(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記音響送信機(140)と前記通信手段(140)は、全く同一であり、前記音響送信機は、前記無線擬似距離を表す情報を前記水中装置に通信する、請求項1又は2に記載のシステム(100)。
水中装置の前記受信機(145)と前記受信手段(145)は、全く同一であり、前記受信機は、前記少なくとも2つの水面トランスポンダによって送信した前記無線擬似距離を表す情報を受信する、請求項3に記載のシステム(100)。
−水面トランスポンダ(125、130、135)の前記各送信機(140)は、複数のチャンネル上で、複数の周期信号の線型結合を音響的に送信し、このとき、送信される擬似距離1つにつき1つのチャンネルを割り当て、前記各チャンネルは、前記地理位置情報システム(200)からの経時的なクロック信号、又は情報が送信されることとなる前記無線擬似距離の1つを表す信号のどちらかであり、前記各周期信号を、送信する前記無線擬似距離の値の関数として、時間シフトし;
−前記音響受信機(145)は、前記異なる音響チャンネル上での前記異なる音響信号の到着時間を比較することによって、前記無線擬似距離を表す情報を再構成する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシステム(100)。
少なくとも1つの前記水面トランスポンダ(125、130、135)は、少なくとも2つの前記水中音響送信機(140)を含む、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のシステム(100)。
前記少なくとも2つの前記水中音響送信機(140)を取着するための構造体(132)を含み、前記水面トランスポンダ(130)は、前記衛星源(165、170、175)によって送信した信号の前記受信機に対する、地球基準座標系におけるこれらの水中音響送信機の位置を特定する手段(133)、及び以下の動作:
−前記無線受信機と前記水中音響送信機の同一位置をシミュレートする理論上の無線擬似距離の測定;及び
−前記各送信機による、前記理論上の無線擬似距離値の測定結果の送信を命令するための送信
を実行する計算手段を含む、請求項6に記載のシステム(100)。
少なくとも1つの前記水面トランスポンダ(125)は、前記地理位置情報システム(200)に対する位置を特定する手段(186)を含み、前記送信機(140)は、前記特定した位置を表す情報の項目を、前記水中装置(105、110、115、120)に送信し、前記水中装置の前記計算手段(155)を、前記地理位置情報システム(200)の座標系に対する位置を計算するように構成する、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のシステム(100)。
前記少なくとも1つの水中装置(105)は、前記少なくとも1つの水中装置(110)の位置情報の項目を表示する手段(195)を含む、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のシステム(100)。
1つ又は複数の前記水中装置の位置に対する情報の項目を表示するための、水面上方に配置する、手段(210)を含む、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【背景技術】
【0002】
真水又は海水の水域においてダイバーの位置を特定することは、これらの環境が電磁波の送信に際して障害を呈するため、技術的難題となっている。
【0003】
この測位問題の結果、ダイバーのグループからはぐれた、又は、ダイバーの若しくはダイバー達の輸送船からはぐれたダイバーが、死亡する場合がある。また、ダイバーは、できるだけ早くダイビングスポットに到着できなければならないが、それには、ダイバーにそのスポットの位置を示すことを必然的に伴う。
【0004】
GPS(「全地球測位システム(Global Positioning System)」の略)の原理は公知であり、この原理では、複数の衛星が電磁信号を送信し、この電磁信号が地上の受信機によって捕捉され、この受信機が、各衛星から該受信機までの距離を計算することによって、衛星の基準座標系における該受信機の位置を特定する。衛星の位置も知られているため、地球基準座標系における受信機の位置を特定可能である。
【0005】
しかしながら、実際には、衛星によって送られた信号を、電離層を通して送信することで、信号が歪められ、その結果、約10メートルにもなりうる位置誤差が生じる。
【0006】
この影響を補償するために、所謂ディファレンシャルGPSシステムは、受信機のように各衛星までの距離を計算する、地上型基準受信局を利用する。次に、これらの計算した距離を、受信機に送信し、該受信機は、基準受信局に対する該受信機の位置を計算し、そうすることで、電離層遅延の影響を解消する。位置誤差は、そのため、約1メートル程である。
【0007】
水中装置を位置測定する(locate)分野では、GPS位置センサを備える複数のブイ、及び該ブイによって計算した位置を送信する水中音響信号の送信機を利用するシステムが知られている。
【0008】
しかしながら、これらのシステムでは、各ブイは、約10メートルの位置誤差があり、この誤差を、水中信号の送信による更なる誤差を伴って、水中装置に送信する。その結果、これらのシステムで特定した位置の精度は、低くなる。
【0009】
ディファレンシャルGPSの動作原理を利用するより高度なシステムが公知であり、該システムでは、ブイの1つを基準受信局とするように考える。それでも、これらのシステムは、基準ブイが、他のブイにその位置を送信できるようにするように、ブイ同士をリンクする空中無線(air−based radio)を必要とする。更に、基準ブイを、プロセスの開始前に選択しなければならず、表面ブイの数で、システムの構造がより複雑になる。
【0010】
米国特許第8654610号(特許文献1)に記載されたシステム等の、他の現在のシステムでは:
−水域の表面に配置した浮きが、受信した無線周波数信号に基づいて位置を特定する;
−この浮きを、水域に浸漬した剛構造体上に配置した送信機のネットワークに接続し、各送信機が、音響信号によって、共有クロックに従い浮きの位置情報を送信する;
−送信した音響信号の受信機は、各送信機によって送信した位置情報に基づいてその位置を特定し、受信した各同一信号の時間シフトを測定する。
【0011】
これらのシステムには、いくつかの欠点がある:
−船で剛構造体を輸送することで、船上の空間が減少する;
−位置情報の送信には、長く、そのため不正確になりやすい又は受信機に到達しない可能性があるメッセージを、長時間にわたって送信することを伴う;
−1個の浮きのみが存在することが多く、その結果、LOSが限定されて、位置の精度が低下する;
−システムが数個の浮きを含む場合、これらの浮きには、各浮きに約1メートルの相対的位置精度があり、システムの全体的な精度を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、これらの欠点の全て又は一部を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このために、第1の態様によると、本発明は、水中装置を測位するシステムを構想し、該システムは:
−少なくとも2つの水面トランスポンダであって、各水面トランスポンダは、地理位置情報(geolocation)システムの、少なくとも2つの衛星信号源によって送信した無線信号の受信機を含む、水面トランスポンダを含み、
−各水面トランスポンダは:
−水面トランスポンダと地理位置情報システムからの少なくとも2つの信号源との間の少なくとも1つの無線擬似距離を推定する手段;
−特定の深さに中立浮力を持つように構成した浮きに対するアタッチメント;及び
−無線擬似距離を表す情報を水中装置に通信する手段;及び
−音響信号を水中装置に送信するように構成した、地理位置情報システムの時間に同期された水中音響送信機を含み、
−水中装置は:
−少なくとも2つの水面トランスポンダによって送信した無線擬似距離を表す情報を受信する手段;
−少なくとも2つの水面トランスポンダによって送信した音響信号を受信するように構成した音響信号受信機;
−少なくとも2つの水中音響送信機と水中装置との間の1つ又は複数の音響擬似距離を特定する手段;及び
−水面トランスポンダの1つを中心にした地球基準座標系における装置の位置を計算する手段であって、確率論的推定プロセスを実行する演算ユニットを含み、該推定を、少なくとも以下の測定結果(measurement):
−受信手段によって受信した無線擬似距離を表す情報の選択;
−特定手段によって特定した音響擬似距離の選択
を用いて行う、位置を計算する手段を含む。
【0015】
これらの規定(provision)により、基準ブイが不要になり、システムの構造が、水面トランスポンダの追加によって、より複雑になるようなこともない。このシステムでは、トランスポンダの位置を、水中装置で直接計算し、それにより、電離層の影響による位置誤差を除去できる。
【0016】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの水中音響送信機は、地理位置情報システムの無線受信機の内部クロックに同期されている。
【0017】
これらの実施形態は、GPSの場合における、衛星信号のドップラ効果を再現できる。ドップラ効果は、衛星の動きに従い、信号の周波数をランダムに変化させる。GPS受信機の内部クロックの関数として音響源を変更することにより、同一と見なされるもののGPS受信機の内部クロックの動的手段によってランダムに変更される周波数で、位置測定システムを操作することが可能になる。
【0018】
いくつかの実施形態では、音響送信機と通信手段は、全く同一であり、音響送信機は、無線擬似距離を表す情報を水中装置に通信する。
【0019】
これらの実施形態は、システムを作成するのに利用する手段の数を限定できる。
【0020】
いくつかの実施形態では、水中装置の受信機と受信手段は、全く同一であり、受信機は、少なくとも2つの水面トランスポンダによって送信した無線擬似距離を表す情報を受信する。
【0021】
いくつかの実施形態では:
−水面トランスポンダの各送信機は、複数のチャンネル上で、複数の周期信号の線型結合を音響的に送信し、このとき、送信される擬似距離1つにつき1つのチャンネルを割り当て、各チャンネルは、地理位置情報システムからの経時的なクロック信号、又は情報が送信されることとなる無線擬似距離の1つを表すもののどちらかであり、各周期信号を、送信する無線擬似信号無線の値の関数として、時間シフトし;
−音響受信機は、異なる音響チャンネル上での異なる音響信号の到着時間と比較することによって、無線擬似距離を表す情報を再構成する。
【0022】
これらの実施形態は、擬似距離情報を、該情報を2値化せずに、送信可能にする。情報の送信を、送信パラメータの適合によって実行する。
【0023】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの水面トランスポンダは、少なくとも2つの水中音響送信機を含む。
【0024】
これらの実施形態は、システムを、単一のトランスポンダで動作可能にする。
【0025】
いくつかの実施形態では、本発明の主題であるシステムは、少なくとも2つの上記水中音響送信機を取着する構造体を含み、水面トランスポンダは、衛星源によって送信した信号の受信機に対する、地球基準座標系におけるこれらの水中音響送信機の位置を特定する手段、及び以下の動作:
−無線受信機と水中音響送信機の同一位置をシミュレートする理論上の無線擬似距離の測定;及び
−各送信機による、理論上の無線擬似距離値の測定結果の送信を命令するための送信
を実行する計算手段を含む。
【0026】
これらの実施形態は、システムを単一のトランスポンダで動作可能にする。
【0027】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの水面トランスポンダは、地理位置情報システムに対する位置を特定する手段を含み、送信機は、特定した位置を表す情報の項目を、水中装置に送信し、水中装置の計算手段を、地理位置情報システムの座標系に対する位置を計算するように構成する。
【0028】
いくつかの実施形態では、本発明の主題であるシステムは、少なくとも2つの水中装置を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの水面トランスポンダは、「主要な(principal)」として知られる、少なくとも1つの水中装置から、1つ又は複数の水中装置の位置を受信し、この1つ又は複数の水中装置の位置を表す情報を、少なくとも1つの第2の水中装置に再送するように構成した通信手段を含み、所謂「主要な」水中装置を、少なくとも1つの水中装置の位置を表す情報の項目を、少なくとも1つのトランスポンダに送信するように構成する。
【0030】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの水面トランスポンダは、計算した位置を表す情報の項目を、少なくとも第2の所謂「主要な」水中装置に通信する手段を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの水中装置は、少なくとも1つの水中装置の位置情報の項目を表示する手段を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、本発明の主題であるシステムは、1つ又は複数の水中装置の位置に対する情報の項目を表示するための、水面上方に配置する、手段を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの水中装置は:
−深さセンサ;
−慣性測定ユニット;及び
−磁力計
の中の少なくとも1つの更なるセンサを含み、該装置の位置を計算する手段は、確率推定プロセスを実行する演算ユニットであって、該推定を、少なくとも以下の測定結果:
−受信手段によって受信する無線擬似距離を表す情報の選択;
−特定手段によって特定した音響擬似距離の選択;及び
−少なくとも1つの更なるセンサからの測定結果の選択
を用いて実行する演算ユニットを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの装置を、ブレスレットに埋め込む。
【0035】
第2態様によると、本発明は、水中装置を測位する方法を構想し、該方法は:
−少なくとも2つの水面トランスポンダによって、地理位置情報システムの少なくとも2つの衛星信号源によって送信した無線信号を受信するステップ;
−水面トランスポンダと、地理位置情報システムからの少なくとも2つの信号源との間の少なくとも1つの無線擬似距離を推定するステップ;
−トランスポンダを特定の深さで中立浮力を有するように構成した浮きに取着するステップ;
−トランスポンダによって、無線擬似距離を表す情報を、水中装置に通信するステップ;
−音響信号を水中装置に送信するように構成した、地理位置情報システムの時間に同期されたトランスポンダによって、水中で音響を送信するステップ;
−少なくとも2つの水面トランスポンダによって送信した無線擬似距離を表す情報を、水中装置の受信手段によって、受信するステップ;
−少なくとも2つの水面トランスポンダによって送信した無線擬似距離を表す音響信号を、水中装置の受信機によって、受信するステップ;
−水面トランスポンダの少なくとも2つの水中音響送信機と水中装置との間の1つ又は複数の音響擬似距離を特定するステップ;及び
−水面トランスポンダの1つを中心にした地球基準座標系における装置の位置を計算するステップであって、位置を計算するための手段は、確率論的推定プロセスを実行する演算ユニットを含み、該推定を、少なくとも以下の測定結果:
−受信手段によって受信した無線擬似距離を表す情報の選択;
−特定手段によって特定した音響擬似距離の選択
を用いて行う、位置を計算するステップ
を含むことを特徴とする。
【0036】
本発明の主題である方法に関する特定の目的、利点及び特徴は、本発明の主題である装置のものと同様であるため、それらについては、本明細書では、繰返さない。
【0037】
本発明の他の利点、目的及び特定の特徴は、付録に含む図面を参照して、本発明の主題であるシステム及び方法の少なくとも1つの特定の実施形態に続く非限定的な記載から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本明細書は、非限定的な方法で記載され、実施形態の各特徴は、有利な方法で任意の他の実施形態の他の特徴と組合せることができる。
【0040】
次に、図面は、正確な縮尺ではない点に留意されたい。
【0041】
図1は、正確な縮尺ではないが、本発明の主題であるシステム100の一実施形態の概略図を示している。水中装置105、110、115及び/又は120を測位するシステム100は:
−少なくとも2つの水面トランスポンダ125、130及び/又は135であって、各水面トランスポンダは、地理位置情報(Geolocation)システム200の、少なくとも2つの衛星信号源165、170及び/又は175によって送信した無線信号の受信機160を含む、水面トランスポンダを含み、
−各水面トランスポンダは:
−水面トランスポンダと地理位置情報システムからの少なくとも2つの信号源との間の少なくとも1つの無線擬似距離を推定する手段180;
−特定の深さで中立浮力を持つように構成した浮きに対するアタッチメント185;
−無線擬似距離を表す情報を水中装置に通信する手段140;及び
−音響信号を水中装置に送信するように構成した、地理位置情報システムの時間に同期された水中音響送信機140を含み、
−水中装置は:
−少なくとも2つの水面トランスポンダによって送信した無線擬似距離を表す情報を受信する手段145;
−少なくとも2つの水面トランスポンダによって送信した音響信号を受信するように構成した音響信号受信機145;
−少なくとも2つの水中音響送信機と水中装置との間の1つ又は複数の音響擬似距離を特定する手段150;及び
−水面トランスポンダの1つを中心にした地球基準座標系における装置の位置を計算する手段155であって、確率論的推定プロセスを実行する演算ユニットを含み、該推定を、少なくとも以下の測定結果:
−受信手段によって受信した無線擬似距離を表す情報の選択;
−特定手段によって特定した音響擬似距離の選択
を用いて行う、位置を計算する手段155を含む。
【0042】
各トランスポンダ125、130及び135は、例えば、ブイに取付けた、又は浮体構造物に若しくは船に取着した電子回路である。
【0043】
アタッチメント185は、例えば、釘打ち、ねじ込み、クリップ留め又は結束によるアタッチメント等の、当業者に既知のあらゆる種類とすることができる。
【0044】
各信号受信機160は、例えば、地理位置情報システム200の各衛星源165、170及び175によって送信した電磁信号を受信するように構成したアンテナである。
【0045】
この地理位置情報システム200は、例えば、GPSシステムである。
【0046】
推定手段180は、例えば、トランスポンダ125、130又は135と、源であって、受信機160がその信号を受信する各源165、170及び/又は175との間の擬似距離を計算するように構成した、電子計算回路である。
【0047】
各擬似距離を推定するために、推定手段180は:
−源165、170又は175によって送信した信号と、トランスポンダ125、130又は135におけるローカルクロックと同期して再構成した、同信号のローカルレプリケーションとの時差を計算し;
−例えば真空中の光の速度の値等の、波動伝播速度定数に、受信した信号とローカルレプリケーションとの時差を乗ずることによって、擬似距離を計算する。
【0048】
各トランスポンダ125、130、135のクロックは、独立している。しかしながら、擬似距離の推定量から、地理位置情報システム200と同期されたクロックを生成可能である。
【0049】
通信手段140は、例えば、少なくとも1つの水中装置105、110、115及び/又は120に電磁信号を送信するように構成したアンテナである。
【0050】
しかしながら、水中環境で伝播が制約されるため、この通信手段140は、電気信号を表す音響信号を送信するように構成した電気音響変換器とするのが好ましい。
【0051】
そのため、この実施形態で理解されるように、通信手段140は、トランスポンダ125、130又は135の既知の位置を、水中装置105、110、115又は120に通信せず、特定した擬似距離だけを通信する。
【0052】
送信機140は、例えば、電気信号を表す音響信号を送信するように構成した電気音響変換器である。
【0053】
これらの信号は、例えば、各衛星の三次元空間における方向を表し、船の位置も表しうる。
【0054】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの水中音響送信機140、105、110、115及び/又は120は、地理位置情報システム200の無線受信機160の内部クロックに同期されている。
【0055】
いくつかの好適な変形例では、送信機140と通信手段140は、全く同一である。
【0056】
各水中装置105、110、115及び120は、少なくとも2つの水面トランスポンダ125、130及び/又は135によって送信した無線擬似距離を表す情報を受信する手段145を含む。
【0057】
この受信手段145は、例えば、音響信号を電気信号に変換するように構成した電気音響変換器である。これらの音響信号は、対応する音響信号を送信したトランスポンダ125、130又は135によって推定した擬似距離を表す。
【0058】
各水中装置105、110、115及び120は、少なくとも2つの水面トランスポンダ125、130及び/又は135によって送信した音響信号を受信するように構成した音響信号受信機145を含む。
【0059】
受信機145は、例えば、送信機140によって送信した電磁信号を受信するように構成したアンテナである。
【0060】
送信機140が、如何なる技術、基準又は規格を利用したとしても、受信機145は、相補的な方法で、同じ技術、基準又は規格を利用する。
【0061】
いくつかの変形例では、送信機140と受信機145を、柔軟な電気ケーブルによって又は赤外線波の送信によって接続する。
【0062】
いくつかの好適な変形例では、受信機145は、音響信号を電気信号に変換するように構成した電気音響変換器である。
【0063】
いくつかの好適な変形例では、受信機145と受信手段145は、全く同一である。
【0064】
いくつかの変形例では、水中装置105、110、115及び/又は120と水面トランスポンダ125、130及び/又は135との間の通信は、双方向である。
【0065】
特定手段150は、例えば、各トランスポンダ125、130及び135の推定手段180と同じ方法で動作する電子計算回路である。
【0066】
各擬似距離を推定するために、特定手段150は:
−源125、130又は135によって送信した信号と、水中装置105、110、115又は120でのローカルクロックと同期して再構成した、同信号のローカルレプリケーションとの時差を計算し;
−例えば海水中での音速の値等の、波動伝播速度定数に、受信した信号とローカルレプリケーションとの時差を乗ずることによって、擬似距離を計算する。
【0067】
各水中装置105、110、115又は120のクロックは、例えば、トランスポンダ、125、130及び135のクロックと同期され、好適には、地理位置情報システム200のクロックと同期される。
【0068】
各水中装置105、110、115及び120の計算手段155は、例えば、電子計算回路であり、該電子計算回路は:
−三辺測量で、特定手段150によって擬似距離を特定した各トランスポンダ125、130及び/又は135に対する、水中装置105、110、115又は120の位置を計算し;
−三辺測量で、地理位置情報システム200の源165、170及び/又は175に対する、特定手段150によって擬似距離を特定した各トランスポンダ125、130及び/又は135の位置を計算し;
−推移律(transitivity)に基づいて、地理位置情報システム200の衛星源165、170及び/又は175に対する、水中装置105、110、115又は120の位置を計算する
ように構成される。
【0069】
確率推定プロセスを、装置の位置を計算する手段155で実行する。このプロセスは、例えば、以下の動作を実行する:
−状態ベクトルの各要素が、数値を有する一次元又は多次元の数値変数である、状態ベクトルの漸進的な合成(progressive construction)。以下の変数が挙げられる:地理位置情報システム200の衛星源165、170及び/又は175に対する確率推定を実行する水中装置105、110、115又は120が新たな3D位置を取る各時点での、地理位置情報システム200の各無線受信機と水中装置との間の、秒単位のクロック差、地理位置情報システム200の各無線受信機と衛星源165、170及び/又は175との間の、秒単位のクロック差;
−測定ベクトルの漸進的な合成。各測定結果は、測定プロセスから来るランダム変数である。音響及び無線擬似距離の測定結果だけでなく、例えば、深さ、加速又は周囲の磁気の測定結果も挙げることができる;
−測定残差ベクトルの漸進的な合成。各測定残差は、測定ベクトルの測定結果と状態ベクトルとの関数である。この残差は、その数値(一次元又は多次元であり、対象の測定結果と同一又は異なる次元を有する)が、測定結果に誤差がないと考えられる場合にはゼロと等しくなり、この誤差が増加すると考えられる際には、値が増大することを特徴とする;
−最後に、状態ベクトルを更新する通常のプロセス。このプロセスの目的は、新たな値を探索することによって上記状態ベクトルを再評価することであり、その結果として、測定残差ベクトルの特定のノルムをできるだけ減少させる目的で、測定残差ベクトルを再評価することである。これを達成するためには、確率論的(probabilistic)と称される、複数の方法がある。これらの方法は、確率論によって、状態ベクトルの反復更新から、方向及び値を求めることが可能になるという点において、確率論的と呼ばれる。所謂「QR」分解、コレスキ分解に基づく、一般逆行列に基づく方法、又は、モンテカルロ法として知られる準ランダム探索の方法、又は遺伝学の分野からの進化論に基づく方法を挙げることができる;
−任意には、プロセス全体に望ましくない効果をもたらすと考えられる状態値及び測定結果を除去するプロセスを追加できる。
【0070】
そのため、確率推定プロセスにより、リアルタイムで、二次的と考えられる他の変数に加えて、装置の位置を計算する手段155の軌道又は軌道の一部を求めることが可能となる。
【0071】
いくつかの実施形態では、水面トランスポンダ125、130又は135の各送信機140は、複数のチャンネル上で、複数の周期信号の線形結合を音響的に送信し、このとき、送信される擬似距離1つにつき1つのチャンネルを割り当て、各チャンネルは、地理位置情報システム200からの経時的なクロック信号、又は情報が送信されることとなる無線擬似距離の1つを表すもののどちらかであり、各周期信号を、送信する無線擬似信号無線の値の関数として、時間シフトする。
【0072】
従って、例えば、送信機140が、推定擬似距離を表す信号を送信しなければならない場合、この送信機140は、2つの周波数:地理位置情報システム200のクロック信号に対応する第1周波数、及び送信する擬似距離に対応する第2周波数で、音響信号を送信する。
【0073】
この第2周波数で、周期信号を、連続的に又は所定の時間間隔中に、送信し、推定擬似距離の値の関数として時間シフトする。オフセット関数は、例えば、特定した距離の1単位に対して1秒の割合とする線形関数である。例えば、100キロメートルの距離は、1ミリ秒のシフトに対応する。そのため、推定擬似距離が、2万キロメートルと等しい場合、周期信号は、200ミリ秒だけシフトする。
【0074】
例えば、送信機140が、それぞれが推定擬似距離を表す2信号を送信する必要がある場合、3周波数を利用する:第1は、クロック信号に対応し、第2は、第1擬似距離に対応し、第3は、第2擬似距離に対応する。
【0075】
そのため、これらの実施形態で分かるように、擬似距離の値を、二値化して、次に送信機140によって送信するのではなく、その代わりに、周期信号をシフトすることによって間接的に送信する。これらの実施形態により、擬似距離値の送信は、よりロバストになる。
【0076】
更に、複数の周波数を利用することで、各擬似距離の値を同時に、且つ間接的に送信可能になる。
【0077】
これらの実施形態では、音響受信機145は、異なる音響チャンネルを通した異なる音響信号の到着時間と比較して、無線擬似距離を表す情報を再構成する。
【0078】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの水面トランスポンダ130は、少なくとも2つの水中音響送信機140を含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、本発明の主題であるシステム100は、少なくとも2つの上記水中音響送信機140を取着するための構造体132を含み、水面トランスポンダ130は、衛星源165、170及び175によって送信した信号の受信機に対する、地球基準座標系におけるこれらの水中音響送信機の位置を特定する手段133、及び以下の動作:
−無線受信機160と水中音響送信機140の同一位置をシミュレートする理論上の無線擬似距離の測定;及び
−各送信機140による、理論上の無線擬似距離値の測定結果の送信を命令するための送信
を実行する計算手段134を含む。
【0080】
この計算手段134は、例えば、電子計算回路である。
【0081】
計算手段134は、無線受信機160からの無線擬似距離測定結果、及び局所参照座標系における地理位置情報システム200の源165、170及び/又は175の各方向(例えば、東/北/より高い)を検索する。計算手段は、上記局所参照座標系における無線受信機160に対する水中音響送信機140の位置を知ることができると考えられる。
【0082】
そのため、受信機160を各送信機140の位置に設置していれば無線擬似距離の測定結果はどのようになりえたかを、シミュレート可能である。実際には、無線擬似距離の測定結果とは、定義上、まず時間シフトに光速を乗じたものと、次いで地理位置情報システム200の源165、170及び/又は175と無線受信機160の間の距離との合計であることは、公知である。この時間シフトは、受信機160の移動をシミュレート中には、一定であると考える。そのため、無線受信機が各音響送信機140の位置に設置されているかのようにして新たな無線擬似距離の測定結果を得るためには、無線受信機160を通過する単位ベクトルに射影した音響送信機140の位置ベクトルの直交射影距離から、地理位置情報システム200の源165、170及び175までの、メートル単位の擬似距離測定結果を、メートル単位で加える必要がある。これは、無線擬似距離測定モデルに配慮した我々の新たな仮想擬似距離測定である。
【0083】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの水面トランスポンダ125は、地理位置情報システム200に対する位置を特定する手段186を含み、送信機140は、特定した位置を表す情報の項目を、水中装置105、110、115及び/又は120に送信し、水中装置の計算手段155を、地理位置情報システム200の座標系に対する位置を計算するように構成する。
【0084】
特定手段186は、例えば、トランスポンダ125の位置を、最小限として、推定手段180によって推定した無線擬似距離を表す情報の選択から、確率的に推定するように構成した電子計算回路である。
【0085】
この特定手段186を、例えば、推定手段180によって推定した擬似距離に基づいて、トランスポンダ125の三辺測量を実行するように構成する。
【0086】
いくつかの実施形態では、システム100は、少なくとも2つの水中装置105、110、115及び/又は120を含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの水面トランスポンダ125、130及び/又は135は、少なくとも1つの所謂「主要な(principal)」水中装置105から、1つ又は複数の水中装置の位置を受信し、この1つ又は複数の水中装置の位置を表す情報を、少なくとも1つの第2の水中装置に再送するように構成した通信手段140を含み、該所謂「主要な」水中装置を、少なくとも1つの水中装置の位置を表す情報の項目を、少なくとも1つのトランスポンダ125、130及び/又は135に送信するように構成する。
【0088】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの水中装置105、110、115及び/又は120は、計算した位置を表す情報の項目を、少なくとも第2の所謂「主要な」水中装置に通信する手段191を含む。
【0089】
通信手段191は、例えば、電磁信号を送信するように構成したアンテナである、又は計算した位置を表す電気信号を表す音響信号を送信するように構成した電気音響トランスポンダである。
【0090】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの水中装置105は、少なくとも1つの水中装置110の位置情報の項目を表示する手段195を含む。
【0091】
この表示手段195は、例えば、画面である。
【0092】
いくつかの実施形態では、本発明の主題であるシステム100は、1つ又は複数の水中装置105、110、115及び/又は120の位置に対する情報の項目を表示するための、水面上方に配置する、手段210を含む。
【0093】
この表示手段210は、例えばコンピュータ、デジタルタブレット又はスマートフォンの、例えば画面である。
【0094】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの水中装置110は:
−深さセンサ;
−慣性測定ユニット;及び
−磁力計
の中の少なくとも1つの更なるセンサ190を含み、該装置の位置を計算する手段155は、確率推定プロセスを実行する演算ユニットであって、該推定を、少なくとも以下の測定結果:
−受信手段によって受信する無線擬似距離を表す情報の選択;
−特定手段によって特定した音響擬似距離の選択;及び
−少なくとも1つの上記更なるセンサからの測定結果の選択
を用いて実行する演算ユニットを含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの装置110を、ブレスレットに埋め込む。
【0096】
いくつかの変形例では、少なくとも1つの水中装置を、ドローン又は水中装置に埋め込む。
【0097】
好適には、本発明の主題であるシステム100は:
−少なくとも3つのトランスポンダ125、130及び135、及びセンサ190;又は
−少なくとも4つのトランスポンダ125、130及び135
を含む。
【0098】
図2は、本発明の主題である方法300の特定の実施形態を示している。水中装置を測位する方法300は:
−トランスポンダを特定の深さで中立浮力を有するように構成した浮きに取着するステップ305;
−少なくとも2つの水面トランスポンダによって、地理位置情報システムの少なくとも2つの衛星信号源によって送信した無線信号を受信するステップ310;
−水面トランスポンダと、地理位置情報システムからの少なくとも2つの信号源との間の少なくとも1つの無線擬似距離を推定するステップ315;
−トランスポンダによって、無線擬似距離を表す情報を、水中装置に通信するステップ320;
−音響信号を水中装置に送信するように構成した、地理位置情報システムの時間に同期されたトランスポンダによって、水中で音響を送信するステップ325;
−少なくとも2つの水中トランスポンダによって送信した無線擬似距離を表す情報を、水中装置の受信手段によって、受信するステップ330;
−少なくとも2つの水面トランスポンダによって送信した無線擬似距離を表す音響信号を、水中装置の受信機によって、受信するステップ335;
−水面トランスポンダの少なくとも2つの水中音響送信機と水中装置との間の1つ又は複数の音響擬似距離を特定するステップ340;及び
−水面トランスポンダの1つを中心にした地球基準座標系で装置の位置を計算するステップ345であって、位置を計算する手段は、確率論的推定プロセスを実行する演算ユニットを含み、該推定を、少なくとも以下の測定結果:
−受信手段によって受信した無線擬似距離を表す情報の選択;
−特定手段によって特定した音響擬似距離の選択
を用いて行う、位置を計算するステップ345を含む。
【0099】
この方法300を、例えば、
図1に関して記載したように、システム100を利用することによって、実行する。