(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
<内視鏡システムの外観構成>
図1は、本実施形態による内視鏡システム1の外観構成例を示す図である。
図1に示されるように、内視鏡システム1は、複数の内視鏡装置101から103(親内視鏡装置(第1医療デバイスに相当)101、子内視鏡装置(第2医療デバイスに相当)102、孫内視鏡装置(第3医療デバイスに相当)103)と、追加コネクタ(以下、「分配器」「光分配コネクタ」とも呼ぶこともある)200と、プロセッサ300と、モニタ400と、を備えている。プロセッサ300側の光コネクタ部3010には追加コネクタ200が取り付けられ、追加コネクタ200を介して、親内視鏡装置101、子内視鏡装置102、および孫内視鏡装置103は、プロセッサ300と接続される。追加コネクタ200は、例えば、3つの接続部201から203を有している。例えば、3つのうちで径が最大サイズの通常管で構成される親内視鏡装置101が追加コネクタ200の接続部201に接続され、径が中間サイズの細管で構成される子内視鏡装置102が接続部202に接続され、径が最小サイズの極細管で構成される孫内視鏡装置103が接続部203に接続される。
【0012】
子内視鏡装置102は、親内視鏡装置101の操作部(図示せず)に設けられた鉗子口(図示せず)から挿入し、親内視鏡装置101の鉗子チャネルを通って先端部の鉗子出口1010から子内視鏡装置102を露出させることができるようになっている。また、同様に、孫内視鏡装置103は、子内視鏡装置102の操作部(図示せず)に設けられた鉗子入口(図示せず)から挿入し、子内視鏡装置102の鉗子チャネルを通って先端部の鉗子出口1020から孫内視鏡装置103を露出させることができるようになっている。
【0013】
プロセッサ300の筐体外側面には、オペレータが所定の指示を入力するための操作部(操作パネル)3006、各内視鏡装置101から103の電気通信線(映像信号などを送信するための線)を接続するための電気コネクタ部3007、および各内視鏡装置101から103のそれぞれを直接接続可能で、かつ追加コネクタ200を取り付けることが可能な光コネクタ部3010等が設けられている。なお、
図1では、各内視鏡装置101から103の電気通信線およびその接続については図示が省略されているが、実際には各内視鏡装置101から103の電気通信線は電気コネクタ部3007に接続されている。電気コネクタ部3007は、例えば、USBや丸型コネクタを接続できる形状をなすポートによって構成されている。また、
図1においては、追加コネクタ200に、親内視鏡装置101、子内視鏡装置102、および孫内視鏡装置103の全てが接続された様子が示されているが、常に全ての内視鏡装置101から103を接続する必要はなく、用途によって、何れか2つの内視鏡装置が接続されるようにしてもよい。また、プロセッサ300を、光源装置301と信号処理装置302に分離して構成するようにしてもよい。
【0014】
図2は、追加コネクタ200を介して親内視鏡装置101、子内視鏡装置102、および孫内視鏡装置103をプロセッサ300に接続するときの様子を示す上面図である。
図2に示されるように、各内視鏡装置101から103を追加コネクタ200の各接続部201から203に接続し、追加コネクタ200のピン型コネクタ(雄)204をプロセッサ300の光コネクタ部(コネクタホール(雌))3010に挿入することにより、各内視鏡101から103とプロセッサ300との光学的接続を完成させることができる。なお、接続の順番は、追加コネクタ200をプロセッサ300に取り付けた後に各内視鏡装置101から103を追加コネクタ200の各接続部201から203に取り付けるようにしてもよい。また、追加コネクタ200をコンタクトホールの構造とし、プロセッサ300側をピン型コネクタ(雄)の構造とするようにしてもよい。
【0015】
<内視鏡システムの内部構成>
図3は、本実施形態による、各内視鏡装置101から103をプロセッサ300に取り付けた場合の内視鏡システム1の内部構成例を示す図である。上述のように、内視鏡システム1は、複数の内視鏡装置101から103(親内視鏡装置(第1医療デバイス)101、子内視鏡装置(第2医療デバイス)102、孫内視鏡装置(第3医療デバイス)103)と、追加コネクタ200と、プロセッサ300と、モニタ400と、を備えている。
【0016】
プロセッサ300は、システムコントローラ3001と、タイミングコントローラ3002と、LED駆動装置3003と、光源ユニット3004と、メモリ3005と、操作パネル3006と、電気コネクタ部3007と、画像処理部3008とを備えている。システムコントローラ3001は、メモリ3005に記憶された各種プログラムを実行し、内視鏡システム1全体を統合的に制御する。また、システムコントローラ3001は、操作パネル3006に接続されている。システムコントローラ3001は、操作パネル3006より入力されるオペレータ(ユーザ)からの指示に応じて、内視鏡システム1の各動作及び各動作のためのパラメータを変更する。タイミングコントローラ3002は、各部の動作のタイミングを調整するクロックパルスを内視鏡システム1内の各処理部に出力する。
【0017】
光源ユニット3004は、例えば、複数のLED(Light Emitting Diode)によって構成され(詳細については後述)、LED駆動装置3003による始動後、照射光L30041を射出する。本実施形態では、例えば、光源ユニット3004として、複数のLEDを備え、各LEDからそれぞれ異なる波長帯域の光を出力させるようにしている。従って、従来のような光学フィルタによって各波長帯域の光を生成する必要はない。光源ユニット3004は、例えば、各LEDからの光の強度を調整することにより、照明光L30041として、白色光(可視光帯域(380nmから780nm)の少なくともRGB成分を含む光)、5−ALA(5−アミノレブリン酸)を用いたPDD(Photodynamic-Diagnosis)の励起光(例えば、青色可視光(375nmから445nm))、5−ALAを用いたPDT(Photodynamic-Therapy)の励起光(例えば、赤色可視光(600nmから740nm)や緑色可視光(480nmから580nm))、近赤外免疫療法で用いる近赤外光(例えば、660nmから740nmの帯域光:近赤外免疫療法で用いられるIRDye700という物質の吸光帯域のピークが689nmであるため、680から700nmの光強度が強い光が望ましい)などを出力することができるように構成されている。なお、後述のCMOSイメージセンサなどの撮像素子は、5−ALAを用いたPDDの蛍光(上記励起光による蛍光:例えば、赤色蛍光(600から740nm)を受光するように構成される。
【0018】
本実施形態の内視鏡システム1は、光源ユニット3004によって生成された白色光をそのまま(或いは、赤外成分及び/又は紫外成分を除去して)照明光(通常光(白色光))L30041として使用して内視鏡観察を行う通常(白色光)観察モードと、光源ユニット3004によって生成された所定の波長帯域の光(特殊光)を照明光L30041として使用して内視鏡観察を行う特殊観察モードと、特殊観察モードで使用される補正値を取得するためのベースライン測定モードの3つの動作モードで動作可能に構成されている。
【0019】
照明光L30041(通常光あるいは特殊光)は、追加コネクタ200で所定の数の光(例えば、白色光の場合には3つに分光、狭帯域観察光の場合には2つに分光など:詳細については後述する)に分光され、各内視鏡装置101から103につながる各LCB(Light Carrying Bundle)1011、1021、および1031のそれぞれの中に導入される。
【0020】
LCB1011、1021、および1031のそれぞれ内に導入された照射光Lは、LCB1011、1021、および1031内を伝播して各内視鏡装置101から103の先端に配置されたLCB1011、1021、および1031のそれぞれの射出端面より射出され、配光レンズ1012、1022、および1032のそれぞれを介して被写体に照射される。照射光Lにより照射された被写体からの戻り光は、対物レンズ1013、1023、および1033のそれぞれを介して固体撮像素子1014、1024、および1034のそれぞれの受光面上で光学像を結ぶ。
【0021】
また、各内視鏡装置101から103の電気通信線110、120、および130のそれぞれは、プロセッサ300の電気コネクタ部3007につながれ、各内視鏡装置101から103がプロセッサ300と電気的に接続される。各内視鏡装置101から103で撮像された映像信号は、電気通信線110、120、および130と電気コネクタ部3007を介してプロセッサ300の画像処理部3008に供給される。
【0022】
固体撮像素子1014、1024、および1034は、例えば、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサやベイヤ型画素配置を有する単板式カラーCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサである。固体撮像素子1014、1024、および1034は、受光面上の各画素で結像した光学像を光量に応じた電荷として蓄積して画像信号(画像データ)を生成して出力する。固体撮像素子1014、1024、および1034は、赤色の光を透過させるRフィルタと、緑色の光を透過させるGフィルタと、青色の光を透過させるBフィルタとが固体撮像素子1014、1024、および1034の各受光素子上に直接形成された、いわゆるオンチップカラーフィルタを備えている。固体撮像素子1014、1024、および1034が生成する画像信号には、Rフィルタが装着された受光素子によって撮像された画像信号R、Gフィルタが装着された受光素子によって撮像された画像信号G、およびBフィルタが装着された受光素子によって撮像された画像信号Bが含まれている。
【0023】
なお、固体撮像素子1014、1024、および1034は、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサに限らず、その他の種類の撮像装置に置き換えてもよい。
【0024】
図3に示されるように、各内視鏡装置101から103は、ドライバ信号処理部1015、1025および1035を備えている。ドライバ信号処理部1015には、画像信号がフィールド周期で固体撮像素子1014、1024、および1034のそれぞれより入力される。ドライバ信号処理部1015、1025、および1035は、固体撮像素子1014、1024、および1034より入力される画像信号に対して所定の処理を施した後、プロセッサ300の画像処理部3008へ出力する。
【0025】
ドライバ信号処理部1015、1025、および1035はまた、メモリ1016、1026、および1036にそれぞれアクセスして各内視鏡装置101から103の固有情報を読み出す。メモリ1016、1026、および1036に記録される各内視鏡装置101から103の固有情報には、例えば、固体撮像素子1014、1024、および1034の画素数や感度、動作可能なフィールドレート、型番等が含まれる。ドライバ信号処理部1015、1025、および1035は、メモリ1016、1026、および1036より読み出された固有情報をシステムコントローラ3001に出力する。
【0026】
システムコントローラ3001は、各内視鏡装置101から103の固有情報に基づいて各種演算を行い、制御信号を生成する。システムコントローラ3001は、生成された制御信号を用いて、プロセッサ300に接続されている内視鏡装置に適した処理がなされるようにプロセッサ300内の各種処理部の動作やタイミングを制御する。
【0027】
タイミングコントローラ3002は、システムコントローラ3001によるタイミング制御に従って、ドライバ信号処理部1015、1025、および1035のそれぞれにクロックパルスを供給する。ドライバ信号処理部1015、1025、および1035のそれぞれは、タイミングコントローラ3002から供給されるクロックパルスに従って、対応する固体撮像素子1014、1024、および1034をプロセッサ300側で処理される映像のフィールドレート(フレームレート)に同期したタイミングで駆動制御する。
【0028】
画像処理部3008は、ドライバ信号処理部1015、1025、および1035のそれぞれから1フィールド周期で入力される画像信号に対して色補完、マトリクス演算、Y/C分離等の所定の信号処理を施した後、モニタ表示用の画面データを生成し、生成されたモニタ表示用の画面データを所定のビデオフォーマット信号に変換する。変換されたビデオフォーマット信号は、モニタ400に出力される。これにより、被写体の画像がモニタ400の表示画面に表示される。
【0029】
また、画像処理部3008は、例えば、特殊観察モードにおいて、取得した画像信号R(Red)、G(Green)、B(Blue)に基づいて分光学的な分析処理を行い、被写体である生体組織における酸素飽和度との相関を有する指標の値を計算し、計算結果を視覚的に表示するための画像データを生成するように構成してもよい。
【0030】
上述のように、本実施形態の内視鏡システム1は、光源ユニット3004から放射された白色光(通常光)を照明光L30041として使用してする通常観察モードと、光源ユニット3004から放射された特殊光(特定波長帯域の光)を照明光L30041として使用して分光学的な分析を行う特殊観察モードと、特殊観察用の補正値を取得するためのベースライン測定モードの3つのモードで動作するように構成されている。各モードの切り替えは、各内視鏡装置101から103の操作部(図示せず)またはプロセッサ300の操作パネル3006に対するユーザ操作によって行われる。
【0031】
通常観察モードでは、システムコントローラ3001は、LED駆動装置3003を制御して光源ユニット3004から白色光(例えば、波長帯域が400nmから770nmの光)を出射させる。出射された白色光は、追加コネクタ200で3つに分光される。分光された各白色光は、各内視鏡装置101から103のLCB1011、1021、および1031を介して被写体(観察部位)に照射される。白色光が観察部位に反射して得られる反射光は、固体撮像素子1014、1024、および1034によって撮像される。そして、固体撮像素子1014、1024、および1034によって撮像された画像データは、必要に応じて画像処理が施され、その後、ビデオ信号に変換され、モニタ400に表示される。
【0032】
特殊観察モード及びベースライン測定モードでは、システムコントローラ3001は、LED駆動装置3003を制御して光源ユニット3004から特殊光(例えば、中心波長が415nmと530nmの光を含む帯域光(狭帯域観察光)、酸素飽和度観察光(526から585nmの帯域光、および546から570nmの帯域光:いわゆるWide/Narrow方式の場合)、P−ZnPP観察用光(波長が423nmの光を含む帯域光)、近赤外免疫療法で用いる光(波長が689nmの光を含む帯域光(例えば、660から740nmの帯域を含む近赤外光))、ICG観察用光(785nmの光を含む帯域光)など)を出射させる(P−ZnPP観察用光、および近赤外免疫療法で用いる光については
図11を参照のこと。つまり、P−ZnPPの場合、吸光特性がピークとなっている423nmの波長の光を含む帯域光を出射する必要があり、近赤外免疫療法の場合、IRDye700の吸光特性がピークとなっている689nmの日かを含む帯域光を出射する必要がある)。出射された特殊光は、追加コネクタ200で2つあるいは3つに分光される。分光された各特殊光は、各内視鏡装置101から103のLCB1011、1021、および1031を介して被写体(観察部位)に照射される。特殊光が観察部位に反射して得られる反射光は、固体撮像素子1014、1024、および1034によって撮像される。そして、固体撮像素子1014、1024、および1034によって撮像された画像データは、必要に応じて画像処理が施され、その後、ビデオ信号に変換され、モニタ400に表示される。特殊観察モードでは、撮像された画像データに基づいて、所定の分析処理(例えば、深さ別血管走行画像生成処理、特徴領域特定処理、血液透明化処理など)を行う。
【0033】
ベースライン測定モードは、実際の内視鏡観察を行う前に、無彩色の拡散板や標準反射板等の色基準板を被写体として、特殊光による照明下で撮像を行い、特殊観察モードの規格化処理に使用するデータを取得するモードである。
【0034】
ベースライン測定モードにおいて特殊光を用いて撮像した3原色の画像データR(x,y)、G(x,y)、B(x,y)は、それぞれベースライン画像データBLR(x,y)、BLG(x,y)、BLB(x,y)として、画像処理部3008の内部メモリ(図示せず)に記憶される。なお、R(x,y)、G(x,y)、B(x,y)及びBLR(x,y)、BLG(x,y)、BLB(x,y)は、それぞれ画素(x,y)の画像データ及びベースライン画像データの値である。また、画素(x,y)は、水平方向の座標x及び垂直方向の座標yにより特定される。
【0035】
<追加コネクタ(分配器)の基本構成例>
図4は、本実施形態による追加コネクタ(分配器)の概略基本構成例を示す図である。
図4Aは、光源からの光を2つに分配する追加コネクタ200の構成例(第1例)を示している。
図4BおよびCは、光源からの光を3つに分配する追加コネクタ200の構成例(第2および第3例)を示している。
【0036】
(i)第1例
図4Aに示されるように、第1例による追加コネクタ(分配器)200は、光源ユニット3004から出射された光を平行状態に光学調整(コリメート)する入射側コリメートレンズ210と、入射側コリメートレンズ210からのコリメート光の一部を透過させ、残りを反射させる作用を有するダイクロイックミラー211と、ダイクロイックミラー211で反射したコリメート光を集束させる第1の出射側コリメートレンズ212と、ダイクロイックミラー211を透過したコリメート光を集束させる第2の出射側コリメートレンズ213と、を有している。ダイクロイックミラー211での光の透過率および反射率は、表面のコーティング材料を適宜選択することにより、所定の値に制御することができる。また、ダイクロイックミラー211の表面のコーティングを工夫することにより、特定の波長の光を透過あるいは反射させることもできる。なお、ダイクロイックミラー表面のコーティングによってダイクロイックミラーの光学特性を調整に関しては周知であるので、ここでは詳細には説明しないこととする。第1例では、ダイクロイックミラーを用いているが、ハーフミラーを用いてもよい。
【0037】
(ii)第2例
図4Bに示されるように、第2例による追加コネクタ(分配器)200は、光源ユニット3004から出射された光を平行状態に光学調整(コリメート)する入射側コリメートレンズ210と、入射側コリメートレンズ210からのコリメート光を所定の割合で透過および反射させる作用を有する第1のダイクロイックミラー221と、ダイクロイックミラー211で反射した光をさらに所定の割合で透過および反射させる作用を有する第2のダイクロイックミラー222と、第1のダイクロイックミラー221を透過した光を集束させる第1の出射側コリメートレンズ223と、ダイクロイックミラー222を反射した光を集束させる第2の出射側コリメートレンズ224と、ダイクロイックミラー222を透過した光を集束させる第3の出射側コリメートレンズ225と、を有している。例えば、第1のダイクロイックミラー221での透過率を30%、反射率を70%、第2のダイクロイックミラー222での透過率および反射率をそれぞれ50%と設定すると、当該追加コネクタ200による光の分配率は、第3医療デバイスに対して30%、第1および第2医療デバイスに対して35%とすることが可能となる。
【0038】
(iii)第3例
図4Cに示されるように、第3例による追加コネクタ(分配器)200は、光源ユニット3004から出射された光を平行状態に光学調整(コリメート)する入射側コリメートレンズ210と、入射側コリメートレンズ210からのコリメート光を所定の割合で透過および反射させ、3方向に出射させるクロスプリズム(クロスダイクロイックプリズム)231と、クロスプリズム231を透過した光を集束させる第1の出射側コリメートレンズ223と、クロスプリズム231で紙面下側に反射した光を集束させる第2の出射側コリメートレンズ224と、クロスプリズム231で紙面上側に反射した光を集束させる第3の出射側コリメートレンズ225と、を有している。
【0039】
クロスプリズム231は、光を透過および反射させるダイクロイックミラーを2つ合わせた機能を1で実現する光学要素である。プリズム境界面231_1は、入射してきた光のうち所定の割合の光を透過させて第3医療デバイスの方に出射させ、残りの光を反射させて第1医療デバイスの方(紙面上側)に出射させる。また、プリズム境界面231_2は、入射してきた光のうち所定の割合の光を透過させて第3医療デバイスの方に出射させ、残りの光を反射させて第2医療デバイスの方(紙面下側)に出射させる。また、クロスプリズム231の各プリズム境界面231_1および231_2には、例えば、光蒸着膜を形成することにより、そこでの透過率および反射率を調整することができるようになる。また、所望の波長の光だけを透過し、それ以外の波長の光を反射させるようにプリズム境界面(機能面)231_1および232_2に形成することができる。
【0040】
(iv)光源ユニットについて
光源ユニット3004は、それぞれが異なる波長の光を発する5つのLED(UV、B1、G1、G2、およびR1の波長の光を発するLED)、あるいはそれぞれが異なる波長の光を発する7つのLED(例えば、UV(380から422nmの帯域光)、B1(422から452nmの帯域光)、B2(452から502nmの帯域光)、G1(502から526nmの帯域光)、G2(526から596nmの帯域光)、R1(586から620nmの帯域光)、およびR2(620から800nmの帯域光)の波長の光を発するLED)で構成することができる。本実施形態では、7つのLEDを搭載した光源ユニット3004について示しているが、LEDの数は7つに限定されるわけではなく、5つのLEDや3つのLEDなど、任意の数のLEDで光源ユニット3004を構成することができる。また、
図12に示されるように、7つのLEDを用いる場合でも光源ユニット3004の構成として複数種類存在する。
【0041】
(v)コリメートレンズについて
各コリメートレンズの焦点距離は同じであってもよいし、追加コネクタ200を通過させたい光の特性に応じて表面フィルタの透過率や収差に変化を持たせてもよい。
【0042】
<追加コネクタ(分配器)の具体構成例>
以下、
図5から
図8を用いて、追加コネクタ(分配器)200の具体的構成例について説明する。
【0043】
(i)具体的構成例1
図5は、本実施形態による追加コネクタ(分配器)200の具体的構成例1を説明するための図である。
図5Aは、
図4と同様の追加コネクタ200の構成例を示し、
図5Bは、追加コネクタ(分配器)200の分光分布波長特性を示している。なお、光源ユニット3004の内部構成は、
図4に示されたものと同様である。
【0044】
図5Aの追加コネクタ200は、
図5Bの分光分布波長特性を有している。追加コネクタ200の分光分布波長特性は、光路Bに関しては透過率で、光路AおよびCに関しては反射率で規定されている。このような分光分布波長特性は、例えば、当該光学特性を呈するのに適切な材料によってクロスプリズム231のプリズム境界面231_1および231_2をコーティング(薄膜コーティング)することにより実現される。
図5Bによれば、例えば、追加コネクタ200は、光路Bに関しては、光源ユニット3004から入射した光(波長が380nmから800nmの光)のうち30%を透過させて第3医療デバイスに出射する。また、追加コネクタ200は、光路AおよびCに関しては、光源ユニット3004から入射した光のうち35%の光をそれぞれ反射させて第1および第2医療デバイスに出射する。
【0045】
(ii)具体的構成例2(変形例)
図6は、追加コネクタ(分配器)200の具体的構成例2を示す図である。
図6に示す追加コネクタ(分配器)200は、
図5に示す追加コネクタ(分配器)200の構成に加えて、液晶チューナブルフィルタなど、光の透過率を変化させることができる光学素子241を備えている。当該光学素子241を用いることにより、液晶を用いて波長選択的に光を通過させることができ、光路A、B、およびCにおいて独立した観察モードの選択が可能となる。例えば、光路AおよびCでは狭帯域光観察が可能(狭帯域観察光(415±10nmと530±10nm)のみ透過させる)となり、光路Bでは白色光観察が可能(全可視光帯域光(例:400nmから770nm)を透過させる)となる。
【0046】
(iii)具体的構成例3
図7は、追加コネクタ(分配器)200の具体的構成例3を示す図である。
図7Aは、追加コネクタ200の構成例を示し、
図7Bは、追加コネクタ(分配器)200の分光分布波長特性を示している。
図7に示す追加コネクタ200と
図5に示す追加コネクタ200との差異は、クロスプリズム231の分光分布波長特性である。
【0047】
具体的構成例3における分光分布波長特性は、
図7Bに示すように、光路Bに関しては、光源ユニット3004から入射した光(波長帯域がUV、B1、B2、G1、G2、R1、およびR2の光)のうちB1光、G1光、およびR1光の40%を透過させて第3医療デバイスに出射する。また、追加コネクタ200は、光路AおよびCに関しては、光源ユニット3004から入射した光(波長帯域がUV、B1、B2、G1、G2、R1、およびR2の光)のうち50%のUV光、B2光、G2光、およびR2光、並びに30%のB1光、G1光、およびR1光をそれぞれ反射させて第1および第2医療デバイスに出射する。具体的構成例3における追加コネクタ(分配器)200の分光分布波長特性を
図7Bのようにする(固定)ことにより、光源ユニット3004から発する光の種類(UV、B1、B2、G1、G2、R1、およびR2の光)を選択し、かつ各光の強度を制御することにより、白色光観察、狭帯域光観察、酸素飽和度観察、P−ZnPP観察、近赤外免疫療法による治療、およびICG観察が可能となる。以下、当該各観察を可能にするために、
図8を参照して、どのような光源ユニット3004に対する制御が行われるかについて説明する。
【0048】
図8は、
図7で示す分光分布波長特性を有する追加コネクタ(分配器)200を用いて、白色光、狭帯域光、酸素飽和度観察光、近赤外免疫療法で用いる光、およびICG観察光を実現する際の光源ユニット3004の制御(波長帯域光選択および光強度調整)を説明するための図である。
【0049】
(iii-1)白色光生成
白色光は、光路AからCの全ての光路から出力することができる。この場合、光源ユニット3004は、7つのLED(波長帯域がUV、B1、B2、G1、G2、R1、およびR2の光をそれぞれ出射するLED)のうちR2以外の6つのLEDを駆動してUVからR1までの波長域の光を出力する。このとき、追加コネクタ(分配器)200の分光分布波長特性(
図7B)および追加コネクタ(分配器)200から医療デバイス先端までのライトガイドの光透過率特性を考慮し、各LED出力の強度調整がなされる。分光分布波長特性(
図7B)を見ると、光路AおよびCに対しては、UV光、B2光、およびG2光が50%反射、B1光、G1光、およびR1光が30%反射となっている。また、ライトガイドの光透過率特性によると(
図9参照)、波長域530nm付近まではライトガイドにおける光の透過率が他の波長域よりも低くなっている。このため、例えば、B2光およびG2光の強度とG1光およびR1光の強度の比を3:5にし、UV光の強度とB1光の強度の比を3:5にし、UV光の強度をB2光やG2光の強度の約1.5〜1.75倍程度、かつB1光の強度をG1光やR1光の強度の約1.5〜1.75倍程度に設定することにより、各光路からの各光の出力強度が一様になるように制御することが可能となる。一方、光路Bに対しては、光源ユニット3004からのB1光、G1光、およびR1光の40%が透過して出力される。ただし、UV光の強度とB1光の強度の比(3:5)やUV光の強度をB2光やG2光の強度の比(約1.5〜1.75倍)は単なる一例であって、これに限定されるわけではなく、医療デバイスからの出射光が所望のRGB比率になるように調整された光を出力するように光源ユニット3004を構成することができる。
【0050】
ここで、
図9を参照して、光路Bからの出射光の特性と、白色画像が出力されるまでの処理の流れ(概要)について説明する。なお、
図9では、光路Bに対して白色光を出力する場合の処理工程のみ示されているため、光源ユニット3004からの出力光はB1光、G1光、およびR1光として示されている。光源ユニット3004から出力されたB1光、G1光、およびR1光が追加コネクタ(分配器)200を通過すると(
図9A)、その分光分布波長特性(
図7B)によってB1光、G1光、およびR1光のそれぞれ40%が光路Bから出力される(
図9B)。ステップBでは、追加コネクタ(分配器)200の光路Bに出力された光は、B1光がG1光およびR1光よりも約1.5〜1.75倍程度の強度を有している(
図9B)。これは、光路Bに接続された第3医療デバイスのライトガイドの透過率が約400nmから約530nm付近において他の波長域よりも低いためである。つまり、ライトガイドを通過して第3医療デバイスの先端から出力されるB1光、G1光、およびR1光がほぼ同一の光強度で出射され(
図9C)、観察対象に照射される。観察対象からの反射光は、固体撮像素子(CMOSイメージセンサ)1034によって受光される。CMOSイメージセンサの受光特性は、
図9Cに示されるように、観察対象から反射してきたB1光、G1光、およびR1光の帯域をカバーしており、固体撮像素子1034によって観察対象の画像が撮像される。そして、撮像されて取得された画像データは、プロセッサ300の電気コネクタ部3007を介して画像処理部3008に転送される。画像処理部3008は、観察対象の種類によってRGBの反射率が異なることを考慮し、ルックアップテーブルを用いて、画像データのRGBゲイン補正し(色バランス(ホワイトバランス)を調整)、白色光画像として出力(画面表示)する(
図9C)。
【0051】
(iii-2)狭帯域光生成
狭帯域光は、光路AおよびCから出力することができる。この場合、光源ユニット3004は、2つのLED(波長帯域がUV、およびG2の光をそれぞれ出射するLED)を駆動してUV光(例えば、415±10nmの光)およびG2光(例えば、530±10nmの光)を出力する。このとき、追加コネクタ(分配器)200の分光分布波長特性(
図7B)はUV光とG1光とで同一の反射率に設定されているため、分光分布波長特性に基づく強度調整は行われない。ただし、追加コネクタ(分配器)200から第1および第2医療デバイス先端までのライトガイドの光透過率特性を考慮し、各LED出力の強度調整がなされる。ライトガイドの光透過率特性によると(
図9参照)、波長域530nm付近まではライトガイドにおける光の透過率が他の波長域よりも低くなっているため、UV光の強度は、G2光の強度の約1.5〜1.75倍程度に設定される。
一方、光路Bに対してはB1光、G1光、およびR2光のみが透過(透過率40%)することができるようになっているため、光路Bから光は出力されない。
【0052】
(iii-3)酸素飽和度観察光生成
酸素飽和度観察光は、光路AおよびCから出力され、光路Bからは白色光が出力されることになる。この場合、光源ユニット3004は、6つのLED(波長帯域がUV、B1、B2、G1、G2、およびR1の光をそれぞれ出射するLED)のうち、第1セットのLED(B1光、G1光、およびR1光を出射するLED)と第2セットのLED(UV光、B2光、およびG2光を出射するLED)を交互に光らせることにより、
図8に示すような波長域の光を交互に出力することができる。そして、第1セットの光(B1光、G1光、およびR1光)は、追加コネクタ(分配器)200において、分光分布波長特性(
図7B)に従い、50%の光が反射によって光路AおよびCに分配される。また、第2セットの光(UV光、B2光、およびG2光)は、追加コネクタ(分配器)200において、分光分布波長特性(
図7B)に従い、30%の光が反射によって光路AおよびCに分配される。第1セットの光と第2セットの光の出力強度を一様にするために、白色光や狭帯域光を生成する場合と同様に、光源ユニット3004における光強度の調整を行うようにしてもよい。そして、第1医療デバイスと第2医療デバイスには、光路Aおよび光路Cを介してそれぞれ同じタイミングで、B1光、G1光、およびR1光と、UV光、B2光、およびG2光が供給されることになる。
【0053】
一方、第2セットの光は
図7Bの分光分布波長特性を有する追加コネクタ(分配器)200において遮断され、光路Bには出力されず、第1セットの光(30%の光)のみ追加コネクタ(分配器)200を透過して光路Bに間欠的に出力されることになる(つまり、光路AおよびCに第2セットの光が供給されるタイミングでは光路Bには光が出力されない)。この第1セットの光(B1光、G1光、およびR1光)は第3医療デバイス先端から白色光として出力され、観察対象からの反射光を撮像して得られる画像データは、
図9で説明したような処理が施されることによって、白色光画像として出力されることになる。
【0054】
以上のように、親内視鏡装置(第1医療デバイス)101と子内視鏡装置(第2医療デバイス)102は酸素飽和度を算出するためのデバイスとして用い、孫内視鏡装置(第3医療デバイス)103は白色光観察するためのデバイスとして用いることができる。
【0055】
(iii-4)近赤外免疫療法で用いる光の生成
近赤外免疫療法で用いる光は、光路AからCの全ての光路から出力される。この場合、光源ユニット3004は、波長帯域がR1の光を出射するLEDのみを光らせる。R1光は、追加コネクタ(分配器)200において、分光分布波長特性(
図7B)に従い、その30%の光が反射によって光路AおよびCに分配される。一方、R1光は、追加コネクタ(分配器)200において、分光分布波長特性(
図7B)に従い、その40%の光が透過して光路Bに出力される。なお、出力される各R1光の強度を光源ユニット3004側で調整してもよいし、プロセッサ300の画像処理部3008で取得画像データのゲインを調整してもよい。なお、近赤外免疫療法では、IRDye700という色素の名称(別名フタロシアニン)の、4つのフタル酸イミドが窒素原子で架橋された構造をもつ環状化合物が用いられ、光反応基の機能を担っている。遺伝子変異などで、がん細胞に発現した抗原に特異的に結合する機能は、「抗体」が担う。例えば、現在、臨床研究中のRM−1929の抗体はEGFR(上皮細胞増殖因子受容体)と結合する「セツキシマブ」が用いられ、これが特異的に抗体に結合する。近赤外免疫療法では、このように「抗体」と「光反応基」を合成した薬剤を、光を照射する前に患者に投与(経口若しくは、静脈注射)し、悪性腫瘍部と結合するのに十分な時間経過後、患部に近赤外光が照射され、薬成分が結合した癌細胞は、薬成分の膨張により破裂する。
【0056】
(iii-5)ICG(Indocyanine Green)観察用光生成
ICG観察用光は、光路AおよびCのみから出力され、光路Bからは出力されない。この場合、光源ユニット3004は、波長帯域がR2の光を出射するLEDのみを光らせる。R2光は、追加コネクタ(分配器)200において、分光分布波長特性(
図7B)に従い、その50%の光が反射によって光路AおよびCに分配される。一方、R2光は、追加コネクタ(分配器)200を透過しないため、光路Bには出力されない。なお、出力される各R2光の強度を光源ユニット3004側で調整してもよいし、プロセッサ300の画像処理部3008で取得画像データのゲインを調整してもよい。
い。
【0057】
(iv)その他の具体的構成例
追加コネクタ(分配器)200における分光分布波長特性を変更することにより、様々な観察機能を実現することができる。
図10は、親内視鏡装置(第1医療デバイス)101、子内視鏡装置(第2医療デバイス)102、および孫内視鏡装置(第3医療デバイス)103に同一の観察機能を持たせる場合の観察機能の例(表1)を示す図である。例えば、観察する領域(方らの部位)によって使われる光の種類(波長域)が異なってくるため、各光路から出力される光の割合が異なってくる。従って、オペレータ(ユーザ)は、観察する領域によって追加コネクタ(分配器)200を切り替えて使用することになる。
【0058】
前述の通り、追加コネクタ(分配器)200に入射させる光の種類および強度を制御する(光源ユニット3004にどの波長帯域の光をどの程度の強度で出射させるか制御する)ことによって、各種観察光を追加コネクタ(分配器)200から出力することができる。例えば、分光器の各帯域に対する透過・反射の設計値を変更した追加コネクタ200を用意することにより、追加コネクタ200を交換するだけで各デバイスへの光量比を調整することができ、これにより、観察・治療の各モードの割り当てや光量比が調整できるようになる。
【0059】
<その他>
本実施形態による追加コネクタ(分配器)200は、上述したように、親内視鏡装置と子内視鏡装置によって構成される親子スコープや親内視鏡装置と子内視鏡装置と孫内視鏡装置によって構成される親子孫スコープを実現するために使用してもよいし、その他の形態として、複数の鉗子口(例えば同一径)を有する医療デバイス(親内視鏡装置であってもよい)に同時に複数の内視鏡装置(同一径:兄弟スコープ)を挿入する場合に使用してもよい(マルチルーメンタイプの医療デバイス)。なお、このマルチルーメンタイプの医療デバイス場合、同時使用する複数の医療デバイス(この場合、内視鏡装置)の数は、3台までに限定されない。例えば、親内視鏡装置(第1医療デバイス)がマルチルーメンタイプで2つの鉗子口チャネルを持つ場合、親内視鏡装置を1台、子内視鏡装置を2台、孫内視鏡装置を2台、計5台の内視鏡装置を同時使用することができる。
また、光源ユニット3004に含まれる光源としては、固体光源(LED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)など)、もしくは放電ランプ(キセノンランプ、HID(High-Intensity Discharge)ランプ、ハロゲンランプなど)を用いることができる。
なお、モニタは複数用意し、各モニタに各内視鏡装置101から103で撮像した画像を表示してもよいし、モニタの表示画面を複数に分割して、各表示領域に各内視鏡装置101から103で撮像した画像を表示するようにしてもよい。
【0060】
<本開示の特定事項>
(1)特定事項1
プロセッサに着脱可能に構成され、前記プロセッサとの光学的接続を実現する光コネクタ部と、
それぞれ医療デバイスが着脱可能な、複数の医療デバイス取り付け部と、
前記プロセッサに含まれる光源から発せられた光を前記複数の医療デバイス取り付け部のそれぞれの方向に分配する、少なくとも1つの光学要素と、
を備える光分配コネクタ(追加コネクタ(分配器))。
このようにすることにより、各医療デバイス(内視鏡装置)に対応して光源装置を設ける必要がなくなり、内視鏡システムの規模を小さくすることが可能となる。
【0061】
(2)特定事項2
特定事項1において、
前記少なくとも1つの光学要素は、複数の波長帯域の光のそれぞれに対する光の透過率および光の反射率で規定される分光分布波長特性を有する、光分配コネクタ。
このようにすることにより、プロセッサの光源から出力する光の種類および強度を制御すれば、1つの光分配コネクタをプロセッサに取り付け、光分配コネクタに複数の医療デバイス(内視鏡装置)を取り付けるだけで、様々な観察機能(例えば、白色光観察モード、狭帯域光観察モード、酸素飽和度観察モード、近赤外免疫療法モード、およびICG観察モード)を実現することができる。また、分光分布波長特性を変更すればさらに別の態様の観察機能を簡単に実現することができる。
【0062】
(3)特定事項3
特定事項1または2において、
前記光学要素は、ハーフミラーまたはダイクロイックミラーによって構成される、光分配コネクタ。
【0063】
(4)特定事項4
特定事項1または2において、
前記光学要素は、クロスプリズムによって構成される、光分配コネクタ。
【0064】
(5)特定事項5
複数の内視鏡装置と、
内視鏡装置が撮像した画像データを処理して表示装置に前記画像データに対応する画像を表示させるプロセッサと、
前記複数の内視鏡装置と前記プロセッサに着脱可能に構成され、前記複数の内視鏡装置および前記プロセッサとの光学的接続を実現する光分配コネクタと、を備え、
前記光分配コネクタは、
前記プロセッサに着脱可能に構成され、前記プロセッサとの光学的接続を実現する光コネクタ部と、
それぞれ内視鏡装置が着脱可能な、複数の内視鏡取り付け部と、
前記プロセッサに含まれる光源から発せられた光を前記複数の内視鏡取り付け部のそれぞれの方向に分配する、少なくとも1つの光学要素と、
を含む、内視鏡システム。
このようにすることにより、各内視鏡装置に対応して光源装置を設ける必要がなくなり、内視鏡システムの規模を小さくすることが可能となる。
【0065】
(6)特定事項6
特定事項5において、
前記少なくとも1つの光学要素は、複数の波長帯域の光のそれぞれに対する光の透過率および光の反射率で規定される分光分布波長特性を有する、内視鏡システム。
このようにすることにより、プロセッサの光源から出力する光の種類および強度を制御すれば、様々な観察機能(例えば、白色光観察モード、狭帯域光観察モード、酸素飽和度観察モード、近赤外光免疫療法モード、およびICG観察モード)を実現することができる。また、分光分布波長特性を変更すればさらに別の態様の観察機能を簡単に実現することができる。
【0066】
(7)特定事項7
特定事項5または6において、
前記光学要素は、ハーフミラーおよびダイクロイックミラーのうち少なくとも1つを含む、内視鏡システム。
【0067】
(8)特定事項8
特定事項5または6において、
前記光学要素は、クロスプリズムによって構成される、内視鏡システム。
【0068】
(9)特定事項9
特定事項6において、
前記プロセッサは、
複数種類の波長帯域の光を発する光源と、
前記プロセッサにおける動作を制御するための指示が入力される操作部と、
前記操作部から入力された指示に応答して、前記光源から発生される光の強度を制御する制御部と、を含み、
前記指示は、所望の観察機能に対応した、波長帯域の光の種類と各波長帯域の光の強度を示しており、
前記制御部は、前記指示に応答して、指定された波長帯域の光を指定された強度で発するように前記光源を制御する、内視鏡システム。
このように、光源に対する制御はオペレータによる指示入力に基づいて行われるため、オペレータが望む観察モードを実現することが可能な分光分布波長特性を光分配コネクタ(追加コネクタ(分配器))に持たせることにより、容易に当該観察モードを実現することができる。また、同一の光分配コネクタによって別の観察モードが実現できない場合には、別の分光分布波長特性を有する光分配コネクタに変更すれば容易に当該別の観察モードを実現することができる。
【0069】
(10)特定事項10
特定事項9において、
前記光分配コネクタは、入射した光を3方向に分配して出力する光学素子を含み、
前記光学要素の分光分布波長特性は、B1光、G1光、およびR1光を所定の割合だけ第1の方向に透過させ、UV光、B2光、G2光、およびR2光を前記第1の方向には透過せず、UV光、B1光、B2光、G1光、G2光、R1光、およびR2光を所定の割合だけ第2および第3の方向のそれぞれに反射させるように設定された特性である、内視鏡システム。
【0070】
(11)特定事項11
特定事項10において、
前記所望の観察機能が白色光観察モードである場合、前記制御部は、前記指示に応答して、所定の強度のUV光、B1光、B2光、G1光、G2光、およびR1光を出力するように前記光源を制御する、内視鏡システム。
【0071】
(12)特定事項12
特定事項10において、
前記所望の観察機能が狭帯域光観察モードである場合、前記制御部は、前記指示に応答して、所定の強度のUV光およびG2光のみを出力するように前記光源を制御する、内視鏡システム。
【0072】
(13)特定事項13
特定事項10において、
前記所望の観察機能が酸素飽和度観察モードである場合、前記制御部は、前記指示に応答して、所定の強度のB1光、G1光、およびR1光で構成される第1光群と、所定の強度のUV光、B2光、およびG2光で構成される第2光群とを、交互に切り替えながら出力するように前記光源を制御する、内視鏡システム。
【0073】
(14)特定事項14
特定事項10において、
前記所望の観察機能が近赤外免疫療法モードである場合、前記制御部は、前記指示に応答して、所定の強度のR1光のみを出力するように前記光源を制御する、内視鏡システム。
【0074】
(15)特定事項15
特定事項10において、
前記所望の観察機能がICG観察モードである場合、前記制御部は、前記指示に応答して、所定の強度のR2光のみを出力するように前記光源を制御する、内視鏡システム。
特定事項11から15に示される観察モードは単なる例示であり、本実施形態による光分配コネクタは本実施形態に列挙した観察モード以外のモードにも用いることが可能である。