特許第6987846号(P6987846)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987846
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】水素添加石油樹脂の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 8/04 20060101AFI20211220BHJP
   C08F 12/00 20060101ALI20211220BHJP
   C08F 32/08 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   C08F8/04
   C08F12/00
   C08F32/08
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-505946(P2019-505946)
(86)(22)【出願日】2018年3月8日
(86)【国際出願番号】JP2018009053
(87)【国際公開番号】WO2018168654
(87)【国際公開日】20180920
【審査請求日】2020年9月23日
(31)【優先権主張番号】特願2017-51104(P2017-51104)
(32)【優先日】2017年3月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000157603
【氏名又は名称】丸善石油化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】特許業務法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 圭介
(72)【発明者】
【氏名】飯島 義和
(72)【発明者】
【氏名】林 知輝
【審査官】 古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−035642(JP,A)
【文献】 特表2004−515618(JP,A)
【文献】 特開2007−056024(JP,A)
【文献】 特開平02−051502(JP,A)
【文献】 特開平06−056920(JP,A)
【文献】 特開平08−208763(JP,A)
【文献】 特開2000−063425(JP,A)
【文献】 特開2005−272475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 8/04
C08F 12/00
C08F 32/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジシクロペンタジエン類とビニル芳香族化合物とを反応させて得られる反応物を熱重合して熱重合反応物を得た後、これを水素添加するジシクロペンタジエン/ビニル芳香族化合物系水素添加石油樹脂の製造方法であって、
上記熱重合反応物を10〜40℃に冷却し、析出物を固液分離してジシクロペンタジエンオリゴマーを除去したオリゴマー除去熱重合反応物を水素添加原料として使用することを特徴とするジシクロペンタジエン/ビニル芳香族化合物系水素添加石油樹脂の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジシクロペンタジエン/ビニル芳香族化合物系水素添加石油樹脂の製造方法に関し、更に詳細には、水素添加する原料としてジシクロペンタジエンオリゴマーを除去したものを使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
ジシクロペンタジエン類とビニル芳香族化合物の熱重合反応物を水素添加して得られるジシクロペンタジエン/ビニル芳香族化合物系水素添加石油樹脂は、ホットメルト接着剤等の原料(粘着付与剤)として有用である。
【0003】
上記水素添加石油樹脂の製造において、高いフェニルノルボルネン誘導体の選択率でビニル芳香族化合物とジシクロペンタジエン類とを反応させるためには、反応温度は170〜190℃が好ましく、反応温度が190℃以下であれば、フェニルノルボルネン誘導体の反応による高分子量化や、ビニル芳香族化合物のホモポリマー等の生成が抑えられ、フェニルノルボルネン誘導体の選択率が向上することが知られている。
【0004】
一方で、ビニル芳香族化合物とジシクロペンタジエン類との反応を245℃以下の温度範囲で行うと、25℃においてほとんどの慣用の溶媒に不溶となるジシクロペンタジエンオリゴマー(以下、「DCPDオリゴマー」と称する)が発生することが知られている。
【0005】
そして、DCPDオリゴマーが生成すると、水素添加石油樹脂の製造においてフィルターの目詰まりを起こすことが問題になっている。
【0006】
また、DCPDオリゴマーが存在したままで、熱重合反応により得られた熱重合反応物を、パラジウム担持触媒を用いて水素添加すると、著しい触媒の活性低下を引き起こすことが分かっている。
【0007】
特許文献1には、熱重合反応において245℃で原料を反応器へ送り、265℃で120分保持した後、重合溶液に僅かな曇りが現れることが示されている。この曇りは溶液中における少量のジシクロペンタジエンワックスの結晶(DCPDオリゴマー)によるもので、このワックス状の結晶が製造工程においてフィルターの目詰まりを起こす。この熱重合反応の保持時間を140分に延長することで、ワックス状の曇りが減少することも報告されている。
【0008】
特許文献2には、ジシクロペンタジエンのホモ重合において、240℃及び245℃の反応温度並びに短い(2時間以下の)反応時間において形成されるロウ類(DCPDオリゴマー)は、ほとんどの慣用の溶媒に不溶性であるため望ましくない物質であり、反応時間を3時間以上にするか、もしくは反応温度を250℃より高くすることでDCPDオリゴマーの低減が示されている。
【0009】
これらの従来技術は、総じて熱重合の反応温度を高くした方法、或いは、反応時間を長くした方法によってDCPDオリゴマーを低減している。しかしながら、前記方法においてもDCPDオリゴマーは少量残存しており、フィルターの目詰まりや触媒の活性低下という観点では問題は解決していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特表2004−515618号公報
【特許文献2】特開平08−208763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、粘着付与剤として用いられるジシクロペンタジエン/ビニル芳香族化合物系水素添加樹脂の製造方法において、製造時にフィルターの目詰まりを起こさず、さらに、水素添加反応における著しい触媒の活性低下を抑制することができる新規な水素添加石油樹脂の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ジシクロペンタジエン/ビニル芳香族化合物系の水素添加樹脂の製造方法において、ジシクロペンタジエン類とビニル芳香族化合物との熱重合反応物中からDCPDオリゴマーを除去し、これを水素添加原料として用いることで、水素添加工程における触媒活性低下を抑制でき、また、製造時にフィルターの目詰まりを起こさずに、粘着付与剤として好適な水素添加石油樹脂を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち本発明は、ジシクロペンタジエン類とビニル芳香族化合物とを反応させて得られる反応物を熱重合して熱重合反応物を得た後、これを水素添加するジシクロペンタジエン/ビニル芳香族化合物系水素添加石油樹脂の製造方法であって、
熱重合反応物として、上記熱重合反応物中からDCPDオリゴマーを除去したオリゴマー除去熱重合反応物を水素添加原料として使用することを特徴とするジシクロペンタジエン/ビニル芳香族化合物系水素添加石油樹脂の製造方法である。
【0014】
また、本発明は、前記水素添加原料が、熱重合反応物を10〜40℃に冷却し、析出物を固液分離してDCPDオリゴマーを除去したものである上記製造方法である。
【0015】
さらに、本発明は、前記水素添加原料が、熱重合反応物中のジシクロペンタジエンオリゴマーに吸着剤を接触させてDCPDオリゴマーを除去したものである上記製造方法である。
【0016】
またさらに、本発明は、前記吸着剤が、活性白土、シリカゲル、シリカ・アルミナ、活性アルミナ、活性炭、ゼオライト、珪藻土からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記製造方法である。
【0017】
さらにまた、本発明は、前記水素添加原料の25℃における濁度が12NTU以下である上記製造方法である。
【0018】
また、本発明は、前記水素添加反応にパラジウム担持触媒を用いるものである上記製造方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明のジシクロペンタジエン/ビニル芳香族化合物系水素添加石油樹脂の製造方法によれば、DCPDオリゴマーを除去した原料に水素添加を行うため、水素添加工程において触媒活性低下を抑制することができ、また、DCPDオリゴマーによるフィルターの目詰まりも回避することができるので、粘着付与剤として好適なジシクロペンタジエン/ビニル芳香族化合物系水素添加石油樹脂を工業的に有利に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のジシクロペンタジエン/ビニル芳香族化合物系水素添加石油樹脂の製造方法(以下、「本発明製造方法」という)は、ジシクロペンタジエン類とビニル芳香族化合物とを反応させて得られる反応物を熱重合して熱重合反応物を得た後、これに水素添加するものであるが、この際の熱重合反応物として、上記熱重合反応物中からDCPDオリゴマーを除去したオリゴマー除去熱重合反応物を水素添加原料として使用するものである。
【0021】
(ジシクロペンタジエン類とビニル芳香族化物とを反応させて得られる反応物)
本発明の製造方法で使用するジシクロペンタジエン類としては、ジシクロペンタジエンを含有するものであれば特に限定されず、例えば、概ね、40〜100質量%のジシクロペンタジエン、0〜30質量%の、シクロペンタジエンと他のジエン類(メチルシクロペンタジエンやイソプレン、ピペリレン等)とのコダイマー(以下、「C10+」という場合がある)、0〜40質量%のC5,C6パラフィン及び0〜20質量%のC5,C6オレフィンを含む、高純度ジシクロペンタジエンや、未精製のジシクロペンタジエン留分を使用することができる。また、ジシクロペンタジエンとシクロペンタジエンの混合物も使用することができる。
【0022】
このようなジシクロペンタジエン類の中でも、後段の熱重合により得られる熱重合反応物の収量の点において、ジシクロペンタジエンやコダイマー等の反応性成分の濃度が高いものを使用することが好ましいが、C5,C6パラフィン等の非反応性成分を含む安価な未精製ジシクロペンタジエン留分も用いることができる。
【0023】
このC5,C6パラフィンを含む未精製ジシクロペンタジエン留分としては、ジシクロペンタジエン50〜85質量%と、C5及びC6パラフィンを合計で5〜30質量%含む未精製ジシクロペンタジエン留分が好ましく、ジシクロペンタジエン60〜80質量%と、C5及びC6パラフィンを合計で10〜25質量%含む未精製ジシクロペンタジエン留分がより好ましい。尚、残部は未精製ジシクロペンタジエン留分における他の成分(C5,C6オレフィン及びC10+等)からなる。
【0024】
また、ジシクロペンタジエン類とビニル芳香族化物との反応は、溶媒を用いずに行うこともできるが、ナフサ等の熱分解装置から得られる未精製ジシクロペンタジエン留分を用いる場合、オペレーションによってジシクロペンタジエン濃度が大きく変動することから、ロット間の樹脂品質を均一に保つために未精製ジシクロペンタジエン留分に溶媒を添加して組成を調整してもよい。この場合、溶媒は組成を調整するために用いられるので、その使用量は重合溶媒として用いられる従来の方法と比べ非常に少量でよく、通常、未精製ジシクロペンタジエン留分に対して10質量%以下である。
【0025】
このような溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;シクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等のナフテン系溶媒等が好適に使用できる。
【0026】
また、本発明製造方法で使用するビニル芳香族化物としては、特に限定されないが、例えば、下記式(1)で示されるビニル芳香族化合物が好ましい。
【0027】
【化1】
【0028】
前記式(1)において、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、好ましくは水素原子である。Rで示されるアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜7のアルキル基がより好ましい。また、アルキル基は直鎖状でも分岐状でもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基等が挙げられる。また、シクロアルキル基としては、炭素数3〜7のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基等が挙げられる。また、アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数6〜12のアリール基が挙げられる。また、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等の炭素数7〜20のアラルキル基が挙げられる。
【0029】
本発明の製造方法で使用するビニル芳香族化合物の具体的な例としては、スチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン等が挙げられ、好ましくはスチレンである。尚、ビニル芳香族化合物には重合禁止剤等の安定化剤が含まれていてもよい。
【0030】
本発明の製造方法における、ジシクロペンタジエン類とビニル芳香族化合物との反応(以下、「予備反応」と称する)より得られる反応物は、フェニルノルボルネン誘導体を含むものとなる。
【0031】
このフェニルノルボルネン誘導体の具体例としては、ジシクロペンタジエン類と前記式(1)で示されるビニル芳香族化合物との反応により得られる下記式(2)で示されるフェニルノルボルネン誘導体が挙げられる。
【0032】
【化2】
【0033】
前記式(2)において、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示し、好ましくは水素原子である。Rで示されるアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜7のアルキル基がより好ましい。また、アルキル基は直鎖状でも分岐状でもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基等が挙げられる。また、シクロアルキル基としては、炭素数3〜7のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基等が挙げられる。また、アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数6〜12のアリール基が挙げられる。また、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等の炭素数7〜20のアラルキル基が挙げられる。
【0034】
また、予備反応では、フェニルノルボルネン誘導体が生成し、ビニル芳香族化合物のホモポリマーをはじめ、重合物の生成が少ないこと(好ましくは重合物が実質的に生成しないこと)が重要であり、従って、予備反応におけるフェニルノルボルネン誘導体の選択率は、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、97%以上が更に好ましく、99%以上が特に好ましい。
【0035】
この様な高いフェニルノルボルネン誘導体の選択率でビニル芳香族化合物とジシクロペンタジエン類とを反応させることにより、予備反応終了時に未反応のビニル芳香族化合物が残っていても、後段の熱重合において熱重合反応物の高分子量化・多分散化を抑制することができるので、予備反応におけるビニル芳香族化合物の転化率はそれほど高い必要はなく、概ね50%以上であればよい。
【0036】
尚、ビニル芳香族化合物の転化率及びフェニルノルボルネン誘導体の選択率は、以下の式により算出される。また、ビニル芳香族化合物の残存量及びフェニルノルボルネン誘導体の生成量は、通常、ガスクロマトグラフィーにより求めることができる。
転化率(%)=[〔ビニル芳香族化合物の仕込み量(モル)−ビニル芳香
族化合物の残存量(モル)〕/〔ビニル芳香族化合物の仕込み量(モル)
〕]×100
選択率(%)=[〔フェニルノルボルネン誘導体の生成量(モル)〕/〔
ビニル芳香族化合物の仕込み量(モル)−ビニル芳香族化合物の残存量
(モル)〕]×100
【0037】
この様な高いフェニルノルボルネン誘導体の選択率でビニル芳香族化合物とジシクロペンタジエン類とを反応させるためには、170〜190℃の温度範囲でビニル芳香族化合物とジシクロペンタジエン類を反応させることが好ましい。反応温度を170℃以上とすることにより、ジシクロペンタジエン類が十分に熱分解し、反応が進行しやすくなるため、フェニルノルボルネン誘導体が効率的に生成する。また、反応温度を190℃以下とすることにより、フェニルノルボルネン誘導体の反応による高分子量化や、ビニル芳香族化合物のホモポリマー等の生成が抑えられ、フェニルノルボルネン誘導体の選択率が向上する。
【0038】
また、反応系内のビニル芳香族化合物を低濃度とし、ビニル芳香族化合物のホモポリマーの生成を抑制する観点から、予備反応は、上記温度範囲に加熱したジシクロペンタジエン類に、ビニル芳香族化合物を含む液体を滴下(分割添加又は連続添加)して行うことが好ましい。
【0039】
具体的には、予め反応容器にジシクロペンタジエン類を所定量仕込み、上記反応温度に加熱した後、当該温度を保持した状態で、ビニル芳香族化合物を含む液体を分割して或いは連続的に滴下して反応させることが好ましい。
【0040】
上記滴下する液体(以下、「滴下液」と称する)は、ビニル芳香族化合物のみを含むものであってもよいし、ビニル芳香族化合物とジシクロペンタジエン類を含んでいてもよい。また、予め反応容器に仕込むジシクロペンタジエン類と滴下液に用いるジシクロペンタジエン類は、同じ組成のものであってもよいし、異なる組成のものであってもよい。
【0041】
予め反応容器に仕込むジシクロペンタジエン類と滴下液との使用量の比率や、滴下液がジシクロペンタジエン類を含む場合における滴下液中のジシクロペンタジエン類とビニル芳香族化合物との使用量の比率は、得られる反応物の芳香族含有量の目標値に応じて適宜設定されるが、反応容器への仕込み量100質量%に対し、滴下液20〜150質量%の範囲であることが好ましい。滴下液の使用量を20質量%以上とすれば、得られる反応物の芳香族含有量は十分量となる。また、滴下液の使用量を150質量%以下とすることで、滴下時のビニル芳香族化合物は低濃度となり、更には反応熱による局所的な温度上昇が抑えられるため、フェニルノルボルネン誘導体の選択率の低下を防ぐことができる。
【0042】
また、ビニル芳香族化合物と反応系に供給される全ジシクロペンタジエン類との比(質量比)は、得られる反応物の芳香族含有量の目標値に応じて適宜選択可能であり、通常5/95〜60/40、好ましくは10/90〜50/50、より好ましくは15/85〜40/60、特に好ましくは20/80〜30/70である。
【0043】
滴下にかける時間は、1〜4時間が好ましい。滴下時間を1時間以上とすることで、反応系内のビニル芳香族化合物は低濃度となり、更には反応熱による急激な温度上昇が抑えられるため、フェニルノルボルネン誘導体の選択性の低下を防ぐことができる。これにより、その後の熱重合においてホモポリマーが生成しにくくなる。また、滴下時間を4時間以下とすることで、シクロペンタジエン類の単独重合は進行しにくくなり、その後の熱重合において高分子量体が形成されにくくなる。
【0044】
また、滴下時は、反応容器内の温度が均一に保たれるよう、且つ、ビニル芳香族化合物の濃度が局所的に高くならないように、反応系内を攪拌しながら行うことが好ましい。
【0045】
(熱重合反応物)
前記予備反応で得られたフェニルノルボルネン誘導体を含む反応物を、240〜300℃の温度に加熱して熱重合を行うことにより熱重合反応物が得られる。重合温度が240℃未満では、重合速度が著しく下がり、また、重合温度が300℃を超えると、重合速度が著しく上昇してしまう。
【0046】
このような重合速度の観点から、熱重合の重合温度は、250〜280℃が好ましい。尚、重合時間は、好ましくは0.5〜4時間、より好ましくは1〜3時間である。
【0047】
熱重合は無溶媒で実施することができ、予備反応で使用した反応容器に反応物を保持したまま、重合温度まで加熱して行うことができる。また、予備反応により得られた反応物を別の重合容器に移送して熱重合を行ってもよい。
【0048】
予備反応で使用した反応容器中の反応物を重合温度まで加熱する場合、昇温速度としては、熱重合により得られる熱重合反応物の高分子量化を防ぐ点で、1.5℃/分以上が好ましい。
【0049】
(水素添加原料)
本発明の製造方法において水素添加される原料は、熱重合反応物中からDCPDオリゴマーを除去したもの(以下、「水素添加原料」と略称する)であるが、熱重合反応物中からDCPDオリゴマーを除去する方法としては、例えば、熱重合反応物中の析出物を固液分離する方法、熱重合反応物中のDCPDオリゴマーに吸着剤を接触させる方法等が挙げられる。
【0050】
熱重合反応物からDCPDオリゴマーを除去する前に、熱重合反応物中の未反応のモノマー成分及び低分子量重合物を分離・除去してもよい。モノマー成分等を分離・除去する方法としては特に制限はないが、例えば、ロータリーエバポレーター、フラッシュ蒸留装置、薄膜蒸発器等によりモノマー成分等を分離・除去することが好ましい。
【0051】
また、熱重合反応物からDCPDオリゴマーを除去する前に、熱重合反応物に溶媒を添加して希釈してもよく、このような溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;シクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等のナフテン系溶媒等を好適に使用することができる。
【0052】
溶媒添加後の熱重合反応物の濃度としては、50質量%(以下、単に「%」という)以下が好ましく、20%以下がより好ましい。濃度が50%以上の場合、粘度が高くDCPDオリゴマーを固液分離しにくくなるため、濃度や粘度は低い方が良い。しかし、濃度が低すぎると、生産効率が低下することに加えて水素添加反応で選択率が低下するため、熱重合反応物の濃度は15%程度が好ましい。
【0053】
前記、析出物の固液分離でDCPDオリゴマーを除去する方法としては、熱重合反応物を10〜40℃に冷却して析出物を固液分離する方法が好ましい。熱重合反応物の温度が40℃を超えると、DCPDオリゴマーの一部が溶解してしまい、固液分離後にDCPDオリゴマーが析出することで、結果的に除去効率が低下してしまう。一方、熱重合反応物の温度が10℃未満の場合、粘度が上がるため、除去効率が低下してしまう。
【0054】
また、上記固液分離の方法としては特に制限はなく、例えば、熱重合反応物を静置してDCPDオリゴマーを自然沈降させる方法や、ろ過装置、遠心沈降分離装置、沈降装置等を使用する方法等が挙げられ、これらの方法を組み合わせてもよい。なお、ろ過装置としては、クロスフローろ過装置やセライトフィルター装置が挙げられ、遠心沈降分離装置としては、分離板型遠心沈降分離装置やデカンター型遠心沈降機が挙げられ、沈降装置としては、連続シックナーが挙げられる。このうち、副資材を使用せず効率よく連続で処理できる装置としては、分離板型遠心沈降分離装置が好適である。
【0055】
前記、熱重合反応物に吸着剤を接触させてDCPDオリゴマーを除去する方法としては、熱重合反応物を120℃程度まで加熱し、吸着剤を接触させる方法が好ましい。DCPDオリゴマーが完全に溶解する温度が120℃以上であり、熱重合反応物の温度が120℃未満の場合、DCPDオリゴマーが完全に溶解せず、吸着効率が低下するためである。
【0056】
熱重合反応物中のDCPDオリゴマーに吸着剤を接触させる方法としては特に制限はないが、例えば、回分式反応装置や、固定床流通反応装置等の流通式連続反応装置等を使用するのが好ましい。
【0057】
また、吸着剤としては、特に制限はなく、例えば、活性白土、シリカゲル、シリカ・アルミナ、活性アルミナ、活性炭、ゼオライト、珪藻土が挙げられ、これらの中でも活性アルミナが好ましい。また、活性アルミナとしては、2〜4mm粒子の球状活性アルミナが特に好ましい。
【0058】
なお、DCPDオリゴマーは、水素添加工程での触媒の活性低下に影響するため、なるべくDCPDオリゴマーの量を少なくすることが好ましく、したがって、DCPDオリゴマー除去後の水素添加原料の濁度は低い程良い。しかし、水素添加原料の濁度を下げるためには、DCPDオリゴマーの除去工程の効率を下げないといけないため、触媒の活性低下とのバランスを考えて、水素添加原料の濁度は、25℃において12NTU以下とすることが好ましい。なお、DCPDオリゴマーを除去しない場合、溶媒添加後の熱重合反応物の濃度(樹脂濃度)15%における濁度は24NTUであるが、濁度が12NTU以上の場合、不溶分の残存量が多いいため、製造工程においてポンプが詰まり易く、また、水素添加工程での触媒活性低下速度が大きくなるため好ましくない。
【0059】
(水素添加工程)
本発明製造方法における水素添加工程は、水素添加原料を触媒の存在下で水素添加するものであり、これにより、ジシクロペンタジエン/ビニル芳香族化合物系水素添加石油樹脂(以下、「水素添加石油樹脂」と称する)を得ることができる。
【0060】
水素添加原料を水素添加するための方法としては特に制限がなく、回分式反応装置や流通式連続反応装置等を使用することができる。
【0061】
回分式反応装置を用いる場合、反応条件としては、温度は通常200〜300℃、好ましくは200〜270℃、反応圧力は通常0〜10MPaG(Gはゲージ圧力であることを示す、以下同様である)、好ましくは1〜7MPaG、反応時間は通常0.5〜8時間、好ましくは1〜5時間である。
【0062】
また、流通式連続反応装置を用いる場合、通常、固定床流通反応装置、好ましくは液ガス並流によるトリクルフロー型反応装置を用いることができる。反応条件としては、温度は通常100〜300℃、好ましくは120〜250℃、反応圧力は通常0〜10MPaG、好ましくは1〜5MPaG、LHSV(液空間速度)は通常2.0〜12.0[h−1]、好ましくは5.0〜12.0[h−1]である。尚、流通反応器の数に制限はなく、2塔以上による分割水素添加も可能である。
【0063】
水素添加工程に用いる触媒は、通常公知のもの、例えばニッケル、パラジウム、コバルト、白金、ロジウム系等の触媒が好適に使用でき、好ましくはニッケル又はパラジウム系触媒である。水素添加後の石油樹脂の色相の点で、より好ましくはパラジウム系触媒である。触媒の具体例としては、上記ニッケル、パラジウム、コバルト、白金、ロジウム等に代表される遷移金属触媒の他、これらを任意の担体に担持したものが挙げられ、この中でもパラジウム担持触媒が好ましい。担体としては、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、ゼオライト、粘土鉱物(モンモリロナイト等)、炭化ケイ素等が挙げられる。
【0064】
また、水素添加工程での反応は、溶媒の存在下で行ってもよい。この溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等のナフテン系溶媒等が挙げられる。
【0065】
水素添加工程で得られた水素添加石油樹脂から、必要に応じて、未反応のモノマー成分、低分子量重合物、溶媒等の揮発分を除去することにより、目的とする水素添加石油樹脂を得ることができる。モノマー成分等を分離・除去する方法としては特に制限はなく、例えば、ロータリーエバポレーター、フラッシュ蒸留装置、薄膜蒸発器等を好適に使用することができる。
【実施例】
【0066】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例において、組成等は特段の記載がない限り質量基準である。
【0067】
得られた樹脂の物性等は、以下の方法により求めた。
(1)分子量測定
分子量(重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn及びZ平均分子量Mz)及び分子量分布(Mw/Mn)は、高速GPC装置(東ソー株式会社製、HLC−8320GPC)を用い、ポリスチレン換算値として求めた〔溶離液:テトラヒドロフラン、カラム:東ソー株式会社製G4000HXL、G3000HXL、G2000HXL(2本)を直列に連結して使用、検出器:RI、標準試料:ポリスチレン〕。
【0068】
(2)濁度測定
濁度測定は、HACH製濁度計(2100N)を使用して、タングステンランプ光の90度散乱光検出器、透過光検出器、前方散乱光検出器で測定した。ホルマジン標準液から検量線を作成し、相対濁度としてサンプルをNTU単位の濁度に換算した。また、測定サンプルの前処理として、8℃の冷蔵庫にて13時間以上冷却し十分にDCPDオリゴマーを析出させた後、25℃の恒温槽で1時間以上保持して濁度を測定した。
【0069】
(3)触媒活性低下速度計算方法
固定床流通式連続反応装置を用いて1段目の水素化反応を、樹脂濃度15質量%の原料、温度120℃、圧力0.5MPa、パラジウム系触媒の条件下で実施した。具体的には、通液する毎に反応装置の出口でサンプルを採取し、そのサンプルの残オレフィン濃度をH−NMRで測定し、通液量に対する残オレフィンの濃度変化を追うことで触媒活性低下速度を計算した。この時、サンプルの残オレフィン濃度は、採取したサンプルを180℃でエバポレーションして溶媒を除去し、重クロロホルム溶媒で10質量%に調整した後、H−NMRを測定し、オレフィン部分の水素に当たるピークをarea%として算出した。
次に、触媒体積当たりの樹脂通液量[t-resin/m―cat]を横軸に取り、H−NMRで測定したオレフィンに当たるピークの濃度[H−NMR area%](残オレフィン濃度)を縦軸にした時の傾きを、触媒活性低下速度[d(H−NMR area%)/d(t-resin/m―cat)]として計算した。
ここで、通液する毎に触媒の活性低下が起こると、オレフィンが水素添加されずに残るため、残オレフィンの値が上昇してくるが、数値が大きいほど触媒が劣化しやすいことを示している。数値の増加量が大きくなることで触媒の劣化する速度が大きいことが分かる。
【0070】
実施例1: 水素添加石油樹脂の製造例(1)
<自然沈降による固液分離>
(予備反応及び熱重合)
内容積10Lの攪拌機付きオートクレーブに、ジシクロペンタジエン留分(濃度:71質量%)3600gを仕込み、反応系内を窒素で置換した。その後500rpmで撹拌しながら、4℃/分の速度で180℃まで昇温した。180℃に保持した状態で、スチレン1014gと、上記ジシクロペンタジエン留分986gの混合液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、1.8℃/分の速度で260℃まで昇温した。その後、引き続き260℃で92分間加熱し、熱重合反応を行った。これにより、熱重合反応物を得た。この時樹脂の分子量はMz=1850、Mw/Mn=2.26であった。
【0071】
熱重合反応物を、ロータリーエバポレーターを用いて、温度230℃、窒素気流下で10分間処理し、未反応モノマーを除去した。次いで温度230℃、圧力6.7kPaA(Aは絶対圧力であることを示す、以下同様である)で15分間処理し、低分子量体を一部除去した。
【0072】
(自然沈降固液分離によるDCPDオリゴマーの除去)
上記熱重合反応物にジメチルシクロヘキサン(以下、「DMCH」と称する)を添加して、濃度15.0質量%に希釈した。この希釈した溶液を温度25℃に冷却してDCPDオリゴマーを析出させ、さらに一晩静置することでDCPDオリゴマーを自然沈降させ、上澄み部分を分離回収し、水素添加原料とした。この水素添加原料の25℃における濁度は0.56NTUであった。
【0073】
(水素添加工程)
上記水素添加原料を用いて、パラジウム系触媒を用いた2段連続水添を行ない、水素添加石油樹脂を得た。即ち、パラジウム担持アルミナ触媒を充填した固定床流通反応装置(気液並流、下降流型)に通液して、温度120℃、水素圧力0.5MPaG、LHSV17[h−1]にて水素添加反応を行った。更に同様の固定床流通反応装置を用い、温度170℃、水素圧力0.5MPaG、LHSV17[h−1]にて水素添加反応を行った。
【0074】
水素添加反応後、この反応液を取り出し、ロータリーエバポレーターを用いて、温度180℃、窒素気流下で20分間処理し、溶媒を除去した。次いで温度180℃、圧力6.7kPaAで10分間処理し、低分子量体を一部除去した。
【0075】
(触媒活性低下速度)
1段目の水素添加工程において、樹脂通液量22.7[t-resin/m―cat]の時の残オレフィン濃度は3.84[H−NMR area%]であり、樹脂通液量192.5[t-resin/m―cat]の時の残オレフィン濃度は4.06[H−NMR area%]と算出された。これらから触媒活性低下速度は、0.0012[(H−NMR area%)/(t-resin/m―cat)]と推算された。結果を後記表1に示す。
【0076】
比較例1: 水素添加石油樹脂の製造例(2)
DCPDオリゴマーを除去しない以外は、実施例1と同様の方法で水素添加石油樹脂を製造した。なお、熱重合反応物の濁度は24.0NTUであった。
【0077】
(触媒活性低下速度)
実施例1の1段目水素添加工程に対応する工程において、樹脂通液量21.5[t-resin/m―cat]の時の残オレフィン濃度は、2.63[H−NMR area%]であり、樹脂通液量118.7[t-resin/m―cat]の時の残オレフィン濃度は、2.88[H−NMRarea%]と算出された。これらから触媒活性低下速度は、0.0026[(H−NMR area%)/(t-resin/m―cat)]と推算された。結果を後記表1に示す。
【0078】
実施例2: 水素添加石油樹脂の製造例(3)
<遠心沈降による固液分離>
DCPDオリゴマーを除去する方法として、以下の遠心沈降による固液分離を行う以外は、実施例1と同様の方法で水素添加石油樹脂を製造した。
【0079】
(遠心沈降固液分離によるDCPDオリゴマーの除去)
熱重合反応物にDMCHを添加して、濃度15.0質量%に希釈した溶液を温度25℃に冷却してDCPDオリゴマーを析出させ、流速600g/minで遠心沈降分離装置(分離板型遠心分離機;ADS―250MS(回転数10000rpm)、斎藤遠心機工業社製)にかけて固液分離を行った。この時に得られた清澄液を回収し、水素添加原料とした。25℃における水素添加原料の濁度は10.0NTUであった。
【0080】
(触媒活性低下速度)
実施例1の1段目の水素添加工程に対応する工程において、樹脂通液量22.7[t-resin/m―cat]の時の残オレフィン濃度は、3.76[H−NMR area%]であり、樹脂通液量281.7[t-resin/m―cat]の時の残オレフィン濃度は、4.18[H−NMR area%]と算出された。これらから触媒活性低下速度は、0.0015[(H−NMR area%)/(t-resin/m―cat)]と推算された。結果を後記表1に示す。
【0081】
実施例3: 水素添加石油樹脂の製造例(4)
<ろ過による固液分離>
DCPDオリゴマーを除去する方法として、以下のろ過固液分離を行う以外は、実施例1と同様の方法で水素添加石油樹脂を製造した。
【0082】
(ろ過固液分離によるDCPDオリゴマーの除去)
熱重合反応物にDMCHを添加して、濃度15.0質量%に希釈した溶液を温度25℃に冷却してDCPDオリゴマーを析出させた。これに乾燥したセライト助剤を混ぜ360メッシュ金網に塗布し、希釈した溶液を通液してDCPDオリゴマーをろ過分離した。この時に得られたろ液を回収し、水素添加原料とした。25℃における水素添加原料の濁度は0.97NTUであった。結果を後記表1に示す。
【0083】
実施例4: 水素添加石油樹脂の製造例(5)
<吸着>
DCPDオリゴマーを除去する方法として吸着剤を使用する以外は、実施例1と同様の方法で水素添加石油樹脂を製造した。
【0084】
(吸着によるDCPDオリゴマーの除去)
熱重合反応物にDMCHを添加して、濃度15.0質量%に希釈した溶液を、固定床流通反応装置を用いて2〜4mm粒子の球状活性アルミナ(住化アルケム株式会社製、KHD−24)にLHSV2.0[h−1]で通液した。この時の吸着塔内の温度は120℃、圧力は0.5MPaであった。得られた通液後吸着液を回収し、水素添加原料とした。25℃における水素添加原料の濁度は7.4NTUであった。結果を後記表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
実施例1の結果より、DCPDオリゴマーの除去が十分な場合、水素添加原料の濁度も極めて低く、水素添加工程における触媒活性低下速度が小さく、効率的な水素添加石油樹脂の製造が可能であることが確認された。また、比較例1の結果より、DCPDオリゴマーを除去しない場合、熱重合反応物の濁度は24.0NTUと極めて高く、水素添加工程における触媒活性低下速度が大きく、触媒活性低下が起こりやすくので、効率的な製造をすることができないと判断された。
【0087】
実施例2の結果より、水素添加原料の濁度が実施例1と比べて少し高めであっても、水素添加工程における触媒活性低下速度は実施例1とほぼ同等であることが確認された。また、実施例3と実施例4の結果から、ろ過固液分離や吸着剤によるDCPDオリゴマーを除去する方法も有効な手段であることが確認された。さらに、実施例1〜実施例4で得られる水素添加原料を使用した場合、フィルターの目詰まりを回避できることが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明方法によれば、ジシクロペンタジエン類とビニル芳香族化合物の反応物を熱重合した熱重合反応物からDCPDオリゴマーを除去することで、その後の製造工程においてフィルターの目詰まりもなく、また、水素添加工程において触媒活性低下を抑制することができる。したがって、本発明は、粘着付与剤として好適な物性を有するジシクロペンタジエン/ビニル芳香族化合物系水素添加石油樹脂を工業的に有利に製造する方法として有用である。