(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ワックスは、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはそれらの混合物であり、前記ワックスは、前記トナーの固形物の1から10重量%の量で存在する、請求項12に記載のトナー。
前記シェル用の前記非晶質樹脂が、コポリ−(プロポキシル化ビスフェノールA−テレフタレート)−コポリ−(プロポキシル化ビスフェノールA−ドデセニルコハク酸エステル)−コポリ−(プロポキシル化ビスフェノールA−フマレート)、およびコポリ−(プロポキシル化ビスフェノールA−テレフタレート)−コポリ−(プロポキシル化ビスフェノールA−ドデセニルコハク酸エステル)−コポリ−(エトキシル化ビスフェノールA−テレフタレート)−コポリ−(エトキシル化ビスフェノールA−ドデセニルコハク酸エステル)−コポリ−(プロポキシル化ビスフェノールA−トリメリテート)−コポリ−(エトキシル化ビスフェノールA−トリメリテート)で構成される群から選択される、請求項16に記載のトナー。
【発明を実施するための形態】
【0025】
コポリエステル−コポリジメチルシロキサン
例えばE.I.DuPontから入手可能であると考えられ、開示された冷圧定着トナーのコアに、例えばコアのトナー固形分に基づいて、例えば約20重量%〜約80重量%、約10重量%〜約75重量%、約25重量%〜約75重量%、約45重量%〜約50重量%、または約50重量%〜約80重量%の量で含まれる、コポリエステル−コポリジメチルシロキサンの例を以下の反応式Iに示す。
【0028】
式中、R
1およびR
2はメチルであり、a、b、m、nおよびpは繰り返しセグメントの数を表し、例えばaは1〜約1,000の数であり、bは1〜約100の数であり、mは約2〜約12の数であり、nはゼロ(0)であるか、またはnは約2〜約12の数であり、pは約5〜約10,000の数であり、aおよびbはコポリマーのランダムセグメントを表し、aとbの合計は約100%である。
【0029】
開示された冷圧定着トナー用に選択されるコポリエステル−コポリジメチルシロキサンは、以下の式/構造で表すことができ、
【0031】
式中、R
1およびR
2はメチルであり、a、b、m、nおよびpは繰り返しセグメントの数を表し、より具体的には、aは1〜約1,000、約100〜約500、または約300〜約700の数であり、bは、1〜約100、約50〜約75、または約40〜約75の数であり、mは2〜約12、または6〜約10の数であり、nはゼロ(0)であるか、またはnは約2〜約12、または約4〜約10の数であり、pは5〜約1,000、約325〜約725、または約100〜約500の数であり、aおよびbはコポリマーのランダムセグメントを表し、aとbの合計は約100%である。
【0032】
実施形態では、本明細書に示すように、コポリエステル−コポリジメチルシロキサンは、有機二酸、有機ジオールおよびカルビノール(ヒドロキシル)末端ジメチルシロキサンの反応によって調製することができる。
【0033】
コポリエステル−コポリジメチルシロキサンの調製用に選択される有機二酸またはジエステルの例には、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マロン酸、メサコン酸、それらのジエステルまたは無水物が含まれる。有機二酸は、例えば、樹脂の約45〜約55モル%の量で選択され得る。
【0034】
開示されたコポリエステル−コポリジメチルシロキサンの調製用に選択される有機ジオールの例には、約2〜約36個の炭素原子を有する脂肪族ジオール、特にアルキルジオール、例えば1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールおよび同様の物が含まれる。脂肪族ジオールは、例えば、樹脂の約45〜約55モル%の量で選択される。
【0035】
開示されたコポリエステル−コポリジメチルシロキサンの調製用に選択されるカルビノール(ヒドロキシル)末端ポリジメチルシロキサンの例は、Gelest社からDMS−15〜DMS−23として入手可能なビス(3−ヒドロキシプロピル)−ポリジメチルシロキサン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−ポリジメチルシロキサン、ビス(4−ヒドロキシブチル)−ポリジメチルシロキサンを含み、カルビノール(ヒドロキシル)末端ポリジメチルシロキサンジオールの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC分析)で測定されるように、例えば約300〜30,000g/モルであり、例えば約30センチストークスから約300センチストークスの粘度を示す。
【0036】
開示された圧力定着トナー用に選択されるコポリエステル−コポリジメチルシロキサンは、例えば約2,000ダルトン〜約50,000ダルトン、または約4,000ダルトン〜約10,000ダルトンの数平均分子量(M
n)を有し、約5,000ダルトン〜約100,000ダルトン、または約10,000ダルトン〜約50,000ダルトンの重量平均分子量(M
w)を有し、その分子量はゲル透過クロマトグラフィーで測定することができる。
【0037】
本明細書に例示された冷圧定着コアに含まれる特定の結晶性コポリエステル−コポリジメチルシロキサンは、コポリ(ヘキシレンドデカノエート)−コポリ−(3−プロピル−ジメチルシロキサン)、コポリ(ブチレンドデカノエート)−コポリ−(3−プロピル−ジメチルシロキサン)、コポリ−(エチレンセバケート)−コポリ−(3−プロピル−ジメチルシロキサン)、コポリ−(ブチレンセバケート)−コポリ−(3−プロピル−ジメチルシロキサン)、コポリ−(ブチレンドデカノエート)−コポリ−(3−プロピル−ジメチルシロキサン)、樹脂Aのコポリ−(エチレンドデカノエート)−コポリ−(3−プロピル−ジメチルシロキサン)、樹脂Bのコポリ−(ノニレンドデカノエート)−コポリ−(3−プロピル−ジメチルシロキサン)、および任意選択的に、本明細書で開示されている表1に示す特性を有する樹脂Aおよび樹脂Bとこれらの混合物である。
【0038】
融和性非晶質樹脂
開示された冷圧定着トナーのコアには、例えばトナーの約25重量%〜約80重量%、約25重量%〜約50重量%、約20重量%〜約50重量%、または約50重量%〜約60重量%の量で、terpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−テレフタレート)−terpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−ドデセニルコハク酸エステル)−terpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−フマレート)、terpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−テレフタレート)−terpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−ドデセニルコハク酸エステル)−terpoly−(エトキシル化ビスフェノールA−テレフタレート)−terpoly−(エトキシル化ビスフェノールA−ドデセニルコハク酸エステル)−terpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−トリメリテート)−terpoly−(エトキシル化ビスフェノールA−トリメリテート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノールA−コフマレート)、コポリ(プロポキシル化ビスフェノール−フマレート)−コポリ(トリメチロールプロポキシル化−ビスフェノール−フマレート)、コポリ(エトキシル化ビスフェノール−フマレート)−コポリ(トリメチロールプロポキシル化−ビスフェノール−フマレート)、コポリ(ブトキシル化ビスフェノール−フマレート)−コポリ(トリメチロールプロポキシル化−ビスフェノール−フマレート)、コポリ(プロポキシル化1,4−ジフェノール−フマレート)−コポリ(グリセリンオキシル化−ジフェノール−フマレート)、およびそれらの混合物など、多くの適切な非晶質樹脂が含まれ得る。
【0039】
非晶質ポリエステル樹脂は、例えば、例えば約5,000〜約100,000、約10,000〜約75,000、または約5,000〜約50,000などのポリスチレン標準を用いてGPCで測定されるような数平均分子量(M
n)を有することができる。非晶質ポリエステル樹脂の重量平均分子量(M
w)は、ポリスチレン標準を用いてGPCにより測定して例えば約2,000〜約100,000、約15,000〜約85,000、または約5,000〜約80,000であってもよい。非晶質ポリエステル樹脂の分子量分布(M
w/M
n)または多分散性は、例えば約2〜約8、約2〜約6、または約3〜約5である。
【0040】
任意選択のワックス
本明細書に示されるトナーには、多くの適切な任意選択のワックスが選択され、ワックスは開示されたコア、少なくとも1つのシェル、およびコアと少なくとも1つのシェルの両方に含むことができる。
【0041】
開示されたトナー用に選択される任意選択のワックスの例としては、ポリオレフィン、例えばポリプロピレン、ポリエチレンおよび同様の物(Allied ChemicalおよびBaker Petrolite Corporationから市販されているものなど)、Michaelman Inc.およびDaniels Products Companyから入手可能なワックス乳剤、Eastman Chemical Products、Inc.から市販されているEPOLENE N−15(商標)、三洋化成工業(株)から入手可能な低重量平均分子量ポリプロピレンであるVISCOL 550−P(商標)、および同様の材料が含まれる。開示されたトナー用に選択することができる官能化ワックスの例には、アミン、アミド(例えば、どちらもMicro Powder Inc.から入手可能なAQUA SUPERSLIP 6550(商標)およびSUPERSLIP 6530(商標))、フッ素化ワックス(例えば、全てMicro Powder Inc.から入手可能なPOLYFLUO 190(商標)、POLYFLUO 200(商標)、POLYFLUO 523XF(商標)、AQUA POLYFLUO 411(商標)、AQUA POLYSILK 19(商標)およびPOLYSILK 14(商標))、混合フッ素化アミドワックス(例えば、Micro Powder Incから入手可能なMICROSPERSION 19(商標))、イミド、エステル、第4アミン、カルボン酸またはアクリルポリマー乳剤(例えば、全てSC Johnson Waxから入手可能なJONCRYL 74(商標)、89(商標)、130(商標)、537(商標)および538(商標))、塩素化ポリプロピレンおよび塩素化ポリエチレン(Allied Chemical、Petrolite CorporationおよびSC Johnson Waxから入手可能)が挙げられる。
【0042】
ワックスは、例えば約100ナノメートル〜約500ナノメートルまたは約100ナノメートル〜約300ナノメートルの粒径を有するワックスと、水と、アニオン性界面活性剤またはポリマー安定剤と、任意選択的に非イオン性界面活性剤とを含む分散液の形態であり得る。実施形態において、ワックスは、POLYWAX(登録商標)655またはPOLYWAX(登録商標)725、POLYWAX(登録商標)850、POLYWAX(登録商標)500(Baker Petroliteから市販されているPOLYWAX)などのポリエチレンワックス粒子、および例えばX1214、X1240、X1242、X1244と呼ばれる市販のPOLYWAX(登録商標)655の蒸留部分である分留/蒸留したワックス、および同様の物を含む。
【0043】
実施形態において、ワックスは、例えば約100ナノメートル〜約500ナノメートルまたは約100ナノメートル〜約300ナノメートルの粒径を有するワックスと、水と、アニオン性界面活性剤またはポリマー安定剤と、任意選択的に非イオン性界面活性剤とを含む分散液の形態である。実施形態では、開示されたトナー用に選択されるワックスは、POLYWAX(登録商標)655またはPOLYWAX(登録商標)725、POLYWAX(登録商標)850、POLYWAX(登録商標)500(POLYWAX(登録商標)ワックスはBaker Petroliteから市販されている)などのポリエチレンワックス粒子と、例えば、市販のPOLYWAX(登録商標)655の蒸留部分である分留/蒸留されたワックス(例えば米国特許第7,553,596号明細書および第7,749,670号明細書を参照)とを含み、その全体が本明細書に参考として組み込まれる。他のトナーワックスの例には、Shell(SMDA)から入手可能なFT−100ワックス、および日本精蝋(株)から入手可能なFNP0092が含まれる。ワックスを分散させるために使用する界面活性剤は、例えば、第一工業製薬(株)から市販されているNEOGEN RK(登録商標)、テイカ(株)から市販されているTAYCAPOWER(登録商標)BN2060、またはE.I.DuPontから入手可能なDOWFAX(登録商標)などのアニオン性界面活性剤であってもよい。
【0044】
また、特定の粘度/温度基準を有するワックスを選択することができ、粘度の上限は例えば約10,000cpsであり、温度の上限は例えば約100℃である。これらのワックスは、例えば、約100ナノメートル〜約500ナノメートル、または約200ナノメートル〜約375ナノメートルの範囲の粒径を有することができる。
【0045】
トナーワックスの量は、トナーの固形分に基づいて、例えば、約0.1重量%〜約20重量%、約0.5重量%〜約15重量%、約1重量%〜約12重量%、約1重量%〜約10重量%、約4重量%〜約9重量%、約1重量%〜約5重量%、約1重量%〜約4重量%、または約1〜約3重量%であり得る。
【0046】
任意選択の着色剤
開示された冷圧定着トナーのコアに存在するトナー着色剤の例には、顔料、染料、顔料と染料の混合物、顔料の混合物、染料の混合物などが含まれる。実施形態において、着色剤は、カーボンブラック、マグネタイト、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブルー、ブラウン、およびそれらの混合物を含む。
【0047】
トナー着色剤は、例えばシアン、マゼンタ、イエローまたはブラックの顔料分散液から選択することができ、各色はアニオン性界面活性剤に含まれるか、または任意選択的に非イオン性界面活性剤に含まれ、例えば約50ナノメートル〜約300ナノメートル、および約125ナノメートル〜約200ナノメートルの体積平均粒径サイズを有する顔料粒子を提供する。各着色剤を分散させるために使用する界面活性剤は、例えばNEOGEN RK(商標)のようなアニオン性界面活性剤など、任意の数の既知の成分であってよい。既知のアルティマイザ撹拌装置を使用して、着色剤分散液を提供することができるが、メディアミルまたは他の公知のプロセスを利用してもよい。
【0048】
トナー着色剤の量は様々であり、例えば、総固形分の約1重量%〜約50重量%、約2重量%〜約40重量%、約2重量%〜約30重量%、1重量%〜約25重量%、1重量%〜約18重量%、1重量%〜約12重量%、1重量%〜約6重量%、または約3〜約10重量%であり得る。トナー用にマグネタイト顔料を選択する場合、その量は総固形分に基づいて、約40重量%〜約80重量%、または約50重量%〜約75重量%など、約80重量%までの固形分であり得る。
【0049】
開示されたトナー用に選択され得る特定のトナー着色剤としては、PALIOGEN VIOLET 5100(商標)および5890(商標)(BASF)、NORMANDY MAGENTA RD−2400(商標)(Paul Ulrich)、PERMANENT VIOLET VT2645(商標)(Paul Ulrich)、HELIOGEN GREEN L8730(商標)(BASF)、ARGYLE GREEN XP−111−S(商標)(Paul Ulrich)、BRILLIANT GREEN TONER GR0991(商標)(Paul Ulrich)、LITHOL SCARLET D3700(商標)(BASF)、TOLUIDINE RED(商標)(Aldrich)、Scarlet for THERMOPLAST NSD RED(商標)(Aldrich)、LITHOL RUBINE TONER(商標)(Paul Ulrich)、LITHOL SCARLET 4440(商標)、NBD 3700(商標)(BASF)、BON RED C(商標)(Dominion Color)、ROYAL BRILLIANT RED RD−8192(商標)(Paul Ulrich)、ORACET PINK RF(商標)(Ciba Geigy)、PALIOGEN RED 3340(商標)および3871K(商標)(BASF)、LITHOL FAST SCARLET L4300(商標)(BASF)、HELIOGEN BLUE D6840(商標)、D7080(商標)、K7090(商標)、K6910(商標)およびL7020(商標)(BASF)、SUDAN BLUE OS(商標)(BASF)、NEOPEN BLUE FF4012(商標)(BASF)、PV FAST BLUE B2G01(商標)(American Hoechst)、IRGALITE BLUE BCA(商標)(Ciba Geigy)、PALIOGEN BLUE 6470(商標)(BASF)、SUDAN II(商標)、III(商標)およびIV(商標)(Matheson、Coleman、Bell)、SUDAN ORANGE(商標)(Aldrich)、SUDAN ORANGE 220(商標)(BASF)、PALIOGEN ORANGE 3040(商標)(BASF)、ORTHO ORANGE OR 2673(商標)(Paul Ulrich)、PALIOGEN YELLOW 152(商標)および1560(商標)(BASF)、LITHOL FAST YELLOW 0991K(商標)(BASF)、PALIOTOL YELLOW 1840(商標)(BASF)、NOVAPERM YELLOW FGL(商標)(Hoechst)、PERMANERIT YELLOW YE 0305(商標)(Paul Ulrich)、LUMOGEN YELLOW D0790(商標)(BASF)、SUCO−GELB 1250(商標)(BASF)、SUCO−YELLOW D1355(商標)(BASF)、SUCO FAST YELLOW D1165(商標)、D1355(商標)およびD1351(商標)(BASF)、HOSTAPERM PINK E(商標)(Hoechst)、FANAL PINK D4830(商標)(BASF)、CINQUASIA MAGENTA(商標)(DuPont)、PALIOGEN BLACK L9984(商標)(BASF)、PIGMENT BLACK K801(商標)(BASF)、およびREGAL(登録商標)330(Cabot)、CARBON BLACK 5250(商標)および5750(商標)(Columbian Chemicals)などのカーボンブラック、これらの混合物、および同様の物が挙げられる。
【0050】
水性分散液中の着色剤の例には、Sun Chemicalから市販されているもの、例えばSUNSPERSE BHD 6011(商標)(ブルー15タイプ)、SUNSPERSE BHD 9312(商標)(ピグメントブルー15)、SUNSPERSE BHD 6000(商標)(ピグメントブルー15:3 74160)、SUNSPERSE GHD 9600(商標)およびGHD 6004(商標)(ピグメントグリーン7 74260)、SUNSPERSE QHD 6040(商標)(ピグメントレッド122)、SUNSPERSE RHD 9668(商標)(ピグメントレッド185)、SUNSPERSE RHD 9365(商標)および9504(商標)(ピグメントレッド57)、SUNSPERSE YHD 6005(商標)(ピグメントイエロー83)、FLEXIVERSE YFD 4249(商標)(ピグメントイエロー17)、SUNSPERSE YHD 6020(商標)および6045(商標)(ピグメントイエロー74)、SUNSPERSE YHD 600(商標)および9604(商標)(ピグメントイエロー14)、FLEXIVERSE LFD 4343(商標)およびLFD 9736(商標)(ピグメントブラック7)、それらの混合物および同様の物などが挙げられる。本明細書中に開示されたトナー組成物のために選択され得る水性着色剤分散液には、Clariantから市販されているもの、例えばHOSTAFINE Yellow GR(商標)、HOSTAFINE Black T(商標)およびBlack TS(商標)、HOSTAFINE Blue B2G(商標)、HOSTAFINE Rubine F6B(商標)、および顔料を水および/または界面活性剤に分散させることができるToner Magenta 6BVP2213およびToner Magenta EO2などのマゼンタの乾燥顔料が含まれる。
【0051】
ウェットケーキまたは水を含有する濃縮形態で選択され入手可能なトナー顔料の例は、ホモジナイザを用いて、または単に撹拌、ボールミル、摩砕またはメディアミルによって、容易に水中に分散させることができる。他の例では、顔料は乾燥形態でのみ入手可能であり、水中の分散液は、例えばM−110マイクロフルイダイザまたはアルティマイザを使用し、顔料分散液をマイクロフルイダイザのチャンバを通して約1〜約10回通過させることによって微細流動化させるか、またはBranson700ソニケータを使用するなど音波破砕、またはホモジナイザ、ボールミル、摩砕またはメディアミルにイオン性または非イオン性界面活性剤などの分散剤を任意選択で添加することによって生じる。
【0052】
特定の着色剤マグネタイトの例としては、MobayのマグネタイトMO8029(商標)、MO8960(商標)、コロンビアのマグネタイトMAPICO BLACKS(商標)および表面処理マグネタイト、PfizerのマグネタイトCB4799(商標)、CB5300(商標)、CB5600(商標)、MCX6369(商標)、BayerのマグネタイトBAYFERROX 8600(商標)、8610(商標)、Northern PigmentsのマグネタイトNP−604(商標)、NP−608(商標)、MagnoxのマグネタイトTMB−100(商標)またはTMB−104(商標)、またはそれらの混合物が挙げられる。MAPICO BLACK(商標)およびシアン成分の混合物などの着色マグネタイトも着色剤として選択することができる。
【0053】
さらに、トナーのコア中に存在する顔料の特定の例としては、Paul Ulrich&Company、Inc.から入手可能なフタロシアニンHELIOGEN BLUE L6900(商標)、D6840(商標)、D7080(商標)、D7020(商標)、PYLAM OIL BLUE(商標)、PYLAM OIL YELLOW(商標)、PIGMENT BLUE 1(商標)、DOMINION COLOR CORPORATION、Ltd.(オンタリオ州、トロント)から入手可能なPIGMENT VIOLET 1(商標)、PIGMENT RED 48(商標)、LEMON CHROME YELLOW DCC 1026(商標)、E.D.TOLUIDINE RED(商標)およびBON RED C(商標)、Hoechst製のNOVAPERM YELLOW FGL(商標)、HOSTAPERM PINK E(商標)、E.I.DuPont de Nemours&Companyから入手可能なCINQUASIA MAGENTA(商標)および同様の物が挙げられる。マゼンタの例には、例えば、2,9−ジメチル置換キナクリドン、およびカラーインデックスでCI 60710、CI Dispersed Red 15として識別されるアントラキノン染料、カラーインデックスでCI 26050、CI Solvent Red 19として識別されるジアゾ染料など、または同様の物、またはそれらの混合物が含まれる。シアンの具体例としては、カラーインデックスにCI74160、CIピグメントブルーとして挙げられている銅テトラ(オクタデシルスルホンアミド)フタロシアニン、x−銅フタロシアニン顔料、およびカラーインデックスでDI69810、Special Blue X−2137として識別されるAnthrathrene Blue、および同様の物、またはそれらの混合物が挙げられる。選択可能なイエローの具体例には、ジアリーライドイエローである3,3−ジクロロベンジデンアセトアセトアニリド、カラーインデックスでCI 12700、CI Solvent Yellow 16として識別されるモノアゾ顔料、カラーインデックスでForon Yellow SE/GLNとして識別されるニトロフェニルアミンスルホンアミド、CI Dispersed Yellow 33である2,5−ジメトキシ−4−スルホンアニリドフェニルアゾ−4’−クロロ−2,4−ジメトキシアセトアセトアニリド、およびPermanent Yellow FGLが挙げられる。顔料分散液は、アニオン性分散剤/界面活性剤または非イオン性分散剤/界面活性剤を用いて水性媒体中に分散された顔料粒子を含み、分散剤/界面活性剤の量は、例えば約0.5〜約10重量%である。
【0054】
シェル
本明細書に例示された成分を含む開示されたコアは、非晶質樹脂、スチレンアクリレート樹脂またはそれらの混合物の約1〜約5個のシェル、より具体的には約1〜約3個のシェル、さらに具体的には約1〜約2個のシェルなど、少なくとも1つのシェルに包まれていてもよい。各シェルは、例えば、約0.2ミクロン〜約2ミクロン、または約0.5ミクロン〜約1ミクロンなど、既知の適切な有効厚さを有することができる。シェルの例には、スチレンアクリレート、スチレンとのコポリマー、および例えばアクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチルおよびメタクリル酸ブチルなどで構成される群から選択されるアクリレート、および同様の物が挙げられ、これらは全てMonsanto Chemicalsから入手可能である。また、シェルは、terpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−テレフタレート)−terpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−ドデセニルコハク酸エステル)−terpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−フマレート)、およびterpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−テレフタレート)−terpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−ドデセニルコハク酸エステル)−terpoly−(エトキシル化ビスフェノールA−テレフタレート)−terpoly−(エトキシル化ビスフェノールA−ドデセニルコハク酸エステル)−terpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−トリメリテート)−terpoly−(エトキシル化ビスフェノールA−トリメリテート)など、本明細書に開示されている融和性コアポリマーを含むことができる。シェルは、例えば、コアの約80%〜約100%、コアの約90%〜約100%、コアの85%〜約99%、またはコアの約95%〜約99%を覆って形成される。
【0055】
開示されているシェル用に選択される特定のスチレンアクリレートの例には、ポリスチレン−アクリレート、ポリスチレン−メタクリレート、ポリスチレン−ブタジエン、ポリアセテート、ポリアクリレート、ポリメタクリレートポリスチレン−2−エチルヘキシルアクリレート、ポリスチレン−2−エチルヘキシルメタクリレート、これらの混合物、および同様の物が挙げられる。
【0056】
シェルの樹脂は、様々な公知の方法によって、凝集トナー粒子または合一トナー粒子に適用することができる。シェルの成分を有する乳剤は、シェルが凝集粒子上に形成されるように、凝集トナー粒子と組み合わせることができる。凝集した粒子上のシェルまたは少なくとも1つのシェルの形成は、約30℃〜約80℃、または約35℃〜約70℃の温度に加熱しながら起こり得る。シェルの形成は、約5分〜約10時間、または約10分〜約5時間にわたって行われ得る。シェルは、トナー成分の約1重量%〜約80重量%、トナーの約10重量%〜約40重量%、またはトナーの約20重量%〜約35重量%の量で存在することができる。
【0057】
添加剤
本明細書に例示の冷圧定着トナーには、例えば、Cibaから入手可能な酸化防止剤のIRGANOX(登録商標)1010、全てAddivantから入手可能なNAUGARD(登録商標)76、NAUGARD(登録商標)445、NAUGARD(登録商標)512、NAUGARD(登録商標)524、Mayzo Inc.から入手可能なホスホン酸のカルシウム塩であるMAYZO(登録商標)BNX(登録商標)1425、ノニルフェノールジスルフィドであるMAYZO(登録商標)BNX(登録商標)358およびETHANOX(登録商標)323Aなど、多くの既知の添加剤を含めることができ、添加剤は、例えばCPFトナー固形分の約0.01重量%〜約25重量%、約0.1重量%〜約25重量%、または約1重量%〜約20重量%の量で存在し得る。
【0058】
さらに、本明細書に開示されたCPFトナーは、Unitexから市販されているUniplex 250などの可塑剤、Ferroから商品名SANTICIZER(登録商標)として市販されているフタル酸ジオクチル、フタル酸ジウンデシルおよびフタル酸アルキルベンジル(SANTICIZER(登録商標)278)などのフタル酸エステル可塑剤、Ferroから市販されているトリフェニルホスフェート、Great Lakes Chemical Corporationから市販されているトリブトキシエチルホスフェートであるKP−140、Morflex Chemical Company Inc.から市販されているジシクロヘキシルフタレートであるMORFLEX(登録商標)150、Sigma Aldrich Co.から入手可能なトリメリット酸トリオクチル、および同様の物をさらに含んでいてもよい。可塑剤は、例えば、CPFトナー固形分の約0.01重量%〜約30重量%、約0.1重量%〜約25重量%、または約1重量%〜約20重量%の量で存在してもよい。
【0059】
トナーの調製
本明細書に例示された冷圧定着トナー組成物は、例えば米国特許第5,593,807号明細書、第5,290,654号明細書、第5,308,734号明細書、第5,370,963号明細書、第6,120,967号明細書、第7,029,817号明細書、第7,736,832号明細書、第8,466,254号明細書、第9,428,622号明細書および第9,410,037号明細書を含む多くの特許に記載されているような乳化凝集/合一法によって調製することができる。
【0060】
したがって、開示された冷圧定着トナーは、任意の着色剤、任意のワックスおよび任意のトナー添加剤の混合物を、開示されたコポリエステル−コポリジメチルシロキサンを含む乳剤、および融和性ポリマーコアと凝集させ、次いで凝集した混合物を合一するステップを含むプロセスなどの、乳化/凝集/合一プロセスによって調製することができる。樹脂混合物乳剤は、開示されたコポリエステル−コポリジメチルシロキサン、融和性非晶質ポリマー、および任意選択の添加剤を適切な溶媒に溶解させた後、安定剤および任意選択的に界面活性剤を含有する脱イオン水のような水を添加することにより、公知の転相プロセスによって調製することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、トナー組成物は、任意の着色剤、任意のワックスおよび任意のトナー添加剤の混合物を、コポリエステル−コポリジメチルシロキサンおよび非晶質樹脂を含む乳剤と凝集させ、次いで凝集した混合物を合一させることを含むプロセスなどの、多くの既知の乳化/凝集/合一プロセスによって調製することができる。乳剤は、コポリエステル−コポリジメチルシロキサンと非晶質樹脂とを適切な溶媒に溶解させた後、安定剤および任意選択的に界面活性剤を含有する脱イオン水のような水を添加することにより、公知の転相プロセスによって調製することができる。概して、米国特許第9,428,622号明細書および第9,410,037号明細書を参照されたい。これらの両方は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0062】
適切な溶解溶媒には、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、塩素化溶媒、窒素含有溶媒、およびそれらの混合物が含まれる。適切な溶媒の具体例には、アセトン、メチルアセテート、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、N,Nジメチルホルムアミド、ジオクチルフタレート、トルエン、キシレン、ベンゼン、ジメチルスルホキシド、これらの混合物および同様の物が挙げられる。非晶質ポリエステルとコポリエステル−コポリジメチルシロキサンのコア樹脂混合物は、約40℃〜約80℃の高温、例えば約50℃〜約70℃、または約60℃〜約65℃で溶媒中に溶解でき、望ましい温度は、ワックス(存在する場合)または樹脂混合物のガラス転移温度よりも低い。このように、コア樹脂混合物は、高温であるが溶媒の沸点より低い、例えば溶媒の沸点よりも約2℃〜約15℃、または約5℃〜約10℃低い温度で溶解できる。
【0063】
本明細書に例示されるトナープロセス用に選択される任意の適切な安定剤の例には、水性の水酸化アンモニウム、水溶性アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムまたは水酸化バリウム)、水酸化アンモニウム、アルカリ金属炭酸塩および重炭酸塩(重炭酸ナトリウム、重炭酸リチウム、重炭酸カリウムなど)、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸ベリリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムまたは炭酸セシウム、またはこれらの混合物が含まれる。安定剤は、例えば、着色剤、ワックスおよび樹脂混合物などの固形分の約0.1重量%〜約5重量%、約0.5重量%〜約3重量%の量で存在することができる。塩が安定剤として添加される場合、実施形態においては、非融和性の金属塩は存在しないことが望ましい場合がある。
【0064】
必要に応じて、本明細書に開示するように、開示された水性乳剤媒体に界面活性剤を添加して、コア樹脂混合物のさらなる安定化をもたらすことができる。適切な界面活性剤には、アニオン性、カチオン性および非イオン性界面活性剤が含まれる。
【0065】
アニオン性界面活性剤の例には、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレン硫酸ナトリウム、ジアルキルベンゼンアルキル、硫酸塩およびスルホン酸塩、アビト酸およびNEOGEN(登録商標)ブランドのアニオン界面活性剤が含まれる。適切なアニオン性界面活性剤の具体例は、第一工業製薬(株)(日本)製のNEOGEN(登録商標)R−K、またはテイカ(株)(日本)から入手可能なTAYCAPOWER(登録商標)BN2060(主に分枝鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムで構成される)から選択することができる。
【0066】
カチオン性界面活性剤の例には、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウム臭化物、ベンザルコニウムクロライド、セチルピリジニウム臭化物、C
12、C
15、C
17トリメチルアンモニウム臭化物、4級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン塩、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、Alkaril Chemical Companyから入手可能なMIRAPOL(登録商標)およびALKAQUAT(登録商標)、Kao Chemicalsから入手可能なSANISOL(登録商標)B−50のようなSANISOL(登録商標)ベンジルジメチルアルコニウムクロライド、および同様の物が含まれる。
【0067】
非イオン性界面活性剤の例には、IGEPAL(登録商標)CA−210、IGEPAL(登録商標)CA−520、IGEPAL(登録商標)CA−720、IGEPAL(登録商標)CO−890、IGEPAL(登録商標)CG−720、IGEPAL(登録商標)CO−290、ANTAROX(登録商標)890およびANTAROX(登録商標)897(主にアルキルフェノールエトキシレートで構成され、Rhone−Poulenc Inc.から入手可能)としてRhone−Poulenc Inc.から入手可能なポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、メタロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールが含まれる。
【0068】
凝集に続く乳化/凝集/合一プロセスにさらに関連して、形成された凝集体は、本明細書に示されるように合一することができる。合一は、得られた凝集混合物を、コポリエステル−コポリジメチルシロキサンのガラス転移温度(Tg)よりも約5℃〜約30℃高い温度に加熱することによって達成することができる。一般に、凝集した混合物を約50℃〜約90℃の温度に加熱し、また粒子の合一を助けるために凝集した混合物を約200回転/分〜約750回転/分で撹拌してもよく、合一は例えば約3時間〜約9時間の期間にわたって達成されてもよい。
【0069】
オプションとして、得られた混合物のpHを調整することにより、合一中にトナー粒子の粒子サイズを所望のサイズに制御することができる。一般に、コールターカウンタで測定される粒子サイズを制御するため、例えば水酸化ナトリウムなどの塩基の添加することによって、形成された混合物のpHを約5〜約8に調整することができる。
【0070】
合一後、混合物を約20℃〜約25℃の室温に冷却し、生成したトナー粒子を水で洗浄し、次いで乾燥させてもよい。乾燥は、凍結乾燥を含む任意の適切な方法によって達成してもよく、通常、温度約−80℃を約72時間で達成される。
【0071】
凝集および合一の後、実施形態におけるトナー粒子は、約1ミクロン〜約15ミクロン、約4ミクロン〜約15ミクロン、または約6ミクロン〜約11ミクロン、例えばコールターカウンタで測定して約7ミクロンの平均粒径を有する。トナー粒子の体積幾何学的サイズ分布(GSD
V)は、コールターカウンタで測定して約1.20〜約1.35であってもよく、実施形態においては約1.25未満であってもよい。
【0072】
さらに、本開示の実施形態では、着色剤、および場合によりワックスおよび他のトナー成分、安定剤、界面活性剤、および開示されたコポリエステル−コポリジメチルシロキサンの混合物のコア、および融和性非晶質ポリマーを組み合わせて1種または複数の乳剤にすることによって、プレトナー混合物を調製することができる。プレトナー混合物のpHは、例えば酢酸、硝酸または同様の物などの酸を添加することによって、約2.5〜約4に調整することができる。プレトナー混合物は、例えばTKA ULTRA TURRAX T50プローブホモジナイザを用いて、例えば約600〜約4000回転/分で混合物を混合することにより、任意選択的に均質化することができる。
【0073】
プレトナー混合物の調製に続いて、プレトナー混合物に凝集剤(凝固剤)を添加することによって、凝集物混合物を形成することができる。凝集剤は、一般に、二価カチオンまたは多価カチオン材料の水溶液で構成される。凝集剤は、例えば、ポリ塩化アルミニウム(PAC)または対応する臭化物、フッ化物またはヨウ化物などのポリアルミニウムハロゲン化物、ポリアルミニウムスルホシリケート(PASS)などのポリアルミニウムケイ酸塩、および塩化アルミニウム、亜硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカルシウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、臭化マグネシウム、塩化銅、硫酸銅およびそれらの組み合わせを含む水溶性金属塩であってもよい。実施形態では、凝集剤は、乳剤樹脂のガラス転移温度(Tg)未満の温度でプレトナー混合物に添加されてもよい。凝集剤は、例えば、トナーの重量に対して約0.05〜約3pph(parts per hundred)、または約1〜約10pphの量で添加することができる。凝集剤は、例えば約10〜約60分間の期間にわたってプレトナー混合物に添加することができる。
【0074】
粒子の凝集および合一を制御するために、所望であれば、例えば、少なくとも約5分〜約240分、約5分〜約200分、約10分〜約100分、約15分〜約50分、または約5分〜約30分の期間にわたって、選択された樹脂含有混合物に凝集剤を計量添加することができる。凝集剤の添加は、コア含有混合物を約50rpm〜約1,000rpm、または約100rpm〜約500rpmの撹拌条件下で、かつコア樹脂混合物のガラス転移温度未満、例えば約10℃〜約40℃の温度で維持しながら行うこともできる。
【0075】
形成された粒子は、所定の所望の粒子サイズが得られるまで凝集することが可能であり、所望の、または所定の粒子サイズが達成されるまで、成長プロセス中に粒子サイズをモニターする。成長プロセスの間に組成物試料を取り出し、例えばコールターカウンタを用いて分析して、平均粒径を決定および測定することができる。このようにして、例えば約35℃〜約100℃、または約35℃〜約45℃にゆっくりと温度を上昇させ、この温度で得られた混合物を例えば約0.5時間〜約6時間、または約1時間〜約5時間の期間、撹拌を継続しながら維持して、凝集粒子をもたらすことにより、凝集を進めることができる。
【0076】
凝集したトナー粒子の所望の最終サイズが達成されると、混合物のpHを、塩基で約6〜約10、または約6.2〜約7の値に調整することができる。pHの調整は、凍結するために、すなわちトナー粒子の成長を停止させるために使用することができる。トナーの成長を止めるのに使用される塩基は、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、それらの組み合わせおよび同様の物を含むアルカリ金属水酸化物など、任意の適切な塩基を含むことができる。特定の実施形態では、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を添加して、所望のpHに調整するのを助けることができる。特定の実施形態において、塩基は、混合物の約2〜約25重量%、より具体的には混合物の約4〜約10重量%の量で添加することができる。
【0077】
より具体的には、実施形態において、本開示の冷圧定着トナーは、(i)コポリエステル−コポリジメチルシロキサンと非晶質ポリマーと任意選択の添加剤との混合物のコアを含むラテックス乳剤を生成または供給し、着色剤と水とイオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤とを含有する着色剤分散液を生成または供給するステップと、(ii)ラテックス乳剤を着色剤分散液と任意選択の添加剤、例えばワックスとブレンドするステップと、(iii)得られたブレンドに、ポリメタルイオン凝固剤、金属イオン凝固剤、ポリメタルハライド凝固剤、金属ハロゲン化物凝固剤、またはそれらの混合物を含む凝固剤を添加するステップと、(iv)得られた混合物を、コポリエステル−コポリジメチルシロキサンまたは実施形態では非晶質ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)未満、またはほぼ等しい温度に加熱することによって凝集させて、コアを形成するステップと、(v)スチレンアクリレートのシェルまたは非晶質樹脂のシェルポリマーを添加するステップと、(vi)水酸化ナトリウム溶液を導入して、得られた混合物のpHを約4に上昇させた後、金属イオン封鎖剤を添加して、凝集粒子から制御された方法で任意の凝集剤金属を部分的に除去するステップと、(vii)得られた(vi)の混合物を、約7〜約9のpHで、コポリエステル−コポリジメチルシロキサンまたは非晶質ポリエステル樹脂混合物のTgとほぼ等しいかまたはそれを超える温度に加熱するステップと、(viii)樹脂と、存在する場合にはワックスと、着色剤との溶融または合一が開始されるまで加熱を保持するステップと、(ix)約6〜約7.5のpHに達するように酸を添加することによって上記(viii)の混合物のpHを変化させ、それにより溶融または合一を促進し、スチレンアクリルのシェル内または非晶質樹脂のシェルに包まれた非晶質ポリエステル、コポリエステル−コポリジメチルシロキサン、存在する場合にはワックス、および着色剤のコアを含むトナー粒子を生じさせるステップと、(x)任意選択的にトナーを単離するステップとによる、乳化/凝集/合一によって調製することができる。
【0078】
所望の粒子サイズに凝集させた後、粒子を所望の最終粒子サイズおよび形状に合一させることができ、合一は、例えば、約55℃〜約100℃、約75℃〜約90℃、約65℃〜約75℃、または約70℃など、任意の所望のまたは有効な温度に加熱することによって達成される。合一は、約0.1時間〜約10時間、約0.5時間〜約8時間、または約4時間など、任意の所望の期間または有効期間にわたって進行および実施することができる。
【0079】
合一後、上記混合物を典型的には約20℃〜約25℃の室温に冷却することができる。冷却は、必要に応じて速くまたは遅くすることができる。適切な冷却方法には、反応器の周りのジャケットに冷水を導入することを含み得る。冷却後、任意選択的に、トナー粒子を水で洗浄し、次いで乾燥させることができる。乾燥は、例えば、約1.15〜約1.40、約1.18〜約1.25、約1.20〜約1.35、または1.25〜約1.35の低い数の幾何標準偏差(GSD
n)比率で比較的狭い粒子サイズ分布を有するトナー粒子を生じる凍結乾燥を含む、任意の適切な乾燥方法によって達成することができる。
【0080】
本開示に従って調製される冷圧定着トナー粒子は、実施形態において、約1〜約25、約1から約15、約1から約10、または約2から約5ミクロンの、本明細書に開示された体積平均直径(「体積平均粒径」または「D50
v」とも呼ばれる)を有することができる。D50
v、GSD
vおよびGSD
nは、製造者の指示に従って操作するBeckman Coulter Multisizer 3のような測定機器を用いて測定することができる。代表的なサンプリングは、以下のように行うことができる。少量のトナー試料約1gを選出し、25マイクロメーターのスクリーンを通して濾過し、次いで約10%の濃度になるように等張溶液に入れ、次いで試料をBeckman Coulter Multisizer 3に供することができる。
【0081】
開示されたトナー粒子は、約105〜約170、または約110〜約160のSF1*aの形状係数を有することができる。走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、SEMおよび画像分析(IA)によるトナーの形状因子分析を得ることができる。平均粒子形状は、以下の形状係数(SF1*a=100d2/(4A))を用いて定量化し、ここで、Aは粒子の面積であり、dはその主軸である。完全に円形または球形の粒子は、正確に100の形状係数を有する。形状係数SF1*は、形状がより不規則または細長くなり表面積が広くなるにつれて大きくなる。
【0082】
トナー添加剤
開示された冷圧定着トナー組成物用に様々な適切な表面添加剤を選択することができる。添加剤の例としては、表面処理されたヒュームドシリカ、例えば、Cabosil Corporationから入手可能であり、8ナノメートルの粒径を有し、表面処理されたヘキサメチルジシラザンであるTS−530(登録商標)、DeGussa/日本アエロジル(株)から入手され、HMDSで被覆されたNAX50(登録商標)シリカ、Cabot Corporationから入手され、DTMSで被覆されたヒュームドシリカ二酸化ケイ素コアL90で構成されるDTMS(登録商標)シリカ、Wacker Chemieから入手され、アミノ官能基化オルガノポリシロキサンで被覆されたH2050EP(登録商標)、TiO
2などの金属酸化物、例えば、テイカ(株)から入手可能であり、16ナノメートルの粒径を有し、デシルシランで表面処理されたMT−3103(登録商標)、テイカ(株)から入手可能であり、結晶性二酸化チタンコアMT500BがDTMSで被覆されたSMT5103(登録商標)、Degussa Chemicalsから入手可能であり、表面処理なしのP−25(登録商標)、酸化アルミニウムなどの金属酸化物、潤滑剤としてのステアリン酸塩、または長鎖アルコール、例えばUNXLIN 700(登録商標)、および同様の物が挙げられる。一般に、シリカは、トナー流、摩擦電気的増強、混合制御、改良された現像および転写安定性、およびより高いトナーブロッキング温度のためにトナー表面に適用される。相対湿度(RH)安定性、摩擦制御、改良された現像および転写安定性のためにTiO
2が添加される。
【0083】
酸化ケイ素および酸化チタンの表面添加剤は、より具体的には、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されるか、またはガス吸収、またはBET表面積の測定から(球形粒子と仮定して)計算された一次粒径で、約30ナノメートルより大きい、または少なくとも40ナノメートルの一次粒径を有するはずであり、例えば約140〜約200%の理論表面積範囲(SAC)に及ぶトナーの総被覆率でトナー表面に適用され、ここで、理論的なSACは、全てのトナー粒子が球形であり、標準的なコールターカウンタ法で測定されたトナーの体積メジアン径に等しい直径を有すると仮定し、また添加剤粒子が六角形のぎっしり詰まった構造でトナー表面上に一次粒子として分布すると仮定して計算される。添加剤の量およびサイズに関する別の測定基準は、シリカおよびチタニア粒子のそれぞれについて、SACにサイズを掛けたもの(表面積被覆率×ナノメートル単位の添加剤の一次粒子サイズ)の合計である。シリカ対チタニア粒子の比は、一般に、約50%のシリカ/50%のチタニア〜約85%のシリカ/15%のチタニア(重量%ベース)である。
【0084】
例えば約0.1重量%〜約4重量%の量のステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛またはそれらの混合物をトナー添加剤として選択して、トナーと担体粒子との間の接触数を増加させることにより、優れたトナー潤滑特性、改善された現像剤導電性および摩擦電荷増強、より高いトナー電荷および帯電安定性を主に提供することができる。選択されるトナー表面添加剤ステアレートの例には、SYNPRO(登録商標)、ステアリン酸カルシウム392AおよびSYNPRO(登録商標)、ステアリン酸カルシウムNF Vegetable、またはステアリン酸亜鉛−Lが挙げられる。
【0085】
開示された冷圧定着トナーでは、冷圧定着システムの選択された加圧下で、室温付近でトナー材料を流動させることが望ましい場合があり、これによって、トナーを基材表面上および基材の細孔または繊維内に流し、トナー粒子が相互に流入することを可能にし、紙などの基材に効果的に付着する滑らかな連続トナー層を提供することができる。開示された冷圧定着トナー流は、(株)島津製作所から入手可能なCFT−500D Flowtester(商標)を利用して測定することができる。また、開示された冷圧定着トナーに適用される圧力は、約100kgf/cm
2(キログラム/平方センチメートル圧力単位;約1,423psi)など、比較的低いことが望ましい場合がある。しかし、実施形態では、トナーを冷圧定着システムに入れる前にトナーまたは紙などの基材を予熱するために適用される熱により、圧力を例えば約400kgf/cm
2まで上昇させることができる。
【0086】
現像剤組成物
本開示には本明細書に例示されるトナーおよび担体粒子を含む現像剤組成物も包含される。
【0087】
開示された冷圧定着トナー組成物と混合するのに適した担体粒子の例には、粒状ジルコン、粒状シリコン、ガラス、スチール、ニッケル、フェライト、鉄フェライト、二酸化ケイ素および同様の物など、トナー粒子とは反対の極性の電荷を摩擦電気的に得ることができる粒子が含まれる。選択された担体粒子は被覆を伴って、または伴わずに使用することができ、被覆は一般的に、ポリビニリデンフルオライド樹脂、スチレンのターポリマー、メチルメタクリレート、トリエトキシシランなどのシラン、テトラフルオロエチレン、他の既知の被覆、および同様の物などのフルオロポリマーから構成されている。
【0088】
記載されたCPFトナーがロール融着を使用する画像現像装置と共に使用される用途では、担体コアは、Soken Chemicalsから市販されているポリメチルメタクリレート(PMMA)ポリマーで少なくとも部分的に被覆され、約300,000〜約350,000の重量平均分子量を有する場合がある。PMMAは、一般に、開示された冷圧定着トナー上に負電荷を付与する電気陽性ポリマーである。担体被覆は、例えば、担体の約0.1重量%〜約5重量%、または約0.5重量%〜約2重量%であり得る。PMMAは、モノアルキル、またはジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジイソプロピルアミノエチルメタクリレート、tert−ブチルアミノエチルメタクリレートおよびそれらの混合物のようなジアルキルアミンなどの様々な既知のコモンサーと任意選択的に共重合されてもよい。
【0089】
担体粒子は、例えば、約1重量部〜約5重量部のトナー粒子を、トナー粒子の約10重量部〜約300重量部と混合するなど、開示された冷圧定着トナー粒子と任意の適切な組み合わせで混合することができる。
【0090】
本開示はまた、開示された冷圧定着トナーを画像形成された光導電体に適用し、得られた現像画像を紙のような適切な基材に転写し、トナーを圧力に曝すことによってトナーを基材に融着させることを含む、潜在電子写真画像を現像する方法を提供する。
【0091】
以下、具体的な実施形態について詳細に説明する。これらの実施例は説明のためのものであり、本明細書に記載された材料、条件またはプロセスパラメータに限定されない。他の記載がない限り、全ての部は固形分の百分率であり、粒子サイズはBeckman Coulterから入手可能なMultisizer 3(登録商標)Coulter Counterで測定した。
【実施例】
【0092】
実施例I
エチレングリコール、ドデカン二酸およびカルビノール(ヒドロキシル)末端ポリジメチルシロキサン由来の結晶性コポリ−(エチレンドデカノエート)−コポリ−(3−プロピル−ジメチルシロキサン)樹脂である樹脂Aは、以下のように調製した。
【0093】
2リットルのBuchi反応器に、675.7gのドデカン二酸と、200gのエチレングリコールと、Gelest Inc.からDMS−16として入手可能な約50〜約65センチストークスの粘度を有する250gのカルビノール末端ポリジメチルシロキサンと、Elf Atochemから入手可能な1gのブチルスタンノ酸触媒FASCAT(登録商標)4100とを入れた。得られた混合物を3時間かけてゆっくりと225℃に加熱し、次いで225℃でさらに5時間維持した。次いで、得られた樹脂を金属容器に出し、20℃〜25℃の室温で固化させて、次の結晶性コポリ−(エチレンドデカノエート)−コポリ−(3−プロピル−ジメチルシロキサン)樹脂を得た。
【0094】
【化5】
【0095】
ここで、mは10であり、nは2であり、R
1およびR
2はメチルであり、aセグメントは樹脂の約75%であり、bセグメントは樹脂の約25%である。
【0096】
上記で調製した樹脂の融点温度(T
m)77.9℃、再結晶温度(T
c)55.5℃、融解熱量66ジュール/グラムはDuPont 910示差走査熱量計で測定した。上記で調製した樹脂の重量平均分子量は、ポリスチレン標準を用いてWaters(登録商標)ACQUITY(登録商標)Advanced Polymer Chromatography(商標)(APC(商標))システムで測定して18.4キロ(k)ダルトンであり、上記で調製した樹脂の数平均分子量はポリスチレン標準を用いてWaters(登録商標)ACQUITY(登録商標)Advanced Polymer Chromatography(商標)(APC(商標))システムで測定して7.8キロダルトンであった。次の表1を参照されたい。
【0097】
上記で調製した結晶性樹脂の乳剤は、この樹脂100gをメチルエチルケトン100gおよびイソプロパノール3gに溶解することによって生成した。次いで、得られた混合物を撹拌しながら40℃に加熱し、得られた混合物に水酸化アンモニウム5.5g(10%水溶液)を滴下した後、水200gを30分間かけて滴下した。次いで、得られた分散液を80℃に加熱し、メチルエチルケトンを蒸留により除去して、水中に分散した38.03重量%の結晶性コポリ−(エチレンドデカノエート)−コポリ−(3−プロピル−ジメチルシロキサン)樹脂である樹脂Aを得た。結晶性コポリ−(エチレンドデカノエート)−コポリ−(3−プロピル−ジメチルシロキサン)樹脂乳剤粒子は、Nanotrac(登録商標)U2275E粒径分析器で測定したところ、165ナノメートルのサイズ直径であった。
【0098】
実施例II
1,9−ノナンジオール、ドデカン二酸およびカルビノール(ヒドロキシル)末端ポリジメチルシロキサン由来の結晶性コポリ−(ノニレン−ドデカン酸)−コポリ−(3−プロピル−ジメチルシロキサン)樹脂である樹脂Bは、以下のように調製した。
【0099】
2リットルのBuchi反応器に、564gのドデカン二酸と、375.8gの1,9−ノナンジオールと、Gelest Inc.からDMS−16として入手可能な約50〜約65センチストークスの粘度を有する150gのカルビノール末端ポリジメチルシロキサンと、Elf Atochemから入手可能な1gのブチルスタンノ酸触媒FASCAT(登録商標)4100とを入れた。得られた混合物を3時間かけてゆっくりと225℃に加熱し、次いで225℃でさらに5時間維持した。得られた樹脂を金属容器に出し、室温で固化させて、次の結晶性コポリ−(ノニレン−ドデカン酸)−コポリ−(3−プロピル−ジメチルシロキサン)である樹脂Bを35重量%得た。
【0100】
【化6】
【0101】
ここで、mは10に等しく、nは9に等しく、R
1およびR
2はメチルであり、aおよびbは樹脂のランダムセグメントを表し、aセグメントは樹脂の約85%であり、bセグメントは樹脂の約15%である。
【0102】
上記で調製した結晶性コポリ−(ノニレン−ドデカン酸)−コポリ−(3−プロピル−ジメチルシロキサン)樹脂の融点温度(T
m)は77.1℃であり、再結晶温度(T
c)は54.8℃であり、融解熱量は105ジュール/グラムであり、これら全てはDuPont 910示差走査熱量計で測定した。この樹脂の重量平均分子量は、ポリスチレン標準を用いてWaters(登録商標)ACQUITY(登録商標)Advanced Polymer Chromatography(商標)(APC(商標))システムで測定して23.6キロダルトンであり、この樹脂の数平均分子量は、ポリスチレン標準を用いてWaters(登録商標)ACQUITY(登録商標)Advanced Polymer Chromatography(商標)(APC(商標))システムで測定して13.6キロダルトンであった。次の表1を参照されたい。
【0103】
上記で調製した結晶性樹脂Bの乳剤は、この樹脂100gをメチルエチルケトン100gおよびイソプロパノール3gに溶解することによって調製した。得られた混合物を撹拌しながら40℃に加熱し、この混合物に5.5gの水酸化アンモニウム(10%水溶液)を滴下し、その後200gの水を30分間かけて滴下した。次いで、得られた分散液を80℃に加熱し、メチルエチルケトンを蒸留により除去して、35重量%の結晶性コポリ−(ノニレン−ドデカノエート)−コポリ−(3−プロピル−ジメチルシロキサン)である樹脂Bを水中に得た。
【0104】
Nanotrac(登録商標)U2275E粒径分析器を用いて結晶性コポリエステルコポリ−(ノニレン−ドデカン酸)−コポリ−(3−プロピル−ジメチルシロキサン)乳剤粒子を測定したところ、171ナノメートルのサイズ直径であった。
【0105】
【表1】
【0106】
実施例III
プロポキシル化ビスフェノールA、テレフタル酸、ドデセニルコハク酸およびフマル酸由来の、非晶質ポリエステル樹脂terpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−テレフタレート)−terpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−ドデセニルコハク酸エステル)−terpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−フマレート)−(プロポキシル化ビスフェノールA−トリメリテート)である樹脂Cは、以下のように調製した。
【0107】
メカニカルスターラー、ボトムドレンバルブ、および蒸留装置を備えた1リットルのBuchi反応器に、プロポキシル化ビスフェノールA(433.8g、53.25重量%)、テレフタル酸(109.4g、23.4重量%)、ドデセニルコハク酸無水物(DDSA)(100.5g、16重量%)、無水トリメリット酸(9.5g、2.33重量%)および触媒FASCAT(登録商標)4100のブチルスタン酸(2.5g)を入れ、2〜3時間かけて230℃に加熱し、窒素下の230℃〜235℃でさらに8時間維持した。この間、水を蒸留受け器に集めた。次いで、得られた混合物を225℃で加熱し、6時間真空(2〜3mm Hg)を適用した後、固体の軟化点101.4℃を有する酸価4.19mg/g KOHが得られた。得られた混合物を190℃で加熱した後、フマル酸(16.7g、3.9重量%)とハイドロキノン(0.5g)を添加し、3時間かけて203℃に加熱し、14.2mg/g KOHの酸価を有する120.2℃の軟化点に達するまで、さらに3時間真空を適用した。次いで、反応生成物であるterpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−テレフタレート)−terpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−ドデセニルコハク酸エステル)−terpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−フマレート)−(プロポキシル化ビスフェノールA−トリメリテート)樹脂を容器に出し、室温に冷却した。DuPont 910示差走査熱量計で測定したところ、この樹脂についてガラス転移温度(Tg)59.4℃が得られた。この樹脂の重量平均分子量は、ポリスチレン標準を用いて19.7キロ(k)ダルトンであり、数平均分子量は、Waters(登録商標)ACQUITY(登録商標)Advanced Polymer Chromatography(商標)(APC(商標))システムでポリスチレン標準を用いて測定したところ、4.67キロダルトンであった。
【0108】
プロポキシル化ビスフェノールA、テレフタル酸、ドデセニルコハク酸およびフマル酸樹脂由来の、上記で調製した非晶質ポリエステル樹脂terpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−テレフタレート)−terpoly−(プロポキシ化ビスフェノールA−ドデセニルコハク酸エステル)−terpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−フマレート)−(プロポキシル化ビスフェノールA−トリメリテート)である樹脂Cは、この樹脂100gをメチルエチルケトン100gおよびイソプロパノール3gに溶解することによって生成した。次いで、得られた混合物を撹拌しながら40℃に加熱し、この混合物に5.5gの水酸化アンモニウム(10%水溶液)を滴下した後、200gの水を30分かけて滴下した。次いで、得られた分散液を80℃に加熱し、メチルエチルケトンを蒸留により除去して、樹脂Cであるterpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−テレフタレート)−terpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−ドデセニルコハク酸エステル)−terpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−フマレート)−(プロポキシル化ビスフェノールA−トリメリテート)の非晶質ポリエステル樹脂の分散液を水中に得た。得られた非晶質ポリエステル乳剤粒子をNanotrac(登録商標)U2275E粒度分析器を用いて測定したところ、155ナノメートルのサイズ直径であった。
【0109】
実施例IV
スチレン81重量%、n−ブチルアクリレート19重量%、およびベータ−カルボキシエチルアクリレート(β−CEA)1.5重量%の乳化重合から生成したポリマー粒子から構成される非晶質ポリ(スチレン−アクリレート)樹脂である樹脂Dは、以下のように調製した。
【0110】
Calfax界面活性剤溶液の調製:0.334kgのCALFAX(登録商標)DB−45(Pilot Chemical Companyから入手可能な陰イオン性乳化剤ドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム、45%活性)、および87.23kgの脱イオン水をステンレス鋼の100ガロン容量の反応器に入れ、110rpmで混合した。反応器に凝縮器を取り付け、制御された速度で75℃まで加熱しそこで保持しながら、1時間当たり10標準立方フィートの窒素でパージした。
【0111】
乳化したモノマーの調製:45ガロンのプラスチックドラムとは別に、1.89kgのCALFAX(登録商標)DB−45および46.73kgの脱イオン水を混ぜ合わせて、界面活性剤溶液を得た。別に50ガロン容量の反応器内で、81.1kgのスチレン、19.02kgのアクリル酸ブチル、1.05kgのβ−CEA、1.37kgの1−ドデカンチオール(DDT)、および0.350kgの1,10−デカンジオールジアクリレート(ADOD)を混合して、モノマー乳剤を調製した。次いで、得られた界面活性剤溶液を、150rpmで撹拌しながら、上記で調製したモノマー乳剤を含む50ガロンの容量の反応器に移した。界面活性剤溶液およびモノマー乳剤を5分間混合し、続いて3分間混合を止め、この混合/静置を2回繰り返して乳化したモノマー水溶液を作製した。
【0112】
別に5ガロンの缶の中で、1.50kgの過硫酸アンモニウム開始剤を13.91kgの脱イオン水に溶解した。
【0113】
加熱されたCALFAX(登録商標)界面活性剤溶液を含む上記反応器に、上記で調製した乳化した水性モノマー溶液を7.60kg(5%のシード)加えてシードを形成した。20分後、過硫酸アンモニウム開始剤溶液の添加を開始し、23.5分かけて反応器に入れ、続いて1kgの脱イオン水を加えた。
【0114】
モノマー供給反応:20分後、残りのモノマー乳剤を、フィード#1およびフィード#2の2つのアリコートにわたって100ガロンの反応器に加えた。フィード#1を120分かけて反応器に加え、72.2kgの乳化モノマーに等しくし、続いて1.2kgの脱イオン水(チェイサー)を添加した。残りのモノマー乳剤(フィード#2)に、0.63kgの1−ドデカンチオール(DDT)を加え、90分かけて反応器に供給した。この時点で、rpmを120に増加させ、追加の2.3kgの脱イオン水を反応器に添加して、乳化したモノマーをポンプラインから除去した。反応器を75℃で60分間保持した。凝縮器を反応の1時間後に75℃のまま停止させ、過剰のモノマーを反応器から120分間吹き出してから室温に冷却した。
【0115】
次いで、上記のようにして得られた白色の非粘性液体を、温度が室温に落ち着いた後、蓋付きのプラスチックドラム2個に排出した。次いで、Nanotrac(登録商標)U2275E粒度分析器で粒度を測定した。幅の狭い粒子サイズは、188ナノメートル±60ナノメートルの粒子サイズで達成された。凍結乾燥機で試料を乾燥させた後、55.3℃のガラス転移温度(Tg)が得られ、DuPont 910示差走査熱量測定計で評価した。重量平均分子量は、ポリスチレン標準を用いてWaters(登録商標)ACQUITY(登録商標)Advanced Polymer Chromatography(商標)(APC(商標))システムで測定して24.5キロダルトンであり、数平均分子量は、ポリスチレン標準を用いてWaters(登録商標)ACQUITY(登録商標)Advanced Polymer Chromatography(商標)(APC(商標))システムで測定して8.97キロダルトンであった。得られたポリ(スチレン−アクリレート)樹脂ラテックスである樹脂Dは、水中に40.75重量%で含まれる水性分散液として取得された。
【0116】
実施例V
上記で調製した実施例IIの結晶性コポリ−(ノニレン−ドデカン酸)−コポリ−(3−プロピル−ジメチルシロキサン)樹脂である樹脂B(全樹脂の35重量%)、および上記で調製した実施例IIIのプロポキシル化ビスフェノールA、テレフタル酸、ドデセニルコハク酸およびフマル酸由来の非晶質ポリエステル樹脂terpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−テレフタレート)−terpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−ドデセニルコハク酸エステル)−terpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−フマレート)−(プロポキシル化ビスフェノールA−トリメリテート)である樹脂C(全樹脂の35重量%)のコアと、上記で調製した実施例IVの非晶質ポリ(スチレン−アクリレート)樹脂である樹脂D(全樹脂の30重量%)から構成される、コアを覆うシェルに含まれる、シアンの冷圧定着トナーを調製した。
【0117】
オーバーヘッドスターラーを備えた2リットルのガラス製の反応器に、39.26gのPB15:3分散液(15.27重量%)と、89.41gの結晶性コポリ−(ノニレン−ドデカン酸)−コポリ−(3−プロピル−ジメチルシロキサン)である樹脂Bと、84.80gのterpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−テレフタレート)−terpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−ドデセニルコハク酸エステル)−terpoly−(プロポキシル化ビスフェノールA−フマレート)−(プロポキシル化ビスフェノールA−トリメリテート)である樹脂Cとを添加した。得られた混合物のpHを0.3モル濃度の硝酸水溶液の添加により3.14に調整し、次いでIKAウルトラタラックスミキサを用いて4,000rpmで均質化した。得られた混合物に、23.89gの硫酸アルミニウム溶液を連続的に均質化しながら滴下した。均質化後、得られた混合物を200rpmで撹拌し、1℃/分の速度で室温から47℃まで加熱した。コア粒子が5.36ミクロン(μm)の体積平均粒径に達するまで、Coulter Counter(商標)分析器を用いて粒子サイズをモニターした。次いで、74.36gの非晶質スチレンアクリレート(樹脂D)のラテックスをシェル材料として加え、平均サイズ6.34ミクロンのコアシェル構造粒子を得た。その後、2.37gのEDTA(水中39重量%)を用いて反応スラリーのpHを7.8に上昇させ、トナーの成長を凍結させた。凍結後、反応混合物を70℃に加熱し、0.3モルの硝酸水溶液29.39gを添加することにより、混合物のpHを6に低下させた。次いで、反応温度を75℃に上昇させ、この温度で合計90分間維持して合一させ、その後室温に冷却し、篩(25μm、フィルター)で分離し、洗浄し、凍結乾燥させた。得られたコアシェルトナーは、6.08ミクロンの最終粒径、1.20(体積)および1.22(数)の幾何学的サイズ分布(GSD)、および0.975の円形度を示した。
【0118】
実施例Vの手順に従って多くのシアン冷圧定着トナーを調製し、表2に示すようにコアおよびシェルの両方の樹脂組成物を変化させた。ここで、粒子サイズはコールターカウンタで測定し、GSD v/nはコールターカウンタまたはBeckman Coulterから入手可能なMultisizer 3(登録商標)Coulter Counterで測定するなど測定機器を用いて測定し、円形度はBeckman Coulterから入手可能なMultisizer 3(登録商標)Coulter Counterで測定した。
【0119】
【表2】
【0120】
冷圧定着
実験室の冷圧定着装置は、243mm/sのプロセス速度、1,000psi(6.9MPa、メガパスカル)および1,500psi(10.3MPa)の可変ニップ圧力負荷面積、およびロール接触長さ70mmで利用した。圧力は一定の5kg/cm
2(82ポンド/インチ
2)に維持した。融着固定を無効にしたXerox Corporation 800プリンタを使用して、紙上にトナー画像を生成した。次いで、得られた未融着の印刷物を上記の実験室の冷圧定着装置に供した。次いで、Taber Linear Abraser(Model 5700)を市販のCrockクロスアタッチメントと共に用いて、画像の耐久性を評価した。画像を10サイクル/分、次いで60サイクル/分で擦った。上記表2のトナーは全て、紙への優れたトナー定着を示し、Taber Linear Abraser(Model 5700)での試験中、Crockクロスへのトナー画像の移動は全くないか最小限であった。
【0121】
上記で調製した表2のトナーの冷圧定着性能を、生成された未融着画像を対象として、改造されたAdirondack Machine Corporationの加圧装置を使用して評価し、装置は2つの金属ロール(直径78mm)を有し、上部ロールはTEFLON(登録商標)で被覆され、金属ロールシステムのニップを通る高圧ゾーンの幅が70mmになるように機械加工されている。冷圧定着装置のプロセス速度は240mm/sに設定し、2つのロール間の荷重は、金属ばねを圧縮することによって適用して、所望のニップ圧を得た。1,000psi(6.9MPa)および1,500psi(10.3MPa)の2つの可変ニップ圧力負荷領域を各トナー試料に適用した。次に未融着の印刷物を上記の冷圧定着に付し、次いで画像耐久性をTaberの標準的な摩擦定着手順により評価した。融着した印刷物のハーフトーンパターンを、Crockクロスを取り付けたTaber Linear Abraderを使用して擦った。試験中、パターンを擦る2サイクルで500gの荷重を使用した。パターンを物理的に擦った後、Taber Linear AbraderからCrockクロスを取り外し、クロスに転写されたトナーの平均光学濃度をGretag/Macbeth Transmission Densitometerで測定した。次いで、1が定着不良、5が定着良を表す1〜5の尺度で画像の定着をランク付けした(黒いバーは1,000psi、赤いバーは1,500psi)。選択試料の相対的な接着値を示す以下の棒グラフを参照されたい。
【0122】
[表]
【0123】
さらに、画像をペンで押したときに別のページに裏移りする画像を指すペンオフセットは、表2の冷圧定着トナーの多くで性能が達成され、次の表3のデータではより良いペンオフセットを示すより高い値が得られた。
【0124】
次いで、Xerox Corporation Bold紙の空白部分の上にフェースダウンで別々に置かれた各試験印刷物について、用紙へのトナーの付着を決定するペンオフセットを終了した。印刷物から白紙に転写されたトナーの量は、トナーがページにどのくらい良好に付着しているかを示す。ホルダーに取り付けられた直径6mmのステンレス鋼球を、荷重をかけつつ、試験印刷物の裏側に接触させて置いた。長さ40mmおよび20mm/秒にわたって3つの異なる荷重(1N、2Nおよび5N、力の単位ニュートン)を使用した。試験目的のために、Rtec Instrumentsから入手可能なCSM摩擦計を使用した。
【0125】
【表3】