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特許6987881第2の宇宙機に近接して動作する第1の宇宙機のための静電気放電軽減および関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987881
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】第2の宇宙機に近接して動作する第1の宇宙機のための静電気放電軽減および関連する方法
(51)【国際特許分類】
   B64G 1/52 20060101AFI20211220BHJP
   B64G 1/64 20060101ALI20211220BHJP
   H02H 7/20 20060101ALI20211220BHJP
   H05F 3/04 20060101ALN20211220BHJP
【FI】
   B64G1/52
   B64G1/64 600
   H02H7/20 Z
   !H05F3/04 B
【請求項の数】20
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-555580(P2019-555580)
(86)(22)【出願日】2018年2月12日
(65)【公表番号】特表2020-516524(P2020-516524A)
(43)【公表日】2020年6月11日
(86)【国際出願番号】US2018017852
(87)【国際公開番号】WO2018190943
(87)【国際公開日】20181018
【審査請求日】2020年9月23日
(31)【優先権主張番号】62/484,969
(32)【優先日】2017年4月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/829,758
(32)【優先日】2017年12月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520128820
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】アガソン−バートン,クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル,マシュー・アラン
(72)【発明者】
【氏名】コクラン,デューイ・エドウィン
(72)【発明者】
【氏名】グラハム,ロナルド・リン
(72)【発明者】
【氏名】ハーバート,グレッグ・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ロレンス,ウィリアム・エイ
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−130097(JP,A)
【文献】 特開平07−165198(JP,A)
【文献】 特開平06−340298(JP,A)
【文献】 特開2000−311797(JP,A)
【文献】 特開平07−052900(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0240887(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/52
B64G 1/64
B64D 45/02
H02H 7/20
H05F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の静電気放電を軽減するための、システムであって、
前記第1の宇宙飛行体を宇宙空間内で操作するための推進機構と、
前記第1の宇宙飛行体を前記第2の宇宙飛行体に少なくとも一時的に連結するために前記第1の宇宙飛行体上に位置決めされるための捕獲機構と、
1つまたは複数の抵抗器、および前記1つまたは複数の抵抗器に電気的に接続された1つまたは複数の柔軟部材を含み、導電材料を有する、静電気放電を受動的に軽減するための機構と、
を備え、
前記1つまたは複数の柔軟部材が、前記第1の宇宙飛行体および前記第2の宇宙飛行体が連結しつつあるときに前記柔軟部材のうちの1つが前記第1の宇宙飛行体と前記第2の宇宙飛行体との間の最初の物理的接触を提供するように構成される、
システム。
【請求項2】
前記静電気放電を受動的に軽減するための機構が、前記第1の宇宙飛行体と前記第2の宇宙飛行体との間の静電気放電電流を約90ナノ秒以下の期間にわたって約800ミリアンペア以下に低減させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記静電気放電を受動的に軽減するための機構が、誘導器、フェライトビーズ、またはチョークを含む1つまたは複数の誘導素子をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つまたは複数の柔軟部材が、前記第1の宇宙飛行体および前記第2の宇宙飛行体が連結しつつあるときに前記第1の宇宙飛行体から前記第2の宇宙飛行体が位置決めされる位置に向かう方向に延在するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つまたは複数の柔軟部材が、ウィスカを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つまたは複数の柔軟部材の柔軟性が、少なくとも部分的にねじりばねによって提供される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の宇宙飛行体上に配置された能動的静電気放電システムをさらに備え、前記能動的静電気放電システムが、前記第1の宇宙飛行体および前記第2の宇宙飛行体のうちの一方または前記第1の宇宙飛行体および前記第2の宇宙飛行体の両方のプラズマ場を操ることにより前記第1の宇宙飛行体と前記第2の宇宙飛行体との間の電位を低減させるために、前記第1の宇宙飛行体上の前記推進機構を使用するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の静電気放電を軽減するための、システムであって、
前記第1の宇宙飛行体上に配置された能動的静電気放電システムであって、プラズマ場において、前記第1の宇宙飛行体前記第2の宇宙飛行体または前記第1の宇宙飛行体および前記第2の宇宙飛行体の両方を包み込むことにより前記第1の宇宙飛行体と前記第2の宇宙飛行体との間の電位を低減させるために、前記第1の宇宙飛行体上の電気推進装置を使用するように構成された、能動的静電気放電システム
を備える、システム。
【請求項9】
前記能動的静電気放電システムが、前記第1の宇宙飛行体または前記第2の宇宙飛行体のうちの一方のみの前記プラズマ場を操るように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記電気推進装置が、前記第1の宇宙飛行体と前記第2の宇宙飛行体との間のポテンシャルを約+/−200ボルト未満に低減させるように構成された前記プラズマ場を作り出すように構成される、請求項8または9に記載のシステム。
【請求項11】
前記電気推進装置が、1つまたは複数のホール効果スラスタである、請求項8または9に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の宇宙飛行体上に配置された受動的静電気放電軽減システムをさらに備え、前記受動的静電気放電軽減システムが、1つまたは複数の抵抗器、および前記1つまたは複数の抵抗器に電気的に接続された1つまたは複数の柔軟部材を含む、請求項8または9に記載のシステム。
【請求項13】
前記1つまたは複数の柔軟部材が、ウィスカを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記1つまたは複数の柔軟部材が、前記第1の宇宙飛行体および前記第2の宇宙飛行体が連結しつつあるときに前記第1の宇宙飛行体と前記第2の宇宙飛行体との間の最初の物理的接触を提供するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記1つまたは複数の柔軟部材が、前記第1の宇宙飛行体および前記第2の宇宙飛行体が連結しつつあるときに前記第1の宇宙飛行体から前記第2の宇宙飛行体が位置決めされる位置に向かう方向に延在するように、前記第1の宇宙飛行体上に位置決めされる、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の静電気放電を軽減するための方法であって、
前記第1の宇宙飛行体と前記第2の宇宙飛行体とをランデブーさせるステップと、
動的静電気放電システムを用いて前記第1の宇宙飛行体と前記第2の宇宙飛行体との間の静電気放電を軽減するステップであって、前記受動的静電気放電軽減システムが、1つまたは複数の抵抗器、および前記1つまたは複数の抵抗器に電気的に接続された1つまたは複数の柔軟部材を含み、前記1つまたは複数の柔軟部材が導電材料を有し、また前記1つまたは複数の柔軟部材が、前記第1の宇宙飛行体および前記第2の宇宙飛行体が連結しつつあるときに前記第1の宇宙飛行体と前記第2の宇宙飛行体との間の最初の物理的接触を提供する、ステップと、
前記第1の宇宙飛行体および前記第2の宇宙飛行体を少なくとも一時的に連結するために前記第1の宇宙飛行体または前記第2の宇宙飛行体のうちの少なくとも一方上に位置決めされた捕獲機構により、前記第1の宇宙飛行体および前記第2の宇宙飛行体を固定するステップと、
を含む方法。
【請求項17】
部分的にねじりばねによって、前記1つまたは複数の柔軟部材の柔軟性を提供するステップを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
プラズマ場で、前記第1の宇宙飛行体と前記第2の宇宙飛行体の両方を包み込むステップを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記1つまたは複数の柔軟部材が前記捕獲機構から電気的に隔離されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記1つまたは複数の柔軟部材を前記捕獲機構から電気的に隔離するために、1つまたは複数の絶縁柱を更に含む、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年4月13日に出願した米国仮特許出願第62/484,969号「Electrostatic Discharge Mitigation for a First Spacecraft Operating in Proximity to a Second Spacecraft」、および2017年12月1日に出願した米国特許出願第15/829,758号「Electrostatic Discharge Mitigation for a First Spacecraft Operating in Proximity to a Second Spacecraft」の出願日の利益を主張するものであり、それらのそれぞれの開示は、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、第1の宇宙機が第2の宇宙機の近くで動作しているとき、また特に第1の宇宙機が第2の宇宙機にドッキングするか他の方法で接触するために第2の宇宙機に近づくときの静電気放電に関して生じる課題に対処するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
例えば遠距離通信、GPSナビゲーション、天気予報、および地図作成を含む様々な機能を行うために、数千の宇宙機が地球を周回する。国際宇宙ステーションを含む、より複雑で大型の宇宙機も軌道上に存在し、そのような宇宙機には、科学的な調査および研究のために世界中の国々が乗員および補給品を送り込む。しかし、宇宙機は、それらの機能寿命を延ばすためのサービスを定期的に必要とする。サービスは、例えば、構成要素の修理、燃料補給、軌道上昇、位置保持(station−keeping)、運動量釣り合わせ、または他のメンテナンスを含み得る。寿命を延ばすメンテナンスなしでは、これらの宇宙機は稼働しなくなる可能性があり、また、交換は、一般に驚くほど費用がかかり、かつ、数年のリードタイムを有し得る。無人宇宙機の場合、そのようなサービスを遂行するために、サービス宇宙機が、メンテナンスを必要とするクライアント宇宙機とドッキングするために軌道に送り込まれて、ドッキングの後でクライアントに寿命延長メンテナンスを施し得る。
【0004】
しかし、軌道上の宇宙機または他の物体は、異なる電位を有することが多い。2機の宇宙機が互いに近づくとき、2機の宇宙機間で静電気放電が起こり得るという重大な危険性が生じる。宇宙機は、そのような静電気放電事象によって損傷するかまたは破壊される可能性がある、多数の電子システムを含む。参照によりそれぞれの開示が全体として本明細書に組み込まれる米国特許第7,070,151号、第7,216,833号、7,216,834号、第7,461,818号、第7,484,690号、第7,575,199号、第7,588,213号、第7,611,096号、第7,611,097号、第7,624,950号、および第8,205,838号を含む様々な特許および公報が、静電気放電事象の危険性を軽減するための方法を検討してきた。しかし、第1の宇宙機と第2の宇宙機との間の静電気放電を軽減するための改善されたシステムおよび方法が望ましい。
【発明の概要】
【0005】
第1の宇宙機と第2の宇宙機との間の静電荷の差に起因する静電気放電の危険性を軽減するための方法およびシステムが、本明細書において開示される。種々の実施形態は、接触前および/または接触時の第1の宇宙機と第2の宇宙機との間の静的ポテンシャルの安全な低減を促進する受動的静電気放電軽減デバイスを教示する。いくつかの実施形態は、受動的静電気放電軽減デバイスに電気的に接続される1つまたは複数のウィスカ(whisker)を設けることによって達成され得る、第1および第2の宇宙機の電子構成要素に対する危険性を最小限に抑える態様で静電放電電流の流れを方向付けるための装置を提供する。いくつかの実施形態は、第1の宇宙機上に設けられた電気推進システムにより第1の宇宙機と第2の宇宙機との間の静的ポテンシャルを能動的に軽減することを提供する。いくつかの実施形態は、第1の宇宙機と第2の宇宙機との間の静的ポテンシャルを能動的にも受動的にも軽減することを提供する。
【0006】
特定の実施形態は、第1の宇宙飛行体上に配置された受動的静電気放電軽減システムを含む、第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の静電気放電を軽減するためのシステムおよび方法を教示し、受動的静電気放電軽減システムは、1つまたは複数の抵抗器を含み、また、受動的静電気放電軽減システムは、1つまたは複数のフェライトビーズを含む。いくつかの実施形態では、受動的静電気放電軽減システムは、第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の静電気放電電流を約90ナノ秒以下の期間にわたって約800ミリアンペア以下に低減させる。いくつかの実施形態は、受動的静電気放電軽減システムの一部として1つまたは複数のウィスカをさらに備える。
【0007】
特定の実施形態は、第1の宇宙飛行体上に配置された能動的静電気放電システムを含む、第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の静電気放電を軽減するためのシステムおよび方法を教示し、能動的静電気放電システムは、プラズマ場を操る。種々の実施形態では、操られるプラズマ場は、第1の宇宙飛行体のプラズマ場、第2の宇宙飛行体のプラズマ場、または第1および第2の両方の宇宙飛行体のプラズマ場である。能動的静電気放電システムは、電気推進装置を使用してプラズマ場を操ることができる。いくつかの実施形態は、電気推進装置が第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間のポテンシャルを約+/−200ボルト未満に低減させるのに十分なプラズマ場を作り出すことを実現する。電気推進装置は、1つまたは複数のホール効果スラスタであってもよい。
【0008】
特定の実施形態は、第1の宇宙飛行体を宇宙空間内で操作するための推進機構と、第1の宇宙飛行体を第2の宇宙飛行体に少なくとも一時的に連結するために第1の宇宙飛行体上に位置決めされた捕獲機構と、静電気放電を受動的に軽減するための機構とを含む、第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の静電気放電を軽減するためのシステムおよび方法を教示する。静電気放電を受動的に軽減するための機構は、1つまたは複数の柔軟部材を含んでもよく、この柔軟部材は、いくつかの実施形態では、1つまたは複数のウィスカであり得る。いくつかの実施形態では、柔軟部材は、第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の最初の物理的接触を提供する。柔軟部材は、第2の宇宙飛行体の機関に接触してもよく、また、いくつかの実施形態では、柔軟部材は常に、第2の宇宙飛行体のいかなる他の物理的構造よりも先に機関に接触する。第2の宇宙飛行体の機関は、液体アポジエンジンであり得る。いくつかの実施形態によれば、捕獲機構は、プローブを含む。柔軟部材は、プローブ上に位置決めされ得る。いくつかの実施形態は、柔軟部材が第1の宇宙飛行体から第2の宇宙飛行体に向かう方向に延在することを実現する。柔軟部材は、非常に柔軟であり得る。いくつかの実施形態では、柔軟部材の柔軟性は、部分的にねじりばねによって提供される。いくつかの実施形態によれば、柔軟部材は、ベリリウム銅で構成される。
【0009】
特定の実施形態は、第1の宇宙飛行体上に配置された受動的静電気放電軽減システムと、第1の宇宙飛行体上に配置された能動的静電気放電システムとを含む、第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の静電気放電を軽減するためのシステムおよび方法を教示する。いくつかの実施形態では、受動的静電気放電軽減システムは、1つまたは複数の抵抗器を含み、また、受動的静電気放電軽減システムは、1つまたは複数のフェライトビーズを含む。いくつかの実施形態では、能動的静電気放電システムは、プラズマ場を操る。受動的静電気放電軽減システムは、第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の静電気放電電流を約90ナノ秒以下の期間にわたって約800ミリアンペア以下に低減し得る。システムは、ウィスカ、または複数のウィスカをさらに含み得る。ウィスカは、第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の最初の物理的接触を提供することができ、かつ、第2の宇宙飛行体の機関に接触することができる。ウィスカは、第1の宇宙飛行体から第2の宇宙飛行体に向かう方向に延在し得る。いくつかの実施形態では、ウィスカは常に、第2の宇宙飛行体上のいかなる他の物理的構造よりも先に機関に接触する。捕獲機構は、プローブを含んでもよく、また、いくつかの実施形態では、ウィスカは、プローブ上に位置決めされ得る。ウィスカは、非常に柔軟であってよく、また、いくつかの実施形態では、柔軟性は、部分的にねじりばねによって提供される。いくつかの実施形態では、ウィスカは、ベリリウム銅で構成される。いくつかの実施形態では、操られるプラズマ場は、第1の宇宙飛行体のプラズマ場、第2の宇宙飛行体のプラズマ場、または第1および第2の両方の宇宙飛行体のプラズマ場である。能動的静電気放電システムは、電気推進装置を使用してプラズマ場を操ってもよく、電気推進装置は、いくつかの実施形態では1つまたは複数のホール効果スラスタであり得る。電気推進装置は、第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間のポテンシャルを約+/−200ボルト未満に低減させるのに十分なプラズマ場を作り出すことができる。
【0010】
上記の概要は、本開示の例示された各実施形態またはあらゆる実施を説明するようには意図されていない。
本出願に含まれる図面は、本明細書に組み込まれてその一部を形成する。図面は、本開示の実施形態を示し、また、説明とともに本開示の原理を明らかにするのに役立つ。図面は、単に特定の実施形態の例示であり、本開示を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】1つまたは複数の実施形態による、近接している第1の宇宙機および第2の宇宙機の側面図である。
図2】1つまたは複数の実施形態による、受動的静電気放電軽減システムの斜視図である。
図3】1つまたは複数の実施形態による、受動的静電気放電軽減システムの回路の図である。
図4】1つまたは複数の実施形態による、受動的静電気放電軽減システムのためのハウジングの斜視図である。
図5】1つまたは複数の実施形態による、捕獲装置に取り付けられた受動的静電気放電軽減システムのためのハウジングの斜視図である。
図6】1つまたは複数の実施形態による、第1の電気的接触装置の斜視図である。
図7】1つまたは複数の実施形態による、第2の宇宙機の機関に近づきつつある受動的静電気放電軽減システムが取り付けられた捕獲装置の斜視図である。
図8】1つまたは複数の実施形態による、第1の宇宙機および第2の宇宙機の部分間の予想される見本の静的ポテンシャルの差のグラフィカルな図である。
図9A】1つまたは複数の実施形態による、プラズマを作り出すための能動的静電気放電軽減システムの動作のグラフィカルな図である。
図9B】1つまたは複数の実施形態による、プラズマを作り出すための能動的静電気放電軽減システムの動作のグラフィカルな図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において開示される本開示の実施形態は様々な変更および代替形態を受け入れるが、その詳細が例として図面に示されており、また、詳細に説明される。しかし、その意図は本開示を説明される特定の実施形態に限定することではないことが、理解されるべきである。それどころか、その意図は、本開示の範囲に含まれるあらゆる変更、均等物、および代替物をカバーすることである。
【0013】
本明細書において、所与のパラメータに関する「実質的に」という用語は、所与のパラメータ、特性、または条件が、許容可能な製作公差に含まれるようなわずかな相違を受けることを、当業者が理解するであろう程度で意味しかつ含む。例えば、実質的に満たされるパラメータは、少なくとも約90%満たされてもよく、少なくとも約95%満たされてもよく、さらには少なくとも約99%満たされてもよい。
【0014】
本発明者らは、第1の宇宙機の第2の宇宙機への接近に伴う静電荷の差に起因する静電気放電による損傷の危険性を認識した。いくつかの実施形態では、第1の宇宙機は、第1の宇宙機、第2の宇宙機、またはその両方の電子構成要素を保護するための静電気軽減を有利に提供する捕獲組立体を備え得る。いくつかの実施形態は、両方の宇宙機の構成要素を保護する態様で第1の宇宙機と第2の宇宙機との間の静的ポテンシャルを低減させるためのシステムおよび方法を提供する。
【0015】
図1は、1つの実施形態による、宇宙区間において近接している2機の宇宙機の側面図である。いくつかの実施形態では、第1の宇宙機10は、第2の宇宙機11にドッキングするように設計され得る。第1の宇宙機10は、第2の宇宙機11にサービスを提供するように設計されたサービス宇宙機であり得る。いくつかの実施形態によれば、第2の宇宙機11は、地球などの物体の周りの軌道上の人工衛星であり得る。第2の宇宙機11が地球周回軌道上にある場合、第2の宇宙機11は、地球低軌道もしくは地球中軌道、静止軌道もしくは静止軌道より上方の軌道(above−geosynchronous orbit)、または任意の他の軌道上にあってよい。
【0016】
第1の宇宙機10は、プローブを含む捕獲装置23、および推進システムを有し得る。第1の宇宙機10の推進システムは、1つまたは複数の主スラスタ17、1つまたは複数のジンバル式スラスタ18、またはその両方を含み得る。主スラスタ17、ジンバル式スラスタ18、またはその両方は、電気推進装置であってもよい。第2の宇宙機11は、機関19を有し得る。機関19は、液体アポジエンジンまたは固体燃料モータを含む、宇宙機に適した任意のタイプの機関またはモータであってよい。第1の宇宙機10は、第1の静的ポテンシャル12を有してもよく、第2の宇宙機11は、第2の静的ポテンシャル13を有してもよい。第2の宇宙機11への第1の宇宙機10の接近または接触に応じて、第1の静的ポテンシャル12と第2の静的ポテンシャル13との間の差異が静電気放電を引き起こす場合がある。そのような静電気放電は、もし第1の静的ポテンシャル12と第2の静的ポテンシャル13との間の差異が軽減されなければ、第1の宇宙機10、第2の宇宙機11、またはその両方に損傷を与える可能性がある。
【0017】
図2は、1つの実施形態による受動的静電気放電軽減システム20の斜視図である。受動的静電気放電軽減システム20の図3に示されるような回路32が、ハウジングまたは箱24内に収容され得る。受動的静電気放電システム20はまた、第1の宇宙機10の捕獲装置23または別の部分に電気的に接続され得る。受動的静電気放電システム20はまた、第1の電気接触装置25に電気的に接続され得る。第1の電気接触装置25は、1つまたは複数の柔軟部材(例えば、ウィスカ26)を含み得る。ウィスカ26は、導電性材料を含む。ウィスカ26は、少なくとも部分的にベリリウム銅で構成され得る。
【0018】
図3は、1つの実施形態による受動的静電気放電軽減システム20の回路32の図である。受動的静電気放電軽減システム20は、1つまたは複数の抵抗素子27および1つまたは複数の誘導素子28を含む抵抗−コイル回路すなわちRL回路として構成され得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の誘導素子28は、誘導器、または1つもしくは複数のフェライトビーズ、または1つもしくは複数のチョーク、または別の誘導素子であり得る。1つまたは複数の抵抗素子27は、1つまたは複数の抵抗器であってもよく、また、いくつかの実施形態では、1メガオームを超える抵抗を提供するように構成される場合があり、いくつかの実施形態では、15メガオーム以上の抵抗を提供するように構成される場合がある。第1の宇宙機10および第2の宇宙機11が接触するかまたは第1の宇宙機10と第2の宇宙機11との間に静電気アークが発生するのに十分なほど近接するときに、受動的静電気放電軽減システム20は、2機の宇宙機間の電圧差のための均等化経路を提供して、異なる静電荷が均等になることを可能にする。
【0019】
受動的静電気放電軽減システム20により、2機の宇宙機10、11間の静電圧の差が、エネルギーを除去するための熱に変換され得る。この散逸は、静電気放電、ならびにどちらかの宇宙機に害を及ぼし得るいかなる関連する電圧スパイクの振幅および立上がり時間も、緩和するか場合によっては排除する。いくつかの実施形態では、電圧差は、例えば50〜90ナノ秒またはそれより長い期間にわたって放電され得る。いくつかの実施形態では、放電電流は、受動的静電気放電軽減システム20により800ミリアンペア未満に低減され得る。いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の誘導素子28および1つまたは複数の抵抗素子27は、10キロボルトに及ぶまたはそれを超える第1の宇宙機10と第2の宇宙機11との間の一時的な静的ポテンシャル差に適応するように選択され得る。いくつかの実施形態では、受動的静電気放電軽減システム20は、個々の構成要素の故障の危険性を緩和することができる並列回路経路を有するように構成され得る。
【0020】
図4は、受動的静電気放電軽減システム20(図2)のためのハウジング24の斜視図である。絶縁導体21が、受動的静電気放電軽減システム20と少なくとも1つの第1の電気接触装置25(図2)との間の電気的接続を提供し、ここで、第1の電気接触装置25は、ウィスカ26(図2)の形式であり得る柔軟部材を含み得る。絶縁接地導体22が、受動的静電気放電軽減システム20と捕獲装置23または第1の宇宙機10(図1)の本体上の他の場所との間の電気的接続を提供する。
【0021】
図5は、捕獲装置23に取り付けられた受動的静電気放電軽減システム20(図2)のためのハウジング24の斜視図である。絶縁導体21が、受動的静電気放電軽減システム20と少なくとも1つの第1の電気接触装置25との間の電気的接続を提供し、ここで、第1の電気接触装置25は、ウィスカ26などの柔軟部材を含み得る。
【0022】
図6は、第1の電気接触装置25の斜視図である。第1の電気接触装置25は、ウィスカ26などの1つまたは複数の柔軟部材を含み得る。ウィスカ26は、ウィスカ26の柔軟性を高めることができるばね要素29を含み得る。ばね要素29は、ねじりばねであってもよい。ばね要素29は、ウィスカ26が機関19(図2)または第2の宇宙機11(図1)上の別の物理的な構造に接触するときに、ウィスカ26が実質的に回転する形で移動することを可能にし得る。第1の電気接触装置25は、例えばウィスカ26などの導電性構成要素を捕獲装置23から電気的に隔離する1つまたは複数の絶縁柱30により捕獲装置23から電気的に隔離されるように設計され得る。絶縁柱30は、被削性結晶化ガラス、または導電性構成要素を電気的に隔離するのに十分な他の絶縁材料で構成され得る。いくつかの実施形態では、第1の電気接触装置25の導電性構成要素は、捕獲装置23の最も近い導電性構成要素から0.635cm(0.25インチ)もしくはそれ以上のところに、または電荷クリープ(charge creep)もしくはアーク放電を防ぐのに適した別の距離に位置決めされ得る。
【0023】
図7は、第2の宇宙機11の機関19に近づきつつある、受動的静電気放電軽減システム20が取り付けられた捕獲装置23の斜視図である。ウィスカ26は、少なくとも1つのウィスカ26が第1の宇宙機10と第2の宇宙機11との間の最初の物理的接触点を提供することを確実にするのに十分な長さのものであるように設計され得る。ウィスカ26は、少なくとも1つのウィスカ26が、第1の宇宙機10の任意の部分が第2の宇宙機11に物理的に接触する前に第1の宇宙機10と第2の宇宙機11との間の静電アークを可能にする距離に来る第1の宇宙機10上の唯一の物理的構造であることを確実にするのに十分な長さのものであるように設計される。いくつかの実施形態では、ウィスカ26は、少なくとも15.24cm(6インチ)の長さであり得る。
【0024】
図8は、1つの実施形態による、能動的静電気放電軽減システムとともに使用するための第2の宇宙機に対する第1の宇宙機の帯電電位差を示す。図8は、第1の宇宙機10および第2の宇宙機11の種々の部分間の予想される見本の静的ポテンシャルの差または電荷の差を、グラフを用いて示す。いくつかの実施形態では、静的ポテンシャル差は、10キロボルト程度またはそれ以上である場合があり、また、機体間の静電容量は、100ピコファラッド程度またはそれ以上である場合がある。
【0025】
図9Aおよび図9Bは、プラズマを使用する能動的静電気放電軽減システム31を示す。いくつかの実施形態では、能動的静電気放電軽減システム31は、第1の宇宙機10および第2の宇宙機11の両方を包み込むことができるプラズマ場を生じさせ得る。いくつかの実施形態では、能動的静電気放電軽減システム31は、主スラスタ17、1つもしくは複数のジンバル式スラスタ18、その両方、または別の機関であり得る第1の宇宙機10の1つまたは複数の電気推進機関を使用して、プラズマ場を生じさせる。1つまたは複数の電気推進機関は、ホール効果スラスタであってもよい。能動的静電気放電軽減システム31によって生じるプラズマ場は、低温プラズマであり得る。能動的静電気放電軽減システム31は、第1の宇宙機10および第2の宇宙機11のそれぞれの基底基準に対して測定される静的ポテンシャルを低下させるように動作され得る。第1の宇宙機10と第2の宇宙機11との間の静的ポテンシャル差の低減は、様々な実施形態において、約5キロボルト未満、約1キロボルト未満、約200ボルト未満、または約100ボルト未満の水準までとされ得る。さらに、能動的静電気放電軽減システム31の使用は、第1の宇宙機10と第2の宇宙機11との間のポテンシャルグラウンドバウンス(potential ground bounce)を低減させ得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、第1の宇宙機10は、受動的静電気放電軽減システム20および能動的静電気放電軽減システム31の両方を有し得る。そのような実施形態では、能動的静電気放電軽減システム31は、第1の宇宙機10と第2の宇宙機11との間の異なった静的ポテンシャルを、接触の前に低減させることができ、受動的静電気放電軽減システム20は、第1の宇宙機10と第2の宇宙機11との間に残っている異なった静的ポテンシャルを、接触または静電アーク放電を可能にするのに十分な接近に応じて軽減することができる。そのような実施形態では、受動的静電気放電軽減システム20および能動的静電気放電軽減システム31は、どちらかのシステムの構成要素故障時の冗長性を提供する。
【0027】
さらなる例示的な実施形態が、以下に開示される。
実施形態1:第1の宇宙飛行体上に配置された受動的静電気放電軽減システムを備える、第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の静電気放電を軽減するためのシステムであって、受動的静電気放電軽減システムが1つまたは複数の抵抗器を含む、システム。
【0028】
実施形態2:受動的静電気放電軽減システムが、第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の静電気放電電流を約90ナノ秒以下の期間にわたって約800ミリアンペア以下に低減させる、実施形態1のシステム。
【0029】
実施形態3:受動的静電気放電軽減システムが、誘導器、フェライトビーズ、およびチョークからなる群から選択される1つまたは複数の誘導素子をさらに含む、実施形態1のシステム。
【0030】
実施形態4:1つまたは複数のウィスカをさらに備える、実施形態1のシステム。
実施形態5:第1の宇宙飛行体上に配置された能動的静電気放電システムを備える、第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の静電気放電を軽減するためのシステムであって、能動的静電気放電システムがプラズマ場を操る、システム。
【0031】
実施形態6:プラズマ場が、第1の宇宙飛行体のプラズマ場である、実施形態5のシステム。
実施形態7:プラズマ場が、第2の宇宙飛行体のプラズマ場である、実施形態5のシステム。
【0032】
実施形態8:能動的静電気放電システムが、電気推進装置を使用してプラズマ場を操る、実施形態5のシステム。
実施形態9:電気推進装置が、第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間のポテンシャルを約+/−200ボルト未満に低減させるのに十分なプラズマ場を作り出す、実施形態8のシステム。
【0033】
実施形態10:電気推進装置が、1つまたは複数のホール効果スラスタである、実施形態8のシステム。
実施形態11:第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の静電気放電を軽減するためのシステムであって、第1の宇宙飛行体を宇宙空間内で操作するための推進機構と、第1の宇宙飛行体を第2の宇宙飛行体に少なくとも一時的に連結するために第1の宇宙飛行体上に位置決めされた捕獲機構と、第1の宇宙飛行体および第2の宇宙飛行体が連結しつつあるときに静電気放電を受動的に軽減するための機構と、を備えるシステム。
【0034】
実施形態12:静電気放電を受動的に軽減するための機構が、1つまたは複数のウィスカを含む、実施形態11のシステム。
実施形態13:ウィスカが、第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の最初の物理的接触を提供する、実施形態12のシステム。
【0035】
実施形態14:ウィスカが、第1の宇宙飛行体および第2の宇宙飛行体が連結しつつあるときに第2の宇宙飛行体の機関に接触するように構成される、実施形態13のシステム。
【0036】
実施形態15:ウィスカが、第1の宇宙飛行体および第2の宇宙飛行体が連結しつつあるときに第2の宇宙飛行体上のいかなる他の物理的構造よりも先に機関に接触するように位置決めされる、実施形態14のシステム。
【0037】
実施形態16:機関が、液体アポジエンジンである、実施形態15のシステム。
実施形態17:捕獲機構が、プローブを含む、実施形態12のシステム。
実施形態18:ウィスカが、プローブ上に位置決めされる、実施形態17のシステム。
【0038】
実施形態19:複数のウィスカが存在する、実施形態13のシステム。
実施形態20:ウィスカが、第1の宇宙飛行体および第2の宇宙飛行体が連結しつつあるときに、第1の宇宙飛行体から第2の宇宙飛行体が位置決めされる位置に向かう方向に延在する、実施形態13のシステム。
【0039】
実施形態21:ウィスカが、非常に柔軟であるように構成される、実施形態13のシステム。
実施形態22:柔軟性が、部分的にねじりばねによって提供される、実施形態21のシステム。
【0040】
実施形態23:ウィスカが、ベリリウム銅で構成される、実施形態13のシステム。
実施形態24:第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の静電気放電を軽減するための方法であって、1つまたは複数の抵抗器を含む受動的静電気放電軽減システムを第1の宇宙飛行体上に設けるステップと、第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間のいかなる静電気放電も受動的静電気放電軽減システムを通じて方向付けられることを確実にするように第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の最初の接触を設定するステップと、を含む方法。
【0041】
実施形態25:受動的静電気放電軽減システムを使用して第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の静電気放電電流を約90ナノ秒以下の期間にわたって約800ミリアンペア以下に低減させるステップをさらに含む、実施形態24の方法。
【0042】
実施形態26:受動的静電気放電軽減システムが、誘導器、フェライトビーズ、およびチョークからなる群から選択される1つまたは複数の誘導素子をさらに含む、実施形態24の方法。
【0043】
実施形態27:受動的静電気放電軽減システムが、1つまたは複数のウィスカをさらに備える、実施形態24の方法。
実施形態28:第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の静電気放電を軽減するための方法であって、第1の宇宙飛行体上に配置される能動的静電気放電システムを用意するステップと、能動的静電気放電システムを使用してプラズマ場を操るステップと、を含む方法。
【0044】
実施形態29:プラズマ場を操るステップが、第1の宇宙飛行体のプラズマ場を操ることを含む、実施形態28の方法。
実施形態30:プラズマ場を操るステップが、第2の宇宙飛行体のプラズマ場を操ることを含む、実施形態28の方法。
【0045】
実施形態31:プラズマ場を操るステップが、電気推進装置を使用してプラズマ場を操ることを含む、実施形態28の方法。
実施形態32:電気推進装置を使用して第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間のポテンシャルを約+/−200ボルト未満に低減させるのに十分なプラズマ場を作り出すステップをさらに含む、実施形態31の方法。
【0046】
実施形態33:電気推進装置が、1つまたは複数のホール効果スラスタである、実施形態31の方法。
実施形態34:第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の静電気放電を軽減するための方法であって、第1の宇宙飛行体を第2の宇宙飛行体に少なくとも一時的に連結するために第1の宇宙飛行体上に位置決めされる捕獲機構を用意するステップと、第2の宇宙飛行体に近接して宇宙空間にある第1の宇宙飛行体を操作するステップと、第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の静電気放電を受動的に軽減するための機構を用意するステップと、を含む方法。
【0047】
実施形態35:静電気放電を受動的に軽減するための機構が、ウィスカを含む、実施形態34の方法。
実施形態36:第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体とを物理的に接触させるステップであって、第1の宇宙飛行体および第2の宇宙飛行体が連結しつつあるときにウィスカが第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の最初の物理的接触を提供する、ステップをさらに含む、実施形態35の方法。
【0048】
実施形態37:ウィスカが、第1の宇宙飛行体および第2の宇宙飛行体が連結しつつあるときに第2の宇宙飛行体の機関に接触するように構成される、実施形態36の方法。
実施形態38:ウィスカが、第1の宇宙飛行体および第2の宇宙飛行体が連結しつつあるときに第2の宇宙飛行体上のいかなる他の物理的構造よりも先に機関に接触するように構成される、実施形態37の方法。
【0049】
実施形態39:機関が、液体アポジエンジンである、実施形態38の方法。
実施形態40:捕獲機構が、プローブを含む、実施形態35の方法。
実施形態41:ウィスカが、プローブ上に位置決めされる、実施形態40の方法。
【0050】
実施形態42:複数のウィスカが存在する、実施形態36の方法。
実施形態43:ウィスカが、第1の宇宙飛行体および第2の宇宙飛行体が連結しつつあるときに、第1の宇宙飛行体から第2の宇宙飛行体が位置決めされる位置に向かう方向に延在する、実施形態36の方法。
【0051】
実施形態44:ウィスカが、非常に柔軟である、実施形態36の方法。
実施形態45:柔軟性が、部分的にねじりばねによって提供される、実施形態44の方法。
【0052】
実施形態46:ウィスカが、ベリリウム銅で構成される、実施形態36の方法。
実施形態47:第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の静電気放電を軽減するためのシステムであって、第1の宇宙飛行体上に配置された、1つまたは複数の抵抗器を含む受動的静電気放電軽減システムと、第1の宇宙飛行体上に配置された、プラズマ場を操る能動的静電気放電システムと、を備えるシステム。
【0053】
実施形態48:受動的静電気放電軽減システムが、第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の静電気放電電流を約90ナノ秒以下の期間にわたって約800ミリアンペア以下に低減させる、実施形態47のシステム。
【0054】
実施形態49:受動的静電気放電軽減システムが、誘導器、フェライトビーズ、およびチョークからなる群から選択される1つまたは複数の誘導素子をさらに含む、実施形態47のシステム。
【0055】
実施形態50:1つまたは複数のウィスカをさらに備える、実施形態47のシステム。
実施形態51:プラズマ場が、第1の宇宙飛行体のプラズマ場である、実施形態47のシステム。
【0056】
実施形態52:プラズマ場が、第2の宇宙飛行体のプラズマ場である、実施形態47のシステム。
実施形態53:能動的静電気放電システムが、電気推進装置を使用してプラズマ場を操る、実施形態47のシステム。
【0057】
実施形態54:電気推進装置が、第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間のポテンシャルを約+/−200ボルト未満に低減させるのに十分なプラズマ場を作り出す、実施形態53のシステム。
【0058】
実施形態55:電気推進装置が、1つまたは複数のホール効果スラスタである、実施形態53のシステム。
実施形態56:ウィスカが、第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の最初の物理的接触を提供するように構成される、実施形態49のシステム。
【0059】
実施形態57:ウィスカが、第2の宇宙飛行体の機関に接触するように構成される、実施形態56のシステム。
実施形態58:ウィスカが、第2の宇宙飛行体上のいかなる他の物理的構造よりも先に機関に接触するように構成される、実施形態57のシステム。
【0060】
実施形態59:捕獲機構が、プローブを含む、実施形態49のシステム。
実施形態60:ウィスカが、プローブ上に位置決めされる、実施形態59のシステム。
実施形態61:複数のウィスカが存在する、実施形態60のシステム。
【0061】
実施形態62:ウィスカが、第1の宇宙飛行体および第2の宇宙飛行体が連結しつつあるときに、第1の宇宙飛行体から第2の宇宙飛行体が位置決めされる位置に向かう方向に延在する、実施形態60のシステム。
【0062】
実施形態63:ウィスカが、非常に柔軟である、実施形態60のシステム。
実施形態64:柔軟性が、部分的にねじりばねによって提供される、実施形態63のシステム。
【0063】
実施形態65:ウィスカが、ベリリウム銅で構成される、実施形態60のシステム。
実施形態66:第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の静電気放電を軽減するための方法であって、第1の宇宙飛行体上に配置される能動的静電気放電システムを用意するステップと、能動的静電気放電システムを使用してプラズマ場を操るステップと、1つまたは複数の抵抗器を含む受動的静電気放電軽減システムを第1の宇宙飛行体上に設けるステップと、第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間のいかなる静電気放電も受動的静電気放電軽減システムを通じて方向付けられることを確実にするように第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の最初の接触を設定するステップと、を含む方法。
【0064】
実施形態67:受動的静電気放電軽減システムを使用して第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の静電気放電電流を約90ナノ秒以下の期間にわたって約800ミリアンペア以下に低減させるステップをさらに含む、実施形態66の方法。
【0065】
実施形態68:受動的静電気放電軽減システムが、誘導器、フェライトビーズ、およびチョークからなる群から選択される1つまたは複数の誘導素子をさらに含む、実施形態66の方法。
【0066】
実施形態69:受動的静電気放電軽減システムが、1つまたは複数のウィスカをさらに含む、実施形態66の方法。
実施形態70:プラズマ場を操るステップが、第1の宇宙飛行体のプラズマ場を操ることを含む、実施形態66の方法。
【0067】
実施形態71:プラズマ場を操るステップが、第2の宇宙飛行体のプラズマ場を操ることを含む、実施形態66の方法。
実施形態72:プラズマ場を操るステップが、電気推進装置を使用してプラズマ場を操ることを含む、実施形態66の方法。
【0068】
実施形態73:電気推進装置を使用して第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間のポテンシャルを約+/−200ボルト未満に低減させるのに十分なプラズマ場を作り出すステップをさらに含む、実施形態72の方法。
【0069】
実施形態74:電気推進装置が、1つまたは複数のホール効果スラスタである、実施形態72の方法。
実施形態75:第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体とを物理的に接触させるステップであって、第1の宇宙飛行体および第2の宇宙飛行体が連結しつつあるときにウィスカが第1の宇宙飛行体と第2の宇宙飛行体との間の最初の物理的接触を提供する、ステップをさらに含む、実施形態69の方法。
【0070】
実施形態76:ウィスカが、第2の宇宙飛行体の機関に接触するように構成される、実施形態75の方法。
実施形態77:ウィスカが、第2の宇宙飛行体上のいかなる他の物理的構造よりも先に機関に接触するように構成される、実施形態76の方法。
【0071】
実施形態78:機関が、液体アポジエンジンである、実施形態76の方法。
実施形態79:捕獲機構が、プローブを含む、実施形態68の方法。
実施形態80:ウィスカが、プローブ上に位置決めされる、実施形態79の方法。
【0072】
実施形態81:ウィスカが、第1の宇宙飛行体および第2の宇宙飛行体が連結しつつあるときに、第1の宇宙飛行体から第2の宇宙飛行体が位置決めされる位置に向かう方向に延在する、実施形態80の方法。
【0073】
実施形態82:ウィスカが、非常に柔軟である、実施形態69の方法。
実施形態83:柔軟性が、部分的にねじりばねによって提供される、実施形態82の方法。
【0074】
実施形態84:ウィスカが、ベリリウム銅で構成される、実施形態68の方法。
上記で説明されかつ添付の図面に示された本開示の実施形態は、本開示の範囲を限定するものではなく、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその法的均等物の範囲に包含される。いかなる均等な実施形態も、本開示の範囲に含まれる。実際、明細書において図示および説明されたものに加えて、説明された要素の代替的で有用な組合せなどの本開示の様々な変更が、当業者には説明から明らかになるであろう。そのような変更および実施形態は、添付の特許請求の範囲および均等物の範囲にも含まれる。本明細書において使用される専門用語は、実施形態の原理、実際の応用、もしくは市場に見られる技術に対する技術上の改善を説明するために、または、本明細書において開示される実施形態を当業者が理解するのを可能にするために選択された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B