特許第6987819号(P6987819)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987819
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】自動倉庫システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20211220BHJP
【FI】
   B65G1/04 547
   B65G1/04 521
【請求項の数】1
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-169091(P2019-169091)
(22)【出願日】2019年9月18日
(62)【分割の表示】特願2017-40842(P2017-40842)の分割
【原出願日】2017年3月3日
(65)【公開番号】特開2019-210152(P2019-210152A)
(43)【公開日】2019年12月12日
【審査請求日】2020年3月2日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 国際物流総合展2016実行委員会が開催した「国際物流総合展2016」(平成28年9月13日−16日)において、西前健司が発明した荷を入庫・出庫するための自動倉庫システムを展示
(73)【特許権者】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】西前 健司
【審査官】 福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−217116(JP,A)
【文献】 実開平01−115608(JP,U)
【文献】 特開昭50−043438(JP,A)
【文献】 特開平05−301604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向、行方向、列方向のそれぞれの方向に沿って配置される、荷を保管するための複数の保管部で構成される第1棚部と、
外部搬送装置がアクセス可能な構造を有する、第2棚部と、
前記第1棚部と前記第2棚部との間で荷を搬送する中間搬送装置と、
を備え、
前記第2棚部は、上下方向、行方向のそれぞれの方向に沿って複数配置される、荷を一時的に保管する一時保管部を複数備え、
前記中間搬送装置は、行方向に移動可能な第1搬送手段と、列方向に移動可能な第2搬送手段と、のセットを上下方向における各段に有することにより、前記第1棚部と前記第2棚部との間で荷を移動させる、
ことを特徴とする自動倉庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷を入庫・出庫する自動倉庫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
少ないスペースで多数の荷を効率的に入庫・出庫可能な倉庫システムとして自動倉庫システムが知られている。自動倉庫システムも種々の構造が提供されているが、その一つとして、立体的に構成された自動倉庫にスタッカークレーンやフォークリフトなどの搬送機器を用いて荷の授受を行う自動倉庫が提供されている。例えば特許文献1には、多段高層棚の入出庫位置に配置され、スタッカークレーンやフォークリフトなどの搬送機器との間で荷の受け渡しを行う入出庫装置を備えた立体自動倉庫が記載されている。この自動倉庫では、棚間においてスタッカークレーンが走行して、各棚からへの荷の搬入及び搬出を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−227906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は自動倉庫システムについて以下のような認識を得た。
自動倉庫システムとして、対面する二つの保管棚の間にスタッカークレーンが走行する走行スペースを設ける構成が考えられる。この倉庫では、入庫する荷をフォークリフトで各保管棚に設けた置台上に移載し、その荷をスタッカークレーンが棚の所定の収容部に移動して収容する。この構成では、対面する二つの保管棚ごとに、スタッカークレーンの走行スペースを設けることになり、スタッカークレーンの走行スペースの分だけ荷の保管スペースが減ってしまう。このため、保管スペースを増やすように、スタッカークレーンの走行スペースを保管棚で埋めてしまうことも考えられるが、この場合、スタッカークレーンが保管棚間へ進入できなくなり、荷の取り出しが難しくなる。このことから、本発明者は、自動倉庫システムには荷の保管スペースを増やしつつ、荷の取り出しを容易にする観点から改善すべき課題があることを認識した。
このような課題はスタッカークレーンを用いる自動倉庫システムに限られず他の種類の自動倉庫システムについても生じうる。
【0005】
本発明は、こうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、荷の保管スペースを増やしつつ、荷の取り出しを容易にすることが可能な自動倉庫システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の自動倉庫システムは、M(Mは2以上の整数)行、N(Nは2以上の整数)列の保管部を有する保管部配列を含み、当該各保管部は荷を保管可能に構成される保管棚部と、M行の収容部を有する収容部配列を含み、当該各収容部は外部から荷を受け入れて収容可能に構成される収容棚部と、保管棚部と収容棚部との間で荷を搬送する中間搬送装置と、を備える。
【0007】
この態様によると、自動倉庫システムにおいて、中間搬送装置を備えることにより収容棚部に収容した荷を保管棚部に搬送して保管することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、荷の保管スペースを増やしつつ、荷の取り出しを容易にすることが可能な自動倉庫システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態に係る自動倉庫システムの斜視図である。
図2図1の自動倉庫システムの平面図である。
図3図1の自動倉庫システムの中間搬送装置の一例を示す平面図である。
図4図1の自動倉庫システムの第1台車の一例を示す平面図である。
図5図4の第1台車の側面図である。
図6図1の自動倉庫システムの第2台車の一例を示す平面図である。
図7図6の第2台車の側面図である。
図8図1の自動倉庫システムのブロック図である。
図9図1の自動倉庫システムの出庫時の搬送動作の一例を示す説明図である。
図10図1の自動倉庫システムの出庫時の搬送動作の一例を示すフローチャートである。
図11図1の自動倉庫システムの入庫時の搬送動作の一例を示すフローチャートである。
図12】第1変形例に係る自動倉庫システムの斜視図である。
図13図12の自動倉庫システムのスタッカークレーンの平面図である。
図14図12のスタッカークレーンの側面図である。
図15図12の自動倉庫システムの出庫時の搬送動作の一例を示すフローチャートである。
図16図12の自動倉庫システムの入庫時の搬送動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
近年、倉庫の高密度化や高速化のニーズが高まる中、本発明者は自動倉庫システムについて考察し、以下のような認識を得た。
自動倉庫システムとして、スタッカークレーンの走行スペースの両側に、対面する二つの保管棚を設ける構成が考えられる。しかしこの構成では、2列の保管棚ごとに走行スペースを設けることになり、その分、荷を保管するスペースが減ってしまう。一方で、走行スペースを保管棚で埋めるとすると、保管棚間にスタッカークレーンが進入できなくなり、荷の取り出しが難しくなる。これらのことから、本発明者は、自動倉庫システムには荷の保管スペースを増やすことと、荷の取り出しを容易にすることとは、二律背反の関係にあることを認識した。
【0011】
そこで、本発明者は、収容棚を小容量の一次収容棚である収容棚部と、大容量の二次収容棚である保管棚部とに分けて、収容棚部には外部搬送装置により搬入・搬出を可能とし、収容棚部と保管棚部の間には中間搬送装置を設けることで、保管スペースを確保しつつ、入出庫を効率化できることを見出した。例えば、入庫する場合、搬入・搬出するための外部搬送装置(例えば、フォークリフト)により、荷を収容棚部に搬入する。収容棚部に搬入した荷は、中間搬送装置によって保管棚部の所定の保管部に搬送して保管することができる。また、出庫する場合には、出庫する荷を、保管棚部の所定の保管部から収容棚部に中間搬送装置によって搬送し、収容棚部からは外部搬送装置によって荷を搬出・出庫することができる。
【0012】
このように構成することで、外部搬送装置は、中間搬送装置の動作を待たずに、入庫する荷を連続して収容棚部の空いている収容部に搬入することができる。中間搬送装置は収容棚部の収容部に搬入された荷を順次保管棚部の所定の収容部に搬送できる。このため、入庫に要する入庫時間は収容棚部への連続的な搬入動作の時間で決まるから、中間搬送装置の動作を待つ時間の分短縮することが可能になる。出庫の場合は、出庫すべき荷を、予め収容棚部へ移送しておくことで、出庫に要する出庫時間を同様に短縮することが可能になる。
実施の形態はこのような思索に基づいて案出されたもので、以下にその具体的な構成を説明する。
【0013】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態、比較例および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0014】
[実施の形態]
図1は、実施の形態に係る自動倉庫システム10の斜視図である。図2は自動倉庫システム10の平面図である。実施の形態に係る自動倉庫システム10は、多数の荷12を入庫・出庫可能な自動倉庫を含むシステムである。以下、XYZ直交座標系をもとに説明する。X軸方向は水平な左右方向に対応し、Y軸方向は水平な前後方向に対応し、Z軸方向は鉛直な上下方向に対応する。Y軸方向、Z軸方向はそれぞれX軸方向に直交する。特に、後述する行方向および列方向は、それぞれX軸方向およびY軸方向に対応する。入出庫では、パレットを用いずに荷12を単独で扱うようにしてもよいが、実施の形態では荷12をパレット12pに載せた状態で扱うようにしている。以下、荷12をパレット12pに載せた状態で搬送することを、単に荷12を搬送するという。
【0015】
図2に示すように、自動倉庫システム10は、保管棚部20と、収容棚部30と、中間搬送装置40と、を主に含む。自動倉庫システム10では、一例として、荷12を入庫する際、荷12は外部搬送装置であるフォークリフト50によって収容棚部30に搬入される。収容棚部30に搬入された荷12は、中間搬送装置40によって、保管棚部20の所定の保管部に搬送されて保管される。自動倉庫システム10では、一例として、荷12を出庫する際、出庫する荷12は中間搬送装置40によって予め保管棚部20の所定の保管部から収容棚部30に搬送される。収容棚部30に搬送された荷12は、例えばフォークリフト50により搬出されて出庫される。
【0016】
図1に示すように、自動倉庫システム10には、外部搬送装置が作業するための作業スペース14が設けられる。作業スペース14は、収容棚部30の保管棚部20とは反対側に設けられる空間である。作業スペース14は、収容棚部30の列方向に隣接して設けられてもよい。作業スペース14は、フォークリフト50などの外部搬送装置が収容棚部30に荷12を搬入・搬出できる程度の立体的な大きさを有する。つまり、作業スペース14は、荷12の搬入・搬出が可能な程度の、X軸方向寸法と、Y軸方向寸法と、Z軸方向寸法と、を有する。例えば、作業スペース14のX軸方向寸法は、収容棚部30のX軸方向寸法より大きく設定されてもよい。作業スペース14を有することで、荷12の搬入・搬出が容易になり、作業効率が向上する。
【0017】
保管棚部20は多数の荷12を収容して保管する、いわば高密度保管型の保管スペースである。保管棚部20は、複数の荷12を収容・保管可能であれば、構造に特別な制限はない。実施の形態の保管棚部20は、水平面に沿って配置される、M(Mは2以上の整数)行、N(Nは2以上の整数)列の保管部21を有する保管部配列23を含む。つまり、Mは行数であり、Nは列数である。この各保管部21は荷12を保管可能に構成される。各行の保管部21それぞれは列方向に接続され、列方向に伸びる保管部列22を構成する。荷12は、保管部列22の中を列方向に搬送されることができる。各保管部列22は行方向に接続されて保管部配列23を構成する。各保管部列22の収容棚部30側の端部には、荷12を出し入れするための出入口部22bが設けられる。各保管部配列23は、K(Kは1以上の整数)段、上下方向に層状に接続されて保管棚部20を構成する。つまり、Kは段数である。実施の形態では、保管棚部20の列数、行数および段数は、一例として、5列、6行、3段としている。つまり、保管棚部20は、5列の保管部21を接続した保管部列22を、行方向に6行連ねた保管部配列23を、3段重ねて構成されている。
【0018】
収容棚部30は、複数の荷12を一時的に収容する、いわば仮置き用の収容スペースである。収容棚部30に収容可能な荷12の数は、保管棚部20に収容可能な荷12の数より小さくてもよい。収容棚部30は、複数の荷12を一時的に収容可能であれば、構造に特別な制限はない。実施の形態の収容棚部30は、水平面に沿って配置される、M行の収容部31を有する収容部配列33を含む。この各収容部31は外部から荷12を受け入れて収容可能に構成されている。各収容部31は行方向に接続されて収容部配列33を構成する。収容棚部30は、収容部配列33を、K段上下方向に層状に重ねて構成される。収容部配列33の行数、列数および段数は、任意に設定することができる。つまり、収容部配列33に含まれる収容部31の列数は1列に限られない。実施の形態では、動作の円滑化の観点から、収容部配列33の行数は保管部配列23の行数と同数の6行とし、収容部配列33の段数は保管部配列23の段数と同数の3段としている。つまり、収容棚部30は、1列の収容部31を、行方向に6行連ねた収容部配列33を、3段重ねて構成されている。
【0019】
収容棚部30は、保管棚部20の列方向に離隔して配置される。収容棚部30と保管棚部20の間には後述する第1台車45が走行可能な空間が介在する。各収容部31は、外部出入口部31bと、内部出入口部31cと、を備える。外部出入口部31bは、倉庫に荷を搬入・搬出するための外部搬送装置との間で荷の授受をするためのポートである。内部出入口部31cは中間搬送装置との間で荷の授受をするためのポートである。外部出入口部31bは、例えば各収容部31の保管棚部20と反対側に設けられる。内部出入口部31cは、例えば各収容部31の保管棚部20に近い側に、外部出入口部31bとは別に設けられる。
【0020】
(中間搬送装置)
次に中間搬送装置40について説明する。中間搬送装置40は、保管棚部20と収容棚部30との間で荷12の搬送を行う搬送機構である。中間搬送装置40は荷を搬送可能であれば構造に特別な制限はないが、実施の形態の中間搬送装置40は、複数の軌条と、この軌条を走行する複数の台車と、を含んでいる。図3は、中間搬送装置40の一例を示す平面図である。特に、中間搬送装置40は、第1軌条41と、第2軌条42と、第3軌条43と、第1台車45と、第2台車46と、を含む。図3は、第1軌条41、第2軌条42および第3軌条43の配置の一例を示している。第1軌条41は、例えば、行方向に伸びるレールの対であり、収容棚部30と保管棚部20の間の空間に設けられる。第1軌条41は、第1台車45を行方向に走行させるように各段に設けられる。
【0021】
第2軌条42は、例えば、列方向に伸びるレールの対であり、保管棚部20の各保管部21を接続した保管部列22の中に設けられる。第2軌条42は、第2台車46を列方向に走行させるように各段に設けられる。第3軌条43は、例えば、列方向に伸びるレールの対であり、収容棚部30の各収容部31の中に設けられる。第3軌条43は、第2台車46を列方向に走行させるように各段に設けられる。図3において、第1軌条41はY軸方向に延在し、第2軌条42および第3軌条43はX軸方向に延在する。これらの軌条は、第2軌条42および第3軌条43の延伸方向が第1軌条41の延伸方向と直交するように配置される。
【0022】
(第1台車)
図4は、第1台車45の一例を示す平面図である。図5は、第1台車45の側面図である。第1台車45は、第1軌条41を行方向に走行して、荷12を行方向に搬送する走行台車である。第1台車45は各段の第1軌条41にそれぞれ配置される。各段に第1台車45を設けることにより、各第1台車45を独立して同時に動作させることが可能で、収容棚部30と保管棚部20との間の搬送効率を向上させることかできる。第1台車45は、車体45bと、載置部45cと、4つの車輪45dと、を主に含む。車体45bは、上下方向に偏平な略直方体形状の輪郭を有する。車体45bの内部には、車輪45dを駆動するモータ(不図示)と、このモータを駆動するバッテリー(不図示)と、これらを制御する制御回路(不図示)と、を搭載している。載置部45cは、第2台車46を載置する部分で、上面視で略矩形で、側面視で車体45bの上面から下方に後退した凹部形状を有する。
【0023】
図4図5に示すように、載置部45cの大きさは、後述する第2台車46が載置部45cの周面と干渉することなく図中でX軸方向である列方向に走行できるように、第2台車46の大きさに十分な量のマージンを加えた大きさとされる。4つの車輪45dは、車体45bの4隅に回転可能に支持される。第1台車45は、4つの車輪45dを軌条にて回転させることによって、軌条を走行する。第1台車45は、荷12および第2台車46を載せた状態で第1軌条41上を走行することができる。第1台車45の走行動作は、後述する制御部52aによって制御される。
【0024】
(第2台車)
図6は、第2台車46の一例を示す平面図である。図7は、第2台車46の側面図である。図7は、第2台車46が荷12を載せた状態で第2軌条42上を走行する状態を示している。第2台車46は、第2軌条42を列方向に走行して、荷12を列方向に搬送する走行台車である。第2台車46は、各段の第2軌条42または第3軌条43にそれぞれ配置される。第2台車46は、荷12を載せた状態で第1台車45の載置部45cに進入することができる。第2台車46は、車体46bと、支持部46cと、リフト機構46dと、4つの車輪46eと、を主に含む。車体46bは、上下方向に偏平な略直方体形状の輪郭を有する。車体46bの内部には、車輪46eを駆動するモータ(不図示)と、このモータを駆動するバッテリー(不図示)と、これらを制御する制御回路(不図示)と、を搭載している。支持部46cは、荷12を持上げて保持する略矩形板状の部分である。
【0025】
リフト機構46dは、支持部46cを昇降させる機構である。リフト機構46dは、支持部46cを上昇させて荷12を保管部21または収容部31に設けられた軌条から持上げることができる。リフト機構46dは、支持部46cを降下させて荷12を保管部21または収容部31に設けられた軌条に降ろすことができる。図7は、支持部46cが荷12を第2軌条42から持上げた状態を示している。4つの車輪46eは、車体46bの4隅に回転可能に支持される。第2台車46は、4つの車輪46eを軌条にて回転させることによって軌条を走行する。図7に示すように、第2台車46は、荷12を載せた状態で第2軌条42上および第3軌条43上を走行することができる。第2台車46の走行動作およびリフト機構46dの昇降動作は、制御部52aによって制御される。
【0026】
次に、実施の形態の自動倉庫システム10のその他の構成を説明する。図8は自動倉庫システム10のブロック図である。自動倉庫システム10は、制御装置52と、保管部荷検知部54bと、収容部荷検知部54cと、第1台車位置検知部54dと、第2台車位置検知部54eと、をさらに含む。保管部荷検知部54bは、各保管部21において、荷12の有無を検知して、その検知結果を制御部52aに出力するセンサ機構である。収容部荷検知部54cは、各収容部31において、荷12の有無を検知して、その検知結果を制御部52aに出力するセンサ機構である。第1台車位置検知部54dは、第1軌条41において、第1台車45の位置を検知して、その検知結果を制御部52aに出力するセンサ機構である。第2台車位置検知部54eは、第2軌条42および第3軌条43において、第2台車46の位置を検知して、その検知結果を制御部52aに出力するセンサ機構である。
【0027】
(制御装置)
制御装置52は、制御部52aと、操作部52k、表示部52mと、を含む。操作部52kは、自動倉庫システム10を制御するための操作を受け入れて、その操作結果を制御部52aに出力する操作ユニットである。操作部52kは、例えば自動倉庫システム10の起動や停止などの操作を受け入れる。表示部52mは、制御部52aの制御により、自動倉庫システム10の動作状況を表示する表示ユニットである。表示部52mは、例えば、各台車の動作状況や保管部21や収容部31における荷12の保管状況などを表示するようにしてもよい。操作部52kおよび表示部52mは、例えば制御装置52の正面に設けられる。
【0028】
次に制御部52aについて説明する。図8に示す制御部52aの各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0029】
制御部52aは、保管部荷検知部54b、収容部荷検知部54c、第1台車位置検知部54dおよび第2台車位置検知部54eの検知結果に応じて、主に第1台車45および第2台車46の動作を制御する制御ユニットである。制御部52aは、操作結果取得部52bと、第1荷検知結果取得部52cと、第2荷検知結果取得部52dと、第1位置検知部52eと、第2位置検知部52fと、表示制御部52gと、第1台車制御部52hと、第2台車制御部52jと、を主に含む。操作結果取得部52bは、操作部52kからその操作結果を取得する。第1荷検知結果取得部52cは、保管部荷検知部54bからその検知結果を取得する。第2荷検知結果取得部52dは、収容部荷検知部54cからその検知結果を取得する。第1位置検知部52eは、第1台車位置検知部54dからその検知結果を取得する。第2位置検知部52fは、第2台車位置検知部54eからその検知結果を取得する。表示制御部52gは、所定の表示をするように表示部52mを制御する。第1台車制御部52hは、第1台車45の走行を制御する。第2台車制御部52jは、第2台車46の走行および支持部46cの昇降動作を制御する。
【0030】
次に、このように構成された自動倉庫システム10の動作を説明する。
【0031】
(出庫動作)
自動倉庫システム10の出庫時の搬送動作の一例を説明する。この搬送動作は、出庫する荷12を、保管棚部20の保管部21から、収容棚部30の収容部31に搬送する動作を含む。収容部31に搬送された荷12は、外部搬送装置により搬出される。図9は、自動倉庫システム10の出庫時の搬送動作の一例を示す説明図である。図10は、出庫時の搬送動作の一例を示すフローチャートであり、この動作に関する処理S60を示している。
(1)処理S60が開始されると、制御部52aは、第2台車46を搬送元の保管部21に移動させ、出庫対象の荷12の下に進入させる(ステップS61)。
(2)制御部52aは、第2台車46の支持部46cを上昇させて荷12を保管部21から持ち上げて支持させる(ステップS62)。このとき、荷12は移動可能な状態になる。
(3)制御部52aは、荷12を載せた第2台車46を出入口部22bに向かって移動させる(ステップS63)。
(4)制御部52aは、このとき同時に、第1台車45を搬送元の保管部21の行に移動させる(ステップS64、図9(a)を参照)。
(5)制御部52aは、第1台車45が搬送元の保管部21の行に到着したか否かを判定する(ステップS65)。
【0032】
(6)第1台車45が未到着の場合(ステップS65のN)、制御部52aは処理をステップS65の先頭に戻す。
(7)第1台車45が到着した場合(ステップS65のY)、制御部52aは、荷12を載せた第2台車46を出入口部22bから第1台車45の載置部45cに進入させる(ステップS66、図9(b)を参照)。
(8)制御部52aは、載置部45cに第2台車46を載せた第1台車45を、搬送先の収容部31の行に移動させる(ステップS67、図9(c)を参照)。
(9)第1台車45が搬送先に到着したら、制御部52aは、荷12を載せた第2台車46を、第1台車45から退出させて搬送先の収容部31に移動させる(ステップS68、図9(d)を参照)。
(10)第2台車46が収容部31に移動したら、制御部52aは、第2台車46の支持部46cを下降させて荷12を収容部31に降ろさせる(ステップS69)。荷12を降ろすことでこの処理S60は終了する。
収容部31に搬送された荷12は、フォークリフト50により外部出入口部31bから搬出され、トラックなどに積み入れされる。荷12を降ろした第2台車46は、例えばその位置で待機するようにしてもよい。
上述の処理S60はあくまでも一例であり、他のステップを追加したり、一部のステップを変更または削除したり、ステップの順序を入れ替えてもよい。
【0033】
(入庫動作)
次に、自動倉庫システム10の入庫時の搬送動作の一例を説明する。この搬送動作は、入庫する荷12を、収容棚部30の収容部31から、保管棚部20の保管部21に搬送する動作を含む。入庫する荷12は、この搬送動作の前に外部搬送装置により収容部31に搬入される。図11は、入庫時の搬送動作の一例を示すフローチャートであり、この動作に関する処理S70を示している。
(1)処理S70が開始されると、制御部52aは、保管棚部20の搬送先である保管部21に待機していた第2台車46を、保管棚部20の出入口部22bに移動させる(ステップS71)。
(2)制御部52aは、このとき同時に、第1台車45を搬送先の保管部21の行に移動させる(ステップS72)。
(3)制御部52aは、第1台車45が搬送先の保管部21の行に到着したか否かを判定する(ステップS73)。
【0034】
(4)第1台車45が未到着の場合(ステップS73のN)、制御部52aは処理をステップS73の先頭に戻す。
(5)第1台車45が到着した場合(ステップS73のY)、制御部52aは、第2台車46を出入口部22bから載置部45cに進入させる(ステップS74)。
(6)制御部52aは、載置部45cに第2台車46を載せた第1台車45を、搬送元の収容部31の行に移動させる(ステップS75)。
(7)制御部52aは、第2台車46を搬送元の収容部31にて荷12の下側に進入させる(ステップS76)。
(8)制御部52aは、第2台車46の支持部46cを上昇させて収容部31から荷12を持ち上げて支持させる(ステップS77)。
(9)制御部52aは、荷12を載せた第2台車46を、第1台車45の載置部45cに進入させる(ステップS78)。
【0035】
(10)制御部52aは、載置部45cに第2台車46を載せた第1台車45を、搬送先の保管部21の行に移動させる(ステップS79)。
(11)制御部52aは、荷12を載せた第2台車46を、出入口部22bから搬送先の保管部21に移動させる(ステップS80)。
(12)制御部52aは、第2台車46の支持部46cを下降させて荷12を保管部21に降ろさせる(ステップS81)。荷12を降ろすことでこの処理S70は終了する。
荷12を降ろした第2台車46は、例えばその位置で待機するようにしてもよい。
上述の処理S70はあくまでも一例であり、他のステップを追加したり、一部のステップを変更または削除したり、ステップの順序を入れ替えてもよい。
自動倉庫システム10によれば、第1台車45や第2台車46が移動している間も、フォークリフト50は別の入庫する荷12を別の収容部31に順次搬入することができる。
【0036】
次に、このように構成された自動倉庫システム10の作用・効果を説明する。
【0037】
倉庫スペースの高密度化の観点から、例えばスタッカークレーンなどの搬送装置が走行するための空間が占める割合は小さいことが望ましい。そこで、実施の形態の自動倉庫システム10は、M(Mは2以上の整数)行、N(Nは2以上の整数)列の保管部21を有する保管部配列23を含み、当該各保管部21は荷12を保管可能に構成される保管棚部20と、M行の収容部31を有する収容部配列33を含み、当該各収容部31は外部から荷12を受け入れて収容可能に構成される収容棚部30と、保管棚部20と収容棚部30との間で荷12を搬送する中間搬送装置40と、を備える。この構成によれば、対面する保管棚ごとに、その間にスタッカークレーンなどの搬送装置の走行空間を設ける構成と比較して、荷の保管スペースを増やして、搬送装置の走行空間が占める割合を小さくすることができる。
【0038】
外部搬送装置と中間搬送装置の干渉は回避できることが望ましい。そこで、実施の形態の自動倉庫システム10では、各収容部31は、保管棚部20に向いた側に設けられ、保管棚部20に搬送する荷12を通過させるための第1出入口部である内部出入口部31cと、内部出入口部31cとは別に設けられ、外部から受け入れる荷12を通過させるための第2出入口部である外部出入口部31bと、を有する。この構成によれば、各収容部31における荷を通過させる出入口部が一つだけの場合と比較して、中間搬送装置を外部搬送装置から離れた位置に配置することができるので、これらの装置の間の干渉を抑制することができる。
【0039】
また、複数の荷12を入庫する場合に、この複数の荷12を、一旦、収容棚部30に連続して搬入し、この荷12を、順次、中間搬送装置40により保管棚部20に搬送して保管することができる。この場合、中間搬送装置40が荷12を搬送している間も、別の荷12を別の収容部31に搬入することが可能になる。このため、中間搬送装置40の搬送完了を待って別の荷12を搬入する場合と比較して、待ち時間が減って搬入時間が短縮され、荷の搬入を迅速化することができる。出庫の場合にも、入庫の場合と同様の作用により荷の搬出時間が短縮され、荷の搬出を迅速化することができる。また、収容棚部30が保管棚部20と同じ行数で構成されているから、保管空間を略直方体形状にすることが容易になり、不要な空間の発生を抑制してスペース効率を向上することができる。
【0040】
倉庫のスペース効率は高いことが望ましい。そこで、実施の形態の自動倉庫システム10では、保管棚部20は、K(Kは2以上の整数)段の保管部配列23を含み、収容棚部30は、K段の収容部配列33を含む。この構成によれば、収容棚部30が保管棚部20と同じ段数で構成されているから、段数が異なる場合と比較して、保管空間を略直方体形状にすることが容易になり、不要な空間の発生を抑制してスペース効率を向上することができる。
【0041】
中間搬送装置40の搬送時間は短いことが望ましい。そこで、実施の形態の自動倉庫システム10では、中間搬送装置40は、荷12を行方向に搬送可能な行方向搬送装置36と、荷12を列方向に搬送可能な列方向搬送装置38と、を含み、列方向搬送装置38は、荷12を、搬送元から搬送して行方向搬送装置36に積み入れるように構成され、行方向搬送装置36は、積み入れられた荷12を、搬送先の行に向かって搬送するように構成される。この構成によれば、行方向搬送装置36と列方向搬送装置38と別々に設け、これらを連携させて動作させることで、一方が動作している間に他方が別の動作をすることが可能になる。このため、相手の動作を待つ時間が少なくなり、全体として搬送時間を短くすることが可能になる。
【0042】
行方向搬送装置36から離れている保管部21に対して容易に荷12を出し入れできることが望ましい。そこで、実施の形態の自動倉庫システム10では、行方向搬送装置36は、保管棚部20と収容棚部30との間にて行方向に伸びる第1軌条41と、第1軌条41を走行可能な第1台車45と、を含み、列方向搬送装置38は、保管棚部20にて列方向に伸びる第2軌条42と、収容棚部30にて列方向に伸びる第3軌条43と、第2軌条42および第3軌条43を走行可能な第2台車46と、を含む。この構成によれば、第2台車が保管棚部20に設けた第2軌条42を走行可能であるので、行方向搬送装置36から離れている保管部21に対して荷12を出し入れすることが容易になる。
【0043】
中間搬送装置40の搬送時間はより短いことが望ましい。そこで、実施の形態の自動倉庫システム10では、第1台車45は、第2台車46を載置して第1軌条41を走行可能に構成される。この構成によれば、第2台車46は、荷12を載せた状態で第2軌条を走行して第1台車45に進入し、行方向に移動して、第1台車45から退出して第3軌条にそのまま乗り入れることができる。搬送中に荷を積み替える場合と比較して、積み替えに費やされる時間の分、搬送時間を短くすることができる。
【0044】
以上、本発明の実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求の範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0045】
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、実施の形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施の形態と重複する説明を適宜省略し、実施の形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0046】
(第1変形例)
実施の形態の自動倉庫システム10の説明では、中間搬送装置40が昇降機構を備えない例について説明したが、これに限られない。例えば、中間搬送装置は昇降機構を有するスタッカークレーンを含んでもよい。スタッカークレーンを含むことで、荷12を行方向に搬送すると共に上下方向に昇降することができる。図12は、第1変形例に係る自動倉庫システム90の斜視図であり、図1に対応する。自動倉庫システム90は、実施の形態の自動倉庫システム10に対して、第1台車45の代わりにスタッカークレーン47を備える点で相違し、その他の構成は同様である。したがって、重複する説明を省略し、自動倉庫システム10と相違する点を中心に説明する。
【0047】
スタッカークレーン47は荷12を行方向に搬送すると共に上下方向に昇降する機能を有する走行台車である。スタッカークレーン47は、保管棚部20と収容棚部30との間に、床面に設けられた行方向に伸びる軌条44に沿って、行方向に走行可能に設けられる。図13は、スタッカークレーン47の平面図である。図14は、スタッカークレーン47の側面図である。スタッカークレーン47は、基台部47bと、載置部47cと、4つの車輪47dと、一対の支柱47hと、昇降機構47gと、を主に含む。基台部47bは、スタッカークレーン47の下部に設けられる上下方向に偏平な板状の部材である。基台部47bには、車輪47dを駆動するモータ(不図示)と、このモータを駆動するバッテリー(不図示)と、これらを制御する制御回路(不図示)と、を搭載している。スタッカークレーン47は、バッテリーに代わって図外の架線から受電するように構成されてもよい。
【0048】
載置部47cは、第2台車46を載置可能に設けられる上下方向に偏平な板状の部材である。載置部47cは、第2台車46を載置した状態で昇降可能に構成される。載置部47cの前後両端には上向きに伸びる延伸部47fが設けられる。4つの車輪47dは、基台部47bの4隅に回転可能に支持される。一対の支柱47hは、上下方向に伸びる支柱であり、載置部47cを昇降可能にガイドする。一対の支柱47hは、間に載置部47cを挟むように行方向に離隔されて基台部47bに固定される。支柱47hは、例えば上面視で略矩形の断面を有する。昇降機構47gは、載置部47cを上下に昇降駆動する機構である。昇降機構47gは、支柱47hの近傍において基台部47bに設けられる。昇降機構47gが載置部47cを吊っているワイヤーロープ(不図示)を巻取り・送出しすることで、載置部47cを昇降駆動する。この構成により、載置部47cは昇降可能な昇降台として機能する。スタッカークレーン47は、4つの車輪47dを軌条44にて回転させることによって、軌条44を走行する。スタッカークレーン47は、荷12および第2台車46を載せた状態で軌条44上を走行することができる。
【0049】
(出庫動作)
次に、このように構成された第1変形例に係る自動倉庫システム90の出庫時の搬送動作の一例を説明する。この搬送動作は、出庫する荷12を、保管棚部20の第2の段(例えば最下段の保管部21から、収容棚部30の第1の段(例えば最上段)の収容部31に搬送する動作を含む。収容部31に搬送された荷12は、外部搬送装置により搬出される。図15は、自動倉庫システム90の出庫時の搬送動作の一例を示すフローチャートであり、この動作に関する処理S160を示している。
(1)処理S160が開始されると、制御部52aは、第2台車46を搬送元の保管部21に移動させ、出庫対象の荷12の下に進入させる(ステップS161)。
(2)制御部52aは、第2台車46の支持部46cを上昇させて荷12を保管部21から持ち上げて支持させる(ステップS162)。このとき、荷12は移動可能な状態になる。
【0050】
(3)制御部52aは、荷12を載せた第2台車46を出入口部22bに向かって移動させる(ステップS163)。
(4)制御部52aは、スタッカークレーン47の載置部47cを第2の段の高さまで昇降させる(ステップS164)。
(5)制御部52aは、このとき同時に、スタッカークレーン47を搬送元の保管部21の行に移動させる(ステップS165)。
(6)制御部52aは、スタッカークレーン47が搬送元の保管部21の行に到着したか否かを判定する(ステップS166)。
(7)スタッカークレーン47が未到着の場合(ステップS166のN)、制御部52aは処理をステップS166の先頭に戻す。
(8)スタッカークレーン47が到着した場合(ステップS166のY)、制御部52aは、荷12を載せた第2台車46を出入口部22bから載置部47cに進入させる(ステップS167)。
【0051】
(9)制御部52aは、第2台車46を載せたスタッカークレーン47を、搬送先の収容部31の行に移動させる(ステップS168)。
(10)制御部52aは、スタッカークレーン47の載置部47cを第1の段の高さまで上昇させる(ステップS169)。
(11)スタッカークレーン47が搬送先に到着したら、制御部52aは、荷12を載せた第2台車46を、スタッカークレーン47から退出させて搬送先の収容部31に移動させる(ステップS170)。
(12)第2台車46が収容部31に移動したら、制御部52aは、第2台車46の支持部46cを下降させて荷12を収容部31に降ろさせる(ステップS171)。荷12を降ろすことでこの処理S160は終了する。
収容部31に搬送された荷12は、フォークリフト50により外部出入口部31bから搬出され、トラックなどに積み入れされる。荷12を降ろした第2台車46は、例えばその位置で待機するようにしてもよい。
上述の処理S160はあくまでも一例であり、他のステップを追加したり、一部のステップを変更または削除したり、ステップの順序を入れ替えてもよい。
【0052】
(入庫動作)
次に、自動倉庫システム90の入庫時の搬送動作の一例を説明する。この搬送動作は、入庫する荷12を、収容棚部30の第1の段(例えば最上段)の収容部31から、保管棚部20の第2の段(例えば最下段)の保管部21に搬送する動作を含む。入庫する荷12は、この搬送動作の前に外部搬送装置により収容部31に搬入される。図16は、自動倉庫システム90の入庫時の搬送動作の一例を示すフローチャートであり、この動作に関する処理S180を示している。
(1)処理S180が開始されると、制御部52aは、保管棚部20の搬送先である保管部21に待機していた第2台車46を、保管棚部20の出入口部22bに移動させる(ステップS181)。
(2)制御部52aは、このとき同時にスタッカークレーン47を搬送先の保管部21の行に移動させる(ステップS182)。
(3)制御部52aは、スタッカークレーン47の載置部47cを第2の段の高さまで昇降させる(ステップS183)。
(4)制御部52aは、スタッカークレーン47が搬送先の保管部21の行に到着したか否かを判定する(ステップS184)。
【0053】
(5)スタッカークレーン47が未到着の場合(ステップS184のN)、制御部52aは処理をステップS184の先頭に戻す。
(6)スタッカークレーン47が到着した場合(ステップS184のY)、制御部52aは、第2台車46を出入口部22bから載置部47cに進入させる(ステップS185)。
(7)制御部52aは、第2台車46を載せたスタッカークレーン47を、搬送元の収容部31の行に移動させる(ステップS186)。
(8)制御部52aは、スタッカークレーン47の載置部47cを第1の段の高さまで上昇させる(ステップS187)。
(9)制御部52aは、第2台車46を搬送元の収容部31にて荷12の下側に進入させる(ステップS188)。
(10)制御部52aは、第2台車46の支持部46cを上昇させて収容部31から荷12を持ち上げて支持させる(ステップS189)。
(11)制御部52aは、荷12を載せた第2台車46を、スタッカークレーン47の載置部47cに進入させる(ステップS190)。
【0054】
(12)制御部52aは、第2台車46を載せたスタッカークレーン47を、搬送先の保管部21の行に移動させる(ステップS191)。
(13)制御部52aは、スタッカークレーン47の載置部47cを第2の段の高さまで下降させる(ステップS192)。
(14)制御部52aは、荷12を載せた第2台車46を、出入口部22bから搬送先の保管部21に移動させる(ステップS193)。
(15)制御部52aは、支持部46cを下降させて荷12を収容部31に降ろさせる(ステップS194)。荷12を降ろすことでこの処理S180は終了する。
荷12を降ろした第2台車46は、例えばその位置で待機するようにしてもよい。
上述の処理S180はあくまでも一例であり、他のステップを追加したり、一部のステップを変更または削除したり、ステップの順序を入れ替えてもよい。
【0055】
第1変形例に係る自動倉庫システム90によれば、スタッカークレーン47や第2台車46が移動している間も、フォークリフト50は、別の荷12を別の収容部31に続けて搬入し、または別の荷12を別の収容部31から続けて搬出することができる。
自動倉庫システム90は、スタッカークレーン47を備えることにより、収容棚部30の任意の段の収容部31と、保管棚部20の別の段の保管部21との間で荷12を搬送することができる。
【0056】
(第2変形例)
実施の形態の自動倉庫システム10の説明では、中間搬送装置40は、荷を載せた状態の第2台車を第1台車の載置部に進入・退出させることで、第1台車から荷12を出し入れする例について説明したが、これに限定されない。第1台車やスタッカークレーンなどの荷を行方向に移動させる行方向移動機構が可動アームなど公知の移載機構を備え、この移載機構により、この行方向移動機構から荷を出し入れするようにしてもよい。
【0057】
(第3変形例)
実施の形態の自動倉庫システム10の説明では、パレット92に載せられた荷12を搬送する例について説明したがこれに限定されない。パレット92を使用することは必須ではなく、荷12を単独の状態で搬送および収容をするようにしてもよい。
【0058】
(第4変形例)
実施の形態の自動倉庫システム10の説明では、フォークリフト50を用いて収容棚部の荷を出し入れする例について説明したがこれに限定されない。例えば、クレーンを備えた移載装置など、別の種類の移載装置によって収容棚部の荷を出し入れするようにしてもよい。
【0059】
(第5変形例)
実施の形態の自動倉庫システム10の説明では、第1台車45は行方向にのみ移動して、上下方向には移動しない例について説明したがこれに限定されない。例えば、第1台車45を上下方向へ昇降させる昇降装置を設けて、第1台車45を各段間で移動させるようにしてもよい。
【0060】
(第6変形例)
実施の形態の自動倉庫システム10の説明では、第2台車46が搭載されたバッテリーの電力によって駆動される例について説明したがこれに限定されない。例えば、棚側に設けられた給電線などの給電機構から第2台車46へ給電するようにしてもよい。この場合、第2台車46は、給電された電力により駆動されるから、バッテリーを搭載しても搭載しなくてもよい。
【0061】
(第7変形例)
実施の形態の自動倉庫システム10の説明では、第2台車46が各段の各行に設けられる例について説明したがこれに限定されない。第2台車46が各段の各行に設けられることは必須ではなく、必ずしも各段に設けられなくてもよい。
【0062】
(第8変形例)
実施の形態の自動倉庫システム10の説明では、収容棚部30の段数と保管棚部20の段数とが一致している例について説明したがこれに限定されない。収容棚部30の段数と保管棚部20の段数とが一致していることは必須ではない。例えば、第1台車45を上下方向へ昇降させる昇降装置を設けることで、収容棚部30を保管棚部20の段数と異なる段数にて構成することができる。
【0063】
(第9変形例)
実施の形態の自動倉庫システム10の説明では、第2台車46が車輪などの走行機構を備えて、自走可能に構成される例について説明したがこれに限定されない。例えば、棚側にベルトやチェーンなどによる搬送機構を備え、第2台車は、この搬送機構によって列方向に搬送されてもよい。この場合、第2台車は走行機構を備えても備えなくてもよい。
【0064】
これらの各変形例は、実施の形態の自動倉庫システム10と同様の構成を具備することで、上述した自動倉庫システム10と同様の作用効果を奏する。
【0065】
説明に使用した図面では、部材の関係を明瞭にするために一部の部材の断面にハッチングを施しているが、当該ハッチングはこれらの部材の素材や材質を制限するものではない。
【符号の説明】
【0066】
10・・自動倉庫システム、 12・・荷、 20・・保管棚部、 21・・保管部、 30・・収容棚部、 31・・収容部、 40・・中間搬送装置、 41・・第1軌条、 42・・第2軌条、 43・・第3軌条、 44・・軌条、 45・・第1台車、 45c・・載置部、 46・・第2台車、 47・・スタッカークレーン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16