特許第6987836号(P6987836)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987836
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】医療装置と可塑化ナイロン材料
(51)【国際特許分類】
   A61L 29/06 20060101AFI20211220BHJP
   C08L 77/00 20060101ALI20211220BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20211220BHJP
   A61L 29/14 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   A61L29/06
   C08L77/00
   A61M25/10
   A61L29/14 100
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-500299(P2019-500299)
(86)(22)【出願日】2017年7月6日
(65)【公表番号】特表2019-528094(P2019-528094A)
(43)【公表日】2019年10月10日
(86)【国際出願番号】US2017040926
(87)【国際公開番号】WO2018009684
(87)【国際公開日】20180111
【審査請求日】2020年7月6日
(31)【優先権主張番号】62/359,323
(32)【優先日】2016年7月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502129357
【氏名又は名称】メドトロニック ヴァスキュラー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】チェン ミンフェイ
【審査官】 今村 明子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−078368(JP,A)
【文献】 特開平01−266163(JP,A)
【文献】 特表2003−528962(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第105440663(CN,A)
【文献】 国際公開第2014/160416(WO,A2)
【文献】 特開平02−208359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 15/00−33/18
A61M 25/00
C08L 77/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可塑化ナイロンを含むバルーンであって、前記可塑化ナイロンは、ナイロン、及び、可塑剤を含み、前記可塑剤は、下記の構造を有する可塑剤を含み、
【化1】
式中、Rは、C2〜C16炭化水素であり、前記可塑剤は、前記可塑化ナイロンの総重量に基づいて、1wt−%よりも多い量で存在する、バルーン(但し、前記バルーンは、以下の構造式:




[式中、各R1、R3、R5、R7、R9及びR11は、独立して、C2〜C18直鎖、分岐、又は環状の一価の脂肪族基、C5〜C12の一価の芳香族基、及びそれらの組み合わせから選択され、
各R2、R4、R6、R8、及びR10は、独立して、C2〜C18直鎖、分岐、又は環状の二価の脂肪族基、C5〜C12の二価の芳香族基、及びそれらの組み合わせから選択される]
を有する化合物及びそれらの組み合わせから選択されるアミド含有可塑剤を含まない)
【請求項2】
前記可塑剤は、
【化2】
を含む、請求項1に記載のバルーン
【請求項3】
前記ナイロンは、ポリエーテルで共重合化したナイロンを含む、請求項1に記載のバルーン
【請求項4】
前記ナイロンは、ナイロン−6、ナイロン−7、ナイロン−8、ナイロン−9、ナイロン−10、ナイロン−11、ナイロン−12、ナイロン−13、ナイロン−14、ナイロン−15、ナイロン−16、ナイロン−17、ナイロン−18、ナイロン−6、6、ナイロン−6、8、ナイロン−6、10、ナイロン−6、12、ナイロン−6、14、ナイロン−8、8、ナイロン−8、10、ナイロン−8、12、ナイロン−8、14、ナイロン−10、10、ナイロン−10、12、ナイロン−8、12、ナイロン−10、14、ナイロン−12、12、ナイロン−12、14、ナイロン−14、16、及び、これらの組み合わせから選択される、請求項1に記載のバルーン
【請求項5】
前記ナイロンは、ポリエーテル−コ−ナイロン−12のブロック共重合体を含む、請求項1に記載のバルーン
【請求項6】
前記可塑剤は、前記可塑化ナイロンの総重量に基づいて、最大10wt−%の量で存在する、請求項1に記載のバルーン
【請求項7】
前記可塑剤は、前記ナイロンの曲げ弾性率を少なくとも10%まで低下させるのに十分な量で存在する、請求項1に記載のバルーン
【請求項8】
前記バルーンは、膨張バルーンである、請求項に記載のバルーン
【請求項9】
前記バルーンは、カテーテル、又は、医用チュービングである、請求項1に記載のバルーン
【請求項10】
前記可塑化ナイロンは、フィルム状である、請求項1に記載のバルーン
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
医療装置の多く、とりわけ、血管形成術で使用されるバルーンやカテーテルは、種々のナイロン等のポリアミドから製造される。このような高分子は、一部のデリバリシステムや処理では、比較的硬質であることが多い。
【0002】
バルーン膨張が実施される特殊な条件には、主として、収縮時、狭く曲がりくねった導管を通じて操作するのに十分柔軟性があり、かつ、追跡可能な極めて薄肉の高強度バルーンが、必要とされる。高強度高分子から製造したバルーンは、高い破裂強度を示すものの、柔軟性や追跡可能性が、望まれるものほどではない。可塑剤を材料に添加すると、バルーンの柔らかさや柔軟性が増加する。しかし、可塑剤を使用すると、生体適合性材料としてのバルーンの応用が狭められることがある。ステント送達で使用できるだけでなく、高い柔軟性や追跡可能性を示す高い破裂強度を示すバルーンが、望まれる。それ故、バルーンの特性を調整し、かつ、医療用途向けの高強度で、柔軟性の高いバルーンを製造するための新しいバルーン材料が、必要とされる。
【発明の概要】
【0003】
一態様において、本開示は、可塑化ナイロンを含む医療装置について、述べる。別の態様では、本開示は可塑化ナイロンについて述べる。可塑化ナイロンは、ナイロン、及び、可塑剤を含む。更なる態様では、本開示は、ナイロンの可塑化法について述べ、この方法は、ナイロンに可塑剤を配合することを含む。
【0004】
幾つかの実施例において、可塑剤は、下記の構造を有する可塑剤を含む。
【0005】
【化1】
式中、Rは、C2〜C16炭化水素である。
【0006】
幾つかの実施例において、可塑剤は、以下を含む。
【0007】
【化2】
【0008】
幾つかの実施例において、可塑剤は、IRGANOX 1098を含む。
【0009】
幾つかの実施例において、ナイロンは、ポリエーテルで共重合化したナイロンを含む。幾つかの実施例において、ナイロンは、ナイロン−6、ナイロン−7、ナイロン−8、ナイロン−9、ナイロン−10、ナイロン−11、ナイロン−12、ナイロン−13、ナイロン−14、ナイロン−15、ナイロン−16、ナイロン−17、ナイロン−18、ナイロン−6、6、ナイロン−6、8、ナイロン−6、10、ナイロン−6、12、ナイロン−6、14、ナイロン−8、8、ナイロン−8、10、ナイロン−8、12、ナイロン−8、14、ナイロン−10、10、ナイロン−10、12、ナイロン−8、12、ナイロン−10、14、ナイロン−12、12、ナイロン−12、14、ナイロン−14、16、及び、これらの組み合わせから、選択される。幾つかの実施例において、ナイロンは、ポリエーテル−コ−ナイロン−12のブロック共重合体を含む。
【0010】
幾つかの実施例において、可塑剤は、可塑化ナイロンの総重量に基づいて、1重量パーセント(wt−%)よりも多い量で存在する。幾つかの実施例において、可塑剤は、可塑化ナイロンの総重量に基づいて、最大10wt−%である。幾つかの実施例において、可塑剤は、ナイロンの曲げ弾性率を少なくとも10パーセント(%)まで低下させるのに十分な量で存在する。
【0011】
幾つかの実施例において、医療装置は、例えば、膨張バルーンを含むバルーンを、備える。幾つかの実施例において、医療装置は、カテーテルや医用チュービングを含む。
【0012】
幾つかの実施例において、可塑化ナイロンは、フィルム状である。
【0013】
本明細書では、「可塑剤」という語句は、高分子の引張係数、及び/又は、曲げ弾性率を低減可能とする材料を意味するものとして使用される。可塑剤は、高分子の形態に影響を及ぼす場合がある、且つ/又は、融点、及び/又は、ガラス転移温度に影響を及ぼし得る(例えば、低下させる)。
【0014】
本明細書では、「ナイロン」という語句は、主鎖に少なくとも1つのアミド結合を有する直鎖重合体を意味するために使用される。かくして、本明細書で使用する場合、「ナイロン」は、ナイロン以外の高分子(例えば、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリシロキサンなど)と、必要に応じて、共重合化された種々の種類のナイロンのホモポリマ、あるいは、共重合体を称する。これは、ナイロンを含むジブロック、トリブロック、セグメント化ブロック共重合体を含む。
【0015】
本明細書では、「添加剤」という語句は、高分子の(例えば、バルーンの)特性に作用するために高分子に添加される任意の材料を称するために、使用される。
【0016】
「好ましい」や「望ましくは」という語句は、特定状況下で一定の有益性をもたらし得る本発明の実施例を、称する。しかし、同じ状況や他の状況下で、他の実施例も、望ましくなくなる場合もある。また、1つ以上の好ましい実施例の引用は、他の実施例が有用ではなく、他の実施例を本発明の範囲から除外することを示唆するものではない。
【0017】
「含む(comprise)」という語句、及び、その変形形態は、こうした語句が本明細書及び特許請求の範囲に現れる場合、限定する意味を有さない。そのような用語は、記載のステップや要素、又は、ステップや要素のグループの包含を意味するが、他の任意のステップや要素、又は、ステップや要素のグループの除外を意味するものではないものと理解する。「からなる(consisting of)」は、含むを意味するが、この「からなる(consisting of)」とい語句の後に続く全てに限定される。かくして、「からなる(consisting of)」という語句は、列挙された要素が、必要とされるものであるか、あるいは、必須であり、他の要素は、一切存在し得ないことを示す。「本質的になる(consisting essentially of)」という語句は、この語句の後で記載される全ての要素を含むことを意味し、記載の要素について、本開示で指定される行為や操作に影響したり、又は、寄与しない他の要素に限定される。かくして、「本質的になる(consisting essentially of)」という語句は、記載の要素が必要とされるか、あるいは、必須であるが、他の要素は任意であり、これらが記載の要素の行為や操作に対して実質的に影響するか否かに応じて、存在したり、あるいは、存在しない場合があることを示す。
【0018】
別途指定されない限り、「1つ(a)」、「1つ(an)」、「その(the)」、及び、「少なくとも1つ(at least one)」は、同じ意味で使用され、1つ、あるいは、複数を意味する。
【0019】
同様に、本明細書では、端点による数値範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数が含まれる(例えば、1〜5は、1,1.5,2,2.75,3,3.80,4,5などを含む)。
【0020】
離散的なステップを含む本明細書で開示の全ての方法について、ステップは、実現可能な任意の順序で実行できる。また、適宜、2つ以上のステップの任意の組み合わせを、同時に行うこともできる。
【0021】
別途指示がない限り、本明細書や特許請求の範囲で使用される成分量、分子量などを表す全ての数字は、如何なる場合においても、「約(about)」という用語で修飾されることを理解するものとする。したがって、逆に指示がない限り、本明細書や特許請求の範囲で記載される数値パラメータは、本発明で得ようとする所望の特性に応じて、変化し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲と同等の原則を限定する意図としてはなく、各数値パラメータは少なくとも、報告された有効数字の数を鑑みて、標準的な丸め技法を使用して、構成する。
【0022】
本発明の広い範囲を示す数値範囲やパラメータは近似値であるものの、特定実施例で記載の数値は、可能な限り正確に報告している。しかし、全ての数値は、それぞれの試験測定値で見られる標準偏差から必然的に生じる範囲を、本質的に含む。
【0023】
指定されない限り、全ての表題は、読者の便宜のためのものであり、表題に続く文章の意味を限定するために使用しないものとする。
【0024】
本発明の上記概要は、本発明の開示の各実施例、あるいは、全ての実施を記述するためのものではない。以下の説明は、例示的実施例を、より具体的に例示する。本出願を通じた幾つかの場面において、一連の例を通じて、ガイドが提供され、その例は、多岐にわたる組み合わせで使用できる。実例ごとに、引用されたリストは、代表的な纏まりとしてのみ機能し、排他的な列挙として解釈すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示の一実施例に係る膨張バルーンカテーテルの概略的側面図を示す。
図2】本開示の別の実施例に係るステント送達カテーテルの概略的側面図を示す。
図3】5重量パーセント(wt−%)のIRGANOX 1098(IRG)と混合された例示的なPEBAX材料と比較した、例示的なPEBAX材料の引張強度(ポンド/平方インチ(psi))のグラフを示す。誤差バーは、95パーセント(%)の信頼区間を示す。
図4】例示的な配合樹脂(例1)の曲げ弾性率(ポンド/平方インチ(psi))を示す。誤差バーは、95%の信頼区間を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
バルーンの高い強度を損なわずに、膨張バルーンの柔軟性と追跡可能性を改善することが、望まれる。理想的なバルーンは、丈夫で、しかも、柔軟である。材料の強度は、高い破裂圧力をもたらし、柔軟性は、より優れた送達性をもたらす。柔軟性と追跡可能性が向上すると、執刀医は、閉塞や血小板密集が高い度合いで起こりやすい半径が極めて小さい血管系を通じて、バルーン、あるいは、バルーンやステントを操作できる。高い強度は、バルーンを膨張させるか、あるいは、バルーンを破裂させることなく、膨張時、ステントを送達するための最大の柔軟性を執刀医に提供する。
【0027】
本開示は、以下の構造を有するナイロンや可塑剤を含む可塑化ナイロンについて、述べる。
【0028】
【化3】
式中、Rは、C2〜C16炭化水素である。このような可塑剤の1つは、IRGANOX 1098である。更に、本開示は、例えば、可塑化ナイロンを有する膨張バルーンを含む医療装置についても、述べる。
【0029】
可塑剤をナイロンを添加して、ナイロン含有バルーンの柔軟性を改善できる。本明細書では、以下の構造を有する抗酸化材料であって、
【0030】
【化4】
式中、Rは、C2〜C16炭化水素である抗酸化材料を、例えば、PEBAX材料、つまり、ポリエーテルやナイロンを含むナイロン用の可塑剤として使用できるという、驚くべき発見を開示している。全般に、可塑剤を添加すると、高分子の引張強度が減少する。一方、以下の構造を有する抗酸化材料であって、
【0031】
【化5】
式中、Rは、C2〜C16炭化水素である抗酸化材料を本明細書で記載の可塑剤として使用すると、引張強度を損なわずに、曲げ弾性率が減少する。例えば、可塑剤として、酸化防止剤IRGANOX 1098を使用すると、その引張強度を維持しつつ、高分子の曲げ弾性率が低下する。
【0032】
IRGANOX 1098の化学構造を以下に示す:
【0033】
【化6】
【0034】
例えば、IRGANOX 1098を含む抗酸化材料は、主として、抗酸化材料として、ポリアミド樹脂に添加され、抗酸化材料として、1%以下の量で使用される。高分子の柔軟性を高めるために加えられる可塑剤とは異なり、抗酸化材料の目的は、処理中、保管中、及び、使用中の分解から、高分子を保護することである。本発明の時点において、以下の構造を有する抗酸化材料であって、
【0035】
【化7】
式中、Rは、C2〜C16炭化水素である抗酸化材料が、一般には、ナイロン、具体的には、PEBAX材料用の可塑剤として使用できることを提案した文献は、ない。同様に、一般には、ナイロン用、具体的には、PEBAX材料用の可塑剤として、IRGANOX 1098を使用することを提案した文献は、ない。
【0036】
幾つかの実施例において、C2〜C16炭化水素は、例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基などを含められる。幾つかの実施例において、C2〜C16炭化水素は、アルキレン基を含む。「アルキレン基」という語句は、例えば、エチレン、イソプロピレン、t−ブチレン、ヘプチレン、ドデシレン、オクタデシレン、アミレン、2ーエチルへキシレンなどを含む飽和直鎖、あるいは、分枝炭化水素基を意味する。「アルケニレン基」という語句は、ビニル基等の1つ以上の炭素間二重結合を有する不飽和直鎖、あるいは、分岐炭化水素基を意味する。「アルキニル基」という語句は、1つ以上の炭素炭素三重結合を有する不飽和直鎖、あるいは、分岐炭化水素基を意味する。
【0037】
幾つかの実施例において、可塑剤は、1重量%(wt−%)超、少なくとも1.5wt−%、少なくとも2wt−%、少なくとも2.5wt−%、少なくとも3wt−%、少なくとも4wt−%、又は、少なくとも5wt−%の量で(可塑化ナイロンの総重量に基づいて)、存在する。幾つかの実施例において、可塑剤は、最大5wt−%,最大7wt−%,最大10wt−%、最大15wt−%、あるいは、最大20wt−%の量で(可塑化ナイロンの総重量に基づいて)、存在する。例えば、可塑剤は、1wt−%超,かつ、最大10wt−%の量で(可塑化ナイロンの総重量に基づいて)、存在し得る。例示的実施例において、可塑剤は、少なくとも2.5wt−%、かつ、最大10wt−%の量で(可塑化ナイロンの総重量を基に)、存在し得る。
【0038】
幾つかの実施例において、可塑剤は、ナイロンの曲げ弾性率を、少なくとも10%、少なくとも12%、少なくとも14%、少なくとも16%、少なくとも18%、少なくとも20%、少なくとも22%、少なくとも24%、少なくとも28%、あるいは、少なくとも30%まで低減するのに十分な量で存在する。
【0039】
ナイロンは、例えば、医療装置での使用に適した全てのナイロンを含む、適切な任意のナイロンを含められる。幾つかの実施例において、ナイロンは、ナイロン−6、ナイロン−7、ナイロン−8、ナイロン−9、ナイロン−10、ナイロン−11、ナイロン−12、ナイロン−13、ナイロン−14、ナイロン−15、ナイロン−16、ナイロン−17、ナイロン−18、ナイロン−6、6、ナイロン−6、8、ナイロン−6、10、ナイロン−6、12、ナイロン−6、14、ナイロン−8、8、ナイロン−8、10、ナイロン−8、12、ナイロン−8、14、ナイロン−10、10、ナイロン−10、12、ナイロン−8、12、ナイロン−10、14、ナイロン−12、12、ナイロン−12、14、ナイロン−14、16、及び、これらの組み合わせからなる群から選択できる。幾つかの実施例において、ナイロンは、ナイロン−6、ナイロン−11、ナイロン−12、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、及び、これらの組み合わせからなる群から選択できる。
【0040】
ナイロンは、例えば、ポリエーテル等の他の高分子と共重合させることができる。必要であれば、ポリエーテル−コ−ナイロン−12等のナイロンのブロック共重合体を、使用しても良い。幾つかの実施例において、ナイロンは、Arkema Inc製の種々のポリエーテル(ポリ(テトラメチレンオキシド))組成を含むPEBAX系高分子の一部を含む。このような例には、PEBAX 7233、PEBAX 7033、PEBAX 6333、PEBAX 4033、PEBAX 3533、PEBAX 2533、PEBAX 5533などがある。本明細書で使用する「ナイロン」の範囲内にある高分子を含むナイロンの他の例には、ポリウレタン−ブロック−ナイロン、ポリエステル−ブロック−ナイロン、ポリシロキサン−ブロック−ナイロンがある。
【0041】
幾つかの実施例において、ナイロンを、ポリエーテルで共重合化した。幾つかの実施例において、ナイロンは、ポリエーテル−コ−ナイロン−12のブロック共重合体を含む。
【0042】
幾つかの実施例において、ナイロンの数平均分子量は、少なくとも5,000ダルトン以上5,000,000ダルトン以下で良い。ナイロンブロック共重合体の場合において、非ナイロンブロックは、数平均分子量が、500ダルトン〜1,000,000ダルトンで良い。
【0043】
別の態様において、本開示は、以下の構造を有する可塑剤でナイロンを可塑化する方法について、述べる。
【0044】
【化8】
式中、Rは、C2〜C16炭化水素である。幾つかの実施例において、可塑剤は、IRGANOX 1098を含む。ナイロンと可塑剤とは、例えば、配合を含む種々の技法を使用して、合成できる。配合は、融合、及び/又は、混合を含むことができる。幾つかの実施例において、配合は、押出機(押出成形機とも称する)等の混合機で実施できる。幾つかの実施例において、配合は、ナイロンの融点よりも高い温度で、且つ/又は、ナイロンのガラス転移温度より高い温度で実施できる。例1で示すように、ナイロン(例えば、PEBAX 7033、PEBAX 6333、あるいは、PEBAX 5533)は、200℃の溶融状態でIRGANOX 1098と混合できる。幾つかの実施例において、ナイロンは、少なくとも170℃、少なくとも180℃、少なくとも190℃、又は、少なくとも200℃で可塑剤と混合できる。幾つかの実施例において、ナイロンは、最大240℃、最大250℃、最大260℃、最大270℃、あるいは、最大280℃で、可塑剤と混合することができる。例えば、幾つかの実施例において、ナイロンは、180℃〜270℃の範囲の温度で、可塑剤と混合できる。例2で示すように、ナイロン(例えば、PEBAX 7033)は、二軸押出機でIRGANOX 1098と配合することができる。
【0045】
可塑化ナイロン(例えば、配合樹脂を含む)の熱的分析及び機械的分析から、可塑剤としてのIRGANOX 1098の有効性が、明らかとなった(例えば、実施例1及び2参照)。例えば、例2で見られるように、IRGANOX 1098が2.5 wt−% 〜10wt−%において、可塑化高分子は、基材(PEBAX 7033)の引張強度を保持したが、曲げ弾性率は、可塑剤の増加と共に減少した。以上の結果から、材料が機械強度を損なわずに、柔軟になることが示され、この特性は、血管形成術用バルーン等の用途で、極めて有望である。機械強度は、高破裂圧力と低プロファイルで有望であり、柔軟性の高さは、送達性で望ましい。
【0046】
本開示の可塑化ナイロンは、1つ以上の添加剤を含められる。添加剤の例には、タングステン、硫酸バリウム、次炭酸ビスマスと無機ナノ粒子、酸化防止剤、着色剤、架橋剤、衝撃強度改質剤、並びに、これらの組み合わせが挙げられる。
【0047】
本開示の可塑化ナイロンは、種々の医療装置やその一部で使用できる。幾つかの実施例において、医療装置は、バルーンを含む。医療装置、及び/又は、バルーンの例には、膨張バルーン、ステント送達バルーン、位置決めバルーン、診断バルーン、オクリュージョンバルーン、多機能バルーン、マルチルーメンバルーン、冷却バルーン、光線療法バルーン、心房細動(AF)バルーンと腎交感神経焼灼術バルーンを含むアブレーションバルーン、伝熱バルーン、内部部材、遠位端、医用チュービング、あるいは、カテーテルがあるが、これらに限定されない。他の医療装置には、構造的心臓装置、整形外科用脊椎装置、例えば、インスリンポンプを含むドラッグデリバリ装置、神経装置、ペースメーカ、埋め込み型心臓除細動器、手術装置、肺装置、血栓除去装置、内視鏡装置等がある。幾つかの実施例において、医療装置の可塑化ナイロンは、フィルム状で存在する。
【0048】
一部の実施例では、可塑化ナイロンは、バルーン、又は、医用チュービングとして使用される。一部の実施例では、可塑化ナイロンは、バルーン、又は、カテーテルとして使用される。
【0049】
一実施例において、本開示は、近位部及び遠位部を有する管状伸長カテーテルシャフトと、当該シャフト上で配置された膨張バルーンを提供し、シャフト、及び/又は、バルーンは、本開示の可塑化ナイロンを含む。
【0050】
本開示の一実施例に係る膨張バルーンカテーテル10(本明細書では、「カテーテル」と称する)が、図1で示されている。図示のとおり、カテーテル10は、近位部14及び遠位部16を有する管状伸長カテーテルシャフト12(本明細書では、「カテーテルシャフト」、あるいは、「シャフト」)とも称する)と、シャフト12の遠位部16上で配置されるか、本来はこれに接続する膨張バルーン18とを有する。バルーン18は、例えば、単層、あるいは、2層の高分子材料を含む壁を備えられる(その一部は、「A」で指定されている)。壁は、必要に応じて、1つ以上の他の添加剤、あるいは、高分子コーティングによって、壁に備えられた治療剤、又は、生物活性材料(例えば、ラパマイシンとその誘導体等の抗増殖剤、パクリタキセルとその誘導体、抗炎症剤、並びに、抗血栓性剤等)を、含められる。
【0051】
本明細書では、バルーンの拡張性について言及するために、膨張が使用される。幾つかの実施例において、本開示のバルーンは、元のバルーンサイズよりも2%〜40%大きく膨張可能である。幾つかの実施例において、バルーンの膨張性は、5%〜20%で良い。
【0052】
図2を参照すると、図1で記載され、かつ、本開示のバルーン18を含む膨張バルーンカテーテル10は、適宜、バルーン18上で配置されたステント24も更に含められる。バルーン18は、高いフープ強度を有し、バルーンの膨張時、バルーンを破裂させたり、穴が開くことなく、拡張したステントの送達を可能とする。必要に応じて、ステント24は、治療薬や生物活性材料を含められる。上記のような治療薬や生物活性材料は全て、ステントで使用できる。具体的な例には、デキサメタゾン等のコルチコステロイド、エベロリムス、シロリムス、タクロリムス等の免疫抑制剤、ゾタロリムス、並びに、パクリタキセル等の化学療法薬があるが、これらに限定されない。治療薬や生物活性材料は、管理された予測可能な時間にわたり、ステントから周囲組織へと溶出可能である。
【0053】
提示されたデータによれば、例えば、IRGANOX 1098を含む本明細書で開示の可塑剤を使用すると、医療用途範囲を超えて、非常に有用となり得、これは、当業者が理解するとおりである。こうした材料の医療以外の用途には、限定されないが、燃料経路、油圧クラッチ用のチューブ、真空ライン、高温で恒久的に晒されるディーゼル燃料経路用のチューブ、金属チューブ用の押出加工コーティング、エアブレーキチューブ、電気ケーブルのシース、空気圧式システム用の可撓性チューブ、電気ワイヤ絶縁、クイックディスコネクタ、等方性シュリンケージ付き高精度成形部品、スポーツウェア等がある。
【実施例】
【0054】
例示的実施例
医療装置実施例
実施例1.医療装置において、可塑化ナイロンを含み、上記可塑化ナイロンは、ナイロン、及び、可塑剤を含み、上記可塑剤は、下記の構造を有する可塑剤を含み、
【0055】
【化9】
式中、Rは、C2〜C16炭化水素である、医療装置。
【0056】
実施例2.上記C2〜C16炭化水素は、アルキレン基、アルケニレン基、及び、アルキニレン基の少なくとも1つを含む、実施例1に記載の医療装置。
【0057】
実施例3.上記C2〜C16炭化水素は、アルキレン基を含む、実施例1〜実施例2のいずれか一実施例に記載の医療装置。
【0058】
実施例4.上記可塑剤は、
【0059】
【化10】
を含む、実施例1に記載の医療装置。
【0060】
実施例5.上記ナイロンは、ポリエーテルで共重合化したナイロンを含む、実施例1〜実施例4のいずれか一実施例に記載の医療装置。
【0061】
実施例6.上記ナイロンは、ナイロン−6、ナイロン−7、ナイロン−8、ナイロン−9、ナイロン−10、ナイロン−11、ナイロン−12、ナイロン−13、ナイロン−14、ナイロン−15、ナイロン−16、ナイロン−17、ナイロン−18、ナイロン−6、6、ナイロン−6、8、ナイロン−6、10、ナイロン−6、12、ナイロン−6、14、ナイロン−8、8、ナイロン−8、10、ナイロン−8、12、ナイロン−8、14、ナイロン−10、10、ナイロン−10、12、ナイロン−8、12、ナイロン−10、14、ナイロン−12、12、ナイロン−12、14、ナイロン−14、16、及び、これらの組み合わせから選択される、実施例1〜実施例5のいずれか一実施例に記載の医療装置。
【0062】
実施例7.上記ナイロンは、ポリエーテル−コ−ナイロン−12のブロック共重合体を含む、実施例1〜実施例6のいずれか一実施例に記載の医療装置。
【0063】
実施例8.上記可塑剤は、上記可塑化ナイロンの総重量に基づいて、1wt−%超、少なくとも1.5wt−%、少なくとも2wt−%、少なくとも2.5wt−%、少なくとも3wt−%、少なくとも4wt−%、又は、少なくとも5wt−%の量で存在する、実施例1〜実施例7のいずれか一実施例に記載の医療装置。
【0064】
実施例9.上記可塑剤は、上記可塑化ナイロンの総重量に基づいて、最大5wt−%,最大7wt−%,最大10wt−%、最大15wt−%、あるいは、最大20wt−%の量で存在する、実施例1〜実施例8のいずれか一実施例に記載の医療装置。
【0065】
実施例10.上記可塑剤は、上記可塑化ナイロンの総重量に基づいて、1wt−%超,かつ、最大10wt−%の量で存在する、実施例1〜実施例9のいずれか一実施例に記載の医療装置。
【0066】
実施例11.上記可塑剤は、上記ナイロンの曲げ弾性率を、少なくとも10%、少なくとも12%、少なくとも14%、少なくとも16%、少なくとも18%、少なくとも20%、少なくとも22%、少なくとも24%、少なくとも28%、あるいは、少なくとも30%まで低減するのに十分な量で存在する、実施例1〜実施例10のいずれか一実施例に記載の医療装置。
【0067】
実施例12.上記医療装置は、バルーンを含む、実施例1〜実施例11のいずれか一実施例に記載の医療装置。
【0068】
実施例13.上記バルーンは、膨張バルーンである、実施例12に記載の医療装置。
【0069】
実施例14.上記医療装置は、カテーテル、又は、医用チュービングを含む、実施例1〜実施例13のいずれか一実施例に記載の医療装置。
【0070】
実施例15.上記可塑化ナイロンは、フィルム状である、実施例1〜実施例14のいずれか一実施例に記載の医療装置。
【0071】
可塑化ナイロンの実施例
実施例1.可塑化ナイロンにおいて、ナイロン、及び、可塑剤を含み、上記可塑剤は、下記の構造を有する可塑剤を含み、
【0072】
【化11】
式中、Rは、C2〜C16炭化水素である、可塑化ナイロン。
【0073】
実施例2.上記C2〜C16炭化水素は、アルキレン基、アルケニレン基、及び、アルキニレン基の少なくとも1つを含む、実施例1に記載の可塑化ナイロン。
【0074】
実施例3.上記C2〜C16炭化水素は、アルキレン基を含む、実施例1〜実施例2のいずれか一実施例に記載の可塑化ナイロン。
【0075】
実施例4.上記可塑剤は、
【0076】
【化12】
を含む、実施例1に記載の可塑化ナイロン。
【0077】
実施例5.上記ナイロンは、ポリエーテルで共重合化したナイロンを含む、実施例1〜実施例4のいずれか一実施例に記載の可塑化ナイロン。
【0078】
実施例6.上記ナイロンは、ナイロン−6、ナイロン−7、ナイロン−8、ナイロン−9、ナイロン−10、ナイロン−11、ナイロン−12、ナイロン−13、ナイロン−14、ナイロン−15、ナイロン−16、ナイロン−17、ナイロン−18、ナイロン−6、6、ナイロン−6、8、ナイロン−6、10、ナイロン−6、12、ナイロン−6、14、ナイロン−8、8、ナイロン−8、10、ナイロン−8、12、ナイロン−8、14、ナイロン−10、10、ナイロン−10、12、ナイロン−8、12、ナイロン−10、14、ナイロン−12、12、ナイロン−12、14、ナイロン−14、16、及び、これらの組み合わせから選択される、実施例1〜実施例5のいずれか一実施例に記載の可塑化ナイロン。
【0079】
実施例7.上記ナイロンは、ポリエーテル−コ−ナイロン−12のブロック共重合体を含む、実施例1〜実施例6のいずれか一実施例に記載の可塑化ナイロン。
【0080】
実施例8.上記可塑剤は、上記可塑化ナイロンの総重量に基づいて、1wt−%超、少なくとも1.5wt−%、少なくとも2wt−%、少なくとも2.5wt−%、少なくとも3wt−%、少なくとも4wt−%、又は、少なくとも5wt−%の量で存在する、実施例1〜実施例7のいずれか一実施例に記載の可塑化ナイロン。
【0081】
実施例9.上記可塑剤は、上記可塑化ナイロンの総重量に基づいて、最大5wt−%,最大10wt−%、最大15wt−%、あるいは、最大20wt−%の量で存在する、実施例1〜実施例8のいずれか一実施例に記載の可塑化ナイロン。
【0082】
実施例10.上記可塑剤は、上記可塑化ナイロンの総重量に基づいて、1wt−%超,かつ、最大10wt−%の量で存在する、実施例1〜実施例9のいずれか一実施例に記載の可塑化ナイロン。
【0083】
実施例11.上記可塑剤は、上記ナイロンの曲げ弾性率を、少なくとも10%、少なくとも12%、少なくとも14%、少なくとも16%、少なくとも18%、少なくとも20%、少なくとも22%、少なくとも24%、少なくとも28%、あるいは、少なくとも30%まで低減するのに十分な量で存在する、実施例1〜実施例10のいずれか一実施例に記載の可塑化ナイロン。
【0084】
方法実施例
実施例1.ナイロンを可塑化する方法において、上記方法は、ナイロンと可塑剤とを配合するステップを含み、上記可塑剤は、下記の構造を有する可塑剤を含み、
【0085】
【化13】
式中、Rは、C2〜C16炭化水素である、方法。
【0086】
実施例2.上記C2〜C16炭化水素は、アルキレン基、アルケニレン基、及び、アルキニレン基の少なくとも1つを含む、実施例1に記載の方法。
【0087】
実施例3.上記C2〜C16炭化水素は、アルキレン基を含む、実施例1〜実施例2のいずれか一実施例に記載の方法。
【0088】
実施例4.上記可塑剤は、
【0089】
【化14】
を含む、実施例1に記載の方法。
【0090】
実施例5.上記ナイロンと可塑剤とを配合するステップは、少なくとも170℃、少なくとも180℃、少なくとも190℃、あるいは、少なくとも200℃、並びに、最大240℃、最大250℃、最大260℃、最大270℃、あるいは、最大280℃の溶融状態で、上記ナイロンと可塑剤とを混合するステップを含む、実施例1〜実施例4のいずれか一実施例に記載の方法。
【0091】
実施例6.上記ナイロンと上記可塑剤とを配合するステップは押出加工を含む、実施例1〜実施例5のいずれか一実施例に記載の方法。
【0092】
実施例7.上記ナイロンと上記可塑剤は、上記ナイロンの融点よりも高温で配合される、実施例1〜実施例6のいずれか一実施例に記載の方法。
【0093】
実施例8.上記ナイロンと上記可塑剤は、上記ナイロンのガラス転移温度よりも高温で配合される、実施例1〜実施例7のいずれか一実施例に記載の方法。
【0094】
実施例9.上記可塑剤は、上記可塑化ナイロンの総重量に基づいて、1wt−%超、少なくとも1.5wt−%、少なくとも2wt−%、少なくとも2.5wt−%、少なくとも3wt−%、少なくとも4wt−%、又は、少なくとも5wt−%の量で存在する、実施例1〜実施例8のいずれか一実施例に記載の方法。
【0095】
実施例10.上記可塑剤は、上記可塑化ナイロンの総重量に基づいて、最大5wt−%,最大10wt−%、最大15wt−%、あるいは、最大20wt−%の量で存在する、実施例1〜実施例9のいずれか一実施例に記載の方法。
【0096】
実施例11.上記可塑剤は、上記可塑化ナイロンの総重量に基づいて、1wt−%超,かつ、最大10wt−%の量で存在する、実施例1〜実施例10のいずれか一実施例に記載の方法。
【0097】
実施例12.上記ナイロンは、ポリエーテルで共重合化したナイロンを含む、実施例1〜実施例11のいずれか一実施例に記載の方法。
【0098】
実施例13.上記ナイロンは、ナイロン−6、ナイロン−7、ナイロン−8、ナイロン−9、ナイロン−10、ナイロン−11、ナイロン−12、ナイロン−13、ナイロン−14、ナイロン−15、ナイロン−16、ナイロン−17、ナイロン−18、ナイロン−6、6、ナイロン−6、8、ナイロン−6、10、ナイロン−6、12、ナイロン−6、14、ナイロン−8、8、ナイロン−8、10、ナイロン−8、12、ナイロン−8、14、ナイロン−10、10、ナイロン−10、12、ナイロン−8、12、ナイロン−10、14、ナイロン−12、12、ナイロン−12、14、ナイロン−14、16、及び、これらの組み合わせから選択される、実施例1〜実施例12のいずれか一実施例に記載の方法。
【0099】
実施例14.上記ナイロンは、ポリエーテル−コ−ナイロン−12のブロック共重合体を含む、実施例1〜実施例13のいずれか一実施例に記載の方法。
【0100】
本発明を、以下の例で説明する。理解すべき点として、具体的な例、材料、量、並びに、手順は、本明細書で記載のとおり、本発明の範囲と趣旨に則って、大まかに解釈するものとする。
【0101】

例1
ガラス反応器において、95部のPEBAX 7033を、200℃の融解状態で、5部の抗酸化IRGANOX 1098と混合させた。混合した樹脂(PEBAX 7033−IRG)を、0.030インチのフィルムにプレスして、その機械特性を、引張特性に関するASTM638、並びに、曲げ特性に関するASTMD790−97Bに従って、インストロン機上で試験した。
【0102】
類似の混合物(PEBAX 6333−IRG、及び、PEBAX 5533−IRG)を、PEBAX 6333とPEBAX 5533材料、並びに、IRGANOX 1098から製造した。
【0103】
PEBAX 7033、PEBAX 6333、並びに、PEBAX 5533の比較対照試料を、同じ条件下で調製した。
【0104】
機械特性を、図3(引張強度)、及び、図4(曲げ弾性率)で示す。実験誤差の範囲内で、引張強度(図3)の減少は、見られなかった。一般に、可塑剤が材料の引張強度を下げることにより、これらの結果は、大抵の可塑剤を添加した際の効果と対照的であった。しかし、配合した材料の曲げ弾性率の大幅な低下が、観測された(図4)。
【0105】
例2
PEBAX 7033を、二軸押出機で、2.5%、5.0%、7.5%、及び、10%のIRGANOX 1098と配合した。例1のように、機械特性を試験した。この結果は、表1、2で表示している。
【0106】
結果から、基材(PEBAX 7033)の引張強度が維持され、更に、IRGANOX 1098を10重量%まで添加することによって、曲げ弾性率が大幅に低下したことが示唆された。
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】
全ての特許、特許出願、及び、公報の全開示、並びに、本明細書で引用した電子的に入手可能な資料を、参照により援用する。本出願の開示と、本明細書で参照により援用される全て文書の開示(複数)との間に矛盾が存在する場合、本願の開示を優先させる。前述の詳細な説明及び実施例は、理解を明確にする目的のみで示したものである。そこからは、不要な限定がないものと理解する。特許請求の範囲で規定される本発明内で含められる当業者に明らかな変形形態について、本発明は、図示、説明した厳密な詳細に限定されることがない。
図1
図2
図3
図4