特許第6987849号(P6987849)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6987849スカラップ抵抗のためのスプラインアイドラ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987849
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】スカラップ抵抗のためのスプラインアイドラ
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/14 20060101AFI20211220BHJP
【FI】
   B62D55/14 A
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-508954(P2019-508954)
(86)(22)【出願日】2017年7月19日
(65)【公表番号】特表2019-524549(P2019-524549A)
(43)【公表日】2019年9月5日
(86)【国際出願番号】US2017042851
(87)【国際公開番号】WO2018044417
(87)【国際公開日】20180308
【審査請求日】2020年7月9日
(31)【優先権主張番号】15/253,363
(32)【優先日】2016年8月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ジェームズ・ヨハンセン
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−001187(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0217994(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 55/14
B62D 55/096
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸(A)と、円周方向(C)と、および半径方向(R)と、を規定する概して円筒形の構成を含む本体(202)であって、
前記本体(202)は:
中央部分(204)の半径方向端部(206)を規定する前記回転軸(A)に沿って配置された前記中央部分(204)と;および
前記回転軸(A)に沿って配置され、複数の頂(218)を含む波状円周方向周辺部(210)を含むところの少なくとも1つの第1外側部分(208)と、
を含むことを特徴とする本体(202)
を含むところの、複数のトラックピンとブッシュとを含む車両の軌道チェーンと共に使用し、
前記波状円周方向周辺部(210)は、前記頂(218)の間にギャップ(228)を形成するように前記円周方向(C)に沿って中断される、遊動輪(200)。
【請求項2】
前記波状円周方向周辺部(210)は、前記遊動輪(200)の前記第1外側部分(208)の半径方向端部(212)を規定し、前記中央部分(204)の前記半径方向端部(206)はさらに、前記第1外側部分(208)の前記半径方向端部(212)より、回転軸(A)から離れていることを特徴とする前記請求項1に記載の遊動輪(200)。
【請求項3】
前記本体(202)は、前記第1外側部分(208)と比較して、前記中央部分(204)の軸方向対向側に位置する第2外側部分(208’)を含み、前記第2外側部分(208’)は前記第1外側部分(208)と同様に構成されることを特徴とする前記請求項1に記載の遊動輪(200)。
【請求項4】
記波状円周方向周辺部(210)のすべての頂(218)の接線である曲線(222)は、前記第1外側部分(208)の前記波状円周方向周辺部(210)について定義され得ることを特徴とする前記請求項1に記載の遊動輪(200)。
【請求項5】
前記曲線(222)は円であることを特徴とする前記請求項に記載の遊動輪(200)。
【請求項6】
前記波状円周方向周辺部(210)は複数の曲線セグメント(224)を含み、各々の曲線セグメント(224)は弓形の形状を含むことを特徴とする前記請求項に記載の遊動輪(200)。
【請求項7】
前記波状円周方向周辺部(210)は奇数の頂(218)を含むことを特徴とする前記請求項に記載の遊動輪(200)。
【請求項8】
1つの頂(218)から次の頂(218’)までの直線円周距離(L218)は、前記遊動輪(200)の前記第1外側部分(208)の前記波状円周方向周辺部(210)について同じであることを特徴とする前記請求項に記載の遊動輪(200)。
【請求項9】
複数のトラックピン(306)と前記トラックピン(306)の周りに配置された複数のトラックブッシュ(308)と;および
トラックピン(306)またはトラックブッシュ(308)によって相互に接続された複数の軌道リンク(304)であって、少なくとも1つの軌道リンク(308)はトラックピン(306)またはトラックブッシュ(308)を受けるための複数のアパーチャを含むことを特徴とする複数の軌道リンク(304)と、
を含む軌道チェーン(302)と、および
回転軸(A)と、円周方向(C)と、および半径方向(R)と、を規定する概して円筒形の構成を含む本体(202)であって、前記本体(202)は:
中央部分(204)の半径方向端部(206)を規定する前記回転軸(A)に沿って配置された前記中央部分(204)と;および
前記回転軸(A)に沿って配置され、複数の頂(218)を含む波状円周方向周辺部(210)を含むところの少なくとも1つの第1外側部分(208)と、を含むことを特徴とする本体(202)と、
を含むところの遊動輪(200)と、
を含むことを特徴とする、無限軌道駆動を含む車両と共に使用し、
前記波状円周方向周辺部(210)は、前記頂(218)の間にギャップ(228)を形成するように前記円周方向(C)に沿って中断される、アンダーキャリッジ(300)。
【請求項10】
前記波状円周方向周辺部(210)は、前記遊動輪(200)の前記第1外側部分(208)の半径方向端部(206)を規定し、前記中央部分(204)の前記半径方向端部(206)はさらに、前記第1外側部分(208)の前記半径方向端部(206)より、前記回転軸(A)から離れていることを特徴とする前記請求項に記載のアンダーキャリッジ(300)。
【請求項11】
前記本体(202)は、前記第1外側部分(208)と比較して、前記中央部分(204)の軸方向対向側に位置する第2外側部分(208’)を含み、前記第2外側部分(208’)は前記第1外側部分(208)と同様に構成されることを特徴とする前記請求項に記載のアンダーキャリッジ(300)。
【請求項12】
記波状円周方向周辺部(210)のすべての頂(218)の接線である曲線(222)は、前記第1外側部分(208)の前記波状円周方向周辺部(210)について定義され得ることを特徴とする前記請求項に記載のアンダーキャリッジ(300)。
【請求項13】
前記曲線(222)は円であることを特徴とする前記請求項12に記載のアンダーキャリッジ(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、地表面を移動するために無限軌道を使用する車両など、オフロードの運転で使用される軌道式車両のアンダーキャリッジに取り付けられたる軌道チェーンアセンブリの一部として使用される遊動輪に関する。具体的に、本開示は、軌道チェーンと機械のメンテナンスに至り得る軌道リンクのスカラップ形状化を低減するように構成された遊動輪に関する。
【背景技術】
【0002】
現行の多数の出願において、軌道チェーンの一部である軌道リンクは、ローラーと遊動輪とを含むアンダーキャリッジの様々な駆動部材および支持部材に接触する上面つまりレール面に、スカラップパターンを生み出している。該スカラップは、該リンクのレール面のくぼみのように見える。このようなくぼみは、該軌道チェーンが駆動スプロケット、遊動輪、およびローラーの周りを連続的に回転する際に、該ローラーと該アイドラが該リンクの同じ場所でいつも接触することに起因する。多くの例では、該軌道リンクは、遊動輪の回転軸に平行な方向において、中央部分が両端部分の同じ部位の厚さに比較して厚いレールをそなえる。従って遊動輪およびローラーは、中央部分をより全面的に接触させるようになり、リンクのその部分が隣接するリンクと重なり合うことのない両端では全面的に接触させることが少ない。この結果は、しばしば第1スカラップと呼ばれるより深く完全なスカラップが該軌道リンクの該レール部分の中央に形成され、他方完全な形状でない第2スカラップが該軌道リンクの該レールの両端部分に形成され得る。この第2スカラップは、レール前面で測定した場合に該レールの1/4の位置、またレール前面で測定して該レールの3/4の位置にしばしば位置し、他方第1スカラップは1/4位置と3/4位置の間に位置する。
【0003】
スカラップ形状化した軌道リンクは、様々な問題を招き得る。例えば、時間の経過と共に、該遊動輪とローラーがリンクに接触する方法は不均等となり、乗り心地のよくない振動を引き起し得る。これは、また、アンダーキャリッジと機械のメンテナンスの問題を招き得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のトラックピンとブッシュを含む車両の軌道チェーンと共に使用する遊動輪が提供される。該遊動輪は、回転軸、円周方向、および半径方向を規定する概して円筒形構成を含む本体を含み、該本体はラディアル部分の軸方向端部を規定する該回転軸に沿って配置された中央部分と、および該回転軸に沿って配置され、複数の頂と谷のある波状円周方向周辺部を含むところの少なくとも1つの第1外側部分と、を含む。
【0005】
無限軌道駆動を含む車両と共に使用するアンダーキャリッジが提供される。該アンダーキャリッジは、複数のトラックピンとトラックピンの周りに配置されたトラックブッシュとを含む軌道チェーンと、およびトラックピンまたはトラックブッシュによって相互に接続された複数の軌道リンクと、を含み、少なくとも1つの軌道リンクはトラックピンまたはブッシュを受けるための複数のアパーチャを含む。該アンダーキャリッジはさらに、回転軸、円周方向、および半径方向を規定する概して円筒形構成を含む本体を含む遊動輪を含み、該本体は中央部分の半径方向端部を規定する該回転軸に沿って配置された中央部分と、および該回転軸に沿って配置され、複数の頂と谷のある波状円周方向周辺部を含むところの少なくとも1つの第1外側部分と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
組み入れられて本明細書の一部を構成する添付図面は、該開示のいくつかの実施形態を図示し、および説明とともに該開示の原理を説明するのに役立つ。
図1】本開示の実施形態に従って、機械のアンダーキャリッジの一部として軌道チェーンアセンブリと共に使用される遊動輪の側面拡大図である。
図2】該機械のアンダーキャリッジから切り離して示された図1の遊動輪の側面図である。
図3】遊動輪と車軸の回転接続の様々な構成部品を示すために、部分的に断面で示された図2の遊動輪の斜視図である。
図4】本開示の実施形態に従って、遊動輪が軌道リンクの頂部レールに接触する方法を示す軌道チェーンアセンブリと遊動輪の正面図である。
図5】本開示に従って遊動輪の別の実施形態の簡略化概要図である。
図6】本開示の実施形態に従って、採用され得る波形の寸法を明示する遊動輪の正面拡大図である。
図7】本開示の様々な実施形態に従って、遊動輪を使用し得る無限軌道チェーンを使用するトラクタの側面図である。
図8図7で開示されたものと同様であるが、トラクタから分離されて無限軌道のインライン構成を明確に図示する無限軌道の側面図である。
図9図8で開示されたものと同様であるが、高架式駆動スプロケットである無限軌道の正面図である。
図10図8図9で図示された軌道と同様の方法でトラックピンとブッシュとにより繋ぎ合わされた一対の軌道リンクの正面拡大図である。
図11図10の軌道リンク、ブッシュ、およびトラックピンの上面図である。トラックシューは、特に明確に示すために取り除かれている。
図12図11で開示されたものと同様の軌道リンク、ブッシュ、およびトラックピンの透視断面図である。
図13図12で開示されたものと同様の軌道リンク、ブッシュ、およびトラックピンの平面断面図であり、ここで該トラックピンは中実構造であり、円柱軸に沿った中央油溝を欠いている。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ここで該開示の実施形態が詳細に参照されるが、その実施形態の実施例は添付図面に図示される。可能であれば、図面全体で同じ参照番号が同一または類似の部分を参照するように使用される。いくつかの場合では、本明細書で参照番号が示され、および図面は、例えば100a、100bなどのようにその後に文字が続く参照番号を表示する場合がある。参照番号の後に文字を付けることは、対称面をはさんでジオメトリが反射される場合によくあるが、同様の形状で類似した機能を持つフィーチャがあることを示すと理解されるべきである。本明細書において説明を簡単にするため、そのような文字がしばしば本明細書に含まれていなくても図面には表示される場合があり、これは本明細書本文において論じられたフィーチャの重複を示す。
【0008】
本開示の様々な実施形態は、軌道リンクのスカラップ形状化を低減するように構成された遊動輪を含む。これは、該遊動輪を波状接触面にすることで、該遊動輪がその特定の軌道リンクに接触するほとんどの場合に異なる位置で該軌道リンクに接触するなどの、複数の方法で達成され得る。この目的のため該遊動輪は、遊動輪の円周方向周辺部で一貫してまたは変化する、遊動輪の周囲に奇数の接触部を持つ、波状プロファイルをそなえ得、および/または、該波状プロファイルの円周まわりの有効な外接円距離は、遊動輪が接触しようとする軌道チェーンの直線長に均等に分割することができない。
【0009】
図1図3は、本開示に従って遊動輪200およびアンダーキャリッジシステム300の実施形態を図示する。図1図3の該アンダーキャリッジシステム300は、いわばその断面積が一方の端から他方の端までのあいだに変化しないために、複数の直線軌道リンク304を使用して軌道チェーンアセンブリ302に送られる。該軌道リンクの構成は、ここで論じた任意の実施形態について、必要または所望に応じて変更され得ることが理解されるべきである。ここに記載の軌道リンクのうち任意の実施形態は、複数のトラックピンとブッシュとを含む車両100の軌道チェーンアセンブリの一部として使用され得る。これは後に更に詳しく説明されよう。
【0010】
図1図3で開始すると、無限軌道駆動を含む車両と共に使用するアンダーキャリッジ300が示される。該アンダーキャリッジ300は、複数のトラックピン306と該トラックピン306の周りに配置されたトラックブッシュ308とを含む軌道チェーンアセンブリ302、およびトラックピン306またはトラックブッシュ308によって相互に接続された複数の軌道リンク304を含み、少なくとも1つの軌道リンク304はピンまたはブッシュを受けるための複数のアパーチャを含む。
【0011】
図1図3を参照すると、遊動輪200はさらに、回転軸A、円周方向C、および半径方向Rを規定する概して円筒形構成を含む本体202を含む後部遊動輪が示される。該本体202は中央部分204の半径方向端部206を規定する該回転軸Aに沿って配置された中央部分204と、および該回転軸Aに沿って配置され、複数の頂と谷のある波状円周方向周辺部210を含むところの少なくとも1つの第1外側部分208と、を含む。中央部分204の該半径方向端部206は、軌道チェーンアセンブリ302のブッシュ308と接触するように構成され得る場合も、し得ない場合もある。
【0012】
アンダーキャリッジ300のフレーム314への回転留め具をそなえることを示された遊動輪200に加えて、図1の回転軸CおよびBでそれぞれ表されているように、また支持ローラー310と駆動スプロケット312がフレーム314への回転留め具をそなえることが示される。また図1に示すように、アンダーキャリッジシステム300の高架式構成(駆動スプロケットは高架式)が示されるが、ここで後に説明するように他の実施形態もインライン構成を使用し得ることが考えられる。
【0013】
図2および図3に示される本実施形態について、波状円周方向周辺部210は、該遊動輪200の第1外側部分208の半径方向端部212を規定し、該中央部分204の半径方向端部206はさらに、半径方向Rに沿って該第1外側部分208の半径方向端部212より、回転軸Aから離れていることを特徴とする。これは、他の実施形態ではその限りでない。同様に、該中央部分204は、半径方向端部206の近傍で軸方向オフセット(図2図3では非表示)を含み得るが、これは他の実施形態ではその限りでない。
【0014】
図2は、該遊動輪200を該機械の車軸に取り付けるのに使用され得るハブ216を示す。該車軸214および遊動輪アセンブリ200の他部品を図3に示す。該車軸214は、ベアリング232によって囲まれている。また回転面シール234は、当業者には周知のように回転ジョイント内の油などの潤滑を保持するために採用される。該遊動輪アセンブリ200のリム部分236は、該遊動輪アセンブリ200内に収納されたスポーク部材によって支持され相互接続された一対の環状プレート238を介してハブ216に接続される。単体構造を持つことを含む他の構成の遊動輪もまた、本開示の範囲内にあると考えられる。
【0015】
図3で一番よく示され得るように、該本体202は、第1外側部分208と比較して、中央部分204の軸方向対向側に位置する第2外側部分208’を含み、該第2外側部分208’は第1外側部分208と同様に構成される。本実施形態について、該遊動輪200は、該遊動輪200の回転軸Aを中心とする軸平面APに関して対称である(図4参照)。他の実施形態では非対称であり得る。
【0016】
図2で一番よく示されるように、該遊動輪200の該波状円周方向周辺部210は、複数の頂218と谷220を含む。頂または谷は、該周辺部の変曲が変化する、すなわち、周辺部への接線が傾斜を正の傾斜から負の傾斜に変化させる、またはその逆であるような該周辺部210の部分である。該波状円周方向周辺部210のすべての頂218の接線である曲線222は、第1外側部分208の該円周方向周辺部210について定義され得る。示されたように該曲線222は円であるが、これは他の実施形態では真でない場合がある。
【0017】
図1図2および図7図9を参照することで一番よく理解されるように、該軌道チェーンアセンブリ302は軌道チェーン長L302を規定し、該円222は円周長L222を規定し、および該軌道チェーン長L302を該円の該円周長L222で除算した値は、いくつかの実施形態では非整数値となる。これは、該遊動輪200が特定のリンク304に接触するほとんどの場合に、該波状周辺部210の該頂218が異なる点に確実に接触するのに役立つ。これは、リンク304をスカラップ形状化する該可能性を低減するのに役立つ。
【0018】
図2に焦点を集中すると、該波状周辺部210の各曲線セグメント224は、弓形の形状を含む。いくつかの実施形態において、該曲線セグメント224は、谷220の場合のように凹面形状の半径であり得、および頂218の場合のように凸面形状の半径であり得ることが考えられる。このような半径は、直線的または平坦な曲線が繋ぎ合わさった場合と同様に、1つの半径から他の半径に直接または間接に移行し得る。丸くなった頂により凹凸のある周辺部、丸みをおびた角、正弦波形、スプライン、インボリュートなどの多項式形、により角張った周辺部など、任意の好適な形状の波状周辺部は、他の実施形態において使用され得る。
【0019】
さらに他の実施形態において、該波状円周方向周辺部210は、軌道リンク304がアンダーキャリッジ300のまわりに回転し、および遊動輪200に繰り返して接触するほとんどの場合に、頂218が特定の軌道リンク304の異なる部分に確実に接触するのに役立つ、奇数の頂218を含み得る。また図6で一番よく示されるように、1つの頂218から次の頂218’までの直線円周距離L218は、遊動輪200の第1外側部分208の全円周方向周辺部210について同じであり得る。そのような事例または他の実施形態では、該波状円周方向周辺部210は、回転軸Aのまわりに幾何学的な頂218と谷220を繰り返す円形アレイ226を含み得る。このことの一貫性は、他の実施形態にはないものであり得る。波状周辺部210の寸法は、正弦波形などでおおよそ測定されたものであり得、半径方向の振幅RAと半波長HWとをそなえる。様々な実施形態において、該振幅RAは、5〜10mmの範囲であり得、および半波長HWは10〜160mmの範囲であり得ることが考えられる。
【0020】
図4は、外側フランジ242付き該遊動輪200’の別バージョンを示す。示されたように、該遊動輪200’は、軌道リンク304のレール316に接触する。本実施形態について、該フランジ242は該リンク304のレール316の外側に接近した位置にあり、遊動輪200’に対して該軌道チェーンアセンブリ302の横移動を防止するのに役立つ。該遊動輪200’の該中央部分204は、ブッシュ308に接触せず、および該遊動輪200の外側部分は、図1図3に関しての説明と整合した方法で波状円周方向周辺部210をそなえる。
【0021】
図5を参照すると、複数の該軌道リンク304は、該遊動輪200’’の円周方向の波状周辺部210’と補完的に噛み合うように構成されたレール部分316を含み得る。これは、該リンク304のレール部分316に波状表面318を設置することを含み得る。図5で示された該実施形態について、該波状円周方向周辺部210’は、遊動輪200’の円周方向Cに沿って中断される。すなわち、該波形の間にはギャップ228が存在する。頂218を形成する該遊動輪200’の各部分は、スプライン230と呼ばれ得る。図1図2に示されたように、該波形は他の実施形態において連続的である、つまり中断なしであり得る。他の軌道リンクの該レール表面は、図1図4で図示されるように平坦であり得る。
【産業上の利用可能性】
【0022】
実際、軌道チェーンアセンブリおよび/または遊動輪は販売、製造、購入などをされ得、およびアフターサービス市場または本来の機器シナリオにおいて該機械に取り付けられ得る。すなわち、該機械は、ここに記載の実施形態に従って該軌道チェーンアセンブリおよび該遊動輪と共に販売され得、または該機械はここで論じた任意の実施形態を使用するために改修、修理、改造され得る。該遊動輪は単一材料から削り出されて、軌道チェーンアセンブリのリンクに接触するために好適な波状プロファイルを提供し得、または該遊動輪は複数構成部品のアセンブリを含み得る。他の実施形態において、該スプラインは、締め付け、溶接などによって遊動輪に付加され得る。また、連続的波状プロファイルは、一体型または複数セグメントとして遊動輪などに付加され得る。
【0023】
図7は、それについて本発明の一対の無限軌道チェーンアセンブリ102(1つ表示)を採用する軌道式トラクタ100を図示する。該軌道アセンブリは、特にトラクタでの使用に適合しているが、該軌道アセンブリは、軌道式掘削機または他の任意のタイプのオフロード車両または機械など、他の車両への用途を見いだすことを理解すべきである。図7に図示した該トラクタ用途において、各軌道チェーンアセンブリ102は通常の方法で、必要に応じて、駆動スプロケット104、アイドラ106、複数の長手方向に間隔を空けたトラックローラー108、および一対の上部ガイドまたはキャリアローラー110、に設置される。本開示に上記に記載のように該遊動輪は、遊動輪200、200’などによって置き換えられ得る。また図7に示した該軌道チェーンアセンブリ102のリンクは、図1に示すようなストレートリンクの代わりにオフセットリンクとして示される。
【0024】
図8図9を参照すると、軌道アセンブリ102は、関節式リンクアセンブリ114によって回転自在に相互接続された複数のトラックシュー112を含む。リンクアセンブリ114は、トラックシュー112の横幅の中間に配置され、および複数の一対のリンクを含み、標準のピンとブッシュのアセンブリ118によって回転自在に相互接続される。駆動スプロケット104の歯列120はピンのブッシュおよびブッシュアセンブリ118と噛み合って通常の方法で軌道アセンブリ102を駆動し、該軌道アセンブリはリンクの上部レール部分と噛み合うアイドラ106とローラー108、110によってガイドされる。図8図9の該軌道アセンブリの構成間の主要な差異は、図8が、いわば該駆動スプロケットが実質的に軌道の卵形パスを形成する前部遊動輪とインラインにあるような、インライン構成であることであり、他方図9は、いわば該駆動スプロケットが実質的に軌道の三角形パスを形成する下部遊動輪の垂直方向上方にあるような、高架式構成を示すことである。さらに、図8図9の遊動輪106は、本開示に記載のように遊動輪200、200’、200’’などを用いて置き換えられ得る。
【0025】
続けて図8図9を参照すると、該下部ローラーは、車両の重さを支持して軌道に、地面に伝送するので、しばしばトラックローラー108と呼ばれるが、他方上部ローラーは、軌道を送るまたは支持するだけで、軌道のカテナリの垂れ下がりを制限または時々変更するので、しばしばキャリアローラー110と呼ばれる。該駆動スプロケット104は、セグメントに接続されているか、またはそれと一体的に形成された駆動歯列122付きセグメント122をそなえ、駆動歯列122は軌道チェーンアセンブリ102中でリンクに噛み合い、軌道の移動に動力を供給し、およびこうして車両に動力を供給する。シュー112は、地面に噛み合う可動プラットフォームをそなえ、地面に突き刺さって、牽引力を与えるリブつまりグローサ124を含む。該遊動輪106は歯列を欠くけれども、リンクの間(図5のG参照)およびリンクのレールの上部に乗っており、軌道の横の移動を制限する。同様に、該ローラー108、110は、重さの伝送のためのコンジットをそなえ、および多くの場合軌道内の張力を調整する方法をそなえる。また、該ローラー108、110はリンク116の間およびリンクのレールの上部に乗っており、トラックの横の移動を制限する。
【0026】
図10図11に進むと、一対の軌道リンクを含むリンクアセンブリ114の実施例が示され、この軌道リンクは、図8図9に図示された軌道と整合する方法で、トラックピンとブッシュのアセンブリ118によって繋ぎ合わされる。該トラックピンとブッシュのアセンブリ118は、円柱ピン126と筒状ブッシュ128を含むジョイントを形成する。該ピン126は対向する両端部分132(図11で一番よく分かる)をそなえ、この両端部分の各々は、リンクセット114内にある各リンク116のアウトボードエンドカラー138の突出ボス136によって形成されたボア134のそれぞれに押し込まれ、および回転不能に取り付けられる。該ピンとブッシュのアセンブリ118は、該ピン126の縦軸または円柱軸140に沿った該リンクの任意の軸方向の動きを防止するために、そのボア内部で機械的にピン126をインターロックする方法および装置をさらに含む。
【0027】
当業で公知または考案され得る、該ピンを該リンクに機械的にインターロックする他の種類の方法も採用され得る。1つの機械的インターロックの方法は、該ピンの両端部分の各々の周囲に形成された、円周方向に配置された概して弓形の形状の溝と、および少なくとも1つの機械的に形成されたノジュールと、を含み、そのノジュールはボアの各々から溝の1つに半径方向内向きに突き出ている。機械加工されるノジュールは、好ましくは打抜き装置を使用して形成される。好ましくは、そのような一対の打抜き装置は、ピンボスに設けられた各々の平面にある該ピン軸に対して垂直に配置される。打抜き装置の十分な力を加えることで、ボス金属は溝の中に押出し成形される。これを達成する他の方法もまた使用可能であり、および使用され得る。
【0028】
図12を参照すると、本明細書に記載のものと類似の軌道チェーンアセンブリ102とリンクアセンブリ114を使用する軌道式機械のアンダーキャリッジの一部分が示される。該筒状ブッシュ128は、自在に回転可能にブッシュ128をピン126の周囲に取り付けるのに十分なサイズのピンボア142をそなえる。ブッシュ128は、一対の対向端面144をそなえ、およびインボードエンドカラー146の間に延伸し、およびインボードエンドカラー146に対して自在に回転可能なサイズである。
【0029】
図12に示すように、各リンクアセンブリはインボードリンクとアウトボードリンクを含む。インボードリンクとアウトボードリンクは、複数の追加インボード/アウトボードリンク(図示せず)と共に連結され得、1つ以上のトラックアイドラと駆動スプロケットを含む通常の駆動メカニズムのまわりに延伸する無限チェーンを形成する。これは、トラック式トラクタ、軌道式掘削機、軌道ローダーなど、さまざま軌道式機械に使用され得る。ここに記述された該教示の1つの具体的具現例は、鉱山や埋め立てなどの特に過酷な屋外条件で使用される軌道式トラクタであると考えられる。
【0030】
該トラックピン126は、アウトボードリンクとの圧入であり得る。1実施形態において、確実なピン保持のための保持リング148または他のいくつかのメカニズムは、アウトボードリンク200、200’との連結強度を向上させるために、ピン126に連結され得る。示された実施形態において、インボードリンクとアウトボードリンクはS型リンクまたはオフセットリンクを含むが、ただし本開示はこの点に限定されず、およびストレートリンク軌道も使用され得る。既に論じたように動作の際に、1つ以上のトラックアイドラおよび駆動スプロケットはブッシュ128と噛み合って、通常の方法で力を軌道にガイドし、力を軌道に供給し得る。当業者は精通しているであろうが、軌道アセンブリ内で互いに反対方向に移動する潤滑面のいくつかの構造が望ましくあり得る。この目的のため、該ピン126は、軌道セグメント内の所望の場所にオイルを補給するための油だめとして役立つ油路150を含み得る。
【0031】
工場での軌道組立ての際に、または軌道の修理または整備の際に、潤滑油は通路150に供給され得、および該油路は詰められてその中に潤滑油を密閉し得る。また、流体的にアウトボードリンクとブッシュ128の間を密閉してオイルを該リンクアセンブリ114内に保持する、シールセット152が設けられ得る。また該リンクアセンブリ114は、各々ブッシュ128とアウトボードリンク116’のうち1つの間に配置されたスラストリング154のセットを含む。スラストリング154は、該リンクアセンブリ114を通じてスラスト荷重に反応し得、および密封が失敗する傾向をもたらし得るシール152にかかる圧縮力を防止するように構成され得る。スラストリング154の各々は、スラスト荷重に反応するための信頼性の高いメカニズムを提供するように独自に構成され得、しかしまた、ブッシュ128とアウトボードリンクの間で規定され、およびまた各シール152とピン126の間で規定されたリンクアセンブリ114領域へのオイル移動とその領域中でのオイルの維持を容易にし得る。該油路は点線で示されるが、それは特定の実施形態において、ここで説明されたようには存在しない場合があることを示すことに注意すること。
【0032】
図13は、当業者には周知であり、油路またはピンの縦軸を囲む他の空洞を欠く別の軌道リンクアセンブリ114を示す。このリンクアセンブリ114はシールアセンブリ156を含み、そのシールアセンブリ156は、アウトボードリンクの該インボードエンドカラー146と該ブッシュ128の間に密閉性を設ける第1および第2のシール部材158、160を含む。該シールアセンブリ156の各々は、カウンタボアのショルダ164とブッシュ128の隣接する外端面144の間にあり、および外端面144に対して密閉係合する、カウンタボア162の各々内に収容される。このような種類のシールは、なお潤滑剤が漏れないようにしながら該ピン126およびアウトボードリンクに対して該ブッシュの回転を可能にするため、しばしば回転面シールと呼ばれる。また既に上記に説明した理由により、スラストリングが該ピンとシールアセンブリの間に設けられる。該ピンは、該ブッシュを通じて直接または間接にリンクから荷重を吸収する領域を含む。具体的に領域166は、該アウトボードリンク116’と接触するが、他方領域168はインボードリンクの下で該ブッシュ128に直接接触する。
【0033】
本開示で論じられたアセンブリの機器と方法の実施形態に対して、該発明の範囲または精神から逸脱せずに様々な修正と変更をなしうることは当業者に明白であろう。本開示の他の実施形態は、本明細書の検討およびここに開示された様々な実施形態の実施から、当業者に明白であろう。例えば、ある機器が組み立てられる場合、本開示で記述されているものとは機能が異なり、および任意の方法の一部のステップが省略されたり、実行される順序が具体的に紀述されていた順序と異なったり、またはいくつかの場合にステップが同時に実施されたり、サブステップの中で実施されたりする場合があり得る。さらに、様々な実施形態の一部の態様またはフィーチャに変更または修正が加えられて、さらなる実施形態が形成されたり、および様々な実施形態のフィーチャと態様が、なお更なる実施形態を提供するために、他の実施形態のフィーチャや態様に追加されたり、置き換ったり、し得る。
【0034】
従って、本明細書と実施例は例示的にのみ考慮し、該発明の真の範囲と精神を以下の特許請求の範囲とその等価物によって示すことが想定されている。
図1
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図10
図11
図12
図13