(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示の構成では、1つのねじれ検出部材(11)に2つの十字挿通孔(13)が存在しており、それぞれの十字挿通孔(13)に、チェーン(2)の一端側部位(2c)と掛渡部位(2d)とが、それぞれ挿通されている。したがって、チェーン(2)の一端側部位(2c)と掛渡部位(2d)の間の間隔が規定されており、取り付けの自由度が小さいものとなっている。また、一端側部位(2c)と掛渡部位(2d)の双方に、ねじれ検出部材(11)や引寄部材(12)を取り付ける必要があるので、取り付け作業が煩雑となる。
【0006】
また、特許文献1に開示の捩じれ検出装置を取り付けたままでは、チェーンブロックの通常作業が出来ない、という問題もある。
また、特許文献1に開示の構成では、チェーン(2)の捩じれを検出するためには、ねじれ検出部材(11)と引寄部材(12)の間隔を所定以上離してチェーン(2)に取り付けて、ねじれ検出部材(11)を引寄部材(12)側に引き寄せる必要がある。
【0007】
本発明は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、取り付けの自由度が高く、容易に取り付けることができると共に、チェーンに対してスライドさせなくてもチェーンの捩じれを検出することが可能な捩じれ検出装置およびチェーンブロックを提供しようとするものである。また、チェーンブロックの通常作業をするのに取り外す必要の無い捩れ検出装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によると、複数のチェーンリンクが連結され、動滑車を挟んだ一方側と他方側とに延伸するチェーンの捩じれを検出する捩じれ検出装置であって、動滑車を挟んだチェーンの一方と他方のうちの少なくとも1つに装着される第1検出手段を備え、該第1検出手段は、チェーンの通過をガイドすると共に、第1検出手段の該チェーンに対する周方向の位置を規定するガイド溝と、第1検出手段の外周側に設けられ、該外周部分の他の部分に対して識別可能な第1目印部と、を備える
と共に、第1検出手段は、チェーンに沿ってスライド自在に設けられていて、第1検出手段は、一方の半割検出パーツと他方の半割検出パーツとを互いに固定することで構成されている、ことを特徴とする捩じれ検出装置が提供される。
【0010】
さらに、本発明の他の側面は、上述の発明において、第1検出手段に対して別体的に設けられている第2検出手段を備え、第2検出手段にはチェーンの捩じれが存在しない場合に第1目印部に対しチェーンリンクを取り巻く周方向における角度位置が位置合わせされると共に、第2検出手段の他の部分に対して識別可能な第2目印部が設けられている、ことが好ましい。
【0011】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、第2検出手段は、動滑車を備える動滑車機構側に設けられていると共に、チェーンの送りをガイドするガイド溝を有する一対の筒体であり、筒体の外周側には、第2目印部が設けられている、ことが好ましい。
【0012】
さらに、本発明の他の側面は、上述の発明において、筒体は、動滑車機構と一体的に設けられている、ことが好ましい。
【0013】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、筒体は、動滑車機構とは別体的に設けられている、ことが好ましい。
【0014】
また、本発明の他の側面は、チェーンブロックは、上述の各発明に係る捩じれ検出装置を備える、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、取り付けの自由度が高く、容易に取り付けることができると共に、チェーンに対してスライドさせなくてもチェーンの捩じれを検出することが可能な捩じれ検出装置およびチェーンブロックを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係る捩じれ検出装置100およびチェーンブロック10について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、必要に応じてXYZ直交座標系を用いて説明することとする。XYZ直交座標系においてX方向とは、後述する一対のスリーブ55a,55bを結ぶ方向を指し、X1側は
図1における一方のスリーブ55aが位置する側(右側)を指し、X2側はそれとは逆の他方のスリーブ55bが位置する側(左側)を指す。また、Z方向は、それぞれのチェーンブロック10の懸吊状態における鉛直方向(懸吊方向;巻上げおよび巻下げ方向)とし、Z1側は懸吊状態における上側とし、Z2側は懸吊状態における下側とする。また、Y方向はXZ方向に直交する方向(幅方向)とし、Y1側は
図1における右奥側とし、Y2側はそれとは逆の左手前側とする。
【0018】
<捩じれ検出装置100の構成について>
図1は、本発明の第1の実施の形態の捩じれ検出装置100およびチェーンブロック10の構成を示す斜視図である。
図2は、チェーンブロック10の構成を概略的に示す図である。
図1に示すように、チェーンブロック10は、上フック20と、チェーンブロック本体30と、下フック40と、動滑車機構50と、捩じれ検出装置100とを有している。
【0019】
上フック20は、チェーンブロック本体30に対して連結されていて、そのチェーンブロック本体30を構造物の係止部材やクレーンのトロリなどに着脱可能に吊り下げるための部分である。また、チェーンブロック本体30は、
図2に示すようなハンドホイール31、駆動軸32、減速ギヤ機構33、ロードシーブ34およびブレーキ機構35およびメネジ部材36を備えている。ハンドホイール31にはハンドチェーンC2が掛け回されている。このハンドチェーンC2を引くことでハンドホイール31が回転し、その駆動力がメネジ部材36およびブレーキ機構35を介して、駆動軸32に伝達される。
【0020】
駆動軸32は、ハンドホイール31からの駆動力を減速ギヤ機構33側に伝達する部材である。また、減速ギヤ機構33は複数のギヤを有していて、駆動軸32からの駆動力を減速して、ロードシーブ34のロードシーブ中空軸34aに伝達する機構である。また、ロードシーブ中空軸34aは、中空状に設けられていて、その中空部分に駆動軸32が挿入されている。このロードシーブ中空軸34aの中央部にはロードチェーンC1(チェーンに対応)が掛け回されロードチェーンを巻き上げ下げするシーブ部材34bが一体的に形成されている。
【0021】
また、ブレーキ機構35は、ロードチェーンC1に吊り下げられている荷等の荷重によってハンドホイール31が巻下げ方向に回転してしまうのを防止するラチェット機構を備えたブレーキ機構である。また、下フック40は荷を掛ける部分であり、その下フック40には、荷が外れるのを防止するためのレバー41が取り付けられている。
【0022】
図3は、動滑車機構50および下フック40の構成を示す斜視図である。
図4は、動滑車機構50のうちスリーブ55a,55bの形状を示す平面図である。下フック40の上方側(Z1側)は、
図3に示すような動滑車機構50に回動自在に取り付けられている。この動滑車機構50は、ケース体51を備えている。ケース体51は、半割ケース52と半割ケース53を互いにボルト等で固定することで形成されている。このケース体51には、シーブ収納部54と、一対のスリーブ55a,55bと、下フック40の軸支部(図示省略)が設けられている。シーブ収納部54は、
図1に示すように円筒状に設けられていて、その内部にはシーブ(動滑車)S1(後述する
図9参照)が回転自在にケース体51に取り付けられている。
【0023】
また、一対のスリーブ55a,55bは、第2検出手段および筒体に対応する。一対のスリーブ55a,55bは、シーブ収納部54に軸支されたシーブS1(後述する
図9参照)にロードチェーンC1の送りをガイドするチェーンガイド部材である。それぞれのスリーブ55a,55bは、筒状に設けられ、さらにシーブ収納部54と一体的に設けられている。
図4に示すように、それぞれのスリーブ55a,55bには、ガイド溝56が設けられている。ガイド溝56は、XY平面で切断したときの断面が十字形状となる溝部分であり、ロードチェーンC1のチェーンリンクC11,C12に対応して設けられている。すなわち、ガイド溝56には、X方向に長い縦溝56aと、Y方向に長い横溝56bが設けられている。そして、縦溝56aはXZ平面が偏平な面となるチェーンリンクC11の送りをガイドし、横溝56bはXY平面が偏平な面となるチェーンリンクC12の送りをガイドする。
【0024】
また、それぞれのスリーブ55a,55bには、スリーブ側目印部57(第2目印部に対応)が設けられている。スリーブ側目印部57は、後述する検出パーツ60のパーツ側目印部64との間で、周方向(角度方向)のずれ量を検出するための部分であり、後述する検出パーツ60と共に捩じれ検出装置100を構成する。なお、スリーブ側目印部57は、印刷によって形成されても良く、周囲の部分から突出した凸部により形成されても良く、周囲の部分から凹んだ凹部から形成されても良く、これらのうちの少なくとも2つを組み合わせることで形成されても良い。
【0025】
また、
図3および
図4に示す構成では、スリーブ側目印部57は、スリーブ55a,55bの外周面のうち、互いに対向する側とは反対側の側面に設けられている。また、スリーブ側目印部57の中心線は、縦溝56aの中心線と概ね一致するように設けられている。しかしながら、スリーブ側目印部57は、スリーブ55a,55bの外周面のいずれの部位に設けられていても良い。また、スリーブ55a,55bにおけるスリーブ側目印部57の個数は、それぞれ1つずつには限られず、それぞれ複数設けられる構成としても良い。
【0026】
また、スリーブ55a,55bの上方側(Z1側)には、筒状の検出パーツ60がそれぞれ配置されている。なお、検出パーツ60は第1検出手段に対応する。この検出パーツ60は、スリーブ55a,55bに対して独立した状態で、ロードチェーンC1に対して摺動可能に取り付けられている。
図5は、検出パーツ60の構成を示す斜視図である。
図6は、検出パーツ60の構成を示す分解斜視図である。
図6に示すように、検出パーツ60は、一方の半割検出パーツ61と他方の半割検出パーツ62とが突き合わされた状態で固定されている。本実施の形態では、一方の半割検出パーツ61には一対の腕部61aが設けられていて、その腕部61aの先端側にはフック部61bがそれぞれ設けられている。また、他方の半割検出パーツ62の外周側には凹状の係止凹部62aが設けられていて、その係止凹部62aには上述したフック部61bがそれぞれ嵌め込まれる。フック部61bは、係止凹部62aからの戻り(外れ)を防止するように鉤状に設けられていると共に、係止凹部62aもフック部61bの外れを防止する係合面を有している。これらフック部61bと係止凹部62aの嵌め込みにより、検出パーツ60が構成される。
【0027】
また、検出パーツ60には、上述したガイド溝56と同様のガイド溝63が設けられていて、このガイド溝63にロードチェーンC1が挿通される。なお、ガイド溝63にも、上述した縦溝56aと同様の縦溝63aが設けられていると共に、上述した横溝56bと同様の横溝63bが設けられている。
【0028】
また、検出パーツ60には、パーツ側目印部64(第1目印部に対応)が設けられている。パーツ側目印部64は、上述したスリーブ側目印部57と位置合わせを行う部分であり、検出パーツ60の外周面65から外径側に突出するように設けられている。
図5に示す構成では、パーツ側目印部64はリブ状に設けられていて、検出パーツ60の軸方向の長さの全体に亘るように設けられている。ただし、パーツ側目印部64は、検出パーツ60の軸方向に対して短く設けられていても良い。また、パーツ側目印部64は、リブ状の突出部分には限られず、印刷によって形成されても良く、周囲の部分から凹んだ凹部から形成されても良く、これらのうちの少なくとも2つを組み合わせることで形成されても良い。
【0029】
ここで、パーツ側目印部64は、上述したスリーブ側目印部57と位置合わせを行うのに好適な位置に設けられている。たとえば、上記のように、スリーブ側目印部57の中心線が縦溝56aの中心線と概ね一致する場合、パーツ側目印部64の中心線は、縦溝63aの中心線と概ね一致するように設けられている。
【0030】
なお、検出パーツ60におけるパーツ側目印部64の個数は、1つには限られず、複数設けられる構成としても良い。そのような例を、
図7に示す。
図7は、検出パーツ60に4つのパーツ側目印部64が設けられた構成を示す平面図である。
図7に示す構成の場合、パーツ側目印部64は90度間隔で4つ設けられていて、それぞれのパーツ側目印部64の中心線は、縦溝63aまたは横溝63bのいずれかの中心線と概ね一致するように設けられている。したがって、検出パーツ60がロードチェーンC1に取り付けられると、スリーブ側目印部57に対しては、検出パーツ60の周方向における向きを留意しなくても位置合わせすることができる。
【0031】
なお、検出パーツ60の形態は、
図5〜
図7に示すような略円筒状に限られるものではなく、たとえば四角柱等のような略角柱形状等、種々の形態を採用することができる。たとえば四角柱の頂部は凸状の第1目印部に相当し、四角柱の平面部は凹状の第1目印部に相当する。また、円筒状の外周面の一部を平坦に切り落としても良く、この場合には、切り落とした面は凹状の第1目印部に相当する。
【0032】
<捩じれ検出装置100でのロードチェーンC1の捩じれ状態の検出について>
上述した検出パーツ60は、スリーブ55a,55bの上部に載置されている。この載置状態において、ロードチェーンC1に捩じれが存在しない場合、パーツ側目印部64とスリーブ側目印部57とのXY平面における周方向の位置が概ね一致した位置合わせ状態となる。しかしながら、ロードチェーンC1に捩じれ状態が発生していれば、パーツ側目印部64とスリーブ側目印部57とのXY平面における周方向の位置は、
図8に示すようにずれてしまう。このように、スリーブ側目印部57とパーツ側目印部64の存在により、捩じれ状態の検出が可能となっている。
【0033】
ここで、ロードチェーンC1の捩じれ状態とは、ロードチェーンC1のチェーンリンクの並びの奇数番と偶数番とにおいて、奇数番と偶数番とが互いに直交しておらず、そのロードチェーンC1の延伸方向に進行するにつれて、上記の奇数番と偶数番のそれぞれにおいて徐々に所定の回転方向へ向かうように角度位置がずれることを指す。このような捩じれ状態は、ロードチェーンの組み込み時に誤って発生する可能性がある他、下フックが正規の状態からシーブに巻き掛けたロードチェーンで出来た輪をくぐらせた状態(下フックをX軸周りに1回転させた状態)になることによって発生する。後者の輪をくぐらせた状態は、チェーンブロックを保管中、または、使用するためにチェーンブロックを吊り掛ける際に発生する可能性があり、これはトンボしている下フック(capsized bottom hook block)あるいは単にトンボと呼ばれる。この状態では、シーブに巻き掛けられシーブの両側に延伸するロードチェーンには、互いに逆方向に捩れが発生する。以後、この状態を、単に「捩じれ状態」と称呼する。これらの捩じれ状態は、放っておいては解消することができず、正規の状態に戻す作業が必要となる。
【0034】
なお、それぞれのスリーブ55a,55bに検出パーツ60を載置する場合、スリーブ55aとスリーブ55bのどちらかのみに検出パーツ60を載置する場合と比較して、ロードチェーンの誤組み込みによる捩じれ状態も検出可能となる。しかしながら、後者のトンボによるロードチェーンの捩じれを検出するには、スリーブ55aとスリーブ55bのどちらかのみに検出パーツ60を載置するようにしても良い。特に、ロードチェーンC1の一端側の端末が固定される端末固定部37側のみに検出パーツ60が配置される場合、
図1から明らかなように、端末固定部37とロードチェーンC1の他端側のチェーンブロック本体30からの出口の存在する本体下面38との間には、上下方向(Z方向)において検出パーツ60を配置可能なスペースPが存在している。したがって、動滑車機構50が上昇しても、検出パーツ60がチェーンブロック本体30と干渉するのを防止可能となる。
【0035】
また、検出パーツ60をロードチェーンC1に沿ってスライドさせても良い。その場合、捩じれ状態が生じていると、その上下動に伴い、パーツ側目印部64が周方向に移動(回転)する。それにより、ロードチェーンC1に捩じれ状態が生じているか否かをより明確に検出可能となる。
【0036】
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と共通の構成については、同一の符号の後に「B」を付して説明する。
【0037】
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る動滑車機構50B、下フック40Bおよび捩じれ検出装置100Bの構成を示す側面図である。
図9に示すように、本実施の形態では、動滑車機構50Bには第1の実施の形態におけるスリーブ55a,55bが存在していない。しかしながら、
図9に示すように、動滑車機構50Bとは別体的なカラー70Bが設けられている。なお、カラー70Bは、第2検出手段および筒体に対応する。
【0038】
このカラー70Bは、動滑車機構50Bとは別体的に設けられていて、該動滑車機構50Bに載置されている。そのため、
図9に示す構成では、カラー70Bの軸方向の下側の端面である下端面71Bは、該軸方向に対して斜めとなるように設けられている。それにより、動滑車機構50Bに対して、カラー70Bを良好に載置可能となっている。
【0039】
また、カラー70Bには、ロードチェーンC1の送りをガイドするガイド溝72Bが設けられているが、そのガイド溝72Bは、上述したガイド溝56やガイド溝63と同様であるので、詳細についての説明は省略する。
【0040】
このカラー70Bの外周面には、カラー側目印部73B(第2目印部に対応)が設けられている。なお、カラー側目印部73Bは、上述したスリーブ側目印部57やパーツ側目印部64と同様の構成であるので、その説明は省略する。なお、パーツ側目印部64Bを備える検出パーツ60Bの構成は、上述した検出パーツ60と同様となっている。
【0041】
このような第2の実施の形態に係る捩じれ検出装置100Bにおいても、第1の実施の形態に係る捩じれ検出装置100と同様に、ロードチェーンC1の捩じれ状態を検出することができる。
【0042】
<効果について>
以上のような第1の実施の形態および第2の実施の形態の捩じれ検出装置100は、複数のチェーンリンクが連結され、シーブS1(動滑車)を挟んだ一方側と他方側とに延伸するロードチェーンC1(チェーン)の捩じれを検出するが、この捩じれ検出装置100は、シーブS1(動滑車)を挟んだロードチェーンC1(チェーン)の一方と他方のうちの少なくとも1つに装着される検出パーツ60(第1検出手段)を備え、検出パーツ60(第1検出手段)は、ロードチェーンC1(チェーン)の通過をガイドすると共に、検出パーツ60(第1検出手段)のロードチェーンC1(チェーン)に対する周方向の位置を規定するガイド溝63と、検出パーツ60(第1検出手段)の外周側に設けられ、その外周部分の他の部分に対して識別可能なパーツ側目印部64(第1目印部)と、を備えている。
【0043】
このように、検出パーツ60(第1検出手段)は、ロードチェーンC1のうちシーブS1(動滑車)を挟んだ一方と他方のうちの少なくとも1つに取り付けられるので、取り付けの自由度が高く、またロードチェーンC1(チェーン)に対して容易に取り付けることができる。また、ガイド溝63で検出パーツ60(第1検出手段)の周方向の位置が規定された状態で、パーツ側目印部64(第1目印部)を視認することで、検出パーツ60をスライドさせなくてもロードチェーンC1(チェーン)の捩じれを検出することが可能となる。
【0044】
また、シーブS1(動滑車)を挟んだ一方側と他方側とに延伸するロードチェーンC1にそれぞれ個別に検出パーツ60を取り付けることができるので、取り付けたひとつの検出パーツ60を単独でロードチェーンC1に沿って移動(スライド)させても良い。このように検出パーツ60を単独でロードチェーンC1に沿って移動(スライド)させる場合には、ロードチェーンC1の捩じれに倣って検出パーツ60が回転する。そのため、ロードチェーンC1が長く、ロードチェーンC1の単位長さあたり(隣接するリンク同士)の捩れ量が少ない状態でも、ねじれを容易に検出することが出来る。
【0045】
また、検出パーツ60をロードチェーンC1に取り付けたままで、チェーンブロック10の巻上げ作業ができる。このため、チェーンブロック本体30と動滑車機構50の距離が離れていても、ロードチェーンC1を巻上げると、動滑車機構50とチェーンブロック本体30が近づく。このため、巻上げ当初はロードチェーンC1の捩じれに気が付かなかったとしても、検出パーツ60を視認等することで、検出パーツ60が位置するロードチェーンC1の隣接するリンク同士の捩れ量が増加したことを検出することができる。
【0046】
<変形例>
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0047】
上述の各実施の形態では、第1検出手段に対応する検出パーツ60,60Bの鉛直方向(Z方向)における長さは、さほど長くはない状態となっている。しかしながら、検出パーツの長さは、第1および第2の実施の形態における検出パーツ60,60Bよりも長く設けられていても良い。このような構成例に係るチェーンブロック10Cおよび捩じれ検出装置100Cを、
図10に示す。
【0048】
図10においては、距離A1は、チェーンブロック本体30Cのうち、上フック20C側(Z1側;上側)のロードチェーンC1の一端側の端末が固定される端末固定部37Cの下面と、チェーンブロック本体30Cのうちスリーブ55bが衝突する本体下面38Cの間の距離となっている。また、長さL1は、検出パーツ60Cの鉛直方向(Z方向)における長さとなっている。この
図10に示す構成では、距離A1と長さL1とが等しいか、または概ね等しくなっている。
【0049】
このため、ロードチェーンC1を上限まで巻上げると、検出パーツ60の上端側が端末固定部37Cの下面に衝突し、さらにスリーブ55Cbの上端面も本体下面38Cに衝突する。かかる衝突が生じると、
図11に示すように、ケース体51Cのスリーブ55Ca側と、同じくケース体51Cのスリーブ55Cb側は、共に鉛直方向(Z方向)の上方側(Z1側)への移動が制限される。したがって、スリーブ55Ca側とスリーブ55Cb側のうちの一方のみ(特にスリーブ55Ca側)が上方側(Z1側)に移動することで、動滑車機構50が傾いてしまい、それによって動滑車機構50に無理な力が作用するのが防止可能となる。
【0050】
なお、検出パーツ60,60B,60Cを2つ以上積層する場合、検出パーツ60,60B,60Cの積層方向の合計長さは、上述のスペースPの上下方向(Z方向)の寸法と同じであることが好ましい。その場合、動滑車機構50を最大限上昇させても、検出パーツ60,60B,60Cの存在によって動滑車機構50が傾斜しない状態とすることができる。
【0051】
また、上述の各実施の形態では、チェーンブロック10は、ハンドチェーンC2を引いて荷の昇降を行うものについて説明している。しかしながら、チェーンブロックは、ハンドチェーンを備えずにモータの駆動により荷の昇降を行う電動式であっても良く、レバーの操作に基づいて荷の昇降を行うレバー式であっても良い。
【0052】
また、上述の各実施の形態では、ロードシーブ34として、中空軸(ロードシーブ中空軸34a)を備えるものについて説明している。しかしながら、ロードシーブは中空軸を備えず、駆動軸がロードシーブを貫通せずに減速ギヤ機構に駆動力を伝達する構成でも良い。また、ロードシーブが中空軸を備えない構成と共に、減速ギヤ機構を備えずに駆動軸とロードシーブが直結されているものであっても良い。なお、ロードシーブが中空軸を備える構成であっても、減速ギヤ機構を備えずに駆動軸とロードシーブが直接噛み合う構成等により、これらが直結される構成であっても良い。
【0053】
また、上述の各実施の形態では、第1目印部に対応するパーツ側目印部64,64B,64C、および第2目印部に対応するスリーブ側目印部57,57C、カラー側目印部73Bは、印刷によって形成される場合についても説明している。かかる印刷等により形成される第1目印部および第2目印部の少なくとも一方は、塗料を塗布したり、着色やマーク等が印刷されたシールを貼り付けて、視覚的に認識できる状態で形成されても良い。また、印刷以外に、視覚的に認識できる別部材を貼り付けることで、第1目印部および第2目印部の少なくとも一方を形成しても良い。
【0054】
また、第1目印部および第2目印部の少なくとも一方は、暗がりでも識別できる蛍光塗料が塗布されたり、該蛍光塗料を材質として含んで形成されても良い。また、第1目印部および第2目印部の少なくとも一方は、化学的、電気的に発光する自発光材料によって形成されても良い。第1目印部および第2目印部の少なくとも一方が、このように形成される場合、特殊環境では有効となる。また、第1目印部および第2目印部の少なくとも一方は、たとえば樹脂と金属といった異種材を組み合わせることで、視覚的に認識可能としても良い。また、第1目印部および第2目印部の少なくとも一方には、鏡面反射する部分が少なくとも一部に存在しても良い。
【0055】
また、検出パーツのガイド溝の溝幅は、検出パーツの長さ方向(Z方向)に渡って同幅としても良いが、上方側(Z1側)の溝幅よりも下方側(Z2側)を広くするようにしても良い。ロードチェーンは、シーブやスリーブによって捩じれを規制されているので、下方側(Z2側)に位置するシーブやスリーブより離れた位置のロードチェーンのチェーンリンクの方が捩じれ量が大きい。そのため、シーブやスリーブから離れた位置のチェーンリンクの捩じれに倣って検出パーツがより捩じれた状態の位置に位置するようにすることで、捩じれの検出をより容易に行うことができる。同様の理由により、検出パーツを積層することで、ロードチェーンの捩じれを容易に検出することができる。