(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示スクリーン(20)の前記散乱セグメント(22)は、前記半反射構造体(30)に由来し前記散乱セグメント(22)によって散乱される光線を前記半反射構造体(30)の方向に反射するように、さらに反射性を有する、請求項1に記載の浮遊画像形成システム(1)。
前記表示スクリーン(20)の前記散乱セグメント(22)は、前記半反射構造体(30)に由来し前記散乱セグメント(22)に対して入射軸を有する光線が、前記散乱セグメント(22)によって、前記入射軸と同一の反射軸を有するように前記半反射構造体(30)の方向に反射されるように、さらに再帰反射性を有する、
請求項1又は2に記載の浮遊画像形成システム(1)。
前記画像プロジェクタ(10)は、複数のソース画像を伝達するのに適しており、前記表示スクリーン(20)の異なる面(20a)に、ソース画像を光学的に共役させるのに適した少なくとも1つの投影光学系(12a、12b)を備える、
請求項4又は5に記載の浮遊画像形成システム(1)。
前記画像プロジェクタ(10)は、基準軸(Aref)を中心として回動可能な反射面を有するステアリング構造体(13)を備え、ソース画像を前記表示スクリーン(20)の前記表示面(20a、20b)に投影する、
請求項4乃至6の何れか一項に記載の浮遊画像形成システム(1)。
前記湾曲面は、前記画像プロジェクタ(10)のステアリング構造体(13)を通る基準軸(Aref)の周りに連続的に延び、前記表示スクリーン(20)及び前記半反射構造体(30)は、それぞれ前記基準軸に対して回転体である錐体を形成する、請求項10に記載の浮遊画像形成システム(1)。
前記画像プロジェクタ(10)は、画像ソース(11)に由来する前記光線を少なくとも部分的に前記表示スクリーン(20)の方向に反射するのに適した少なくとも1つのステアリング構造体(13)を備え、
前記半反射構造体(30)は、前記表示スクリーン(20)と前記ステアリング構造体(13)との間に配置されている、
請求項1乃至14の何れか一項に記載の浮遊画像形成システム(1)。
【背景技術】
【0002】
浮遊画像形成システムは、19世紀以来、娯楽分野に存在しており、特に宣伝及び経験的PRの分野に取り組むことを目的として現在開発中である。それらは、ペッパーズ・ゴースト(Pepper's ghost)と呼ばれる錯視効果に基づいており、その原理は、米国特許出願公開第2009/0009862号明細書に記載されている浮遊画像形成システムを示す
図1Aを参照して想起されるであろう。
【0003】
この例では、システムA1は、画像ソースA2、例えば、ここでは、その放射面A3に複数のソース画像(source image)を伝達するのに適した放射スクリーン、及び画像ソースA2に対して逆さまに配置された多角形底面のピラミッドの形状を有する半反射構造体A4を備える。すなわち、その頂点Aは、画像ソースA2の放射面A3に面して配置されている。したがって、ピラミッド形A4の半反射面A5は、画像ソースA2とシステムA1の環境の方を向いている。
【0004】
画像ソースA2は、ピラミッドA4の半反射面A5にそれぞれ面して配置されている複数のソース画像を供給する。したがって、供給されたそれぞれの画像の光線は、ピラミッドA4の対応する面A5によって環境の方向に部分的に反射される。ピラミッドA4の面A5のうちの1つの前に置かれた観察者は、画像ソースA2によって供給された画像の虚像(virtual image)を見る。この虚像は、ピラミッドA4の内部に位置する仮想平面内に配置される。ピラミッド構造A4の半透明性は、光景上に画像を重ねて形成することを可能にし、これは観察者に浮遊画像を観察する印象を与える。さらに、この例では、システムA1の周りを移動しようとしていた観察者は、ピラミッドA4の内部に配置された様々な虚像を見ることになり、それは三次元浮遊画像を観察する印象を与えるであろう。
【0005】
このタイプのシステムA1の1つの欠点は、半反射面A5が画像ソースA2の方へ及びシステムA1の環境の方へ向けられるように、半反射構造体A4が配向される必要があることである。その結果、視野は、一方では画像ソースA2の放射面A3によって、そして他方では半反射構造体A4の底部によって制限される。さらに、画像ソースA2に対してピラミッドA4の上下を逆にすることは、ピラミッドA4を保持するための要素を設ける必要があり、これはシステムに魅力的でない効果を加え、観察者の見やすさを低下させる。
【0006】
米国特許第3551043号明細書は、半透明の表示スクリーンA6上に画像を投影するためのシステムA1を記載している。
図1Bに示すように、システムA1は第1のプロジェクタA7aと第2のプロジェクタA7bとを備え、これらはそれぞれ同じ表示スクリーン上にソース画像を投射するのに適している。プロジェクタA7a、A7bは、画像ソースと光学投影システムとを備える。半反射構造体A4は、第1のプロジェクタA7aから表示スクリーンA6に至る光路上、及び第2のプロジェクタA7bから表示スクリーンA6に至る光路上に位置している。これにより、第1のプロジェクタA7a由来の光線はスクリーンA6の方向に反射され、第2のプロジェクタA7b由来の光線はスクリーンA6の方向に透過される。したがって、動作時において、画像形成システムA1は、第2のプロジェクタA7bによって供給される画像に重ねて、第1のプロジェクタA7aによって供給される画像をスクリーンA6上に確実に表示する。したがって、表示スクリーンA6の反対側に位置する観察者は、一方が他方の上に重ねられている2つの表示画像を見ることができる。
【0007】
このシステムA1の1つの欠点は、観察者がスクリーンA6の後ろに位置する第2のプロジェクタA7bをはっきりと見ることができないようにするために、表示スクリーンA6が半透明で透明ではないことである。したがって、このシステムA1は、浮遊画像、すなわち、表示スクリーンの背後に位置する光景上に重ねて観察可能な画像の形成を保証しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、従来技術の欠点を少なくとも部分的に改善することであり、より詳細には、光景に重ねて浮遊画像を観察した視覚経験を改善するとともに、浮遊画像の観察者の見やすさを保証する浮遊画像形成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明の主題は、ソース画像を投影するのに適した少なくとも1つの画像プロジェクタと、画像プロジェクタによって投影された画像を表示するのに適した表示スクリーンとを備える、浮遊画像形成システムである。
【0011】
本発明によれば、前記表示スクリーンは、透明セグメントと散乱セグメントとを含み、さらに入射光線を部分的に透過させるのに適している。透明セグメントは、視認される光景に由来する、内面に入射する光線を透過させるのに適しており、散乱セグメントは、画像プロジェクタに由来する、内面に入射する光線を散乱させることにより、投影画像を表示するのに適している。さらに、浮遊画像形成システムは、画像プロジェクタと表示スクリーンとの間に配置される半反射構造体(semi-reflective structure)をさらに備える。半反射構造体は、画像プロジェクタに由来する光線及び視認される光景に由来する光線を透過させるのに適した透過面と呼ばれる面と、表示スクリーンに由来する光線を反射するのに適した反射面と呼ばれる反対側の面とを備え、表示スクリーン上に投射された画像の虚像(浮遊画像と呼ばれる)を形成し、当該浮遊画像は、半反射構造体によって表示スクリーンを通して観察可能である。
【0012】
以下は、この浮遊画像形成システムのある好ましいが非限定的な側面である。
【0013】
前記表示スクリーンの散乱セグメントは、半反射構造体に由来し散乱セグメントによって散乱される光線を半反射構造体の方向に反射するように、さらに反射性を有してもよい。
【0014】
前記表示スクリーンの散乱セグメントは、半反射構造体に由来し前記散乱セグメントに対して入射軸を有する光線が、前記散乱セグメントによって、前記入射軸と同一の反射軸を有するように前記半反射構造体の方向に反射されるように、さらに再帰反射性を有してもよい。
【0015】
表示スクリーンは、実質的に平面であり、対を成す複数の表示面を備えてもよく、半反射構造体は、実質的に平面であり、対を成す複数の傾斜面を備えてもよく、前記傾斜面は、それぞれ、1つの前記表示面と光学的に関連している。
【0016】
前記ディスプレイ面及び前記半反射構造体の前記面は、前記画像プロジェクタのステアリング構造体(steering structure)を通る基準軸と呼ばれる軸を中心にして連続的に延びていてもよく、前記表示スクリーン及び前記半反射構造体はそれぞれピラミッド状の錐体(pyramidal cone)を形成する。
【0017】
前記画像プロジェクタは、複数のソース画像を伝達するのに適していてもよく、表示スクリーンの異なる面に、ソース画像を光学的に共役させるのに適した少なくとも1つの投射光学系を含んでいてもよい。
【0018】
前記画像プロジェクタは、複数の反射面を有するステアリング構造体を備えていてもよく、前記ステアリング反射面のそれぞれは、ソース画像及び表示面と光学的に関連付けられている。
【0019】
前記画像プロジェクタは、前記表示スクリーンの前記面上にソース画像を投影するように、基準軸を中心として回動可能な反射面を有するステアリング構造体を備えていてもよい。
【0020】
前記表示面の前記散乱セグメントは、
−前記半反射構造体に由来し前記散乱セグメントに対して入射軸を有する光線が、前記散乱セグメントによって前記入射軸と同一の反射軸を有するように前記半反射構造体の方向に反射されるように、再帰反射性を有していてもよく、
−1つの表示面に関連する散乱錐体のぞれぞれが、隣接する表示面に関連する散乱錐体と部分的に重なり合う散乱錐体において再帰反射光線を散乱するのに適していてもよい。
【0021】
前記表示スクリーン及び前記半反射構造体はそれぞれ単一の実質的に湾曲した面を備えていてもよい。
【0022】
前記表示スクリーン及び前記半反射構造体の前記湾曲面は、前記画像プロジェクタのステアリング構造体を通る基準軸を中心にして連続的に延びてもよく、前記表示スクリーン及び前記半反射構造体は、それぞれ前記基準軸に対して回転体である錐体(cone of revolution)を形成してもよい。
【0023】
前記画像ソースによって供給される画像は、アナモルフィック画像(anamorphic image)であってもよい。
【0024】
前記表示スクリーンの前記透明セグメントは、前記半反射構造体に由来する光線を透過させるのに適していてもよく、前記散乱セグメントは、前記半反射構造体に由来する光線を前記半反射構造体の方向に散乱させるのに適していてもよい。
【0025】
前記散乱セグメントのそれぞれは、前記透明セグメントによって囲まれていてもよく、前記表示スクリーンは、前記散乱セグメントによる20%以下の遮蔽度を有していてもよい。
【0026】
前記画像プロジェクタは、画像ソースに由来する前記光線を少なくとも部分的に前記表示スクリーンの方向に反射するのに適した少なくとも1つのステアリング構造体を備えていてもよく、前記半反射構造体は、前記表示スクリーンと前記ステアリング構造体との間に配置されていてもよい。前記ステアリング構造体は、前記表示スクリーンの内面に向いていてもよい。前記半反射構造体の前記透過面は、前記ステアリング構造体の方を向いていてもよく、前記反射面は、前記表示スクリーンの前記内面の方を向いていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の他の態様、目的、利点及び特徴は、添付の図面を参照しながら非限定的な例として与えられる、その好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読むことによってより明らかになるだろう。
【
図1A】すでに説明した
図1Aは、先行技術に係る、浮遊画像を形成するための画像形成システムの例を示す。
【
図1B】すでに説明した
図1Bは、先行技術に係る、非浮遊画像を形成するための画像形成システムの例を示す。
【
図2】
図2は、1つの実施形態に係る画像形成システムを部分的かつ概略的に示す図である。
【
図3A】
図3Aは、透明セグメント及び散乱セグメントを備える表示スクリーンの様々な例の概略的な部分断面図である。
【
図3B】
図3Bは、透明セグメント及び散乱セグメントを備える表示スクリーンの様々な例の概略的な部分断面図である。
【
図3C】
図3Cは、透明セグメント及び散乱セグメントを備える表示スクリーンの様々な例の概略的な部分断面図である。
【
図3D】
図3Dは、透明セグメント及び散乱セグメントを備える表示スクリーンの様々な例の概略的な部分断面図である。
【
図4A】
図4Aは、透明セグメントと、散乱セグメント及び反射セグメントとを備える表示スクリーンの様々な例の概略的な部分断面図である。
【
図4B】
図4Bは、透明セグメントと、散乱セグメント及び反射セグメントとを備える表示スクリーンの様々な例の概略的な部分断面図である。
【
図4C】
図4Cは、透明セグメントと、散乱セグメント及び反射セグメントとを備える表示スクリーンの様々な例の概略的な部分断面図である。
【
図4D】
図4Dは、透明セグメントと、散乱セグメント及び反射セグメントとを備える表示スクリーンの様々な例の概略的な部分断面図である。
【
図5A】
図5Aは、透明セグメントと、散乱及び再帰反射セグメントとを備える表示スクリーンの様々な例の概略的な部分断面図である。
【
図5B】
図5Bは、透明セグメントと、散乱及び再帰反射セグメントとを備える表示スクリーンの様々な例の概略的な部分断面図である。
【
図5C】
図5Cは、透明セグメントと、散乱及び再帰反射セグメントとを備える表示スクリーンの様々な例の概略的な部分断面図である。
【
図6A】
図6Aは、プロジェクタがステアリングミラーを備える、他の実施形態に係る画像形成システムを部分的かつ概略的に示す断面図である。
【
図6B】
図6Bは、プロジェクタがステアリングミラーを備える、他の実施形態に係る画像形成システムを部分的かつ概略的に示す斜視図である。
【
図7A】
図7Aは、準三次元浮遊画像(quasi-three-dimensional floating image)を形成することを可能にする、他の実施形態に係る画像形成システムの様々な例を部分的及び概略的に示す。
【
図7B】
図7Bは、準三次元浮遊画像を形成することを可能にする、他の実施形態に係る画像形成システムの様々な例を部分的及び概略的に示す。
【
図7C】
図7Cは、準三次元浮遊画像を形成することを可能にする、他の実施形態に係る画像形成システムの様々な例を部分的及び概略的に示す。
【
図8A】
図8Aは、表示スクリーン及び半反射構造体が湾曲しており同軸である、他の実施形態に係る画像形成システムを部分的及び概略的に示す。
【
図8B】
図8Bは、表示スクリーン及び半反射構造体が湾曲しており同軸である、他の実施形態に係る画像形成システムを部分的及び概略的に示す。
【
図8C】
図8Cは、プロジェクタが走査可能な投影装置である1つの変形例に係る画像形成システムを部分的かつ概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面及び以下の説明では、同一又は類似の要素を参照するために同じ参照番号が使用されている。さらに、様々な要素は、図面の明瞭さのために一定の縮尺では示されていない。さらに、様々な実施形態及び変形例は互いに排他的ではなく、互いに組み合わせることができる。特記しない限り、用語「実質的に」、「約」、及び「程度」は、10%以内を意味する。
【0029】
一般に、浮遊画像形成システムは、表示スクリーン上へのソース画像を確実に投影するのに適した少なくとも1つのソース画像のプロジェクタを備える。浮遊画像形成システムは、さらに、投影画像を確実に表示する表示スクリーンであって、当該表示スクリーンの後ろに位置する光景の観察を可能にするのに適した表示スクリーンを備える。したがって、浮遊画像形成システムは、その領域の全部又は一部にわたって分布している透明セグメント及び散乱セグメントを備える。好ましくは、以下に詳述されるように、散乱セグメントは、反射性であり、又は再帰反射性でさえある。当該システムは、プロジェクタと表示スクリーンとの間に配置され、スクリーンによって表示される画像の仮想画像(浮遊画像と呼ばれる)を形成するのに適した、浮遊画像を形成するための半反射構造体(semi-reflective structure)も備える。
【0030】
図2は、プロジェクタ10がステアリング半反射板(steering semi-reflective plate)13を備える、第1の実施形態に係る浮遊画像形成システム1を概略的に示す。
【0031】
画像プロジェクタ10は、少なくとも1つの画像ソース11と、1つの関連する投影光学系12と、好ましくは、1つのステアリング構造体(steering structure)13とを備える。画像ソース11、例えば、放射スクリーンは、少なくとも1つの表示される画像、ソース画像とも呼ばれる、を伝達するのに適している。それは、とりわけ、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、及び、任意選択で、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、あるいは、ブラウン管(CRT)ディスプレイであってもよい。画像ソース11は、RGB光源と関連するデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)からなることが好ましい。
【0032】
投影光学系12は、画像ソース11によって供給された画像を表示スクリーン20上に投影する、すなわち、供給された画像の実像(real image)をスクリーン20上に投影するのに適している。換言すると、投影光学系12は、画像ソース11の放射面と表示スクリーン20との光学的共役を確実にする。したがって、それは、例えば、1つ以上のレンズを備えることができ、画像ソース11と表示スクリーン20との間に配置され、そして、この実施形態では、画像ソース11とステアリング構造体13との間に配置される。
【0033】
プロジェクタ10は、この実施形態では、表示スクリーン20の方向に、画像ソース11に由来する光線を少なくとも部分的に又は完全にさえ反射するのに適したステアリング構造体13を備える。ステアリング構造体13は、ここでは、半反射板で形成され、プロジェクタ10から表示スクリーン20へと延びる光路上に、そしてここでは表示スクリーン20と観察されるべき光景との間に配置される。ステアリングプレート13は、プロジェクタ10及び表示スクリーン20の方を向く内面13iと呼ばれる半反射面と、内面13iの反対側の外面13eと呼ばれる面とを備える。ステアリングプレート13は、図示するように、表示スクリーン20に対して、例えば45°の傾斜角をなすように配向されてもよい。ステアリングプレート13は、半反射プレートと同じ光学機能を果たす干渉フィルタ(interference filter)によって置き換えられてもよく、あるいは、以下に詳しく説明するように、ミラーによって置き換えられてもよい。この例では、ステアリング構造体13は、表示スクリーン20に関連して、その底部がプロジェクタ10に面して位置するピラミッド形状を有する。
【0034】
スクリーンは、部分的に透明な表示クリーン20であり、そのために、その領域の全部又は一部にわたって分布している透明セグメント21及び散乱セグメント22を備える(
図3A及びその後の図を参照)。それは、プロジェクタ10に由来する光線を受けるように意図されている内面20iと呼ばれる面と、観察者が対向して位置する外面20eと呼ばれる反対側の面とを備える。したがって、表示スクリーン20は、散乱セグメント22を介して、その内面20iに入射する光線の一部、特にプロジェクタ10に由来する光線を比較的強く散乱させるのに適している。また、表示スクリーン20は、透明セグメント21を介して、その内面20iに入射する光線の他の部分、特に光景に由来する光線を透過させるのにも適している。プロジェクタ10によって供給される画像の実像を形成するために、表示スクリーン20は投影光学系12の像面に配置される。
【0035】
透明セグメント21と散乱セグメント22は互いに区別され、スクリーンの面内で散乱セグメント22が透明セグメント21によって囲まれるように相互に配置されることが好ましい。透明とは、光を通過させる要素、材料、表面などの光学的性質を意味し、それを通して問題の要素の背後に位置する光景を明確に区別することができる。したがって、透明セグメント21は、光を透過させることができるが、それを通る光景を明確に区別することができないようにそれを散乱させる半透明セグメントとは異なる。ここで透明セグメント21は、滑らかな表面、すなわちいわゆる「光学研磨品質」を有する表面を有し、それにより、伝播特性を著しく変更することなく光線を透過させることができる。滑らかな表面は、好ましくは、表面の凹凸の振幅の平均の平方根に対応する20nmRMS(二乗平均平方根)未満の表面粗さを有し、そして好ましくは2nm〜15nmRMSの間に含まれる。したがって、表示スクリーン20は、その透明セグメント21のおかげで、光景に由来する光を透過するが、当該光景の物体をはっきりと視認により区別することができないように散乱する、前述の米国特許第3551043号明細書のスクリーンのような半透明スクリーンとは異なる。
【0036】
半反射構造体30は、一方では、表示スクリーン20の方向に伝播する光線、特にプロジェクタ10に由来する光線及び光景に由来する光線を透過させるのに適しており、他方では、表示スクリーン20に由来する光線を反射するのに適している。
【0037】
それは、光景を向いており、ここではステアリング構造体13の方を向いている透過面30tと呼ばれる第1の面と、表示スクリーン20の方を向いている第1の面30tと反対側の反射面30rと呼ばれる第2の面とを有する。したがって、その透過面30tに入射する光線は部分的にかつ好ましくは完全に透過され、その反射面30rに入射する光線は部分的に及び好ましくは完全に反射される。
【0038】
半反射構造体30は、プロジェクタ10から表示スクリーン20へと延びる光路上で、視認される光景と表示スクリーン20との間に配置されている。ここで、それは、表示スクリーン20と実質的に平行であるが、後者に対してゼロでない傾斜角をなしていてもよい。ここで、それは、単一の半反射板で形成されているが、半反射板と同じ光学機能を果たす干渉フィルタによって置き換えられてもよい。
【0039】
動作時において、プロジェクタ10の画像ソース11は、光学系12によって表示スクリーン20上に投影される、ソース画像と呼ばれる画像を供給する。より正確には、画像ソース11によって放射された光線は、光学系12によって投影され、ステアリング構造体13によって反射され、そして、半反射構造体30によって表示スクリーン20の方向に透過される。表示スクリーン20は、投射光学系12の像面に配置されているため、画像ソースの実像は、その散乱セグメント22を介して表示スクリーン20上に形成される。そして、半反射構造体30は、表示された実像の虚像(virtual image)を形成する。より正確には、表示された実像に由来する光線は、表示スクリーン20の方向に半反射構造体30によって反射され、後者によって、その透明セグメント21を介して透過される。さらに、光景から放出された光線は、表示スクリーン20の外面20eに対向して位置する観察者の方向に、ステアリング構造体13、半反射構造30、次いで表示スクリーン20によって透過される。
【0040】
したがって、そのような観察者は、表示スクリーン20上に投影された実像の、半反射構造体30によって形成された虚像を知覚することができる。したがって、前述の米米国特許第3551043号明細書のように、観察できるように表示スクリーン20の表面上に形成される必要がないため、虚像は、光景上に重ねて真に浮かぶように見える。さらに、前述の米国特許出願公開第2009/0009862号明細書のような浮遊画像形成システムとは異なり、本発明に係る形成システム1は、上下逆向きの半反射ピラミッド構造を使用する必要がなく、これにより、観察者の見やすさを向上させることができる。具体的には、観察者の視野は、逆さまのピラミッド構造の基部によっても、逆さまのピラミッドを保持するための機械的要素によっても制限又は損なわれない。
【0041】
図3A乃至
図3Dは、1つの実施形態に係る表示スクリーン20の例を示しており、表示スクリーンは、少なくとも1つの透明材料、例えばガラス製又はプラスチック製のパネル23、又は、フィルム若しくはシートを備え、その上に散乱セグメント22及び透明セグメント21が配置されている。
【0042】
図3Aは、同じ透明材料で形成されたパネル23から形成された表示スクリーン20を示しており、その第1の面は、散乱セグメント22で部分的に被覆されており、スクリーンの内面20iを形成している。当該セグメントは、一方の面が入射光を散乱させるのに適したマイクロ又はナノ構造体(micro- or nano-structures)25を備える層24から形成される。当該構造体25は、特にリソグラフィ又は成形(molding)によって形成されてもよい。
【0043】
変形例として、
図3Bに示すように、構造体25は、堆積層24上ではなく、透明パネル23の内面20i内に直接製造することができる。構造体25は、変形例として、又は追加として、表示スクリーン20の外面20eを形成するパネル23の反対面に形成されてもよい。
【0044】
変形例として、
図3Cに示されるように、表示スクリーン20は、
図3Aのそれと類似していてもよく、散乱セグメント22が、例えば、スクリーン印刷によって、散乱粒子26が充填された透明材料からなる層24を堆積することによって形成される点において、異なっていてもよい。
【0045】
変形例として、
図3Dに示されるように、表示スクリーン20は、透明な第1の材料からなり、透明セグメント21を形成するゾーンと、散乱粒子26で充填された透明バインダーから形成された第2の材料からなり、散乱セグメント22を形成するゾーンとを備える一体構造のパネル23から形成されてもよい。散乱粒子26を備えるゾーンは、パネル23の厚さの全部又は一部に亘って延在してもよい。
【0046】
また、一般に、表示スクリーン20は、その外面及び内面が光学的に滑らかである、すなわち、その表面粗さが20nmRMS以下である透明パネル23のゾーンから形成される透明セグメント21を備える。透明セグメント21は、スクリーンの平面内で散乱セグメント22を部分的に又は完全にも取り囲むように配置されることが好ましい。
【0047】
図4A乃至
図4Dは、半反射構造体及び散乱セグメント22に由来する光線の透過を制限するため、散乱セグメント22がさらに不透明であり、好ましくは反射性を有する、他の実施形態に係る表示スクリーン20の例を示す。
【0048】
この目的のために、散乱セグメント22は、不透明で、好ましくは反射性の材料、例えばアルミニウム又は銀のような金属でできた層27をさらに備える。したがって、反射性を有する層27は、数ナノメートル〜数ミクロンの厚さ、例えば10nm〜10μmの間、好ましくは30nm〜100nmの間の厚さの薄い層であってもよい。
【0049】
薄い反射層27は、散乱セグメント22と同じ高さに配置され、透明セグメント21と同じ高さには配置されない。各反射層27は、構造化層24によって覆われるように(
図4A)、透明パネル23の内面20iと接触して配置されてもよい。変形例として、それらは構造化層24(図示せず)に面する;透明パネル23の内面20iの構造化領域22に面する(
図4B);又は散乱粒子26を備える層24に面する(
図4C)、外面20eと接触して配置されてもよい。また、それらは、散乱粒子26を含有する第2の材料によって形成された散乱ゾーン22と同じ高さで、パネル23の外面20eと接触してもよい(
図4D)。
【0050】
一般に、その散乱セグメント22も反射性を有する表示スクリーン20は、観察者への投影された実像の光線の透過を制限することを可能にし、したがって、半反射構造30の方向の光束を増加させることを可能にする。これにより、浮遊画像が明るくなる限り、浮遊画像形成システム1の光学的効率は向上する。さらに、観察者の方向への投影された実像の散乱は制限される。したがって、表示スクリーン20を介した浮遊画像の観察は、投影された実像による「影響」が少なくなり、これにより、当該スクリーンを介した浮遊画像の観察の品質及び快適さが向上する。
【0051】
図5A乃至
図5Cは、散乱セグメント22がさらに再帰反射性を有する、他の実施形態に係る表示スクリーン20の例を示す。表示スクリーン20は、
図3A乃至3D及び4A乃至4Dの例のものと類似しており、本質的には、半反射構造体30の方向に内面において入射光線の再帰反射を確実にするように、散乱セグメント22が少なくとも1つのキューブコーナー構造(cube-corner structure)28を備える点で異なる。
【0052】
図5Aは、各散乱セグメント22が表示スクリーン20の外面20e上にキューブコーナー構造28を備える一例を示す。これらの構造28は、表示スクリーン20の外面20eの平面に対して突出しており、突起を形成している。構造28のそれぞれは、キューブコーナー形状の隆起であり、ここでは隆起の基部は表示スクリーン20の外面20eと実質的に平行に位置している。この実施形態では、散乱セグメント22のそれぞれは、ここでは構造化され、表示スクリーン20の内面20i上に配置され、キューブコーナー突出部28に面するように、すなわち、透明パネル23の厚さにわたってキューブコーナー28と垂直に面するように配置された散乱層24を備える。表示スクリーン20の部分的な透明性の特性を保証するため、キューブコーナー28は、隣接していないが、実質的に平坦で滑らかなゾーンから形成されている透明なセグメント21によって互いに分離されている。
【0053】
図5Bは、
図5Aと同様の表示スクリーン20の例を示しており、それは本質的に、散乱層の堆積によってではなく、散乱セグメント22の散乱機能が、堆積された散乱層によってではなく、キューブコーナー突出部(cube-corner protuberance)28の高さにおける外面20eの表面欠陥によって保証される点で異なる。これらの表面欠陥は、例えば、機械的表面構造化、リソグラフィ又は成形(molding)によって得ることができる。
【0054】
さらに、入射光の反射を促進するために、散乱及び再帰反射セグメント22内のスクリーンの外面に金属層(図示せず)を設けてもよい。他の透明反射散乱フィルム、例えば、その一例が米国特許第6288805号明細書に記載されているホログラフィックフィルム、又は「光成形拡散体(Light Shaping Diffusers)」としてLuminitによって販売されているタイプの透明反射散乱フィルムが使用されてもよい。
【0055】
図5Cは、散乱セグメント22のそれぞれが、透明パネル23内の切欠きの形態をとるキューブコーナー構造28を備える別の実施形態を示す。キューブコーナー構造28である切欠きの表面は、薄い反射層27、例えば、好ましくは20nm〜100nmの厚さを有する、アルミニウム又は銀の層のような金属層、で被覆されていることが好ましい。当該切欠きは、第2の透明パネル29が透明接着剤の層によって固定されている第1のパネル23に形成されている。光線の散乱を強化するために、構造体25をスクリーン20の面20i上のキューブコーナー28に面して設けてもよい。
【0056】
光線の散乱機能は、上述のように構造体25の存在によって保証されてもよく、あるいは変形例として、キューブコーナー28の縁部によって形成された表面欠陥によって保証されてもよい。
【0057】
散乱セグメント及び再帰反射セグメントを備える表示スクリーンの上述の例に対する変形例として、再帰反射機能は、キューブコーナー構造によってではなく、ミクロスフェアをベースにした材料(microsphere-based material)の層によって実現されてもよい。国際公開第2015/158999号明細書に記載されているように、スクリーンの一方の面は、ミクロスフェアをベースにした層で被覆されて再帰反射散乱セグメント22を形成するゾーンと、当該層で被覆されずに透明セグメント21を形成するゾーンとを備えていてもよい。
【0058】
一般に、散乱セグメント22による遮蔽度(degree of occultation)、すなわち、表示スクリーン20の内面又は外面の総面積に対する散乱セグメント22の累積面積の比は、表示スクリーン20を通して透明な場面の良好な視界を可能にするため、有利には50%以下、好ましくは20%以下である。用途に応じて他の値も可能である。
【0059】
散乱セグメント22がさらに再帰反射性を有する表示スクリーン20は、浮遊画像形成システム1の光利用効率をさらに高めることを可能にする。表示スクリーン20及び半反射構造体30を通して観察される浮遊画像を明るくなる。
【0060】
図6A及び
図6Bは、高い発光効率を得ることを可能にする、他の実施形態に係る浮遊画像形成システム1を示す概略図であって、断面図(
図6A)及び斜視図(
図6B)である。
【0061】
ここで、プロジェクタ10のステアリング構造体は、光源11から放射され投射光学系12を透過した光線を実質的に完全に反射することを保証するミラーである。これにより、形成システム1の発光効率を向上することができる。
【0062】
プロジェクタ10によって放射され、半反射構造体30を透過して表示スクリーン20を透過する光線の伝播軸に対応する投影光軸を、本明細書ではApと表す。さらに、投影光軸Apに沿って再帰反射され、次いで半反射構造体30によって反射され、最後に表示スクリーン20によって透過される光線の光軸に対応する観察光軸をAoと表す。角度Δθは、伝播軸Apと観察軸Aoとの間の間隔として定義される。
【0063】
浮遊画像形成システム1の様々な要素は、投影光軸Apが観察軸Aoとは異なるように配置される、すなわち相互に向きを定められて配置されることが好ましい。したがって、観察者は、プロジェクタ10に由来する光線及び表示スクリーン20の透明セグメント21を直接透過する光線によって乱されることなく、浮遊画像を光景に重ねて観察することができる。投影光軸Apと観察軸Aoとの角度は、20°以上であることが好ましい。
【0064】
さらに、形成システム1の様々な要素は、浮遊画像が、プロジェクタ10とは別のゾーン、特にステアリング構造体13とは別のゾーンに形成されるように、互いに配置されている。換言すれば、浮遊画像がプロジェクタ10のステアリング構造体13に重ならないように、形成システム1の要素は、互いに対して、位置決め及び配向されている。したがって、浮遊画像は、ステアリング構造体13から離れて位置している。
【0065】
一般に、浮遊画像形成システム1は、その内部に画像ソース11及び投影光学系12が配置されたハウジング(図示せず)を備え、表示スクリーン20及び半反射構造体30が配置される台を形成する。当該ハウジングは、ステアリング構造体が配置される開口部を備え、これにより、画像ソース11によって放射された光線が、ステアリング構造体13によって当該ハウジングの外へ表示スクリーン20の方向に反射されることを可能にする。
【0066】
図7Aは、他の実施形態に係る浮遊画像形成システム1を示し、
図7Bは、準3次元浮遊画像を形成することを可能にする形成システム1の変形例を示す。
【0067】
図7Aを参照すると、浮遊画像形成システム1は、基本装置1a、1bと呼ばれる2つの浮遊画像形成装置を含み、基本装置のそれぞれは、
図6Bに示す浮遊画像形成システム1と類似又は同一である。
【0068】
したがって、画像形成システム1は、互いに異なる2つの表示面20a、20bを備え、表示面のそれぞれは、1つの半反射面30a、30b及び1つの投影光学系(図示せず)に関連付けられている。表示面20a、20bは、ここでは2つの異なる表示スクリーンである。同様に、半反射面30a、30bは異なる半反射構造体である。表示面20a、20b及び半反射面30a、30bは、ここでは実質的に平面である。表示面20a、20bは互いに接触してもよく、又は図示するように互いに離れて配置されてもよい。
【0069】
ここでは、プロジェクタ10は、同じ画像ソース又は2つの異なる画像ソースによって供給される2つのソース画像(図示せず)と、供給されたソース画像を1つの異なる表示面20a、20bとそれぞれ共役させる、少なくとも1つ、例えば2つの投影光学系(図示せず)と、を備える。それはさらに、それぞれ対応する表示面20a、20bに向けられている2つの反射面13a、13bを有する逆ピラミッドで形成されたステアリングプリズム(steering prism)13を備える。ソース画像は互いに同一でも異なっていてもよい。システム1は、単一のプロジェクタ10、又は、単一の画像ソースをそれぞれ備える互いに異なる複数のプロジェクタ10を備えていてもよい。
【0070】
動作時において、ソース画像のそれぞれは、1つ以上の光学系によって表示面20a、20b上に投影され、表示面20a、20bは、それぞれソース画像の実像を表示する。表示された実像は、半反射面30a、30bの方向に、散乱され、そして好ましくは反射され、又は、さらに再帰反射され、これにより、投影された実像の虚像は半反射面30a、30bによって形成される。好ましくは、基本浮遊画像形成装置1a、1bは互いに同一であり、垂直基準軸Arefを通る平面内で面対称を有するように互いに配置される。したがって、各虚像は表示面20a、20bから同じ距離に現れるので、1つの表示スクリーン20から次の表示スクリーン20へ進む観察者は、同じ位置にある浮遊画像を知覚することができる。
【0071】
図7Bは、ここでは、複数の画像形成装置1a、1b、1c・・・を備え、形成システム1に対する観察者の位置に関係なく、当該観察者が観察することができる浮遊画像であって、準3次元浮遊画像を形成することができる浮遊画像形成システム1の変形例を示す。さらに、ソース画像が様々な視野角から同じ物体を示す場合、観察者は、形成システム1に対する当該観察者の位置に応じて、これらの様々な視野角から同じ物体を観察することができ、これにより、浮遊画像の三次元的な側面を強化することができる。
【0072】
この例では、表示面20a、20b、20c・・・は、様々な形成装置1a、1b、・・・に共通の同一の表示スクリーンの面であり、当該表示面は次々に配置されて、同じ基準軸Arefの周りに連続的に延びる。同様に、半反射面30a、30b、30c・・・は、様々な形成装置に共通の同一の半反射構造体の面であり、当該半反射面は、同じ基準軸Arefの周りに連続的に延在するように次々に配置されている。
【0073】
この例では、表示面20a、20b、20c・・・及び半反射面30a、30b、30c・・・は実質的に平坦な表面を形成している。それらは、ここでは、基準軸に関して軸対称であり、周期は面の幅に対応する。
【0074】
プロジェクタ10は、複数の画像ソース(図示せず)と、画像ソース11を表示面20a、20b、20c・・・のうちの1つとそれぞれ共役させる複数の投影光学系(図示せず)とを備える。それはさらに、画像ソース及び表示面20a、20b、20c・・・と同数の反射面13a、13b、13c・・・を有する逆ピラミッドで形成されたステアリングプリズム13を備える。複数の画像ソースは、互いに同一又は異なるソース画像を供給してもよい。
【0075】
浮遊画像形成システム1に対する観察者の位置に関わらず、当該観察者が様々な表示面20a、20b、20c・・・から同じ距離に配置された浮遊画像を観察することができるという事実を考えると、動作は、
図7Aを参照して説明したものと同様である。この光学的効果は、三次元又は準三次元の浮遊画像(quasi-three-dimensional floating image)を観察する印象を強化する。
【0076】
変形例として、
図8Cを参照して以下に詳述されるように、プロジェクタ10は、走査可能なステアリング装置に関連する単一の画像の単一のソースを備えていてもよい。その場合、画像ソース11は、好ましくは、可動式ステアリングミラー(movable steering mirror)に関連する固定レーザ光源を備える、当技術分野で頭字語LBS(Light Beam Steering)で称されるタイプのピコプロジェクタである。ミラーは少なくとも2つの軸を中心に、すなわち基準軸を中心とした角度Φ、及び基準軸を基準とした傾斜角θで回転することができ、これにより、スクリーンの全ての表示面を360°走査することができる。
【0077】
図7Cは、
図7Bに示す浮遊画像形成システム1の変形例を示す。この例では、表示面20a、20b、20cのそれぞれは、さらに、散乱錐体2a、2b、2cにおいて再帰反射光を散乱させるのに適している。各散乱錐体2a、2b、2cの角度直径は、非対称であってもよく、好ましくは水平面において大きくそして垂直面において小さい。この散乱の非対称性は、基準軸Arefを中心とした観察者の回転平面内における散乱を有利にすることを可能にする。散乱及び再帰反射セグメント22は、隣接する表示面20a、20b、20cの散乱錐体2a、2b、2cが軸Arefに直交する水平面内で部分的に対をなして重なるように設計されていることが好ましい。より正確には、表示面20aに関連付けられた散乱インディカトリクス(scattering indicatrix)は、隣接する表示面20bに関連付けられた散乱インディカトリクスと交差していることが好ましい。これにより、システムの発光効率を維持しながら、浮遊画像の三次元的側面を強化することができる。
【0078】
図8A及び
図8Bは、表示スクリーン20及び半反射構造体30が湾曲して同軸であり、準三次元の浮遊画像を観察する印象を強化ことができる、他の実施形態に係る同じ浮遊画像形成システム1を示す。
【0079】
表示スクリーン20は、湾曲した表示面を備え、基準軸Arefを中心として外側に回転体である錐体(cone of revolution)を形成している。表示面は、表示スクリーン20の内面20i又は外面20eに対応する(
図3A以降の図を参照)。半反射構造体30は、湾曲した半反射面を有し、同じ基準軸Arefを中心として内側に回転体である錐体を形成する。したがって、表示スクリーン20及び半反射構造体30は、同じ基準軸Arefの周りに連続的に延在し、軸の周りの角度位置に関係なく、互いに対して同じ傾斜を有する。
【0080】
プロジェクタ10は画像ソース(図示せず)を備える。供給される画像は、アナモルフィック画像(anamorphic image)、又はアナモルフィック(anamorphosis)、すなわち、ソース画像の視覚的意味が出射面で認識できないが、対応する浮遊画像が観察される際には当該視覚的意味が認識できるように、画像ソースの出射面の平面内で変形される画像であることが好ましい。
【0081】
さらに、それは、画像ソースと表示スクリーン20とを確実に光学的に共役させるのに適した投影光学系(図示せず)を備える。それは、最終的には、基準軸に関して軸対称な、反射面又は一組の面を備えるステアリング構造体13を備える。反射面13は、投影光学系を透過した光線を表示スクリーン20の方向に360°にわたって反射するのに適している。
【0082】
動作時において、画像ソース11は、光学系によって投影され、錐体ステアリングミラー13によって反射された360°のアナモルフィック画像を錐体表示スクリーン20上に供給する。当該スクリーン20は、アナモルフィックのままである、供給された画像の投影された実像を表示する。表示された実像は、円錐形の半反射構造体30の方向に散乱され、そして好ましくは再帰反射され、それにより、表示された実像の虚像が形成される。したがって、虚像は光景上に重ね合わされて浮遊しているように見え、形成表示システム1に対する観察者の位置にかかわらず観察可能である。その場合、浮遊画像は、供給されたアナモルフィック画像では判読することができない視覚的意味を有する。したがって、表示された実像は視覚的な意味を有さないため、観察者が偶然それを見たとしてもそれによって気を散らされることは少なくなり、観察者の注意を浮遊画像に集中する。
【0083】
図8Cは、
図8A及び
図8Bに示した浮遊画像形成システム1の変形例を示しており、変形例に係る浮遊画像形成システム1は、
図8A及び
図8Bに示した浮遊画像形成システム1と、プロジェクタ10が固定(すなわち不動)ステアリング構造体ではなく、基準軸Arefを中心に回転可能なステアリング面(steering face)13を備えている点で本質的に異なる。
【0084】
ステアリング面13は、ここでは実質的に平面であり、基準軸Arefに対して角度θだけ傾斜しているので、画像ソースに由来する光線を表示スクリーン20の方向に向けることができる。
【0085】
このように、画像ソースは、回転可能なステアリングミラー13を介して、投影光学系によって表示スクリーン20上に投影される、任意選択的にアナモルフィックである投影されるべき画像を供給する。回転可能なステアリングミラー13は角速度Φ(t)で回転し、その結果、供給された画像は360°にわたって表示スクリーン20上に投影される。表示された実像は、次いで、表示スクリーン20によって、半反射構造体30の方向に散乱され、そして好ましくは再帰反射され、浮遊画像が形成される。
【0086】
変形例として、プロジェクタ10は、走査可能な画像プロジェクタ、例えば小型走査可能ビデオプロジェクタを備えることができる。この装置は、上記ミラーの回転面を照らすように配置されているので、当該ミラーによって反射された光線はスクリーンの表示面を照射する。例えば、装置は、可動レーザ光源を備える。例として、この装置は、固定レーザ光源と可動ミラーとを備える、当技術分野で頭字語LBS(Light Beam Steering用)と呼ばれるタイプのピコプロジェクタである。その場合、当該ミラーは少なくとも2つの軸を中心にして、基準軸を中心とした角度Φ、及び角度θだけ回転することができ、スクリーンの表示面全体を走査することができる。
【0087】
特定の実施形態について説明した。当業者にとって、様々な変形例及び修正形態が明らかであろう。
【0088】
したがって、画像形成システムの要素の位置及び傾斜配置を、浮遊画像が実質的に水平軸に沿って、又はローアングルショットのように観察されるように選択することができる。これにより、表示スクリーン及び半反射構造体の基準軸に対する傾きを小さくすることができる。