特許第6987935号(P6987935)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6987935宇宙ベースの太陽エネルギを収集及び分配するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987935
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】宇宙ベースの太陽エネルギを収集及び分配するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/20 20160101AFI20211220BHJP
   H01L 31/042 20140101ALI20211220BHJP
   H02S 10/40 20140101ALI20211220BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20211220BHJP
【FI】
   H02J50/20
   H01L31/04 500
   H02S10/40
   H02J50/40
【請求項の数】7
【全頁数】78
(21)【出願番号】特願2020-133182(P2020-133182)
(22)【出願日】2020年8月5日
(62)【分割の表示】特願2017-525316(P2017-525316)の分割
【原出願日】2015年7月23日
(65)【公開番号】特開2020-191781(P2020-191781A)
(43)【公開日】2020年11月26日
【審査請求日】2020年9月4日
(31)【優先権主張番号】62/028,000
(32)【優先日】2014年7月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/148,570
(32)【優先日】2015年4月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517023769
【氏名又は名称】ハイランド デイヴィッド
(73)【特許権者】
【識別番号】517023770
【氏名又は名称】アルトワイジリー ハイセム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ハイランド デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】アルトワイジリー ハイセム
【審査官】 杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−222220(JP,A)
【文献】 特開平4−115184(JP,A)
【文献】 特開平6−253476(JP,A)
【文献】 特開平6−253477(JP,A)
【文献】 特開平6−327172(JP,A)
【文献】 特開平7−329898(JP,A)
【文献】 特開平8−33241(JP,A)
【文献】 特開平8−198188(JP,A)
【文献】 特開平11−355027(JP,A)
【文献】 特開2001−320217(JP,A)
【文献】 特開2002−95189(JP,A)
【文献】 特開2002−362500(JP,A)
【文献】 特開2003−134700(JP,A)
【文献】 特開2003−164077(JP,A)
【文献】 特開2003−309938(JP,A)
【文献】 特開2005−136542(JP,A)
【文献】 特開2006−86140(JP,A)
【文献】 特開2010−4324(JP,A)
【文献】 特開2012−248843(JP,A)
【文献】 特開2013−5378(JP,A)
【文献】 特開2014−30005(JP,A)
【文献】 特開2014−49506(JP,A)
【文献】 特表2008−507948(JP,A)
【文献】 特公昭45−36056(JP,B1)
【文献】 中国特許出願公開第103236804(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0289342(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0080135(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0266995(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0290296(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0032673(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0099599(US,A1)
【文献】 米国特許第3276726(US,A)
【文献】 米国特許第3863064(US,A)
【文献】 米国特許第4496215(US,A)
【文献】 米国特許第6339397(US,B1)
【文献】 国際公開第2005/104331(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/042
H02J 50/00
H02S 10/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性の基板の上に設けられ、ソーラーパワーによるマイクロ波を放射するシステムであって、
それぞれが太陽光の光子から電力を生成でき、パワービームにおいてマイクロ波を生成できるマイクロ波ビームを形成する複数の送信機と整列設置された複数のソーラーセルであって、前記各送信機が前記ソーラーセルと整列設置された透明なマイクロ波パッチアンテナを有しているソーラーセルを備え、
前記各ソーラーセルは、その近傍に配置された送信機に電気的に接続され、かつ、当該送信機に電力を供給し、
前記各送信機は、前記ソーラーセルによって電気的に活性化されたときに、個々にマイクロ波パワービームを生成可能であり、
さらに、前記各送信機からの各個別のパワービームを制御して少なくとも1つのより強い制御されたマイクロ波のパワービームを生成する、前記各送信機に機能的に接続されたビーム形成制御手段をさらに含み、前記複数の送信機の間の側方ローブ干渉を低減するために、前記ソーラーセル、送信機、電気的接続手段及びビーム形成制御手段は前記基板上に配置されているシステム。
【請求項2】
前記より強いパワービームの方向及び強度の制御を可能にする、前記ビーム形成制御手段に機能的に接続された外部ビーム制御手段を含む、請求項に記載のシステム。
【請求項3】
前記ビーム形成制御手段に機能的に接続され、外部信号を検出するとともに自動的により強いパワービームを形成して外部信号源の点へ返すための、内部制御手段を含む、請求項に記載のシステム。
【請求項4】
前記ビーム形成制御手段は、複数のより強いパワービームを生成し、方向付けするようにされている、請求項に記載のシステム。
【請求項5】
可撓性の前記基板は地上に置くことができ、前記ビーム形成制御手段は、非共同ターゲットを探すために信号を送信することかでき、かつ、前記非共同ターゲットを連動させるために少なくとも1つのより強いパワービームを方向づけることができる、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
可撓性の前記基板はエアロスタットであり、前記ビーム形成制御手段は、非共同ターゲットを探すために信号を送信することかでき、かつ、前記非共同ターゲットを連動させるために少なくとも1つのより強いパワービームを方向づけることができる、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
可撓性の前記基板は空間に配置され、前記より強いパワービームは、放射圧の力によって空間の物体の状態ベクトルを変えるために運動量を伝えるよう方向づけられる、請求項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0002] 本発明は、一般に、太陽エネルギ電力の発生及び伝達に、特に、宇宙に位置する球状装置に分散させた光電池から電力を発生して、エネルギを分配ノードに伝達するめのシステム及び方法に関する。
[関連出願の相互参照]
[0001] 本出願は、2014年7月23日に提出された仮出願第62/028,000号及び2015年4月16日に出願された仮出願第62/148,570号の優先権を主張し、それらは参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0003] 太陽エネルギは、多くの場合、光電池を用いて太陽光を収集し電力へ変換したものである。太陽光を捕える間に化石燃料が燃焼しないので、太陽エネルギは「地球に優しい」又は再生可能なエネルギ源と考えられる。燃える化石燃料と温室効果ガスとの間に強い関係があり、これに関する関心の故に、太陽エネルギ技術及び設置は成長してきた。国際エネルギ機関は、2050年までに、太陽エネルギが世界の電気ニーズの27%を供給する可能性があると予測した。太陽エネルギを収集する現行の方法は、太陽エネルギ発生システム(SEGS)又は太陽施設の開発を含む。一般に、これらのシステムは、特に土地及びメンテナンスの形で高い資本費用を必要とし、主エネルギ資源としての太陽エネルギの成長を抑制する。さらに、太陽エネルギは、石炭及び核エネルギと比較して、あまり効率的でないエネルギ源と考えられ、その理由は、夜間はエネルギを発生できず、断続的なエネルギ源であることによる。
【0003】
[0004] 宇宙ベースの太陽エネルギは、宇宙の太陽エネルギを使用のために地球上で利用する概念である。太陽エネルギを収集するための手段が地球上に位置する現行の収集方法と異なり、宇宙ベースの太陽エネルギによれば、空間の太陽エネルギを捕らえることが可能になる。太陽エネルギは、収集地点を宇宙へ移行することによってより効率的に捕らえることができる。宇宙ベースの太陽エネルギの利点は二重であり、収集率がより高く、しかも収集期間がより長い。より低い地球軌道には太陽によって伝達されたエネルギを拡散する大気がないので、宇宙ベースの太陽エネルギは、現行の太陽エネルギの捕捉方法よりも効率的である。さらに、宇宙ベースの太陽エネルギを収集する手段は、絶えず太陽に対面でき(即ち、夜はない)、断続的な発生の問題を克服する。
【0004】
[0005] 従前の宇宙ベースの太陽エネルギにおける設計思想は、主に、宇宙で組み立てる必要がある連結式構造に頼っており、多くの構成部品を軌道中に打ち上げることが必要となる。これらの特性は、作動システムを配備するために莫大な初期投資及び技術開発を必要とする。そのようなシステムの一例は、海軍研究所における5MWのSSP配置であり、それは、2つの18,300平方メートルの太陽光利用配列と、直径が1キロメートルのマイクロ波アンテナとで構成される。エネルギ連結部SSP配置は、5メガワットのエネルギを発生するに過ぎず、効率がわずか10%が良いと推測される。さらに、SSP配置では、回転移動するリレーミラーが必要とされ、それによりエネルギを太陽電池に向けて、リレーミラーが捕えたエネルギの一部を使用する。最後に、SSP配置は、多数の伝達媒体によって打ち上げて軌道中で組み立てる必要がある。これらの理由により、SSP配置は、桁違いの費用がかかり、非能率的であると考えられる。
【0005】
[0006] 従前の設計の別の実施例は、任意の大きな位相配列を用いる太陽エネルギ衛星(SPS−ALPHA)である。SPS−ALPHA配置も非常に大きな構造であり、太陽光利用配列で反射した太陽光の出力先を変更するために、何千もの回転するミラーが必要である。SSP配置と同様に、SPS−ALPHAは、それを組み立てる必要がある全ての構成部品を一定の間隔に置くために、複数の打ち上げが必要となる。SPS−ALPHAは、SSP設計で見つかった問題のいくつかを克服するが、同様に桁違いの費用がかかり、非能率的であると考えられる。
【発明の概要】
【0006】
[0007] 本発明の1つの態様に従って、球状の織物気球は、プリントされた光電池及び送信部を備えて太陽エネルギを捕らえ、放射を用いてそれを地表の収集ステーションに送信する。気球に用いる織物は薄く可撓性であり、可動部又は機械的な動きは不要である。従前の設計と異なり、気球は、直径が1キロメートルに過ぎず、軌道での製造又は建造は不要である。適応性のある位相配列技術を用いて、低振幅のビーコンによって受信可能な放射の伝達を生み出し、それを電力に変換することにより、本発明は、宇宙ベースの太陽エネルギを実現可能にする。こうして、本発明による実施形態は、太陽のあらゆる角度から太陽エネルギを収集することが期待されるので、夜でもエネルギを連続的に効率的に発生して、それをマイクロ波放射の形で送信することができる。本発明はまた、打ち上げのために既存の重量物運搬伝達媒体をパックできることが期待され、軌道中に静止すれば、手動による又はロボットによる組立てが不要である。
【0007】
[0008] 本発明のこれらの及び他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明を図面と一緒に読むことにより一層よく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】[0009] 本発明の1つの実施形態の横方向上方からの図である。
図2】[0010] 本発明の実施形態の横断面図である。
図3】[0011] 本発明の代替的な実施形態の横断面図である。
図4】[0012] 本発明の実施形態の側面図である。
図5】[0013] 本発明の実施形態の手順のフローチャートである。
図6】[0014] 本発明の別の代替的な実施形態の横方向上方からの部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0015] パワースター(商標)システム
【0010】
[0016] 図1の実施形態は、太陽エネルギ収集気球100を提供し、それは、地球101上の静止した高度にて膨張される。この実施形態では、太陽エネルギ収集気球100は、球形状とされ、太陽マイクロ波織物200の複数の三角布103、105、107を丸めた辺109及びとがった端111にて連結することによって組み立てる。とがった端111に極冠113を置く。地球101上に少なくとも1つのレクテナビーコン115が立てられ、エネルギ伝達117を受け取ってビーコン放射119を送信する。この実施形態では、太陽エネルギ収集気球100は、太陽マイクロ波織物200で構成される。
[0017] 太陽マイクロ波織物200
【0011】
[0018] 図2は、太陽マイクロ波織物200の実施形態の断面を示す。この実施形態では、太陽マイクロ波織物200は、外面層201、基板層203及び内面層205を有する。太陽マイクロ波織物200の外面層201上に、光電池207及び209をプリントすることができる。光電池207及び209は、発電するための長鎖分子を用いた重合体電池、色素増感太陽電池、銅インジウムガリウムのセレン化物電池、又はカドミウムテルル化物太陽電池とすることができる。
【0012】
[0019] 同様に、太陽マイクロ波織物200の外面上に、マイクロ波送信部211がプリントされる。この実施形態では、マイクロ波送信部211は、光電池207及び209に重ならない態様で置かれる。これらのマイクロ波送信部211は、プリントされたマイクロ波パッチアンテナとすることができる。マイクロ波パッチアンテナは、接地した誘電体基板に取り付けた金属パッチを備える。誘電体基板は、信号を増幅するために共振空胴を設けている。これらのマイクロ波送信部211は、幾何学的に規則的な配列でプリントすることができ、それにより主な高密度点における中心輪形部分と、規則的に離間したオフセット点における複数の格子輪形部分とを有する、開口先端ひろがり関数を生み出す。これは理想的な配列ではなく、その理由は、実際の生成された分布は、所望の分布及び点広がり関数のたたみ込みであるので、格子輪形部分は、所望のエネルギ分布を近似するのに用いる精度に悪影響を及ぼすためである。従って、織物上にマイクロ波送信部211を置くことは、それが光電池207及び209に重ならない限り多少ランダム化される。ランダム化により、格子輪状部分の分散が可能になり、結果として放出された放射においてエネルギ高密度部のままであるのは中央輪状部分のみである。これらの光電池207及び209にエネルギ連結部213及び215が取り付けられ、電池を少なくとも1つのマイクロ波送信部211に結び付ける。エネルギ連結部217、219、221は、マイクロ波送信部211を、基板層203の厚さを通って内面層205にある送受信部223に接続する。各マイクロ波送信部211は、隣接する光電池207及び209、又は内面層205の上の送受信部223によって給電される。複数送受信部223は、高周波で作動し、各々の直径方向で向かい側にある対の共振する軸線が平行となるように向けられる。基板層203は、電気的接地及び剛性付与のために銅グリッド225を収納する。各マイクロ波送信部211はアナログ回路227を装備している。
【0013】
[0020] 図3に示す代わりの実施形態では、光電池307、308及び309上に光学的に透過性のマイクロ波パッチアンテナ311が直接プリントされるので、太陽マイクロ波織物の全ての領域が太陽エネルギを収集する。これらの光学的透過性のマイクロ波パッチアンテナは、網目模様にプリントすることができる。図2と同様に、この実施形態の太陽マイクロ波織物300は、外面層301、基板層303及び内面層305を有する。この実施形態の太陽マイクロ波織物300では、光電池307、308及び309は外面層301上にプリントし、又は光電池307、308及び309は、互いに隣接する全ての配列にプリントすることができる。これらの光電池307、308及び309に、エネルギ連結部313、314及び315が取り付けられ、光学的透過性のマイクロ波パッチアンテナ311に電池を結合する。エネルギ連結部317、319、321は、光学的透過性のマイクロ波パッチアンテナ311を、基板層303の厚さを通って、内面層305内の送受信部323、324及び325に接続する。隣接する光電池307、308及び309、又は光学的透過性のマイクロ波パッチアンテナ311は、内面層305上にある送受信部323、324及び325によって給電される。送受信部323、324及び325は、エネルギ連結部327、328及び329によって光電池307、308及び309に接続される。基板層303は銅グリッド331を収納する。
【0014】
[0021] 図2に戻って、太陽マイクロ波織物200の基板層203は、光電池207及び209、並びにマイクロ波送信部211のプリントを可能とし、しかも本発明が機能するための他に、耐引裂性が適切でかつ密度が最小であるために必要な、広範囲の温度に耐えることができる、あらゆる材料とすることができる。そのような材料は、マイラー又はカプトンを含む。マイラーは、摂氏−70度から摂氏150度の範囲の温度に耐えることができ、一方カプトンは、摂氏269から摂氏400度の温度で機能することができる。1420kg/m3でのカプトンの容積測定密度は、1390kg/m3でのマイラーのそれよりも僅かに大きい。
【0015】
[0022] 太陽マイクロ波織物は、太陽エネルギ収集気球への適用例に限定されない。織物は宇宙内にて又は地球上にて複数の適用例で使用することができる。太陽マイクロ波織物はまた、どのような立体形も覆うことができ、球体を覆うことに限定されず、又は太陽エネルギ収集気球と同様に、球形状に縫い付けて膨張することができる。太陽エネルギマイクロ波織物は、地球表面上に平坦に置くこともでき、それにより太陽エネルギを発生して、マイクロ波送信部の送信範囲内に置いたビーコンに太陽エネルギを送信する。
[0023] 手順
【0016】
[0024] 太陽及びビーコンの方向が一致しないならば、太陽エネルギ収集気球の表面は、図4に示すような4つの区分、即ち1)太陽光及びビーコン放射の両方にさらす区分410、2)太陽光にさらすがビーコン放射にさらさない区分420、3)ビーコン放射を受けるが、太陽光を受けない区分430、及び4)太陽光もビーコン放射も受けない区分440に分割される。区分1)410内のマイクロ波送信部は、隣接する光電池からエネルギを引き込む。区分3)430内のマイクロ波送信部は、ビーコン信号を受信可能であるので活性であることが必要とされ、近くの光電池によって又は接続された送受信部のうちより多くのエネルギを生成している方から給電される。区分2)420及び区分4)440内のマイクロ波送信部は、ビーコン信号がないので、目的通りに遮ぎられ又は機能していない。従って、マイクロ波送信部は、エネルギを引き込む必要がなく不活性である。
【0017】
[0025] 太陽エネルギ収集気球は、目的が異なる各区分1)〜4)を備える一連の工程として機能し、各区分はレクテナビーコンにマイクロ波放射を同期して転送するために作動する。エネルギを発生させて、レクテナビーコンに転送する方法の工程が、図5に示される。光電池は、太陽光又は太陽エネルギを吸収し、それを電気に直接変換する(工程510)。区分1)内のマイクロ波送信部は、隣接する光電池520から発生した電気を、マイクロ波送信部を近くの光電池に結合するエネルギ連結部を用いて引き込む(工程520)。区分2)内の光電池によって発生した電気は、基板を通って直ぐ近くの内面層の送受信部に転送される(工程530)。この転送は、光電池を送受信部に間接的に又は直接的に結合するエネルギ連結部によって行う。区分2)内の送受信部は、電力ビームを、区分3)に向かう球体の中央を通って放出し(工程540)、結果として区分3)内の送受信部によって電力ビームを受け取ることができる。区分3)内のマイクロ波送信部は、受けとった電力を、基板層の厚さを通って近くの内面層内の送受信部から引き込む(工程550)。この電力の引込みは、送受信部をマイクロ波送信部に直接結合する電力連結部によって行なう。各送信部は、数ワットを受信するに過ぎないので、高電圧も大きなワイヤーもない。この局所的な基本設計概念は、部分的な損傷に対する強健さを意味する。
【0018】
[0026] 各マイクロ波送信部は、それがレクテナビーコンから受け取るビーコン信号の位相を共役させる(工程560)逆向きの回路を装備しており、次いで、信号を増幅して、それを再送信する(工程570)。このように、マイクロ波送信部は、その逆方向回路とともに、任意の1つのパッチアンテナが受信したビーコン放射に比例して増幅された信号を放出する。太陽エネルギ収集気球の太陽マイクロ波織物は、レクテナビーコンの位置又は太陽マイクロ波織物表面の幾何学的形状に関する演繹的知識なしに、高密度信号をレクテナビーコンに向ける。各送信部にてレクテナビーコン信号の位相共役を実行する1つの方法は、ヘテロダイン技術である。ヘテロダイン技術は、アナログハードウェアを用いるだけで位相共役を達成し、比較的単純な回路類であり、デジタル処理がなく、しかも宇宙放射環境に対する多くの抵抗を備える。この技術を用いて、送信部は、周波数がビーコン信号の2倍である局所的発振器の信号によって励起される混合器に連結される。従って、ヘテロダイン技術は、デジタル処理及び宇宙放射環境に対する抵抗を許さない。結果として生じる信号の周波数は、ビーコン信号周波数と比べて非常に大きく、レクテナビーコンが受信したとき、周波数は容易にフィルタをかけて抑制される(工程580)。レクテナビーコンは、結果として生じる信号にフィルタをかけて、マイクロ波信号を直流電力に変換する(工程590)。各レクテナの位置には、低電力のマイクロ波ビーコンが置かれる。抑制する必要がある別の信号は、位相共役器の出力に直接漏れるビーコン信号である。本発明の1つの実施形態では、この漏れ信号を除去するために、均衡した混合器トポロジを用いることができる。
【0019】
[0027] VBcos(ωBt+θB) を何れか1つのパッチアンテナが受信したビーコン放射とし、
[0028] VLOcos(ωLOt) を局所的発振器の信号とすると、
[0029] VM =混合した積は、
[0030] VM = VBcos(ωBt+θB) VLOcos(ωLOt)
[0031] = 1/2BVLO [cos((ωLO - ωB)t - θB) + cos((ωLO + ωB)t + θB)]となる。
【0020】
[0032] 局所的発振器の周波数がビーコン周波数の2倍でアレイば、ωLO = 2ωBであり、従って、
[0033] VM = 1/2 VBVLO [cos(ωBt - θB) + cos(3ωBt + θB)]である。
【0021】
[0034] 位相配列のパッチアンテナ素子は、太陽マイクロ波織物に等間隔で位置し又は随意的に位置し、或いは異なる層の上に位置することができる。局所的発振器の周波数を変更することによって、再放射された信号は周波数を変調できる。本発明の代わりの実施形態では、単一のマイクロ波送信部が、他の全てのマイクロ波送信部に信号を送信する。他のマイクロ波送信部は、この信号を基準信号として使用するアナログ位相ロックループに局所的発振器を埋め込む。基準信号は、アナログ乗算器及びフィルタから構成された位相検波器に供給される。低域にフィルタをかけた出力が、電圧が制御された発振器への入力となる。電圧制御発振器からの出力は、次に、負フィードバックループ内で、わずかな利得で位相検波器へ返される。
【0022】
[0035] 2ωB を単一の送信部が他の全ての送信部に送った信号とすると、
[0036] Lk = 同期するマイクロ波送信部からの基準信号は
[0037] = Vref(2ωBt+ψref)となる。
【0023】
[0038] 同期するマイクロ波送信部からの基準信号は、アナログ乗算器及びフィルタから成る位相検波器に供給することができる。低域をフィルにかけた出力は、電圧制御発振器に入力され、その出力は、次に、利得がわずかな位相検波器への負フィードバックループに返される。全N個のアナログ位相ロックループの動力学は以下によって特徴付けられる。
【0024】
[0039] ψk をk番目のマイクロ波送信部の位相とし、
[0040] τ を時定数とし、
[0041] gv を電圧が制御された発振器の感度とすると、
[0042] ψ”k + (1/τ)ψ’k + γ sin(ψk - ψref) = 0 = 減衰振り子の動き同じ
[0043] k = 1, …, N
[0044] γmk = (gvC/2τ)VrefVLOk > 0
【0025】
[0045] このように、全てのマイクロ波送信部の局所的発振器の位相は漸近的に基準位相に接近する。
【0026】
[0046] 全ての局所的発振器の同期を1つの送信部に頼ると、単一障害点の危険を負うことがある。従って、本発明の別の実施形態では、同期を各送信部回路内に組み込み、特別の基準ユニットを有しないことが好ましい。この実施形態では、2ωBのような特定の周波数で混信が起こり、混信は、アナログ位相ロックループに対する基準信号になる。本発明のさらに別の実施形態中では、局所的発振器は、アナログ位相ロックループによって置換される。アナログ位相ロックループの出力は、周波数2ωBに中心がある帯域通過フィルタに入力される。次いで、低い振幅フィルタ出力は、周波数2ωBにて位相共役信号に加算され、加算結果は、マイクロ波送信部によって送信される。パッチアンテナに存在する不可避の多少の混信は、漏れた2ωB信号を受信する隣接するアンテナに行きつく。同様に、混信に起因して、アンテナkは他のパッチアンテナによって送信された2ωB信号を受信する。この受信信号は、他の全ての周波数容量を抑制する周波数に中心がある帯域通過フィルタを通過し、その出力は、アナログ位相ロックループのための基準信号Lkとして役立つ。複数のマイクロ波送信部が互いに近くに置かれると、短時間内に、それらの局所的発振器は全て同期する。従って、位相共役した信号は、共通の時間基準にロックされる。
【0027】
[0047] 隣接する送信部から送信部kに入る混信信号には論理形式があり、
[0048] Lk = ΣβmkVLOm cos(2ωBt + ψm) であり、極限は m = 1,…, N で始まり、 m ≠ k であり、
[0049] βmk = βmk 、実数かつ正数 ∀ k, m = 1,…, N である。
【0028】
[0050] 次に、アナログ位相ロックループの分析を拡張して、位相の動力学 ψk, k = 1,…, N は、
[0051] ψ”k + (1/τ)ψ’k + Σγmk sin(ψk - ψm) = 0
[0052] γmk = γkm > 0 によって表される。
【0029】
[0053] これらは、N個の結合された振り子方程式である。位相が全て同じ値に収束することを示すのは簡単である。換言すれば、複数の送信部が互いに近くに置かれると、短時間内に、それらの局所的発振器は全て同期する。従って、この高度に分散化された機構を用いて、位相共役信号は、共通時間基準にロックされる。
【0030】
[0054] 本発明の代わりの実施形態では、マイクロ波送信部はマイクロプロセッサを有し、マイクロプロセッサは、レクテナビーコンから受信したビーコン放射を記録し、放射波形を記録し、同時に逆時間で帰還信号を発する。この実施形態では、放射は、広がる干渉縞で始まり、次いで、球体の外周にある各マイクロ波送信部が、その位置で測定された場振幅の時間信号を記録し、逆時間で記録された信号を送信する。結果として生じる、レクテナビーコンに送られた送信信号は、レクテナビーコン位置に中心がある、強度の集中スポットを有する。これらのスポットは、点広がり関数分布を表わし、ビーコンよりも広い。接地板スポットのより広い幅は、主として、太陽エネルギ収集気球の外形寸法に比例する。位相アレイが平坦であるという通常の仮定にもかかわらず、所望の地表分布が再現される精度は、多くの場合、形状ではなく大きさに依存する。
[0055] 配置
【0031】
[0056] 本発明の1つの実施形態では、太陽エネルギ収集気球は、配置されて静止軌道で膨張する。太陽エネルギ収集気球の配置方法をより理解するためには、そのパッケージ方法を検討することが必要である。図6に示される本発明の1つの実施形態では、各それぞれの三角布601、603及び605は、工程600にてひだ付け技術を用いてひだを付けて折り畳まれ、1つの真っ直ぐな縁607と、1つの曲がった縁609とを有する。三角布のひだ付け及び初期折曲げが終了すると、気球全体は工程610にて折り畳んで弾頭内に入れ、それは、打ち上げ通信媒体ペイロードフェアリングに容易に収まることができる。次いで、このペイロードは、工程628に示すようにロケットで打ち上げる。
【0032】
[0057] 静止軌道では、工程630にて、弾頭が開き、粉末の昇華のような既知の技術の何れか1つを用いて太陽エネルギ収集気球が膨張する。1つの実施形態では、昇華する粉末は、球体の内面全体を覆うことができ、別の実施形態では、昇華する粉末は、太陽エネルギ収集気球の内面に連結されたポケット内でカプセル化することができる。太陽エネルギ収集気球を膨張させるために使用できる、2つの公知の昇華粉末は、アントラキノン及び/又は安息香酸である。本発明の別の実施形態では、太陽エネルギ収集気球は、太陽エネルギ収集気球の表面が剛性点に達するまで、ガス圧力を用いることによって膨張する。この剛性点に達すると、太陽エネルギ収集気球又は太陽エネルギ収集気球のパッチに配置された弁が開き、内部をさらしてガス圧力を放出する。膨張すると、工程640に示すように、太陽エネルギ収集気球は、太陽エネルギを収集してそれをレクテナビーコンに伝達することができる。
【0033】
[0058] 太陽エネルギ収集気球が静止軌道に置かれると、太陽圧力が気球上に連続的な力として作用する。地球に対する太陽エネルギ収集気球の位置に応じて、太陽圧力は、気球の軌道距離を増加又は減少させる。軌道距離が減少し、その後太陽圧力の効果によって当初の軌道に戻るので、静止軌道から中間軌道までの変位振幅又は距離は、2.19メートルで一定であると判定される。従って、当初の円軌道については、太陽圧力の効果は非常に小さい。
[0059] エネルギ通信/伝達
【0034】
[0060] 収集ビーコンへのエネルギ伝達に逆向きの位相アレイ能力が必要となる。収集ビーコンは整流アンテナとすることができる。エネルギ受取りステーションに、低振幅マイクロ波ビーコンが接続される。各パッチアンテナに存在するアナログプロセッサが、その位置でビーコン放射を受信し、次にその位相を共役させ、それを増幅し、それを伝達する。信号全体は、各ビーコンの場所に中心がある集中ビーム又は逆向きの位相アレイを形成する。1つの実施形態では、デジタル回路類に特有な宇宙放射への感度を回避する高性能アナログ回路が使用される。
【0035】
[0061] 本発明の代わりの実施形態では、逆向きの位相アレイは、「活性モード」で作動することができる。この実施形態では、パッチマイクロ波アンテナは、通電されて広い指向性放射パターンを伝達する。この実施形態における逆方向のビーム伝達用のビーコンは、飛行体の放射リターンのような任意の放射とすることができる。広い指向性放射パターンが短い距離にわたって適用されると、出力密度は増加する。そのような高エネルギ密度は、飛行体の放射リターンが逆方向のビーム伝達用のビーコンとして設定されると、航空機の動作を停止することができる。
【0036】
実施可能性
本発明の実施可能性を検証するために、A)ソーラーパワー収集バルーンのような大型構造体上のソーラー圧力の影響の解析、B)軌道環境のソーラーパワー収集バルーンの熱解析を含む種々の解析を行った。
【0037】
A)ソーラー圧力解析
ソーラーパワー収集バルーン上のソーラー圧力の影響を理解するために、古典ニュートン力学及び不変角運動量を使用して解析を行い、経時的な軌道の低下を求めた。ソーラー圧力に起因する
で示される球形ソーラーパワー収集バルーンの加速度は、以下の通りである。
【0038】
マスに関する式(18.b)及び設定値
を用いて、

を得た。
【0039】
地球軌道でのソーラーパワー収集バルーンの長半径はAUよりも非常に短いので、単位ベクトル
は、地球の中心から太陽への線分にほぼ沿っている。X軸がこのベクトルに整列すると仮定すると、X軸は、Y軸と共に軌道面を定める。極座標(r、θ)を導入する。θは、以下の図面に示すように地球−太陽線分からの角度である。また、この基準座標系の回転は無視する。

【0040】
NRL 5MW 第1のレベニューユニットデザインの特性の概要
これらの仮定に基づいて、動的方程式は2つに限定される。すなわちソーラー圧力に起因する角運動量の変化率に関するエネルギ積分及び表現である。
【0041】
ここでEは全初期エネルギである。一般に、この解法は周期的である。ソーラーパワー収集バルーンに関して、ソーラー圧力を無視した場合の公称運動は、最初は
である、r0で示される軌道半径での円軌道である。次に、フーリエ級数展開の主要項は、
である。
【0042】
前記の式を利用して、ソーラー圧力に起因する軌道半径の変動を求める。最初、ソーラーパワー収集バルーンは、赤線で示す静止軌道上に位置し、ソーラー圧力は、連続力としてソーラーパワー収集バルーン上に作用する。さらに、地球に対するソーラーパワー収集バルーンの位置に応じて、ソーラー圧力は、ソーラーパワー収集バルーンの軌道距離を増加又は低減させる。この変動は図4.8に示されており、ソーラー圧力の影響に起因して、軌道距離が低減した後で元の軌道距離に復元する。変位振幅、すなわちソーラー圧力に起因する静止軌道から平均軌道までの距離は、定数2.19メートルであることが明らかになった。従って、最初の円軌道ではソーラー圧力の影響は非常に小さい
【0043】
B)熱解析
以下は、実施される熱解析のための支配方程式の改善をもたらす。
最初に、パワー分配領域による熱入力を列挙する(単位面積当たり)。
セクション4):0
セクション2):まず、ソーラーセルの効率は、定義上、ηs=(パワー出力)/(全ソーラーパワー入力)である。ここで全ソーラーパワー入力=1/αs(吸収された全ソーラーパワー)であることに留意されたい。従って、
ηs=αs(パワー出力)/(吸収ソーラーパワー)
である。
【0044】
消散パワーは、吸収パワーからパワー出力を差し引いたものである。
(消散パワー)/(吸収ソーラーパワー)=1−ηs/αs
【0045】
また、吸収ソーラーパワー=αsscosθsである。
単位面積当たりのソーラーセルによる消散パワー=(1−ηs/αs)αsQscosθsであり、θsは、太陽の方向と表面に垂直な局所との間の角度である。
近接内部トランシーバによる消散パワー=(1−ηTi)ηsαsQscosθsである。
【0046】
セクション1):
単位面積当たりのソーラーセルによる消散パワー=(1−ηs/αs)αsQscosθsである。
近接外部トランシーバによる消散パワー=(1−ηTe)ηsαsQscosθsである。
【0047】
セクション3):
近接内部トランシーバによる消散パワー=(1−ηTi)ηTiηsαsQscosθsである。

近接外部トランシーバによる消散パワー=(1−ηTe)ηTiηTiηsαsQscosθsである。
【0048】
ソーラーパワー収集バルーンの表面上の局所座標系
全計算領域を見出すために、セクション2)に関して、

である。
【0049】
セクション3)に関して、結果は、ψ積分の区間が異なる以外は2)と同じである。

【0050】
置換を行うと全消散パワーは、
である。
【0051】
各項を結合すると、
となる。
【0052】
球体の表面上で温度がほぼ一様と仮定すると、放出パワーは、
である。これを前記の式と同等と見なし、平衡温度について解くと、
となる。
アンテナ及びソーラーセルの両方の効率が低い場合であっても、平均温度は生存及び動作のための許容範囲内にとどまる。
【0053】
別の用途
地球上でのソーラーパワー発生
ソーラーマイクロ波ファブリックを使用して電力を発生して、都市環境又は工業団地に位置する平均的なオフィスビルに電力供給することができる。米国での平均的なオフィスビルは、全床面積が約15,000平方フィートであり、年間17.3キロワット時の電力を使用する。これは29.6キロワットの平均電力消費量を意味する。これを単一のビルでの所要電力とする。この実施形態において、ビルの屋上又は隣接する駐車場にレクテナビーコンを配置することができる。従って、レクテナビーコンのサイズは、割り当てられる空間に起因して特に重要である。レクテナビーコンのサイズは、ソーラーパワー収集バルーンからの中心伝達信号の直径とする必要がある。マイクロ波領域の超低波長を用いると仮定した100メータのソーラーパワー収集バルーンに基づく計算では、ソーラーパワー収集バルーンは、地上に約3.5キロメートル信号を投射することになる。この信号サイズを仮定すると、この実施形態は、大型工業団地又は商業施設に最も適している。
【0054】
遠隔地防御メカニズム
本発明のこの実施形態は、電力伝達「アクティブ」モードを付加した内部トランシーバをさらに含み、それによってマイクロ波放射が、非共同ターゲットに送られ、ターゲットからの返答が高出力密度ビーコンの方向に関するビーコンとして使用される。
【0055】
この実施形態において、コンパクトに折り畳まれたソーラーマイクロ波ファブリックの1又は複数のラグ(rug)は、前線の軍事基地又は同様のアクセスが難しい場所に運ばれ、その後、展開されて地上に広げられる。このラグは平らである必要はない。一度配備されると、印刷された光起電力セルを利用したソーラーパワー、及び従来のパワー管理及び分配システムをもたらす。
【0056】
パワーをもたらす以外に、この実施形態は、「アクティブ」レトロダイレクティブモードで作動することができ、空襲に対する自己防衛が可能になる。マイクロ波パッチアンテナは励起されて、広域指向性放射パターンを送るようになっており、侵入飛行体からの放射リターンは、レトロダイレクティブビーム伝送のためのビーコン信号として使用される。静止軌道での第1のレベニューユニットのソーラーパワー収集バルーンは、安全かつ地上で低エネルギ密度の放射を生じることになる。しかしながら、伝送エネルギが100km未満に低減される場合、パワー密度が膨大になる。ソーラーマイクロ波ファブリックのラグは、数十キロメートル距離で航空機又はロケットを使用不能にするようにデザインすることが容易である。
【0057】
軌道上デブリの除去
この出願において、ソーラーパワー収集バルーンは、退役衛星、使用済み上段等の低地球軌道のデブリに照射するために使用され、軌道上の速度を高層大気に入って燃えるまで放射圧で低減させるようになっている。
【0058】
ソーラーパワー収集バルーンは、中地球軌道等の幾分高い軌道に配置され、マイクロ波放射を下向きに伝送して、デブリ物体がソーラーパワー収集バルーンに近づいてくる間にデブリ物体に命中させる。ビームは、物体がソーラーパワー収集バルーンから遠ざかり始めるとオフにすることができ、物体は低高度軌道に移動する。静止軌道の場合、実現可能なソーラーパワー収集バルーンのパワー密度は非常に低い。しかしながら、千キロメートル未満の距離では、パワー密度は非常に高く、放射圧は有意な力になる。
【0059】
本明細書では、軌道から外れるデブリ物体は、他の物体に衝突することで急増するデブリ源である可能性が高いので、大型でバスの大きさの物体であると想定する。大まかな目標は、年間少なくとも5個の当該物体の廃棄であり、これは低地球軌道のデブリ物体の全数を少なくとも一定にするのに十分であると推定される。
【0060】
ソーラーパワー収集バルーンは、ターゲットに信号を送るように物理法則(逆時間の原則)で規定されるが、他の衛星が経路上に迷い込みソーラーパワー収集バルーンのビームが命中する可能性が依然としてある。しかしながら、ソーラーパワー収集バルーンのビーム幅は、ソーラーパワー収集バルーンの直径(実際は本質的に巨大な開口である)からターゲットでのスポットサイズまで変倍する。ビームがフェーズドアレイから離れる際に、構成的及び破壊的インタフェースは、ビームをターゲットの位置の狭い領域上に分布するように案内する。ビーム経路をさまよう何らかの衛星は、毎秒数キロメートル程度の速度で移動するはずである。万が一に物体が直接ビームを通過すると、最悪の場合、数秒間そうなるであろう。これは対象とする衛星に加えられる何らかの有意な又は顕著なドラッグ効果に対する十分な時間ではないはずである。
【0061】
ターゲットの軌道を減衰させるのとは対照的に、ソーラーパワー収集バルーンは、ターゲットの軌道を上昇させることもできる。前述のターゲティングスキームを少し修正して、ソーラーパワー収集バルーンの高度を犠牲にしてターゲットを上昇させることができる。これは、ターゲットがソーラーパワー収集バルーンに接近する際に力を加える代わりに、ここではターゲットがソーラーパワー収集バルーンを離れる際に力を加える。この実施形態では、物体は、ソーラーパワー収集バルーンの直下(θ=0、X軸から測定)になるとビーコンに連動し、水平を超えるとビーコンに非連動になる。これにより、ソーラーパワー収集バルーンからの放射圧を逆行方向ではなく順行方向に加えることが可能になる。従って、ターゲットの軌道エネルギを弱めるのではなく増強することができる。
【0062】
この軌道上昇の場合のターゲット物体をシミュレートした。ターゲットの目標高度を700キロメートルに設定した。この上昇には、完了までに49日が必要であり、ソーラーパワー収集バルーンは、この手順を実行する間の抗力及び自身の放射圧により約114キロメートルの高度を失った。
【0063】
ソーラーパワー収集バルーンを利用したターゲットの上昇及び低下の両方のシミュレーションでは、ソーラーパワー収集バルーンは、ターゲットに対してサービスを提供しながら自身の軌道を操作できることを理解できる。注意深く計画してターゲットを選択することで、ソーラーパワー収集バルーンは、種々のターゲットの軌道の上昇及び低下を組み合わせたものを行い、自身の軌道上での保守管理を行うことができる。従って、ソーラーパワー収集バルーンの目的が達成されると、又は光起電力セルが劣化すると、自身が低高度に達するまでターゲットの軌道を上昇させることができ、ドラッグ効果又は大気効果によりその寿命が急激に短くなる。2つの軌道低下及び3つの軌道上昇を行った後、ソーラーパワー収集バルーンは超低軌道に達し、ここでは空気力学的な力が急に支配的になる。
【0064】
パワースター(商標):宇宙太陽エネルギへの新しいアプローチ
デイビッドCハイランド(テキサスA&M大学宇宙空間工学部教授、TAMU3141、カレッジステーション、テキサス77843)
【0065】
宇宙太陽エネルギは、ソーラーセル(太陽電池)を介して太陽のエネルギを収集し、可視光又はマイクロ波を用いて地上の収集局へ送信するコンセプトを指す。過去数十年にわたって開発されてきたこれまでのシステム設計は、多くの可動部品を有する巨大な構造を伴うとともに軌道を回るインフラストラクチャ及び宇宙での建造を必要とした。ここでは、非常に新しい技術と古い技術を組み合わせて、可動部品を伴わず、宇宙での建造を必要とせず、そして既存の打ち上げロケットのペイロードフェアリング内にパッケージ化できる設計を作る。
【0066】
イントロダクション
文明の繁栄は、有用なエネルギの源を利用するスキルに比例すると言われている。化石燃料の使用が環境への毒性によって制限されるか否かにかかわらず、文明の進歩には、現在利用可能なエネルギ源よりも実質的に強力なエネルギ源を必要とするだろう。地球の放射性同位元素の埋蔵量は別として、太陽によって生成される核融合を基礎としたエネルギの豊富な供給量は、効率的に利用され続けるだろう。宇宙では太陽の日射が連続的かつ大気による減衰がないため、宇宙における太陽放射の収集は、潜在的には地上における技術に比べて桁違いに効率的だろう。このような潜在的な利点が、1960年代初頭から宇宙太陽エネルギシステムを設計する努力の動機付けとなってきた。参考文献2には、以前に提案された設計についてのタイムリーかつ包括的な概観が与えられている。
太陽エネルギシステムは、太陽エネルギを収集し、このエネルギを放射(典型的には大気をほぼ透過する波長帯)に変換し、そして、放射を電力へと変換する地上設備へとこの放射を送信する宇宙セグメントから成り立っている。地上において電力を収集する技術はよく発達しているので、ここでは太陽エネルギ衛星(SPS)と呼ばれる宇宙セグメントに注目する。さらに、ここで想定する太陽エネルギ収集の方法はソーラーセルであり、地上への電力の送信には約10cmの波長を有するマイクロ波放射が選択される。
【0067】
上述の制約の範囲内でも、SPSの多様な設計コンセプトが存在する。このカテゴリーにおけるSPSのための以前の全てのアプローチには、非常に大きな連結構造が含まれており、これらは宇宙で組み立てなければならず(殆どの場合ロボット操作で)、部品を軌道(典型的には静止軌道に)に置くためには多くの打ち上げが必要となる(文献1、2)。このような特性のために、非常に大きな初期投資と、オペレーション装置の分野における技術開発が必要となる。これまでのコンセプトをよく表す比較のための例は、海軍研究試験所(Naval Research Lab)の5MW SSP設計である(文献1)。
【0068】
図1は、このコンセプトの概要を示す。比較のためにこれを選んだのは、定量的に完全なエンジニアリング設計であるだけでなく費用面の分析からである。この図から分かるように、これには2つの18,300平方メートルのソーラーアレイと直径1キロメートルのマイクロ波アンテナが含まれる。回転リレーミラーはエネルギをソーラーアレイに向け、その他の構造物は鉛直方向を向いている。この研究は、最終的に10%の効率を想定し、5メガワットの電力の送信を可能とするファーストレベニューユニットを目標とする。典型的には、このタイプの設計は単一のロケット本体では打ち上げられず、軌道上で人間又はロボットによって組み立てる必要がある。

1.マイクロ波アンテナ 直径1キロメートル
2.全10%の効率を想定(遮られた太陽光から地球の電力へ)
3.2つのソーラーアレイ領域:18,300m2又は直径152m
4.2つのアレイは南北軸に向き合う送信アンテナの後の主トラス構造に固定される
5.165m、240mの縁の楕円の平面ソーラー反射鏡はこの軸の回りに太陽を追跡して回転する
6.Mantech SRS 反射器は、94%の透過率の宇宙に適したポリイミドからなり、大面積の材料の歪みを防ぐNRLが特許を受けたエッジ処理がなされている
7.アンテナ構造と反射器の内は、NRL大規模構造である
図1 NRL 5MW ファーストレベニューユニットの特性の概要
【0069】
従来の取り組みと比べた大きな進展は、SPS−ALPHA(Solar Power Satellite via Arbitrarily Large Phased Array)である(文献2)。SPS−ALPHAの主構造は、太陽の方向を追って向きを変える必要がない。このシステムは、高度にモジュラー化され、逆方向フェーズドアレイ技術がうまく利用されている。高電圧、電力分布の集中化を避けるように、サンドイッチ構造によってソーラーアレイをマイクロ波送信機に結合している。一方、反射された太陽光をソーラーアレイに再度向けるのに使用されるおそらく数千個の回転ミラーが存在し、太陽放射再方向づけ機能およびソーラーセル放射機能は、異なる大規模構造に分離されている。この大規模構造は、多くロケットを用いないと打ち上げることができず、先進ロボット技術を含む精巧なインフラストラクチャによってこのシステムを軌道上で組み立てる必要がある。したがって、重要な前進ではあるが、このコンセプトは、ファーストレベニューシステムを達成するには巨額の初期投資が必要になるという障害がある。
【0070】
ここで議論する設計コンセプトは、モジュール化および複数機能化を数歩先へ進める。このコンセプトは、新しいためにしばしば見落とされる技術を、古くてほとんど忘れ去られた技術と組み合わせる。この新しい技術は、薄い柔軟性のあるシート上へ、ソーラーセルをマイクロ波パッチアンテナと共に点在するように印刷することである(フォトリソグラフィ、インクジェットプロセスなどで)。印刷されたシートは、大量生産される。古い技術というのはエコー衛星のそれである。大きく薄いシートは、球形のバルーンに組み立てられる。打ち上げ用に、球体は、打ち上げロケットのペイロードフェアリングに適合する小さいコンテナにコンパクトにパッケージ化される。軌道上では、揮発性の材料が昇華されて初期膨張のためのガス圧力が与えられる。印刷されたシート内の金属の層は硬化し、パワースター(商標)球体が放出される。電磁伝搬理論によれば、完全に非集中化された制御アルゴリズムによって、多数の(印刷された)マイクロ波アンテナを、複数のビームを任意の所望の地上の電力収集位置へ送信するよう調整することができることを示が示されている。このシステムは、単一の非常にシンプルな構造であり、転回や機械的な動きを必要としない。さらに、電力配分技術には、数センチメートルの距離にわたる「スキン」のみの電力伝送が含まれる。このため、電力の移転は局所化され、複雑かつ高電圧の電力分布及び管理システムも、大きな電力伝送ワイヤも必要としない。
【0071】
以下のセクションでは、これらの特徴をいくらか詳細に説明し、システムが可動部分を有しないこと、回転要素を必要としないこと、単一の打ち上げロケットから展開できること、部品の故障に対して非情に耐性があること、そして大量生産可能な材料から構成されることを実証する。
【0072】
新たなもの:ソーラーマイクロウェーブファブリック(商標)
非常に新規かつ急速に進展しているパワースター(商標)技術の要素を図2に例示する。低価格ソーラーアレイの大規模生産は進行中である。印刷されるマイクロ波アンテナもよく知られており、数多くの通信用途において急速に進展している。ソーラーマイクロウェーブファブリック(商標)は、これら2つのコンポーネントを同じ柔軟性基板の表面において結びつける。図2の下部は、典型的な断面図を示している。ソーラーセル及びパッチアンテナは、格子状のローブ(lobe)を相殺するためにランダムなモザイク配列に点在されている(重ならないように)。このパターンは、基板シートすなわち「スキン」の外側表面となる側に印刷される。完全なシステムでは、反対表面(球体の内側面となる側)に印刷されたマイクロ波トランシーバ(受信機及び送信機)のみからなるアレイも存在することができる。外側表面のパッチアンテナは、近傍に隣接するソーラーセル(直径数センチメートル)の半分から又は内側のトランシーバからスキンの厚さを通して電力を取り出す。電力移転の詳細については、後述の「衛星間の電力配分」サブセクションで説明する。短い電力用リードに加えて、暖気的な接地及び放出前の球体の強化のための導電ワイヤのグリッドが存在する。このセクションでは、印刷されたソーラーセル、印刷されたマイクロ波アンテナ及び基板材料の選択について議論する。
【0073】
印刷されたソーラーセル
現在、迅速な製造可能性がセルの効率とトレードオフの関係になっているソーラーセル印刷技術の領域が存在する。注目すべき例が、文献3において報告されている。ビクトリアン・オーガニック・ソーラーセル・コンソーシアムが、印刷ソーラーアレイを最大毎分10メートル、すなわち2秒毎に1セルの速度で製造する可能性を実証している。30センチメートルまでの幅で、これらのセルは最大地上日射で1平方メートル当たり10〜15ワットの電力を生成する。基板には、紙の薄さの柔軟なプラスチック又はスチールが含まれる。図3に示すように、これらのセルは、太陽光スペクトルの異なる部分から電力を補足するために、種々の有機材料を組み合わせる。
【0074】

図2 ソーラーマイクロウェーブファブリック(商標)の基本コンセプトの例示


図3 ビクトリアン・オーガニック・ソーラーセル・コンソーシアムの構成
【0075】
比較として、MITソーラーセル(文献4)は、インクジェットプロセスを使って紙の上にセルを印刷する。ほとんどの設計において効率は現在のところ1%〜2%である。しかしながら短期的な目標は4%であり、将来的には5〜10%に達することが合理的に期待される。基準線として、高速製造下での2%という効率が、現在の実現可能なところだと言える。
【0076】
印刷されたマイクロ波パッチアンテナ
アンテナは、コットン・ポリエステル(cotton-polyester)を含む多くの柔軟性材料の上に印刷することができる。効率を向上させるために、多重印刷層を使用することができる。図4に示すように、マイクロ波パッチアンテナは、接地された誘電体の基板上に取り付けられた金属「パッチ」からなる。


図4 マイクロ波パッチアンテナの基本構成
【0077】
誘電体は、伝送される信号を増幅するための共鳴キャビティとなる。Lを共鳴寸法とすると、
L=λ/2 (1)としなければならない。ここで、λは作動波長である。大きい帯域幅とするためにWは通常1.5Lとされるが、ここではW=L=λ/2とする。実用的な印刷解像度は15ミクロンであり、十分な正確さで(1)式を満たすには十分である。表1は、既存のパッチアンテナ(文献5)に対する性能統計の調査結果を示す。現在のところ79%までの効率が達成可能である。
【0078】
表1 種々の印刷パッチアンテナの性能特性
【0079】
基板材料
ソーラーセル及びパッチアンテナは広範囲の材料に印刷されてきたが、我々はエコー衛星技術に非常に密接に関連する2つの材料に焦点を当てる。最も重要かつ最も伝統的なものはマイラー(Mylar)、すなわち樹脂のポリエチレンテレフタレート(PET)から作られるポリエステルフィルムである。この材料は、−70℃から150℃までの温度範囲でその完全な機械的性能を保持する。その体積密度は1390Kg/m3である。代替物として魅力あるものは有機ポリマー材料のカプトン(Kapton)であり、これは−269℃から400℃の温度範囲で溶けず燃えず、良く機能する。体積密度は1420Kg/m3で、マイラーよりもわずかに大きい。継続的な研究によって、適度な引き裂き強度及び最小の密度を持った印刷に適合する材料が探し出されるだろう。
【0080】
古いもの:エコー衛星技術
前のセクションで説明した多機能ファブリックのシートは、複数のゴア(球体の複数の部分)にカットされ、いくつかのゴアは組み合わされて球体バルーン(膨らませたときに)を形成する。この点を超えて、パワースター(商標)はエコー衛星技術を十分に利用する。
【0081】
プロジェクト・エコー(文献6)は、最初の受動的な通信衛星実験だった。2つの衛星のそれぞれは、マイクロ波信号の受動的な反射器として設計されており、それぞれは金属被覆されたPETフィルムのバルーン衛星だった。1960年のエコー1の打ち上げロケットの失敗のすぐ後の同じ年に、トールデルタ(Thor-Delta)ロケットによって直径30.5mのエコー1Aを軌道に置くことに成功した。これは1968年5月24日に大気圏に再突入して燃え尽きた。このエコー1Aのオペレーションの成功に続いて、1964年1月25日に、直径41.1mのエコー2が成功裏に軌道上に展開された。エコー2は、1996年6月7日に大気圏に再突入して燃え尽きた。


図5 エコー衛星技術の種々の外観:(a)エコー1Aの積み込みキャニスタ;(b)閉じられたキャニスタ;(c)畳まれたサブスケールの試作模型;(d)膨らませたサブスケールの試作模型;(e)膨らませ試験中のエコー2
【0082】
図5は、エコー技術の外観を示している。この衛星は、厚さ12.7μmの2軸延伸PET(マイラー)フィルムから作られ、0.2μmの蒸着アルミニウム層でコーティングされた(RF反射性を与えるため)。収容堆積を最小化するために、特別の折り畳み技術が考案された(図5(c)及び(d)参照)。有限の材料強度は曲げた時の曲率半径の下限を定め薄いフィルムのどのような折り目も収容効率を低下させる隙間を生じさせるので、これは重要な特性である。宇宙船用に畳まれたバルーンは、打ち上げのために小さい球形のキャニスタに収容することができた(図5(a)及び(b)参照)。特に、膨らませると直径30.5mの球体となるエコー1Aは、0.71mの縫い目のある球形のキャニスタに収容された。
【0083】
軌道上に置かれると、小さなキャニスタは開かれバルーンは膨らませられ、それまで作られた中で最も大きくかつ目に見える2つの人工衛星となった(図5(e)参照)。打ち上げ時において、エコー1Aのバルーンの重さは71.212Kgであり、この重さには15.12Kgの2種類の昇華性粉末が含まれていた(文献7)。1つはアントラキノン、もう1つは安息香酸である。これらはエコー1Aの内側表面にコーティングされ、バルーンが太陽に曝されると、昇華した。軌道上では、数ポンドのガス圧がアレイば球体を膨らませ、その形状を維持することができる。
【0084】
エコー2では、洗練された膨張システムを使って、バルーンの円滑さと球形性を向上させた。この場合、昇華性粉末を含んだ多くの「ピロー」が、バルーンの内側表面に対して伸ばして収容された。ピローの膨張プロセスについては、図6を参照。一旦太陽からの熱に曝されると、ピローは膨張しそれらの表面における複数の穴を通してガスを放出し、これにより衛星のその他の部分を膨張させる。この展開プロセスは、ガスがポケットに閉じ込められることを防ぎ、有害な応力集中の生成を防ぐ。パワースター(商標)では、スキンに銅製のグリッド(電気的接地用)が埋め込まれている。これは膨張圧力で曲がるように設計されている。エコー2衛星におけるアルミニウムのコーティングと同様に、曲げられたグリッドは構造を補強し、ガスの圧力に耐える必要性をなくす。ピローのうちの1つは、展開後にバルーンの外側表面を破裂させるよう設計されており、これにより銅製のグリッドが曲がり始めたときにパワースター(商標)は過剰のガスを開放することができる。完全に展開されると、バルーンは真空のシェルである。エコー2の膨張の軌道上のビデオについては、文献8を参照。


図6 エコー2膨張システムの「ピロー」。上:収容配置;下:穴からガスが抜けているピロー
【0085】
システムの調整とオペレーション
このセクションでは、パワースター(商標)システムの新しい要素と古い要素がどのように組み合わされ、打ち上げられ展開されてからシステムがどのように調整されて供に働くかについて説明する。図7は、全体構成及びオペレーションの方法の概略を示している。


図7 展開後のパワーシステム(商標)の全体的なオペレーション
【0086】
球体の外側表面には、ソーラーセル及びマイクロ波送信機が印刷されており(図7右下)、送信機の配置はある程度ランダムにして格子状のローブを防いでいる(後述する)。各送信機と直に隣接する一組のソーラーセルとの間にパワーコネクタが存在する(図7上中央、断面図における赤線)。外側コーティングの下部には基板層(図中灰色の帯)があり、ここには電気的接地及び補強のための銅製のグリッド(図中オレンジ色の線)が埋め込まれている。基板の内側表面は、トランシーバ(送信機/受信機、断面図の底部の青い層)だけでコーティングされている。スキンの厚みを通して内側のトランシーバから一番近い外側の送信機との間に電力接続が存在する。スキンにおける電力接続は非常に短く(数センチメートル)、最終的には6μmのエコーのスキンの厚さを最終的には半分にすることを期待しているように、パワーの収集デバイス及び伝送デバイスは微視的な寸法である。
【0087】
電力は、地上の複数の位置でマイクロ波を直流に変換するアンテナ(レクテナ(rectenna))によって受信される。各レクテナの位置には、低電力マイクロ波ビーコンが設置される。各パッチアンテナにおいて局所プロセッサは、パッチが受信するビーコンからの放射を記録し、放射波形を記録し、波形を増幅し、そして反転時間(共役位相と同義)において送信して戻す。後述するように、この完全に分散化された送信機制御スキームは、パワースター(商標)の寸法及び形状を仮定すると、地上における望まれた電力分布に最適に合致する送信放射を生成する。このシステムが太陽からのエネルギを吸収しそして回転や機械的な動きを必要とせずにエネルギを任意の方向に送信することができることは注目すべきである。このシステムは電子と光子で作動し、このシステムには動く部品はない。
【0088】
次の2つの副題において、エネルギ伝送制御の更なる詳細について、そして収集された太陽エネルギを球体内及び球体を横断して伝送する具体的なプロセスについて議論する。
【0089】
パワービーム制御
前述の多くの送信機を調整するビーコンに基づく制御が、統計的な意味で、地上における所望のエネルギ配分を最適に近似することは、電磁伝搬における厳格な結果である。このエネルギ送達スキームは、逆方向ビーム技術の一般化であり、多くの領域に適用されてきた。例えば文献9では、医療技術のための音響学への適用が議論されている。
【0090】
実際、現実に生成される地上における配分は、所望の配分のパワースターの開口の点拡がり関数(point-spread function: PSF)との空間的な畳み込みであり(あるビーコンのパターンとしての)、これは本質的に送信機の全ての配置が生成できる最も厳格な最も集中化されたビームである。このPSF関数は、パワースターの外側表面における送信機の寸法、形状及び分布に依存する。したがって、ビーコンが点源によって近似することができれば、地上での分布は、いくつかのPSFスポットからなり、このそれぞれはビーコンの位置のうちの1つの中心に位置する。
【0091】
ビーコンの信号を記録すること、これらを増幅すること、そしてこれを反転時間において戻すことは同時に行われる。説明を簡単にするために、これらのステップを分けて説明する。最初に、単純な2次元波動伝搬シミュレータによって図8に例示したビーコンの伝搬を考える。ここでは、3つの近似的な点源(すなわち大きさとして単一のピクセル)が、地表面を表す左側の垂直な直線に沿って不規則に分布している。右側の円形の領域は、パワースターの球体を表す。パート(a)では、放射は広がる干渉パターンで開始する。続いて(パート(b))、円の円周上の各ピクセルは、その位置で測定されたフィールド振幅の時間信号を記録する。図9は、各ピクセル(単一のパッチ送信機を表す)が記録した信号を反転時間において送信するときに何が起こるかを示している。パート(a)では、初期フィールド振幅の収束する波面が注目される。同図のパート(b)では、ビーコンの位置に中心を置く、強度が集中する3つのスポットが見られる。これらのスポットは、PSF分布を表し、ビーコンよりも広い。この地表面のスポットの広い幅は、パワースターの全体的な寸法に主として比例する。この結果は、フェーズドアレイは平面的という通常の想定にもかかわらず、所望の地上の分布が繰り返される精度は、ほとんど寸法に依存し、形状には依存しないことを実証している。この球形のフェーズドアレイはうまくゆく。
【0092】
衛星間のエネルギ分布
太陽とビーコンの向きは一致しないので、衛星内でエネルギを分散させる機構が必要となる。図10は、太陽及びビーコンからの照射の幾何学的配置を示しており、ここでビーコン同士の角度的間隔は非常に小さく単一の代表ビーコンの方向を考慮することができると仮定する。φは太陽の方向とビーコンの方向との角度である。球体の内側表面が高周波で作動するトランシーバがコーティングされていることに注意する(回折効果を低減するために)。これらのトランシーバは、直径方向に対向する各対の共鳴軸が平行となるように方向づけされる。
【0093】
図10に例示するように、球の表面は次の4つのセクターに分割される。1つ目は太陽光及びビーコンの放射の両方に曝されるセクター(S,Bで示す)、2つ目はビーコンからの放射は受けとるが太陽光は受けないセクター(S(上に波線),B)、3つ目は太陽光には曝されるがビーコンには曝されない(S,B(上に波線))、4つ目は太陽光にもビーコンにも曝されない領域(S(上に波線),B(上に波線))。セクター(S(上に波線),B)と(S,B(上に波線))は明らかに鏡像であり、(S(上に波線),B)上の各点には、(S,B(上に波線))上に直径方向に対向する点があり、そのまた逆も当てはまる。同じことが、(S,B)及び(S(上に波線),B(上に波線))にも言える。特定の送信機とこれに隣接するソーラーセルが位置するセクターは、その出力信号によって示される。


図8 ビーコン放射の初期伝搬。(a)放射開始,(b)円形フェーズドアレイがビーコン情報を記録する


図9 フェーズドアレイは反転時間において増幅されたビーコンを伝搬する。(a)伝送開始。(b)ビーコンに中心を置く3つの集中化されたスポットが地上面に現れる


図10 エネルギ分散システムの幾何学的配置。角度φは太陽とビーコンの方向の角度を表す
S,B=太陽とビーコンの両方から照射される外側表面
S,B(上に波線)=太陽からは照射されるがビーコンからは照射されない外側表面
S(上に波線),B=ビーコンには曝されるが太陽には曝されない外側表面
S(上に波線),B(上に波線)=太陽及びビーコンの両方から遮られる外側表面
太陽放射
ビーコン放射
マイクロ波受信機/送信機(おそらくより短い波長)が印刷された内側表面
【0094】
この情報に基づいて、電力供給のアルゴリズムを表2に示す。このアルゴリズムにはどのような処理も必要ないことは注目される。本質的には、ビーコン信号を受信するために作動状態にする必要がある送信機は、どちらも電力を生成する最も近いソーラーセルか又は最も近い内部のトランシーバのいずれかによって電力を供給される。ビーコン信号がないことは、送信機がブロックされていることを意味する。各送信機アンテナは、直近(数センチメートル以内)のソーラーセルから、又はスキンの厚さ通して電力を取り出す。各送信機は数ワットを受け取るだけなので、高電圧も大きなワイヤも存在しない。この局在化された構成は、部分的な損傷に対して頑健であることを意味する。

【0095】
性能の説明
衛星の基本的な設計を説明してきたので、次にその性能の特性の分析、すなわち地上へのエネルギ伝送、ビーム幅等について別々の副題を付けて考える。
【0096】
伝送されるエネルギ
始めに、外側表面へのパッチアンテナの幾何学的に規則的な配置は、主たる集中化されたスポット(中央スポット)に加えて、いくつかの規則的に間隔を置いたオフセット・スポット(格子ローブ)を有する開口PSFを生成するだろう。これは、所望のエネルギ分布を近似することができる精度において悪い効果をもたらす傾向がある。これは、実際に生成される分布は所望の分布とPSFとのたたみ込み(convolution)だからである。しかしながら、送信機アンテナの配置における僅かなランダム化(単位面積当たりのアンテナの平均個数は同じ)は、放出された放射において中央のローブだけが唯一のエネルギ集中であり続けるように格子ローブを分散させるのに十分である。この場合、主たるローブは、パッチアンテナ位置の確立密度関数の特性関数(フーリエ変換)に比例する。例えば、パッチアンテナの位置が統計的に独立したガウス分布であったとすると、フェーズドアレイ全体で生成される放射エネルギの角度分布P(θ)(θの上にはバー)は、
【数1】
となる。ここで、θ(上にバー)は、フェーズドアレイから観測点への単位ベクトルであり、
λ=作動波長
A=バルーンの直径
s=隣接するパッチアンテナの中心間の平均距離
L=W=λ/2
である。
【0097】
この最後の式は、図4の説明においてなされた仮定、すなわちパッチアンテナはおおよそ一辺が波長の半分の四角形であるという仮定を繰り返すものである。λ/2sの最大値は1にならなければならないことは注目される。この場合ソーラーアレイ用の余地を残さずにパッチアンテナはバルーンの外側表面全体を覆う。したがって、フェーズドアレイは点在されなければならず、s>λ/2であることが必要である。
【0098】
式(2)は、多くの異なるアンテナ位置の確率分布に対する合理的な近似である。したがって、中央のローブから地上へ送信される全エネルギは、
【数2】
sa=ソーラーアレイ及び内部のトランシーバから入力される全エネルギ
【0099】
式(4.a)の右辺の最初の係数は、まばらな開口定理を適切に反映することは注目される。
【0100】
与えられたsに対して、ソーラーアレイによって占められる正面領域の比は、
1−(λ/2s)2
であり、したがって、
【数3】
ηeff=ソーラーアレイ及びパッチアンテナの総計効率
s=日射≒1367W/m2
である。
【0101】
総計効率ηeffは、ソーラーアレイ及び送信効率及びビーコンと太陽の角度φの関数である。外側及び内側の送信機について概算で同じ効率と仮定すると、
【数4】
ηs=ソーラーアレイ効率
ηγ=送信機効率
が得られる。式(4)〜(6)を組み合わせると、概略次の式が得られる。
【数5】
この関係から、送信機の最適な平均間隔がsoptimal=λ/√2であることは明らかである。これは、バルーンの表面の面積がソーラーセルと送信機との間で均等に分割されることを意味する。また、地上への全エネルギは、次のようになる。
【数6】

係数1/4がアレイのまばらさの程度から生じることは注目される。
【0102】
式(8)から、衛星が静止軌道上にあって地上局が下にある場合には、送信されるエネルギは、深夜(φ≒180度)において最大となり、正午(φ≒0)において最小となることが分かる。これは、典型的な都市の通りの照明に対する日々の電力使用の特性に適合する。
【0103】
現在のデバイスの性能を仮定して地上へ伝送されるエネルギに対して式(8)が何を予言するかを見るために、ηs=2%とし、表1を参照してηγ=79%とする。図11は、発展の異なる段階に応じてηsが2%の場合(現在の性能)、5%の場合、10%の場合、20%の場合のそれぞれについての送信エネルギ(太陽とビーコンの全角度について)の範囲を示しており、すべてバルーンの直径の関数となっている。


図11 種々のソーラーセル効率に対するバルーンの直径の関数としての送信されるエネルギ
【0104】
現在の印刷されたソーラーセルの低い性能だとしても、1キロメートルのバルーンで図1の設計と比較できる3〜4メガワットを伝送できる。また、4%までの効率は近々期待でき、その場合は、1Kmのシステムで6〜10MWが得られる。印刷セル技術はまだ、セルの効率よりも製造コストがより重要である開発の初期段階にある。しかしながら、現在25%が典型的である1回限りの実験室用デバイスの効率レベルへ向かっての進歩が期待される。この場合、1Kmのバルーンで30〜50MWが実現可能である。これを文献1のシステムと比較してみるとよい。
【0105】
最小ビーム幅(レクテナ寸法)
平らで円形の開口フェーズドアレイを有する全てのSPSコンセプトに対して、地上での最小ビーム幅は、波長、距離及び送信開口直径(一般に、まばらなアレイの直径)の関数としてのレイリー(Rayleigh)の角解像度公式によって表現される。ここでは、開口がランダム化されたモザイク配列の球形であることから、これはわずかに修正され、その結果ビーム幅は減少する。式(2)と矛盾することなく、地上におけるエネルギ集中「スポット」の最小幅であるΔxは、近似的に
【数7】
z(上にバー)=送信距離(GEOの場合35,786km)
となる。
【0106】
これはレクテナの寸法を決める。図12は、静止軌道と仮定して、いくつかの作動波長の値に対するバルーンの直径の関数としてのレクテナの直径を示している。10cmという満足できる波長に対して、レクテナの寸法は非常に大きくなることが分かる(1kmのバルーンに対して約3.5km)。これは、パワースターに特有の問題ではない。実際のところ、パワースターのビーム幅は、ほとんどの充実開口コンセプトのものよりも小さい。3つの主要な方策がある。第1は、作動波長を、おそらく1cmまで小さくすることである。これにより、レクテナの寸法をキロメートルの桁から数百メートルの桁まで縮小することができる。第2は、開口寸法を数キロメートルまで大きくすることである。第3は、送信距離を短くすることである。この場合、エネルギ収集機である複数のパワースターを太陽に同期した低い軌道(約2000kmまで)に配置し、低い軌道傾斜角(low inclination)のMEO軌道にあるいくつかのリレー衛星によって補完することになり、これらが交替しながら連続的にレクテナにエネルギを送信する。これらのトレードオフはどのような設計コンセプトについても検討する必要があり、パワースターに対してもこのような努力は進行中である。


図12 作動波長の種々の値に対するバルーンの直径の関数としてのレクテナの直径(最小スポットサイズ)
【0107】
打ち上げのためのパッケージ化
パワースターは、既存の打ち上げロケットのペイロードフェアリング内へ収納されるキャニスタに、コンパクトに折り畳まれて入れられる。ここでは、収容されたときの形状が、直径Dsの球形であると仮定する。wをスキンの厚さとすると、展開されたバルーンのスキンによって占められる全体積は、πDA2wである。収容されたときに最も小さくなる直径は、この体積がπDs3/6に等しくなったときである。しかしながら上で述べたように、何回も折り曲げられた薄い膜は、膜を構成する材料そのものの体積よりも大きな外形の体積を有する。そこで我々は、折り畳みシステムをパッキング効率peff≧1で特徴付ける。その結果、πDs3/6=πDA2wpeff、すなわち、
【数8】
w=スキンの厚さ
eff=パッキング効率(≧1)
となる。
【0108】
パッキング効率を計算するのは難しく、折り畳みの正確な幾何学的配置、スキンの厚さ、材料の特性に依存する。しかしながら、我々はエコー衛星の特性を我々の指針として採用する。表2に、エコー衛星の寸法とパッキング効率の値を列挙する。これらは非常に近く、したがって以下では単純にpeff≒3を使用する。

【0109】
図13は、この値に基づいて、膨張後のバルーンの直径の関数とした打ち上げキャニスタの直径を示している。図1のFRS設計マイクロ波アンテナと同じ寸法の1キロメートルのパワースターを、いくつかの既存の大重量打ち上げロケットに収容可能であることは間違いない。特に、Delta Heavy(直径5.1mのフェアリング)、Ariane5(5.4m)、MinataurVI(5.71m)。
【0110】
空気力学的抵抗及び軌道寿命
エコー衛星の場合のように、パワースターも、数十年よりも長い軌道寿命となるような空気力学的効果が軌道高度の限界を設定する非常に低い弾道係数(ballistic coefficient)を持つことになるだろう。この状況を分析するために、最初に円軌道を仮定する。10年よりも長い寿命に対して、円軌道の初期軌道半径の関数としての寿命は、太陽活動極大期又は太陽活動極小期に対する打ち上げ時期にはほぼ依存しない(文献10参照)。このため軌道寿命を、米国の標準大気によって与えられる高度の関数としての平均大気密度を用いて見積もることができる。さらに、減衰軌道はゆっくり変化する「瞬間的」な軌道半径を有するタイトな螺旋の形態を取るような、小さな流体抵抗を仮定することができる。


図13 膨張後のバルーンの直径の関数としての収容されたときの直径
【0111】
軌道寿命として、下記の式が得られる。
【数9】
i=初期軌道半径
E=地球の半径
μ=中の重力定数(GM)
ρAtm(a)=軌道半径aにおける大気密度
【0112】
ここで、βは弾道係数とすると、
【数10】
M=パワースターの質量=πDA2wρskin
A=正面の面積=πDA2/4
ρskin=スキンの体積密度
となる。
【0113】
したがって、パワースターに対して、自由分子流(CD≒2)を仮定すると、
β=2wρskin (13)
が得られる。これは、スキンの局所密度のちょうど2倍であり、直径には依存しない。軌道寿命に対する控えめな見積りを得るために、最も小さい実用的な厚さとしてw=0.006mmを仮定すると、下記の値が得られる。
β=2wρskin=2(1390)(0.006mm)=0.01668 (14)


図14 初期軌道高度の関数としての軌道寿命
【0114】
上の仮定をもとに、式(11)は、図14に示す初期高度の関数としての軌道寿命の控えめな見積りを与える。この結果は、パワースターを大まかに2000km又はそれ以上の高度に置けば長い寿命が保証されることを示している。したがって、MEO軌道又はそれ以上が、長期間のシステムには適している。軌道から外れる時間の関数が、システムの直径に依存せず、スキンの局所密度の約2倍であるβに比例することは注目される。したがって、スキンの厚さが大きい場合についての結果は、この図から縦座標に古い厚さに対する新しい厚さの比を掛けることによって得られる。
【0115】
結語
この論文で我々は、宇宙太陽エネルギ衛星に対する新たな設計コンセプト、すなわちパワースター(商標)を提案した。プロジェクト・エコーに遡る遺産と共に、このシステムは、薄く柔軟性のあるスキンから作られる膨張可能なバルーンであり、スキンの上に近代的な大量生産技術によってソーラーセル、マイクロ波パッチアンテナが印刷されている。パワースター(商標)は、動く部品も、回転又はその他の機械的の動きもなく作動する。少なくとも直径1kmまでは、軌道上での製造や建設も必要としない。先進の適応フェーズドアレイ技術、及び低振幅ビーコンと組み合わされた時間反転音響学からの知見は、全体が各パッチアンテナに局在するビームフォーミング制御アルゴリズムをもたらす。フェーズドアレイの動作は分散化され適応型であり、たとえ大きな損傷を受けても、システムはあるレベルの有用な性能を保持することができる。エネルギは、スキンを通しての伝送がせいぜい数センチメートル内で起こるようバルーン内で調整され、集中化の必要性及び高電圧電力分配システムをなくす。このエネルギシステムは、太陽エネルギを任意の角度から集め、回転や構造的変形を伴わずに任意の方向に送信する。
予備的な性能計算によって、現在利用可能な印刷されたソーラーセルの低い係数でも、1kmのパワースターであってもファーストレベニューシステムのために十分なエネルギを生成可能であることが示された。エコー技術を使用することで、1kmのパワースターをいくつかの既存の大重量ロケットでの打ち上げ用に収納することが可能である。最後に、弾道係数が小さいにもかかわらず、初期(円軌道)高度が約2000kmより大きければ、軌道寿命は世紀のオーダーとなる。
【0116】

参考文献
【0117】
パワースターレット:都市環境又は工業団地における典型的なオフィスビルに必要なパワー
(D.C.Hyland、2014年6月17日)
【0118】
これは米国の都市環境又は工業団地に位置する平均的なオフィスビルに電力を供給するためのパワースターデザインの最初のカットである。この問題に対して参考文献1に示される式を用いる。参考文献2によれば、米国の平均的オフィスビルは、約15,000平方フィート又は1393.5m2の全床面積を有し、年間17.3kW−Hの電力を使用する。これは、29.6kWの平均電力消費量を意味する。これを単一のビルでの所要電力とする。最も重要なことは、レクテナのサイズを考慮することである。ビルが都市部又は工業団地にある場合、広大な近隣の土地を占有するのではなく、屋上及び隣接する駐車場にレクテナを設けることが合理的である。ビルが1階建てで四角平面でアレイばレクテナサイズに関して寛大となる。従って、1階建てビルのレクテナサイズは、1393.5m2の平方根、つまり37.3mである必要がある。また、静止軌道にあると想定する。
【0119】
所要電力は問題ない。実際の問題は明らかにレクテナサイズであり、これはパワースターの中心伝達ビームの直径である。この問題は、全てのSPSデザインに共通である。パッチアンテナの最適な平均間隔を用いる場合、パワーに対するパワースター径は、参考文献1の図11のような結果になる。
参考文献1
【0120】
【0121】
【0122】
最も右側の曲線(効率が最も低い)は、最大直径をもたらす。〜30kWに関して、これは100mよりも僅かに大きい。ここで図2(参考文献1の図12)を見ると、これは静止軌道を想定した主伝達ビーム幅を与える。おそらくマイクロ波領域である最低波長として考えても、100mパワースターは、地上に巨大な〜3.5Kmのスポットを投射することになる。低高度軌道を用いると、全体システムの複雑なデザイン変更を課することになり、複数のコレクタ及び通信衛星が必要になる。代わりに、静止仮定条件を維持して、1cm公称波長を導入する。
【0123】
後者の仮定において、依然として〜3.5kmパワースポットサイズとする。しかし、これは悪い状况と思われるか。結局のところ単一ビルを考える必要はなく、工業団地又は都市集団の全てのビルを考える必要がある。また、レクテナ機能をビルと同一場所に配置すると、例えば、各ビルの屋上又は駐車場にレクテナが設けられる。従って、ビーム幅は、工業地区サイズに相当する必要がある。適切なサイズを得るために、表1は、世界の25カ所の大型工業団地の面積を列挙する。これらの施設の長さスケールは、〜20kmから〜1kmであり、この大きさのパワースポット幅を目標にする。平均ビルサイズ及び所要電力を代表的に前述のように(1393.5m2屋上レクテナ面積及び平均電力消費量29.6kW)仮定し、駐車/地役権面積(レクテナとして用意された)はこのサイズの3倍であると仮定する。従って、パワースポット内の平均パワー密度が、29.6kWを4X1393.5m2で割ったもの、つまり5.31W/m2(非常に安全な放射レベル)となるのを保証することだけが必要である。
【0124】
【表1】
土地面積に基づく工業団地又は地所リスト

中心ビームで伝達されるパワーは、参考文献1の式8で与えられる。全体にわたる太陽−ビーコン角度を平均化して時間平均パワー出力を得る。
【数11】
また、中心ビーム幅は、
【数12】
から得られる。
次に、直径Δxの円形パワースポットを仮定すると、ρで示すパワー密度は、
【数13】
となる。
【0125】
図3は、バルーン径に応じたスポットサイズと、現在の低ソーラーアレイ効率及び期待される最新モデルの効率に関するパワー密度に対する直径の関係とを示す。規定されたパワー密度を得るために、バルーン径は630mから335mの範囲であり、パワースポットは、〜0.6kmから1kmをわずかに超えたものに変化する。工業団地の外郭領域が平均パワー密度未満でることを必要とする可能性があるという点を考慮すると、提供される工業団地のサイズは、一片が約2kmである。これは、表1に列挙した工業団地の半分に相当する。


(参考文献)
【0126】
ソーラーマイクロ波ファブリック:特許開示のための説明
(D.C.Hyland、2015年1月4日)
【0127】
ソーラーマイクロ波ファブリック(SMF)は、ソーラーパワー収集、パワー伝送、及び通信などの用途のための、ソーラーセル、マイクロ波パッチアンテナ、及びアナログ制御デバイスの種々の組合せがインプリントされた、大量生産された薄い可撓性膜であり、輸送のために畳んでコンパクトな体積にすることができ、その後、その運用のために広げることができるようになっている。その最も洗練された形態において、SMFは、図1に示すように、印刷されたデバイスであるソーラーセル、パッチアンテナ、トランシーバ、及びレトロディレクティブ・フェーズドアレイ機能の全搭載を特徴とする。後述するように、この最も成熟した機能を、組み合わされたソーラーパワー及び防空のためのPower Star宇宙ソーラーパワー衛星及び地上設備に適用することができる。全体として、SMFは、複雑さの順に列挙する以下の実施形態及び動作モードを有する。
【0128】
1)ソーラーパワーコレクタ − 可撓性ファブリック上に印刷されたソーラーセルであり、適切な配電サブシステムを伴う
2)ソーラーパワー及び通信 − 項目(1)に通信用マイクロ波パッチアンテナを追加したもの
3)パワー/通信/伝送 − 項目(2)に、可撓性基材の両側にマイクロ波トランシーバを追加し、遠隔収集ステーションへのパワー伝送用のレトロディレクティブ・フェーズドアレイ機能を追加したものであって、収集ポイントにおいてマイクロ波ビーコンを用いる。これがPower Starのための実施形態である。ビーコンの使用は、ビーム方向及び整形の受動モードを構成する。
4)パワー/通信/防衛 − 印刷された片面又は両面を有する項目(3)に「能動」モードのパワー伝送を追加したものであって、これにより非協力的標的に対して放射がブロードキャストされ、標的からのリターンが高出力密度ビームの方向のためのビーコンとして用いられる。これは地上ベースのパワー収集と防空/宇宙防衛との両方に適用することができる。
以下、これらの実施形態を順番に論じる。
【0129】
ソーラーパワーコレクタ
安価なソーラーアレイの大規模生産はかなり進行している。現在、様々なソーラーセル印刷技術が存在し、ここで高速製造性はセル効率に対してトレードオフの関係にある。注目すべき例は、参考文献[1]に報告されているものである。Victorian Organic Solar Cell Consortiumは、毎分10メートル、又は2秒に1個に達する速度でプリントソーラーアレイを製造する能力を実証した。これらのセルは、30cm幅まで、最大地上インソレーションの下で10〜15ワット毎平方メートルのパワーを生成する。基材は、紙のように薄い可撓性プラスチック又は鋼を含む。図2に示すように、セルは、種々の有機材料を組み合わせて、太陽スペクトルの異なる部分からパワーを得る。
【0130】
【0131】
【0132】
比較して、MITソーラーセル[2]は、インクジェットプロセスを用いて紙又はファブリック上にセルを印刷する。大部分の設計に関する効率は、現在のところ1%乃至2%である。しかしながら、4%が大規模生産のための短期的目標である。
【0133】
ソーラーセルの別のクラスは、ポリマーセルである。ポリマーセルは、分子の長鎖を利用して電気を発生する。これは、標準的な光電池のようなp−n半導体ではなく、電子供与体及び受容体である分子を用いて達成される。これはより新しい技術であり、この論文で考察するソーラーセル材料の中で最低の効率を示す。これはまた、その製造に用いる材料の性質(ポリマーは安価である)及びその固有の印刷適性に起因して、コストが最も低くなる傾向を有する[3]。しかしながら、より高周波数の放射は、有機セルを無機セルよりも速く劣化させるので、このタイプのセルは宇宙での使用には実用可能ではない。
【0134】
単純なポリマーセルは、典型的には、導電性コンタクトに挟まれた供与体及び受容体ポリマーから成る。これらの役割を果たすことができる多くの異なるポリマー鎖が存在する。ポリマーセルは、この論文で説明する最も薄いセルである。その厚さは、しばしば数百ナノメートルのオーダーである。この薄さ及びその製造の性質により、これらのセルは非常に多様な方式(すなわち、ファブリック上の複雑なパターン)で印刷することが可能である[4]。
【0135】
ポリマーセルは、いつでも、およそ1〜6%の低効率を示す[3]。10%に達する幾つかの事例が種々のソースから報告されているが、この論文の著者の知る限りでは、いずれかの主要な研究所による検証はなされていない。
【0136】
これらのセルは、最も一般的には種々のアニールプロセス、ロール・ツー・ロール技術、及び直接印刷によって製造される[5]。これらは全て、本来的に低コストの方法であり、材料を考慮にいれると、この技術がここで列挙される他のあらゆる技術の中で最低のコストを示すことは明らかである。
【0137】
幾つかの会社は、この技術の大量生産を推進しており、これを薄いセルに関して上で挙げた範囲内の効率で達成している。Konarka Technologiesは、製造用の高速プレスを開発したこうした会社の1つであった[4]。
【0138】
別の生物学的に触発されたソーラーセルのタイプは、色素増感ソーラーセルである。色素増感ソーラーセルは、単純な組立体であり、植物におけるエネルギプロセスを模倣する試みを通じて作り出されたものである。これらは、光電性アノード、電解質、色素、及び導電性ネットワークによって生じる光化学反応に基づいて動作する。これらのセルは、現在の技術水準では、10%に近い効率、実験的セルでは15%に近い効率を示す[4]。過去には、液体電解質を使用することに起因する物理的堅牢性の懸念がこの技術の用途を限定していた。しかしながら、これは年を追って変化してきているようであり、より堅牢且つ可撓性のセルが製造されている。
【0139】
色素増感セルは、いまだ存在している会社によって、ロール・ツー・ロールプロセスを用いて約1ミリメートルの厚さで大量生産されている[4、6]。1つのグループは、これらのセルを年間数十万メートルのオーダーで生産する能力を有するとしている。
【0140】
ここで、より主流の、より高い効率を示す薄膜ソーラーセル設計のうちの幾つかを説明する。これらの筆頭は、銅・インジウム・ガリウム・セレン(CIGS)セルである。CIGS材料の最も有望な品質は、これが非常に高い吸収係数(典型的には大部分の用途で1.0〜1.7eV+光子に対して>10^5/cm[7])を有するという事実であり、その最適なスペクトルにおいて利用可能な太陽光の99%を吸収するのにわずか1マイクロメートルの層しか必要としない。この薄さは、CIGSセルの可撓性を直接的に助長する[4]。
【0141】
CIGSセルの構造は以下の通りである[8]:
・ポリマー又はガラスなどの基材の薄い又は厚い層
・モリブデンバックコンタクト導体(モリブデンは高い仕事関数及び反射率を有する)
・p型半導体として機能する厚い(セル全体に対して相対的に)CIGS層
・セルのp型半導体とn型半導体との間にヘテロ接合を形成する酸化亜鉛の薄層
・アルミニウムが多量にドープされてn型半導体を形成する酸化亜鉛の薄層
薄膜セルCIGSの典型的な総厚は、数マイクロメートルのオーダーである。
【0142】
2014年の時点で、CIGSセルに関して20%に近い効率に達したことが、小セルの実験室シナリオにおいて一貫して報告されていた[8]。こうした主張がなされる場合、大面積のセルが製造され、小切片に切断され、各々が普通はその効率について分析されることが多い。このことは普通は技術に対するゆゆしき疑惑となるであろうが、総効率が約13.5%の大セグメント(平方メートルのオーダー)が製造されている[8]。これらの値は、米国再生可能エネルギ研究所(National Renewable Energy Laboratory)によって検証されており、一部はそこで生成されたものである。
【0143】
CIGSは、一般に多様な方式で製造される。最も主要な方法は、共蒸着及び前駆体反応プロセスである。共蒸着において、前駆体元素は、制御された真空条件下で昇華し、次いで基材上に再堆積する。前駆体反応プロセスにおいて、セルの能動部分が電気めっき又はスパッタリングで堆積される。この方法では、気体環境が依然として必要とされる。2008年以来、特殊なCIGSインクを用いた反応性転写印刷の新規方法が開発され、工業において使用されている。この技術は、材料のコストが従来のシリコンセルよりも著しく低く、低コスト大量生産性の点で最も有望であると思われる[8]。加えて、CIGSインク処方の新たな発展は、このセルタイプの印刷適性を急速に改善している[4]。現在、CIGS薄膜製品を製造する幾つかの会社がある。先頭グループのうちの幾つかは、Heliovolt、Honda、Solar Frontier、及びIBMである。
【0144】
別の主流の薄膜技術は、テルル化カドミウム(CdTe)ソーラーセルである。これらは、1950年代から開発されている。CIGSセルと同様に、CdTeセルは、非常に高い吸収品質を有する[9]。このことにより、セルを1〜2マイクロメートルのオーダーで極度に薄くすることが可能になる[9]。剛性セル及び可撓性セルの両方が一般に製造されているが、概してCIGSセルよりも低い効率である。これらのセルはゆるぎない開発の歴史を有してきたが、その競合相手に比べて、多年にわたって改良及び研究の関心の趨勢はより遅いものであった。しかしながら最近、溶液処理可能なCdTeインクがこの研究領域に新たな命を与えている。
【0145】
典型的なCdTeセル構造は以下の通りである[9]:
・可撓性及び剛性両方の種々のタイプの基材、
・銀又は銅などの高導電性コンタクト層
・PドープCdTe吸収体層
・NドープCdS窓層
・スタック上部の透明導電性フィルムの様々な層
CdTeセルの典型的な厚さは、数マイクロメートルのオーダーである。
【0146】
2014年の時点で、CdTeセルは、現在のところ、ガラス基材上に堆積した場合、およそ15%の典型的な効率を与える。可撓性基材上に堆積された場合、より低い、しばしば7〜11%付近の効率を示す[9]。
【0147】
このタイプのセルは、CIGSセルと同じ方法の多くによって製造される。大量生産可能性の点で、蒸着法がこの分野で優位を占めると思われる。CIGSセルと同様に、インク化学を改良する新規方法は、このセルタイプの印刷適性を急速に改善している[10]。
【0148】
この技術の主要な製造者の1つであるFirst Solarは、そのCdTeセルが、効率14%でワット当たり$0.59のコストであるとしている。その年間生産能力は、100メガワットのオーダーである。
【0149】
より先進的な実験室レベルの研究[13]は、平均変換効率28%の50μmのGaInP/GaAs/Geトリプル接合ソーラーセルを実証した。将来的な大規模製造に関して20%を予期することは、かなり妥当である。基準として我々が言えるのは、迅速な製造能力を伴う最低限20%の効率がSMFの基準能力であるということである。
【0150】
要約すると、多様な可撓性材料にソーラーセルを印刷する技術が現在存在する。しかしながら、既存技術は、このようなソーラーアレイを永続的な固定構造上に設置することを予期している。既存技術は、アクセスが困難な領域への輸送のためにコンパクトに折り畳んで小さい体積にすることができるとともにそうした場所での使用のために容易に展開される対応する能力を有する、可撓性ソーラーアレイを含まない。
【0151】
ソーラーパワー及び通信
この実施形態は、両方とも同じ可撓性シート上に印刷された、プリントマイクロ波アンテナにパワー供給するプリントソーラーセルを組み合わせたものである。この場合のパッチアンテナは、地上又は宇宙の中継通信設備を含む通信機能を提供する。
プリントマイクロ波アンテナは、現在周知であり、多数の通信用途に関して急速に進歩している。ソーラーセル及びパッチアンテナを重ならないように散在させる場合、これらは、グレーティングローブを排除するために、ランダム化されたテッセレーションで配置されることになる。代替的に、両方の構成要素がシート上の同じ表面領域を占めるように印刷することが可能である。完全システムにおいて、反対側の面(球体の内面になることに起因する)上に印刷されたマイクロ波トランシーバ(二重送信機及び受信機)のみで構成されたアレイもまた存在することができる。
【0152】
アンテナは、綿ポリエステル混紡、及びアスリートのための軽量綿衣類[14]、及び緊急応答機のためのオフボディ通信の機能を有する衣服[15]を含む多くの可撓性材料の上にインクジェット印刷すること又はフォトリソグラフィによって製造することができる。研究はまた、これらのパッチアンテナの限定された可撓性度も検証している[16、17、18]。複数のプリント層を用いて効率を高めることができる。幾つかのパッチアンテナを統合した、インクジェット印刷されるフェーズドアレイアンテナもまた研究されている[19]。最後に、光学的に透明なパッチアンテナ(メッシュ設計)を印刷ソーラーセル上に直接印刷することが提案されている[20]。これは、可撓性シートの表面全体をほぼ完全に重なったソーラーセル及びアンテナの両方で占めることができることを意味する。
【0153】
図3に示すように、標準的な矩形マイクロ波パッチアンテナは、接地された誘電体基材上に取り付けられた金属「パッチ」から成る。

【0154】
誘電体は、送信信号を増幅するための共振キャビティを与える。Lは共振寸法なので、 L=λ/2 (1)
となる。ここでλは動作波長である。Wは、より高い帯域幅を得るために通常は1.5Lとして選択されるが、ここではW=L=λ/2とする。実用的な印刷解像度は15ミクロンであり、十分な精度で式(1)を満たすのに全く十分である。表1は、幾つかの既存のパッチアンテナに関する性能統計量の調査を示す[21]。現在、79%までの効率が達成可能である。
【0155】
表1.種々のプリントパッチアンテナの性能特性
【0156】
表1は、通信用のために用いられるパッチアンテナ用の基材厚さがどちらかといえば厚いことを示す。これは、厚い基材を用いることによって帯域幅を広げる通信要件から生じる。無線パワー伝送を伴うソーラーマイクロ波ファブリック用途では広い帯域幅は必要とされず、むしろ可能な限り薄い基材及び導電性パッチによる高い放射効率が必要とされる。放射効率は、
r=放射効率=Pr/(Pr+(Pc+Pd+Psw))
r=放射パワー
c=導体によって損失するパワー (2.a−e)
d=誘電体によって損失するパワー
sw=表面波として発射されるパワー
として定義される。
【0157】
ここで関係するのは小さい値の比h/λ0(λ0は基材中の波長を表す)及び小さい値の基材の比誘電率εrである。この場合、表面波の形態の放射は無視できるので、Pswの関与は無視することができる。このとき図3に示す標準矩形アンテナに関して、放射効率は、
【数14】
で近似的に表される。ここで種々の量は以下の通り定義される。
d=誘電体の損失正接
s=金属の表面抵抗=
μr,μ0=比透磁率及び自由空間透磁率 (4.a−f)
σ=金属の導電率
η0
=376.73Ω
h=アンテナの厚さ
【0158】
明らかに、(3)は、非常に小さい値のh/λ0の場合、支配的な損失は導電性パッチの電気抵抗に由来するものであることを示す。たとえば図4は、空気基材及び銅パッチを有する矩形パッチに関して、幾つかの波長の値について厚さhに対してプロットした放射効率を示す。妥当な効率である70%乃至80%を得るには、厚さは数十ミクロンにすべきであることが明らかである。
【0159】
しかしながら幸いなことに、図5に示す「四分の一波長馬蹄形」パッチを採用することにより、アンテナを小型化し、放射損失を低減し、導電性パッチの表面層内の電流の移動距離を短くすることができる。

【0160】
【0161】
この設計において、共振長さLは、波長の半分ではなく波長のほぼ四分の一であり、従ってより小さいスペースしか取らず、電流路長さを低減する。x=Lの辺以外の全ての辺は導電壁で封止される。従って、標準矩形パッチではパワーを放射するが遠距離電磁界に寄与しないy=0、Wの辺上のフリンジ電界は、完全に排除される。これらの効果は、遠距離電磁界において放射されるパワーを増大し且つ導電性パッチの電気抵抗を低減し、放射効率に関して以下の式を与える。
【数15】
図4と同じ波長に関して、この代替的な設計の結果を図6に示す。明らかに、70〜80%の効率を得るのに必要な厚さは、1〜5ミクロンの範囲内である。このことによりソーラーマイクロ波ファブリックの厚さは10ミクロン以下の範囲内になる。これらの薄い1/4波長「馬蹄形」アンテナは、そのx=Lの辺のフリンジ電界のみを表面に見せた状態でソーラーセルの下に挿入することができることも注目される。このことは、この設計がソーラーアレイの表面積に事実上全く侵入せず、あたかも目に見えないように機能することを意味する。このことは、WをLの数倍にすることによって実質的に効率を高めた場合であってもそのまま当てはまる。

【0162】
要約すると、多様な可撓性材料にソーラーセル及びパッチアンテナを印刷する技術が現在存在する。しかしながら、既存技術は、そのパワーを高利得通信機能に提供するパッチアンテナが完全に統合されたソーラーアレイを有する可撓性ファブリックであって、アクセスが困難な領域への輸送のためにコンパクトに折り畳んで小さい体積にすることができるとともにそうした場所での使用のために容易に展開される対応する能力を有するものを含まない。
【0163】
パワー/通信/伝送
この実施形態は、上述の項目2にマイクロ波トランシーバを可撓性基材の表側に追加し、遠隔収集ステーションへのパワー伝送用のレトロディレクティブ・フェーズドアレイ機能を追加したものである。主な用途はPower Star衛星コンセプトである。Power Starバルーンスキンの外側に項目2と同様にソーラーセル及びパッチアンテナの両方が装備されるが、但しアンテナはできる限り完全に表面をカバーする。アンテナがソーラーセルに重ならないようにプリントされる場合、アンテナの位置は、グレーティングローブを避けるようにランダム化される。代替的に、透明パッチアンテナ又は小型化アンテナをソーラーセル上に直接印刷するか又はソーラーセル内に挿入して、上述のように両方の構成要素が同時に全表面積を占めるようにすることができる。可撓性基材の「表(obverse)」側は、Power Starスキンの内側に対応し、マイクロ波トランシーバ(二重送信機及び受信機)で完全に占有される。これらのデバイスの役割は、後述するように、Power Starを横切ってパワーを転送することである。これらのトランシーバの動作周波数は、外部表面アンテナの動作周波数とは異なるものとすることができる。特に、回折効果を低減するために、内部のトランシーバの方により高い周波数を使用することができる
【0164】
基材材料に関して、ソーラーセル及びパッチアンテナは、多様な材料の上に印刷されているが、Power Star衛星のパッケージング及び配備のための基礎となっているEcho衛星技術[22、23、24]に密接な関連を有する2つの材料を考えることができる。最も重要且つ最も伝統があるのは、Mylarであり、これは樹脂ポリエチレンテレフタレート(PET)から作られたポリエステルフィルムである。この材料は、−70℃乃至150℃の温度範囲でその完全な機械的性能を保持する。その融点は254℃である。その体積密度は、1390kg/m3である。魅力的な代替物はKaptonであり、これは有機ポリマー材料であり、効果的に−269℃から400℃の温度範囲で溶融又は燃焼せず、良好に機能する。その体積密度は1420kg/m3であり、Mylarの体積密度よりもわずかに大きい。適切な引裂き抵抗及び最低限の密度を有する印刷に適した材料を探索する継続的な研究が進行中である。
【0165】
レトロディレクティブ・フェーズドアレイ機能は、遠隔収集ステーション(整流アンテナ)へのパワー伝送に必要とされる。Power Starコンセプトでは、低振幅マイクロ波ビーコンが各受電ステーションに配置される。各パッチアンテナ内に常駐するアナログプロセッサは、その位置でビーコン放射を受信し、次いでその位相を共役し、これを増幅し、伝送する。電磁波伝搬の基本原理は、全信号が、各ビーコンの位置を中心とする集中ビームを形成することを保証する。レトロディレクティブ・フェーズドアレイは、かねてから理解されており、実装のための技術は十分に開発されている[25、26]。本実施形態は、デジタル回路に固有の宇宙線に対する感度を回避する、高効率アナログ回路を用いる。
【0166】
電力/通信/送信の実施形態の断面図を図4に示す。一実施形態では(図4(a))、印刷されたソーラーセルはパッチアンテナと重ならないように表面に位置決めされる。そのパターンは、グレーティングローブを防止するためにランダム化される。各外部表面のトランスミッタは、日向にある場合には隣接するソーラーセルによって、又は日陰にある場合には内部表面上のトランスミッタに近接したトランシーバにより基板層の厚さを通して給電される。第2の実施形態は(図4(b))、ソーラーセル上に直接印刷された光学的に透明なマイクロ波パッチアンテナ(おそらくはメッシュ設計)を有することになるので、ファブリックの全面積が太陽エネルギを収集する。パワースターの解析は、この配置が地上へ送出される電力を4倍に高めることを示す。

【0167】
各マイクロ波トランスミッタは、受信基地の位置を示すビーコン信号の位相を共役化させて次にその信号を増幅して再送信するアナログ回路を備える。すなわち、いずれか1つのパッチアンテナで受信されたビーコン信号がVBcos(ωBt+θB)の場合に、トランスミッタはレトロディレクティブ回路と共にcos(ωBt−θB)に比例した増幅信号を放出することになる。電磁理論は、全てのトランスミッタをこのように装備すると、ビーコンの位置又はファブリックの表面形状の先験的な知識なしでファブリックの外皮が集中したビームをビーコンに向けることを示す。各個別のトランスミッタで位相共役を実現する最も効率的な方法では、ヘテロダイン技法を用いる。トランスミッタは、ビーコン信号の周波数を2倍にした局部発振器(LO)信号でポンピングされたミキサに接続される。これを図5に示す。LO信号をVLOcos(ωLOt)で表すと、混合の結果VMは、


【数16】
である。
【0168】
LO周波数はビーコン周波数の2倍なので、
【数17】
を得る。
【0169】
上記第1項はビーコン信号と同じ周波数を有するが、要望通りに共役な位相を持つことに留意されたい。第2項の周波数はビーコン周波数と比べて非常に大きいので、容易にフィルタ処理して抑制することができる。同じ理由で、あらゆるLOリークをフィルタ処理することができる。抑制しなければならないもう1つの信号は、位相共役器の出力の中に直接リークするビーコン信号である。一般に、平衡型ミキサ技術を用いてこのリーク信号を除去することができる。位相共役化処理は、ビーコン及び送信される出力の信号が同じ周波数を持たない場合に対して一般化することができる。
【0170】
さらに、フェーズドアレイのパッチアンテナ素子は、必ずしも等間隔でも同一平面でもなく、任意に設置することができる。局部発振器(LO)の周波数を変化させることによって、再放射される信号は周波数変調することができる。これによって、パワースターはビーコンを作動させるコードを伝えることができる。ヘテロダイン技術は、比較的簡単な回路構成を備えたアナログハードウェアだけで位相共役化を達成する。デジタル処理、並びに宇宙放射線環境に対する多くの耐性が不要である。この技術は、ターゲットの位置もアレイ素子の正確な位置も知ることなく、移動するターゲットを追うためのアクティブな追尾及び自己操縦を可能にする。基礎をなす仮定は、位相共役化回路を駆動するLO及び複数のLOが全て同期していることである。これを満たす標準的な方法は、全ての位相共役器を同一のLOで駆動することである。しかし、この方法はパワースター用途には実用的でない。
【0171】
別の手法は、全ての他トランスミッタに対して2ωBの信号を送信する単一のトランスミッタを有するものである。他のトランスミッタは、この信号を基準信号として使用するアナログ位相同期ループ(APLL)に組み込まれた1つのLOを有する。図6はAPLLの図式を示す。ここで、Lk=Vref(2ωBt+φref)は同期用トランスミッタからの基準信号である。これが、図5のようなアナログ乗算器及びフィルタから構成される位相検出器に送り込まれる。ローパスフィルタの出力は電圧制御発振器(VCO)に入力され、今度はその入力が、負帰還ループ内において位相検出器に対して或る利得Cでフィードバックされる。位相領域では、全N個のAPLLの動力学は、
【数18】
により特徴付けられ、ここで、φkはk番目のトランスミッタの位相、τは時定数、そしてgνはVCOの感度である。式(8.a)は減衰振子の運動を記述しており、全てのトランスミッタLOの位相が漸近的に基準位相に近づくこと、つまり、
【数19】
が容易に示される。
【0172】
代わりに、全てのLOを同期するために単一のトランスミッタに頼ることは、単一障害点のリスクを必然的に伴うことがある。各トランスミッタ回路の中に同期性を組み入れて特別な基準ユニットを設けないことが可能な場合がある。図7に示すように、周波数2ωBでのクロストークを計画的に用意してそのクロストークをAPLL用の基準信号とすることができる。

【0173】
【0174】
図5の基本的な位相共役回路を強化する特徴が図7に水色の線で示されている。図5の局部発振器は、図6に示すAPLLに置き換えられる。APLLの出力は周波数2ωBを中心とするバンドパスフィルタに入力される。小振幅のフィルタ出力が次に、トランスミッタにより伝送される位相共役化された信号に(周波数ωBで)付加される。パッチアンテナ・フェーズドアレイには不可避の僅かなクロストークは、近傍のアンテナが「リークした」2ωBの信号を受信するという結果をもたらす。同様に、クロストークに起因して、アンテナkは他のパッチアンテナにより伝送された2ωB信号を受信する。受信された信号は周波数ωBを中心とするバンドパスフィルタを通され(他の全ての周波数コンテンツを抑制するために)、その出力はAPLL用の基準信号Lkとして機能する。
【0175】
近傍のトランスミッタからトランスミッタkに入ってくるクロストーク信号は、
【数20】
の形を有する。
次に、APLLの解析(式8)を拡張すると、位相の動力学、φk,k=1,...,Nは、
【数21】
により記述される。
【0176】
これらは、N個の結合振子の方程式である。位相の全てが同一値に収束することを示すのは容易である。すなわち、複数のトランスミッタが互いに接近して配置されると、短時間の内にそれらの局部発振器は全て同期することになる。従って、この高度に分散型の機構によって、位相共役化信号は、要望通りに共通の時間基準に固定されることになる。
【0177】
さて、ファブリックのパワースターへの適用に関する別の話題に移る。太陽とビーコンの方向は完全には一致しないので、衛星内のパワーを分配する機構が必要とされる。図8は太陽及びビーコンからの放射の幾何形状を示し、ここでは、ビーコン間の角度的な隔たりは小さいので単一の代表的なビーコン方向を考慮してよいと仮定する。量φは太陽方向とビーコン方向との間の角度である。球体の内部表面は高い周波数で動作する(回折作用を低減するため)トランシーバで覆われていることを思い出されたい。これらのトランシーバは、各直径方向の対向ペアの共振軸が平行となるように方向付けられる。

【0178】
図8に示すように、球体の表面は4つの区域に分割される。太陽光とビーコン放射の両方に曝される区域(S,Bで表す)、ビーコン放射は受けるが太陽光は受けない区域(S(上に波線),B)、太陽光に曝されるがビーコン放射光には曝されない区域(S,B(上に波線))、並びに太陽もビーコンも見えない領域(S(上に波線),B(上に波線))である。明らかに、区域(S(上に波線),B)と(S,B(上に波線))は鏡像なので、(S(上に波線),B)上の各点は(S,B(上に波線))上に直径方向の対向点を有し、逆もまた同様である。同じ注釈が(S,B)と(S(上に波線),B(上に波線))に付随する。特定のトランスミッタとその隣接するソーラーセルが位置する区域は、それらの出力信号によって示される。この情報が与えられると、電力供給アルゴリズムは表2に示される。このアルゴリズムのために一切の処理が必要とされないことに注意されたい。本質的に、ビーコン信号を受信するために有効となる必要のあるトランスミッタは、実際に発電している近接のソーラーセル又は近接の内部トランシーバにより給電される。ビーコン信号がないことは、トランスミッタが遮断されていることを意味する。各送信用アンテナは、自身の近傍(数センチ内)にある、又は外皮の厚さを通して、ソーラーセルからパワーを引き出す。各トランスミッタはほんの数ワットを受信するので、高電圧や多数の電線は存在しない。この局部的な構成は、部分的な損傷に対する堅牢性を意味する。
【0179】
要約すると、印刷されたソーラーアレイ、パッチアンテナ及びレトロディレクティブ回路などの別々の構成要素をある程度(本明細書に記述する発明の実行可能性を議論する)示したが、打上げ用に小体積に折り畳まれ、その後で複雑な構造や軌道上組立を必要とせずに宇宙での運転のために自動的に展開することの可能な、一体化され統合化されたシステムにこれらの要素を結合させるという概念は、現状技術に対する新しい貢献である。

【0180】
パワー/通信/防御
本実施形態は上述のアイテムであるが、内部トランシーバは省略され、パワー伝送の「アクティブ」モードが付加されており、それによって非協調的なターゲットに放射が伝送され、ターゲットからの応答が高パワー密度ビームを指向させるためのビーコンとして使用される。
【0181】
パワー収集モードでは、パワー/通信/防御の実施形態は印刷されたソーラーアレイ素子を単純に使用する。図9に示すように、コンパクトに折り畳まれたファブリックのラグが、前線軍事基地、発展途上地域又は同様にアクセスが困難な場所に持ち込まれて展開され、地面に広げられる。一旦展開されると、それは印刷されたソーラーセルと従来型のパワー管理及び分配システムを用いてソーラーパワーを供給する。
【0182】
パワー供給の他に、本実施形態は、図10に示すように空襲に対する自己防衛を提供するために、「アクティブな」レトロディレクティブモードで実行することができる。パッチアンテナにエネルギを与えて広範な指向性の放射パターンを伝送し、侵入してくる飛行体からの放射応答がレトロディレクティブなビーム伝送用のビーコンとして使用される。地球静止軌道にある第1のレベニューユニットのパワースターは、安全な低エネルギ密度の放射を地上に生成することに注意されたい。しかしながら、100km未満まで伝送エネルギを減少させると、パワー密度は莫大なものとなる。パワー/通信/防御ラグは、数十kmの距離で航空機やロケットを使用不能とするように容易にデザインすることができるであろう。
【0183】
レトロディレクティブなビーム制御のアクティブモードの追加により、この実施形態は最先端技術に対して独創的に貢献する(遠隔地でのパワー収集のために、並びに航空機及びミサイル防衛のための方法として)。

【0184】
【0185】
軌道のデブリを除去するためのパワースターの応用
本出願では、低軌道デブリが大気圏上層部に入り燃え尽きるまで低軌道デブリの軌道速度が放射圧によって低下されるように低軌道(LEO)デブリ(退役衛星、使用済み上層ステージなど)を照射するためにパワースターを使用する。パワースターは、幾分高い軌道(おそらくMEO)に配置され、物体がパワースターに近付くと同時にビームを下方に向けてデブリ物体に当てる。物体が低高度軌道を移動する場合に物体がパワースターから遠ざかり始める時にビームがオフにされる。GEO軌道にある場合、実現可能なパワースターのパワー密度はかなり低い。しかしながら、1000キロメートルより短い距離では、パワー密度が非常に高く放射圧が著しい力に達する可能性がある。軌道を外れるデブリ物体は、これらが他の物体との衝突のせいでデブリ拡散の源になる可能性が高いので、大きなバスサイズ物体であることがここで仮定される。大まかな目標は、1年当たり少なくとも5つのこのような物体を廃棄することであり、これは、LEOのデブリ物体の総数を少なくとも一定に保つために十分であると推定される。
【0186】
図11は、デブリ除去デバイスとしてパワースターの能力の近似の推定値を導出するためにここで使用される単純化されたシナリオを示す。デブリ物体及びパワースターが同じ平面で軌道を回っていると仮定する(しかし、食の持続時間を最小にするための傾いた軌道が好ましい)。パワースターは、高い軌道にあり、図は、パワースターがHpによって示された高度のx軸に位置付けられるようにx−y座標系がパワースターと共に回転することを示している。極座標によってデブリ物体の位置が表されており、ここで、αは、地球の中心からの瞬間的な距離であり、x軸から測定される角度θ∈(−π,π]は角座標である。低高度にある場合、デブリ物体はパワースターに対して移動し、デブリ物体が半時計方向に進むことが示されている。
【0187】
【0188】
デブリの半長軸が極めてゆっくり変わり軌道期間中に目に見えるほど変化しないという仮定が証明される。次に回転フレームの位置ベクトルが次式のように与えられる。
【数22】
ここでμは、地球の重力定数であり、x(上にハット)及びy(上にハット)は、それぞれx及びy軸に沿った単位ベクトルである。
【0189】
デブリはパワースターの視界に移るまで照射されることはない点に留意されたい。図11から、発明者らは、以下の場合は必ずこれが起こることを調べた。
【数23】
【0190】
また、デブリがx軸を通過し、且つパワースターから遠ざかり始めると、照射がオフにされるはずである。従って、デブリが照射されるのはθ∈[−(ψ+Φ),0)の場合だけである。
【0191】
空気力、Faは、周方向にあり、デブリの速度に対抗する。デブリ速度は、半長軸の瞬間値を使用して円軌道式によって近似される。
【数24】
この式によって、空気力が近似される。
【数25】
実際には、以下で、弾道係数を規定する。
【数26】
A及びマスは、次にこれに従って範囲を計算する。大気密度をモデル化するために、太陽活動周期に渡って平均化された米国標準大気を使用する。

θ∈[−(ψ+Φ),0)の場合、パワースターは、デブリに近似のスポット半径を有する放射のビームを投影する。
【数27】
【0192】
図11を使用して、以下を調べた。
【数28】
デブリ範囲対物体上のパワースポットの範囲の比率によって乗算されたパワースターによって送信される合計パワーになるようにデブリを実際に照射する合計パワー、Φを得る。
【数29】
【0193】
デブリに置かれたこのパワーは、近似で
【数30】
の放射圧を結果として生じ、ここでδは正反射の係数であり、βrefは、反射係数である。この力は、パワースターからデブリの方向になるよう取られる。しかしながら、半長軸の平均効果を計算するために、この力の正接成分だけを含める。項を集めると、以下になる。
【数31】
ここで、d(上にハット)及びt(上にハット)は、パワースターからデブリ、及び正接に沿ったデブリへの単位ベクトルである。
【数32】
上記の力の式が与えられると、半長軸のゆっくりとした変動が、以下の一次連立常微分方程式によって近似される。
【数33】
【0194】
極めて一般的なケースであるものを検討するために、1ミリメートルの動作波長を持つ1000Km円軌道に1キロメートルパワースターを有するとする。ソーラーセル及び透明なパッチアンテナの各々が全表面を占め、ソーラーセルが20%の効率であると仮定すると、合計の伝送パワーが〜200MWになると予想する。実際には、波長がわずか1mmであるので、表皮の厚みは、6マイクロン以下になり、従ってバルーンは数キロメートルになり、重量のあるリフトランチ機になる。しかしながら、この初期推定値に1キロメートル及び200MWを仮定する。要約すると、仮定されるパワースターパラメータは以下になる。
Y=0.001m
A=1km
t=200MW (式22.a−f) Hp=1000km
さらに、1m2当たり65キログラムの極めて平均的な弾道係数を持つ初期500km円軌道の10メートルトンデブリ物体を考える。この正反射の係数は、ゼロであると仮定され、その反射係数は、1であると仮定される。従って以下になる。
M=10MT
h(t=0)=500km
β=65kg/m2 (式23.a−e) θ=0
βref=1.0
これらの値を、θ=−(ψ+Φ)である初期状態と統合する(21)。

図12は、放射圧の時間履歴の初期部分を示す。一度デブリはパワースターの視野方向(LOS)内を通過する。力は直ちに1ニュートン近くに達する。これは、ミリメートルの波長によって、ターゲット上のパワースターの放射スポットが、デブリ物体範囲よりほとんど小さいことに起因し、ほとんどフルパワーが距離の変動に関わらすデブリによって受け取られる。デブリがパワースターの真下にある場合、ビームがオフとされ、デブリがもう一度LOSコンタクトに達するまで力はゼロのままである。
同様に、図13は、デブリの高度の時間履歴の早期部分を示す。デブリがパワースターのLOS内にある間は、デブリが急速且つほぼ直線的な速度で下降することを調べた。LOS内にない場合は、その軌道は、空気力学によりゆっくりとした速度で下降する。

【0195】
【0196】
図14は、最終的な軌道離脱までの高度の全時間履歴を示す。軌道離脱は、70.6日後に起こる。同じ期間内で比較すると、空気力学だけが作用する場合、物体は3.5kmだけ降下する(太陽周期に渡る平均)。食事象は別にして、軌道離脱時間は、1年当たりほぼ5つの大きなデブリ物体を廃棄するのに十分短くなる点に留意されたい。
一方、所与のデブリ物体が1つのパワースターに常にLOS接触するように対称的に並べられた5つのパワースターを持つとするとどうなるであろうか?図13に示した下降の速度から、1時間当たり2/3kmの下降を推測することができる。従って、500km初期高度から始まり軌道離脱時間は約1カ月になる。


(参考文献)


図1
図2
図3
図4
図5
図6