特許第6987886号(P6987886)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6987886環状オレフィンコポリマーコアを含むシュリンクフィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987886
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】環状オレフィンコポリマーコアを含むシュリンクフィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20211220BHJP
   B29C 61/06 20060101ALI20211220BHJP
   B29C 48/21 20190101ALI20211220BHJP
   C08L 23/04 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   B32B27/32 E
   B32B27/32 103
   B29C61/06
   B29C48/21
   C08L23/04
【請求項の数】15
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-563893(P2019-563893)
(86)(22)【出願日】2018年4月27日
(65)【公表番号】特表2020-520829(P2020-520829A)
(43)【公表日】2020年7月16日
(86)【国際出願番号】US2018029925
(87)【国際公開番号】WO2018212962
(87)【国際公開日】20181122
【審査請求日】2020年1月10日
(31)【優先権主張番号】62/508,859
(32)【優先日】2017年5月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509004675
【氏名又は名称】エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100193493
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 健史
(72)【発明者】
【氏名】ファン ローン アシル ヨス
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ランヤ
【審査官】 團野 克也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−193104(JP,A)
【文献】 特開2002−019035(JP,A)
【文献】 特開2016−035041(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/171399(WO,A1)
【文献】 特開2012−045886(JP,A)
【文献】 特表2015−509861(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0353197(US,A1)
【文献】 日本ポリエチレン株式会社,ノバテック,2012年10月11日,https://pochem.co.jp/jpe/product/pdf/novatec.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B29C55/00−55/30
61/00−61/10
B32B 1/00−43/00
C08J 5/00− 5/02
5/12− 5/22
C08K 3/00−13/08
C08L 1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともコア層及びそれに隣接する少なくとも1つの他の層を含む多重層化ポリエチレンフィルムであって、前記コア層は、前記コア層の質量に基づいて5wt%〜15wt%の範囲内の環状オレフィンコポリマーと、前記コア層の質量に基づいて50wt%〜95wt%の範囲内のポリエチレンとを含み、前記環状オレフィンコポリマーは、少なくとも80℃のガラス転移温度(Tg)を有し、0.01〜1g/10分の範囲内のメルトインデックスI2(2.16kg/190℃)を有してい
前記多重層化ポリエチレンフィルム。
【請求項2】
前記コア層が、2つのポリエチレンスキン層間に挟まれており、
前記各スキン層が、前記各スキン層の質量に対して少なくとも50wt%の直鎖状低密度ポリエチレンを含んでい
請求項1に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
【請求項3】
前記コア層と各スキン層との間に挟まれたサブスキン層をさらに含み、
前記各サブスキン層が、前記各スキン層の質量に対して少なくとも50wt%の直鎖状低密度ポリエチレンを含んでい
請求項2に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
【請求項4】
前記環状オレフィンコポリマーが、前記環状オレフィンコポリマーの質量に対して60wt%以上の環状オレフィン由来単位を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
【請求項5】
各ポリエチレンスキン層が、0.88g/cm3〜0.925g/cm3の範囲内の密度を有する、請求項2に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
【請求項6】
前記コア層のポリエチレンが、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、又はその組み合わせである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
【請求項7】
前記直鎖状低密度ポリエチレンがコポリマーであり、前記コポリマーが、前記コポリマーの質量に対して0.5〜20wt%の範囲内のC4−C12αオレフィン由来単位を含み、前記コポリマーの残りはエチレン由来単位を含む、請求項6に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
【請求項8】
前記直鎖状低密度ポリエチレンが、90℃〜130℃の範囲内のピーク融点温度(Tm)を有し、かつ/又は、
0.2g/10分〜5g/10分の範囲内のメルトインデックスI2(2.16kg/190℃)を有する
請求項6に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
【請求項9】
以下のうちの1、2、3、4、5、6又は7つを有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
i)少なくとも18%のTDシュリンク;
ii)10〜20mNの範囲内のTDシュリンク力;
iii)55〜90%の範囲内のMDシュリンク;
iv)60〜80mNの範囲内のMDシュリンク力;
v)少なくとも280MPaの1%TDセカント曲げモジュラス;
vi)少なくとも280MPaの1%MDセカント曲げモジュラス;及び
vii)少なくとも14Nのプラトーシール強度
ここで、前記シュリンク力は、ISO 14616に従って測定され、
前記セカント曲げモジュラスは、ASTM D−882に従って、15mm幅ストリップを使用して測定され、
前記プラトーシール強度は、ASTM F−88に従って測定され、
前記シュリンクは、50mmダイスを用いてフィルムから円形試験片をカットし、サンプルを銅箔上に置いてシリコンオイルの層内に埋め、得られたアセンブリーを150℃のホットプレート上に置くことによって寸法変化が止むまで加熱することによって、測定される。
【請求項10】
前記コア層が、0.5wt%〜20wt%の範囲内のLDPEをさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
【請求項11】
各スキン層が独立に、0.5wt%〜20wt%の範囲内のLDPEをさらに含む、請求項2に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
【請求項12】
30μm〜100μmの範囲内の厚さを有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
【請求項13】
LLDPEを含む2〜6つの層間に挟まれた前記コア層を少なくとも含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
【請求項14】
請求項1に記載の多重層化ポリエチレンフィルムを含むシュリンクフィルム。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の多重層化ポリエチレンフィルムを238℃以下のダイスで溶融温度にて押し出すこと、及び、
前記多重層化ポリエチレンフィルムを42MPa以下の溶融圧力で押し出すことを含む、
プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明者:Lan Y. Cheng, Achiel J. M. Van Loon, Yong Yang
優先権の主張
本出願は、2017年5月19日に出願され、その全体が参照によって組み込まれるUSSN 62/508,859に対する優先権及びその利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本開示は、環状オレフィンコポリマーを含む少なくともコア層を有する多重層化フィルム、特にシュリンクフィルムに関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
シュリンクフィルムに必要とされる主要特性は機械方向(MD)と機幅方向(TD)の両方の良好な収縮、及び「負荷保持抵抗(load retention resistance)」と呼ばれることが多い収縮後の優れた強度である。鮮明な印刷外観をもたらす光学特性、例えば低ヘイズ及び高光沢等も重要である。ブローフィルム加工により作られたシュリンクフィルムは、フィルムを機械方向に伸ばして配向させることは容易なので十分なMDシュリンクを有することが多い。多くの局面で十分なTDシュリンクは重要であるが、達成しにくい。現在は、低密度ポリエチレン(LDPE)が、特にTDにおけるその良好なシュリンク挙動でシュリンクフィルム市場区分を支配している。
LDPEは、パレット梱包のように照合シュリンクでもシュリンク用途に最適なポリマーである。その長鎖分岐のため、このポリマーはブローフィルムプロセス中に容易に配向され、所望のシュリンク特性をもたらすことができる。ブローフィルムの配向の大半は機械方向で起こるので、MDシュリンクは典型的に容認可能である。TD配向はフィルムの大きい膨張比(blow ratio)を選択することによって得られることが多い。しかしながら、これは常に可能なわけではなく、過剰な量の廃棄物をもたらす。
【0004】
ある一定のマルチモーダルなポリエチレン配合物は直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及び高密度ポリエチレン(HDPE)等の他のポリエチレンとブレンドすると、LDPEを超える顕著な利点を示す可能性がある。マルチモーダルなポリエチレン配合物は、シュリンクフィルムに最も重要な特質に関してより高い性能を提供するが、TDシュリンクが損なわれることが多い。機械特性及び光学特性の維持により、さらに好ましくはダウンゲージング(down gauging)等の機会を通じてポリエチレンの成長を可能にできる1つ以上の特性の向上によりTDシュリンクを改善する成分又は配合物を見つける必要が業界全体にある。
【0005】
興味深い出版物としては、米国特許第7,727,620号;第7,179,521号;第6,872,462号;米国特許出願公開第2015/0010741号;第2014/0353197号;第2011/0256373号;第2007/00098933号;第2006/0159878号;及びPCT公開第WO 2014/141820号が挙げられる。他の興味深い出版物としては、下記のものが挙げられる:
・Randy Jester, “Heat Seal Characteristics of Cyclic Olefin Copolymer/Polyethylene Blends,” in TAPPI 2002 PLACE Conference, Boston, Massachusetts (2002);
・David R. Constant, “Cyclic Olefinic Copolymers as Non-Migrating Polymeric Slip Additives in LDPE Cast Films,” in ANTEC 2002 Conference, San Francisco, California (2002);
・Ronald R. Lamonte, “Stiffer, Thinner, Packaging Films with Improved Sealing Using Cyclic Olefin Copolymers,” in Flexpac Conference, Amsterdam, Holland (November 2003);
・Randy Jester, “High Aroma Barrier Combined with Low Extractables,” in 2005 PLACE Conference, Las Vegas, Nevada (September 27, 2005);
・Randy Jester, “Cyclic-Olefin Copolymer-A High Performance Modifier for Conventional Polyolefins,” in SPA Polyolefins Conference, Houston, Texas (February 25, 2007);
・Paul D. Tatarka, “Improved Properties and Cost Efficiencies of Cyclic Olefin Copolymer Enhanced Forming Films,” SPE Annual Technical Conference (May 7, 2007);
・Paul D. Tatarka, “Polyolefin Film Enhancement Using Cyclic Olefin Copolymers for Retort Applications,” in SPE Polyolefin & FlexPack Conference, February 25 (2008);
・Paul D. Tatarka, “Thermoforming Enhancement With Cyclic Olefin Copolymers,” in SPE International Polyolefins Conference, Houston, Texas (February 22, 2009);
・Norman Aubee & Timothy Kneale, “Blending of Cyclic Olefins in Single Site LLDPE (sLLDPE) for Improved Bubble Stability and Output Rates on Blow Film Extrusion Process,” in SPE International Polyolefins Conference, Houston, Texas (February 22, 2009); 及び
・Randy Jester, “COC Enhanced Polyolefin Films for Shrink Sleeves and Labels,” in AWA International Sleeve & Label Conference, Chicago, Illinois (2010)。
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
少なくともコア層及びそれに隣接する少なくとも1つの他の層を含む(又はから本質的に成るか又はから成る)、例えば、シュリンクラップ用途に適した多重層化ポリエチレンフィルムを開示する。コア層は、該コア層の質量に基づいて5wt%から20、又は30、又は40、又は50wt%までの範囲内の環状オレフィンコポリマーと、該コア層の質量に基づいて50wt%〜95wt%の範囲内(材料の残り)のポリエチレンとを含み、環状オレフィンコポリマーは、少なくとも70、若しくは80、若しくは90℃(又は70、若しくは80、若しくは90℃から140、若しくは150、若しくは160℃までの範囲内)のガラス転移温度(Tg)を有する。多重層化フィルムは、鋳造又はブロー成形技術等のいずれの適切な手段によっても形成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】発明ブレンド及び競合組成物に関するモジュラスの関数としてのダートインパクトのプロットである。
図2】発明フィルム及び競合フィルムに関するシュリンク%の棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
本開示は、環状オレフィンコポリマー(COC)を含む新しいフィルム構造を使用することによって十分なTD強度という課題を解決する。全PE成分中の低乃至中レベル(典型的に6%)のCOCから作られるブローフィルムは、十分なMDシュリンクを維持しながら顕著に増強されたTDシュリンク;より良い負荷保持抵抗をもたらすことになる顕著に増強された剛性;より良い靱性と剛性のバランス;優れた光学特性の維持;並びにより高い生産率の可能性があるドロップイン(drop-in)加工条件下で容易に加工できることを含め、従来技術では不可能だった組み合わせの特性を示す。これらの改善は、収縮性、剛性/靱性バランス、保持力、及びシール性に関する所要の性能で顕著なダウンゲージング機会を可能にすることもできる。
【0009】
本明細書で使用する場合、「環状オレフィンコポリマー」(COC)は、50wt%以上のエチレン由来単位を含み、残りは少なくとも1つのC5-C8環状構造を含むC5からC8、又はC12、又はC16、又はC20までのオレフィンから選択される環状オレフィン由来単位、例えば、ビシクロ化合物、例えばビシクロ-(2,3,1)-ヘプテン-2等である、コポリマーである。好ましくは、環状オレフィン由来単位は、C5、又はC6からC8、又はC10、又はC12、又はC20までの環状オレフィン由来単位、さらに好ましくはビシクロ-(2,3,1)-ヘプテン-2(ノルボルネン)におけるように全体構造に2つの環を形成する架橋炭化水素部分を含有する環状オレフィンである二環式オレフィン由来単位から選択される。最も好ましくは、環状オレフィン由来単位は、ノルボルネン、テトラシクロドデセン、及びこれらの置換型から選択される。
任意の実施形態において、本明細書で有用なCOCの環状オレフィン含量(環状オレフィン由来単位)は、COCの質量に関して60、若しくは65、若しくは70wt%以上、又は40、若しくは45、若しくは50、若しくは55、若しくは60、若しくは65、若しくは70wt%から80、若しくは85、若しくは90wt%までの範囲内である。
【0010】
環状オレフィンコポリマーは、いずれの適切な重合手段によっても作ることができる。任意の実施形態において、重合プロセスでエチレンモノマーと混ぜ合わされる環状オレフィンモノマーは、少なくとも1つのC5-C8環状構造を含むC5からC8、又はC12、又はC16、又はC20までのオレフィン、例えば、ビシクロ化合物、例えばビシクロ-(2,3,1)-ヘプテン-2等から選択される。好ましくは、環状オレフィンは、C5、又はC6からC8、又はC10、又はC12、又はC20までの環状オレフィン、さらに好ましくはビシクロ-(2,3,1)-ヘプテン-2(ノルボルネン)におけるように全体構造に2つの環を形成する架橋炭化水素部分を含有する環状オレフィンである二環式オレフィンから選択される。最も好ましくは、COCを作るために使用する環状オレフィンは、ノルボルネン、テトラシクロドデセン、及びこれらの置換型から選択される。混ぜ合わせることによって重合プロセスを引き起こすためには、望ましい温度で混ぜ合わせるのみならず、少なくとも0.8、若しくは1、若しくは2、若しくは3MPa;又は0.8、若しくは1、若しくは2、若しくは3MPaから4、若しくは6、若しくは8、若しくは10MPaまでの範囲内の圧力で成分を混ぜ合わせるのが好ましい。この圧力は、重合反応器にエチレン及び/又は他のガスを添加することから生じ得るが、当然に反応器の温度に影響される。エチレン及び環状オレフィンのレベルを調整して、所望の触媒活性のみならず、本明細書に記載のポリエチレンへの所望レベルの環状オレフィンコモノマーの組み込みを達成する。任意の実施形態において、モノマーと触媒の混合は、反応温度、すなわち80、又は85、又は90、又は100℃から120、又は130、又は140、又は150℃までの範囲内の、成分を混ぜ合わせて重合を引き起こすために用いる容器又は反応器内の平均温度で行なうことができる。
【0011】
本明細書で使用する場合、「フィルム」又は「多重層化フィルム」は、0.25mm以下の平均厚さを有する材料であり、例えばポリマー、フィラー、添加剤、油等の1種以上の物質を含んでよく、好ましくはその測定可能な幅及び長さ内で連続的であり、典型的に可撓性であり、好ましくは2、又は10、又は20、又は40、又は45μmから50、又は100、又は150、又は200、又は250μmまでの範囲内の厚さを有する。最も好ましくは、本明細書に記載の多重層化フィルムは、30、又は40、又は45μmから50、又は55、又は60、又は100μmまでの範囲内の厚さを有する。用語「フィルム」は、表面、例えば金属、ガラス、別のポリマー、又は他の堅いか若しくは可撓性の表面にフィルムを押し出すときのように、コーティングをも含む。任意の実施形態において本明細書に記載の多重層化フィルムは、いわゆるシュリンクフィルムである。望ましくは、発明多重層化フィルムは、本明細書に記載のCOCを含まない同一フィルムより少なくとも5、又は10、又は20%薄い可能性がある。
【0012】
本明細書で使用する場合、単に「ポリエチレン」という用語は、エチレン由来単位及び環状オレフィンモノマー単位以外の任意的なC3-C12αオレフィン由来単位のポリマーを指す。例としては、LLDPE、LDPE、HDPE、及び/又は中密度ポリエチレンがある。
任意の実施形態においてフィルム層に他の材料を組み込むことができ、或いはフィルム層自体が別の材料を含むか又は別の材料から本質的に成り得ることが企図される。適切な材料としては、エチレン酢酸ビニル、エチレンベースのイオノマー、ポリプロピレン、プロピレンベースのエラストマー、エチレンベースのプラストマー、エチレン-プロピレンゴム、スチレンブロックコポリマー、スチレンポリマー、セルロースポリマー、及びその組み合わせがある。
従って、任意の実施形態において少なくともコア層及びそれに隣接する少なくとも1つの他の層を含む多重層化ポリエチレンフィルムであり、コア層は、該コア層の質量に基づいて5wt%から15、又は20、又は30、又は40、又は50wt%までの範囲内の環状オレフィンコポリマーを含み、コア層の残りは、該コア層の質量に基づいてポリエチレン、好ましくは好ましくはLDPE及び/又はLLDPEであり、環状オレフィンコポリマーは、少なくとも70、若しくは80、若しくは90℃、又は70、若しくは80、若しくは90℃から140、若しくは150、若しくは160℃までの範囲内のガラス転移温度(Tg)を有する。
【0013】
本明細書で言及するTg及び融点温度(Tm)の値は、示差走査熱量計(DSC)法を利用して決定可能である。特に、約6mgの材料をマイクロリットルのアルミニウムサンプル皿に入れる。適切な示差走査熱量計の例はPerkin Elmer又はTA Instrumentの熱分析システムである。次にサンプルを23℃から220℃まで10℃/分で加熱して220℃で5分間保持する。その後、サンプルを-20℃まで10℃/分で冷却する。サンプルを-20℃で5分間保持してから第2の加熱サイクルの間-20℃から220℃まで10℃/分で加熱する。第2の加熱サイクルについてTm及びTgを決定する。Tmはピーク熱流量(ゼロ変曲)である。Tgについては、TA普遍的分析機器の「ガラス転移」メニュー項目を用いてDSCにおけるTgの始まり、終わり、変曲、及びシグナル変化を計算することができる。プログラムは、第1の接線と第2の接線の交点である始まりの決定を可能にし、変曲は、第1の接線と、最も急勾配の第3の接線との間の曲線部分であり、終わりは第2の接線と第3の接線の交点である。
任意の実施形態において、環状オレフィンコポリマーは、0.01、又は0.1g/10分から1、又は1.5、又は2g/10分までの範囲内のI2(2.16kg/190℃)を有する。
【0014】
好ましくは、コア層は、2つのポリエチレンスキン層間に挟まれている。好ましい実施形態では、少なくとも1つのコア層は、LLDPEを含む2〜6つの層間に挟まれている。好ましい配置としては、スキン/コア/スキン、及びスキン/サブスキン/コア/サブスキン/コア配置がある。任意の実施形態において、各スキン層は独立に、各スキン層の質量に関して少なくとも50wt%の直鎖状低密度ポリエチレンを含む。任意の実施形態において、多重層化フィルムは、コア層と各スキン層との間に挟まれたサブスキン層をさらに含む。好ましくは、各サブスキン層は独立に、各スキン層の質量に関して少なくとも50wt%の直鎖状低密度ポリエチレンを含む。2つ以上のコア層がある実施形態では、それらは互いに隣接しているのが好ましいが、それらの間にLDPE又はLLDPE等のポリエチレンの層を有してもよい。
任意の実施形態において、各ポリエチレンスキン層は、独立に0.88、又は0.9、又は0.91g/cm3から0.925g/cm3までの範囲内の密度を有する。
密度は、ASTM D 1505-10に従って測定することができる。ASTM D4703-10aに従って、密度測定用の圧縮成形サンプルを作製する。密度測定前に23℃での密度成形試験片(典型的にペレットサンプルから作製)の40時間の条件付けによってサンプルを調整する。
【0015】
任意の実施形態において、コア層のポリエチレンは、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、又はその組み合わせである。好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレンはコポリマーであり、該コポリマーの質量に関して0.5から10、又は20wt%までの範囲内のC4-C12αオレフィン由来単位を含み、コポリマーの残りはエチレン由来単位を含む。また、直鎖状低密度ポリエチレンは、好ましくは90℃〜130℃の範囲内のピーク融点温度(Tm)を有する。最後に、直鎖状低密度ポリエチレンは、好ましくは0.2g/10分から3、又は4、又は5g/10分までの範囲内のI2(2.16kg/190℃)を有する。
任意の実施形態において、コア層はさらに、0.5wt%〜20wt%の範囲内のLDPEを含む。また、任意の実施形態において、各スキン層は独立に、0.5wt%〜20wt%の範囲内のLDPEをさらに含む。
【0016】
本明細書に記載の多重層化フィルムは、いくつかの独特な特性を有する。任意の実施形態において、多重層化フィルムは、少なくとも18、若しくは20%、又は18、若しくは20%から28、若しくは30、若しくは36%までの範囲内のTDシュリンクを有する。任意の実施形態において、多重層化フィルムは10〜20mNの範囲内のTDシュリンク力を有する。任意の実施形態において、多重層化フィルムは55〜90%の範囲内のMDシュリンクを有する。任意の実施形態において、多重層化フィルムは60〜80mNの範囲内のMDシュリンク力を有する。任意の実施形態において、多重層化フィルムは、少なくとも280MPa、又は280、300MPaから360、若しくは400、若しくは460MPaまでの範囲内の1%TDセカント曲げモジュラス(secant flexural modulus)を有する。任意の実施形態において、多重層化フィルムは、少なくとも280MPa、又は280、300MPaから360、若しくは400、若しくは460MPaの範囲内の1%MDセカント曲げモジュラスを有する。任意の実施形態において、多重層化フィルムは、少なくとも14、若しくは5N、又は14、若しくは15Nから20、若しくは22若しくは24Nまでの範囲内のプラトーシール強度(plateau seal strength)を有する。
また、任意の実施形態において、多重層化フィルムは、少なくとも20、若しくは25、若しくは30、若しくは35MPa、又は20、若しくは25、若しくは30、若しくは35MPaから50、若しくは55、若しくは60、若しくは65MPaまでの範囲内のMD又はTD引張強度を有する。
また、任意の実施形態において、多重層化フィルムは、少なくとも6、若しくは7、若しくは10、若しくは16g/μm、又は6、若しくは7、若しくは10、若しくは16g/μから20、若しくは26、若しくは30、若しくは36、若しくは40g/μmまでの範囲内のダートドロップを有する。
任意の実施形態において、多重層化フィルムは、少なくとも70、又は75、又は80、又は85%の光沢を有する。任意の実施形態において、多重層化フィルムは20、又は15、又は10%未満のヘイズ値を有する。
任意の実施形態において、多重層化フィルムは、2、又は4g/μmから10、又は12、又は16、又は18、又は20g/μmまでの範囲内のダートドロップを有する。
【0017】
多重層化フィルムを形成するための好ましいプロセスは、ブローフィルムプロセスにある。典型的なブローフィルムプロセスでは、通常は垂直に環状スリットダイス等のダイスを通してポリエチレン溶融物を押し出して薄壁チューブを形成する。好ましくは、本明細書でフィルムの形成に用いるダイスは、溶融ポリエチレンが通って流出するダイス開口部が環の形であり、そこから流出する溶融ポリエチレンが連続チューブの形になるようにデザインされる。好ましくはエアの形でダイスの中央の環を経て冷却が導入されてバルーンのようにチューブを膨らませる。冷却を他の手段で実現してもよく、エアは窒素/酸素又は他の気体又は気体若しくは液体の混合物であってよい。ダイスの上面に載せると、高速エアリングがホットフィルムに吹き付けられてフィルムを冷却する。そしてフィルムのチューブは、チューブを平らにしてフィルムの「レイフラット(lay-flat)」チューブとして知られるものを作り出すニップロールをチューブが通り抜けられるまで、ダイスから離れて上昇し続け、持続的に冷め得る。このレイフラット又はつぶれたチューブは、次にさらなるローラー経由で押出「塔」に引きもどすことができる。任意の実施形態において、バブル内部のエアも交換され、「内部バブル冷却(Internal Bubble Cooling)」(IBC)として知られる。
【0018】
いずれの場合でも、その後レイフラットフィルムがそのまま維持されるか又はレイフラット縁が切り取られて2枚のフラットフィルムシートが生成され、レールに巻き取られる。該レイフラットフィルムからバッグ等の物品を作ることができる。この点に関して、レイフラットとして維持される場合、フィルムの幅を横切ってシールし、切断又は穿孔して各バッグを作ることによってフィルムのチューブはバッグになる。これは、ブローフィルムプロセスに沿って又は後の段階で行なわれる。
好ましくは、ダイスとフィルムのブローチューブとの間の膨張比は、ダイス径の1.1、又は1.2から2、又は3、又は4倍となる。溶融物壁の厚さと冷却フィルムの厚さとの間の引抜きは半径方向にも縦軸方向にも起こり、バブル内部のエアの体積を変え、引き取り速度(haul off speed)を変えることによって容易に制御される。これは、押出方向に沿ってのみ引く抜かれる伝統的な鋳造又は押出フィルムより良いバランスの特性をブローフィルムに与える。
【0019】
フィルム形成に用いる成分を任意の望ましい形態で、好ましくは顆粒として、押出機に材料を供給するポッパーに添加し、そこでせん断力及び/又は加熱を通じて所望温度で材料を溶融ブレンドする場合に典型的なブローフィルムプロセスを使用することができる。酸化防止剤等の一般的な「添加剤」は固体としてホッパーを添加してよく、或いはマスターバッチの形態で、1種以上の添加剤をポリマー若しくは蝋様ペレットに組み込まれる。次に濾過しながら又は濾過せずに溶融材料がダイスに供給され、また所望温度に加熱されてからダイスから引き出される。形成フィルムの冷却は、好ましくは周囲エアより少なくとも10又は20℃冷たいエアを吹き込む装置により行なわれる。エアは、好ましくはフィルムの外側に対して、最も好ましくはフィルムによって形成された周縁全体に吹き込まれる。フィルムを冷却もし、バルーンのように膨らませもする内部に吹かれるエアもある。フィルムは膨張し始め、最終的に冷たくなり、結晶化して完成フィルムを形成する。エア吹き込み装置を上下に調整して、ダイスから離して、ポリマーの溶融加熱チューブを自然に(20℃等の室温下で)結晶化させた後にさらに加熱することができる。
【0020】
多重層化フィルムは、ある一定の加工利益を有する。任意の実施形態において、多重層化フィルムの少なくとも1つのコア層は、ダイスで238、若しくは240℃以下、又は210、若しくは215、若しくは220、若しくは225、若しくは230℃から238、若しくは240、若しくは245、若しくは250℃までの範囲内の溶融温度にて(溶融物内の熱電対を用いて測定)押し出される。任意の実施形態において、多重層化フィルムの少なくとも1つのコア層は、45、若しくは42MPa以下、又は30、若しくは35、若しくは38MPaから42、若しくは45、若しくは50MPaまでの範囲内の溶融圧力で押し出される。これらの溶融温度及び溶融圧力は、好ましくは0.6〜1kg/mmダイスφの範囲内のダイス係数、及び/又2.8〜3.2kg/時間/revの範囲内の比生産量で得られる。ダイス係数はkg/mm・時間で表され、完全表記はkg/ダイス径(単位mm)/時間である。
発明多重層化構造及びその形成方法のために開示する種々の記述要素及び数値範囲は、他の記述要素及び数値範囲と組み合わせて本発明を説明することができ;さらに、所与の要素に関して、任意の上限数値は、本明細書に記載の任意の下限数値と組み合わせることが、該組み合わせを許容する権限内の実施例を含めて可能である。下記非限定例で本発明の特徴を実証する。
【実施例】
【0021】
本明細書のフィルム例に用いた材料としては、以下のように異なる添加剤を有するグレードのExceed 1018 LLDPEが挙げられる:「LA」は4500ppmのブロッキング防止剤及び450ppmのスリップ剤を含有し;「HA」はブロッキング防止剤、スリップ剤を含有せず;「KB」は2500ppmのブロッキング防止剤及び800ppmのスリップ剤を含有する。ExxonMobilからの下記2つのグレードの高圧反応器生成低密度ポリエチレン(LD)をも使用する:LD150 BW(0.75g/10分のI2[190℃/2.16kg]、密度0.923g/cm3)及びLD 165 BW(0.33g/10分のI2、密度0.922g/cm3)。最後に、表1に要約するように、3つのグレードのTopas(商標)環状オレフィンコポリマー(COC)を使用する。使用した全てのフィルム試験方法は以下のとおりである。
【0022】
【0023】
百分率として報告したシュリンク(Betexシュリンク)は50mmダイスを用いてフィルムから円形試験片をカットすることにより測定した。次にサンプルを銅箔上に置いてシリコンオイルの層内に埋めた。このアセンブリーを150℃のホットプレート(モデルBetex)上に置くことによって寸法変化が止むまで加熱した。4つの試験片の平均を報告する。負の収縮数値は、その予熱寸法に比べて加熱後の寸法の拡大を指し示す。
5層W&Hブローフィルムラインを用いて第1セットの実験を行なった。コア層のために用いた押出機は、約190℃の設定温度に保たれた10区画を有した。供給ゾーンは、樹脂が押出機に添加されるホッパーにある押出機の開始ゾーンであり、次に樹脂が加熱、ブレンド、及び搬送される4つのゾーンがある。最後に、溶融物はダイスを貫通してフィルムを形成する。10ダイスヘッドゾーンは、ダイスヘッドの温度を制御するための加熱領域である。用いたCOCグレードの基本特性を表1に要約し、フィルムデザインを表2に示す。スキン層とサブスキン層は同一なので、本質的に3層フィルムを作製した。このフィルムは2.5バブルブローアップ比(BUR)を有した。全体的なフィルム厚さの平均は50μm(1/4/1)であり、スキン層は、ExxonMobilからの95wt%のExceed(商標)1018KB LLDPE及び5wt%のLDPE(LD) LD 150BWを含有し;コア層 は、90wt%のExceed(商標)1018HA LLDPE及び10wt%のCOC、又は100wt%のExceed(商標)1018 LLDPEを含有する。フィルム全体のCOCレベルは6.7wt%である。3つのタイプのCOCを利用して、3種のフィルム(表2中の番号1〜3)を作製した。COC3を含むフィルムは比較例であり、COC1及びCOC2を含むフィルムは発明例である。フィルム1〜3と同一構造だが、コア層にCOCがないコントロールフィルム番号4(COC無しフィルム)をも作製した。本明細書全体にわたって用いた典型的条件である特定の加工条件を表3に列挙する。
【0024】
表1. フィルム作製に用いたCOCグレード
* Topas Advanced Polymers, Inc.によって報告されたとおり(DSCによりISO 11357-1、-2、-3に従って10℃/分の加熱速度で)。
【0025】
表2. 第1セットの実験のフィルムデザイン
【0026】
表3. 典型的ブローフィルムコア層加工条件
【0027】
表3. 典型的ブローフィルムコア層加工条件(続き)
【0028】
コア層にCOCを含むフィルム1〜3は、コントロールフィルム番号4より穏やか又はそれと同様の条件で加工可能である。視覚的に、COC含有フィルムのバブルは非常に安定している。この系列の実験は、フィルム作製の最大生産率を試験しなかったが、COCの添加は、その高いTg及び/又は粘度効果のためバブル安定性を改善し、結果として最大生産率を改善することができる。この第1セットの実験のフィルム特性を表4に示す。LLDPE/COCブレンドは優れた光学を有する低ゲルフィルムを生成し、フィルム番号1は高いMDセカント曲げモジュラス、ホットタック、及びシール強度で特に良く機能した。全てのフィルムは同様のゲージを有する。全てのフィルムは加工後に48時間条件付けされる。
ポリエチレン中5wt%未満のCOCの混合物については、このブレンドは混和性であるが、ポリエチレン中20wt%超のCOCのブレンドは、COCが大きい孤立ドメインを形成することが分かった。ポリエチレンに5〜20wt%添加されるとCOCはわずかに相分離された。これらの場合、COCはポリエチレンと混和し得ないが、ポリエチレンと相溶性であった。このことがポリエチレンマトリックスを強化し、発明多重層化フィルムの全体的な機械的特性を向上させる形態特徴を与えると考えられる。
【0029】
表4. 第1セットの実験のフィルム特性
【0030】
同5層H&Wブローフィルムラインを用いて第2セットの実験を行なった。COCグレードの基本特性は表1に要約してある。フィルムデザインを表5に示す。全体を通して用いたLLDPEはExceed(商標)1018KB LLDPEであり、スキン層に用いた低密度(LD)ポリエチレンはLD 150BWであり、コアに用いたのはLD 165 BWであり、両方ともExxonMobilから得た。スキン層とサブスキン層は同一なので、本質的に3層フィルムを作製した。フィルムは2.5バブルブローアップ比(BUR)を有した。全体的な平均フィルム厚さは50μm(1/4/1)であり、スキン層は95wt%のExceed 1018及び5wt%のLDPEを含有し、コア層は多量のLDPE成分及び少量のCOCセブンを含有した。4種のCOC含有フィルム(表2の番号1〜4)に3つのタイプのCOCを利用した。正確に同一構造であるが、コア層にCOCがないコントロールフィルム(表5の番号5)をも作製した。加工条件は、表3に列挙した条件と非常によく似ている。
【0031】
表5. 第2セットの実験のフィルムデザイン
【0032】
コア層にCOCを含むフィルムは、コントロールフィルムと同様以下の条件で加工可能である。発明フィルムのバブルは非常に安定であり、最終フィルムは高品質である。COCの添加はバブルの安定性を改善し、結果として高いTg及び/又は粘度に起因するその高い溶融強度によって最大生産量が提供される。フィルム特性を表6に示す。LDPE/COCブレンドは、優れた光学を有する低ゲルフィルムを生成した。
【0033】
表6. 第2セットの実験のフィルム特性
【0034】
表6に示すように、LDPEに低レベル乃至中レベルのCOCを添加すると、58%までの向上で顕著に剛性を改善した。引張強度及び破断点伸び、並びにダートドロップは保持された。優れた光学特性(低ヘイズ及び高光沢)も維持された。低剛性Topas(商標)COCグレード8007及び9506との配合物では優れたMDシュリンクが維持されたが、剛性Topas(商標)COCグレード5013との配合物でも十分である。注目すべきことに、コア層に10wt%のTopas(商標)5013を含む配合物のTDシュリンクは42%向上した。
表1に示すように広いTg範囲に及ぶ3つの異なるCOCグレードを用いて第3セットの実験を行なった。フィルムに用いたポリエチレンの大部分は、スキン層として5wt%のLD 150BWとブレンドしたExceed(商標)1018LA LLDPEであり、コア層としては10wt%のCOCをExceed(商標)1018HA LLDPEとブレンドした。共押出ポリエチレンフィルムは、W&Hブローラインで5台の押出機を用いて表7のフィルムデザインに従い、上表3に一般的に記載した条件に従って調製される。全てのフィルムは、約50μmという同様の平均フィルム厚さを有した。作製後48時間超にわたって全てのフィルムは条件付けされる。
【0035】
ダート、1%セカント曲げモジュラス、引張強度、パンクチャー及びシールプロットというフィルム特性を試験して表8に要約した。表8のデータで要約したように、COC含有フィルムではコントロールフィルムに比べて、MDモジュラスの50〜100%の増加、TDモジュラスの40%の増加、ダートの0〜40%の増加があり、MDとTDの両方向の引張強度が維持されることが発見された。ヘイズは20〜40%低くなった。プラトーシール強度は最大50%まで向上した。これらの結果は、ポリエチレンフィルムの靱性、剛性、光学及びシール特性がCOCとのブレンドによって改善可能であることを示している。
【0036】
表7. 第3セットの実験のフィルムデザイン
【0037】
表8. 第3セットの実験のフィルム特性
【0038】
上記と同様だが、異なるフィルム構造で第4セットの実験を行なった。表1に詳細を示した3つの異なるCOCフレードを使用する。多層ポリエチレンフィルムを上記W&Hブローラインで5台の押出機を用いて表2のフィルムデザインに従って調製する。全てのフィルムを同BUR下でブロー成形する。ExxonMobilポリエチレンExceed(商標)1018LA LLDPEとLD 150BWをスキン層としてブレンドし、コア層のためにはLD 165BWを10%のCOCとブレンドし、共押出層分布は1.5:6:1.5であり、表9に概要を示す。全てのフィルムは約50μmの平均厚さを有し、作製後48時間超にわたって条件付けされる。
各フィルムのシュリンク特性についてMDとTDの両方向で試験した。表10のデータで概要を示すように、Topas(商標)5013F-04ではコントロールフィルムより42%だけTDシュリンクの顕著な増加が観察されたが、MDシュリンクについてはわずかに低下した。
【0039】
表9. 第4セットの実験のフィルムデザイン
【0040】
表10. 第4セットの実験のフィルム特性
【0041】
表1に示す3つの異なるCOCグレードを用いて第5セットの実験を行なった。多層ポリエチレンフィルムを上記と同様にW&Hブローラインで3台の押出機を用いて表11のフィルムデザインに従って調製した。全てのフィルムを同BUR下でブロー成形する。スキン層としてExxonMobilのExceed(商標)1018LA LLDPEと5wt%のLD 150BWをブレンドし、コア層としてはLD 165BWを10wt%のCOCとブレンドした。全てのフィルムは約50μmの同様のゲージを有する。全てのフィルムは作製後48時間条件付けされる。
1%セカントモジュラス、引張強度、ダート、パンクチャー、ヘイズ及びエルメンドルフ引裂きというフィルム特性を試験した。表12に示すように、引裂強度は全てのCOCグレードで低下するが、他の機械的特性については改善又は維持されることが分かった。これらの結果は、ポリエチレンとCOCのブレンドは、一般的なフィルム強度を損なうことなく容易なTD引裂きを達成するための実行可能な手段であることを実証する。
【0042】
表11. 第6セットの実験のフィルムデザイン
【0043】
表12. 第5セットの実験のフィルム特性
【0044】
本明細書で使用する場合、「から本質的に成る」は、請求項に係る物品又はポリマーが、名前を挙げた成分のみを含み、20、又は15、又は10%以上、その計測特性を変えることになる追加成分を含まないことを意味し、最も好ましくは「添加剤」が組成物の質量に関して5、又は4、又は3、又は2wt%未満のレベルまで存在することを意味する。このような追加の添加剤としては、例えば、フィラー、核剤又は清澄剤、着色剤、酸化防止剤、アルキルラジカルスカベンジャー(好ましくはビタミンE、又は他のトコフェロール及び/又はトコトリエノール)、UV防止剤、酸スカベンジャー、硬化剤及び架橋剤、脂肪族及び/又は環含有オリゴマー若しくはポリマー(炭化水素樹脂と呼ばれることが多い)、並びに技術上周知の他の添加剤が挙げられる。「から本質的に成る」という表現がプロセスに関する場合、この表現は、ポリマー、ポリマーブレンド又はそれらから作られる物品の請求項に係る特性を10、15又は20%以上変えることになる他のプロセス特徴はないが、そうでなければ名前を挙げていないマイナーなプロセス特徴があり得ることを意味する。
「参照による組み込み」という原則が適用される全ての管轄区域では、全ての試験方法、特許公開、特許及び参考論文は、参照によってそれら全体又はそれらが参照される関連部分が本明細書に組み込まれる。
本発明は、以下の事項を含んでいるともいえる。
(付記1)
少なくともコア層及びそれに隣接する少なくとも1つの他の層を含む多重層化ポリエチレンフィルムであって、前記コア層は、前記コア層の質量に基づいて5wt%〜50wt%の範囲内の環状オレフィンコポリマーと、前記コア層の質量に基づいて50wt%〜95wt%の範囲内のポリエチレンとを含み、前記環状オレフィンコポリマーは、少なくとも70℃のガラス転移温度(Tg)を有する、前記多重層化ポリエチレンフィルム。
(付記2)
前記コア層が、2つのポリエチレンスキン層間に挟まれている、付記1に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
(付記3)
各スキン層が独立に、各スキン層の質量に関して少なくとも50wt%の直鎖状低密度ポリエチレンを含む、付記2に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
(付記4)
前記コア層と各スキン層との間に挟まれたサブスキン層をさらに含む、付記2に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
(付記5)
各サブスキン層が独立に、各スキン層の質量に関して少なくとも50wt%の直鎖状低密度ポリエチレンを含む、付記4に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
(付記6)
前記環状オレフィンコポリマーが、0.01〜1g/10分の範囲内のI2(2.16kg/190℃)を有する、付記1〜5のいずれか1項に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
(付記7)
前記環状オレフィンコポリマーが、前記環状オレフィンコポリマーの質量に対して60wt%以上の環状オレフィン由来単位を含む、付記1〜6のいずれか1項に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
(付記8)
各ポリエチレンスキン層が、0.88g/cm3〜0.925g/cm3の範囲内の密度を有する、付記3に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
(付記9)
前記コア層のポリエチレンが、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、又はその組み合わせである、付記1〜8のいずれか1項に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
(付記10)
前記直鎖状低密度ポリエチレンがコポリマーであり、前記コポリマーの質量に対して0.5〜20wt%の範囲内のC4−C12αオレフィン由来単位を含み、前記コポリマーの残りはエチレン由来単位を構成する、付記9に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
(付記11)
前記直鎖状低密度ポリエチレンが、90℃〜130℃の範囲内の融点温度(Tm)を有する、付記9に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
(付記12)
前記直鎖状低密度ポリエチレンが、0.2g/10分〜5g/10分の範囲内のI2(2.16kg/190℃)を有する、付記9に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
(付記13)
少なくとも18%のTDシュリンクを有する、付記1〜12のいずれか1項に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
(付記14)
10〜20mNの範囲内のTDシュリンク力を有する、付記1〜13のいずれか1項に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
(付記15)
55〜90%の範囲内のMDシュリンクを有する、付記1〜14のいずれか1項に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
(付記16)
60〜80mNの範囲内のMDシュリンク力を有する、付記1〜15のいずれか1項に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
(付記17)
少なくとも280MPaの1%TDセカント曲げモジュラスを有する、付記1〜16のいずれか1項に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
(付記18)
少なくとも280MPaの1%MDセカント曲げモジュラスを有する、付記1〜17のいずれか1項に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
(付記19)
少なくとも14Nのプラトーシール強度を有する、付記1〜18のいずれか1項に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
(付記20)
前記コア層が、0.5wt%〜20wt%の範囲内のLDPEをさらに含む、付記1〜19のいずれか1項に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
(付記21)
各スキン層が独立に、0.5wt%〜20wt%の範囲内のLDPEをさらに含む、付記3に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
(付記22)
30μm〜100μmの範囲内の厚さを有する、付記1〜21のいずれか1項に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
(付記23)
LLDPEを含む2〜6つの層間に挟まれた前記コア層を少なくとも含む、付記1〜22のいずれか1項に記載の多重層化ポリエチレンフィルム。
(付記24)
付記1に記載の多重層化ポリエチレンフィルムを含むシュリンクフィルム。
(付記25)
付記1〜23のいずれか1項に記載の多重層化ポリエチレンフィルムを238℃以下のダイスで溶融温度にて押し出すことを含むプロセス。
(付記26)
付記1〜23のいずれか1項に記載の多重層化ポリエチレンフィルムを42MPa以下の溶融圧力で押し出すことを含むプロセス。
図1
図2