特許第6987830号(P6987830)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987830
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】監視システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20211220BHJP
   B66B 5/02 20060101ALI20211220BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   B66B5/00 G
   B66B5/02 C
   B66B3/00 R
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-229672(P2019-229672)
(22)【出願日】2019年12月19日
(65)【公開番号】特開2021-98556(P2021-98556A)
(43)【公開日】2021年7月1日
【審査請求日】2019年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 康弘
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−290831(JP,A)
【文献】 特開2019−167178(JP,A)
【文献】 特開2008−184274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
B66B 5/02
B66B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの運行制御を行う制御盤と、前記エレベータのうち保守契約を結んだ前記エレベータの前記制御盤と遠隔通信を行う遠隔監視装置と、前記制御盤と通信可能でありかつ前記エレベータのロープ近傍に設置されるロープ診断装置と、を備える監視システムであって、
前記制御盤は、
前記遠隔監視装置との遠隔通信が確立されている場合に、遠隔通信信号を、前記ロープ診断装置に送信し、かつ、前記ロープ診断装置からの要求に応じて、前記ロープの異常の検出に用いるロープ診断プログラムを、前記ロープ診断装置に送信する通信部、
を備え、
前記ロープ診断装置は、
前記ロープ診断プログラムを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶される前記ロープ診断プログラムを実行する診断実行部と、
前記制御盤から受信する前記遠隔通信信号に基づいて、前記エレベータの保守契約の有無を判断する遠隔通信判断部と、
前記エレベータの保守契約が有ると判断した場合、前記記憶部に前記ロープ診断プログラムが記憶されているか否かを判断し、前記記憶部に前記ロープ診断プログラムが記憶されていない場合、前記制御盤から受信する前記ロープ診断プログラムを、前記記憶部に書き込む書込部と、
前記エレベータの保守契約が無いと判断した場合、前記記憶部から、前記ロープ診断プログラムを削除する削除部と、
前記ロープ診断装置がその設置個所から取り外されたことを検出する接続検出部と、
を備え
前記削除部は、さらに、前記ロープ診断装置がその設置個所から取り外されたことが検出された場合、前記記憶部から、前記ロープ診断プログラムを削除する監視システム。
【請求項2】
前記制御盤は、
表示部と、
前記エレベータの保守契約が無いと判断された場合、前記エレベータの点検が不適正である旨を示す第1表示信号を、前記表示部に表示する表示制御部と、
を備える請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記制御盤は、
表示部と、
前記ロープ診断装置がその設置個所から取り外されたことが検出された場合、前記ロープ診断装置がその設置個所から取り外されたことを示す第2表示信号を、前記表示部に表示する表示制御部と、
を備える請求項に記載の監視システム。
【請求項4】
前記制御盤は、
前記エレベータの稼働回数を記憶する稼働数記憶部と、
前記接続検出部によって、前記ロープ診断装置がその設置個所から取り外されたことが検出された場合、前記稼働数記憶部に記憶される前記稼働回数と、予め設定される稼働可能回数と、に基づいて、前記エレベータが稼働可能な残りの稼働回数を算出する算出部と、
前記算出部により算出される前記残りの稼働回数を示す第3表示信号を、前記表示部に表示する表示制御部と、
をさらに備える請求項に記載の監視システム。
【請求項5】
エレベータの運行制御を行う制御盤と、前記エレベータのうち保守契約を結んだ前記エレベータの前記制御盤と遠隔通信を行う遠隔監視装置と、前記制御盤と通信可能でありかつ前記エレベータのロープ近傍に設置されるロープ診断装置と、を備える監視システムであって、
前記制御盤は、
前記遠隔監視装置との遠隔通信が確立されている場合に、遠隔通信信号を、前記ロープ診断装置に送信し、かつ、前記ロープ診断装置からの要求に応じて、前記ロープの異常の検出に用いるロープ診断プログラムを、前記ロープ診断装置に送信する通信部と、
表示部と、
前記エレベータの保守契約が無いと判断された場合、前記エレベータの点検が不適正である旨を示す第1表示信号を、前記表示部に表示する表示制御部と、
を備え、
前記ロープ診断装置は、
前記ロープ診断プログラムを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶される前記ロープ診断プログラムを実行する診断実行部と、
前記制御盤から受信する前記遠隔通信信号に基づいて、前記エレベータの保守契約の有無を判断する遠隔通信判断部と、
前記エレベータの保守契約が有ると判断した場合、前記記憶部に前記ロープ診断プログラムが記憶されているか否かを判断し、前記記憶部に前記ロープ診断プログラムが記憶されていない場合、前記制御盤から受信する前記ロープ診断プログラムを、前記記憶部に書き込む書込部と、
前記エレベータの保守契約が無いと判断した場合、前記記憶部から、前記ロープ診断プログラムを削除する削除部と、
を備える監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータのロープに樹脂被覆ロープを採用する場合、当該樹脂被覆ロープの破断等の異常を目視で確認することが困難であるため、樹脂被覆ロープの伸び等に基づいて、樹脂被覆ロープの異常を検出する技術が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−153004号公報
【特許文献2】特開2013−155023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、樹脂被覆ロープ等の異常の検出は、保守契約を結んだエレベータの樹脂被覆ロープ近傍に設置されるロープ診断装置によって行われるが、保守契約が切れた後も、正規のロープ診断装置を用いていれば、当該ロープ診断装置をそのまま使用できてしまうため、適切な点検が行われていない状態でエレベータが稼働し続ける可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の監視システムは、エレベータの運行制御を行う制御盤と、エレベータのうち保守契約を結んだエレベータの制御盤と遠隔通信を行う遠隔監視装置と、制御盤と通信可能でありかつエレベータのロープ近傍に設置されるロープ診断装置と、を備える監視システムである。制御盤は、遠隔監視装置との遠隔通信が確立されている場合に、遠隔通信信号を、ロープ診断装置に送信し、かつ、ロープ診断装置からの要求に応じて、ロープの異常の検出に用いるロープ診断プログラムを、ロープ診断装置に送信する通信部を備える。ロープ診断装置は、記憶部と、診断実行部と、遠隔通信判断部と、書込部と、削除部と、接続検出部と、を備える。記憶部は、ロープ診断プログラムを記憶する。診断実行部は、記憶部に記憶されるロープ診断プログラムを実行する。遠隔通信判断部は、制御盤から受信する遠隔通信信号に基づいて、エレベータの保守契約の有無を判断する。書込部は、エレベータの保守契約が有ると判断した場合、記憶部にロープ診断プログラムが記憶されているか否かを判断し、記憶部にロープ診断プログラムが記憶されていない場合、制御盤から受信するロープ診断プログラムを、記憶部に書き込む。削除部は、エレベータの保守契約が無いと判断した場合、記憶部から、ロープ診断プログラムを削除する。接続検出部は、ロープ診断装置がその設置個所から取り外されたことを検出する。さらに、削除部は、ロープ診断装置がその設置個所から取り外されたことが検出された場合、記憶部から、ロープ診断プログラムを削除する。

【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1の実施形態にかかる監視システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、第1の実施形態にかかる監視システムが有するロープ診断装置によるロープ診断プログラムの削除処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図3図3は、第2の実施形態にかかる監視システムの構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、第3の実施形態にかかる監視システムの構成の一例を示すブロック図である。
図5図5は、第3の実施形態にかかる監視システムが有する制御盤による第3表示信号の表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付の図面を用いて、本実施形態にかかる監視システムの一例について説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかる監視システムの構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態にかかる監視システムは、遠隔監視センター1と、制御盤2と、ロープ診断装置3と、を有する。
【0009】
遠隔監視センター1は、遠隔監視装置101を備える。当該遠隔監視装置101は、主策に樹脂被覆ロープが使用されているエレベータのうち、保守契約を結んだエレベータの制御盤2と遠隔通信を行って必要なデータの送受信を行うことによって、当該エレベータの保守状態を監視する装置である。
【0010】
制御盤2は、エレベータの運行制御を行う装置である。
【0011】
本実施形態では、制御盤2は、遠隔通信送受信部201を有する。
【0012】
遠隔通信送受信部201は、遠隔監視センター1が備える遠隔監視装置101と遠隔通信を行う通信部の一例である。また、遠隔通信送受信部201は、制御盤2内において、遠隔監視装置101との遠隔通信が確立している場合に、遠隔通信確立信号を、ロープ診断装置3に送信する。ここで、遠隔通信確立信号は、遠隔監視装置101との遠隔通信が確立されていることを示す信号である。一方、遠隔通信送受信部201は、制御盤2内において、遠隔監視センター1が備える遠隔監視装置101との遠隔通信が確立していない場合、遠隔通信確立信号を、ロープ診断装置3に送信しない。
【0013】
また、遠隔通信送受信部201は、ロープ診断装置3から要求に応じて、ロープ診断プログラムを、ロープ診断装置3に送信する。ここで、ロープ診断プログラムは、エレベータの樹脂被覆ロープ(ロープの一例)の診断処理(例えば、樹脂被覆ロープの破断等の異常の検出)を示すコンピュータプログラムである。
【0014】
本実施形態では、遠隔通信送受信部201は、ロープ診断装置3から、要求信号を受信した場合、ロープ診断プログラムを、ロープ診断装置3に送信する。ここで、要求信号は、ロープ診断プログラムの送信を要求する信号である。
【0015】
ロープ診断装置3は、制御盤2と通信可能でありかつエレベータの樹脂被覆ロープの近傍に設置される。そして、ロープ診断装置3は、エレベータで使用される樹脂被覆ロープの診断処理を実行する。
【0016】
本実施形態では、ロープ診断装置3は、診断実行部301、遠隔通信判断部302、プログラム削除部303、プログラム確認部304、プログラム書込部305、接続信号送信部306、およびロープ診断プログラム記憶部307を有する。
【0017】
ロープ診断プログラム記憶部307は、ロープ診断プログラム等の各種プログラムや各種情報を記憶可能な記憶部の一例である。
【0018】
診断実行部301は、ロープ診断装置3内に診断指令が入力された場合に、ロープ診断プログラム記憶部307に記憶されるロープ診断プログラムを実行して、エレベータの樹脂被覆ロープの診断処理を実行する。
【0019】
遠隔通信判断部302は、制御盤2の遠隔通信送受信部201から受信する遠隔通信確立信号に基づいて、エレベータの保守契約の有無を判断する。
【0020】
具体的には、遠隔通信判断部302は、制御盤2の遠隔通信送受信部201から遠隔通信確立信号を受信した場合、エレベータの保守契約が有ると判断する。そして、エレベータの保守契約が有ると判断した場合、遠隔通信判断部302は、契約済信号を、プログラム確認部304に出力する。ここで、契約済信号は、エレベータの保守契約が有ることを示す信号である。
【0021】
一方、遠隔通信判断部302は、遠隔通信送受信部201から遠隔通信確立信号を受信していない場合、エレベータの保守契約が無いと判断する。そして、遠隔通信判断部302は、未契約信号を、プログラム削除部303に出力する。ここで、未契約信号は、エレベータの保守契約が無いことを示す信号である。
【0022】
プログラム削除部303は、遠隔通信判断部302から未契約信号が入力された場合、ロープ診断プログラム記憶部307から、ロープ診断プログラムを削除する削除部の一例として機能する。
【0023】
これにより、エレベータの保守契約が切れた後に、ロープ診断装置3がそのまま使用されることを防止できるので、適切な点検が行われない状態でエレベータが稼働し続ける可能性を低減できる。
【0024】
また、プログラム削除部303は、後述する接続信号送信部306から取外信号が入力された場合も、ロープ診断プログラム記憶部307から、ロープ診断プログラムを削除する。ここで、取外信号は、ロープ診断装置103が、その設置個所から取り外されたことを示す信号である。
【0025】
これにより、エレベータの保守契約が切れた状態で、正規のロープ診断装置3がその設置個所から取り外され、当該ロープ診断装置3に記憶されるプログラム等が解析される可能性を低減できる。その結果、樹脂被覆ロープの異常の検出に関するノウハウが流出する可能性を低減できる。
【0026】
プログラム確認部304は、遠隔通信判断部302から契約済信号が入力された場合(すなわち、エレベータの保守契約が有ると判断された場合)、ロープ診断プログラム記憶部307に、ロープ診断プログラムが格納されているか否かを判断する。
【0027】
また、プログラム確認部304は、ロープ診断プログラム記憶部307にロープ診断プログラムが格納されていないと判断した場合、制御盤2の遠隔通信送受信部201に対して要求信号を送信する。
【0028】
プログラム書込部305は、制御盤2の遠隔通信送受信部201から、ロープ診断プログラムを受信する。そして、プログラム書込部305は、受信したロープ診断プログラムを、ロープ診断プログラム記憶部307に書き込む。よって、本実施形態では、プログラム確認部304およびプログラム書込部305が、書込部の一例として機能する。
【0029】
接続信号送信部306は、ロープ診断装置3自身が、当該ロープ診断装置3の設置個所(例えば、エレベータが有する樹脂被覆ロープの近傍)から取り外されたことを検出する接続検出部の一例として機能する。本実施形態では、接続信号送信部306は、ロープ診断装置3がその設置個所から取り外された場合に、取外信号を、プログラム削除部303に出力する。
【0030】
これにより、エレベータの保守契約が有る状態のまま、ロープ診断装置3が、その設置個所から取り外された場合に、ロープ診断装置3からロープ診断プログラムが解析されて、樹脂被覆ロープの異常の検出に関わるノウハウが流出することを防止できる。
【0031】
図2は、第1の実施形態にかかる監視システムが有するロープ診断装置によるロープ診断プログラムの削除処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0032】
次に、図2を用いて、本実施形態にかかるロープ診断装置103によるロープ診断プログラムの削除処理の流れの一例について説明する。
【0033】
まず、遠隔通信判断部302は、制御盤2の遠隔通信送受信部201から遠隔通信確立信号を受信したか否かを判断する(ステップS210)。
【0034】
制御盤2の遠隔通信送受信部201から遠隔通信確立信号を受信していないと判断した場合(ステップS210:No)、遠隔通信判断部302は、未契約信号を、プログラム削除部303に出力する(ステップS211)。
【0035】
プログラム削除部303は、遠隔通信判断部302から未契約信号が入力されると、ロープ診断プログラム記憶部307から、ロープ診断プログラムを削除する(ステップS212)。
【0036】
一方、制御盤2の遠隔通信送受信部201から遠隔通信確立信号を受信していると判断した場合(ステップS210:Yes)、遠隔通信判断部302は、契約済信号を、プログラム確認部304に出力する(ステップS213)。
【0037】
プログラム確認部304は、契約済信号が入力されると、ロープ診断プログラム記憶部307に、ロープ診断プログラムが格納されているか否かを判断する(ステップS214)。
【0038】
そして、ロープ診断プログラム記憶部307にロープ診断プログラムが格納されている場合(ステップS214:Yes)、ロープ診断装置3は、ロープ診断プログラムの削除処理を終了する。
【0039】
一方、ロープ診断プログラム記憶部307にロープ診断プログラムが格納されていない場合(ステップS214:No)、プログラム確認部304は、制御盤2の遠隔通信送受信部201に対して、要求信号を送信する(ステップS215)。
【0040】
プログラム書込部305は、制御盤2の遠隔通信送受信部201に対して要求信号が送信された後、当該遠隔通信送受信部201から、ロープ診断プログラムを受信する(ステップS216)。そして、プログラム書込部305は、受信したロープ診断プログラムを、ロープ診断プログラム記憶部307に書き込む(ステップS217)。
【0041】
このように、第1の実施形態にかかる監視システムによれば、エレベータの保守契約が切れた後に、ロープ診断装置3がそのまま使用されることを防止できるので、適切な点検が行われない状態でエレベータが稼働し続ける可能性を低減できる。
【0042】
(第2の実施形態)
本実施形態は、エレベータの保守契約が無いと判断された場合、制御盤において、エレベータの点検が不適正である旨を示す情報を表示する例である。以下の説明では、第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0043】
図3は、第2の実施形態にかかる監視システムの構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態にかかる監視システムは、遠隔監視センター1と、制御盤320と、ロープ診断装置3と、を有する。
【0044】
本実施形態では、制御盤320は、図3に示すように、遠隔通信送受信部201に加えて、第1表示信号作成部321、第2表示信号作成部322、および表示器323を有する。
【0045】
表示器323は、エレベータの保守契約の状態等の各種情報を表示可能な表示部の一例である。
【0046】
第1表示信号作成部321は、ロープ診断装置3の遠隔通信判断部302によって、エレベータの保守契約が無いと判断された場合に、エレベータの点検が不適正である旨を示す表示信号(以下、第1表示信号と言う)を、表示器323に表示する表示制御部の一例として機能する。本実施形態では、第1表示信号作成部321は、遠隔通信判断部302から未契約信号が出力された場合に、第1表示信号を表示器323に表示する。
【0047】
これにより、エレベータの保守契約が切れた後に、ロープ診断装置3がそのまま使用される可能性を低減できるので、適切な点検が行われない状態でエレベータが稼働し続ける可能性をより低減できる。
【0048】
第2表示信号作成部322は、接続信号送信部306によって、ロープ診断装置3がその設置個所から取り外されたことが検出された場合に、ロープ診断装置3がその設置個所から取り外されたことを示す表示信号(以下、第2表示信号と言う)を、表示器323に表示する表示制御部の一例として機能する。本実施形態では、第2表示信号作成部322は、接続信号送信部306から取外信号が出力された場合に、第2表示信号を表示器323に表示する。
【0049】
これにより、ロープ診断装置3がその設置個所から取り外されたことを、エレベータの管理者等に通知することができるので、ロープ診断装置3の盗難等の対する防犯性を向上させることができる。
【0050】
このように、第2の実施形態にかかる監視システムによれば、エレベータの保守契約が切れた後に、ロープ診断装置3がそのまま使用される可能性を低減できるので、適切な点検が行われない状態でエレベータが稼働し続ける可能性をより低減できる。
【0051】
(第3の実施形態)
本実施形態は、ロープ診断装置がその設置個所から取り外されたことが検出された場合に、エレベータが稼働可能な残りの稼働回数を示す表示信号を、表示器に表示する例である。以下の説明では、第2の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0052】
図4は、第3の実施形態にかかる監視システムの構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、本実施形態にかかる監視システムは、遠隔監視センター1と、制御盤400と、ロープ診断装置3と、を有する。
【0053】
本実施形態では、制御盤400は、図4に示すように、遠隔通信送受信部201、第1表示信号作成部321、第2表示信号作成部322、および表示器323に加えて、稼働数記憶部401、残り稼働数算出部402、および第3表示信号作成部403を有する。
【0054】
稼働数記憶部401は、エレベータの稼働回数を記憶する記憶部の一例である。稼働数記憶部401に記憶される稼働回数は、エレベータが稼働する度に、インクリメントされる。
【0055】
残り稼働数算出部402は、接続信号送信部306によって、ロープ診断装置3がその設置個所から取り外されたことが検出された場合、稼働数記憶部401に記憶される稼働回数と、所定の稼働可能回数と、に基づいて、残り稼働数を算出する。
【0056】
ここで、残り稼働数は、エレベータが稼働可能な残りの稼働回数である。また、所定の稼働可能回数は、予め設定される稼働回数である。例えば、所定の稼働可能回数は、エレベータの仕様により設定される、エレベータが稼働可能な回数の上限である。
【0057】
本実施形態では、残り稼働数算出部402は、接続信号送信部306から取外信号が出力された場合に、残り稼働数を算出する。具体的には、残り稼働数算出部402は、所定の稼働可能回数から、稼働数記憶部401に記憶される稼働回数を減算した回数を、残り稼働数として算出する。
【0058】
第3表示信号作成部403は、残り稼働数算出部402により算出される残り稼働数を示す表示信号(以下、第3表示信号と言う)を、表示器323に表示する表示制御部の一例として機能する。これにより、ロープ診断装置3がその設置個所から取り外されて、盗難されたとしても、制御盤400において、エレベータの残り稼働数を確認することができる。その結果、樹脂被覆ロープの異常が発生するリスクを低減することができる。
【0059】
図5は、第3の実施形態にかかる監視システムが有する制御盤による第3表示信号の表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0060】
次に、図5を用いて、本実施形態にかかる制御盤400による第3表示信号の表示処理の流れの一例について説明する。
【0061】
残り稼働数算出部402は、接続信号送信部306から取外信号が出力されたか否かを判断する(ステップS501)。
【0062】
接続信号送信部306から取外信号が出力されたと判断した場合(ステップS501:Yes)、残り稼働数算出部402は、稼働数記憶部401から、稼働回数を読み出す(ステップS502)。
【0063】
次いで、残り稼働数算出部402は、所定の稼働可能回数と、稼働数記憶部401から読み出した稼働回数と、に基づいて、残り稼働数を算出する(ステップS503)。そして、残り稼働数算出部402は、残り稼働数の算出結果を、第3表示信号作成部403に出力する(ステップS504)。
【0064】
そして、第3表示信号作成部403は、残り稼働数算出部402により算出される残り稼働数を示す第3表示信号を、表示器323に表示する(ステップS505)。
【0065】
このように、第3の実施形態にかかる監視システムによれば、ロープ診断装置3がその設置個所から取り外されて、盗難されたとしても、制御盤400において、エレベータの残り稼働数を確認することができる。その結果、樹脂被覆ロープの異常が発生するリスクを低減することができる。
【0066】
以上説明したとおり、第1から第3の実施形態によれば、適切な点検が行われない状態でエレベータが稼働し続ける可能性を低減できる。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1 遠隔監視センター、2,320,400 制御盤、3 ロープ診断装置、101 遠隔監視装置、201 遠隔通信送受信部(通信部)、301 診断実行部、302 遠隔通信判断部、303 プログラム削除部(削除部)、304 プログラム確認部(書込部)、305 プログラム書込部(書込部)、306 接続信号送信部(接続検出部)、307 ロープ診断プログラム記憶部(記憶部)、321 第1表示信号作成部(表示制御部)、322 第2表示信号作成部(表示制御部)、323 表示器(表示部)、401 稼働数記憶部、402 残り稼働数算出部(算出部)、403 第3表示信号作成部(表示制御部)。
図1
図2
図3
図4
図5