(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987900
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】岩石のチゼル加工用のドリルビット
(51)【国際特許分類】
E21B 10/00 20060101AFI20211220BHJP
B28D 1/26 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
E21B10/00 B
B28D1/26
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-572075(P2019-572075)
(86)(22)【出願日】2018年6月20日
(65)【公表番号】特表2020-525677(P2020-525677A)
(43)【公表日】2020年8月27日
(86)【国際出願番号】EP2018066356
(87)【国際公開番号】WO2019002037
(87)【国際公開日】20190103
【審査請求日】2020年2月4日
(31)【優先権主張番号】17178103.2
(32)【優先日】2017年6月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ボーン, クラウス−ペーター
(72)【発明者】
【氏名】フォセル, ローランド
(72)【発明者】
【氏名】ハルトマン, マルクス
(72)【発明者】
【氏名】プリュマッハー, バスティアン
【審査官】
高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−291236(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/129268(WO,A1)
【文献】
特開2005−186421(JP,A)
【文献】
特開2014−037767(JP,A)
【文献】
特開平10−121182(JP,A)
【文献】
特開2004−092294(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0193784(US,A1)
【文献】
特表2001−514083(JP,A)
【文献】
特表2012−515846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 10/00
B28D 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入端部(6)における衝撃面(7)と、
内部に搬送通路(35)が設けられている中空シャンク(4)と、
前端部(12)に3つ以上の刃面(14)及び1つ以上の吸入開口(3)を有し、該吸入開口(3)を前記搬送通路(35)に接続する吸入通路(30)を内部に有するドリルヘッド(2)と、
を備える岩石のチゼル加工用のドリルビット(1)において、
前記ドリルヘッド(2)は、前記前端部(12)とは反対側に位置する下面(19)を有する基部(13)であって、前記下面(19)において前記中空シャンク(4)に結合される基部(13)を含み、
前記ドリルヘッド(2)の前記刃面(14)は、前記基部(13)に埋め込まれ、前記基部(13)に対し衝撃方向(9)に突出しており、
前記ドリルヘッド(2)の前記前端部(12)は、前記衝撃方向(9)に面する前記刃面(14)の前面(16)と前記基部(13)の前面(17)とから構成されており、
前記吸入開口(3)は、前記基部(13)の前面(17)であって、隣接する前記刃面(14)の間の各領域に配置されており、
前記吸入開口(3)は非円形の横断面を有する、ことを特徴とするドリルビット(1)。
【請求項2】
前記吸入開口は三角形である、請求項1記載のドリルビット(1)。
【請求項3】
前記吸入開口(3)の表面積は、前記吸入開口に刻まれる最大円の表面積よりも少なくとも30%大きい、請求項1又は2記載のドリルビット(1)。
【請求項4】
前記吸入開口(3)は、前記ドリルヘッド(2)の前端部(16)の10%以上を占める、請求項1から3までのいずれか1項記載のドリルビット(1)。
【請求項5】
前記吸入開口(3)、前記はドリルヘッド(2)の前端部(16)の25%未満を占める、請求項1から4までのいずれか1項記載のドリルビット(1)。
【請求項6】
前記刃面(14)は、すくい面(23)及び逃げ面(24)を有しており、
前記すくい面(23)及び前記逃げ面(24)は両方とも前記衝撃方向(9)に面しており、チゼル端(22)に沿って互いに接触している、請求項1から5までのいずれか1項記載のドリルビット(1)。
【請求項7】
前記刃面(14)は、焼結された炭化タングステンから製造されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のドリルビット(1)。
【請求項8】
挿入端部(6)における衝撃面(7)と、
内部に搬送通路(35)が設けられている中空シャンク(4)と、
前端部(12)に3つ以上の刃面(14)及び1つ以上の吸入開口(3)を有し、該吸入開口(3)を前記搬送通路(35)に接続する吸入通路(30)を内部に有し、前記吸入開口(3)は非円形の横断面を有するドリルヘッド(2)と、を備え、
前記ドリルヘッド(2)は、前記前端部(12)とは反対側に位置する下面(19)を有する基部(13)であって、前記下面(19)において前記中空シャンク(4)に結合される基部(13)を含み、
前記ドリルヘッド(2)の前記刃面(14)は、前記基部(13)に埋め込まれ、前記基部(13)に対し衝撃方向(9)に突出しており、
前記ドリルヘッド(2)の前記前端部(12)は、前記衝撃方向(9)に面する前記刃面(14)の前面(16)と前記基部(13)の前面(17)とから構成されており、
前記吸入開口(3)は、前記基部(13)の前面(17)であって、隣接する前記刃面(14)の間の各領域に配置されている、岩石のチゼル加工用のドリルビット(1)の製造方法において、
前記ドリルヘッド(2)は、粉末層及び接着剤を堆積することによって前記ドリルヘッド(2)の形状に対応するブランクを製造し、その後前記ブランクを焼結することによって形成される、ドリルビット(1)の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、岩石のチゼル加工用ドリルビットに関する。特に、本発明は、中空シャンクを介してドリル切削片を運び出すことのできるドリルビットに関する。ドリルビットは、螺旋状のシャンクを有しておらず又は螺旋状のシャンクを必要としない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
岩石をチゼル加工するためのドリルビットは、挿入端部における衝撃面と、内部に搬送通路が設けられている中空シャンクと、ドリルヘッドとを有している。ドリルヘッドは、前端部に、3つ以上の刃面と1つ以上の吸入開口とを有している。ドリルヘッド内に配置された吸入通路は、吸入開口を搬送通路に接続している。吸入開口は、非円形の横断面を有する。非円形の吸入開口は、同一の断面積を有しながら、円形の吸入開口よりも先端の近くに配置することができる。ドリル切削片の大部分は先端で直接発生するため、先端に近い位置に配置すると抽出性能が向上する。
【0003】
好ましい構成では、吸入開口は三角形である。これらは、大きな断面積の場合に先端に特に近い位置に配置することを可能にする。
【0004】
ある構成では、吸入開口の表面積は、吸入開口に刻まれる最大円の表面積よりも少なくとも30%大きい。
【0005】
ある構成では、吸入開口は、ドリルヘッドの前端部の10%以上を占める。好ましくは、ドリル加工性能が著しく低下することから、吸入開口はドリルヘッドの前端部の25%未満を占める。
【0006】
ある構成では、吸入開口に隣接する吸入通路の第1部分は、ドリルビット軸線に対する第1傾斜を有しており、中空シャンクに隣接する吸入開口の第2部分は、ドリルビット軸線に対する第2傾斜を有している。第2傾斜は、第1傾斜よりも大きい。
【0007】
ドリルヘッドの刃面は、好ましくは焼結された炭化タングステンから製造されている。硬質材料は、特に岩石をチゼル加工するために好適である。刃面は、すくい面及び逃げ面を有しており、すくい面及び逃げ面は、衝撃面の一部を形成し、チゼル端に沿って互いに接触している。この幾何学的形状は、岩石をチゼル加工するのに特に適している。
【0008】
以下、典型的な実施形態および図面に基づいて本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】ドリルビットのドリルヘッドの側面図を示す。
【
図5】ドリルビットのドリルヘッドの側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
同一または機能的に同一の要素は、特に明記しない限り、図面において同一の参照符号によって示される。
【0011】
図1は、典型的なドリルビット1を示す。ドリルビット1は、吸入開口3を有するドリルヘッド2と、抽出ポート5を有する中空シャンク4と、衝撃面7を有する挿入端部6とを有している。スリーブ8は、抽出ポート5を取り囲むことができる。
【0012】
ドリルビット1は、例えばコンクリート、れんが等の鉱物構造材料を破壊するように設計されている。挿入端部6は、例えばドリル機械またはハンマードリル等のポータブル電動工具に挿入することができる。ポータブル電動工具の衝撃機構は、挿入端部6における衝撃面7に周期的に衝突する。衝撃の衝撃波は、衝撃方向9にドリルヘッド2まで中空シャンク4を通過する。ドリルヘッド2は、鉱物材料を粉砕する。ドリルビット1は、好ましくは、衝突と衝突の間そのドリルビット軸線11の周りを回転方向10に回転される。その結果、ドリルビット1は、異なる向きで材料に衝突する。得られたドリル切削片は、ドリルビット1の前端部12から直接、ドリル穴を通って除去することができる。真空クリーナーがスリーブ8に取り付けられている。空気流が、ドリルビット1の前端部12に直接設けられた吸入開口3においてドリル切削片を吸い込む。ドリル切削片は、中空シャンク4内に運び出される。
【0013】
典型的なドリルヘッド2は、基部13と、基部13に埋め込まれた複数の刃面14とを有する。刃面14はドリルヘッド2の先端15を形成する。刃面14は、基部13に対して衝撃方向9に突出している。ドリルヘッド2の前端部12は、衝撃方向9に面する刃面14の前面16と、基部13の前面17とから構成されている。基部13は、円筒形の側面18を有する。好ましくは、刃面14は、側面18に対して半径方向に突出する。側面18は、刃面14の下で円周方向に閉じることができる。基部13の下面19は、中空シャンク4上に配置されている。下面19は、シャンク4に溶接又ははんだ付けされ得るか、又は類似の材料接続手段でシャンク4に結合され得る。他の実施形態では、ドリルヘッド2は、ねじ接続、バヨネット結合、又は好ましくは円錐締まり嵌め(
図6)によってシャンク4に接続され得る。
【0014】
刃面14は、焼結された炭化タングステン含有材料から製造されることが好ましい。ある構成では、刃面14を取り囲む基部13の部分20は、焼結された炭化タングステン含有材料から製造することができ、下面を形成する部分21は、焼結された鉄系材料から製造することができる(
図3)。
【0015】
刃面14はドリルビット軸線11の周りに星形に配置されている。刃面14は、一体となってまとまっており、特に、接合領域を有することなく溶接、はんだ付け、クランプ等によって一体に接合されている。刃面14は、炭化タングステン含有材料から焼結されることが好ましい。刃面14は、ドリルビット軸線11の周りに規則的に配置されるか、又は対をなして規則的に配置されることが好ましい。例えば、4つの同一の刃面14が、回転方向10に90度の間隔で配置されている。他の実施形態では、刃面は、異なるように形成することができる。例えば、ドリルヘッドは、主刃面及び副刃面を有している。典型的な実施形態は、4つの刃面14を示しており、他の実施形態では、ドリルヘッド2は、3つ、5つ、又は6つの刃面14を有することができる。
【0016】
刃面14はそれぞれチゼル端22を有し、各チゼル端22は、衝撃方向9に突出し、ドリルヘッド2の先端15に向かって半径方向に狭まっている。チゼル端22は、真っ直ぐであってもよいし湾曲していてもよい。チゼル端22は、好ましくは、同一に形成されるか、又は対で同一に形成される。図示の構成では、全てのチゼル端22は先端15まで延びており、他の構成では、主刃面のチゼル端のみが先端15まで達している。ドリルヘッド2の単一の先端15は、ドリルビット軸線11上に配置されることが好ましい。
【0017】
各刃面14の衝撃方向9に面する前面16は、すくい面23と逃げ面24とによって形成されている。すくい面23と逃げ面24は両方とも衝撃方向9に面しており、チゼル端22に沿って互いに接触している。すくい面23および逃げ面24は、半径方向に延長されている。すくい面23および逃げ面24は、外周面25に隣接する位置からドリルビット軸線11まで又はドリルビット軸線11の近傍まで延びている。すくい面23は、ドリルヘッド2の正常な回転方向10において逃げ面24を先行する。ドリルヘッド2を見ると、通常の回転方向10は反時計回りである。すくい面23及び逃げ面24はドリルビット軸線11に対して傾斜している。すくい面23は、衝撃方向9において回転方向10と反対に上昇し、これに対して、逃げ面24は、衝撃方向9において回転方向10と反対に下降する。従って、すくい面23および逃げ面24は、互いに対して傾斜している。すくい面23と逃げ面24との間の屋根角度26は、45度より大きく、例えば60度より大きく120度未満である。屋根角度26は、半径方向において一定であってもよいし、半径方向に変化していてもよい。
【0018】
ドリルビット軸線11と反対を向く刃面14の周面25は、好ましくはドリルビット軸線11に平行に配向されている。周面25は、ドリルビット軸線11から半径方向に間隔をおいて、ドリルヘッド2の直径27を形成している。周面25は、ドリル加工中、ドリル加工された壁を支える破断縁部28を形成する。破断縁部28は、ドリル加工された孔内において半径方向に突出する岩石を破断することによって、ドリル加工された孔の円柱形の構造を支持する。周面25は、好ましくは、円筒形の基部13の側面18に対して半径方向に突出している。刃面14は、側面18の上側部分を複数の円筒状区分に細分する。当該上側部分に接続された側面18の下側部分は、好ましくは円周方向に閉じている、すなわち完全に円筒形であることが好ましい。
【0019】
ドリルヘッド2の前端部12には、複数の吸入開口3が設けられている。吸入開口3は、隣接するチゼル端22の間の中央に配置することができる。吸入開口3は、好ましくは、基部13の前面17に配置されている。吸入開口3は円周方向に閉じられており、このため、吸入開口3は側面18から離間して配置されている。吸入開口3の間の半径方向の間隔は、例えばドリルヘッド2の直径の5%〜20%である。吸入開口3は、ドリルビット軸線11に沿って、チゼル端22からオフセットして配置されている。吸入開口3は、チゼル端22よりも下方に配置されており、したがって、ドリルヘッド2のチゼル機能に影響を及ぼさず、または、わずかな程度しか影響を及ぼさない。先端15に対する吸入開口3の軸線方向オフセット29は、ドリルビット1の直径27の15%よりも大きいことが好ましい。
【0020】
各吸入通路30は、前端部12における吸入開口3をドリルヘッド2の下面19に接続する。規定された流れ方向31は、吸入開口3から下面19へ、すなわち衝撃方向9と反対の方向である。吸入通路30は、その全長に沿って流れ方向に対して横方向に閉鎖されている。このため、吸入通路30は、基部13内に完全に延びている。
【0021】
吸入通路30は、流れ方向31においてドリルビット軸線11に接近する。この接近は直線的ではなく、むしろ吸入通路30は少なくとも部分的に湾曲している。吸入開口3に隣接する吸入通路30の上側部分32は、刃面14、すなわちドリルビット軸線11に実質的に平行である。吸入通路30は、刃面14に接近しないか、または流れ方向31においてわずかに刃面14に接近するだけである。上側部分32におけるドリルビット軸線11への吸入通路30の接近は、ドリルビット1の直径27の5%未満であることが好ましい。半径方向間隔を決定するための手段として、ドリルビット軸線11に垂直な横断面における重心を使用することができる。上側部分32は、刃面14の高さの少なくとも50%例えば75%、好ましくは刃面14の少なくとも全高にわたって延びている。上側部分32は、直線状又は湾曲状に形成することができる。中空シャンク4に隣接する吸入通路30の下側部分33は、刃面14に対して傾斜している。下側部分33は、シャンク4の方向においてドリルビット軸線11に次第に接近する。吸入通路30の下側部分33は、10度〜30度の傾斜で中空シャンク4内に延びることができる。吸入通路30は、ドリルビット1の直径27の5%〜30%の間でドリルビット軸線11に接近することが好ましい。典型的な下側部分33は、連続的に湾曲している。下側部分は、直線状に構成することもできる。上側部分を下側部分に接続する部分は、適切に湾曲している。吸入通路30の全ての湾曲部分は、ドリルビット1の直径27の80%より大きい曲率半径を有することが好ましい。吸入通路30は、その全長に沿って滑らかな内壁を有している。大きな曲率半径を有する穏やかな湾曲は、吸入通路30内でのドリル切削片の摩擦のない搬送に有利である。特に、より大きなドリル切削片の付着または詰まりが回避される。
【0022】
吸入開口3は、前端部12において10%〜25%の領域を占める。高い割合は、ドリル切削片が確実に運び出されるようにする点で有利である。吸入通路30は、流れ方向31に拡大する横断面を有することができる。吸入通路30は、吸入開口3において又はその近傍において最小の横断面を有する。横断面の変化は、吸入通路30が詰まる傾向を減少させる。横断面積は、少なくとも30%、好ましくは60%を超えて変化する。横断面積は、ドリルビット軸線11に垂直な平面内で決定される。この変化は、好ましくは、全体的に又は主として上側部分32の範囲内で、即ち刃面14の高さで生じる。吸入通路30における半径方向外側の壁は、ドリルビット軸線11に平行であることが好ましく、一方、吸入通路30における半径方向内側の壁は、横断面の広がりを得るためにドリルビット軸線11に接近する。
【0023】
典型的な吸入開口3は、非円形である。吸入開口3は、三角形状を有している。吸入開口3の角は尖っていても丸みを帯びていてもよい。複数の角を接続する側面は、真っ直ぐであっても湾曲していてもよい。三角形に典型的な方法では、吸入開口3に円を内接させることができ、当該円は、3つの側面の各々に正確に1つの点で接触する。さらに、三角形に典型的な方法では、内接円の中心と側面との間の距離は、角から円が接触する点に向けて減少する。吸入開口3の角はドリルヘッド2の先端15に向いている。角における内角34は、好ましくは、多かれ少なかれ、隣接する刃面14間の角度距離、例えば90度に対応する。これに関連して、多かれ少なかれ、20%未満の偏差を記述する。吸入開口3の表面積は、内接円の表面積よりもはるかに大きい。吸入開口3の表面積は、少なくとも30%大きく、例えば少なくとも100%大きい。
【0024】
中空シャンク4は、ドリルビット軸線11に沿って延びる搬送通路35を有している。搬送通路35は、シャンク4の長さに沿って一定の横断面を有する。搬送通路35の横断面積は、吸入通路30の横断面積の総和に等しいことが好ましい。搬送通路35は、例えば、シャンク4の横断面の15%〜65%の表面積を有する。搬送通路35は、ドリルビット軸線11の中央に配置することができる。搬送通路35は、ドリルヘッド2の下、特に基部13の下で終端している。搬送通路35の端部は、球形キャップの形で丸みを帯びていることが好ましい。
【0025】
ドリルヘッド2における吸入通路30は、中空シャンク4の搬送通路35に開口している。開口は、搬送通路35の一端にあるか、またはその近傍にある。開口の面は丸みを帯びている。
【0026】
ドリルヘッド2から離れた搬送通路35の端部には、抽出ポート5が配置されている。抽出ポート5は、搬送通路35への半径方向の切り口36を含む。スリーブ8は、切り口36の領域において、好ましくは気密に円筒形シャンクを取り囲んでいる。スリーブ8はシャンク4に対して回転可能である。
【0027】
ドリルビット1の典型的な挿入端部6は、回転式チゼル加工用携帯型動力工具に使用するように設計されている。挿入端部6は、実質的に円筒形状を有している。挿入端部6は、2つの閉鎖スロット37を有し、当該閉鎖スロット37において、携帯型動力工具のロック要素が、半径方向に係合することができ且つドリルビット軸線11に沿って摺動することができる。ドリルビット軸線11に沿って配向された溝38は、携帯型動力工具によってトルクが導入されることを可能にする。
【0028】
ドリルビット1は、異なる材料から製造されることが好ましい。シャンク4及び挿入端部6は、好ましくは、強靭で延性のある鋼で製造される。ドリルヘッド2の刃面14は、非常に硬く且つ耐摩耗性の焼結された炭化タングステンから製造されている。炭化タングステンは、少なくとも70体積%の含有量で存在する。金属バインダーは、好ましくは、金属:コバルトおよびニッケルのうちの1つ以上を含有する。例えば、バインダーは、完全にコバルトから構成され得る。
【0029】
ドリルヘッド2は、通常ではない方法で基本的な形態で製造することができ、その後、吸入通路30を形成するために機械加工される。続いて、所望の吸入通路30を形成することができる製造プロセスが提案される。記載された製造方法は、その原理から逸脱することなく、具体的詳細において修正することができる。
【0030】
薄い粉末層は、炭化タングステンおよび金属バインダーを含有する懸濁液を噴霧することによって製造される。接着剤は、計画された方法で粉末層上に
プリントされる。接着剤は、ドリルヘッド2を通る横断面を再現する。粉末層および接着剤の堆積は、ドリルヘッド2のブランクが複製されるのに必要な回数だけ繰り返される。特に吸入通路30内の過剰な粉末は、水によって除去することができる。水は、接着剤によって接合されていない層の間に浸透し、それらを除去する。得られたブランクは、ドリルヘッド2の形状に対応する。未焼結体(green body)は焼結することができる。
【0031】
ドリルヘッド2の製造における困難性は、ドリルヘッド2に課せられる高い機械的要求のためであり、この機械的要求では、非常に低いレベルの気孔率のみを許容する。ドリルヘッド2の必要な密度は、理論的に達成可能な値の98%よりも大きくなければならない。この目的のために、未焼結体は、焼結前における理論密度の少なくとも50%の密度を有さなければならない。焼結は典型的な収縮を伴い、これにより、当該値から始まって細孔を十分に閉じる。成形型内での未焼結体の圧縮を含む従来のプロセスは、これらの値を達成する。原則として重力のみによる層の緩い接合は、ここで新たな課題を課す。
【0032】
有望なアプローチは、炭化タングステンと酸化コバルトとの粉末混合物に基づく。酸化コバルトは、未焼結体の形成後にコバルトに変換される。液体として、懸濁液は、水またはアルコール、好ましくはイソプロピルアルコールを含有する。粉末に対する液体の比は、1に対して3〜5の間の範囲である。懸濁液は、細いノズルを通して圧力下で均一に噴霧することができる。噴霧後、層を室温より少し高温で乾燥させる。層は、20μm〜30μmの範囲の均一な厚さを有する。接着剤は、ポリエチレンイミンの水溶液をベースとする。ポリエチレンイミンは、炭化タングステンの粒子への結合に対して非常に高い親和性を有する。このようにして、良好な接着結合が達成される。溶液中のポリエチレンイミンの重量比は、1%〜5%の範囲であり得る。プレス後、接着剤を室温より少し高温で乾燥させる。最後の層が塗布された後、接着剤は、約150度の炉内で硬化される。その後、過剰の粉末を水で除去する。未焼結体中の酸化コバルトは、未焼結体を600度〜700度の水素含有雰囲気中に数時間保持することにより、コバルトに変換される。最後に、未焼結体を1250度〜1400度の温度で焼結することができる。
【0033】
鉄含有の基部13の下側部分21は、同様に、三次元成形によって製造することができる。例えば、未焼結体を
プリントし、続いて焼結することも同様に可能である。さらに、鋼体の製造のために、レーザー肉盛溶接、選択的レーザー溶融(SLM)または選択的レーザー焼結(SLS)のようなプロセスも可能である。
【0034】
ドリルヘッド39の他の実施形態は、
図5、
図6及び
図7に示されている。刃面14は、
図2の実施形態のように十字形に形成されている。刃面14は、好ましくは、炭化タングステンから焼結されている。前の実施形態と同様に、基部40は上側部分41と下側部分42とを有する。前の実施形態との相違点は、基部40が1つの材料から形成されていることである。この場合、上側部分41も鉄含有材料から形成される。上側部分41は、刃面14が挿入された十字形スロットを有する。ドリルヘッド2の前端部12は、硬い刃面14と比較的軟らかい基部40の前面43とから構成されている。刃面14は、基部40にはんだ付けまたは溶接されている。
【0035】
吸入通路30は、基部13の上側部分41に閉じた状態で延びている。吸入通路30は、ドリルヘッド2の周囲及び刃面14の両方から離間して配置されている。通路の経過およびそのさらなる特性は、先の実施形態に対応することができる。
【0036】
別の実施形態が
図8に示されている。ドリルヘッド44は、同様に、基部40と4つの刃面14とを有している。基部40および刃面14は、先の実施形態の1つと同様に形成することができる。吸入開口3は基部40に配置され、吸入通路30は、前述の実施形態と同様に基部40内に延びている。中空シャンク45は、搬送通路46とコア47とを有する。コア47は、ドリルビット軸線11上に位置する棒状の中実構造である。衝撃面7への衝撃は、コア47を介して刃面14に伝達される。搬送通路46は、例えば、コア47を環状に取り囲むことができる(
図9)。吸入通路30は、搬送通路46に開口している。コア47は、支柱48(
図10)を介してシャンク4の外側シェルに支持され得る。支柱48は、搬送通路46を複数の通路に細分することができ、例えば、各吸入通路30に搬送通路35,48を割り当てることができる。