特許第6987911号(P6987911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6987911ポリカーボネート樹脂組成物のペレット及び光学用成形品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987911
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】ポリカーボネート樹脂組成物のペレット及び光学用成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 69/00 20060101AFI20211220BHJP
   C08J 5/00 20060101ALI20211220BHJP
   C08K 5/524 20060101ALI20211220BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20211220BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20211220BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   C08L69/00
   C08J5/00CEZ
   C08K5/524
   C08L71/02
   G02B1/04
   G02B3/00 Z
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-44533(P2020-44533)
(22)【出願日】2020年3月13日
(62)【分割の表示】特願2017-249874(P2017-249874)の分割
【原出願日】2014年12月5日
(65)【公開番号】特開2020-94227(P2020-94227A)
(43)【公開日】2020年6月18日
【審査請求日】2020年4月10日
(31)【優先権主張番号】特願2013-254902(P2013-254902)
(32)【優先日】2013年12月10日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-104844(P2014-104844)
(32)【優先日】2014年5月21日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-125563(P2014-125563)
(32)【優先日】2014年6月18日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-125566(P2014-125566)
(32)【優先日】2014年6月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】396001175
【氏名又は名称】住化ポリカーボネート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】特許業務法人 小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榊 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】木田 恵里子
【審査官】 古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】 再公表特許第2015/087526(JP,A1)
【文献】 特開2013−139097(JP,A)
【文献】 特開2005−096421(JP,A)
【文献】 特開2004−051700(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/083635(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 69/00
C08J 5/00
C08K 5/524
C08L 71/02
G02B 1/04
G02B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート樹脂(A)と、
一般式(1):
HO(CO)(CO)H (1)
(式中、m及びnは、それぞれ独立して、4〜60の整数を示し、m+nは、20〜90の整数を示す)
で表されるテトラメチレングリコール誘導体(B)と
亜リン酸エステル系化合物(C)とを含有してなり、
前記テトラメチレングリコール誘導体(B)の量が、前記ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して0.005〜5.0重量部であり、前記亜リン酸エステル系化合物(C)の量が、前記ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して0.005〜5.0重量部である、ポリカーボネート樹脂組成物のペレット
【請求項2】
ポリカーボネート樹脂(A)と、
テトラメチレングリコール誘導体(B)と
亜リン酸エステル系化合物(C)とを含有してなり、
前記テトラメチレングリコール誘導体(B)が、重量平均分子量が1000〜4000のポリオキシテトラメチレンポリオキシプロピレングリコールであり、
前記テトラメチレングリコール誘導体(B)の量が、前記ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して0.005〜5.0重量部であり、前記亜リン酸エステル系化合物(C)の量が、前記ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して0.005〜5.0重量部である、ポリカーボネート樹脂組成物のペレット
【請求項3】
テトラメチレングリコール誘導体(B)の量が、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して0.1〜2.0重量部である、請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物のペレット
【請求項4】
テトラメチレングリコール誘導体(B)の量が、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して0.5〜1.5重量部である、請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物のペレット
【請求項5】
熱安定剤、酸化防止剤、着色剤、離型剤、軟化剤、帯電防止剤、衝撃性改良剤のいずれかを更に含有する、請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物のペレット
【請求項6】
光学用成形品を得るための、請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物のペレット
【請求項7】
前記光学用成形品が導光板である、請求項6に記載の光学用成形品を得るためのポリカーボネート樹脂組成物のペレット
【請求項8】
請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物のペレットを成形する、光学用成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリカーボネート樹脂組成物及び光学用成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、液晶表示装置に組み込まれている面状光源装置には、導光板が備えられている。
【0003】
導光板の材料として、従来、ポリメチルメタクリレート(以下、PMMAという)が用いられてきたが、耐熱性が高く、かつ機械的強度も高いという点で、PMMAからポリカーボネート樹脂への置換が進められている。
【0004】
ポリカーボネート樹脂は、PMMAと比較して、機械的性質、熱的性質、電気的性質には優れるが、光線透過率にやや劣る。したがって、ポリカーボネート樹脂製の導光板を使用した面状光源装置は、PMMA製の導光板を使用したものと比べて輝度が低いという問題があった。
【0005】
そこで、例えば特許文献2〜6に開示されているように、PMMAと同等以上の光線透過率を得て、導光板の輝度を向上させるべく、ポリカーボネート樹脂と他の材料とを併用した樹脂組成物が各種提案されている。
【0006】
しかしながら、特許文献2〜6に開示の樹脂組成物は、近年の導光板の材料としての要求を充分に満足し得るものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−055712号公報
【特許文献2】特開平09−020860号公報
【特許文献3】特開平11−158364号公報
【特許文献4】特開2001−215336号公報
【特許文献5】特開2004−051700号公報
【特許文献6】国際公開第2011/083635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、ポリカーボネート樹脂が本来有する耐熱性、機械的強度等の特性が損なわれることがなく、光線透過率が高く、しかも高温で成形加工した場合でも光線透過率に優れたポリカーボネート樹脂組成物を提供する。また本開示は、該ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなり、輝度が高く、黄色度が小さく色相に優れ、しかも高温で成形加工した場合でも輝度及び色相に優れた光学用成形品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物のペレットは、ポリカーボネート樹脂(A)と、
一般式(1):
HO(CO)(CO)H (1)
(式中、m及びnは、それぞれ独立して、4〜60の整数を示し、m+nは、20〜90の整数を示す)
で表されるテトラメチレングリコール誘導体(B)と、亜リン酸エステル系化合物(C)とを含有してなり、テトラメチレングリコール誘導体(B)の量が、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して0.005〜5.0重量部であり、亜リン酸エステル系化合物(C)の量が、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して0.005〜5.0重量部であるものである。
【0010】
また、本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)と、テトラメチレングリコール誘導体(B)と、亜リン酸エステル系化合物(C)とを含有してなり、テトラメチレングリコール誘導体(B)が、重量平均分子量が1000〜4000のポリオキシテトラメチレンポリオキシプロピレングリコールであり、テトラメチレングリコール誘導体(B)の量が、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して0.005〜5.0重量部であり、亜リン酸エステル系化合物(C)の量が、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して0.005〜5.0重量部であるものである。
【0011】
また、本発明に係る光学用成形品は、上記のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなるものである。
【0012】
また、本発明に係る光学用成形品の製造方法は、上記のポリカーボネート樹脂組成物を成形するものである。
【発明の効果】
【0013】
本開示におけるポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂が本来有する耐熱性、機械的強度等の特性が損なわれることがなく、光線透過率が高く、しかも高温で成形加工した場合でも光線透過率に優れたものである。また本開示における光学用成形品は、該ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなり、輝度が高く、黄色度が小さく色相に優れ、しかも高温で成形加工した場合でも輝度及び色相に優れたものである。よって、例えば厚さ0.3mm程度の薄型の導光板であっても、色相が変化して外観が低下することや、高温成形を経て樹脂そのものが劣化することが少なく、工業的利用価値が極めて高い。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0015】
なお、発明者らは、当業者が本開示を充分に理解するために以下の説明を提供するのであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0016】
(実施の形態1:ポリカーボネート樹脂組成物)
実施の形態1に係るポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)と、テトラメチレングリコール誘導体(B)と、亜リン酸エステル系化合物(C)とを含有したものである。
【0017】
ポリカーボネート樹脂(A)は、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、又はジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネート等の炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体である。代表例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
【0018】
前記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルエーテル等のジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類が挙げられ、これらは単独で又は2種類以上を混合して使用される。これらの他にも、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4´−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
【0019】
さらに、前記ジヒドロキシジアリール化合物と、例えば以下に示す3価以上のフェノール化合物とを混合して使用してもよい。
【0020】
前記3価以上のフェノール化合物としては、例えば、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン及び2,2−ビス−[4,4−(4,4´−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル]−プロパン等が挙げられる。
【0021】
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、10000〜100000、さらには12000〜30000であることが好ましい。なお、このようなポリカーボネート樹脂(A)を製造する際には、分子量調節剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
【0022】
テトラメチレングリコール誘導体(B)は、一般式(1):
HO(CO)(CO)H (1)
(式中、m及びnは、それぞれ独立して、4〜60の整数を示し、m+nは、20〜90の整数を示す)
で表される。
【0023】
これまで、ポリオキシアルキレングリコールを添加してポリカーボネート樹脂の光線透過率を向上させることが試みられてきたが、該ポリオキシアルキレングリコールは、耐熱性が不充分であるので、該ポリオキシアルキレングリコールを配合したポリカーボネート樹脂組成物を高温で成形すると、成形品の輝度や光線透過率が低下してしまう。これに対して、前記一般式(1)で表される特定のテトラメチレングリコール誘導体(B)は、2官能性のランダム共重合体であり、耐熱性が高く、該一般式(1)で表される特定のテトラメチレングリコール誘導体(B)を配合したポリカーボネート樹脂組成物を高温で成形した成形品は、輝度や光線透過率が高い。
【0024】
また、一般式(1)で表されるテトラメチレングリコール誘導体(B)は、適度な親油性を有することから、ポリカーボネート樹脂(A)との相溶性にも優れるので、該テトラメチレングリコール誘導体(B)を配合したポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形品の透明性も向上する。
【0025】
さらに、一般式(1)で表されるテトラメチレングリコール誘導体(B)を配合することにより、ポリカーボネート樹脂組成物を成形する際に、せん断熱が必要以上に発生するのを抑制することができるほか、ポリカーボネート樹脂組成物に離型性を付与することもできるので、例えばポリオルガノシロキサン化合物といった離型剤を別途添加しなくてもよい。
【0026】
一般式(1)において、m及びnは、それぞれ独立して、4〜60の整数であり、m+nは、20〜90の整数であるが、さらには、m及びnは、それぞれ独立して、6〜40の整数であることが好ましく、m+nは、20〜60の整数であることが好ましい。
【0027】
前記テトラメチレングリコール誘導体(B)の重量平均分子量は、1000〜4000、さらには2000〜3000であることが好ましい。テトラメチレングリコール誘導体(B)の重量平均分子量が1000未満の場合は、光線透過率の充分な向上効果が望めない恐れがあり、逆に重量平均分子量が4000を超える場合も、光線透過率が低下して曇化率が上昇する恐れがある。
【0028】
商業的に入手可能なテトラメチレングリコール誘導体(B)としては、例えば、日油(株)製の、ポリセリンDCB−2000(重量平均分子量2000)、ポリセリンDCB−1000(重量平均分子量1000)等(「ポリセリン」は登録商標)が挙げられる。
【0029】
テトラメチレングリコール誘導体(B)の量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、0.005〜5.0重量部であり、0.1〜2.0重量部、さらに0.5〜1.5重量部であることが好ましい。テトラメチレングリコール誘導体(B)の量が0.005重量部未満の場合は、光線透過率及び色相の向上効果が不充分である。逆にテトラメチレングリコール誘導体(B)の量が5.0重量部を超える場合は、光線透過率が低下して曇化率が上昇してしまう。
【0030】
本開示におけるポリカーボネート樹脂組成物には、前記一般式(1)で表される特定のテトラメチレングリコール誘導体(B)と共に、亜リン酸エステル系化合物(C)が配合されている。このように、特定のテトラメチレングリコール誘導体(B)と亜リン酸エステル系化合物(C)とを同時に配合することにより、ポリカーボネート樹脂(A)が本来有する耐熱性、機械的強度等の特性が損なわれることがなく、光線透過率が向上したポリカーボネート樹脂組成物が得られる。
【0031】
前記亜リン酸エステル系化合物(C)としては、例えば、一般式(2):
【化1】
(式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基を示し、aは、0〜3の整数を示す)
で表される化合物が特に好適である。
【0032】
前記一般式(2)において、Rは、炭素数1〜20のアルキル基であるが、さらには、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましい。
【0033】
一般式(2)で表される化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト等が挙げられる。これらの中でも、特にトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトが好適であり、例えば、BASF社製のイルガフォス168(「イルガフォス」はビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの登録商標)として商業的に入手可能である。
【0034】
前記亜リン酸エステル系化合物(C)としては、前記一般式(2)で表される化合物の他にも、例えば、一般式(3):
【化2】
(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を示す。Rは、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。Xは、単結合、硫黄原子又は式:−CHR−(ここで、Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す)で表される基を示す。Aは、炭素数1〜8のアルキレン基又は式:*−COR−(ここで、Rは、単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を示し、*は、酸素側の結合手であることを示す)で表される基を示す。Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を示し、もう一方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す)
で表される化合物が挙げられる。
【0035】
一般式(3)において、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を示す。
【0036】
ここで、炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、i−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基としては、例えば、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチル−4−i−プロピルシクロヘキシル基等が挙げられる。炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基等が挙げられる。
【0037】
前記R、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基又は炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基であることが好ましい。特に、R及びRは、それぞれ独立して、t−ブチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基等のt−アルキル基、シクロヘキシル基又は1−メチルシクロヘキシル基であることが好ましい。特に、Rは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、メチル基、t−ブチル基又はt−ペンチル基であることがさらに好ましい。
【0038】
前記Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基であることがさらに好ましい。
【0039】
一般式(3)において、Rは、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、前記R、R、R及びRの説明にて例示したアルキル基が挙げられる。特に、Rは、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがさらに好ましい。
【0040】
一般式(3)において、Xは、単結合、硫黄原子又は式:−CHR−で表される基を示す。ここで、式:−CHR−中のRは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す。炭素数1〜8のアルキル基及び炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、例えば、それぞれ前記R、R、R及びRの説明にて例示したアルキル基及びシクロアルキル基が挙げられる。特に、Xは、単結合、メチレン基、又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基等で置換されたメチレン基であることが好ましく、単結合であることがさらに好ましい。
【0041】
一般式(3)において、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基又は式:*−COR−で表される基を示す。炭素数1〜8のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基等が挙げられ、好ましくはプロピレン基である。また、式:*−COR−におけるRは、単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を示す。Rを示す炭素数1〜8のアルキレン基としては、例えば、前記Aの説明にて例示したアルキレン基が挙げられる。Rは、単結合又はエチレン基であることが好ましい。また、式:*−COR−における*は、酸素側の結合手であり、カルボニル基がフォスファイト基の酸素原子と結合していることを示す。
【0042】
一般式(3)において、Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を示し、もう一方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。炭素数1〜8のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基等が挙げられる。炭素数7〜12のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、α−メチルベンジルオキシ基、α,α−ジメチルベンジルオキシ基等が挙げられる。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、前記R、R、R及びRの説明にて例示したアルキル基が挙げられる。
【0043】
一般式(3)で表される化合物としては、例えば、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−〔3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ〕ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−4,8−ジ−t−ブチル−2,10−ジメチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−4,8−ジ−t−ブチル−2,10−ジメチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン等が挙げられる。これらの中でも、特に光学特性が求められる分野に、得られるポリカーボネート樹脂組成物を用いる場合には、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−〔3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ〕ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピンが好適であり、例えば、住友化学(株)製のスミライザーGP(「スミライザー」は登録商標)として商業的に入手可能である。
【0044】
前記亜リン酸エステル系化合物(C)としては、前記一般式(2)で表される化合物及び前記一般式(3)で表される化合物の他にも、例えば、一般式(4):
【化3】
(式中、R及びR10は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基又はアルキル基で置換されていてもよいアリール基を示し、b及びcは、それぞれ独立して、0〜3の整数を示す)
で表される化合物が挙げられる。
【0045】
一般式(4)で表される化合物としては、例えば、(株)ADEKA製のアデカスタブPEP−36(「アデカスタブ」は登録商標)が商業的に入手可能である。
【0046】
亜リン酸エステル系化合物(C)の量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、0.005〜5.0重量部であり、0.01〜0.5重量部、さらに0.02〜0.1重量部であることが好ましい。亜リン酸エステル系化合物(C)の量が0.005重量部未満の場合は、光線透過率及び色相の向上効果が不充分である。逆に亜リン酸エステル系化合物(C)の量が5.0重量部を超える場合も、光線透過率及び色相の向上効果が不充分である。
【0047】
なお、亜リン酸エステル系化合物(C)として前記一般式(2)で表される化合物を用いる場合、その量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して0.005〜1.0重量部であることが、光線透過率及び色相の向上効果がより大きいという点で好ましい。
【0048】
また、亜リン酸エステル系化合物(C)として前記一般式(3)で表される化合物を用いる場合、その量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して0.05〜2.0重量部であることが、光線透過率及び色相の向上効果がより大きいという点で好ましい。
【0049】
さらに、実施の形態1に係るポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、着色剤、離型剤、軟化剤、帯電防止剤、衝撃性改良剤等の各種添加剤、ポリカーボネート樹脂(A)以外のポリマー等が適宜配合されていてもよい。
【0050】
ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法には特に限定がなく、ポリカーボネート樹脂(A)、テトラメチレングリコール誘導体(B)及び亜リン酸エステル系化合物(C)、並びに必要に応じて前記各種添加剤やポリカーボネート樹脂(A)以外のポリマー等について、各成分の種類及び量を適宜調整し、これらを、例えばタンブラー、リボンブレンダー等の公知の混合機にて混合する方法や、押出機にて溶融混練する方法が挙げられる。
【0051】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。
【0052】
(実施の形態2:光学用成形品)
実施の形態2に係る光学用成形品は、前記のごとく得られる実施の形態1に係るポリカーボネート樹脂組成物を成形してなるものである。
【0053】
光学用成形品の製造方法には特に限定がなく、例えば、公知の射出成形法、圧縮成形法等によりポリカーボネート樹脂組成物を成形する方法が挙げられる。
【0054】
前記のごとく得られる光学用成形品は、例えば、導光板、面発光体材料、銘板等として好適である。
【0055】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。
【実施例】
【0056】
以下に、本開示を実施例により具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、特にことわりがない限り、「部」及び「%」はそれぞれ重量基準である。
【0057】
原料として以下のものを使用した。
1.ポリカーボネート樹脂(A)
ビスフェノールAと塩化カルボニルとから合成されたポリカーボネート樹脂
カリバー200−80
(商品名、住化スタイロンポリカーボネート(株)製、「カリバー」はスタイロン ユーロップ ゲーエムベーハーの登録商標、粘度平均分子量:15000、以下「PC」という)
【0058】
2.テトラメチレングリコール誘導体(B)
ポリオキシテトラメチレンポリオキシプロピレングリコール(ランダムタイプ)
ポリセリンDCB−2000
(商品名、日油(株)製、重量平均分子量:2000、以下「化合物B」という)
【0059】
3.亜リン酸エステル系化合物(C)
3−1.以下の式で表される、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト
【化4】
イルガフォス168
(商品名、BASF社製、以下「化合物C1」という)
【0060】
3−2.以下の式で表される、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−〔3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ〕ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン
【化5】
スミライザーGP
(商品名、住友化学(株)製、以下「化合物C2」という)
【0061】
4.その他
4−1.ポリテトラメチレングリコールエーテル/ポリオキシエチレングリコールランダム共重合ポリエーテル
ポリセリンDC−3000E
(商品名、日油(株)製、重量平均分子量:3000、以下「化合物B´」という)
【0062】
4−2.フェニル基、メトキシ基及びビニル基を有するポリオルガノシロキサン化合物
KR−511
(商品名、信越化学工業(株)製、以下「KR」という)
【0063】
(1)第1実施態様
実施例1−1〜1−8及び比較例1−1〜1−6
前記各原料を、表1に示す割合にて一括してタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、二軸押出機((株)日本製鋼所製、TEX30α)を用いて、溶融温度220℃にて溶融混練し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
【0064】
得られたペレットを用い、以下の方法にしたがって、各評価用試験片を作製して評価に供した。その結果を表1に示す。
【0065】
(試験片の作製方法)
(I)滞留前試験片
得られたペレットを120℃で4時間以上乾燥した後、射出成形機(ファナック(株)製、ROBOSHOT S2000i100A)を用い、成形温度360℃、金型温度80℃にて、JIS K 7139「プラスチック−試験片」にて規定の多目的試験片A型(全長168mm×厚さ4mm)を作製した。この試験片の端面を切削し、切削端面について、樹脂板端面鏡面機(メガロテクニカ(株)製、プラビューティーPB−500)を用いて鏡面加工した。
【0066】
(II)滞留後試験片
溶融ペレットを前記射出成形機のシリンダ内にて360℃で10分間保持した後、前記滞留前試験片の製造方法と同様の方法にて滞留後試験片を作製した。
【0067】
(積算透過率の評価方法)
分光光度計((株)日立製作所製、U−4100)に長光路測定付属装置を設置し、光源として50Wハロゲンランプを用いて、光源前マスク5.6mm×2.8mm、試料前マスク6.0mm×2.8mmを使用した状態で、波長380〜780nmの領域で1nm毎の、滞留前試験片及び滞留後試験片各々の分光透過率を、試験片の全長方向について測定した。測定した分光透過率を積算し、十の位を四捨五入することにより、各々の積算透過率を求めた。なお、積算透過率が30000以上を良好(表中、○で示す)、30000未満を不良(表中、×で示す)とした。
【0068】
(黄色度の評価方法)
前記積算透過率の評価方法において測定した分光透過率に基づき、標準光源D65を用い、10度視野にて各々の黄色度を求めた。なお、黄色度が20以下を良好(表中、○で示す)、20を超えると不良(表中、×で示す)とした。
【0069】
【表1】
【0070】
実施例1−1〜1−8のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)に、一般式(1)で表される特定のテトラメチレングリコール誘導体(B)と、亜リン酸エステル系化合物(C)とが、各々特定の割合で配合されたものである。したがって、該ポリカーボネート樹脂組成物から成形された滞留前試験片、すなわち、射出成形機内で保持されることなく成形された試験片は勿論のこと、滞留後試験片、すなわち、射出成形機のシリンダ内にて360℃で10分間保持された後に成形された試験片であっても、積算透過率が高く、かつ、黄色度が小さい。
【0071】
このように、実施例1−1〜1−8のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)が本来有する耐熱性が損なわれることがなく、可視領域での光線透過率が高く、しかも高温で成形加工した場合でも光線透過率に優れている。そして、このようなポリカーボネート樹脂組成物を成形した成形品は、黄色度が小さく色相に優れ、しかも高温で成形加工した場合でも色相に優れている。
【0072】
なお、これら実施例1−1〜1−8のポリカーボネート樹脂組成物には、亜リン酸エステル系化合物(C)として、特に、一般式(2)で表される化合物が配合されているので、該一般式(2)で表される化合物と一般式(1)で表される特定のテトラメチレングリコール誘導体(B)との相乗効果により、可視領域での光線透過率、高温で成形加工した場合の光線透過率、色相、及び高温で成形加工した場合の色相の向上効果がより大きい。
【0073】
これに対して、比較例1−1のポリカーボネート樹脂組成物は、特定のテトラメチレングリコール誘導体(B)の量が少ないので、滞留前試験片及び滞留後試験片いずれも、積算透過率が低く、かつ、黄色度が大きい。このように、比較例1−1のポリカーボネート樹脂組成物は、可視領域での光線透過率が低く、高温で成形加工した場合の光線透過率も低い。そして、このようなポリカーボネート樹脂組成物を成形した成形品は、黄色度が大きく色相に劣り、しかも高温で成形加工した場合の色相にも劣る。
【0074】
比較例1−2のポリカーボネート樹脂組成物は、特定のテトラメチレングリコール誘導体(B)の量が多いので、滞留前試験片の積算透過率が低い。しかも、滞留後試験片では成分の分解が生じ、分光透過率の測定が不可能であった。このように、比較例1−2のポリカーボネート樹脂組成物は、耐熱性に極めて劣る。
【0075】
比較例1−3のポリカーボネート樹脂組成物は、亜リン酸エステル系化合物(C)の量が少ないので、滞留前試験片は、積算透過率が高く、かつ、黄色度が小さいものの、滞留後試験片は、積算透過率が低く、かつ、黄色度が大きい。このように、比較例1−3のポリカーボネート樹脂組成物は、耐熱性に劣る。
【0076】
比較例1−4のポリカーボネート樹脂組成物は、亜リン酸エステル系化合物(C)の量が多いので、滞留前試験片の積算透過率が低く、かつ、黄色度が大きい。しかも、滞留後試験片では成分の分解が生じ、分光透過率の測定が不可能であった。このように、比較例1−4のポリカーボネート樹脂組成物は、耐熱性に極めて劣る。
【0077】
比較例1−5のポリカーボネート樹脂組成物は、一般式(1)で表される特定のテトラメチレングリコール誘導体(B)ではなく、ポリテトラメチレングリコールエーテル/ポリオキシエチレングリコールランダム共重合ポリエーテルが配合されているので、滞留前試験片は、積算透過率が高く、かつ、黄色度が小さいものの、滞留後試験片は、積算透過率が低く、かつ、黄色度が大きい。このように、比較例1−5のポリカーボネート樹脂組成物は、耐熱性に劣る。
【0078】
比較例1−6のポリカーボネート樹脂組成物は、比較例1−5のポリカーボネート樹脂組成物に、さらにポリオルガノシロキサン化合物を配合したものであり、滞留前試験片は、積算透過率が高く、かつ、黄色度が小さい。しかし、滞留後試験片は、比較例1−5のポリカーボネート樹脂組成物の滞留後試験片と比べると、多少は積算透過率が高く、黄色度も小さいものの、いずれも、良好と判断される値との差は大きい。このように、比較例1−6のポリカーボネート樹脂組成物は、耐熱性に劣る。
【0079】
(2)第2実施態様
実施例2−1〜2−3
前記各原料を、表2に示す割合にて配合した他は、第1実施態様と同様の方法にてポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
【0080】
得られたペレットを用い、以下の方法にしたがって、各評価用試験片を作製して評価に供した。その結果を表2に示す。
【0081】
(試験片の作製方法)
得られたペレットを120℃で4時間以上乾燥した後、射出成形機(ファナック(株)製、ROBOSHOT S2000i100A)を用い、成形温度360℃、金型温度80℃にて、JIS K 7139「プラスチック−試験片」にて規定の多目的試験片A型(全長168mm×厚さ4mm)を作製した。この試験片の端面を切削し、切削端面について、樹脂板端面鏡面機(メガロテクニカ(株)製、プラビューティーPB−500)を用いて鏡面加工した。
【0082】
(積算透過率の評価方法)
分光光度計((株)日立製作所製、U−4100)に長光路測定付属装置を設置し、光源として50Wハロゲンランプを用いて、光源前マスク5.6mm×2.8mm、試料前マスク6.0mm×2.8mmを使用した状態で、波長380〜780nmの領域で1nm毎の試験片の分光透過率を、試験片の全長方向について測定した。測定した分光透過率を積算し、十の位を四捨五入することにより、積算透過率を求めた。なお、積算透過率が30000以上を良好(表中、○で示す)とした。
【0083】
(色相の評価方法)
波長450nmの可視光線は青色を呈するので、波長450nmの光線透過率が高いほど黄色度が小さく、試験片は色相に優れている。よって、前記積算透過率の評価方法と同様の方法にて試験片の分光透過率を測定し、波長450nmの光線透過率にて色相を評価した。波長450nmの光線透過率が65%以上を良好(表中、○で示す)とした。
【0084】
【表2】
【0085】
実施例2−1〜2−3のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)に、一般式(1)で表される特定のテトラメチレングリコール誘導体(B)と、亜リン酸エステル系化合物(C)とが、各々特定の割合で配合されたものである。したがって、該ポリカーボネート樹脂組成物から成形された試験片は、積算透過率が高く、かつ、波長450nmの光線透過率が高い。
【0086】
このように、実施例2−1〜2−3のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)が本来有する耐熱性が損なわれることがなく、可視領域での光線透過率が高い。そして、このようなポリカーボネート樹脂組成物を成形した成形品は、黄色度が小さく色相に優れる。
【0087】
なお、これら実施例2−1〜2−3のポリカーボネート樹脂組成物には、亜リン酸エステル系化合物(C)として、特に、一般式(2)で表される化合物が配合されているので、該一般式(2)で表される化合物と一般式(1)で表される特定のテトラメチレングリコール誘導体(B)との相乗効果により、可視領域での光線透過率及び色相の向上効果がより大きい。
【0088】
(3)第3実施態様
実施例3−1〜3−10及び比較例3−1〜3−4
前記各原料を、表3に示す割合にて配合した他は、第1実施態様と同様の方法にてポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
【0089】
得られたペレットを用い、第2実施態様と同様の方法にて各評価用試験片を作製し、第2実施態様と同様の方法にて評価に供した。その結果を表3に示す。
【0090】
なお、積算透過率の評価において、積算透過率が28000以上を良好(表中、○で示す)、28000未満を不良(表中、×で示す)とした。また、色相の評価において、波長450nmの光線透過率が55%以上を良好(表中、○で示す)、55%未満を不良(表中、×で示す)とした。
【0091】
【表3】
【0092】
実施例3−1〜3−10のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)に、一般式(1)で表される特定のテトラメチレングリコール誘導体(B)と、亜リン酸エステル系化合物(C)とが、各々特定の割合で配合されたものである。したがって、該ポリカーボネート樹脂組成物から成形された試験片は、積算透過率が高く、かつ、波長450nmの光線透過率が高い。
【0093】
このように、実施例3−1〜3−10のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)が本来有する耐熱性が損なわれることがなく、可視領域での光線透過率が高い。そして、このようなポリカーボネート樹脂組成物を成形した成形品は、黄色度が小さく色相に優れる。
【0094】
これに対して、比較例3−1のポリカーボネート樹脂組成物は、特定のテトラメチレングリコール誘導体(B)の量が少ないので、積算透過率が低く、かつ、波長450nmの光線透過率が低い。このように、比較例3−1のポリカーボネート樹脂組成物は、可視領域での光線透過率が低く、このようなポリカーボネート樹脂組成物を成形した成形品は、黄色度が大きく色相に劣る。
【0095】
比較例3−2のポリカーボネート樹脂組成物は、特定のテトラメチレングリコール誘導体(B)の量が多いので、積算透過率が低く、かつ、波長450nmの光線透過率が低い。このように、比較例3−2のポリカーボネート樹脂組成物は、可視領域での光線透過率が低く、このようなポリカーボネート樹脂組成物を成形した成形品は、黄色度が大きく色相に劣る。
【0096】
比較例3−3のポリカーボネート樹脂組成物は、亜リン酸エステル系化合物(C)の量が少ないので、積算透過率が低い。このように、比較例3−3のポリカーボネート樹脂組成物は、可視領域での光線透過率が低い。
【0097】
比較例3−4のポリカーボネート樹脂組成物は、亜リン酸エステル系化合物(C)の量が多いので、積算透過率が低く、かつ、波長450nmの光線透過率が低い。このように、比較例3−4のポリカーボネート樹脂組成物は、可視領域での光線透過率が低く、このようなポリカーボネート樹脂組成物を成形した成形品は、黄色度が大きく色相に劣る。
【0098】
(4)第4実施態様
実施例4−1〜4−3及び比較例4−1〜4−2
前記各原料を、表4に示す割合にて配合した他は、第1実施態様と同様の方法にてポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
【0099】
得られたペレットを用い、第2実施態様と同様の方法にて各評価用試験片を作製し、第2実施態様と同様の方法にて評価に供した。その結果を表4に示す。
【0100】
なお、積算透過率の評価において、積算透過率が28000以上を良好(表中、○で示す)、28000未満を不良(表中、×で示す)とした。また、色相の評価において、波長450nmの光線透過率が55%以上を良好(表中、○で示す)、55%未満を不良(表中、×で示す)とした。
【0101】
【表4】
【0102】
実施例4−1〜4−3のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)に、一般式(1)で表される特定のテトラメチレングリコール誘導体(B)と、亜リン酸エステル系化合物(C)とが、各々特定の割合で配合されたものである。したがって、該ポリカーボネート樹脂組成物から成形された試験片は、積算透過率が高く、かつ、波長450nmの光線透過率が高い。
【0103】
このように、実施例4−1〜4−3のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)が本来有する耐熱性が損なわれることがなく、可視領域での光線透過率が高い。そして、このようなポリカーボネート樹脂組成物を成形した成形品は、黄色度が小さく色相に優れる。
【0104】
なお、実施例4−1〜4−3のポリカーボネート樹脂組成物には、亜リン酸エステル系化合物(C)として、特に、一般式(2)で表される化合物が配合されているので、該一般式(2)で表される化合物と一般式(1)で表される特定のテトラメチレングリコール誘導体(B)との相乗効果により、可視領域での光線透過率及び色相の向上効果がより大きい。
【0105】
これに対して、比較例4−1のポリカーボネート樹脂組成物は、亜リン酸エステル系化合物(C)の量が少ないので、積算透過率が低い。このように、比較例4−1のポリカーボネート樹脂組成物は、可視領域での光線透過率が低い。
【0106】
比較例4−2のポリカーボネート樹脂組成物は、亜リン酸エステル系化合物(C)の量が多いので、積算透過率が低く、かつ、波長450nmの光線透過率が低い。このように、比較例4−2のポリカーボネート樹脂組成物は、可視領域での光線透過率が低く、このようなポリカーボネート樹脂組成物を成形した成形品は、黄色度が大きく色相に劣る。
【0107】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、詳細な説明を提供した。
【0108】
したがって、詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0109】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本開示は、導光板、面発光体材料、銘板等の光学用成形品として好適に用いることができる。