(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1)生理活性ポリペプチドのアミノ酸残基に非ペプチド性ポリマーを結合させる反応混合物から、非ペプチド性ポリマーが結合されていない生理活性ポリペプチドを、有機溶媒を用いて選択的に沈殿させる段階;及び,
2)前記沈殿物から回収された生理活性ポリペプチドを非ペプチド性ポリマーと段階1)の結合反応下で反応させる段階を含む、生理活性ポリペプチド結合体の製造方法であって、
前記生理活性ポリペプチドが、インスリン、エキセンディン、エキセンディン誘導体、またはこれらの組み合わせであり;
前記エキセンディン誘導体が、デス‐アミノ‐ ヒスチジル(DA)‐ エキセンディン‐4、ベータ‐ヒドロキシ‐イミダゾ‐プロピオニル(HY)‐エキセンディン‐4、イミダゾ‐アセチル(CA)‐ エキセンディン‐4及びジメチル‐ヒスチジル(DM)‐エキセンディン‐4からなる群から選択されるものであり、
前記非ペプチド性ポリマーが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール‐プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリビニルエチルエーテル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるものであり;
前記非ペプチド性ポリマーが、0.5kDa〜100kDaの分子量を有し;並びに
前記有機溶媒が、アルコール、ケトン、ニトリルまたはこれらの組み合わせである、
上記製造方法。
前記有機溶媒が、イソプロパノール、エタノール、1‐プロパノール、1‐ブタノール、アセトン、アセトニトリルまたはこれらの組み合わせである、請求項1に記載の製造方法。
前記非ペプチド性ポリマーが、アルデヒドグループ、プロピオンアルデヒドグループ、ブチルアルデヒドグループ、マレイミドグループ及びスクシンイミド誘導体からなる群から選択される1つ以上の反応基を含むものであり、前記スクシンイミド誘導体が、スクシンイミジルプロピオネート、ヒドロキシスクシンイミジル、スクシンイミジルカルボキシメチル、スクシンイミジルカルボネートまたはそれらの組合せである、請求項1に記載の製造方法。
前記生理活性担体が、アルブミン、免疫グロブリンFc領域、トランスフェリン、アプタマー、トキシン、ゼラチン、コラーゲン、デキストラン、多糖類、脂肪酸、及びフィブリノゲンからなる群から選択されるものである、請求項20に記載の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一つの目的は、1)生理活性ポリペプチドのアミノ酸残基に非ペプチド性ポリマーを結合させる反応混合物から、非ペプチド性ポリマーが結合されていない生理活性ポリペプチドを選択的に沈殿させる段階;及び2)前記沈殿物から回収された生理活性ポリペプチドを非ペプチド性ポリマーと段階1)の結合反応下で反応させる段階を含む、生理活性ポリペプチド結合体の製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の一つの目的は、前記製造方法で製造された生理活性ポリペプチド結合体と生理活性担体とを共有結合で結合させて、非ペプチド性ポリマーの両末端がそれぞれ生理活性担体及び生理活性ポリペプチドと結合されたポリペプチド担体結合体を製造する段階を含む、生理活性ポリペプチド‐生理活性担体の結合体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するための本発明の一つの態様は、1)生理活性ポリペプチドのアミノ酸残基に非ペプチド性ポリマーを結合させる反応混合物から、非ペプチド性ポリマーが結合されていない生理活性ポリペプチドを選択的に沈殿させる段階;及び 2)前記沈殿物から回収された生理活性ポリペプチドを非ペプチド性ポリマーと段階1)の結合反応下で反応させる段階を含む、生理活性ポリペプチド結合体の製造方法を提供する。
【0010】
本発明の一つの具体例は、前記沈殿された生理活性ポリペプチドを溶解した後、非ペプチド性ポリマーと結合させる段階を含むものである、製造方法を提供する。
【0011】
本発明のもう一つの具体例は、前記段階1)の反応混合物が、反応混合物の総重量に対して結合されていない生理活性ポリペプチドを10重量%以上含むものであるる、製造方法を提供する。
【0012】
本発明のもう一つの具体例は、前記段階1)の選択的沈殿が、有機溶媒を用いて行われる、製造方法を提供する。
【0013】
本発明のもう一つの具体例は、前記有機溶媒が、イソプロパノールである、製造方法を提供する。
【0014】
本発明のもう一つの具体例は、前記段階1)の反応混合物を反応混合物の容積の2倍以上のイソプロパノールで処理するものである、製造方法を提供する。
【0015】
本発明のもう一つの具体例は、 前記段階1)の反応混合物を反応混合物の容積の3〜7倍のイソプロパノールで処理する、製造方法を提供する。
【0016】
本発明のもう一つの具体例は、前記段階2)が、回収された生理活性ポリペプチドを非ペプチド性ポリマーと0.5時間〜4.0時間反応させることである、製造方法を提供する。
【0017】
本発明のもう一つの具体例は、 前記生理活性ポリペプチドが、インスリン分泌ペプチド、血液凝固因子、消化促進ホルモン、インスリン、オキシントモジュリン、グルカゴン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン、腸内ホルモン、サイトカイン、酵素、成長因子、ニューロペプチド(neuropeptide)、下垂体ホルモン、視床下部ホルモン、抗肥満ペプチド、抗ウイルスペプチド及び生理活性を有する非天然型ペプチド誘導体からなる群から選択されるものである、製造方法を提供する。
【0018】
本発明のもう一つの具体例は、 前記生理活性ポリペプチドが、赤血球増殖因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM‐CSF)、アミリン、ソマトスタチン、PYY(peptide YY)、NPY(neuropeptide Y)、アンジオテンシン、ブラジキニン、カルシトニン、副腎皮質刺激ホルモン(corticotropin )、エレドイシン(eledoisin)、ガストリン、レプチン、オキシトシン(oxytocin)、バソプレシン(vasopressin)、黄体形成ホルモン、黄体刺激ホルモン、卵胞刺激ホルモン、副甲状腺ホルモン、シクレチン(secretin)、セルモレリン(sermorelin )、ヒト成長ホルモン(hGH)、成長ホルモン放出ペプチド、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)類、インターフェロン(IFN)類、インターロイキン(interleukin)類、プロラクチン放出ペプチド、オレキシン(orexin)、甲状腺放出ペプチド、コレシストキニン(cholecystokinin)、ガストリン抑制ペプチド、カルモジュリン、ガストリン放出ペプチド(gastric releasing peptide)、モチリン(motilin)、血管作用性腸管ペプチド(vasoactive intestinal peptide)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(atrial natriuretic peptide; ANP)、バリンナトリウム利尿ペプチド(barin natriuretic peptide; BNP)、C‐型ナトリウム利尿ペプチド(C‐type natriuretic peptide; CNP)、ニューロキニン(neurokinin)A、ニューロメジン(neuromedin)、レニン(renin)、エンドセリン(endothelin)、サラフォトキシンペプチド(sarafotoxin peptide)、カルソモルフィンペプチド(carsomorphin peptide)、デルモルフィン(dermorphin)、ダイノルフィン(dynorphin)、エンドルフィン(endorphin)、エンケファリン(enkepalin)、T細胞因子、腫瘍壊死因子、腫瘍壊死因子受容体、ウロキナーゼ受容体、腫瘍抑制因子、コラゲナーゼ抑制剤、チモポエチン(thymopoietin)、チムリン(thymulin)、チモペンチン(thymopentin)、チモシン(tymosin)、胸腺体液性因子(thymic humoral factor)、アドレノモデュリン(adrenomodullin)、アラトスタチン(allatostatin)、アミロイドベータプロテイン断片(amyloid beta‐protein fragment)、抗菌性ペプチド、抗酸化剤ペプチド、ボンベシン(bombesin)、オステオカルシン(osteocalcin)、CARTペプチド、E‐セレクチン(selectin)、ICAM‐1、VCAM‐1、ロイコカイン(leucokine)、クリングル(kringle)‐5、ラミニン(laminin)、インヒビン(inhibin)、ガラニン(galanin)、フィブロネクチン(fibronectin)、パンクレアスタチン(pancreastatin)及びフューゼオン(fuzeon)からなる群から選択されるものである、製造方法を提供する。
【0019】
本発明のもう一つの具体例は、前記生理活性ポリペプチドが、エキセンディン、エキセンディン誘導体、インスリン、インスリン誘導体またはこれらの組み合わせである、製造方法を提供する。
【0020】
本発明のもう一つの具体例は、前記エキセンディン誘導体が、デス‐アミノ‐ ヒスチジル(DA)‐ エキセンディン‐4、ベータ‐ヒドロキシ‐イミダゾ‐プロピオニル(HY)‐エキセンディン‐4、イミダゾ‐アセチル(CA)‐ エキセンディン‐4及びジメチル‐ヒスチジル(DM)‐エキセンディン‐4からなる群から選択されるものである、製造方法を提供する。
【0021】
本発明のもう一つの具体例は、前記非ペプチド性ポリマーが、エキセンディンまたはエキセンディン誘導体のLys27に結合するものである、製造方法を提供する。
【0022】
本発明のもう一つの具体例は、前記非ペプチド性ポリマーが、生理活性ポリペプチドであるインスリンまたはインスリンアナログβ鎖またはその誘導体のN‐末端に結合するものである、製造方法を提供する。
【0023】
本発明のもう一つの具体例は、前記非ペプチド性ポリマーが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール‐プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、生分解性高分子、脂質ポリマー、キチン類、ヒアルロン酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるものである、製造方法を提供する。
【0024】
本発明のもう一つの具体例は、前記非ペプチド性ポリマーが、ポリエチレングリコールである、製造方法を提供する。
【0025】
本発明のもう一つの具体例は、前記非ペプチド性ポリマーが、アルデヒドグループ、プロピオンアルデヒドグループ、ブチルアルデヒドグループ、マレイミドグループ及びスクシンイミド誘導体からなる群から選択される1つ以上の反応基を含むものである、製造方法を提供する。
【0026】
本発明のもう一つの具体例は、前記非ペプチド性ポリマーが、反応基としてアルデヒドグループを含むものである、製造方法を提供する。
【0027】
本発明のもう一つの具体例は、前記アルデヒドグループが、プロピオンアルデヒドグループである、製造方法を提供する。
【0028】
本発明のもう一つの具体例は、前記非ペプチド性ポリマーが、500Da〜100,000Daの分子量を有する、製造方法を提供する。
【0029】
本発明のもう一つの具体例は、前記段階2)の後、生理活性ポリペプチド結合体を分離する段階をさらに含む、製造方法を提供する。
【0030】
本発明のもう一つの具体例は、前記分離が、イオン交換クロマトグラフィーを用いて行われる、製造方法を提供する。
【0031】
本発明のもう一つの具体例は、前記イオン交換クロマトグラフィーが、高圧イオン交換クロマトグラフィーである、製造方法を提供する。
【0032】
本発明の他の一つの態様は、生理活性ポリペプチドと生理活性担体の結合体(生理活性ポリペプチド‐生理活性担体結合体、ポリペプチド‐担体結合体)の製造方法を提供する。前記製造方法は、前記生理活性ポリペプチド結合体の製造方法で製造された生理活性ポリペプチド結合体の非ペプチド性ポリマーと生理活性担体を共有結合で連結して、非ペプチド性ポリマーの両末端がそれぞれ生理活性担体と生理活性ポリペプチドと結合された結合体(生理活性ポリペプチド‐生理活性担体結合体、ポリペプチド‐担体結合体)を生成する段階を含む、生理活性ポリペプチド‐生理活性担体結合体の製造方法を提供する。
【0033】
本発明の一つの具体例は、前記生理活性担体が、アルブミン、免疫グロブリンFc領域、トランスフェリン、アプタマー、トキシン、ゼラチン、コラーゲン、デキストラン、多糖類、脂肪酸、及びフィブリノゲンからなる群から選択されるものである、製造方法を提供する。
【0034】
本発明のもう一つの具体例は、前記生理活性担体が、免疫グロブリンFc領域である、製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0035】
本発明の製造方法は、選択的沈殿法を介する2段階の反応により、非ペプチド性ポリマー‐生理活性ポリペプチドの結合体及び生理活性ポリペプチド‐生理活性担体結合体を高収率で生産することができ、生体内の活性が比較的高く維持されて、血中半減期が著しく増加した様々なペプチド薬物の持続型剤形の開発に有用に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の一つの態様は、 1)生理活性ポリペプチドのアミノ酸残基に非ペプチド性ポリマーを結合させる反応混合物から、非ペプチド性ポリマーが結合されていない生理活性ポリペプチドを選択的に沈殿させる段階;及び2)前記沈殿物から回収された生理活性ポリペプチドを非ペプチド性ポリマーと段階1)の結合反応下で反応させる段階を含む、生理活性ポリペプチド結合体の製造方法を提供する。
【0038】
本発明で用語、「生理活性ポリペプチド結合体」は、生理活性ポリペプチドと非ペプチド性ポリマーの一末端が共有結合で連結された物質を意味する。本発明で、前記生理活性ポリペプチド結合体は非ペプチド性ポリマー‐生理活性ポリペプチド結合体と混用される。
【0039】
本発明の段階1)では、(1次)結合反応混合物で非ペプチド性ポリマーが結合されていない生理活性ポリペプチドを選択的に沈殿させることを特徴とする。前記(1次)結合反応は、非ペプチド性ポリマーと生理活性ポリペプチドを結合、具体的に、特異的に結合、より具体的に、位置特異的に結合させる。
【0040】
本発明で、前記「非ペプチド性ポリマーが結合されていない生理活性ポリペプチド」は、「未反応生理活性ポリペプチド」または「結合されていない生理活性ポリペプチド」と混用される。
【0041】
本発明で用語、「位置特異的」とは、生理活性ポリペプチドのアミノ酸のうち、非ペプチド性ポリマーと結合させようとするアミノ酸位置に非ペプチド性ポリマーが特異的に結合すること、具体的に、リジン残基またはN‐末端残基のアミンに特異的に結合することを意味する。このように、位置特異的に非ペプチド性ポリマーを結合させる場合、製造しようとする生理活性が極大化された持続性製剤は、他の物質の存在、目的としない結合体、例えば、生理活性に重要なアミノ酸残基と非ペプチド性ポリマーが結合した結合体による生理活性の減少が防止されうる。例えば、エキセンディン‐4の場合、非ペプチド性ポリマーが生理活性ポリペプチドのN‐末端に結合する場合、インビトロ活性が低下する一方、非ペプチド性ポリマーがリジン残基に結合した場合はインビトロ活性が維持される。特に、エキセンディン‐4の12番目または27番目のリジン残基の中でも27番目のリジン残基に非ペプチド性ポリマーが結合される場合、より高いインビトロ活性を示す。
【0042】
したがって、本発明の一態様で、生理活性ポリペプチドがエキセンディンまたはエキセンディン誘導体である場合、前記非ペプチド性ポリマーは位置特異的にエキセンディンまたはエキセンディン誘導体の12番目または27番目のリジンに結合することができ、具体的には27番目のリジンに結合することができるが、これに限定されない。このような、エキセンディンのPEG化方法は特許文献2に詳細に記述されており、これは参考文献として本発明の範囲に含まれる。
【0043】
本発明で用語、「選択的沈殿」は、非ペプチド性ポリマーと生理活性ポリペプチドを結合させる反応混合物から生成された非ペプチド性ポリマー‐生理活性ポリペプチド結合体は水溶液中に残り、反応しない生理活性ポリペプチドは選択的に沈殿されることを意味する。
【0044】
本発明で、選択的沈殿は前記反応混合物で未反応生理活性ポリペプチドを沈殿させることができれば、制限なく様々な方法を用いてもよい。例えば、広く公知された沈殿方法の実施例は、以下の通りである:
1.塩析(salting out)、
2.等電沈殿(isoionic precipitation)、
3.C2有機助溶媒沈殿(two‐carbon(C2)organic cosolvent precipitation)、
4.C4及びC5有機助溶媒沈殿(C4 and C5、organic cosolvent precipitation)、段階別分離(phase partitioning)、及びポリペプチド抽出、
5.ポリペプチド排除(polypeptide exclusion)、クラウディング剤[(crowding agents(中性ポリマー)]及び浸透物質(osmolytes)、
6.合成及び半合成の高分子電解質の沈殿(Synthetic and semisynthetic polyelectrolyte precipitation)、
7.金属及びポリフェノールのヘテロポリ陰イオン沈殿(Metallic and polyphenolic heteropolyanion precipitation)、
8.疎水性イオン対(HIP)強化リガンド[Hydrophobic ion pairing(HIP)entanglement ligands]、
9.マトリックススタッキングリガンド共同沈殿(Matrix‐stacking‐ligand coprecipitation)、
10.2価及び3価金属陽イオン沈殿(Di‐ and trivalent metal cation precipitation)。
【0045】
前記選択的沈殿は、前記記載されたそれぞれの方法またはこれらの適切な組み合わせを用いてもよい。
【0046】
具体的に、有機溶媒を前記反応混合物に添加して未反応生理活性ポリペプチドを選択的に沈殿させてもよいが、これに限定されない。
【0047】
また、前記有機溶媒は、具体的に、アルコール、ケトン、ニトリルまたはこれらの組み合わせ、より具体的に、エタノール、イソプロパノール、1‐プロパノール、1‐ブタノール、アセトン、アセトニトリルまたはこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されない。また、前記有機溶媒は、未反応生理活性ポリペプチドの選択的沈殿のために反応混合物に反応混合物体積の2倍以上、具体的には2〜7倍、より具体的に、3〜7、4〜7または5〜7倍、さらに具体的には、3〜7倍添加してもよいが、これに限定されない。
【0048】
本発明で、選択的沈殿に用いられる前記反応混合物は、未反応生理活性ポリペプチドを反応混合物の総重量に対して10重量%以上、具体的に20重量%以上含んでもよいが、これに限定されない。
【0049】
本発明で用語、「生理活性ペプチド」は、人体内で生理活性を示すようにする物質を意味する。本発明で、生理活性ペプチドは生理活性を示すことができるペプチドはすべて該当されてもよい。例えば、インスリン分泌ペプチド、血液凝固因子、 消化促進ホルモン、グルカゴン、インスリン、オキシントモジュリン(oxintomodulin)、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン、腸内ホルモン、サイトカイン、酵素、成長因子、ニューロペプチド(neuropeptide)、下垂体ホルモン、視床下部ホルモン、抗肥満ペプチド、抗ウイルスペプチド及び生理活性を有する非天然型ペプチド誘導体からなる群から選択されてもよいが、これに限定されない。
【0050】
また、 赤血球増殖因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM‐CSF)、アミリン、ソマトスタチン、PYY(peptide YY)、NPY(neuropeptide Y)、アンジオテンシン、ブラジキニン、カルシトニン、副腎皮質刺激ホルモン(corticotropin )、エレドイシン(eledoisin)、ガストリン、レプチン、オキシトシン(oxytocin)、バソプレシン(vasopressin)、黄体形成ホルモン、黄体刺激ホルモン、卵胞刺激ホルモン、副甲状腺ホルモン、シクレチン(secretin)、セルモレリン(sermorelin )、ヒト成長ホルモン(hGH)、成長ホルモン放出ペプチド、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)類、インターフェロン(IFN)類、インターロイキン(interleukin)類、プロラクチン放出ペプチド、オレキシン(orexin)、甲状腺放出ペプチド、コレシストキニン(cholecystokinin)、ガストリン抑制ペプチド、カルモジュリン、ガストリン放出ペプチド(gastric releasing peptide)、モチリン(motilin)、血管作用性腸管ペプチド(vasoactive intestinal peptide)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(atrial natriuretic peptide; ANP)、バリンナトリウム利尿ペプチド(barin natriuretic peptide; BNP)、C‐型ナトリウム利尿ペプチド(C‐type natriuretic peptide; CNP)、ニューロキニン(neurokinin)A、ニューロメジン(neuromedin)、レニン(renin)、エンドセリン(endothelin)、サラフォトキシンペプチド(sarafotoxin peptide)、カルソモルフィンペプチド(carsomorphin peptide)、デルモルフィン(dermorphin)、ダイノルフィン(dynorphin)、エンドルフィン(endorphin)、エンケファリン(enkepalin)、T細胞因子、腫瘍壊死因子、腫瘍壊死因子受容体、ウロキナーゼ受容体、腫瘍抑制因子、コラゲナーゼ抑制剤、チモポエチン(thymopoietin)、チムリン(thymulin)、チモペンチン(thymopentin)、チモシン(tymosin)、胸腺体液性因子(thymic humoral factor)、アドレノモデュリン(adrenomodullin)、アラトスタチン(allatostatin)、アミロイドベータプロテイン断片(amyloid beta‐protein fragment)、抗菌性ペプチド、抗酸化剤ペプチド、ボンベシン(bombesin)、オステオカルシン(osteocalcin)、CARTペプチド、E‐セレクチン(selectin)、ICAM‐1、VCAM‐1、ロイコカイン(leucokine)、クリングル(kringle)‐5、ラミニン(laminin)、インヒビン(inhibin)、ガラニン(galanin)、フィブロネクチン(fibronectin)、パンクレアスタチン(pancreastatin)及びフューゼオン(fuzeon)からなる群から選択されてもよいが、これに限定されない。
【0051】
それだけではなく、これらの生理活性ポリペプチドにはポリペプチドが有する生理活性を有するポリペプチドの前駆物質(precursors)、誘導体(derivatives)、断片(fragments)及び変異体(variants)なども含まれる。
【0052】
また、具体的に、前記の生理活性ポリペプチドは、エキセンディン、GLP‐1、インスリン、オキシントモジュリン、グルカゴン及びその誘導体、またはカルシトニンであってもよいが、これに限定されない。本発明で前記エキセンディン誘導体は、例えば、アミノ酸残基の一部のグループが、化学的に置換(例えば、α-メチル化、α-ヒドロキシ化)、除去(例えば、脱アミノ化)、修飾(例えば、N-メチル化)またはこれらの組み合わせによって製造されてもよいが、このようなエキセンディン誘導体は、特許文献3に詳しく記述されている。また、前記エキセンディン誘導体は、具体的に、デス‐アミノ‐ヒスチジル(DA)‐エキセンディン‐4、ベータ‐ヒドロキシ‐イミダゾ‐プロピオニル(HY)‐エキセンディン‐4、イミダゾ‐アセチル(CA)‐ エキセンディン‐4及びジメチル‐ヒスチジル(DM)‐エキセンディン‐4からなる群から選択されてもよいが、これに限定されない。
【0053】
本発明で用語、「非ペプチド性ポリマー」は、繰り返し単位が1つ以上結合された生体適合性ポリマーを意味し、前記繰り返し単位はペプチド結合ではなく、任意の共有結合を介して互いに連結される。
【0054】
本発明に使用可能な非ペプチド性ポリマーは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖類、デキストラン、ポリビニルエチルエーテル、PLA(ポリ乳酸、polylactic acid)、PVP(Polyvinylpyrrolidone)及びPLGA(ポリ乳酸‐グリコール酸、polylactic-glycolic acid)のような生分解性高分子、脂質重合体、キチン類、ヒアルロン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよく、具体的には、ポリエチレングリコールであるが、これに限定されない。当該分野ですでに知られているこれらの誘導体及び当該分野の技術水準で容易に製造しうる誘導体も、本発明の範囲に含まれる。
【0055】
前記非ペプチド性ポリマーは、生理活性ポリペプチドが活性を十分に発揮できるように、生体内のタンパク質分解酵素によって容易に切断されない生体内のタンパク質分解酵素に抵抗性のあるポリマーであれば、制限なく用いてもよい。これらの非ペプチド性ポリマーの分子量は、0.5〜100kDaの範囲、具体的には、0.5〜20kDaの範囲である。また、前記生理活性ポリペプチドと結合する本発明の非ペプチド性ポリマーは、一種類のポリマーだけでなく、相異する種類のポリマーの組み合わせを用いてもよい。
【0056】
また、本発明で非ペプチド性ポリマーは、一方の末端にのみ反応基を有するか、または両末端に反応基を有してもよい。反応基を両末端に有する非ペプチド性ポリマーの場合、持続型製剤としての機能を可能にする生理活性担体及びタンパク質薬物と結合してもよい。
【0057】
具体的に、前記非ペプチド性ポリマーの末端反応基は、アルデヒドグループ、プロピオンアルデヒドグループ、ブチルアルデヒドグループ、マレイミド(maleimide)グループ及びスクシンイミド誘導体(succinimide)からなる群から選択されてもよく、より具体的に、アルデヒドグループ、さらに具体的に、プロピオンアルデヒドグループであってもよいが、これに限定されない。前記スクシンイミド誘導体としては、スクシンイミジルプロピオネート、ヒドロキシスクシンイミジル、スクシンイミジルカルボキシメチルまたはスクシンイミジルカルボネートを用いてもよい。特に、前記非ペプチド性ポリマーが末端に反応アルデヒドグループの反応基を有する場合、非特異的反応を最小化し、非ペプチド性ポリマーの末端で生理活性ポリペプチド及び生理活性担体とそれぞれ結合するのに効果的である。また、アルデヒド結合による還元性アルキル化で生成された最終的な産物は、アミド結合で連結されたものよりもはるかに安定的である。また、アルデヒド反応基は、低いpH、例えばpH2.0〜7.0、具体的には、pH3.0〜6.0、より具体的には、pH4.0〜6.0でアミノ末端に選択的に反応することができる。また、アルデヒド反応基は、高いpH、例えば、pH6.5〜9.0、具体的には、pH6.5〜8.0、より具体的には、pH6.5〜7.5の条件では、リジン残基と共有結合を形成することができる。
【0058】
また、本発明で非ペプチド性ポリマーの両末端の反応基は、互いに同じであるか、または異なってもよい。両末端にヒドロキシ反応基を有するポリエチレングリコールを非ペプチド性ポリマーとして用いる場合は、公知の化学反応によって、前記ヒドロキシ基を様々な反応基として活性化するか、商業的に入手可能な変形された反応基を有するポリエチレングリコールを用いて製造してもよい。
【0059】
本発明の具体的な一実施例では、前記非ペプチド性ポリマーは末端にアルデヒドグループを有するポリエチレングリコールであり、段階1)の結合反応は、位置特異的PEG化であってもよい。前記位置特異的PEG化は、当業界に公知された方法、例えば、リジンのε‐アミノ基のようなアミノ基、または生理活性ポリペプチドのN‐末端に対する還元的アミン化(reductive amination)によって行われてもよい。
【0060】
本発明で用語、「生理活性ポリペプチド結合体」は、生理活性ポリペプチドと非ペプチド性ポリマーの一末端が共有結合で連結された物質を意味する。本発明で、生理活性ポリペプチド結合体は非ペプチド性ポリマー‐生理活性ポリペプチド結合体と混用される。
【0061】
また、本発明で生理活性ポリペプチドと非ペプチド性ポリマーの反応において、反応モル比は、生理活性ポリペプチドと非ペプチド性ポリマーが共有結合を形成する限り、制限はないが、生理活性ポリペプチド:非ペプチド性ポリマーが1:1〜1:30である範囲内で適切に選択されてもよい。
【0062】
また、本発明で生理活性ポリペプチドと非ペプチド性ポリマーの反応において、反応時間は、生理活性ポリペプチドと非ペプチド性ポリマーが共有結合を形成するかぎり、制限はないが、具体的には、0.5〜4.0時間、より具体的には、0.5〜2.0時間であってもよいが、これに限定されない。
【0063】
また、本発明で生理活性ポリペプチドと非ペプチド性ポリマーの反応において、反応温度は、生理活性ポリペプチドと非ペプチド性ポリマーが共有結合を形成する限り、制限はないが、具体的には、0〜14℃、または15〜30℃、より具体的に、4〜8℃または20〜25℃であってもよいが、これに限定されない。
【0064】
また、本発明で生理活性ポリペプチドと非ペプチド性ポリマーの反応において、生理活性ポリペプチドの濃度は、生理活性ポリペプチドと非ペプチド性ポリマーが共有結合を形成する限り、制限はないが、具体的に、1〜25mg/ml、より具体的に、5〜18mg/mlであってもよいが、これに限定されない。
【0065】
本発明の一態様は、変異されたエキセンディン‐4がポリエチレングリコール(PEG)に結合された生理活性ポリペプチド結合体の製造方法を提供する。本発明の具体的な一実施例では、両末端にアルデヒド官能基を有する、3.4kDaのポリエチレングリコール(例えば、3.4K ALD(2)PEG)を変異されたエキセンディン‐4であるイミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4(CA‐エキセンディン‐4)のLys位置にPEG化させるために、ペプチドとPEGのモル比を約1:7.5、ペプチドの濃度を約5〜18mg/mlにして、0.5〜4.0時間に4〜8℃及び20〜25℃で還元剤である20mM シアノ水素化ホウ素ナトリウム(sodium cyanoborohydride、SCB、NaCNBH3)を添加した100mM HEPES pH6.5〜7.5緩衝液で反応させることができる。具体的に、ペプチド15mg/mlで3時間に4〜8℃で反応させた後、クエン酸pH2.0緩衝液とKCl線形濃度勾配方法を適用したSOURCE 15Sカラムを用いて、前記各反応液からイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4‐PEGを分離することができる。例えば、本発明者らは、反応混合物から(PEG)n‐イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4+イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4‐PEG(Lys12)が約10〜40%、イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4‐PEGが約40〜50%、未反応イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4が約20〜50%の含量を占めることを確認した(表1及び2)。
【0066】
また、本発明の他の一態様は、インスリンアナログがポリエチレングリコール(PEG)に結合された生理活性ポリペプチド結合体の製造方法を提供する。前記インスリンアナログは3.4K ALD(2)PEGをインスリンアナログのβ鎖のN‐末端にPEG化させるために、ペプチドとPEGのモル比を約1:4、ペプチドの濃度を約5〜18mg/mlにして、0.5〜4.0時間に4〜8℃及び20〜25℃で還元剤である3〜5mMのシアノ水素化ホウ素ナトリウム(sodium cyanoborohydride、SCB、NaCNBH3)を添加した50mMクエン酸ナトリウムpH4.0〜6.0緩衝液で反応させることができる。具体的に、ペプチド5mg/mlで2時間に4〜8℃で反応させた後、クエン酸pH3.0緩衝液とKCl線形濃度勾配方法を適用したSP‐HPカラムを用いて、前記各反応液からインスリンアナログを分離することができる。例えば、本発明者らは、反応混合物で(PEG)n‐インスリンアナログが約10〜20%、インスリンアナログ‐PEGが約50〜60%、未反応インスリンアナログが約5〜20%の含量を占めることを確認した。
【0067】
また、本発明の具体的な一実施例では、前記CA‐エキセンディン‐4またはインスリンアナログのPEG化された結合体の反応混合物に(反応混合物の体積の)2倍以上、具体的には、3〜7倍のイソプロパノールを添加して反応させた。前記イソプロパノールを処理した反応液で、PEG化された結合体(CA‐エキセンディン‐4またはインスリンアナログの結合体)を含む水溶液と結合してない生理活性ポリペプチドの沈殿物、例えば、PEG化されていない未反応イミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4または未反応インスリンアナログを分離した(
図4及び5)。例えば、水溶液を精製し(
図6及び9)、その結果、本発明者らは水溶液に含まれた(PEG)n‐イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4+イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4‐PEG (Lys12)が約10〜40%、イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4‐PEGが約40〜50%、未反応イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4が約5〜15%の含量を占めることを確認した。また、分離されたイミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4の沈殿物は15〜30%の含量であることを確認した。インスリンアナログの場合、水溶液は10〜20%の(PEG)n‐インスリンアナログ、50〜60%のインスリンアナログ‐PEG、及び約5〜15%の未反応(PEG)n‐インスリンアナログを含む。
【0068】
また、本発明の具体的な一実施例では、イソプロパノールの処理前後のイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4の変化を確認した結果、イソプロパノールの処理前後の両方が同じ状態で(
図19及び20)、1次構造が同一であり(
図21)、2次構造の含量が同じで(
図22及び表7)、同等の活性を有することが分かった(
図23及び表8)。これにより、イソプロパノールの処理による選択的沈殿法は、生理活性ポリペプチドであるイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4に否定的な影響を及ぼさないことが分かった。
【0069】
本発明でイミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4‐PEGは、イミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4‐PEG(Lys27)、イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4(Lys27)‐PEG、CA‐エキセンディン‐4‐PEG及びCA‐エキセンディン‐4‐PEG(Lys27)と混用される。
【0070】
本発明の段階2)では、前記段階1)の沈殿物から回収された生理活性ポリペプチドを用いて、非ペプチド性ポリマー‐生理活性ポリペプチド結合体を製造するために、前記生理活性ポリペプチドを非ペプチド性ポリマーと結合させる、2次反応混合物を生成させることを特徴とする。具体的に、前記沈殿された生理活性ポリペプチドを溶解した後、非ペプチド性ポリマーと結合、具体的に、特異的結合、より具体的に、位置特異的に結合させてもよいが、これに限定されない。前記2次反応混合物及び前記1次反応混合物に選択的沈殿法が適用されて形成された水溶液は、製造された非ペプチド性ポリマー‐生理活性ポリペプチド結合体を含有している。
【0071】
本発明で、前記沈殿された生理活性ポリペプチドと非ペプチド性ポリマーの反応条件は、沈殿された生理活性ポリペプチドと非ペプチド性ポリマーが共有結合を形成する限り制限はないが、具体的に、前記段階1)の反応条件で行ってもよい。
【0072】
特に、前記沈殿された生理活性ポリペプチドと非ペプチド性ポリマーの反応時間は、具体的に、0.5〜4.0時間、より具体的には、0.5〜2.0時間であってもよいが、これに限定されない。
【0073】
本発明の具体的な一実施例では、実施例3でイソプロパノールを処理して、選択的沈殿化を介して分離されたイミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4沈殿物の約20〜30%を再使用してPEG化を行った結果、未PEG化イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4沈殿物の再PEG化反応液の精製結果、前記反応液で(PEG)n‐イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4+イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4‐PEG(Lys12)が約15〜40%、イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4‐PEGが40〜50%、未反応イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4が約10〜40%の含量を占めることを確認した(
図7) 。
【0074】
また、本発明の製造方法は、前記段階2)の後、生理活性ポリペプチド結合体を分離する段階をさらに含んでもよい。この過程は、当業界で知られているクロマトグラフィーのような様々な物質の分離方法を用いて行ってもよい。具体的に、イオン交換クロマトグラフィー、より具体的に、高圧イオン交換クロマトグラフィーを用いてもよいが、これに限定されない。
【0075】
本発明では、前記1次反応混合物、1次反応混合物に選択的沈殿法が適用されて形成された水溶液、2次反応混合物またはこれらの組み合わせから生理活性ポリペプチド結合体を分離してもよい。
【0076】
特に、1次反応混合物に選択的沈殿法が適用されて形成された水溶液及び前記沈殿された生理活性ポリペプチドを用いて形成された2次反応混合物を合わせて、これから生理活性ポリペプチド結合体を分離する場合、1次反応混合物から分離する場合に比べて生理活性ポリペプチド結合体の収率が大幅に増加する。
【0077】
本発明の具体的な一実施例では、1次反応混合物に選択的沈殿法が適用されて形成された水溶液;及び未反応イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4またはインスリンアナログを含有した沈殿物を再溶解してPEG化反応を行った2次反応混合物を合わせて、クエン酸pH2.0〜3.0緩衝液とKCl線形濃度勾配方法を適用したSOURCE 15SカラムまたはSP‐HPカラムで分離した結果、選択的沈殿法を適用したPEG化方法によって製造されたイミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4‐PEG結合体の収率が既存のPEG化方法による収率より非常に高いことを確認した(
図11及び表4)。
【0078】
また、本発明の具体的な一実施例では、既存のPEG化方法及びイソプロパノールを用いた選択的沈殿法を適用したPEG化方法によるイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4の純度が97%と同等であり、PEG化の位置純度も同様であることを確認した(表5)。
【0079】
また、本発明の別の態様は、前記生理活性ポリペプチド結合体の製造方法で製造された生理活性ポリペプチド結合体の非ペプチド性ポリマーと生理活性担体を共有結合で連結して、非ペプチド性ポリマーの両末端がそれぞれ生理活性担体及び生理活性ポリペプチドと結合された結合体を生成する段階を含む、生理活性ポリペプチド‐生理活性担体結合体の製造方法を提供する。
【0080】
本発明の具体的な一態様で、選択的沈殿法を介した2段階の位置特異的PEG化反応で製造された生理活性ポリペプチドの結合体を用いて、生理活性ポリペプチド‐生理活性担体結合体(ポリペプチド‐担体結合体)を高収率及び高純度で生産することができる。前記生理活性ポリペプチド‐生理活性担体結合体は、生理活性ポリペプチド結合体とは全く異なる活性、つまり、生理活性ポリペプチドの薬理効果の持続性の延長、治療を希望する病巣のような特定部位のターゲッティングまたは細胞の壊死誘導などの優れた生理活性を有する。
【0081】
本発明で、前記生理活性ポリペプチド‐生理活性担体結合体内の非ペプチド性ポリマーは、生理活性ポリペプチドと生理活性担体と結合するために両末端を有する非ペプチド性ポリマーでなければならない。すなわち、前記生理活性ポリペプチド結合体の共有結合されない非ペプチド性ポリマーの末端に生理活性担体を共有結合で連結させて、非ペプチド性ポリマーの両末端がそれぞれ生理活性ポリペプチド及び生理活性担体と結合された生理活性ポリペプチド‐生理活性担体結合体を製造することができる。
【0082】
本発明で用語、「生理活性担体」は、非ペプチド性ポリマーの生理活性ポリペプチドと一緒に結合されて、生理活性ポリペプチドの薬理効果のような生理活性を持続させるか、または特定部位のターゲッティングまたは細胞壊死を誘導させる、前記生理活性ポリペプチドが有する生理活性とは別の付加的な活性を示す生理活性物質を意味する。
【0083】
本発明で用いられる生理活性担体は、前記のような活性を有する物質は制限なく用いられてもよいが、例えば、アルブミン、免疫グロブリンFc領域、トランスフェリン、アプタマー、トキシン、ゼラチン、コラーゲン、デキストラン、多糖類、脂肪酸及びフィブリノーゲンなどが挙げられる。具体的には、生理活性担体は、アルブミン、免疫グロブリンFc領域またはトランスフェリンであってもよく、より具体的には、免疫グロブリンFc領域であってもよいが、これに限定されない。
【0084】
本発明の免疫グロブリンFc領域は、免疫グロブリンの重鎖と軽鎖可変領域、重鎖不変領域1(CH1)と軽鎖不変領域(CL1)を除いた、重鎖不変領域2(CH2)及び重鎖不変領域3(CH3)の部分を意味し、重鎖不変領域にヒンジ(hinge)部分を含むこともある。また、天然型の免疫グロブリンFcと実質的に同等または向上された効果を有する限り、免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖可変領域のみを除いて、一部または全部の重鎖不変領域1(CH)及び/または軽鎖不変領域1(CL1)を含む拡張された免疫グロブ
リンFc領域であってもよく、リン酸化、硫化、アクリル化、糖化、メチル化、ファルネシル化、アセチル化及びアミル化などで修飾される免疫グロブリンFc領域などを全て含む。これらの免疫グロブリンFcの範囲、製造方法及び免疫グロブリンFcを非ペプチド性ポリマー‐生理活性ポリペプチド結合体に共有結合させる方法は、特許文献4〜7等に詳細に記述されており、これらは参考文献として、本発明の範囲に含まれる。
【0085】
本発明の一態様で、生理活性ポリペプチド結合体は、生理活性ポリペプチドの特定アミノ酸に位置特異的に非ペプチド性ポリマーが結合されており、生理活性が最も優れた生理活性ポリペプチド結合体の他の付加的な結合体の生成を最小限に抑えることができる。これにより、薬理学的に価値のある生理活性ポリペプチド結合体の収率を増加させることができるという効果を有する。
【0086】
本発明の具体的な一実施例では、既存のPEG化方法及びイソプロパノールを用いた選択的沈殿法を適用したPEG化方法によるイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4(Lys27)‐PEG結合体を、それぞれヒト免疫グロブリンFc断片と結合させて、イミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4‐免疫グロブリンFCの純度及び収率を分析した結果、純度は27.6%で同じであるが(表5)、収率は選択的沈殿法を適用したPEG化方法で製造されたイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4‐免疫グロブリンFc結合体が既存の方法に比べて高いことが分かった。
【0087】
本発明でイミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4‐免疫グロブリンFCは、CA‐エキセンディン‐4‐PEG‐免疫グロブリン Fcまたは免疫グロブリンFC‐CA‐エキセンディン‐4‐PEG(Lys27)と混用される。
【0088】
(実施例)
以下、本発明を下記例により詳細に説明する。
【0089】
しかし、これらの例は本発明を例示的に説明するためのもので、本発明の範囲がこれらの例に限定されるものではない。
【0090】
実施例1.イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4(Imidazo‐acetyl exendin-4)のPEG化及び位置異性体の分離
3.4K ALD(2)PEG(アルデヒドグループを2つ有している、3.4kDaのPEG、NOF、日本)を用いてイミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4(CA‐エキセンディン‐4、Bachem、アメリカ)のLysにPEG化を行った。
【0091】
3.4K ALD(2)PEGをイミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4のLys位置にPEG化させるために、ペプチドとPEGのモル比を約1:3〜1:30、ペプチドの濃度を約5〜18mg/mlにして0.5〜4.0時間に4〜8℃及び20〜25℃で反応させた。この時の反応は、それぞれ100mM HEPES pH6.5〜7.5緩衝液で行われ、還元剤である20〜30mM SCB(NaCNBH
3)を添加して反応させた。具体的な反応条件及び下記のような方法で分離した結果を下記表1及び2に示した。また、具体的には、ペプチド15mg/mlで3時間に4〜8℃で反応させた後、下記のような方法で分離した結果を
図2に示した。
【0092】
クエン酸pH2.0〜4.0緩衝液とKCl線形濃度勾配方法を適用したSOURCE 15Sカラムを用いて、前記各反応液でマルチPEG化された形態(下記表1の(PEG)n‐イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4)及び未反応形態のような不純物とイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4‐PEGを分離した。
【0095】
その結果、(PEG)n‐イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4及びイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4‐PEG(Lys12)のピークが前方に出て、その後ろにLys27のPEG化されたピークが出て、未反応イミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4のピークが最後に出ることが分かった(
図2)。また、(PEG)n‐イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4+イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4‐PEG(Lys12)が約10〜40%、イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4‐PEGが約40〜50%、未反応イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4が約10〜50%の含量を占めることを確認した。
【0096】
実施例2.インスリンアナログのPEG化及び位置異性体の分離
3.4K ALD(2)PEGを用いて、インスリンアナログ(特許文献8、韓美薬品、韓国)のβ鎖のN‐末端にPEG化を行った。
【0097】
3.4K ALD(2)PEGをインスリンアナログのN‐末端にPEG化させるために、ペプチドとPEGのモル比を約1:4、ペプチドの濃度を約5〜18mg/mlにして0.5〜4.0時間に4〜8℃及び20〜25℃で反応させた。この時の反応は、それぞれ50mMのクエン酸ナトリウム pH4.0〜6.0緩衝液で行われ、還元剤である3〜5mM SCB(NaCNBH
3)を添加して反応させた。具体的には、ペプチド5mg/mlで2時間に4〜8℃で反応させた後、下記のような方法で分離した結果を
図3に示した。
【0098】
クエン酸pH2.0〜4.0緩衝液とKCl線形濃度勾配方法を適用したSP‐HPカラムを用い、前記各反応液からインスリンアナログ‐PEGを分離した。
【0099】
その結果、(PEG)n‐インスリンアナログのピークが前方に出て、その後ろにN‐末端にPEG化されたピークが出て、未反応インスリンアナログのピークが最後に出ることが分かった(
図3)。また、(PEG)n‐インスリンアナログが約10〜20%、インスリンアナログ‐PEGが約50〜60%、未反応インスリンアナログが約5〜20%の含量を占めることを確認した。
【0100】
実施例3.有機溶媒を用いた選択的沈殿を介してイミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4のPEG化及び未PEG化されたイミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4の分離
3.4K ALD(2)PEGをイミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4(CA‐エキセンディン‐4、Bachem、アメリカ)のLys位置にPEG化を行った。
【0101】
反応条件は実施例1と同様であった。PEG化反応液にイソプロパノール、1‐プロパノール、1‐ブタノール、アセトン、アセトニトリルを反応液体積の2倍以上添加して反応させた。具体的には、3〜7倍の有機溶媒を処理した。有機溶媒を処理した反応液でPEG化されたイミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4水溶液とPEG化されていない未反応イミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4沈殿物を分離した(
図4)。このうち、水溶液を実施例1と同様の方法で精製し(
図6)、精製された各分画の含量を表3に示した。
【0103】
水溶液に含まれた(PEG)n‐イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4+イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4‐PEG(Lys12)が約10〜40%、イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4‐PEGが約40〜50%、未反応イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4が約5〜15%の含量を占めることを確認した。また、分離されたイミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4沈殿物は15〜30%の含量であることを確認した(表3)。
【0104】
実施例4.有機溶媒を用いた選択的沈殿を介してインスリンアナログのPEG化及び未PEG化されたインスリンアナログの分離
3.4K ALD(2)PEGを用いてインスリンアナログ(米薬品、韓国)のβ鎖のN‐末端にPEG化を行った。
【0105】
反応条件は実施例2と同じであった。PEG化反応液にイソプロパノール、エタノール、1‐プロパノール、アセトン、アセトニトリルを反応液体積の2倍以上添加して反応させた。具体的には、3〜7倍の有機溶媒を処理した。有機溶媒を処理した反応液でPEG化されたインスリンアナログ水溶液とPEG化されていない未反応インスリンアナログ沈殿物を分離した(
図5)。このうち、水溶液を実施例2と同様の方法で精製した(
図9)。
【0106】
実施例5.未PEG化されたイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4の選択的沈殿物の再PEG化及び位置異性体の分離
3.4K ALD(2)PEG(アルデヒドグループを2つ有しているPEG、NOF、日本)をイミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4(CA‐エキセンディン‐4、Bachem、アメリカ)のLys位置にPEG化を行い、実施例3と同様の方法でイソプロパノールを処理して、選択的沈殿化を介して分離されたイミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4沈殿物の約20〜30%を再使用してPEG化を行った。
【0107】
3.4K ALD(2)PEGをイミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4沈殿物のLysにPEG化させるために、イミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4沈殿物とPEGのモル比を1:7.5、イミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4沈殿物を再溶解した反応液の濃度を約15mg/mlにして0.5〜2.0時間に20〜25℃で反応させた。この時の反応は、それぞれ100mM HEPES pH7.5緩衝液で行われ、還元剤である20mM SCB(NaCNBH
3)を添加して反応させた。精製方法は実施例1と同様であった。未PEG化されたイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4沈殿物の再PEG化反応液の精製結果、(PEG)n‐イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4+イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4‐PEG(Lys12)が約15〜40%、イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4‐PEGが40〜50%、未反応イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4が約10〜40%の含量を占めることを確認し(
図7)、1次PEG化の結果(表2)と同様の結果を示すことが分かった。
【0108】
実施例6.未PEG化されたインスリンアナログの選択沈殿物の再PEG化及び位置異性体の分離
3.4K ALD(2)PEGをインスリンアナログ(韓美薬品、韓国)のβ鎖のN‐末端にPEG化を行い、実施例4と同様の方法でイソプロパノールを処理して選択的沈殿化を介して分離されたインスリンアナログ沈殿物の約0.5〜10%を再使用してPEG化を行った。
【0109】
3.4K ALD(2)PEGをインスリンアナログ沈殿物のN‐末端にPEG化をさせるために、インスリンアナログ沈殿物とPEGのモル比を1:4、インスリンアナログ沈殿物を再溶解した反応液の濃度を約5〜18mg/mlにして0.5〜4.0時間に4〜8℃で反応させた。この時の反応は、それぞれ50mM クエン酸ナトリウム pH4.0〜6.0緩衝液で行われ、還元剤である3〜5mM SCB(NaCNBH
3)を添加して反応させた。精製方法は実施例2と同様であった。未PEG化されたインスリンアナログ沈殿物の再PEG化反応液の精製結果、(PEG)n‐インスリンアナログが約0〜15%、インスリンアナログ‐PEGが20〜40%、未反応インスリンアナログが約30〜45%の含量を占めることを確認した(
図10)。
【0110】
実施例7.PEG化されたイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4の水溶液及び再PEG化された沈殿物の混合物から位置異性体の分離後の収率確認
3.4K ALD(2)PEGをイミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4(CA‐エキセンディン‐4、Bachem、アメリカ)のLys位置にPEG化を行った。実施例1と同様の方法で反応させて、反応液に実施例3と同様の方法でイソプロパノールを処理して選択的沈殿をさせた後、沈殿物を実施例5と同様の方法で再PEG化させた。反応液にイソプロパノールを処理して得られた水溶液と再PEG化された沈殿物を合わせて、実施例1と同様の方法で精製して位置異性体を分離した(
図8)。
【0111】
精製の結果、(PEG)n‐イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4+イミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4(Lys12)‐PEGが約25〜30%、イミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4‐PEGが約50〜60%、未反応イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4が10〜20%の含量を占めることを確認した。
【0112】
また、選択的沈殿法を適用したPEG化方法によって製造されたイミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4‐PEG結合体の収率を既存のPEG化方法による収率と比較した結果を
図11及び下記表4に示した。その結果、選択的沈殿法を適用したPEG化方法が既存のPEG化方法よりも非常に高いイミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4‐PEG結合体の収率を有することを確認した。
【0114】
実施例8.イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4PEG化の位置異性体の分離後の純度確認
既存のPEG化方法及びイソプロパノールを用いた選択的沈殿法を適用したPEG化方法によるイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4の純度の差を確認するために、実施例1及び7の精製溶出液を用いて、それぞれHPLC逆相分析(RP)を行った(
図12及び13)。
【0115】
その結果、イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4の従来の方法に該当する実施例1及び選択的沈殿法を適用したPEG化方法に該当する実施例7の純度が97%で同等であることを確認した(表5)。
【0117】
実施例9.イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4PEG化の位置異性体の分離後のLys‐Cペプチドマッピング
イミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4にPEGが接合された位置を確認するために、タンパク質酵素であるリジン‐Cで切断した後、逆相クロマトグラフィーを用いて分析した。実験は、実施例1及び実施例7の精製された各PEG結合体;及びイミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4をトリエチルアミン‐塩酸緩衝液(10mmol/L;pH7.5)に1mg/mlの濃度で溶解した後、10μlの酵素(0.1mg/ml)を添加して、37℃で4時間反応させた。反応が終了した反応混合物を逆相クロマトグラフィーを用いて分析した(
図14及び15)。
【0118】
その結果、各反応によるPEG化位置純度を前記表5に示し、実施例1及び実施例7の精製されたそれぞれのPEG結合体は同様の純度を有することを確認した。
【0119】
実施例10.イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4‐免疫グロブリンFc結合体の製造
イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4‐免疫グロブリンFc結合体を製造するために、実施例1で得られたイミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4‐PEG結合体と韓美薬品(韓国)で購入したヒト免疫グロブリンFc断片を結合させた。イミダゾ‐アセチル‐エキセンディン‐4(Lys27)‐PEG結合体と免疫グロブリンFcのモル比を1:2.5、全体のタンパク質濃度を約10mg/mlにして4〜8℃で12〜16時間反応させた。反応溶液は、100mM HEPES pH8.2を用いて、ここに3%Triton X‐100及び還元剤である50mMのNaCNBH
3を添加した。結合反応後のカップリング反応液のHPLC逆相分析(RP)の結果(
図16)、イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4‐免疫グロブリンFc結合体の純度は27.6%であった(表5)。
【0120】
実施例11.選択的沈殿方法の適用によるイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4‐免疫グロブリンFc結合体の製造
実施例7で得られたイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4(Lys27)‐PEG結合体を韓美薬品(韓国)で購入したヒト免疫グロブリンFc断片と結合させた。実施例10と同様の方法で結合させ、純度を分析した。反応液のHPLC逆相分析の結果(
図17)、純度は27.6%であった(表5)。実施例7による収率向上がイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4‐免疫グロブリンFc結合体の収率向上に及ぼす結果を実施例1による収率と比較して
図18及び下記表6に示した。その結果、選択的沈殿法を適用したPEG化方法で製造されたイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4‐PEG結合体の収率が既存の方法に比べて高いため、選択的沈殿法を適用したPEG化方法で製造されたイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4‐PEG結合体を用いて、イミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4‐免疫グロブリンFc結合体を製造する場合、既存のPEG化方法を用いることより収率が高いことが分かった。
【0122】
実施例12.選択的沈殿法(イソプロパノールによる)の適用によるイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4の純度を確認するためのリジン‐Cペプチドマッピング
イソプロパノールの処理前後のイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4の状態の変化を確認するために、リジン‐Cペプチドマッピングを行った。
図19の結果は、イソプロパノール処理前の状態であり、
図20の結果は、選択的沈殿法の適用(イソプロパノール処理)後のイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4のマッピング結果である。分析の結果、処理前後の状態の両方は同じ状態であることが分かった。分析方法は実施例9と同様であった。
【0123】
実施例13.沈殿法(イソプロパノールによる)適用によるイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4の純度を確認するためのLC‐Mass
イソプロパノールの処理前後のイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4の1次構造であるタンパク質配列を確認するために、LC‐Mass分析を行った。分析の結果、選択的沈殿法の適用(イソプロパノール処理)の前後の1次構造が同一であることを確認した(
図21)。
【0124】
実施例14.沈殿法(イソプロパノールによる)適用によるイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4の2次構造を確認するための円偏光解析(CD spectroscopy)
イソプロパノール(IPA)の処理前後のイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4の2次構造の変化を確認するために、CD分析を行った。分析の結果、選択的沈殿法の適用(イソプロパノール処理)前後の2次構造の含量が同一であることを確認した(
図22及び表7)。
【0126】
実施例15.選択的沈殿法の適用前後のイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4のインビトロの活性測定
イソプロパノールの処理前後のイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4の持続型製剤の効力を測定するために、インビトロ細胞活性を測定する方法を用いた。GLP‐1のインビトロ活性測定方法は、GLP‐1受容体をクローニングしたCHO細胞を用いて、前記クローニングした細胞株にGLP‐1を処理することによる細胞内cAMPの増加有無を測定する方法である。
【0127】
本試験で用いられたインビトロ活性の測定方法は、CHO/GLP‐1、エキセンディ
ン‐4と試験物質を濃度別に処理した後、cAMP発生程度を測定してEC
50値を比較する試験で行った。イソプロパノール処理後のイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4の対照群としてイソプロパノール処理前のイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4を用いた。インビトロ活性測定の結果を
図23及び表8に示した。その結果、イソプロパノールの処理前後のイミダゾ‐アセチルエキセンディン‐4は同等の活性を有することが分かった。
【0129】
以上の説明から、本発明が属する技術分野の当業者は本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せず、他の具体的な形態で実施できることを理解できるだろう。これに関連し、以上で記述した実施例は、すべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解するべきである。本発明の範囲は、前記の詳細な説明ではなく、後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。