特許第6987732号(P6987732)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987732
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】ポリウレタンフォームの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20211220BHJP
   C08K 3/02 20060101ALI20211220BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20211220BHJP
   C08G 18/08 20060101ALI20211220BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20211220BHJP
【FI】
   C08G18/00 H
   C08G18/00 K
   C08G18/00 L
   C08K3/02
   C08L75/04
   C08G18/08 038
   C08G101:00
【請求項の数】8
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-207566(P2018-207566)
(22)【出願日】2018年11月2日
(65)【公開番号】特開2020-70409(P2020-70409A)
(43)【公開日】2020年5月7日
【審査請求日】2021年1月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000117102
【氏名又は名称】旭有機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078190
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 三千雄
(74)【代理人】
【識別番号】100115174
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 正博
(72)【発明者】
【氏名】関 浩之
【審査官】 吉田 早希
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−188330(JP,A)
【文献】 特開2002−047325(JP,A)
【文献】 特開2009−191171(JP,A)
【文献】 特開2009−102516(JP,A)
【文献】 特開2018−080328(JP,A)
【文献】 特開昭47−008544(JP,A)
【文献】 特開昭57−036114(JP,A)
【文献】 特開2001−294645(JP,A)
【文献】 特開平10−168150(JP,A)
【文献】 特開2018−100405(JP,A)
【文献】 特開2015−193839(JP,A)
【文献】 特開2007−321095(JP,A)
【文献】 特開2015−078357(JP,A)
【文献】 特開2009−256484(JP,A)
【文献】 特開2012−072343(JP,A)
【文献】 特表2017−505368(JP,A)
【文献】 特表2014−512446(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0221518(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C08G 18/00 − 18/87
C08G 71/00 − 71/04
C08K 3/00 − 13/08
C08L 1/00 − 101/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオールを主成分とする組成物Aとポリイソシアネートを主成分とする組成物Bとを混合して反応させ、発泡・硬化せしめることにより、ポリウレタンフォームを製造するに際して、
赤リンが、前記組成物A中のポリオールの100質量部に対して10〜70質量部の割合において、該組成物A及び/又は前記組成物Bに含有せしめられており、
発泡剤として、臨界、亜臨界又は液状の二酸化炭素からなる発泡剤Iと、水、ハイドロカーボン、ハイドロフルオロカーボン及びハロゲン化オレフィンのうちの少なくとも一種以上のものからなる発泡剤IIとが併用され、かかる発泡剤IIは、前記組成物A、前記組成物B及び前記発泡剤Iのうちの少なくとも何れか一つに含有せしめられており、
前記ポリウレタンフォームの製造現場において、吹き付け発泡法に従い、前記発泡剤Iが、前記組成物A中のポリオールの100質量部に対して0.1〜4質量部の割合において、前記組成物A及び/又は前記組成物Bに添加され、かかる添加の後、直ちに前記反応が進行せしめられて前記ポリウレタンフォームが製造される
ことを特徴とするポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項2】
前記赤リンが被覆赤リンである請求項1に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項3】
前記被覆赤リン中の赤リン成分が80%以上である請求項2に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項4】
前記赤リンの平均粒子径が1〜50μmである請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項5】
リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、スズ酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤及び金属水酸化物のうちの少なくとも一種以上のものからなる難燃剤が、前記組成物A及び/又は前記組成物Bに含有せしめられている請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項6】
全体密度とコア密度との差が0.1〜12kg/m3 であるポリウレタンフォームが得られる請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項7】
ISO−5660に規定される試験法に準拠して50kW/m2 の放射熱強度にて加熱した際に、10分経過時の総発熱量が8MJ/m2 以下であるポリウレタンフォームが得られる請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項8】
ISO−5660に規定される試験法に準拠して50kW/m2 の放射熱強度にて加熱した際に、20分経過時の総発熱量が8MJ/m2 以下であるポリウレタンフォームが得られる請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンフォームの製造方法に係り、特に、難燃性に優れ、且つ、密度分布が均一なポリウレタンフォームを、有利に製造することが出来る方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ポリウレタンフォームは、その優れた断熱性や接着性、軽量性等の特性を利用して、主に断熱材料として、建築用内外壁材やパネル等の断熱、金属サイディングや電気冷蔵庫等の断熱、ビル・マンション・冷凍倉庫等の躯体壁面、天井、屋根等の断熱及び結露防止、輸液パイプ等の断熱に用いられ、更には、土木工事において発生する空隙を埋める裏込材や、土木工事に際しての補強材等としても、実用されている。また、そのようなポリウレタンフォームは、一般に、ポリオールに発泡剤、更に必要に応じて、触媒や整泡剤、難燃剤等の各種助剤を配合したポリオール配合液(プレミックス液)からなる組成物Aと、ポリイソシアネートを主成分とする組成物Bとを、混合装置により連続的に又は断続的に混合して、ポリウレタンフォーム用発泡性組成物とし、これを、スラブ発泡法、注入発泡法、スプレー発泡法、ラミネート連続発泡法、軽量盛土工法、注入裏込め工法等の方式により、発泡させて、硬化させることにより、製造されている。
【0003】
ところで、上記のようにして形成されるポリウレタンフォームに対しては、その用途上から難燃性が要求されるため、例えば特許文献1(特開2002−47325号公報)の段落[0046]に記載されているように、ポリオール成分等に難燃剤を添加して、使用することにより、得られるポリウレタンフォームに難燃性を付与することが知られている。特に、近年では、ポリウレタンフォームに対して従来以上の優れた難燃性が求められているところ、ポリウレタンフォームにおいてより優れた難燃性を発現させるべく、難燃剤として赤リンを使用することが提案されている。例えば、特許文献2(特開2015−193839号公報)においては、ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物及び添加剤等を含み、かかるポリイソシアネート化合物とポリオール化合物からなるウレタン樹脂100重量部に対して、添加剤としての赤リンを3.5〜20重量部含むことを特徴とする難燃性ウレタン樹脂組成物が、提案されている。
【0004】
しかしながら、特許文献2に開示の如き赤リンを含有する組成物を、例えば吹き付け発泡法(スプレー発泡法)に従い、現場発泡機のスプレーガンヘッドから目的とする被着体(構造体)へ吹き付け、発泡・硬化せしめることによってポリウレタンフォームを製造すると、以下のような問題が発生する恐れがある。即ち、1)赤リンの粒状体乃至は粉状体がウレタン反応の進行を阻害する恐れがあること、及び、2)赤リンの比重は、組成物全体の比重より大きく、組成物中における赤リンの粉状物の分散性が低いこと等に起因して、最終的に得られるポリウレタンフォーム中において、赤リンの粉状体等が偏った状態で存在することとなり、その結果、偏った密度分布を有するポリウレタンフォームが製造されるという問題を、内在しているのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−47325号公報
【特許文献2】特開2015−193839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、従来より公知の何れの発泡法に従って発泡・硬化せしめた際にも、難燃性に優れ、且つ密度分布が均一なポリウレタンフォームを有利にすることが可能なポリウレタンフォームの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、本発明は、上記した課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものである。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書の記載から把握され得る発明思想に基づいて認識され得るものであることが、理解されるべきである。
【0008】
(1) ポリオールを主成分とする組成物Aとポリイソシアネートを主成分とする組成物 Bとを混合して反応させ、発泡・硬化せしめることにより、ポリウレタンフォーム を製造するに際して、
赤リンが、前記組成物A中のポリオールの100質量部に対して10〜70質量 部の割合において、該組成物A及び/又は前記組成物Bに含有せしめられており、 発泡剤として、臨界、亜臨界又は液状の二酸化炭素からなる発泡剤Iと、水、ハ イドロカーボン、ハイドロフルオロカーボン及びハロゲン化オレフィンのうちの少 なくとも一種以上のものからなる発泡剤IIとが併用され、かかる発泡剤IIは、前記 組成物A、前記組成物B及び前記発泡剤Iのうちの少なくとも何れか一つに含有せ しめられており、
前記ポリウレタンフォームの製造現場において、吹き付け発泡法に従い、前記発 泡剤Iが、前記組成物A中のポリオールの100質量部に対して0.1〜4質量部 の割合において、前記組成物A及び/又は前記組成物Bに添加され、かかる添加の 後、直ちに前記反応が進行せしめられて前記ポリウレタンフォームが製造される
ことを特徴とするポリウレタンフォームの製造方法。
(2) 前記赤リンが被覆赤リンである前記態様(1)に記載のポリウレタンフォームの 製造方法。
(3) 前記被覆赤リン中の赤リン成分が80%以上である前記態様(2)に記載のポリ ウレタンフォームの製造方法。
(4) 前記赤リンの平均粒子径が1〜50μmである前記態様(1)乃至前記態様(3 )の何れか1つに記載のポリウレタンフォームの製造方法。
(5) リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、スズ酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、 ホウ素含有難燃剤及び金属水酸化物のうちの少なくとも一種以上のものからなる難 燃剤が、前記組成物A及び/又は前記組成物Bに含有せしめられている前記態様(
1)乃至前記態様(4)の何れか1つに記載のポリウレタンフォームの製造方法。
(6) 全体密度とコア密度との差が0.1〜12kg/m3 であるポリウレタンフォー
ムが得られる前記態様(1)乃至前記態様(5)の何れか1つに記載のポリウレタ
ンフォームの製造方法。
(7) ISO−5660に規定される試験法に準拠して50kW/m2 の放射熱強度に
て加熱した際に、10分経過時の総発熱量が8MJ/m2 以下であるポリウレタン
フォームが得られる前記態様(1)乃至前記態様(6)の何れか1つに記載のポリ
ウレタンフォームの製造方法。
(8) ISO−5660に規定される試験法に準拠して50kW/m2 の放射熱強度に
て加熱した際に、20分経過時の総発熱量が8MJ/m2 以下であるポリウレタン
フォームが得られる前記態様(1)乃至前記態様(7)の何れか1つに記載のポリ
ウレタンフォームの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
このように、本発明に従うポリウレタンフォームの製造方法においては、発泡剤として、臨界、亜臨界又は液状の二酸化炭素からなる発泡剤Iと共に、水等の所定のものから選択される発泡剤IIが用いられており、また、かかる発泡剤Iがポリオールを主成分とする組成物A及び/又はポリイソシアネートを主成分とする組成物Bに添加された後、直ちに組成物Aと組成物Bとが反応せしめられるものである。従って、本発明の製造方法においては、ポリオールとポリイソシアネートとの反応初期〜中期においては主として発泡剤I(臨界、亜臨界又は液状の二酸化炭素)の発泡により、また反応中期〜後期においては発泡剤I及び発泡剤IIの発泡により、赤リンは、組成物Aと組成物Bとの混合物中において良好な分散性を示すこととなる(換言すれば、偏在することなくの混合物内において均一に存在することとなる)ところから、得られるポリウレタンフォームにあっては、赤リンによる優れた難燃性を発揮すると共に、密度分布が均一なものとなるのである。また、特に環境温度が低い冬場等において、本発明を適用して2層吹き付け(2段階吹き付け)を行うと、1層目のフォーム(1回目の吹き付けで形成されるフォーム)と2層目のフォーム(2回目の吹きつけで形成されるフォーム)との間の密度の差が小さく、それ故にそれら層間における収縮性の差異の発生が効果的に抑制されるところから、最終的に得られるポリウレタンフォームは、全体として反りの発生が抑制されたものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に従うポリウレタンフォームの製造方法においては、ポリオールを主成分とする組成物Aと、ポリイソシアネートを主成分とする組成物Bとが混合され、発泡、硬化せしめられることにより、目的とするポリウレタンフォームが製造されることとなるのであるが、そこで用いられる組成物Aを構成する主たる成分であるポリオールには、ポリイソシアネートと反応してポリウレタンを生じる、公知の各種のポリオール化合物が、単独で又は適宜に組み合わされて、用いられるところである。そして、そこでは、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール等が、好適に用いられることとなる。勿論、それらポリオールの他にも、公知の各種のポリオール化合物、例えば、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ポリマーポリオール等も、単独で又は適宜に組み合わされて、用いられ得ることは、言うまでもないところである。
【0011】
具体的には、そのようなポリオールの中で、ポリエーテルポリオールは、多価アルコール、糖類、脂肪族アミン、芳香族アミン、フェノール類、マンニッヒ縮合物等の少なくとも1種の開始剤に、アルキレンオキシドを反応させて、得られるものである。なお、そこで、アルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、エチレンオキシド等を挙げることが出来る。また、開始剤としての多価アルコールには、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等があり、また糖類としては、シュクロース、デキストロース、ソルビトール等があり、更に脂肪族アミンとしては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンや、エチレンジアミン等のポリアミン等があり、そして芳香族アミンとしては、トリレンジアミンと総称されるフェニレンジアミンの各種のメチル置換体の他、そのアミノ基にメチル、エチル、アセチル、ベンゾイル等の置換基が導入されてなる誘導体や、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、p−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、ナフタレンジアミン等が挙げられ、更にまたフェノール類としては、ビスフェノールA、ノボラック型フェノール樹脂等を挙げることが出来る。また、マンニッヒ縮合物としては、フェノール類、アルデヒド類およびアルカノールアミン類をマンニッヒ縮合反応させて得られるマンニッヒ縮合物を挙げることが出来る。
【0012】
また、ポリエステルポリオールとしては、多価アルコール−多価カルボン酸縮合系のポリオールや、環状エステル開環重合体系のポリオール等を挙げることが出来る。そこにおいて、多価アルコールとしては、上記したものを用いることが出来、特に、2価アルコールが好ましく用いられることとなる。また、多価カルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマール酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、及びこれらの無水物等を挙げることが出来、更に環状エステルとしては、ε−カプロラクトン等が用いられることとなる。
【0013】
中でも、ポリエステルポリオールとしては、難燃性や相溶性の観点から、芳香族系のポリエステルポリオールを用いることが好ましく、具体的には、フタル酸系ポリエステルポリオールを用いることが好ましく、更にそのようなポリエステルポリオールの2種類以上を組み合わせることも有効である。なお、フタル酸系ポリエステルポリオールとは、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びこれらの無水物等と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の二価アルコールとの縮合物からなるポリオールを意味するものである。このようなフタル酸系ポリエステルポリオールを使用すると、低温(−10℃〜5℃程度)下において、現場発泡を実施した場合でも、生じたフォームの建築躯体等からの剥離が惹起され難く、更に現場発泡後のフォーム端部の処理が比較的容易な程度の柔軟性を有する硬質ポリウレタンフォームを得ることが出来る利点がある。特に、ハイドロフルオロオレフィン系発泡剤又はハイドロクロロフルオロオレフィン系発泡剤を含有せしめた際に、組成物としての保存安定性に優れたものを与える特徴がある。
【0014】
一方、組成物Bの主成分たるポリイソシアネートは、組成物Aに対して配合せしめられて、かかる組成物A中のポリオールと反応して、ポリウレタン(樹脂)を生成するものであって、分子中に2つ以上のイソシアネート基(NCO基)を有する有機イソシアネート化合物であり、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ポリトリレントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートの他、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー、ポリイソシアネートのイソシアヌレート変性体、カルボジイミド変性体等を挙げることが出来る。これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いられてもよく、また2種以上が併用されてもよい。一般的には、反応性や経済性、取り扱い性等の観点から、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)が、好適に用いられることとなる。
【0015】
なお、かかる組成物B中のポリイソシアネートと前記した組成物A中のポリオールとの使用割合は、形成されるフォームの種類(例えば、ポリウレタン、ポリイソシアヌレート)によって、適宜に決定されることとなるが、一般に、ポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO)とポリオールの水酸基(OH)との比率を示すNCO/OHインデックス(当量比)が、0.9〜4.5、好ましく1.5〜4.0程度の範囲内となるように、適宜に決定されることとなる。
【0016】
そして、本発明にあっては、上述の如き組成物Aと組成物Bとが混合され、反応せしめられると共に、発泡剤により発泡させて、硬化せしめられることにより、硬質のポリウレタンフォームが形成されることとなるのであるが、組成物Aと組成物Bとの反応においては、一般に触媒が用いられる。本発明においては、好ましくは三量化触媒、換言すればポリイソシアネートの有するイソシアネート基を反応させて、三量化させ、イソシアヌレート環の生成を促進する触媒(イソシアヌレート化触媒)が、組成物Aに含有せしめられることとなる。この三量化触媒としては、公知の各種のものを適宜に選択して、用いることが可能であるが、好ましくは、第四級アンモニウム塩や、オクチル酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム、酢酸ナトリウム等のカルボン酸アルカリ金属塩;トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4−ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン等の含窒素芳香族化合物;トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等の第三級アンモニウム塩等を挙げることが出来る。これらのうち、第四級アンモニウム塩を用いることが、難燃性の向上の点から、好ましく、中でも第四級アンモニウム塩とカルボン酸アルカリ金属塩とを併用することが、難燃性の更なる向上の点から、特に好ましい。
【0017】
ここで有利に用いられる第四級アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、プロピルトリメチルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニウム、ペンチルトリメチルアンモニウム、ヘキシルトリメチルアンモニウム、ヘプチルトリメチルアンモニウム、オクチルトリメチルアンモニウム、ノニルトリメチルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウム、ウンデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、トリデシルトリメチルアンモニウム、テトラデシルトリメチルアンモニウム、ヘプタデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ヘプタデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム等の脂肪族アンモニウム化合物、(2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム、トリメチルアミノエトキシエタノール、ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルジメチルアンモニウム等のヒドロキシアンモニウム化合物、1−メチル−1−アザニア−4−アザビシクロ[2,2,2]オクタニウム、1,1−ジメチル−4−メチルピペリジニウム、1−メチルモルホリニウム、1−メチルピペリジニウム等の脂環式アンモニウム化合物等が、挙げられる。これらの中でも、触媒活性に優れ、工業的に入手可能なところから、テトラメチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニウム、ヘキシルトリメチルアンモニウム、オクチルトリメチルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、テトラデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、(2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム、ヒドロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルジメチルアンモニウム、1−メチル−1−アザニア−4−アザビシクロ[2,2,2]オクタニウム、及び1,1−ジメチル−4−メチルピペリジニウムが、好ましく用いられることとなる。
【0018】
また、かくの如き第四級アンモニウム塩を構成する有機酸基又は無機酸基としては、例えば、ギ酸基、酢酸基、オクチル酸基、蓚酸基、マロン酸基、コハク酸基、グルタル酸基、アジピン酸基、安息香酸基、トルイル酸基、エチル安息香酸基、メチル炭酸基、フェノール基、アルキルベンゼンスルホン酸基、トルエンスルホン酸基、ベンゼンスルホン酸基、リン酸エステル基等の有機酸基や、ハロゲン基、水酸基、炭酸水素基、炭酸基等の無機酸基が挙げられる。これらの中でも、触媒活性に優れ且つ工業的に入手可能なことから、ギ酸基、酢酸基、オクチル酸基、メチル炭酸基、ハロゲン基、水酸基、炭酸水素基、炭酸基が好ましい。
【0019】
さらに、このような第四級アンモニウム塩からなる触媒としては、各種のものが市販されており、例えば、U−CAT 18X、U−CAT 2313(サンアプロ株式会社製)、カオーライザーNo.410、カオーライザーNo.420(花王株式会社製)等を挙げることが出来る。
【0020】
なお、このように、触媒の一つとして用いられる三量化触媒の使用量としては、その触媒としての機能を有効に発揮させるべく、組成物A中のポリオール全体の100質量部に対して、0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜8質量部、より好ましくは1〜6質量部の範囲内において、選択されることとなる。この三量化触媒の使用量が、0.1質量部よりも少なくなると、ポリイソシアネートの三量化が充分に実現され得ず、そのために難燃性の向上効果を充分に達成することが困難となる等の問題があり、その一方、10質量部よりも多くなると、反応が進み過ぎて、固化が早くなるため、吹付け施工が困難となる。
【0021】
そして、本発明にあっては、かかる三量化触媒と共に、樹脂化触媒であるウレタン化触媒を併用することも可能である。このウレタン化触媒としては、ジブチルスズジラウレート、オクチル酸ビスマス(2−エチルヘキシル酸ビスマス)、ネオデカン酸ビスマス、ネオドデカン酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス等の脂肪酸ビスマス塩、ナフテン酸鉛等の公知のものを挙げることが出来る。
【0022】
また、かかる樹脂化触媒の使用量としては、その触媒としての機能を有効に発揮させるべく、組成物A中のポリオール全体の100質量部に対して、0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜8質量部、より好ましくは1〜6質量部の範囲内において、選択されることとなる。なお、この樹脂化触媒の使用量が0.1質量部よりも少なくなると、得られるフォームがべたつき、ゴミ等が付着して、外観が悪くなる問題があり、またスプレー発泡操作においては、床等に付着した飛沫がべたつくことになるために、施工性が悪くなる等の問題があり、一方10質量部よりも多くなると、樹脂化反応時に発熱が高くなり、フォームの黄変等、外観に異常をきたし、発泡中に発生する飛沫に含まれる第四級アンモニウム塩を含む触媒により、吹付け施工を行なっている作業現場の作業環境を悪化せしめる恐れがある。
【0023】
一方、本発明においては、上述したポリオールを主成分とする組成物A又はポリイソシアネートを主成分とする組成物Bの何れか一方に、若しくはそれら組成物A及び組成物Bの両者に対して、赤リンが添加される。本発明においては、従来より公知の赤リンであれば何れも使用可能であり、通常、市販品の中から適宜に選択して用いられることとなる。なお、この赤リンの使用量としては、組成物A中のポリオールの100質量部に対して、1〜70質量部、好ましくは10〜60質量部、より好ましくは20〜55質量部の範囲内において決定される。この赤リンの添加量が少なくなり過ぎると、得られるポリウレタンフォームが十分な難燃性を発揮し得ない恐れがあり、また、その添加量が多くなり過ぎると、それが添加された組成物の粘度が上昇し、撹拌不良等の問題を惹起する他、作業性が低下する等の問題や、却ってポリウレタンフォームが燃え易くなる等の問題をも惹起する恐れがある。
【0024】
また、本発明においては、安全性及び取扱いの容易さの観点より、赤リンの中でも被覆赤リンが有利に用いられる。被覆赤リンとは、無機物及び/又は有機物にて表面処理が施されてなる赤リンであり、市販されている被覆赤リンとしては、ノーバレッド(商品名、燐化学工業株式会社製)、ノーバエクセル(商品名、燐化学工業株式会社製)、ヒシガード(商品名、日本化学工業株式会社製)等を例示することが出来る。被覆赤リンとしては、赤リンの含有割合が高いものの方が、ポリウレタンフォームの難燃性の向上により効果的に寄与することから、赤リン成分が80%以上、好ましくは80〜99%、より好ましくは90〜98%である被覆赤リンが、有利に用いられる。
【0025】
本発明において用いられる赤リンは、従来よりポリウレタンフォームを製造する際に使用されている赤リンと同様に、粒状体又は粉状体を呈するものが有利に用いられる。また、最終的に得られるポリウレタンフォーム中において分散状態が良好となるように、平均粒子径が1〜50μm、好ましくは5〜45μm、より好ましくは10〜40μmである赤リンの粒状体又は粉状体が有利に用いられる。
【0026】
その一方、本発明に従うポリウレタンフォームの製造方法においては、上記した赤リンと共に、従来より公知の他の難燃剤を使用することが可能である。赤リンと共に他の難燃剤を使用することにより、最終的に得られるポリウレタンフォームの難燃性を更に向上せしめることが可能である。また、赤リンと他の難燃剤とを併用すると、赤リンの使用量を少量に抑えることが出来ることから、フォーム内における赤リンの偏在の発生も効果的に抑制されることとなり、密度分布が均一な(換言すれば、全体密度とコア密度との差が小さい)ポリウレタンフォームを有利に得ることが出来る。本発明において、赤リンと共に使用可能な難燃剤としては、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、スズ酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤や金属水酸化物等を例示することが出来る。以下に記載の各種難燃剤より選ばれる一種以上のものは、赤リンと共に、或いは赤リンとは別個に、組成物A及び/又は組成物Bに添加される。
【0027】
−リン酸エステル−
リン酸エステルとしては、モノリン酸エステルや縮合リン酸エステル等を例示することが出来る。
【0028】
モノリン酸エステルとしては、特に限定されるものではなく、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチル、レジルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ホスファフェナンスレン、トリス(β―クロロプロピル)ホスフェート等を、挙げることが出来る。
【0029】
また、縮合リン酸エステルについても特に限定されるものではなく、例えば、トリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート(大八化学工業社製、商品名:PX−200)、ハイドロキノンポリ(2,6−キシリル)ホスフェート並びにこれらの縮合物等を、挙げることが出来る。前記したもの以外の市販の縮合リン酸エステルとしては、例えば、レゾルシノールポリフェニルホスフェート(商品名:CR−733S)、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート(商品名:CR−741)、芳香族縮合リン酸エステル(商品名:CR747)、レゾルシノールポリフェニルホスフェート(ADEKA社製、商品名:アデカスタブPFR)、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート(商品名:FP−600、FP−700)等を、挙げることが出来る。
【0030】
本発明においては、上記したモノリン酸エステル及び縮合リン酸エステルを始めとする従来より公知のリン酸エステルの中から、一種又は二種以上のものを適宜に選択して、使用することが可能である。また、上記したモノリン酸エステル及び縮合リン酸エステルの中でも、硬化前の組成物中の粘度の低下させる効果と初期の発熱量を低減させる効果が高いという点において、モノリン酸エステルを使用することが好ましく、トリス(β―クロロプロピル)ホスフェートを使用することがより好ましい。
【0031】
−リン酸塩含有難燃剤−
リン酸塩含有難燃剤とは、リン酸塩を含み、難燃性を有するものである。リン酸塩含有難燃剤に使用されるリン酸は、特に限定されるものではなく、モノリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸等の各種リン酸を例示することが出来る。
【0032】
また、リン酸塩含有難燃剤としては、例えば、上記した各種リン酸と、周期律表IA族〜IVB族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミンから選ばれる少なくとも一種の金属又はその化合物との塩からなるリン酸塩を、挙げることが出来る。周期律表IA族〜IVB族の金属としては、リチウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、鉄(II)、鉄(III )、アルミニウム等が挙げられる。また、脂肪族アミンとしてはメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ピペラジン等が、芳香族アミンとしてはピリジン、トリアジン、メラミン、アンモニウム等が、各々、挙げられる。なお、本発明において用いられるリン酸塩含有難燃剤は、シランカップリング剤処理、メラミン樹脂で被覆する等の公知の耐水性向上処理が加えられているものでも良く、また、メラミン、ペンタエリスリトール等の公知の発泡助剤を加えても良い。
【0033】
本発明で用いられるリン酸塩含有難燃剤を構成するリン酸塩としては、具体的に、モノリン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩を挙げることが出来る。
【0034】
モノリン酸塩としては、特に限定されるものではなく、例えば、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素ニアンモニウム等のアンモニウム塩、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸一ナトリウム、亜リン酸二ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム塩、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、次亜リン酸カリウム等のカリウム塩、リン酸一リチウム、リン酸二リチウム、リン酸三リチウム、亜リン酸一リチウム、亜リン酸二リチウム、次亜リン酸リチウム等のリチウム塩、リン酸二水素バリウム、リン酸水素バリウム、リン酸三バリウム、次亜リン酸バリウム等のバリウム塩、リン酸一水素マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸三マグネシウム、次亜リン酸マグネシウム等のマグネシウム塩、リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、次亜リン酸カルシウム等のカルシウム塩、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、次亜リン酸亜鉛等の亜鉛塩等を、挙げることが出来る。
【0035】
また、ポリリン酸塩にあっても、特に限定されるものではなく、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等を挙げることが出来る。
【0036】
本発明においては、上記したものを始めとする従来より公知のリン酸塩含有難燃剤の中から、一種又は二種以上のものを適宜に選択して、使用することが可能である。上記したリン酸塩の中でも、自己消火性に優れているという点において、モノリン酸塩が有利に使用され、リン酸二水素アンモニウムがより有利に使用される。
【0037】
−スズ酸塩含有難燃剤−
スズ酸塩含有難燃剤とは、スズ酸金属塩を含む難燃剤である。ここで、スズ酸塩含有難燃剤に含まれるスズ酸金属塩としては、例えば、スズ酸亜鉛、スズ酸バリウム、スズ酸ナトリウム、スズ酸カリウム、スズ酸コバルト、スズ酸マグネシウム等を挙げることが出来、それらの中でも、スズ酸亜鉛が好ましく用いられる。
【0038】
−臭素含有難燃剤−
本発明において使用される臭素含有難燃剤としては、分子構造中に臭素を含有する化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、各種の芳香族臭素化化合物等を挙げることができる。具体的には、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモビフェニル、ヘキサブロモシクロデカン、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン、エチレン−ビス(テトラブロモフタルイミド)、テトラブロモビスフェノールA等のモノマー有機臭素化合物;臭素化ビスフェノールAを原料として製造されたポリカーボネートオリゴマー、前記のポリカーボネートオリゴマーとビスフェノールAとの共重合物等の臭素化ポリカーボネート;臭素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジエポキシ化合物、臭素化フェノール類とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるモノエポキシ化合物等の臭素化エポキシ化合物;ポリ(臭素化ベンジルアクリレート);臭素化ポリフェニレンエーテル;臭素化ビスフェノールA、塩化シアヌール及び臭素化フェノールの縮合物;臭素化(ポリスチレン)、ポリ(臭素化スチレン)、架橋臭素化ポリスチレン等の臭素化ポリスチレン;架橋又は非架橋臭素化ポリ(−メチルスチレン)等のハロゲン化された臭素化合物ポリマー等を、挙げることが出来る。
【0039】
本発明においては、上記したものを始めとする従来より公知の臭素含有難燃剤の中から、一種又は二種以上のものを適宜の選択して、使用することが可能である。上記した臭素含有難燃剤の中でも、燃焼初期の発熱量を制御する観点から、臭素化ポリスチレン、ヘキサブロモベンゼン等が有利に使用され、ヘキサブロモベンゼンがより有利に使用される。
【0040】
−ホウ素含有難燃剤−
本発明にて使用されるホウ素含有難燃剤としては、ホウ砂、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ
酸塩等を挙げることが出来る。具体的に、酸化ホウ素としては、三酸化二ホウ素、三酸化ホウ素、二酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化四ホウ素等を例示することが出来る。また、ホウ酸塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4族、第
12族、第13族の元素及びアンモニウムのホウ酸塩等が挙げられる。より具体的には、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸セシウム等のホウ酸アルカリ金属塩;ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム等のホウ酸アルカリ土類金属塩;ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アンモニウム等を、例示することが出来る。
【0041】
本発明においては、上記したものを始めとする従来より公知のホウ素含有難燃剤の中から、一種又は二種以上のものを適宜の選択して、使用することが可能である。上記したホウ素含有難燃剤の中でも、有利にはホウ酸塩が使用され、より有利にはホウ酸亜鉛が使用される。
【0042】
−金属水酸化物−
本発明において、難燃剤として使用される金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化ニッケル、水酸化ジルコニウム、水酸化チタン、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化バナジウムや水酸化スズ等を挙げることが出来る。これら公知のものの中から一種又は二種以上のものが適宜に選択されて、使用される。
【0043】
本発明において、上述したリン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、スズ酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤及び金属水酸化物のうちの少なくとも一種以上のものからなる難燃剤(以下、本段落においてその他の難燃剤と称する)を、赤リンと共に使用する場合、その使用量(使用されるその他の難燃剤の総量)は、組成物A中のポリオールの100質量部に対して、3〜90質量部の範囲内とされることが好ましく、10〜80質量部の範囲内とされることがより好ましい。その他の難燃剤の使用量が少な過ぎると、赤リンと併用することによる効果を享受し得ない恐れがあり、その一方、使用量が多過ぎると、その他の難燃剤が添加された組成物の粘度が上昇し、作業性が悪化する等の問題が惹起されるようになる。
【0044】
そして、本発明の製造方法においては、発泡剤として、臨界、亜臨界又は液状の二酸化炭素からなる発泡剤Iと、水、ハイドロカーボン、ハイドロフルオロカーボン及びハロゲン化オレフィンのうちの少なくとも一種以上のものからなる発泡剤IIとが併用されるのである。
【0045】
ここで、臨界、亜臨界又は液状の二酸化炭素(以下、液化CO2 類と略称する)とは、よく知られているように、二酸化炭素気体を所定の温度下において加圧することによって、超臨界状態、亜臨界状態、又は液体状態とされてなるものである。具体的には、液状の二酸化炭素は、三重点以上の温度と圧力条件下で液化されたものであり、また亜臨界状態の二酸化炭素とは、圧力が臨界圧力以上で、温度が臨界温度未満である液体状態の二酸化炭素、圧力が臨界圧力未満で温度が臨界温度以上である液体状態の二酸化炭素、或いは温度及び圧力が臨界点未満であるが、これに近い状態の二酸化炭素とされたものを指し、更に、超臨界状態の二酸化炭素とは、圧力、温度が共に、臨界圧力、臨界温度以上の臨界点を超えた流体状態の二酸化炭素とされたものである。
【0046】
上述した液化CO2 類は、組成物A等への添加の直後から有効な発泡作用を発揮するのであり、特にポリオールとポリイソシアネートの反応初期〜中期において、組成物Aと組成物Bとの混合物中における赤リンの分散性を良好なものとし、また、得られるポリウレタンフォームにおけるスキン層の薄肉化に寄与し、更にはその低密度化を有利に実現するものである。また、液化CO2 類を使用していることにより、例えば本発明を、スプレーガンを用いた吹き付け発泡法(スプレー発泡法)に適用すると、組成物A及び組成物Bからなる混合物の吹き付け性が良好となり、加えて、赤リン(難燃剤I)に起因するスプレーガンにおける詰まりの発生が、有利に抑制される。本発明において、液化CO2 類の使用量が少な過ぎると、その添加効果を充分に発現することが出来ず、特に、吹き付け発泡法(スプレー発泡法)による吹き付け直後の発泡が不充分となって、コア層とスキン層との密度差が大きくなるために、圧縮強度が低下したり、寸法変化率が大きくなる等の問題を惹起することとなる。一方、かかる液化CO2 類の使用量が多過ぎると、反応初期に発生するガス(二酸化炭素)が過剰となって、発泡特性に悪影響をもたらし、例えば吹き付け発泡法(スプレー発泡法)における吹き付けの際に、良好な発泡体を得ることが難しくなる等の問題が惹起される。このため、本発明にあっては、液化CO2 類の使用量は、組成物A中のポリオールの100質量部に対して0.1〜4質量部の範囲内とする必要があり、好ましくは0.2〜3質量部の範囲内とされることとなる。
【0047】
そして、このような液化CO2 類は、ポリウレタンフォームの製造現場において、例えば特開2011−247323号公報等に明らかにされている如き二酸化炭素供給装置によって、ポリオールを主成分とする組成物Aの流路又はポリイソシアネートを主成分とする組成物Bの流路に供給されて混合せしめられ、それらポリオールとポリイソシアネートとの反応によって生ずるポリウレタンの発泡に寄与せしめられるのである。勿論、そのような液化CO2 類の供給が、組成物Aと組成物Bとが接触、混合せしめられる位置に対して、直接に行われるようにして、それら両者に、液化CO2 類が供給されるようにすることも可能である。
【0048】
本発明においては、上述した液化CO2 類(発泡剤I)と共に、水、ハイドロカーボン、ハイドロフルオロカーボン及びハロゲン化オレフィンのうちの少なくとも一種以上のものからなる発泡剤IIが使用されるところ、先ず、水は、ポリイソシアネートとの反応によって二酸化炭素を生じ、かかる二酸化炭素が発泡剤として機能するものである。また、水とポリイソシアネートとの反応の際には反応熱が発生し、その熱によって、ウレタン化反応やイソシアヌレート化反応が、効果的に進行せしめられ得て、得られるポリウレタンフォームの圧縮強度が更に高められ得るようになるという利点もある。尤も、そのような水の使用量が多くなり過ぎると、かえって強度の低下を招くようになる。それは、水とポリイソシアネートとの反応によって生じる尿素結合が樹脂中に多くなること、またイソシアヌレート化反応に用いられるポリイソシアネートが水との反応で消費されてしまい、反応系のポリイソシアネートが少なくなるためである。以上より、本発明において、発泡剤としての水は、ポリオールを主成分とする組成物Aに含有せしめることが好ましく、その含有量(使用量)は、組成物A中のポリオールの100質量部に対して、5質量部以下、好ましくは4質量部以下、より好ましくは3質量部以下とすることが望ましく、また水の存在による効果を充分に奏せしめるべく、0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上とすることが、望ましいのである。なお、このような水は、組成物Aを形成するための配合成分として、別個に添加、配合せしめられる他、ポリオール等の他の配合成分中に含まれる水として添加、配合せしめられ、また、組成物Aを保管している間に吸湿により含まれる水も考慮され、それらの合計量において、上記規定された範囲内の割合となるように、調整されることとなる。
【0049】
そして、かくの如き組成物A中の水の存在によって、ポリオールを主成分とする組成物Aとポリイソシアネートを主成分とする組成物Bとが混合せしめられて、反応させられると、かかる水とポリイソシアネートとの反応によって二酸化炭素が発生し、この二酸化炭素も、ポリウレタンの発泡に寄与することとなるところから、本発明にあっては、それら水とポリイソシアネートとの反応によって発生する二酸化炭素と、前記した液化CO2 類として用いられる二酸化炭素との合計量の1モルに対して、後述する有機発泡剤が、1モルよりも多く、且つ20モル以下の含有量となるように、かかる組成物Aと組成物Bとの混合物中に存在せしめられるのである。
【0050】
本発明においては、発泡剤IIとして、上述した水に代えて、或いは水と共に、有機発泡剤であるハイドロカーボン(HC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)やハイドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)と称されるハロゲン化オレフィン(ハロゲン化アルケン)が使用される。なお、HFCはフロン系発泡剤に分類され、HC、HFO及びHCFOは非フロン系発泡剤に分類される。
【0051】
本発明において用いられ得るハイドロカーボン(HC)としては、例えば、プロパン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ブタン、イソブタン、ヘキサン、イソヘキサン、ネオヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン等を挙げることが出来、また、ハイドロフルオロカーボン(HFC)としては、例えば、ジフルオロメタン(HFC32)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(HFC125)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC143a)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a)、1,1−ジフルオロエタン(HFC152a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC365mfc)、及び1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(HFC4310mee)、ジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリド等を挙げることが出来る。
【0052】
また、本発明において用いられ得るハロゲン化オレフィン(ハロゲン化アルケン)は、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)やハイドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)と称されるものをも含み、一般的に、ハロゲンとして塩素やフッ素を結合、含有してなる、炭素数が2〜6個程度の不飽和炭化水素誘導体である。例えば、テトラフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペンやヘキサフルオロブテンを始めとする、3〜6個のフッ素置換基を有するプロペン、ブテン、ペンテン及びヘキセン、並びに、フルオロクロロプロペン、トリフルオロモノクロロプロペン、フルオロクロロブテン等のフッ素置換基及び塩素置換基を有する不飽和炭化水素、更にはそれらの2種以上の混合物を、挙げることが出来る。ハイドロフルオロオレフィン(HFO)としては、例えば、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO1225ye)等のペンタフルオロプロペン、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO1234ze)、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO1234yf)、1,2,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO1234ye)等のテトラフルオロプロペン、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO1243zf)等のトリフルオロプロペン、テトラフルオロブテン異性体(HFO1354)類、ペンタフルオロブテン異性体(HFO1345)類、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(HFO1336mzz)等のヘキサフルオロブテン異性体(HFO1336)類、ヘプタフルオロブテン異性体(HFO1327)類、ヘプタフルオロペンテン異性体(HFO1447)類、オクタフルオロペンテン異性体(HFO1438)類、ノナフルオロペンテン異性体(HFO1429)類等を挙げることが出来る。また、ハイドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)としては、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、ジクロロトリフルオロプロペン(HCFO1223)、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233yd)、1−クロロ−1,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zb)、2−クロロ−1,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xe)、2−クロロ−2,2,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xc)、3−クロロ−1,2,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233ye)、3−クロロ−1,1,2−トリフルオロプロペン(HCFO−1233yc)等を挙げることが出来る。
【0053】
特に、上記したハイドロフルオロオレフィン(HFO)やハイドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)は、地球温暖化係数が低く、環境に優しい発泡剤として注目を受けていることから、本発明において有利に用いられる。
【0054】
なお、上記した有機発泡剤(ハイドロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハロゲン化オレフィン)の使用量は、組成物A中のポリオールの100質量部に対して5〜50質量部が好ましく、更には10〜40質量部であることが好ましい。かかる有機発泡剤の使用量が50質量部を超えるようになると、最終的に得られるポリウレタンフォームのコア密度が低くなり、それによってフォームの強度の低下、ひいては寸法安定性の悪化が惹起される恐れがある。また、コストの面でも不利となる問題もある。一方、有機発泡剤の使用量が5質量部よりも少なくなると、発泡剤としての機能を充分に発揮することが出来ず、得られたフォームの密度が高くなってしまうことがあり、また組成物Aに添加して使用する場合にその添加量が少な過ぎると、組成物A全体の粘度が高くなり、組成物Bとの混合性が悪化することで、例えばスプレーガンを用いた吹き付け発泡法において、良好なスプレーパターンを得ることが出来なくなる問題を惹起するようになる。
【0055】
また、本発明においては、発泡剤IIたる有機発泡剤(ハイドロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハロゲン化オレフィン)は、組成物A、組成物B又は発泡剤I(液化CO2 類:臨界、亜臨界又は液状の二酸化炭素)に添加されて、使用されるところ、有機発泡剤を液化CO2 類に添加して使用すると、液化CO2 類と有機発泡剤との混合物の沸点が液化CO2 類の沸点(−78.5℃)より高くなるため、液化CO2 類を冷却するための装置や設備が不要になるという利点がある。なお、液化CO2 類に添加されて使用される有機発泡剤としては、環境への影響の面からハロゲン化オレフィンが好ましく、また、液化CO2 類に対する配合割合(質量比)は、液化CO2 類:有機発泡剤=1:9〜9:1、好ましくは液化CO2 類:有機発泡剤=2:8〜8:2とされる。
【0056】
さらに、本発明における発泡剤IIとして、有機発泡剤(ハイドロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハロゲン化オレフィン)と水とを併用する場合において、有機発泡剤と水とは、質量比で60:40〜99.9:0.1、好ましくは70:30〜99:1、より好ましくは80:20〜98:2となる割合において、使用することが望ましい。この範囲を外れて、水の割合が40を超えるようになると、反応の進行につれて脆性が発現し、躯体面との接着性が低下し、剥離等の問題を惹起する恐れがある。また、イソシアネートとの反応によって発生する二酸化炭素が熱伝導率を低下させ、充分でない熱伝導率の発泡層を形成する恐れがある。なお、発泡剤IIとして水を使用する場合、水は組成物A又は発泡剤Iに添加されることが好ましい。
【0057】
以上、本発明の製造方法に従ってポリウレタンフォームを製造する際に用いられる組成物について、各成分ごとに詳述してきたが、本発明においては、上記した成分以外にも、従来よりポリウレタンフォームの製造に際して添加剤として用いられているものであれば、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、使用することが可能である。かかる添加剤としては、整泡剤を例示することが出来る。整泡剤とは、ポリウレタンフォームのセル構造を均一に整えるために用いられるものであって、本発明においては、シリコーン系のものや非イオン系界面活性剤が、好適に採用される。具体例として、ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン、ポリシロキサンオキシアルキレン共重合体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ヒマシ油エチレンオキシド付加物、ラウリル脂肪酸エチレンオキシド付加物等を挙げることが出来、これらのうちの、1種が単独で、或いは2種以上が組み合わされて、用いられる。なお、この整泡剤の配合量は、所期のフォーム特性や、使用する整泡剤の種類等に応じて適宜に決定されるところであるが、組成物A中のポリオール全体の100質量部に対して、0.1〜10質量部、好ましくは1〜8質量部の範囲で選択される。
【0058】
そして、上記した組成物A、組成物B及び発泡剤I(液化CO2 類:臨界、亜臨界又は液状の二酸化炭素)を用いて、ポリウレタンフォームの製造現場において所定量の発泡剤Iが組成物A及び/又は組成物Bに添加され、かかる添加の後、直ちにポリオールとポリイソシアネートとの反応を開始させ、発泡・硬化せしめることにより、目的とするポリウレタンフォームが製造されるのである。
【0059】
ここで、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させ、発泡・硬化せしめるに際しては、公知の各種のポリウレタンフォームの製造手法が採用され得るところであって、例えば、1)組成物A、組成物B及び発泡剤Iの混合物を面材上に塗布して、板状に発泡・硬化を行うラミネート連続発泡法、2)上記混合物を、電気冷蔵庫等の断熱性能が要求される空間部内や、軽量・高強度ボードのハニカム構造内に注入、充填して、発泡・硬化を行う注入発泡法、3)上記混合物を、現場発泡機のスプレーガンヘッドから被着体へ吹き付けて、発泡・硬化させる吹き付け発泡法(スプレー発泡法)等によって、発泡・硬化せしめられ、目的とするポリウレタンフォームが形成されることとなる。なお、本発明において、発泡剤Iが組成物A及び/又は組成物Bに添加され、かかる添加の後、直ちにポリオールとポリイソシアネートとの反応を進行せしめるとは、発泡剤Iが添加された組成物A等を意図的に保管(放置)し、かかる保管(放置)の後に反応を進行させることを除外しているにすぎないものである。従って、ポリウレタンフォームの製造現場において、従来より公知の二酸化炭素供給装置によって発泡剤I(液化CO2 類)が組成物A等の流路に供給され、その後に組成物Aと組成物Bとを混合して反応させ、発泡・硬化せしめる場合も、流路を流れる時間が必要とされるものの、本発明で言うところの「直ちに」に含まれるものである。
【0060】
特に、本発明にあっては、環境温度(周囲温度)下において現場発泡せしめられる吹き付け発泡法(スプレー発泡法)に好適に適用される。このような現場吹き付け発泡法への適用によって、ポリウレタンフォームの低密度化及び赤リンの良好な分散性を有利に実現すると共に、フォームの全体密度とコア密度との差が1〜12kg/m3 となる特性や、ISO−5660に規定される試験法に準拠して50kW/m2 の放射熱強度にて加熱した際に、10分経過時の総発熱量が8MJ/m2 以下、好ましくは20分経過時の総発熱量が8MJ/m2 以下である特性をも有する、寸法安定性等の特性に優れたポリウレタンフォームが、有利に得られるのである。また、特に環境温度が低い冬場等において2層吹き付け(2段階吹き付け)を行う場合、従来の製造方法においては、被着体表面に形成される1層目のフォームの密度が、かかる1層目の上に形成される2層目のフォームの密度より高くなり、それら層間に収縮性の差異が生じることから、得られるフォーム(発泡体)が全体として反り易いものになるという問題点があった。しかしながら、本発明の製造方法を吹き付け発泡法に適用すると、1層目のフォームの密度を低く抑えることが出来るところから、最終的に得られるポリウレタンフォームにあっては反りの発生が抑制され得るものとなるのである。
【実施例】
【0061】
以下に、本発明の実施例を幾つか示し、本発明の特徴を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には、上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。なお、以下に示す%及び部は、何れも、質量基準である。
【0062】
先ず、下記表1乃至表3に示す割合において各成分を含有する(但し、液状CO2 、及び、表中にて「液状CO2 +HFO−1234ze」と表されている液状CO2 とHFO−1234zeとの混合物を除く)、ポリオールを主成分とする組成物Aと、ポリイソシアネート(ポリメリックMDI、万華化学ジャパン株式会社製、製品名:Wannate PM−130)からなる組成物Bとを調製し、準備した。なお、組成物Aの調製の際に使用した原料は、以下の通りである。
・ポリオール:テレフタル酸系ポリエステルポリオール
(川崎化成工業株式会社製、製品名:RFK505)
・整泡剤:シリコーン系整泡剤
(東レ・ダウコーニング株式会社製、製品名:SH−193)
・赤リン:ノーバエクセル140
(製品名、燐化学工業株式会社製、平均粒子径:30μm、表面コーティン グ処理有り、赤リン含有率:92%以上)
・赤リン:ノーバレッド120
(製品名、燐化学工業株式会社製、平均粒子径:25μm、表面コーティン グ処理有り、赤リン含有率:85%以上)
・難燃剤:リン酸エステル
[TMCPP:トリス(1−クロロ−2−プロピル)ホスフェート、大八化 学工業株式会社製]
・難燃剤:リン酸塩含有難燃剤
(リン酸二水素アンモニウム、富士フイルム和光純薬株式会社製)
・難燃剤:スズ酸塩含有難燃剤
(スズ酸亜鉛、日本軽金属株式会社製、製品名:フラムタードS)
・難燃剤:臭素含有難燃剤
(ヘキサブロモベンゼン、富士フイルム和光純薬株式会社製)
・難燃剤:ホウ素含有難燃剤
(ホウ酸亜鉛、水澤化学工業株式会社製、製品名:ALCANEX FR− 100)
・難燃剤:金属水酸化物
(水酸化アルミニウム、日本軽金属株式会社製、製品名:B1403)
・三量化触媒:第四級アンモニウム塩
(花王株式会社製、製品名:カオーライザーNo.420)
・樹脂化触媒:N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン
(エボニック・ジャパン株式会社製、製品名:ポリキャット12)
・発泡剤:HCFO−1233zd
(Honeywell社製、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペ ン)
・発泡剤:HFO−1336mzz
(Chemours社製、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2− ブテン)
・発泡剤:HFC245fa
(セントラル硝子株式会社製、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパ ン)
・発泡剤:HFC365mfc
(SOLVAY株式会社製、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン)
・発泡剤:液状CO2 +HFO−1234ze(混合物)
(東京高圧山崎株式会社製、液状CO2 :HFO−1234ze=3:7 (重量比))
【0063】
−ポリウレタンフォームの製造−
上記で調製した組成物Aと組成物B(ポリメリックMDI)とを用いて、液化二酸化炭素供給装置を備えた現場発泡吹き付け装置(旭有機材株式会社製、製品名:AYK−1000シリーズ)により、先ず、組成物Aに、表1乃至表4に示す割合の液状の二酸化炭素、又は、液状の二酸化炭素とHFO−1234zeとの混合物を供給し、混合せしめた後、その得られた液状二酸化炭素(液状CO2 )等を含む組成物Aを、組成物Bに対して、体積比1:1の割合において接触混合せしめた。かかる接触混合から連続して、躯体であるフレキシブルボード(910mm×910mm)の表面に、下吹き1回及び上吹き2回の吹き付けを行い、かかるボード上で反応させて、発泡・硬化せしめることにより、下吹き層が5mm以下であり且つ2つの上吹き層が各々30mm以下である、実施例1〜24及び比較例1〜5に係る各種の硬質ポリウレタンフォームからなる発泡層(総厚み:約60mm)を、それぞれ形成した。
【0064】
そして、かくして得られた各ポリウレタンフォームを試料として用いて、全体密度及びコア密度を測定(算出)すると共に、寸法安定性(収縮)、寸法安定性(反り)及び難燃性を評価した。なお、測定乃至評価は、各々、以下に示す手順に従って行った。得られた結果を、下記表1乃至表4に示す。なお、表3の比較例4における「吹き付け不可」とは、上記の手順に従って吹き付けによりポリウレタンフォームの製造を試みたものの、十分なポリウレタンフォームが形成されなかったことを意味するものである。
【0065】
−全体密度及びコア密度の測定(算出)−
上記フレキシブルボード上に吹き付けて形成した、スキン層(表面層)の存在するポリウレタンフォームの厚みを、縦横に約等距離に位置する13の地点で測定し、その13点における厚みの平均から、ポリウレタンフォームの体積を求める一方、更にポリウレタンフォームを吹き付けたフレキシブルボードの質量を測定し、あらかじめ測定しておいたフレキシブルボードの質量を引くことで、ポリウレタンフォームの質量を求めることにより、全体密度を算出する。また、フレキシブルボード上に形成された発泡層からスキン層(表面層)を取り除いて、コア層を現出せしめて、100mm×100mm×25mmのポリウレタンフォームを切り出し、そしてその質量を求めて、コア密度を算出する。なお、下記表1乃至表4に示す「全体密度とコア密度との差」は、全体密度の数値より、コア密度の数値を減じたものである。
【0066】
−寸法安定性(収縮)の評価−
得られた各ポリウレタンフォームから、内部スキン層(1回目の上吹きによって形成されたスキン層)を含む、100mm×100mm×25mmの大きさを有する試験片を切り出す。切り出した試験片を、−30℃の環境下において48時間、静置し、その後、試験片の寸法をノギスで測定し、その測定結果を用いて、下記式(1)より寸法変化率(収縮)を算出する。
寸法変化率(%)
=([試験後の試験片の寸法]−[試験前の試験片の寸法])
/[試験前の試験片の寸法]×100
算出された寸法変化率(収縮)を、以下の基準に従って評価する。なお、◎及び○の評価を合格とする。
◎:寸法変化率が1%未満である。
○:寸法変化率が1%以上3%未満である。
△:寸法変化率が3%以上7%未満である。
×:寸法変化率が7%以上である。
【0067】
−寸法安定性(反り)の評価−
得られた各ポリウレタンフォームから、内部スキン層(1回目の上吹きによって形成されたスキン層)を含む、100mm×100mm×25mmの大きさを有する試験片を切り出す。切り出した試験片を、−30℃の環境下において48時間、静置し、その後、試験片を水平な台の上に載せ、試験片における反りの有無を目視にて確認し、併せてがたつきの有無を確認し、以下の基準に従って評価する。
○:反りもがたつきも認められない。
×:反り又はがたつきの何れかが認められる。
【0068】
−難燃性の評価−
得られた各ポリウレタンフォームから、100mm×100mm×50mmのサイズのコーンカロリーメーター試験用サンプルを切り出し、ISO−5660に規定される燃焼試験法に準拠して、放射熱強度50kW/m2 にて、10分間加熱したときの最大発熱速度及び総発熱量、並びに、20分間加熱したときの総発熱量(最大発熱量は10分間のときと同じ値)を、それぞれ、測定する。それら測定結果について、以下の基準に従い、難燃性を評価する。なお、以下において、10分間加熱したときの総発熱量を総発熱量(10分)と、20分間加熱したときの総発熱量を総発熱量(20分)と、それぞれ示す。
◎:最大発熱速度が80kW/m2 以下であり、且つ、総発熱量(10分)及び総発
熱量(20分)の何れも7MJ/m2 以下である。
○:最大発熱速度が80kW/m2 以下であり、且つ、総発熱量(10分)及び総発
熱量(20分)の何れも8MJ/m2 以下である。
△:最大発熱速度が80kW/m2 以下であり、総発熱量(10分)が8MJ/m2
以下であり、総発熱量(20分)が8MJ/m2 を超える。
×:最大発熱速度が80kW/m2 を超える、又は、総発熱量(10分)及び総発熱
量(20分)の何れも8MJ/m2 を超える。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】
かかる表1乃至表3の結果から明らかなように、本発明の製造方法に従って製造されたポリウレタンフォーム(実施例1〜実施例24)にあっては、何れも、難燃性に優れ、全体密度とコア密度との差が小さいことから密度分布が均一なものであり、更には、寸法安定性にも優れたものであることが認められる。
【0074】
これに対して、表4の結果から明らかなように、発泡剤として水のみが使用され、液状CO2 が使用されていない比較例1及び比較例5に係るポリウレタンフォームは、全体密度とコア密度との差が非常に大きいことから密度分布にバラツキが存在し、また寸法安定性においても劣るものであることが認められる。また、赤リンが全く使用されていないポリウレタンフォームが難燃性に劣るものであることは勿論のこと(比較例3)、本発明の範囲を超える量の赤リンを使用した場合(比較例2)にあっても、得られるポリウレタンフォームは難燃性に劣るものであることが認められるのである。