特許第6987690号(P6987690)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッドの特許一覧 ▶ エイジーシー オートモーティブ アメリカズ アールアンドディー インコーポレイテッドの特許一覧

特許6987690導電性フィルムにおけるマルチバンド無線周波数透過ウィンドウ
<>
  • 特許6987690-導電性フィルムにおけるマルチバンド無線周波数透過ウィンドウ 図000002
  • 特許6987690-導電性フィルムにおけるマルチバンド無線周波数透過ウィンドウ 図000003
  • 特許6987690-導電性フィルムにおけるマルチバンド無線周波数透過ウィンドウ 図000004
  • 特許6987690-導電性フィルムにおけるマルチバンド無線周波数透過ウィンドウ 図000005
  • 特許6987690-導電性フィルムにおけるマルチバンド無線周波数透過ウィンドウ 図000006
  • 特許6987690-導電性フィルムにおけるマルチバンド無線周波数透過ウィンドウ 図000007
  • 特許6987690-導電性フィルムにおけるマルチバンド無線周波数透過ウィンドウ 図000008
  • 特許6987690-導電性フィルムにおけるマルチバンド無線周波数透過ウィンドウ 図000009
  • 特許6987690-導電性フィルムにおけるマルチバンド無線周波数透過ウィンドウ 図000010
  • 特許6987690-導電性フィルムにおけるマルチバンド無線周波数透過ウィンドウ 図000011
  • 特許6987690-導電性フィルムにおけるマルチバンド無線周波数透過ウィンドウ 図000012
  • 特許6987690-導電性フィルムにおけるマルチバンド無線周波数透過ウィンドウ 図000013
  • 特許6987690-導電性フィルムにおけるマルチバンド無線周波数透過ウィンドウ 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987690
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】導電性フィルムにおけるマルチバンド無線周波数透過ウィンドウ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 15/14 20060101AFI20211220BHJP
【FI】
   H01Q15/14 B
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-80607(P2018-80607)
(22)【出願日】2018年4月19日
(65)【公開番号】特開2018-191281(P2018-191281A)
(43)【公開日】2018年11月29日
【審査請求日】2021年4月16日
(31)【優先権主張番号】15/583,336
(32)【優先日】2017年5月1日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504407000
【氏名又は名称】パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】519155826
【氏名又は名称】エイジーシー オートモーティブ アメリカズ アールアンドディー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】アーミン・アール・ヴォルケル
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】バーナード・ディー・カッセ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ララウ−ケラリー
【審査官】 赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−145777(JP,A)
【文献】 特開2015−046846(JP,A)
【文献】 特開2000−236214(JP,A)
【文献】 特開2015−053660(JP,A)
【文献】 特開2017−073635(JP,A)
【文献】 特開2017−55376(JP,A)
【文献】 特開2005−210016(JP,A)
【文献】 特開2014−123793(JP,A)
【文献】 特開2014−045278(JP,A)
【文献】 特表2005−534231(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/121375(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共振構造である導電性フィルムの第1の部分であって、前記第1の部分が、連続的であって実質的に島様の形状である第1の部分と、
前記第1の部分に外接する前記導電性フィルムの第2の部分であって、前記第2の部分が、連続的であって実質的に前記第1の部分を囲むフレームの形状であり、前記第2の部分が、前記導電性フィルムの前記第1の部分の周囲に沿って第1の非導電性で連続的なギャップによって前記第1の部分から分離され、前記第1の部分のサイズが、第1の通過帯域の中心周波数を決定し、前記通過帯域内の無線信号は、前記導電性フィルムを横切って伝送するのが可能とされ、前記第1のギャップの幅が、前記第1の通過帯域の帯域幅を決定し、前記第1の通過帯域の3dBの帯域幅が、1GHzよりも小さい第2の部分と
を備える導電性フィルム
を備える、装置。
【請求項2】
前記導電性フィルムが、さらに、前記第2の部分に外接する前記導電性フィルムの第3の部分を備え、前記第3の部分が、前記導電性フィルムの前記第2の部分の周囲に沿って第2のギャップによって前記第2の部分から分離され、前記第2の部分のサイズが、第2の通過帯域を決定する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の通過帯域内の無線信号が、800メガヘルツ(MHz)と940MHzとの間、1700MHz−2000MHz、または2100MHz−2200MHzのセルラー通信信号を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
さらに、前記導電性フィルムに接続するための第1の支持層を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記支持層が、ガラス材料、プラスチック材料、ポリメチルメタクリレート材料、またはアクリル材料のうちの少なくとも1つを備える、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
赤外光の少なくとも一部を遮断する導電性フィルムを備え、前記導電性フィルムが、
前記導電性フィルムの第1の位置における前記導電性フィルムの第1の部分であって、前記導電性フィルムの前記第1の部分は第1の共振構造であり、前記第1の部分が、連続的であって実質的に島様の形状である、第1の部分と、
前記第1の部分に外接する前記導電性フィルムの第2の部分であって、前記第2の部分が、連続的であって実質的に前記第1の部分を囲むフレームの形状であり、前記第2の部分が、前記導電性フィルムの前記第1の部分の周囲に沿って第1の非導電性で連続的なギャップによって前記第1の部分から分離され、前記第1の部分のサイズが、第1の通過帯域の中心周波数を決定し、前記第1の通過帯域内の無線信号は、前記導電性フィルムを介して伝送するのが可能とされ、前記第1のギャップの幅が、前記第1の通過帯域の帯域幅を決定し、前記第1の通過帯域の3dBの帯域幅が、1GHzよりも小さい第2の部分と、
前記導電性フィルムの第2の位置における前記導電性フィルムの第3の部分であって、前記導電性フィルムの前記第3の部分は第2の共振構造である、第3の部分と、
前記第3の部分に外接する前記導電性フィルムの第4の部分であって、前記第4の部分が、前記導電性フィルムの前記第3の部分の周囲に沿って第2のギャップによって前記第3の部分から連続的に分離され、前記第3の部分のサイズが、第2の通過帯域の中心周波数を決定し、前記第2の通過帯域内の無線信号は、前記第2の位置において前記導電性フィルムを横切って伝送するのが可能とされ、前記第2のギャップの幅が、前記第2の通過帯域の帯域幅を決定し、前記第1の通過帯域の3dBの帯域幅が、1GHzよりも小さい第4の部分と
を備える、装置。
【請求項7】
前記第1の通過帯域内の無線信号が、第1の入射角または第2の入射角で前記導電性フィルムの前記第1のギャップを横切って伝送され、前記第1の入射角および前記第2の入射角が異なる角度である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の通過帯域内の無線信号の波長が、約157ミリメートル(mm)の長さであり、
前記第1のギャップが、約18mmの幅であり、
前記第1の部分の境界が、約19.6mmの幅および19.6mmの長さであり、
前記第2の部分の境界が、約40mmの幅および40mmの長さである、
請求項6に記載の装置。
【請求項9】
第1の支持層と、
第2の支持層と、
前記第1の支持層と前記第2の支持層との間に積層され、光のスペクトルの少なくとも一部を遮断する導電性フィルムであって、
前記導電性フィルムの第1の部分であって、前記第1の部分が、連続的であって実質的に島様の形状である第1の部分と、
前記第1の部分に外接する前記導電性フィルムの第2の部分であって、前記第2の部分が、連続的であって実質的に前記第1の部分を囲むフレームの形状であり、前記第2の部分が、前記導電性フィルムの前記第1の部分の周囲に沿って第1の非導電性で連続的なギャップによって前記第1の部分から分離され、前記第1の部分のサイズが、第1の通過帯域の中心周波数を決定し、前記通過帯域内の無線信号は、前記導電性フィルムを横切って伝送するのが可能とされ、前記第1のギャップの幅が、前記第1の通過帯域の帯域幅を決定し、前記第1の通過帯域の3dBの帯域幅が、1GHzよりも小さい第2の部分と
を備える導電性フィルムと
を備える、装置。
【請求項10】
前記導電性フィルムの前記第1の部分および前記導電性フィルムの前記第2の部分が、前記導電性フィルムの規定された領域内に配置され、前記規定された領域が、前記導電性フィルムの全領域よりも小さい、請求項9に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
自動車や航空機などの様々な車両は、他の装置と信号を送信または受信するために無線装置を搭載している。他の装置と通信するために、無線装置は、信号を送受信するために使用される車両内のアンテナを含む。車両は、信号を送受信する無線装置と干渉する物体を含むことがある。
【発明の概要】
【0002】
本明細書に記載された本開示は、添付図面において限定ではなく例として示される。説明を簡潔且つ明確にするために、図に示された特徴は、必ずしも縮尺通りに描かれていない。例えば、いくつかの特徴の寸法は、明確化のために他の特徴と比べて誇張されることがある。さらに、適切であると考えられる場合には、対応するまたは類似の要素を示すために参照符号が図面間で繰り返されている。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1A図1Aは、実施態様にかかる支持層およびフィルムを含む構造を示している。
図1B図1Bは、実施態様にかかる、第1の支持層、フィルム、中間層、および第2の支持層を含む構造を示している。
図2図2は、1つの実施態様にかかる、支持層およびフィルムを含むウィンドウを示している。
図3A図3Aは、1つの実施態様にかかる、第1のフレームと、フィルムにおけるギャップによって分離された第2のフレームとを含むフィルムに組み込まれたユニットセル構造を示している。
図3B図3Bは、1つの実施態様にかかる、ギャップの異なる幅値を有する図3Aにおけるユニットセル構造についての透過スペクトルグラフを示している。
図4図4は、1つの実施態様にかかる、第1のフレームと、フィルムにおける十字形のギャップによって分離された第2のフレームとを含むフィルムに組み込まれたユニットセル構造を示している。
図5図5は、1つの実施態様にかかる、第1の共振構造、第1のギャップ、第1の共振構造のまわりにフレームも形成する第2の共振構造、第2のギャップ、第2の共振構造のまわりにフレームも形成する第3の共振構造、第3のギャップ、および外側フレームを含むフィルムのユニットセル構造を示している。
図6図6は、1つの実施態様にかかる、第1の周波数ウィンドウ、第2の周波数ウィンドウ、および第3の周波数ウィンドウを有する図5におけるユニットセル構造についての透過スペクトルグラフを示している。
図7図7は、1つの実施形態にかかる、異なる入射角で伝送される信号による透過スペクトルグラフを示している。
図8図8は、1つの実施形態にかかる、第1のユニットセル構造および第2のユニットセル構造を横切って伝送される信号についての透過スペクトルグラフを示している。
図9A図9Aは、1つの実施形態にかかる、第1のサブユニットセルアレイおよび第2のサブユニットセルアレイを有するセルアレイ構造を示している。
図9B図9Bは、1つの実施形態にかかる、第1のサブユニットセルアレイおよび第2のサブユニットセルアレイを有するセルアレイ構造910を示している。
図10図10は、1つの実施形態にかかる、フィルムを有しない透明層を横切って伝送される第1の信号と、図9Aにおけるセルアレイ構造を横切って伝送される第2の信号と、図9Bにおけるセルアレイ構造を横切って伝送される第3の信号とについての透過スペクトルグラフを示している。
【発明を実施するための形態】
【0004】
以下の説明では、例示的な実施態様の様々な態様を、当業者がその仕事の内容を当業者に伝えるために一般的に使用されている用語を用いて説明する。しかしながら、当業者には、本開示が記載された態様のいくつかのみで実施されてもよいことは明らかであろう。説明の目的のために、例示的な実施態様の完全な理解を提供するために、特定の数、材料、および構成が示されている。しかしながら、当業者には、本開示が具体的な詳細なしに実施されてもよいことは明らかであろう。他の例では、例示的な実施態様を不明瞭にしないために、周知の特徴は省略または簡略化される。
【0005】
導電性フィルムは、多くの場合、保護、安全、機能、または審美的理由のために表面の一方側を他方側から分離するために使用されており、例えば、車両または建物の内部は、多層の金属−誘電体フィルムを介して入射するIR光から保護されることができる。従来、多層金属−誘電体材料は、通信信号が導電性フィルムを横切って伝送されるのを吸収または遮断することができる。導電性フィルムは、フィルムの一方側の無線装置を導電性フィルムの他方側の装置と通信することができない状態にすることができる。
【0006】
本開示は、選択された周波数の無線周波数(RF)信号がフィルムを横切っていずれかの方向に伝送されるのを可能とするRFギャップをフィルムに設けることによって上記および他の欠点に対処する。フィルムは、ガラスシートの間に位置する材料からなる支持層とすることができる。例えば、ガラスは、複数のガラス層でラミネートされてもよい。導電性フィルムの部分は、フィルムを分割または分離し、フィルムを横切る信号の送信および受信を可能とするために除去されてもよい。
【0007】
図1Aは、実施態様にかかる支持層102およびフィルム104を含む透明構造100を示している。導電性フィルム104は、自己支持型であってもよく、支持層102上に作製または積層されてもよく、単一の導電層を含んでもよく、交互の導電層および非導電層を有する多層構造を含んでもよい。
【0008】
以下に説明するように、フィルム104は、平面波または無線信号がフィルムを横切って伝送されるのを可能とする1つ以上のRFギャップを含む。1つの実施態様において、周波数f1の無線信号が、装置から構造100に向かって伝送されてもよい。この無線信号は、f1がフィルムの1つ以上のRFギャップ内にある場合にはフィルム104を通過し、無線信号は、f1がフィルムの1つ以上のRFギャップの外側にある場合には反射されてもよい。信号がフィルムを横切って伝送されるとき、信号は、後述するように、フィルム104の第1の側からフィルムの第2の側に通過してもよい。
【0009】
1つの実施態様において、支持層102は任意であってもよい。支持構造は、RF周波数範囲において透明な非導電性材料からなる。支持層102は、ガラス材料、プラスチック材料、ポリメチルメタクリレート材料(Plexiglass(商標)など)、アクリル材料などの層とすることができる。1つの実施態様において、透明構造100は、自動車、トラック、バス、列車などの車両のウィンドウであってもよい。例えば、支持層102は、フロントガラス、バックライト、サイドウィンドウ、スカイライト、または車両の他のウィンドウに使用されるガラスの層であってもよい。他の実施態様において、透明構造100は、オフィスビルまたは家屋の窓であってもよい。他の実施態様において、透明構造100は、飛行機またはヘリコプターなどの航空機内の窓であってもよい。他の実施態様において、透明構造100は、ヘルメット内のバイザーであってもよい。
【0010】
支持層102は、支持層102の第1の側から支持層102の第2の側へ支持層102を介して個人が見るのを可能とすることができる。例えば、支持層102は、運転者が自動車の内側から自動車の外側を見るのを可能とする自動車用フロントガラスの一部であってもよい。
【0011】
フィルム104は、支持層102に塗布されることができる材料の層とすることができる。1つの実施態様において、フィルム104は、赤外光または他のスペクトル光の少なくとも一部についての赤外線バリアである金属材料、金属合金材料、セラミック材料、または誘電材料から形成されてもよい。他の実施態様において、フィルム104は、赤外線バリアである導電性材料であってもよい。他の実施態様において、フィルム104は、インジウム、酸化スズ、貴金属などによって含浸された支持層または基材であってもよい。
【0012】
フィルム104は、赤外光などの光スペクトルの少なくとも第1の部分が、透明構造100の第1の側から透明構造100の第2の側へ移動するのを阻止することができる。例えば、フィルム104は、赤外光を反射することによって自動車の内部に侵入する太陽光中の赤外光の量を低減することができる。フィルム104はまた、可視光などの光スペクトルの第2の部分がフィルムを通過するのを可能とすることができる。フィルム104は、略透明であってもよい。
【0013】
1つの実施態様において、フィルム104は、支持層102に塗布されることができるコーティングであってもよい。例えば、フィルム104は、支持層102上に噴霧されることができる金属コーティングであってもよい。例えば、フィルム104は、支持層102上にスパッタリングされるIR反射コーティングであってもよい。他の実施態様において、フィルム104は、支持層102に塗布されることができる材料のストリップであってもよい。例えば、フィルム104の一方側は、支持層102に貼付されるかまたは積層されることができる接着剤を含んでもよい。フィルム104が塗布される支持層102の側面は限定することを意図するものではない。例えば、フィルム104は、支持層102の第1の側または支持層102の第2の側に塗布されることができる。
【0014】
1つの実施態様において、無線信号は、装置から透明構造100に向かって伝送されてもよい。フィルム104は、無線信号が透明構造100を通過するのを妨害または遮断してもよい。例えば、フィルム104は、IRエネルギを反射してIRエネルギの量を低減し、自動車に入って自動車の内部温度を上昇させるコーティングであってもよい。
【0015】
IRエネルギを反射する材料の導電性部分は、車両内の装置と干渉して車両外部の装置にRF信号を送信することができる。フィルム104は、平面波または無線信号がフィルムを横切って伝送されるのを可能とする1つ以上のギャップを含むことができる。ギャップは、RF信号がギャップを横切って伝送されるのを可能とするRFギャップとすることができる。信号がフィルムを横切って伝送されるとき、信号は、後述するように、フィルム104の第1の側からフィルムの第2の側に通過してもよい。
【0016】
図1Bは、実施態様にかかる第1の支持層102、フィルム104、中間層108、および第2の支持層110を含む透明構造106を示している。図1Bにおける特徴のいくつかは、他に明示的に記載されていない限り、同じ参照符号によって示される図1Aにおける特徴のいくつかと同一または同様である。
【0017】
透明構造106は、積層構造であってもよい。例えば、透明構造100は、破損したときにともに保持される自動車、航空機、または超高層ビルにおいて使用される安全ガラスなどの積層ガラスであってもよい。例えば、第1の支持層102が破損した場合、第1の支持層102は、中間層108によって適所に保持される。中間層108は、第1の支持層102と第2の支持層110との間に位置するポリビニルブチラール(PVB)材料またはエチレン−ビニルアセテート(EVA)材料であってもよい。中間層108は、第1の支持層102および/または第2の支持層110が破壊された場合であっても、第1の支持層102と第2の支持層110とが一体に結合した状態を維持する。中間層108は、第1の支持層102および/または第2の支持層110が、危険を引き起こす可能性がある大きな鋭い材料片に崩壊するのを防止することができる。
【0018】
透明構造106はまた、フィルム104も含むことができる。フィルム104は、第1の支持層102、中間層108、または第2の支持層110に塗布されることができる。フィルム104が塗布される層は、限定することを意図するものではない。例えば、フィルム104は、IRエネルギが透明構造106を通過するのを阻止するために、第1の支持層102、中間層108、または第2の支持層110のいずれかの側に塗布されることができる。フィルム104は、後述するように、平面波または無線信号がフィルム104の第1の側からフィルムの第2の側に通過して他の装置と通信するのを可能とする1つ以上のギャップを含むことができる。
【0019】
1つの実施態様において、第1の支持層102は、2.1mmの厚さとすることができ、フィルム104は、42nmの厚さとすることができ、中間層108は、0.76mmの厚さとすることができ、第2の支持層110は、2.1mmの厚さとすることができる。他の実施態様において、第1の支持層102の損失正接は、0.01とすることができ、第2の支持層110の損失正接は、0.01とすることができ、中間層108の損失正接は、0.05とすることができる。他の実施態様において、第1の支持層102の誘電率は、7とすることができ、第2の支持層110の誘電率は、7とすることができ、中間層108の誘電率は、3とすることができる。
【0020】
図2は、1つの実施態様にかかる透明支持層202およびフィルム204を含むウィンドウ200を示している。フィルム204は、支持層202の内側または外側に塗布されることができるIRバリアとすることができる。透明支持層202は、フィルム204の一部が除去されたギャップ206を含むことができる。1つの実施態様において、ウィンドウ200は、フィルム204が塗布されることができないかまたは除去され得るギャップ206を含むことができる。ギャップ206は、非導電性ギャップとすることができる。信号は、ギャップ206を横切って伝送されることができる。例えば、フィルム204は、ギャップ206に塗布されることができず、単一周波数、複数周波数、または透過スペクトルにわたる伝送がウィンドウ200を横切って伝送されることができるフィルム204内の空間を提供することができる。1つの実施態様において、RF信号は、全領域にわたってフィルムのIR反射率の損失を回避するように信号の波長が開口の線形サイズの2倍を超えないフィルム204内のこの開口を介して伝送されてもよい。
【0021】
他の実施態様において、透明支持層202は、選択されたRF周波数の信号がウィンドウ200を横切って伝送されるのを可能とする部分IRバリアを提供するようにフィルム204が支持層202から部分的に除去されることができる領域208を含むことができる。例えば、単一のユニットセル構造またはユニットセル構造のアレイを形成するように領域208にあるフィルム204の一部が除去されることができる。ユニットセル構造は、RFギャップを形成することができ、これにより、1つ以上の選択RF周波数範囲の伝送を可能としつつ他の波長の信号がフィルム204を横切って伝送されるのを阻止することができる。
【0022】
ユニットセル構造は、信号と相互作用して信号を遮断するかまたはフィルム104を横切る信号の伝送を可能とする、規定された形状およびサイズを有するメタマテリアル(MM)とすることができる。例えば、ギャップは、周波数選択性である共振構造を形成するように信号と相互作用することができる。周波数選択構造は、広帯域の周波数または狭帯域の周波数をカバーすることができる。ユニットセル構造は、規定された周波数の信号から流れる誘導電流の量を制限して、信号がフィルム104を横切って伝送されるのを可能とすることができる。
【0023】
図3Aは、1つの実施態様にかかる、フィルムにおけるギャップ306によってフレーム302から分離されたユニットセル構造300(透明ウィンドウとも称される)の共振構造304を示している。フレーム302は、フィルムの第1の部分とすることができ、共振構造304は、フィルムの第2の部分とすることができる。
【0024】
フレーム302および共振構造304は、導電性材料であってもよく、フィルム材料から形成されてもよい。1つの実施態様において、ギャップ306は、共振構造304の周囲に島を形成し、共振構造304からフレーム302を完全に分離してもよい。ギャップは、共振構造304に外接し、フレーム302は、ギャップ306に外接してもよい。例えば、フィルムの第1の部分は、フィルムの一部が中心から除去された第1のサイズを有するフィルムの第1の正方形であってもよく、フィルムの第2の部分は、フィルムの第2の正方形であってもよい。第2の正方形のサイズは、規定された量だけ第1の正方形のサイズよりも小さくてもよく、第2の正方形は、除去された第1の正方形の一部内に位置してもよい。ギャップ306は、第2の正方形の外周308と第1の正方形の内周310との間のギャップであってもよい。
【0025】
共振構造304は、衝突電界とともに電流が移動するのを可能とする導電性フィルムのパッチであってもよい。第2のフレーム204の共振構造は、ギャップ306を形成するために共振構造304の外周のギャップ306において導電性材料を除去することによって形成されてもよい。共振構造304のサイズは、導電性フィルム内の共振構造304を通過することができる信号の周波数を規定することができる。ギャップ306の幅は、ユニットセル構造300の共振構造304を横切って伝送されることができる信号の伝送帯域幅に影響を及ぼす。1つの実施態様において、ギャップ306の幅が減少するのにともない、共振構造304を横切って伝送されることができる信号の周波数帯域は減少することができる。他の実施態様において、ギャップ306の幅が増加するのにともない、共振構造304を横切って伝送されることができる信号の周波数帯域は増加することができる。
【0026】
共振構造304のサイズは、共振構造304を横切って伝送されることが可能とされる無線信号の中心周波数を規定することができ、第1のギャップの幅は、導電性フィルムを横切って伝送されることが可能とされる無線信号の帯域幅と関連付けられる。
【0027】
複数の共振構造は、後述するように、互いに内側に配置されることができ、より大きな共振構造がより小さい構造のフレームを形成する。各共振構造は、ギャップ内部の導電性フィルムのサイズによって規定されてもよい。複数のフレームは、後述するように、各フレーム間のギャップが次の同心フレームの外側と重ならない同心円状に積層されてもよい(例えば、互いに内側に積み重ねられてもよい)。
【0028】
1つの実施態様において、ギャップ306は、規定された幅(W)および面積を有することができる。ギャップの面積は、ギャップの長さにギャップの高さを乗じたものから、内部フレームまたは内部ギャップなどの任意のギャップ内の構造または要素を覆う任意の面積を差し引いたものであってもよい。ユニットセル構造は、フィルムを横切って伝送されることによって周波数または周波数範囲を制御する共振構造であってもよい。共振構造304の幅および面積は、信号のどの波長がユニットセル構造300を横切って伝送されることができるかを制御することができる。共振構造304の幅および面積は、信号のどの波長がユニットセル構造300によって遮断されることができるかを制御することができる。例えば、ユニットセル構造300が自動車用フロントガラスの一部である場合、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)周波数が自動車に対して出入りするのを遮断して、自動車内の個人のプライバシーを維持し、外部のWLAN信号からの干渉を低減することが望ましい場合がある。個人はまた、他の装置と通信するために車内および車外のセルラー信号またはGPS(全地球測位システム)信号を送受信することが望ましい場合がある。セルラー信号は、800メガヘルツ(MHz)と940MHzの間、1700MHz−2000MHz、または2100MHz−2200MHzの周波数を有する信号の間にあってもよい。GPS信号は、約1227.60MHzまたは1575MHzの周波数を有する信号であってもよい。
【0029】
この例では、共振構造304のサイズおよびギャップ306の幅は、WLAN信号を遮断しつつセルラー信号またはGPS信号が共振構造304の構造300を介して伝送されるのを可能とするように調整されてもよい。
【0030】
1つの実施態様において、共振構造304のサイズは、ユニットセル構造300を横切って伝送されることになる規定された信号の自由空間波長のサイズの1/7から1/8とすることができる。例えば、1.9ギガヘルツ(GHz)の周波数を有する信号は、約157ミリメートル(mm)の波長を有することができ、157mmの1/8は約19.6mmである。1.9GHz信号がユニットセル構造300を横切って進むのを可能とするために、フレーム302の境界は、40ミリメートル(mm)の幅(P)と40mmの長さ(P)とすることができる。共振構造304の境界は、幅19.6mm(L)および長さ19.6mm(L)であってもよい。ギャップの幅(W)は、1.0mmから2.6mmとすることができる。Wが1mmの場合、ギャップの面積は、(20.6mm×20.6mm)−(19.6mm×19.6mm)=40.2mmとすることができる。Wが2.6mmの場合、ギャップの面積は、(22.2mm×22.2mm)−(19.6mm×19.6mm)=108.68mmとすることができる。
【0031】
1つの例において、ユニットセル構造300は、第1の周波数(f1)の信号がユニットセル構造300を横切って伝送されるのを可能とすることから、第2の周波数(f2)の信号がユニットセル構造300を横切って伝送されるのを可能とすることまで線形にスケーリングされてもよい。例えば、新たなユニットセル構造の寸法(L2)は、以下の式L2=f1/f2×L1を使用して決定されることができ、ここで、L1は、現在のユニットセル構造300の線形寸法であり、f1は、ユニットセル構造300を横切って現在伝送されている信号の周波数であり、f2は、新たなユニットセル構造を横切って伝送されることになる信号の新たな周波数である。さらに、ギャップの幅は、フレームの共振と共役であってもよい。他の実施態様において、共振構造304の周波数は、0.1から100GHzの範囲であってもよく、これは0.1mmから400mmの範囲の共振構造に相関することができる。
【0032】
図3Bは、1つの実施態様にかかる、ギャップ306の幅値が異なる図3Aのユニットセル構造300の透過スペクトルグラフ320を示している。上述したように、ギャップ306の幅値が変化すると、ユニットセル構造300を横切って送受信されることができる周波数の伝送帯域幅も変化することがある。1つの例において、ギャップ306の幅値が増加するのにともない、周波数に対する伝送帯域幅もまた増加することがある。他の例において、ギャップ306の幅値が減少するのにともない、周波数に対する伝送帯域幅も減少することがある。さらに、支持層の特性は、ユニットセル構造300を横切って伝送されることができる周波数範囲および帯域幅を変更することがある。支持層の特性は、支持層(ガラス、プラスチック、またはプレキシガラスなど)の材料の種類、支持層の厚さ、支持層に含浸される材料、支持層の誘電特性、支持層などの(周波数に依存する)損失係数を含むことができる。
【0033】
共振構造304は、支持層の変化する特性に対する周波数ウィンドウ322の範囲を調整するために線形にスケーリングされてもよい。例えば、0dB+/−3dBの信号がギャップ306を横切って伝送されてもよい。1つの実施態様において、ギャップ306の幅は、最初は1.8mmであってもよい。1.8mmの幅は、1.85GHz−2.12GHzの周波数範囲の信号がギャップおよび支持層を横切って伝送されるのを可能とする。共振構造304および支持層を横切って伝送されることができる信号の所望の周波数ウィンドウ322が1.71GHz−2.17GHzである場合、周波数ウィンドウ322を増加させるようにギャップの幅を調整することができる。例えば、支持層の所与の特性の組について、ギャップ306の幅を1.0mmに減少させると、周波数ウィンドウ322を1.9GHz−2.1GHzに減少させることができ、ギャップ306の幅を2.6mmに増加させると、周波数ウィンドウ322を1.71GHz−2.17GHzに増加させることができる。この例において、周波数ウィンドウ322が所望の周波数範囲を含むのを可能とするために、ギャップ306は、2.6mmまで増加させることができる。
【0034】
図4は、1つの実施態様にかかる、フィルムの十字形のギャップ406によってフレーム402から分離された共振構造404を有するユニットセル構造400を示している。フレーム402は、フィルムの第1の部分であってもよく、共振構造404は、フィルムの第2の部分であってもよい。
【0035】
ギャップ406は、共振構造404の周囲に島を形成し、共振構造404からフレーム402を完全に分離してもよい。共振構造404は、十字形として形成することができ、ギャップ406は、十字形共振構造404に外接することができる。ギャップ406は、共振構造404の外周408とフレーム402の内周410との間のギャップであってもよい。
【0036】
1つの実施態様において、ギャップ406は、規定された幅(W)および面積を有することができる。ギャップの面積は、ギャップの長さにギャップの高さを乗じたものから、内部フレームまたは内部ギャップなどの任意のギャップ内の構造または要素を覆う任意の面積を差し引いたものであってもよい。共振構造404の境界は、幅(L)および長さ(L)を有することができる。1つの実施態様において、LおよびLは同じであってもよい。他の実施態様において、LおよびLは異なっていてもよい。ユニットセル構造400は、フィルムを横切って伝送されることによって周波数または周波数範囲を制御する共振構造であってもよい。共振構造404の幅および面積は、信号のどの波長がユニットセル構造400を横切って伝送されることができるかを制御することができる。共振構造404の幅および面積は、信号のどの波長がユニットセル構造400によって遮断されることができるかを制御することができる。
【0037】
図5は、1つの実施態様にかかる、第1の共振構造502、第1のギャップ504、第1の共振構造502のまわりにフレームも形成する第2の共振構造506、第2のギャップ508、第2の共振構造506のまわりにフレームも形成する第3の共振構造510、第3のギャップ512、および外側フレーム514を含むフィルムのユニットセル構造500を示している。第1の共振構造502、第2の共振構造506、および第3の共振構造510は、フィルム材料から形成されることができる。
【0038】
ユニットセル構造500は、異なる周波数の信号がフィルムを横切って伝送されるのを可能とする異なるサイズの共振構造502、506、および510を含むことができる。ギャップフレームの面積は、ギャップフレームの長さにギャップフレームの高さを乗じたものから、内部フレームまたは内部ギャップなどの任意のギャップ内の構造または要素を覆う任意の面積を差し引いたものとするであってもよい。
【0039】
共振構造502は、第1の共振構造502がユニットセル構造500の中心に配置され且つ第1のギャップ504が第1のフレームの周囲に沿って配置されることができるユニットセル構造500に一体化されることができる。第1の共振構造は、共振構造502、506、および510の最小の長さおよび高さの寸法を有することができる。各共振構造502、506、510をその周囲フレーム506、510、514から分離するギャップ504、508、512が同心円状の配置を形成するように、次第に大きなフレームおよびギャップが第1のギャップ504の周囲に沿って配置されてもよい。例えば、第2のフレーム506は、第1のギャップ504の周囲に沿って配置されてもよく、第2のギャップ508は、第2のフレーム506の周囲に沿って配置されてもよく、第3のフレーム510は、第2のギャップ508の周囲に沿って配置されてもよく、第3のギャップ512は、第3のフレーム510の周囲に沿って配置されてもよい。
【0040】
第1の共振構造502は、長さ9.4mm×高さ9.4mmとすることができる。第1のギャップ504は、幅0.4mmとすることができる。第2の共振構造506は、長さ19.5mm×高さ19.5mmとすることができる。第2のギャップ508は、幅0.9mmとすることができる。第3の共振構造510は、長さ37.5mm×高さ37.5mmとすることができる。第3のギャップは、幅0.9mmである。外側フレーム514は、長さ40mm×高さ40mmとすることができる。
【0041】
第1の共振構造502は、約0.825GHzの信号が第1のユニットセル500を横切って伝送されるのを可能とするようなサイズにすることができる。第2の共振構造506は、約1.84GHzの信号が第2のユニットセル500を横切って伝送されるのを可能とするようなサイズにすることができる。第3の共振構造510は、約3.6GHzの信号が第3のユニットセル500を横切って伝送されるのを可能とするようなサイズにすることができる。
【0042】
図6は、1つの実施態様にかかる、第1の周波数ウィンドウ602、第2の周波数ウィンドウ604、および第3の周波数ウィンドウ606を有する図5におけるユニットセル構造500についての透過スペクトルグラフ600を示している。第1の周波数ウィンドウ602は、0.69GHz−0.96GHzの周波数範囲を有することができる。第1の周波数ウィンドウ602は、第3の共振構造510と関連付けられてもよい。第2の周波数ウィンドウ604は、1.71GHz−2.17GHzの周波数範囲を有することができる。第2の周波数ウィンドウ604は、第2の共振構造506と関連付けられてもよい。第3の周波数ウィンドウ606は、3.4GHz−3.8GHzの周波数範囲を有することができる。第3の周波数ウィンドウ606は、第1の共振構造502と関連付けられてもよい。
【0043】
上述したように、周波数ウィンドウ602、604、606に対応する周波数帯域の幅は、所望の周波数範囲を含むようにギャップ512、508、504の幅をそれぞれ変更することによって調整されることができる。例えば、第3のギャップ512の幅が9.2mmである場合、フィルムを横切って伝送されることができる周波数範囲は、0.69GHz−0.96GHzである。第3のギャップ512の幅および長さが9.4mmである場合、フィルムを横切って伝送されることができる周波数範囲は3.8GHz−3.9GHzである。第3の共振構造512の幅および長さが9.6mmである場合、フィルムを横切って伝送されることができる周波数範囲は、3.6GHz−3.7GHzである。
【0044】
図7は、1つの実施形態にかかる、異なる入射角で伝送された信号を有する透過スペクトルグラフ700を示している。図3Aにおけるユニットセル構造300の共振構造304および図5におけるユニットセル構造500の共振構造502、506、および510は、規定された周波数の信号が異なる入射角でフィルムを横切って伝送されるのを可能とすることができ、実質的に同じ透過係数を有することができ、すなわち、フィルムを透過することが可能な周波数帯域における信号の伝送パワーは、入射角の関数として変化することができる。
【0045】
図8は、1つの実施形態にかかる、第1のユニットセル構造802および第2のユニットセル構造812にわたって伝送される信号の透過スペクトルグラフ800を示している。ユニットセル構造の形状および形態は、フィルムを横切って伝送されることができる信号の周波数範囲に対して最小限の影響で変更されることができる。
【0046】
第1のユニットセル構造802は、第1のパターンを構成する第1の共振構造804、第1のギャップ806、第2の共振構造808、第2のギャップ810および第2のユニットセル構造812を含むことができる。第1の共振構造804は、第1のユニットセル構造802の中心に配置されることができる。第2の共振構造808は、正方形の角を有する正方形の形状を有することができる。第1のギャップ806は、正方形の角に接続する直線の境界を有することができる。第2の共振構造808は、正方形の角を有する正方形の形状を有することができる。第2のギャップ810は、正方形の角に接続する直線の境界を有することができる。
【0047】
第2のユニットセル構造812は、第2のパターンを構成する第1の共振構造814、第1のギャップ816、第2の共振構造818、第2のギャップ820および外側フレーム832を含むことができる。第1の共振構造814は、第2のユニットセル構造812の中心に配置されることができる。第2の共振構造818は、丸い角を有する正方形を有することができる。第1のギャップ816は、丸い角に接続する直線の境界を有することができる。第2の共振構造818は、丸い角を有する正方形を有することができる。第2のギャップ810は、丸い角に接続する直線の境界を有することができる。
【0048】
1つの実施態様において、共振構造とそれを囲むフレームとの間の第2のギャップ820(構造812のギャップ820に示されるように)は、多くの小さな非接続パッチまたは導電性材料の島で充填されてもよい。ユニットセル構造のギャップ領域の内側にこれらの小さな断路された島またはフィルムを追加することの利点は、共振構造のサイズおよびギャップの幅によって決定されるような周波数帯域の透過を可能とするユニットセルの能力を低下させることなく、フィルムによって覆われたユニットセルの表面積をより多く有することである。他の実施態様において、第2のギャップ820は、ギャップウィンドウ820内に配置されたフィルムの複数の島を含んでもよい。1つの実施態様において、フィルムの島は、空きスペースまたは他の材料によって囲まれた比較的小さなフィルム片である。
【0049】
カットアウトまたは島は、第2のギャップ820の50−80%などの第2のギャップ820の一部をフィルムで充填することができる。1つの例において、カットアウトまたは島のサイズは、第2のギャップ820を透過されることになる信号の所望の波長の長さの約1/10であってもよい。
【0050】
透過スペクトルグラフ800は、1GHz−7GHzの周波数範囲についての第1のユニットセル構造802および第2のユニットセル構造812の透過係数を示している。透過スペクトルグラフ800は、第1のユニットセル構造802および第2のユニットセル構造812が1−7GHzの周波数範囲にわたって実質的に同じ透過係数を有することができることを示している。
【0051】
図9Aは、1つの実施形態にかかる、第1のサブユニットセルアレイ902および第2のサブユニットセルアレイ904を有するセルアレイ構造900を示している。車両、建造物または他の構造のウィンドウは、ユニットセル構造900が配置されることができる規定された領域を含むことができる。1つの例において、自動車のウィンドウは、運転者による視認性を妨げず且つ規定された領域においてフィルムを横切って信号を伝送するのを可能とするユニットセル構造900についての規定された領域を含むことができる。規定された領域の最小サイズは、フィルムにわたって規定された周波数で信号を伝送するのを可能とするために必要なフレームおよびギャップのサイズによって制限されることができる。例えば、自動車用フロントガラスの規定された領域は、長さ180mmおよび高さ180mmとすることができる。ユニットセル構造900は、規定された領域の少なくとも一部を覆うことができる。規定された領域の最大サイズは、ユニットセル構造900が接続または接着することができる支持層のサイズによって制限されてもよい。1つの例において、最大領域は、視認性を妨げず且つフロントガラスの全領域ではない自動車用フロントガラスの一部であってもよい。
【0052】
ユニットセル構造900を横切って伝送されることになる規定された周波数範囲がともに近すぎてその共振構造が重なり合う(すなわち、1つの内部共振構造が他の構造のギャップ内にある)とき、ユニットセル構造900は、複数のサブユニットセル構造を含むことができる。1つの例において、周波数範囲が9MHz離れている場合、周波数範囲が近すぎることがある。
【0053】
1つの実施態様において、第1のサブユニットセル構造902は、規定された領域の第1の部分を覆うことができ、第2のサブユニットセル構造904は、規定された領域の第2の部分を覆うことができる。1つの例において、第1の領域は、長さ160mmおよび高さ80mmである。
【0054】
第1のサブユニットセル構造902は、第1の周波数範囲のセット内の信号が第1のサブユニットセル構造902を横切って伝送されるのを可能とするように、第1のパターンにおける共振構造およびギャップを含むことができる。第1のサブユニットセル構造902の共振構造のサイズは、内側共振構造から外側共振構造に向かって、9.4mm×9.4mm、19.5mm×19.5mm、および37.5mm×37.5mmを含むことができる。第1のサブユニットセル構造902のギャップの幅は、内側ギャップから外側ギャップに向かって、0.9mm、0.9mm、および0.4mmを含むことができる。1つの実施態様において、第1の周波数範囲のセットは、690MHz−960MHz、1.71−2.17GHz、および3.4−3.8GHzを含むことができる。
【0055】
第2のサブユニットセル構造904は、第2のセットの周波数範囲内の信号が第2のサブユニットセル構造904を横切って伝送されるのを可能とするように、第2のパターンで共振構造およびギャップを含むことができる。第2のサブユニットセル構造904の共振構造のサイズは、内側共振構造から外側共振構造に向かって、6.5mm×6.5mmおよび12mm×12mmを含むことができる。第2のサブユニットセル構造904のギャップの幅は、内側ギャップから外側ギャップに向かって、0.5mmおよび0.4mm−0.6mmを含むことができる。1つの実施態様において、周波数範囲の第2のセットは、2.3−2.7GHzおよび5.15−5.925GHzを含むことができる。
【0056】
サブユニットセル構造の数またはサブユニットセル構造によってカバーされる周波数範囲は、限定することを意図するものではない。1つの例において、ユニットセル構造900は、均質な分布のサブユニットセル構造の混合物を含むことができる。他の例において、規定された領域は、規定された領域内の異なる各位置にある複数のサブユニットセル構造によって覆われてもよい。
【0057】
図9Bは、1つの実施形態にかかる、第1のサブユニットセルアレイ912および第2のサブユニットセルアレイ914を有するセルアレイ構造910を示している。1つの実施態様において、第1のサブユニットセル構造912は、規定された領域の第1の部分を覆うことができ、第2のサブユニットセル構造914は、規定された領域の第2の部分を覆うことができる。1つの例において、第1の領域は、長さ160mmおよび高さ80mmである。
【0058】
第1のサブユニットセル構造912は、第1の周波数範囲のセット内の信号が第1のサブユニットセル構造912を横切って伝送されるのを可能とするように、第1のパターンで共振構造およびギャップを含むことができる。第1のサブユニットセル構造912の共振構造のサイズは、内側共振構造から外側共振構造に向かって、9.08mm×9.08mm、18.38mm×18.38mm、および35.83mm×35.83mmを含むことができる。第1のサブユニットセル構造912のギャップの幅は、内側ギャップから外側ギャップに向かって、2.23mm、4.06mm、および0.94mmを含むことができる。1つの実施態様において、第1の周波数範囲のセットは、690MHz−960MHz、1.71−2.17GHz、および3.4−3.8GHzを含むことができる。
【0059】
第2のサブユニットセル構造914は、第2の周波数範囲のセット内の信号が第2のサブユニットセル構造914を横切って伝送されるのを可能とするように、第2のパターンで共振構造およびギャップを含むことができる。第2のサブユニットセル構造914の共振構造のサイズは、内側共振構造から外側共振構造に向かって、6.307mm×6.307mmおよび12mm×12mmを含むことができる。第2のサブユニットセル構造914のギャップの幅は、内側ギャップから外側ギャップに向かって、0.504mmおよび0.5mmを含むことができる。1つの実施態様において、周波数範囲の第2のセットは、2.3−2.7GHzおよび5.15−5.925GHzを含むことができる。
【0060】
サブユニットセル構造の数またはサブユニットセル構造によってカバーされる周波数範囲は、限定することを意図するものではない。1つの例において、ユニットセル構造910は、均質な分布のサブユニットセル構造の混合物を含むことができる。他の例において、規定された領域は、規定された領域内の異なる各位置にある複数のサブユニットセル構造によって覆われてもよい。
【0061】
図10は、1つの実施形態にかかる、フィルムを有さずに透明層を横切って伝送される第1の信号1002、図9Aにおけるセルアレイ構造900を横切って伝送される第2の信号1004、および図9Bにおけるセルアレイ構造910を横切って伝送される第3の信号1006についての透過スペクトルグラフ1000を示している。1つの例において、セルアレイ構造900またはセルアレイ構造910を有する透明層は、14cm×16cmのフィルム領域とすることができる。
【0062】
透過スペクトルグラフ1000は、ユニットセル構造を横切って転送される第1の信号1002、第2の信号1004、および第3の信号1006について伝送されたパワー(dB)の量を示している。第1の信号1002は、フィルムが完全に除去された領域に対応し、フィルムである領域のサイズの約2倍よりも小さくすることができる波長を有する周波数は、フィルムを通過するのが可能とされることができる。しかしながら、領域からフィルムの全てを除去することは、選択された周波数の信号がフィルムを横切って伝送されるのを阻止してIR光を反射するように、フィルムの意図された機能を無効にすることができる。フィルムが完全に除去された領域について、1−7GHzの間の第1の信号1002のパワーは、1dB−1.45dBの範囲とすることができる。ユニットセル構造902を有するセルアレイ構造900(図9A)について、1−7GHzの間の第2の信号1004のパワーは、0.1dB−0.8dBの範囲とすることができる。ユニットセル構造912を有するセルアレイ構造910(図9B)について、1−7GHzの間の第3の信号1006のパワーは、0.1dB−0.6dBの範囲とすることができる。ユニットセル構造902および912について、5つの選択周波数帯域がフィルムを通過することが可能とされ、曲線1004は、ユニットセルのより最適化された構造に対応し、選択された周波数範囲においてより高いパワーおよびより広帯域幅の伝送を可能とする。
【0063】
様々な動作は、本開示を理解する上で最も有用なように順次複数の個別の動作として記載されるが、記載の順序は、これらの動作が必ずしも順序依存性であることを意味するようには解釈されなくてもよい。特に、これらの動作は、提示の順序で実行される必要はない。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10