(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の第2相粒子の露出部分が、前記第2相体積分率の±25%以内の第2相面積分率で、前記マトリックスの前記露出部分に分散していることを特徴とする、請求項1記載の物品。
前記マトリックスが、実質的な疎水性によって特徴付けられるポリマー材料を含み、更に、前記マトリックスの前記露出部分が、実質的な親水性によって特徴付けられることを特徴とする、請求項1又は2記載の物品。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面に例を示す、様々な実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
本開示の態様は、概して、抗菌特性を有するガラス組成を含む二次粒子を有する抗菌複合物品に関連している。本明細書に開示のガラスの抗菌特性は、抗ウイルス性及び/又は抗バクテリア特性を含んでいる。本明細書において「抗菌」という用語は、バクテリア、ウイルス、及び/又は菌類を殺滅するか、又は増殖を阻止する材料若しくは材料の表面を意味する。本明細書において、本用語は、材料又は材料の表面が、かかる族のすべての種の微生物を殺滅するか、増殖を阻止するのではなく、かかる族の1つ以上の種の微生物を殺滅するか、増殖を阻止することを意味する。
【0020】
本明細書において、「log低減」はlog(C
a/C
0)を意味し、ここで、C
a=抗菌表面のコロニー形成単位(CFU)数であり、C
0=抗菌表面ではない対照表面のコロニー形成単位(CFU)である。一例として、「3log」の低減は、バクテリア、ウイルス、及び/又は菌類の約99.9%を殺滅したことに相当する。同様に、「5log」の低減は、バクテリア、ウイルス、及び/又は菌類の約99.999%を殺滅したことに相当する。
【0021】
図1は例示的な抗菌複合物品100を概略的に示す図である。物品100は、ポリマー材料を含むマトリックス10を有している。物品100は、複数の第2相粒子20も有している。粒子20は銅含有抗菌剤を有する相分離性ガラスを含んでいる。更に、複数の粒子20は、第2相体積分率でマトリックス10に分散している。
図1に更に示すように、複合物品100は、マトリックス10の露出部分及び複数の第2相粒子20を含む外面40を画成している。外面40の露出部分は、平面図で
図1Aにも示してある。特定の実施の態様において、物品100の他の外面30もかかる露出部分を含むことができる。
【0022】
再度
図1において、外面40の露出部分は、少なくとも一部の態様において、二等分、又は内部が露出するように分割された第2相粒子20を、特定の割合で含むことができる。特定の実施の形態において、複数の第2相粒子20の露出部分が、第2相体積分率の±25%以内の第2相面積分率で、マトリックス10の露出部分に分散することができる。即ち、外面の露出部分は、抗菌複合物品100のバルクと略同じ又は同様の割合の第2相粒子を有している。
【0023】
先に概説したように、第2相粒子20は、銅含有抗菌剤を有する相分離性ガラスを含んでいる。粒子20に用いられる相分離性ガラスは、相分離性ガラスに関連する顕著な部分が、参照により本明細書に援用される、2015年2月16日出願の米国特許出願第14/623,077号明細書に記載されている。1つ以上の実施の形態において、粒子20に用いられる相分離性ガラスがCu種を含んでいる。1つ以上の別の実施の形態において、Cu種はCu
1+、Cu
0、及び/又はCu
2+を含むことができる。Cu種の総量は、約10質量%以上であってよい。しかし、より詳細に後述するように、Cu
2+の量は、抗菌ガラスが実質的にCu
2+を含まないように、最小限に抑制又は低減される。Cu
1+イオンは、抗菌ガラスの表面上又は表面内、及び/又はバルク内に存在することができる。一部の実施の形態において、Cu
1+イオンは、抗菌ガラスのガラスネットワーク及び/又はガラスマトリックス中に存在している。Cu
1+イオンがガラスネットワークに存在している場合、Cu
1+イオンは、ガラスネットワーク中の原子に原子結合する。Cu
1+イオンがガラスマトリックス中に存在している場合、Cu
1+イオンは、ガラスマトリックス中に分散されたCu
1+結晶の形態で存在することができる。一部の実施の形態において、Cu
1+結晶はクプライト(Cu
2O)を含んでいる。Cu
1+結晶が存在するかかる実施の形態において、その材料を抗菌ガラスセラミックと呼ぶことができ、これはガラス中に1つ以上の結晶相が導入及び/又は生成される従来のセラミック化処理を受けても受けなくてもよい、結晶を有する特定の種類のガラスを指すことを意図している。Cu
1+イオンが非結晶の形態で存在している場合、その材料は抗菌ガラスと呼ぶことができる。一部の実施の形態において、Cu
1+結晶及び結晶と結合していないCu
1+イオンの両方が、本明細書に記載の抗菌ガラスに存在している。
【0024】
抗菌複合物品100の1つ以上の態様において、第2相粒子20に用いられる抗菌ガラスは、モルパーセントで、約40〜約70のSiO
2、約0〜約20のAl
2O
3、約10〜約30の銅含有酸化物、約0〜約15のCaO、約0〜約15のMgO、約0〜約25のP
2O
5、約0〜約25のB
2O
3、約0〜約20のK
2O、約0〜約5のZnO、約0〜約20のNa
2O、及び/又は約0〜約5のFe
2O
3を含む組成から形成することができる。かかる実施の形態において、銅含有酸化物の量はAl
2O
3の量より多い。一部の実施の形態において、組成はある量のR
2Oを含むことができ、ここで、RはK、Na、Li、Rb、Cs及びこれらの組み合わせを含むことができる。
【0025】
本明細書に記載の組成の実施の形態において、SiO
2がガラスを構成する主要な酸化物として機能する。組成中に存在するSiO
2の量は、抗菌複合物品100(例えば、タッチ用途、物品のハウジン等)における使用又は適用に適した、必要な化学的耐久性を示すガラスを得るのに十分でなければならない。SiO
2の上限を選択して、本明細書に記載の組成の溶融温度を制御することができる。例えば、過剰なSiO
2は、200ポアズにおける溶融温度を、処理中又は得られたガラスに、清澄気泡等が現れ得る又は発生し得る高温度にまで上昇させる可能性がある。更に、大部分の酸化物と比較して、SiO
2は、得られたガラスのイオン交換処理によって生じる圧縮応力を低下させる。換言すれば、過剰なSiO
2を含む組成から形成されたガラスは、過剰なSiO
2を含まない組成から形成されたガラスと同程度にはイオン交換することができない可能性がある。これに加えて又は代えて、1つ以上の実施の形態による組成に存在するSiO
2は、得られたガラスの破壊前塑性変形特性を向上させることができる。本明細書に記載の組成から形成されるガラスのSiO
2含量の増加によって、ガラスの圧入破壊閾値も増大させることができる。
【0026】
抗菌複合物品100の1つ以上の態様において、第2相粒子20に用いられるガラスの組成は、モルパーセントで、約40〜約70、約40〜約69、約40〜約68、約40〜約67、約40〜約66、約40〜約65、約40〜約64、約40〜約63、約40〜約62、約40〜約61、約40〜約60、約41〜約70、約42〜約70、約43〜約70、約44〜約70、約45〜約70、約46〜約70、約47〜約70、約48〜約70、約49〜約70、約50〜約70、約41〜約69、約42〜約68、約43〜約67、約44〜約66、約45〜約65、約46〜約64、約47〜約63、約48〜約62、約49〜約61、約50〜約60、並びにこれ等の間のすべての範囲及び部分範囲の量のSiO
2を含んでいる。
【0027】
抗菌複合物品100の1つ以上の態様において、第2相粒子20に用いられるガラスの組成は、モルパーセントで、約0〜約20、約0〜約19、約0〜約18、約0〜約17、約0〜約16、約0〜約15、約0〜約14、約0〜約13、約0〜約12、約0〜約11、約0〜約10、約0〜約9、約0〜約8、約0〜約7、約0〜約6、約0〜約5、約0〜約4、約0〜約3、約0〜約2、約0〜約1、約0.1〜約1、約0.2〜約1、約0.3〜約1、約0.4〜約1、約0.5〜約1、約0〜約0.5、約0〜約0.4、約0〜約0.3、約0〜約0.2、約0〜約0.1、並びにこれ等の間のすべての範囲及び部分範囲の量のAl
2O
3を含んでいる。一部の実施の形態において、組成はAl
2O
3を実質的に含んでいない。本明細書において、組成の成分及び得られたガラスに関して「実質的含まない」という語句は、当初の計量又はその後の後処理(例えば、イオン交換処理)において、組成に積極的又は意図的に添加したものではないが、不純物として存在していることを意味する。例えば、ある成分が約0.01モル%未満の量で存在している場合、組成及びガラスは、その成分を実質的に含んでいないと記述することができる。
【0028】
Al
2O
3の量は、ガラス形成酸化物として機能するように、及び/又は第2相粒子20に用いられるガラスの溶融組成の粘度を制御するように調整することができる。理論に束縛されるものではないが、組成中のアルカリ酸化物(R
2O)の濃度が、Al
2O
3の濃度以上である場合、アルミニウムイオンは、アルカリイオンが荷電バランサーとして作用する四面体配位において見出される。この四面体配位は、かかる組成から形成されたガラスの様々な後処理(例えば、イオン交換処理)を大幅に強化する。二価のカチオン酸化物(RO)は、四面体アルミニウムを様々な程度に電荷バランスさせることもする。カルシウム、亜鉛、ストロンチウム、バリウム等の元素は、2つのアルカリイオンと同等の挙動を示すが、マグネシウムイオンの高電界強度によって、四面体配位でアルミニュウムを完全に電荷バランスさせることができず、5及び6配位のアルミニウムが形成される。一般に、Al
2O
3は、アルカリイオンの比較的速い拡散を可能にしつつ、強いネットワークバックボーン(即ち、高歪点)を可能にするため、イオン交換可能な組成及び強化ガラスにおいて、重要な役割を果たすことができる。しかし、Al
2O
3の濃度が高過ぎると、組成がより低い液相粘度を示す可能性があるため、Al
2O
3の濃度は妥当な範囲内に制御することができる。更に、より詳細に後述するように、過剰なAl
2O
3は、所望のCu
1+イオンの代わりに、Cu
2+イオンの形成を助長することが分かっている。
【0029】
抗菌複合物品100の1つ以上の態様において、第2相粒子20に用いられるガラスの組成は、モルパーセントで、約10〜約50、約10〜約49、約10〜約48、約10〜約47、約10〜約46、約10〜約45、約10〜約44、約10〜約43、約10〜約42、約10〜約41、約10〜約40、約10〜約39、約10〜約38、約10〜約37、約10〜約36、約10〜約35、約10〜約34、約10〜約33、約10〜約32、約10〜約31、約10〜約30、約10〜約29、約10〜約28、約10〜約27、約10〜約26、約10〜約25、約10〜約24、約10〜約23、約10〜約22、約10〜約21、約10〜約20、約11〜約50、約12〜約50、約13〜約50、約14〜約50、約15〜約50、約16〜約50、約17〜約50、約18〜約50、約19〜約50、約20〜約50、約10〜約30、約11〜約29、約12〜約28、約13〜約27、約14〜約26、約15〜約25、約16〜約24、約17〜約23、約18〜約22、約19〜約21、並びにこれ等の間のすべての範囲及び部分範囲の量の銅含有酸化物を含んでいる。
【0030】
組成中の銅含有酸化物は、得られるガラスに存在するCu
1+イオンを形成する。銅はCu
0、Cu
1+、及びCu
2+を含む様々な形態を成す組成を含む、組成及び/又はガラスに存在することができる。Cu
0又はCu
1+の形態を成す銅は抗菌活性を示す。しかし、抗菌銅のこのような状態を形成維持することは困難であり、公知の組成において、所望のCu
0又はCu
1+の代わりに、Cu
2+イオンが形成されることがしばしばある。
【0031】
抗菌複合物品100の1つ以上の態様において、第2相粒子20のガラス中の銅含有酸化物の量は、組成中のAl
2O
3の量より多い。理論に束縛されるものではないが、組成において、銅含有酸化物とAl
2O
3とが略等量であれば、クプライト(Cu
2O)の代わりに、テノライト(CuO)が形成されると考えられている。テノライトの存在は、Cu
2+を優先し、Cu
1+の量を減少させるため、抗菌活性が低下する。更に、銅含有酸化物の量がAl
2O
3の量と略等しい場合、アルミニウムは4配位であることを好み、組成中及び得られたガラス中の銅は、Cu
2+の形態のままであり電荷が平衡したままである。銅含有酸化物の量がAl
2O
3の量を上回ると、銅の少なくとも一部が、Cu
2+の状態ではなく、自由にCu
1+の状態に留まるため、存在するCu
1+イオンの量が増加すると考えられている。
【0032】
抗菌複合物品100の1つ以上の態様において、第2相粒子20のガラスの1つ以上の実施の形態の組成は、モルパーセントで、約0〜約25、約0〜約22、約0〜約20、約0〜約18、約0〜約16、約0〜約15、約0〜約14、約0〜約13、約0〜約12、約0〜約11、約0〜約10、約0〜約9、約0〜約8、約0〜約7、約0〜約6、約0〜約5、約0〜約4、約0〜約3、約0〜約2、約0〜約1、約0.1〜約1、約0.2〜約1、約0.3〜約1、約0.4〜約1、約0.5〜約1、約0〜約0.5、約0〜約0.4、約0〜約0.3、約0〜約0.2、約0〜約0.1、並びにこれ等の間のすべての範囲及び部分範囲の量のP
2O
5を含んでいる。一部の実施の形態において、組成は約10モルパーセント又は約5モルパーセントのP
2O
5を含むか、あるいはP
2O
5を実質的に含んでいなくてもよい。
【0033】
1つ以上の実施の形態において、P
2O
5は、抗菌複合物品100の第2相粒子20に用いられるガラスに、耐久性の低い相又は分解性相の少なくとも一部を形成する。本明細書において、ガラスの分解性相と抗菌活性との関係について詳細に説明する。1つ以上の実施の形態において、P
2O
5の量を調整して組成及び/又は形成中のガラスの結晶化を制御することができる。例えば、P
2O
5の量を約5モル%以下、更には約10モル%以下に制限すると、結晶化を最小限に抑制又は均一に制御することができる。しかし、一部の実施の形態において、組成及び/又はガラスの結晶化の量又は均一性が関心事ではないため、組成に用いるP
2O
5の量を10モル%より多くすることができる。
【0034】
1つ以上の実施の形態において、P
2O
5はガラス中に耐久性の低い相又は分解性相を形成する傾向があるが、抗菌複合物品100の第2相粒子20に用いられるガラスの所望の損傷抵抗に基づいて、組成中のP
2O
5の量を調整することができる。理論に束縛されるものではないが、P
2O
5は、SiO
2と比較して溶融粘度を低下させることができる。場合により、P
2O
5はジルコン破壊粘度(即ち、ジルコンが分解してZrO
2を形成する粘度)の抑制に役立つと考えられており、この点についてはSiO
2より効果的であり得る。ガラスが、イオン交換処理によって化学強化される場合、P
2O
5は、ネットワーク形成剤(例えば、SiO
2及び/又はB
2O
3)としても特徴付けられることもある他の成分と比較して、拡散性を改善しイオン交換時間を短縮することができる。
【0035】
抗菌複合物品100の1つ以上の態様において、第2相粒子20のガラスの1つ以上の実施の形態の組成は、モルパーセントで、約0〜約25、約0〜約22、約0〜約20、約0〜約18、約0〜約16、約0〜約15、約0〜約14、約0〜約13、約0〜約12、約0〜約11、約0〜約10、約0〜約9、約0〜約8、約0〜約7、約0〜約6、約0〜約5、約0〜約4、約0〜約3、約0〜約2、約0〜約1、約0.1〜約1、約0.2〜約1、約0.3〜約1、約0.4〜約1、約0.5〜約1、約0〜約0.5、約0〜約0.4、約0〜約0.3、約0〜約0.2、約0〜約0.1、並びにこれ等の間のすべての範囲及び部分範囲の量のB
2O
3を含んでいる。一部の実施の形態において、組成は非ゼロ量、例えば、約10モルパーセント又は約5モルパーセントであってよい、B
2O
3を含んでいる。一部の実施の形態の組成は、B
2O
3を実質的に含んでいなくてもよい。
【0036】
1つ以上の実施の形態において、B
2O
3は、抗菌複合物品100の第2相粒子20に用いられるガラスに、耐久性の低い相又は分解性相を形成する。本明細書において、ガラスの分解性相と抗菌活性との関係について詳細に説明する。理論に束縛されるものではないが、ガラス中に耐久性の低い相又は分解性相を形成する傾向があるが、組成にB
2O
3を含めることによって、かかる組成を含むガラスに損傷抵抗が付与されると考えられている。1つ以上の実施の形態の組成は、1つ以上のアルカリ酸化物(R
2O)(例えば、Li
2O、Na
2O、K
2O、Rb
2O及び/又はCs
2O)を含んでいる。一部の実施の形態において、アルカリ酸化物は、かかる組成の溶融温度及び/又は液相温度を改善する。1つ以上の実施の形態において、アルカリ酸化物の量を調整して、低溶融温度及び/又は低液相温度を示す組成を得ることができる。理論に束縛されるものではないが、アルカリ酸化物を付加することによって、かかる組成を含む抗菌ガラスの熱膨張係数(CTE)を増加させ、及び/又は化学的耐久性を低下させる可能性がある。ときにより、これらの特性は、アルカリ酸化物の添加によって劇的に変化する可能性がある。
【0037】
抗菌複合物品100の1つ以上の態様において、第2相粒子20のガラスの1つ以上の実施の形態の組成は、アルカリ土類酸化物及び/又はZnO等の1つ以上の二価のカチオン酸化物を含むことができる。かかる二価のカチオン酸化物を含めることによって、組成の溶融挙動を改善することができる。
【0038】
抗菌複合物品100の1つ以上の態様において、第2相粒子20のガラスの1つ以上の実施の形態の組成は、モルパーセントで、約0〜約15、約0〜約14、約0〜約13、約0〜約12、約0〜約11、約0〜約10、約0〜約9、約0〜約8、約0〜約7、約0〜約6、約0〜約5、約0〜約4、約0〜約3、約0〜約2、約0〜約1、約0.1〜約1、約0.2〜約1、約0.3〜約1、約0.4〜約1、約0.5〜約1、約0〜約0.5、約0〜約0.4、約0〜約0.3、約0〜約0.2、約0〜約0.1、並びにこれ等の間のすべての範囲及び部分範囲の量のCaOを含むことができる。一部の実施の形態において、組成は実質的にCaOを含んでいない。
【0039】
抗菌複合物品100の1つ以上の態様において、第2相粒子20のガラスの1つ以上の実施の形態の組成は、モルパーセントで、約0〜約15、約0〜約14、約0〜約13、約0〜約12、約0〜約11、約0〜約10、約0〜約9、約0〜約8、約0〜約7、約0〜約6、約0〜約5、約0〜約4、約0〜約3、約0〜約2、約0〜約1、約0.1〜約1、約0.2〜約1、約0.3〜約1、約0.4〜約1、約0.5〜約1、約0〜約0.5、約0〜約0.4、約0〜約0.3、約0〜約0.2、約0〜約0.1、並びにこれ等の間のすべての範囲及び部分範囲の量のMgOを含むことができる。一部の実施の形態において、組成は実質的にMgOを含んでいない。
【0040】
抗菌複合物品100の1つ以上の態様において、第2相粒子20のガラスの1つ以上の実施の形態の組成は、モルパーセントで、約0〜約5、約0〜約4、約0〜約3、約0〜約2、約0〜約1、約0.1〜約1、約0.2〜約1、約0.3〜約1、約0.4〜約1、約0.5〜約1、約0〜約0.5、約0〜約0.4、約0〜約0.3、約0〜約0.2、約0〜約0.1、並びにこれ等の間のすべての範囲及び部分範囲の量のZnOを含むことができる。一部の実施の形態において、組成は実質的にZnOを含んでいない。
【0041】
抗菌複合物品100の1つ以上の態様において、第2相粒子20のガラスの1つ以上の実施の形態の組成は、モルパーセントで、約0〜約5、約0〜約4、約0〜約3、約0〜約2、約0〜約1、約0.1〜約1、約0.2〜約1、約0.3〜約1、約0.4〜約1、約0.5〜約1、約0〜約0.5、約0〜約0.4、約0〜約0.3、約0〜約0.2、約0〜約0.1、並びにこれ等の間のすべての範囲及び部分範囲の量のFe
2O
3を含むことができる。一部の実施の形態において、組成は実質的にFe
2O
3を含んでいない。
【0042】
抗菌複合物品100の1つ以上の態様において、第2相粒子20のガラスの1つ以上の実施の形態の組成は、1つ以上の着色剤を含むことができる。かかる着色剤の例にはNiO、TiO
2、Fe
2O
3、Cr
2O
3、Co
3O
4、及びその他の公知の着色剤が含まれる。一部の実施の形態において、1種以上の着色剤が、約10モル%までの範囲の量で存在することができる。一部の例において、1種以上の着色剤は、約0.01モル%〜約10モル%、約1モル%〜約10モル%、約2モル%〜約10モル%、約5モル%〜約10モル%、約0.01モル%〜約8モル%、又は約0.01モル%〜約5モル%の量で存在することができる。一部の態様において、第2相粒子20に用いられる着色剤は、抗菌複合物品100に用いられるマトリックスの色に適合するように選択される。
【0043】
抗菌複合物品100の1つ以上の態様において、第2相粒子20のガラスの1つ以上の実施の形態の組成は、1種以上の成核剤を含むことができる。例示的な成核剤には、TiO
2、ZrO
2、及び当技術分野で公知の他の成核剤が含まれる。組成は1種又は複数の異なる成核剤を含むことができる。組成の成核剤含量は、約0.01モル%〜約1モル%とすることができる。一部の例において、組成の成核剤含量は、約0.01モル%〜約0.9モル%、約0.01モル%〜約0.8モル%、約0.01モル%〜約0.7モル%、約0.01モル%〜約0.6モル%、約0.01モル%〜約0.5モル%、約0.05モル%〜約1モル%、約0.1モル%〜約1モル%、約0.2モル%〜約1モル%、約0.3モル%〜約1モル%、又は約0.4モル%〜約1モル%、並びにこれ等の間のすべての範囲及び部分範囲とすることができる。
【0044】
組成から形成されたガラスは、抗菌複合物品100の第2相粒子20に用いられたとき、複数のCu
1+イオンを含むことができる。一部の実施の形態において、かかるCu
1+イオンは、ガラスネットワークの一部を形成し、ガラス改質剤として特徴付けることができる。理論に束縛されるものではないが、Cu
1+イオンがガラスネットワークの一部である場合、代表的なガラス成形法において、溶融ガラスの冷却ステップが速過ぎて、銅含有酸化物(例えば、CuO及び/又はCu
2O)が結晶化できないと考えられている。従って、Cu
1+が非晶質状態に留まり、ガラスネットワークの一部になる。一部の例において、Cu
1+イオンの総量は、それらが結晶相にあるかガラスマトリックにあるかに関わらず、40モル%まで、50モル%まで、又は60モル%まで等、更に高くてもよい。
【0045】
1つ以上の実施の形態において、本明細書に開示の組成から形成されるガラスは、抗菌複合物品100の第2相粒子20に用いられたとき、Cu
1+結晶としてガラスマトリックス中に分散しているCu
1+イオンを含んでいる。1つ以上の実施の形態において、Cu
1+結晶は、クプライトの形態で存在することができる。ガラス中に存在するクプライトは、ガラスマトリックス又はガラス相とは異なる相を形成することができる。別の実施の形態において、クプライトは、1つ以上のガラス相(例えば、本明細書に記載の耐久性相)の一部を構成又はそれに関連することができる。Cu
1+結晶は、約5マイクロメートル(μm)以下、約4マイクロメートル(μm)以下、約3マイクロメートル(μm)以下、約2マイクロメートル(μm)以下、約1.9マイクロメートル(μm)以下、約1.8マイクロメートル(μm)以下、約1.7マイクロメートル(μm)以下、約1.6マイクロメートル(μm)以下、約1.5マイクロメートル(μm)以下、約1.4マイクロメートル(μm)以下、1.3マイクロメートル(μm)以下、約1.2マイクロメートル(μm)以下、約1.1マイクロメートル(μm)以下、1マイクロメートル(μm)以下、約0.9マイクロメートル(μm)以下、約0.8マイクロメートル(μm)以下、約0.7マイクロメートル(μm)以下、約0.6マイクロメートル(μm)以下、約0.5マイクロメートル(μm)以下、約0.4マイクロメートル(μm)以下、約0.3マイクロメートル(μm)以下、約0.2マイクロメートル(μm)以下、約0.1マイクロメートル(μm)以下、約0.05マイクロメートル(μm)以下、並びにこれ等の間のすべての範囲及び部分範囲の平均主寸法を有することができる。本明細書において「平均主寸法」に関し、「平均」とは平均値を指し、「主寸法」は走査電子顕微鏡(SEM)で測定したときの粒子の最大寸法である。一部の実施の形態において、抗菌複合物品100の第2相粒子20のガラスに、クプライト相が、抗菌ガラスの少なくとも約10質量%、約15質量%、約20質量%、約25質量%、並びにこれ等の間のすべての範囲及び部分範囲の量で存在することができる。特定の実施の形態において、本明細書に開示の組成から形成される相分離性ガラスは、抗菌複合物品100の第2相粒子20に用いられたとき、相分離成ガラスの10〜50モル%、並びにこれ等の間のすべての範囲及び部分範囲のクプライトを含むことができる。
【0046】
一部の実施の形態において、ガラスは、抗菌複合物品100の第2相粒子20に用いられたとき、約70質量%以上のCu
1+を含み、約30質量%以下のCu
2+を含むことができる。Cu
2+イオンはテノライトの形態、及び/又は更にはガラス中に(即ち、結晶相としてではなく)存在し得る。
【0047】
一部の実施の形態において、抗菌複合物品100の第2相粒子20に用いられたときのガラス中のCuの総量は、質量%で、約10〜約30、約15〜約25、約11〜約30、約12〜約30、約13〜約30、約14〜約30、約15〜約30、約16〜約30、約17〜約30、約18〜約30約19〜約30、約20〜約30、約10〜約29、約10〜約28、約10〜約27、約10〜約26、約10〜約25、約10〜約24、約10〜約23、約10〜約22、10〜約21、約10〜約20、約16〜約24、約17〜約23、約18〜約22、約19〜約21、並びにこれ等の間のすべての範囲及び部分範囲とすることができる。1つ以上の実施の形態において、ガラス中のCuの総量に対するCu
1+イオンの比は、約0.5以上、0.55以上、0.6以上、0.65以上、0.7以上、0.75以上、0.8以上、0.85以上、0.9以上、又は更に1以上、及びこれ等の間のすべての範囲並びに部分範囲とすることができる。Cuの量及びCuの総量に対するCu
1+イオンの比は、当技術分野で公知の誘導結合プラズマ(ICP)法によって測定することができる。
【0048】
一部の実施の形態において、ガラスは、抗菌複合物品100の第2相粒子20に用いられたとき、Cu
2+よりも多くのCu
1+及び/又はCu
0を示すことができる。例えば、ガラス中のCu
1+、Cu
2+、及びCu
0の総量に基づく、Cu
1+とCu
0とを合わせた割合は、約50%〜約99.9%、約50%〜約99%、約50%〜約95%、約50%〜約90%、約55%〜約99.9%、約60%〜約99.9%、約65%〜約99.9%、約70%〜約99.9%、約75%〜約99.9%、約80%〜約99.9%、約85%〜約99.9%、約90%〜約99.9%、約95%〜約99.9%、並びにこれ等の間のすべての範囲及び部分範囲とすることができる。Cu
1+、Cu
2+、及びCu
0の相対的な量は、当該技術分野で公知のX線フォトルミネセンス分光(XPS)法を用いて測定することができる。
【0049】
再度
図1及び1Aにおいて、抗菌複合物品100の複数の第2相粒子20は、相分離性ガラスを用いることができる。特に、相分離性ガラスは、少なくとも第1の相、及び第2の相(第2相粒子20と異なる)を有することができる。1つ以上の実施の形態において、相分離性ガラスは2つ以上の相を含むことができ、相は所与の相における浸出液との相互作用に耐え得る原子結合の能力に基づいて異なる。具体的には、1つ以上の実施の形態のガラスは、分解性相と形容することができる第1の相と、耐久性相として形容することができる第2の相とを含むことができる。「第1の相」と「分解性相」とは交換可能に使用することができる。相分離性ガラスの文脈において、「第2の相」と「耐久性相」とは交換可能に使用することができる。本明細書において、「耐久性」とは、耐久性相の原子結合が、浸出液との相互作用中及び相互作用後に、元の状態のままである傾向を意味する。本明細書において、「分解性」とは、分解性相の原子結合が、浸出液との相互作用中及び相互作用後に破壊される傾向を意味する。1つ以上の実施の形態において、耐久性相はSiO
2を含み、分解性相はB
2O
3、P
2O
5、及びR
2O(ここで、RはK、Na、Li、及びCsのうちの任意の1つ以上を含むことができる)の少なくとも1つを含んでいる。理論に束縛されるものではないが、分解性相の成分(即ち、B
2O
3、P
2O
5、及び/又はR
2O)は浸出液とより容易に相互作用し、浸出液との相互作用の間及び相互作用後に、相分離性ガラス中のこれ等の成分相互及び他の成分との結合が容易に破壊されると考えられている。浸出液は水、酸、又は他の同様の材料を含むことができる。1つ以上の実施の形態において、分解性相は、1週間以上、1カ月以上、3カ月以上、又は6カ月以上分解に耐える。一部の実施の形態において、寿命は、特定の期間にわたる抗菌効力の維持として特徴付けることができる。
【0050】
抗菌複合物品100の1つ以上の実施の形態において、第2相粒子に用いられる相分離性ガラスの耐久性相は、重量で分解性相の量より多くの量存在している。一部の例において、分解性相は島を形成し、耐久性相は島を囲む海(即ち、耐久性相)を形成する。1つ以上の実施の形態において、耐久性相及び分解性相のいずれか一方又は両方がクプライトを含むことができる。かかる実施の形態におけるクプライトは、各々の相又は両方の相に分散することができる。
【0051】
相分離性ガラスの一部の実施の形態において、ガラスを更に熱処理しなくても相分離が生じる。一部の実施の形態において、相分離は溶融中に生じることができ、ガラス組成が約1600℃又は1650℃までの温度で溶融されるときに存在し得る。ガラスが冷えると、(例えば、準安定状態で)相分離が維持される。
【0052】
前述のように、相分離性ガラスは、シートとして、又は粒子、繊維等の他の形状で提供することができる。
図1及び1Aにおいて、第2相粒子20の形態を成す相分離性ガラスは、概して、ポリマー材料を含むマトリック10によって固定されている。外面40の露出部分の第2相粒子20において、粒子20の表面部分が複数の銅イオンを含むことができ、複数の銅イオンの少なくとも75%がCu
1+イオンを含んでいる。例えば、一部の例において、表面部分における複数の銅イオンの少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は少なくとも約99.9%がCu
1+イオンを含んでいる。一部の実施の形態において、表面部分における銅イオンの25%以下(例えば、20%以下、15%以下、12%以下、10%以下、又は8%以下)がCu
2+イオンを含んでいる。例えば、一部の例において、表面部分における複数の銅イオンの20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下、又は0.01%以下がCu
2+イオンを含んでいる。一部の実施の形態において、抗菌ガラス中のCu
1+イオンの濃度が制御される。一部の例において、抗菌ガラスの表面に、約4ppm以上のCu
1+イオンの濃度を達成することができる。
【0053】
1つ以上の実施の形態による、抗菌複合物品100、特に露出部分を有する外面30及び40は、米国環境保護庁の「Test Method for Efficacy of Copper Alloy Surfaces as a Sanitizer」で規定されている、銅含有表面による抗菌性複合物品の置換、及び本方法における所定の対照試料としての銅金属物品の使用を含む、修正試験条件(集合的に「修正EPA銅試験プロトコル」)下において、黄色ブドウ球菌、エンテロバクターアエロゲネス、緑膿菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、及び病原性大腸菌の少なくとも1つの濃度において、2log又はそれ以上(例えば、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5並びにこれ等の間のすべての範囲及び部分範囲)の低減を示すことができる。従って、米国環境保護庁の「Test Method for Efficacy of Copper Alloy Surfaces as a Sanitizer」は、本参照により、その全内容が本明細書に援用される。一部の例において、修正EPA銅試験プロトコルの下において、黄色ブドウ球菌、エンテロバクターアエロゲネス、緑膿菌バクテリア、MRSA、及び病原性大腸菌の少なくとも1つの濃度において、少なくとも4log、5log、更には6logの低減を示す。
【0054】
1つ以上の実施の形態による抗菌複合物品100は、長期間にわたり本明細書に記載のlog低減を示すことができる。換言すれば、物品100は長期間抗菌効力を示すことができる。例えば、一部の実施の形態において、抗菌複合物品100は、抗菌性複合物品100が形成された後、又は相分離性ガラスが担体(例えば、ポリマーマトリックス10)と組み合わせた後、1週間、2週間、3週間、1ヶ月まで、3ヶ月まで、6ヶ月まで、又は12ヶ月まで、本明細書に記載の修正EPA銅試験プロトコルの下におけるlog低減を示すことができる。これらの期間は、抗菌性複合物品100が形成された後、又はマトリックス10を含みこれに限定されない担体と組み合わせた後に開始することができる。
【0055】
1つ以上の実施の形態によれば、第2相粒子20の相分離性ガラスは、本明細書に記載のマトリックス10と組み合わせると防腐機能を示すことができる。かかる実施の形態において、相分離性ガラスは、マトリックス10中の様々な汚染物質の殺滅若しくは消滅、又はその成長を抑制することができる。汚染物質には、菌類、バクテリア、ウイルス、及びこれ等の組み合わせが含まれる。
【0056】
1つ以上の実施の形態によれば、本明細書に記載の相分離性ガラスを含む抗菌複合物品100は、浸出液に曝露又は接触すると銅イオンを浸出する。1つ以上の実施の形態において、ガラスは、水を含む浸出液に曝露されると銅イオンのみを浸出する。
【0057】
1つ以上の実施の形態において、本明細書に記載の抗菌複合物品100は、調整可能な抗菌活性放出を有することができる。相分離性ガラスの抗菌活性は、ガラスを含む第2相粒子20と、水等の浸出液との接触によって発現させることができ、浸出液によってガラスからCu
1+イオンが放出される。この作用は水溶性であると形容することができ、水溶性を制御してCu
1+イオンの放出を制御することができる。
【0058】
Cu
1+イオンがガラスネットワーク中に分散及び/又は相分離性ガラスのガラスネットワーク中の原子と原子結合を形成する一部の実施の形態において、水又は湿気がこれ等の結合を破壊し、放出可能なCu
1+イオンが第2相粒子20上に露出することができる。
【0059】
抗菌複合物品100の1つ以上の実施の形態において、ソーダライムシリケート等のガラス組成を溶融するために一般的に使用される、低コストの溶融タンクを用いて、相分離性ガラスを形成することができる。かかる相分離性ガラスは、当技術分野で公知の成形法を用いて、シート状又は直接粒子状に成形することができる。例えば、例示的な成形方法には、フロートガラス法、及びフュージョンドロー、スロットドロー等のダウンドロー法が含まれる。相分離性ガラスをシート状に成形する場合には、その後粉砕又は処理されて、抗菌性複合物品100に用いられる第2相粒子20が形成される。
【0060】
一部の実施の形態において、相分離性ガラスを様々な抗菌複合物品(例えば、物品100)に組み込んで、単独又は他の材料と組み合わせて、電子機器(例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ビデオプレイヤー、情報端末装置、ラップトップコンピュータ等)、建築構造物(例えば、カウンター甲板又は壁)、家電製品(例えば、レンジ上面、冷蔵庫、及び食器洗浄器の扉等)、情報表示装置(例えば、ホワイトボード)、自動車部品(例えば、ダッシュボードパネル、フロントガラス、窓部品等)、カウンター甲板、テーブル甲板、ドアノブ、レール、エレベータ制御パネル、及び「高接触表面」を有するその他の物品が形成される。かかる抗菌複合物品に用いられた場合、相分離性ガラスは、例えば、マトリックス10中の第2相粒子20としての物品内における濃度に基づいて、ハウジング及び/又はディスプレイの少なくとも一部を形成することができる。
【0061】
形成後、相分離性ガラスはシートに成形され、所望の最終用途に適するように成形、研磨又は他の方法で処理することができる。一部の例において、相分離性ガラスは、抗菌性複合物品のマトリックス10に用いられる、第2相粒子20として機能する粉末又は粒子状に粉砕される。相分離性ガラスとマトリックス材料(例えば、マトリックス10として機能するポリマー材料)との組み合わせは、射出成形、押出成形、又はコーティングに適し得る。かかる他の材料又はマトリックス材料は、本明細書に記載のポリマー、モノマー、結合剤、溶媒、又はこれ等の組み合わせを含むことができる。本明細書に記載の実施形態で使用されるポリマーは、熱可塑性ポリマー(例えば、ポリオレフィン)、硬化ポリマー(例えば、紫外線又はUV硬化ポリマー、熱硬化性ポリマー、熱硬化性コーティング等)、ポリマーエマルジョン、 溶媒ベースのポリマー、及びこれ等の組み合わせを含むことができる。適切なポリマーの例には、ポリスルホン(PU)、ポリスチレン(PS)、耐衝撃性PS、ポリ(アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン)(ABS)、PC−ABSブレンド、ポリブチレンテレフタレート(PBT)及びPBTコポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びPETコポリマー、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン(環状PO)、変性ポリフェニレンオキサイド(mPPO)、ポリ塩化ビニル(PVC)を含むポリオレフィン(PO)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、熱可塑性エラストマー(TPE)、熱可塑性ウレタン(TPU)、ポリエーテルイミド(PEI)を含む熱可塑性プラスチック、及びこれ等のポリマーのブレンドを含むがこれに限定されるものではない。適切な射出成形可能な熱硬化性ポリマーには、エポキシ、アクリル、スチレン、フェノール、メラミン、ウレタン、ポリエステル、及びシリコーン樹脂が含まれる。特定の態様において、マトリックス10として機能するマトリックス材料は、低(例えば、ポリオレフィン)又は高(例えば、ポリエチレンイミン)融点ポリマー材料を含むことができる。一部の態様によれば、マトリックスは、低分子量又は高分子量ポリマー材料を含んでいる。マトリック材料は、バルクポリマー材料(例えば、純ポリオレフィン)、ポリマー材料(例えば、ポリエチレン/ポリプロピレン混合物)、及び/又は複合ポリマー材料(例えば、ポリオレフィン/ガラス複合材料)を含むことができることも理解されたい。他の好適なポリマー変形体には、直鎖状、はしご状、及び分岐状ポリマー(例えば、スターポリマー、ブラシポリマー、及びデンドロン/デンドリマー)が含まれる。マトリックス10に用いることができる別のポリマー変形体材料には、コポリマー(例えば、直鎖、分岐、及びシクロ/リング)が含まれる。
【0062】
別の実施の形態において、ポリマーを溶媒に溶解、又は別の相として溶媒に分散させ、例えば、ラテックス(合成又は天然ゴムの水エマルジョン)、又は重合によって得られ、特にコーティングに(塗料として)及び接着剤として使用されるプラスチック等のポリマーエマルジョンを形成することができる。ポリマーは、フッ化シラン又は他の低摩擦若しくは耐摩擦材料を含むことができる。ポリマーは、衝撃改質剤、難燃剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、離型剤、ガラス、金属、炭素繊維、粒子(球体を含む)、タルク、粘土、又は雲母を含む充填剤、及び着色剤を含むことができる。モノマーの具体例には、触媒硬化性モノマー、熱硬化性モノマー、放射線硬化性モノマー、及びこれ等の組み合わせが含まれる。
【0063】
1つ以上の実施の形態において、第2相粒子20として、相分離性ガラスを粒子の形態で提供することができる。この形態において、相分離性ガラスは、約0.1マイクロメートル(μm)〜約10マイクロメートル(μm)、約0.1マイクロメートル(μm)〜約9マイクロメートル(μm)、約0.1マイクロメートル(μm)〜約8マイクロメートル(μm)、約0.1マイクロメートル(μm)〜約7マイクロメートル(μm)、約0.1マイクロメートル(μm)〜約6マイクロメートル(μm)、約0.5マイクロメートル(μm)〜約10マイクロメートル(μm)、約0.75マイクロメートル(μm)〜約10マイクロメートル(μm)、約1マイクロメートル(μm)〜約10マイクロメートル(μm)、約2マイクロメートル(μm)〜約10マイクロメートル(μm)、約3マイクロメートル(μm)〜約10マイクロメートル(μm)、約3マイクロメートル(μm)〜約6マイクロメートル(μm)、約3.5マイクロメートル(μm)〜約5.5マイクロメートル(μm)、約4マイクロメートル(μm)〜約5マイクロメートル(μm)、並びにこれ等の間のすべての範囲及び部分範囲の直径を有することができる。ガラスは、実質的に球形であっても、不規則な形状を有していてもよい。
【0064】
理論に束縛されるものではないが、本明細書に記載の(例えば、第2相粒子20内)の
相分離性ガラスと、ポリプロピレン又はポリスルホン材料等のマトリックス(例えば、マトリックス10)との組み合わせによって、同量の銅を使用した場合でも、Cu
2O(クプライト)のみを含む同じマトリックス材料と比較して、実質的により大きい抗菌効力が得られると考えられている。本明細書に記載の相分離性ガラス中に存在するCu
1+結晶は、クプライトとして存在する場合であっても、Cu
1+の状態に留まる傾向がある。理論に束縛されるものではないが、本明細書に記載の相分離性ガラスから分離して、Cu
2Oを単独で与えると、Cuイオンの安定性が低く、Cu
1+からCu
2+に変化する可能性があると考えられている。
【0065】
本明細書に記載の抗菌複合物品100の抗菌性能は、マトリックス10の薄層が、外面40上の第2相粒子20と一致又はそれを越えて存在すること、及びその厚さによって影響され得る(
図1及び1A参照)。マトリックス10の組成及びその処理履歴に応じ、この薄層が疎水性又は実質的な疎水特性を示し、活性銅種(Cu
1+)が空気に曝露されるか又は外面40に浸出するのを阻止する可能性がある。例えば、疎水性又は実質的に疎水性であるポリマー材料(例えば、ポリオレフィン)を含むマトリックス10は、かかる薄層をもたらし得る。1つ以上の実施の形態において、物品100は、活性銅種の浸出を容易にするバランスの取れた疎水性−親水性特性を有するポリマーをマトリックス10として用いることもできる。かかるポリマーの例には、吸湿性/水溶性ポリマー及び界面活性剤、両親媒性ポリマー(例えば、ポリ(ビニルアルコール‐コ‐エチレン))及び/又は両親媒性ポリマーと吸湿性材料の組み合わせが含まれる。他の実施の形態において、マトリックス10は、実質的に親水性の特性を有するポリマー材料(例えば、ポリビニルアルコール)を含むことができる。
【0066】
1つ以上の実施の形態において、活性銅種の空気に対する曝露及び/又は表面への浸出は、外面40(及び場合により外面30)が「露出部分」を有するように、物品100を形成することによって促進される。本明細書において、かかる「露出部分」は、機械的及び/又は化学的処理を施して、相分離性ガラスを含み、物品100に含まれ(かつマトリックス10に包囲された)第2相粒子20の少なくとも一部を露出させた、抗菌複合物品100の外面の一部分である。外面に露出部分を設ける具体的な方法には、サンディング、研磨、プラズマ処理(例えば、空気、N
2、O
2、H
2、N
2、及び/又はアルゴンベースのプラズマ)、及びマトリックス10(例えば、ポリマー材料)の薄層を除去する他の方法が含まれる。1つ以上の別の実施の形態において、外面30、40の露出部分は、露出した処理表面内部又は表面に導入され、かかる表面をより親水性にする官能基、特にヒドロキシル基及びカルボニル基を含んでいる。外面に露出部分を設けることによって、活性銅種が空気に曝露又は物品100の表面により容易に浸出する。
【0067】
本明細書に記載のマトリックス10(例えば、ポリマー材料)と第2相粒子20(例えば、相分離性ガラス)との間の加工、機械的特性、及び相互作用を改善するために、(使用可能な任意の充填剤及び/又は添加剤を含む)加工剤/助剤を、本明細書に記載の抗菌複合物品100に含めることができる。例示的な加工剤/助剤は、固体又は液体材料を含むことができる。加工剤/助剤は、押出しにおいて様々な便益をもたらすことができ、シリコーン系油、ワックス、及び自由流動性フルオロポリマーを含むことができる。別の実施の形態において、加工剤/助剤は、相溶化剤/カップリング剤、例えば機械的及び熱的性質を改善するためのポリマー複合材の加工に一般的に使用されるオルガノシラン/シロキサン等の有機ケイ素化合物を含むことができる。かかる相溶化剤/カップリング剤は、ガラスの表面改質に用いることができ、(3‐アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、N‐(2‐アミノエチル)‐3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、(3‐グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、3‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3‐メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、及びビニルトリメトキシシランを含むことができる。
【0068】
一部の実施の形態において、本明細書に記載の抗菌複合物品100は、例えば、アルミニウム顔料、銅顔料、コバルト顔料、マンガン顔料、鉄顔料、チタン顔料、スズ顔料、クレイアース顔料(天然に形成された酸化鉄)、カーボン顔料、アンチモン顔料、バリウム顔料、亜鉛顔料等、一般に金属系無機物である顔料を含む、充填剤を色及び他の目的のために添加することができる。
【0069】
本明細書に記載の相分離性ガラスをマトリックス10と組み合わせた後、この結合体を所望の抗菌複合物品100に形成することができる。このような物品100の例には、電子機器(例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ビデオプレイヤー、情報端末装置、ラップトップコンピュータ等)のハウジング、建築構造物(例えば、カウンター甲板又は壁)、家電製品(例えば、レンジ上面、冷蔵庫、及び食器洗浄器の扉等)、情報表示装置(例えば、ホワイトボード)、及び自動車部品(例えば、ダッシュボードパネル、フロントガラス、窓構成要素等)が含まれる。
【0070】
1つ以上の実施の形態において、物品100は、所望の気孔率を示すことができ、複雑な形状を含む様々な形状、及びプラスチック、ゴム、及び繊維/布を含む様々な形態に構成することができ、同じ又は異なる用途を有することができる。多孔質物品は、抗菌フィルターとして用いることもできる。
【0071】
別の実施の形態において、物品100は、第2相粒子20に関連して高ガラス充填量を有することができる。かかる物品は溶融法又は湿式法によって形成することができる。かかる実施の形態において、物品100そのものを抗菌材料として使用する他に、マトリックス10(例えば、ポリマー材料)を焼き尽すか除去して(即ち、物品がマトリックス10を一時的な材料として用い)、単純又は複雑な形状を有する、多孔質の純銅ガラス抗菌物品を提供することができる。
【0072】
Cu(I)は有機反応、特に、穏やかな有機反応、数例を挙げれば、アクリルモノマーの重合及び油性化学用途(例えば、メチルエステル及びワックスエステルの両方のプロセスを含む脂肪エステルから脂肪アルコールへの水素化分解、アミンによるアルコールのアルキル化及び脂肪アルコールのアミノ化)等の優れた触媒である。本明細書に記載の抗菌複合物品100は、本来の抗菌特性を利用する用途ではない場合であっても、かかる触媒を志向した用途に用いることができる。
【0073】
図1Bは、本開示の態様に従って提供される、
図1に概略的に示す抗菌複合物品100に類似した抗菌複合物品の外面における、相分離性ガラスのエネルギー分散分光法(EDS)画像を示す図である。より具体的には、
図1BのEDS画像における相分離性ガラスは、外面40の露出部分(
図1A参照)における例示的な第2相粒子20である。
図1Bにおいて、相分離性ガラスは、相分離性ガラスの処理に関連する顕著な部分が、参照により本明細書に援用される、2015年2月16日出願の米国特許出願第14/623,077号明細書に従って形成したものである。
図1Bにおいて、EDS画像に示すガラスは、不連続で耐久性の低い相(即ち、リン酸塩相)に、100〜250nmの粒径を有するクプライト結晶(略35モル%のクプライト)を含有し、高い抗菌効力を有する相分離性リン酸塩ガラスである。加えて、相分離性リン酸塩ガラスは、カラー用のカーボンブラック濃縮物(すなわち、Clariant社のSL94620036カーボンブラック)を含んでいる。更に、
図1Bに示す相分離性ガラスは、粉末形態にジェットミルし、(例えば、325メッシュ)で篩い分けして、抗菌複合物品100の第2相粒子として使用する粒子を形成することができる。次に、マトリックスポリマー(例えば、マトリックス10として機能する)に粒子を混合し、最終的な抗菌複合物品の形態を得ることができる。
【0074】
本開示の態様において、押出成形処理を用いて、
図1Bに示す相分離性ガラスを含む前述の抗菌複合物品100に、(マトリックスとして機能する)ポリプロピレンを混合することができる。この処理に、例えば、以下の表1に要約する代表的な条件に従って、Leistritz AG MIC18−7R GL二軸スクリュー押出機を用いることができる。次いで、押出機を用いて、カーボンブラック着色剤を含まない抗菌複合細長片100A(
図2参照)、及びカーボンブラック着色剤を含む抗菌複合ペレット100B(
図2参照)を製造することができる。ペレット100Bは、押出機から得られた細長片を更に加工して得られたものであることに留意されたい。
【0076】
図3に示すように、押出抗菌複合体(例えば、
図2の細長片及びペレット)は、射出成形又は他の方法で試験片としてシート状に加工することができる。特に、
図3は抗菌複合試験片100A’及び100B’の写真を示している。試験片100A’及び100B’は、それぞれ抗菌複合細長片100A及びペレット100B(
図2参照)を押出成形したものである。
【0077】
再度
図3において、抗菌複合試験片100A’及び100B’は、修正EPA銅試験プロトコルを用いた抗菌効力試験に適した2.5cm×2.5cmの正方形の試験片である。修正EPA銅試験プロトコルの下で実施した、前述の抗菌複合物品100の形態に従って製造した試験片の様々な抗菌効力試験を通して、製造時の複合体は、かかる試験の対象となる外面にポリマーマトリックス材料の薄層を有し得ることが明らかであった。理論に束縛されるものではないが、かかるマトリックス材料の薄層が、相分離性ガラス中の銅が空気及びバクテリアに効果的に曝露され、高い抗菌効力を得るのを阻止し得ると考えられている。また、理論に束縛されるものではないが、抗菌効力は、試験の対象となる外面のマトリックス材料に付随する疎水性(又は逆に親水性)の程度に依存し得るとも考えられている。例えば、実質的な疎水性を示すポリマーマトリックス材料を有する、かかる複合物品は、バクテリア(一般的には水性媒体中)が、試験下の外面全体に均一に広がらない状況になり易く、所望の抗菌効力レベルより低い結果となる。
【0078】
本開示の態様によれば、抗菌複合物品の外面(例えば、
図1及び1Aに示す物品100の外面40)に対し(a)ポリマーマトリックス材料の薄層を機械的に除去する、及び/又は(b)親水基を導入するための表面化学改質を施すことができる。機械的に除去する手法に関しては、かかる外面に、ハンドサンディング、グリットブラスト、研磨、及び他の形態の材料除去方法を用い、銅含有抗菌剤を有する相分離性ガラスを含む第2相粒子に関連する、より多くの表面積を露出させることができる。適切な方法には、例えば、3M(商標)のContour Surface研磨スポンジを用いて、抗菌複合物品の外面から約5〜10mgの材料を除去するハンドサンディングが含まれる。
図4の350マイクロメートルスケールの光学顕微鏡写真は、かかる研磨手順前後のポリプロピレンマトリックス及び相分離性銅含有ガラスを含む抗菌複合物品の外表面を示している。材料を機械的に除去するもう1つの方法は、例えば、シリカ砂粒子を利用した、標準的な公知のサンドブラスト装置を用いたサンドブラストである。一般的なサンドブラスト条件では、0.1〜0.5MPaの砂を用いて10〜60秒間曝露する。
【0079】
表面改質手法に関しては、抗菌性複合物品100の外面40上に親水性基を導入するために、様々な技術及び方法を用いることができる。1つの態様において、Nordson March Plasmodシステムを用いて、外面40をプラズマ処理することができる。かかるシステムを用いて、例えば、空気又は酸素雰囲気中で、75Wで8分間抗菌複合物品にプラズマ処理を施すことができる。
図5の光学顕微鏡写真に示すように、ポリプロピレンマトリックス及び相分離性銅含有ガラスを含む抗菌複合物品の外面が、かかるプラズマ処理後に、(例えば、修正EPA銅試験プロトコルにおけるバクテリア含有媒体と一致した)水性バクテリア溶液の湿潤の有意な増加を示している。特に、
図5の左側の画像は、バクテリア含有溶液で湿らせたプラズマ処理を施す前の複合物品の外面を示している。右側の画像は、同じバクテリア含有溶液で湿らせたプラズマ処理後の複合物品の外面を示している。
【0080】
理論に束縛されるものではないが、前述の機械的材料除去及び表面化学改質手法の組み合わせによって、いずれか一方の手法のみの使用によって達成され得るレベルより十分高い、非常に高い抗菌効力レベルを有する抗菌複合物品の外面40が得られると考えられている。更に、これ等の手法の順序によって、かかる抗菌複合物品が達成し得る最終的な抗菌効力のレベルに影響を与えないと思われる。従って、本開示の態様は、いずれかの順序で実施される、抗菌性複合物品の外面に対する機械的材料除去及び表面化学改質の組み合わせを含んでいる。
【0081】
本開示の態様によれば、
図6に示すように、抗菌複合物品100を製造する方法200が提供される。特に、本方法は、ポリマー材料を含むマトリックス(例えば、マトリックス10−
図1参照)を用意するステップ110、及び抗菌剤を含む第2相粒子(例えば第2相粒子20)を用意するステップ120を備えている。更に、方法200は、マトリックス10を溶融してマトリックス溶融体を形成するステップ130を備えている。次に、方法200は、複数の第2相粒子20を、第2相体積分率でマトリックス溶融体に分散して、複合溶融体を形成するステップ140、及び複合溶融体から複合物品を形成するステップ150を備えている。加えて、方法200は、複合物品60を処理して、マトリックスの露出部分及び複数の第2相粒子を含む外面(例えば、外面40)を有する、抗菌複合物品100を形成する最終ステップ170を備えている。
【0082】
再度
図6において、抗菌複合物品100を製造する方法のステップ170は、いずれも抗菌複合物品100を製造するために行われる、複合物品を研削する(例えば、機械的手段を介して外面から材料を除去する)ステップ170A、及び複合物品60をプラズマ処理するステップ170Bを含んでいる。
図6に示すように、ステップ170A及び170Bは、いずれの順序で行うこともできる。方法200の別の態様によれば、マトリックス材料(例えば、マトリックス10)が、主として親水性ポリマー材料を含む特定の状況において、複合物品を研削するステップを単独で用いて抗菌複合物品100を形成することができる。マトリックス材料が既に親水性の状態にあるため、当然複合物品の外面も本質的に親水性であり、ステップ170A等の表面化学改質ステップは必要ない。
【0083】
一部の態様において、抗菌複合物品を製造する方法200の処理ステップ170(
図6参照)は、(例えば、ステップ170Aのように)複合物品60を研削して、マトリックス10の露出部分及び複数の第2相粒子20を含む外面40を有する、抗菌複合物品100を形成するステップを含むことができる。研削は、ハンドサンディング、グリットブラスト又は他の同様の研削、及び/又は研磨技術を用いて実施することができる。本方法の別の態様において、処理ステップ170は、複合物品60を研削及び(例えば、ステップ170Bのように)プラズマ処理して、マトリックス10の露出部分及び複数の第2相粒子20を含む外面40を有する、抗菌複合物品100を形成するステップを含むことができる。これ等の実施の形態において、プラズマ処理の前に研削を実施、又はその逆も可能である。更にプラズマ処理は、物品の外面のマトリックスの露出部分に官能基を生じさせる又は生成する種々の既知の方法のいずれかを用いて実施することができる。
【0084】
方法200の一部の態様によれば、溶融するステップ130及び分散するステップ140は、それぞれ押出成形処理を含むか又は利用することができる。加えて、第2相粒子20をマトリックスに分散するステップ140は、溶融法(例えば、混合/押出、及び射出成形)によって実施することができる。ステップ140は、溶液法(例えば、マトリックス10の材料を含むコーティングに、第2相粒子20を添加する)、バルク重合法、及び/又は溶液重合法(例えば、第2相粒子の懸濁処理又は乳化処理)を用いて実施することもできる。更に、複合物品を形成するステップ150は、射出成形処理を含むか又は利用することができる。このように、形成するステップ150を用いて、複合物品を最終製品形態又は略最終形状形態に成形することができる。
【0085】
1つの態様において、抗菌複合物品100を形成する方法200は、疎水性ポリマー材料を含むマトリックスを用意するステップ(例えば、ステップ110)、銅含有抗菌剤を含む、複数の第2相粒子を用意するステップ(例えば、ステップ120)、マトリックスを溶融して、マトリックス溶融体を形成するステップ(例えば、ステップ130)、複数の第2相粒子を第2相体積分率でマトリックス溶融体に押し出して、複合溶融体を形成するステップ(例えば、ステップ140)、複合溶融体から複合物品(例えば、複合物品60)を射出成形するステップ(例えば、ステップ150)、及び複合物品を処理して、マトリックスの露出部分及び複数の第2相粒子を含む外面を有する抗菌複合物品を形成するステップ(例えば、ステップ170)を備えることができる。更に、複数の第2相粒子の露出部分が、第2相体積分率の±25%以内の第2相面積分率で、マトリックスの露出部分に分散している。
【0086】
図7Aは、ポリプロピレンマトリックス及び銅含有抗菌剤を有する相分離性ガラスを含む複数の第2相粒子を有し、様々な表面処理ステップが施された抗菌複合物品の(修正EPA銅試験プロトコルで試験したときの)抗菌効力を示す棒グラフである。
図7Aにおいて、「C」と表示された試料群は、純粋な銅材料の対照試料である。試料群「B1」〜「B5」は、様々な表面処理ステップ、即ち、それぞれ、無処理、酸素中のプラズマ処理、空気中のプラズマ処理、サンドブラスト、及びハンドサンディングを施した抗菌複合物品を示している。
図7Aが示すように、抗菌複合物品に対し、単独で行った様々な処理ステップは、かかる試料B1〜B5のすべてが、銅対照試料Cの6logの殺滅と比較して、1未満のlog殺滅を示したことから、抗菌効力の点であまり有益ではない。
【0087】
図7Bは、ポリプロピレンマトリックス及び銅含有抗菌剤を有する相分離性ガラスを含む複数の第2相粒子を有し、様々な表面処理ステップが施された抗菌複合物品の(修正EPA銅試験プロトコルで試験した)抗菌効力を示す棒グラフである。
図7Bにおいて、「C」と表示された試料群は、純粋な銅材料の対照試料である。試料群「A1」〜「A3」は、様々な表面処理ステップ、即ち、それぞれ、酸素中のプラズマ処理及びサンドブラスト、空気中のプラズマ処理及びサンドブラスト、並びにハンドサンディング及び空気中のプラズマ処理を施した抗菌複合物品を示している。
図7Bが示すように、抗菌複合物品に対し、組み合わせて実施した様々な処理ステップは、かかる試料A1、A2、及びA3のすべてが、2以上のlog殺滅を示したことから、抗菌効力の点で有益である。
【0088】
図8A、8Bはポリスルホンマトリックス及び銅含有抗菌剤を有する相分離性ガラスを含む複数の第2相粒子を有し、様々な表面処理ステップが施された抗菌複合物品の(修正EPA銅試験プロトコルで試験した)抗菌効力を示す棒グラフである。
図8A、8Bの両方において、「C」と表示された試料群は、純粋な銅材料の対照試料である。
図8Aにおいて、「A5」と表示された試料群は、プラズマ処理及びサンディング処理ステップを施した抗菌複合物品を示している。
図8Bにおいて、「B6」と表示された試料群は、表面処理を全く施してない抗菌複合物品を示し、「A4」と表示された試料群は、ハンドサンディングステップに続き、空気中プラズマ処理ステップを施した抗菌複合物品を示している。
図8A、8Bが示すように、ポリスルホンマトリックス及び銅含有抗菌剤を有する相分離性ガラスを含む複数の第2相粒子を有する抗菌複合物品は、ポリプロピレンマトリックスを用いたかかる類似の抗菌複合物品(例えば、
図7A、7B参照)に匹敵、又はそれを超える抗菌効力レベル(即ち、3以上のlog殺滅減少)を示すことができる。
【0089】
図9はポリプロピレンマトリックス及び銅含有抗菌剤を有する相分離性ガラスを含む複数の第2相粒子を有し、様々な病院仕様の洗浄剤に曝露された抗菌複合物品の(修正EPA銅試験プロトコルで試験した)抗菌効力を示す棒グラフである。
図9において、「C」と表示された試料群は、純粋な銅材料の対照試料である。試料群「A6」〜「A9」は、機械的表面除去ステップ(例えば、サンディング)及び表面化学改質ステップ(例えば、空気中のプラズマ処理)を施した後、病院仕様の洗浄剤に曝露されなかった(A6)又は様々な病院仕様の洗浄剤、即ち、10%漂白剤(A7)、Virex(登録商標)Tb(A8)、及びVesphene(登録商標)Ilse(A9)に曝露された抗菌複合物品を示している。
図9が示すように、病院仕様の洗浄剤に曝露しても、これらの抗菌性複合物品の抗菌効力に明らかな低下は生じない。
【0090】
図10A、10Bはポリプロピレンマトリックス及び銅含有抗菌剤を有する相分離性ガラスを含む複数の第2相粒子を有し、様々な環境条件に曝露された抗菌複合物品の(修正EPA銅試験プロトコルで試験した)抗菌効力を示す棒グラフである。
図10A、10Bの両方において、「C」と表示された試料群は、純粋な銅材料の対照試料である。
図10Aにおいて、試料群「A10」〜「A13」は、機械的表面除去ステップ(例えば、サンディング)及び表面化学改質ステップ(例えば、空気中のプラズマ処理)を施した後、環境条件に曝露されなかった(A10)又は様々な環境条件、即ち、38℃/98%の相対湿度に24時間(A11)、85℃/85%の相対湿度に24時間(A12)、及び85℃/85%の相対湿度に7日間(A13)曝露された抗菌複合物品を示している。同様に、
図10Bにおいて、試料群「A14」〜「A19」は、機械的表面除去ステップ(例えば、サンディング)及び表面化学改質ステップ(例えば、空気中のプラズマ処理)を施した後、環境条件に曝露されなかった(A14)又は様々な環境条件、即ち、38℃/98%の相対湿度に24時間(A15)、4日間(A16)、7日間(A17)、10日間(A18)、及び14日間(A19)曝露された抗菌複合物品を示している。
図10A、10Bが示すように、温度及び湿度の上昇を含む、様々な環境条件に抗菌性複合物品を曝露することを追加しても、これらの抗菌性複合物品の抗菌効力に明らかな低下は生じない。
【0091】
図11はポリプロピレンマトリックス及び銅含有抗菌剤を有する相分離性ガラスを含む複数の第2相粒子を有し、その後外面にフルオロシラン層が施された、及び施されなかった抗菌複合物品の(修正EPA銅試験プロトコルで試験した)抗菌効力を示す棒グラフである。
図11において、「C」と表示された試料群は、純粋な銅材料の対照試料である。試料群「A21」及び「A22」は、機械的表面除去ステップ(例えば、サンディング)及び表面化学改質ステップ(例えば、空気中のプラズマ処理)を施した後、追加の被覆が施されなかった(A21)又は、例えば、指紋、汚れ、擦過耐性等として構成された、追加の被覆が施された(A22)抗菌複合物品を示している。
図11が示すように、フルオロシラン被覆を追加しても、これ等の抗菌複合物品の抗菌効力に明らかな低下は生じない。
【0092】
本開示の態様(1)は、抗菌複合物品であって、ポリマー材料を含むマトリックス及び銅含有抗菌剤を有する相分離性ガラスを含む複数の第2相粒子を有し、複数の粒子が、第2相体積分率でマトリックスに分散し、更に複合物品がマトリックスの露出部分及び複数の第2相粒子を含む外面を画成する、物品に関連している。
【0093】
本開示の態様(2)は、複数の第2相粒子の露出部分が、第2相体積分率の±25%以内の第2相面積分率で、マトリックスの露出部分に分散している、態様(1)の物品に関連している。
【0094】
本開示の態様(3)は、マトリックスが、実質的な疎水性によって特徴付けられるポリマー材料を含み、マトリックスの露出部分が、実質的な親水性によって特徴付けられる、態様(1)又は態様(2)の物品に関連している。
【0095】
本開示の態様(4)は、ポリマー材料が、ポリプロピレン、ポリオレフィン、及びポリスルホンから成る群より選択される、態様(1)〜態様(3)のいずれか1つの物品に関連している。
【0096】
本開示の態様(5)は、相分離性ガラスが、B
2O
3、P
2O
5、及びR
2Oの少なくとも1つを含み、抗菌剤が、複数のCu
1+イオンを含むクプライトである、態様(1)〜態様(4)の物品に関連している。
【0097】
本開示の態様(6)は、物品の外面が、修正EPA銅試験プロトコルの下において、黄色ブドウ球菌、エンテロバクターアエロゲネス、及び緑膿菌バクテリアの少なくとも1つの濃度において、少なくとも2logの低減を示す、態様(1)〜態様(5)の物品に関連している。
【0098】
本開示の態様(7)は、物品の前記外面が、修正EPA銅試験プロトコルの下において、黄色ブドウ球菌、エンテロバクターアエロゲネス、及び緑膿菌バクテリアの少なくとも1つの濃度において、少なくとも3logの低減を示す、態様(1)〜態様(6)の物品に関連している。
【0099】
本開示の態様(8)は、複数の第2相粒子が、325標準USメッシュサイズによって規定されるサイズ分布を有する、態様(5)の物品に関連している。
【0100】
本開示の態様(9)は、相分離性ガラスが、約10〜50モル%のクプライトを含む、態様(1)〜態様(8)の物品に関連している。
【0101】
本開示の態様(10)は、マトリックスが、実質的な親水性を特徴とするポリマー材料を含む、態様(1)〜態様(9)の物品に関連している。
【0102】
本開示の態様(11)は、マトリックスの露出部分が、マトリックスのプラズマ処理に由来する官能基を含む、態様(3)の物品に関連している。
【0103】
本開示の態様(12)は、複合物品の外面が、表示装置のカバースクリーン、表示装置
のハウジング、カウンター甲板、テーブル甲板、ドアノブ、レール、及びエレベータの制御パネルから成る群より選択される要素の高接触面として構成されている、態様(1)〜態様(11)の物品に関連している。
【0104】
本開示の態様(13)は、抗菌複合物品を製造する方法であって、ポリマー材料を含む
マトリックスを用意するステップ、抗菌剤を含む複数の第2相粒子を用意するステップ、マトリックスを溶融してマトリックス溶融体を形成するステップ、複数の第2相粒子を、第2相体積分率でマトリックス溶融体に分散して、複合溶融体を形成するステップ、複合溶融体から複合物品を形成ステップ、及び複合物品を処理して、マトリックスの露出部分及び複数の第2相粒子を含む外面を有する、抗菌複合物品を形成するステップを備えた方法に関連している。
【0105】
本開示の態様(14)は、マトリックスが実質的な親水性によって特徴付けられるポリマー材料を含む、態様(13)の方法に関連している。
【0106】
本開示の態様(15)は、処理するステップが、複合物品を研削して、マトリックスの露出部分及び複数の第2相粒子を含む外面を有する、抗菌複合物品を形成するステップを含む、態様(13)又は態様(14)の方法に関連している。
【0107】
本開示の態様(16)は、マトリックスが、実質的な疎水性によって特徴付けられるポリマー材料を含み、更に、マトリックスの露出部分が、実質的な親水性によって特徴付けられる、態様(13)〜態様(15)の方法に関連している。
【0108】
本開示の態様(17)は、処理するステップが、複合物品を研削及びプラズマ処理して、マトリックスの露出部分及び複数の第2相粒子を含む外面を有する、抗菌複合物品を形成するステップを含む、態様(16)の方法に関連している。
【0109】
本開示の態様(18)は、処理するステップにおいて、プラズマ処理の前に研削が行われる、態様(17)の方法に関連している。
【0110】
本開示の態様(19)は、処理するステップにおいて、研削の前にプラズマ処理が行われる、態様(17)の方法に関連している。
【0111】
本開示の態様(20)は、ポリマー材料が、ポリプロピレン、ポリオレフィン、及びポリスルホンから成る群より選択される、態様(13)〜態様(19)のいずれか1つの方法に関連している。
【0112】
本開示の態様(21)は、第2相粒子が、SiO
2含有ガラス、並びにB
2O
3、P
2O
5、及びR
2Oの少なくとも1つを更に含み、更に、抗菌剤が複数のCu
1+イオンを含むクプライトである、態様(13)〜態様(20)のいずれか1つの方法に関連している。
【0113】
本開示の態様(22)は、溶融するステップ及び分散するステップが押出成形処理を含み、複合物品を形成するステップが、射出成形処理を含む、態様(13)〜態様(21)のいずれか1つの方法に関連している。
【0114】
本開示の態様(23)は、抗菌複合物品の外面が、修正EPA銅試験プロトコルの下において、黄色ブドウ球菌、エンテロバクターアエロゲネス、及び緑膿菌バクテリアの少なくとも1つの濃度において、少なくとも2logの低減を示す、態様(13)〜態様(22)のいずれか1つの方法に関連している。
【0115】
本開示の態様(24)は、抗菌複合物品の外面が、修正EPA銅試験プロトコルの下において、黄色ブドウ球菌、エンテロバクターアエロゲネス、及び緑膿菌バクテリアの少なくとも1つの濃度において、少なくとも3logの低減を示す、態様(13)〜態様(22)のいずれか1つの方法に関連している。
【0116】
本開示の態様(25)は、抗菌複合物品を製造する方法であって、疎水性のポリマー材料を含むマトリックスを用意するステップ、銅含有抗菌剤を含む複数の第2相粒子を用意するステップ、マトリックスを溶融してマトリックス溶融体を形成するステップ、複数の第2相粒子を、第2相体積分率でマトリックス溶融体に押し出して、複合溶融体を形成するステップ、複合溶融体から複合物品を射出成形するステップ、及び複合物品を処理して、マトリックスの露出部分及び複数の第2相粒子を含む外面を有する抗菌複合物品を形成するステップを備え、複数の第2相粒子の露出部分が、第2相体積分率の±25%以内の第2相面積分率で、マトリックスの露出部分に分散している、方法。
【0117】
本発明の精神及び範囲を逸脱せずに、様々な改良及び変形が可能であることは当業者には明らかであろう。
【0118】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0119】
実施形態1
抗菌複合物品であって、
ポリマー材料を含むマトリックス、及び
銅含有抗菌剤を有する相分離性ガラスを含む、複数の第2相粒子
を有し、
前記複数の粒子が、第2相体積分率で前記マトリックスに分散し、更に、
前記複合物品が、前記マトリックスの露出部分及び前記複数の第2相粒子を含む外面を画成する、物品。
【0120】
実施形態2
前記複数の第2相粒子の露出部分が、前記第2相体積分率の±25%以内の第2相面積分率で、前記マトリックスの前記露出部分に分散している、実施形態1に記載の物品。
【0121】
実施形態3
前記マトリックスが、実質的な疎水性によって特徴付けられるポリマー材料を含み、更に、前記マトリックスの前記露出部分が、実質的な親水性によって特徴付けられる、実施形態1又は2に記載の物品。
【0122】
実施形態4
前記ポリマー材料が、ポリプロピレン、ポリオレフィン、及びポリスルホンから成る群より選択される、実施形態1〜3いずれか1つに記載の物品。
【0123】
実施形態5
前記相分離性ガラスが、B
2O
3、P
2O
5、及びR
2Oの少なくとも1つを含み、前記抗菌剤が、複数のCu
1+イオンを含むクプライトである、実施形態1〜4のいずれか1つに記載の物品。
【0124】
実施形態6
前記物品の前記外面が、修正EPA銅試験プロトコルの下において、黄色ブドウ球菌、エンテロバクターアエロゲネス、及び緑膿菌バクテリアの少なくとも1つの濃度において、少なくとも2logの低減を示す、実施形態1〜5のいずれか1つに記載の物品。
【0125】
実施形態7
前記物品の前記外面が、修正EPA銅試験プロトコルの下において、黄色ブドウ球菌、エンテロバクターアエロゲネス、及び緑膿菌バクテリアの少なくとも1つの濃度において、少なくとも3logの低減を示す、実施形態1〜6のいずれか1つに記載の物品。
【0126】
実施形態8
前記複数の第2相粒子が、325標準USメッシュサイズによって規定されるサイズ分布を有する、実施形態5に記載の物品。
【0127】
実施形態9
前記相分離性ガラスが、約10〜50モル%のクプライトを含む、実施形態1〜8のいずれか1つに記載の物品。
【0128】
実施形態10
前記マトリックスが、実質的な親水性を特徴とするポリマー材料を含む、実施形態1〜9のいずれか1つに記載の物品。
【0129】
実施形態11
前記マトリックスの前記露出部分が、前記マトリックスのプラズマ処理に由来する官能基を含む、実施形態3に記載の物品。
【0130】
実施形態12
前記複合物品の前記外面が、表示装置のカバースクリーン、表示装置のハウジング、カウンター甲板、テーブル甲板、ドアノブ、レール、及びエレベータの制御パネルから成る群より選択される要素の高接触面として構成されている、実施形態1〜11のいずれか1つに記載の物品。
【0131】
実施形態13
抗菌複合物品を製造する方法であって、
ポリマー材料を含むマトリックスを用意するステップ、
抗菌剤を含む複数の第2相粒子を用意するステップ、
前記マトリックスを溶融してマトリックス溶融体を形成するステップ、
前記複数の第2相粒子を、第2相体積分率で前記マトリックス溶融体に分散して、複合溶融体を形成するステップ、
前記複合溶融体から複合物品を形成ステップ、及び
前記複合物品を処理して、前記マトリックスの露出部分及び前記複数の第2相粒子を含む外面を有する、抗菌複合物品を形成するステップ、
を備えた方法。
【0132】
実施形態14
前記マトリックスが、実質的な親水性によって特徴付けられるポリマー材料を含む、実施形態13に記載の方法。
【0133】
実施形態15
前記処理するステップが、前記複合物品を研削して、前記マトリックスの露出部分及び前記複数の第2相粒子を含む外面を有する、抗菌複合物品を形成するステップを含む、実施形態13又は14に記載の方法。
【0134】
実施形態16
前記マトリックスが、実質的な疎水性によって特徴付けられるポリマー材料を含み、更に、前記マトリックスの前記露出部分が、実質的な親水性によって特徴付けられる、実施形態13〜15のいずれか1つに記載の方法。
【0135】
実施形態17
前記処理するステップが、前記複合物品を研削及びプラズマ処理して、前記マトリックスの露出部分及び前記複数の第2相粒子を含む外面を有する、抗菌複合物品を形成するステップを含む、実施形態16に記載の方法。
【0136】
実施形態18
前記処理するステップにおいて、前記プラズマ処理の前に前記研削が行われる、実施形態17に記載の方法。
【0137】
実施形態19
前記処理するステップにおいて、前記研削の前に前記プラズマ処理が行われる、実施形態17に記載の方法。
【0138】
実施形態20
前記ポリマー材料が、ポリプロピレン、ポリオレフィン、及びポリスルホンから成る群より選択される、実施形態13〜19のいずれか1つに記載の方法。
【0139】
実施形態21
前記第2相粒子が、SiO
2含有ガラス、並びにB
2O
3、P
2O
5、及びR
2Oの少なくとも1つを更に含み、更に、前記抗菌剤が、複数のCu
1+イオンを含むクプライトである、実施形態13〜20のいずれか1つに記載の方法。
【0140】
実施形態22
前記溶融するステップ、及び前記分散するステップが押出成形処理を含み、前記複合物品を形成するステップが射出成形処理を含む、実施形態13〜21のいずれか1つに記載の方法。
【0141】
実施形態23
前記抗菌複合物品の前記外面が、修正EPA銅試験プロトコルの下において、黄色ブドウ球菌、エンテロバクターアエロゲネス、及び緑膿菌バクテリアの少なくとも1つの濃度において、少なくとも2logの低減を示す、実施形態13〜22のいずれか1つに記載の方法。
【0142】
実施形態24
前記抗菌複合物品の前記外面が、修正EPA銅試験プロトコルの下において、黄色ブドウ球菌、エンテロバクターアエロゲネス、及び緑膿菌バクテリアの少なくとも1つの濃度において、少なくとも3logの低減を示す、実施形態13〜23のいずれか1つに記載の方法。
【0143】
実施形態25
抗菌複合物品を製造する方法であって、
疎水性のポリマー材料を含むマトリックスを用意するステップ、
銅含有抗菌剤を含む複数の第2相粒子を用意するステップ、
前記マトリックスを溶融してマトリックス溶融体を形成するステップ、
前記複数の第2相粒子を、第2相体積分率で前記マトリックス溶融体に押し出して、複合溶融体を形成するステップ、
前記複合溶融体から複合物品を射出成形するステップ、及び
前記複合物品を処理して、前記マトリックスの露出部分及び前記複数の第2相粒子を含む外面を有する、抗菌複合物品を形成するステップ、
を備え、
前記複数の第2相粒子の前記露出部分が、前記第2相体積分率の±25%以内の第2相面積分率で、前記マトリックスの前記露出部分に分散している、方法。