特許第6987843号(P6987843)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987843
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】PAD4の共有結合性阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20211220BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20211220BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20211220BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 5/38 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 27/14 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 39/02 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 27/12 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 33/10 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 25/06 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 3/14 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 3/12 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 11/14 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 17/08 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 31/06 20060101ALI20211220BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20211220BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20211220BHJP
   C12N 9/99 20060101ALN20211220BHJP
【FI】
   C07D471/04 104Z
   C07D403/14
   A61K31/437
   A61K31/454
   A61P43/00 111
   A61P11/00
   A61P17/00
   A61P35/00
   A61P35/02
   A61P5/38
   A61P43/00
   A61P11/06
   A61P1/16
   A61P27/02
   A61P27/14
   A61P37/08
   A61P31/18
   A61P17/14
   A61P25/28
   A61P25/00
   A61P21/04
   A61P9/00
   A61P3/00
   A61P1/02
   A61P1/00
   A61P19/02
   A61P9/10 101
   A61P17/04
   A61P37/02
   A61P29/00
   A61P39/02
   A61P25/04
   A61P19/08
   A61P17/02
   A61P27/12
   A61P1/04
   A61P33/10
   A61P15/00
   A61P7/00
   A61P19/06
   A61P27/06
   A61P13/12
   A61P37/06
   A61P25/06
   A61P25/14
   A61P25/16
   A61P27/16
   A61P7/06
   A61P3/14
   A61P3/12
   A61P3/06
   A61P9/10
   A61P11/02
   A61P3/04
   A61P1/18
   A61P11/14
   A61P21/00
   A61P17/06
   A61P9/12
   A61P29/00 101
   A61P17/08
   A61P3/10
   A61P31/06
   A61P31/04
   A61K45/00
   !C12N9/99
【請求項の数】18
【全頁数】102
(21)【出願番号】特願2019-504110(P2019-504110)
(86)(22)【出願日】2017年7月27日
(65)【公表番号】特表2019-525936(P2019-525936A)
(43)【公表日】2019年9月12日
(86)【国際出願番号】US2017044194
(87)【国際公開番号】WO2018022897
(87)【国際公開日】20180201
【審査請求日】2020年7月21日
(31)【優先権主張番号】62/367,389
(32)【優先日】2016年7月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518203962
【氏名又は名称】パドロック・セラピューティクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PADLOCK THERAPEUTICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100162695
【弁理士】
【氏名又は名称】釜平 双美
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【弁理士】
【氏名又は名称】水原 正弘
(72)【発明者】
【氏名】エドワード・ジーン・ボーモント
(72)【発明者】
【氏名】ラジェシュ・デブラジ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・スティーブン・ケリー
(72)【発明者】
【氏名】グナナサンバンダム・クマラベル
(72)【発明者】
【氏名】プイ・レン・ローク
(72)【発明者】
【氏名】ミルコ・メニコーニ
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン・ジョン・パルフリー
(72)【発明者】
【氏名】カール・ノース
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーナ・レッチ
(72)【発明者】
【氏名】ヘザー・タイ
【審査官】 ▲高▼岡 裕美
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−522628(JP,A)
【文献】 特表2009−541413(JP,A)
【文献】 特表2009−544622(JP,A)
【文献】 特表2016−518316(JP,A)
【文献】 特表2018−520105(JP,A)
【文献】 Nature Chemical Biology,2015年,11 (3),189-191
【文献】 Journal of Medicinal Chemistry,2013年,56 (4),1715-1722
【文献】 Annals of the Rheumatic Diseases,2015年,74 (12),2199-2206
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 471/04
C12N 9/99
A61K 31/437
A61P 43/00
A61P 11/00
A61P 17/00
A61P 35/00
A61P 35/02
A61P 5/38
A61P 11/06
A61P 1/16
A61P 27/02
A61P 27/14
A61P 37/08
A61P 31/18
A61P 17/14
A61P 25/28
A61P 25/00
A61P 21/04
A61P 9/00
A61P 3/00
A61P 1/02
A61P 1/00
A61P 19/02
A61P 9/10
A61P 17/04
A61P 37/02
A61P 29/00
A61P 39/02
A61P 25/04
A61P 19/08
A61P 17/02
A61P 27/12
A61P 1/04
A61P 33/10
A61P 15/00
A61P 7/00
A61P 19/06
A61P 27/06
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A61P 25/14
A61P 25/16
A61P 27/16
A61P 7/06
A61P 3/14
A61P 3/12
A61P 3/06
A61P 11/02
A61P 3/04
A61P 1/18
A61P 11/14
A61P 21/00
A61P 17/06
A61P 9/12
A61P 17/08
A61P 3/10
A61P 31/06
A61P 31/04
A61K 45/00
A61K 31/454
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
[式中、
Gは、
【化2】
であり;
各Rは、各々独立して、
【化3】
から選択され;
は、水素またはC1−6脂肪族基であり;
は、水素またはC1−10脂肪族基であり;
Xは、NまたはCHから選択され;
は、−Rまたは−ORであり;
各Rは、独立して、水素であるか、または1〜3つのフッ素原子で所望により置換されていてもよいC1−6脂肪族基である]
の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
Gが、
【化4】
である、請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項3】
Gが、
【化5】
である、請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項4】
Gが、
【化6】
から選択される、請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項5】
がメチルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項6】
がC1−10脂肪族である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項7】
が−CH−シクロプロピルである、請求項6記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項8】
XがNである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項9】
XがCHである、請求項1〜7のいずれか一項記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項10】
化合物が、
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
から選択される請求項1記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩、および医薬的に許容される担体、アジュバンドまたはビヒクルを含む、医薬的に許容される組成物。
【請求項12】
求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物または医薬的に許容される塩を含む、PAD4を阻害するための医薬的に許容される組成物。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物または医薬的に許容される塩を含む、PAD4介在性疾患、障害または症状を治療するための医薬的に許容される組成物。
【請求項14】
別の治療薬と組み合わせる、請求項11〜13のいずれかに記載の医薬的に許容される組成物。
【請求項15】
前記対象がヒト対象である、請求項12〜14のいずれか一項に記載の医薬的に許容される組成物。
【請求項16】
前記対象が家畜対象である、請求項12〜14のいずれか一項に記載の医薬的に許容される組成物。
【請求項17】
PAD4介在性疾患、障害または症状が、酸誘発性肺傷害、ざ瘡(PAPA)、急性リンパ性白血病、急性呼吸窮迫症候群、アジソン病、副腎過形成、副腎皮質機能不全、老化、エイズ、アルコール性肝炎、アルコール性肝炎、アルコール性肝疾患、アレルギー性喘息、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、アレルギー性結膜炎、脱毛症、アルツハイマー病、アミロイドーシス、筋萎縮性側索硬化症および体重減少、狭心症、血管性浮腫、無汗性外胚葉形成不全症(AHED-ID)、強直性脊椎炎、前眼部炎症、抗リン脂質症候群、アフタ性口内炎、虫垂炎、関節炎、喘息、アテローム性動脈硬化症、アトピー性皮膚炎、自己免疫性疾患、自己免疫性肝炎、蜂刺傷誘発炎症、ベーチェット病、ベーチェット症候群、ベル麻痺、ベリリウム中毒症、ブラウ症候群、骨痛、細気管支炎、火傷、滑液包炎、癌、心臓肥大、手根管症候群、異化障害、白内障、脳動脈瘤、化学的刺激物誘発性炎症、脈絡網膜炎、慢性心不全、未熟児の慢性肺疾患、慢性リンパ性白血病、慢性閉塞性肺疾患、大腸炎、複合性局所疼痛症候群、膠原病、角膜潰瘍、クローン病、クリオピリン関連周期熱症候群、クリプトコッカス症、嚢胞性線維症、インターロイキン-1-受容体アンタゴニスト(DIRA)欠損症、皮膚炎、皮膚炎内毒素血症、皮膚筋炎、小児脳幹部グリオーマ、子宮内膜症、内毒素血症、上顆炎、赤芽球減少症、家族性アミロイド多発性神経障害、家族性寒冷蕁麻疹、家族性地中海熱、胎児発育遅延、緑内障、糸球体疾患、糸球体腎炎、痛風、痛風性関節炎、移植片対宿主病、消化器疾患、頭部外傷、頭痛、難聴、心臓病、溶血性貧血、ヘノッホ・シェーライン紫斑病、肝炎、遺伝性周期性発熱症候群、帯状疱疹と単純ヘルペス、HIV-1、ホジキン病、ハンチントン病、新生児特発性呼吸障害症(hyaline membrane disease)、高アンモニア血症、高カルシウム血症、高コレステロール血症、反復性発熱を伴う高免疫グロブリン血症D症候群(HIDS)、再生不良性貧血および他の貧血、再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、色素失調症、伝染性単核球症、炎症性腸疾患、炎症性肺疾患、炎症性神経障害、炎症性疼痛、虫刺さ誘発性炎症、虹彩炎、刺激性誘発性炎症、虚血/再灌流、若年性関節リウマチ、角膜炎、腎臓病、寄生虫感染により起こる腎障害、寄生虫感染により起こる腎障害、腎臓移植拒絶反応の予防、レプトスピラ症、白血病、レフラー症候群、肺外傷、肺外傷、狼瘡、狼瘡、狼瘡性腎炎、リンパ腫、髄膜炎、中皮腫、混合型膠原病、マックルウェルズ症候群(蕁麻疹型難聴アミロイドーシス)、多発性硬化症、筋肉疲労、筋ジストロフィー、重症筋無力症、心筋炎、菌状息肉症、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、筋炎、副鼻腔炎、壊死性全腸炎、新生児期発症多臓器系炎症性疾患(NOMID)、ネフローゼ症候群、神経炎、神経病理学的疾患、非アレルギー誘導性の喘息、肥満、眼アレルギー、視神経炎、臓器移殖、骨関節炎、中耳炎、ページェット病、疼痛、膵炎、パーキンソン病、天疱瘡、心膜炎、周期性発熱、歯周炎、腹膜子宮内膜症、百日咳、咽頭炎やリンパ節炎(PFAPA症候群)、植物刺激誘発性炎症、肺炎(pneumonia)、肺臓炎(pneumonitis)、ニューモシスチス肺炎、アメリカツタウルシ/ウルシオール油誘導性炎症、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多発性嚢胞腎疾患、多発性筋炎、乾癬、乾癬、乾癬、乾癬、心理社会的ストレス疾患、肺疾患、肺高血圧症、肺線維症、壊疽性膿皮症、化膿性無菌性関節炎、腎疾患、網膜疾患、リウマチ性心炎、リウマチ性疾患、関節リウマチ、サルコイドーシス、脂漏症、敗血症、激痛、鎌状赤血球症、鎌状赤血球貧血、シリカ誘発性疾患、シェーグレン症候群、皮膚疾患、睡眠時無呼吸、固形腫瘍、脊髄損傷、スティーヴンス・ジョンソン症候群、卒中、クモ膜下出血、日焼け、側頭動脈炎、腱鞘炎、血小板減少症、甲状腺炎、組織移植、TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)、トキソプラズマ症、移殖、外傷性脳損傷、結核、I型糖尿病、II型糖尿病、潰瘍性大腸炎、蕁麻疹、ブドウ膜炎および多発血管炎性肉芽腫症からなる群から選択される、請求項13〜16のいずれかに記載の医薬的に許容される組成物。
【請求項18】
PAD4介在性疾患、障害または症状が、関節リウマチ、血管炎、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、癌、嚢胞性線維症、喘息、皮膚エリテマトーデスおよび乾癬から選択される、請求項13〜16のいずれかに記載の医薬的に許容される組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
PAD4は、ペプチド配列内においてアルギニンをシトルリンへとシトルリン化を触媒することが可能なペプチジルアルギニンデイミナーゼ(PAD:peptidylarginine deiminase)ファミリー酵素のメンバーである。PAD4は、様々な疾患において多様な機能性応答を結果として生じる生体外及び生体内における様々なタンパク質の脱イミン化又はシトルリン化に関与している(Jones J.E. et. al., Curr. Opin. Drug Discov. Devel., 12(5), (2009), 616-627)。典型的な疾患の例には、腫瘍学的適応症の他に、関節リウマチ、病因に好中球が関与している疾患(例えば、血管炎、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎)が含まれる。PAD4阻害剤は、ヒトのエピジェネティックな機構による疾患のためのツール及び治療法としてより広い適用性を有することもできる。
【0002】
PAD4の阻害剤は、関節リウマチ(RA)に対して有用性を示す。RAは、人口の約1%が罹患している自己免疫性疾患である(Wegner N, et. al., Immunol. Rev., 233(1)(2010),34-54)。RAは、骨及び軟骨の弱質化破壊へとつながる関節結合部の炎症を特徴とする。多くの個体群の研究において、不整合性はあるが、PAD4多形性とRAに対する感受性との間に弱い遺伝的関連性が示唆されている(Kochi Y. et. al., Ann. Rheum. Dis., 70,(2011),512-515)。PAD4は(ファミリーメンバーPAD2と共に)、様々な関節タンパク質の脱イミン化に関与している滑膜組織において検出されている。この過程は、RA関節中のフィブリノーゲン、ビメンチン及びコラーゲンなどのシトルリン化基質への耐容性の打開及び免疫応答の開始につながると推測される。これらの抗シトルリン化タンパク質抗体(ACPA: anti-citrullinated protein antibodies)は、疾患の病因の一因となっており、RAの診断検査として使用することもできる(例えば、市販のCCP2又は環状シトルリン化タンパク質2試薬)。さらに、シトルリン化の増加は、いくつかの関節の機能及び炎症介在物質(例えば、フィブリノーゲン、抗トロンビン、複数のケモカイン)に直接影響を及ぼすその能力によって、疾患病因に対して更なる直接的な関与を招く恐れもある。より狭いサブセット(亜群)のRA患者において、抗PAD4抗体を測定することができ、高いびらん性形態の疾患と相互に関連し得る。
【0003】
PAD4阻害剤は、様々な疾患における病態の好中球活性の低下にも有用であり得る。研究により、好中球細胞外トラップ(NET: Neutrophil Extracellular Trap)形成、すなわち好中球が病原体を捕捉して殺すことができる先天的防御機序の過程は、ヒストンのシトルリン化に関連しており、PAD4ノックアウトマウスには欠損していることが示唆される(Neeli I. et. al., J. Immunol., 180, (2008), 1895-1902およびLi P. et. al., J. Exp. Med., 207(9), (2010), 1853-1862)。従って、PAD4阻害剤は、組織中でのNET形成が、局所的な損傷及び疾患病態に関与している疾患に適用性を示し得る。そのような疾患には、小血管血管炎(Kessenbrock K. et. al., Nat. Med., 15(6), (2009), 623-625)、全身性エリテマトーデス(Hakkim A. et. al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 107(21), (2010), 9813-9818 及び Villanuevar E. et. al., J.Immunol., 187(1), (2011), 538-52)、潰瘍性大腸炎(Savchenko A. et. al., Pathol. Int., 61(5),(2011), 290-7)、嚢胞性線維症、喘息(Dworski R. et. al., J. Allergy Clin. Immunol., 127(5), (2011), 1260-6)、深部静脈血栓症(Fuchs T. et. al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 107(36), (2010), 15880-5)、歯周病(Vitkov L. et. al., Ultrastructural Pathol., 34(1), (2010), 25-30)、敗血症(Clark S. R. et. al., Nat.Med., 13(4), (2007), 463-9)、虫垂炎(Brinkmann V. et. al., Science, 303, (2004), 1532-5)及び脳卒中が含まれるが、それらに限定されない。さらに、NETが、皮膚に影響を及ぼす疾患、例えば皮膚エリテマトーデス (Villanueva E. et. al., J.Immunol., 187(1), (2011), 538-52)および乾癬 (Lin A.M. et. al., J.Immunol., 187(1), (2011), 490-500)の病因に関与し得る証拠があるため、PAD4阻害剤は、全身的経路もしくは皮膚経路で投与した場合に、NET皮膚疾患に取り組む上で利点を示すことができる。PAD4阻害剤は、好中球内で別の機能に影響を及ぼし、好中球関連疾患に対してより広範な適用性を有し得る。
【0004】
研究により、コラーゲン誘発による関節炎(Willis V.C. et. al., J. Immunol., 186(7), (2011), 4396-4404)、硫酸デキストランナトリウム(DSS: dextran sulfate sodium)誘発による実験的大腸炎(ChumanevichA. A. et. al., Am. J. Pysiol. Gastrointest. Liver Physiol., 300(6), (2011), G929-G938)、脊髄修復(Lange S. et. al., Dev. Biol., 355(2), (2011), 205-14)および実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE: experimental autoimmune encephalomyelitis)を含めた幾つかの動物モデルの疾患において、ツールとしてのPAD阻害剤(例えば、クロロアミジン)の効力が実証されている。DSS大腸炎の文献から、クロロアミジンが、生体外及び生体内の両方で炎症性細胞のアポトーシスを促進させることも実証されており、PAD4阻害剤が、より一般的に、広範な炎症性疾患において有効であり得ることを示唆している。
【0005】
PAD4阻害剤は、癌の治療においても有用であり得る(Slack. J.L. et. al., Cell. Mol. Life Sci., 68(4), (2011), 709-720)。PAD4の過剰発現は多くの癌で確認されている(Chang X. et. al., BMC Cancer, 9, (2009), 40)。細胞分裂サイクルの停止及びアポトーシス誘発に関与しているp21などのp53標的遺伝子のプロモータ部位でのヒストンにおいて、PAD4がアルギニン残基をシトルリン化するという観察から、PAD4阻害剤についての抗増殖的な役割が示唆されている(Li P. et. al., Mol. Cell Biol., 28(15), (2008), 4745-4758)。
【発明の概要】
【0006】
ヒストン中のアルギニン残基を脱イミン化する際のPAD4の前述の役割は、遺伝子発現のエピジェネティクス的調節におけるPAD4の役割の指標であり得る。PAD4は、核ならびに原形質中に存在することが観察される主要なPADファミリーメンバーである。PAD4が、ヒストンデメチルイミナーゼ(histone demethyliminase)ならびにデイミナーゼとして作用し得るという初期の証拠は首尾一貫せず証明されていない。しかし、PAD4は、シトルリンへの変換によって使用できるアルギニン残基を減少させることにより、ヒストンのアルギニンメチル化(即ち、この目印に関連があるエピジェネティクス的調節)を間接的に低減し得る。従って、PAD4阻害剤は、別の疾患の発症における様々な標的遺伝子の発現に影響を及ぼすためのエピジェネティクス的ツールまたは治療法として有用であり得る。このような機構により、PAD4阻害剤はまた、幹細胞におけるシトルリン化レベルの調節においても有効であり得るため、様々な幹細胞(例えば、胚幹細胞、神経性幹細胞、造血幹細胞及び癌幹細胞を含むが、これらに限定しない)の多能性状態及び分化可能性に治療的に影響を及ぼすことができる。そのため、PAD4介在性疾患の治療のためのPAD4阻害剤を同定かつ開発するという未解決の必要性がある。
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、式I:
【化1】
(式中、G、R、R、RおよびXの各々は、本明細書において記述かつ規定されたとおりである)
の化合物あるいはその医薬的に許容される塩は、PAD4の阻害剤として有用であることを見出した。
【0008】
ある実施態様において、本願化合物は、PAD2に比べてPAD4についての選択性を示す。本発明は、本願化合物を含んでいる医薬的に許容し得る組成物も提供する。本願化合物は、PAD4に関連する様々な疾患の治療に有用である。かかる疾患は、本明細書において詳述されており、例えば、関節リウマチ、血管炎、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、癌、嚢胞性線維症、喘息、皮膚エリテマトーデスおよび乾癬である。
【発明の詳細な説明】
【0009】
1.本発明の幾つかの態様の一般的な記述
ある実施態様において、前記化合物は、本明細書において記述された式の化合物あるいはその医薬的に許容される塩であって、式中の各可変部は、本明細書において規定かつ実施態様に記述されたとおりである。かかる化合物は、式I:
【化2】

[式中:
Gは、
【化3】
であり;
各Rは、独立して、
【化4】
から選択され;
は、水素またはC1−6脂肪族であり;
は、水素またはC1−10脂肪族であり;
Xは、NまたはCHから選択され;
は、−Rまたは−ORであり;
各Rは、独立して、水素であるか、または1〜3つのフッ素原子で所望により置換されていてもよいC1−6脂肪族である]
の構造を有する化合物またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0010】
2.定義
本発明の化合物は、本明細書に概説されるものを含み、本明細書に記載の分類、下位分類および種類によりさらに説明される。特に明記されていない限り、本明細書において用いられる通り、以下の定義が適用される。本発明のために、化学元素は、Handbook of Chemistry and Physics, 75th Edの元素周期表, CAS版に従って特定される。さらに、有機化学の一般的原理は、“Organic Chemistry”, Thomas Sorrell,University Science Books, Sausalito:1999, and “March's Advanced Organic Chemistry”, 5th Ed., Ed.: Smith, M.B. and March, J., John Wiley & Sons, New York: 2001に記載されており、その全ての内容は本明細書に引用される。
【0011】
用語「脂肪族」または「脂肪族基」は、本明細書に使用されている通り、完全飽和または1以上の不飽和の単位を含有している直鎖(即ち、非分枝鎖)または分枝鎖の置換または非置換の炭化水素鎖を意味するか、あるいは完全飽和または1以上の不飽和の単位を含有しており(しかし、芳香族ではない)(本明細書において「炭素環」、「脂環式」または「シクロアルキル」としても表される)、かつ分子の残余部への1つの結合点を有する単環式炭化水素または二環式炭化水素を意味する。別段の記載が無ければ、脂肪族基は、1〜6個の脂肪族炭素原子を含有する。ある実施態様において、脂肪族基は、1〜5個の脂肪族炭素原子を含有する。別の実施態様において、脂肪族基は、1〜4個の脂肪族炭素原子を含有する。更に別の実施態様において、脂肪族基は、1〜3個の脂肪族炭素原子を含有しており、また更に実施態様において、脂肪族基は、1〜2個の脂肪族炭素原子を含有する。ある実施態様において、“脂環式”(または“炭素環”または“シクロアルキル”)とは、完全飽和である単環式C−C炭化水素を指すか、または分子の残余部に結合する1つの結合点を有する芳香族ではない1以上の不飽和のユニットを含有する単環式C−C炭化水素を指す。適切な脂肪族基は、直鎖または分枝鎖の置換または非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル基およびその混成物、例えば、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキル)アルケニルを包含するが、これらに限定するものではない。
【0012】
本明細書に用いられる、用語「医薬的に許容される塩」とは、正確な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、炎症、アレルギー反応などを伴うことなくヒトおよび下等動物の組織と接触させて用いるのに適しており、かつ、妥当なリスク・ベネフィット比に見合う塩を指す。医薬的に許容される塩は、当該分野にて周知である。例えば、S. M. Bergeらは、本明細書に引用されるJ. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66, 1-19において医薬的に許容される塩を詳述している。本発明の化合物の医薬的に許容される塩には、適切な無機および有機酸および塩基から得られるものが含まれる。医薬的に許容される非毒性酸付加塩の例として、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸もしくは過塩素酸または有機酸、例えば酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸と形成されるか、あるいは、当該分野において用いられる他の方法、例えばイオン交換法を用いて形成されるアミノ基の塩がある。その他の医薬的に許容される塩には、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが含まれる。
【0013】
適当な塩基から得られる塩には、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩およびN(C1−4アルキル)塩が含まれる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの塩が含まれる。さらなる医薬的に許容される塩には、適当な場合、対イオン、例えばハライド、ヒドロキシド、カルボキシレート、スルフェート、ホスフェート、ナイトレート、低級アルキルスルホネートおよびアリールスルホネートを用いて形成される、非毒性アンモニウム、第四級アンモニウムおよびアミンカチオンが含まれる。
【0014】
別段の記載が無い限り、本明細書で示される構造は、その構造の全ての異性体(例えば、鏡像異性体、ジアステレオマーおよび幾何学(または立体配座))形態;例えば、各不斉中心についてのR型およびS型配置、Z型およびE型二重結合異性体ならびにZ型およびE型の配座異性体を含むことも意味する。そのため、本発明の化合物の1つの立体化学異性体ならびに鏡像異性体、ジアステレオマー体および幾何学体(または立体配座的)混合物は、本発明の範囲内である。別段の記載が無い限り、本発明の化合物の全ての互変異性体は本発明の範囲内である。さらに、別段の記載が無い限り、本明細書で示される構造は、1以上の同位体的に富化された原子が存在する点だけが異なる化合物を含むことも意味する。例えば、水素を重水素または三重水素で置き換えられているもの、あるいは、炭素を13C−または14C−富化炭素で置き換えられているものを含む、本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。該化合物は、例えば、分析ツール、生物学的アッセイにおけるプローブ、または本発明による治療薬として有用である。
【0015】
本明細書において使用される通り、用語「測定可能な程度の(measurably)親和性」および「測定可能な程度の(measurably)阻害」とは、PAD4、本発明の化合物またはその組成物を含有する試料ならびに前記化合物またはその組成物の非存在下におけるPAD4を含む等価の試料の間におけるPAD4活性の測定可能な程度の変化を意味する。
【0016】
3.例示化合物についての記述
一態様に従って、本発明は、式I:
【化5】

[式中:
Gは、
【化6】
であり;
各Rは、独立して、
【化7】
から選択され;
は、水素またはC1−6脂肪族であり;
は、水素またはC1−10脂肪族であり;
Xは、NまたはCHから選択され;
は、−Rまたは−ORであり;および
各Rは、独立して、水素であるか、または1〜3つのフッ素原子で所望により置換されていてもよいC1−6脂肪族である]
の化合物またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0017】
上記および本明細書に記述したとおり、Rは、水素またはC1−6脂肪族である。ある実施態様において、Rは、水素である。ある実施態様において、Rは、C1−6脂肪族である。ある実施態様において、Rは、メチルである。
【0018】
上記および本明細書に記述したとおり、Rは、水素またはC1−10脂肪族である。ある実施態様において、Rは、水素である。ある実施態様において、Rは、C1−10脂肪族である。ある実施態様において、Rは、−CH−シクロプロピルである。
【0019】
ある実施態様において、Rは、−Rまたは−ORである。ある実施態様において、Rは、−Rである。ある実施態様において、Rは、−ORである。ある実施態様において、Rは、水素である。ある実施態様において、Rは、−OCHである。
【0020】
上記および本明細書に記述したとおり、Xは、NまたはCHから選択される。ある実施態様において、Xは、Nである。ある実施態様において、Xは、CHである。
【0021】
上記および本明細書に記述したとおり、Gは、
【化8】

である。ある実施態様において、Gは、
【化9】

である。ある実施態様において、Gは、
【化10】

である。別の実施態様において、Gは、
【化11】

である。
【0022】
ある実施態様において、Gは、
【化12】
である。
【0023】
ある実施態様において、Gは、
【化13】

である。別の実施態様において、Gは、
【化14】

である。特定の実施態様において、Gは、
【化15】
である。
【0024】
ある実施態様において、Gは、
【化16】
である。別の実施態様において、Gは、
【化17】
である。特定の実施態様において、Gは、
【化18】
である。ある実施態様において、Gは、
【化19】

である。
【0025】
ある実施態様において、Gは、
【化20】

である。
【0026】
ある実施態様において、Gは、
【化21】

である。
【0027】
ある実施態様において、Gは、
【化22】

である。
【0028】
ある実施態様において、Gは、
【化23】

である。
【0029】
ある実施態様において、Gは、
【化24】

である。
【0030】
ある実施態様において、Gは、
【化25】
である。
【0031】
ある実施態様において、Gは、
【化26】
である。
【0032】
ある実施態様において、Gは、
【化27】
である。
【0033】
ある実施態様において、Gは、
【化28】

である。
【0034】
ある実施態様において、Gは、
【化29】
である。
【0035】
ある実施態様において、Gは、
【化30】
である。
【0036】
ある実施態様において、Gは、
【化31】
である。
【0037】
ある実施態様において、Gは、
【化32】
である。
【0038】
ある実施態様において、Gは、
【化33】
である。
【0039】
ある実施態様において、Gは、
【化34】
である。
【0040】
ある実施態様において、Gは、
【化35】
である。
【0041】
ある実施態様において、Gは、
【化36】
である。
【0042】
ある実施態様において、Gは、
【化37】
である。
【0043】
ある実施態様において、Gは、
【化38】
である。
【0044】
ある実施態様において、Gは、
【化39】
である。
【0045】
ある実施態様において、Gは、
【化40】
である。
【0046】
ある実施態様において、Gは、
【化41】
である。
【0047】
ある実施態様において、Gは、
【化42】
である。
【0048】
ある実施態様において、Gは、
【化43】

である。
【0049】
上記および本明細書に記述したとおり、各Rは、独立して、
【化44】

から選択される。
ある実施態様において、Rは、
【化45】

である。ある実施態様において、Rは、
【化46】

である。ある実施態様において、Rは、
【化47】

である。ある実施態様において、Rは、
【化48】

である。ある実施態様において、Rは、
【化49】

である。ある実施態様において、Rは、
【化50】

である。
【0050】
ある実施態様において、式Iの化合物は、以下の表1に記載したものから選択される。
表1.式Iの例示化合物
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】

【表5】
【表6】
【0051】
特定の実施態様において、本発明は、上記かつ本明細書に記載したあらゆる化合物、またはその医薬的に許容される塩を提供できる。ある実施態様において、本発明は、上記表1に記述した化合物またはその医薬的に許容される塩を提供する。
【0052】
特定の実施態様において、本発明は、システイン残基であるCys645を有するPAD4を含むコンジュゲートを提供するものであって、ここで前記Cys645は、PAD4の阻害剤が保持されように上記阻害剤および本明細書に記載した阻害剤に共有的かつ付加逆的に結合されている。
【0053】
特定の実施態様において、本発明は、式X:
【化51】
(式中、Cys645は、PAD4のシステイン645である)
のコンジュゲートを提供する。
【0054】
修飾剤は、反応性基(warhead group)とPAD4のCys645との共有結合から生じる二価基であり;かつ該反応性基は、PAD4のCys645と共有的に結合できるG上の官能基である。
【0055】
ある実施態様において、本発明は、式X−a:
【化52】

(式中、各々Cys645、修飾物質、R、R、RおよびXは、上記および本明細書において規定された通りである)
のコンジュゲートを提供する。
【0056】
ある実施態様において、本発明は、式X−b:
【化53】
(式中、各々Cys645、修飾物質、R、R、RおよびXは、上記および本明細書において規定された通りである)
のコンジュゲートを提供する。
【0057】
ある実施態様において、本発明は、式X−c:
【化54】

(式中、各々Cys645、修飾物質、R、R、RおよびXは、上記および本明細書において規定された通りである)
のコンジュゲートを提供する。
【0058】
ある実施態様において、本発明は、式X−d:
【化55】

(式中、各々Cys645、修飾物質、R、R、RおよびXは、上記および本明細書において規定された通りである)
のコンジュゲートを提供する。
【0059】
ある実施態様において、本発明は、式X−e:
【化56】

(式中、各々Cys645、修飾物質、R、R、RおよびXは、上記および本明細書において規定された通りである)
のコンジュゲートを提供する。
【0060】
ある実施態様において、本発明は、式X−f:
【化57】

(式中、各々Cys645、修飾物質、R、R、RおよびXは、上記および本明細書において規定された通りである)
のコンジュゲートを提供する。
【0061】
ある実施態様において、本発明は、式X−g:
(式中、各々Cys645、修飾物質、R、R、RおよびXは、上記および本明細書において規定された通りである)
のコンジュゲートを提供する。
【0062】
ある実施態様において、本発明は、式X−h:
【化58】
(式中、各々Cys645、修飾物質、R、R、RおよびXは、上記および本明細書において規定された通りである)
のコンジュゲートを提供する。
【0063】
ある実施態様において、本発明は、式X−i:
【化59】

(式中、各々Cys645、修飾物質、R、R、RおよびXは、上記および本明細書において規定された通りである)
のコンジュゲートを提供する。
【0064】
本発明の修飾物質は、反応性基(warhead)とPAD4のCys645との共有結合から生じる二価基である。以下の例示的な修飾物質は、PAD4のCys645のスルフヒドリルに結合されるものとして表されることが理解されよう。
【0065】
表X.Cys645に結合される修飾物質
【表7】
【0066】
4.使用、処方および投与ならびに医薬的に許容される組成物
別の実施態様によれば、本発明は、本発明の化合物またはその医薬的に許容される誘導体および医薬的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルを含む組成物を提供する。本発明の組成物中の化合物の量は、生物試料または患者において、PAD4を測定可能な程度に阻害するのに有効な量である。特定の実施態様において、本発明の組成物は、該組成物を必要とする患者に投与するために処方される。ある実施態様において、本発明の組成物は、患者に経口投与するために処方される。
【0067】
本明細書に用いられる、用語「対象」とは、用語「患者」と互換的に使用され、動物、好ましくは哺乳類を意味する。ある実施態様において、対象または患者はヒトである。別の実施態様において、対象(または患者)は、獣医学的対象(または患者)である。ある実施態様において、獣医学的対象(または患者)は、イヌ、ネコまたは同等の対象である。
【0068】
用語「医薬的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクル」とは、共に処方される化合物の薬理活性を失わせない非毒性の担体、アジュバントまたはビヒクルを示す。本発明の組成物中に使用してもよい医薬的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルには、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられる。
【0069】
本発明の組成物は、経口、非経口、吸入噴霧、局所、経直腸、経鼻、口腔、経膣または埋め込み式リザーバーにより投与してもよい。本明細書に用いられる、用語「非経口」には、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、肝内、病巣内および頭蓋内注射または注入技術が含まれる。好ましくは、該組成物は、経口、腹腔内または静脈内投与される。無菌注射用形態の本発明の組成物は、水性または油性懸濁剤であってもよい。これらの懸濁剤は、適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて当該分野における公知技術にしたがって処方されうる。無菌注射用製剤はまた、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌注射用液剤または懸濁剤、例えば1,3−ブタンジオール溶液としてもよい。使用可能な許容されるビヒクルおよび溶媒には、水、リンガー液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の不揮発性油は、溶媒または懸濁化媒体として慣用的に使用されている。
【0070】
この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含むいずれの無菌の不揮発性油も使用できる。脂肪酸、例えばオレイン酸およびそのグリセリド誘導体は、注射剤の調製に有用であり、医薬的に許容される天然油、例えばオリーブ油またはヒマシ油、特にそのポリオキシエチル化されたものも同様に有用である。これらの油状液剤または懸濁剤はまた、長鎖アルコール希釈剤または分散剤、例えばカルボキシメチルセルロースまたは乳剤および懸濁剤を含む医薬的に許容される剤形を製造する際に通常用いられる同様の分散剤を含んでいてもよい。他の通常用いられる界面活性剤、例えばTweens、Spansおよび医薬的に許容される固体、液体または他の剤形を製造する際に通常用いられる他の乳化剤またはバイオアベイラビリティエンハンサーもまた、製剤の目的で用いてもよい。
【0071】
本発明の医薬的に許容される組成物は、カプセル剤、錠剤、水性懸濁剤または液剤を含む経口的に許容される任意の剤形で経口投与してもよい。経口用錠剤の場合、通常用いられる担体には、ラクトースおよびトウモロコシデンプンが含まれる。滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムも通常加えられる。カプセル形態での経口投与に有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥トウモロコシデンプンが含まれる。水性懸濁剤が経口使用に必要な場合、活性成分は、乳化剤および懸濁化剤と組み合わされる。所望により、特定の甘味剤、香味剤または着色剤も加えてもよい。
【0072】
あるいは、本発明の医薬的に許容される組成物は、直腸投与用坐剤の形態で投与してもよい。これらは、その薬剤と、室温では固体であるが直腸温度で液体となり、そのため直腸内では溶解して薬剤を放出するような適当な非刺激性賦形剤とを混合することによって調製することができる。そのような材料には、ココアバター、蜜ろうおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0073】
本発明の医薬的に許容される組成物は、特に、治療の標的が、眼、皮膚または下部腸管の疾患などの局所使用により容易に到達できる領域または器官を含む場合に、局所投与されてもよい。適当な局所製剤は、これらの各領域または器官に対して容易に調製される。
【0074】
下部腸管の局所適用は、直腸坐薬製剤(上記参照)または適当な浣腸製剤で実施することができる。局所用経皮パッチ剤を使用してもよい。
【0075】
局所適用について、提供される医薬的に許容される組成物は、1以上の担体中に懸濁または溶解させた活性成分を含む適当な軟膏剤に処方することができる。本発明の化合物の局与投与用担体には、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ろうおよび水が含まれる。あるいは、提供される医薬的に許容される組成物は、1以上の医薬的に許容される担体中に懸濁または溶解させた活性成分を含む適当なローション剤またはクリーム剤に処方されてもよい。適当な担体には、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が含まれる。
【0076】
眼用用途のために、提供される医薬的に許容される組成物は、保存剤、例えば塩化ベンジルアルコニウムを含んで、または含まずに、等張性のpH調節済滅菌生理食塩水中の微粉末懸濁剤として、または、好ましくは等張性のpH調節済滅菌生理食塩水中の液剤として処方されてもよい。あるいは、眼科使用について、医薬的に許容される組成物は、軟膏剤、例えばワセリン中で処方してもよい。
【0077】
本発明の医薬的に許容される組成物は、経鼻エアロゾルまたは吸入により投与されてもよい。かかる組成物は、医薬製剤分野で周知の技法にしたがって調製され、生理食塩水中でベンジルアルコールまたは他の適当な保存剤、バイオアベイラビリティを強化する吸収促進剤、フルオロカーボンおよび/または他の慣習的な可溶化剤または分散剤を用いて、液剤として調製され得る。
【0078】
最も好ましくは、本発明の医薬的に許容される組成物は、経口投与用に処方される。かかる製剤は、食事の有無に関わらず投与され得る。ある実施態様において、本発明の医薬的に許容される組成物は、食事を取らずに投与してもよい。他の実施態様において、本発明の医薬的に許容される組成物は、食事と一緒に投与される。
【0079】
本発明の医薬的に許容し得る組成物は、治療を受ける感染症の重篤度に応じて、経口、経直腸、非経口、嚢内、経膣、腹腔内、局所(粉末、軟膏剤または点滴剤として)、口腔、経口または経鼻スプレーなどにより、ヒトおよび他の動物に投与することができる。ある実施態様において、本発明の化合物は、所望の治療効果を得るために、1日に対象体重当たり約0.01mg/kg〜約50mg/kg、好ましくは約1mg/kg〜約25mg/kgの投薬レベルで、1日1回または複数回、経口または非経口投与されてもよい。
【0080】
経口投与用の液体剤形には、医薬的に許容される乳剤、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。活性化合物に加えて、液体剤形は、当該分野にて通常用いられる不活性希釈剤、例えば水もしくはその他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーンオイル、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルならびにそれらの混合物を含有していてもよい。不活性希釈剤に加えて、経口組成物は、アジュバント、例えば湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、香味剤および芳香剤も含んでいてもよい。
【0081】
注射用製剤、例えば水性または油性の無菌注射用懸濁剤は、適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて公知技術にしたがって処方されうる。滅菌注射用製剤は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射用液剤、懸濁剤または乳剤、例えば1,3−ブタンジオール溶液であってもよい。使用可能な許容されるビヒクルおよび溶媒には、水、リンガー溶液、U.S.P.および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の不揮発性油は、溶媒または懸濁化媒体として慣習的に使用されている。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含めたいずれの無菌の不揮発性油も使用できる。さらに、脂肪酸、例えばオレイン酸は、注射剤の調製に使用される。
【0082】
注射用製剤は、例えば、細菌捕集フィルターで濾過することによるか、あるいは、使用前に滅菌水または滅菌注射用媒体中に溶解または分散させることができる滅菌固体組成物の形態に滅菌剤を導入することによって滅菌することができる。
【0083】
本発明の化合物の効果を持続させるために、皮下または筋肉内注射による化合物の吸収を遅らせることを望まれることが多い。これは、水への溶解性が低い結晶性または無定型の物質の液体懸濁液を使用することによって達成されうる。化合物の吸収率は、その溶解率に依存し、溶解率は結晶の大きさおよび結晶形態に依存しうる。あるいは、非経口投与される化合物形態の吸収速度を遅延させることは、化合物を油性ビヒクルに溶解または懸濁させることによって達成される。注射用デポー形態は、生分解性ポリマー、例えばポリラクチド−ポリグリコリド中に、化合物のマイクロカプセル化マトリックスを形成させることによって製造される。化合物とポリマーの比、および使用する特定のポリマーの特性に応じて、化合物の放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例として、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射用製剤は、生体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルジョン中に化合物を取り込むことによっても調製される。
【0084】
直腸または膣投与用の組成物は、好ましくは、本発明の化合物と、適当な非刺激性賦形剤または担体、例えばココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤用ワックスとを混合することによって調製可能な坐剤であり、それは室温では固体であるが体温で液体となるため、直腸または膣腔内で溶けて活性化合物を放出する。
【0085】
経口投与用の固体剤形には、カプセル剤、錠剤、丸薬、散剤および顆粒剤が含まれる。該固体剤形では、活性化合物は、少なくとも1種の不活性な医薬的に許容される賦形剤または担体、例えばクエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムおよび/またはa)充填剤もしくは増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸、b)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロースおよびアカシア、c)保湿剤、例えばグリセロール、d)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩および炭酸ナトリウム、e)溶解遅延剤、例えばパラフィン、f)吸収促進剤、例えば第四級アンモニウム化合物、g)湿潤剤、例えばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール、h)吸収剤、例えばカオリンおよびベントナイト粘土、ならびにi)滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングルコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびその混合物と混合される。カプセル剤、錠剤および丸薬の場合、剤形は緩衝剤も含みうる。
【0086】
同種の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量のポリエチレングリコールなどの賦形剤を用いて、軟ゼラチンカプセルおよび硬ゼラチンカプセルの充填剤として使用されうる。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸薬および顆粒剤の固体剤形は、腸溶コーティングおよび医薬製剤分野において周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。それらは、乳白剤を所望により含有していてもよく、また活性成分(複数でも可)のみを放出するか、または腸管の特定の部位において、所望により遅延様式において活性成分を優先的に放出する組成物として存在することができる。使用可能な埋め込み型組成物の例として、高分子物質およびワックスが挙げられる。同種の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量のポリエチレングリコールなどの賦形剤を、軟ゼラチンカプセルおよび硬ゼラチンカプセルの充填剤としても使用され得る。
【0087】
活性化合物は、上記の1以上の賦形剤と共にマイクロカプセル化形態をとることもできる。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸薬および顆粒剤の固形剤形は、コーティングおよびシェル、例えば腸溶コーティング、放出制御コーティングおよび医薬製剤分野において周知の他のコーティングを用いて調製することができる。該固体剤形において、活性化合物は、少なくとも1種の不活性希釈剤、例えばスクロース、ラクトースまたはデンプンと混合され得る。該剤形は、通常実施されるように、不活性希釈剤以外の追加物質、例えばステアリン酸マグネシウムおよび結晶セルロースのような錠剤化用滑沢剤および他の錠剤化用補助剤を含んでいてもよい。カプセル剤、錠剤および丸薬の場合、剤形は、緩衝剤も含みうる。それらは、乳白剤を所望により含有していてもよく、また、活性成分(複数でも可)のみを放出するか、または優先的に腸管の特定の部分において、所望により遅延様式において活性成分を放出する組成物として存在することができる。使用可能な埋め込み型組成物の例として、高分子物質およびワックスが挙げられる。
【0088】
本発明の化合物の局所または経皮投与用の剤形には、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、液剤、噴霧剤、吸入剤またはパッチ剤が含まれる。活性成分は、無菌条件下で、医薬的に許容される担体および必要に応じて保存剤または緩衝剤と混合される。眼科用製剤、点耳剤および点眼剤もまた、本発明の範囲内にあると考えられる。さらに、本発明は、体に化合物を制御送達するというさらなる利点を有する経皮パッチ剤の使用を企図する。該剤形は、適当な媒体中に化合物を溶解または分散させて調製することができる。吸収促進剤は、皮膚を通過する化合物の流入量を増大させるためにも使用され得る。その速度は、速度制御膜を設けるか、または、ポリマーマトリックスまたはゲル中に化合物を分散させることによって制御することができる。
【0089】
単一剤形にて組成物を投与するために担体材料と組み合わせ得る本発明の化合物の量は、治療を受ける宿主および特定の投与方法によって変化するであろう。好ましくは、提供される組成物は、0.01〜100mg/kg体重/日の投薬量が、この組成物を服薬する患者に投与され得るように処方されるべきである。
【0090】
本発明の化合物は、単独で、もしくは一つまたはそれ以上の他の治療化合物と組み合わせて投与することができ、可能な組み合わせ療法は、固定された組み合わせの形態をとるか、互いに独立して、時間を少しずらすかまたは所定の時間で、任意に本発明の化合物と一つまたはそれ以上の他の治療化合物を投与する形態をとるか、または固定された組み合わせと一つまたはそれ以上の治療化合物とを組み合わせた投与形態をとる。更に、あるいは加うるに、本発明の化合物は、特に、化学療法、放射線療法、免疫療法、光線療法、外科的処置、またはこれらを組み合わせて、特に腫瘍治療のために投与することができる。長期療法は、上記に述べられているように、他の治療手段という観点からみて補助療法と同様に可能である。他の可能性のある治療とは、腫瘍の退縮後の患者の状態、または例えば、危険な状態の患者における予防的化学療法後の患者の状態を維持するための治療である。
【0091】
これらの追加の薬剤は、複数の投薬レジメンの一部として、本発明の化合物を含有する組成物とは別々に投与されてもよい。あるいは、これらの薬剤は、単一組成物中に本発明の化合物と共に混合される単一剤形の一部であってもよい。複数の投薬レジメンの一部として投与される場合、2種の活性薬剤を、同時に、逐次的に、または互いに一定時間内に、通常互いに5時間以内に提供してもよい。
【0092】
本明細書に用いられる、用語「組み合わせ」、「組み合わせた」および関連する用語とは、本発明に記載の治療剤の同時投与または逐次的投与を示す。例えば、本発明の化合物は、別々の単位剤形で同時にもしくは逐次的に、または単一の単位剤形で一緒に、別の治療剤と投与されうる。従って、本発明は、本発明の化合物、追加の治療剤および医薬的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルを含むある単一の単位剤形を提供する。
【0093】
単一剤形を投薬するために担体材料と組み合わせ得る本発明の化合物および追加の治療薬(上記の追加の治療剤を含むその組成物中の)双方の量は、治療を受ける宿主および特定の投与方法によって変化するであろう。好ましくは、本発明の組成物は、0.01〜100mg/kg体重/日の投薬量の本発明の化合物を投与できるように処方すべきである。
【0094】
追加の治療剤を含む組成物では、その追加の治療剤と本発明の化合物は、相乗的に作用し得る。したがって、該組成物中の追加の治療剤の量は、その治療剤のみを使用する単剤療法で必要とされる量よりも少ない。
【0095】
本発明の組成物中に存在する追加の治療剤の量は、その治療薬を唯一の活性薬剤として含む組成物で通常投与される量以下となる。好ましくは、本発明に記載の組成物中の追加の治療剤の量は、その薬剤を唯一の治療用活性薬剤として含む組成物中に通常存在する量の約50%〜100%の範囲に及ぶ。
【0096】
任意の特定の患者についての、特定の投与量および治療レジメンが、様々な因子、例えば使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、全身健康状態、性別および食事、投与時間、排出速度、薬剤の組合せならびに担当医の判断および治療される特定疾患の重症度に依存することは理解されよう。組成物中の本発明の化合物の量は、その組成物中の特定の化合物にも依存する。
【0097】
化合物の使用および医薬的に許容される組成物
本明細書に記述した化合物および組成物は、一般的に、PAD4の阻害のために有用である。
【0098】
PAD4の阻害として本発明において用いられる化合物の活性は、インビトロ、インビボまたは細胞ラインにてアッセイされ得る。インビトロでのアッセイには、PAD4の阻害を測定するアッセイが挙げられる。PAD4の阻害剤として本発明において用いられる化合物をアッセイするための詳細な条件は、以下の実施例に記載したとおりである。ある実施態様において、本願化合物は、PAD2に比べて選択的にPAD4を阻害する。
【0099】
本明細書において使用されるとおり、用語「治療」、「治療する」および「治療すること」とは、本明細書に記載の疾患もしくは障害または1以上のその症候を回復させるか、軽減するか、その発症を遅延させるかまたはその進行を阻害することをいう。ある実施態様において、治療は、1以上の症状を発症した後に投与してもよい。他の実施態様において、治療は、症状がない場合に施与されてもよい。例えば、治療は、(例えば、症状の病歴および/または遺伝的もしくは他の感受性因子を考慮して)症状の発症前に感染しやすい患者に施与されてもよい。治療は、症状がなくなった後も、例えば、それらの再発を阻止または遅延させるために継続されてもよい。
【0100】
本願化合物は、PAD4の阻害剤であり、それ故、PAD4の活性と関連のある1以上の疾患を治療するために有用である。従って、ある実施態様において、本発明は、本発明の化合物またはその医薬的に許容し得る組成物を、それが必要な患者に投与する工程を特徴とする、PAD4介在性疾患を治療する方法が提供する。
【0101】
ある実施態様において、PAD4介在性疾患は、不適切なPAD4活性により媒介される疾患、症状または障害である。ある実施態様において、PAD4介在性疾患は、関節リウマチ、血管炎、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、癌、嚢胞性線維症、喘息、皮膚エリテマトーデスおよび乾癬からなる群から選択される。さらなる実施形態において、不適切なPAD4活性により媒介される疾患は、関節リウマチである。さらなる実施形態において、不適切なPAD4活性により媒介される疾患は、全身性エリテマトーデスである。さらなる実施形態において、不適切なPAD4活性により媒介される疾患は、血管炎である。さらなる実施形態において、不適切なPAD4活性により媒介される疾患は、皮膚エリテマトーデスである。さらなる実施形態において、不適切なPAD4活性により媒介される疾患は、乾癬である。
【0102】
一実施形態において、関節リウマチ、血管炎、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、癌、嚢胞性線維症、喘息、皮膚エリテマトーデスまたは乾癬の治療方法を提供するものであって、この方法は、その必要のあるヒト対象に、治療上有効量の本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩を投与することを特徴とする。
【0103】
一実施形態において、関節リウマチの治療方法を提供するものであって、この方法は、その必要のあるヒト対象に、治療上有効量の本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩を投与することを特徴とする。一実施形態において、全身性エリテマトーデスの治療方法を提供するものであって、この方法は、その必要のあるヒト対象に、治療上有効量の本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩を投与することを特徴とする。一実施形態において、血管炎の治療方法を提供するものであって、この方法は、その必要のあるヒト対象に、治療上有効量の本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩を投与することを特徴とする。一実施形態において、皮膚エリテマトーデスの治療方法を提供するものであって、この方法は、その必要のあるヒト対象に、治療上有効量の本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩を投与することを特徴とする。一実施形態において、乾癬の治療方法を提供するものであって、この方法は、その必要のあるヒト対象に、治療上有効量の本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩を投与することを特徴とする。
【0104】
ある実施態様において、PAD4介在性疾患は、酸誘発性肺傷害、ざ瘡(PAPA)、急性リンパ性白血病、急性呼吸窮迫症候群、アジソン病、副腎過形成、副腎皮質機能不全、老化、エイズ、アルコール性肝炎、アルコール性肝炎、アルコール性肝疾患、アレルギー性喘息、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、アレルギー性結膜炎、脱毛症、アルツハイマー病、アミロイドーシス、筋萎縮性側索硬化症および体重減少、狭心症、血管性浮腫、無汗性外胚葉形成不全症(AHED-ID)、強直性脊椎炎、前眼部炎症(anterior segment, inflammation)、抗リン脂質症候群、アフタ性口内炎、虫垂炎、関節炎、喘息、アテローム性動脈硬化症、アトピー性皮膚炎、自己免疫性疾患、自己免疫性肝炎、蜂刺傷誘発炎症、ベーチェット病、ベーチェット症候群、ベル麻痺、ベリリウム中毒症、ブラウ症候群、骨痛、細気管支炎、火傷、滑液包炎、癌、心臓肥大、手根管症候群、異化障害、白内障、脳動脈瘤、化学的刺激物誘発性炎症、脈絡網膜炎、慢性心不全、未熟児の慢性肺疾患、慢性リンパ性白血病、慢性閉塞性肺疾患、大腸炎、複合性局所疼痛症候群、膠原病、角膜潰瘍、クローン病、クリオピリン関連周期熱症候群、クリプトコッカス症、嚢胞性線維症、インターロイキン-1-受容体アンタゴニスト(DIRA)欠損症、皮膚炎、皮膚炎内毒素血症、皮膚筋炎、小児脳幹部グリオーマ、子宮内膜症、内毒素血症、上顆炎、赤芽球減少症、家族性アミロイド多発性神経障害、家族性寒冷蕁麻疹、家族性地中海熱、胎児発育遅延、緑内障、糸球体疾患、糸球体腎炎、痛風、痛風性関節炎、移植片対宿主病、消化器疾患、頭部外傷、頭痛、難聴、心臓病、溶血性貧血、ヘノッホ・シェーライン紫斑病、肝炎、遺伝性周期性発熱症候群、帯状疱疹と単純ヘルペス、HIV-1、ホジキン病、ハンチントン病、肺硝子膜症、高アンモニア血症、高カルシウム血症、高コレステロール血症、反復性発熱を伴う高免疫グロブリン血症D症候群(HIDS)、再生不良性貧血および他の貧血、再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、色素失調症、伝染性単核球症、炎症性腸疾患、炎症性肺疾患、炎症性神経障害、炎症性疼痛、虫刺さ誘発性炎症、虹彩炎、刺激性誘発性炎症、虚血/再灌流、若年性関節リウマチ、角膜炎、腎臓病、寄生虫感染により起こる腎障害、寄生虫感染を引き起こす腎障害、腎臓移植拒絶反応の予防、レプトスピラ症、白血病、レフラー症候群、肺外傷、肺外傷、狼瘡、狼瘡、狼瘡性腎炎、リンパ腫、髄膜炎、中皮腫、混合型膠原病、マックルウェルズ症候群(蕁麻疹型難聴アミロイドーシス)、多発性硬化症、筋肉疲労、筋ジストロフィー、重症筋無力症、心筋炎、菌状息肉症、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、筋炎、鼻副鼻腔炎、壊死性全腸炎、新生児期発症多臓器性炎症性疾患(NOMID)、ネフローゼ症候群、神経炎、神経病理学的疾患、非アレルギー誘導性の喘息、肥満、眼アレルギー、視神経炎、臓器移殖、骨関節炎、中耳炎、ページェット病、疼痛、膵炎、パーキンソン病、天疱瘡、心膜炎、周期性発熱、歯周炎、腹膜子宮内膜症、百日咳、咽頭炎やリンパ節炎(PFAPA症候群)、植物刺激誘発性炎症、肺炎(pneumonia)、肺臓炎(pneumonitis)、ニューモシスチス肺炎、アメリカツタウルシ/ウルシオール油誘導性炎症、結節性多発動脈、多発軟骨炎、多発性嚢胞腎疾患、多発性筋炎、乾癬、乾癬、乾癬、乾癬、心理社会的ストレス疾患、肺疾患、肺高血圧症、肺線維症、壊疽性膿皮症、化膿性関節炎、腎疾患、網膜疾患、リウマチ性心炎、リウマチ性疾患、リウマチ性関節炎、サルコイドーシス、脂漏症、敗血症、激痛、鎌状赤血球、鎌状赤血球貧血、シリカ誘発性疾患、シェーグレン症候群、皮膚疾患、睡眠時無呼吸、固形腫瘍、脊髄損傷、スティーヴンス・ジョンソン症候群、卒中、クモ膜下出血、日焼け、側頭動脈炎、腱鞘炎、血小板減少症、甲状腺炎、組織移植、TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)、トキソプラズマ症、移殖、外傷性脳損傷、結核、I型糖尿病、II型糖尿病、潰瘍性大腸炎、蕁麻疹、ブドウ膜炎および多発血管炎性肉芽腫症からなる群から選択される。
【0105】
一実施形態において、本発明は、治療において使用するための本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩を提供する。別の実施形態において、本発明は、不適切なPAD4活性により媒介される疾患の治療において使用するための本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩を提供する。別の実施形態において、本発明は、関節リウマチ、血管炎、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、癌、嚢胞性線維症、喘息、皮膚エリテマトーデスまたは乾癬の治療において使用するための本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩を提供する。別の実施形態において、本発明は、関節リウマチの治療において使用するための本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩を提供する。別の実施形態において、本発明は、全身性エリテマトーデスの治療において使用するための本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩を提供する。別の実施形態において、本発明は、血管炎の治療において使用するための本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩を提供する。別の実施形態において、本発明は、皮膚エリテマトーデスの治療において使用するための本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩を提供する。別の実施形態において、本発明は、乾癬の治療において使用するために、本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩を提供する。別の実施形態において、本発明は、不適切なPAD4活性により媒介される疾患の治療において使用するための医薬製造における本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩の使用を提供する。別の実施形態において、本発明は、関節リウマチ、血管炎、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、癌、嚢胞性線維症、喘息、皮膚エリテマトーデスまたは乾癬の治療において使用するための医薬製造における本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩の使用を提供する。別の実施形態において、本発明は、関節リウマチの治療において使用するための医薬製造における本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩の使用を提供する。別の実施形態において、本発明は、全身性エリテマトーデスの治療において使用するための医薬製造における本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩の使用を提供する。別の実施形態において、本発明は、血管炎の治療において使用するための医薬製造における本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩の使用を提供する。別の実施形態において、本発明は、皮膚エリテマトーデスの治療において使用するための医薬製造における本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩の使用を提供する。別の実施形態において、本発明は、乾癬の治療において使用するための医薬製造における本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩の使用を提供する。さらなる実施形態において、本発明は、不適切なPAD4活性により媒介される疾患の治療または予防のための本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩を含んでいる医薬組成物を提供する。さらなる実施形態において、本発明は、関節リウマチ、血管炎、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、癌、嚢胞性線維症、喘息、皮膚エリテマトーデスまたは乾癬の治療または予防のための、本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩を含んでいる医薬組成物を提供する。さらなる実施形態において、本発明は、関節リウマチの治療または予防のための、本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩を含んでいる医薬組成物を提供する。さらなる実施形態において、本発明は、全身性エリテマトーデスの治療または予防のための、本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩を含んでいる医薬組成物を提供する。さらなる実施形態において、本発明は、血管炎の治療または予防のための、本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩を含んでいる医薬組成物を提供する。さらなる実施形態において、本発明は、皮膚エリテマトーデスの治療または予防のための、本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩を含んでいる医薬組成物を提供する。さらなる実施形態において、本発明は、乾癬の治療または予防のための、本願化合物あるいはその医薬的に許容される塩を含んでいる医薬組成物を提供する。
【0106】
本発明の各態様の全ての特徴は、全ての他の態様を準用する。
【0107】
本明細書に記載された発明をより完全に理解し得るために、以下の実施例が下記に示される。これらの実施例は、説明を目的とするものであり、かついずれの様式においても本発明を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0108】
例示
以下の実施例に示したとおり、ある実施態様の例示において、化合物を以下の一般方法に従って製造した。一般方法は、本発明のある特定の化合物の合成を表しているが、以下の一般方法および当業者には既知の別法が、本明細書に記載したような全ての化合物およびこれらの各化合物のサブクラスおよび系統に適用され得ることは理解されよう。
【0109】
実験セクションにおいて使用される共通の略語のリスト
AcOH:酢酸
(Boc)O:ジ−tert−ブチルジカーボネート
キラルHPLC:キラル高速液体クロマトグラフィー
DCM:ジクロロメタン
デス・マーチン・ペル・ヨージナン(Dess Martin Periodinane):1,1,1−トリス(アセチルオキシ)−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンゾヨードキソール−3−(1H)−オン
DIAD:ジイソプロピルアゾジカルボキシレート
DIPEA:N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
EtOAc:酢酸エチル
EtOH:エタノール
HATU:N−[(ジメチルアミノ)−1H−1,2,3−トリアゾロ−[4,5−b]ピリジン−1−イルメチレン]−N−メチルメタンアミニウムヘキサフルオロリン酸塩N−オキシド
H−Cube:連続フロー式の水素化反応装置
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
HCl:塩酸
Kieselguhr:珪藻土
LCMS:液体クロマトグラフィー−質量分析法
M:モル
Me:メチル
MeCN:アセトニトリル
MeI:ヨウ化メチル
min:分
mL:ミリリットル
MeOH:メタノール
MsCl:メタンスルホニルクロリド
NaHMDS:ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド
NMR:核磁気共鳴
℃:摂氏
Pd/C:パラジウム炭素
Pd(OH)/C:水酸化パラジウム/炭素
prep HPLC:分取高速液体クロマトグラフィー
STAB:三アセトキシ水素化ホウ素ナトリウム
TBAF:フッ化テトラブチルアンモニウム
TBDMSCl:tert−ブチルジメチルシリルクロリド
TBTU:O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボーレート
TEA:トリエチルアミン
TFA:トリフルオロ酢酸
THF:テトラヒドロフラン
ret:保持時間
【0110】
分取HPLC方法
塩基性HPLC分取方法
Column:XBridgeTM Prep. C18 10 um OBDTM, 30 x 100 mm
移動相:14分かけて5〜95%アセトニトリル(0.2%水酸化アンモニウム)/水(0.2%水酸化アンモニウム)
流量:40mL/min
UV検出:215および254nm
【0111】
酸性HPLC分取方法
Column:SunfireTM Prep. C18 10 um OBDTM, 30 x 100 mm
移動相:14分かけて5〜95%アセトニトリル(0.1%蟻酸)/水(0.1%蟻酸)
流量:40mL/min
UV検出:215および254nm
【0112】
分析LCMS方法:
方法A
MET/u−HPLC(MSQ1 低いpH 7分 方法)
Column:Phenomenex Kinetex-XB C18, 2.1 mm x 100 mm, 1.7μm
流量:0.6ml/min
移動相:A,蟻酸(水溶液)0.1%およびB,蟻酸(MeCN)0.1%
インジェクション量:3μL
Temp.:40℃
検出:215nm(ノミナル)
グラジエント時間(分)−%B
0.00−5
5.30−100
5.80−100
5.82−5
【0113】
方法B
MET/CR/1600(MS10 高いpH 7分 方法)
Column:Phenomenex Gemini C18, 2.0mmx100mm, 3μm
流量:0.5mL/min
移動相:A,2mM 炭酸水素アンモニウム/HPLCグレードの水 pH10
B HPLCグレードのMeCN
インジェクション量:3μL
温度:50℃
検出:215nm
グラジエント時間:(分)−%B
0.0−5
5.50−100
5.90−100
5.92−5
9.00−5
【0114】
方法C
METCR 1416(低いpH Shimadzu 7分 方法)
Column:Warters Atlantis dC18, 2.1mmx100mm, 3μm column
流量:0.6mL/min
移動相:A,蟻酸(水溶液)0.1%およびB,蟻酸(アセトニトリル)0.1%
インジェクション量:3μL
Temp.:40℃
検出:215nm(ノミナル)
グラジエント時間(分)−%B
0.00−5
5.00−100
5.40−100
5.42−5
【0115】
方法D
METCR 1410(低いpH Shimadzu 2分 方法)
Column:Kinetex Core-Shell C18, 2.1mmx50mm, 5μm column
流量:1.2mL/min
移動相:A,蟻酸(水溶液)0.1%およびB,蟻酸(アセトニトリル)0.1%
インジェクション量:3μL
Temp.:40℃
検出:215nm(ノミナル)
グラジエント時間(分)−%B
0.00−5
1.20−100
1.30−100
1.31−5
【0116】
方法H
MET/u−HPLC(高いpH MS16 7分 方法)
Column:Waters UPLC CSH C18, 2.1mmx100mm 5μm column
流量:0.6mL/min
移動相:A,水酸化アンモニウム(水溶液)を用いてpH10に調整した2mM 炭酸水素アンモニウム、およびB,アセトニトリル
インジェクション量:3μL
Temp.:40℃
検出:215nm(ノミナル)
グラジエント時間(分)−%B
0.00−5
5.30−100
5.80−100
5.82−5
【0117】
方法J
MET/CR/0990(高いpH 3分 方法)
Column:Phenomenex Gemini C18, 2.0mmx100mm, 3μm
流量:1mL/min
移動相:A,2mM 炭酸水素アンモニウム/HPLCグレードの水 pH10,
B, HPLCグレードのMeCN
インジェクション量:3μL
温度:60℃
検出:215nm
グラジエント時間:(分)−%B
0.0−1
1.80−100
2.10−100
2.30−1
【0118】
分析および分取キラルHPLC方法:
方法E:
キラルHPLC分取方法
Column:Lux C1(21.2mm x 250mm, 5μm)
流量:50mL/min
移動相:40:60 MeOH:CO(0.1%v/v NH)
インジェクション量:500μL(2.5mg)
Temp.:40℃
検出:220nm
【0119】
方法F:
キラル純度分析方法
Column:Lux C1(4.6mm x 250mm, 5μm)
流量:4mL/min
インジェクション量:1.0μL
Temp.:40℃
UV検出:210−400nm
イソクラティック条件, 40:60 MeOH:CO(0.1%v/v NH)
【0120】
本発明のある化合物を、以下のスキーム1,工程1〜9に従って製造した。
【0121】
実施例1.Trans−rac−2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−N−[(3R,4R)−4−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピロリジン−3−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボキサミド EV−AE3989−001(EOAI3442248,I−9)の合成
【化60】
【0122】
スキーム1, 工程1
【化61】
【0123】
1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸 EV−AR3164−001−工程1
【0124】
1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボキシレート(CAS 221675−35−0,4.40g,23.1mmol)/DMF(50ml)の攪拌溶液に、水素化ナトリウム(60%,1.05g,26.3mmol)を加えた。混合物を、窒素下において、室温で45分間攪拌して、(ブロモメチル)シクロプロパン(CAS 7051−34−5,2.70ml,27.8mmol)を加えた。混合物を、室温で2.5時間攪拌して、溶媒を、減圧除去した。残留物を、THF(40ml)に懸濁して、5M 水酸化ナトリウム水溶液(22ml,110mmol)を加えた。混合物を、50℃で3.5時間攪拌した。追加のTHF(20ml)および5M 水酸化ナトリウム水溶液(22ml,110mmol)を加えて、反応を、50℃で16時間攪拌した。反応粗生成物を、減圧濃縮して、水(10ml)および5M 塩酸水溶液(100ml)を加えた。固体を濾去して、水(2x100ml)で洗い、乾燥させて、1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸 EV−AR3164−001[3.46g(69.2%)]を白色粉末として得た。LCMS(方法D):保持時間1.03min,M/z=217(M+1).
【0125】
スキーム1,工程2
【化62】
【0126】
メチル 4−(メチルアミノ)−3−ニトロベンゾエート EV−AR3152−001−工程2
【0127】
メチル 4−フルオロ−3−ニトロベンゾエート(CAS 329−59−9,5.00g,25.1mmol)/DMF(50ml)の攪拌溶液に、メタンアミン塩酸塩(1:1)(2.00g,29.6mmol)および炭酸カリウム(4.50g,32.6mmol)を加えた。混合物を、窒素下において、室温で18時間攪拌した。反応粗生成物を、減圧濃縮して、残留物を、EtOAc(350ml)および1N 塩酸水溶液(250ml)に分配した。有機層を、1N 塩酸水溶液(150ml)および飽和塩化ナトリウム水溶液(100ml)に分配した。有機層を、硫酸マグネシウム上で乾燥させて、濾過して、減圧濃縮して、メチル 4−(メチルアミノ)−3−ニトロベンゾエート EV−AR3152−001[5.30g(定量的)]を黄色粉末として得た。LCMS(方法D):保持時間1.07min,M/z=211(M+1).
【0128】
スキーム1,工程3
【化63】
【0129】
メチル 3−アミノ−4−(メチルアミノ)ベンゾエート EV−AR3155−001−工程3
メチル 4−(メチルアミノ)−3−ニトロベンゾエート(EV−AR3152−001,5.30g,25.2mmol)/エタノール(100ml)の攪拌溶液に、窒素下において、10%Pd/C(1.30g,0.05mmol)を加えた。この反応を、次いで水素雰囲気下において、室温で4時間攪拌した。反応混合物を、メタノール(100ml)で希釈して、Kieselguhrを加えた。混合物を、室温で10分間攪拌して、減圧下で濾過した。フィルターをメタノール(3x50ml)で洗い、濾液を減圧濃縮して、メチル 3−アミノ−4−(メチルアミノ)ベンゾエート EV−AR3155−001[4.39g(96.6%)]を、褐色粉末として得た。LCMS(方法D):保持時間0.75min,M/z=181(M+1).
【0130】
スキーム1, 工程4
【化64】
【0131】
メチル 2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボキシレート EV−AR3167−001−工程4
1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−カルボン酸(EV−AR3164−001,2.20g,10.2mmol)/乾燥DMF(40ml)の溶液に、HATU(4.95g,12.8mmol)およびDIPEA(2.25ml,12.8mmol)を加えた。混合物を、室温で1時間攪拌して、メチル 3−アミノ−4−(メチルアミノ)ベンゾエート(EV−AR3155−001,2.02g,11.2mmol)を加えた。混合物を、室温で16時間攪拌した。溶媒を、減圧除去して、残留物を酢酸(40ml)に溶解して、80℃で2時間攪拌して、次いで85℃で30分間、次いで90℃で1時間攪拌した。溶媒を、減圧除去して、粗生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(12〜100%EtOAc/ヘプタン)、メチル 2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボキシレート EV−AR3167−001[3.08g(83.2%)]を桃色粉末として得た。LCMS(方法D):保持時間1.20min,M/z=361(M+1).
【0132】
スキーム1, 工程5
【化65】
【0133】
2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボン酸 EV−AR3168−002−工程5
メチル 2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボキシレート(EV−AR3167−001,3.08g,8.46mmol)/メタノール(60ml)の懸濁溶液に、2M 水酸化ナトリウム水溶液(30ml,60.0mmol)を加えた。混合物を、次いで50℃で2時間撹拌した。反応を、室温に下げて、溶媒を、減圧除去した。水(50ml)を加えて、次いでpH3が達成されるまで2M HCl水溶液を加えた。混合物を、15分間攪拌して、焼結物を通して濾過した。固体を、水(2x50ml)で洗い、64時間風乾させて、2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボン酸 EV−AR3168−001[1.81g(61.2%)]を、肌色固体として得た。LCMS(方法D):保持時間1.05min,M/z=347(M+1)。濾液を、沈殿物が形成し始めるまで追加の2M HCl水溶液によりさらに酸性化した。混合物を、1時間静置して、焼結物を通して濾過した。固体を、水(2x20ml)で洗い、3時間減圧下で風乾させて、2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボン酸 EV−AR3168−002[460mg,(15.7%)]をオフホワイトの粉末として得た。LCMS(方法D):保持時間1.06min,M/z=347(M+1).
【0134】
スキーム1, 工程6
【化66】
【0135】
Trans−rac−tert−ブチル(3R,4R)−3−アミノ−4−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−1−カルボキシレート− EV−AE3986−001−工程6
乾燥DMF(2ml)中の2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボン酸(EV−AQ1914−001,100mg,0.29mmol)およびHATU(121mg,0.32mmol)の溶液に、室温で、DIPEA(55μL,0.32mmol)を加えた。混合物を、1時間攪拌して、次いでtrans−rac−tert−ブチル(3R,4R)−3,4−ジアミノピロリジン−1−カルボキシレート(CAS 1020571−45−2,58mg,0.29mmol)の溶液を加えて、反応混合物を、室温で1時間攪拌した。反応混合物を、EtOAc(10ml)で希釈して、水(5ml)で洗い、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液(3ml)で洗った。有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、濾過して、減圧濃縮した。残留物を、カラムクロマトグラフィーにより精製して(1〜9%MeOH/DCM)、trans−rac−tert−ブチル(3R,4R)−3−アミノ−4−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−1−カルボキシレート EV−AE3986−001[40mg(25%)]を無色結晶固体として得た。LCMS(方法D):保持時間0.98min,M/z=530(M+1).
【0136】
スキーム1,工程7
【化67】

Trans−rac−蟻酸;tert−ブチル(3R,4R)−3−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}−4−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピロリジン−1−カルボキシレート−EV−AE3988−001−工程7
乾燥DMF(1ml)中のtrans−rac−tert−ブチル(3R,4R)−3−アミノ−4−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−1−カルボキシレート(EV−AE3986−001,40mg,0.08mmol)、(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン酸 塩酸塩(15mg,0.091mmol)およびHATU(34mg,0.091mmol)の溶液を、室温で、DIPEA(29μl,0.16mmol)を用いて処理して、混合物を、20分間攪拌した。反応混合物を、EtOAc(10ml)で希釈して、水(5ml)で洗った。水層を、EtOAc(5ml)で再抽出した。EtOAc層を合わせて、飽和塩化ナトリウム水溶液(5ml)で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、濾過して、減圧濃縮した。残留物を、分取HPLC(酸性方法)により精製して、trans−rac−蟻酸;tert−ブチル(3R,4R)−3−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}−4−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピロリジン−1−カルボキシレート EV−AE3988−001[18mg(34.7%)]を無色結晶固体として得た。LCMS(方法D):保持時間1.00min,M/z=641(M+1).
【0137】
スキーム1, 工程8
【化68】
【0138】
Trans−rac−2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−N−[(3R,4R)−4−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピロリジン−3−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボキサミド二塩酸塩−EV−AE3989−001−工程8
trans−rac−蟻酸;tert−ブチル(3R,4R)−3−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}−4−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピロリジン−1−カルボキシレート(EV−AE3988−001,17mg,0.03mmol)に、2M HCl/エーテル(0.13ml,0.25mmol)を加えて、混合物を、室温で1時間静置した。2M HCl/エーテル(0.13ml)の別の部分を加えて、反応バイアルを、円を描くようにスワーリングさせて、次いで30分間静置した。反応混合物を蒸発乾固させて、減圧乾燥して、trans−rac−2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−N−[(3R,4R)−4−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピロリジン−3−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボキサミド二塩酸塩 EV−AE3989−001[15mg(97%)]をオフホワイトの結晶固体として得た。LCMS(方法C):保持時間2.80min,M/z=541(M+1).
【0139】
実施例2.trans−tert−ブチル(3S,4S)−3−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}−4−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピロリジン−1−カルボキシレートおよびtrans−tert−ブチル(3R,4R)−3−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}−4−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピロリジン−1−カルボキシレート−EV−AU3235−001およびEV−AU3235−002−工程9を得るためのキラルHPLC
【0140】
スキーム1, 工程9
【化69】
【0141】
trans−rac−tert−ブチル(3R,4R)−3−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}−4−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピロリジン−1−カルボキシレート(115mg)を、キラルHPLC(方法E)により精製して、trans−tert−ブチル(3S,4S)−3−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}−4−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピロリジン−1−カルボキシレート EV−AU3235−001(35mg)(任意に割り当てられた絶対立体化学)およびtrans−tert−ブチル(3R,4R)−3−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}−4−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピロリジン−1−カルボキシレート EV−AU3235−002 (39mg)を得た(任意に割り当てられた絶対立体化学)。
EV−AU3235−001 キラル純度(UV,254nm):100%,保持時間:1.89min(方法F)
EV−AU3235−002 キラル純度(UV,254nm):99%,保持時間:2.27min(方法F)
【0142】
実施例3.2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−N−[(3S,4S)−4−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピロリジン−3−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボキサミド三塩酸塩−I−5,EV−AU3253−001−工程8の合成
【0143】
スキーム1, 工程8
【化70】
【0144】
Tert−ブチル(3S,4S)−3−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}−4−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピロリジン−1−カルボキシレート(EV−AU3253−001,35mg,0.054mmol)を、工程8,スキーム1の通りに処理して、2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−N−[(3S,4S)−4−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピロリジン−3−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボキサミド I−5,EV−AU3253−001[35mg(99%)]を白色粉末として得た。LCMS(方法A):保持時間1.43min,M/z=541(M+1).
【0145】
実施例4.2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−N−[(3R,4R)−4−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピロリジン−3−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボキサミド三塩酸塩−I−4,EV−AU3254−001−工程8の合成
スキーム1,工程8
【化71】
【0146】
Tert−ブチル(3R,4R)−3−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}−4−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピロリジン−1−カルボキシレート(EV−AU3254−001,39mg,0.06mmol)を、工程8,スキーム1の通りに処理して、2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−N−[(3R,4R)−4−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピロリジン−3−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボキサミド三塩酸塩I−4,EV−AU3254−001[39mg(98%)]をオフホワイトの粉末として得た。LCMS(方法A):保持時間1.44min,M/z=541(M+1).
【0147】
スキーム1(スキーム1.1−1.9)についての特定ケース
実施例5.
Rac−2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−インドール−2−イル]−N−[(3R,4R)−4−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピロリジン−3−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボキサミド,I−2の合成
【0148】
Rac−2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−インドール−2−イル]−N−[(3R,4R)−4−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピロリジン−3−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボキサミド EV−AU9306−001(EOAI3449033,I−2)を、スキーム1.1:
スキーム1.1
【化72】

に記載した通りにメチル 3−アミノ−5−メトキシ−4−(メチルアミノ)ベンゾエート EV−AR0068−002の合成を介して、スキーム1に記載した通りに合成した。
【0149】
メチル 3−メトキシ−4−(メチルアミノ)−5−ニトロベンゾエート EV−AR0065−002−工程1
メチル 4−クロロ−3−メトキシ−5−ニトロベンゾエート(CAS 63603−09−8,2.00g,8.14mmol)/DMF(10ml)の攪拌溶液に、KCO(99%,1.37g,9.81mmol)を加えた。この溶液に、メタンアミン塩酸塩(1:1)(0.62g,9.18mmol)を加えて、混合物を、密封管内で、窒素下において、80℃で16時間攪拌した。反応粗生成物を、減圧濃縮して、DCM(100ml)および水(10ml)に分配した。有機層を、さらに水(2x10ml)および飽和塩化ナトリウム水溶液(10ml)で洗った。有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、濾過して、減圧濃縮して、橙色の粉末を得て、これをフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(15〜40%EtOAc/ヘプタン)、メチル 3−メトキシ−4−(メチルアミノ)−5−ニトロベンゾエート EV−AR0065−002[1.49g(76%)]を橙色の粉末として得た。LCMS(方法D):保持時間1.13min,M/z=241(M+1).
【0150】
メチル 3−アミノ−5−メトキシ−4−(メチルアミノ)ベンゾエート EV−AR0068−002−工程2
メチル 3−メトキシ−4−(メチルアミノ)−5−ニトロベンゾエート(EV−AR0065−002,1.49g,6.20mmol)/エタノール(100ml)の攪拌溶液に、窒素下において、10%Pd/C(0.18g,0.17mmol)を加えて、得られる混合物を、室温で16時間、水素雰囲気下において攪拌した。反応混合物を、Kieselguhrを通して濾過して、濾液を、メタノール(150ml)を用いて洗い流した。濾液を減圧濃縮して、メチル 3−アミノ−5−メトキシ−4−(メチルアミノ)ベンゾエート EV−AR0068−002[1.21g(89%)]を淡紫色粉末として得た。LCMS(方法D):保持時間0.63min,M/z=211(M+1).
【0151】
実施例6.Rac−(3R,4S)−4−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−3−イル プロパ−2−エノエート,I−11の合成
Rac−(3R,4S)−4−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−3−イル プロパ−2−エノエート EV−AE3981−002(EOAI3441779,I−11)を、スキーム1:に記述した通りに合成した2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボン酸 EV−AR3168−002から、スキーム1.2,工程1〜3に記述した方法に従って合成した。
【0152】
Cis−rac−tert−ブチル(3R,4S)−3−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート EV−AE3975−001−工程1
【0153】
スキーム1.2 工程1
【化73】
【0154】
DMF(3ml)中の2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボン酸(EV−AR3168−002,100mg,0.29mmol)およびHATU(131mg,0.35mmol)の攪拌溶液に、DIPEA(60μl,0.35mmol)を加えた。得られる混合物を、室温で1時間攪拌して、次いでcis−rac−tert−ブチル(3S,4R)−3−アミノ−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート(CAS 138026−97−8,70mg,0.35mmol)を加えて、該反応を2時間続けた。この反応を、EtOAc(5ml)で希釈して、水(5ml)で洗った。有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、濾過して、減圧濃縮した。粗生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(0〜5%MeOH/DCM)、cis−rac−tert−ブチル 3−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート EV−AE3975−001[135mg(84%)]を褐色粉末として得た。LCMS(方法D):保持時間1.14min,M/z=531(M+1).
【0155】
Cis−rac−tert−ブチル 3−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}−4−(プロパ−2−エノイルオキシ)ピロリジン−1−カルボキシレート EV−AE3979−001−工程2
【0156】
スキーム1.2 工程2
【化74】
【0157】
cis−rac−tert−ブチル 3−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート(EV−AE3975−001,50mg,0.094mmol)/DCM(1ml)の攪拌溶液に、プロパ−2−エノイルクロリド(CAS 814−68−6,0.011ml,0.14mmol)およびDIPEA(0.025ml,0.14mmol)を加えた。混合物を、室温で1時間攪拌した。反応混合物を、DCM(5ml)で希釈して、水(2ml)および塩水(2ml)で洗った。有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、濾過して、減圧濃縮した。粗生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(0〜3%MeOH/DCM)、cis−rac−tert−ブチル 3−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}−4−(プロパ−2−エノイルオキシ)ピロリジン−1−カルボキシレート EV−AE3979−001[32mg(58%)]を、無色油状物として得た。LCMS(方法D):保持時間1.31min,M/z=585(M+1).
【0158】
Cis−rac−(3R,4S)−4−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−3−イル プロパ−2−エノエート塩酸塩 EV−AE3981−002−工程3
スキーム1.2 工程3
【化75】
【0159】
2M HCl/エーテル(0.23ml,0.57mmol)を、cis−rac−tert−ブチル 3−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}−4−(プロパ−2−エノイルオキシ)ピロリジン-1-カルボキシレート(EV−AE3979−001,30mg,0.057mmol)に加えて、得られる混合物を、室温で2時間静置した。溶媒を、減圧除去して、固体を、DCM(1ml)と共に共沸させた。溶媒を、減圧除去して、固体を乾燥させて、cis−rac−(3R,4S)−4−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−3−イル プロパ−2−エノエート塩酸塩 EV−AE3981−002[25mg(83%)]をオフホワイトの粉末として得た。LCMS(方法A):保持時間1.96min,M/z=485(M+1).
【0160】
実施例7.Cis−rac−2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−N−[(3R,4R)−4−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピロリジン−3−イル]−N,1−ジメチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボキサミド,I−1の合成
【0161】
Cis−rac−2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−N−[(3R,4R)−4−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピロリジン−3−イル]−N,1−ジメチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボキサミド EV−AU3282−001(EOAI3449646,I−1)を、スキーム1.2:に記述した通りに合成したtert−ブチル 3−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート EV−AU3248−001から、スキーム1.3,工程1〜8に記述した方法に従って合成した。
【0162】
Cis−rac−tert−ブチル(3R,4S)−3−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−4−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−1−カルボキシレート EV−AU3250−001−工程1
【0163】
スキーム1.3 工程1
【化76】
【0164】
cis−rac−tert−ブチル(3R,4S)−3−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボキシレート(EV−AU3248−001,820mg,1.55mmol)/DMF(7.5ml)の攪拌溶液に、イミダゾール(158mg,2.32mmol)およびTBDMSCl(280mg,1.85mmol)を加えた。反応を、室温で16時間攪拌した。反応を、水(20ml)で希釈して、EtOAc(3x10ml)で抽出した。有機層を合わせて、水(2x20ml)で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、濾過して、減圧濃縮した。粗生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(50〜100%EtOAc/ヘプタン)、cis−rac−tert−ブチル(3R,4S)−3−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−4−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−1−カルボキシレート EV−AU3250−001[638mg(61%)]を無色粉末として得た。LCMS(方法D):保持時間1.55min,M/z=645(M+1).
【0165】
Cis−rac−tert−ブチル(3R,4S)−3−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−4−{N−メチル2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−1−カルボキシレート EV−AU3257−001−工程2
【0166】
スキーム1.3 工程2
【化77】
【0167】
cis−rac−tert−ブチル(3R,4S)−3−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−4−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−1−カルボキシレート(EV−AU3250−001,630mg,0.98mmol)/THF(12ml)の攪拌溶液に、−78℃で、2M NaHMDS/THF(1.47ml)を加えて、反応を、10分間攪拌させた。ヨードメタン(0.36ml,5.86mmol)を、次いで加えて、反応を、3時間攪拌しながら室温まで昇温させた。反応混合物を、ジエチルエーテル(20ml)で希釈して、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10ml)、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液(10ml)で洗った。有機抽出物を、次いで硫酸ナトリウムを用いて乾燥させて、濾過して、減圧濃縮した。粗生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(40〜100%EtOAc/ヘプタン)、cis−rac−tert−ブチル(3R,4S)−3−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−4−{N−メチル2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−1−カルボキシレート EV−AU3257−001[470mg(67%)]を無色粉末として得た。LCMS(方法D):保持時間1.60min,M/z=659(M+1).
【0168】
Cis−rac−tert−ブチル(3R,4S)−3−ヒドロキシ−4−{N−メチル2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−1−カルボキシレート EV−AU3260−001−工程3
【0169】
スキーム1.3 工程3
【化78】
【0170】
Cis−rac−tert−ブチル(3R,4S)−3−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−4−{N−メチル2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−1−カルボキシレート(EV−AU3257−001,420mg,0.64mmol)/THF(7ml)の攪拌溶液に、0℃で、1M TBAF/THF(1.27ml)を加えた。反応を、室温へ昇温させて、1時間攪拌した。反応混合物を、EtOAc(10ml)で希釈して、水(3x10ml)および飽和塩化ナトリウム水溶液(10ml)で洗った。有機抽出物を、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、濾過して、減圧濃縮した。粗生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(0〜10%MeOH/EtOAc)、cis−rac−tert−ブチル(3R,4S)−3−ヒドロキシ−4−{N−メチル2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−1−カルボキシレート EV−AU3260−001[379mg(98%)]を無色粉末として得た。LCMS(方法D):保持時間1.18min,M/z=545(M+1).
【0171】
Cis−rac−tert−ブチル(3R,4S)−3−(メタンスルホニルオキシ)−4−{N−メチル2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−1−カルボキシレート EV−AU3262−001−工程4
【0172】
スキーム1.3 工程4
【化79】
【0173】
rac−tert−ブチル(3R,4S)−3−ヒドロキシ−4−{N−メチル2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−1−カルボキシレート(EV−AU3260−001,379mg,0.7mmol)/DCM(10ml)の攪拌溶液に、0℃で、EtN(145μl,1.04mmol)およびMsCl(65μl,0.84mmol)を加えた。反応を、2時間攪拌しながら室温に到達させた。反応混合物を、水(5ml)で洗い、有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、濾過して、減圧下で濃縮して、cis−rac−tert−ブチル(3R,4S)−3−(メタンスルホニルオキシ)−4−{N−メチル2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−1−カルボキシレート EV−AU3262−001[410mg(95%)]を無色粉末として得た。LCMS(方法D):保持時間1.24min,M/z=623(M+1).
【0174】
Trans−rac−tert−ブチル(3R,4R)−3−アジド−4−{N−メチル2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−1−カルボキシレート EV−AU3263−001−工程5
【0175】
スキーム1.3 工程5
【化80】
【0176】
cis−rac−tert−ブチル(3R,4S)−3−(メタンスルホニルオキシ)−4−{N−メチル2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−1−カルボキシレート(EV−AU3262−001,410mg,0.66mmol)/DMSO(2ml)の攪拌溶液に、アジ化ナトリウム(128mg,1.98mmol)を加えて、この反応を、90℃で14時間攪拌した。反応を、次いで室温に下げて、EtOAc(10ml)で希釈した。溶液を、水(3x10ml)、飽和塩化ナトリウム水溶液(2x10ml)で洗い、有機抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させて、濾過して、減圧濃縮した。粗生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(50〜100%EtOAc/ヘプタンで溶出する)、trans−rac−tert−ブチル(3R,4R)−3−アジド−4−{N−メチル2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−1−カルボキシレート EV−AU3263−001[272mg(72%)]を無色粉末として得た。LCMS(方法D):保持時間1.32min,M/z=570(M+1).
【0177】
Trans−rac−tert−ブチル(3R,4R)−3−アミノ−4−{N−メチル2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−1−カルボキシレート EV−AU3267−001−工程6
【0178】
スキーム1.3 工程6
【化81】
【0179】
trans−rac−tert−ブチル(3R,4R)−3−アジド−4−{N−メチル2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−1−カルボキシレート(EV−AU3263−001,272mg,0.48mmol)/EtOAc(8ml)の溶液を、水素雰囲気下において、室温で12時間攪拌した。反応混合物を、フィルターペーパーに通して濾過して、濾液を、MeOHで洗い、濾液を減圧濃縮して、trans−rac−tert−ブチル(3R,4R)−3−アミノ−4−{N−メチル2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−1−カルボキシレート EV−AU3267−001[230mg(80%)]をオフホワイトの粉末として得た。LCMS(方法D):保持時間1.07min,M/z=544(M+1).
【0180】
Trans−rac−tert−ブチル(3R,4R)−3−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]−4−{N−メチル2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−1−カルボキシレート EV−AU3279−001−工程7
【0181】
スキーム1.3 工程7
【化82】
【0182】
trans−rac−tert−ブチル(3R,4R)−3−アミノ−4−{N−メチル2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−1−カルボキシレート(EV−AU3267−001,70mg,0.13mmol)および(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン酸 塩酸塩(26mg,0.15mmol)/DMF(1ml)の攪拌溶液に、HATU(59mg,0.15mmol)およびDIPEA(49μl,0.28mmol)を加えて、反応を、室温で2時間攪拌した。次いで溶媒を、減圧除去して、粗生成物をを、分取HPLC(酸性方法)により精製して、trans−rac−tert−ブチル(3R,4R)−3−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]−4−{N−メチル2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−1−カルボキシレート EV−AU3279−001[20mg(24%)]をオフホワイトの固体として得た。LCMS(方法D):保持時間1.14min,M/z=655(M+1).
【0183】
Trans−rac−2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−N−[(3R,4R)−4−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピロリジン−3−イル]−N,1−ジメチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボキサミド塩酸塩,I−1(EV−AU3282−001)−工程8
【0184】
スキーム1.3 工程8
【化83】
【0185】
2M HCl/ジエチルエーテル(0.76ml)を、trans−rac−tert−ブチル(3R,4R)−3−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]−4−{N−メチル2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピロリジン−1−カルボキシレート(EV−AU3279−001,20mg,0.03mmol)に加えて、得られる混合物を、室温で2時間攪拌した。反応混合物を、減圧濃縮して、rac−2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−N−[(3R,4R)−4−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピロリジン−3−イル]−N,1−ジメチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボキサミド塩酸塩 I−1(EV−AU3282−001)[17mg(78%)]をオフホワイトの固体として得た。LCMS(方法A):保持時間1.43min,M/z=555(M+1).
【0186】
実施例8.Cis−rac−(2E)−N−[(3R,4S)−3−アミノ−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−4−イル]−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド,I−3の合成
【0187】
Cis−rac−(2E)−N−[(3R,4S)−3−アミノ−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−4−イル]−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド EV−AU3261−001(EOAI3449030,I−3)を、スキーム1:に記述した通りに合成した中間体メチル 2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボキシレート EV−AR6658−001を用いて、スキーム1.4,工程1〜10に記述した方法に従って合成した。
【0188】
Trans−rac−tert−ブチル(3R,4R)−3−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレート EV−AU3233−001−工程1
【0189】
スキーム1.4 工程1
【化84】
【0190】
trans−rac−tert−ブチル(3R,4R)−3−アミノ−4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレート(250mg,1.16mmol)/DCM(5ml)の溶液に、0℃で、トリエチルアミン(484μl,3.47mmol)およびベンジルクロロホルメート(198μl,1.39mmol)を加えた。反応混合物を、0℃で15分間攪拌しつづけた。溶液を、室温まで温めて、さらに12時間攪拌した。反応を、水(10ml)でクエンチして、DCM(3x10ml)で抽出した。合わせた有機画分を、硫酸ナトリウムで乾燥させて、濾過して、減圧濃縮した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィーにより精製して(20〜80%EtOAc/ヘプタン)、trans−rac−tert−ブチル(3R,4R)−3−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレート EV−AU3233−001[0.21g(52%)]を無色粘性油として得た。LCMS(方法D):保持時間1.12min,M/z=373(M+Na).
【0191】
Trans−rac−ベンジルN−[(3R,4R)−4−ヒドロキシピペリジン−3−イル]カルバメート塩酸塩 EV−AU3238−001−工程2
【0192】
スキーム1.4 工程2
【化85】
【0193】
Trans−rac−tert−ブチル(3R,4R)−3−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレート(EV−AU3233−001およびEV−AU3236−001を合わせる、390mg,1.11mmol)を、4M HCl/ジオキサン(5.56ml)に溶解して、室温で1時間攪拌した。溶媒を、減圧下で除去して、trans−rac−ベンジルN−[(3R,4R)−4−ヒドロキシピペリジン−3−イル]カルバメート塩酸塩 EV−AU3238−001[0.27g(86%)]を白色固体として得た。LCMS(方法D):保持時間0.64min,M/z=251(M+1).
【0194】
Trans−rac−ベンジルN−[(3R,4R)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−4−ヒドロキシピペリジン−3−イル]カルバメート EV−AU3240−001−工程3
【0195】
スキーム1.4 工程3
【化86】
【0196】
メチル 2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボキシレート(EV−AR6658−001,330mg,0.95mmol)/DMF(5ml)の溶液に、DIPEA(0.55ml,3.33mmol)およびHATU(435mg,1.14mmol)を加えて、反応を、窒素下において、室温で1時間攪拌した。ベンジルN−[(3R,4R)−4−ヒドロキシピペリジン−3−イル]カルバメート塩酸塩(273mg,0.95mmol)を加えて、反応を、室温で更に2時間攪拌した。反応を、水(5ml)でクエンチして、酢酸エチル(5mlx3)で抽出した。有機抽出物を合わせてを、水(5ml)および飽和塩化ナトリウム水溶液(2x5ml)で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させて、濾過して、減圧濃縮した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィーにより精製して(50〜100%EtOAc/ヘプタン、次いで0〜20%MeOH/EtOAc)、trans−rac−ベンジルN−[(3R,4R)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−4−ヒドロキシピペリジン−3−イル]カルバメート EV−AU3240−001[0.48g(70%)]を無色粘性油として得た。LCMS(方法D):保持時間1.11min,M/z=579(M+1).
【0197】
Trans−rac−(3R,4R)−3−アミノ−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−4−オール EV−AU3242−001−工程4
【0198】
スキーム1.4 工程4
【化87】
【0199】
trans−rac−ベンジルN−[(3R,4R)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−4−ヒドロキシピペリジン−3−イル]カルバメート(EV−AU3240−001,480mg,0.83mmol)/エタノール(10ml)の溶液を、室温で12時間、水素雰囲気下、Pd/C(5%,176.55mg,0.08mmol)の存在下で攪拌した。反応を、Kieselguhrパッドに通して濾過して、濾液を、MeOHで洗い、減圧下で濃縮して、trans−rac−(3R,4R)−3−アミノ−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−4−オール EV−AU3242−001[0.38g(90%)]を白色固体として得た。LCMS(方法D):保持時間0.90min,M/z=445(M+1).
【0200】
Trans−rac−tert−ブチル N−[(3R,4R)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−4−ヒドロキシピペリジン−3−イル]カルバメート EV−AU3245−001−工程5
【0201】
スキーム1.4 工程5
【化88】
【0202】
trans−rac−(3R,4R)−3−アミノ−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−4−オール(EV−AU3242−001,87%,380mg,0.74mmol)/DCM(5ml)の溶液に、トリエチルアミン(114μl,0.82mmol)およびジ−tert−ブチルジカーボネート(178mg,0.82mmol)を加えて、この反応を、室温で1時間攪拌した。反応を、飽和炭酸水素ナトリウムを用いてクエンチして、DCM(10ml)で抽出した。水層を、DCM(10ml)で洗い、有機抽出物を、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、濾過して、減圧下で濃縮して、trans−rac−tert−ブチル N−[(3R,4R)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−4−ヒドロキシピペリジン−3−イル]カルバメート EV−AU3245−001[0.27g(63%)]を白色固体として得た。LCMS(方法D):保持時間1.09min,M/z=545(M+1).
【0203】
Trans−rac−tert−ブチル N−[(3R,4R)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−4−(メタンスルホニルオキシ)ピペリジン−3−イル]カルバメート EV−AU3251−001−工程6
【0204】
スキーム1.4 工程6
【化89】
【0205】
trans−rac−tert−ブチル N−[(3R,4R)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−4−ヒドロキシピペリジン−3−イル]カルバメート(EV−AU3245−001,269mg,0.49mmol)/DCM(8ml)の溶液に、0℃で、トリエチルアミン(103μl,0.74mmol)および塩化メシル(46μl,0.59mmol)を加えた。反応を攪拌して、2時間かけて室温に到達させた。反応混合物を、水(5ml)で洗い、有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、濾過して、減圧下で濃縮して、trans−rac−tert−ブチル N−[(3R,4R)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−4−(メタンスルホニルオキシ)ピペリジン−3−イル]カルバメート EV−AU3251−001[0.31g(81%)]を無色粘性油として得た。LCMS(方法D):保持時間1.18min,M/z=623(M+1).
【0206】
Cis−rac−tert−ブチル N−[(3R,4S)−4−アジド−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−イル]カルバメート EV−AU3252−001−工程7
【0207】
スキーム1.4 工程7
【化90】
【0208】
trans−rac−tert−ブチル N−[(3R,4R)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−4−(メタンスルホニルオキシ)ピペリジン−3−イル]カルバメート(EV−AU3251−001,313mg,0.5mmol)/DMSO(1.5ml)の溶液に、アジ化ナトリウム(98mg,1.51mmol)を加えて、反応を、90℃で14時間攪拌し続けた。反応を、室温に冷却して、EtOAc(10ml)で希釈した。有機層を、水(3x10ml)および飽和塩化ナトリウム水溶液(2x10ml)で洗った。有機抽出物を、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、濾過して、減圧濃縮した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィーにより精製して(50〜100%EtOAc/ヘプタン)、cis−rac−tert−ブチル N−[(3R,4S)−4−アジド−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−イル]カルバメート EV−AU3252−001[0.12g(43%)]を白色固体として得た。LCMS(方法D):保持時間1.25min,M/z=570(M+1).
【0209】
Cis−rac−tert−ブチル N−[(3R,4S)−4−アミノ−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−イル]カルバメート EV−AU3256−001−工程8
【0210】
スキーム1.4 工程8
【化91】
【0211】
cis−rac−tert−ブチル N−[(3R,4S)−4−アジド−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−イル]カルバメート(EV−AU3252−001,125mg,0.22mmol)/EtOAc(4ml)の溶液を、Pd/C(5%w/w,47mg,0.02mmol)で処理して、水素一気圧下で12時間攪拌した。粗生成物の混合物を、ガラスファイバーペーパーに通して濾過して、濾液を、MeOHで洗い、濾液を濃縮して、cis−rac−tert−ブチル N−[(3R,4S)−4−アミノ−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−イル]カルバメート EV−AU3256−001[0.10g(85%)]をオフホワイトの固体として得た。LCMS(方法D):保持時間0.98min,M/z=544(M+1).
【0212】
Cis−rac−tert−ブチル N−[(3R,4S)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−4−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピペリジン−3−イル]カルバメート EV−AU3258−001−工程9
【0213】
スキーム1.4 工程9
【化92】

(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン酸 塩酸塩(18mg,0.11mmol)およびcis−rac−tert−ブチル N−[(3R,4S)−4−アミノ−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−イル]カルバメート(EV−AU3256−001,50mg,0.09mmol)/DMF(1ml)の溶液に、HATU(42mg,0.11mmol)およびDIPEA(35μl,0.2mmol)を加えて、反応を室温で2時間攪拌した。溶媒を、減圧下で除去して、粗生成物を分取HPLC(酸性方法)により精製して、cis−rac−tert−ブチル N−[(3R,4S)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−4−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピペリジン−3−イル]カルバメート EV−AU3258−001[25mg(37%)]をオフホワイトの固体として得た。LCMS(方法D):保持時間2.12min,M/z=655(M+1).
【0214】
Cis−rac−(2E)−N−[(3R,4S)−3−アミノ−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−4−イル]−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド,I−3(EV−AU3261−001)−工程10
【0215】
スキーム1.4 工程10
【化93】
【0216】
Cis−rac−tert−ブチル N−[(3R,4S)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−4−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピペリジン−3−イル]カルバメート(EV−AU3258−001,25mg,0.04mmol)を、2M HCl/ジエチルエーテル(1.93ml)に溶解して、室温で2時間攪拌し続けた。溶媒を、減圧下で除去して、cis−rac−(2E)−N−[(3R,4S)−3−アミノ−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−4−イル]−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド I−3(EV−AU3261−001)[18mg(75%)]をオフホワイトの固体として得た。LCMS(方法A):保持時間1.48min,M/z=555(M+1).
【0217】
実施例9.Cis−rac−2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−N−[(3R,5S)−5−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピペリジン−3−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボキサミド,I−8の合成
【0218】
Cis−rac−2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−N−[(3R,5S)−5−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピペリジン−3−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボキサミド EV−AE3994−001(EOAI3447033,I−8)を、スキーム1:に記述した通りに合成した2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボン酸 EV−AR6658−001から、スキーム1.5,工程1〜3に記述した方法に従って合成した。
【0219】
Cis−rac−tert−ブチル(3R,5S)−3−アミノ−5−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピペリジン−1−カルボキシレート EV−AE3991−001−工程1
【0220】
スキーム1.5 工程1
【化94】
【0221】
2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボン酸(スキーム1の通りに製造したEV−AR6658−001,100mg,0.14mmol)/DMF(1ml)の溶液に、DIPEA(167μl,1.01mmol)およびHATU(132mg,0.35mmol)を加えて、反応を、窒素下において、室温で20分間攪拌し続けた。Cis−rac−tert−ブチル(3R,5S)−3,5−ジアミノピペリジン−1−カルボキシレート(J. Org. Chem., 2013, 78(23), p12236-12242に記述されたとおりに製造されたEV−AU3202−001,155mg,0.72mmol)/DMF(1ml)を加えて、反応を、さらに2時間室温で攪拌した。反応を、水(5ml)でクエンチして、酢酸エチル(5mlx3)で抽出した。有機抽出物を合わせて、飽和塩化ナトリウム水溶液(5ml)で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、濾過して、減圧濃縮した。粗生成物を、分取HPLCにより精製して(酸性方法)、cis−rac−tert−ブチル(3R,5S)−3−アミノ−5−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピペリジン−1−カルボキシレート EV−AE3991−001[22mg(14%)]を白色固体として得た。LCMS(方法D):保持時間1.00min,M/z=544(M+1).
【0222】
Cis−rac−tert−ブチル(3R,5S)−3−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}−5−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピペリジン−1−カルボキシレート EV−AE3993−001−工程2
【0223】
スキーム1.5 工程2
【化95】
【0224】
乾燥DMF(0.5ml)中のcis−rac−tert−ブチル(3R,5S)−3−アミノ−5−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}ピペリジン−1−カルボキシレート(EV−AE3991−001,22mg,0.04mmol)、(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン酸 塩酸塩(8mg,0.049mmol)およびHATU(18mg,0.049mmol)の溶液を、室温で、DIPEA(16μl,0.089mmol)で処理した。混合物を、室温で20分間攪拌した。反応混合物を、EtOAc(5ml)で希釈して、水(2ml)で洗った。水層をEtOAc(5ml)で抽出した。EtOAc層を合わせて、飽和塩化ナトリウム水溶液(5ml)で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、濾過して、減圧濃縮した。粗生成物を、分取HPLC(酸性方法)により精製して、cis−rac−tert−ブチル(3R,5S)−3−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}−5−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピペリジン−1−カルボキシレート EV−AE3993−001[6mg(22%)]を無色結晶固体として得た。LCMS(方法D):保持時間1.03min,M/z=655(M+1).
【0225】
Cis−rac−2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−N−[(3R,5S)−5−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピペリジン−3−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボキサミド二塩酸塩,I−8(EV−AE3994−001)−工程3
【0226】
スキーム1.5 工程3
【化96】
【0227】
cis−rac−tert−ブチル(3R,5S)−3−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−アミド}−5−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピペリジン−1−カルボキシレート(EV−AE3993−001,6mg,0.009mmol)に、2M HCl/エーテル(0.05ml,0.092mmol)を加えた。懸濁混合物を、室温で1時間静置した。別の一部の2M HCl/エーテル(0.05ml)を加えて、反応混合物を、短時間攪拌して、次いで30分間静置した。反応混合物を、濃縮乾固させて、rac−2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−N−[(3R,5S)−5−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピペリジン−3−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボキサミド二塩酸塩 I−8(EV−AE3994−001)[5mg(92%)]を白色粉末として得た。LCMS(方法C):保持時間2.90min,M/z=555(M+1).
【0228】
実施例10.Cis−rac−(2E)−N−[(3R,5S)−5−アミノ−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−イル]−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド,I−10の合成
【0229】
Cis−rac−(2E)−N−[(3R,5S)−5−アミノ−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−イル]−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド EV−AU3215−001(EOAI3442261,I−10)を、2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボン酸(スキーム1に記述した通りに合成した)から、スキーム1.6,工程1〜5に記述した方法に従って合成した。
【0230】
6,7−ジベンジル 3−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−3,6,7−トリアザビシクロ[3.2.1]オクタン−6,7−ジカルボキシレート EV−AT0494−001−工程1
【0231】
スキーム1.6 工程1
【化97】
【0232】
2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボン酸(EV−AT0481−001,410mg,1.18mmol)/DMF(8ml)の溶液に、DIPEA(235μl,1.42mmol)およびHATU(540mg,1.42mmol)を加えて、反応を、窒素下において、室温で1時間攪拌した。6,7−ジベンジル 3,6,7−トリアザビシクロ[3.2.1]オクタン−6,7−ジカルボキシレート(J. Org. Chem., 2013, 78(23), p12236-12242,497mg,1.3mmolに記述した通りに製造したEV−AT0491−001)/DMF(2ml)を加えて、この反応を、さらに2時間攪拌した。混合物を、飽和塩化アンモニウム水溶液(5ml)を用いてクエンチして、酢酸エチル(5mlx3)で抽出した。有機抽出物を合わせて、水(5ml)、飽和塩化ナトリウム水溶液(5ml)で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、濾過して、減圧濃縮した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィーにより精製して(80:100 EtOAc/ヘプタン、次いで0:5%MeOH/EtOAc)、6,7−ジベンジル 3−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−3,6,7−トリアザビシクロ[3.2.1]オクタン−6,7−ジカルボキシレート EV−AT0494−001[0.82g(96%)]を、橙色の固体として得た。LCMS(方法D):保持時間1.28min,M/z=710(M+1).
【0233】
Cis−rac−(3R,5S)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3,5−ジアミン EV−AT0497−001−工程2
【0234】
スキーム1.6 工程2
【化98】
【0235】
0.05Mの6,7−ジベンジル 3−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−3,6,7−トリアザビシクロ[3.2.1]オクタン−6,7−ジカルボキシレート(EV−AT0494−001,22ml)/EtOHの溶液を、Pd/C(10%)触媒カートリッジ上でH−Cube条件(1ml/min,1bar,80℃,全水素モード)に付した。溶媒を、減圧下で除去して、cis−rac−(3R,5S)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3,5−ジアミン EV−AT0497−001[0.41g(82%)]を、橙色の油状物として得た。LCMS(方法D):保持時間0.76min,M/z=444(M+1).
【0236】
蟻酸;cis−tert−ブチル N−(5−アミノ−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−イル)カルバメート EV−AT0498−001−工程3
【0237】
スキーム1.6 工程3
【化99】
【0238】
cis−rac−(3R,5S)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3,5−ジアミン(EV−AT0497−001,415mg,0.94mmol)/DCM(7.5ml)の溶液に、トリエチルアミン(144μl,1.03mmol)およびジ−tert−ブチルジカーボネート(184mg,0.84mmol)を加えて、反応を、室温で1時間攪拌した。反応を、飽和炭酸水素ナトリウムでクエンチして(10ml)、DCM(10ml)で抽出した。水層をDCM(10ml)で洗い、有機抽出物を合わせて、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、濾過して、減圧濃縮した。粗生成物を、逆相カラムクロマトグラフィーにより精製して(10〜90%MeCN/水,両方の溶媒は0.1%蟻酸を含有する)、蟻酸;cis−tert−ブチル N−(5−アミノ−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−イル)カルバメート EV−AT0498−001[0.17g(30%)]をオフホワイトの固体として得た。LCMS(方法A):保持時間2.17min,M/z=544(M+1).
【0239】
Cis−tert−ブチル N−(1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−5−[(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド]ピペリジン−3−イル)カルバメート EV−AU3206−001−工程4
【0240】
スキーム1.6 工程4
【化100】
【0241】
(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン酸 塩酸塩(20mg,0.12mmol)/DMF(0.5ml)の溶液に、HATU(55mg,0.14mmol)およびDIPEA(60μl,0.36mmol)を加えて、溶液を、室温で1時間攪拌した。蟻酸;cis−tert−ブチル N−(5−アミノ−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−イル)カルバメート(EV−AT0498−001,52.52mg,0.1mmol)/DMF(0.5ml)を加えて、反応を、更に3時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去して、粗生成物を、分取HPLC(酸性方法)により精製して、蟻酸;cis−tert−ブチル N−(5−アミノ−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−イル)カルバメート EV−AU3206−001[14mg(18%)]を白色固体として得た。LCMS(方法A):保持時間2.24min,M/z=655(M+1).
【0242】
Cis−rac−(2E)−N−[(3R,5S)−5−アミノ−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−イル]−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド,I−10(EV−AU3215−001)−工程5
【0243】
スキーム1.6 工程5
【化101】
【0244】
蟻酸;cis−tert−ブチル N−(5−アミノ−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−イル)カルバメート(EV−AU3206−001,14mg,0.02mmol)を、2M HCl/ジエチルエーテル(1.08ml)に溶解して、室温で2時間攪拌した。反応混合物を、減圧下で濃縮して、cis−rac−(2E)−N−[(3R,5S)−5−アミノ−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−イル]−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド I−10,(EV−AU3215−001)[19mg(91%)]をオフホワイトの固体として得た。LCMS(方法A):保持時間1.33min,M/z=555(M+1).
【0245】
実施例11.(2E)−N−[2−(1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−イル}−N−[2−(1H−イミダゾール−5−イル)エチル]ホルムアミド)エチル]−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド,I−7の合成
【0246】
(2E)−N−[2−(1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−イル}−N−[2−(1H−イミダゾール−5−イル)エチル]ホルムアミド)エチル]−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド EV−AE3995−001(EOAI3447034,I−7)を、スキーム1:に記述したとおりに合成した2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボン酸 EV−AR3168−002から、スキーム1.7,工程1〜4に記述した方法に従って合成した。
【0247】
Tert−ブチル N−(2−{[2−(1H−イミダゾール−5−イル)エチル]アミノ}エチル)カルバメート EV−AU3211−001−工程1
【0248】
スキーム1.7 工程1
【化102】
【0249】
tert−ブチル N−(2−オキソエチル)カルバメート(CAS 89711−08−0,649mg,4.07mmol)および2−(1H−イミダゾール−5−イル)エタン−1−アミン二塩酸塩(CAS 56−92−8,500mg,2.72mmol)/MeOH(15ml)の攪拌溶液に、酢酸(0.16ml,2.72mmol)を加えて、次いで三アセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2.0g,9.42mmol)を滴加した。反応溶液を、室温で16時間攪拌した。溶媒を、減圧除去して、残留物を、逆相フラッシュクロマトクロマトグラフィー(10〜100%MeCN/水,0.1%NHを含有する双方の溶媒)により精製して、tert−ブチル N−(2−{[2−(1H−イミダゾール−5−イル)エチル]アミノ}エチル)カルバメート EV−AU3211−001[80mg(9%)]を黄色油状物として得た。LCMS(方法J):保持時間1.28min,M/z=255(M+1).263327
【0250】
Tert−ブチル N−[2−(1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−イル}−N−[2−(1H−イミダゾール−5−イル)エチル]ホルムアミド)エチル]カルバメート EV−AU3217−001−工程2
【0251】
スキーム1.7 工程2
【化103】
【0252】
2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボン酸(EV−AR3168−002,109mg,0.31mmol)/DMF(2ml)の攪拌溶液に、HATU(132mg,0.35mmol)およびDIPEA(110μl,0.63mmol)を加えて、反応を、室温で2時間攪拌した。反応混合物を、分取HPLC(塩基性方法)に直接供して、tert−ブチル N−[2−(1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−イル}−N−[2−(1H−イミダゾール−5−イル)エチル]ホルムアミド)エチル]カルバメート EV−AU3217−001[25mg(14%)]を無色粉末として得た。LCMS(方法D):保持時間0.99min,M/Z=583(M+1).
【0253】
N−(2−アミノエチル)−2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−N−[2−(1H−イミダゾール−5−イル)エチル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボキサミド二塩酸塩 EV−AE3992−001−工程3
【0254】
スキーム1.7 工程3
【化104】

2M HCl/エーテル(0.22ml,0.43mmol)を、tert−ブチル N−[2−(1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−イル}−N−[2−(1H−イミダゾール−5−イル)エチル]ホルムアミド)エチル]カルバメート(EV−AU3217−001,25mg,0.043mmol)に加えて、得られる混合物を、室温で2時間攪拌した。溶媒を、減圧除去して、残留物を、DCM(2ml)と共に共沸させた。生じる固体を乾燥させて、N−(2−アミノエチル)−2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−N−[2−(1H−イミダゾール−5−イル)エチル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボキサミド二塩酸塩 EV−AE3992−001[27mg(定量的)]を白色粉末として得た。LCMS(方法D):保持時間0.78min,M/z=483(M+1).
【0255】
(2E)−N−[2−(1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−イル}−N−[2−(1H−イミダゾール−5−イル)エチル]ホルムアミド)エチル]−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミドホルメート,I−7(EV−AE3995−001)−工程4
【0256】
スキーム1.7 工程4
【化105】
【0257】
N−(2−アミノエチル)−2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−N−[2−(1H−イミダゾール−5−イル)エチル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボキサミド二塩酸塩(EV−AE3992−001,27mg,0.049mmol)、HATU(22mg,0.058mmol)および(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン酸塩酸塩(10mg,0.058mmol)/乾燥DMF(1ml)の攪拌溶液に、DIPEA(30μl,0.17mmol)を加えた。反応溶液を、室温で20分間攪拌した。溶媒を、減圧除去して、残留物を、分取HPLC(酸性方法)に付して、(2E)−N−[2−(1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−イル}−N−[2−(1H−イミダゾール−5−イル)エチル]ホルムアミド)エチル]−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミドホルメート EV−AE3995−001[2.6mg(8%)]を無色固体として得た。LCMS(方法C):保持時間2.72min,M/z=594(M+1).
【0258】
実施例12.(2E)−N−[(3R)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−イル]−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド,I−12の合成
【0259】
(2E)−N−[(3R)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−イル]−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド EV−AQ1925−001(EOAI3426752,I−12)を、スキーム1:に記述したとおりに合成した2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボン酸 EV−AR3168−002から、スキーム1.8,工程1〜3に記述した方法に従って合成した。
【0260】
Tert−ブチル N−[(3R)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−イル]カルバメート EV−AP0493−002−工程1
【0261】
スキーム1.8 工程1
【化106】
【0262】
2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボン酸(EV−AR3168−002,300mg,0.87mmol)およびHATU(362mg,0.95mmol)/乾燥DMF(9ml)の攪拌溶液に、DIPEA(166μl,0.95mmol)を加えた。反応溶液を、1時間室温で攪拌して、tert−ブチル N−[(3R)−ピペリジン−3−イル]カルバメート(CAS 309956−78−3,208mg,1.04mmol)を加えた。反応溶液を、室温で16時間攪拌して、減圧濃縮した。残留物を、DCM(30ml)と飽和炭酸水素ナトリウム(30ml)に分配した。水層を、DCM(20ml)で抽出して、合わせた有機層を、水(20ml)および飽和塩化ナトリウム水溶液(20ml)で洗い、硫酸マグネシウム上で乾燥させて、濾過して、減圧濃縮した。粗生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(1〜10%MeOH/DCM)、tert−ブチル N−[(3R)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−イル]カルバメート EV−AP0493−002[352mg(76%)]を黄色結晶固体として得た。LCMS(方法D):保持時間1.34min,M/z=529(M+1).
【0263】
(3R)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−アミン塩酸塩 EV−AP4097−001−工程2
【0264】
スキーム1.8 工程2
【化107】
【0265】
tert−ブチル N−[(3R)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−イル]カルバメート(EV−AP0493−002,352mg,0.66mmol)/メタノール(3ml)の攪拌溶液に、4M HCl/ジオキサン(7ml)を加えた。反応溶液を、室温で3時間攪拌した。反応混合物を、減圧濃縮して、生じる固体を乾燥させて、(3R)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−アミン塩酸塩 EV−AP4097−001[299mg(96%)]を黄色粉末として得た。LCMS(方法D):保持時間1.00min,M/z=429(M+1).
【0266】
(2E)−N−[(3R)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−イル]−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド,I−12(EV−AQ1925−001)−工程3
【0267】
スキーム1.8 工程3
【化108】
【0268】
(3R)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−アミン塩酸塩(EV−AP4097−001,50mg,0.11mmol)/DMF(1ml)の攪拌溶液に、(2E)−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エン酸塩酸塩(21mg,0.13mmol)、DIPEA(62mg,0.54mmol)およびTBTU(45mg,0.14mmol)を加えた。混合物を、室温で2時間攪拌した。反応混合物を濾過して、濾液を、分取HPLC(塩基性方法)に用いて、(2E)−N−[(3R)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−イル]−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エンアミド I−12(EV−AQ1925−001)[25mg(43%)]を、白色固体として得た。LCMS(方法A):保持時間1.88min,M/z=540(M+1).
【0269】
実施例13.N−[(3R)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−イル]プロパ−2−エンアミド,I−13の合成
【0270】
N−[(3R)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−イル]プロパ−2−エンアミド EV−AO7886−002(EOAI3426521,I−13)を、スキーム1.8に記述した方法に従って合成した(3R)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−アミン塩酸塩 EV−AP4097−001から、スキーム1.9に記述した方法に従って合成した。
【0271】
スキーム1.9
【化109】
【0272】
N−[(3R)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−イル]プロパ−2−エンアミド,I−13(EV−AO7886−002)−工程1
【0273】
DCM(5ml)中のDIPEA(178μl,1.02mmol)、DMAP(1.2mg,0.01mmol)および(3R)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−アミン塩酸塩(EV−AP4097−001,50mg,0.11mmol)攪拌溶液に、0℃で、プロパ−2−エノイルクロリド(26μl,0.32mmol)/DCM(3ml)の溶液を滴加した。反応溶液を、0℃で1時間攪拌した。水(1ml)を加えて、疎水性フィルターを用いて層を分離した。有機相を、減圧濃縮して、粗生成物を分取HPLC(酸性方法)により精製して、N−[(3R)−1−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}ピペリジン−3−イル]プロパ−2−エンアミド I−13(EV−AO7886−002)[21mg(41%)]を無色結晶固体として得た。LCMS(方法A):保持時間2.61min,M/z=483(M+1).
【0274】
以下の化合物を、上記方法に従って合成した:
【表8】
【表9】
【0275】
実施例14.N−[(1S,4R,6R,7R)−7−アミノ−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−6−イル]−N−メチルプロパ−2−エンアミド,I−16およびN−[(1S,4R,6S,7R)−7−アミノ−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−6−イル]−N−メチルプロパ−2−エンアミド,I−17の合成
【0276】
N−[(1S,4R,6R,7R)−7−アミノ−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−6−イル]−N−メチルプロパ−2−エンアミド I−16(EV−AZ4416−001)(EOAI3478697)LCMS(方法A):保持時間1.93min,M/z=554.4(M+1)およびN−[(1S,4R,6S,7R)−7−アミノ−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−6−イル]−N−メチルプロパ−2−エンアミド I−17(EV−AZ4417−001)(EOAI3478698)LCMS(方法A):保持時間2.10min,M/z=554.4(M+1)を、スキーム1に記述した方法に従って合成した2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボン酸 EV−AV3032−001から、スキーム1.10,工程1−10に記載した方法に従って合成した。
【0277】
スキーム1.10 工程1
【化110】
【0278】
(1R,4R,6S,7R)−7−ブロモ−2−[(1S)−1−フェニルエチル]−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−6−オール EV−AY4949−001−工程1
アセトニトリル:水(1:1,100ml)中の(4R,6R)−3−ブロモ−1−[(1S)−1−フェニルエチル]−1−アザトリシクロ[2.2.1.0]ヘプタン−1−イウム ブロミド(EV−AW8588−001,8.70g,19.4mmol)(Adv. Synth. Catal. 2005, 347, 1242-1246の通りに合成した)の溶液に、65℃で20時間攪拌した。反応混合物を、減圧濃縮して、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(20〜80%EtOAc/ヘプタン)、(1R,4R,6S,7R)−7−ブロモ−2−[(1S)−1−フェニルエチル]−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−6−オール EV−AY4949−001[4.29g(73%)]をオフホワイトの固体として得た。H NMR(250MHz,クロロホルム−d) δ 7.38−7.14(m,5H),4.10(s,2H),3.58(q,J=6.1Hz,1H),3.36−3.23(m,1H),2.65(dt,J=9.0,3.1Hz,1H),2.58−2.46(m,1H),2.28−1.91(m,4H),1.32(d,J=6.4Hz,3H).LCMSデータはない。
【0279】
スキーム1.10 工程2
【化111】
【0280】
(1S,4R,6S,7R)−7−アミノ−2−[(1S)−1−フェニルエチル]−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−6−オール ヒドロブロミド EV−AY4952−001−工程2
【0281】
(1R,4R,6S,7R)−7−ブロモ−2−[(1S)−1−フェニルエチル]−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−6−オール(EV−AY4949−001,4.29g,14.2mmol)を、7N アンモニア/メタノール(15ml)に溶解した。得られる混合物を、65℃で2時間加熱した。溶媒を、減圧除去して、(1S,4R,6S,7R)−7−アミノ−2−[(1S)−1−フェニルエチル]−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−6−オール ヒドロブロミド EV−AY4952−001[4.62g(定量的)]を黄色固体として得た。LCMS(方法D):保持時間0.20min,M/z=233(M+1).
【0282】
スキーム1.10 工程3
【化112】
【0283】
Tert−ブチル N−[(1S,4R,6S,7R)−6−ヒドロキシ−2−[(1S)−1−フェニルエチル]−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート EV−AY4953−001−工程3
【0284】
ジ−tert−ブチルジカーボネート(3.41g,15.6mmol)を、DCM(50ml)中の(1R,4R,6S,7R)−7−アミノ−2−[(1S)−1−フェニルエチル]−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−6−オール ヒドロブロミド(EV−AY4952−001,4.62g,14.2mmol)およびトリエチルアミン(2.97ml,21.28mmol)溶液に加えた。得られる混合物を、室温で2.5時間攪拌して、飽和炭酸水素ナトリウム(35ml)、水(2x30ml)および飽和塩化ナトリウム水溶液(35ml)で洗い、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、減圧濃縮した。得られる固体を、DCM:ジエチルエーテル(1:4,20ml)を用いてトリチュレートして、濾過して、乾燥させて、tert−ブチル N−[(1S,4R,6S,7R)−6−ヒドロキシ−2−[(1S)−1−フェニルエチル]−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート EV−AY4953−001[3.24g(65%)]をオフホワイトの固体として得た。LCMS(方法D):保持時間1.02min,M/z=333(M+1).
【0285】
スキーム1.10 工程4
【化113】
【0286】
Tert−ブチル N−[(1S,4R,6S,7R)−6−ヒドロキシ−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート EV−AW5569−001−工程4
【0287】
tert−ブチル N−[(1S,4R,6S,7R)−6−ヒドロキシ−2−[(1S)−1−フェニルエチル]−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート(EV−AY4953−001,350mg,1.05mmol)/エタノール(10ml)の溶液を、窒素によりパージした。Pd/C(5%,224mg,0.11mmol)を加えて、反応混合物を、窒素でパージして、水素雰囲気下において、12時間攪拌した。反応混合物を、濾紙(メタノールで洗った)により濾過した。濾液を減圧濃縮して、tert−ブチル N−[(1S,4R,6S,7R)−6−ヒドロキシ−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート EV−AW5569−001[170mg(71%)]を白色固体として得た。H NMR(500MHz,クロロホルム−d) δ 5.84(s,1H),3.99(d,J=40.5Hz,2H),3.12(s,1H),2.98(d,J=9.2Hz,1H),2.53−2.41(m,2H),1.98(dd,J=13.7,6.9Hz,1H),1.75(d,J=13.1Hz,1H),1.44(s,9H).LCMSデータはない。
【0288】
スキーム1.10 工程5
【化114】
【0289】
Tert−ブチル N−[(1S,4R,6S,7R)−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−6−ヒドロキシ−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート EV−AY5029−001−工程5
2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボン酸(EV−AV3032−001,0.969g,2.58mmol)/DMF(12ml)の溶液に、HATU(1.08g,2.83mmol)およびDIPEA(1.12ml,6.44mmol)、次いでtert−ブチル N−[(1S,4R,6S,7R)−6−ヒドロキシ−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート(EV−AW5569−001,98%,0.60g,2.58mmol)を加えた。得られる混合物を、室温で30分間攪拌した。反応を、EtOAc(100ml)および水(100ml)で希釈した。有機相を集めて、水相をEtOAc(100ml)で抽出した。有機層を合わせて、飽和塩化ナトリウム水溶液(100ml)で洗い、硫酸マグネシウム上で乾燥させて、減圧濃縮した。粗生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(50〜100%EtOAc/ヘプタン、次いで5%メタノール/EtOAc)、tert−ブチル N−[(1S,4R,6S,7R)−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−6−ヒドロキシ−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート EV−AY5029−001[736mg(48%)]をオフホワイトの固体として得た。LCMS(方法D)保持時間1.19min,M/z=587(M+1).
【0290】
スキーム1.10 工程6
【化115】
【0291】
Tert−ブチル N−[(1S,4R,7R)−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−6−オキソ−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート EV−AZ4415−001−工程6
【0292】
tert−ブチル N−[(1S,4R,6S,7R)−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−6−ヒドロキシ−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート(EV−AY5029−001,490mg,0.84mmol)/DCM(10ml)の溶液に、0℃で、デス・マーチン・ペル・ヨージナン(710mg,1.67mmol)を加えて、反応溶液を、室温まで昇温させた。反応混合物を、24時間攪拌して、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(10ml)を用いてクエンチして、DCM(3x20ml)で抽出した。有機層を合わせて、硫酸ナトリウム上で乾燥させて、濾過して、減圧濃縮した。残留物を、分取HPLC(酸性方法)により精製して、tert−ブチル N−[(1S,4R,7R)−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−6−オキソ−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート EV−AZ4415−001[471mg(89%)]を白色固体として得た。LCMS(方法D):保持時間1.25min,M/z=585(M+1).
【0293】
スキーム1.10 工程7
【化116】
【0294】
Tert−ブチル N−[(1S,4R,7R)−6−[ベンジル(メチル)アミノ]−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート EV−AZ4411−003−工程7
【0295】
tert−ブチル N−[(1S,4R,7R)−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−6−オキソ−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート(EV−AZ4415−001,86%,109mg,0.16mmol)/DCE(1.5ml)の溶液を、室温で攪拌して、活性化した3Aモレキュラー・シーブと共に攪拌した。N−メチル−1−フェニルメタンアミン(41μl,0.32mmol)、三アセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(STAB,51mg,0.24mmol)および酢酸(10μl,0.17mmol)を加えて、この反応溶液を、室温で72時間攪拌した。反応混合物を濾過して、モレキュラー・シーブをDCM(20ml)で洗った。DCM溶液を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(15ml)で洗い、この水溶液をDCM(3x15ml)で再抽出した。有機層を合わせて、飽和塩化ナトリウム水溶液(15ml) で洗い、硫酸マグネシウム上で乾燥させて、減圧濃縮した。粗生成物をメタノール中(5ml)に溶解して、2g SCX−IIカートリッジにロードした。カートリッジにメタノールおよび2.8M アンモニア/メタノールを通し流した。対応する分画を、減圧濃縮して、tert−ブチル N−[(1S,4R,7R)−6−[ベンジル(メチル)アミノ]−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート EV−AZ4411−003[71mg(52%)]を、無色油状物として得た。LCMS(方法H):保持時間4.43minおよび4.83min,M/z=690(M+1).
【0296】
スキーム1.10 工程8
【化117】
【0297】
Tert−ブチル N−[(1R,4R,6S,7R)−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−6−(メチルアミノ)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート EV−AZ4413−002−工程8
【0298】
0.05M tert−ブチル N−[(1S,4R,6S,7R)−6−[ベンジル(メチル)アミノ]−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート(EV−AZ4411−003,81%,71mg,0.08mmol)/メタノール(2.1ml)の溶液を、パールマン触媒(20%Pd(OH)/C)カートリッジ上にてH−Cube条件(1ml/min,60バール,60℃,2回通過)に供した。得られる溶液を、減圧濃縮して、tert−ブチル N−[(1R,4R,6S,7R)−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−6−(メチルアミノ)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート EV−AZ4413−002[45mg(60%)]を黄色油状物として得た。LCMS(方法D):保持時間1.08min,M/z=600(M+1).
【0299】
スキーム1.10 工程9
【化118】
【0300】
Tert−ブチル N−[(1S,4R,6R,7R)−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−6−(N−メチルプロパ−2−エンアミド)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート EV−AZ4414−002およびtert−ブチル N−[(1S,4R,6S,7R)−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−6−(N−メチルプロパ−2−エンアミド)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート EV−AZ4414−003−工程9
tert−ブチル N−[(1R,4R,6S,7R)−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−6−(メチルアミノ)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート(EV−AZ4413−002,67%,45mg,0.05mmol)/ジオキサン(0.5ml)の溶液に、トリエチルアミン(14μl,0.1mmol)、次いでプロパ−2−エノイルクロリド(9μl,0.11mmol)を加えた。反応混合物を、室温で50分間攪拌した。追加のプロパ−2−エノイルクロリド(5ul)を、反応混合物に加えて、攪拌をさらに1.5時間続けた。得られる反応混合物を、減圧濃縮して、分取HPLC(酸性方法)により精製して、tert−ブチル N−[(1S,4R,6R,7R)−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−6−(N−メチルプロパ−2−エンアミド)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート EV−AZ4414−002(任意に割り当てられたキラリティ)[14mg(37%)]を、白色固体として得た。LCMS(方法A):保持時間3.19min,M/z=654(M+1).tert−ブチル N−[(1S,4R,6S,7R)−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−6−(N−メチルプロパ−2−エンアミド)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート EV−AZ4414−003(任意に割り当てられたキラリティ)[4.4mg(12%)]を、白色固体として単離した。LCMS(方法A):保持時間3.29min,M/z=654(M+1).
【0301】
スキーム1.10 工程10
【化119】
【0302】
N−[(1S,4R,6R,7R)−7−アミノ−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−6−イル]−N−メチルプロパ−2−エンアミド;トリフルオロ酢酸 I−16(EV−AZ4416−001)(EOAI3478697)−工程10
【0303】
tert−ブチル N−[(1S,4R,6R,7R)−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−6−(N−メチルプロパ−2−エンアミド)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート(EV−AZ4414−002,14mg,0.02mmol)/DCM(0.5ml)の攪拌溶液に、TFA(20μl,0.26mmol)を加えた。反応溶液を、室温で0.5時間攪拌した。別のTFA(80μl,1.04mmol)を加えて、この反応を1時間続けた。反応混合物を、減圧濃縮して、水に再溶解して、凍結乾燥して、N−[(1S,4R,6R,7R)−7−アミノ−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−6−イル]−N−メチルプロパ−2−エンアミド;トリフルオロ酢酸 I−16(EV−AZ4416−001)(EOAI3478697)[12mg(78%)]を、白色固体として得た。LCMS(方法H):保持時間1.93min,M/z=554(M+1).
【0304】
N−[(1S,4R,6S,7R)−7−アミノ−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−6−イル]−N−メチルプロパ−2−エンアミド;トリフルオロ酢酸 I−17(EV−AZ4417−001)(EOAI3478698)−工程10
【0305】
tert−ブチル N−[(1S,4R,6S,7R)−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−6−(N−メチルプロパ−2−エンアミド)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート(EV−AZ4414−003,92%,4.4mg,0.01mmol)/DCM(0.4ml)の攪拌溶液に、TFA(29μl,0.38mmol)を加えた。反応溶液を、室温で2時間攪拌した。追加のTFA(20μl,0.26mmol)を加えて、反応を30分間続けた。反応混合物を、減圧濃縮して、水に再溶解して、凍結乾燥して、N−[(1S,4R,6S,7R)−7−アミノ−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−6−イル]−N−メチルプロパ−2−エンアミド;トリフルオロ酢酸 I−17(EV−AZ4417−001)(EOAI3478698)[5mg(定量的)]を粘性の白色固体として得た。LCMS(方法A):保持時間2.10min,M/z=554(M+1).
【0306】
実施例15.(1S,4R,6S,7R)−7−アミノ−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−6−イル プロパ−2−エノエート,I−15の合成
【0307】
(1S,4R,6S,7R)−7−アミノ−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−6−イル プロパ−2−エノエート I−15(EV−AY5035−001)(EOAI3470264)LCMS(方法A):保持時間2.23min,M/z=541.3(M+1)を、スキーム1.10,工程11に記述した(1S,4R,6S,7R)−7−{[(tert−ブトキシ)カルボニル]アミノ}−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−6−イル プロパ−2−エノエート EV−AY5034−002の合成により、スキーム1に記述した方法に従って合成した。
【0308】
スキーム1.10 工程11
【化120】
【0309】
(1S,4R,6S,7R)−7−{[(Tert−ブトキシ)カルボニル]アミノ}−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−6−イル プロパ−2−エノエート(EV−AY5034−001)−工程11
【0310】
tert−ブチル N−[(1S,4R,6S,7R)−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−6−ヒドロキシ−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート(EV−AY5029−001,120mg,0.20mmol)/DCM(2ml)の冷溶液(0℃)に、トリエチルアミン(70μl,0.51mmol)、次いでプロパ−2−エノイルクロリド(20μl,0.25mmol)を加えた。反応混合物を、室温まで昇温させて、1時間攪拌した。トリエチルアミン(70μl,0.51mmol)、次いでプロパ−2−エノイルクロリド(40μl,0.50mmol)を加えた。混合物を、室温で30分間攪拌した。反応混合物を、飽和アンモニウムクロリド水溶液(25ml)を用いてクエンチして、DCM(3x25ml)を用いて抽出した。有機抽出物を合わせて、硫酸マグネシウム上で乾燥させて、減圧濃縮した。粗生成物を、分取HPLC(酸性方法)によるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(20〜100%EtOAc/ヘプタン)、(1S,4R,6S,7R)−7−{[(tert−ブトキシ)カルボニル]アミノ}−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−6−イル プロパ−2−エノエート EV−AY5034−002[6mg(18%)]を白色粉末として得た。LCMS(方法D):保持時間1.25min,M/z=641(M+1).
【0311】
実施例16.N−[(1S,4R,6S,7R)−7−アミノ−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−6−イル]プロパ−2−エンアミド,I−14の合成
【0312】
N−[(1S,4R,6S,7R)−7−アミノ−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−6−イル]プロパ−2−エンアミド I−14(EV−AY4929−001)(EOAI3470263)LCMS(方法A):保持時間2.07min,M/z=540.3(M+1)を、スキーム1.10,工程12〜14に記述したtert−ブチル N−[(1R,4R,6S,7R)−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−6−(プロパ−2−エンアミド)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート EV−AW8586−002の合成を介して、スキーム1に記述した方法に従って合成した。
【0313】
スキーム1.10 工程12
【化121】
【0314】
Tert−ブチル N−[(1S,4R,6S,7R)−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−6−(1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−2−イル)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート EV−AW8584−001−工程12
【0315】
DIAD(107μl,0.51mmol)を、0℃で窒素雰囲気下において、トリフェニルホスファン(134mg,0.51mmol)/無水THF(5ml)の攪拌溶液に加えた。反応溶液を、0℃で5分間攪拌して、次いでtert−ブチル N−[(1S,4R,6S,7R)−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−6−ヒドロキシ−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート(EV−AY5029−001,200mg,0.34mmol)/無水THF(5ml)の溶液、次いで1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(41μl,0.34mmol)を加えた。反応混合物を、室温で18時間攪拌して、減圧濃縮して、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(0〜100%EtOAc/ヘプタン)、tert−ブチル N−[(1S,4R,6S,7R)−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−6−(1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−2−イル)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート EV−AW8584−001[138mg(48%)]を白色泡状物として得た。LCMS(方法D):保持時間1.28min,M/z=716(M+1).
【0316】
スキーム1.10 工程13
【化122】
【0317】
Tert−ブチル N−[(1R,4R,6S,7R)−6−アミノ−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート EV−AW8585−005−工程13
【0318】
tert−ブチル N−[(1S,4R,6S,7R)−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−6−(1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−2−イル)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート(EV−AW8584−001,134mg,0.19mmol)/DCM(3ml)の溶液に、ヒドラジン水和物(1:1)(27μl,0.56mmol)を加えた。反応混合物を、室温で45分間攪拌して、50℃で18時間、濾過して、濾液を減圧濃縮した。EtOAc(10ml)を、残留物に加えて、混合物を、5分間攪拌して、次いでろ過した。濾液を減圧濃縮して、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(20〜100%EtOAc/ヘプタン)、tert−ブチル N−[(1R,4R,6S,7R)−6−アミノ−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート EV−AW8585−005[75mg(63%)]を白色泡状物として得た。LCMS(方法D):保持時間1.05min,M/z=586(M+1).
【0319】
スキーム1.10 工程14
【化123】
【0320】
Tert−ブチル N−[(1R,4R,6S,7R)−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−6−(プロパ−2−エンアミド)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート EV−AW8586−002−工程14
【0321】
tert−ブチル N−[(1R,4R,6S,7R)−6−アミノ−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート(EV−AW8585−005,92%,75mg,0.12mmol)/ジオキサン(2ml)の溶液に、トリエチルアミン(18μl,0.13mmol)、次いでプロパ−2−エノイルクロリド(10μl,0.13mmol)を加えた。反応混合物を、室温で30分間攪拌して、減圧濃縮して、生じる残留物を、分取HPLC(酸性方法)により精製して、tert−ブチル N−[(1R,4R,6S,7R)−2−{2−[1−(シクロプロピルメチル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−7−メトキシ−1−メチル−1H−1,3−ベンゾジアゾール−5−カルボニル}−6−(プロパ−2−エンアミド)−2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル]カルバメート EV−AW8586−002[44mg(59%)]を白色固体として得た。LCMS(方法A):保持時間3.13min,M/z=640(M+1).
【0322】
生物学的アッセイ
実施例17.PAD4のRapidFire質量分析(RFMS)活性アッセイ
本発明の化合物を、下記のアッセイプロトコルを用いてPAD4の阻害剤としてアッセイした。
【0323】
化合物を、100%DMSOに溶解して、100mM 化合物の最終濃度とする。化合物のストック溶液をRTにて保存した。連続希釈物をDMSO中で調製して、20μLの混合容量にて8回混合した。最終のアッセイ条件は以下の通りである:
反応容量:20μl
アッセイ緩衝液(前記の通り):100mM トリス−HCl(pH7.6),2mM DTT,1mM CaCl
最終濃度:
−100nM hPAD4酵素
−50μM(8倍 K以下)基質ペプチド
−0.5% DMSO
全インキュベーション時間:37℃で65分
停止溶液:40μl 5% TCA/ACN
化合物の溶液(0.25μL)を、アッセイ緩衝液(100mM トリス−HCl(pH7.6),2mM DTT)中の200nM PAD4(10μL)に加えた。5分後に、緩衝液(100mM トリス−HCl(pH7.6),2mM DTT,2mM CaCl)中の100μM 基質(10μL)を加えて、この反応溶液を、60分間、37℃でインキュベートした。酵素反応を、5% TCA/ACN(1.7% TCA最終濃度)停止溶液(40μl)を添加することによりクエンチした。アルギニンを含有する基質およびシトルリンを含有する生成物(+1Da 質量シフト)を、Agilent RapidFire(RF) 300 System上の固相抽出物に付して、定量するために多重反応モニタリング(MRM)作動下において連結されたトリプル四重極Agilent 6460 QQQ質量スペクトル分析(MS)装置で検出した。
【0324】
以下の表2は、上記したPAD4アッセイにおける本発明の選択された化合物の活性を示す。化合物番号は、表1中の化合物番号に対応している。「A」として表される活性を示す化合物は、0.1〜1μのIC50を提供する;「B」として表される活性を示す化合物は、1〜5μMのIC50を提供する;「C」として表される活性を示す化合物は、5〜10μMのIC50を提供する;および「D」として表される活性を示す化合物は、>10μMのIC50を提供する。用語pIC50=−log(IC50)である。“E”として表される活性を示す化合物は、1〜4のpIC50を提供する;“F”として表される活性を示す化合物は、4〜5のpIC50を提供する;“G”として表される活性を示す化合物は、>5のpIC50を提供する。“NA”は、“アッセイしていない”ことを表す。
【0325】
実施例18.MS(質量分析法)を用いる共有結合修飾試験
質量分析法を使用して、選択された阻害剤によりタンパク質の共有結合修飾を分析した。組み換え体ヒトPAD4を、20mM Tris(pH7.6),400mM NaClおよび5mM TCEP中において4mg/mlで使用した。適用可能な場合、緩衝液に、5mM CaClを加えて、この修飾のカルシウム感受性を決定した。阻害剤を、0.2mM〜5mMの終濃度でDMSOに溶解して、分析する前に、タンパク質と共に27℃で16時間インキュベートした。コントロール試験は、阻害剤の不在下において、タンパク質とDMSOと共に行った。試料を、分析する直前に室温で10,000rpmにて15秒間遠心分離を行ない、5%〜80%アセトニトリル/水(0.1%蟻酸を加えた)の移動相を用いるWaters LCT−Premier TOF質量分析機器で分析した。
【0326】
実施例19.不活性化反応速度
標的酵素に活性な化合物が共有結合することにより、酵素活性が時間依存的に失活へと至る。不活性化の速度は、阻害剤濃度([I])に依存し、偽一次反応条件下([I]>>[hPAD4])で定量され得る。
【0327】
不活性化反応速度実験を、384ウェルポリスチレンプレートにおいて37℃で行なった。化合物(10〜200μM)およびhPAD4(4μM)溶液を、10分間、10mM CaClおよび2mM DTTを含有するアッセイ緩衝液(100mM トリス−HCl,pH7.6)中でプレインキュベーションして、37℃の温度とした。等量(10μl)の化合物およびhPAD4溶液を、0から70分間の種々の時点で混合した。70分の時点で、不活性化溶液を、166.7μM ペプチド基質(H−TSTGGRQGSHH−CONH)、1.1mMCaClおよび2mM DTTを含有する酵素反応緩衝液(100mM トリス−HCl,pH7.6)で10倍希釈した。37℃で30分間インキュベーションした後に、酵素反応を、5%TCA溶液/ACN中で3倍希釈によりクエンチした。基質ペプチドのアルギニンのシトルリン化を、固相抽出質量分析法(SPE−MS)により決定した。HILIC(H1)カートリッジを備えたAgilent RapidFire 300を、P1についてはHO/ACN(20/80)中の0.1%TFA溶媒、およびP2およびP3についてはHO/ACN(50/50)中の0.1%TFA溶媒と共に、サンプル採取のために使用した。基質および生成物ペプチドを、連結したAgilent 6460 QQQおよび多重反応モニタリング(MRM)を用いて、ポジティブイオンモードでの各トランジション562.3/969.4および562.8/541にて検出した。不活性化反応のDMSO量は1%であった。Cl-アミジン(100mM,酵素不活性化(反応)中の終濃度)および1%DMSOを、不活性化反応のポジティブおよびネガティブコントロールとして各々使用した。
【0328】
不活性化反応の偽一次速度定数(kobs)は、残存hPAD4活性(Ares)の時間依存的失活を方程式:
【数1】
に当てはめて決定された。
偽一次速度定数に対する阻害剤のモル濃度をプロットすることにより、反応速度定数の決定が可能となった:kinact−無限[I]での最大不活性化速度;K-阻害剤濃度(この濃度での不活性化速度は1/2kinactに等しい);kinact/K
【0329】
本発明の特定化合物を、上記した方法に従ってアッセイして、該化合物がPAD4を共有結合的に修飾することが判った。
【0330】
下記の表3は、上記した共有結合修飾アッセイにおける本発明の選択された化合物の活性を示す。化合物番号は、表1の化合物番号に対応している。
【0331】
表2.PAD4活性
【表10】
【表11】
【0332】
表3.共有結合修飾試験:不活性化速度論
【表12】
*hPAD4アイソフォーム;Ca++濃度=10mM