特許第6987729号(P6987729)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987729
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】開閉体のロック装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 83/30 20140101AFI20211220BHJP
   E05C 21/00 20060101ALI20211220BHJP
   B60R 7/06 20060101ALN20211220BHJP
【FI】
   E05B83/30 Z
   E05C21/00 A
   !B60R7/06 G
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-191493(P2018-191493)
(22)【出願日】2018年10月10日
(65)【公開番号】特開2020-60027(P2020-60027A)
(43)【公開日】2020年4月16日
【審査請求日】2020年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100088708
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】小島 亘
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/030531(WO,A1)
【文献】 特開2015−155629(JP,A)
【文献】 特開2015−158115(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/019571(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0340942(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00−85/28
E05C 1/00−21/02
B60R 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉体を固定本体に係脱する場合に用いられて、ハウジングと、前記ハウジングに対し出没方向へ摺動して前記固定本体の開口部に対する前記開閉体の閉状態を保つ係止位置と係止解除位置に切り換えられるロッドと、前記ロッドを係止位置から付勢力に抗した摺動により係止解除位置に切換可能な操作部材と、前記ロッドと前記操作部材の間に介在された作動部材と、前記ロッドの係止位置で前記操作部材の動きを規制可能にするキーシリンダとを備えたロック装置において、
前記キーシリンダは、キー穴と反対側に設けられて一体的に回動される回動部材を有し、前記回動部材に形成されたストッパ部により前記作動部材を可動不能にして前記操作部材の動きを規制するロック状態と、前記操作部材の動きを許容するロック解除状態に切り換える
また、前記回動部材は、前記ストッパ部と共に可撓爪を形成しており、前記キーシリンダが前記ロッドの係止位置で回転操作されると、前記ストッパ部が前記作動部材に設けられた被係合部に係合することにより前記ロック状態に切り換えられ、かつ、その切り換え時に前記可撓爪が前記ハウジングに設けられた凹凸部に摺接して節度感を伴うことを特徴とする開閉体のロック装置。
【請求項2】
開閉体を固定本体に係脱する場合に用いられて、ハウジングと、前記ハウジングに対し出没方向へ摺動して前記固定本体の開口部に対する前記開閉体の閉状態を保つ係止位置と係止解除位置に切り換えられるロッドと、前記ロッドを係止位置から付勢力に抗した摺動により係止解除位置に切換可能な操作部材と、前記ロッドと前記操作部材の間に介在された作動部材と、前記ロッドの係止位置で前記操作部材の動きを規制可能にするキーシリンダとを備えたロック装置において、
前記キーシリンダは、キー穴と反対側に設けられて一体的に回動される回動部材を有し、前記回動部材に形成されたストッパ部により前記作動部材を可動不能にして前記操作部材の動きを規制するロック状態と、前記操作部材の動きを許容するロック解除状態に切り換える、
また、前記回動部材は、前記キーシリンダの本体に対し着脱可能に装着されていることを特徴とする開閉体のロック装置。
【請求項3】
前記回動部材は、前記ストッパ部を2つ有し、一方のストッパ部が前記被係合部に係合したときに、他方のストッパ部が前記ハウジングに設けられた当接面に当接して回転規制することを特徴とする請求項1に記載の開閉体のロック装置。
【請求項4】
前記回動部材は、下面に突設した脚片を有し、前記脚片が前記ハウジングに設けられたガイド溝に抜け止め可能、かつ所定角だけ回動可能に嵌合されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の開閉体のロック装置。
【請求項5】
前記キーシリンダは前記ストッパ部を前記被係合部に係合したロック状態、及び前記ストッパ部を前記被係合部より所定角離間したロック解除状態に切り換えられ、
前記凹凸部は前記ハウジングの2カ所に設けられており、
前記可撓爪は前記キーシリンダが回転操作されて前記ロック状態に至る直前に前記凹凸部の一方に摺接し、及び前記ロック解除状態に至る直前に前記凹凸部の他方に摺接してそれぞれ節度感を伴うようにすることを特徴とする請求項1に記載の開閉体のロック装置。
【請求項6】
前記作動部材は、前記ロッドの動きを制御するガイド溝を形成している主縦板と、前記主縦板に一体化されてばね部材により上昇方向へ付勢される水平板とを有していると共に、前記被係合部を前記主縦板に突設していることを特徴とする請求項1又は5に記載の開閉体のロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉体を固定本体に係脱するロック装置のうち、キーシリンダにより操作部材の動きを規制するロック状態と操作部材の動きを許容するロック解除状態とに切り換える構成に好適な開閉体のロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図14及び図15は特許文献1に開示のロック装置を示し、図14(a)はロック装置と開閉体及び固定本体との関係を示し、(b)はロック装置を正面側より見た図、図15(a)はロック装置を分解した図、(b)はロック装置を背面側より見た図である。同図のロック装置10は、開閉体7を固定本体1に係脱する場合に用いられて、ハウジング20と、ハウジング20に対し出没方向へ摺動して固定本体の開口部2に対する開閉体7の閉状態を保つ係止位置と係止解除位置に切り換えられるロッド70,80と、各ロッド70,80を係止位置から付勢力に抗した摺動により係止解除位置に切換可能な操作部材40と、両ロッド70,80と操作部材40の間に介在された作動部材である第1ロータ50及び第2ロータ60と、各ロッド70,80の係止位置で操作部材40の動きを規制可能にするキーシリンダ90及びストッパ95とを備えている。
【0003】
また、第1ロータ50及び第2ロータ60は、ハウジング20の回転軸33に枢支されて、コイルばね15の付勢力により対応するロッド70,80がハウジング20から突出する方向へ移動されるようにする。キーシリンダ90は、図示しないキーの回転操作により回転する回転体92と、回転体92の背面側より突設したキー突起93(不図示)を有している。また、ストッパ95は、移動孔96a付きの基部96及び突片97を有している。そして、突片97は、キー操作によりキーシリンダ側のキー突起93が移動孔96a内で移動することで、ストッパ95がハウジングのシリンダ配置部23に設けられたストッパ差込孔23a内にて横方向へ移動して、突片97がガイド筒31の後開口を覆って操作部材40のガイド用ボス47を押し込み不能に規制する。キーを反対側に戻すことにより押し込み規制が解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−158115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記ロック装置において、キーシリンダは、ロック解除状態から、回転体をキー操作により回転すると、ストッパが操作部材のガイド用ボス側へ移動されて操作部材の動きを規制するロック状態に切り換えられる。このような構造では、ストッパを横移動するスペースが必要となるためコンパクト化を図り難い。また、作動部材がロッドと操作部材の間に介在される2つのロータで構成されるため複雑でコンパクト化も擬制になり易い。更に、キーシリンダとしては、例えば、回転体が回転されてストッパが規制位置に移動したか否か感覚的に分からず使い勝手も悪い。
【0006】
本発明の目的は、以上のような課題を解消して、キーシリンダにより操作部材の動きを規制するロック状態と動きを許容するロック解除状態との切換構造を簡略化したり、スペース効率に優れるようにする。加えて、キーシリンダのロック状態とロック解除状態の切換完了が感覚的に分かるようにして使い勝手を向上する。他の目的は以下の内容説明のなかで明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため請求項1の本発明は、図面を参照して特定すると、開閉体を固定本体に係脱する場合に用いられて、ハウジング1と、前記ハウジングに対し出没方向へ摺動して前記固定本体の開口部に対する前記開閉体の閉状態を保つ係止位置と係止解除位置に切り換えられるロッド(4A及び/又は4B)と、前記ロッドを係止位置から付勢力に抗した摺動により係止解除位置に切換可能な操作部材2と、前記ロッドと前記操作部材の間に介在された作動部材3と、前記ロッドの係止位置で前記操作部材の動きを規制可能にするキーシリンダ6とを備えたロック装置において、前記キーシリンダは、キー穴と反対側に設けられて一体的に回動される回動部材63を有し、前記回動部材に形成されたストッパ部65により前記作動部材を可動不能にして前記操作部材の動きを規制するロック状態と、前記操作部材の動きを許容するロック解除状態に切り換える、また、前記回動部材63は、前記ストッパ部65と共に可撓爪67aを形成しており、前記キーシリンダ6が前記ロッドの係止位置で回転操作されると、前記ストッパ部が前記作動部材3に設けられた被係合部38に係合することにより前記ロック状態に切り換えられ、かつ、その切り換え時に前記可撓爪が前記ハウジングに設けられた凹凸部18bに摺接して節度感を伴うことを特徴としている。なお、前記凹凸部は、原理的に非平面になっていることであり、具体的に断面凹凸状、断面波状、断面鋸状などの形状を含む広義な意味で使用している。また、節度感は、可撓爪が凹凸部を摺接することで発するクリック音ないしはそのクリック音で認識される感覚のことである。
【0008】
また、請求項2の本発明は、開閉体を固定本体に係脱する場合に用いられて、ハウジング1と、前記ハウジングに対し出没方向へ摺動して前記固定本体の開口部に対する前記開閉体の閉状態を保つ係止位置と係止解除位置に切り換えられるロッド(4A及び/又は4B)と、前記ロッドを係止位置から付勢力に抗した摺動により係止解除位置に切換可能な操作部材2と、前記ロッドと前記操作部材の間に介在された作動部材3と、前記ロッドの係止位置で前記操作部材の動きを規制可能にするキーシリンダ6とを備えたロック装置において、前記キーシリンダは、キー穴と反対側に設けられて一体的に回動される回動部材63を有し、前記回動部材に形成されたストッパ部65により前記作動部材を可動不能にして前記操作部材の動きを規制するロック状態と、前記操作部材の動きを許容するロック解除状態に切り換える、また、前記回動部材63は、前記キーシリンダ6に対し着脱可能に装着されていることを特徴としている。 なお、請求項1の回動部材は、キーシリンダに一体に形成される構成と、形態例のごとくキーシリンダに後付けされる構成を含んでいる。
【0009】
ここで、『開閉体』及び『固定本体』としては、例えば、開閉体が蓋類であれば固定本体の開口部がその蓋類で開閉されたり覆われる各種筺体などであり、開閉体が文献1のグローブボックス類であれば固定本体がそのグローブボックス類を配設している各種パネルなどである。以上の点は特許文献1の考え方と同じ。なお、開閉体としては固定本体に対し規則的に動くものであればよい。
【0010】
以上の本発明は、請求項3〜6で特定したように具体化されることがより好ましい。
(1)、前記回動部材63は、前記ストッパ部65を2つ有し、一方のストッパ部が前記被係合部38に係合したときに、他方のストッパ部が前記ハウジングに設けられた当接面17dに当接して回転規制する構成である(請求項3)
(2)、前記回動部材63は、下面に突設した脚片68を有し、前記脚片が前記ハウジングに設けられたガイド溝18aに抜け止め可能、かつ所定角だけ回動可能に嵌合されている構成である(請求項)。
【0011】
(3)、前記キーシリンダ6は前記ストッパ部65を前記被係合部38に係合したロック状態、及び前記ストッパ部を前記被係合部より所定角離間したロック解除状態に切り換えられ、前記凹凸部18bは前記ハウジングの2カ所に設けられており、前記可撓爪67aは前記キーシリンダが回転操作されて前記ロック状態に至る直前に前記凹凸部の一方に摺接し、及び前記ロック解除状態に至る直前に前記凹凸部の他方に摺接してそれぞれ節度感を伴うようにする構成である(請求項5)
(4)、前記作動部材3は、前記ロッドの動きを制御するガイド溝(35及び/又は36)を形成している主縦板30と、前記主縦板に一体化されてばね部材S1により上昇方向へ付勢される水平板31とを有していると共に、前記被係合部38を前記主縦板に突設している構成である(請求項6)
【発明の効果】
【0012】
請求項1と2の各発明では、キーシリンダが一体的に回動される回動部材を有し、回動部材に形成されたストッパ部により作動部材を可動不能にして操作部材の動きを規制するロック状態と、操作部材の動きを許容するロック解除状態に切り換える。このため、ストッパ部としては、配置スペースが文献1のストッパに比べキーシリンダの外径相当に抑えられ、スペース効率がよくコンパクト化を図り易く、また、ストッパ部を形成している回動部材がキーシリンダと一体に回動されることから、簡易であり切換作動を安定に維持できる。
【0013】
また、請求項1の発明では、回動部材がストッパ部と共に可撓爪を有し、キーシリンダがロッドの係止位置で回転操作されると、ストッパ部が作動部材の被係合部に係合することで操作部材の動きを規制したロック状態に切り換えられる。その際、可撓爪がハウジングの凹凸部に摺接して節度感を伴うため、操作者は切換完了を感知できため使い勝手を向上でき高級感も得られる。
【0014】
また、請求項2の発明では回動部材がキーシリンダに後付けされる。この利点としては、形態例のごとく回動部材を樹脂成形体で作成し、脚片を追加することでハウジングに安定配置可能にしたり、請求項2の可撓爪を追加し易くなる。また、キーシリンダの回動方向を逆にする場合、図1図9の構成と、図10図13の変形例との対比から明かなごとく回動部材及びハウジングのキーシリンダ配置部の形状を若干変更するだけで対処できる。
【0015】
請求項3の発明では、例えば、一方のストッパ部が被係合部に係合したときに、他方のストッパ部がハウジングの当接面に当接して回転規制するため、良好な切換作動を確実に得られる。
【0016】
請求項4の発明では、回動部材が脚片を有し、脚片がハウジングのガイド溝に抜け止め可能、かつ所定角だけ回動可能に嵌合されているため、キーシリンダがハウジングに対して安定保持され、良好な回動作動をより確実に維持できる。
【0017】
請求項5の発明では、凹凸部がハウジングの2カ所に設けられており、キーシリンダが回転操作されてロック状態に至る直前に一方の凹凸部を摺接する可撓爪により節度感を伴う、かつ、ロック解除状態に至る直前に他方の凹凸部を摺接する可撓爪によっても節度感を伴う。このため、各節度感により使い勝手を向上し、高級感も得られる。
【0018】
請求項6の発明では、作動部材が特許文献1のロータ構造と比べ、簡易でコンパクト化も図り易い。また、作動部材が主縦板に被係合部を設けて回動部材のストッパ部により動きを規制するという簡明な構成も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)は本発明形態のロック装置を開閉体が固定本体に係止された態様で示す模式図、(b)は前記係止を解除して開閉体を開状態に切り換えるときの態様で示す模式図である。
図2】(a)は図1のA−A線拡大断面図、(b)は図1のB−B線拡大断面図である。
図3】上記ロック装置の構成として、(a)は図1のX部を拡大し、かつボタンのカバーを省くと共にキーシリンダを単独で装着した態様で示す図、(b)は(a)のC−C線模式断面図、(c)は(a)のD−D線模式断面図である。
図4】上記ロック装置の構成として、(a)は図1(a)のロック解除状態からロック状態に切り換え、かつ操作部材であるボタンのカバーを省いた態様で示す図、(b)は(a)のC1−C1線模式断面図、(c)は(a)のD1−D1線模式断面図である。
図5】上記ロック装置の構成部材を示す概略分解斜視図である。
図6】(a)は上記ロック装置のハウジング単品を示す上面図、(b)はハウジングの回動部材受け面周辺部の拡大図である。
図7】上記ロック装置の各ロッドを連動させるための機構部材を示す説明図である。
図8】上記ロック装置のキーシリンダ構成を示し、(a)は本体と回動部材を分離した分解図、(b)は本体と回動部材を連結した図である。
図9】上記キーシリンダの回動部材単品を示し、(a)は上面図、(b)は(a)のX方向から見た図、(c)は(a)のZ方向から見た図である。
図10】上記ロック装置の変形例を示し、(a)は図1(a)に対しキーシリンダ配置部に回動部材のみ装着した態様で示す図、(b)は(a)のA1−A1線拡大断面図である。
図11】(a)は図10のロック装置をロック状態に切り換えた態様で示す図、(b)は(a)のA2−A2線拡大断面図である。
図12】(a)は上記変形例のロック装置を構成しているハウジングを図6との対比で示す図、(b)はハウジングの回動部材受け面周辺の拡大図である。
図13】上記変形例のキーシリンダを図8(a)との対比で示す図である。
図14】特許文献1のロック装置を示し、(a)及び(b)は同文献の図1図9を示している。
図15】(a)及び(b)は特許文献1の図7図8を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の形態例について添付した図面を参照しながら説明する。この説明では、ロック装置の構造、作動、変形例の順に詳述する。
【0021】
(ロック装置の構造)形態例のロック装置9は、図1図9に示されるごとく、開閉体を固定本体に係脱する場合に用いられて、略容器状のハウジング1と、ハウジング1に対し出没方向へ摺動して固定本体の開口部に対する開閉体の閉状態を保つ係止位置と係止解除位置に切り換えられるロッド4A,4B(4)と、ロッド4A,4Bを係止位置からばね部材S1の付勢力に抗した摺動により係止解除位置に切換可能な操作部材であるボタン2と、ロッド4A,4Bとボタン2の間に介在された作動部材であるリンク3と、リンク3とロッド4Bの間に介在されたスライダ5と、ハウジング1とロッド4Aの間に介在されたばね部材S2と、ロッド4Bを支持するベース55と、ロッド4Bとベース55の間に介在されたばね部材S3と、ロッド4A,4Bの係止位置でボタン2の動きを規制可能にするキーシリンダ6と、ハウジング1に取り付けられてキーシリンダ6との間の隙間を覆うカバー7とを備えている。
【0022】
まず、図1図10及び図11において、符号80は固定本体側の取付部である。この取付部80には、例えば、固定本体の開口部を挟んだ両縁部に設けられて、ロッド4Aの先端部41と係脱する係止穴81と、ロッド4Bの先端部44と係脱する係止穴81とが設けられている。なお、ロック装置9の構成部材のうち、ハウジンク1、ボタン2、リンク3、ロッド4、スライダ5、カバー7、ベース55、回動部材63などが樹脂製であり、キーシリンダ6の本体60及びばね部材S1〜S3が金属製である。但し、各部材は材質的に制約されない。
【0023】
ハウジング1は、図5図7に示されるごとく、全体が横又は左右に長い略容器状であり、ボタン配置部10とキーシリンダ配置部15とを左右に区画形成している。また、ボタン配置部10の外側には、ロッド4Aの基端側をボタン配置部10内に挿入するロッド導入部14が取付部1aと並設されている。キーシリンダ配置部15の外側壁には、取付部1aと、ロッド4Bの基端42を挿入するロッド導入部19と、基端42に軸49により連結されるスライダ5を挿入するスライダ導入部19aとが並設されている。各導入部14,19,19aはトンネル状の導入孔を区画している。導入部14と導入部19の導入孔は同軸線上から若干ずれている。導入部19aは導入部19の隣つまり幅方向に並んでいる。また、導入部19aは、外側壁の一部が窓状に開口10bされて導入孔を露出している。そして、この構造では、開口10bを利用して導入部19と導入部19aを仕切っている境界壁部に軸49と摺動自在に嵌合する不図示のガイド溝が設けられている。
【0024】
ボタン配置部10及びキーシリンダ配置部15は上側が連通されている。ボタン配置部10には、ダンパ8を収容する空間11及び空間11を区画している外側壁に設けられてダンパ8を外側から嵌合する嵌合穴10a(図5を参照)と、リンク3の主縦板30を摺動可能に収容する溝部13と、後述するボタン用支持体30の両側の脚片23及び中央の支柱22並びにガイド用片部25a,25bを摺動可能に収容する左右の空間12a及び筒部12並びに穴部11aと、各空間12内に突設した係止爪12bと、ロッド導入部14の孔に連結されてロッド4Aの基端側を摺動可能に受け入れる溝部14aと、溝部14aに設けられたばね用支持軸14bとが設けられている。このうち、溝部13は、ロッド導入部14側からキーシリンダ配置部15まで直線に延びた横溝13a,13b,13cと、横溝13bの中間部から垂直ないしは幅方向に延びた縦溝13dとからなる。横溝13cには、略中間から垂直ないしは幅方向に欠肉された逃溝13eが設けられている。横溝13a,13c、逃溝13eは貫通形成されている。また、溝部13を区画している外側壁には、横溝10e及び横溝10dが間隔を保って同軸線上に貫通形成されている。横溝10dは、前記外側壁の凹所10cに設けられている。そして、凹所10cには、導入部19aの導入孔から挿入されるスライダの本体50の対応端側を収まる。
【0025】
キーシリンダ配置部15には、上側段差部16と、上側段差部16の中央部を深く窪ませた略円筒状の内側段差部17と、内側段差部17の左右に設けられてカバー7の左右の係止片74を受け入れる穴17a及び該穴17a内に突設した係止爪17bと、内側段差部17の内周面に設けられた突起部17c、17jと、突起部17cの周方向両端面である当接面17d,17eと、突起部17jの周方向で時計回りの端面である当接面17kと、突起部17cと間隔を保って設けられて突起部17cと同じく上面にキーシリンダの本体60を受け止める突起部17f、17gと、内側段差部17の底面中央部を浅く窪ませた回動部材受け面18と、回動部材受け面18に円弧状に貫通形成された一対の回動部材用嵌合穴18aと、内側段差部17の底面にあって回動部材受け面18の外周の一部分に沿って若干浅く形成された円弧状の摺接面18c及び摺接面18cの両端である2箇所の凹凸部18bとが設けられている。
【0026】
ボタン2は、図5及び図7に示されるごとく、ボタン配置部10に対し上下ないしは昇降可能に配置される支持体20と、支持体20に装着されて支持体の上側を覆うカバー28とからなる。支持体20は、平板部21と、平板部21の下面中央に突設されて筒部12に余裕を持って挿入される支柱22と、平板部21の両側に下設されてガイド溝24を区画して対応する空間12aに差し込まれる一対の脚片23,23と、平板部21の左側角部に突設されて穴部11aに差し込まれるガイド用片部25a,25bと、平板部21の下面に突設されて片部25aとほぼ連続している壁部25cと、壁部25cの端面に設けられた鋸状のラック26と、平板部21の両側端面に設けられた係止爪27とを有している。
【0027】
カバー28は、平板部21を覆う大きさの矩形状をなし、下面両側に突設されて係合穴29aを形成している片29を有している。そして、カバー28は、支持体20に対し各係合穴29aと係止爪27との係合により装着される。ボタン2は、支持体20にカバー28を装着した状態で、ハウジング1に対しリンク3及びばね部材S1を配置した後に組み込まれる。その場合、ボタン2は、片部25a,25bが穴部11aの対応部に嵌合されると共に、各脚片23が対応する空間12aに差し込まれた状態で係止爪12bがガイド溝24に嵌合する。これにより、ボタン2は、ハウジング1に対しガイド溝24の長さ分だけ摺動自在に組み立てられ、ガイド溝24に嵌合している係止爪12bにより抜け止めされる。
【0028】
また、この構造では、ダンパ8が嵌合穴10aに装着された状態で空間11内でラック26と噛み合う。すなわち、ダンパ8は、本体8a及びギア8b並びに係止片8cなどを有し、嵌合穴10aに対し係止片8cを介して取り付けられる。このダンパ8は、周知のロータリー式オイルダンパ等からなり、ギア8bが作動油の抵抗を受けている不図示の出力軸に装着されている。取付状態では、ギア8aが支持体20に設けられたラック26と噛み合っている。そして、ダンパ8は、ボタン2がばね部材S1の付勢力に抗してリンク3と共にハウジング底面側に押し操作されたり、その押圧力を解放して蓄積された付勢力によりハウジング上側へ摺動される過程で、リンク3を介して緩やかに摺動されるようにする。
【0029】
リンク3は溝部13に摺動自在に嵌合される。詳述すると、リンク3は、横溝13a,13b,13c及び逃溝13eに嵌合する主縦板30と、主縦板30の上端面部分に連結された水平板31と、水平板31に下設されて溝部13dに嵌合する副縦板32とからなる。主縦板30には、左右端に設けられて横溝13a,13cの対応部に嵌合する被係合部34,33と、ロッド4A,4Bに作動連結するハ字形のガイド溝35,36とが設けられている。加えて、主縦板30には、図3(c)のごとく内面側にあって、上下に延びる縦リブ37及びその縦リブ37の下側に突設された被係合部38が設けられている。これに対し、水平板31には支柱挿通用の貫通孔31aが設けられている。
【0030】
ロッド4は異形状のロッド4A,4Bからなる。つまり、ロッド4Aは、ロッド4Bに比べ短く形成されており、基端40に設けられた軸孔40a、及び取付部側の係止穴80aと係脱する先端部41を有している。一方、ロッド4Bは、図5のごとくなって基端42に設けられた軸孔42a、及び取付部側の係止穴80aと係脱する先端部44、並びに基端42と先端部44との間のロッド部分43に設けられた規制鍔45及びそれより先端側に設けられた掛止片46を有している。
【0031】
以上のロッド4Aは、ハウジング1に対し、基端40がロッド導入部14の導入孔より溝部14aに挿入される。その際、ロッド4Aは、支持軸14bに挿入支持されたばね部材S2の対応端側を基端40の端面に設けられた凹部又は凸部に嵌合し、その状態で軸47が横溝10eより主縦板のガイド溝35、更に軸孔40aに係合すると共に、筒部12と空間12aの間に設けられた不図示のガイド溝に嵌合することでガイド溝35に沿って摺動可能に組み付けられる。すなわち、この構造では、ロッド4Aがばね部材S2の付勢力でハウジング1内から突出する方向に摺動されており、ボタン2がリンク側主縦板30及びばね部材S1の付勢力に抗して押されると、軸47がガイド溝35に案内作用により横溝10e内でロッド導入部14側より横溝10d側へ動いて、ロッド4Aをハウジング1内に没する方向へ動かす。
【0032】
これに対し、ロッド4Bは、基端40に軸49により連結されるスライダ5と、ハウジング1から突出する方向へ付勢するためベース55及びばね部材S3とを有している。スライダ5は、本体50と、本体50の一端側に設けられた軸孔53と、本体50の他端側に一体化された厚肉部51と、厚肉部51に設けられた軸孔54と、厚肉部51の外面と面一に延長された薄肉部52とからなる。そして、ロッド4Bは、ハウジング1に対し、基端42がロッド導入部19の導入孔に挿入され、スライダ5が本体50をロッド導入部19aの導入孔から凹所10cへ挿入される。スライダ5は、軸48が軸孔53から横溝10d、主縦板のガイド溝36、更にキーシリンダ配置部15内の不図示のガイド溝に嵌合した状態に組み付けられる。また、スライダ5及びロッド4Bは、軸49が軸孔54から上記した不図示のガイド溝を通ってロッドの軸孔42a、更にその奥に設けられた不図示のガイド溝に嵌合されることにより一体に摺動自在に連結される。
【0033】
ベース55は支持部56及び左右の取付部57,57からなる。支持部56には、ロッド4Bの先端側を左右に挿通する貫通孔58と、ばね部材S3を支持する軸部59と、掛止部59aとが設けられている。そして、ロッド4Bは、図1に示されるごとく、先端側が貫通孔58に挿入されると共に、ばね部材S3の不勢力により突出方向へ付勢される。すなわち、ばね部材S3は、トーションばねないしは捻りコイルであり、軸部59に支持された状態で、一端aが支持部56に設けられた掛止部59aに係止され、他端bがロッドに設けられた掛止片46に係止される。そして、この構造では、ロッド4Bがボタン2及びリンク3などを介してハウジング1内に没する方向へ移動されるときにばね部材S3が付勢力を蓄積し、ボタン2に対する押圧を解放すると、ロッド4Bが蓄積された付勢力によりハウジング1内から突出する方向へ移動される。
【0034】
一方、キーシリンダ6は、キー穴61を上端面に形成している本体60と、本体60の下側に設けられて一体的に回動される回動部材63とからなる。本体60は、細部を省略して模式的に示したが、回動部材63及び回動部材63との連結構造つまり本体60の下端面に突設した凸部62の構成を除いて特許文献1などの公知のキーシリンダの回転体と同じ。このような本体60は、回動部材63を連結した状態でキーシリンダ配置部15の略筒状の内側段差部17に嵌合されると共に、カバー7等を介して抜け止めされる。この場合、本体60は、下側周囲に突出された不図示の円弧状突片を有し、該突片がキー操作により内蔵のスプリングの負荷により作動する。このため、内側段差部17のうち、前記突片と圧接する内周壁部分は特に剛体部として形成されている。
【0035】
回動部材63は、円盤部64と、円盤部64の周囲にあって対向して突出された2つのストッパ部65,65及び単一の揺動片67と、上面に設けられて本体の凸部62と係合する凹部66と、下面に突設された一対の脚片68とを一体に形成している。円盤部64は、本体60の下側外径と概略同径に形成されている。各ストッパ部65は、上記リンクの被係合部38を受け止め可能な大きさの略矩状となっており、一方のストッパ部65が図4(c)のごとく被係合部38の下面に係合したときに、他方のストッパ部65が同(a)のごとく内側段差部17に設けられた突起部17cのうち逆時計回り方向にある当接面17dに当接して回転規制する。なお、この当接面17dは、奥側に突出した小さな凸を有し、ストッパ部65がその凸に当たるようになっている。
【0036】
揺動片67は、ストッパ部65同士の間に設けられて、ストッパ部65よりも薄肉で弾性変位可能となっており、下面先端側に突出された可撓爪67aを有している。すなわち、キーシリンダ6は、図4のごとくストッパ部65を被係合部38に係合したロック状態(この状態では一方のストッパ部65が当接面17dに当接し、他方のストッパ部65が突起部17fの当接面17kに当接することで回り止めされる)と、図3のごとくストッパ部65を被係合部38より所定角離間したロック解除状態(このときは一方のストッパ部65が当接面17eに当接することで回り止めされる)に切り換えられる。また、その際、可撓爪67aは、キーシリンダ6がキー操作により回転されてロック状態に至る直前に段差18cに設けられた両凹凸部18bの一方に沿って摺接する。また、可撓爪67aは、ロック解除状態に至る直前に凹凸部18bの他方に沿って摺接する。これにより、この構造では、可撓爪67aが凹凸部18bを摺接する際のクリック音を伴い、これにより節度感により使い勝手を向上できる。
【0037】
回動部材63は、単独又は本体60と連結されたキーシリンダ6の態様で、各脚片68が回動部材受け面18に設けられた対応するガイド溝18aに抜け止め可能、かつ所定角つまりこの例では90度だけ回動可能に嵌合される。このため、この構造では、回動部材63やキーシリンダ6がハウジング1に対して安定保持され、良好な回動作動が維持される。また、この構造では、キーシリンダ配置部15には、キーシリンダ6と共にカバー7が組付けられる。このカバー7は、図1のごとくキーシリンダ配置部15に取り付けられて、上段段差部16と本体60の間を目視不能に覆う部材である。この例では、上面に本体10を挿入する円形孔71を形成していると共に、両側に突設されて係合穴74aを形成している片74を有している。そして、カバー7は、例えば、キーシリンダ6が内側段差部17内と共に回動部材受け面18に位置決めされた状態から、上段段差部16側に対し、各係合穴74aを対応する係止爪17bに係合することにより装着される。
【0038】
なお、図5において、符号75はカバー7に類似のカバーを示している。つまり、このカバー75は、カバー7に比べて円形孔71を欠如しているが、それ以外はほぼ同じである。このようなカバー75は、ロック装置として、例えばキーシリンダ6を省略するような構造に用いられる。
【0039】
(作動)以下、以上のように作製されたロック装置9の主な作動特徴について言及する。
(1)、図1図2及び図3は以上のロック装置9において、キーシリンダ6がボタン2の操作を許容するロック解除状態とされ、開閉体で固定本体の開口部を覆っている開閉体の閉状態を示している。この閉状態では、ボタン2及びリンク3がばね部材S1の付勢力で上昇されてボタン配置部10をボタン2で覆っている。ロッド4のうち、ロッド4Aは、ばね部材S2の付勢力によりハウジング1から突出する方向へ摺動されて、先端部41を固定本体側取付部80の係止穴81に係合している。ロッド4Bは、ばね部材S3の付勢力によりハウジング1から突出する方向へ摺動されて、先端部44を固定本体側取付部80の係止穴81に係合している。
【0040】
(2)、図1(b)は開閉体が固定本体の開口部を閉じた閉状態から、開口部を開放する開状態に切り換える操作を示している。すなわち、この場合、操作者は、例えば指Fによりボタン2をばね部材S1の付勢力に抗して押圧操作する。すると、この構造では、リンク3がボタン2と共にハウジング1の内底面方向に押し下げられ、それと連動して各ロッド4A,4Bがリンク3のガイド溝35,36及び軸47,48等の作動によりばね部材S2,S3の付勢力に抗してハウジング1内の没方向に移動し、先端部41,44が対応する係止穴81から係合解除される。このため、操作者は、図1(b)の状態から開閉体を全開方向へ回動操作することができる。
【0041】
(3)、ところで、この構造では、ボタン2に対する押圧を開放すると、リンク3及びボタン2がばね部材S1の付勢力により元の状態まで上昇される。そして、この上昇過程では、ボタン2の移動速度がダンパ8(リンクのラック26とギア8bの噛み合い)により制動されてゆっくり動くため、操作性に優れ、高級感が得られる。勿論、このダンパ8による制動は、リンク3及びボタン2がばね部材S1の付勢力に抗して押圧操作するときも同様に働く。
【0042】
(4)、開閉体を開状態から再び閉状態にする場合、通常は、ロッド4A,4Bがハウジング1内から突出した状態であっても、ロッド先端部41,44が固定本体の取付部80ないしは開閉体の取付部に当たりながら摺動する際に受ける応力により、ロッド4A,4Bがばね部材S2,S3の付勢力に抗してハウジング1内へ没方向に動いて対応する係止穴81に再び係合可能となる。
【0043】
(5)、図4はロック装置9として、キーシリンダ6をキー操作により90度回転し、ロック解除状態からロック状態に切り換えてボタン2の押操作を規制した状態を示している。この構造では、キーシリンダ6が図3のロック解除状態において、2つのストッパ部65のうち一方のストッパ部65が当接面17eに当接した状態で回り止めされ 、かつ、可撓爪67aが2つの凹凸部18bのうち突起部17jに近い側の凹凸部18bに嵌合されている。
【0044】
そして、この構造では、キーシリンダ6がキー操作により時計回りの方向に回転されてロック状態に至る直前に、可撓爪67aが突起部17fに近い側の凹凸部18bに沿って摺接するためクリック音を伴い、また、一方のストッパ部つまり揺動片67に近い側のストッパ部65が当接面17dに当たって回り止めする。同時に、図4(c)の揺動片67と大きく離れている側のストッパ部65が被係合部38の下面と係合する。その結果、リンク3及びボタン2は被係合部38がストッパ部65に規制されて下降つまり可動不能となる。可撓爪37aは、ロック状態からロック解除状態に切り換える場合、ロック解除状態に至る直前に突起部17jに近い側の凹凸部18bに沿って摺接するため、クリック音を伴い、これにより節度感により使い勝手を向上できる。
【0045】
(変形例)図10図1(a)に対応した図、図11図10のロック解除状態からロック状態に切り換えた図、図12図6に対応した図、図13図8(a)に対応した図である。この変形例では、キーシリンダ6をキー操作により回転してロック状態にしたり、ロック解除状態に切り換える操作として、上記形態のキー操作の回転方向と逆向きにする場合に好適な一例である。この説明では、上記形態と同じ部材や部位に同一符号を付して重複説明を省き、変更点だけを詳述する。
【0046】
まず、ハウジング1では、キーシリンダ配置部15が次のように形状変更されている。変形例のキーシリンダ配置部15は、図6図12の対比から分かるごとく形態例のものを左右反転した状態となっている。すなわち、この配置部15は、上側段差部16と、上側段差部16の中央部を深く窪ませた略円筒状の内側段差部17と、内側段差部17の左右に設けられてカバーの各係止片74を受け入れる穴17a及び該穴17a内に突設した係止爪17bと、内側段差部17の内周面に突設されたストッパ用突起部17c、17jと有し、また、突起部17cの周方向両端面であるストッパ用当接面17d,17eと、突起部17jの周方向で逆時計回りの端面であるストッパ用当接面17kと、突起部17cと間隔を保って設けられて突起部17cと同じく上面にキーシリンダの本体60を受け止める突起部17f、17gと、内側段差部17の底面中央部を浅く窪ませた回動部材受け面18と、回動部材受け面18に円弧状に貫通形成された一対の回動部材用嵌合穴18aと、内側段差部17の底面にあって回動部材受け面18の外周の一部分に沿って若干浅く形成された円弧状の摺接面18c及び摺接面18cの両端である2箇所の凹凸部18bとを有している。
【0047】
変形例のキーシリンダ6は、形態例に比べて本体60は同じであり、ストッパ部65の形状が左右反転されている。すなわち、図9回動部材63では、2つのストッパ部65のうち、弾性片67と近い側のストッパ部65が時計回りに位置している。これに対し、図13回動部材63では、2つのストッパ部65のうち、弾性片67と近い側のストッパ部65が逆時計回り方向に位置している点で変更されている。
【0048】
以上の変更により、この変形例では、例えば、キーシリンダ6が図10のロック解除状態からキー操作により逆時計回りの方向に回転されて図11のロック状態に至る直前に、可撓爪67aが突起部17fに近い側の凹凸部18bに沿って摺接するためクリック音を伴い、また、一方のストッパ部つまり揺動片67に近い側のストッパ部65が当接面17dに当たって回り止めする。同時に、図10(b)の揺動片67と大きく離れている側のストッパ部65が被係合部38の下面と係合する。その結果、リンク3及びボタン2は被係合部38がストッパ部65に規制されて下降ないしは可動不能となる。
【0049】
なお、本発明のロック装置は、請求項1又は2で特定される構成を備えておればよく、細部は以上の説明を参考にして変更したり展開可能なものである。その一例として、回動部材をキーシリンダに一体に形成したり、ダンパを省略して簡略化することである。


【符号の説明】
【0050】
1・・・・・ハウジング(10はボタン配置部、15はキーシリンダ配置部)
2・・・・・ボタン(操作部材:20は支持体、28はカバー)
3・・・・・リンク(作動部材:30は主縦板、31は水平板、32は副縦板)
4・・・・・ロッド(4Aは左側ロッド、4Bは右側ロッド)
5・・・・・スライダ(53,54は軸孔)
6・・・・・キーシリンダ(60は本体、62は凸部)
7・・・・・カバー(71は円形孔、74は連結片)
8・・・・・ダンパ(8aは本体、8bはギア、8cは係止片)
9・・・・・ロック装置
18・・・・回動部材受け面(18aは円弧孔、18bは凹凸部、18cは段差)
17・・・・内側段差部(17c,17fは突起部、17d,17eは当接面)
35・・・・ガイド溝
36・・・・ガイド溝
38・・・・被係合部
55・・・・ベース(56は支持部、57は取付部)
63・・・・回動部材(65はストッパ部、66は凹部)
67・・・・揺動片(67aは可撓爪)
80・・・・固定本体の取付部(81は係止穴)
S1・・・・ばね部材(付勢手段)
S2・・・・ばね部材(付勢手段)
S3・・・・ばね部材(付勢手段)
図1
図2
図3
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図10
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