(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
用語「抗体」は、本明細書において広義に用いられ、ポリクローナル抗体、マウス、ヒ
ト、ヒト適合化、ヒト化及びキメラモノクローナル抗体を含むモノクローナル抗体、並び
に抗体断片を含む、免疫グロブリン又は抗体分子を含む。
【0018】
一般に抗体とは、特定の抗原に対する結合特異性を示すタンパク質又はペプチド鎖であ
る。抗体の構造は、周知である。免疫グロブリンは、重鎖の定常領域のアミノ酸配列をも
とに、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMの5つの大きなクラスに分類すること
ができる。IgA及びIgGは、IgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3及
びIgG4のアイソタイプに更に分類される。あらゆる脊椎動物種の抗体の軽鎖は、定常
領域のアミノ酸配列に基づいてカッパ(κ)及びラムダ(λ)の2つの明確に異なるタイ
プのうちの1つに分類することができる。
【0019】
用語「抗体断片」は、インタクトな抗体の一部を意味する。抗体断片の例としては、F
ab、Fab’、F(ab’)
2及びFv断片、CDR,抗原結合部位、重鎖又は軽鎖可
変領域、二重特異性抗体、単鎖抗体分子、及び少なくとも2つのインタクトな抗体又はそ
の断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。
【0020】
免疫グロブリン軽鎖又は重鎖可変領域は、「抗原結合部位」が割り込んだ「フレームワ
ーク」領域からなる。抗原結合部位は、以下の様々な表現を使用して定義されている。(
i)相補性決定領域(CDR)は、配列多様性に基づいている(Wu及びKabat、J
.Exp.Med.132:211〜50,1970)。一般的に、抗原結合部位は、各
可変領域(重鎖可変領域(VH)におけるHCDR1、HCDR2、及びHCDR3、並
びに軽鎖可変領域(VL)におけるLCDR1、LCDR2、及びLCDR3)に3つの
CDRを有する(Kabat等、Sequences of Proteins of
Immunological Interest,5th Ed.Public Hea
lth Service,National Institutes of Healt
h,Bethesda,Md.,1991)。(ii)用語「超可変領域」、「HVR」
、又は「HV」は、Chothia及びLeskによって定義されている通り構造が超可
変的である抗体可変ドメインの領域を指す(Chothia and Lesk J M
ol Biol 196:901〜17,1987)。一般的に、抗原結合部位は、各V
H(H1、H2、H3)及びVL(L1、L2、L3)に3つの超可変領域を有する。C
hothia及びLeskは、構造的に保持されているHVを「カノニカル構造」と呼ん
でいる。CDR及びHVの付番体系及び注釈は、最近、Abhin及びMartinによ
り改訂された(Abhinandan及びMartin,Mol.Immunol.45
:3832〜9,2008)。(iii)免疫グロブリン由来のVドメインとT細胞受容
体との比較に基づいた、抗原結合部位を形成する領域の別の定義が、Lefranc(L
efrancら、Dev.Comp.Immunol.27:55〜77,2003)に
より提案されている。International ImMunoGeneTics(I
MGT)データベース(http:_//www_imgt_org)は、これら領域の
標準的な付番及び定義を提供している。CDR、HV及びIMGTの記述間の対応につい
ては、Lefranc等の上記に記載されている。(iv)抗原結合部位は特異性決定残
基の使用(SDRU)(Almagro,J Mol.Recognit.17:132
〜43,2004)に基づいて概説することもできる。特異性決定残基(SDR)は、抗
原との接触に直接関与する免疫グロブリンのアミノ酸残基を指す。
【0021】
「フレームワーク」又は「フレームワーク配列」は、抗原結合部位の配列であると定義
されるもの以外の、抗体の可変領域内の残りの配列である。抗原結合部位の正確な定義は
、上述したような様々な表現により決定され得るため、正確なフレームワーク配列は、抗
原結合部位の定義に依存する。
【0022】
本明細書で用いる「モノクローナル抗体」(mAb)とは、実質的に均質な抗体の集団
から得られる抗体(又は抗体断片)を意味する。モノクローナル抗体は極めて特異性が高
く、通常、単一の抗原決定基に対する。
【0023】
用語「エピトープ」は、本明細書で使用するとき、抗体が特異的に結合する抗原の部分
を意味する。エピトープは、通常、アミノ酸、リン酸化アミノ酸、又は多糖類側鎖等の部
分の化学的に活性な(例えば、極性、非極性又は疎水性の)表面分類からなり、特定の3
次元構造特性及び特定の帯電特性を有しうる。エピトープは事実上直鎖状であってもよく
、又はアミノ酸の直線状の配列ではなく、抗原の連続していないアミノ酸間の空間的な関
係によって形成される不連続エピトープ(例えば、立体構造エピトープ)であってもよい
。立体構造エピトープには、抗原の直線状配列の異なる部分のアミノ酸同士が3次元空間
で近接するような抗原の折り畳みによって生じるエピトープが含まれる。
【0024】
tauは、多数の周知のアイソフォームを有する豊富な中枢及び末梢神経系タンパク質
である。ヒトのCNSでは、オルタナティブスプライシングによって352〜441のサ
イズの6種の主なtauアイソフォームが存在する(Hanger等、Trends M
ol Med 15:112〜9,2009)。これらアイソフォームは、0〜2個のN
末端挿入及び3又は4個のタンデムに配置された微小管結合反復配列が制御されて含まれ
ることにより互いに異なっており、0N3R(配列番号1)、1N3R(配列番号2)、
2N3R(配列番号3)、0N4R(配列番号4)、1N4R(配列番号5)、及び2N
4R(配列番号6)と呼ばれる。用語「コントロールtau」とは、本明細書で使用され
るとき、リン酸化及び他の翻訳後修飾を受けていない配列番号6のtauアイソフォーム
を指す。
【0025】
tauは、微小管に結合し、tauのリン酸化によって調節され得るプロセスである、
細胞を通じたカーゴの輸送を制御する。AD及び関連する疾患においては、tauの異常
リン酸化が広く生じ、これは、tauの対らせん状細線維(PHF)と呼ばれる原線維へ
の凝集の前に生じるか又は前記凝集を誘発すると考えられる。PHFの主な成分は、高リ
ン酸化tauである。用語「対らせん状細線維−tau」又は「PHF−tau」は、本
明細書で使用されるとき、対らせん状細線維における周知のtau凝集体を指す。PHF
構造における2つの主な領域であるファジーコート及びコアフィラメントは、電子顕微鏡
で明らかであり、ファジーコートは、タンパク質分解に対して感受性であり、かつフィラ
メントの外側に位置し、フィラメントのプロテアーゼ耐性コアは、PHFの骨格を形成す
る(Wischik等、Proc Natl Acad Sci U S A 85:4
884〜8,1988)。
【0026】
本明細書で使用するとき、「PHF−tauに結合する抗体」は、ウエスタンブロット
で評価したときにPHF−tauに結合する抗体を指す。典型的に、PHF−tauに結
合する抗体は、5%(w/v)脱脂粉乳(NFDM)TBS−T、0.05% Twee
n−20で1時間ブロッキングした後、約500ngのPHF−tauをクマシー染色し
た後に評価することができる。PHF−tauに結合する抗体は、コントロールtau及
びPHF−tauの両方がPHF−tauエピトープに対する選択性を有しないtau抗
体(例えば、抗体HT7(ThermoScientific,Rockford,IL
))によって等しく検出される抗原ローディング条件下で試験したときにウエスタンブロ
ットによって測定すると、場合によっては、コントロールtau(配列番号6)に結合し
ない。(Mercken等、J Neurochem 58:548〜53,1992)
。このような例示的な抗原ローディング条件は、500ngのPHF−tau及び200
ngのコントロールtauである。
【0027】
本明細書では、従来周知のアミノ酸の1文字表記及び3文字表記を用いる。
【0028】
物質の組成
本発明は、抗PHF−tau抗体及びこのような抗体の使用に関する。このような抗P
HF−tau抗体は、PHF−tauのリン酸化エピトープに結合する特性を有していて
もよく、PHF−tauの非リン酸化エピトープに結合する特性を有していてもよい。抗
PHF−tau抗体は、治療法として、或いは生物学的サンプル、例えば、組織又は細胞
においてPHF−tauを検出するための研究又は診断試薬として有用であり得る。
【0029】
本発明の1つの実施形態は、配列番号35若しくは37の重鎖可変領域(VH)の抗原
結合部位、又は配列番号36若しくは38の軽鎖可変領域(VL)の抗原結合部位を含む
PHF−tauに結合する単離抗体である。表1は、例示的な重鎖及び軽鎖可変領域に加
えてKabat又はChothiaに従って定義した本発明の例示的な抗体の抗原結合部
位残基を示す。
【0030】
別の実施形態では、本発明の抗体のVHの抗原結合部位は、それぞれ配列番号7、8、
及び9又は13、14、及び15の重鎖相補性決定領域(CDR)1(HCDR1)、2
(HCDR2)及び3(HCDR3)を含む、或いは本発明の抗体のVLの抗原結合部
位は、それぞれ配列番号10、11、及び12又は16、17、及び18の軽鎖CDR1
(LCDR1)、2(LCDR2)及び3(LCDR3)を含む。
【0031】
本発明の別の実施形態は、配列番号35又は37の重鎖可変領域(VH)の抗原結合部
位、及び配列番号36又は38の軽鎖可変領域(VL)の抗原結合部位を含むPHF−t
auに結合する単離抗体である。
【0032】
別の実施形態では、本発明の抗体のVHの抗原結合部位は、それぞれ配列番号7、8、
及び9又は13、14、及び15の重鎖相補性決定領域(CDR)1(HCDR1)、2
(HCDR2)及び3(HCDR3)を含む、或いは本発明の抗体のVLの抗原結合部位
は、それぞれ配列番号10、11、及び12又は16、17、及び18の軽鎖CDR1
(LCDR1)、2(LCDR2)及び3(LCDR3)を含む。
【0034】
実施例で説明する実施形態は、1つは重鎖に由来し、1つは軽鎖に由来する1対の可変
領域を有しているが、当業者であれば代替的な実施形態は、重鎖又は軽鎖の可変領域を単
独で有してもよいということを認識するであろう。1つの可変領域を用いて、例えばPH
F−tauに結合することが可能な2ドメイン特異的抗原結合断片を形成することが可能
な可変ドメインについてスクリーニングすることができる。スクリーニングは、例えば、
国際特許公開第92/01047号に開示される階層的二重コンビナトリアルアプローチ
を用いたファージディスプレイスクリーニング法によって実現することが可能である。こ
のアプローチでは、H鎖又はL鎖のいずれかのクローンを含む個別のコロニーを用いて他
方の鎖(L又はH)をコードするクローンの完全なライブラリを感染させ、得られた二本
鎖特異的抗原結合ドメインを上述のようなファージディスプレイ法に従って選択する。
【0035】
本発明の別の態様は、配列番号35の重鎖可変領域(VH)の抗原結合部位と配列番号
36の軽鎖可変領域(VL)の抗原結合部位とを含むPHF−tauに結合する単離抗体
である。
【0036】
本発明の別の態様は、配列番号37の重鎖可変領域(VH)の抗原結合部位と配列番号
38の軽鎖可変領域(VL)の抗原結合部位とを含むPHF−tauに結合する単離抗体
である。
【0037】
本発明の別の実施形態は、それぞれ配列番号7、8、及び9の重鎖相補性決定領域(C
DR)1(HCDR1)、2(HCDR2)及び3(HCDR3)と、それぞれ配列番号
10、11、及び12の軽鎖CDR1(LCDR1)、2(LCDR2)及び3(LCD
R3)とを含むPHF−tauに結合する単離抗体である。
【0038】
本発明の別の実施形態は、それぞれ配列番号13、14、及び15の重鎖相補性決定領
域(CDR)1(HCDR1)、2(HCDR2)及び3(HCDR3)と、それぞれ配
列番号16、17、及び18の軽鎖CDR1(LCDR1)、2(LCDR2)及び3
(LCDR3)とを含むPHF−tauに結合する単離抗体である。
【0039】
前述の実施形態のいずれかでは、PHF−tauに結合する単離抗体をヒト化してもよ
い。
【0040】
本発明の抗体は、多様な方法により、例えば、ハイブリドーマ法等の様々な技術によっ
て作製することができる(Kohler and Milstein Nature 2
56:495〜7,1975)。アクセプター抗体(通常、別の哺乳動物種、例えば、ヒ
ト)に由来する軽鎖及び重鎖定常領域と関連してドナー抗体(通常、マウス)に由来する
軽鎖及び重鎖可変領域を含有するキメラmAbは、米国特許第4,816,567号に開
示されている方法によって調製することができる。非ヒトドナー免疫グロブリン(通常、
マウス)に由来するCDRと1以上のヒト免疫グロブリンに由来する分子の残りの免疫グ
ロブリン由来部分とを有するCDRグラフトmAbは、米国特許第5,225,539号
に開示されているような当業者に公知の技術によって調製することができる。任意の非ヒ
ト配列も有さない完全なヒトmAbは、(Lonberg等、Nature 368:8
56〜9,1994,Fishwild等、Nat Biotechnol 14:84
5〜51,1996,Mendez等、Nat Genet 15:146〜56,19
97)に参照される技術によってヒト免疫グロブリントランスジェニックマウスから調製
することができる。また、ヒトmAbは、ファージディスプレイライブラリから調製及び
最適化することもできる(Knappik等、J Mol Biol 296:57〜8
6,2000,Krebs等、J Immunol Methods 254:67〜8
4,2001,Shi等、J Mol Biol 397:385〜96,2010)。
【0041】
抗体のヒト化は、周知の方法を用いて行うことができ、例えば、特異性決定残基リサー
フェシング(SDRR)(米国特許出願公開第2010/0261620号)、リサーフ
ェシング(Padlan等、Mol.Immunol.28:489〜98,1991)
、超ヒト化(国際公開第04/006955号)、及びヒト繊維含量最適化(米国特許第
7,657,380号)である。グラフト化/ヒト化に有用なヒトフレームワーク配列は
、当業者であれば関連するデータベースから選択することができる。選択されたフレーム
ワークは、Queen等(Queen等、Proc Natl Acad Sci U
S A 86:10029〜33,1989)又は米国特許出願公開第2011/009
2372号に開示されている技術等の技術によって結合親和性を保存又は増強するために
更に修飾してもよい。
【0042】
免疫用抗原又は単離抗体として用いるためのPHF−tauのファージディスプレイラ
イブラリからの調製は、任意の好適な技術を用いて行うことができる。例示的な方法では
、PHF−tauは、Greenberg及びDavies(Greenberg an
d Davies Proc Natl Acad Sci U S A 87:582
7〜31,1990)に記載のような周知のプロトコールを用いてAD患者の脳から単離
される。PHF−tauは、アルツハイマー患者の死後皮質から単離してもよい。単離P
HF−tauは、その純度及びPHF−tauと反応することが知られている抗体による
過剰リン酸化状態を特徴とする。典型的なPHF−tau調製では、ウエスタンブロット
における約60、64、68、及び72kDaで移動する過剰リン酸化バンド(Spil
lantini and Goedert Trends Neurosci 21:4
28〜33,1998)は、過剰リン酸化PHF−tauに特異的に結合するが、脱リン
酸化PHF−tauには結合しないAT8抗体によって検出される。
【0043】
本発明の抗体は、配列番号6のコントロールtauには結合しないという特徴を有し得
る。このような抗体は、上記方法を用い、ウエスタンブロットにおいてコントロールta
uに結合しないかことについて抗体を試験し、次いで、上記の通りクマシー染色すること
により作製してもよい。コントロールtauは、組換え的に発現させ、標準的な方法を用
いて精製してもよい。PHF−tauに結合するが、コントロールtauには結合しない
例示的な抗体は、抗体PT1及びPT3である。本発明の抗体は、コントロール及びAD
脳切片において、例えば、免疫組織化学を用いて、その特異性について更に評価してもよ
い。
【0044】
本発明の抗体は、解離定数(K
D)が約10
-7、10
-8、10
-9、10
-10、10
-11、
又は10
-12M以下であるPHF−tauに対する親和性を有し得る。PHF−tauに
対する所与の分子の親和性は、任意の好適な方法を用いて実験的に決定することができる
。このような方法は、当業者に既知のBiacore、ProteOn又はKinExA
装置、ELISA又は競合的結合アッセイを利用してもよい。
【0045】
本発明の別の態様は、配列番号35の重鎖可変領域(VH)の抗原結合部位及び配列番
号36の軽鎖可変領域(VL)の抗原結合部位、又は配列番号37の重鎖可変領域(VH
)の抗原結合部位及び配列番号38の軽鎖可変領域(VL)の抗原結合部位を含むモノク
ローナル抗体とPHF−tau結合について競合する単離抗体又は断片である。
【0046】
PHF−tauに対する結合間の競合は公知の方法によってインビトロでアッセイする
ことができる。例えば、未標識抗体の存在下におけるMSD Sulfo−タグ(商標)
NHS−エステル標識抗体のPHF−tauに対する結合は、イムノアッセイ、次いで、
電気化学発光検出を用いて評価することができる。
【0047】
競合的結合に加えて、幾つかの周知の方法を用いて、本発明の抗体の結合エピトープを
決定することができる。例えば、両方の個別の構成成分の構造が知られている場合、イン
シリコでタンパク質−タンパク質のドッキングを行って、適合する相互作用部位を特定す
ることができる。抗原抗体複合体において水素−重水素(H/D)交換を行うことによっ
て抗体が結合しうる抗原の領域をマッピングすることができる。抗原のセグメント及び点
突然変異誘発を用いることにより、抗体の結合に重要なアミノ酸の位置を特定することが
できる。抗体−抗原複合体の共結晶構造を使用して、エピトープ及びパラトープに寄与す
る残基を特定することができる。
【0048】
本発明の抗体は、IgG、IgD、IgA、又はIgMアイソタイプのモノクローナル
抗体であってもよい。本発明の抗体は、二重特異的又は多重特異的であってもよい。例示
的な二重特異性抗体は、PHF−tauの2つの異なるエピトープに結合することができ
るか、又はPHF−tau及びアミロイドベータ(Aβ)に結合することができる。別の
例示的な二重特異性抗体は、PHF−tauと、インスリン受容体、トランスフェリン受
容体、インスリン様成長因子−1受容体、及びリポタンパク質受容体等の内因性血液脳関
門トランスサイトーシス受容体とに結合することができる。例示的な抗体は、IgG1タ
イプである。
【0049】
本発明の抗体の免疫エフェクター特性は、当業者には周知の技術により、Fc修飾によ
って強化又はサイレンシングさせることも可能である。例えば、C1q結合、補体依存性
細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、食作用、細胞表面受
容体(例えば、B細胞受容体;BCR)のダウンレギュレーション等のFcエフェクター
機能は、これら活性に関与するFcの残基を修飾することによって提供及び/又は制御す
ることができる。また、薬物動態特性は、抗体の半減期を延長するFcドメインの残基を
突然変異させることによって強化することができる(Strohl Curr Opin
Biotechnol 20:685〜91,2009)。
【0050】
更に、本発明の抗体は、グリコシル化、異性化、又は脱グリコシル化等の反応によって
、或いはポリエチレングリコール部分の付加(ペグ化)及び脂質化等の自然界では生じな
い共有結合修飾等の反応によって翻訳後修飾してもよい。このような修飾は、インビボ又
はインビトロで行われてもよい。例えば、本発明の抗体はポリエチレングリコールと複合
体化(PEG化)することによって薬物動態特性を向上させることができる。複合体化は
、当業者に既知の方法によって行うことができる。治療用抗体とPEGとの複合体化は、
機能に干渉することなく薬効を強化することが示されている(Knight等、Plat
elets 15:409〜18,2004,Leong等、Cytokine 16:
106〜19,2001,Yang等、Protein Eng 16:761〜70,
2003)。
【0051】
本発明の別の実施形態は、本発明の抗体をコードする単離ポリヌクレオチド、又はその
補体、又はその断片である。例示的な単離ポリヌクレオチドは、それぞれ、配列番号7、
8、及び9又は13、14、及び15に示す免疫グロブリン重鎖CDRであるHCDR1
、HCDR2及びHCDR3を含むポリペプチド、或いはそれぞれ配列番号10、11、
及び12又は16、17、及び18に示す免疫グロブリン軽鎖CDRであるLCDR1、
LCDR2及びLCDR3を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、並びに本
発明の抗体可変領域をコードする配列番号31〜34に示す配列を有するポリヌクレオチ
ドである。遺伝コードの縮重又は所与の発現系におけるコドンの選好性を考慮すると、本
発明の抗体をコードする他のポリヌクレオチドも本発明の範囲内に含まれる。本発明の単
離核酸は、周知の組換え又は合成技術を用いて作製することができる。モノクローナル抗
体をコードするDNAは、当該技術分野において公知の方法を用いて容易に単離され、配
列決定される。ハイブリドーマを作製する場合、かかる細胞は、かかるDNA源として機
能し得る。或いは、例えばファージ又はリボソームディスプレイライブラリ等のコード配
列及び翻訳産物が連結しているディスプレイ技術を用いると、結合剤及び核酸の選択が簡
略化される。ファージ選択後、ファージに由来する領域をコードする抗体を単離し、ヒト
抗体又は任意の他の所望の抗原結合断片を含む抗体全体を作製するために用い、哺乳類細
胞、昆虫細胞、酵母、及び細菌を含む任意の所望の宿主内で発現させることができる。
【0052】
本発明の別の実施形態は、本発明のポリヌクレオチドを少なくとも1つ含むベクターで
ある。かかるベクターは、プラスミドベクター、ウイルスベクター、トランスポゾンに基
づいたベクター、又は任意の手段によって特定の生物又は遺伝子的バックグラウンドに本
発明のポリヌクレオチドを導入するのに適した他の任意のベクターであってもよい。
【0053】
本発明の別の実施形態は、本発明のポリヌクレオチドのいずれかを含む宿主細胞である
。このような宿主細胞は、真核細胞、細菌細胞、植物細胞又は古細菌細胞であってもよい
。真核細胞の例としては、哺乳動物、昆虫、鳥類又は他の動物由来のものが挙げられる。
哺乳動物真核細胞としては、SP2/0(American Type Culture
Collection(ATCC),Manassas,VA,CRL−1581)、
NS0(ECACC(European Collection of Cell Cu
ltures)、Salisbury,Wiltshire,UK,ECACCNo.8
5110503)、FO(ATCC CRL−1646)及びAg653(ATCC C
RL−1580)マウス細胞株等のハイブリドーマ又は骨髄腫細胞株等の不死化細胞株が
挙げられる。ヒト骨髄腫細胞株の一例としては、U266(ATTC CRL−TIB−
196)が挙げられる。他の有用な細胞株としては、CHO−K1SV(Lonza B
iologics)、CHO−K1(ATCC CRL−61、Invtrogen)の
ようなチャイニーズハムスターに由来する卵巣(CHO)細胞又はDG44が挙げられる
。
【0054】
本発明の別の実施形態は、本発明の宿主細胞を培養し、前記宿主細胞によって産生され
た抗体を回収することを含む、PHF−tauと結合する抗体の製造方法である。抗体を
製造して精製する方法は、当該技術分野で周知である。
【0055】
治療方法
本発明の抗体の抗原結合部位を含むFab、(Fab’)2、scFv断片、又は抗体
を含む本発明の抗PHF−tau抗体又はその断片を用いて、AD又は任意の他のタウオ
パシーに罹患している患者等、脳内にtauの病理学的凝集体を含む神経変性疾患を有す
る患者における症状を治療、低減、又は予防することができる。任意の特定の理論に束縛
されるものではないが、本発明の抗体は、病理学的tau凝集体を低減し、ひいては脳に
おけるPHF−tauの量を低減することによって有益な効果を発揮し得る。本発明の抗
体を用いて任意の分類に属する動物患者を治療することができる。かかる動物の例として
は、ヒト、齧歯類、イヌ、ネコ、及び家畜等の哺乳動物が挙げられる。例えば、本発明の
抗体は、ADの治療のための薬剤の調製においても有用であり、前記薬剤は、本明細書に
定められる投薬量で投与するために調製される。
【0056】
本発明の別の実施形態は、tauの凝集体を低減するのに十分な時間、治療的に有効な
量の本発明の単離抗体を患者に投与することを含む、それを必要としている患者における
tauの凝集体低減する方法である。
【0057】
本発明の別の実施形態は、神経変性疾患の症状を治療又は低減するのに十分な時間、治
療的に有効な量の本発明の単離抗体を患者に投与することを含む、患者におけるtauの
凝集体を伴う神経変性疾患の症状を治療又は低減する方法である。
【0058】
上記実施形態のいずれかでは、tauの凝集体を伴う神経変性疾患は、タウオパシーで
ある。
【0059】
上記実施形態のいずれかでは、単離抗体は、配列番号35のVHの抗原結合部位と配列
番号36のVLの抗原結合部位とを含むPHF−tauに結合する抗体を含む。
【0060】
上記実施形態のいずれかでは、単離抗体は、配列番号37のVHの抗原結合部位と配列
番号38のVLの抗原結合部位とを含むPHF−tauに結合する抗体を含む。
【0061】
本明細書で使用するとき、「タウオパシー」は、脳内のtauの病理学的凝集体を伴う
任意の神経変性疾患を包含する。家族性及び特発性ADに加えて、他の例示的なタウオパ
シーは、17番染色体に連鎖しているパーキンソン症候群を伴う前頭側頭型認知症(FT
DP−17)、進行性核上性麻痺、皮質基底核変性、ピック病、進行性皮質下グリオーシ
ス、神経原線維型痴呆症、石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病、嗜銀性グレイン認知
症、筋萎縮性側索硬化症パーキンソン認知症症候群、ダウン症候群、ゲルストマン・スト
ロイスラー・シャインカー病、ハラーホルデン・スパッツ病、封入体筋炎、クロイツフェ
ルト・ヤコブ病、多系統萎縮症、ニーマン・ピック病C型、プリオンタンパク質脳アミロ
イド血管症、亜急性硬化性全脳炎、筋緊張性ジストロフィ、神経原線維変化を伴う非グア
ナミン運動ニューロン疾患、脳炎後パーキンソニズム、及び慢性外傷性脳症、例えば、ボ
クサー痴呆(ボクシング病)である(Morris等、Neuron 70:410〜2
6,2011)。
【0062】
タウオパシーに関連する行動的表現型としては、認知障害、初期人格変化及び脱抑制、
感情鈍麻、無為症、無言症、失行症、反復症、常同運動/挙動、口愛過度、無秩序、連続
タスクを予定又は計画する能力の欠如、利己的行動/無神経、反社会的特徴、共感の欠如
、一貫性の欠如、錯誤的誤りは頻繁にあるが比較的理解力は保たれている失文症的な話し
方、理解障害、及び換語欠陥、緩徐進行性歩行不安定性、後方突進、すくみ、頻繁な転倒
、非レボドパ反応性軸剛性、核上性注視麻痺、方形波痙攣、緩徐な垂直断続性運動、仮性
球麻痺、四肢失行症、筋緊張異常、皮質性感覚消失、及び振戦が挙げられる。
【0063】
治療の影響を受けやすい患者としては、現在症状を示している患者に加えて、AD又は
他のタウオパシーのリスクを有する無症候性個体が挙げられる。治療の影響を受けやすい
患者としては、ADの家族歴又はゲノムにおける遺伝的リスク因子の存在等、ADの公知
の遺伝的リスクを有する個体が挙げられる。例示的なリスク因子は、特に、位置717、
並びに位置670及び671におけるアミロイド前駆体タンパク質(APP)の突然変異
(それぞれ、Hardy及びSwedish突然変異)である。他のリスク因子は、プレ
セニリン遺伝子、PS1及びPS2、並びにApoE4における突然変異、高コレステロ
ール血症又は粥状硬化症の家族歴である。現在ADに罹患している個体は、上記リスク因
子の存在によって特徴的な認知症から認識することができる。更に、ADを有する個体を
同定するために利用可能な多数の診断試験が存在する。これらとしては、脳脊髄液のta
uレベル及びAβ42レベルの測定が挙げられる。tauレベルの上昇及びAβ42レベ
ルの低下は、ADの存在を表す。また、ADに罹患している個体は、アルツハイマー病関
連障害協会の基準によって診断することもできる。
【0064】
投与/医薬組成物
本発明の抗PHF−tau抗体は、AD又は他のタウオパシー等、tauの病理学的凝
集を伴う神経変性疾患を治療又は予防するための治療剤及び予防剤の両方に好適である。
無症候性患者では、治療は何歳から開始してもよい(例えば、約10、15、20、25
、30歳)。しかし、通常、患者が約40、50、60、又は70歳に達するまで治療を
始める必要はない。治療は、典型的に、ある期間にわたる複数回投与を含む。治療は、経
時的に治療剤に対する抗体、又は活性化T細胞若しくはB細胞を評価することによってモ
ニタリングしてもよい。反応が低下した場合、追加投与が指示される。
【0065】
予防用途では、医薬組成物又は薬剤は、疾患の生化学的、組織学的、及び/又は挙動的
症状、その合併症、並びに疾患の発現中に提示される中間病理学的表現型を含む、疾患の
リスクをなくす又は低減する、重篤度を低下させる、又は疾患の発症を遅らせるのに十分
な量で、ADに罹患しやすいか又は他の点でADのリスクを有する患者に投与される。治
療用途では、組成物又は薬剤は、疾患の症状(生化学的、組織学的、及び/又は挙動的)
のいずれかを低減、阻止、又は遅延させるのに十分な量で、かかる疾患が疑われるか又は
既に罹患している患者に投与される。治療薬の投与により、特徴的なアルツハイマー病状
を未だ発現していない患者における軽度の認知障害を低減又はなくすことができる。治療
又は予防的処置を達成するのに適切な量は、治療的に又は予防的に有効な用量として定義
される。予防的及び治療的レジメンにおいて、組成物又は薬剤は、通常、十分な免疫反応
が得られるまで何回か投与される。
【0066】
本発明の抗PHF−tau抗体又はその断片は、関連する神経変性疾患の治療に有効な
他の剤と併用投与してもよい。ADの場合、本発明の抗体は、アミロイドベータ(Aβ)
の沈着を低減又は予防する剤と併用投与してもよい。PHF−tau及びAβ病理は相乗
的である可能性がある。したがって、同時にPHF−tauとAβ及びAβ関連病理のク
リアランスを標的とする併用療法は、それぞれを個々に標的とするよりも有効である場合
がある。
【0067】
パーキンソン病及び関連する神経変性疾患の場合、α−シヌクレインタンパク質の凝集
形態をクリアランスするための免疫修飾も新たに開発された治療法である。tau及びα
−シヌクレインタンパク質のクリアランスを標的とする併用療法は、同時に、いずれかの
タンパク質を個々に標的とするよりも有効であり得る。
【0068】
本発明の方法では、タウオパシーの治療又は症状の改善における抗体の「治療的に有効
な量」は、標準的な研究技術によって決定することができる。例えば、抗体の用量は、当
該技術分野において周知の関連する動物モデルに剤を投与することによって決定すること
ができる。
【0069】
更に、場合により、インビトロアッセイを用いて最適な用量範囲を特定することができ
る。特定の有効用量の選択は、当業者であれば幾つかの要因の考慮に基づいて(例えば、
臨床試験によって)決定することができる。こうした要因には、治療又は予防しようとす
る疾患、関与する症状、患者の体重、患者の免疫状態、及び当業者には周知の他の要因が
含まれる。製剤に使用される正確な用量は、投与経路、及び疾患の重篤度にも依存し、医
師の判断及び各患者の状況に基づいて決定されなければならない。有効用量は、インビト
ロ又は動物モデル試験系から導出される用量反応曲線から外挿することができる。
【0070】
本発明の抗体を治療的に使用するための投与方法は、薬剤を受容者に送達する任意の好
適な経路であってもよい。これら抗体の医薬組成物は、例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、
静脈内、皮下、鼻内、又は頭蓋内等非経口投与に有用であるか、脳又は脊髄の脳脊髄液に
投与してもよい。
【0071】
本発明の抗体は、薬学的に許容できる担体内の活性成分として、有効な量の抗体を含有
する医薬組成物として調製することができる。「担体」という用語は、抗体と一緒に投与
される希釈剤、補助剤、賦形剤、又は溶媒を指す。こうした医薬用賦形剤は、落花生油、
大豆油、鉱物油、ゴマ油等の、石油、動物、植物又は合成物由来の水及び油等の液体であ
ってもよい。例えば、0.4%生理食塩水及び0.3%グリシンを使用することができる
。これらの溶液は滅菌液であり、一般的に、粒子状物質を含まない。これらは、従来の公
知の滅菌技術(例えば、濾過)によって滅菌することができる。この組成物は、pH調整
剤及び緩衝剤、安定剤、増粘剤、潤滑剤、及び着色剤等の生理学的条件に近づけるために
必要とされる薬学的に許容できる助剤を含有してもよい。かかる医薬製剤中の本発明の抗
体の濃度は、約0.5重量%未満、通常は約1重量%又は少なくとも約1重量%か、最大
で15又は20重量%までと広く変動してもよく、選択される特定の投与方法に従って、
主として必要とされる用量、流体の体積、粘度等に基づいて選択される。
【0072】
治療は、単回投与スケジュール、又は複数回投与スケジュールで行ってもよく、複数回
投与計画では、一次処置過程が1〜10回の別個の投与と、応答を維持し及び又は強化す
るのに必要な後続の時間間隔で他の投与とを行い、例えば第2の投与が1〜4ヶ月後、ま
た必要であれば、次の投与を数ヶ月後に行う。好適な治療スケジュールの例としては、(
i)0、1ヶ月及び6ヶ月、(ii)0、7日、及び1ヶ月、(iii)0及び1ヶ月、
(iv)0及び6ヶ月、又は疾患症状を低減する、又は疾患の重篤度を低下させると予測
される所望の反応を誘発するのに十分な他のスケジュールが挙げられる。
【0073】
このように、筋肉内注射用の本発明の医薬組成物は、1mLの無菌緩衝水、及び約1n
g〜約100mg、例えば、約50ng〜約30mg、又は約5mg〜約25mgの本発
明の抗体を含むように調製してもよい。同様に、静脈内注射用の本発明の医薬組成物は、
約250mLの滅菌リンゲル溶液、及び約1mg〜約30mg、又は5mg〜約25mg
の本発明の抗体を含むように調製してもよい。非経口投与可能な組成物を調製する実際の
方法は周知であり、例えば、「Remington’s Pharmaceutical
Science」,15th ed.,Mack Publishing Compa
ny,Easton,PAに、より詳細に記載されている。
【0074】
本発明の抗体は、保存のために凍結乾燥させ、使用前に好適な担体中で再構成させるこ
とができる。この技術は、抗体及び他のタンパク質調製物に有効であることが示されてお
り、当該技術分野において公知の凍結乾燥及び再構成技術を用いることができる。
【0075】
診断方法及びキット
本発明の抗体は、被験体におけるAD又は他のタウオパシーを診断する方法で使用する
ことができる。この方法は、本発明の抗体又はその断片等の診断試薬を用いてPHF−t
auの存在を被験体において検出することを含む。
【0076】
PHF−tauは、生物学的サンプルと診断抗体試薬とを接触させ、被験体由来のサン
プルにおける診断抗体試薬のPHF−tauに対する結合を検出することによって、被験
体由来の生物学的サンプル(例えば、血液、尿、脳脊髄液)において検出することができ
る。検出を実施するためのアッセイとしては、ELISA、免疫組織化学、ウエスタンブ
ロット、又はインビボイメージング等の周知の方法が挙げられる。例示的な診断抗体は、
本発明の抗体PT1及びPT3であり、また、IgG1、κ型である。
【0077】
診断抗体又は類似の試薬は、上に例示した通り剤を受容者に送達する任意の好適な経路
によって患者の身体又は脳に直接静脈内注射することによって投与してもよい。抗体の用
量は、治療方法と同じ範囲内でなければならない。典型的に、抗体は標識されるが、同じ
方法において、PHF−tauに対して親和性を有する一次抗体は未標識であり、二次標
識剤は、一次抗体に結合させるために用いられる。標識の選択は、検出手段に依存する。
例えば、蛍光標識は、光学検出に好適である。常磁性標識の使用は、外科的介入のないト
モグラフィー検出に好適である。また、放射標識は、PET又はSPECTを用いて検出
され得る。
【0078】
診断は、被験体由来のサンプル又は被験体における標識PHF−tau、tau凝集体
、及び/又は神経原線維変化の数、大きさ、及び/又は強度を対応するベースライン値と
比較することによって行われる。ベースライン値は、非罹患個体の集団における平均レベ
ルを表し得る。また、ベースライン値は、同じ被験体において決定された以前の値を表す
。
【0079】
また、上記診断方法は、治療前、治療中、又は治療後の被験体におけるPHF−tau
の存在を検出することによって治療に対する被験体の応答をモニタリングするために用い
ることもできる。ベースラインに対する値の減少は、治療に対する陽性応答を示す。また
、値は、病理学的tauが脳からクリアランスされたとき生物学的流体において一時的に
増加する場合がある。
【0080】
本発明は、更に、上記診断及びモニタリング方法を実施するためのキットに関する。典
型的に、このようなキットは、本発明の抗体等の診断試薬と任意追加的に検出可能な標識
とを含有する。診断抗体自体は、直接検出可能であるか又は二次反応(例えば、ストレプ
トアビジンとの反応)を介して検出可能である検出可能な標識(例えば、蛍光標識、ビオ
チン等)を含有してもよい。或いは、検出可能な標識を含有する第2の試薬を利用しても
よく、この場合、第2の試薬は、一次抗体に対する結合特異性を有する。生物学的サンプ
ルにおけるPHF−tauを測定するのに好適な診断キットでは、キットの抗体は、マイ
クロタイターディッシュのウェル等の固相に予め結合して供給され得る。
【0081】
本出願全体を通して引用された全ての参照文献(文献、発行済み特許、公開された特許
出願、及び同時係属中の特許出願を含む)の内容は、参照することにより本明細書に全文
が明示的に援用される。
【実施例】
【0082】
(実施例1)
対らせん状細線維−tau(PHF−tau)の精製
Greenberg及びDavies(Greenberg and Davies
Proc Natl Acad Sci U S A 87:5827〜31,1990
)変法によってPHF−tauを部分的に精製した。簡潔に述べると、組織学的に確認さ
れたアルツハイマー患者から得られた皮質の死後組織を部分的に精製した。典型的に、1
000rpmのガラス/テフロンポッター組織ホモジナイザー(IKA Works,I
nc;Staufen,Germany)を用いて前頭皮質5mgを10体積の冷バッフ
ァBuffer H(10mM Tris、800mM NaCl、1mM EGTA、
及び10%スクロース/pH 7.4)中でホモジナイズした。ホモジナイズされた材料
をSorvallローターSS34内で20分間264.8N(27000g)で遠心分
離した。ペレットを廃棄し、上清を1%(w/v)N−ラウロイルサルコシン及び1%(
v/v)2−メルカプトエタノールの最終濃度に調整し、37℃で2時間インキュベート
した。次いで、上清を、Beckman 60Tiローター内で20℃にて35分間10
59.1N(108000g)で遠心分離した。ペレットを慎重にPBSで洗浄し、PB
Sに懸濁させた。上記の通り上清を2回目の遠心分離にかけ、最後のペレットを溶解させ
、分注し、−80℃で冷凍した。PHF−tau調製物の量を、12% SDS−PAG
Eと、抗tau抗体AT8及びHT7(ThermoScientific,Rockf
ord,IL)を用いたウエスタンブロットとで評価した。AT8は、S202/T20
5においてリン酸化されたPHF−tauを検出するが、非リン酸化PHF−tau及び
野性型tauには結合しない。HT7は、(配列番号6の)Tauアミノ酸159〜16
3における非リン酸化エピトープに結合し、tau及びPHF−tauを認識する。優れ
た品質のPHF−tau調製物は、AT8等の過剰リン酸化PHF−tauと反応する抗
体で検出された、ウエスタンブロット上の約60、64、66、及び72kDaの分子量
を有する4本のバンドからなる。同等の量及び純度を有する2つの別々のPHF−tau
調製物を同じ脳サンプルから作製した。調製物1を免疫に用いた。
【0083】
(実施例2)
PHF−tauに対するモノクローナル抗体の作製
正常Balb/cマウスにおいて標準的なハイブリドーマ技術を用いて抗PHF−ta
u抗体を作製した(Kohler and Milstein Nature 256:
495〜7,1975)。得られたハイブリドーマを96ウェルプレートに播種し、10
日後に、下記の通り25ng/ウェルでコーティングされたPHF−tauにおいて直接
ELISAでスクリーニングした。陽性細胞を、大腸菌BL21細胞で発現させ、熱処理
及び硫酸アンモニウム沈殿で精製したコントロールtau(配列番号6)でコーティング
された10ng/ウェルにおける交差反応性について試験し、直ちにサブクローニングし
、陽性クローンを液体窒素で冷凍した。10%ウシ胎仔血清(Hyclone,Euro
pe)、ハイブリドーマフュージョンクローニングサプリメント(2%)(Roche,
Brussels,Belgium)2% HT(Sigma,USA)、1mMのピル
ビン酸ナトリウム、2mMのL−グルタミン及びペニシリン(100U/mL)、並びに
ストレプトマイシン(50mg/mL)を添加したダルベッコ変法イーグル培地で全ての
ハイブリドーマを増殖させた。
【0084】
抗体可変領域を、選択したハイブリドーマ細胞からマウスIgG1/IgG2/κバッ
クグラウンドにクローニングし、発現させ、常法を用いて精製した。
【0085】
抗体選択のための直接ELISA
50μL/ウェルのコーティングバッファ(10mMのトリス、10mMのNaCl、
及び10mMのNaN3、pH 8.5)において、25ng/ウェルのPHF−tau
を、NUNC Maxisorp(Life Technologies)平底高結合9
6ウェルマイクロタイタープレートにて4℃で一晩コーティングした。次の日、室温で6
0分間75μL/ウェルのPBS中0.1%カゼインでプレートをブロッキングした。次
に、50μLのハイブリドーマ上清を添加し、37℃で1時間インキュベートした。洗浄
後、37℃で1時間、50μL/ウェルのセイヨウワサビペルオキシダーゼと複合体化し
ているヒツジ抗マウスIgGで検出した(Amersham−Pharmacia Bi
otech)。両試薬を0.1%カゼイン/PBSで希釈した。プレートを洗浄し、0.
42mM 3,5,3’,5’−テトラメチル−ベンジジン、0.003%(v/v)H
2O
2の100mMクエン酸及び100mMリン酸水素二ナトリウム(pH 4.3)溶液
50μLを基質として添加した。室温でプレートシェーカー上に最大15分間反応を進行
させ、その後、50μL/ウェルの2 N H
2SO
4で顕色を停止させ、450nmにて
マイクロタイタープレートリーダー(Thermomax,Molecular Dev
ices)でプレートを読み取った。
【0086】
モノクローナル抗体の特異性
ハイブリドーマのスクリーニングから得られた選択抗体を、組換え的に発現させたコン
トロールtau(配列番号6)との交差反応性について試験した。500ngのPHF−
tau及び200ngのコントロールtauを、NuPAGE(登録商標)Novex(
登録商標)Bis−Tris 4〜12%ゲルにロードし、製造業者の指示に従ってiB
lotシステム(Invitrogen)の使用によってニトロセルロースメンブレン上
にブロットした。脱脂粉乳(NFDM)(5% w/v;Biorad)を含有するトリ
ス緩衝生理食塩水Tween−20(TBS−T;1M Tris、150mM NaC
l、及び0.05% Tween−20、pH 8.5)で1時間メンブレンをブロッキ
ングした。TBS−T含有NFDM(5% w/v)で希釈した一次対照抗体(1μg/
mL)HT7、AT8、AT100(ThermoScientific,Rockfo
rd,IL)、及びBT2と共に4℃で一晩インキュベートした。ハイブリドーマのスク
リーニングから選択されたPT1、PT2、PT3、PT4、及びPT5モノクローナル
抗体を、10% FCSを含有する培養上清に添加した。West Dura(登録商標
)増強化学発光(Pierce,Thermoscientific)を介してHRPO
(TBS−T中1:20000、Amersham Biosciences)と複合体
化しているヒツジ抗マウスIgを用いて一次抗体を検出した。Lumi−imaging
システム(Roche Diagnostic)によってシグナルを捕捉した。ウエスタ
ンブロットにおいて、PT1及びPT3は、PHF−tauと反応したが、コントロール
tauとは反応しなかった。PT2は、両タンパク質と反応した。HT7及びAT8の結
合プロファイルは、上記の通りである。AT100は、リン酸化Ser212/Thr2
14に結合し、PHF−tauに結合するが、野性型tauには結合しない。BT2は、
S199/S202を含む非リン酸化エピトープを認識し、したがって、野性型tauは
認識するが、PHF−tauは認識しなかった。
【0087】
競合的エピトープ結合
モノクローナル抗体PT1、PT2、PT3、PT4、PT5、AT8(Thermo
Scientific,Rockford,IL)、AT100(ThermoScie
ntific,Rockford,IL)、及びHT7(MN1000)(Thermo
Scientific,Rockford,IL)を、PHF−tau又はリン酸化t
auペプチドに対する競合結合について評価した。製造業者の指示に従って、MSD(登
録商標)SULF0−TAG NHSエステル(Meso Scale Discove
ry)を用いて抗体を標識した。
【0088】
標識PT1、PT3、AT100、及びHT7との競合の場合、5μL(50μg/m
L)/ウェルの富化されているPHF−tauタンパク質(上記の通り精製)を室温(R
T)で2時間MSD HighBindプレート(Meso Scale Discov
ery,Gaithersburg,MD)にコーティングした。AT8との競合の場合
、コントロールtauにおけるS202/T205に相当する残基がリン酸化されている
コントロールtau(配列番号6)の残基194〜211に相当する合成ビオチン化及び
PEG化ペプチドRSGYSSPG(pS)PG(pT)PGSRSR−OH(New
England Peptide,LLC.,Gardner,MA)(配列番号39)
(0.1mg/ウェル)25μLをストレプトアビジン帯電プレート(Meso Sca
le Discovery,Gaithersburg,MD)にコーティングした。コ
ーティング後、室温で2時間5% MSDブロッカーAバッファ150μLでウェルをブ
ロッキングし、0.1M HEPESバッファ(pH 7.4)で3回洗浄した。標識さ
れた個々の抗tau抗体(10nM又は50nM)と様々な未標識競合抗体(1nM〜2
μM)の希釈系列との混合物25μLを各ウェルに添加した。プレートを穏やかに振盪さ
せながらRTで2時間インキュベートし、上記の通り3回洗浄した。150μL/ウェル
の希釈MSD ReadバッファTを添加し、SECTOR Imager 6000(
Meso Scale Discovery,Gaithersburg,MD)でプレ
ートを読み取った。
【0089】
抗Tau mAb HT7、AT100、及びAT8の非重複エピトープは、上記の通
りである。公開されているデータに基づいて、Tauタンパク質又はペプチドに対する結
合において、これら抗体は互いに競合するとは予測されなかった。
【0090】
実施した競合アッセイに基づいて、結合について互いに競合した抗体は存在せず、これ
は、これらが全て異なるエピトープに結合することを示す。各実験において、自己阻害の
みが観察された。
図1〜5は、それぞれ、標識されたAT8、PT1、PT3、AT10
0、及びHT7との競合アッセイの結果を示す。
【0091】
(実施例3)
抗PHF−tau抗体は、インビボにおいてPHF−tauの蓄積を減少させる。
5月齢のメスのP301Lマウス(Taconic,cat#002508)を5ヶ月
間マウスIgG1、生理食塩水、PT3(500μg/マウス)又はAT8(ハイブリド
ーマECACCから発現、寄託番号9110086)で週1回処理した。マウスに麻酔を
かけ、冷PBSで灌流し、氷上で脳を解剖した。各マウスについて、1つの脳半球を10
体積のH−バッファ中でホモジナイズし、次いで、4℃で20分間205.9N(21,
000g)で遠心分離した。得られた上清を、60分間205.9N(100,000g
)で更に遠心分離した。遠心分離後、ペレット(画分P1)を回収し、Chai等、J
Biol Chem 286:34457〜67,2011に記載の通りウエスタン及び
ELISA分析用にリシスバッファに再懸濁させた。皮質サンプルの場合、画分P1を更
に1%(w/v)N−ラウロイルサルコシンで処理し、超遠心して、ペレット中のPHF
−tauを更に富化させた。オスのP301Lマウスは、トランスジーンの発現が少ない
ことが見出され、分析には含まれていなかった。
【0092】
本質的にChai等、J Biol Chem 286:34457〜67,2011
に記載の通り、リン酸化tauを、捕捉抗体として抗体AT8及びAT100を用いてサ
ンドイッチELISAで脳幹ホモジネート(画分P1)にて測定し、次いで、ビオチン化
HT7及びアビジン−HRPによって検出し(
図6A及び6B)、ウエスタンブロットで
はAT100を用いて検出した(
図6C)。簡潔に述べると、P1ペレットをリシスバッ
ファ(Cell Signaling)で再懸濁させた。P1ペレットサンプルをAT8
又はAT100(Thermo Scientific)で予めコーティングされている
ウェル及びビオチン標識されているHT−7抗体においてインキュベートした。次いで、
サンプルをバッファで5回洗浄し、次いで、1時間アビジン−HRPと共にインキュベー
トした。この後、サンプルを、30分間1段階TMB基質(Thermo Scient
ific)と共にインキュベートし、次いで、2N H
2SO
4と共にインキュベートした
。最後に、反応を450nmで読み取り、脳内のAT8−又はAT100−反応性tau
の量をヒトAD脳ホモジネートから得られた標準曲線を用いて決定し、AD脳ホモジネー
トの相対量(ng/mL)としてプロットし、非トランスジェニック動物(B6)由来の
平均サンプルと同じELISAシグナルを得た。
【0093】
リン酸化を検出するためにAT100(p=0.057)又はAT8(p=0.047
5)を用いるELISAアッセイにおいて、アイソタイプコントロールを投与した動物と
比べて、PT3で処理したP301Lトランスジェニックマウスではリン酸化tauにお
ける統計的に有意な減少又は有意性に向かう傾向が見られた(ELISAシグナル:生理
食塩水(1135±228.8);IgG1群(1344±245.6);PT3群(6
60.5±134.5);AT8群(1271±274))。
【0094】
ELISAで得られたデータを確認するために、AT100抗体を用いてPHF−ta
uを検出することによって、IgG1−又はPT3−処理動物由来の脳幹ホモジネート(
画分P1)をウエスタンブロットで分析した。ローディングコントロールとして抗アクチ
ン抗体を用いてフィルタをブロットした(
図6B)。ウエスタンブロットは、IgG1で
処理した動物と比べて、AT100抗体で検出したPHF−tau量の減少を示した。
【0095】
皮質分析では、サルコシル可溶性(可溶性tauを表す)及び不溶性(PHF−tau
を表す)皮質画分を、捕捉用にpan−tau抗体(PT4)又はホスホ−tau抗体(
AT8)を用い、次いで、ビオチン−pan−tau抗体(hTau10)、次いで、H
RP−アビジンを用いてサンドイッチELISAによって分析した。PT3で処理した動
物は、アイソタイプコントロールIgG1で処理した動物に比べて合計tauレベルが類
似していた。より低いPHF−tauレベルに向かう傾向は、N−ラウロイルサルコシン
不溶性画分におけるアイソタイプコントロールと比べたときPT3で処理した動物におい
て明らかであった(PT4を用いたELISA捕捉:IgG群:851026±2611
98及びPT3群:585639±120498;ELISA、AT8で捕捉:IgG群
:1125886±286240(N=10)、及びpT3群:746582±1249
70(N=7))。
【0096】
(実施例4)
抗PHF−tau抗体の特性評価
親和性の決定
モノクローナル抗体PT1及びPT3と組換えヒト可溶性tau又はPHF−tauと
の相互作用をProteOnによって試験した。ランニング又はシステムバッファとして
3mM EDTA及び0.005% Tween−20を添加したPBS(pH 7.4
)を用いて25℃で全ての相互作用を試験した。2つの異なる実験フォーマットを用いた
。1つは、組換え的に発現させたコントロールtauとの相互作用ののものであり、他方
は、PHF−tauとの相互作用のためのものであった。これら実験では、HT7(Pi
erce、カタログ番号MN1000)、マウス抗tau抗体をポジティブコントロール
として用いた。
【0097】
組換え的に発現させたコントロールtauとの相互作用を試験するために、アミノカッ
プリング化学(約5000応答単位(RU))用に各製造業者の指示に従ってGLC(P
roteOn)センサチップの表面に抗ヒト又は抗マウスIgG Fcγ断片特異的抗体
(Ab)をカップリングさせることによってバイオセンサ表面を調製した。カップリング
バッファは、10mM酢酸ナトリウム(pH 4.5)であった。抗PHF−tau抗体
をランニングバッファで希釈し、注入して、60〜130RUのキャプチャーを得た。抗
PHF−tau mAbの捕捉後、溶液(0.1〜75nM、5倍希釈)中に組換え的に
発現させたコントロールtau(Tau−441、Sigmaカタログ番号T0576−
50μg)を注入した。2分間会合をモニタリングした(40μg/分で80μLを注入
)。10分間解離をモニタリングした。0.85% H
3PO
4、又は0.85% H
3P
O
4、次いで50mM NaOHを用いてセンサ表面を再生した。1:1結合モデルを用
いてデータをフィッティングした。1:1結合モデルを用いてデータをフィッティングし
た。
【0098】
【表2】
* PHF−tauについて、これは、KDが二価結合モデルを用いて実施したフィッ
ティングに由来するkff1/kon−1の比として得られる場合、みかけの固有親和性
である。
** 有意な結合無し
***5実験中4実験で結合無し
【0099】
PHF−tauとの相互作用を試験するために、捕捉試薬としてHT7を用いて捕捉−
カップリングPHF−tauによってバイオセンサ表面を調製した。流体に入る不溶性材
料の量を制限するために、ProteOnでは上記PHF−tauの更なる調製が必要で
あった。5℃で10分間49N(5000g)で2回遠心分離することによって上記PH
F−tauを更に調製し、ここで、2回目の遠心分離から得られた上清を、次いで、ラン
ニングバッファで1/20又は1/40希釈した。チップを調製するために、アミノカッ
プリング化学(約3000応答単位(RU))用の各製造業者の指示に従ってGLC(P
roteOn)センサチップの表面にHT7を共有結合で固定した。カップリングバッフ
ァは、10mM酢酸ナトリウム(pH 4.5)であった。HT7固定後、PHF−ta
を注入し、HT7によって捕捉(約300RU)した。捕捉後、アミノカップリング化学
用の各製造業者の指示に従ってチップの活性化によってPHF−tauをセンサチップに
共有結合で固定した。最後に、エタノールアミンを注入することによって、残りの反応部
位をブロックした。PHF−tau修飾表面及び参照表面(抗原を含有しない)の調製及
び安定化後、抗PHF−tau抗体をランニングバッファで希釈し、溶液中に注入した(
0.1〜75nM、5倍希釈)。3分間会合をモニタリングした(40μg/分で120
μLを注入)。10又は15分間解離をモニタリングした。10mM Gly(pH 2
)を用いてセンサ表面を再生した。二価結合モデルを用いてデータをフィッティングし、
ここでは、みかけの固有親和性をkoff−1/kon−1比で報告した。
【0100】
ProteOn実験に基づいて、322pMの親和性でPT1はPHF−tauに結合
し、試験した条件下ではコントロールTauに対する結合を示さなかった(表2)。PT
3は18±2pMの親和性でPHF−tauに結合し、試験した条件下では5回の実験の
うちの4回でコントロールTauに対する結合を示さなかった。5回のProteOn実
験のうちの1回で、測定は、用いたコントロールTauの最高濃度に基づいて>75nM
の親和性を推定するために用いることができた弱い結合を示した。
【0101】
以上、本発明の全容を述べたが、付属の特許請求の範囲の趣旨又は範囲を逸脱すること
なく本発明に多くの変更及び改変をなし得ることは、当業者にとって明白であろう。