(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987731
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】ビル用冷暖房システム
(51)【国際特許分類】
F24F 3/08 20060101AFI20211220BHJP
F24F 11/30 20180101ALI20211220BHJP
【FI】
F24F3/08
F24F11/30
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-203952(P2018-203952)
(22)【出願日】2018年10月30日
(65)【公開番号】特開2020-70950(P2020-70950A)
(43)【公開日】2020年5月7日
【審査請求日】2020年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小田根 昌弘
【審査官】
奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】
特開平01−169250(JP,A)
【文献】
特開平06−002891(JP,A)
【文献】
特開2005−069552(JP,A)
【文献】
実開平05−054921(JP,U)
【文献】
特開2005−140367(JP,A)
【文献】
特開2001−215037(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0193066(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/06−1/68、3/08、5/00
F24F 11/00−11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水冷式ビル用マルチエアコンと、
地域冷暖房の一定地域内にある他のビルからの地域冷暖房プラントへの還水と、前記水冷式ビル用マルチエアコンの熱源水と、を熱交換する熱交換器と、
前記ビルからの還水の温度を利用して前記水冷式ビル用マルチエアコンの熱源ユニットに供給する熱源水の温度を制御する制御手段と、
を有することを特徴とするビル用冷暖房システム。
【請求項2】
前記熱交換器は、
前記他のビルからの冷水の還水と、前記熱源ユニットに供給する冷水用の熱源水と、を熱交換する冷水用熱交換器と、
前記他のビルからの温水の還水と、前記熱源ユニットに供給する温水用の熱源水と、を熱交換する温水用熱交換器と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のビル用冷暖房システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記水冷式ビル用マルチエアコンから取得した冷暖房にかかる負荷情報に基づき前記熱源ユニットに供給する熱源水の流路を制御することを特徴とする請求項2に記載のビル用冷暖房システム。
【請求項4】
前記制御手段は、冷房負荷が暖房負荷より高い場合、前記冷水用熱交換器により熱交換された熱源水を前記熱源ユニットに供給するよう制御することを特徴とする請求項3に記載のビル用冷暖房システム。
【請求項5】
前記制御手段は、暖房負荷が冷房負荷より高い場合、前記温水用熱交換器により熱交換された熱源水を前記熱源ユニットに供給するよう制御することを特徴とする請求項3に記載のビル用冷暖房システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記熱源ユニットに供給する熱源水の温度に基づき前記水冷式ビル用マルチエアコンへの流量を制御することを特徴とする請求項1に記載のビル用冷暖房システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル用冷暖房システム、特に地域冷暖房の一定地域内にあるビルに適した冷暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、中大規模のビル向けにビル用マルチエアコンが普及している。1台の熱源ユニットでビル全体を空調する、大規模のビルに適したセントラル空調とは異なり、ビル用マルチエアコンは、例えばフロア毎に設置した熱源ユニット(室外機)に複数の室内機を接続し、室内機毎(部屋毎)に温度調節ができ、また冷房・暖房を自由に設定できることから快適性を向上できる。
【0003】
ところで、近年では、地域冷暖房が普及してきている。地域冷暖房は、一定地域内の多数のビルに熱供給設備(地域冷暖房プラント)から、冷水・温水・蒸気などの熱媒を、地域配管を通して供給し、冷房・暖房・給湯などを行うシステムである。つまり、地域冷暖房では、地域冷暖房プラントによって地域全体の熱源をまとめて製造し、供給するためセントラル空調が各ビルに採用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−42162号公報
【特許文献2】特開2006−266520号公報
【特許文献3】特開2005−140367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
地域冷暖房では、セントラル空調が採用されているため、地域冷暖房を導入したビルでは、部屋毎に冷房モードと暖房モードを切り替えることはできない。もちろん、地域冷暖房を導入せずにビル用マルチエアコンを単独で設置することは可能であるかもしれない。
【0006】
しかしながら、超大規模のビル、特に延床面積が10万平方メートルを超えるような超高層ビルでは顕著となるが、空冷式のビル用マルチエアコンを導入しようとすると、室外機の台数が1000台以上となり、室外機を屋上に設置できない場合がある。仮に物理的に設置できるとしても、室外機と室内機との高低差があるとマルチエアコンの仕様から実際には設置することはできない。
【0007】
また、各階のバルコニー等に室外機を設置する場合、上層階の室外機は下層階の室外機の排気熱の影響を受けて、効率的な運転ができなくなるおそれがある。
【0008】
一方、水冷式のビル用マルチエアコンを導入しようとすると、冷却塔やボイラーの台数が多くなり、保守費用等コストの問題や空冷式と同様に設置面積の問題が生じてくる。
【0009】
本発明は、地域冷暖房の一定地域内におけるビルにおいても水冷式ビル用マルチエアコンを設置可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るビル用冷暖房システムは、水冷式ビル用マルチエアコンと、地域冷暖房の一定地域内にある他のビルからの地域冷暖房プラントへの還水と、前記水冷式ビル用マルチエアコンの熱源水と、を熱交換する熱交換器と、前記ビルからの還水の温度を利用して前記水冷式ビル用マルチエアコンの熱源ユニットに供給する熱源水の温度を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、前記熱交換器は、前記他のビルからの冷水の還水と、前記熱源ユニットに供給する冷水用の熱源水と、を熱交換する冷水用熱交換器と、前記他のビルからの温水の還水と、前記熱源ユニットに供給する温水用の熱源水と、を熱交換する温水用熱交換器と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、前記制御手段は、前記水冷式ビル用マルチエアコンから取得した冷暖房にかかる負荷情報に基づき前記熱源ユニットに供給する熱源水の流路を制御することを特徴とする。
【0013】
また、前記制御手段は、冷房負荷が暖房負荷より高い場合、前記冷水用熱交換器により熱交換された熱源水を前記熱源ユニットに供給するよう制御することを特徴とする。
【0014】
また、前記制御手段は、暖房負荷が冷房負荷より高い場合、前記温水用熱交換器により熱交換された熱源水を前記熱源ユニットに供給するよう制御することを特徴とする。
【0015】
また、前記制御手段は、前記熱源ユニットに供給する熱源水の温度に基づき前記水冷式ビル用マルチエアコンへの流量を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、地域冷暖房の一定地域内におけるビルにおいても水冷式ビル用マルチエアコンを設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施の形態における地域冷暖房の地域配管の接続形態を示す概念図である。
【
図2】本発明に係るビル用冷暖房システムの一実施の形態を示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0019】
「地域冷暖房」というのは、前述したように一定地域内の多数のビルに熱供給設備(地域冷暖房プラント)から、冷水・温水・蒸気などの熱媒を、地域配管を通して供給し、冷房・暖房・給湯などを行うシステムのことをいうが、本実施の形態では、各ビルに熱源水(冷却水)を供給する地域冷暖房に適用する場合を例にして説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態における地域冷暖房の地域配管の接続形態を示す概念図である。
図1には、DHC(District Heating and Cooling)1と複数のビル2が示されている。DHC1は、地域冷暖房であり、本実施の形態では、特に各ビル2のセントラル空調向けに冷水と温水を熱源水として供給する地域冷暖房プラントを示している。ビル2は、地域冷暖房の一定地域内にある建物であり、DHC1から供給される熱源水を利用してセントラル空調方式にて空調を行う。DHC1と各ビル2の間には、DHC1が製造した冷水を各ビル2に供給するための地域配管3、DHC1が製造した温水を各ビル2に供給するための地域配管4、各ビル2がDHC1から供給され空調等に使用した後の冷水をDHC1に戻すための地域配管5、各ビル2がDHC1から供給され空調等に使用した後の温水をDHC1に戻すための地域配管6、がそれぞれ配設される。なお、DHC1が各ビル2に供給する冷水の温度は、地域冷暖房にもよるが、一般に7度程度、温水の温度は60度程度である。また、現状からして、各ビル2がDHC1に還す冷水の温度は12度程度、温水の温度は40度程度になることを想定している。
【0021】
以降の説明において、DHC1が地域配管3を通して各ビル2に供給する冷水を「冷水(往水)」、DHC1が地域配管4を通して各ビル2に供給する温水を「温水(往水)」、各ビル2が地域配管5を通してDHC1に還す冷水を「冷水(還水)」、各ビル2が地域配管6を通してDHC1に還す温水を「温水(還水)」、と記載する。また、冷水(往水)及び温水(往水)を区別する必要がない場合は、「往水」と総称する。同様に、冷水(還水)及び温水(還水)を区別する必要がない場合は、「還水」と総称する。
【0022】
本実施の形態におけるビル用冷暖房システムを設置するビル10は、熱源水としてDHC1から往水の供給を受けずに、他のビル2が使用した熱源水、すなわち還水の温度を利用することを特徴としており、そのために、冷水用の熱交換器及び温水用の熱交換器をそれぞれ、他のビル2がDHC1に還水を還す地域配管5,6の取付位置7a,7bに設置する。なお、複数のビル2からの冷水(還水)及び温水(還水)の温度を利用するために設置位置8a,8bに設置してもよい。
【0023】
図2は、本発明に係るビル用冷暖房システムの一実施の形態を示す全体構成図である。
図2には、セントラル空調方式の空調設備を備えるビル2とは異なり、本実施の形態におけるビル用冷暖房システムが適用されるビル10が示されている。ビル10は、水冷式ビル用マルチエアコン(水冷ビルマル)11を使用するビル用冷暖房システムを備えている。
【0024】
水冷式ビル用マルチエアコン11は、熱源ユニット(室外ユニット)111、分流コントローラ112及び室内機(室内ユニット)113を有している。室内機113は、例えば部屋に1乃至複数設置され、当該部屋に冷気又は暖気を供給する。室内機113は、運転モードや室温設定を個々に設定できる。熱源ユニット111は、熱源水によって冷気/暖気を生成する。分流コントローラ112は、各室内機113の運転モード等の設定に応じて熱源ユニット111が生成した冷気/暖気を各室内機113に供給する。水冷式ビル用マルチエアコン11は、従来から存在する室外ユニット、分流コントローラ及び室内ユニットから成る装置をそのまま利用してよい。
【0025】
本実施の形態では、熱源として他のビル2からの還水を利用し、冷水塔及びボイラーを必要としない。すなわち、水冷式ビル用マルチエアコン11は、冷水塔及びボイラーを含まない。なお、
図2に示す水冷式ビル用マルチエアコン11の構成は、ビル10の各階ともに同じでよいので、
図2では1組の構成のみ図示した。
【0026】
ビル10には、更に他のビル2からの還水と、水冷式ビル用マルチエアコン11の熱源水と、を熱交換する熱交換器12が設置される。本実施の形態では、熱交換の効率性を考慮して冷水用と温水用それぞれに対応させて熱交換器12a,12bを設置するが、少なくとも一方のみで運用することは可能である。なお、2台の熱交換器12a,12bを区別する必要がない場合は、上記の通り「熱交換器12」と総称する。熱交換器12aは、
図1に示す取付位置7aに接続され、他のビル2からの冷水(還水)と、水冷式ビル用マルチエアコン11の熱源水と、を熱交換する。熱交換器12bは、
図1に示す取付位置7bに接続され、他のビル2からの温水(還水)と、水冷式ビル用マルチエアコン11の熱源水と、を熱交換する。
【0027】
水冷式ビル用マルチエアコン11と熱交換器12との間には、水冷式ビル用マルチエアコン11の熱源水を循環させる配管が
図2に示すように設置される。熱交換器12aから出力される熱源水は、バルブ(冷水弁)13aを通り、更に温度計14、インバータ15により動作制御されるポンプ16を通って水冷式ビル用マルチエアコン11に供給可能なように配管が設置される。一方、熱交換器12bから出力される熱源水は、バルブ(温水弁)13bを通り、更に温度計14、ポンプ16を通って水冷式ビル用マルチエアコン11に供給可能なように配管が設置される。水冷式ビル用マルチエアコン11により使用された熱源水は、流量計17を通って熱交換器12に供給されるように配管が設置される。本実施の形態では、熱交換器12a又は熱交換器12bに切り替えて、すなわち排他的に熱源水が還される。
【0028】
コントローラ18は、他のビル2からの還水の温度を利用して水冷式ビル用マルチエアコン11の熱源ユニット111に供給する熱源水の温度を制御する制御手段として機能する。熱源水の温度制御を行う際、温度計14及び流量計17の各計測値と水冷式ビル用マルチエアコン11から取得する冷暖房に係る負荷情報に基づきバルブ13a,13bの開閉制御並びにインバータ15の動作を制御して、ポンプ16からの流量を調整する。
【0029】
コントローラ18は、従前からある汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、コントローラ18は、CPU、ROM、RAMやハードディスクドライブ(HDD)等の記憶手段を内部バスに接続して構成される。また、必要により通信インタフェースやユーザインタフェースを持たせてもよい。後述するコントローラ18は、ハードウェアにより、あるいはCPUとCPUで動作するプログラムとの協調動作により実現してもよい。プログラムは、コントローラ18の設置時あるいは設置後にネットワーク等を経由してインストールしてもよい。
【0030】
次に、本実施の形態における動作について説明する。
【0031】
コントローラ18は、水冷式ビル用マルチエアコン11から冷暖房に係る負荷情報を取得する。負荷情報には、ビル10全体で使用されている室内機113の運転台数、運転中の室内機113の運転モード(冷房運転、暖房運転の別)が含まれている。コントローラ18は、取得した負荷情報を解析することで現時点の冷房負荷及び暖房負荷を求める。冷房負荷は、例えば、冷房運転モードで稼働している室内機113の運転台数、冷房運転モードで稼働している室内機113全体の消費電力、熱源ユニット111における冷房出力、冷房運転において熱源水に必要な熱量、流量等である。冷房負荷は、従前からある手法を用いればよい。暖房負荷も冷房負荷と同様な方法にて求める。
【0032】
そして、冷房負荷が暖房負荷より大きい場合、コントローラ18は、温水弁13bを閉制御すると共に、熱源ユニット111に供給する熱源水の温度が10度以上になるよう冷水弁13aの開度を調整する。このように、コントローラ18は、熱源水が熱交換器12a、冷水弁13a、温度計14、ポンプ16を通って熱源ユニット111に供給されるよう流路を制御する。そして、熱源ユニット111から出力される熱源水は、流量計17を通って熱交換器12aに供給される。
【0033】
ところで、現在の熱源ユニットの仕様から、熱源水の温度は10度から45度の間に調整する必要がある。そのため、コントローラ18は、熱交換器12aから出力され熱源ユニット111に供給する熱源水の温度が10度以上となるよう温度調整を行う。なお、熱源ユニット111に供給される熱源水の温度は、温度計14によって測定される。また、コントローラ18は、冷房負荷の大きさ、流量計17が測定した流量、熱源ユニット111の出力等に応じて熱源ユニット111に供給する熱源水の流量、熱量を制御するためにインバータ15の動作を制御して、ポンプ16の開閉度合いを調整する。
【0034】
一方、暖房負荷が冷房負荷より大きい場合、コントローラ18は、冷水弁13aを閉制御すると共に、熱源ユニット111に供給する熱源水の温度が45度以下になるよう温水弁13bの開度を調整する。このように、コントローラ18は、熱源水が熱交換器12b、温水弁13b、温度計14、ポンプ16を通って熱源ユニット111に供給されるよう流路を制御する。そして、熱源ユニット111から出力される熱源水は、流量計17を通って熱交換器12bに供給される。
【0035】
熱源水の温度を45度以下とするのは、前述したように熱交換器の仕様に基づくものである。なお、今後、熱源ユニット111の仕様が変更されると、コントローラ18は、その仕様に適合するよう温度制御すればよい。また、コントローラ18は、暖房負荷の大きさ、流量計17が測定した流量、熱源ユニット111の出力等に応じて熱源ユニット111に供給する熱源水の流量、熱量を制御するためにインバータ15の動作を制御して、ポンプ16の開閉度合いを調整する。
【0036】
なお、冷房負荷と暖房負荷が同じ場合は、いずれかのバルブ13a,13bを閉制御して冷水又は温水を熱源ユニット111に供給するようにすればよい。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態では、熱源ユニット111に供給される熱源水の温度が10度から45度の範囲となるようにバルブ13a,13bの開閉制御を行うが、冷房負荷が暖房負荷より大きい場合、コントローラ18は、冷房運転している室内機113の運転効率を優先させて温水弁13bを閉じるように制御する。一方、暖房負荷が冷房負荷より大きい場合、コントローラ18は、暖房運転している室内機113の運転効率を優先させて冷水弁13aを閉じるように制御する。このように、本実施の形態では、冷水又は温水の一方の熱源水のみを熱源ユニット111に供給するようにした。もちろん、冷水と温水を混合してもよいが、ミキシングロスを発生させないようにバルブ13a,13bを排他制御するようにした。なお、現時点の水冷式ビル用マルチエアコンは、熱源ユニットに供給される熱源水の温度が10度から45度の間であれば、冷房運転と暖房運転の双方とも運転可能であり、冷房運転と暖房運転の同時運転が可能である。
【0038】
従来の水冷式ビル用マルチエアコンでは、熱源として冷却塔やボイラーを利用していたが、本実施の形態では、他のビル2からの還水の温度を利用するように構成したので、冷却塔やボイラーを必要としない。すなわち、冷却塔やボイラーの保守費用とのコストや設置面積の問題が発生しないので、冷暖房地域の一定地域内においてビル10に水冷式ビル用マルチエアコンを設置することが可能となる。これにより、巨大な規模のビル10においても部屋毎の快適性を向上させることが可能となる。
【0039】
ところで、本実施の形態におけるビル10に還水を供給するビル2は、従来通りセントラル空調方式により空調制御していることを想定している。ただ、そのビル2も、本実施の形態のビル用冷暖房システムに切り替えて、水冷式ビル用マルチエアコン11を導入する場合も考えられる。このように、ビル2が本実施の形態のビル用冷暖房システムに切り替えていった結果、地域冷暖房の一定地域内にある全てのビルが本実施の形態のビル用冷暖房システムを導入することも理論上、あり得る。そう考えると、現在では、セントラル空調向けに冷水(7度)と温水(60度)を供給している地域冷暖房プラントが、熱源ユニットの仕様に従って10度以上の冷水(往水)と45度以下の温水(往水)を供給するようにしてもよいように考えられる。そうすると、前述した本実施の形態のビル用冷暖房システムは、地域冷暖房プラントから熱源水(往水)を直接受けることも可能となる。また、熱源ユニット111に供給する熱源水の温度を10度以上45度以下に調整するための熱交換器12を使用しなくてすむ。また、DHC1では、熱源水を現状より冷暖する必要がないため、コストの削減にもつながる。
【符号の説明】
【0040】
1 DHC、2,10 ビル、3,4,5,6 地域配管、7a,7b,8a,8b 取付位置、11 水冷式ビル用マルチエアコン、12a,12b 熱交換器、13a バルブ(冷水弁)、13b バルブ(温水弁)、14 温度計、15 インバータ、16 ポンプ、17 流量計、18 コントローラ、111 熱源ユニット、112 分流コントローラ、113 室内機。