(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987766
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】アルカリ金属を本質的に含まないFE−AEIゼオライト材料を含むSCR触媒の存在下での選択触媒還元による排気ガスからの窒素酸化物の除去方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/94 20060101AFI20211220BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20211220BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20211220BHJP
F01N 3/10 20060101ALI20211220BHJP
B01J 29/76 20060101ALI20211220BHJP
B01D 53/86 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
B01D53/94 222
F01N3/08 BZAB
F01N3/28 Q
F01N3/28 301V
F01N3/28 301D
F01N3/28 301E
F01N3/10 A
B01J29/76 A
B01D53/86 222
B01D53/86 280
B01D53/86 245
【請求項の数】28
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-535838(P2018-535838)
(86)(22)【出願日】2017年1月30日
(65)【公表番号】特表2019-512377(P2019-512377A)
(43)【公表日】2019年5月16日
(86)【国際出願番号】EP2017051911
(87)【国際公開番号】WO2017134005
(87)【国際公開日】20170810
【審査請求日】2020年1月16日
(31)【優先権主張番号】PA201670052
(32)【優先日】2016年2月1日
(33)【優先権主張国】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】501399500
【氏名又は名称】ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Umicore AG & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヌリア・マルティン・ガルシア
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル・ムリネ・マリン
(72)【発明者】
【氏名】アヴェリーノ・コルマ・カノス
(72)【発明者】
【氏名】ヨアキム・ライマ・トーガソン
(72)【発明者】
【氏名】ピーダ・ニゴライ・ラウンボー・ヴェネストラム
【審査官】
壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】
特表2015−533342(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0271426(US,A1)
【文献】
米国特許第09011807(US,B2)
【文献】
特表2016−516565(JP,A)
【文献】
特表2015−516882(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0118134(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0197519(US,A1)
【文献】
特表2013−514168(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0165051(US,A1)
【文献】
特表2009−519817(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0134146(US,A1)
【文献】
特開2003−117352(JP,A)
【文献】
特開平04−222633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/86,53/94
B01J 21/00−38/74
F01N 3/00−3/38,9/00−11/00
C01B 33/20−39/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元剤としてのアンモニアの存在下での選択触媒還元による排気ガス、煙道ガス、又はオフガスからの窒素酸化物の除去方法であって、前記アンモニア又はこの前駆体とともに前記排気ガスを、以下のモル組成:
SiO2:o Al2O3:p Fe:q Alk
[式中、oは0.001〜0.2の範囲であり、
pは0.001〜0.2の範囲であり、
Alkは1つ以上のアルカリ金属イオンであり、qは0.02未満である。]を有する、アルカリ金属イオン(Alk)を本質的に含まないFe−AEIゼオライト材料を含むSCR触媒に接触させる工程を含む、方法。
【請求項2】
oが0.005〜0.1の範囲であり、pが0.005〜0.1の範囲であり、qが0.005未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
oが0.02〜0.07の範囲であり、pが0.01〜0.07の範囲であり、qが0.001未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記排気ガス、煙道ガス又はオフガスが、1%超の蒸気を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記排気ガス、煙道ガス又はオフガスが、200℃超の温度にある、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記SCR触媒が、多孔質基材の中又は多孔質基材上にコーティングされる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記基材が、金属基材、又はセラミック押出基材、又は波型セラミック基材である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記基材が、フロースルーモノリス、フロースルーハニカム、又はウォールフローフィルタの形態である、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記SCR触媒が、前記基材に前記SCR触媒を加えた体積当たりの触媒材料の重量で算出された10〜600g/Lの量でコーティングされる、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記量が、100〜300g/Lである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記SCR触媒が、前記多孔質基材の中又は前記多孔質基材上に、前記SCR触媒、並びにTiO2、SiO2、Al2O3、ZrO2、CeO2及びこれらの組み合わせを含むバインダを含むウォッシュコートの形態でコーティングされる、請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記SCR触媒が、前記基材上に層としてコーティングされ、ここで前記基材は、異なる触媒活性を有する触媒又は他のゼオライト触媒を含む1つ以上の更なる層を備える、請求項6〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上の更なる層が、白金若しくはパラジウム又はこれらの組み合わせを含む酸化触媒を含有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記SCR触媒が、前記基材上にゾーンコーティングされる、請求項6〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記基材が、酸化触媒を有する更なる領域を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記基材が、アンモニアスリップ触媒を有する領域を含む、請求項14又15に記載の方法。
【請求項17】
前記排気ガス、煙道ガス又はオフガスが、ガスタービンシステムからのガスである、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
タービン排気ガス中に更に含有される炭化水素及び一酸化炭素が、酸化触媒との接触により水及び二酸化炭素に酸化され、前記酸化触媒が、前記SCR触媒の上流又は下流に配置される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ガスタービンシステムが、タービンの下流に任意の熱回収システムを設けない単一サイクル運転モードを有するシステムである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記SCR触媒が、ガスタービンと排熱回収ボイラとの間に配置される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記排気ガス、煙道ガス又はオフガスが、ガスエンジン排気ガスである、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
ガスタービンの下流に触媒ユニットを備えるタービン排気ガスの浄化システムであって、触媒システムが、以下のモル組成:
SiO2:o Al2O3:p Fe:q Alk
[式中、oは0.001〜0.2の範囲であり、
pは0.001〜0.2の範囲であり、
Alkは1つ以上のアルカリ金属イオンであり、qは0.02未満である。]を有する、アルカリ金属イオン(Alk)を本質的に含まないFe−AEIゼオライト材料を含むSCR触媒を備える、システム。
【請求項23】
前記触媒ユニットが、前記ガスタービンと排熱回収ボイラとの間に配置される、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記システムが、酸化触媒を更に含む、請求項22又は23に記載のシステム。
【請求項25】
前記酸化触媒が、前記SCR触媒と直接組み合わせられる、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記酸化触媒が、前記Fe−AEIゼオライト上に担持される、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記酸化触媒が、前記SCR触媒上の最上層として配置される、請求項24に記載のシステム。
【請求項28】
前記酸化触媒が、モノリス中の前記SCR触媒の上流又は下流に別個の領域として配置される、請求項24に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全般的に、排気ガス、煙道ガス及びオフガスからの有害な窒素酸化物(NO
X=NOとNO
2)の除去に関する。
【0002】
特に、本発明は、アルカリを本質的に含まないシリコアルミネート形態の水熱安定性鉄含有AEIゼオライトの使用による、NOxの選択触媒還元(SCR)に関する。
【背景技術】
【0003】
環境及び健康リスクにより、排気ガス、煙道ガス及びオフガスからの有害な窒素酸化物(NO
X=NOとNO
2)を除去し、それらが環境中に放出されるのを回避することが要求されている。NO
Xの主な発生源は、窒素と酸素がより高温で反応する際の熱的形成である。空気中の酸素を使用する燃焼プロセスの間、NO
Xは不可避な副産物であり、内燃機関、発電プラント、ガスタービン、ガスエンジンなどから発生した排気ガス中に存在する。NO
Xの放出は、典型的には法令によって規制されており、かかる法令は世界中のほとんどの地域で厳格化している。排気ガス又は煙道ガスからNO
Xを除去する効率的な方法は、アンモニア又はこれらの前駆体を還元剤として使用してNO
Xを選択的に還元する選択触媒還元(NH
3−SCR)によるものである(反応1〜3参照)。還元剤によるNO
Xの選択触媒還元(SCR)は、排気、ガス流又は煙道ガス中のNO
Xの量を低減する効率的な方法である。典型的には、還元剤は、アンモニア又は尿素などの窒素化合物である。アンモニアを用いた選択触媒還元(NH
3−SCR)について、望ましい反応:
4NO+4NH
3+O
2→4N
2+6H
2O(反応1)
2NO+2NO
2+4NH
3→4N
2+6H
2O(反応2)
6NO
2+8NH
3→7N
2+12H
2O(反応3)
を含む。
【0004】
SCR反応に加えて、いくつかの不必要な副反応が発生し得る。既知の問題は、追加のNO
Xを生成し得るアンモニアの非選択的酸化(unselective oxidation)であり、亜酸化窒素の形成もまた、既知の問題である。
4NH
3+5NO+3O
2→4N
2O+6H
2O(反応4)
4NH
3+5O
2→4NO+6H
2O(反応5)
窒素含有化合物の他に、その他の化合物もまた、NO
XのSCR反応において還元剤として使用できる。特に、炭化水素(HC)の使用もまた、窒素酸化物を選択的に還元する(HC−SCR)ために使用できる。
【0005】
内燃機関、発電プラント、ガスタービン、ガスエンジンなどに由来する排気ガス又は煙道ガスシステムからのNO
Xの除去においては、触媒コンバータ又は任意のその他の物品が排気ガス又は煙道ガスシステムに導入される際の圧力降下ペナルティが一般的な問題である。ペナルティは、排気ガス又は煙道ガスを触媒コンバータに送り込み通過させるのに当たって追加の圧力が必要とされることによって生じる。触媒コンバータ上での圧力降下をある程度減少させることは、プロセスの効率及び経済性に正の影響を及ぼす。圧力降下を減少させるための1つの方法は、NO
Xの還元効率を損なうことなく触媒コンバータのサイズを低減させることによるものであり、かかる方法では、より活性のある触媒組成物を使用する必要がある。したがって、触媒活性をある程度増大させることが理にかなっている。
【0006】
NO
XのSCR用の触媒として、アルミノシリケートゼオライト及びシリコアルミノホスフェートゼオタイプが使用される。NH
3−SCRについて、典型的には、ゼオライトは遷移金属で促進される。最も一般的に使用される遷移金属は鉄及び銅であり、最も一般的に試験されるゼオライト骨格は、
*BEA、MFI、及びCHA(全て、国際ゼオライト協会(International Zeolite Association)により策定された3文字コードによって与えられる)である。
【0007】
ゼオライト系触媒は、バナジウム系SCR触媒の代替となる。銅により促進されると、ゼオライトは、典型的には、低温(例えば<250℃)下でNH
3−SCRに対しバナジウム系触媒よりも高い活性を示し、かつバナジウム系触媒の場合には生じ得る、高温行程時の触媒劣化による有害揮発性化合物の放出がない。Cuゼオライトの使用の1つの制限は、Cuゼオライトは、作動温度が高い(約350℃超)と高いNH
3−SCR選択性を提供しないことである。他方では、鉄促進ゼオライトは、より低温(例えば、約150〜200℃)下での高活性を犠牲にして、350℃超の温度でNH
3−SCRに対して高い選択性を提供する。
【0008】
全ての燃焼プロセスは排気ガス又は煙道ガス中に水を存在させることから、NO
Xが除去されるべきシステムに配置されるNH
3−SCR触媒には高い水熱安定性が求められる。ゼオライト系触媒は、蒸気の存在下で骨格の加水分解又は劣化により失活することが知られており、特に、排気ガス又は煙道ガス中に水が存在することで、ゼオライト系触媒には悪影響が生じる。いかなる理論にも束縛されるものではないが、これはアルミノシリケートゼオライトの脱アルミニウムに関連しているため、特定のゼオライト骨格トポロジーだけでなく、ゼオライトの内部及びゼオライト上に受け入れられる任意の骨格外種の存在及び同一性に依存すると本発明者らは考えている。
【0009】
一般的に、SCR触媒としての金属促進ゼオライトの使用に関するいくつかの問題が存在する。まず第1に、ゼオライトの水熱安定性は必ずしも十分とは限らない。典型的には、ある程度の量の水が存在することから、高温行程と組み合わさることで、最終的に触媒的活性物質の失活をもたらすゼオライトの結晶性ミクロ細孔構造の脱アルミニウム及び崩壊につながる。第2に、存在する任意の炭化水素は、ゼオライト触媒を吸着し、失活させる。更に、システムに硫黄含有種(例えば、SO
2及びSO
3など)が存在すると、ゼオライト触媒の失活をもたらされる。加えて、不必要なN
2Oの形成も生じる。更に、より高温下で望ましくないアンモニアの酸化も生じる。
【0010】
ゼオライトに導入される遷移金属の観点から、Cu促進は、低温(<300℃)下で、Feと比較して高いNH
3−SCR活性(反応1〜3を参照)をもたらすことが、一般に認められている。しかし、Cu促進材料はまた、より多量にN
2O(反応4)を生成し、かつ非選択的なアンモニア酸化(反応5)に起因して高温(>300℃)下でのNH
3−SCR反応の選択性が劣る。遷移金属の影響を受ける場合、水熱安定性は、特定のタイプのゼオライト及びゼオタイプ骨格への依存度が高くなるように思われる。例えば、Fe−
*BEA材料は、典型的には、Cu−
*BEA材料よりも水熱的に安定であり、Cu−CHA材料はFe−CHA材料よりも水熱的に安定である(F.Gao,Y.Wang,M.Kollar,N.M.Washton,J.Szanyi C.H.F.Peden,Catal.Today 2015,1〜12)。また、Fe促進材料はFeベースの等価物よりもN
2Oの生成が少ないことが一般に認められている(S.Brandenberger,O.Krocher,A.Tissler,R.Althoff,Catal.Rev.2008,50,492〜531)。
【0011】
ここ数年で、銅含有細孔アルミノシリケート及びシリコアルミノホスフェートCu−CHA材料である、Cu−SSZ−13、及びCu−SAPO−34が、それぞれ、NH
3−SCR触媒としての使用に当たり高い触媒活性及び水熱安定性を示すことが解説されている(米国特許第7,601,662号(B2)、欧州特許第2150328号(B1)、米国特許第7883678号(B2))。
【0012】
(F.Gao,Y.Wang,N.M.Washton,M.Kollar,J.Szanyi,C.H.F.Peden,ACS Catal.2015,DOI 10.1021/acscatal.5b01621)は、Cu−CHAアルミノシリケートSSZ−13におけるアルカリ及びアルカリ共存カチオンの影響を調べている。彼らは、特定の共存カチオンを促進剤金属イオンと組み合わせることで、Cu−CHA系材料の活性を高めるとともに、水熱安定性をも高めることができることを見出している。しかし、この研究はアルミノシリケートゼオライトSSZ−13(CHAゼオライト)に限定され、この材料に基づくいかなる結論も、他のアルミノシリケートゼオライト材料、骨格又は他の促進剤金属系ゼオライトシステムに転用することはできない。
【0013】
CHAに関連する別のゼオライトトポロジーには、AEIトポロジーがある。AEIトポロジーも、CHA構造に類似した細孔(構造のミクロ細孔窓に8個の酸素原子で規定される)を示す。したがって、いかなる理論にも束縛されるものではないが、CHAゼオライト又はゼオタイプの使用による利点のいくつかは、AEI系ゼオライト及びゼオタイプの使用においても存在するはずである。まず、米国特許第5,958,370号には、様々な環状及び多環式四級アンモニウムカチオン鋳型剤を使用するアルミノシリケートAEIゼオライトSSZ−39の合成方法が開示されている。米国特許第5,958,370号はまた、酸素の存在下、ガス流中に含有される窒素酸化物を還元するプロセスのためのプロセスを請求しており、ここで上記ゼオライトは、窒素酸化物の還元を触媒することができる金属又は金属イオンを含有する。
【0014】
米国特許第9,044,744号(B2)は、存在する促進剤金属の約1〜5重量%で促進されたAEI触媒を開示する。米国特許第9,044,744号(B2)は、ゼオライト中のアルカリ及びアルカリ土類金属の含有量については曖昧である。米国特許第9,044,744号(B2)の説明では、触媒組成物が少なくとも1つの促進剤金属及び少なくとも1つのアルカリ又はアルカリ土類金属を含む、特定の実施形態が述べられている。別の実施形態では、触媒は、カリウム及び又はカルシウム以外の任意のアルカリ又はアルカリ土類金属を本質的に含まない。しかし、触媒中に存在するアルカリ又はアルカリ土類金属の利点の議論又は説明はなされていない。
【0015】
米国公開特許第20150118134号(A1)、及び(M.Moliner,C.Franch,E.Palomares,M.Grill,A.Corma,Chem.Commun.2012,48,8264〜6)は、銅イオンで促進されたAEIゼオライト骨格が、内燃機関からの排気ガスを処理するに当たり安定なゼオライトNH
3−SCR触媒システムであることを我々に教示する。Cu−AEIゼオライト及びゼオタイプ触媒システムは、上流の微粒子フィルタの最大850℃かつ水蒸気含有量100%での再生中に安定である。しかし、アルカリの影響は議論されていない。更に、上記特許出願は、促進剤金属イオンとして銅を使用することのみに関するものであるため、効果を、他の促進剤金属イオンを用いる触媒システムに転用することができない。
【0016】
PCT国際公開特許第2015/084834号は、AEI構造を有する合成ゼオライトと、かかるゼオライトの空洞及びチャネル内に分散したin situ遷移金属とを含む組成物を請求している。In situ遷移金属は、合成中にゼオライト内に組み込まれた非骨格遷移金属を指し、遷移金属アミン錯体として説明される。
【0017】
Cuアミン錯体の使用は、ここ何年かの間に、Cu含有ゼオライト、特にCu−CHA材料の直接合成について広く記載されており(L.Ren,L.Zhu,C.Yang,Y.Chen,Q.Sun,H.Zhang,C.Li,F.Nawaz,X.Meng,F.−S.Xiao,Chem.Commun.2011,47,9789;R.Martinez−Franco,M.Moliner,J.R.Thogersen,A.Corma,ChemCatChem 2013,5,3316〜3323.;R.Martinez−Franco,M.Moliner,C.Franch,A.Kustov,A.Corma,Appl.Catal.BEnviron.2012,127,273〜280;R.Martinez−Franco,M.Moliner,P.Concepcion,J.R.Thogersen,A.Corma,J.Catal.2014,314,73〜82)、最近では、Cu−AEI材料についても記載されている(R.Martinez−Franco,M.Moliner,A.Corma,J.Catal.2014,319,36〜43)。全ての場合において、遷移金属はポリアミンと錯体化することによって安定化される。しかし、促進剤金属が鉄であり、かつ上記鉄がポリアミンなどの錯化剤を必要としないFe−AEIゼオライトの直接合成についての報告はない。
【0018】
多くの用途では、300℃超の温度で高い触媒活性を有すると同時に、亜酸化窒素の形成又は非選択的なアンモニア酸化(反応4〜5)をすることなくNH
3−SCR反応(反応1〜3)に対して高い選択性を有することが有益である。このような用途においては、鉄促進ゼオライトが好ましい。
【0019】
ゼオライト触媒の別の利点は、いくつかの場合において亜酸化窒素をより高温で分解できる場合があるということである(Y.Li,J.N.Armor,Appl.Catal.B Environ.1992,1,L21−L29)。Fe−
*BEAゼオライトは、一般的に、この反応において高活性であり(B.Chen,N.Liu,X.Liu,R.Zhang,Y.Li,Y.Li,X.Sun,Catal.Today 2011,175,245〜255)、最先端のものであると考えられる。
【0020】
触媒が高温にさらされる用途では、極端に失活させることなく触媒活性を維持する必要もある。典型的には、触媒が配置されるガス流は、ある程度の量の水を含有する。そのため、触媒の水熱安定性は高いものであるべきである。ゼオライト系触媒は蒸気の存在下で骨格の加水分解又は劣化により失活することが知られているため、ガス流に水が含まれることはゼオライト系触媒に特に悪影響を及ぼす。
【0021】
いくつかのCu促進ゼオライトは高い水熱安定性を示し、典型的には、最大約850℃の温度行程に耐えることができる。しかし、この安定性はFe促進ゼオライトの場合は存在せず、Fe促進ゼオライトの水熱安定性は、Cuゼオライトよりも一般的に低い。Fe及びCuゼオライトが異なる方法で失活するという事実は、Vennestromらによる研究(P.N.R.Vennestrom,T.V.W.Janssens,A.Kustov,M.Grill,A.Puig−Molina,L.F.Lundegaard,R.R.Tiruvalam,P.Concepcion,A.Corma,J.Catal.2014,309,477〜490)で更に裏付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】米国特許第7,601,662号(B2)
【特許文献2】欧州特許第2150328号(B1)
【特許文献3】米国特許第7883678号(B2)
【特許文献4】米国特許第5,958,370号
【特許文献5】米国特許第9,044,744号(B2)
【特許文献6】米国公開特許第20150118134号(A1)
【特許文献7】PCT国際公開特許第2015/084834号
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】F.Gao,Y.Wang,M.Kollar,N.M.Washton,J.Szanyi C.H.F.Peden,Catal.Today 2015,1〜12
【非特許文献2】S.Brandenberger,O.Krocher,A.Tissler,R.Althoff,Catal.Rev.2008,50,492〜531
【非特許文献3】F.Gao,Y.Wang,N.M.Washton,M.Kollar,J.Szanyi,C.H.F.Peden,ACS Catal.2015,DOI 10.1021/acscatal.5b01621
【非特許文献4】M.Moliner,C.Franch,E.Palomares,M.Grill,A.Corma,Chem.Commun.2012,48,8264〜6
【非特許文献5】L.Ren,L.Zhu,C.Yang,Y.Chen,Q.Sun,H.Zhang,C.Li,F.Nawaz,X.Meng,F.−S.Xiao,Chem.Commun.2011,47,9789
【非特許文献6】R.Martinez−Franco,M.Moliner,J.R.Thogersen,A.Corma,ChemCatChem 2013,5,3316〜3323.
【非特許文献7】R.Martinez−Franco,M.Moliner,C.Franch,A.Kustov,A.Corma,Appl.Catal.BEnviron.2012,127,273〜280
【非特許文献8】R.Martinez−Franco,M.Moliner,P.Concepcion,J.R.Thogersen,A.Corma,J.Catal.2014,314,73〜82
【非特許文献9】R.Martinez−Franco,M.Moliner,A.Corma,J.Catal.2014,319,36〜43
【非特許文献10】Y.Li,J.N.Armor,Appl.Catal.B Environ.1992,1,L21−L29
【非特許文献11】B.Chen,N.Liu,X.Liu,R.Zhang,Y.Li,Y.Li,X.Sun,Catal.Today 2011,175,245〜255
【非特許文献12】P.N.R.Vennestrom,T.V.W.Janssens,A.Kustov,M.Grill,A.Puig−Molina,L.F.Lundegaard,R.R.Tiruvalam,P.Concepcion,A.Corma,J.Catal.2014,309,477〜490
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明者らは、鉄促進AEIゼオライト中のアルカリ金属含有量を低減させることで、水熱安定性が増大することを見出した。AEIゼオライトの合成後に必然的に存在するアルカリ含有量を低減させることにより、同様の鉄含有量の他のゼオライトシステムよりも鉄促進AEIゼオライトの安定性が高くなる。本発明のゼオライト触媒は、改善された水熱安定性、300℃超の温度での選択触媒還元に対する高い選択性、並びに非選択的なアンモニア酸化及び亜酸化窒素の形成に対する低い選択性を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記の知見に基づいて、本発明は、アンモニア還元剤の存在下での選択触媒還元による排気ガスからの窒素酸化物の除去方法であって、アンモニア又はこの前駆体とともに排気ガスを、以下のモル組成:
SiO
2:o Al
2O
3:p Fe:q Alk
[式中、oは0.001〜0.2の範囲であり、
pは0.001〜0.2の範囲であり、
Alkは1つ以上のアルカリイオンであり、qは0.02未満である。]を有する、アルカリ金属(Alk)を本質的に含まないFe−AEIゼオライト材料を含むSCR触媒に接触させる工程を含む、方法を提供する。
【0026】
本発明の具体的な特徴は、以下の単独のもの、又はこれらの組み合わせである:
oは0.005〜0.1の範囲であり、pは0.005〜0.1の範囲であり、qは0.005未満である。
oは0.02〜0.07の範囲であり、pは0.01〜0.07の範囲であり、qは0.001未満である。
Alkはナトリウムであり、ナトリウムは本質的に触媒中に存在しない。
排気ガスは、約1%超の蒸気を含有する。
排気ガスは、運転時間のほとんどの間、200℃超の温度にある。
SCR触媒は、多孔質基材の中又は多孔質基材上にコーティングされる。
基材は、金属基材、又はセラミック押出基材、又は波型セラミック基材である。
基材は、フロースルーモノリス、フロースルーハニカム、又はウォールフローフィルタの形態である。
SCR触媒は、全基材に触媒材料を加えた体積当たりの触媒材料の重量で算出された10〜600g/Lの量でコーティングされる。
基材上へコーティングされるSCR触媒の量は、100〜300g/Lである。
SCR触媒は、多孔質基材の中又は多孔質基材上に、SCR触媒、並びにTiO
2、SiO
2、Al
2O
3、ZrO
2、CeO
2及びこれらの組み合わせを含むバインダを含むウォッシュコートの形態でコーティングされる。
SCR触媒は、基材上に層としてコーティングされ、ここで基材は、異なる触媒活性を有する触媒又は他のゼオライト触媒を含む、1つ以上の他の層を備える。
SCR触媒は、基材上にゾーンコーティングされる。
基材は、酸化触媒を有する更なる領域を含む。
基材は、アンモニアスリップ触媒を有する領域を含む。
排気ガスは、ガスタービン排気ガスである。
タービン排気ガス中に更に含有される炭化水素及び一酸化炭素は、酸化触媒との接触により水及び二酸化炭素に酸化される。
酸化触媒は、SCR触媒の上流又は下流に配置される。
排気ガスは、ガスエンジン排気ガスである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】実施例1に従って合成された、調製されたままのシリコアルミネートAEIゼオライトの粉末X線回折パターン。
【
図2】実施例2に従って合成された、調製されたままのFe含有及びNa含有シリコアルミネートAEIゼオライトの直接合成の粉末X線回折パターン。
【
図3】Naが存在する又は存在しないFe−AEIゼオライト触媒上でのNO
x変換率。
【
図4】加速水熱エージング(実施例9で与えられた条件)後のNaが存在する又は存在しないFe−AEIゼオライト触媒上でのNO
x変換率。
【
図5】加速水熱エージング(実施例9で与えられた条件)後の、Na不含Fe−AEIと、最先端のFe−CHA及びFe−βゼオライト(Na不含)の、NO
x変換率の比較。
【
図6】600℃にて100% H
2Oエージングを用いる過酷な加速水熱エージング後の、Na不含Fe−AEI上と、最先端のNa不含Fe−CHAの、NO
x変換率の比較。
【
図7】実施例2に従って合成されたFe−AEI材料のSEM画像。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に従う触媒は、好ましくは、以下の工程を含む方法により調製することができる。
(i)水と、シリカ及びアルミナの主な供給源としての高シリカゼオライトと、有機構造規定剤(OSDA)としてのアルキル置換環状アンモニウムカチオンと、鉄源と、アルカリ金属カチオン[Alk]源と、を含有する混合物を調製し、以下のモル組成:
SiO
2:a Al
2O
3:b Fe:c OSDA:d Alk:e H
2O
[式中、aは0.001〜0.2の範囲、より好ましくは0.005〜0.1の範囲、最も好ましくは0.02〜0.07の範囲であり、
bは0.001〜0.2の範囲、より好ましくは0.005〜0.1の範囲、最も好ましくは0.01〜0.07の範囲であり、
cは0.01〜2の範囲、より好ましくは0.1〜1の範囲、最も好ましくは0.1〜0.6の範囲であり、
dは0.001〜2の範囲、より好ましくは0.05〜1の範囲、最も好ましくは0.1〜0.8の範囲であり、
eは1〜200の範囲、より好ましくは1〜50の範囲、最も好ましくは2〜20の範囲である。]を有する最終合成混合物を得ること、
(ii)(i)で得られた混合物を反応器内で結晶化すること、
(iii)(ii)で得られた結晶性材料を回収すること、
(iv)工程(iii)からの結晶性材料を焼成して、ゼオライト構造に吸蔵されたOSDAを除去すること、
(v)工程(iv)からの結晶性材料中に存在するアルカリ金属カチオンを、アンモニウム又はプロトンカチオンとイオン交換して、アルカリ含有量の低い最終結晶性ゼオライト触媒材料を得ること。
【0029】
好ましくは、シリカ及びアルミナの主な供給源として使用される高シリカゼオライト構造は、5超のSi/Al比を有する。更により好ましい高シリカゼオライトはFAU構造を有する、例えばゼオライトYである。
【0030】
鉄源は、鉄酸化物、又は、とりわけ、クロライド、その他のハライド、アセテート、ニトレート若しくはサルフェートなどの鉄塩、及びこれらの組み合わせから選択することができる。鉄源は、直接(i)の混合物中に導入するか、又は予めSi及びAlの結晶源と組み合わせることができる。
【0031】
任意のアルキル置換環状アンモニウムカチオンを、OSDAとして使用することができる。N,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウム(DMDMP)、N,N−ジエチル−2,6−ジメチルピペリジニウム、N,N−ジメチル−2,6−ジメチルピペリジニウム、N−エチル−N−メチル−2,6−ジメチルピペリジニウム、及びこれらの組み合わせが好ましい。
【0032】
工程(i)では、ナトリウム、カリウム、リチウム、及びセシウム、並びにこれらの組み合わせなどの任意のアルカリカチオンが使用可能である。
【0033】
結晶化工程(ii)では、静的又は動的な条件下でオートクレーブ中で水熱処理を実施する。好ましい温度は、100〜200℃の範囲、より好ましくは130〜175℃の範囲である。
【0034】
好ましい結晶化時間は、6時間〜50日の範囲、より好ましくは1日〜20日の範囲、より好ましくは1日〜7日の範囲である。合成混合物の成分が異なる供給源から得られる場合があることを考慮すべきであり、供給源に応じて、時間及び結晶化条件を変化させてもよい。
【0035】
合成を促進するために、合成混合物に、種結晶としてAEIの結晶を酸化物全体に対して最大25重量%の量で添加することができる。これらは結晶化プロセスの前又はその最中に添加することができる。
【0036】
(ii)に記載の結晶化段階の後、得られた固体を母液から分離する。固体は、デカンテーション、濾過、限外濾過、遠心分離、又は任意の他の固液分離技術によって、(iii)の母液から洗浄及び分離することができる。
【0037】
材料内部に吸蔵された有機物質は、25℃を超える温度、優先的に400〜750℃の温度にて、2分〜25時間の間の抽出及び/又は熱処理によって除去することができる。
【0038】
吸蔵された有機分子を本質的に含まない材料をアンモニウム又は水素とイオン交換し、カチオン交換手順によりアルカリ金属カチオンを選択的に除去する。得られた交換AEI材料は、空気及び/又は窒素で、200〜700℃の温度にて焼成することができる。
【0039】
本発明に従う触媒は、まず、米国特許第5,958,370号に記載されているような既知の方法に従ってAEIゼオライトSSZ−39を合成することによってもまた調製することができる。合成後は、上述のように吸蔵された有機材料を除去しなければならない。その後、吸蔵された有機分子を本質的に含まない材料をアンモニウム又は水素イオンとイオン交換し、カチオン交換手順によりアルカリ金属カチオンを選択的に除去する。合成混合物中に鉄化合物を含む代わりに、工程(v)の後、交換法、含浸法又は固相法により、カチオン交換材料中に鉄を導入し、鉄種を含有しかつアルカリ金属を本質的に含まないAEI骨格を有するゼオライトを得ることができる。
【0040】
本発明に従うFe−AEIゼオライト触媒は、特に固体触媒が気相中の分子の反応を触媒する場合などの不均一系触媒コンバータシステムにおいて有用である。触媒の適用性を改善するために、本発明が適用されるガス流の接触面積、拡散、流体及び流れ特性を改善する基材中に、又は基材上に触媒を適用することができる。
【0041】
基材は、金属基材、押出基材、又はセラミック紙製の波型基材であることができる。基材は、フロースルー設計又はウォールフロー設計としてガス用に設計することができる。後者の場合、ガスは基材の壁を通って流れることになり、それにより追加の濾過効果が生じる。
【0042】
Fe−AEIゼオライト触媒は、触媒物品全体の体積当たりのゼオライト材料の重量により測定した際に、10〜600g/L、好ましくは100〜300g/Lの量で基材の上又は中に、好ましくは存在する。
【0043】
Fe−AEIゼオライト触媒は、既知のウォッシュコーティング技術を使用して、基材の上又は中にコーティングされる。この手法では、ゼオライト粉末を、バインダ(1又は複数)及び安定剤(1又は複数)とともに液体媒体中に懸濁し、その後、ウォッシュコートを基材の表面及び壁面上に適用することができる。
【0044】
Fe−AEIゼオライト触媒を含有するウォッシュコートは、任意に、TiO
2、SiO
2、Al
2O
3、ZrO
2、CeO
2、及びこれらの組み合わせをベースとしたバインダを含有する。
【0045】
Fe−AEIゼオライト触媒は、他の触媒機能又は他のゼオライト触媒と組み合わせて基材上の1つ以上の層としても適用することができる。1つの特定の組み合わせは、例えば、白金若しくはパラジウム又はこれらの組み合わせを含有する酸化触媒を有する層である。
【0046】
Fe−AEIゼオライト触媒は、基材のガス流れ方向に沿った限られた領域内に追加的に適用することができる。
【0047】
本発明に従う方法の1つの重要な特徴は、アンモニアを還元剤として使用するガスタービンより生じる排気ガス中の窒素酸化物の還元において、アルカリ金属を本質的に含まないFe−AEIゼオライト触媒を適用することである。
【0048】
この用途では、触媒をガスタービンより下流に直接配置し、したがって水を含有する排気ガスにさらしてもよい。触媒を、ガスタービンの始動及び停止手順の間に、大きな温度変動にさらしてもよい。
【0049】
特定の用途では、Fe−AEIゼオライト触媒は、タービンの下流に任意の熱回収システムがない単一サイクル運転モードを有するガスタービンシステムに使用される。ガスタービンの直後に置かれた場合、触媒は、水を含有するガス組成物について、最大650℃の排気ガス温度に耐えることができる。
【0050】
更なる用途は、排熱回収ボイラ(HRSG)などの熱回収システムと組み合わせたガスタービン排気処理システムにある。このようなプロセス設計において、Fe−AEI触媒は、ガスタービンとHRSGとの間に配置される。触媒はまた、HRSG内の数箇所に配置することができる。
【0051】
更に、Fe−AEI触媒の用途には、ガスタービンからの排気ガス中の炭化水素及び一酸化炭素の除去のため酸化触媒と組み合わせて使用するというものがある。
【0052】
典型的には、PtやPdなどの貴金属で構成される酸化触媒は、Fe−AEI触媒の上流又は下流のいずれか、並びにHRSGの内側及び外側の両方に配置することができる。酸化機能は、Fe−AEI触媒と組み合わせて単一の触媒ユニットにすることもできる。
【0053】
ゼオライトを貴金属用の担体として用いることにより、酸化機能をFe−AEIゼオライトと直接組み合わせてもよい。貴金属を、別の担体材料上に担持させ、Fe−AEIゼオライトと物理的に混合することもできる。
【0054】
Fe−AEI触媒及び酸化触媒は、モノリシック構造などの基材上に層として適用されてもよい。例えば、ゼオライトSCR触媒は、基材上の酸化触媒層の上に層として配置されてもよい。ゼオライトはまた、基材上の酸化層の下に下流層として配置されてもよい。
【0055】
Fe−AEI触媒及び酸化触媒は、更に、モノリス上の異なる領域又はお互いの下流に適用することができる。
【0056】
Fe−AEI触媒は、他の触媒材料を有する領域又は層に組み合わせることもできる。例えば、触媒は、酸化触媒又は別のSCR触媒と組み合わせることができる。
【0057】
上述及び上記の本発明に従う方法の全ての用途において、Fe−AEIゼオライト触媒は、モノリシック構造などの基材の中若しくは基材上に適用することができ、又は用途の必要条件に応じてペレットへ成形することができる。
【実施例】
【0058】
実施例1:AEIゼオライト(Na含有材料)の合成
4.48gの7.4重量% N,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムヒドロキシド水溶液を、0.34gの20重量%水酸化ナトリウム(粒状NaOH、Scharlab)水溶液とともに混合した。均質化のために、混合物を10分間撹拌下に維持した。その後、0.386gのFAUゼオライト(SiO
2/Al
2O
3=21を有する、FAU、ゼオライトCBV−720)を、合成混合物中に添加し、所望のゲル濃度に達するまで、過剰な水を蒸発させるのに必要な時間にわたり撹拌下に維持した。最終ゲル組成は、SiO
2:0.047Al
2O
3:0.4DMDMP:0.2NaOH:15H
2Oであった。得られたゲルをテフロンライナー付ステンレス製オートクレーブに充填した。次いで、静的条件下で135℃にて7日間、結晶化を行った。固体生成物を濾過し、大量の水で洗浄し、100℃で乾燥させ、最終的に550℃にて4時間空気中で焼成した。
【0059】
固体を、粉末X線回折により特性評価し、AEI構造の特徴的なピークを得た(
図1参照)。試料の化学分析は、9.0のSi/Al比を示す。
【0060】
実施例2:Fe含有AEI構造(Na含有材料)の直接合成
1.98gの7.0重量% N,N−ジメチル−3,5−ジメチルピペリジニウムヒドロキシド水溶液を、0.24gの20重量%水酸化ナトリウム(粒状NaOH、Scharlab)水溶液とともに混合した。均質化のために、混合物を10分間撹拌下に維持した。その後、0.303gのFAUゼオライト(SiO
2/Al
2O
3=21を有する、FAU、ゼオライトCBV−720)を、合成混合物中に添加した。最終的に、0.11gの20重量%硝酸鉄(III)(Fe(NO
3)
3、Sigma Aldrich、98%)水溶液を添加し、合成混合物を所望のゲル濃度に達するまで、過剰な水を蒸発させるのに必要な時間にわたり撹拌下に維持した。最終ゲル組成は、SiO
2:0.047Al
2O
3:0.01Fe:0.2DMDMP:0.2NaOH:15H
2Oであった。得られたゲルをテフロンライナー付ステンレス製オートクレーブに充填した。次いで、静的条件下で140℃にて7日間、結晶化を行った。固体生成物を濾過し、大量の水で洗浄し、100℃で乾燥させた。固体を、粉末X線回折により特性評価し、AEI構造の特徴的なピークを得た(
図2参照)。最終的に、調製されたままの固体を550℃にて4時間空気中で焼成した。達成された固体収率は85%超(有機部分を考慮していない)であった。試料の化学分析は、8.0のSi/Al比、1.1重量%の鉄含有量及び3.3重量%のナトリウム含有量を示す。
【0061】
実施例3:合成後イオン交換によるFe含有Na不含AEIゼオライトの合成
実施例1からのNa含有AEI材料を、最初に、80℃にて0.1Mの硝酸アンモニウム(NH
4NO
3、Fluka、99重量%)水溶液と交換した。次いで、0.1gのアンモニウム交換AEIゼオライトを、0.1MのHNO
3を使用してpHを3に調整した10mLの脱イオン水中に分散させた。懸濁液を窒素雰囲気下で80℃に加熱し、次いで0.0002モルのFeSO
4.7H
2Oを添加し、得られた懸濁液を80℃にて1時間撹拌下に維持した。最終的に、試料を濾過し、550℃にて4時間で焼成した。試料中の最終鉄含有量は0.9重量%であり、Na含有量は0.0重量%未満であった。
【0062】
実施例4:実施例2によるFe含有AEI材料の直接合成からのNa除去
実施例2に従って合成された200mgの焼成済Fe含有AEI材料を、2mLの1Mアンモニウムクロライド(Sigma−Aldrich、98重量%)水溶液とともに混合し、混合物を80℃にて2時間撹拌下に維持した。固体生成物を濾過し、大量の水で洗浄し、100℃で乾燥させた。最終的に、固体を500℃にて4時間空気中で焼成した。試料の化学分析は、8.0のSi/Al比、1.1重量%の鉄含有量及び0.0重量%未満のナトリウム含有量を示す。
【0063】
実施例5:Fe含有CHA構造(Na含有材料)の直接合成
0.747gの17.2重量%トリメチル−1−アダマントアンモニウムヒドロキシド(TMAdaOH、Sigma−Aldrich)水溶液を、0.13gの20重量%水酸化ナトリウム(NaOH、Sigma−Aldrich)水溶液とともに混合した。次いで、0.45gの水中シリカコロイド懸濁液(40重量%、LUDOX−AS、Sigma−Aldrich)、及び23mgのアルミナ(75重量%、Condea)を添加し、得られた混合物を15分間撹拌下に維持した。最終的に、0.458gの2.5重量%硝酸鉄(III)(Fe(NO
3)
3、Sigma Aldrich、98%)水溶液を添加し、合成混合物を所望のゲル濃度に達するまで、過剰な水を蒸発させるのに必要な時間にわたり撹拌下に維持した。最終ゲル組成は、SiO
2:0.05Al
2O
3:0.01Fe:0.2TMAdaOH:0.2NaOH:20H
2Oであった。得られたゲルをテフロンライナー付ステンレス製オートクレーブに充填した。次いで、静的条件下で160℃にて10日間、結晶化を行った。固体生成物を濾過し、大量の水で洗浄し、100℃で乾燥させた。固体を、粉末X線回折により特性評価し、CHAゼオライトの特徴的なピークを得た。最終的に、調製されたままの固体を550℃にて4時間空気中で焼成した。試料の化学分析は、12.6のSi/Al比、1.0重量%の鉄含有量及び1.5重量%のナトリウム含有量を示す。
【0064】
実施例6:実施例5によるFe含有CHA構造の直接合成からのNa除去
100mgの焼成済Fe含有CHA材料を、1mLの1M塩化アンモニウム(Sigma−Aldrich、98重量%)水溶液とともに混合し、混合物を80℃にて2時間撹拌下に維持した。固体生成物を濾過し、大量の水で洗浄し、100℃で乾燥させた。最終的に、固体を500℃にて4時間空気中で焼成した。試料の化学分析は、12.6のSi/Al比、1.10重量%の鉄含有量及び0.0重量%のナトリウム含有量を示す。
【0065】
実施例7:Fe含有β構造(Na含有材料)の直接合成
0.40gの35重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAOH、Sigma−Aldrich)水溶液を、0.34gの50重量%テトラエチルアンモニウムブロミド(TEABr、Sigma−Aldrich)とともに混合した。次いで、0.60gの水中シリカコロイド懸濁液(40重量%、LUDOX−AS、Sigma−Aldrich)、及び18mgのアルミナ(75重量%、Condea)を添加し、得られた混合物を15分間撹拌下に維持した。最終的に、0.33gの5重量%硝酸鉄(III)(Fe(NO
3)
3、Sigma Aldrich、98%)水溶液を添加し、合成混合物を所望のゲル濃度に達するまで、過剰な水を蒸発させるのに必要な時間にわたり撹拌下に維持した。最終ゲル組成は、SiO
2:0.032Al
2O
3:0.01Fe:0.23TEAOH:0.2TEABr:20H
2Oであった。得られたゲルをテフロンライナー付ステンレス製オートクレーブに充填した。次いで、静的条件下で140℃にて7日間、結晶化を行った。固体生成物を濾過し、大量の水で洗浄し、100℃で乾燥させた。固体を、粉末X線回折により特性評価し、βゼオライトの特徴的なピークを得た。最終的に、調製されたままの固体を550℃にて4時間空気中で焼成した。試料の化学分析は、13.1のSi/Al比、0.9重量%の鉄含有量及び0.0重量%のナトリウム含有量を示す。
【0066】
実施例8:アンモニアを使用した窒素酸化物の選択触媒還元における材料の触媒試験
選択試料の活性を、固定床(1.2cmの直径及び20cmの長さの石英管状反応器中)にNH
3を使用したNO
xの触媒還元において評価した。触媒は、0.25〜0.42mmのふるい分級物40mgを使用して試験した。触媒を反応器内に導入し、窒素流300NmL/分中で550℃まで加熱し、この温度で1時間維持した。その後、300mL/分の流量を維持しながら、50ppmのNO、60ppmのNH
3、10% O
2、及び10% H
2Oが、触媒上に認められた。次いで、550〜250℃の間で段階的に温度を低下させた。NOの変換率は、化学発光検出器(Thermo 62C)を使用して、各温度での定常状態における変換(steady state conversion)下で測定した。
【0067】
実施例9:試料の加速水熱エージング処理
選択試料を、10% H
2O、10% O
2、及びN
2を含有するガス混合物中で、600℃にて13時間処理し、その後、それらの触媒性能を実施例8に従って評価した。
【0068】
実施例10:加速エージング前のFe−AEIの触媒性能に対するNaの影響
実施例2で合成したとおりのNaを含有するFe−AEIゼオライトを、実施例8に従って試験した。比較のために、実施例4に従って調製したNaを本質的に含まないFe−AEIゼオライトもまた、実施例8に従ってNH
3−SCR反応について評価した。
図3中に、2種類の触媒について、NOの定常状態での変換率を、温度の関数として示す。NO
x変換率が全ての温度で増大していることから、結果は、Fe−AEIゼオライトからNaを除去することの有益な影響を明らかに示している。
【0069】
実施例11:加速水熱エージング後のFe−AEIの触媒性能に対するNaの影響
実施例10で試験した(並びに実施例2及び実施例4で調製した)2種類のゼオライトを、実施例9で与えられた加速エージング条件下でエージングさせた。エージング後のNO
x変換率を、
図4に示す。
【0070】
実施例12:Na不含Fe−AEIと、加速水熱エージング後の最先端のFe−β及びFe−CHAゼオライトの触媒性能の比較
実施例4に従って調製したNa不含Fe−AEIゼオライト上でのNO
x変換率を、加速水熱エージング後のNH
3−SCR反応において評価した。比較のために、最先端の鉄促進ゼオライト触媒に相当するNa不含Fe−CHA及びNa不含Fe−β触媒(実施例6及び実施例7でそれぞれ調製)もまた、加速水熱エージング後に試験した。測定されたNO
x変換率を、
図5に示す。見て分かるように、NOx変換率は、他のゼオライトと比較して、Na不含Fe−AEI上でより高い。
【0071】
実施例13:過酷な加速水熱エージング後の、Na不含Fe−AEIと最先端のFe−CHAゼオライトの触媒性能の比較
実施例4及び実施例6でそれぞれ調製したNa不含Fe−AEI及びNa不含Fe−CHAの過酷な加速エージングは、100% H
2Oを有するマッフル炉内で、600℃にて13時間触媒をスチーム処理することにより実施した。その後、実施例8に従って試料を評価した。2つのFeゼオライト上でのNH
3−SCR反応におけるNO
x変換率を、
図6に示す。
図6から見て取れるように、Fe−AEIの安定性の改善は、全温度でNO
xが多く見られることから明らかである。
【0072】
実施例14:結晶サイズの測定
実施例2で調製したFe含有AEIゼオライトを、走査型電子顕微鏡を使用して特性評価し、一次ゼオライト結晶のサイズを測定した。
図7は、得られた材料の画像を示す。かかる材料は、最大400nmの一次結晶サイズを示す。
【0073】
実施例15:Fe−AEIゼオライトの加速水熱エージング中の多孔性損失の測定
実施例4に従って調製した試料、及び窒素吸着を使用して実施例9に従って水熱エージングした同じ試料の表面積及び多孔性。結果を表1に示す。見て取れるように、Na不含Fe−AEI触媒の表面積及び多孔性は、加速水熱エージング処理後に、25%未満減少する。
【0074】
【表1】