特許第6987757号(P6987757)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987757
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】新規トリペプチド
(51)【国際特許分類】
   C07K 5/083 20060101AFI20211220BHJP
   A23L 33/18 20160101ALI20211220BHJP
   A61K 38/06 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   C07K5/083ZNA
   A23L33/18
   A61K38/06
   A61P9/00
   A61P9/12
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-524039(P2018-524039)
(86)(22)【出願日】2017年6月16日
(86)【国際出願番号】JP2017022340
(87)【国際公開番号】WO2017217535
(87)【国際公開日】20171221
【審査請求日】2020年4月10日
(31)【優先権主張番号】特願2016-119853(P2016-119853)
(32)【優先日】2016年6月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】正箱 尚久
(72)【発明者】
【氏名】大日向 耕作
(72)【発明者】
【氏名】小川 雄太郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 惠津子
(72)【発明者】
【氏名】石角 篤
(72)【発明者】
【氏名】水道 裕久
(72)【発明者】
【氏名】草刈 剛
【審査官】 小田 浩代
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/108211(WO,A1)
【文献】 特開平04−264096(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/175305(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/129412(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/116639(WO,A1)
【文献】 特表2006−520809(JP,A)
【文献】 特開2010−138133(JP,A)
【文献】 特開2010−163400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00−14/00
A61K 38/00−38/58
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Leu−Arg−Alaからなるトリペプチドを含む、ACE阻害用組成物。
【請求項2】
Leu−Arg−Alaからなるトリペプチドを含む、血圧低下用組成物。
【請求項3】
食品組成物又は医薬組成物である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
経口組成物である、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
成人一日あたり、10〜300μgのLeu−Arg−Alaからなるトリペプチドが摂取されるように用いられることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
9〜12週間又はそれ以上摂取されるように用いられることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規トリペプチド、並びに当該トリペプチドを含むACE阻害用組成物及び血圧低下用組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
アンジオテンシン変換酵素(Angiotensin I−Converting Enzyme;本明細書において「ACE」と記載する場合がある。)は、アンジオテンシンIをアンジオテンシンIIに変換する酵素である。アンジオテンシンIIは血管の収縮などにより血圧を上げる働きがある。ACEの働きを阻害すると、アンジオテンシンIIの生成が抑制され、降圧作用を示すことが知られている。このため、ACE阻害物質は、例えば血圧低下剤の有効成分や、血圧が高めの方に適した食品の関与成分などとして用いられている。
【0003】
高血圧患者や血圧が高めのヒトが増加している昨今、安全で優れたACE阻害を示す物質の需要はますます高まっており、研究開発も盛んに行われている。このような研究開発の一態様として、ACE阻害作用を示すペプチドを探索することが行われている。例えば、ゴマのサーモリシン(サーモライシンとも呼ばれる)による分解物からACE阻害により血圧低下作用を有する3種のトリペプチドが見出されたこと(特許文献1)、ブタ由来タンパク質のペプシンによる分解物からACE阻害活性を有するペプチドが見出されたこと(特許文献2)、魚肉由来タンパク質の酵素分解物からACE阻害活性を有するペプチドが見出されたこと(特許文献3)、アンジオテンシンIIの分解フラグメントの配列を有するペプチドがACE阻害活性を有すること(特許文献4)、ACE阻害活性を有するジペプチド(特許文献5)などが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2006−520809号公報
【特許文献2】特開2005−220091号公報
【特許文献3】特開平6−166697号公報
【特許文献4】特開平7−215889号公報
【特許文献5】特開2004−099552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、ACE阻害活性を有する新規ペプチドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記した目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、Leu−Arg−Alaからなるトリペプチドが優れたACE阻害活性を有することを見出した。本発明者らはかかる知見をもとにさらに研究を重ねることにより本発明を完成させるに至った。
【0007】
本発明は、代表的には以下の項に記載の発明を包含する。
項1.
Leu−Arg−Alaからなるトリペプチド。
項2.
Leu−Arg−Alaからなるトリペプチドを含む、ACE阻害用組成物。
項3.
Leu−Arg−Alaからなるトリペプチドを含む、血圧低下用組成物。
項4.
食品組成物又は医薬組成物である、項2又は3に記載の組成物。
項5.
経口組成物である、項2〜4のいずれかに記載の組成物。
項6.
成人一日あたり、10〜300μgのLeu−Arg−Alaからなるトリペプチドが摂取されるように用いられることを特徴とする、項2〜5のいずれかに記載の組成物。
項7.
9〜12週間又はそれ以上摂取されるように用いられることを特徴とする、請求項2〜6のいずれかに記載の組成物。
項A−1.
Leu−Arg−Alaからなるトリペプチド、又は当該ポリペプチド及び薬学的もしくは食品衛生学的に許容される担体を含む組成物を、対象に投与する工程を含む、ACE阻害又は血圧低下方法。
項B−1.
高血圧の抑制における使用のための、Leu−Arg−Alaからなるトリペプチド、又は当該ポリペプチド及び薬学的もしくは食品衛生学的に許容される担体を含む組成物。
項C−1.
高血圧の抑制における医薬又は食品の製造における、Leu−Arg−Alaからなるトリペプチドの使用。
【発明の効果】
【0008】
本発明のLeu−Arg−Alaからなるトリペプチドは、優れたACE阻害活性及び血圧低下作用を有することから、Leu−Arg−Alaからなるトリペプチドを摂取又は投与することにより、ACE阻害効果に加え、血圧低下効果も得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1で行ったACE阻害活性(IC50値)の測定結果を示すグラフである。
図2】実施例2で行った血圧低下作用の検討試験の結果を示すグラフである。図2中、「Control」は対照群の結果を示し、「LRA 0.25mg/kg」はLRAペプチド投与群の結果を示し、「※」は対照群に対して有意差(p<0.05)があったことを示す。
図3】プラセボ対照ダブルブラインド並行群間比較試験による、LRAペプチドの血圧低下効果を検討したヒト臨床試験結果を示す。「*」は、プラセボ群と比較した場合に有意差(p<0.05、t検定)があることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、本発明のACE阻害用組成物又は血圧低下用組成物を総称して「本発明の組成物」と記載する場合がある。
【0011】
本発明は、アミノ酸配列:Leu−Arg−Alaからなるトリペプチド(本明細書において「LRAペプチド」と記載する場合がある。)を包含する。
【0012】
LRAペプチドは、公知のペプチド合成法を用いて化学合成により調製することができる。ペプチド合成法としては、例えば、アジド法、酸クロライド法、酸無水物法、混合酸無水物法、DDC法、活性エステル法、カルボイミダゾール法、酸化還元法などのペプチド合成法を挙げることができる。これらのペプチド合成法は、固相合成法又は液相合成法のいずれによっても行うことができる。
【0013】
上記したペプチド合成法では、アミノ基、カルボキシ基、及び/又は側鎖官能基(例えば、アルギニン(Arg)のグアニジノ基など)を保護基により保護しておくことが好ましい。保護基としては、特に限定されず公知の保護基を用いることができ、例えば、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz)、tert−ブトキシカルボニル基(Boc)、フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc)、ベンジル基(Bz)、p−トルエンスルホニル基(p−Ts)などが挙げられる。
【0014】
また、上記したペプチド合成法によりLRAペプチドを合成した後、必要に応じて、公知の方法により精製したものをLRAペプチドとして用いることができる。
【0015】
LRAペプチドは、ACE阻害活性及び血圧低下作用を有することから、ACE活性阻害用組成物、血圧低下用組成物、血圧上昇抑制用組成物、抗高血圧用組成物などとして用いることができる。また、本発明の組成物は、医薬組成物又は食品組成物などの経口組成物として好ましく用いることができる。
【0016】
なお、本明細書において、食品組成物は、食品組成物のみならず、食塩代替物や甘味料、飲料等への添加物などの食品添加用組成物、業務用や家庭用の食材プレミックス品などの食品用材料組成物など、広く飲食品として摂取される組成物を包含する。特に、食品組成物として用いる場合には、商品表示に血圧に対する作用や効果などを明示した食品組成物として好ましく使用することができる。具体的には、高血圧予防、血圧上昇抑制、血圧低下などの作用や効果が商品表示に明示している食品組成物、血圧が高めの人、血圧が気になる人などを対象者とする旨を商品表示に明示している食品組成物などが挙げられる。
【0017】
本発明の組成物を医薬組成物として用いる場合、本発明の組成物は、LRAペプチドに加え、必要に応じて他の成分を含むことができる。当該他の成分としては特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、薬学的に許容される基剤、担体、及び/又は添加剤(例えば、溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等)等が挙げられる。当該他の成分の配合量は目的に応じて適宜設定することができる。
【0018】
本発明の組成物を医薬組成物として用いる場合、その投与形態は特に限定的ではなく、例えば、経口投与、静脈内注射などが挙げられる。中でも、経口投与が好ましい。
【0019】
本発明の組成物を医薬組成物として用いる場合、その剤型は特に限定的ではなく、例えば、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、発泡錠、分散錠、溶解錠などの錠剤;トローチ剤;散剤;懸濁剤;乳剤;エリキシル剤;リモナーデ剤;シロップ剤;ローション剤;顆粒剤;硬カプセル剤や軟カプセル剤などのカプセル剤;クリーム剤;軟膏剤;坐剤;パップ剤、テープ剤、マイクロニードル、イオントフォレシスやエレクトロポレーションなどの経皮/粘膜投与剤;エアゾール剤等が挙げられる。これらの形態は、LRAペプチドと、必要に応じて上記した他の成分とを組み合わせて常法により調製することができる。
【0020】
本発明の組成物を医薬組成物や医薬部外品として用いる場合、当該医薬組成物におけるLRAペプチドの配合量は、LRAペプチドの有するACE阻害活性や血圧低下作用が発揮される量であれば特に限定的ではなく、適宜設定することができる。
【0021】
また、本発明の組成物を医薬組成物として用いる場合、投与量、投与間隔、投与対象などは特に限定的ではなく、適宜設定することができる。例えば、投与量は、投与対象の年齢、性別、体重、対象の健康状態、その他の条件に応じて適宜設定することができる。また、例えば、投与間隔については、1日1回又は複数回(好ましくは2〜3回)としてもよいし、数日〜数週間に1回又は複数回としてもよい。また、投与対象はヒト、及びペット又は家畜などの非ヒト哺乳動物であってもよい。
【0022】
特に投与対象がヒトである場合、LRAペプチド投与(摂取)量は、例えば、成人一日あたり、10〜300μg程度が好ましく、15〜200μg程度がより好ましく、20〜100μg程度がさらに好ましく、30〜80μg程度がよりさらに好ましく、35〜70μg程度がなお好ましく、40〜60μg程度が特に好ましい。
【0023】
また、投与(摂取)期間は、特に制限はされないが、3〜12週間又はそれ以上(3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12週間又はこれら以上)であることが好ましく、9〜12週又はそれ以上であることがより好ましい。特に、一日あたりのLRAペプチド投与量が、30〜80μg程度である場合には5〜12週間又はそれ以上であることが好ましく、10μg以上30μg未満又は80μgより多く300μg以下である場合には9〜12週間又はそれ以上であることが好ましい。
【0024】
投与対象が非ヒト哺乳動物の場合の投与形態、剤型、投与量、投与間隔などは、ヒトを投与対象とする場合を参考として適宜設定することができる。
【0025】
本発明の組成物を食品組成物として用いる場合、本発明の組成物は、LRAペプチドに加え、必要に応じて他の成分を含むことができる。当該他の成分としては特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、食品衛生学上許容される基剤、担体、添加剤や、その他食品として利用され得る成分・材料等が例示できる。
【0026】
本発明の組成物を食品組成物として用いる場合、その摂取形態は経口摂取である。この場合、本発明の組成物の形態は特に制限されず、一般食品や保健機能食品、特別用途食品に使用することができる。例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、病者用食品、嚥下困難者用食品、健康補助食品、栄養補助食品、病院食、介護食、加工食品、飲料、などが挙げられる。これらは常法により調製することができる。また、食品組成物の剤形形態としては、例えば、ハードカプセル、ソフトカプセル、サプリメント、チュアブル錠、飲料、粉末飲料、顆粒、フィルムなどの形態のほか、飲食品として使用する場合、例えば、茶系飲料、スポーツ飲料、美容飲料、果汁飲料、炭酸飲料、アルコール飲料、清涼飲料、ゼリー飲料、水や湯、炭酸水等で希釈する濃縮タイプの飲料等の飲料、水や湯等に溶解または懸濁させて飲用する粉末や顆粒、タブレット等の乾燥固形物、タブレット菓子、ゼリー類、スナック類、焼き菓子、揚げ菓子、ケーキ類、チョコレート、ガム、飴、グミなどの菓子類、スープ類、めん類、米飯類、シリアル等などの食品形態にすることもできる。このうち通常の生活においては、サプリメントタイプ、チュアブル錠、ワンショットドリンクタイプなどの形態が好ましく、運動効果を高める目的で摂取する場合には、スポーツ飲料などの飲料の形態も好ましい。特に、保健機能食品、健康補助食品や栄養補助食品などとする場合には、継続的に摂取し易くするようにするため、例えば、顆粒、カプセル、タブレットや錠剤(チュアブル剤等を含む)、飲料(飲料パウダー、ドリンク剤等)、ゼリー剤などの形態とすることが好ましい。
【0027】
また、本発明の組成物を食品添加用組成物や食品用材料組成物として用いる場合には、その形態としては特に制限されず、例えば、液状、粉末状、フレーク状、顆粒状、ペースト状のものが挙げられる。より具体的には、調味料(甘味料、食塩代替組成物、醤油、酢、味噌、ソース、ケチャップ、ドレッシング、スパイス、ハーブ等、フレーク(ふりかけ、炊飯添加剤など)、焼き肉のたれ、ルーペースト(カレールーペースト等)、食材プレミックス品等が挙げられる。
【0028】
本発明の組成物を食品組成物として用いる場合、当該食品組成物におけるLRAペプチドの配合量は、LRAペプチドの有するACE阻害活性、血圧低下作用、血圧上昇抑制作用が発揮される量であれば特に限定的ではなく、適宜設定することができる。
【0029】
また、本発明の組成物を食品組成物として用いる場合、摂取量、摂取間隔、摂取対象などは特に限定的ではなく、適宜設定することができる。例えば、摂取量は、摂取対象の年齢、性別、体重、対象の健康状態、その他の条件に応じて適宜設定することができる。例えば、摂取間隔については、上記した量を摂取する場合、1日1回又は複数回(好ましくは2〜3回)としてもよいし、数日〜数週間に1回又は複数回としてもよい。また、摂取対象はヒト、及びペット又は家畜などの非ヒト哺乳動物であってもよい。
【0030】
特に投与対象がヒトである場合、LRAペプチド摂取量は、例えば、成人一日あたり、10〜300μg程度が好ましく、15〜200μg程度がより好ましく、20〜100μg程度がさらに好ましく、30〜80μg程度がよりさらに好ましく、35〜70μg程度がなお好ましく、40〜60μg程度が特に好ましい。
【0031】
また、摂取期間は、特に制限はされないが、3〜12週間又はそれ以上(3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12週間又はこれら以上)であることが好ましく、9〜12週又はそれ以上であることがより好ましい。特に、一日あたりのLRAペプチド摂取量が、30〜80μg程度である場合には5〜12週間又はそれ以上であることが好ましく、10μg以上30μg未満又は80μgより多く300μg以下である場合には9〜12週間又はそれ以上であることが好ましい。
【0032】
摂取対象となるヒトは、特に制限はされないが、年齢に伴う血圧上昇を予防したいヒトや血圧上昇を防止したり血圧を下げる必要があるヒトが好ましい。具体的には、日本高血圧学会が発行している高血圧治療ガイドライン2014で分類されている、高血圧(収縮期血圧が140mmHg以上及び/又は拡張期血圧が90mmHg以上)に分類されるヒトだけでなく、正常域血圧ではあるが、生涯のうちに高血圧へ移行する確立が高いことが明らかになっている正常血圧(収縮期血圧が120〜129mmHg及び/又は拡張期血圧が80〜84mmHg)や正常高値血圧(収縮期血圧が130〜139mmHg及び/又は拡張期血圧が85〜89mmHg)に分類されるヒトにおいても好ましい。このうち、正常高値血圧、高血圧に分類される人がより好ましく、正常高値血圧に分類されるヒトが更に好ましい。
【0033】
摂取対象が非ヒト哺乳動物の場合の形態、摂取量、摂取間隔などは、ヒトが摂取対象である場合を参考として適宜設定することができる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
【0035】
製造例1:Fmoc法によるトリペプチドの合成
Fmoc法によりLeu−Arg−Alaからなるトリペプチドを固相合成した。得られた当該LRAペプチドをHPLCにより精製した後、プロテインシーケンサーにより配列を解析した結果、Leu−Arg−Alaからなるトリペプチドであることが確認された。
【0036】
製造例2:Boc法によるトリペプチドの合成
Boc法によるLeu−Arg−Alaからなるトリペプチドの合成を株式会社ペプチド研究所に依頼した。なお、納品された当該LRAペプチドは、RP−HPLC、質量分析及びアミノ酸分析により、Leu−Arg−Alaからなるトリペプチドであることが確認されたものであった。
【0037】
実施例1:ACE阻害活性の測定
上記製造例1で合成したLRAペプチドに超純水を加えて300μMの水溶液を調製した。次いで、段階希釈により、300μM、150μM、75μM、及び30μMの水溶液をそれぞれ調製し、これらをサンプルとして用いた。
【0038】
各サンプルのACE阻害活性の測定は、ACE阻害活性測定キット(商品名:ACE Kit−WST、株式会社同仁化学研究所製)を用いて行った。当該キットは3−Hydroxybutyryl−Gly−Gly−Gly(3HB−GGG)から切り出される3−Hydroxybutyric acid(3HB)を酵素法により検出するものである。操作は当該キットの取扱説明書に従い、各サンプルのACE阻害活性を測定した(N=3)。なお、当該キットでは、各サンプルにおけるLRAペプチドの最終濃度はそれぞれ3分の1となる。結果を図1に示す。また、当該測定結果からIC50値を算出したところ、LRAペプチドのIC50値は62μMであった。
【0039】
当該結果から、LRAペプチドは優れたACE阻害活性を有することが分かった。
【0040】
実施例2:血圧低下作用の検討
実験動物として、雄性の高血圧自然発症ラット(SHR/Izm、12週齢)を用いた。飼料は固形SP飼料(船橋農場)、飲用水は水道水を使用し、試験中も含め自由摂食・自由飲水とした。ラットは3週間の馴化期間の後、本試験に使用した。なお、ラットは、LRAペプチド投与群及び対照群の2群に群分けした(各群:N=5)。
【0041】
上記製造例2で合成したLRAペプチドを生理食塩水に溶解させて、0.25mg/mlペプチド溶液を調製した。LRAペプチド投与群には、当該ペプチド溶液を0.25mg/kgとなるように、1ml容シリンジ及びテフロン(登録商標)製胃ゾンデを用いて胃内に強制経口投与し、対照群には、生理食塩水をサンプル投与群と同様にして強制経口投与した。投与前、並びに投与後2時間後及び4時間後の収縮期血圧をTail−cuff法で測定した。なお、血圧の測定には、室町機械株式会社製の血圧測定器(MK−2000ST)を用いた。なお、投与後2時間後及び4時間後の収縮期血圧が投与前の収縮期血圧に比べてどの程度低下したかを指標とした。結果を図2に示す。
【0042】
LRAペプチド投与群は対照群に比べて投与後2時間後及び4時間後の収縮期血圧が有意に低下したことが分かった。当該結果から、LRAペプチドは優れた血圧低下作用を有することが分かった。
【0043】
実施例3:ヒト臨床試験
プラセボ対照ダブルブラインド並行群間比較試験により、LRAペプチドの血圧低下効果を検討した。
LRAペプチドを0g、3μg、6μg、又は12μg含有するタブレットを食品用担体(食物繊維等)を用いて調製した。当該タブレットの成分分析結果の一例は次の通りであった。水分:7.9g/100g(常圧加熱乾燥法で測定)、脂質:0.3g/100g(酸分解法で測定)、灰分:26.4g/100g(直接灰化法で測定)、ナトリウム757mg/100g(原子吸光光度法で測定;食塩相当量は1.92g/100g)。
【0044】
正常高値血圧者(収縮期130〜139mmHgあるいは拡張期85〜89mmHg)あるいはI度高血圧者(収縮期140〜159mmHgあるいは拡張期90〜99mmHg)である、35歳以上65歳未満の男女、計80名の被験者を、プラセボ群、24μg摂取群、48μg摂取群、及び96μg摂取群の4群に20人ずつ振り分けた。プラセボ群は、LRAペプチドを含有しないタブレットを1日8錠摂取する群、24μg摂取群はLRAペプチドを3μg含有するタブレットを1日8錠(合計LRAペプチド24μg)摂取する群、48μg摂取群はLRAペプチドを6μg含有するタブレットを1日8錠(合計LRAペプチド48μg)摂取する群、96μg摂取群はLRAペプチドを12μg含有するタブレットを1日8錠(合計LRAペプチド96μg)摂取する群である。各被験者にはタブレットを1日8錠、12週間にわたって摂取させた。そして、摂取開始直前、摂取開始4週目、摂取開始8週目、及び摂取開始12週間目に、各被験者の血圧を測定した。測定には自動血圧測定装置(HEM−759P、オムロン社製)を用いた。測定は2回行い、その平均値を各被験者の血圧として記録した。45歳以上且つBMI30未満の被験者について、摂取開始直前の収縮期血圧値と、摂取開始4週目、摂取開始8週目、及び摂取開始12週間目の収縮期血圧値との差をグラフにして図3に示す。図3において、*は、プラセボ群と比較した場合に有意差(p<0.05、t検定)があることを示す。
図1
図2
図3