(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された選別装置は、反射光の輝度に基づいて物体を選別する基準やアルゴリズムを予め設定しておく必要があり、これらの設定に専門的な知識や経験が必要であるため、ユーザが容易に設定や設定の変更を行うことができなかった。
【0009】
また、人工知能を用いた特許文献2に開示された選別装置は、前述のような設定は必要ないものの、予め人工知能に選別する基準や方法を学習させる工程が必要であり、ユーザが容易に設定できる態様とはなっていなかった。
【0010】
このように、従来の選別装置や選別方法では、選別装置に選別対象物を選別させるための設定を行うことが容易でないため、ユーザは、予め選別対象物に応じた設定がなされた選別装置を提供してもらい運転を行っていた。このため、混合物(廃棄物等)や選別対象物が変更になった場合等に、ユーザが、設定を変更したくても容易に変更できないという問題があった。
【0011】
また、ユーザの選別の目的が、大まかに分類できればよいという場合から、所望の物体だけ高精度に抽出したい場合等種々想定されるところ、ユーザは、自らの選別の目的に応じて、選別精度を簡単に設定・変更できないという問題があった。
【0012】
本発明は、従来のこのような問題点に鑑みてなされたものである。本発明の目的の一は、ユーザが、専門的な技術や知識が無くとも、選別の目的に応じて、選別精度を簡単に設定・変更できる態様の選別装置、選別方法及び選別プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
【0013】
本発明の第1の側面に係る選別装置は、複数種類の物体で構成される混合物の中から選別対象物を選別する選別装置であって、種類ごとに分別された前記物体である種別物体又は前記混合物に基づくデータを取得するデータ取得部と、前記データ取得部で取得された前記種別物体のデータから学習データを作成する学習データ作成部と、前記学習データ作成部によって作成された学習データを用いて混合物を種類ごとに分別し、種別物体にする方法を学習し、該学習によって得られた知識及び経験をデータ化した学習モデルを作成する学習部と、前記種別物体の中から前記選別対象物の種類を選択する選別対象選択部と、前記学習部にて作成された学習モデルに基づいて、前記データ取得部で取得した混合物のデータから、前記混合物中の各物体が前記選別対象選択部にて選択された選別対象物である確率を示す第一の認識率を算出し、該第一の認識率に基づいて、前記選別対象物の有無及び位置を判断する判断部と、前記判断部の判断結果及び前記第一の認識率に対して設けられる閾値に基づいて前記混合物の中から前記選別対象物を選別する選別部と、を備えることができる。
【0014】
前記構成によれば、混合物から選別対象物を選別する運転時において、混合物の各物体が選別対象物である確率を示す第一の認識率を人工知能に算出させ、該認識率とユーザが設定できる閾値とを紐付けて選別対象を判断するので、人工知能を用いながらも、選別精度をユーザがコントロールできるようになる。これにより、選別の目的が、大まかに分類できればよいという場合から、所望の物体だけ高精度に抽出したい場合等種々想定されるところ、選別精度に対するユーザのニーズに応じた選別が可能となる。
【0015】
本発明の第2の側面に係る選別装置は、前記選別部が、前記第一の認識率が前記閾値以上の選別対象物を選別できる。前記構成によれば、閾値を高く設定することで、高精度に選別でき、閾値を低く設定することで、大まかに選別できる。
【0016】
本発明の第3の側面に係る選別装置は、前記判断部は、前記学習部にて作成された学習モデルに基づいて、前記データ取得部で取得した混合物のデータから、前記混合物中の各物体が前記種別物体毎に該種別物体である確率を示す第二の認識率を算出し、該第二の認識率に基づいて、前記混合物中の各物体の種類を特定し、該種類が前記選別対象物の種類と一致する場合の第二の認識率を前記第一の認識率とみなして、前記選別対象物の有無及び位置を判断できる。前記構成によれば、混合物の各物体に対して、種別物体毎に第二の認識率が全て算出されるので、物体の種類を第二の認識率が最高値となる種類と判別でき、選別対象物と種類が同一と判別された物体に対して、ユーザが設定できる閾値と紐付けて選別を行うので、ユーザは、選別対象物を変更する場合でも、選別対象物に特化した学習モデルを改めて作成する必要がなく、選別対象物を容易に変更できる。
【0017】
本発明の第4の側面に係る選別装置は、さらに、前記第一の認識率に対して所望の閾値を設定する閾値設定部と、
前記データ取得部、前記学習データ作成部、前記学習部、前記選別対象選択部、前記閾値設定部、前記判断部及び前記選別部に対して、ユーザからの操作を受けて指示を与える操作部と、を備え、前記操作部が、前記データ取得部にデータの取得を指示するデータ取得指示部と、前記学習データ作成部に前記学習データの作成開始を指示する学習データ作成指示部と、前記学習部に前記学習モデルの作成を指示する学習開始指示部と、前記選別対象選択部に前記選別対象物の種類の選択を指示する選別対象選択指示部と、前記閾値設定部に前記閾値の設定を指示する閾値設定指示部と、
前記判断部に前記選別対象物の有無及び位置を判断させ、前記選別部に、該判断結果に基づいて前記混合物の中から前記選別対象物を選別させる運転開始指示部と、を有するよう構成できる。前記構成によれば、簡単な操作により、煩雑な設定作業の大半を人工知能に行わせることができるので、ユーザが、専門的な技術や知識が無くとも、選別対象物を選別するための設定を容易に行える。また、ユーザは選別精度を容易に設定・変更できる。
【0018】
本発明の第5の側面に係る選別装置は、前記操作部が、少なくとも、前記データ取得指示部、学習データ作成指示部及び学習開始指示部を表示する学習モードと、少なくとも、前記運転開始指示部を表示する運転モードとを含むモード切替操作を指示するモード切替指示部を備えることができる。前記構成によれば、ユーザは、学習モードと運転モードという選別装置の動作状況のうち、いずれの動作状況下にあるかを把握しながら、作業を行うことができ、学習モードおける設定作業は、設定に係る指示部が集約されているので誤操作を防ぎやすい。
【0019】
本発明の第6の側面に係る選別装置は、前記操作部が、前記データ取得指示部、学習データ作成指示部、学習開始指示部、選別対象選択指示部、閾値設定指示部及び運転開始指示部を一画面に表示できる。前記構成によれば、学習モード、運転モードというようにモードとして区別されておらず、設定に係る指示部も運転に係る指示部も一画面に表示されるので、学習モードと運転モードとのモードの切り換え操作を不要とできる。
【0020】
本発明の第7の側面に係る選別装置は、前記操作部が、タッチパネルであるよう構成できる。前記構成によれば、ユーザが簡単に操作できる。
【0021】
本発明の第8の側面に係る選別装置は、前記データ取得部が可視カメラを備え、前記データ取得部によって取得されるデータが画像データであるよう構成できる。前記構成によれば、データ取得部が可視カメラを備え、データを画像データとして取得できることから、選別対象物を、該選別対象物の形態や位置、大きさ、範囲に基づいて選別できる。なお、例えばデータ取得部が分光器付カメラである場合には、データは分光分布データとして取得できる。
【0022】
本発明の第9の側面に係る選別装置は、前記選別部が、前記判断結果に基づいて前記選別対象物に圧縮した空気を当て、前記混合物の中から前記選別対象物を選別できる。
【0023】
本発明の第10の側面に係る選別方法は、複数種類の物体で構成される混合物の中から選別対象物を選別する選別方法であって、データ取得指示部からの操作を受けて、種類ごとに分別された前記物体である種別物体又は前記混合物に基づくデータを取得するデータ取得工程と、学習データ作成指示部からの操作を受けて、前記データ取得工程にて取得した前記種別物体のデータから学習データを作成する学習データ作成工程と、学習開始指示部からの操作を受けて、前記学習データ作成工程にて作成した学習データを用いて混合物を種類ごとに分別し、種別物体にする方法を学習し、該学習によって得られた知識及び経験をデータ化した学習モデルを作成する学習工程と、選別対象選択指示部からの操作を受けて、前記種別物体の中から前記選別対象物の種類を選択する選別対象選択工程と、運転開始指示部からの操作を受けて、前記学習工程にて作成した学習モデルに基づいて、前記データ取得工程で取得した混合物のデータから、前記混合物中の各物体が
前記選別対象選択工程において選択された選別対象物である確率を示す第一の認識率を算出し、該第一の認識率に基づいて、前記選別対象物の有無及び位置を判断し、該判断結果及び前記第一の認識率に対して設けられる閾値に基づいて前記混合物の中から前記選別対象物を選別する運転工程と、を含むことができる。
【0024】
本発明の第11の側面に係る選別方法は、前記運転工程において、前記第一の認識率が前記閾値以上の選別対象物を選別できる。
【0025】
本発明の第12の側面に係る選別方法は、前記運転工程において、前記学習工程にて作成された学習モデルに基づいて、前記データ取得工程で取得した混合物のデータから、前記混合物中の各物体が前記種別物体毎に該種別物体である確率を示す第二の認識率を算出し、該第二の認識率に基づいて、前記混合物中の各物体の種類を特定し、該種類が前記選別対象物の種類と一致する場合の第二の認識率を前記第一の認識率とみなして、前記選別対象物の有無及び位置を判断できる。
【0026】
本発明の第13の側面に係る選別プログラムは、複数種類の物体で構成される混合物の中から選別対象物を選別するための選別プログラムであって、データ取得指示部からの操作を受けて、種類ごとに分別された前記物体である種別物体又は前記混合物に基づくデータを取得する機能と、学習データ作成指示部からの操作を受けて、前記取得した前記種別物体の撮像データから学習データを作成する機能と、学習開始指示部からの操作を受けて、前記作成した学習データを用いて混合物を種類ごとに分別し、種別物体にする方法を学習し、該学習によって得られた知識及び経験をデータ化した学習モデルを作成する機能と、選別対象選択指示部からの操作を受けて、前記種別物体の中から前記選別対象物の種類を選択する機能と、運転開始指示部からの操作を受けて、前記作成した学習モデルに基づいて、前記取得した混合物のデータから、前記混合物中の各物体が
前記選別対象物の種類を選択する機能によって選択された選別対象物である確率を示す第一の認識率を算出し、該第一の認識率に基づいて、前記選別対象物の有無及び位置を判断し、該判断結果及び第一の認識率に対して設けられる閾値に基づいて前記混合物の中から前記選別対象物を選別する機能と、をコンピュータに実現させることができる。
【0027】
本発明の第14の側面に係る選別プログラムは、前記第一の認識率が前記閾値以上の選別対象物を選別する機能をコンピュータに実現させることができる。
【0028】
本発明の第15の側面に係る選別プログラムは、前記作成した学習モデルに基づいて、前記取得した混合物のデータから、前記混合物中の各物体が前記種別物体毎に該種別物体である確率を示す第二の認識率を算出し、該第二の認識率に基づいて、前記混合物中の各物体の種類を特定し、該種類が前記選別対象物の種類と一致する場合の第二の認識率を前記第一の認識率とみなして、前記選別対象物の有無及び位置を判断する機能をコンピュータに実現させることができる。
【0029】
さらにまた、本発明の第16の側面に係るプログラムを格納したコンピュータで読み取り可能な記録媒体は、前記プログラムを格納したものである。記録媒体には、CD−ROM、CD−R、CD−RWやフレキシブルディスク、磁気テープ、MO、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−R、DVD+R、DVD−RW、DVD+RW、Blu−ray(登録商標)、BD−R、BD−RE、HD DVD(AOD)等の磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリその他のプログラムを格納可能な媒体が含まれる。またプログラムには、前記記録媒体に格納されて配布されるものの他、インターネット等のネットワーク回線を通じてダウンロードによって配布される形態のものも含まれる。さらに記録媒体にはプログラムを記録可能な機器、例えば前記プログラムがソフトウエアやファームウエア等の形態で実行可能な状態に実装された汎用もしくは専用機器を含む。さらにまたプログラムに含まれる各処理や機能は、コンピュータで実行可能なプログラムソフトウエアにより実行してもよいし、各部の処理を所定のゲートアレイ(FPGA、ASIC)等のハードウエア又はプログラムソフトウエアとハードウエアの一部の要素を実現する部分的ハードウエアモジュールとが混在する形式で実現してもよい。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための選別装置を例示するものであって、本発明はそれらを以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
(選別装置1)
【0032】
本発明の実施の形態に係る選別装置1について、概略図である
図1、機能ブロック図である
図8、及びラインセンサカメラ11とコンベア13との位置関係の説明図である
図2に基づいて説明する。
【0033】
図1に示すように、本実施の形態に係る選別装置1は、供給装置2から供給され、コンベア13に流れる複数種類の物体で構成される混合物MOの中から選別対象物SOを、圧縮空気を放つエアー噴射ノズル14を用いて選別する装置であって、主として、ラインセンサカメラ11(特許請求の範囲における「データ取得部」の一例に対応する。)、第一制御部12、コントローラ15(特許請求の範囲における「操作部」の一例に対応する。)、コンベア13及びエアー噴射ノズル14とで構成される。供給装置2は、例えば、投入ホッパー21と移送コンベア22と投入フィーダー23とからなる。投入ホッパー21は、混合物MOを受け入れ可能に構成されている。移送コンベア22は、投入ホッパー21から供給される混合物MOを投入フィーダー23に供給する。投入フィーダー23は、振動フィーダー又は電磁フィーダー等で構成されており、振動することによって、混合物MO同士の重畳を防止しながら混合物MOをコンベア13に供給する。
【0034】
選別装置1は、学習モードLM及び運転モードOMの2つのモードを備えている。学習モードLMは、選別装置1を動作させるための準備、設定を行うモードである。一方、運転モードOMは、実際に混合物MOから選別対象物SOを選別するモードである。
【0035】
混合物MOは、金属や紙、プラスチック等、ラインセンサカメラ11によって取得した画像データから個々の物体を識別可能であって、エアー噴射ノズル14によるエアーの噴射によって進路を変更できる複数種類の物体で構成されている。混合物MOに含まれる物体の種類としては、例えば、金属や紙、プラスチック等が想定されるが、例えば金属という大きな括りに限定されず、より下層に分類される銅やアルミ等、色彩と形状から識別できるものは全て対象となり得る。また、本実施の形態に係る選別装置1は、例えば、アルミ、真鍮、金、銀、銅というように一度に5種類まで物体を識別できるようになっており、そのような物体で構成された混合物MOの中から、選別対象物SOとして、例えば銅のみというように一種類を選別することもできるし、例えばアルミ・真鍮・金というように同時に複数の種類を選別することもできるように構成されている。
【0036】
以下、各部材について詳細に説明する。なお、以下の説明において、便宜上、混合物MOは物体A〜C(特許請求の範囲における「種別物体」の一例に対応する。)で構成され、選別対象物SOとして物体Aを選択したものとする。
(ラインセンサカメラ11)
【0037】
選別装置1は、
図2に示すように、2つのラインセンサカメラ11がコンベア13の幅方向に並べて設けられている。ラインセンサカメラ11は、コンベア13のエンコーダ131からパルスを受ける度に撮像を行い、この撮像結果から画像データIDを取得する部材である。
【0038】
ラインセンサカメラ11のX方向はコンベア13の幅方向、Y方向はコンベア13の進行方向に対応しており、
図2に示すように、1つのラインセンサカメラ11で、所定のX方向撮像範囲11aを撮像できる。このX方向範囲11aから、コンベア13両端の除外範囲11bとコンベア13中央の除外範囲11cとを除いたX方向有効範囲11dを2つ足し合わせたX方向範囲11eを、
図3に示すように、Y方向に所定のY方向範囲11fで抜き出して画像データIDを作成する。作成された画像データIDのうち、Y方向の一端から所望の重複範囲11gは、直前に作成された画像データIDと重複する範囲である。
【0039】
学習モードにおけるラインセンサカメラ11は、混合物MOに含まれる物体を、物体ごとに撮像し、各物体の画像データIDを作成する。具体的には、複数の物体Aがコンベア13に流された状態で撮像を行い、物体Aの画像データIDを作成する。物体B、Cも同様にして、物体B、Cの画像データIDを作成する。作成された各物体の画像データIDは、撮像された物体の名称と関連付けられた状態で記憶部121に送信される。また、物体をコンベア13に流していない状態で撮像を行い、背景画像BIを作成し、
図8に示す記憶部121に送信する。
【0040】
また、運転モードOMにおけるラインセンサカメラ11は、混合物MOがコンベア13に流された状態で撮像を行い、混合物MOの画像データIDを作成する。作成された混合物MOの画像データIDは、判断部125に送信される。
【0041】
なお、特許請求の範囲における「データ取得部」の一例としてラインセンサカメラ11を説明したが、「データ取得部」はこれに限定されず、エリアセンサカメラであってもよいし、可視光、赤外線、X線のいずれを用いたものであってもよい。X線を用いた場合、X線光源をコンベアで搬送される物体の上部、X線カメラをコンベアのベルトの下部に配置することができるし、その逆の配置も可能である。また、作成された各物体の画像データIDは、物体の名称以外にも、後述する選別対象選択部124において、選別対象物SOを選択する際にユーザが物体の種類が何であるか分かる情報と関連付けられていればよい。また、背景画像BIは必ずしもラインセンサカメラ11で撮像、作成する必要はなく、選別装置1の製造段階で、別途用意された背景画像BIを記憶部121に保存しておいてもよい。
(第一制御部12)
【0042】
第一制御部12は、記憶部121、学習データ作成部122、学習部123、選別対象選択部124、閾値設定部126及び判断部125を備える。第一制御部12は、運転モードOMにおいて、ラインセンサカメラ11で取得した混合物MOの画像データIDから選別対象物SOの有無及び位置を判断する。また、学習モードLMにおいては、該判断のための準備、設定が行われる。以下、各部材について詳細に説明する。
(記憶部121)
【0043】
記憶部121は、ラインセンサカメラ11で作成された物体A〜Cの画像データID及び画像データIDに関連づけられた物体の名称と、背景画像BIとを保存する部材である。
(学習データ作成部122)
【0044】
学習データ作成部122は、ラインセンサカメラ11にて撮像され、取得された物体A〜Cの画像データIDと背景画像BIから、学習データLDを作成し、保存する。学習データ作成部122は、画像抽出部122a、画像合成部122b及び解答作成部122cの3つの部材で構成される。各部材の構成は後述の通りである。
【0045】
作成された学習データLDは学習部123で行う学習に用いられる。1回の学習につき、1つの学習データLDが用いられ、この学習を繰り返す回数が多いほど運転モードOMにおける選別の精度は向上する。すなわち、学習データ作成部122で作成する学習データLDが多いほど、運転モードOMにおける選別の精度は向上する。なお、本発明の第一の実施例に係る選別装置1は、上限を4万回とし、ユーザが学習の繰り返し回数を自由に設定することができる態様である(詳細は後述する。)。
(画像抽出部122a)
【0046】
画像抽出部122aは、記憶部121から物体A〜Cの画像データID及び背景画像BIを呼び出し、背景画像BIに基づいて、物体A〜Cの画像データIDから物体が写る部分を抽出し、抽出画像データSDを作成する。例えば、物体Aの画像データIDを抽出する場合、
図4に示すように、直前の画像データIDと重複する範囲を除く範囲を1ピクセルごとに背景画像BIと比較する。比較の結果、背景画像BIと一致しない部分を物体Aが写る部分として切り出し、物体Aの抽出画像データSDを作成する。以上の通り、基本的に、直前の画像データIDと重複する範囲を除く範囲で比較を行うが、
図5に示すように、物体Aがこの範囲からはみ出る位置にある場合、重複する範囲にまで範囲を広げて比較を行う。同様にして、物体B、Cの画像データIDからも物体B、Cの抽出画像データSDを作成する。
【0047】
なお、厳密に物体が写る部分のみを抽出する必要はなく、背景画像BIが残っていてもよい。
(画像合成部122b)
【0048】
画像合成部122bは、
図6に示すように、画像抽出部122aで作成された物体A〜Cの抽出画像データSDの中から、ランダムにいくつかのデータを選択し、背景画像BIに、ランダムな位置、角度、サイズで合成して、人工的な混合物MOの画像データIDを作成する。
【0049】
すなわち、抽出画像データSDの位置、角度、サイズを変更することで、少ない物体A〜Cの画像データIDから、多数の人工的な混合物MOの画像データIDを作成することができる。
(解答作成部122c)
【0050】
解答作成部122cは、画像合成部122bで作成された人工的な混合物MOの画像データIDのどの位置に物体A〜Cのいずれが配置されているかを記録した情報を人工的な混合物MOの画像データIDに関連付けたデータである学習データLDを作成する。
(学習部123)
【0051】
学習部123は、人工知能を有し、学習データ作成部122にて作成された学習データLDを用いて、物体A〜Cを判別する方法を学習し、学習モデルGMを作成する。
【0052】
具体的には、まず、学習データLD中の人工的な混合物MOの画像データIDに写る各物体が物体Aである確率を算出する。同様に、物体Bである確率及び物体Cである確率を算出する(これらの算出した確率を、以下では認識率RRと称す。また、認識率RRは、特許請求の範囲における「第二の認識率」の一例に対応する。)。次に、各物体を、物体A〜Cの認識率RRのうち最も高かった種類の物体であると予想し、解答作成部122cで関連付けられた情報に基づいて予想が当たっていたか否かを調べる。これを繰り返して得られた知識や経験をデータ化したものである学習モデルGMを作成し、保存する。
(選別対象選択部124)
【0053】
選別対象選択部124は、ユーザが物体A〜Cの中から選択した選別対象物SOの情報を学習モデルGMに関連付けたデータであるレシピREを作成し、保存する。運転モードにおいて、ユーザに選択されたレシピREは判断部125に読み出される。
【0054】
以上のとおり、選別装置1は、学習部123には物体A〜Cを判別する方法を学習させ、選別対象物SOがいずれであるかは学習させない態様である。これにより、例えば、選別対象物SOを物体Aから物体Bに変更したい場合であっても、選別対象選択部124にて選別対象物SOとして物体Bを選択するだけでよいので、学習部123に学習をやり直させる必要がない。なお、学習部123に学習させる前に、選別対象物SOを選択する態様としてもよい。
(閾値設定部126)
【0055】
閾値設定部126は、選別対象物SOの認識率RRに対して閾値を設定する。設定された閾値の情報は、第二制御部141に送信され、選別対象物SOを選別する際に参照される(詳細は後述する。)。なお、閾値は必ずしも設定しなくてもよい。
(判断部125)
【0056】
判断部125は、人工知能を有し、運転モードOMにおいて、選別対象選択部124からレシピREを読み出し、このレシピREに基づいて、ラインセンサカメラ11にて作成され、送信された混合物MOの画像データIDの中から、物体Aの有無を判断し、物体Aがある場合は、そのピクセル単位の位置の情報を第二制御部141に送信する。
【0057】
物体Aの有無の判断は、学習部123と同様に、各物体の物体A〜Cの認識率RRを算出し、物体Aの認識率RRが最も高かった物体を物体Aと判断する。なお、同様に、物体Bの認識率RRが最も高かった物体は物体Bと判断し、物体Cの認識率RRが最も高かった物体は物体Cと判断する。
(コンベア13)
【0058】
コンベア13は、ラインセンサカメラ11の撮像範囲を通過し、エアー噴射ノズル14の位置に物体を流して移動させる部材である。コンベア13は、所定の速度で物体を移動させる。また、コンベア13にはエンコーダ131が設けられ、エンコーダ131はコンベア13が所定距離移動する度に、ラインセンサカメラ11、第一制御部12及び第二制御部141にパルスを送信する。ラインセンサカメラ11は、このパルスを受ける度に撮像を行う。すなわち、ラインセンサカメラ11で撮像される画像データIDの1ピクセルは所定距離に相当する。また、第一制御部12及び第二制御部141は、このパルスに基づいて、物体の位置を特定する。
(エアー噴射ノズル14)
【0059】
エアー噴射ノズル14は、選別対象物SOの認識率RRが閾値設定部126で設定された閾値以上の選別対象物SOに対して圧縮空気を放ち、選別対象物SOを選別する部材である。選別装置1は、複数のエアー噴射ノズル14が、コンベア13の幅方向の全体に微小間隔で配される。前記構成により、認識率RRとユーザが設定できる閾値とを紐付けて選別対象を判断するので、人工知能を用いながらも、選別精度をユーザがコントロールできるようになり、選別精度に対するユーザのニーズに応じた選別が可能となる。具体的に、閾値を低く設定すれば大まかな分類が可能であり、閾値を高く設定すれば所望の物体だけを高精度に抽出できる。なお、選別する対象は、選別対象物SOの認識率RRが閾値設定部126で設定された閾値以上の選別対象物SOに限定されない。例えば、選別対象物SOの認識率RRが閾値設定部126で設定された閾値より大きい選別対象物SOを選別する態様としてもよい。また、上限と下限の閾値を設定して、その間の認識率RRの選別対象物SOを選別する態様としてもよいし、閾値を設定せず、全ての選別対象物SOを選別する態様としてもよい。さらにまた、選別対象物SO以外に対して圧縮空気を放ち、選別対象物SOを選別する態様としてもよい。
【0060】
また、エアー噴射ノズル14は、第二制御部141から、圧縮空気を噴射するタイミングである噴射タイミングが指示される。具体的に第二制御部は、まず、
図7に示すように、判断部125から送信された物体Aの位置情報に基づき、圧縮空気を噴射する噴射領域IRを設定する。次に、エアー噴射ノズル14ごとに噴射領域IRに基づいて噴射タイミングを設定する。噴射タイミングは、コンベア13の進行方向に対して所定の時間間隔で設けられる。すなわち、
図7に示す混合物MOの画像データIDを例として考えると、画像データIDの上端部がエアー噴射ノズル14の位置に到達した時間T0を基準に、d〜h列のエアー噴射ノズル14に対して、エアー噴射ノズル14が噴射領域IRを通過するタイミングで圧縮空気を噴射するよう指示する。
【0061】
エアー噴射ノズル14で圧縮空気を噴射された物体Aは、コンベア13の下部に配置され、選別される材質の種類毎に設けられた回収ホッパー3のホッパー31によって回収される。エア噴射ノズル14で圧縮空気が噴射されない物体B、物体Cは、ホッパー32によって回収される。
(コントローラ15)
【0062】
コントローラ15は、タッチパネル式のコントローラであって、ユーザは、コントローラ15を用いることで、選別装置1を容易に操作することができる。コントローラ15は、モード切替ボタン15a(特許請求の範囲における「モード切替指示部」の一例に対応する。)、撮像ボタン15b(特許請求の範囲における「データ取得指示部」の一例に対応する。)、学習データ作成ボタン15c(特許請求の範囲における「学習データ作成指示部」の一例に対応する。)、学習開始ボタン15d(特許請求の範囲における「学習開始指示部」の一例に対応する。)、選別対象選択ボタン15e(特許請求の範囲における「選別対象選択指示部」の一例に対応する。)、閾値設定ボタン15h(特許請求の範囲における「閾値設定部」の一例に対応する。)、運転開始ボタン15f(特許請求の範囲における「運転開始指示部」の一例に対応する。)及び運転終了ボタン15gを備える。
(選別装置1の操作方法)
【0063】
以下でコントローラ15を用いて選別装置1を操作する方法について説明する。
(学習モードLMにおける操作方法)
【0064】
学習モードLMにおける、選別装置1の操作方法について
図8の機能ブロック図、
図9のフローチャート及び
図10〜
図17のコントローラ15に表示される画面の説明図に基づき説明する。
【0065】
まず、ステップST101でモード切替ボタン15aを用いて、選別装置1を学習モードLMに切り替える。選別装置1を起動した際、コントローラ15には
図10に示す画面が表示されるので、学習モードボタン151aを押下することで選別装置1を学習モードLMに切り替えられ、コントローラ15に
図11に示す画面が表示される。
【0066】
次に、ステップST102でラインセンサカメラ11に物体A〜Cの画像データID及び背景画像BIを作成させる。ユーザは、複数の物体Aをコンベアに流し、
図11に示される画面における撮像ボタン15bを押下するとラインセンサカメラ11は撮像を開始し、物体Aの画像データIDを作成する。物体Aの画像データIDの取得が完了すると、コントローラ15には、
図12に示す画面が表示されるので、ユーザは名称入力部151bに物体Aの名称を入力し、記憶部121に保存する。物体Aの保存が完了すると、コントローラ15には再度
図11の画面が表示されるので、ユーザは、同様の手順で、物体B、C及び背景画像BIの撮影を行う。
【0067】
次いで、ステップST103で学習データ作成部に学習データLDを作成させる。ユーザが、
図11に示される画面における学習データ作成ボタン15cを押下すると、コントローラ15には
図13に示す画面が表示される。ユーザは、物体選択ボタン151cを押下することで
図14に示すように表示される記憶部121に保存された物体の名称の一覧から、学習データLDの作成に用いる物体(本説明の場合は「物体A」、「物体B」、「物体C」)を選択する。選択を完了すると、コントローラ15には再度、
図13に示す画面が表示されるので、データ数入力部152cに作成する学習データLDの数を入力する。入力が完了すると、コントローラ15には
図15に示すように、ユーザに学習データLDの作成が完了するまでの予想時間を示す待機画面が表示される。学習データLDの作成が完了すると、コントローラ15には
図11に示す画面が表示される。
【0068】
最後に、ステップST104で学習部123に学習データLDを用いて学習させ、学習モデルGMを作成させる。ユーザが、
図11に示される画面における学習開始ボタン15dを押下すると、コントローラ15には
図16に示す画面が表示される。ユーザは、
図16に示すように表示される学習データ作成部122に保存された学習データLDの一覧(学習データLDの作成に用いられた物体の名称が表示される。)から、学習部123の学習に用いる学習データLD(本説明の場合は「物体A、物体B、物体C」)を選択する。選択を完了すると、コントローラ15には
図17に示すように、ユーザに学習モデルGMの作成が完了するまでの予想時間を示す待機画面が表示される。学習モデルGMの作成が完了すると、コントローラ15には
図11に示す画面が表示される。
(運転モードOMにおける操作方法)
【0069】
運転モードOMにおける、選別装置1の操作方法について
図8の機能ブロック図、
図18のフローチャート及び
図19〜
図21のコントローラ15に表示される画面の説明図に基づき説明する。
【0070】
まず、ステップST201でモード切替ボタン15aを用いて、選別装置1を運転モードOMに切り替える。選別装置1を起動した際、コントローラ15には
図10に示す画面が表示されるので、運転モードボタン152aを押下することで選別装置1は運転モードOMに切り替えられ、コントローラ15に
図19に示す画面が表示される。
【0071】
次に、ステップST202で選別対象物SOに物体Aを選択し、選別対象選択部124にレシピREを作成させる。ユーザが、
図19に示される画面における選別対象選択ボタン15eを押下すると、コントローラ15には
図20に示す画面が表示される。ユーザは、
図20に示すように表示される学習部123に保存された学習モデルGMの一覧(学習モデルGMの作成に用いられた物体の名称が表示される。)から、判別に用いる学習モデルGM(この実施例の場合は「物体A、物体B、物体C」)を選択する。選択を完了すると、コントローラ15には
図21に示す画面が表示される。ユーザは、
図21に示すように表示される選択した学習モデルGMの作成に用いられた物体の一覧から、選別対象物SO(本説明の場合は「物体A」)を選択する。選択を完了すると、選別対象選択部124はレシピREを作成し、コントローラ15には
図19に示す画面が表示される。
【0072】
次いで、ステップST203で選別対象物SOの認識率RRに対して閾値を設定させる。ユーザが、
図19に示される画面における閾値設定ボタン15hを押下すると、コントローラ15には
図22に示す画面が表示されるので、閾値入力部151hに所望の閾値を入力する。入力が完了すると、閾値設定部126は、閾値の情報を第二制御部141に送信し、コントローラ15には
図19に示す画面が表示される。なお、閾値入力部151hに所望の閾値を入力しなかった場合は、閾値を設定しなかったものと判断して、全ての選別対象物SOを選別する。
【0073】
次いで、ステップST204で物体Aを選別させる。ユーザは、混合物MOをコンベアに流し、
図19に示される画面における運転開始ボタン15fを押下すると、ラインセンサカメラ11は撮像を開始し、判断部125は物体Aの有無及び物体Aのピクセル単位の位置を判断し、この判断に基づいて、エアー噴射ノズル14は物体Aを選別する。
【0074】
最後に、ステップST205で、運転終了ボタン15gを押下し、選別を終了させる。
【0075】
なお、コントローラ15の態様や、画面の表示は前述のものに限定されず、ユーザが選別装置1を容易に操作できるよう適宜変更してよい。例えば、押しボタンを用いたコントローラ15であってもよく、この場合、モード切替ボタン15aは不要である。また、モード切替ボタン15aを設けず、一画面にすべてのボタンを表示する態様としてもよい。また、コントローラ15に、ユーザに対して次の操作を指示する表示をしてもよい。
【0076】
また、前述した実施の形態では、各々のボタンにそれぞれ別々の機能を持たせているが、各々の機能が連動したり、所定のボタンが種々の機能を兼用するようにしてもよい。例えば、学習データ作成ボタン15cを押下することによって、学習データLDを作成するとともに、該学習データに基づいて学習モデルGMを作成するようにしてもよい。また、例えば、運転開始ボタン15fが運転終了を指示する機能を兼ねており、一回目の運転開始ボタン15fの押下で運転が開始し、二回目の押下で運転が終了するようにしてもよい。また、前述した実施の形態では、物体Aを選別対象にして説明しているが、複数の物体を選別対象とし、それに応じてエアー噴射ノズルやホッパーを複数個設けるようにしても良い。
【0077】
以上説明したように、本発明を適用した選別装置1は、人工知能を用いて混合物MOの撮像データから選別対象物SOの有無及び位置を判断することができるため、物体を選別する基準やアルゴリズムの設定が不要であることに加え、混合物の各物体が選別対象物である確率を示す認識率を人工知能に算出させ、該認識率とユーザが設定できる閾値とを紐付けて選別対象を判断するので、選別精度をユーザがコントロールできるようになる。
【0078】
また、コントローラ15に表示される各種ボタンを用いて、閾値を設定する工程を含め、容易に操作することができる。したがって、本発明によれば、簡単な操作により、煩雑な設定作業の大半を人工知能に行わせることができるので、ユーザが、専門的な技術や知識が無くとも、選別対象物SOを選別するための設定を容易に行える。