(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
固体物を固定する受皿部材と、当該受皿部材を収納する凹所が形成された容器本体と、前記凹所の上端開口を開閉可能な蓋体とを備え、受皿部材と容器本体との間に衝撃吸収部材が配置されたコンパクト容器であって、
前記衝撃吸収部材は、平面視で前記受皿部材を外側から囲む周壁と、該周壁の下端部を閉塞し前記受皿部材を下方から覆う底壁とを有し、該周壁及び該底壁の少なくとも一部が弾性部材で形成されると共に、該底壁を構成する弾性部材の少なくとも一部は該弾性部材の上面又は下面に積層された補強部と共に積層構造を構成し、
前記補強部は、前記弾性部材の上面に積層されていることを特徴とするコンパクト容器。
前記衝撃吸収部材は、前記周壁の上端部が中枠部材を介して容器本体に固定されており、前記補強部と前記中枠部材とは、周方向に間欠的に形成された連結部を介して連結されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコンパクト容器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のコンパクト容器では、衝撃吸収部材が弾性部材により形成されており剛性が低いため、部材が折れ曲がり易く取り扱いが煩雑になることがあった。
【0005】
本発明の目的とするところは、受皿部材に伝わる衝撃を効果的に吸収すると共に、衝撃吸収部材の取り扱い易さを改善した、新規なコンパクト容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明のコンパクト容器は、
固体物を固定する受皿部材と、当該受皿部材を収納する凹所が形成された容器本体と、前記凹所の上端開口を開閉可能な蓋体とを備え、受皿部材と容器本体との間に衝撃吸収部材が配置されたコンパクト容器であって、
前記衝撃吸収部材は、平面視で前記受皿部材を外側から囲む周壁と、該周壁の下端部を閉塞し前記受皿部材を下方から覆う底壁とを有し、該周壁及び該底壁の少なくとも一部が弾性部材で形成されると共に、該底壁を構成する弾性部材の少なくとも一部は該弾性部材の上面又は下面に積層された補強部と共に積層構造を構成し
、
前記補強部は、前記弾性部材の上面に積層されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のコンパクト容器は、上記構成において、前記弾性部材は、前記衝撃吸収部材の底壁における平面視で中央部及び辺縁部において上面に露出していることが好ましい。
【0009】
また、本発明のコンパクト容器は、上記構成において、前記弾性部材と前記補強部とは、インサート成形又は二色成形によって一体成形されていることが好ましい。
【0010】
また、本発明のコンパクト容器は、上記構成において、前記衝撃吸収部材は、前記周壁の上端部が中枠部材を介して容器本体に固定されており、前記補強部と前記中枠部材とは、周方向に間欠的に形成された連結部を介して連結されていることが好ましい。
【0011】
また、本発明のコンパクト容器は、上記構成において、前記補強部、前記連結部、及び前記中枠部材は、同一材料で一体成形されていることが好ましい。
【0012】
また、本発明のコンパクト容器は、上記構成において、前記受皿部材は、該受皿部材の底部の少なくとも一部が強磁性体で形成され、
前記衝撃吸収部材又は前記容器本体には、平面視で少なくとも一部が前記強磁性体と重なる磁石部材が固定されていることが好ましい。
【0013】
また、本発明のコンパクト容器は、上記構成において、前記磁石部材は、前記衝撃吸収部材の前記底壁に設けられた凹所に嵌合し固定されていることが好ましい。
【0014】
また、本発明のコンパクト容器は、上記構成において、前記衝撃吸収部材の前記周壁の内周面には、平面視において内側方向に突出し、前記受皿部材の側部に当接する環状突起が形成されていることが好ましい。
【0015】
また、本発明のコンパクト容器は、上記構成において、前記容器本体の底部には、前記受皿部材を下方から直接、又は前記衝撃吸収部材を介して押圧するための貫通孔が設けられていることが好ましい。
【0016】
また、本発明のコンパクト容器は、上記構成において、前記衝撃吸収部材の周壁と底壁とが交叉する隅部の厚みは、前記衝撃吸収部材の底壁の平均厚みよりも薄いことが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、受皿部材に伝わる衝撃を効果的に吸収すると共に、衝撃吸収部材の取り扱い易さを改善した、新規なコンパクト容器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態である、コンパクト容器10,20を詳細に説明する。
【0020】
図1(a),(b)は、本発明の第1実施形態である、コンパクト容器10である。本実施形態に係るコンパクト容器10は、特に化粧料等を収容する化粧用コンパクト容器に好適である。本実施形態のコンパクト容器10は、化粧料等の固体物を収容する空間を形成する容器本体13と、容器本体13の上端開口を覆う蓋体14とを備えている。また、容器本体13は、内側に押圧することで蓋体14と容器本体13との係合を解除して蓋体14を開放可能なフックピース18を備えている。なお、本実施形態において、上下方向は、
図1(a)における上下方法であり、左右方向は、
図1(a)の左右方向である。また、
図1(a)における紙面に垂直に手前に向かう方向が前方、紙面に垂直に奥に向かう方向を後方とする。平面視で外側方向とは、
図1(b)においてコンパクト容器10の中心から外側に向かう方向であり、平面視で内側方向とは、
図1(b)においてコンパクト容器10の外縁から中心に向かう方向である。
【0021】
図2は、
図1のA−A断面による断面図であり、本実施形態であるコンパクト容器10の右側面断面図である。
図2の左側が前方、右側が後方である。
図2に示すように、容器本体13の凹所13dには、固形化粧料Sを収容する受皿部材12と、受皿部材12と容器本体13との間に配置され、受皿部材12への衝撃を吸収する衝撃吸収部材15とが配置されている。
【0022】
受皿部材12は、横断面が略矩形形状をなす側部12aと、側部12aの下端を閉塞する底部12bとを一体に設け、その内側に、固体物たる固形化粧料Sを固定保持している。底部12bは、側部12aの下端に連なる辺縁部12b2と、平面視で辺縁部12b2の内側に段部12b3を介して連なり上方に僅かに突出する中央底部12b1とから構成されている。図示するように、辺縁部12b2に対して中央底部12b1が上方に突出するように構成することで、段部12b3において曲げ剛性が高まり、受皿部材12を曲げ方向に変形しづらくすることができる。
【0023】
容器本体13は、横断面が略矩形形状をなす側部13aの下端に底部13bを一体に設け、その内側には、受皿部材12及び衝撃吸収部材15を収納する凹所13dが形成されている。容器本体13の後方寄りには、底部13bを上下に貫く貫通孔13hが設けられている。利用者は、この貫通孔13h及び衝撃吸収部材15の底壁15bに設けられた貫通孔15hを通じて棒材等を挿入し、受皿部材12の底部12bを棒材等で直接押圧することで、受皿部材12を衝撃吸収部材15から取り外して、固形化粧料Sを再充填することができる。なお、貫通孔13hは必ずしも設けられていなくてもよい。
【0024】
また
図2において、符号14は、凹所13dの上端開口を開閉可能な蓋体である。蓋体14は、容器本体13に対してピンPを介して連結されており、ピンP周りに回動可能である。蓋体14は、ピンPの周りに設けたねじりばね13sによって蓋体14が開放する方向に付勢されている一方、後述する容器本体13に設けたフック13fにフック14fを係合させることで閉塞状態を維持することができる。蓋体14の下面には鏡19が固定されている。
【0025】
符号15は、衝撃吸収部材である。衝撃吸収部材15は、エラストマやゴム等に代表される可撓性を有する弾性材料を含む構成を有している。衝撃吸収部材15は、横断面が略矩形形状の周壁15aの下端に底壁15bを一体に設け、その内側には、受皿部材12を収納する。すなわち、周壁15aは、平面視で受皿部材12を外側から囲み、底壁15bは、受皿部材12を下方から覆う。
【0026】
周壁15aは、底壁15bから起立して受皿部材12の側部12aを平面視で外側から囲み保持する。本実施形態では、
図2に示すように、周壁15aには、その内周面の全周に亘って内側方向に突出する環状突起15pが形成されている。そして、環状突起15pの内周面と、受皿部材12の側部12aの外周面との嵌め合いが締り嵌めとなるように構成されている。従って、受皿部材12の側部12aを衝撃吸収部材15の周壁15aの内周面に嵌合させることで、環状突起15pは平面視で外側方向に弾性変形しつつ受皿部材12の側部12aに当接して内側方向に押圧するため、受皿部材12は、衝撃吸収部材15(環状突起15p)によって抜け止め保持されると共に前後左右方向に弾性支持される。また、受皿部材12の底部12b(辺縁部12b2)が衝撃吸収部材15の底壁15bに当接することで、受皿部材12は、上下方向にも弾性支持される。これによって、容器本体13が前後左右上下のいずれの方向から衝撃を受けても、受皿部材12に直接衝撃が伝わらず、衝撃吸収部材15によってその衝撃が吸収されるように構成されている。従って、受皿部材12内に収容された固形化粧料Sに亀裂や欠けを生じさせないようにすることができる。
【0027】
なお、受皿部材12の側部12a外周面にも環状突部を設け、当該環状突部が、環状突起15pに対して係止されることで、受皿部材12が、衝撃吸収部材15から抜けることを強固に防止するように構成してもよい。また、環状突起15pは、必ずしも全周に亘って設ける必要はなく、周方向に間欠的に設けてもよい。
【0028】
衝撃吸収部材15の底壁15bにおける後方寄りには、底壁15bを上下に貫く貫通孔15h(
図2及び
図4参照)が設けられている。利用者は、この貫通孔15h及び容器本体13の底部13bに設けられた貫通孔13hを通じて棒材等を挿入し、受皿部材12の底部12bを棒材等で直接押圧することで、受皿部材12を衝撃吸収部材15から取り外して、固形化粧料Sを再充填することができる。なお、貫通孔15hは必ずしも設けられていなくてもよい。容器本体13の底部13bに貫通孔13hが設けられ、衝撃吸収部材15の底壁15bに貫通孔15hが設けられていない場合には、利用者は、貫通孔13hから棒材等を挿入し、衝撃吸収部材15の底壁15bを押圧することで衝撃吸収部材15を弾性変形させ、衝撃吸収部材15を介して受皿部材12を下方から押圧するように構成してもよい。
【0029】
衝撃吸収部材15の底壁15bは、
図2に示すように、右側面視において周壁15aの下端に連なる辺縁部15b2と、辺縁部15b2の内側端から段部15b5を経て更に内側に延びる中間底壁15b3と、中間底壁15b3の内側端に更に連なる中央底壁15b1とを備えている。また、中間底壁15b3の上面には、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂等の合成樹脂で形成された補強部15b4が設けられ、中間底壁15b3と補強部15b4とが積層構造Lを構成している。本実施形態では、辺縁部15b2、中間底壁15b3、及び中央底壁15b1が弾性部材により形成され、補強部15b4がABS樹脂等の合成樹脂により形成されている。また、中央底壁15b1は、下面高さが中間底壁15b3に揃えられる一方、上面が中間底壁15b3よりも上方に突出し、厚肉に形成されている。そして、中央底壁15b1の上面と、積層構造Lをなす補強部15b4の上面とが概ね同一高さになるように構成されている。すなわち、中央底壁15b1と、中間底壁15b3と補強部15b4とからなる積層構造Lは略同一厚みを有している。底壁15bは、薄肉に形成された辺縁部15b2と、平面視で辺縁部15b2の内側に配置され辺縁部15b2よりも厚肉に形成された中央底壁15b1及び積層構造Lを備えている。
【0030】
辺縁部15b2に対して中央底壁15b1及び積層構造Lを厚肉に形成することで、中央底壁15b1及び積層構造Lにおいて曲げ剛性が高まるため、衝撃吸収部材15全体の曲げ剛性を高めて、部材の取り扱いや搬送を容易にすることができる。特に、積層構造L部分については、弾性部材よりも弾性係数が大きなABS樹脂等の合成樹脂を用いることで、曲げ剛性を向上させることができる。従って、衝撃吸収部材15全体の折れ曲がり等を抑制して、衝撃吸収部材15の取り扱い易さを改善し、コンパクト容器10の組立を容易にすることができる。
【0031】
本実施形態では、受皿部材12の底部12bの辺縁部12b2が衝撃吸収部材15の辺縁部15b2に当接することで、受皿部材12が衝撃吸収部材15により上下方向に弾性支持されている。外部から加えられた衝撃等によって受皿部材12が変形し、受皿部材12の辺縁部12b2が衝撃吸収部材15の辺縁部15b2に当接しなくなった場合でも、受皿部材12を、衝撃吸収部材15の中央底壁15b1で弾性支持することができる。
【0032】
本実施形態では、衝撃吸収部材15の周壁15aと底壁15bとが交叉する隅部15cの厚みは、底壁15bの平均厚みよりも薄くなるようにしている。これによって、容器本体13に衝撃が加わった場合に、隅部15cが変形することで衝撃吸収部材15が容器本体13の動きに追従しつつ変形し、容器本体13に加わった衝撃を効果的に吸収することができる。
【0033】
特に本実施形態では、中央底壁15b1及び積層構造Lよりも、辺縁部15b2、隅部15c及び周壁15aの方が薄肉に形成されているので、容器本体13に衝撃が加わった場合に、辺縁部15b2、隅部15c及び周壁15aが全体として変形することで衝撃吸収部材15が容器本体13の動きに追従しつつ変形し、容器本体13に加わった衝撃を効果的に吸収することができる。
【0034】
周壁15aの上端部には、外側方向に延びるフランジ部15fが形成されており、フランジ部15fの外側端から上方に向けて環状突起15gが突出している。本実施形態では、衝撃吸収部材15と中枠部材17とは、インサート成形又は二色成形(ダブルモールド)により異材料(例えば、衝撃吸収部材15にエラストマ、中枠部材17にABS樹脂)を用いて一体として構成されている。そして、
図3に示すように、中枠部材17が容器本体13の側部13aに形成された段部13eに当接すると共に嵌合壁13wの内側面に嵌合することで、衝撃吸収部材15は容器本体13に固定されている。なお、衝撃吸収部材15は中枠部材17を介して容器本体13に固定する代わりに、接着等の手段によって容器本体13に固定するようにしてもよい。
【0035】
図4は、衝撃吸収部材15及びこれに一体的に形成された中枠部材17の平面図である。衝撃吸収部材15は、
図4に示す平面視において、中央部及び辺縁部で弾性部材を上面に露出させ、それ以外の領域を補強部15b4で覆っている。このような構成によって、固形化粧料Sを再充填するために受皿部材12を容器本体13から取り外した際の容器本体13の美観を改善することができる。
【0036】
図4に示すように、衝撃吸収部材15の底壁15bを構成する合成樹脂製の補強部15b4は、平面視において周囲が辺縁部15b2等の弾性部材で囲まれている。そして、
図4のC−C断面及び
図5に示すように、周方向の4箇所において、補強部15b4から外側に延びるアーム部16(連結部)が周壁15aに沿って上方に延在し、上端部において中枠部材17と連結している。すなわち、補強部15b4は、周方向に間欠的に形成されたアーム部16(連結部)を介して中枠部材17と連結されている。そして、補強部15b4、アーム部16(連結部)、及び中枠部材17は、ABS樹脂等の同一材料で一体成形されている。このような構成の採用によって、衝撃吸収部材15は、
図5に示すように、弾性部材よりも剛性が高い合成樹脂製の補強部15b4及びアーム部16により骨格が形成され、中枠部材17に連結されるため、衝撃吸収部材15全体としての剛性を高めることができる。
【0037】
その一方で、衝撃吸収部材15は、
図3及び
図4に示すように、4箇所のアーム部16以外の領域では、周壁15a及び隅部15cが弾性部材のみによって構成されているので、容器本体13に衝撃が加わった場合に、隅部15c及び周壁15aが全体として弾性変形することで衝撃吸収部材15が容器本体13の動きに追従しつつ変形し、容器本体13に加わった衝撃を効果的に吸収することができる。
【0038】
上述のように、受皿部材12は、衝撃吸収部材15によって、容器本体13の側部13a及び底部13bに対して離間した状態に支持される。このため、容器本体13が受けた衝撃は、衝撃吸収部材15の周壁15a及び底壁15bを通して受皿部材12に伝わるので、受皿部材12が容器本体13からの衝撃を直接受けることがない。
【0039】
従って、本実施形態によれば、受皿部材12に伝わる衝撃を効果的に吸収することで、受皿部材12に収容された固形化粧料Sに亀裂や欠けを生じさせない新規なコンパクト容器10を提供することができる。
【0040】
蓋体14は、その内側にパフ等の化粧道具Tを収納するための空間を形成する。一方、容器本体13側には、
図2に示すように、蓋体14に設けたフック14fに係合し蓋体14の開放を阻止するフック13fを設けると共に、これらフック14f及び13fの係合を、その押し込みにより解除するフックピース18を設けることができる。
【0041】
また、容器本体13に形成した貫通孔13hは、容器本体13と蓋体14との間に外気を導入するため、容器本体13と蓋体14との間が密閉された場合に、その負圧によって生じる衝撃吸収部材15の機能低下を防止するのに有効である。
【0042】
以上述べたように、本実施形態は、固体物(固形化粧料S)を固定する受皿部材12と、受皿部材12を収納する凹所13dが形成された容器本体13と、凹所13dの上端開口を開閉可能な蓋体14とを備え、受皿部材12と容器本体13との間に衝撃吸収部材15が配置されたコンパクト容器10であって、衝撃吸収部材15は、平面視で受皿部材12を外側から囲む周壁15aと、周壁15aの下端部を閉塞し受皿部材12を下方から覆う底壁15bとを有し、周壁15a及び底壁15bの少なくとも一部が弾性部材で形成されると共に、底壁15bを構成する弾性部材の少なくとも一部は弾性部材の上面又は下面に積層された補強部15b4と共に積層構造Lを構成するように構成した。このような構成を採用することによって、受皿部材12が衝撃吸収部材15を介して容器本体13に支持されると共に、衝撃吸収部材15の剛性を高めることができる。従って、受皿部材12に伝わる衝撃を効果的に吸収すると共に、衝撃吸収部材15の取り扱い易さを改善した、コンパクト容器10を提供することができる。すなわち、コンパクト容器10の組立性を改善することができる。
【0043】
また、本実施形態では、補強部15b4が、弾性部材の上面に積層されるように構成した。このような構成の採用によって、固形化粧料Sを再充填するために受皿部材12を容器本体13から取り外した際の容器本体13の美観を改善することができる。
【0044】
また、本実施形態では、弾性部材が、衝撃吸収部材15の底壁15bにおける平面視で中央部及び辺縁部において上面に露出するように構成した。このような構成の採用によって、受皿部材12の底部12bの辺縁部12b2を衝撃吸収部材15の辺縁部15b2に当接させて、受皿部材12を衝撃吸収部材15により上下方向に弾性支持することができる。また、外部から加えられた衝撃等によって受皿部材12が変形し、受皿部材12の辺縁部12b2が衝撃吸収部材15の辺縁部15b2に当接しなくなった場合でも、受皿部材12を、衝撃吸収部材15の中央底壁15b1で弾性支持することができる。
【0045】
また、本実施形態では、弾性部材と補強部15b4とが、インサート成形又は二色成形によって一体成形されるように構成した。このような構成の採用によって、コンパクト容器10の組立工数を削減することができる。
【0046】
また、本実施形態では、衝撃吸収部材15は、周壁15aの上端部が中枠部材17を介して容器本体13に固定されており、補強部15b4と中枠部材17とは、周方向に間欠的に形成されたアーム部16(連結部)を介して連結されるように構成した。このような構成の採用によって、衝撃吸収部材15は、弾性部材よりも剛性が高い合成樹脂製の補強部15b4及びアーム部16により骨格が形成され、中枠部材17に連結されるため、衝撃吸収部材15全体としての剛性を高めることができる。従って、コンパクト容器10の組立性を改善することができる。
【0047】
また、本実施形態では、補強部15b4、アーム部16(連結部)、及び中枠部材17は、同一材料で一体成形されるように構成した。このような構成の採用によって、コンパクト容器10の組立工数を削減することができる。
【0048】
また、本実施形態では、衝撃吸収部材15の周壁15aの内周面には、平面視において内側方向に突出し、受皿部材12の側部12aに当接する環状突起15pが形成されるように構成した。このような構成の採用によって、受皿部材12は、衝撃吸収部材15(環状突起15p)によって抜け止め保持されると共に前後左右方向に弾性支持されるため、受皿部材12に伝わる衝撃を効果的に吸収すると共に、衝撃を受けても受皿部材12が外れにくい、コンパクト容器10を提供することができる。
【0049】
また、本実施形態では、容器本体13の底部13bには、受皿部材12を下方から直接、又は衝撃吸収部材15を介して押圧するための貫通孔13hを設けるように構成した。このような構成の採用によって、受皿部材12の取り外しを容易にして、固形化粧料Sの再充填を容易に行うことができる。
【0050】
また、本実施形態では、衝撃吸収部材15の周壁15aと底壁15bとが交叉する隅部15cの厚みが、衝撃吸収部材15の底壁15bの平均厚みよりも薄くなるように構成した。このような構成の採用によって、隅部15cの曲げ剛性を下げることができるので、容器本体13に衝撃が加わった場合に、隅部15cが変形することで衝撃吸収部材15が容器本体13の動きに追従しつつ変形し、容器本体13に加わった衝撃を効果的に吸収することができる。
【0051】
次に、本発明の第2実施形態である、コンパクト容器20を詳細に説明する。
【0052】
図6は、本発明の第2実施形態に係るコンパクト容器20の右側面断面図である。
図6の左側が前方、右側が後方である。
図6に示すように、容器本体13の凹所13dには、固形化粧料Sを収容する受皿部材12と、受皿部材12と容器本体13との間に配置され、受皿部材12への衝撃を吸収する衝撃吸収部材15とが配置されている。なお、本実施形態のコンパクト容器20は、第1実施形態と比較して、受皿部材12の底部12bの少なくとも一部を強磁性体材料で形成すると共に、衝撃吸収部材15が磁石部材Mを保持するように構成し、容器本体13側に磁石部材M等が入り込む凹部13cを設けた他は、第1実施形態の構成と近似している。従って、ここでは第1実施形態との差異点を中心に説明する。なお、発明の詳細な説明及び図面において、第1実施形態と同一の機能を有する部材については同一の符号を付して説明する。
【0053】
本実施形態において、受皿部材12は、横断面が略矩形形状をなす側部12aと、側部12aの下端を閉塞する底部12bとを備え、側部12a及び底部12bの一部をアルミニウムにより一体形成し、その内側に、固体物たる固形化粧料Sを固定保持している。また、受皿部材12の底部12bは、アルミニウム製の上記部材の下面に略同一形状のステンレス製の強磁性体部材を接着により貼り付けている。本実施形態に係る受皿部材12の底部12bは、このアルミニウム製の部材と強磁性体部材の双方により構成されている。底部12bは、側部12aの下端に連なる辺縁部12b2と、平面視で辺縁部12b2の内側に段部12b3を介して連なり上方に僅かに突出する中央底部12b1とから構成されている。図示するように、辺縁部12b2に対して中央底部12b1が上方に突出するように構成することで、段部12b3において曲げ剛性が高まり、受皿部材12を曲げ方向に変形しづらくすることができる。
【0054】
本実施形態において、受皿部材12の底部12bは、アルミニウム製の部材に、例えば、ステンレス鋼板などの強磁性体部材を接着等により貼り合わせて形成することができる。しかし、この態様には限定されず、受皿部材12の底部12bは、各種合成樹脂製の部材に強磁性体部材を接着等により貼り合せて構成してもよい。なお、強磁性体には、鉄、又はマルテンサイト系、フェライト系若しくはオーステナイト・フェライト系のステンレスのほか、コバルト、ニッケル又はそれらの合金(パーマロイ等)、フェライト等が挙げられる。
【0055】
なお、本実施形態では、底部12bの全面に強磁性体部材が貼り付けられているように構成しているが、この態様には限定されない。底部12bの少なくとも一部が強磁性体により覆われ、平面視で当該強磁性体部分と後述する磁石部材Mとが少なくとも部分的に重なるように構成されていてもよい。
【0056】
容器本体13は、横断面が略矩形形状をなす側部13aの下端に底部13bを一体に設け、その内側には、受皿部材12及び衝撃吸収部材15を収納する凹所13dが形成されている。
図6に示すように、底部13bの中央上面には、衝撃吸収部材15の下面から突出する磁石部材M及び嵌合筒部15dが入り込む凹部13cが設けられている。また、凹部13cの後方寄りには、底部13bを上下に貫く貫通孔13hが設けられている。利用者は、この貫通孔13h及び衝撃吸収部材15の底壁15bに設けられた貫通孔15hを通じて棒材等を挿入し、受皿部材12の底部12bを棒材等で直接押圧することで、受皿部材12を衝撃吸収部材15から取り外して、固形化粧料Sを再充填することができる。なお、貫通孔13hは必ずしも設けられていなくてもよい。
【0057】
底壁15bの下面には、
図6に示すように、磁石部材Mが固定されている。本実施形態において、磁石部材Mは、平面視で略矩形形状を有する板状の部材であり、
図6の上下方向に着磁されている。磁石部材Mとしては、例えばフェライト磁石やネオジウム磁石等を用いることができる。また、磁石部材Mは、上述の磁石材料に他の強磁性体材料をコア材として組み合わせた構成であってもよい。
【0058】
本実施形態において、磁石部材Mは、衝撃吸収部材15の底壁15bの下面に設けた凹所15eに嵌合し、固定されている。磁石部材Mが嵌合する凹所15eは、周囲を取り囲む嵌合筒部15dにより区画形成されており、磁石部材Mは、嵌合筒部15dの下端に形成された係合突起15d1とアンダーカット係合することで着脱不能に装着されている。
【0059】
本実施形態では、受皿部材12の底部12bの少なくとも一部が強磁性体で覆われており、平面視で磁石部材Mと受皿部材12の強磁性体部分とが重なる。従って、磁石部材Mと受皿部材12の強磁性体部分とが上下方向に引き合うため、後述するように、衝撃が加わって受皿部材12が容器本体13内で上方に移動してしまっても、磁石部材Mと強磁性体部分との間に作用する引き合う力によって、受皿部材12を衝撃吸収部材15内に嵌合した状態に戻し、維持することができる。上記の構成は、特に蓋体14が開放された状態で容器本体13等に衝撃が加えられた場合に顕著な効果を奏する。
【0060】
以上述べたように、本実施形態では、受皿部材12は、受皿部材12の底部12bの少なくとも一部が強磁性体で形成され、衝撃吸収部材15又は容器本体13には、平面視で少なくとも一部が強磁性体と重なる磁石部材Mが固定されるように構成した。このような構成の採用によって、受皿部材12が衝撃吸収部材15を介して容器本体13に支持されると共に、磁石部材Mと受皿部材12とが磁力により引き合うため、受皿部材12に伝わる衝撃を効果的に吸収すると共に、衝撃を受けても受皿部材12が外れにくい、コンパクト容器20を提供することができる。また、従来のように受皿部材12を接着剤で衝撃吸収部材15に接着した場合と比較して、受皿部材12を衝撃吸収部材15から外して固形化粧料Sの再充填を行うことができる。
【0061】
特に、蓋体14が開放状態で容器本体13等に衝撃が加わった場合に、受皿部材12と衝撃吸収部材15等が磁力により引き合うことで、受皿部材12が外れることを効果的に抑制することができる。一方、蓋体14が閉塞状態で容器本体13等に衝撃が加わった場合には、従来においても受皿部材12が完全に外れてしまうことは無かったものの、接着剤による接着部分が割れて修復が必要になることがあった。本実施形態では、衝撃が加わった際に受皿部材12と衝撃吸収部材15との相対位置が多少ずれても磁力により元の位置に戻るため、接着部分が割れて修復が必要になることもない。
【0062】
また、本実施形態では、衝撃吸収部材15は、受皿部材12を下方から覆う底壁15bを有し、磁石部材Mは、底壁15bに設けられた凹所15eに嵌合し固定されるように構成した。このような構成の採用によって、磁石部材Mが受皿部材12の直下に配置されるため、受皿部材12に対して引き合う力を効果的に作用させることができ、受皿部材12を外れにくくすることができる。また、磁石部材Mを衝撃吸収部材15に嵌合固定させることができるので、磁石部材Mを接着する工程を省くことができ、コンパクト容器20の組立工数を削減することができる。
【0063】
また、本実施形態では、弾性部材が、衝撃吸収部材15の底壁15bにおける中央部において上面に露出し、当該中央部の下面に磁石部材Mが配置されるように構成した。このような構成の採用によって、受皿部材12の底部12bと、磁石部材Mとの上下方向距離を短くして、受皿部材12を引き寄せる磁力を確保することができる。
【0064】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0065】
例えば、本実施形態では衝撃吸収部材15や容器本体13の平面形状を略矩形形状としてが、この態様には限定されず、円形など、受皿部材12の平面形状等に応じて適宜変更することができる。
【0066】
また、本実施形態では、補強部15b4を弾性部材の上方に配置した積層構造Lとしたが、この態様には限定されない。補強部15b4は、弾性部材の下方に配置してもよい。
【0067】
また、本実施形態では、弾性部材が中央部及び辺縁部において上面に露出するように構成したが、この態様には限定されない。弾性部材は、衝撃吸収部材15の底壁15bにおける任意の位置において上面に露出するように構成してもよい。また、弾性部材は、底壁15bの上面に露出しない構成としてもよい。
【0068】
また、本実施形態では、補強部15b4が周方向の4箇所においてアーム部16を介して中枠部材17と連結されるように構成したが、この態様には限定されない。補強部15b4は、周方向の任意の数のアーム部16を介して中枠部材17と連結されるように構成してもよい。また、補強部15b4と中枠部材17は、別体として構成されるなど、直接連結されていなくてもよい。
【0069】
また、本実施形態では、蓋体14をピンP周りに回動可能とすると共に、フック13f、14f同士の係合により閉塞状態を維持するように構成したが、この態様には限定されず、例えば、蓋体14を螺合等の手段によって容器本体13に装着するようにしてもよい。
【0070】
また、本実施形態では、受皿部材12に固形化粧料Sを収容するように構成したが、この態様には限定されず、化粧料以外の固体物を収容してもよい。
【0071】
なお、上述の各構成のバリエーションは、第1実施形態についても同様である。
【0072】
また、本実施形態では、磁石部材Mを衝撃吸収部材15に固定するように構成したが、この態様には限定されず、磁石部材Mを容器本体13側の底部13b等に固定するようにしてもよい。
【0073】
また、本実施形態では、受皿部材12の底部12bの全領域に強磁性体部材を設けるように構成したが、この態様には限定されない。受皿部材12は、底部12bの少なくとも一部が強磁性体により覆われ、平面視で当該強磁性体部分と磁石部材Mとが少なくとも部分的に重なるように構成されていてもよい。また、底部12bは、強磁性体部材とそれ以外の部材(本実施形態ではアルミニウム)を積層した構成に限定されず、強磁性体部材のみからなる単層部分が存在してもよい。