、嵌合により、開口210の内周面と当接する。この構成により、押圧部20によって突起部224が開口210に嵌るまで蓋部220を押圧できるので、突起部224と開口210との嵌合によって気密性を向上させることができる。密閉度を高めるために突起部224と開口210との嵌め合いをきつくすると、
図2(D)の状態となりやすくなるので、押圧部20による押圧が特に有効である。
【0064】
つぎに、本実施形態の検体測定装置100により実施される検体測定方法について簡単に説明する。検体測定方法は、以下のステップ(1)〜(6)を含む。
(1)被検体から採取された検体を反応容器50に分注する。
(2)開口210を覆う開閉可能な蓋部220を有する試薬容器200の蓋部220を開放する。
(3)蓋部220の開放状態において試薬容器200内の試薬を吸引する。
(4)試薬の吸引後、開口210を覆う位置に移動された蓋部220を、押圧部20により開口210に向けて押圧して開口210を密閉する。
(5)吸引した試薬を反応容器50に分注する。
(6)反応容器50に分注された検体および試薬により調製された測定用試料に含まれる成分を検出する。
【0065】
検体測定方法において、(2)〜(4)は、
図2に示したように一連の動作であり、この順に実施される。(5)吸引した試薬の分注は、(3)試薬の吸引の後に実施されるが、たとえば(4)蓋部220の閉鎖と並行して実施されてもよい。(1)検体の分注は、(2)〜(5)の前後いずれかに実施されてもよいし、(2)〜(5)と並行して実施されてもよい。(6)測定用試料に含まれる成分の検出は、(1)〜(5)の後に実施される。
【0066】
本実施形態の検体測定方法では、上記のように、試薬の吸引後、開口210を覆う位置に移動された蓋部220を、押圧部20により開口210に向けて押圧して開口210を密閉する。これにより、蓋部220を閉じる際に、
図2(D)のように隙間ができて蓋部220が僅かに開いた状態になることなく、押圧部20の押圧によって蓋部220を完全に閉じて試薬容器200を密閉できる。以上により、開閉可能な蓋部220を備えた試薬容器200から試薬吸引を行う場合に、蓋部220の開閉動作を行っても蓋部220による高い密閉度を確保することができる。
【0067】
(試薬容器)
図2の例では、試薬容器200の蓋部220は、試薬容器200の開口210から側方に突出した第1領域221と、開口210を覆うように形成された第2領域222と、を有し、第1領域221と第2領域222との間の回動中心223回りに回動可能に構成されている。回動中心223は、たとえば、試薬容器200の容器本体230と蓋部220とを相対回転可能に接続するヒンジである。
【0068】
押圧部20は、第1領域221または第2領域222を下方向に押圧して、第1領域221と第2領域222との間の回動中心223回りに蓋部220を回動させることにより、蓋部220を開閉させる。これにより、第1領域221を下方向に押圧すれば、開口210を覆う第2領域222を回動させて蓋部220を開くことができる。第2領域222を下方向に押圧すれば、第2領域222を回動させて開口210を塞ぐことができる。したがって、開口210を覆う第2領域222と第1領域221との間に回動中心223が設けられただけのシンプルな構造の試薬容器200で、蓋部220の密閉を確実に行うことができる。
【0069】
また、
図2の例による検体測定方法では、蓋部220は、試薬容器200の開口210を覆う第2領域222と、第2領域222から水平方向に突出する第1領域221との間に配置された水平方向の回動中心223回りに回動するように構成され、蓋部220を閉鎖する際、押圧部20により、第2領域222が開口210を密閉するまで開口210に向けて下方向に押圧する。これにより、第1領域221を下方向に押圧すれば、開口210を覆う第2領域222を回動させて蓋部220を開くことができる。第2領域222を下方向に押圧すれば、第2領域222を回動させて開口210を塞ぐことができる。したがって、開口210を覆う第2領域222と第1領域221との間に回動中心223が設けられただけのシンプルな構造の試薬容器200で、蓋部220の密閉を確実に行うことができる。
【0070】
(押圧部による蓋部の押圧の変形例)
図1および
図2では、押圧部20が蓋部220を開口210に向けて下方向に押圧する例を示したが、
図17の例では、押圧部20が蓋部220を開口210に向けて水平方向に押圧する。
【0071】
図17の例では、蓋部220は、閉鎖状態で、開口210を覆う第2領域222と、第2領域222から上方向に延びる第1領域229と、第2領域222と第1領域229との間に配置された回動中心223とを有する。
図17(A)および(B)のように、押圧部20は、第1領域229を図中左側へ水平方向に押圧して蓋部220を開放する。
図17(C)および(D)のように、押圧部20は、第2領域222を図中右側へ水平方向に押圧して、開口210を覆う位置まで蓋部220を移動させる。
図17(E)のように、押圧部20は、開口210を覆う位置に移動された蓋部220に対して、第1領域229を図中右側へ水平方向に押圧する。これにより、蓋部220が開口210に向けて押圧され開口210が密閉される。
【0072】
[検体測定装置の具体的な構成例]
次に、
図3〜
図16を参照して、検体測定装置100の具体的な構成例について詳細に説明する。
図3〜
図16の例では、検体測定装置100は、抗原抗体反応を利用して検体中の被検物質を検出する免疫測定装置である。
【0073】
検体測定装置100は、容器保持部10、試薬分注部30および測定部40を備える。また、
図3の構成例では、検体測定装置100は、筐体110と、検体搬送部120と、検体分注部130と、反応容器供給部140と、反応容器移送部150と、反応部160と、試薬容器移送部170と、BF分離部180と、を備える。また、検体測定装置100は、以上の各部の制御を行うための制御部400を備える。
【0074】
筐体110は、検体測定装置100の各部を内部に収容可能な箱状形状を有する。筐体110は、単一階層上に検体測定装置100の各部を収容する構成であってもよいし、上下方向に複数の階層が設けられた階層構造を有し、検体測定装置100の各部をそれぞれの階層に割り当てて配置してもよい。
【0075】
検体搬送部120は、被検体から採取された検体を、検体分注部130による吸引位置まで搬送するように構成されている。検体搬送部120は、検体を収容した試験管が複数設置されたラックを所定の検体吸引位置まで搬送できる。
【0076】
検体分注部130は、検体搬送部120により搬送された検体を吸引し、吸引した検体を反応容器50に分注する。検体分注部130は、吸引および吐出を行うための流体回路に接続されたピペットと、ピペットを移動させる移動機構とを含む。検体分注部130は、図示しないチップ供給部にセットされた分注チップをピペットの先端に装着して、搬送された試験管中の検体を分注チップ内に所定量吸引する。検体分注部130は、吸引した検体を所定の検体分注位置に配置された反応容器50に分注する。分注後、検体分注部130は、分注チップをピペットの先端から取り外して廃棄する。
【0077】
反応容器供給部140は、複数の反応容器50を貯留している。反応容器供給部140は、所定の反応容器供給位置において、反応容器移送部150に反応容器50を1つずつ供給できる。
【0078】
反応容器移送部150は、反応容器50を移送する。反応容器移送部150は、反応容器供給位置から反応容器50を取得し、検体分注部130、試薬分注部30、反応部160、測定部40などの各々の処理位置に反応容器50を移送する。反応容器移送部150は、たとえば反応容器50を把持するキャッチャまたは反応容器50の設置穴を有する保持部と、キャッチャまたは保持部を移動させる移動機構とにより構成される。移動機構は、たとえば1または複数の直線移動可能な直動機構により、1軸または複数軸方向に移動する。移動機構は、回転軸回りに水平回転するアーム機構や、多関節ロボット機構を含んでいてもよい。反応容器移送部150は、1つまたは複数設けられる。
【0079】
反応部160は、ヒーターおよび温度センサを備え、反応容器50を保持して反応容器50に収容された試料を加温して反応させる。加温により、反応容器50内に収容された検体および試薬が反応する。反応部160は、筐体110内に1つまたは複数設けられる。反応部160は、筐体110に固定的に設置されていてもよいし、筐体110内で移動可能に設けられていてもよい。反応部160が移動可能に構成される場合、反応部160は、反応容器移送部150の一部としても機能しうる。
【0080】
図3の構成例では、検体測定装置100は、容器保持部10を収容する箱状の試薬保冷庫300を備える。
図4に示すように、容器保持部10は、試薬保冷庫300の断熱機能を有するケース310内に設けられている。試薬保冷庫300は、ケース310内に容器保持部10と冷却機構320とを有し、容器保持部10にセットされた試薬容器200内の試薬を保管に適した一定温度に保冷する。
【0081】
ケース310は、円形状の上面部311および底面部312と、円筒状の側面部313とにより区画された内部空間を有する。上面部311、底面部312および側面部313は、断熱材を含んでおり、ケース310の内部と外部とを断熱する。これにより、試薬容器200を冷温保管することができる。
【0082】
試薬保冷庫300は、押圧部20および試薬分注部30が試薬保冷庫300の内部へ進入するための孔部314を有する上面部311を有する。これにより、押圧部20および試薬分注部30を試薬保冷庫300の外部に配置できる。そのため、試薬保冷庫300の容積を極力小さくして冷却効率を向上させることができる。
【0083】
容器保持部10は、複数の試薬容器200を円周方向に並べて保持するように形成されている。
図4の構成例では、容器保持部10は、円環状の外周側の第1試薬保持部11と、円形状の内周側の第2試薬保持部12とを含む。第1試薬保持部11と第2試薬保持部12とは、同心状に配置されていて、互いに独立して回転できる。外周側の第1試薬保持部11は、試薬容器201を複数保持できる。内周側の第2試薬保持部12は、試薬容器202を複数保持できる。
【0084】
図5および
図6に示す各構成例では、試薬容器201は、後述するR2試薬を収容する容器本体232を含む。試薬容器202は、後述するR3試薬を収容する容器本体233と、R1試薬を収容する容器本体231とが、1組に連結された多連タイプの試薬容器である。容器本体231、容器本体232、容器本体233の各々には、開口210が設けられている。試薬容器200(201、202)は、容器本体231、232、233に着脱可能に設けられ、開口210を封止するためのキャップ250(
図6では図示省略)を備えている。キャップ250は、開閉可能に構成されておらず、容器本体231、232、233から取り外されない限り、容器本体231、232、233を密封できる。
【0085】
図18に示すように、蓋部220は、キャップ250に代えて容器本体231、232、233に着脱可能に構成されている。試薬容器200(201、202)は、輸送時や保管時などでは、容器本体231、232、233にキャップ250を装着した状態とされ、蓋部220は試薬容器200に添付される。そして、検体測定装置100の容器保持部10に設置される際に、ユーザによりキャップ250が取り外されて、蓋部220に付け替えられる。これにより、内部に試薬を収容した状態での試薬容器200の輸送時や保管時などにおいて、キャップ250により試薬を確実に密封して保管できる。また、キャップ250により、誤って蓋部220が開放されてしまうことも防止できる。そして、試薬容器200の開封時に、キャップ250を蓋部220に付け替えることができる。これにより、輸送時や保管時を含めて、試薬の蒸発や変性を極力抑制することができる。このように試薬容器200(201、202)では、試薬の蒸発や変性を極力抑制できるので、多数回の検体測定に使用可能なように試薬容器200を大容量化した場合にも、測定精度のばらつきなどを効果的に抑制できる点で有効である。
【0086】
図18の例では、容器本体231、232、233は、蓋部220を着脱するための取付部234を有する。蓋部220は、取付部234に係合することにより容器本体231、232、233を密閉するように構成されている。蓋部220には、取付部234に嵌る係合部225が設けられている。取付部234と係合部225とは、ねじ構造により係合するように構成されている。キャップ250にも同様に、取付部234と係合するねじ構造の係合部251が設けられている。これにより、蓋部220と容器本体231、232、233とを別体で設ける場合でも、蓋部220が取付部234に係合する構造によって、高い密閉度を容易に確保することができる。
【0087】
図5および
図6に戻り、試薬容器201および試薬容器202は、それぞれ、容器本体の上部を覆う上部カバー240を備える。上部カバー240は、容器本体の側面の一部を覆うように容器本体の側面に沿う外周部241を有し、外周部241の下端部に、容器保持部10と係合するための係合部242が設けられている。
図4に示したように、容器保持部10は、試薬容器201および試薬容器202を挿入するための保持孔13を有している。保持孔13の内周縁部に、係合部242を下側から支持する受け面14が設けられている。これにより、容器保持部10は、試薬容器201および試薬容器202の容器本体を保持孔13内に挿入した状態で、受け面14上に上部カバー240の係合部242を係合させて、試薬容器201および試薬容器202を吊り下げ状態で保持(
図4および
図8参照)する。
図5および
図6の構成例において、上部カバー240は、被把持部243を有する。試薬容器移送部170(
図3参照)が、図示しないハンド機構により被把持部243を掴んで試薬容器201および試薬容器202を持ち上げ、第1試薬保持部11および第2試薬保持部12の保持孔13にそれぞれセットできる。
【0088】
図4の構成例において、第1試薬保持部11に保持された複数の試薬容器201の各々は、同一円周上に並んで配置されている。第2試薬保持部12に保持された複数の試薬容器202の各々は、同一円周上に並んで配置されている。複数の試薬容器202の各々の容器本体231、233は、それぞれ異なる円周上に並んで配置されている。容器保持部10において、容器本体232、容器本体233、容器本体231の各々は、半径方向の異なる位置に配置されている。そのため、
図3に示したように、ケース310の上面部311には、R1試薬〜R3試薬のそれぞれの吸引位置に対応する孔部314が、対応する試薬容器が配列された円周上の所定位置に重なるように、3箇所に設けられている。
【0089】
検体測定装置100は、容器保持部10を移動させる保持部駆動部330を備える。保持部駆動部330は、たとえばステッピングモータやサーボモータなどの駆動源である。具体的には、
図7に示すように、外周側の第1試薬保持部11を円周方向に回転駆動する保持部駆動部331と、内周側の第2試薬保持部12を円周方向に回転駆動する保持部駆動部332とが、試薬保冷庫300の底面部312の外部の下方位置に設けられている。保持部駆動部332は、第2試薬保持部12の中心に接続され上下に延びる回転軸333を回転駆動することにより、第2試薬保持部12を回転させる。回転軸333は、下端部が保持部駆動部332に連結され、上端部が第2試薬保持部12の中心に連結されている。
【0090】
保持部駆動部331は、伝達機構334を介して第1試薬保持部11に連結されたベース板335を回転駆動することにより、第1試薬保持部11を回転させる。ベース板335は、カップリング336を介して、伝達機構334に連結されている。ベース板335およびカップリング336は、中央に回転軸333を通す貫通孔が設けられており、回転軸333とは独立して回転する。これにより、保持部駆動部331と、保持部駆動部332とが、それぞれ、外周側の第1試薬保持部11と、内周側の第2試薬保持部12とを独立して回転駆動させる。
【0091】
図8は、試薬保冷庫300の上面部311近傍の模式的な側面図を示しており、
図8中、上面部311よりも下側が試薬保冷庫300の内部領域になる。
図8の構成例では、押圧部20および試薬分注部30は、試薬保冷庫300の外部の上面部311上に設置されている。これにより、押圧部20および試薬分注部30が試薬保冷庫300の外部に配置されるので、試薬保冷庫300の容積を極力小さくして冷却効率を向上させることができる。
【0092】
R1試薬〜R3試薬に対応する3つの孔部314(
図3参照)は、それぞれ、押圧部20を通過させるための第1孔部314aと、試薬分注部30を通過させるための第2孔部314bとを含んでいる。押圧部20および試薬分注部30は、上面部311の上方から、対応する第1孔部314aおよび第2孔部314bをそれぞれ通過して、容器保持部10に保持された試薬容器200にアクセスする。
【0093】
押圧部20は、上下方向に延びる柱状形状を有する。押圧部20は、ガイド部21によって上下方向に直線移動するように案内される。押圧部20は、試薬保冷庫300の上面部311に設置さた押圧部駆動部22により、上下方向に移動される。押圧部駆動部22の構成は、特に限定されない。たとえば、エアシリンダ、ソレノイド、リニアモータなどの直動機構によって、押圧部20および押圧部駆動部22を一体化した構成としてもよい。エアシリンダの場合、ロッド部を押圧部20とし、空気圧が供給されるシリンダ部が押圧部駆動部22となる。また、押圧部駆動部22は、出力軸を回転させるモータにより構成してもよい。この場合、押圧部駆動部22と押圧部20とは、出力軸の回転を上下方向の直線運動に変換する変換機構を介して接続される。変換機構は、たとえばカム機構、ラック−ピニオン機構、ベルト−プーリ機構などである。押圧部駆動部22が試薬保冷庫300の外部に設置されているため、押圧部20の作動に伴う発熱に起因する試薬保冷庫300内の温度変化を抑制できる。
【0094】
なお、
図8の構成例では、容器保持部10は、押圧部20の下方に蓋部220の第1領域221および第2領域222をそれぞれ配置するように、水平方向に移動する。押圧部20は、上面部311上で水平移動不能に設けられている。これにより、第1領域221および第2領域222をそれぞれ押圧するために押圧部20を複数設けたり、押圧部20を水平移動させる機構を設けたりする必要がないので、押圧部20の構成を簡素化できる。
【0095】
具体的には、保持部駆動部330が、容器保持部10を円周方向に回転移動させて、各々の試薬容器200を押圧部20の下方に配置させる。これにより、複数の試薬容器200から選択的に試薬を吸引する場合に、個々の試薬容器200に対応させて押圧部20を複数設ける必要がなくなる。その結果、装置構成を簡素化できる。また、試薬容器200を水平面内でXY方向に移動させる場合と比べて、保持部駆動部330は単に円周方向に試薬容器200を回転移動させればよいので、保持部駆動部330の構成も簡素化できる。
【0096】
また、
図8の構成例では、検体測定装置100は、試薬保冷庫300の孔部314を開閉するためのシャッタ機構340を備える。シャッタ機構340は、3箇所の孔部314(
図3参照)の各々に1つずつ設けられ、第1孔部314aおよび第2孔部314bを開閉できる。シャッタ機構340は、試薬保冷庫300の内部に設けられている。シャッタ機構340は、上面部311の内面側に設けられている。シャッタ機構340によって試薬を吸引しない場合に試薬保冷庫300の気密性を向上させることができるので、試薬保冷庫300内の温度変化の抑制および冷却効率の向上が図れる。
【0097】
試薬分注部30は、蓋部220の開放状態において試薬容器200内の試薬を吸引し、吸引した試薬を反応容器50に分注する。試薬分注部30は、試薬の吸引および吐出を行うための吸引管30aを、第2孔部314bと、所定の試薬分注位置(
図3参照)との間で水平方向に移動できる。また、試薬分注部30は、吸引管30aを上下方向に移動させ、第2孔部314bの上方から第2孔部314bを通過させて試薬容器200の内部に進入させることができ、第2孔部314bの上方位置まで吸引管30aを退避させることができる。吸引管30aは、図示しない流体回路と接続され、容器保持部10の試薬容器200から所定量の試薬を吸引し、試薬分注位置に移送された反応容器50に試薬を分注する。
【0098】
吸引管30aは、液面センサ30bに接続されている。液面センサ30bは、制御部400に接続されており、試薬容器200から試薬を吸引する際、試薬の液面と吸引管30aとの接触による静電容量の変化に基づいて試薬液面を検知して、検知結果を制御部400に出力する。また、制御部400は、試薬分注部30の動作量を監視することによって、吸引管30aの上下方向の移動量を監視する。
【0099】
試薬分注部30は、たとえば、R1試薬〜R3試薬の各々の分注用に、3つ設けられる。1つの試薬分注部30によって、複数種類の試薬を分注してもよい。
図3に示した構成例では、試薬分注部30は、R1試薬を分注するための第1試薬分注部31と、R2試薬を分注するための第2試薬分注部32と、R3試薬を分注するための第3試薬分注部33と、を含む。また、試薬分注部30は、R4試薬を分注するための第4試薬分注部34およびR5試薬を分注するための第5試薬分注部35を含む。
【0100】
第1試薬分注部31は、R1試薬を吸引するための最も内周側の孔部314と、所定のR1試薬分注位置との間で吸引管30aを移動できる。第2試薬分注部32は、R2試薬を吸引するための最も外周側の孔部314と、所定のR2試薬分注位置との間で吸引管30aを移動できる。第3試薬分注部33は、R3試薬を吸引するための径方向中間位置の孔部314と、所定のR3試薬分注位置との間で吸引管30aを移動できる。第4試薬分注部34および第5試薬分注部35は、それぞれR4試薬およびR5試薬を収容した試薬容器(図示せず)と送液チューブを介して接続されており、反応容器移送部150によって移送された反応容器50中に試薬を吐出できる。
【0101】
図3に戻り、BF分離部180は、反応容器50から、液相と固相とを分離するBF分離処理を実行する機能を有する。BF分離部180は、それぞれ反応容器を設置可能な処理ポートを1つまたは複数含む。処理ポートには、R2試薬に含まれる磁性粒子を集磁するための磁力源182(
図15参照)と、液相の吸引および洗浄液の供給を行うための洗浄部181(
図15参照)とが設けられている。BF分離部180は、後述する免疫複合体が形成された磁性粒子を集磁した状態で、洗浄部181により反応容器50内の液相を吸引して洗浄液を供給する。洗浄部181は、液相の吸引通路と洗浄液の吐出通路とを備え、図示しない流体回路に接続されている。これにより、液相に含まれる不要な成分を免疫複合体と磁性粒子との結合体から分離して除去できる。
【0102】
測定部40は、光電子増倍管などの光検出器40a(
図15参照)を含む。測定部40は、各種処理が行なわれた検体の抗原に結合する標識抗体と発光基質との反応過程で生じる光を光検出器40aで取得することにより、その検体に含まれる抗原の量を測定する。
【0103】
制御部400は、CPUなどのプロセッサ401と、ROM、RAMおよびハードディスクなどの記憶部402とを含む。プロセッサ401は、記憶部402に記憶された制御プログラムを実行することにより、検体測定装置100の制御部として機能する。制御部400は、上述した検体測定装置100の各部の動作を制御する。
【0104】
(シャッタ機構の開閉構造)
図9〜
図12を参照して、押圧部およびシャッタ機構の構成例を示す。
【0105】
図9の構成例では、
図9(A)から
図9(B)のように、押圧部20は、下方向の移動に伴ってシャッタ機構340と接触してシャッタ機構340を開放する。これにより、蓋部220を開放する際、押圧部20が下降することによりシャッタ機構340を開放させるので、シャッタ機構340を開放するための駆動源を別途設ける必要がない。そのため、シャッタ機構340を設ける場合の装置構成を簡素化できる。
図9の構成例では、シャッタ機構340には、開閉のための専用の駆動源は設けられていない。駆動源に起因する発熱が発生しないため、
図8のように上面部311の内面側にシャッタ機構340を設けても、開閉に伴って試薬保冷庫300の庫内温度を上昇させることが回避できる。
【0106】
図9の構成例では、押圧部20は、第1領域221および第2領域222と接触する下端部24と、下端部24よりも上側に設けられ、シャッタ機構340と接触する接触面23とを有する。押圧部20は、下降する際に接触面23によってシャッタ機構340を押圧することにより、シャッタ機構340を開放させる。これにより、下端部24がシャッタ機構340よりも下方に移動した後で接触面23がシャッタ機構340を開放させる構造となる。そのため、蓋部220を開放する直前までシャッタ機構340を閉じておくことができるので、試薬保冷庫300の温度変化を効果的に抑制できる。
【0107】
図9の構成例では、シャッタ機構340は、上面部311に沿って水平方向に移動可能に構成され、接触面23は、下方向移動に伴ってシャッタ機構340を水平方向に移動させる傾斜面を含む。
図9の構成例では、接触面23が、上下方向に対して所定角度θ傾斜した傾斜面となっている。これにより、押圧部20が下方向へ移動すると、シャッタ機構340が傾斜面に接触し、傾斜面に沿って水平方向に押しのけられるようにして、開放される。そのため、接触面23に傾斜面を設ける簡素な構成で、押圧部20の下方向への移動を、シャッタ機構340の水平方向移動に変換することができる。
図9では、シャッタ機構340は、上面側に傾斜面344を有し、傾斜面同士が接触するように構成しているため、接触抵抗を低減できる。
【0108】
図9の構成例では、シャッタ機構340は、互いに離れる方向に移動可能に隣接する一対のシャッタ341を含む。また、押圧部20は、一対のシャッタ341の間の位置で上下方向へ移動可能に配置されている。そして、接触面23は、押圧部20の同じ上下位置で、各々のシャッタと接触するように押圧部20の両側に設けられたテーパ状の傾斜面を含む。これにより、押圧部20は、下方向移動に伴って一対のシャッタ341を互いに反対方向に割り拡げるように移動させて、シャッタ機構340を開放させる。そのため、傾斜面からなる接触面23が押圧部20の両側の同じ位置に設けられるので、シャッタ341を一方向のみに移動させる場合と比べて、傾斜面の傾斜角度θを大きくしなくても、押圧部20の下降量に対するシャッタ機構340の開放量を大きくできる。すなわち、
図10(A)および
図10(B)に示すように、片側のみに傾斜面を設けて
図9と同じストローク量D1でシャッタ機構340を開閉するには、傾斜面の傾斜角度θを大きくする必要があり、より大きな下向きの押圧力が必要になる。
図9の構成例では、大きな押圧力を要することなく、単位ストローク量当たりの開放量を大きくできる。
【0109】
なお、
図9の構成例では、押圧部20は、円柱状に形成され、接触面23は、円柱状の押圧部20の外周を絞ったテーパ形状(
図12参照)に形成されている。そのため、傾斜面が押圧部20の全周に渡って形成されている。角柱状の押圧部20において、対向する一対の側面に傾斜面を形成するだけでもよい。
【0110】
図11および
図12は、シャッタ機構340を試薬保冷庫300の内面側から見た図であり、
図11がシャッタ機構340を閉じた状態、
図12がシャッタ機構340を開いた状態を示す。シャッタ機構340は、閉じた状態では一対のシャッタ341により第1孔部314aおよび第2孔部314bを塞ぐ。シャッタ機構340は、開いた状態では一対のシャッタ341により第1孔部314aおよび第2孔部314bを開放する。
【0111】
図11および
図12の構成例では、一対のシャッタ341は、それぞれ、互いに一端E1側の端部341aでシャッタヒンジ342により回動可能に連結された柱状部材により構成されている。一対のシャッタ341は、それぞれ、直線状に延びる細長い板状形状の柱状部材により形成されている。シャッタヒンジ342は、一対のシャッタ341の各々の端部341aを貫通して上面部311に固定されており、一対のシャッタ341の回動軸となっている。一対のシャッタ341は、押圧部20の接触面23に押圧されることにより、シャッタヒンジ342を中心に互いに離れる方向に回動する。
【0112】
図12に示すように、孔部314は、シャッタ341の一端E1側の位置に配置された第1孔部314aと、シャッタ341の一端側とは反対の他端E2側の位置に配置され、第1孔部314aよりも大きい第2孔部314bとを含み、押圧部20が第1孔部314aを通過するように設けられ、試薬分注部30が第2孔部314bを通過するように設けられている。つまり、第2孔部314bの方が、第1孔部314aよりも、回動中心であるシャッタヒンジ342から離れた位置に配置されている。この結果、押圧部20が一対のシャッタ341の回動中心に近い側を通過してシャッタ機構340を開放し、試薬分注部30が回動中心から遠い側を通過する。これにより、押圧部20が一対のシャッタ341を所定角度だけ回動させると、試薬分注部30が通過する第2孔部314bの位置では、回動中心からの距離が大きくなる分だけ一対のシャッタ341の移動量が大きくなり、試薬分注部30の吸引動作を妨げないように第2孔部314bを大きく開放できる。そのため、
図11および
図12の構成例では、第2孔部314bの内径は、第1孔部314aの内径よりも大きく、第2孔部314bに吸引管30aを容易に進入させることができる。
【0113】
図11および
図12の構成例では、シャッタ機構340は、孔部314を閉鎖する方向に付勢する付勢部材343を含む。この例では、付勢部材343は、トーションバネにより構成されている。付勢部材343は、シャッタヒンジ342に巻回されており、両端がそれぞれ一対のシャッタ341の係合部341bに当接している。これにより、付勢部材343は、一対のシャッタ341の各係合部341bを互いに近付く方向に押圧することにより、孔部314を閉鎖する方向にシャッタ機構340を付勢している。
【0114】
押圧部20は、下方移動に伴って付勢部材343の付勢力に抗してシャッタ機構340を開放させ、上方移動に伴って付勢部材343の付勢力によってシャッタ機構340を閉鎖させる。つまり、シャッタ機構340の開放後、押圧部20が上昇するだけで、付勢部材343の付勢力によってシャッタ機構340が自動的に閉鎖する。これにより、シャッタ機構340の開放用の駆動源のみならず、シャッタ機構340の閉鎖用のモータなどの駆動源も設ける必要がなくなるので、装置構成を簡素化できる。
【0115】
図13(A)および
図13(B)の構成例では、付勢部材343が、引張コイルバネにより構成されている。付勢部材343は、シャッタヒンジ342が設けられた一端E1とは反対の他端E2側に設けられ、一対のシャッタ341の係合部341bを互いに近付く方向に付勢している。付勢部材343は、
図13のような構成でもよい。
【0116】
(押圧部による蓋部の開閉動作)
図14は、押圧部20による蓋部220の開閉動作の流れを示している。
図14において、押圧部20は、接触面23(ハッチング部分)が一点鎖線で示すシャッタ開放高さH1を通過して下方向に移動することにより、シャッタ機構340を開放する。接触面23がシャッタ開放高さH1を通過して上方向に移動すると、シャッタ機構340は付勢部材343の付勢力により閉鎖される。蓋部220の開放および閉塞に関しては、押圧部20の下端部24の高さ位置を基準とする。
【0117】
図14(A)に示すように、試薬の吸引を行わない場合、押圧部20は、下端部24が所定の上昇位置H2に配置されるように待機する。上昇位置H2は、閉鎖状態の蓋部220よりも上方の所定位置である。上昇位置H2において、接触面23はシャッタ開放高さH1よりも上方に配置され、シャッタ機構340は閉じられた状態である。
【0118】
試薬の吸引を行う場合、
図14(B)に示すように、容器保持部10が保持部駆動部330により周方向に回転駆動され、吸引すべき試薬を収容する試薬容器200が押圧部20の下方に水平移動される。より正確には、保持部駆動部330は、試薬容器200のうち、蓋部220の第1領域221を、押圧部20の直下に位置付ける。
【0119】
試薬容器200が配置されると、押圧部20が下方向に移動して蓋部220の第1領域221を下方向に押圧する。
図14(B)の例では、押圧部20は、蓋部220の開放時に、第1領域221の回動中心223からの長さD2と略等しい量D3だけ回動中心223よりも下方に位置する下降位置H3まで下降する。ここで、第1領域221の回動中心223からの長さは、回動中心223回りに回動する第1領域221の円弧状軌跡の半径に相当する。そのため、押圧部20が半径分だけ回動中心223よりも下方に位置する下降位置H3まで下降することにより、押圧部20に押された第1領域221が略真下を向くまで蓋部220が回動することになる。その結果、蓋部220の回動量を大きくして開口210をより大きく開放できるので、試薬吸引時に開放状態の蓋部220が邪魔にならずに容易に試薬を吸引できる。
図14(B)の例では、回動中心223からの下降位置H3への下降量D3は、長さD2と略等しいが若干小さく、蓋部220は90度近傍の90度よりも小さい角度回動する。
【0120】
このように、
図14の例による検体測定方法では、蓋部220を開放する際、押圧部20に対して試薬容器200を水平方向に相対移動させて第1領域221を押圧部20の下方に配置し、押圧部20を、第1領域221の回動中心223からの長さと略等しい量だけ回動中心223よりも下方に位置する下降位置H3まで下降させる。これにより、蓋部220の回動量を大きくして開口210をより大きく開放できるので、試薬吸引時に開放状態の蓋部220が邪魔にならずに容易に試薬を吸引できる。
【0121】
下降位置H3において、接触面23は、シャッタ開放高さH1よりも下方に配置され、シャッタ機構340は開放された状態となる。つまり、押圧部20は、下降位置H3まで下方向に移動する過程で、接触面23により一対のシャッタ341を押し拡げ、シャッタ機構340を開放する。シャッタ機構340は、試薬分注部30を通過させる第2孔部314bも開放する。押圧部20が第1領域221を下降位置H3まで下方向に押圧することにより、第2領域222が上方に回動して、蓋部220を開放する。これにより、試薬容器200の開口210が開放される。
【0122】
このように、
図14の例による検体測定方法では、蓋部220を開放する際、上面部311の外部から下降する押圧部20によって孔部314を塞ぐシャッタ機構340を開放させる。これにより、シャッタ機構340によって試薬を吸引しない場合に試薬保冷庫300の気密性を向上させることができるので、試薬保冷庫300内の温度変化の抑制および冷却効率の向上が図れる。また、蓋部220を開放する際、押圧部20が下降することによりシャッタ機構340を開放させるので、シャッタ機構340を開放するための駆動源を別途設ける必要がない。そのため、シャッタ機構340を設ける場合の装置構成を簡素化できる。
【0123】
図14(B)に示すように、蓋部220が開いて試薬容器200の開口210が開放されると、試薬分注部30は吸引管30aを試薬保冷庫300の上方から下降させ、第2孔部314bを介して試薬保冷庫300の内部に進入させ、開口210を介して試薬容器200の内部に進入させる。試薬分注部30は、吸引管30aにより試薬容器200内の試薬を吸引する。所定量の試薬吸引が完了すると、試薬分注部30は、吸引管30aを上昇させて、開口210および第2孔部314bを通過させて試薬保冷庫300の内部から吸引管30aを退避させる。試薬吸引が完了するまで、押圧部20の下端部24は、下降位置H3に位置付けられる。
【0124】
図14(C)に示すように、押圧部20は、閉鎖状態の蓋部220の第1領域221を下方向に押圧して蓋部220を開放した後、回動中心223よりも上方で、開放状態の第2領域222に接触する上昇位置H2まで上方移動する。つまり、上昇位置H2において、押圧部20の下端部24は、回動中心223と、開放状態の第2領域222の先端部との間に配置される。容器保持部10は、保持部駆動部330により周方向に回転駆動され、開口210が押圧部20の下方に位置付けられるように水平移動する。開放状態の蓋部220は、第2領域222の自重によって開口210に向けて回動するか、または、水平移動に伴って押圧部20と第2領域222とが水平方向に当接することによって、開口210に向けて回動する。上昇位置H2を、開放状態の第2領域222に接触する位置とすることによって、押圧部20を第2領域222に確実に接触させることができる。
【0125】
図14(D)に示すように、蓋部220が開口210に向けて回動すると、第2領域222の自重によって、自然的に開口210を閉鎖した状態となる。しかし、第2領域222の自重だけでは蓋部220を完全に閉鎖しない場合がある。
図14の例では、第2領域222の内面側には、開口210に嵌り込んで栓をするための突起部224(
図18参照)が設けられている。突起部224が開口210の縁部に接触するため、蓋部220の回動は、蓋部220が完全には閉鎖されない仮閉め位置CPで停止する。
【0126】
このように、
図14の例による検体測定方法では、蓋部220を閉鎖する際、押圧部20を、回動中心223よりも上方で、開放状態の第2領域222に接触する上昇位置H2まで移動させ、押圧部20に対して試薬容器200を水平方向に相対移動させて押圧部20と第2領域222とを水平方向に接触させることにより、蓋部220を仮閉め位置CPまで回動させる。これにより、第2領域222が開放状態で略直立するまで回動された場合にも、上昇位置H2の押圧部20が第2領域222に水平方向に接触して第2領域222を仮閉め位置CPまで開口210側へ回動させることができる。その結果、蓋部220を大きく回動させる場合でも、確実に蓋部220を密閉できる。
【0127】
図14(E)に示すように、押圧部20は、上昇位置H2において開放状態の第2領域222と水平方向に接触して蓋部220を仮閉め位置CPまで回動させた後、仮閉め位置CPにおける第2領域222を下方向に押圧して蓋部220を回動させ、蓋部220により試薬容器200の開口210を密閉させる。これにより、第2領域222が開放状態で略直立するまで回動された場合にも、上昇位置H2の押圧部20が第2領域222に水平方向に接触して第2領域222を仮閉め位置CPまで開口210側へ回動させることができる。その結果、仮閉め位置CPの第2領域222を、押圧部20が容易に下方向に押圧して開口210を密閉できる。
【0128】
このように、
図14の例による検体測定方法では、押圧部20に対して試薬容器200を水平方向に相対移動させて仮閉め位置CPの第2領域222を押圧部20の下方に配置し、閉鎖状態の第2領域222の上面位置である蓋閉め位置H4へ押圧部20を下降させて、第2領域222により開口210を密閉させる。これにより、第1領域221および第2領域222をそれぞれ押圧するために押圧部20を複数設けたり、押圧部20を水平移動させる機構を設けたりする必要がないので押圧部20の構成を簡素化できる。そして、仮閉め位置CPの第2領域222を、押圧部20が容易に下方向に押圧して開口210を密閉できる。
【0129】
また、押圧部20は、蓋部220を押圧して、蓋部220に形成された突起部224を開口210に嵌合させる。すなわち、押圧部20の下端部24は、完全に閉じた状態の第2領域222の上面の高さ位置に相当する蓋閉め位置H4まで下降して、突起部224を開口210の内部に嵌合させつつ蓋部220を閉鎖させる。蓋閉め位置H4は、下降位置H3と上昇位置H2との間の高さ位置にある。蓋閉め位置H4において、接触面23はシャッタ開放高さH1よりも上方に配置され、シャッタ機構340は閉じられた状態である。したがって、
図14の構成例では、押圧部20は、シャッタ機構340を閉じた状態に維持したまま、蓋閉め位置H4まで下降して、仮閉め位置CPの蓋部220を密閉させることができる。
【0130】
このように、押圧部20は、開放状態の第2領域222に接触する上昇位置H2と、上昇位置H2よりも下方で、開放状態の第1領域221に接触する下降位置H3と、上昇位置H2および下降位置H3の間で、第2領域222を押圧して蓋部220を閉鎖させる蓋閉め位置H4と、に上下移動するように構成されている。そして、シャッタ機構340は、押圧部20が上昇位置H2および蓋閉め位置H4に位置する場合に閉鎖され、押圧部20が下降位置H3に位置する場合に開放されるように構成されている。これにより、蓋部220が開放される下降位置H3まで押圧部20が下降した場合にだけシャッタ機構340を開放し、蓋閉めを行う場合にはシャッタ機構340を閉鎖しておくことができる。そのため、試薬保冷庫300の孔部314が開放される時間を極力短縮できるので、試薬保冷庫300の温度変化を効果的に抑制できる。
【0131】
押圧部20が蓋閉め位置H4まで下降して第2領域222を押圧した後は、上昇位置H2まで上方向に移動して、
図14(A)の状態に戻り待機する。上昇位置H2と蓋閉め位置H4との間での移動では、シャッタ機構340は動かずに閉じたままであり、下降位置H3に移動させる際に、シャッタ機構340は開放される。
【0132】
以上のように、
図14の例による検体測定方法では、蓋部220を閉鎖する際、押圧部20を、回動中心223よりも上方で、開放状態の第2領域222に接触する上昇位置H2まで移動させることにより、シャッタ機構340を閉鎖させる。これにより、蓋部220が開放された後、押圧部20が上昇位置H2まで移動して蓋閉めの動作を開始する際には、シャッタ機構340を閉鎖することができる。そのため、試薬保冷庫300の孔部314が開放される時間を短縮できるので、試薬保冷庫300の温度変化を効果的に抑制できる。
【0133】
そして、
図14の例による検体測定方法では、蓋部220を閉鎖する際、シャッタ機構340の閉鎖状態を維持したまま、閉鎖状態の第2領域222の上面位置である蓋閉め位置H4へ押圧部20を下降させて、第2領域222により開口210を密閉させる。これにより、シャッタ機構340が閉鎖されたままの状態で、蓋閉めの動作を行うことができる。そのため、試薬保冷庫300の孔部314が開放される時間をさらに短縮できるので、試薬保冷庫300の温度変化をより一層効果的に抑制できる。
【0134】
(免疫測定の概要)
図3〜
図14に示した構成例では、上記の通り、R1試薬〜R5試薬を用いて免疫測定が行われる。
図15を参照して、免疫測定の一例として、被検物質81がB型肝炎表面抗原(HBsAg)である例について説明する。
【0135】
まず、反応容器50に被検物質81を含む検体とR1試薬とが分注される。第1試薬分注部31により、R1試薬が反応容器50中に分注され、検体分注部130により、反応容器50中に検体が分注される。R1試薬は、捕捉物質84を含有し、被検物質81と反応して結合する。捕捉物質84は、捕捉物質84がR2試薬に含まれる固相担体82と結合するための結合物質を含む。
【0136】
この結合物質と固相担体との結合には、たとえばビオチンとアビジン類、ハプテンと抗ハプテン抗体、ニッケルとヒスタチジンタグ、グルタチオンとグルタチオン−S−トランスフェラーゼなどの組み合わせが利用できる。なお、「アビジン類」とは、アビジンおよびストレプトアビジンを含むことを意味する。
【0137】
たとえば、捕捉物質84は、ビオチンで修飾された抗体(biotin抗体)である。すなわち、捕捉物質84には、結合物質としてビオチンが修飾されている。検体とR1試薬との分注後、反応部160において反応容器50内の試料が所定温度に加温されることにより、捕捉物質84と被検物質81とが結合する。
【0138】
次に、第2試薬分注部32により、反応容器50にR2試薬が分注される。R2試薬は、固相担体82を含有する。固相担体82は、捕捉物質84の結合物質と結合する。固相担体82は、たとえばビオチンと結合するストレプトアビジンを固定した磁性粒子(StAvi結合磁性粒子)である。StAvi結合磁性粒子のストレプトアビジンは、結合物質であるビオチンと反応して結合する。R2試薬の分注後、反応部160において反応容器50内の試料が所定温度に加温される。この結果、被検物質81と捕捉物質84とが、固相担体82と結合する。
【0139】
固相担体82上に形成された被検物質81および捕捉物質84と、未反応の捕捉物質84とは、BF分離部180による1次BF分離処理によって分離される。BF分離部180の処理ポートに反応容器50がセットされると、BF分離部180は、磁力源182による集磁状態での洗浄部181による液相の吸引と、洗浄液の吐出と、非集磁状態での攪拌と、の各工程を1または複数回実行する。1次BF分離処理によって、未反応の捕捉物質84などの不要成分が、反応容器50中から除去される。1次BF分離処理では、最終的に反応容器50内の液相が吸引された状態で、次の工程に進む。
【0140】
次に、第3試薬分注部33により、反応容器50にR3試薬が分注される。R3試薬は、標識物質83を含有し、被検物質81と反応して結合する。R3試薬の分注後、反応部160において反応容器50内の試料が所定温度に加温される。この結果、固相担体82上に、被検物質81と、標識物質83と、捕捉物質84とを含む免疫複合体85が形成される。
図15の例では、標識物質83は、ALP(アルカリホスファターゼ)標識抗体である。
【0141】
固相担体82上に形成された免疫複合体85と、未反応の標識物質83とは、2次BF分離処理によって分離される。BF分離部180は、磁力源182による集磁状態での液相の吸引と、洗浄液の吐出と、非集磁状態での攪拌と、の各工程を1または複数回実行する。2次BF分離処理によって、未反応の標識物質83などの不要成分が、反応容器50中から除去される。2次BF分離処理では、最終的に反応容器50内の液相が吸引された状態で、次の工程に進む。
【0142】
その後、第4試薬分注部34および第5試薬分注部35の各々により、反応容器50にR4試薬およびR5試薬が分注される。R4試薬は、緩衝液を含有する。固相担体82と結合した免疫複合体85が緩衝液中に分散される。R5試薬は、化学発光基質を含有する。R4試薬に含有される緩衝液は、免疫複合体85に含まれる標識物質83の標識(酵素)と基質との反応を促進する組成を有する。R4、R5試薬の分注後、反応部160において反応容器50内の試料が所定温度に加温される。標識に対して基質を反応させることによって光が発生し、発生する光の強度が測定部40の光検出器40aにより測定される。制御部400は、測定部40の検出信号に基づいて、検体中の被検物質81の含有量などを分析する。
【0143】
(分析処理動作の説明)
次に、
図15に示した検体測定装置100の分析処理動作を、
図16を用いて説明する。また、
図16に示す各ステップの処理は、制御部400によって制御される。
【0144】
ステップS1において、制御部400は、反応容器移送部150に反応容器50をR1試薬分注位置に移送させる。制御部400は、第1試薬分注部31に、反応容器50内にR1試薬を分注させる。
【0145】
ステップS2において、反応容器50に検体が分注される。制御部400は、検体分注部130により検体搬送部120上の試験管から検体を吸引させる。制御部400は、検体分注部130により、吸引した検体を反応容器50に分注させる。分注後、検体分注部130は、図示しない廃棄口に分注チップを廃棄するように制御される。検体分注部130は、分注チップを介した分注動作を行う度に、未使用の分注チップに交換する。
【0146】
ステップS3において、制御部400は、反応容器移送部150により反応容器50をR2試薬分注位置に移送させ、第2試薬分注部32により反応容器50にR2試薬を分注させる。R2試薬の分注後、制御部400は、反応容器移送部150により、反応部160に反応容器50を移送させる。反応容器50は、反応部160において所定時間の間加温される。
【0147】
ステップS4において、制御部400は、BF分離部180に1次BF分離処理を実行させる。まず、制御部400は、反応容器移送部150により反応容器50をBF分離部180に移送させる。BF分離部180は、反応容器50中の試料に対して1次BF分離処理(
図15参照)を行い、液体成分を除去するように制御される。
【0148】
ステップS5において、制御部400は、反応容器移送部150により反応容器50をR3試薬分注位置に移送し、第3試薬分注部33により反応容器50にR3試薬を分注させる。R3試薬の分注後、制御部400は、反応容器移送部150により、反応部160に反応容器50を移送させる。反応容器50は、反応部160において所定時間の間加温される。
【0149】
ステップS6において、制御部400は、BF分離部180に2次BF分離処理を実行させる。まず、制御部400は、反応容器移送部150により反応容器50をBF分離部180に移送させる。BF分離部180は、反応容器50中の試料に対して2次BF分離処理(
図15参照)を行い、液体成分を除去するように制御される。
【0150】
ステップS7において、反応容器50にR4試薬が分注される。制御部400は、反応容器移送部150により反応容器50をR4試薬分注位置に移送させ、第4試薬分注部34により、反応容器50にR4試薬を分注させる。
【0151】
ステップS8において、反応容器50にR5試薬が分注される。制御部400は、反応容器移送部150により反応容器50をR5試薬分注位置に移送させ、第5試薬分注部35により、反応容器50にR5試薬を分注させる。R5試薬の分注後、制御部400は、反応容器移送部150により、反応部160に反応容器50を移送させる。反応容器50は、反応部160において所定時間の間加温される。
【0152】
ステップS9において、免疫複合体85の検出処理が行われる。制御部400は、反応容器移送部150により反応容器50を測定部40に移送させる。測定部40により、標識に対して基質を反応させることによって生じる光の強度が測定される。測定部40の検出結果は、制御部400に出力される。
【0153】
検出終了後は、ステップS10において、反応容器移送部150が、分析処理済みの反応容器50を測定部40から取り出して、図示しない廃棄口に廃棄するように制御される。
【0154】
以上により、検体測定装置100による分析処理動作が行われる。
【0155】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。