(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
医薬上許容される希釈剤または担体が、ポリマーマトリックスを含み、任意に、当該ポリマーマトリックスは、生分解性ポリ(d,l−ラクチド−コ−グリコリド)マイクロスフェアである、請求項15に記載の医薬組成物。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、中枢神経系障害の治療または予防に有用な式Iの化合物を提供する。第1の態様において、本開示は、式I:
【化1】
(上式中、
Xは、−NH−または−N(CH
3)−であり、
Lは、O、NH、NR
a、およびSから選択され、
Bは、C−F、またはNであり、
Zは、CH
2、O、N、またはNR
aであり、
R
aは:
独立して選ばれる
3個までのR
b基に
より独立して置換されてもよい
、C1−4アルキル、C
2−4アルケニル、C
2−4アルキニル、またはC
3−6シクロアルキル
であり、例えばC1−3ハロアルキルもしくはC1−3ヒドロキシアルキルであるか;または
独立して選ばれる
5個までのR
b基に
より任意に置換される、アリールであり;
それぞれのR
bは、独立して、H、ハロゲン、NH
2、NO
2、OH、C(=O)OH、CN、SO
3、およびC
1−4アルキルから選択される)
で示され、例えば、単離または精製されて遊離または塩の形態となった、遊離または塩の形態である、化合物(化合物I)に関する。
【0006】
本開示は、例えば、単離または精製されて遊離または塩の形態となった、遊離または塩の形態である、式Iの化合物についての、さらなる例示の実施形態を提供しており、以下が挙げられる。
1.1 化合物Iにおいて、Lが、−O−である。
1.2 化合物Iにおいて、Lが、NHである。
1.3 化合物Iにおいて、Lが、NR
aである。
1.4 化合物Iにおいて、Lが、Sである。
1.5 化合物Iまたは1.1〜1.4のいずれかにおいて、Bが、C−Fである。
1.6 化合物Iまたは1.1〜1.4のいずれかにおいて、Bが、Nである。
1.7 化合物Iまたは1.1〜1.6のいずれかにおいて、Xが、−NH−である。
1.8 化合物Iまたは1.1〜1.6のいずれかにおいて、Xが、−N(CH
3)−である。
1.9 化合物Iまたは1.1〜1.6のいずれかにおいて、Zが、NR
aである。
1.10 化合物Iまたは1.1〜1.6のいずれかにおいて、Zが、NHである。
1.11 化合物Iまたは1.1〜1.6のいずれかにおいて、Zが、Oである。
1.12 化合物Iまたは1.1〜1.6のいずれかにおいて、Zが、CH
2である。
1.13 化合物Iまたは1.1〜1.12のいずれかにおいて、Lが、−O−であり、Xが、−NH−である。
1.14 化合物1.13において、Zが、NHである。
1.15 化合物1.13において、Zが、Oである。
1.16 化合物Iまたは1.1〜1.12のいずれかにおいて、Lが、−O−であり、Xが、−N(CH
3)−である。
1.17 化合物1.16において、Zが、NHである。
1.18 化合物1.16において、Zが、Oである。
1.19 化合物Iまたは1.1〜1.12のいずれかにおいて、Lが、NR
aであり、R
aは、独立して選ばれるR
b基に3個まで独立して置換されてもよい、C
1−4アルキル、C
2−4アルケニル、C
2−4アルキニル、またはC
3−6シクロアルキルであるか;または、R
aは、独立して選ばれるR
b基に5個まで任意に置換される、アリールであり;R
bは、独立して、H、ハロゲン、NH
2、NO
2、OH、C(=O)OH、CN、SO
3、およびC
1−4アルキルから選択される。
1.20 化合物1.19において、R
aは、独立して選ばれるR
b基に3個まで任意に置換される、C
1−4アルキル、またはC
3−6シクロアルキルである。
1.21 化合物1.19において、R
aは、独立して選ばれるR
b基に3個まで任意に置換される、アリールである。
1.22 化合物1.19において、R
aは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、またはフェニルからなる群から選ばれる。
1.23 化合物Iまたは1.1〜1.22のいずれかにおいて、化合物が、
【化2】
からなる群から選択される。
1.24 化合物Iまたは1.1〜1.22のいずれかにおいて、化合物が、
【化3】
からなる群から選択される。
1.25 化合物Iまたは1.1〜1.24のいずれかであって、遊離の形態である。
1.26 化合物Iまたは1.1〜1.24のいずれかであって、塩の形態、例えば、医薬上許容される塩の形態である。
1.27 化合物Iまたは1.1〜1.26のいずれかであって、固体の形態である。
例えば、単離または精製されて遊離または塩の形態となった、遊離または塩の形態である。
【0007】
本開示は、式Iの化合物についてのさらなる例示の実施形態を提供しており、ここで、化合物は、遊離、医薬上許容される塩、または医薬上許容されるプロドラッグの形態である、以下の式II−BおよびII−D:
【化4】
の化合物から選択される。いくつかの実施形態においては、式II−BおよびII−Dの化合物は、式II−Aおよび/またはII−Cの化合物のインビボの代謝により形成し得る。
【0008】
第2の態様において、本開示は、遊離または医薬上許容される塩の形態である、上記の化合物Iまたは1.1〜1.27のそれぞれを提供する。本開示は、式I以下の化合物についてのさらなる例示の実施形態を提供し、以下が挙げられる。
2.1 式I以下の化合物において、塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸など、から選択される酸付加塩である。
2.2 式I以下の化合物において、塩は、フマル酸付加塩である。
2.3 式I以下の化合物において、塩は、リン酸付加塩である。
2.4 式I以下の化合物において、塩は、トルエンスルホン酸付加塩である。
2.5 2.1〜2.4のいずれかにおいて、塩は、固体の形態である。
【0009】
第3の態様において、例えば医薬上許容される希釈剤または担体と混合し
て、化合物Iまたは1.1〜1.27のいずれか1つの化合物を含む、医薬組成物(医薬組成物3)を提供する。本開示は、医薬組成物3についてのさらなる例示の実施形態を提供し、以下が挙げられる。
3.1 医薬組成物3において、式I以下の化合物が、固体の形態である。
3.2 医薬組成物3または3.1において、式I以下の化合物が、化合物2.1〜2.5において記載された医薬上許容される塩の形態である。
3.3 医薬組成物3または3.1または3.2において、式I以下の化合物が、医薬上許容される希釈剤または担体と混合している。
【0010】
さらなる実施形態において、本開示の医薬組成物は、持続または遅延放出、例えばデポー製剤のためのものである。一実施形態においては、デポー製剤(デポー製剤3.4)は、3.1〜3.3のいずれかの医薬組成物であり、好ましくは、遊離または医薬上許容される塩の形態であり、好ましくは、医薬上許容される希釈剤または担体と混合され、例えば、注射可能なデポー剤として、持続または遅延放出を提供する。
【0011】
さらなる実施形態において、デポー組成物(デポー組成物3.5)は、遊離または医薬上許容される塩の形態で、医薬上許容される希釈剤または担体と混合され、R
1が−C(O)−C
6−15アルキルである、3.1〜3.3のいずれかの医薬組成物を含む。
【0012】
別の態様では、本開示は、式I以下の化合物がポリマーマトリックスの中にある医薬組成物3または3.1〜3.5のいずれかである、医薬組成物6.6を提供する。一実施形態では、本開示の化合物は、ポリマーマトリックス内で分散または溶解されている。さらなる実施形態では、ポリマーマトリックスとしては、例えば、ヒドロキシ脂肪酸のポリエステルおよびその誘導体、または、アルキルα−シアノアクリレートのポリマー、ポリアルキレンオキサレート、ポリオルトエステル、ポリカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリアミノ酸、ヒアルロン酸エステル、およびそれらの混合
物から選択されるポリマーなどの、デポー製剤に用いられる標準的なポリマーが挙げられる。さらなる実施形態では、ポリマーは、ポリラクチド、ポリd,l−ラクチド、ポリグリコリド、PLGA 50:50、PLGA 85:15、およびPLGA 90:10のポリマーからなる群から選択される。別の実施形態では、ポリマーは、ポリ(グリコール酸)、ポリ−D,L−乳酸、ポリ−L−乳酸、これらのコポリマー、ポリ(脂肪族カルボン酸)、コポリオキサレート、ポリカプロラクトン、ポリジオキソノン、ポリ(オルトカーボネート)、ポリ(アセタール)、ポリ(乳酸−カプロラクトン)、ポリオルトエステル、ポリ(グリコール酸−カプロラクトン)、ポリ無水物、ならびに、アルブミン、カゼイン、および、グリセロールモノおよびジステアレートなどのようなワックスを含む天然ポリマー、から選択される。好ましい実施形態においては、ポリマーマトリックスとして、ポリ(d,l−ラクチド−コ−グリコリド)が挙げられる。
【0013】
例えば、医薬組成物3.6の一実施形態では、化合物は、Xが、−NH−または−N(CH
3)
−であり、Yが、−C(=O)−または−C(H)(OH)−である、遊離または医薬上許容される塩の形態である、式Iの化合物である。医薬組成物3.6の別の実施形態では、ポリマーマトリックスとして、ポリ(d,l−ラクチド−コ−グリコリド)が挙げられる。
【0014】
(医薬)組成物3および3.1〜3.6は、持続または遅延放出に特に有用であり、本開示の化合物は、ポリマーマトリックスの分解にともなって放出される。これらの組成物は、180日までの、例えば約14日から約30日、約180日の期間にわたる、本開示の化合物の制御
放出および/または持続放出のために、
(例えば、デポー組成物として)製剤化され得る。例えば、ポリマーマトリックスは
、約30日、約60日または約90日の期間にわたって
分解して本開示の化合物を放出し得る。別の例では、ポリマーマトリックスは
、約120
日または約180日の期間にわたって
分解して本開示の化合物を放出し得る。
【0015】
さらに別の実施形態では、本開示の医薬組成物、例えば本開示のデポー組成物、例えば医薬組成物3.6は、注射投与用に製剤化される。
【0016】
第4の態様において、本開示は、国際公開WO2000/35419号、および欧州特許第1539115号(米国特許出願公開第2009/0202631号)に記載された(それぞれの出願内容は全体に参照によって組み込まれる)、浸透性制御放出経口送達システム(OROS)において、前記した式I以下の化合物を提供する。したがって、第7の態様の一実施形態では、本開示は、(a)
上記した遊離または医薬上許容される塩の形態である式I以下のいずれかの化合
物また
は本発明の医薬組成
物を含むゼラチンカプセル、(b)カプセルから外側に向かって、順に、(i)バリア層、(ii)膨張層、および(iii)半透過性層を含
む、ゼラチンカプセルに重ねられる複層の壁体、および、(c)壁体を通して形成され
るかまたは形成され得るオリフィス、を含む医薬組成物またはデバイスを提供する。(組成物P.1)
【0017】
別の実施形態では、本発明は、液体と、遊離または医薬上許容される塩の形態である式I以下の化合物、または、例えば医薬組成物3または3.1〜3.6のいずれかである、本発明の医薬組成物と、を含むゼラチンカプセルであって、ゼラチンカプセルの外表面に接するバリア層と、バリア層に接する膨張層と、膨張層を覆う半透過性層と、壁体に形成され
るかまたは形成され得る出口オリフィスとを含む複合壁体に囲まれた、ゼラチンカプセル、を含む医薬組成物を提供する。(組成物P.2)
【0018】
さらに別の実施形態では、本発明は、液体と、遊離または医薬上許容される塩の形態である式I以下の化合物、または、例えば医薬組成物3または3.1〜3.6のいずれかである、本発明の医薬組成物と、を含むゼラチンカプセルであって、ゼラチンカプセルの外表面に接するバリア層と、バリア層に接する膨張層と、膨張層を覆う半透過性層と、壁体に形成され
るかまたは形成され得る出口オリフィスとを含む複合壁体に囲まれ、バリア層が出口オリフィスにおいて膨張層と周囲との間のシールを形成する、ゼラチンカプセル、を含む組成物を提供する。(組成物P.3)
【0019】
さらに別の実施形態では、本発明は、液体と、遊離または医薬上許容される塩の形態である式I以下の化合物、または、例えば医薬組成物3または3.1〜3.10のいずれかである、本発明の医薬組成物と、を含むゼラチンカプセルであって、ゼラチンカプセルの外表面に接するバリア層と、バリア層の一部に接する膨張層と、少なくとも膨張層を覆う半透過性層と、ゼラチンカプセルの外表面から使用環境まで延伸し、剤形に形成され
るかまたは形成され得る出口オリフィスとに囲まれた、ゼラチンカプセル、を含む組成物を提供する。(組成物P.4)。膨張層は、例えば、ゼラチンカプセルの両側部または両端部に配置された2つの部分のように、1または複数の個別の部分に形成されてもよい。
【0020】
この態様の特定の実施形態では、浸透性制御放出経口送達システム(すなわち、組成物P.1〜P.4)における本開示の化合物は、液体製剤中にあり、その製剤は、そのまま、液体活性剤、溶液中の液体活性剤、懸濁液、エマルジョンまたは自己乳化組成物などであり得る。
【0021】
ゼラチンカプセル、バリア層、膨張層、半透過性層、およびオリフィスの特性を含む、浸透性制御放出経口送達システムの組成物に関するさらなる情報は、国際公開WO2000/35419号に見出すことができ、その内容は全体が参照されて組み込まれる。
【0022】
式I以下の化合
物また
は本開示の医薬組成物
のための他の浸透性制御放出経口送達システムは、欧州特許第1539115号(米国特許出願公開第2009/0202631号)に見出すことができ、その内容は全体が参照されて組み込まれる。したがって、第7の態様の別の実施形態では、本発明は、(a)第1層および第2層を含み、第1層が、遊離または医薬上許容される塩の形態である式I以下の化合物、または、本明細書に記載された医薬組成物を含み、第2層がポリマーを含む、2層以上の層、(b)前記2層以上の層を囲む外壁体、および、(c)外壁体にあるオリフィス、を含む、組成物またはデバイスを提供する。(組成物P.5)。
【0023】
組成物P.5は、3層コアを囲む半透膜を用いることが好ましく、これらの実施形態では、第1層は、第1の薬物層を意味し、少量の薬物(例えば、式I以下の化合物)および塩などの浸透剤を含み、中間層は、第2の薬物層を意味し、より多量の薬物および賦形剤を含み、塩を含まず、第3の層は、プッシュ層を意味し、浸透剤を含み、薬物を含まない。カプセル型錠剤の第1の薬物層の端部上の膜を通して、少なくとも1つのオリフィスが穿孔される。(組成物P.6)
【0024】
組成物P.5またはP.6は、区画を画定する膜であって、内部保護サブコートを囲み、少なくとも1つの出口オリフィスが形成され
るかまたは形成され
得、膜の少なくとも一部が半透過性である、膜
;出口オリフィスから離れた区画に配置され
ている膨張層であって、膜の半透過性部分と流体連通し
ている膨張層;出口オリフィスに隣接して配置され
ている第1の薬物層;および第1の薬物層と膨張層との間の区画に配置され
ている第2の薬物層を含んでもよく、
これら薬物層は、遊離または医薬上許容される塩の形態の本発明の化合物を含む。第1の薬物層と第2の薬物層との相対的な粘度に応じて、異なる放出プロファイルが得られる。各層の最適な粘度を特定することが不可欠である。本発明では、粘度は、塩、塩化ナトリウムの添加により調節される。コアからの送達プロファイルは、各薬物層の重量、製剤および厚みに依存する。(組成物P.7)
【0025】
特定の実施形態において、本発明は、第1の薬物層が塩を含み、第2の薬物層が塩を含まない組成物P.7を提供する。組成物P.5〜P.7は、膜と薬物層との間に流動促進層を任意に含んでもよい。
【0026】
組成物P.1〜P.7は、本明細書において、通常、浸透性制御放出経口送達システム組成物を意味する。
【0027】
第5の態様において、本発明は、必要とする患者に、式2.1〜2.5に示される化合物に例示される式I以下の化合物、または、医薬組成物3または3.1〜3.6またはP.1〜P.7を投与することを含む、中枢神経系障害の治療または予防のための方法(方法1)を提供する。特定の実施形態において、方法1は、
1.1 遊離または医薬上許容される塩の形態の、化合物Iまたは1.1〜1.27のいずれか
1.2 式2または2.1〜2.5のいずれかの化合物
1.3 組成物3および3.1〜3.6のいずれかに記載された医薬組成物
1.4 デポー組成物3.4または3.5に記載されたデポー組成物
1.5 医薬組成物P.1〜P.7
1.6 上記で記載された、浸透性制御放出経口送達システム組成物
の投与を提供する。
【0028】
第5の態様のさらなる実施形態において、本開示は、方法1または方法1.1〜1.6のいずれかであって、さらに以下に説明される方法を提供する。
1.7 方法1または方法1.1〜1.6のいずれかであって、中枢神経系障害が、肥満症、不安症、うつ病(例えば難治性うつ病およびMDD)、精神病(進行期パーキンソン病の幻覚または偏執性妄想などの、認知症に関連する精神病を含む)、統合失調症、睡眠障害(特に統合失調症
、ならびにその他の精神系
および神経系疾患に関連する睡眠障害)、性的障害、片頭痛、頭痛に関連する疾患、社交恐怖症、認知症の激越(例えばアルツハイマー病の激越)、自閉症および関連する自閉症系障害の激越、消化管運動の機能不全などの胃腸障害、例えばアルツハイマー病またはパーキンソン病の認知症といった認知症;気分障害;および、例えば、オピエート依存症および/またはアルコール依存症などの薬物依存症、または、薬物またはアルコール依存症(例えばオピエート依存症)からの離脱;または過食性障害、からなる群から選ばれる、障害である。
1.8 方法1または方法1.1〜1.7のいずれかであって、中枢神経系障害が、セロトニン5−HT
2A、ドーパミンD2受容体系、および/または、セロトニン再取込みトランスポーター(SERT)経路(国際公開WO2009/145900に記載されたのと同様で、その内容は全体が参照されて本明細書に組み込まれる)、が関与する障害である。
1.9 方法1または方法1.1〜1.8のいずれかであって、中枢神経系障害が、μ−オピオイド受容体が関与する障害である。
1.10 方法1または方法1.1〜1.9のいずれかであって、中枢神経系障害が、(1)うつ病
に罹患し
ている患者の、例えば統合失調症などの精神病、(2)例えば統合失調症などの精神病に罹患し
ている患者の、うつ病、(3)例えば統合失調症
などの精神病またはパーキンソン
病に関連する気分障害、および、(4)例えば統合失調症
などの精神病またはパーキンソン
病に関連する睡眠障害、から選ばれる障害である。
1.11 方法1または方法1.1〜1.9のいずれかであって、中枢神経系障害が、精神病、例え
ば統合失調症であり、患者が、うつ病に罹患し
ている患者である。
1.12 方法1または方法1.1〜1.11のいずれかであって、患者が、従来の抗精神病薬、例えば、クロルプロマジン、ハロペリドール、ドロペリドール、フルフェナジン、ロキサピン、メソリダジン、モリンドン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジン、プロマジン、チオリダジン、チオチキセン、トリフルオペラジン、クロザピン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、およびジプラシドンの副作用に耐えることができない。
1.13 方法1または方法1.1〜1.11のいずれかであって、患者が、従来の抗精神病薬、例えば、ハロペリドール、アリピプラゾール、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、およびジプラシドンの副作用に耐えることができない。
1.14 方法1または方法1.1〜1.13のいずれかであって、障害がうつ病であり、患者が、精神病、例え
ば統合失調症
、またはパーキンソン病に罹患し
ている患者である。
1.15 方法1または方法1.1〜1.13のいずれかであって、障害が睡眠障害であり、患者が、うつ病に罹患している。
1.16 方法1または方法1.1〜1.13のいずれかであって、1つ以上の障害が睡眠障害であり、患者が、精神病、例えば統合失調症に罹患している。
1.17 方法1または方法1.1〜1.13のいずれかであって、1つ以上の障害が睡眠障害であり、患者が、パーキンソン病に罹患している。
1.18 方法1または方法1.1〜1.13のいずれかであって、1つ以上の障害が睡眠障害であり、患者が、うつ病
と、精神病、例えば統合失調症、またはパーキンソン病
とに罹患している。
1.19 方法1または方法1.1〜1.18のいずれかであって、患者が、任意に上記の疾患を伴い、薬物依存性障害に罹患している、例えば、患者が、オピエート依存症および/またはアルコール依存症、または薬物もしくはアルコール依存症からの離脱、を患っている。
1.20 上記の方法のいずれかであって、有効量が、1mg〜1000mg、好ましくは、2.5mg〜50mgである。
1.21 上記の方法のいずれかであって、有効量が、1日あたり1mg〜100mg、好ましくは、1日あたり2.5mg〜50mgである。
1.22 上記の方法のいずれかであって、治療されるべき症状が、例えば、ドーパミン作動薬、例えば、レボドパ、およびレボドパ補助剤(カルビドパ、COMT阻害剤、MAO−B阻害剤)、ドーパミンアゴニスト、および抗コリン作用剤、例えばレボドパ、から選択される医薬、を摂取している患者における、ジスキネジアである。
1.23 上記の方法のいずれかであって、患者が、パーキンソン病に罹患している。
【0029】
さらに別の実施形態において、本開示は、上記の方法1または1.1〜1.23のいずれかであって、障害が統合失調症または睡眠障害である、方法を提供する。
【0030】
さらに別の実施形態において、本開示は、方法1.1〜1.23のいずれかであって、本発明のデポー組成物(例えば、式3.4〜3.5のいずれかのデポー組成物)、または(医薬)組成物3または3.1〜3.6または組成物P.1〜P.7が、約14日から、約30〜約180日の期間にわたる、好ましくは、約30日、約60日、または約90日の期間にわたる、本発明の化合物の制御
放出および/または持続放出のために投与される、方法を提供する。制御
放出および/または持続放出は、治療の早期の中断を回避するために、特に投薬計画に対する服薬不履行または服薬拒否が一般的に起こる抗精神病薬治療のために、特に有用である。
【0031】
さらに別の実施形態において、本発明は、上記に記載された方法1または1.1〜1.23のいずれかであって、本開示のデポー組成物が、ある期間にわたる本発明の化合物の制御
放出および/または持続放出のために投与される、方法を提供する。
【0032】
第6の態様では、本発明は、必要とする患者に、式I以下の化合物、または医薬組成物3もしくは3.1〜3.6もしくはP.1〜P.7を投与することを含む、1つ以上の睡眠障害を予防または治療するための方法(方法2)を提供し、例えば方法2において、投与される化合物または組成物は以下のとおりである。
2.1 遊離または医薬上許容される塩の形態である、化合物Iまたは1.1〜1.27。
2.2 化合物2または2.1〜2.5。
2.3 医薬上許容される希釈剤または担体と混合され、遊離または医薬上許容される塩の形態である、化合物Iまたは1.1〜1.27。
2.4 組成物3および3.1〜3.6のいずれかに記載された、医薬組成物。
2.5 医薬上許容される希釈剤または担体と混合され、遊離または医薬上許容される塩の形態である、式Iまたは1.1〜1.27の化合物を含む、医薬組成物。
2.6 デポー組成物6.4または6.5に記載された、デポー組成物。
2.7 医薬組成物P.1〜P.7。
2.8 上記で記載された、浸透性制御放出経口送達システム組成物。
【0033】
第6の態様のさらなる実施形態では、本発明は、方法2または2.1〜2.8であって、睡眠障害が、睡眠維持不眠症、頻発な目覚め、および不快な目覚めを含む、方法を提供する。例えば、
2.9 上記の方法のいずれかであって、睡眠障害が、睡眠維持不眠症である。
2.10 上記の方法のいずれかであって、有効量が、1日当たり、1mg〜5mg、好ましくは2.5〜5mgである。
2.11 上記の方法のいずれかであって、有効量が、1日当たり、2.5mgまたは5mgである。
2.12 上記の方法のいずれかであって、睡眠障害が、ジスキネジアに罹患しているかまたはその危険性がある患者、例えば、レボドパ、およびレボドパ補助剤(カルビドパ、COMT阻害剤、MAO−B阻害剤)、ドーパミンアゴニスト、および抗コリン作用剤、から選択されるドーパミン作動薬を、例えば、摂取、例えばレボドパを摂取、している患者にある。
2.13 上記の方法のいずれかであって、患者が、パーキンソン病に罹患している。
【0034】
第9の態様のさらなる実施形態において、本発明は、方法2または2.1〜2.13のいずれかであって、睡眠障害が、睡眠維持不眠症、頻繁な目覚め、および不快な目覚め含む、方法を提供する。
【0035】
本開示の化合物、本開示の医薬組成物、または本開示のデポー組成物は、従来の単剤療法では一般に起こる望ましくない副作用を引き起こすことなく併用剤の治療活性を向上させるために、特に個々の薬剤が単剤療法として使用される場合よりも低い投与量で、第2の治療剤と組み合わせて使用されてもよい。したがって、本開示の化合物は、他の抗うつ剤、抗精神病剤、他の催眠剤、および/または、パーキンソン病または気分障害を治療するために使用される薬剤と、同時に、順次に、または一緒に、投与されてもよい。別の例では、本開示の化合物を、(i)第2の治療剤の、または(ii)本開示の化合物および第2の治療剤の両方の投与量が、薬剤/化合物が単剤療法として投与される場合よりも低くなるように、遊離または塩の形態の1つ以上の第2の治療剤と組み合わせて、投与することにより、副作用を低減または最小化することができる。特定の実施形態では、本開示の化合物は、例えば、パーキンソン病の治療に使用されているような、レボドパ、およびレボドパ補助剤(カルビドパ、COMT阻害剤、MAO−B阻害剤)、ドーパミンアゴニスト、および抗コリン作用薬から選ばれるドーパミン作動薬を摂取している患者におけるジスキネジア、を治療するのに有用である。
【0036】
したがって、第7の態様において、本開示は、遊離または医薬上許容される塩の形態である、GABA活性を調節する(例えば、活性を高め、GABA伝達を促進する)化合物、GABA−Bアゴニスト、5−HTモジュレーター(例えば、5−HT
1Aアゴニスト、5−HT
2Aアンタゴニスト、5−HT
2Aインバースアゴニストなど)、メラトニンアゴニスト、イオンチャネルモジュレーター(例えば、ブロッカー)、セロトニン−2アンタゴニスト/再取り込み阻害剤(SARIs)、オレキシン受容体アンタゴニスト、H3アゴニストまたはアンタゴニスト、ノルアドレナリンアゴニストまたはアンタゴニスト、ガラニンアゴニスト、CRHアンタゴニスト、ヒト成長ホルモン、成長ホルモンアゴニスト、エストロゲン、エストロゲンアゴニスト、ニューロキニン−1薬、抗うつ剤、オピエートアゴニストおよび/またはパーシャルアゴニスト、および、抗精神病剤、例えば非定型抗精神病薬、から選択される1つ以上の治療剤をさらに含む、方法1または1.1〜1.23のいずれか、または方法2または2.1〜2.13のいずれか、を提供する(それぞれ方法I−AおよびII−A、まとめて「方法3」)。
【0037】
第7の態様のさらなる実施形態において、本発明は、1つ以上の治療剤をさらに含む、以下の方法I−AまたはII−Aを提供する。
3.1 方法I−AまたはII−Aであって、治療剤が、GABA活性を調節する(例えば、活性を高め、GABA伝達を促進する)化合物である。
3.2 方法I−AまたはII−Aまたは3.1であって、GABA化合物が、ドキセピン、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼパート、ジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、インジプロン、ゾピクロン、エスゾピクロン、ザレプロン、ゾルピデム、ガボキサドール、ビガバトリン、チアガビン、EVT201(エボテック・ファーマシューティカルズ)、およびエスタゾラム、のうちの1つ以上からなる群から選択される。
3.3 方法I−AまたはII−Aであって、治療剤が、追加の5HT2aアンタゴニストである。
3.4 方法I−AまたはII−Aまたは3.3であって、追加の5HT2aアンタゴニストが、ケタンセリン、リスペリドン、エプリバンセリン、ボリナンセリン(サノフィ−アベンティス、フランス)、プルバンセリン、MDL100907(サノフィ−アベンティス、フランス)、HY10275(イーライリリー)、APD125(アリーナ・ファーマシューティカルズ、カリフォルニア州サンディエゴ)、およびAVE8488(サノフィ−アベンティス、フランス)、のうちの1つ以上から選択される。
3.5 方法I−AまたはII−Aであって、治療剤が、メラトニンアゴニストである。
3.6 方法I−AまたはII−Aまたは3.5であって、メラトニンアゴニストが、メラトニン、ラメルテオン(ロゼレム(登録商標)、武田薬品工業、日本)、VEC−162(バンダ・ファーマシューティカルズ、メリーランド州ロックビル)、PD−6735(フェーズIIディスカバリー)、およびアゴメラチン、のうちの1つ以上からなる群から選択される。
3.7 方法I−AまたはII−Aであって、治療剤が、イオンチャネルブロッカーである。
3.8 方法I−AまたはII−Aまたは3.7であって、イオンチャネルブロッカーが、ラモトリジン、ガバペンチン、およびプレガバリン、のうちの1つ以上である。
3.9 方法I−AまたはII−Aであって、治療剤が、オレキシン受容体アンタゴニストである。
3.10 方法I−AまたはII−Aまたは3.9であって、オレキシン受容体アンタゴニストが、オレキシン、1,3−ビアリール尿素、SB−334867−a(グラクソスミスクライン、英国)、GW649868(グラクソスミスクライン)、およびベンズアミド誘導体からなる群から選択される。
3.11 方法I−AまたはII−Aであって、治療剤が、セロトニン−2アンタゴニスト/再取り込み阻害剤(SARI)である。
3.12 方法I−AまたはII−Aまたは3.11であって、セロトニン−2アンタゴニスト/再取り込み阻害剤(SARI)が、Org50081(オルガノン−オランダ)、リタンセリン、ネファゾドン、セルゾン、およびトラゾドンのうちの1つ以上からなる群から選択される。
3.13 方法I−AまたはII−Aであって、治療剤が、5HTIaアゴニストである。
3.14 方法I−AまたはII−Aまたは3.13であって、5HTIaアゴニストが、レピノタン、サリゾタン、エプタピロン、ブスピロン、およびMN−305(メディシノバ、カリフォルニア州サンディエゴ)、のうちの1つ以上からなる群から選択される。
3.15 方法I−AまたはII−Aであって、治療剤が、ニューロキニン−1薬である。
3.16 方法I−AまたはII−Aまたは3.15であって、ニューロキニン−1薬が、カソピタント(グラクソスミスクライン)である。
3.17 方法I−AまたはII−Aであって、治療剤が、抗精神病薬である。
3.18 方法I−AまたはII−Aまたは3.17であって、抗精神病薬が、クロルプロマジン、ハロペリドール、ドロペリドール、フルフェナジン、ロキサピン、メソリダジン、モリンドン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジン、プロマジン、チオリダジン、チオチキセン、トリフルオペラジン、クロザピン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドン、およびパリペリドンからなる群から選択される。
3.19 方法I−AまたはII−Aであって、治療剤が、抗うつ薬である。
3.20 方法I−AまたはII−Aまたは3.19であって、抗うつ薬が、アミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、シタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、デュロキセチン、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、イソカルボキサジド、マプロチリン、ミルタザピン、ネファゾドン、ノルトリプチリン、パロキセチン、硫酸フェネルジン、プロトリプチリン、セルトラリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリミプラミン、およびベンラファキシンから選択される。
3.21 方法I−AまたはII−A、3.17または3.18であって、抗精神病薬が、非定型抗精神病薬である。
3.22 方法I−AまたはII−A、または3.17〜3.21のいずれかであって、非定型抗精神病薬が、クロザピン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドン、およびパリペリドンからなる群から選択される。
3.23 方法I−AまたはII−Aであって、治療剤が、方法3.1〜3.22のいずれかから選択され、例えば、モダフィニル、アルモダフィニル、ドキセピン、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼペート、ジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、インジプロン、ゾピクロン、エスゾピクロン、ザレプロン、ゾルピデム、ガボキサドール、ビガバトリン、チアガビン、EVT201(エボテック・ファーマシューティカルズ)、エスタゾラム、ケタンセリン、リスペリドン、エプリバンセリン、ボリナンセリン(サノフィ−アベンティス、フランス)、プルバンセリン、MDL100907(サノフィ−アベンティス、フランス)、HY10275(イーライリリー)、APD125(アリーナ・ファーマシューティカルズ、カリフォルニア州サンディエゴ)、AVE8488(サノフィ−アベンティス、フランス)、レピノタン、サリゾタン、エプタピロン、ブスピロン、MN−305(メディシノバ、カリフォルニア州サンディエゴ)、メラトニン、ラメルテオン(ロゼレム(登録商標)、武田薬品工業、日本)、VEC−162(バンダ・ファーマシューティカルズ、メリーランド州ロックビル)、PD−6735(フェーズIIディスカバリー)、アゴメラチン、ラモトリジン、ガバペンチン、プレガバリン、オレキシン、1,3−ビアリール尿素、SB−334867−a(グラクソスミスクライン、英国)、GW649868(グラクソスミスクライン)、ベンズアミド誘導体、Org50081(オルガノン−オランダ)、リタンセリン、ネファゾドン、セルゾン、トラゾドン、カソピタント(グラクソスミスクライン)、アミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、シタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、デュロキセチン、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、イソカルボキサジド、マプロチリン、ミルタザピン、ネファゾドン、ノルトリプチリン、パロキセチン、硫酸フェネルジン、プロトリプチリン、セルトラリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリミプラミン、ベンラファキシン、クロルプロマジン、ハロペリドール、ドロペリドール、フルフェナジン、ロキサピン、メソリダジン、モリンドン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジン、プロマジン、チオリダジン、チオチキセン、トリフルオペラジン、クロザピン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドン、およびパリペリドン、からなる群から選択される。
3.24 方法I−AまたはII−Aであって、治療剤が、H3アゴニストである。
3.25 方法I−AまたはII−Aであって、治療剤が、H3アンタゴニストである。
3.26 方法I−AまたはII−Aであって、治療剤が、ノルアドレナリンアゴニストまたはアンタゴニストである。
3.27 方法I−AまたはII−Aであって、治療剤が、ガラニンアゴニストである。
3.28 方法I−AまたはII−Aであって、治療剤が、CRHアンタゴニストである。
3.29 方法I−AまたはII−Aであって、治療剤が、ヒト成長ホルモンである。
3.30 方法I−AまたはII−Aであって、治療剤が、成長ホルモンアゴニストである。
3.31 方法I−AまたはII−Aであって、治療剤が、エストロゲンである。
3.32 方法I−AまたはII−Aであって、治療剤が、エストロゲンアゴニストである。
3.33 方法I−AまたはII−Aであって、治療剤が、ニューロキニン−1薬である。
3.34 方法I−AまたはII−Aであって、治療剤が、式(I)の化合物と組み合わされ、かつ、治療剤が、L−ドーパ、コカレルドーパ(co−careldopa)、デュオドーパ、スタレボ、シンメトレル、ベンズトロピン、ビペリデン、ブロモクリプチン、エンタカポン、ペルゴリド、プラミペキソール、プロシクリジン、ロピニロール、セレギリン、およびトルカポンなどの、抗パーキンソン病薬である。
3.35 方法I−AまたはII−Aであって、治療剤が、オピエートアゴニスト、または、パーシャルオピエートアゴニスト、例えば、混合アゴニスト/アンタゴニスト(例えば、部分
的ミュー−アゴニスト活性およびカッパ−アンタゴニスト活性を有する薬剤)を含む、ミュー−アゴニストもしくはパーシャルアゴニスト、または、カッパ−アゴニストもしくはパーシャルアゴニスト、である。
3.36 方法3.35であって、治療剤が、ブプレノルフィンである。
3.37 方法I−AまたはII−Aであって、式(I)の化合物が、リストされた疾患および/またはパーキンソン病に罹患した患者における、睡眠障害、うつ病、精神病、またはそれらの組み合わせを治療するために用いられ得る。
3.38 方法I−AまたはII−Aであって、障害が、少なくとも1つまたは複数の精神病、例えば、統合失調症、うつ病、気分障害、睡眠障害(例えば、睡眠維持および/または入眠)、またはそれらの障害の組み合わせ、から選択される。
3.39 上記の方法のいずれかであって、障害が、睡眠障害である。
3.40 上記の方法のいずれかであって、障害が、精神病、例えば、統合失調症またはパーキンソン病に関連する睡眠障害である。遊離または医薬上許容される塩の形態。
【0038】
本発明の第8の態様では、本開示の化合物と、方法I−A、II−Aまたは方法3もしくは3.1〜3.40に記載された、1つ以上の第2の治療剤との組み合わせが、本明細書に記載された医薬組成物またはデポー組成物として、投与され得る。組み合わせ組成物は、組み合わせた薬物の混合物、および、個々の組成物を例えば患者に一緒に同時に投与することができる、2つ以上の別々の薬物の組成物を含むことができる。
【0039】
特定の実施形態において、方法I−A、II−A、3、または3.1〜3.40は、それを必要とする患者に、本発明の化合物を、非定型抗精神病薬、例えば、遊離または医薬上許容される塩の形態である、クロザピン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドン、またはパリペリドン、から選択される化合物と組み合わせて投与することを含み、例えば、非定型抗精神病薬の投与量が減少し、および/または副作用が低減する。
【0040】
別の実施形態において、方法I−A、II−A、3または3.1〜3.40は、それを必要とする患者に、本発明の化合物を、抗うつ剤、例えば、遊離または医薬上許容される塩の形態である、アミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、シタロプラム、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、デュロキセチン、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、イミプラミン、イソカルボキサジド、マプロチリン、ミルタザピン、ネファゾドン、ノルトリプチリン、パロキセチン、硫酸フェネルジン、プロトリプチリン、セルトラリン、トラニルシプロミン、トラゾドン、トリミプラミン、またはベンラファキシンと組み合わせて投与することを含む。あるいは、抗うつ剤は、本発明の化合物に加えて、補助薬として用いられてもよい。
【0041】
さらに別の実施形態において、方法I−A、II−A、3または3.1〜3.40は、それを必要とする患者に、本発明の化合物を、GABA活性を調節する化合物、例えば、遊離または医薬上許容される塩の形態である、ドキセピン、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼパート、ジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、インジプロン、ゾピクロン、エスゾピクロン、ザレプロン、ゾルピデム、ガボキサドール、ビガバトリン、チアガビン、EVT201(エボテック・ファーマシューティカルズ)、エスタゾラム、またはそれらの組み合わせと、組み合わせて投与することを含む。
【0042】
別の好ましい実施形態において、方法I−A、II−A、3または3.1〜3.40は、それを必要とする患者に、本発明の化合物を、遊離または医薬上許容される塩の形態であるドキセピンと組み合わせて投与することを含む。ドキセピンの用量は、当業者に公知の任意の範囲で変わり得る。一例では、用量10mgのドキセピンが、任意の用量の本発明の化合物と組み合わせられ得る。
【0043】
別の実施形態において、方法I−A、II−A、3または3.1〜3.40は、それを必要とする患者に、本発明の化合物を、非定型精神刺激薬、例えば、モダフィニル、アドラフィニル、またはアルモダフィニル、と組み合わせて(日々の投薬計画の一部としてを含む)投与することを含む。本発明の化合物をそのような薬物と組み合わせる療法は、より規則的な睡眠を促し、例えば、双極性うつ病、統合失調症に関連する認知力、ならびに、パーキンソン病や癌のような疾患での過度の眠気および疲労の治療における、高レベルのそのような薬物に関連する精神病または躁病などの副作用を防ぐ。
【0044】
式I以下の化合物、医薬組成物3および3.1〜3.8、デポー組成物6.4および6.5、組成物P.1〜P.7、方法1および1.1〜1.23、および、方法2および2.1〜2.13、のそれぞれの実施形態のいくつかにおいては、本開示の化合物は、実質的に、式II−Aおよび/またはIII−Aの化合物ではない。
【0045】
第9の態様では、本発明は、以下に記載の化合物:
11.1 遊離または医薬上許容される塩の形態である、化合物Iまたは1.1〜1.27、
11.2 化合物2または2.1〜2.5、
11.3 医薬組成物3および3.1〜3.6、
11.4 医薬組成物P.1〜P.7
11.5 本明細書に記載された浸透性制御放出経口送達システム組成物、
を、例えば、方法1または1.1〜1.23、方法2および2.1〜2.13、ならびに方法3または3.3〜3.40のいずれか、または、本発明の第11の態様に記載の方法で、本明細書に記載の1つ以上の障害の治療または予防のために(医薬の製造において)、使用することを提供する。
【0046】
第10の態様では、本発明は、例えば、方法1または1.1〜1.23、方法2および2.1〜2.13、方法I−A、II−A、3または3.1〜3.40、または、本発明の第11または12の態様に記載されたいずれかにおいて、本明細書に記載された1つ以上の障害の治療または予防の用途のための、本明細書に記載された医薬組成物、例えば、
12.1 医薬組成物3および3.1〜3.6
12.2 医薬組成物P.1〜P.7
12.3 本明細書に記載された浸透性制御放出経口送達システム組成物
を提供する。
【0047】
発明の詳細な説明
他に断りがなく、または文脈から明らかでない場合、本明細書で使用される以下の用語は、以下の意味を有する。
【0048】
本明細書で使用される「アルキル」は、他に断りがない限り、例えば、長さ1〜21個の炭素原子であり、直鎖または分岐鎖(例えば、n−ブチルまたはtert−ブチル)で、好ましくは直鎖であり得る、飽和または不飽和炭化水素部分である。例えば、「C
1−21アルキル」は、1〜21個の炭素原子を有するアルキルを意味する。一実施形態では、アルキルは、1つ以上のヒドロキシまたはC
1−22アルコキシ(例えばエトキシ)基で任意に置換される。別の実施形態では、アルキルは、好ましくは直鎖で、任意に飽和または不飽和の、1〜21個の炭素原子を含み、例えば、R
1が、1〜21個の炭素原子、好ましくは6〜15個の炭素原子、16〜21個の炭素原子を含むアルキル鎖であるいくつかの実施形態において、例えば、それが結合する−C(O)−で一緒になっており、例えば、式Iの化合物から切り離されたときに、天然または非天然の飽和または不飽和の脂肪酸の残基を形成する。
【0049】
「医薬上許容される希釈剤または担体」との用語は、医薬製剤において有用であり、アレルギー性、発熱性、または病原性であり、潜在的に病気を引き起こすまたは促進することが知られている物質、を含まない希釈剤および担体を意味することを意図する。したがって、医薬上許容される希釈剤または担体には、血液、尿、髄液、唾液などの体液、および、血球および血中タンパク質などのそれらの構成成分は除かれる。適切な医薬上許容される希釈剤および担体は、医薬製剤に関するいくつかの周知の論文に見出すことができ、例えば、Anderson,Philip O.;Knoben,James E.;Troutman,William G, eds.、Handbook of Clinical Drug Data、Tenth Edition、McGraw−Hill、2002;Pratt and Taylor, eds.、Principles of Drug Action、Third Edition,Churchill Livingston,New York,1990;Katzung, ed.、Basic and Clinical Pharmacology,Ninth Edition、McGraw Hill、20037ybg;Goodman and Gilman, eds.、The Pharmacological Basis of Therapeutics、Tenth Edition、McGraw Hill、2001;Remington’s Pharmaceutical Sciences,20th Ed.,Lippincott Williams & Wilkins.、2000;および、Martindale、The Extra Pharmacopoeia、Thirty−Second Edition(The Pharmaceutical Press,London,1999)、が挙げられ、これらは全て、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
化合物についての、「精製された」、「精製された形態で」、または「単離および精製された形態で」との用語は、合成プロセスから(例えば、反応混合物から)、または天然源あるいはそれらの組み合わせから、単離された後の前記化合物の物理的状態を意味する。したがって、化合物についての、「精製された」、「精製された形態で」、または「単離および精製された形態で」との用語は、本明細書に記載の、または当業者に周知の精製方法またはプロセス(例えば、クロマトグラフィー、再結晶、LC−MS、およびLC−MS/MS技術など)により、本明細書に記載の、または当業者に周知の標準的な分析技術によって同定するのに十分な純度で得られた後の、前記化合物の物理的状態を意味する。
【0051】
以下に示す式Aの化合物は、国際公開WO2009/145900号(その内容は全体が参照により組み込まれる)において同様に開示およびクレームされているように、重篤な錐体外路の副作用なしに、5−HT
2A、SERT、および/またはD
2受容体に関連する障害の有効な治療を提供することが知られている。
【化5】
式Aの化合物は、μ−オピオイド受容体活性または結合性を有することが知られていない、または理解されていない。式Iの化合物は、意外なことに、μ−オピオイド受容体のアンタゴニストとしての活性を有するとともに、様々な程度の5−HT
2A、SERT、および/またはD
2受容体活性も有することが見出された。Xが−NH−であり、かつLが−O−である式Iの化合物は、特に良好なμ−オピオイド受容体拮抗作用を有することが示される。したがって、そのような式Iの化合物は、不正薬物投与に対する内因性のオピエート応答を阻害することによって、および不正オピエート薬の摂取の直接的効果を阻害することによって、オピエート依存症および/またはアルコール依存症などの薬物依存症の治療に有用であり得る。
【0052】
他に断りのない限り、本開示の化合物、例えば、化合物Iまたは1.1〜1.27は、遊離または塩の形態で、例えば酸付加塩として、存在し得る。十分に塩基性である、本発明の化合物の酸付加塩は、例えば、無機または有機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、トルエンスルホン酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸など、との酸付加塩である。さらに、十分に酸性である、本発明の化合物の塩は、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩またはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム塩またはマグネシウム塩、アンモニウム塩、または、生理学的に許容される陽イオンを与える有機塩基との塩、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、モルホリン、もしくはトリス−(2−ヒドロキシエチル)−アミン、との塩である。特定の実施形態では、本発明の化合物の塩は、トルエンスルホン酸付加塩である。別の特定の実施形態では、本発明の化合物の塩は、フマル酸付加塩である。特定の実施形態では、本発明の化合物の塩は、リン酸付加塩である。
【0053】
本開示の化合物は、医薬品としての用途を意図しており、それゆえ、医薬上許容される塩が好ましい。医薬用途に適さない塩は、例えば、遊離の本発明の化合物の単離または精製に有用であり得、したがってそれも含まれる。
【0054】
本開示の化合物は、1個以上のキラル炭素原子を含んでもよい。したがって、化合物は、個々の異性体、例えば、エナンチオマーまたはジアステレオマーの形態で、または個々の形態の混合物、例えばラセミ体/ジアステレオマーの混合物として、存在する。異性体は、不斉中心が、(R)−、(S)−、または(R,S)−の配置で、存在し得る。本発明は、個々の光学活性異性体およびそれらの混合物(例えば、ラセミ体/ジアステレオマー混合物)の両方を包含するものとして、理解されるべきである。したがって、本発明の化合物は、ラセミ混合物であってもよく、または、主に、例えば純粋または実質的に純粋に、例えば70%のエナンチオマー/ジアステレオマー過剰(「ee」)より大きい、好ましくは80%eeより大きい、より好ましくは90%eeより大きい、最も好ましくは95%eeより大きい、異性体の形態であってもよい。前記異性体の精製および前記異性体混合物の分離は、当技術分野で公知の標準的な技術(例えば、カラムクロマトグラフィー、分取TLC、分取HPLC、擬似移動床法など)によって、行うことができる。
【0055】
二重結合または環についての置換基の特質による、幾何異性体は、シス(Z)またはトランス(E)の形態で存在してもよく、両方の異性体の形態が、本発明の範囲内に包含される。
【0056】
本開示の化合物の特有の特徴に加えて、Yが−C(H)(OH)−である式Iの化合物もまた、エステル化され、生理学的に加水分解可能で許容できるエステルプロドラッグを形成することができる。本明細書中で使用される、「生理学的に加水分解可能で許容できるエステル」とは、生理学的条件下で加水分解が可能で、生理学的に投与されるのに許容でき、一方ではヒドロキシを生じ、他方ではカルボン酸などの酸を生じる、本開示の化合物のエステルを意味する。例えば、Yが−C(H)(OH)である式Iまたは式IIの化合物は、エステル化されて、プロドラッグ、すなわち、R
1が−C(O)−C
1−21アルキルである式I、式IIの化合物を形成し得る。いくつかの好ましい実施形態では、R
1は、−C(O)−C
1−21アルキル、例えばアシル酸エステル、例えばヘプタン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、またはヘキサデカン酸エステルである。
【0057】
同様に、本開示の化合物がアミン基を含
む場合、そのようなアミンのプロドラッグ、例えばメチルアミンプロドラッグ
が存在
することもでき、
該プロドラッグは、投与後にインビボで切り離されてアミン代謝物を放出する。
【0058】
R
1が、−C(O)−C
1−21アルキル、好ましくは−C
6−21アルキル、より好ましくは−C
6−15アルキル、より好ましくは、直鎖で、飽和または不飽和であり、1つ以上のヒドロキシまたはアルコキシ基に任意に置換された、本開示の化合物のプロドラッグは、持続および/または遅延放出に特に有用であり、例えば、本明細書に記載のデポー組成物に記載されているように、例えば、本開示の化合物が、約14日から約30日、約180日の期間にわたって、好ましくは、約30日、約60日、または約90日間にわたって、放出される、長期の作用効果を達成する。好ましくは、持続および/または遅延放出製剤は、注射製剤である。
【0059】
代替的および/または追加的に、本開示の化合物は、例えば、組成物3および3.1〜3.6のいずれかに記載のポリマーマトリックス中に本発明の化合物を、分散、溶解またはカプセル化することにより、デポー製剤として含まれてもよく、そうすると、ポリマーが経時的に分解するにつれて、化合物が連続的に放出される。ポリマーマトリックスからの本発明の化合物の放出は、例えば、医薬デポー組成物から、例えば医薬デポー剤が投与されるヒトなどの温血動物である対象への、化合物の、制御
放出および/または遅延
放出および/または持続放出を提供する。したがって、医薬デポー剤は、持続期間、例えば14〜180日、好ましくは約30、約60または約90日にわたって、特定の疾患または病状の治療に有効な濃度で、本発明の化合物を対象に送達する。
【0060】
本発明の組成物(例えば、本発明のデポー組成物)中のポリマーマトリックスに有用なポリマーとしては、ヒドロキシ脂肪酸のポリエステルおよびその誘導体、または、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリクエン酸、ポリリンゴ酸、ポリ−β−ヒドロキシ酪酸、ε−カプロラクトン開環ポリマー、乳酸−グリコール酸コポリマー、2−ヒドロキシ酪酸−グリコール酸コポリマー、ポリ乳酸−ポリエチレングリコールコポリマー、または、ポリグリコール酸−ポリエチレングリコールコポリマー、アルキルα−シアノアクリレート(例えばポリ(ブチル2−シアノアクリレート))、ポリアルキレンオキサレート(例えばポリトリメチレンオキサレートまたはポリテトラメチレンオキサレート)、ポリオルトエステル、ポリカーボネート(例えばポリエチレンカーボネートまたはポリエチレンプロピレンカーボネート)、ポリオルト−カーボネート、ポリアミノ酸(例えば、ポリ−γ−L−アラニン、ポリ−γ−ベンジル−L−グルタミン酸、またはポリ−y−メチル−L−グルタミン酸)、ヒアルロン酸エステルなどのその他の剤が挙げられ、これらのポリマーの1種または複数種を用いることができる。
【0061】
ポリマーがコポリマーである場合、それらは、ランダム、ブロック、および/またはグラフトのコポリマーのいずれであってもよい。上記のα−ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸、ヒドロキシトリカルボン酸が、分子内で光学活性を有する場合は、D異性体、L異性体、および/またはDL異性体のいずれが用いられてもよい。その他のなかでは、α−ヒドロキシカルボン酸ポリマー(好ましくは乳酸−グリコール酸ポリマー)、そのエステル、ポリ−α−シアノアクリル酸エステルなどを用いることができ、乳酸−グリコール酸コポリマー(またポリ(ラクチド−α−グリコリド)またはポリ(乳酸−コ−グリコール酸)ともいわれ、以後、PLGAという)が好ましい。したがって、一態様では、ポリマーマトリックスに有用なポリマーは、PLGAである。本明細書で使用される、PLGAとの用語は、乳酸のポリマー(またポリラクチド、ポリ乳酸、またはPLAとも呼ばれる)のポリマーを含む。最も好ましくは、ポリマーは、生分解性のポリ(d,l−ラクチド−コ−グリコリド)ポリマーである。
【0062】
好ましい実施形態において、本発明のポリマーマトリックスは、生体適合性および生分解性のポリマー材料である。「生体適合性」との用語は、毒性がなく、発がん性がなく、身体組織に炎症を重度に誘発しないポリマー材料として定義される。マトリックス材料は生分解性であるべきであり、ここでポリマー材料は、身体プロセスにより、身体によって容易に廃棄され得る生成物に分解されるべきであり、体内に蓄積されるべきではない。生分解の生成物もまた、ポリマーマトリックスが身体と生体適合性であるという点で、身体と生体適合性であるべきである。ポリマーマトリックス材料の特に有用な例としては、ポリグリコール酸、ポリ−D,L−乳酸、ポリ−L−乳酸、これらのコポリマー、ポリ脂肪族カルボン酸、コポリオキサレート、ポリカプロラクトン、ポリジオキソノン、ポリオルトカーボネート、ポリアセタール、ポリ(乳酸−カプロラクトン)、ポリオルトエステル、ポリ(グリコール酸−カプロラクトン)、ポリ酸無水物、ならびに、アルブミン、カゼイン、およびグリセロールモノ−およびジステアレートなどのワックスを含む天然ポリマーなど、が挙げられる。本発明の実施において使用するのに好ましいポリマーは、dl(ポリラクチド−コ−グリコリド)である。そのようなコポリマーにおけるラクチドとグリコリドとのモル比は、約75:25〜50:50の範囲内であることが好ましい。
【0063】
有用なPLGAポリマーの重量平均分子量は、約5,000〜500,000ダルトン、好ましくは約150,000ダルトンであり得る。達成すべき分解速度に応じて、異なる分子量のポリマーを使用することができる。薬物放出の拡散メカニズムのために、全ての薬物がポリマーマトリックスから放出されるまでポリマーは分解せず、その後に分解するべきである。薬物は、ポリマーの賦形剤が生化学的に浸食されて、ポリマーマトリックスから放出されてもよい。
【0064】
PLGAは、従来の方法によって製造することができ、または商業的に入手可能であり得る。例えば、PLGAは、環状ラクチド、グリコリドなどから、適切な触媒を用いた開環重合によって製造することができる(欧州特許EP−0058481B2;PLGAの特性(分子量、組成および鎖状構造)についての重合度の影響、を参照)。
【0065】
PLGAは、生体条件下で(例えば、水、およびヒトなどの温血動物の組織内にみられる生体酵素の存在下で)、加水分解可能で酵素により切断可能なエステル結合の分解によって乳酸やグリコール酸を生成することによる、完全な固体のポリマー組成物の分解によって、生分解性であると考えられる。乳酸とグリコール酸は、ともに、水溶性で、通常の代謝による非毒性の生成物であり、さらに生分解して、二酸化炭素と水を生成し得る。言い換えれば、PLGAは、例えばヒトなどの温血動物の体内で、水の存在下でのエステル基の加水分解によって分解し、乳酸およびグリコール酸を生成して、酸性の微小地帯を生成すると考えられている。乳酸およびグリコール酸は、通常の生体条件下でのヒトなどの温血動物の体内における種々の代謝経路の副産物であり、そのため、良好な耐性があり、全身での毒性の発生が最小限となる。
【0066】
別の実施形態では、本発明に有用なポリマーマトリックスは、ポリエステルの構造が星型であるスターポリマーを含み得る。これらのポリエステルは、酸残基鎖によって囲まれた中心部分として単一のポリオール残基を有する。ポリオール部分は、例えばグルコース、または、例えばマンニトール、であり得る。これらのエステルは公知であり、英国特許第2,145,422号および米国特許第5,538,739号に記載されており、それらの内容は、参照により組み込まれる。
【0067】
スターポリマーは、
開始物質として、ポリヒドロキシ化合物、例えばポリオール、例え
ばグルコースまたはマンニトールを用いて、製造することができる。ポリオールは、少なくとも3個のヒドロキシ基を含有し、分子量が最大約20,000ダルトンであり、
ポリオールのヒドロキシ基のうち少なくとも1
個、好ましくは少なくとも2
個、例えば
、平均3
個が、ポリラクチドまたはコポリラクチド鎖を含むエステル基の形態となっている。分岐ポリエステル、例えば、ポリ(d,l−ラクチド−コ−グリコリド)は、中心のグルコース部分が、放射状の線状ポリラクチド鎖を有する。
【0068】
上記で記載した本発明のデポー組成物(例えば、ポリマーマトリックス中の組成物3および3.1〜3.6)は、分散され、またはカプセル化された本発明の化合物とともに、微粒子またはナノ粒子の形態で、または液体の形態で、ポリマーを含むことができる。「微粒子」とは、粒子のマトリックスとして機能するポリマー内に分散または溶解された本発明の化合物を溶液または固体の形態で含有する固体粒子を意味する。ポリマー材料の適切な選択によって、得られる微粒子が拡散放出性と生分解放出性の両方を示す微粒子製剤を製造することができる。
【0069】
ポリマーが微粒子の形態である場合、微粒子は、溶媒蒸発法または溶媒抽出法などの適切な方法を用いて、製造することができる。例えば、溶媒蒸発法では、本発明の化合物およびポリマーを、揮発性有機溶媒(例えば、アセトンなどのケトン、クロロホルムまたは塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素、ジオキサンなどの環状エーテル、酢酸エチルなどのエステル、アセトニトリルなどのニトリル、またはエタノールなどのアルコール)に溶解し、そして、適当な乳化安定化剤(例えばポリビニルアルコール、PVA)を含有する水相中に分散させることができる。その後、有機溶媒を蒸発させると、本発明の化合物が粒子内でカプセル化された微粒子を得る。溶媒抽出法では、本発明の化合物およびポリマーを、極性溶媒(例えば、アセトニトリル、ジクロロメタン、メタノール、酢酸エチル、またはギ酸メチル)に溶解し、その後、水相(例えば、水/PVA溶液など)に分散させることができる。エマルジョンが製造されると、本発明の化合物が粒子内でカプセル化された微粒子を得る。スプレードライは、微粒子を製造するための代替的な製造技術である。
【0070】
本発明の微粒子の別の製造方法は、米国特許第4,389,330号、および米国特許第4,530,840号の両方にも記載されている。
【0071】
本発明の微粒子は、注射用組成物での使用に許容されるサイズの範囲の微粒子を製造することが可能な方法によって、製造することができる。1つの好ましい製造方法は、米国特許第4,389,330号に記載されているものである。この方法では、薬剤を適切な溶媒に溶解または分散させる。薬剤含有媒体に、所望の薬剤の充填量となる生成物を供給する活性成分に対する量で、ポリマーマトリックス材料を添加する。あるいは、微粒子生成物の全成分を、溶媒中で一緒に混合することができる。
【0072】
本発明の実施において使用することができる本発明の化合
物およ
びポリマーマトリックス材料のための溶媒としては、アセトン、クロロホルムおよび塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素化合物、ハロゲン化芳香族炭化水素化合物、環状エーテル、ベンジルアルコールなどのアルコール、酢酸エチルなどの有機溶媒が挙げられる。一実施形態では、本発明の実施において使用するための溶媒は、ベンジルアルコールと酢酸エチルとの混合物であり得る。本発明に有用な微粒子の製造についてのさらなる情報は、米国特許公開第2008/0069885号に見ることができ、その内容はその全体が参照されて本明細書に組み込まれる。
【0073】
微粒子に組み込まれる本開示の化合物の量は、通常、約1重量%〜約90重量%、好ましくは30〜50重量%、より好ましくは35〜40重量%の範囲である。重量%とは、微粒子の総重量当たりの、本開示の化合物の部量を意味する。
【0074】
医薬デポー組成物は、水混和性希釈剤または担体などの医薬上許容される希釈剤または担体を含み得る。
【0075】
浸透性制御放出経口送達システム組成物の詳細は、欧州特許第1539115号(米国特許公開第2009/0202631号)、および国際公開WO2000/35419号に見ることができ、これらのそれぞれの内容は、その全体が参照されて本明細書に組み込まれる。
【0076】
「治療有効量」は、疾患または障害に罹患した対象に投与したときに、治療のために意図した期間にわたって、疾患または障害の軽減、寛解または退行を引き起こすのに有効な、本発明の化合物(例えば、医薬デポーに含まれるもの)の量である。
【0077】
本発明を実施するのに使用される投与量は、当然、例えば、治療されるべき特定の疾患または病状、使用される特定の本発明の化合物、投与方法、および所望の治療法によって、変わるであろう。他に断りのない限り、投与のための本発明の化合物の量(遊離塩
基としてまたは塩の形態として投与されるかどうかにかかわらない)は、遊離塩
基の形態の本発明の化合物の量を意味し、またはそれに基づく(すなわち、量の計算は遊離塩
基の量に基づく)。
【0078】
本発明の化合物は、経口、非経口(静脈、筋肉または皮下)または経皮などの適切な経路によって投与することができるが、好ましくは、経口で投与される。特定の実施形態において、本発明の化合物、例えばデポー製剤中のものは、好ましくは非経口で、例えば注射により投与される。
【0079】
一般に、方法1および1.1〜1.23、方法2および2.1〜2.13、ならびに方法3および3.1〜3.40について、または上記に記載された本開示の化合物の、例えば、少なくともうつ病、精神病の組み合わせ、例えば、(1)うつ病に罹患した患者における、精神病、例えば統合失調症、(2)精神病、例えば統合失調症に罹患した患者におけるうつ病、(3)精神病、例えば統合失調症またはパーキンソン病に関連する気分障害、および、(4)精神病、例えば統合失調症またはパーキンソン病に関連する睡眠障害、などの疾患の組み合わせの治療のための、使用については、上述したように、1日1回、約1mg〜100mg、好ましくは2.5mg〜50mg、例えば、1日1回、好ましくは経口投与で、2.5mg、5mg、10mg、20mg、30mg、40mg、または50mg、のオーダーの用量での経口投与において、満足のいく結果が得られることが示唆される。
【0080】
方法2または2.1〜2.13について、または上記に記載された本開示の化合物の、例えば睡眠障害単独の治療のための使用については、遊離または医薬上許容される塩の形態の本発明の化合物の、1日1回、好ましくは経口投与で、約2.5mg〜5mg、例えば2.5mg、3mg、4mgまたは5mgのオーダーの用量での経口投与において、満足のいく結果が得られることが示唆される。
【0081】
方法IAもしくは方法II−Aまたは3.1〜3.40については、1日1回、100mg未満、好ましくは50mg未満、例えば、40mg未満、30mg未満、20mg未満、10mg未満、5mg未満、2.5mg未満で、満足のいく結果が得られることが示唆される。方法II−Aまたは3.1〜3.40については、5mg未満、好ましくは2.5mg未満で、満足のいく結果が得られることが示唆される。
【0082】
より長い活性持続時間を達成するためにデポー組成物を使用する際の、本明細書に開示された障害の治療について、用量は、より短い活性の組成物に対するものよりも多く、例えば1〜100mgより多く、例えば25mg、50mg、100mg、500mg、1000mg、または1000mgより多いであろう。本開示の化合物の活性持続時間は、ポリマー組成物、すなわちポリマーと薬物の比、および微粒子のサイズの調整によって制御することができる。本発明の組成物がデポー組成物である場合、注射による投与が好ましい。
【0083】
本開示の化合物の医薬上許容される塩は、塩基
性または酸
性の部分を含む親化合物から従来の化学的方法によって、合成することができる。一般に、そのような塩は、遊離塩
基の形態のそれらの化合物を、化学量論的な量の適切な酸と、水中で、または有機溶媒中で、またはその2つの混合物中で(通常、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルのような非水性の媒体が好ましい)、反応させることにより製造することができる。それらの塩、例えば、非結晶または結晶形態のトルエンスルホン酸塩の製造についてのさらなる詳細は、PCT/US08/03340、および/または米国特許仮出願第61/036,069号に見ることができる。
【0084】
本開示の化合物を含む医薬組成物は、従来の希釈剤または賦形剤(例えば、ゴマ油が挙げられるがこれに限定されない)、およびガレヌス製剤分野で知られている技術を用いて製造することができる。したがって、経口の剤形としては、錠剤、カプセル、溶液、懸濁液などを挙げることができる。
【0085】
本発明の化合物の製造方法
Xが−NH−または−N(CH
3)−であり、ZがNHであり、BがC−Fである本開示の化合物は、(6bR,10aS)−2−オキソ−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−
de]キノキサリン、またはその1−メチル体を、下記のスキーム1に従って、任意に保護された3−(3−クロロプロピル)−6−フルオロインダゾールなどの適切なアルキルハライドと反応させ、次いで、インダゾールの窒素を脱保護することによって、製造することができる。
【化6】
【0086】
ZがOおよび/またはBがNである本開示の化合物は、対応するベンズイソオキサゾールアルキルハライドを使用した、または対応する二環式ピリジンアルキルハライド前駆体を使用した、類似の手法を用いることにより、製造することができる。
【0087】
本発明の化合物のジアステレオマーの単離または精製は、当分野で知られている従来の方法、例えば、カラム精製、分取薄層クロマトグラフィー、分取HPLC、結晶化、不純物溶解、
擬似移動床法などによって行うことができる。
【0088】
本開示の化合物の塩は、米国特許第6,548,493号、第7,238,690号、第6,552,017号、第6,713,471号、第7,183,282号、米国再発行特許RE39680号、RE39679号、および国際公開WO2009/114181に同様に記載されている方法で、製造することができ、それらそれぞれの内容は、その全体が参照されて本明細書に組み込まれる。
【0089】
製造された化合物のジアステレオマーは、例えば、CHIRALPAK(登録商標)AY−H、5μ、30×250mmを用い、室温で、10%エタノール/90%ヘキサン/0.1%ジメチルエチルアミンで溶出する、HPLCにより分離することができる。ピークを230nmで検出することができ、98〜99.9%eeのジアステレオマーを生成することができる。
【0090】
実施例1:(6bR,10aS)−8−(3−(6−フルオロ−1H−インダゾール−3−イル)プロピル)−6b,7,8,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−
de]キノキサリン−2(3H)−オンの合成
【化7】
BCl
3・MeS(10.8g、60mmol)のトルエン溶液を0〜5℃で攪拌し、3−フルオロアニリン(5.6mL、58mmol)を加え、次いで、4−クロロブチロニトリル(7.12g、68.73mmol)、およびAlCl
3(8.0g、60.01mmol)を加える。混合物を130℃で一晩撹拌し、50℃に冷却する。塩酸(3N、30mL)を注意して加え、得られた溶液を90℃で一晩撹拌する。得られた褐色の溶液を室温に冷却し、エバポレートして乾燥させる。残渣をジクロロメタン(DCM)(20mL)に溶解し、飽和Na
2CO
3でpH=7〜8の塩基性にする。有機相を分離し、Na
2CO
3で乾燥させ、次いで濃縮する。溶離液としてヘキサン中に酢酸エチルが0〜20%となる勾配を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、残渣を精製することにより、黄色固体として、2’−アミノ−4−クロロ−4’−フルオロブチロフェノンを得る(3.5g、収率28%)。MS(ESI) m/z 216.1[M+1]
+。
【0091】
0〜5℃の2’−アミノ−4−クロロ−4’−フルオロブチロフェノン(680mg、3.2mmol)の濃HCl(14mL)の懸濁液に
、NaNO
2(248mg、3.5mmol)を含む水(3mL)を加える。得られた褐色の溶液を0〜5℃で1時間撹拌し、次いで、SnCl
2・2H
2O(1.74g、7.7mmol)を含む濃HCl(3mL)を加える。混合物を0〜5℃でさらに1時間撹拌し、次いで、ジクロロメタン(30mL)を加える。反応混合物をろ過し、ろ液をK
2CO
3で乾燥し、エバポレートして乾燥させる。溶離液としてヘキサン中に酢酸エチルが0〜35%となる勾配を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、残渣を精製することにより、白色の固体として、3−(3−クロロプロピル)−6−フルオロ−1H−インダゾールを得る(400mg、収率60%)。MS(ESI) m/z 213.1[M+1]
+。
【0092】
(6bR,10aS)−6b,7,8,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−
de]キノキサリン−2(3H)−オン(100mg、0.436mmol)、3−(3−クロロプロピル)−6−フルオロ−1H−インダゾール(124mg、0.65mmol)、およびKI(144mg、0.87mmol)の混合物を、3分間、アルゴンで脱気し、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(150μL、0.87mmol)を加える。得られた混合物を78℃で2時間撹拌し、次いで、室温に冷却する。生成した沈殿物をろ過する。ろ過ケーキを、16分間の、ギ酸0.1%を含有する水にアセトニトリルが0〜60%となる勾配を用いた半分取HPLCシステムで精製することによって、オフホワイトの固体として、(6bR、10aS)−8−(3−(6−フルオロ−1H−インダゾール−3−イル)プロピル)−6b,7,8,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−
de]キノキサリン−2(3H)−オンを得る(50mg、収率28%)。MS(ESI) m/z 406.2[M+1]
+。
1H NMR(500MHz,DMSO−d
6)δ12.7(s,1H),10.3(s,1H),7.8(dd,J=5.24,8.76Hz,1H),7.2(dd,J=2.19,9.75Hz,1H),6.9(ddd,J=2.22,8.69,9.41Hz,1H),6.8−6.7(m,1H),6.6(t,J=7.53Hz,1H),6.6(dd,J=1.07,7.83Hz,1H),3.8(d,J=14.51Hz,1H),3.3−3.2(m,1H),3.2(s,2H),2.9(dt,J=6.35,14.79Hz,3H),2.7−2.6(m,1H),2.4−2.2(m,2H),2.1(t,J=11.42Hz,1H),2.0−1.8(m,3H),1.8−1.7(m,1H),1.7(t,J=10.89Hz,1H)。
【0093】
実施例2:(6bR,10aS)−8−(3−(6−フルオロベンゾ[d]イソオキサゾール−3−イル)プロピル)−6b,7,8,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−
de]キノキサリン−2(3H)−オンの合成
【化8】
(6bR,10aS)−6b,7,8,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−
de]キノキサリン−2(3H)−オン(148mg、0.65mmol)、3−(3−クロロプロピル)−6−フルオロベンゾ[d]イソオキサゾール(276mg、1.3mmol)、およびKI(210mg、1.3mmol)の混合物をアルゴンで脱気し、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(220μL、1.3mmol)を加える。得られた混合物を78℃で2時間撹拌した後、室温に冷却する。混合物を真空下で濃縮する。残渣をジクロロメタン(50mL)に懸濁し、次いで、水(20mL)で洗浄する。有機相をK
2CO
3で乾燥し、ろ過し、次いで、真空下で濃縮する。粗生成物を、1%の7N NH
3を含有する酢酸エチル中でメタノールが0〜10%となる勾配で、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製することにより、標記の生成物を固体として得る(80mg、収率30%)。MS(ESI) m/z 407.2[M+1]
+。
1H NMR(500MHz,DMSO−d
6)δ10.3(s,1H),8.0−7.9(m,1H),7.7(dd,J=2.15,9.19Hz,1H),7.3(td,J=2.20,9.09Hz,1H),6.8(d,J=7.22Hz,1H),6.6(t,J=7.54Hz,1H),6.6(d,J=7.75Hz,1H),3.8(d,J=14.53Hz,1H),3.3(s,1H),3.2(s,1H),3.2−3.1(m,1H),3.0(t,J=7.45Hz,2H),2.9−2.8(m,1H),2.7−2.5(m,1H),2.4−2.2(m,2H),2.2−2.0(m,1H),2.0−1.8(m,3H),1.8−1.6(m,2H)。
【0094】
実施例3:細胞および核内受容体機能アッセイ
細胞および核内受容体機能アッセイは、Wang,J.B.et al.(1994)、FEBS Lett.、338:217−222、の手法に従って、式II−BおよびII−Cの化合物について行われる。化合物をいくつかの濃度で試験して、それらのIC
50またはEC
50を測定する。
細胞のアゴニスト効果は、各標的についての公知の参照アゴニストに対する対照応答のパーセントとして算出され、細胞のアンタゴニスト効果は、各標的についての対照参照アゴニストの応答の阻害パーセントとして算出される。
以下のアッセイは、μ(MOP)(h)受容体における、式II−Bの化合物の効果を測定するために実施される。
【0096】
結果は、式II−BまたはII−Cの化合物の存在下で得られる、対照アゴニスト応答のパーセント:
【数1】
および、対照アゴニスト応答の阻害パーセント:
【数2】
として表される。
【0097】
EC
50値(最大応答の半分を生じる濃度)、およびIC
50値(対照アゴニスト応答の最大阻害の半分を引き起こす濃度)は、曲線を適合させるHill式:
【数3】
(上式において、Y=応答、A=曲線の左漸近線、D=曲線の右漸近線、C=化合物濃度、およびC
50=EC
50またはIC
50、およびnH=傾斜係数)
を用いた平均反復値で生成された濃度応答曲線の非線形回帰分析によって決定される。分析は、社内で開発されたソフトウェアを用いて行われ、市販のソフトウェアSigmaPlot(登録商標)4.0 for Windows(登録商標)(コピーライト、1997、SPSS Inc.)によって生成されたデータとの比較によって検証される。
【0098】
アンタゴニストについては、見かけの解離定数(K
B)が、修正されたCheng Prusoff式:
【数4】
(上式において、A=アッセイ中の参照アゴニストの濃度、およびEC
50A=参照アゴニストのEC
50値)
を用いて算出される。
【0099】
式II−Bの化合物は、1.3×10
−6MのIC
50、および1.4×10
−7MのK
Bで、μ(MOP)(h)(アンタゴニスト効果)を有することが確認され、式II−Cの化合物は、1×10
−5より大きいIC
50を有することが確認され、これは試験した最高濃度であった。
【0100】
実施例4:式II−BおよびII−Cの化合物の受容体結合プロファイル
受容体結合は、式Aの化合物のトシレート塩を対照として用いて、式II−AおよびII−Bの化合物について測定される。以下の文献の手法が使用され、それぞれの参考文献は、その全体が参照されて本明細書に組み込まれる。
5−HT
2A:Bryant,H.U. et al.(1996)、Life Sci.、15:1259−1268。
D2:Hall,D.A. and Strange,P.G.(1997)、Brit.J.Pharmacol.、121:731−736。
D1:Zhou,Q.Y. et al.(1990)、Nature,347:76−80。
SERT:Park,Y.M. et al.(1999)、Anal.Biochem.、269:94−104。
μオピエート受容体:Wang,J.B. et al.(1994)、FEBS Lett.、338:217−222。
【0101】
一般に、結果は、試験化合物の存在下で得られた、対照特異的結合のパーセント:
【数5】
および、対照特異的結合の阻害パーセント:
【数6】
として表される。
【0102】
IC
50値(対照特異的結合の最大量の半分の阻害を引き起こす濃度)、およびHill係数(nH)は、曲線を適合させるHill式:
【数7】
(上式において、Y=特異的結合、A=曲線の左漸近線、D=曲線の右漸近線、C=化合物濃度、C
50=IC
50、およびnH=傾斜係数である)
を使用して、平均反復値で生成された競合曲線の非線形回帰分析によって決定される。この分析は、社内のソフトウェアを用いて行われ、市販のソフトウェアSigmaPlot(登録商標)4.0 for Windows(登録商標)(コピーライト、1997、SPSS Inc.)によって生成されたデータとの比較によって検証された。
【0103】
阻害定数(Ki)は、Cheng Prusoff式:
【数8】
(上式において、L=アッセイ中の放射性リガンドの濃度、およびK
D=受容体に対する放射性リガンドの親和性)
を用いて算出した。スキャッチャードプロットを使用して、K
Dを決定する。
【0104】
以下の受容体親和性の結果が得られる。
【表2】
本願は、下記の態様も包含する。
[態様1]
式I:
【化9】
(上式中、
Xは、−NH−または−N(CH3)−であり、
Lは、O、NH、NRa、およびSから選択され、
Bは、C−F、またはNであり、
Zは、CH2、O、N、またはNRaであり、
Raは:
独立して選ばれる3個までのRb基により独立して置換されてもよい、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、またはC3−6シクロアルキルであり、例えばC1−3ハロアルキルもしくはC1−3ヒドロキシアルキルであるか;または
独立して選ばれる5個までのRb基により任意に置換される、アリールであり;
それぞれのRbは、独立して、H、ハロゲン、NH2、NO2、OH、C(=O)OH、CN、SO3、およびC1−4アルキルから選択される)
で示され、任意に単離または精製されて遊離または塩の形態となった、遊離または塩の形態である、化合物。
[態様2]
Lが、−O−である、態様1に記載の化合物。
[態様3]
Bが、C−Fである、態様1または2に記載の化合物。
[態様4]
Bが、Nである、態様1または2に記載の化合物。
[態様5]
Xが、−NH−である、態様1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
[態様6]
Xが、−N(CH3)−である、態様1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
[態様7]
Zが、NRaである、態様1〜6のいずれか1つに記載の化合物。
[態様8]
Zが、NHである、態様1〜6のいずれか1つに記載の化合物。
[態様9]
Zが、Oである、態様1〜6のいずれか1つに記載の化合物。
[態様10]
Lが、−O−であり、Xが、−NH−である、態様1〜9のいずれか1つに記載の化合物。
[態様11]
Zが、NHである、態様10に記載の化合物。
[態様12]
Zが、−O−である、態様10に記載の化合物。
[態様13]
【化10】
からなる群から選択される、態様1〜12のいずれか1つに記載の化合物。
[態様14]
【化11】
からなる群から選択される、態様1〜13のいずれか1つに記載の化合物。
[態様15]
医薬上許容される希釈剤または担体と混合して遊離または医薬上許容される塩の形態の態様1〜14のいずれか1つに記載の化合物を含有する、医薬組成物。
[態様16]
医薬上許容される希釈剤または担体が、ポリマーマトリックスを含み、任意に、当該ポリマーマトリックスは、生分解性ポリ(d,l−ラクチド−コ−グリコリド)マイクロスフェアである、態様15に記載の医薬組成物。
[態様17]
前記組成物が、態様1〜14のいずれかに1項に記載の化合物の、約30日、または約60日、または約90日の期間にわたる、制御性および/または持続性の放出のために製剤化されている、態様15または16に記載の医薬組成物。
[態様18]
前記組成物が、注射投与用または経口投与用に製剤化されている、態様15〜17のいずれか1つに記載の医薬組成物。
[態様19]
遊離もしくは医薬上許容される塩の形態の態様1〜14のいずれか1つに記載の化合物、または態様15〜18のいずれか1つに記載の医薬組成物を、必要とする患者に投与することを含む、中枢神経系障害の治療または予防方法。
[態様20]
前記障害が、肥満症、不安症、うつ病(例えば難治性うつ病およびMDD)、精神病、統合失調症、睡眠障害(特に統合失調症ならびにその他の精神系および神経系疾患に関連する睡眠障害)、性的障害、片頭痛、頭痛に関連する疾患、社交恐怖症、認知症の激越(例えばアルツハイマー病の激越)、自閉症および関連する自閉症系障害の激越、消化管運動の機能不全などの胃腸障害、または、気分障害;および、例えば、オピエート依存症および/またはアルコール依存症などの薬物依存症、または、薬物またはアルコール依存症(例えばオピエート依存症)からの離脱;または過食性障害、からなる群から選ばれる、態様19に記載の方法。
[態様21]
前記障害が、セロトニン5−HT2A、セロトニン再取込みトランスポーター(SERT)、ドーパミンD2経路、および/または、μ−オピオイド受容体が関与する障害である、態様19に記載の方法。
[態様22]
前記障害が、(1)うつ病に罹患している患者の、例えば統合失調症などの精神病、(2)例えば統合失調症などの精神病に罹患している患者の、うつ病、(3)例えば統合失調症などの精神病またはパーキンソン病に関連する気分障害、および、(4)例えば統合失調症などの精神病またはパーキンソン病に関連する睡眠障害、から選ばれる障害である、態様19に記載の方法。
[態様23]
遊離もしくは医薬上許容される塩の形態の態様1〜14のいずれか1つに記載の化合物、または、遊離もしくは医薬上許容される塩の形態の態様15〜18のいずれか1つに記載の医薬組成物の、中枢神経系障害の治療または予防薬の製造のための使用。