特許第6987771号(P6987771)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987771
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】リーディングスレッドバルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20211220BHJP
【FI】
   F16K31/04 Z
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-544447(P2018-544447)
(86)(22)【出願日】2016年11月6日
(65)【公表番号】特表2018-533710(P2018-533710A)
(43)【公表日】2018年11月15日
(86)【国際出願番号】IL2016051198
(87)【国際公開番号】WO2017081674
(87)【国際公開日】20170518
【審査請求日】2019年10月30日
(31)【優先権主張番号】62/254,207
(32)【優先日】2015年11月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518166542
【氏名又は名称】ライフ・アシスタント・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LIFE ASSISTANT LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】518166553
【氏名又は名称】イフター・ゲバ
(73)【特許権者】
【識別番号】518166564
【氏名又は名称】ガル・ゴルドナー
【氏名又は名称原語表記】Gal GOLDNER
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】イフター・ゲバ
(72)【発明者】
【氏名】ガル・ゴルドナー
【審査官】 大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−20410(JP,A)
【文献】 特開2008−178291(JP,A)
【文献】 英国特許出願公告第641754(GB,A)
【文献】 英国特許出願公告第1563331(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/00−31/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ本体(28)を備え、
前記バルブ本体(28)は、
中心軸(14)を有するナット(12)と、
前記ナット(12)内に螺合されたねじ(20)であって、前記ねじ(20)前記ナット(12)を移動させるねじ軸線(A)を有しているねじ(20)と、
前記中心軸(14)に取り付けられ、前記中心軸(14)に対して軸方向及び回転可能に自由に動くように構成されたシール(16)と、
前記ナット(12)と前記シール(16)との間及び前記ナット(12)と前記ねじ(20)の基部との間に配置されたスライドベアリング(18)と、
前記シール(16)に対応して配置され、前記シール(16)に可逆的に係合可能なリップ(24)と、
前記ナット(12)の周囲に取り付けられた少なくとも1つの突起(22)と、
前記バルブ本体(28)の内側に位置しており、前記少なくとも1つの突起(22)が当接可能に構成されたリミッタ(26)と、
を格納し、
前記ねじ(20)の回転中、前記少なくとも1つの突起(22)が前記リミッタ(26)から離間しているとき、前記ねじ(20)が前記ナット(12)に固定され、前記ナット(12)が前記ねじ(20)と共に移動するように、前記ナット(12)が前記ねじ(20)を中心として回転するのを防止し、前記少なくとも1つの突起(22)がリミッタ(26)に当接しているとき、前記ナット(12)は回転し続けることができず、前記ねじ(20)がナット(12)を軸方向に移動させ、
前記スライドベアリング(18)により、バルブ(10)の開弁中と閉弁中のいずれにも前記シール(16)が前記リップ(24)上を摺動しない、電動バルブ(10)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの突起(22)が前記リミッタ(26)に当接する、請求項1に記載の電動バルブ(10)。
【請求項3】
前記スライドベアリング(18)は低摩擦材料で作られた、又は低摩擦材料で被覆された2つ以上のリングである、請求項1に記載の電動バルブ(10)。
【請求項4】
前記スライドベアリング(18)は前記中心軸(14)に対して軸方向に自由に動き、回転するように構成された、請求項1に記載の電動バルブ(10)。
【請求項5】
前記電動バルブ(10)の開弁プロセスの終了時に、前記ナット(12)の後部が前記スライドベアリング(18)に対して摺動する、請求項1に記載の電動バルブ(10)。
【請求項6】
前記電動バルブ(10)の開弁プロセスの終了時に、前記ねじ(20)の前部が前記ナット(12)の内側部分と接する、請求項1に記載の電動バルブ(10)。
【請求項7】
前記ねじ(20)が前記ナット(12)の内側部分と接する際に摩擦を無視できる、請求項6に記載の電動バルブ(10)。
【請求項8】
前記電動バルブ(10)の閉弁プロセスの終了時に、前記シール(16)は前記リップ(24)に対してそれらの間の相対運動なく軸方向に動く、請求項1に記載の電動バルブ(10)。
【請求項9】
前記電動バルブ(10)の閉弁プロセスの終了時に、前記ナット(12)は前記スライドベアリング(18)を介して軸方向に前記シール(16)を押圧し、それにより前記シール(16)が前記リップ(24)に押し付けられる、請求項1記載の電動バルブ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動バルブの分野に関し、さらに詳細には、回転可能なねじによって作動する電動バルブに関し、さらに具体的には、ねじの無負荷回転始動が可能な電動バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
電動で作動するバルブは、一般的には、通常は減速ギアであるギアを介してねじを駆動する電動モータを備える。場合によっては、電動モータはギアの存在なく、直接ねじを駆動する。ねじはナット内に螺合されている。ナットは固定されており、つまり、ねじの周りを回転することができない。従って、ねじを回転させるとナットが動く。ナットが閉弁(前方)のストロークの終わりに達すると、ナットは、通常シリコン製のバルブシールをバルブ本体のリップに対し押圧し、それによってバルブが閉まる。
【0003】
しかしながら、シールがリップに対し押し付けられると、電動モータはシールをバルブ本体のリップから外す十分な力を持たないことがある。この課題に対する1つの解決法は、電動モータの動力を増加させることである。しかし、そのようなモータはより高価であり、より電力を消費し、一般に寸法が大きいためバルブもより大きくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、前述した欠点を大幅に低減又は、克服するバルブを提供することである。
【0005】
本発明の更なる目的は、両方向、すなわち閉弁方向でねじの無負荷回転始動が可能なバルブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によると、電動バルブと共にバルブ本体が提供される。バルブ本体は、中心軸を有するナットと、ナット内に螺合されたねじであって、ナットがねじの周りを回転しないよう固定されているねじと、中心軸に取り付けられ、中心軸に対して軸方向及び回転可能にそれぞれ自由に動くよう構成されたシールとを備える。バルブは更に、ナットとシールとの間及びナットとねじの基部との間に配置されたスライドベアリングと、シールに対応して配置され、シールに可逆的に係合可能に配置されたリップとを備える。ナットの周囲に突起が取り付けられ、リミッタはバルブ本体の内側に位置しており、突起が当接可能に構成されている。スライドベアリングにより、バルブの開弁中と閉弁中のいずれにもシールがリップ上を摺動しない。
【0007】
本発明をより理解するため及び実際にどのように実施し得るかを示すため、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る電動バルブの開位置を示す斜視図。
図2図1の電動バルブが閉弁する様々な段階を示す斜視図。
図3図1の電動バルブが閉弁する様々な段階を示す斜視図。
図4図1の電動バルブが閉弁する様々な段階を示す斜視図。
図5図1の電動バルブが閉弁する様々な段階を示す斜視図。
図6図1の電動バルブが閉弁する様々な段階を示す斜視図。
図7図1の電動バルブが閉弁する様々な段階を示す斜視図。
図8図1の電動バルブが開弁する様々な段階を示す斜視図。
図9図1の電動バルブが開弁する様々な段階を示す斜視図。
図10図1の電動バルブが開弁する様々な段階を示す斜視図。
図11図1の電動バルブが開弁する様々な段階を示す斜視図。
図12図1の電動バルブが開弁する様々な段階を示す斜視図。
図13図1の電動バルブが開弁する様々な段階を示す斜視図。
図14図1の電動バルブの閉位置における長手方向断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1図14は、本発明にかかるバルブ10の閉弁時、閉じつつあるとき、開きつつあるとき、及び開弁時での様々な段階を示す。バルブ10はシール16が取り付けられた中心軸14を有するナット12を備える。シール16は中心軸14に対し軸方向及び中心軸の周りを回転可能に自由に動き得る。
【0010】
ここで注意しておくべきことは、本明細書及び特許請求の範囲を通して見られる、方向の用語、例えば、「前方」、「後方」、「上方」、「下方」等は様々な表面の位置を互いに区別するための便宜上の用語として使用される。これらの用語は、図面を参照して定義されているが、説明する目的のためにのみ使用され、本発明の範囲を限定する意図のものではない。
【0011】
スライドベアリング18はナット12とシール16との間に配置されている。スライドベアリング18は一般的には2つ以上のリングであって、リングは摩擦係数の低い材料で作られており(又は当該材料で被覆されており)、これらのリングも又、中心軸14に対し軸方向に自由に動き又、回転し得る。
【0012】
ナット12は、その周囲に取り付けられた1つ又は、2つの突起22を有する。ナット12とシール16との間のスライドベアリング18と同様に、ナット12とねじ軸線Aを有するねじ20の基部との間にもスライドベアリング18が配置されている。
【0013】
バルブ10を開くために、ねじ軸線Aが右、すなわち図に見られる時計方向CDに回転する。この段階では、ナット12はねじ20と共に動き、すなわち、ナット12とねじ20との間には個別の動きはない。従って、それらの間に摩擦力は生じない。スライドベアリング18により、ナット12は、シール16がバルブ10のリップ24に押し付けられた状態で回転し、シール16とリップ24の間にいかなる相対運動もない。
【0014】
ナット12が勢いを得た約半回転後、ナット12の周囲の突起22は、バルブ10のバルブ本体28の内側に位置するリミッタ26に到達し、リミッタ26に当接する。リミッタ26に当接した後、ナット12は回転し続けることができず、その結果、ナットはねじ20に対して、軸方向の後方、すなわち開弁する方向への運動を始める。
【0015】
この段階では、電動モータ30及びギア32が勢いを得ているのに伴ってナット12が勢いを得ており、それゆえに、軸方向の後方への運動は容易に行われる。
【0016】
シール16も軸方向の運動を得て、容易にリップ24から外れる。これは、プロセス中の回転のいずれの段階でも、シール16がリップ24上を摺動しないので、それらの間で摩擦力が生じないためである。
【0017】
バルブ10の開弁プロセスの終了時、ナット12が後方への完全なストロークを行ったとき、この開弁プロセスの終了は2つの方法のうちの1つで達成され得る。すなわち、(a)ナット12の後部が、ナット12とねじ20の基部との間のスライドベアリング18に対して摺動する。又は、(b)ねじ20の前部が尖っており、ねじ20の鋭い縁により、ほぼ摩擦なくナット12の内側部分に接触する。
【0018】
バルブ10を閉めるために、ねじ軸線Aが左、すなわち図に見られる反時計方向CCDに回転する。この段階では、ナット12はねじ20と共に動き、すなわち、それらの間には相対運動はなく、従って、それらの間に摩擦力は生じない。
【0019】
ナット12が勢いを得た約半回転後、ナット12の周囲の突起22は、バルブ10のバルブ本体28の内側部分にあるリミッタ26に当接する。リミッタ26に当接した後、ナット12は回転し続けることができず、その結果、ナットはねじ20に対して、軸方向の前方であるバルブ10が閉弁する方向への運動を始める。
【0020】
この段階では、電動モータ30及びギア32が勢いを得ているのに伴ってナット12が既に勢いを得ており、それゆえに、軸方向の前方への運動は容易に達成される。ナット12の速い前方への運動によるバルブ10の閉弁のストロークの終了時、シール16はリップ24に対し軸方向に動き、それらの間にいかなる相対運動もなく、すなわち、摩擦又は摩耗がない。ナット12の前方への運動の継続において、ナットはスライドベアリング18を介して軸方向にシール16を押圧し、それによって、リップ24に対するシール16の完全かつ強力なシールが得られる。
【0021】
これにより、バルブ10は以下を含む様々な利点を提供する。(a)比較的小型の電動モータの使用可能としている。(b)省エネルギー。(c)バルブの動作が速い。(d)多数回の作動でも摩擦、摩耗、又は故障がないか少ない。(e)バルブ10の開閉の制御にリミットスイッチが不要で、単純な構造。(f)比較的小型のバルブで流体の流れのための比較的大きな断面を得ることが可能。
【0022】
再度、それぞれの図を参照すると、図2はバルブ10の閉弁の初期段階で、ナット12が回転を開始し、突起22がリミッタ26と非係合であるところを示す。図3は開弁のプロセスの更なる段階のナット12と突起22の回転を示し、図4は開弁のプロセスの更なる段階において、突起22がリミッタ26に到達したときのバルブ10を示し、図5は閉弁方向での軸方向の運動中のバルブを示す。図6はバルブの閉弁段階でシール16がリップ24へ到達したところを示し、そして図7はバルブの閉位置でシール16がリップ24へ押し付けられたところを示す。図14はバルブ10の閉位置を示す。
【0023】
図8はバルブ10の開弁を開始する初期段階で、突起22がリミッタ26から外れるところを示す。図9は開弁プロセスでのナット12の更なる回転を示し、図10も、ナット12の更なる回転を示す。図11は突起22がリミッタ26に到達するときを図示している。図12はバルブの開弁プロセスにおいて軸方向への移動の始まりを示し、そして図13はナット12が最も後方に位置に達した、完全に開弁した状態を示す。
【0024】
本発明をある程度具体的に説明したが、以下に請求される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な代案及び変形を行い得ることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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