(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ゲートが、前記チャネルを少なくとも部分的に阻止するブロックを含み、前記複数の非伸張性要素が、前記ブロックに結合されているカーリングアクチュエータに取り付けられ、前記カーリングアクチュエータが、前記ゲート内の前記流体圧力に一部基づいて前記チャネル内の前記ブロックの場所を調整する、請求項1に記載の流体デバイス。
前記障害物が、前記チャネル内で前記ソースと前記ドレインの間に位置するバックル壁であり、前記バックル壁が前記チャネル内で前記ゲート内の前記流体圧力によって湾曲するように構成されており、前記バックル壁が、前記ゲートの前記低圧状態において前記ソースから前記ドレインへの流体流を実質的に阻止し、前記ゲートの前記高圧状態においては、前記バックル壁が前記チャネル内で湾曲して前記ドレインが前記ソースから直接流れる流体に曝される、請求項1に記載の流体デバイス。
前記ゲートが、前記チャネルを少なくとも部分的に阻止するブロックを含み、前記複数の非伸張性要素が、前記ブロックに結合されているカーリングアクチュエータに取り付けられ、前記カーリングアクチュエータが、前記ゲート内の前記流体圧力に一部基づいて前記チャネル内の前記ブロックの場所を調整する、請求項8に記載の複合流体デバイス。
前記障害物が、前記チャネル内で前記ソースと前記ドレインの間に位置するバックル壁であり、前記バックル壁が前記チャネル内で前記ゲート内の流体圧力によって湾曲するように構成されており、前記バックル壁が、前記ゲートの前記低圧状態において前記ソースから前記ドレインへの流体流を実質的に阻止し、前記ゲートの前記高圧状態においては、前記バックル壁が前記チャネル内で湾曲して前記ドレインが前記ソースから直接流れる流体に曝される、請求項8に記載の複合流体デバイス。
前記障害物が、インターフェース部に剛直に結合されている弁部を備えるエリア弁であり、前記弁部が、前記ゲートによって前記インターフェース部に印加される圧力に応じて、前記ソースと前記ドレインの間の流体流を増分的に増加させる、請求項8に記載の複合流体デバイス。
少なくとも1つのチャンバで構成されているゲートであって、その容積が前記チャンバ内の流体圧力によって拡大して前記チャンバの容積を増加させ、前記ゲートの高圧状態が第1のチャンバサイズに対応し、前記ゲートの低圧状態が前記第1のチャンバサイズよりも小さい第2のチャンバサイズに対応する、ゲートと、
流体をソースからドレインへ輸送するように構成されたチャネルであって、前記ソースは、流体が前記チャネルに入る入力部であり、前記ドレインは前記チャネル内の前記流体の出力部である、チャネルと、
前記ゲート内の前記流体圧力に応じて前記ソースと前記ドレインの間の流体流の速度を制御する障害物であって、前記ゲートの前記低圧状態に応じて前記チャネル内の前記流体の第1の流速を誘導し、前記ゲートの前記高圧状態に応じて前記チャネル内の前記流体の第2の流速を誘導するように構成された障害物と
を備える流体デバイスであって、
前記障害物が前記ゲートであり、前記ゲートが、前記低圧状態における第1の形状と、前記高圧状態における第2の形状とを有する複数の非伸張性要素を含み、前記低圧状態において、前記複数の非伸張性要素が前記第1の形状を取ることで、前記チャネル内の流体流を前記第1の流速に合わせるように前記ゲートが前記チャネルの中に突出し、前記高圧状態において、前記複数の非伸張性要素が前記第2の形状を取ることで、前記チャネル内の流体流を前記第2の流速に合わせるように前記ゲートが前記チャネルの中により少なく突出し、前記第1の流速が前記第2の流速より小さい、流体デバイス。
前記ゲートが、前記チャネルを少なくとも部分的に阻止するブロックを含み、前記複数の非伸張性要素が、前記ブロックに結合されているカーリングアクチュエータに取り付けられ、前記カーリングアクチュエータが、前記ゲート内の前記流体圧力に一部基づいて前記チャネル内の前記ブロックの場所を調整する、請求項16または17に記載の流体デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図は、本開示の諸実施形態を単に説明の目的で描写している。当業者には、以下の説明から、本明細書に示された構造および方法の代替実施形態が、本明細書に記載された開示の原理、またはうたわれている利益から逸脱することなく使用され得ることが容易に理解されよう。
【0037】
流体デバイスは、電子デバイス(たとえば、電気トランジスタ、電気ダイオード、抵抗、コンデンサなど)と同様に機能する流体処理デバイスである。微小な流体(たとえば、液体または気体)デバイスが、仮想現実(VR)システム、拡張現実(AR)システム、および/または複合現実(MR)システムに使用される。高レベルにおいて、流体デバイスは、ソースからドレインへのチャネルを通る液体の流れをゲート圧で調整できるように、従来のトランジスタと類似したように機能する。流体デバイスは、たとえば、高流速弁、非伸張性ゲート弁、カーリングアクチュエータ付き非伸張性ゲート弁、ジェット偏向増幅器、リフトTゲート、NFETバックル壁弁、NFETピンチチューブ弁、NFET相対エリア弁、NFETテスラ弁、NFET相対エリア弁、予負荷NFET弁、およびベンチュリ弁として機能することができる。流体デバイスの様々な実施形態について、以下で
図3A〜13Bに関して詳細に論じる。
【0038】
加えて、流体デバイスは、複数の流体デバイスを結合してより大きい構造物を生成できるという点で、「構成可能」である。流体デバイスは、たとえば流体トランジスタとして動作するように設計できるので、多数の流体デバイスを結合して複合デバイスを作り出すことができ、この複合デバイスは、論理機能(たとえば、ANDゲート)を実施する電気回路を形成するように一緒に使用されるトランジスタと同様に、特定の論理機能を実施する。それゆえに、複合流体デバイスは、たとえば、AND機能、NOT機能、NAND機能、OR機能、NOR機能、排他的OR機能、何か他の論理機能、またはこれらの何らかの組み合わせを含む、様々な論理機能を実施することができる。その上、多数の複合デバイスを結合して、いっそう大きい流体回路(たとえば、デコーダ、触覚グローブのコントローラなど)を形成することもできる。複合流体デバイスは、組み合わせ論理、順序論理、または両方を実施するように構造化することができ、あるいは値を渡すように構成することができる(たとえば、パストランジスタまたはパスゲート)。
【0039】
図1は、一実施形態による、複合流体デバイス100の例示的な図である。複合流体デバイス100は、高圧レール110、低圧レール120、1つまたは複数の流体デバイス130Aおよび130B、入力インターフェース142、および出力インターフェース144を含む。
図1に示された
図100は、単なる一例であり、図示されていない代替実施形態では、
図100は、追加の/より少数の、または別の流体デバイスを高圧レール110と高圧レール120の間に含むことがある。同じく、
図100の様々なエンティティは、別の実施形態では異なることがある。
【0040】
高圧レール110は、流体を固定圧力で供給する構造物である。この構造物は、この圧力では容易に変形しない材料から作られ、あるいは他の実施形態では、構造物は十分に容量性であるので、変形によりデバイスが故障することがない。たとえば、構造物は、たとえば高ジュロメータポリジメチルシロキサン(PDMS)および他のポリマーから構成することができる。いくつかの実施形態では、構造物は可撓性とすることができる。構造物は円形断面、長方形断面、または何か他の断面を有することができる。別法として、構造物は剛性または半剛性とすることができる。固定圧力は相対的に一定である。いくつかの実施形態では、高圧レール110は、高圧レール110内の流体が第1の圧力にあることを確実にするために使用できる加圧流体源、1つもしくは複数のポンプ、または何か他のデバイスに連結される。流体は液体でも気体でもよい。たとえば、流体は水、脱イオン水、アルコール、油、標準的な油圧油、空気、および窒素でよい。高圧レール110内の流体の圧力は、電気システムのトランジスタ用のレール電圧と同様であり、そのため、レール電圧が電気回路の他の部分に電位を与えるのとほとんど同じように、流体が高圧レール110から低圧力のエリアに向かって流れる。たとえば、高圧レール110内の流体の典型的な動作圧力は、1〜100PSI(1平方インチ当たりポンド)とすることができる。
【0041】
低圧レール120は、流体を送る別の構造物である。低圧レール120は、第1の圧力より低い、かつ一般に複合流体デバイス100の内部の最低圧力である、第2の圧力で流体を供給する。この構造体は、第1の圧力では変形しない材料から作られる。たとえば、構造体は、たとえば高ジュロメータPDMS、および他のポリマーから構成することができる。低圧レール120は一般に、低圧レール120に結合された複合流体デバイス100の他の部分からの流体が低圧レール120に向かって流れるように、低圧ゾーンとして機能する。低圧レール120内の流体の圧力は、電気システムの電気的アースと同様である。たとえば、低圧レール120内の流体の圧力は、高真空から15PSIの範囲とすることができる。高真空は、たとえば1.45×10
−5PSI以下の絶対圧力でよい。1つの実施形態では、低圧レール圧力値の上限は、高圧レールとの差として定義することができ、この場合の上限は、高レールの絶対圧力値にかかわらず、たとえば高レールの5PSI下とすることができる。
【0042】
流体デバイス130A、130Bは、電気システムのトランジスタ、たとえばPチャネル電界効果トランジスタ(PFET)、またはNチャネル電界効果トランジスタ(NFET)と同様に機能する流体デバイスである。
図1に示されるように、流体デバイス130Aおよび130Bのそれぞれは、ソース、ドレイン、およびゲートを含む。いくつかの実施形態では、流体が充填されたチャネルがソースとドレインの間にあり、ソース内の流体の圧力はドレイン内の流体の圧力よりも高く、それにより、チャネルが開いているときに、チャネル内の流れがソースからドレインへ流れることができる。1つの実施形態では、ゲートが低圧状態にあるときにチャネルは開いており、ゲートが高圧状態にあるときにチャネルは閉じている。他の実施形態では、ゲートが高圧状態にあるときにチャネルは開状態にあり、ゲートが低圧状態にあるときにチャネルは閉状態にある。
【0043】
チャネルの「開」状態とは、チャネル内の流体が一方の端部(たとえば、ソース)から他方の端部(たとえば、ドレイン)まで、ある開閾値速度で流れている状態を指す。たとえば、開閾値速度は10cc/sであり得る。本明細書全体を通して用いられる測定値「cc/s」は、「立方センチメートル/秒」を指す。対照的に、チャネルの「閉」状態とは、チャネル内の流体の流れが、ある閉閾値速度未満のときの状態を指す。いくつかの実施形態では、閉閾値速度はゼロ流量とすることができる。別法として、閉閾値速度は、開閾値速度よりも低い、ある流速とすることができる。たとえば、閉閾値速度は0.1cc/sとすることができる。加えて、チャネルが開状態から閉状態へ、または閉状態から開状態へ移行するときに「移行」状態が生じる。チャネルの「開」状態はまた、流体デバイスの「ON」状態とも呼ばれ、チャネルの「閉」状態はまた、流体デバイスの「OFF」状態とも呼ばれる。
【0044】
本明細書に記載の「高圧」および「低圧」は、流体デバイス構造体、および流体デバイスを充填する流体の圧力によって決まる。一般に、「低圧」とは、ある低圧範囲に入る流体の圧力であり、「高圧」とは、ある高圧範囲に入る流体の圧力である。低圧範囲は「0」と考えることができ、高圧範囲は「1」と考えることができる。それゆえに、流体デバイス130A、130Bは、別々の圧力の流体を使用してデジタル的に動作することができる。その上、流体デバイスの別の構成要素が、別々の高圧範囲および別々の低圧範囲を有することができる。たとえば、ゲートの高圧範囲は、ソースの高圧範囲よりも大幅に低くすることができる。チャネルが開く、または閉じるための応答時間の範囲は、0.1msから30msとすることができる。
【0045】
入力インターフェース142は、流体デバイス130A、130Bが入力を受け取ることができるようにするインターフェースである。1つの実施形態では、流体デバイス130への入力は、流体デバイスを「ON」または「OFF」状態にできる流体デバイスの特定の部分に印加される、特定の圧力の流体である。1つの例として、入力は、流体デバイス130A、130Bのゲートに印加される、特定の圧力の流体であり得る。類似して、出力インターフェース144は、流体デバイス130A、130が出力を与えることができるようにするインターフェースである。
【0046】
図2は、一実施形態による、NOT機能を実施するように構成された双対論理ゲートの例示的な
図200である。
【0047】
一般に、双対論理ゲートは2つの異なる制御入力を受け取る。2つの異なる制御入力は、相互に排他的である。いくつかの実施形態では、第1の入力は第2の入力と等しくない。双対論理ゲートを使用する1つの利点は、このゲートは1つの弁形を使用できるが、さらに、たとえばAND機能、NOT機能、NAND機能、OR機能、NOR機能、排他的OR機能、何か他の論理機能、またはこれらの何らかの組み合わせを含む、様々な論理機能も実施できることである。たとえば、
図2に描写された双対論理ゲートは、「NOT」機能を実施する。加えて、多数の弁を使用することによって、複数の低圧入力を容易に組み合わせて、増幅された高圧出力を作り出すことができる。これにより、回路のエネルギー効率が向上する。
【0048】
図2の「NOT」機能などの論理ゲートは、トランジスタおよび抵抗などのより大きい回路要素を構築するために使用される基本的な構築ブロックである。使用される論理ゲートの組み合わせおよび順序付けに応じて、異なるトランジスタおよび抵抗を構築することができる。
図2に描写された論理ゲートの実施形態では、回路の媒体は電気である。しかし、回路の他の可能な媒体は、任意の種類の流体である。実際、本開示の主題は、流体トランジスタに焦点を当てている。さらなる実施形態では、流体トランジスタはまた、簡単な論理ゲートを使用して構築することもできる。言い換えると、電子トランジスタおよび抵抗を異なる電気論理ゲートの組み合わせを使用して構築できるように、流体トランジスタおよび抵抗もまた、異なる流体論理ゲートの組み合わせを使用して構築することができる。
【0049】
図3Aは、一実施形態による、ゲート310を含む高流速流体デバイス305の、ゲート310が高圧状態にある断面図である。流体デバイス305は、ゲート310と、流体をソース330から受け取り流体をドレイン340へ出力するチャネル320とを含む。チャネル320は、チャネル320を通る流体流を少なくとも部分的に阻止できるチャネル隔壁345を含む。ゲート310は、ゲート310内の流体の入力部および/または出力部として働き、かつゲート310とソース330の間の圧力差を要求に合わせることができるゲート弁315を含む。ゲート310はまた、ゲート膜335を含む。流体デバイス305は、少量の流体が比較的遅い速度でソース330からゲート310まで進むことができるようにする少なくとも1つのブリード弁325を含む。いくつかの実施形態では、流体デバイス305は、
図1に示された流体デバイス130Aまたは130Bである。1つの実施形態では、ソース330、ドレイン340、およびゲート310はそれぞれ、電気システムにおける電界効果トランジスタのソース、ドレイン、およびゲートと同様に機能する。
【0050】
チャネル320は、ソース330およびドレイン340と呼ばれる2つの端部を連結する構造物であり、チャネル320には流体(たとえば、液体または気体)が充填される。1つの実施形態では、チャネル320は、流体が充填される可撓管とすることができる。チャネル320は、いろいろな種類の形状、サイズを有することができ、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。1つの例として、チャネル320の断面は、円形、楕円形、正方形、長方形などとすることができる。チャネル320は、シリコーン(一種のエラストマー)、プラスチックなどの材料から構成することができ、例示的な使用される材料は、PDMSなどのポリマーである。サイズは、50μmから5mmの範囲とすることができる。
【0051】
チャネル320は、チャネル320を通る流体流を少なくとも部分的に阻止できるようにソース330とドレイン340の間に位置付けられているチャネル隔壁345を含む。具体的には、チャネル隔壁345が
図3Aで分かるようにゲート膜335と同じ高さにある場合、ソース330からドレイン340への流体流が全く阻止される。チャネル隔壁345が
図3Bで分かるようにゲート膜335と同じ高さにない場合は、流体がチャネル隔壁345のまわりを巡ってドレイン340に到達できるので、ソース330からドレイン340への流体流は部分的にしか妨げられない。チャネル隔壁345に対するゲート膜335の配置については、より詳細に以下で論じる。
【0052】
ゲート310は流体デバイス305の一部分であり、電気システムの電子トランジスタのゲートと同様に機能する。ゲート310は、いろいろな形状、サイズを有することができ、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。ゲート310は、シリコーン(一種のエラストマー)、プラスチックなどの材料から構成することができ、例示的な使用される材料は、PDMSなどのポリマーである。
【0053】
ゲート310は、ゲート弁315およびゲート膜335を含む。ゲート弁315は、ゲート310内の流体の出力部として働き、ゲート310とソース330の間の圧力差を要求に合わせることができる。いくつかの実施形態では、ゲート弁315はまた、ゲート310への流体の入力部としても働く。図を簡単にするために、ゲート弁315の入力部および出力部は
図3Aおよび
図3Bに示されていない。いくつかの実施形態では、ゲート弁315への入力は、何か他の流体デバイスからのものとすることができる。同じく、いくつかの実施形態では、ゲート弁315の出力部は他の流体デバイスに結合されてもよい。
図3Aのゲート310は、単一のゲート弁を含有する。代替実施形態では、ゲート310は複数のゲート弁315を含有することがある。さらなる実施形態では、複数のゲート弁315のそれぞれが別々の機能を果たす。たとえば、一方のゲート弁315が流体の入力部として働くことができ、他方のゲート弁315が流体の出力部として働くことができる。
図3Aのゲート弁315は円形断面を有し、ゲート310の、ゲート膜335に隣接する領域に埋設される。代替実施形態では、ゲート弁315の断面は、楕円形、正方形、長方形などとすることができる。ゲート膜335は、ゲート310とチャネル320の間に位置する可撓性材料である。ゲート膜335は、その形状を変えることが可能であり、また移動させることが可能である。
【0054】
ゲート膜335は、少なくとも1つのブリード弁325を含む。ブリード弁325は、流体がソース330からゲート310に流れ込むことを可能にする。ブリード弁325を通り抜ける流体の流れにより、ゲート310とソース330の間の圧力差を少なくとも部分的に要求に合わせることができる。具体的には、ブリード弁325は、ソース330とゲート310の間の圧力を平衡に保つことを可能にする。チャネル320に対してゲート弁315を小さくすることのトレードオフは、チャネル320がもっと遅く開くことになることであり、ゲート弁315に対してブリード弁325を小さくすることのトレードオフは、チャネル320がもっと遅く閉じることになることである。ブリード弁325のサイズおよび数量により、流体デバイス305の「OFF」状態から「ON」状態への移行を要求に合わせる。具体的に、流体デバイス305が「OFF」状態から「ON」状態へ移行するためには、ブリード弁325が、次の条件が当てはまるようにサイズ設定される。すなわち、
EP(g(open))×SA(gm(open))<P(s)×SA(gm(outside))+DP(closed)×SA(gm(inside)) (1)
ここで、EP(g(open))は、ゲート弁315が開いた状態のゲート310の平衡圧力であり、SA(gm(open))はゲート膜335の総面積であり、P(s)はソース330の圧力であり、SA(gm(outside))は、チャネル隔壁345の外側のゲート膜335の面積であり、DP(closed)は、閉じているときのドレイン340の圧力であり、SA(gm(inside))は、チャネル隔壁345の内側のゲート膜335の面積である。EP(g(open))は、ゲート弁315のサイズとブリード弁325のサイズの比に基づいている。DP(closed)は、ゼロまたはほぼゼロのゲージ圧、すなわち大気圧になっている。
【0055】
ブリード弁325のサイズおよび数量によりまた、ソース330とゲート310の間の圧力が平衡状態になることができる速度、すなわち、流体デバイス305が「OFF」状態に戻ることができる速度を要求に合わせる。ブリード弁325がより多くより大きい流体デバイスは、ブリード弁325がより少なくより小さい流体デバイスよりも速く圧力を平衡させること、および「OFF」状態にリセットすることが可能である。ブリード弁325のサイズおよび数量は、ゲート弁315のサイズおよびチャネル320のサイズによって決まる。いくつかの実施形態では、ブリード弁325の数量は1〜10個の範囲にあり、各ブリード弁325の直径は5μmから1mmの範囲にある。
【0056】
図3Aに示された流体デバイス305の実施形態では、ゲート弁315が閉じられており、ゲート弁315を通り抜ける流体流は閾値速度未満である(たとえば、流体流がない)。ソース330からの流体は、ブリード弁325を通り抜けて進むことが可能である。ゲート弁315が閉じており、かつ流体がブリード弁325を通り抜けて流れることが可能であるので、ソース330の流体の圧力はゲート310の流体の圧力と等しい。言い換えると、圧力平衡の状態がソース330とゲート310の間に存在する。この状態では、ゲート膜335はチャネル隔壁345と同じ高さにあり、そのためチャネル320は閉じたままであり、流体がソース330からドレイン340へ流れることが不可能である。すなわち、流体デバイス305は「OFF」状態にある。
【0057】
図3Bは、一実施形態による、
図3Aに示された流体デバイス305の、ゲート310が低圧状態にある断面
図350である。
図3Bで、ゲート弁315の出力部を開くと、ゲート310の圧力がソース330の圧力に対して低下することになる。具体的には、ゲート弁315の出力部が、流体がゲート310から流れることが可能なように開放されると、ゲート310とソース330の間に圧力差が作り出される。これは、ソース330からブリード弁325を通り抜けてゲート310に入る流体流が継続して生じている間に、ブリード弁325を通り抜ける流体の流れが、ゲート弁315から出る流体の流れと比べて非常に遅い速度で生じ、したがってソース330とゲート310の間に圧力差が作り出されるために起こる。この圧力差およびゲート310における圧力が相対的に低いことの結果として、ゲート膜335はゲート310に向かってチャネル320から離れ、そのためゲート膜335は、もはやチャネル320のチャネル隔壁345と同じ高さにはなく、流体デバイス305が「ON」状態になるように、流体がソース330からドレイン340へ開閾値速度で流れることができる。
【0058】
流体デバイス305は、ソース330とゲート310の間に流体圧力差を作り出すことによって、閉状態(
図3A)から開状態(
図3B)に遷移する。遷移期間中(図示せず)、ゲート310とソース330の間の圧力差は徐々に増加し、ゲート膜335は徐々にゲート310へ向かってチャネル320から徐々に離れて、ソース330からドレイン340へ流れる流体の速度が増加する。流体流が開閾値に達するとき、流体デバイス305は「ON」状態にある。
【0059】
図4Aは、一実施形態による、低圧状態のゲート410を含む流体デバイス405の断面
図400であり、ゲートは複数の非伸張性要素415を含む。流体デバイス405は、ゲート410と、ソース430から流れる流体を受け取り、この流体をドレイン440へ出力するチャネル420とを含む。ゲート410は、流体を受けること、および/または解放することができる複数の非伸張性要素415を含む。いくつかの実施形態では、流体デバイス405は、
図1に示された流体デバイス130Aまたは130Bである。1つの実施形態では、ソース430、ドレイン440およびゲート410は、電気システムの電界効果トランジスタのソース、ドレインおよびゲートと同様に機能する。
【0060】
チャネル420は、ソース430およびドレイン440と呼ばれる2つの端部を連結する構造物であり、チャネル420には流体(たとえば、液体または気体)が充填される。1つの実施形態では、チャネル420は、流体が充填される可撓管とすることができる。チャネル420は、いろいろな種類の形状、サイズを有することができ、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。1つの例として、チャネル420の断面は、円形、楕円形、正方形、長方形などとすることができる。チャネル420は、シリコーン(一種のエラストマー)、プラスチックなどの材料から構成することができ、例示的な使用される材料は、PDMSなどのポリマーである。サイズは、50μmから5mmの範囲とすることができる。
【0061】
ゲート410は流体デバイス405の一部分であり、電気システムの電子トランジスタのゲートと同様に機能する。ゲート410は、いろいろな形状、サイズを有することができ、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。1つの実施形態では、ゲート410は、ゲート410が可撓性および伸張性になるような材料で作られる。それゆえに、ゲート410のサイズおよび形状は変わり得る。ゲート410は、ソース430とドレイン440の間の流体流を少なくとも部分的に遮ることができるようにチャネル420内にはめ込まれる。
【0062】
ゲート410は、流体を入力することによって膨張させることができ、かつ/または流体を出力することによって収縮させることができる複数の非伸張性要素415を含む。図を簡単にするために、非伸張性要素415の入力部および出力部は
図4Aおよび
図4Bに示されていない。いくつかの実施形態では、非伸張性要素415への入力部は、何か他の流体デバイスから流体を受け取ることができる。同じく、いくつかの実施形態では、非伸張性要素415の出力部は、他の流体デバイスに結合することができる。非伸張性要素415のそれぞれは、いろいろな形状、サイズを有することができ、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。1つの実施形態では、非伸張性要素415は、非伸張性要素415が可撓性ではあるものの非伸張性になるような材料で作られる。それゆえに、非伸張性要素415は、形状を変えることは可能であるが、サイズを変えることは可能ではない。さらなる実施形態では、非伸張性要素415は、非伸張性要素415が付勢されて特定の寸法が拡大するように構成される。たとえば、
図4Aおよび
図4Bに示された実施形態では、非伸張性要素415は、非伸張性要素415内の流体圧力が増加したときに非伸張性要素415が曲がり、主に横方向に拡大することが可能になるように構成される。
【0063】
図4Aに示されるように、ゲート410が低圧状態にあるときに、非伸張性要素415は相対的に長細く、チャネル420内にはめ込まれたゲート410は、チャネル420の中に突出して、流れが閉閾値速度になるように、かつ流体デバイス405が「OFF」状態になるように、チャネル420を通る流体流を事実上阻止する。
【0064】
図4Bは、一実施形態による、
図4Aに示された流体デバイス405の、ゲート410が高圧状態にある断面
図450である。流体デバイス405は、ゲート410の流体圧力を増加させることによって閉状態(
図4A)から開状態(
図4B)へ遷移する。遷移期間中(図示せず)、ゲート410の非伸張性要素415内の流体圧力が増加されて、非伸張性要素415が膨張し横方向に拡大する。しかし、非伸張性要素415は、可撓性ではあるものの非伸張性の材料で作られているので、この非伸張性要素415が横に拡大することにより、非伸張性要素415は一定の容積を維持するために縦寸法が縮小する。こうして非伸張性要素415が横方向に拡大し、また非伸張性要素415が縦方向に縮小することにより、ゲート410もまた横に拡大し縦に縮小する。こうしてゲート410の縦寸法が縮小すると、ゲート410がチャネル420の中に突出する距離が事実上減少し、それによってチャネル420は、流体がソース430からドレイン440へ開閾値速度で流れることができ、それにより流体デバイス405が「ON」状態になるように開く。
【0065】
図5Aは、一実施形態による、低圧状態のゲート510を含む流体デバイス505の断面
図500であり、ゲート510は、カーリングアクチュエータ525に取り付けられた複数の非伸張性要素515を含む。流体デバイス505は、ゲート510と、ソース530から流れる流体を受け取り、この流体をドレイン540へ出力するチャネル520とを含む。ゲート510は、流体を受けること、および/または解放することができる複数の非伸張性要素515を含む。複数の非伸張性要素515は、カーリングアクチュエータ525に取り付けられる。いくつかの実施形態では、流体デバイス505は、
図1に示された流体デバイス130Aまたは130Bである。1つの実施形態では、ソース530、ドレイン540およびゲート510は、電気システムの電界効果トランジスタのソース、ドレインおよびゲートと同様に機能する。
【0066】
チャネル520は、ソース530およびドレイン540と呼ばれる2つの端部を連結する構造物であり、チャネル520には流体(たとえば、液体または気体)が充填される。1つの実施形態では、チャネル520は、流体が充填される可撓管とすることができる。チャネル520は、いろいろな種類の形状、サイズを有することができ、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。1つの例として、チャネル520の断面は、円形、楕円形、正方形、長方形などとすることができる。チャネル520は、シリコーン(一種のエラストマー)、プラスチックなどの材料から構成することができ、例示的な使用される材料は、PDMSなどのポリマーである。サイズは、50μmから5mmの範囲とすることができる。
【0067】
ゲート510は流体デバイス505の一部分であり、電気システムの電子トランジスタのゲートと同様に機能する。ゲート510は、いろいろな形状、サイズを有することができ、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。1つの実施形態では、ゲート510は、ゲート510が可撓性および伸張性になるような材料で作られる。それゆえに、ゲート510のサイズおよび形状は変わり得る。ゲート510の一部分は、ソース530とドレイン540の間の流体流を少なくとも部分的に遮ることができるようにチャネル520内にはめ込まれる。
【0068】
ゲート510は、流体を入力することによって膨張させることができ、かつ/または流体を出力することによって収縮させることができる複数の非伸張性要素515を含む。図を簡単にするために、非伸張性要素515の入力部および出力部は
図5Aおよび
図5Bに示されていない。いくつかの実施形態では、非伸張性要素515への入力部は、何か他の流体デバイスから流体を受け取ることができる。同じく、いくつかの実施形態では、非伸張性要素515の出力部は、他の流体デバイスに結合することができる。非伸張性要素515は、チャネル520内にはめ込まれているゲート510の一部分の上方に位置する、カーリングアクチュエータ525(より詳細に以下で説明する)に取り付けられる。具体的には、非伸張性要素515は、チャネル520に対して遠位にあるカーリングアクチュエータ525の一面に取り付けられる。非伸張性要素515のそれぞれは、いろいろな形状、サイズを有することができ、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。1つの実施形態では、非伸張性要素515は、非伸張性要素515が可撓性ではあるものの非伸張性になるような材料で作られる。それゆえに、非伸張性要素515は、形状を変えることは可能であるが、サイズを変えることは可能ではない。さらなる実施形態では、非伸張性要素515は、非伸張性要素515が付勢されて特定の寸法が拡大するように構成される。たとえば、
図5Aおよび
図5Bに示された実施形態では、非伸張性要素515は、非伸張性要素515内の流体圧力が増加したときに非伸張性要素515が曲がり、主に横方向に拡大することが可能になるように構成される。しかし、非伸張性要素515は同じ容積を維持するので、このように横寸法で拡大すると非伸張性要素515は縦方向に縮小する。
【0069】
カーリングアクチュエータ525は、非伸張性要素515が取り付けられる材料のストリップである。カーリングアクチュエータ525は、非伸張性要素515がチャネル520に対して遠位にあるカーリングアクチュエータ525の一面に取り付けられるように、チャネル520内にはめ込まれているゲート510の一部分の上方の、チャネル520と非伸張性要素515の間に位置する。カーリングアクチュエータ525は、いろいろな材料から作ることができる。いくつかの実施形態では、カーリングアクチュエータ525は、カーリングアクチュエータ525が付勢されて曲がり、特定の方向に場所を変えるように構成される。たとえば、
図5Aおよび
図5Bに示された実施形態では、カーリングアクチュエータ525は、非伸張性要素515内の流体圧力が増加されたときにカーリングアクチュエータ525が曲がり、チャネル520から離れるように構成される。このような実施形態について、より詳細に以下で論じる。
【0070】
図5Aに示されるように、ゲート510が低圧状態にあるとき、非伸張性要素515は相対的に長細く、非伸張性要素515が取り付けられているカーリングアクチュエータ525は凹面形に配置されており、凹面形の頂部がチャネル520の近くに位置している。このカーリングアクチュエータ525の凹面配置により、ゲート510がチャネル520の中に突出し、流れが閉閾値速度になるように、かつ流体デバイス505が「OFF」状態になるように、チャネル520を通る流体流を事実上阻止する。
【0071】
図5Bは、一実施形態による、
図5Aに示された流体デバイス505の、ゲート510が高圧状態にある断面
図550である。流体デバイス505は、ゲート510の流体圧力を増加させることによって閉状態(
図5A)から開状態(
図5B)へ遷移する。遷移期間中(図示せず)、ゲート510の非伸張性要素515内の流体圧力が増加されて、非伸張性要素515が膨張し横方向に拡大する。この非伸張性要素515が横に拡大することにより、非伸張性要素515の配置は凸面配置にシフトし、凸面配置の頂部はチャネル520から外方に向いている。その結果、ゲート510は、チャネル520の中から少なくとも部分的に持ち上げられ、それによってチャネル520は、流体がソース530からドレイン540へ開閾値速度で流れることができ、それにより流体デバイス505が「ON」状態になるように開く。
【0072】
図6Aは、一実施形態による、低圧状態のゲート610を含むジェット偏向増幅流体デバイス605の断面
図600である。流体デバイス605は、ゲート610と、ソース630から流れる流体を受け取り、この流体をドレイン640へ出力するチャネル620とを含む。
図6Aおよび
図6Bで分かるように、ゲート610は、流体がゲート610からチャネル620に流入できるようにチャネル620に連結されている。ゲート610に加えて、代替路615もまた、流体がチャネル620と代替路615の間で流れることができるようにチャネル620に連結されている。いくつかの実施形態では、流体デバイス605は、
図1に示された流体デバイス130Aまたは130Bである。1つの実施形態では、ソース630、ドレイン640およびゲート610は、電気システムの電界効果トランジスタのソース、ドレインおよびゲートと同様に機能する。
【0073】
チャネル620は、ソース630およびドレイン640と呼ばれる2つの端部を連結する構造物であり、チャネル620には流体(たとえば、液体または気体)が充填される。1つの実施形態では、チャネル620は、流体が充填される可撓管とすることができる。チャネル620は、いろいろな種類の形状、サイズを有することができ、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。1つの例として、チャネル620の断面は、円形、楕円形、正方形、長方形などとすることができる。チャネル620は、シリコーン(一種のエラストマー)、プラスチックなどの材料から構成することができ、例示的な使用される材料は、PDMSなどのポリマーである。サイズは、50μmから5mmの範囲とすることができる。
【0074】
ゲート610は流体デバイス605の一部分であり、電気システムの電子トランジスタのゲートと同様に機能する。上記のように、ゲート610は、流体がゲート610からチャネル620に流入できるようにチャネル620に連結されている。図を簡単にするために、ゲート610の入力部は
図6Aおよび
図6Bに示されていない。いくつかの実施形態では、ゲート610への入力部は、何か他の流体デバイスから流体を受け取ることができる。1つの実施形態では、ゲート610は、流体が充填される可撓管とすることができる。ゲート610は、いろいろな種類の形状、サイズを有することができ、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。1つの例として、ゲート610の断面は、円形、楕円形、正方形、長方形などとすることができる。ゲート610は、シリコーン(一種のエラストマー)、プラスチックなどの材料から構成することができ、例示的な使用される材料は、PDMSなどのポリマーである。
【0075】
図6Aおよび
図6Bに示された実施形態では、ゲート610は、ゲート610からの流体がチャネル620内の流体流の方向に垂直にチャネル620に流入するように、チャネル620に90度の角度で連結されている。しかし、代替実施形態では、ゲート610は、ある範囲の角度でチャネル620に連結されてもよい。
【0076】
代替路615は、流体がチャネル620から代替路615に流入できるようにやはりチャネル620に連結されている、流体デバイス605の一部分である。図を簡単にするために、代替路615の出力部は
図6Aおよび
図6Bに示されていない。いくつかの実施形態では、代替路615の出力部は、何か他の流体デバイスから流体を受け取ることができる。1つの実施形態では、代替路615は、流体が充填される可撓管とすることができる。代替路615は、いろいろな種類の形状、サイズを有することができ、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。1つの例として、代替路615の断面は、円形、楕円形、正方形、長方形などとすることができる。代替路615は、シリコーン(一種のエラストマー)、プラスチックなどの材料から構成することができ、例示的な使用される材料は、PDMSなどのポリマーである。代替路615は、ゲート610の反対側でチャネル620の側面の、ゲート610の下流(すなわち、ドレイン640に近い方)に位置する。さらに、代替路615は、ゲート610とチャネル620からの合わせた量の流体を代替路615に向けて方向を変えることができるような角度で、チャネル620に連結されている。
【0077】
図6Aに示されているように、ゲート610が低圧状態にあるとき、ゲート610とチャネル620の間には流体流がない。ゲート610からチャネル620への流体流がないので、流体は、流体デバイスが「ON」状態になるように、ソース630からドレイン640へ妨げられずに開閾値速度で流れることが可能である。相対的に少量の流体がチャネル620から代替路615へ流れることがあるが、この流体の量は、ドレイン640に流入する流体の量と比較して無視できることに留意されたい。
【0078】
図6Bは、一実施形態による、
図6Aに示された流体デバイス605の、ゲート610が高圧状態にある断面
図650である。流体デバイス605は、ゲート610の流体圧力を増加させることによって、開状態(
図6A)から閉状態(
図6B)へ遷移する。遷移期間中(図示せず)、ゲート610内の流体圧力は徐々に増加されて、ゲート610からチャネル620の中への流体流が増加する。これにより、チャネル620内の流体が代替路615に向けて方向を変えることになる。具体的には、ゲート610からの流体が、チャネル620を流れる流体に垂直な向きでチャネル620に入る。ゲート610から流れる流体の速度と、チャネル620を流れる流体の速度とは合わせることができ、代替路615に向いている平均速度が得られる。このようにして、ソース630にもゲート610にも由来する流体が代替路615に流入する。このように代替路615に向けて流体の方向を変えると、流れが閉閾値速度になるように、かつ流体デバイス605が「OFF」状態になるように、ドレイン640への流体流が事実上阻止される。相対的に少量の流体がドレイン640へ流れることがあるが、この流体の量は、代替路615に流入する流体の量と比較して無視できることに留意されたい。
【0079】
図7Aは、一実施形態による、低圧状態のリフトTゲート710を含む流体デバイス705の断面
図700である。流体デバイス705は、Tゲート710と、ソース730から流れる流体を受け取り、この流体をドレイン740へ出力するチャネル720とを含む。Tゲート710は、Tブロック715、ならびにゲートアクチュエータ725Aおよび725Bを含む。ゲートアクチュエータ725Aおよび725Bは、Tブロック715がチャネル720を通る流体流を調節することが可能なようにTブロック715を移動させる働きをする。いくつかの実施形態では、流体デバイス705は、
図1に示された流体デバイス130Aまたは130Bである。1つの実施形態では、ソース730、ドレイン740およびTゲート710は、電気システムの電界効果トランジスタのソース、ドレインおよびゲートと同様に機能する。
【0080】
チャネル720は、ソース730およびドレイン740と呼ばれる2つの端部を連結する構造物であり、チャネル720には流体(たとえば、液体または気体)が充填される。1つの実施形態では、チャネル720は、流体が充填される可撓管とすることができる。チャネル720は、いろいろな種類の形状、サイズを有することができ、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。1つの例として、チャネル720の断面は、円形、楕円形、正方形、長方形などとすることができる。チャネル720は、シリコーン(一種のエラストマー)、プラスチックなどの材料から構成することができ、例示的な使用される材料は、PDMSなどのポリマーである。サイズは、50μmから5mmの範囲とすることができる。
図7Aおよび
図7Bで分かるように、チャネル720はチャネル壁720Aを含む。チャネル壁720Aについては、より詳細に以下で論じる。
【0081】
Tゲート710は流体デバイス705の一部分であり、電気システムの電子トランジスタのゲートと同様に機能する。Tゲート710は、Tブロック715、ならびにゲートアクチュエータ725Aおよび725Bを含む。Tブロック715は、いろいろな種類の形状、サイズを有することでき、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。
図7Aに示された実施形態では、Tブロック715は、「T」の文字に似た形状をしている。しかし、代替実施形態では、Tブロック715は他の形状を取ることもできる。たとえば、Tブロック715は、円環、「X」の文字などに似た形状であってもよい。
【0082】
Tブロック715は、チャネル壁720Aの反対側に位置するチャネル720の開口内に位置付けられ、2つの部分、すなわちアクチュエータ部735およびバリア部745を備える。アクチュエータ部735は、Tブロック715の2つのアームを含んでおり、Tブロックの、チャネル720の外側に位置する部分である。Tブロック715のアクチュエータ部735は、より詳細に以下で説明するように、ゲートアクチュエータ725Aおよび725Bと相互作用する。バリア部745は、チャネル壁720Aに向かってチャネル720の中に突出してチャネル720を少なくとも部分的に遮る、Tブロックの部分である。Tブロック715は、Tブロック715のバリア部745がチャネル720の中に突出する距離を増加または減少させることができるように、チャネル720の開口内で垂直に平行移動することが可能である。具体的には、Tブロック715は、Tブロック715のバリア部745とチャネル壁720Aの間の距離を増加または減少させることができるように、チャネル720の開口内で垂直に平行移動することが可能である。Tブロック715は、チャネル720内の流体が開口から漏れることが不可能なようにチャネル720の開口に嵌合する。
【0083】
ゲートアクチュエータ725Aおよび725Bは、チャネル720の外側に位置する。具体的には、ゲートアクチュエータ725Aおよび725Bのそれぞれは、チャネル720とTブロック715のアームとの間に位置する。ゲートアクチュエータ725Aおよび725Bのそれぞれは、流体を入力することによって膨張させることができ、かつ/または流体を出力することによって収縮させることができる。図を簡単にするために、ゲートアクチュエータ725Aおよび725Bの入力部および出力部は
図7Aおよび
図7Bに示されていない。いくつかの実施形態では、ゲートアクチュエータ725Aおよび725Bへの入力部は、何か他の流体デバイスから流体を受け取ることができる。同じく、いくつかの実施形態では、ゲートアクチュエータ725Aおよび725Bの出力部は、他の流体デバイスに結合することができる。ゲートアクチュエータ725Aおよび725Bは、いろいろな形状、サイズを有することができ、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。いくつかの実施形態では、ゲートアクチュエータ725Aおよび725Bは、ゲートアクチュエータ725Aおよび725B内の流体の圧力を増加させることによってゲートアクチュエータ725Aおよび725Bを膨張させることができるように、可撓性および伸張性の材料で作られる。類似して、ゲートアクチュエータ725Aおよび725Bは、ゲートアクチュエータ725Aおよび725B内の流体の圧力を減少させることによって収縮させることができる。ゲートアクチュエータ725Aおよび725Bは、いろいろな種類の形状およびサイズを有することができる。1つの例として、ゲートアクチュエータ725Aおよび725Bの断面は、円形、楕円形、正方形、長方形などとすることができる。
【0084】
図7Aに示されるように、ゲートアクチュエータ725Aおよび725Bが低圧状態にある間、これらは収縮している。その結果、Tブロック715のアクチュエータ部735のアームはチャネル720の近くに置かれていることになり、Tブロック715のバリア部745は、ソース730からドレイン740への流れが閉閾値速度になり、それにより流体デバイス705が「OFF」状態になるようにチャネル720の中に突出し、チャネル壁720Aにごく近接している。
【0085】
図7Bは、一実施形態による、
図7Aに示された流体デバイス705の、ゲートアクチュエータ725Aおよび725Bが高圧状態にある断面
図750である。
図7Bで、ゲートアクチュエータ725Aおよび725Bの内部の流体圧力は、ゲートアクチュエータ725Aおよび725Bが膨張してTブロック715のアームに圧力が作用し、それによってTブロック715がチャネル壁720Aから事実上移動するようになったものである。Tブロック715をチャネル壁720Aから外方へ押すことによって、Tブロック715は、Tブロック715のバリア部745がチャネル720の中に突出する距離が減少するようにチャネル720の中から部分的に持ち上げられる。このようにTブロック715をチャネル720の中から持ち上げると、ソース730からドレイン740への流体流の経路が作り出され、チャネル720内の流速が、流体デバイス705が「ON」状態になるように開閾値速度まで増加する。
【0086】
流体デバイス705は、ゲートアクチュエータ725Aおよび725Bの流体圧力を増加させることによって閉状態(
図7A)から開状態(
図7B)へ遷移する。遷移期間中(図示せず)、ゲートアクチュエータ725Aおよび725Bは(増加する圧力と共に)拡大して、ソース730からドレイン740への流体流の速度が増加するようにTブロック715をチャネル壁720Aから、かつ部分的にチャネル720の中から持ち上げる。流体流が開閾値に達したとき、流体デバイス705は「ON」状態にある。
【0087】
図7Aおよび
図7Bに示されていない代替実施形態では、ゲートアクチュエータ725Aおよび725Bは、ゲートアクチュエータ725Aおよび725Bの中に印加される圧力が異なることによって拡大または縮小できる可撓性形状を有していないことがある。この場合、拡大してTブロック715を持ち上げ、チャネル720を開く代わりに、ゲートアクチュエータ725Aおよび725Bの外側から追加の圧力をゲートアクチュエータ725Aおよび725Bに加えて、ゲートアクチュエータ725Aおよび725BをTブロック715のアクチュエータ部735に向けて動かすことができ、それにより、Tブロック715はチャネル壁720Aから離れて、チャネル720が開く。たとえば、共成形された材料をゲートアクチュエータ725Aおよび725Bのまわりに、ゲートアクチュエータ725Aおよび725Bが実質的にTブロック715のアクチュエータ部735の方にしか変形しないように置くことができる。共成形された材料、および流体デバイスにおけるその使用については、2016年9月23日に出願された米国仮特許出願第62/399,153号にさらに記載されており、同仮特許出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0088】
図8Aは、一実施形態による、ゲート810およびNFETバックル壁815を含む流体デバイス805の、ゲート810が低圧状態にある、y−x平面における側面
図800である。
図8Bは、一実施形態による、
図8Aの流体デバイス805のy−z平面における代替側面図である。
図8Cは、一実施形態による、
図8Aの流体デバイス805の等角図である。流体デバイス805は、ゲート810と、ソース830から流れる流体を受け取り、この流体をドレイン840へ出力するチャネル820とを含む。流体デバイス805はまた、チャネル820内でソース830とドレイン840の間に位置する壁815を含む。壁815は、ゲート810と一緒に作動し、チャネル820を通る流体流を調節するように設計されている。いくつかの実施形態では、流体デバイス805は、
図1に示された流体デバイス130Aまたは130Bである。1つの実施形態では、ソース830、ドレイン840およびゲート810は、電気システムの電界効果トランジスタのソース、ドレインおよびゲートと同様に機能する。
【0089】
チャネル820は、ソース830およびドレイン840と呼ばれる2つの端部を連結する構造物であり、チャネル820には流体(たとえば、液体または気体)が充填される。1つの実施形態では、チャネル820は、流体が充填される可撓管とすることができる。チャネル820は、いろいろな種類の形状、サイズを有することができ、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。1つの例として、チャネル820の断面は、円形、楕円形、正方形、長方形などとすることができる。チャネル820は、シリコーン(一種のエラストマー)、プラスチックなどの材料から構成することができ、例示的な使用される材料は、PDMSなどのポリマーである。サイズは、50μmから5mmの範囲とすることができる。
【0090】
ゲート810は流体デバイス805の一部分であり、電気システムの電子トランジスタのゲートと同様に機能する。ゲート810は、流体を入力することによって膨張させることができ、かつ/または流体を出力することによって収縮させることができる。図を簡単にするために、ゲート810の入力部および出力部は
図8A〜Cに示されていない。いくつかの実施形態では、ゲート810への入力部は、何か他の流体デバイスから流体を受け取ることができる。同じく、いくつかの実施形態では、ゲート810の出力部は、他の流体デバイスに結合することができる。ゲート810は、チャネル820の外側の壁815の上方に位置している。以下で説明するように、1つの実施形態では、ゲート810は壁815に隣接する位置にある。他の実施形態では、ゲート810は壁815に連結されることがある。ゲート810は、いろいろな形状、サイズを有することができ、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。1つの例として、チャネルゲート810の断面は、円形、楕円形、正方形、長方形などとすることができる。1つの実施形態では、ゲート810は、ゲート810が可撓性および伸張性になるような材料で作られる。それゆえに、ゲート810はその形状およびサイズを変えることができる。さらなる実施形態では、ゲート810は、流体が充填されたときに、ゲート810が付勢されて特定の方向に拡大するように構成される。たとえば、
図8A〜Cに示された実施形態では、ゲート810は、ゲート810内の流体圧力が増加したときにゲート810が主に壁815に向かって拡大するように構成される。ゲート810におけるこのような付勢を達成するために、いくつかの実施形態では、壁815に対向するゲート810の1つまたは複数の側面は非伸張性としてもよい。このような実施形態について、より詳細に以下で論じる。
【0091】
壁815は、ソース830とドレイン840の間の流体流を壁815によって少なくとも部分的に遮ることができるように、チャネル820内でソース830とドレイン840の間に位置する。特定の実施形態では、壁815は、相対的に少量の流体をソース830からドレイン840へ壁815を通して漏洩させる1つまたは複数のスリット(図示せず)を含む。上記のように、いくつかの実施形態では、壁815はゲート810に隣接する位置にある。他の諸実施形態では、壁815はゲート810と、ゲート810に対向する位置にあるチャネル820の内面とに連結されることがある。壁815は、壁815が可撓性になるような材料で作られる。それゆえに、壁815の形状は変化することができ、壁815は移動および/または偏向させることができる。具体的には、壁815は、
図8Dで分かるように、またより詳細に以下で論じるように、少なくとも部分的にドレイン840を露出するために湾曲させることが可能なように、十分に可撓性である。いくつかの実施形態では、壁815は、ある決まった方向に湾曲するように付勢することができる。たとえば、壁815は、ドレイン840の方へ湾曲するように付勢することができる。壁815が湾曲する方向を付勢するために、壁815は、その方向にわずかに予湾曲させることがある。代替実施形態では、壁815は、ある決まった方向に湾曲するように付勢されるような材料組成および/または構造を有することができる。
【0092】
図8A〜Cに示されるように、ゲート810が低圧状態にあるとき、壁815は、ソース830からドレイン840への流体流が閉閾値速度になるように、かつ流体デバイス805が「OFF」状態になるように、チャネル820内でソース830とドレイン840の間に固定されたままである。
【0093】
図8Dは、一実施形態による、
図8A〜Cに示された流体デバイス805の、ゲート810が高圧状態にある、y−x平面における側面
図875である。流体デバイス805は、ゲート810の圧力を増加させ、壁815の偏向を生じさせることによって、閉状態(
図8A〜C)から開状態(
図8D)へ遷移する。遷移期間中(図示せず)、ゲート810内の圧力が増加して、ゲート810が膨張し壁815の方向に拡大することになる。この拡大により、圧力が壁815に加わることになり、これにより壁815は、ドレイン840が少なくとも部分的に露出するように、かつ流体がソース830からドレイン840へ開閾値速度で流れて、それにより流体デバイス805が「ON」状態になるように、チャネル820の中およびドレイン840のまわりで湾曲し偏向することになる。
図8Cはまた、変形された壁825の、これが湾曲してドレイン840を露出した後の位置についての実施形態の1つを描写していることに留意されたい。
【0094】
図8A〜Dに示されていない代替実施形態では、ゲート810は、ゲート810内に印加される圧力が異なることによって拡大または縮小できる可撓性形状を有していないことがある。この場合、拡大して壁815をドレイン840のまわりに移動させてチャネル820を開く代わりに、ゲート810の外側から追加の圧力をゲート810に加えて、ゲート810を壁815に向けて動かすことができ、それにより、壁815はドレイン840のまわりに移動して、チャネル820が開く。たとえば、共成形された材料をゲート810のまわりに、ゲート810が実質的に壁815の方にしか変形しないように置くことができる。共成形された材料、および流体デバイスにおけるその使用については、2016年9月23日に出願された米国仮特許出願第62/399,153号にさらに記載されており、同仮特許出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0095】
図9Aは、一実施形態による、ゲート910およびNFETピンチチューブチャネル920を含む流体デバイス905の、ゲート910が低圧状態にある断面
図900である。流体デバイス905は、ゲート910と、ソース(図示せず)から流れる流体を受け取り、この流体をドレイン(図示せず)へ出力するチャネル920とを含む。いくつかの実施形態では、流体デバイス905は、
図1に示された流体デバイス130Aまたは130Bである。1つの実施形態では、ソース、ドレインおよびゲート910は、電気システムの電界効果トランジスタのソース、ドレインおよびゲートと同様に機能する。
【0096】
チャネル920は、ソースおよびドレインと呼ばれる2つの端部を連結する構造物であり、チャネル920には流体(たとえば、液体または気体)が充填される。1つの実施形態では、チャネル920は、流体が充填される可撓管とすることができる。チャネル920は、いろいろな種類の形状、サイズを有することができ、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。
図9Aおよび
図9Bに描写された実施形態では、チャネル920の断面は猫の目に似た形状をしており、それにより、チャネル920がゲート910からの圧力によって
図9Bに示されるように変形しているとき、チャネル920全体を圧搾してチャネル920の内側の流体流を完全に遮断し、それによってチャネル920を完全に閉ざすことができる。代替実施形態では、チャネル920の断面は、円形、楕円形、正方形、長方形などとすることができる。チャネル920は、チャネル920が可撓性になるような材料で作られる。たとえば、チャネル920は、シリコーン(一種のエラストマー)、プラスチックなどの材料から構成することができ、例示的な使用される材料は、PDMSなどのポリマーである。サイズは、50μmから5mmの範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、ゲート910から最も遠いチャネル920の端部が、より詳細に以下で説明するように、圧力がゲート910によってチャネル920にかけられたときのチャネル920の端部の移動が最小限になるように、適所に固定される。
【0097】
ゲート910は、流体デバイス905の一部分であり、電気システムの電子トランジスタのゲートと同様に機能する。
図9Aおよび
図9Bで分かるように、ゲート910は、側面910A、910B、910C、および910Dを有しており、チャネル920の上方に位置する。ゲート910は、流体を入力することによって膨張させることができ、かつ/または流体を出力することによって収縮させることができる。図を簡単にするために、ゲート910の入力部および出力部は
図9Aおよび
図9Bに示されていない。いくつかの実施形態では、ゲート910への入力は、何か他の流体デバイスからのものとすることができる。同じく、いくつかの実施形態では、ゲート910の出力部は、他の流体デバイスに結合することができる。ゲート910は、いろいろな形状、サイズを有することができ、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。1つの例として、ゲート910の断面は、円形、楕円形、正方形、長方形などとすることができる。いくつかの実施形態では、ゲート910は、ゲート910内の流体の圧力を増加させることによってゲート910を膨張させることができるように、可撓性および伸張性の材料で作られる。類似して、ゲート910は、ゲート910内の流体の圧力を減少させることによって収縮させることができる。さらなる実施形態では、ゲート910は、流体が充填されたときに、ゲート910が付勢されて特定の方向に拡大するように構成される。たとえば、
図9Aおよび
図9Bに示された実施形態では、ゲート910は、ゲート910内の流体圧力が増加したときにゲート910が主にチャネル920に向かって拡大するように構成することができる。ゲート910におけるこのような付勢を達成するために、チャネル920に対向するゲート910の側面は非伸張性とすることができる。たとえば、側面910A、910C、および910Dは、チャネル920の方向に拡大するようにゲート910を付勢するために非伸張性とすることができる。
【0098】
図9Aに示されるように、ゲート910は、これが低圧状態にある間は収縮している。その結果、ゲート910はチャネル920に圧力を作用させることがほとんどなく、チャネル920は、チャネル920を通る流れが閉閾値速度になるように、かつ流体デバイス905が「OFF」状態になるように、狭くなっている。
【0099】
図9Bは、一実施形態による、
図9Aに示された流体デバイス905の、ゲート910が高圧状態にある断面
図950である。
図9Bで、ゲート910の内部の流体圧力は、ゲート910が膨張してチャネル920に圧力が作用するようになったものである。チャネル920に作用する圧力により、チャネル920は横に拡大して、チャネル920を通る流れが開閾値速度になるように、かつ流体デバイス905が「ON」状態になるように、チャネル920が少なくとも部分的に開くまでチャネル920が事実上広がることになる。
【0100】
流体デバイス905は、ゲート910の流体圧力を増加させることによって閉状態(
図9A)から開状態(
図9B)へ遷移する。遷移期間中(図示せず)、ゲート910は、(増加する圧力と共に)拡大してゲート910をチャネル920の中にさらに押し込み、チャネル920が、チャネル920を通る流体流の速度が増加するように開かれる。流体流が開閾値に達したとき、流体デバイス905は「ON」状態にある。
【0101】
図9A〜9Bに示されていない代替実施形態では、ゲート910は、ゲート910内に印加される圧力が異なることによって拡大または縮小できる可撓性形状を有していないことがある。この場合、チャネル920に向けて拡大してチャネル920を開く代わりに、ゲート910の外側から追加の圧力をゲート910に加えてゲート910をチャネル920に向けて動かして、チャネル920を開かせることができる。たとえば、共成形された材料をゲート910のまわりに、ゲート910が実質的にチャネル920の方にしか変形しないように置くことができる。共成形された材料、および流体デバイスにおけるその使用については、2016年9月23日に出願された米国仮特許出願第62/399,153号にさらに記載されており、同仮特許出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0102】
図10Aは、一実施形態による、ゲート1010およびエリア弁1015を含む流体デバイス1005の、ゲート1010が低圧状態にある断面
図1000である。流体デバイス1005は、ゲート1010と、ソース1030から流れる流体を受け取り、この流体をドレイン1040へ出力するチャネル1020とを含む。流体デバイス1005はまた、より詳細に以下で論じるように、チャネル1020を通る流体流を調節するためにゲート1010と一緒に作動するエリア弁1015も含む。いくつかの実施形態では、流体デバイス1005は、
図1に示された流体デバイス130Aまたは130Bである。1つの実施形態では、ソース1030、ドレイン1040およびゲート1010は、電気システムの電界効果トランジスタのソース、ドレインおよびゲートと同様に機能する。
【0103】
チャネル1020は、ソース1030およびドレイン1040と呼ばれる2つの端部を連結する構造物であり、チャネル1020には流体(たとえば、液体または気体)が充填される。1つの実施形態では、チャネル1020は、流体が充填される可撓管とすることができる。チャネル1020は、いろいろな種類の形状、サイズを有することができ、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。1つの例として、チャネル1020の断面は、円形、楕円形、正方形、長方形、またはこれらの何らかの組み合わせとすることができる。チャネル1020は、シリコーン(一種のエラストマー)、プラスチックなどの材料から構成することができ、例示的な使用される材料は、PDMSなどのポリマーである。サイズは、50μmから5mmの範囲とすることができる。
【0104】
エリア弁1015は、エリア弁1015がソース1030とドレイン1040の間の流体流を少なくとも部分的に遮るように、チャネル1020内でソース1030とドレイン1040の間に位置付けられる。エリア弁1015は、いろいろな種類の形状、サイズを有することができ、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。1つの例として、エリア弁1015の断面は、円形、楕円形、正方形、長方形、またはこれらの何らかの組み合わせとすることができる。
【0105】
エリア弁1015は、3つの部分、すなわち弁部1025、結合部1035、およびインターフェース部1045を備える。エリア弁1015のインターフェース部1045は、チャネル1020の外側に位置する。エリア弁1015のインターフェース部1045は、チャネル1020内の流体が開口から漏れることが不可能なように、チャネル1020の開口に嵌合する。エリア弁1015のインターフェース部1045は、より詳細に以下で説明するように、ゲート1010から圧力を受ける。
【0106】
エリア弁1015の結合部1035は、インターフェース部1045を弁部1025に結合する。具体的には、インターフェース部1045と比較して相対的に小面積の結合部1035により、ゲート1010からインターフェース部1045に印加される圧力が集中され、弁部1025に伝達できるようになる。これにより、弁部1025は、より詳細に以下で説明するように、チャネル1020内の流体圧力に反して動くことができるようになる。
【0107】
エリア弁1015の弁部1025は、チャネル1020の中に突出する。ゲート1010からインターフェース部1045へ、結合部1035へ、および最後に弁部1025へと伝達される圧力を用いて、エリア弁1015は、チャネル1020内の流体圧力に反して、エリア弁1015の弁部1025がチャネル1020の中に突出する距離を増加または減少させることができるように、チャネル1020の開口内で垂直に平行移動することが可能である。エリア弁1015の弁部1025は、エリア弁1015がチャネル1020の中に突出する1つまたは複数の距離においてエリア弁1015の弁部1025がチャネル1020を阻止し、それにより、ソース1030からドレイン1040への流体流が閉閾値速度になるように、かつ流体デバイス1005が「OFF」状態になるように、形作られている。逆に、エリア弁1015の弁部1025はまた、エリア弁1015がチャネル1020の中に突出する1つまたは複数の別の距離においてエリア弁1015の弁部1025がチャネル1020を阻止解除し、それにより、ソース1030からドレイン1040への流れが開閾値速度になるように、かつ流体デバイス1005が「ON」状態になるように、形作られている。
【0108】
ゲート1010は、流体デバイス1005の一部分であり、電気システムの電子トランジスタのゲートと同様に機能する。ゲート1010は、チャネル1020の開口の外側に位置しており、またエリア弁1015のインターフェース部1045のすぐ上方に位置している。ゲート1010は、流体を入力することによって膨張させることができ、かつ/または流体を出力することによって収縮させることができる。図を簡単にするために、ゲート1010の入力部および出力部は
図10Aおよび
図10Bに示されていない。いくつかの実施形態では、ゲート1010への入力は、何か他の流体デバイスからのものとすることができる。同じく、いくつかの実施形態では、ゲート1010の出力部は、他の流体デバイスに結合することができる。ゲート1010は、いろいろな形状、サイズを有することができ、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。1つの例として、ゲート1010の断面は、円形、楕円形、正方形、長方形などとすることができる。いくつかの実施形態では、ゲート1010は、ゲート1010内の流体の圧力を増加させることによってゲート1010を膨張させることができるように、可撓性および伸張性の材料で作られる。類似して、ゲート1010は、ゲート1010内の流体の圧力を減少させることによって収縮させることができる。
【0109】
図10Aに示されるように、ゲート1010は、これが低圧状態にある間は収縮している。その結果、エリア弁1015の弁部1025は、ソース1030からドレイン1040への流れが閉閾値速度になるように、かつ流体デバイス1005が「OFF」状態になるように、チャネル1020がエリア弁1015によって少なくとも部分的に阻止される距離だけチャネル1020の中に突出する。
【0110】
図10Bは、一実施形態による、
図10Aに示された流体デバイス1005の、ゲート1010が高圧状態にある断面
図1050である。
図10Bで、ゲート1010の内部の流体圧力は、ゲート1010が膨張してエリア弁1015のインターフェース部1045に圧力が作用するようになったものである。この圧力は、相対的に大きいインターフェース部1045から、相対的に小さい結合部1035および弁部1025へ伝達されて、圧力が事実上集中され、エリア弁1015の弁部1025がさらにチャネル1020の中に移動する。エリア弁1015の弁部1025をチャネル1020の中にさらに押し込むことによって、弁部1025は、ソース1030からドレイン1040への流れが開閾値速度になるように、かつ流体デバイス1005が「ON」状態になるように、チャネル1020が弁部1025によって少なくとも部分的に阻止解除される距離だけチャネル1020の中に突出する。
【0111】
流体デバイス1005は、ゲート1010の流体圧力を増加させることによって閉状態(
図10A)から開状態(
図10B)へ遷移する。遷移期間中(図示せず)、ゲート1010は(増加する圧力と共に)拡大してエリア弁1015をチャネル1020の中へさらに押し込み、チャネル1020が、ソース1030からドレイン1040への流体流の速度が増加するように阻止解除される。流体流が開閾値に達したとき、流体デバイス1005は「ON」状態にある。
【0112】
図10A〜10Bに示されていない代替実施形態では、ゲート1010は、ゲート1010内に印加される圧力が異なることによって拡大または縮小できる可撓性形状を有していないことがある。この場合、エリア弁1015のインターフェース部1045に向けて拡大してチャネル1020を開く代わりに、ゲート1010の外側から追加の圧力をゲート1010に加えてゲート1010をエリア弁1015のインターフェース部1045に向けて動かして、チャネル1020を開かせることができる。たとえば、共成形された材料をゲート1010のまわりに、ゲート1010が実質的にエリア弁1015のインターフェース部1045の方にしか変形しないように置くことができる。共成形された材料、および流体デバイスにおけるその使用については、2016年9月23日に出願された米国仮特許出願第62/399,153号にさらに記載されており、同仮特許出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0113】
図11Aは、一実施形態による、複数のNFETテスラゲート1110A、1110B、1110C、1110D、および1110Eを低圧状態で含む流体デバイス1105の断面
図1100である。流体デバイス1105は、ソース1130から流れる流体を受け取り、この流体をドレイン1140へ出力するチャネル1120を含む。流体デバイス1105はまた、チャネル1120の分枝であるローブ1115A〜Eを含む。チャネル1120からの流体は、ローブ1115A〜Eのまわりを巡り、チャネル1120の中に戻ることができる。各ローブ1115A〜Eは、ゲート1110A〜Eのうちの少なくとも1つを伴う。ゲート1110A〜Eは、ローブ1115A〜Eのまわりの流体流を制限するように働く。いくつかの実施形態では、流体デバイス1105は、
図1に示された流体デバイス130Aまたは130Bである。1つの実施形態では、ソース1130、ドレイン1140およびゲート1110A〜Eは、電気システムの電界効果トランジスタのソース、ドレインおよびゲートと同様に機能する。
【0114】
チャネル1120は、ソース1130およびドレイン1140と呼ばれる2つの端部を連結する構造物であり、チャネル1120には流体(たとえば、液体または気体)が充填される。1つの実施形態では、チャネル1120は、流体が充填される可撓管とすることができる。チャネル1120は、いろいろな種類の形状、サイズを有することができ、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。1つの例として、チャネル1120の断面は、円形、楕円形、正方形、長方形などとすることができる。チャネル1120は、シリコーン(一種のエラストマー)、プラスチックなどの材料から構成することができ、例示的な使用される材料は、PDMSなどのポリマーである。サイズは、50μmから5mmの範囲とすることができる。
【0115】
上記のように、ローブ1115A〜Eはチャネル1120の分枝である。各ローブ1115A〜Eは、固体コア(
図11Aおよび
図11Bに縞模様のパターンで明示されている)と、流体がチャネル1120からローブ1115A〜Eの固体コアのまわりを流れてチャネル1120の中に戻ることができるようにする通路とを備える。ローブ1115A〜Eは、いろいろな種類の形状、サイズを有することができ、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。1つの例として、ローブ1115A〜Eの断面は、円形、楕円形、正方形、長方形などとすることができる。ローブ1115A〜Eは、シリコーン(一種のエラストマー)、プラスチックなどの材料から構成することができ、例示的な使用される材料は、PDMSなどのポリマーである。ローブ1115A〜Eは、流体デバイス1105のいろいろな平面に置くことができる。
【0116】
各ローブ1115A〜Eは、少なくとも1つのゲート1110A〜Eを伴う。ゲート1110A〜Eは、電気システムの電子トランジスタのゲートと同様に機能する。ゲート1110A〜Eは、流体を入力することによって膨張させることができ、かつ/または流体を出力することによって収縮させることができる。図を簡単にするために、ゲート1110A〜Eの入力部および出力部は
図11Aおよび
図11Bに示されていない。いくつかの実施形態では、ゲート1110A〜Eへの入力は、何か他の流体デバイスからのものとすることができる。同じく、いくつかの実施形態では、ゲート1110A〜Eの出力部は、他の流体デバイスに結合することができる。ゲート1110A〜Eは、いろいろな種類の形状、サイズを有することができ、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。1つの例として、ゲート1110A〜Eの断面は、円形、楕円形、正方形、長方形などとすることができる。いくつかの実施形態では、ゲート1110A〜Eは、ゲート1110A〜E内の流体の圧力を増加させることによってゲート1110A〜Eを膨張させることができるように、可撓性および伸張性の材料で作られる。類似して、ゲート1110A〜Eは、ゲート1110A〜E内の流体の圧力を減少させることによって収縮させることができる。上記のように、ゲート1110A〜Eはローブ1115A〜Eに近接して位置しており、それによりゲート1110A〜Eは、流体が進むことができるローブ1115A〜Eのまわりの通路を圧縮することによって、ローブ1115A〜Eのまわりの流体流の速度を制御することができる。
【0117】
図11Aに示されるように、ゲート1110A〜Eは、これが低圧状態にある間はローブ1115A〜Eに圧力を作用させない。その結果、流体はチャネル1120から、ローブ1115A〜Eを取り囲む通路の中に進み、ローブ1115A〜Eのまわりを循環した後に、チャネル1120に再び入ることが可能になる。ローブ1115A〜Eがチャネル1120に対して位置付けられている角度のゆえに、ローブ1115A〜Eのまわりを循環した後にチャネル1120に再び入る流体は、ローブ1115A〜Eを回る前のようにドレイン1140に向かっているのではなく、ソース1130に向かっている。この流体の再循環により、チャネル1120を通る流体流が、ソース1130からドレイン1140への流れが閉閾値速度になるように妨げられ、それにより流体デバイス1105は「OFF」状態になる。相対的に少量の流体が、再循環を回避しソース1130からドレイン1140へ流れることがあるが、この流体の量は、ローブ1115A〜Eのまわりを回る流体の量と比較して無視できることに留意されたい。
【0118】
図11Bは、一実施形態による、
図11Aに示された流体デバイス1105の、ゲート1110A〜Eが高圧状態にある断面
図1150である。
図11Bで、ゲート1110A〜E内の流体圧力は、ゲート1110A〜Eが膨張してローブ1115A〜Eに圧力が作用し、それによって、ローブ1115A〜Eを回ることができる流体が最小限になるようにローブ1115A〜Eのまわりの通路を事実上挟み付けるようなものである。このようなローブ1115A〜Eのまわりの流体の循環を禁止することによって、ソース1130の方への流体の逆流が最少化され、流体は、流体デバイス1105が「ON」状態になるように、ソース1130から直接チャネル1120を通ってドレイン1140まで開閾値速度で、ほとんど抵抗なしに流れることができる。
【0119】
流体デバイス1105は、ゲート1110A〜Eの流体圧力を増加させることによって閉状態(
図11A)から開状態(
図11B)へ遷移する。遷移期間中(図示せず)、ゲート1110A〜Eは(増加する圧力と共に)徐々に拡大してローブ1115A〜Eを挟み付け、ローブ1115A〜Eまわりの流体の循環が、ソース1130からドレイン1140への流体流の速度が徐々に増加するように徐々に減少される。流体流が開閾値に達したとき、流体デバイス1105は「ON」状態にある。
【0120】
図11Aおよび11Bに示されていない代替実施形態では、ゲート1110A〜Eは、ゲート1110A〜E内に印加される圧力が異なることによって拡大または縮小できる可撓性形状を有していないことがある。この場合、流体がローブ1115A〜Eのまわりを循環することが不可能になるように拡大してローブ1115A〜Eを変形させる代わりに、ゲート1110A〜Eの外側から追加の圧力をゲート1110A〜Eに加えてゲート1110A〜Eをローブ1115A〜Eに向けて動かすことができ、それによりローブ1115A〜Eは、流体がローブ1115A〜Eのまわりを循環することが不可能になり、したがってチャネル1120を通ってドレイン1140に向かうように変形される。たとえば、共成形された材料をゲート1110A〜Eのまわりに、ゲート1110A〜Eが実質的にローブ1115A〜Eの方にしか変形しないように置くことができる。共成形された材料、および流体デバイスにおけるその使用については、2016年9月23日に出願された米国仮特許出願第62/399,153号にさらに記載されており、同仮特許出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0121】
図12Aは、一実施形態による、ゲート1210Aおよび1210Bと、予負荷NFET弁1215とを含む流体デバイス1205の、ゲート1210Aおよび1210Bが低圧状態にある断面
図1200である。流体デバイス1205は、ゲート1210Aおよび1210Bと、ソース(図示せず)から流れる流体を受け取り、この流体をドレイン(図示せず)へ出力するチャネル1220とを含む。流体デバイス1205はまた、予負荷弁1215を含む。ゲート1210Aおよび1210Bは、予負荷弁1215がチャネル1220を通る流体流を調節することが可能なように予負荷弁1215を移動させる働きをする。いくつかの実施形態では、流体デバイス1205は、
図1に示された流体デバイス130Aまたは130Bである。1つの実施形態では、ソース、ドレイン、ならびにゲート1210Aおよび1210Bは、電気システムの電界効果トランジスタのソース、ドレインおよびゲートと同様に機能する。
【0122】
チャネル1220は、ソースおよびドレインと呼ばれる2つの端部を連結する構造物であり、チャネル1220には流体(たとえば、液体または気体)が充填される。1つの実施形態では、チャネル1220は、流体が充填される可撓管とすることができる。チャネル1220は、いろいろな種類の形状、サイズを有することができ、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。1つの例として、チャネル1220の断面は、円形、楕円形、正方形、長方形などとすることができる。チャネル1220は、シリコーン(一種のエラストマー)、プラスチックなどの材料から構成することができ、例示的な使用される材料は、PDMSなどのポリマーである。サイズは、50μmから5mmの範囲とすることができる。
【0123】
予負荷弁1215は、予負荷弁1215がソース1230とドレイン1240の間の流体流を少なくとも部分的に遮る(またいくつかの実施形態では完全に阻止する)ように、チャネル1220内でソース1230とドレイン1240の間に位置付けられる。具体的には、予負荷弁1215は、チャネル1220の開口からチャネル1220の中に突出する。予負荷弁1215は、予負荷弁1215がチャネル1220の中に突出する距離を増加または減少させることができるように、チャネル1220の開口内でx軸に沿って平行移動することが可能である。予負荷弁1215は、チャネル1220内の流体が開口から漏れることが不可能なようにチャネル1220の開口に嵌合する。予負荷弁1215は、いろいろな種類の形状、サイズを有することができ、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。
図12Aおよび
図12Bに描写された実施形態では、予負荷弁1215の断面は台形である。代替実施形態では、予負荷弁1215の断面は、円形、楕円形、正方形、長方形、またはこれらの何らかの組み合わせとすることができる。
【0124】
ゲート1210Aおよび1210Bは、流体デバイス1205の一部分であり、電気システムの電子トランジスタのゲートと同様に機能する。ゲート1210Aおよび1210Bは、チャネル1220の外側の、チャネル1220のどちらかの横側面に位置する。ゲート1210Aおよび1210Bはまた、ゲート1210Aおよび1210Bのそれぞれの少なくとも一部分が予負荷弁1215の少なくとも一部分のすぐ下に位置するように位置する。したがって、ゲート1220の場所は、予負荷弁1215の形状および寸法によって決まり得る。ゲート1210Aおよび1210Bのそれぞれは、流体を入力することによって膨張させることができ、かつ/または流体を出力することによって収縮させることができる。図を簡単にするために、ゲート1210Aおよび1210Bの入力部および出力部は
図12Aに示されていない。いくつかの実施形態では、ゲート1210Aおよび1210Bへの入力は、何か他の流体デバイスからのものとすることができる。同じく、いくつかの実施形態では、ゲート1210Aおよび1210Bの出力部は、他の流体デバイスに結合することができる。ゲート1210Aおよび1210Bは、いろいろな形状、サイズを有することができ、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。1つの例として、ゲート1210Aおよび1210Bの断面は、円形、楕円形、正方形、長方形などとすることができる。いくつかの実施形態では、ゲート1210Aおよび1210Bは、ゲート1210Aおよび1210B内の流体の圧力を増加させることによってゲート1210Aおよび1210Bを膨張させることができるように、可撓性および伸張性の材料で作られる。類似して、ゲート1210Aおよび1210Bは、ゲート1210Aおよび1210B内の流体の圧力を減少させることによって収縮させることができる。いくつかの実施形態では、ゲート1210Aおよび1210Bの拡大が、ゲート1210Aおよび1210Bのある決まった方向の拡大を促進するために、ゲート1210Aおよび1210Bの1つまたは複数の側面で制限されることがある。たとえば1つの実施形態では、ゲート1210Aおよび1210Bの拡大は、ゲート1210Aおよび1210Bが横にではなく、予負荷弁1215の方へx軸に沿って優先的に拡大するように特定の側面で制限されることがある。
【0125】
図12Aに示されるように、ゲート1210Aおよび1210Bは、これが低圧状態にある間は収縮している。その結果、予負荷弁1215はチャネル1220の中に突出し、それにより、チャネル1220を通る流体流は、流体デバイス1205が「OFF」状態になるように閉閾値速度になる。
【0126】
図12Bは、一実施形態による、
図12Aに示された流体デバイス1205の、ゲート1210Aおよび1210Bが高圧状態にある断面
図1250である。
図12Bで、ゲート1210Aおよび1210Bの内部の流体圧力は、ゲート1210Aおよび1210Bが膨張して予負荷弁1215に圧力が作用し、それによって予負荷弁1215が、チャネル1220の中に予負荷弁1215が突出する距離が減少するようにチャネル1220の中から少なくとも部分的に事実上持ち上げられるようになったものである。このように予負荷弁1215をチャネル1220の中から持ち上げると、チャネル1220を通る流体流の経路が作り出され、チャネル1220内の流速が、流体デバイス1205が「ON」状態になるように開閾値速度まで増加する。
【0127】
流体デバイス1205は、ゲート1210Aおよび1210Bの流体圧力を増加させることによって閉状態(
図12A)から開状態(
図12B)へ遷移する。遷移期間中(図示せず)、ゲート1210Aおよび1210Bは(増加する圧力と共に)徐々に拡大して予負荷弁1215をチャネル1220の中から少なくとも部分的に持ち上げ、チャネル1220が、チャネル1220を通る流体流の速度が徐々に増加するように徐々に阻止解除される。流体流が開閾値に達したとき、流体デバイス1205は「ON」状態にある。
【0128】
図12A〜12Bに示されていない代替実施形態では、ゲート1210Aおよび1210Bは、ゲート1210Aおよび1210B内に印加される流体圧力が異なることによって拡大または縮小できる可撓性形状を有していないことがある。この場合、拡大してチャネル1220を開く代わりに、ゲート1210Aおよび1210Bの外側から追加の圧力をゲート1210Aおよび1210Bに加えてゲート1210Aおよび1210Bを予負荷弁1215に向けて動かし、これを持ち上げて、チャネル1220を開かせることができる。たとえば、共成形された材料をゲート1210Aおよび1210Bのまわりに、ゲート1210Aおよび1210Bが実質的に予負荷弁1215の方にしか変形しないように置くことができる。共成形された材料、および流体デバイスにおけるその使用については、2016年9月23日に出願された米国仮特許出願第62/399,153号にさらに記載されており、同仮特許出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0129】
図13Aは、一実施形態による、ベンチュリゲート1310を含む流体デバイス1305の図である。流体デバイス1305は、より完全には以下で説明するように、ゲート1310を開くように、および/または閉じるように構成される。いくつかの実施形態では、ゲート1310は、他の流体デバイスに結合することができる。
【0130】
流体デバイス1305は、ゲート1310と、ソース1330から流れる流体を受け取り、この流体をドレイン1340へ出力するチャネル1320とを含む。いくつかの実施形態では、流体デバイス1305は、
図1に示された流体デバイス130Aまたは130Bである。1つの実施形態では、ソース1330、ドレイン1340およびゲート1310は、電気システムの電界効果トランジスタのソース、ドレインおよびゲートと同様に機能する。
【0131】
チャネル1320は、ソース1330およびドレイン1340と呼ばれる2つの端部を連結し、チャネル1320には流体(たとえば、液体または気体)が充填される。チャネル1320は、いろいろな種類の形状、サイズを有することができ、かつ/またはいろいろな材料から作ることができる。
図13Aに描写された実施形態などの特定の実施形態では、チャネル1320は、ゲート1310の近くでかなり狭くなる。このようにチャネル1320がゲート1310の近くで狭くなると、圧力差が作り出されて、より詳細に以下で説明されるように、ゲート1310が駆動される。チャネル1320は、シリコーン(一種のエラストマー)、プラスチックなどの材料から構成することができ、例示的な使用される材料は、PDMSなどのポリマーである。サイズは、50μmから5mmの範囲とすることができる。
【0132】
ゲート1310は、流体デバイス1305の一部分であり、電気システムの電子トランジスタのゲートと同様に機能する。上記のように、ゲート1310は、他の流体デバイスに結合することができる。ゲート1310は、特定の実施形態において、チャネル1320を流れる流体がゲート1310に入らないようにチャネル1320に垂直に位置付けられる。
【0133】
図13Bは、一実施形態による、
図13Aに示された流体デバイス1305の領域1350の、x−y平面における断面図である。
図13Bで、流体は、ソース1330からドレイン1340へチャネル1320を経由して急速度で流れる。
図13Bに描写されたチャネル1320の部分は、
図13Aでより明確に分かるように、チャネル1320の他の部分と比較して相対的に狭いことに留意されたい。このようにチャネル1320が狭くなることが、チャネル1320を通る急速度の流体流と相まって、チャネル1320内部の圧力を増加させる。この圧力の増加により、チャネル1320に垂直に位置するゲート1310の内部に相対的圧力降下が作り出される。次に、圧力の相対的降下により、誘導真空1325がゲート1310内に作り出される。低圧の誘導真空1325は、ゲート1310を開く、および/または閉じるために様々に用いることができる。
図13Bに描写された実施形態などのいくつかの実施形態では、膜1335がゲート1310内に位置する。低圧の誘導真空1325を用いて膜1335を変形することができ、この膜変形によりゲート1310を開く、および/または閉じることができる。代替実施形態では、低圧の誘導真空1325を用いてゲート1310を急速に拡大させることができ、この拡大を用いてゲート1310を開く、および/または閉じることができる。
【0134】
図14は、一実施形態による、ヘッドマウントデバイス(HMD)システム1400のブロック図である。システム1400は、仮想現実(VR)システム、拡張現実(AR)システム、複合現実(MR)システム、またはこれらの何らかの組み合わせとして使用するためのものであり得る。システム1400は、さらに以下で説明するように、
図3A〜13Bに描写された例示的な流体デバイスのうちの1つ以上を利用することができる。
図14に示されたシステム1400は、それぞれコンソール1420に結合されたHMD1410、撮像デバイス1415、および触覚アセンブリ1405を備える。
図14は、1つのHMD1410、1つの撮像デバイス1415、および1つの触覚アセンブリ1405を含む例示的なシステム1400を示すが、他の諸実施形態では、任意の数のこれらの構成要素がシステム1400に含まれ得る。たとえば、付随する触覚アセンブリ1405をそれぞれが有し、1つまたは複数の撮像デバイス1415によって監視されている多数のHMD1410があり得、それぞれのHMD1410、触覚アセンブリ1405、および撮像デバイス1415がコンソール1420と通信する。代替実施形態では、別の、および/または追加の構成要素がシステム環境1400に含まれ得る。加えて、いくつかの実施形態では、VRシステム1400は、ARシステム環境などの他のシステム環境を含むように修正することができる。
【0135】
HMD1410は、VR、AR、および/またはMR HMDとして機能することができる。MRおよび/またはAR HMDは、物理的な実世界環境のビューをコンピュータ生成要素(たとえば、画像、ビデオ、音声など)によって拡張する。HMD1410は、コンテンツをユーザに提示する。VRヘッドセットによって提示される媒体の例には、1つまたは複数の画像、ビデオ、音声、またはこれらの何らかの組み合わせが含まれる。いくつかの実施形態では、音声は外部デバイス(たとえば、スピーカおよび/またはヘッドフォン)を介して提示され、この外部デバイスは、HMD1410、コンソール1420、または両方から音声情報を受け取り、この音声情報に基づいた音声データを提示する。HMD1410は、互いに剛直にも非剛直にも結合できる1つまたは複数の剛性の本体を備え得る。剛性の本体間を剛直に結合すると、結合された剛性の本体が単一の剛性エンティティとして機能するようになる。対照的に、剛性の本体間を非剛直に結合すると、剛性の本体は互いに動くことが可能になる。HMD1410は、電子表示装置1425、光学ブロック1430、1つまたは複数のロケータ1435、1つまたは複数の位置センサ1440、および慣性測定ユニット(IMU)1445を含む。
【0136】
電子表示装置1425は、コンソール1420から受け取ったデータに応じて、2Dまたは3D画像をユーザに表示する。様々な実施形態では、電子表示装置1425は、単一の電子表示装置要素、または多数の電子表示装置(たとえば、ユーザのそれぞれの眼用の表示装置)を備える。電子表示装置要素の例には、液晶表示装置(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)表示装置、無機発光ダイオード(ILED)表示装置、アクティブマトリックス有機発光ダイオード(AMOLED)表示装置、透明有機発光ダイオード(TOLED)表示装置、導波管表示装置、何か他の表示装置、またはこれらの何らかの組み合わせが含まれる。
【0137】
光学ブロック1430は、電子表示装置1425から受光した光を増大させ、像光に付随する光学エラーを補正し、補正された像光がHMD1410のユーザに提示される。光学要素は、アパーチャ、フレネルレンズ、凸レンズ、凹レンズ、フィルタ、または任意の他の、電子表示装置1425から発光される像光に影響を及ぼす適切な光学要素であり得る。その上、光学ブロック1430にはいろいろな光学要素の組み合わせが含まれ得る。いくつかの実施形態では、光学ブロック1430の光学要素のうちの1つ以上が、反射防止コーティングなどの1つまたは複数のコーティングを有し得る。
【0138】
ロケータ1435は、互いに、およびHMD1410上のある決まった基準点に対して、HMD1410上のある決まった位置にある物である。ロケータ1435は、発光ダイオード(LED)、コーナキューブリフレクタ、反射性マーカ、HMD1410が動作する環境と対照をなすある種の光源、またはこれらの何らかの組み合わせとすることができる。ロケータ1435が能動的である実施形態では(すなわち、LEDまたは別の種類の発光デバイス)、ロケータ1435は、可視帯域内(約380nm〜750nm)、赤外(IR)帯域内(約750nm〜1mm)、紫外帯域内(10nm〜380nm)、電磁スペクトルの何か他の部分、またはこれらの何らかの組み合わせの光を発光することができる。
【0139】
いくつかの実施形態では、ロケータ1435は、HMD1410の外面の下にあり、この外面は、ロケータ1435から発光または反射される波長の光に対して透過性であり、あるいはロケータ1435から発光または反射される波長の光を実質的に減衰させないように十分に薄い。加えて、いくつかの実施形態では、HMD1410の外面または他の部分は、光の波長の可視帯域内で不透明である。したがって、ロケータ1435は、IR帯域では透過性であるが可視帯域では不透明な外面の下で、IR帯域の光を発光することがある。
【0140】
IMU1445は、位置センサ1440のうちの1つ以上から受け取った測定信号に基づいて高速較正データを生成する電子デバイスである。位置センサ1440は、HMD1410の運動に応答して1つまたは複数の測定信号を生成する。位置センサ1440の例には、1つまたは複数の加速度計、1つまたは複数のジャイロスコープ、1つまたは複数の磁力計、運動を検出する他の適切な種類のセンサ、IMU1445のエラー補正に使用されるある種のセンサ、またはこれらの何らかの組み合わせが含まれる。位置センサ1440は、IMU1445の外部に、IMU1445の内部に、またはこれらの何らかの組み合わせで位置することができる。
【0141】
1つまたは複数の位置センサ1440からの1つまたは複数の測定信号に基づいて、IMU1445は、HMD1410の初期位置を基準としたHMD1410の推定位置を指定する高速較正データを生成する。たとえば、位置センサ1440は、並進運動(前後、上下、左右)を測定する多数の加速度計と、回転運動(たとえば、ピッチ、ヨー、ロール)を測定する多数のジャイロスコープとを含む。いくつかの実施形態では、IMU1445は、測定信号を高速でサンプリングし、サンプリングされたデータからHMD1410の推定位置を計算する。たとえば、IMU1445は、加速度計から受け取った測定信号を経時的に積分して速度ベクトルを推定し、その速度ベクトルを経時的に積分してHMD1410上の基準点の推定位置を決定する。別法として、IMU1445は、サンプリングされた測定信号をコンソール1420に供給し、コンソールは、高速較正データを決定する。基準点とは、HMD1410の位置を記述するために使用できる点のことである。基準点は、一般には空間内の点として定義され得るが、実際には基準点は、HMD1410の内部の点(たとえば、IMU1445の中心)として定義される。
【0142】
IMU1445は、1つまたは複数の較正パラメータをコンソール1420から受け取る。さらに以下で論じるように、1つまたは複数の較正パラメータは、HMD1410の追跡を維持するために使用される。受信した較正パラメータに基づいて、IMU1445は、1つまたは複数のIMUパラメータ(たとえば、サンプルレート)を調整することができる。いくつかの実施形態では、特定の較正パラメータにより、IMU1445が基準点の初期位置を更新することになるので、初期位置は、基準点の次の較正された位置に対応する。基準点の初期位置を基準点の次の較正された位置として更新することが、決定された推定位置に付随する累積エラーを低減する助けになる。ドリフトエラーとも呼ばれる累積エラーは、基準点の推定位置が基準点の実際の位置から経時的に「ドリフト」する原因となる。
【0143】
撮像デバイス1415は、コンソール1420から受け取った較正パラメータに応じて低速較正データを生成する。低速較正データは、撮像デバイス1415によって検出可能なロケータ1435の観測された位置を示す、1つまたは複数の画像を含む。撮像デバイス1415は、1つまたは複数のカメラ、1つまたは複数のビデオカメラ、ロケータ1435のうちの1つ以上を含む画像を取り込む能力がある任意の他のデバイス、またはこれらの何らかの組み合わせを含み得る。加えて、撮像デバイス1415は、1つまたは複数のフィルタを含み得る(たとえば、信号対雑音比を向上させるために使用される)。撮像デバイス1415は、ロケータ1435から撮像デバイス1415の視野内で発光または反射された光を検出するように設計される。ロケータ1435が受動要素(たとえば、再帰反射器)を含む実施形態では、撮像デバイス1415は、ロケータ1435の一部または全部を照明する光源を含むことができ、ロケータは、その光を撮像デバイス1415内の光源に向けて逆反射する。低速較正データは、撮像デバイス1415からコンソール1420へ伝えられ、撮像デバイス1415は、1つまたは複数の較正パラメータをコンソール1420から受け取って、1つまたは複数の撮像パラメータ(たとえば、焦点距離、フォーカス、フレーム率、ISO、センサ温度、シャッタ速度、開度など)を調整する。
【0144】
触覚アセンブリ1405は、ユーザがコンソール1420にアクション要求を送出できるようにするデバイスである。アクション要求とは、特別なアクションを実施せよという要求である。たとえば、アクション要求は、アプリケーションを開始もしくは終了すること、またはアプリケーション内で特別なアクションを実施することであり得る。触覚アセンブリ1405はまた、仮想オブジェクトに接触する感覚を含む触覚フィードバックを与える。1つの実施形態では、触覚アセンブリ1405は、
図3A〜13Bに描写された流体デバイスなどの複数の構成可能な流体デバイスを含み、この流体デバイスは、1つまたは複数の複合流体デバイスを形成することができる。複合流体デバイスは、たとえば、触覚アセンブリ1405に含まれるアクチュエータを、コンソール1420からの触覚フィードバック信号に応じてアドレス指定するために使用することができる。1つの実施形態では、より完全には以下の
図15で説明するように、触覚アセンブリ1405は触覚グローブ1500になり、この触覚グローブを通してコンソール1420は、ユーザが仮想オブジェクトと対話することを可能にする。
【0145】
図14で、触覚アセンブリ1405はさらに、ロケータ1450、1つまたは複数の位置センサ1455、および慣性測定ユニット(IMU)1460を含む。いくつかの実施形態では、ロケータ1450、1つまたは複数の位置センサ1455、慣性測定ユニット(IMU)1460は、触覚アセンブリ1405の物理的な位置または動きを決定するために装着される。加えて、触覚アセンブリ1405は、コンソール1420から、ユーザへの触覚フィードバックに対応する触覚フィードバック信号を受け取る。この触覚フィードバック信号に応じて、触覚アセンブリ1405はユーザに、仮想空間内で仮想オブジェクトに接触しているという触覚フィードバックを与える。具体的には、触覚アセンブリ1405は、仮想空間において仮想オブジェクトと接触しているユーザの体部の物理的動きを防止または可能にする。たとえば、ユーザの指が仮想空間内で仮想オブジェクト(たとえば、仮想壁)と接触している場合、触覚アセンブリ1405は、その仮想空間内で仮想オブジェクトを通り抜ける方向にユーザの指が動くという物理的な動きを防止する。それゆえに、ユーザは、仮想オブジェクトに接触している感覚を受けることができる。
【0146】
1つの実施形態では、触覚フィードバック信号は、駆動されるべき触覚アセンブリ1405の位置または部分と、その触覚アセンブリ1405の位置または部分の、触覚フィードバックを与えるための駆動量とを指定する。この実施形態では、駆動量は、触覚アセンブリ1405の物理的位置と、仮想空間内の仮想オブジェクトの仮想位置に対応する触覚アセンブリ1405の仮想位置とに応じて、たとえばコンソール1420によって決定される。触覚アセンブリ1405は、触覚フィードバック信号によって指定された駆動量に応じて、仮想オブジェクトに接触しているユーザの触覚的な感覚をもたらす。
【0147】
ロケータ1450は、互いに、および触覚アセンブリ1405上の触覚アセンブリ1405のある決まった基準点に対して、触覚アセンブリ1405上のある決まった位置にある物である。ロケータ1450は、ロケータ1450が触覚アセンブリ1405の一部であること以外は、ロケータ1435と実質的に類似している。加えて、いくつかの実施形態では、触覚アセンブリ1405の外面または他の部分は、光の波長の可視帯域において不透明である。したがって、ロケータ1450は、IR帯域では透過性であるが可視帯域では不透明な外面の下でIR帯域の光を発光することできる。
【0148】
位置センサ1455は、触覚アセンブリ1405の運動に応答して1つまたは複数の測定信号を生成する。位置センサ1455は、位置センサ1455が触覚アセンブリ1405の一部であること以外は、位置センサ1440と実質的に類似している。位置センサ1455は、IMU1460の外部に、IMU1460の内部に、またはこれらの何らかの組み合わせで位置することができる。
【0149】
1つまたは複数の位置センサ1455からの1つまたは複数の測定信号に基づいて、IMU1460は、触覚アセンブリ1405の初期位置を基準とした触覚アセンブリ1405の推定位置を指定する触覚アセンブリ1405の高速較正データを生成する。たとえば、位置センサ1455は、並進運動(前後、上下、左右)を測定する多数の加速度計と、触覚アセンブリ1405の回転運動(たとえば、ピッチ、ヨー、ロール)を測定する多数のジャイロスコープとを含む。いくつかの実施形態では、IMU1460は、測定信号を高速でサンプリングし、サンプリングされたデータから触覚アセンブリ1405の推定位置を計算する。たとえば、IMU1460は、加速度計から受け取った測定信号を経時的に積分して速度ベクトルを推定し、その速度ベクトルを経時的に積分して触覚アセンブリ1405の基準点の推定位置を決定する。別法として、IMU1460は、サンプリングされた測定信号をコンソール1420に供給し、コンソールは、触覚アセンブリ1405の高速較正データを決定する。触覚アセンブリ1405の基準点とは、触覚アセンブリ1405の位置を記述するために使用できる点のことである。触覚アセンブリ1405の基準点は、一般には空間内の点として定義され得るが、実際には触覚アセンブリ1405の基準点は、触覚アセンブリ1405内部の点(たとえば、IMU1460の中心)として定義される。
【0150】
IMU1460は、触覚アセンブリ1405の1つまたは複数の較正パラメータをコンソール1420から受け取る。さらに以下で論じるように、触覚アセンブリ1405の1つまたは複数の較正パラメータは、触覚アセンブリ1405の追跡を維持するために使用される。受信した触覚アセンブリ1405の較正パラメータに基づいて、IMU1460は、1つまたは複数のIMUパラメータ(たとえば、サンプルレート)を調整することができる。いくつかの実施形態では、触覚アセンブリ1405の特定の較正パラメータにより、IMU1460が触覚アセンブリ1405の基準点の初期位置を更新することになるので、初期位置は、触覚アセンブリ1405の基準点の次の較正された位置に対応する。触覚アセンブリ1405の基準点の初期位置を触覚アセンブリ1405の基準点の次の較正された位置として更新することは、決定された推定位置に付随する累積エラーを低減する助けになる。
【0151】
コンソール1420は、撮像デバイス1415、HMD1410、および触覚アセンブリ1405のうちの1つ以上から受け取った情報に応じて、ユーザに提示するための媒体をHMD1410に提供する。
図14に示された例では、コンソール1420は、アプリケーション記憶装置1465、追跡モジュール1470、およびエンジン1475を含む。コンソール1420のいくつかの実施形態には、
図14と併せて説明したものとは異なるモジュールがある。類似して、以下でさらに説明する機能は、本明細書に記載されたものとは別様にコンソール1420の構成要素に分布していることがある。
【0152】
アプリケーション記憶装置1465は、コンソール1420で実行するための1つまたは複数のアプリケーションを記憶する。アプリケーションとは命令の群のことであり、プロセッサによって実行されると、ユーザに提示するためのコンテンツを生成する。アプリケーションによって生成されるコンテンツは、ユーザからHMD1410または触覚アセンブリ1405の動きを介して受け取った入力に応答したものになり得る。アプリケーションの例には、ゲームアプリケーション、会議アプリケーション、ビデオ再生アプリケーション、または他の適切なアプリケーションが含まれる。
【0153】
追跡モジュール1470は、1つまたは複数の較正パラメータを使用してVRシステム1460を較正し、HMD1410の位置を決定する際のエラーを低減するように1つまたは複数の較正パラメータを調整することができる。たとえば、追跡モジュール1470は、HMD1410上で観測されたロケータのより正確な位置が得られるように撮像デバイス1415のフォーカスを調整する。その上、追跡モジュール1470によって実施される較正もまた、IMU1445から受け取った情報を明らかにする。加えて、HMD1410の追跡ができなくなった場合(たとえば、撮像デバイス1415が、少なくとも閾数のロケータ1435の視線を失う)、追跡モジュール1470は、システム環境1460の一部または全部を再較正する。
【0154】
追跡モジュール1470は、撮像デバイス1415からの低速較正情報を使用してHMD1410の動きを追跡する。追跡モジュール1470は、低速較正情報による観測されたロケータおよびHMD1410のモデルを用いて、HMD1410の基準点の位置を決定する。追跡モジュール1470はまた、高速較正情報による位置情報を用いて、HMD1410の基準点の位置を決定する。加えて、いくつかの実施形態では、追跡モジュール1470は、高速較正情報の一部分、低速較正情報、またはこれらの何らかの組み合わせを用いて、ヘッドセット1410の未来場所を予測することができる。追跡モジュール1470は、HMD1410の推定または予測未来位置をエンジン1475に提供する。
【0155】
エンジン1475は、システム環境1460内でアプリケーションを実行し、HMD1410の位置情報、加速情報、速度情報、予測未来位置、またはこれらの何らかの組み合わせを追跡モジュール1470から受け取る。受け取った情報に基づいて、エンジン1475は、ユーザに提示するためのHMD1410に提供するコンテンツを決定する。たとえば、受け取った情報が、ユーザが左を見ていることを知らせている場合、エンジン1475は、仮想環境内のユーザの動きを反映するHMD1410のコンテンツを生成する。加えて、エンジン1475は、触覚アセンブリ1405から受け取ったアクション要求に応答してコンソール1420上で実行するアプリケーション内のアクションを実施し、アクションが実施されたことのフィードバックをユーザに与える。与えられるフィードバックは、HMD1410を介する可視または可聴のフィードバックでも、触覚アセンブリ1405を介する触覚フィードバックでもよい。
【0156】
図15は、一実施形態による、仮想オブジェクトと対話するための例示的な触覚グローブ1500である。
図15に示された触覚グローブ1500は、グローブ本体1510、触覚装置1520、コントローラ1530、信号経路1540、1つまたは複数のロケータ1450、位置センサ1455、およびIMU1460を含む。説明を簡単にするために、1つの信号経路1540、1つの触覚装置1520、1つの位置センサ1455、および1つのIMU1460しか
図15には示されていない。図示されていない代替実施形態では、触覚グローブ1500は、コントローラ1530に接続された多数の信号経路、位置センサ、および触覚装置を含むことができ、たとえば、触覚グローブ1500の指ごとに1組の触覚装置、位置センサおよびIMUがコントローラに接続されてもよい。同じく、触覚グローブ1500の様々なエンティティによって実施される機能は、別々の実施形態では異なり得る。加えて、触覚グローブ1500の様々なエンティティは、グローブ本体1510のいろいろな箇所に位置付けることができる。1つの例として、追加の触覚装置1520および位置センサ1455がグローブ本体1510のいろいろな部分に位置する。他の例として、触覚装置1520は、グローブ本体1510の全部の指に結合するか巻き付ける。他の例として、コントローラ1530は、たとえば手首または手のひらに対応して、グローブ本体1510の別の部分に結合される。
【0157】
グローブ本体1510は手を覆う装置であり、たとえば、位置センサ1455、触覚装置1520、コントローラ1530、信号経路1540に結合される覆いである。1つの実施形態では、位置センサ1455は、グローブ本体1510の対応する指(たとえば、グローブ本体の指先に対応する部分)に結合され、触覚装置1520は、グローブ本体1510の対応する指部分(たとえば、2つの指骨の間の関節に対応する部分)に結合され、コントローラ1530は、手の甲(すなわち、背面)に対応するグローブ本体1510の部分に結合される。信号経路1540は、コントローラ1530と触覚装置1520の間に結合される。1つの実施形態では、これらの構成要素のうちの1つ以上がグローブ本体1510の外面の下に置かれ、したがって外側からは見えない。加えて、または別法として、これらの構成要素のうちのいくつかはグローブ本体1510の外面に置かれ、視覚的に検出可能である。
【0158】
1つの実施形態では、触覚グローブ1500は、
図14に示された触覚アセンブリ1405とすることができ、触覚グローブ1500のロケータ1450、位置センサ1455およびIMU1460は、
図14に示された触覚アセンブリ1405の対応するロケータ1450、位置センサ1455およびIMU1460とすることができる。ユーザの手の動きは、IMU1460からの高速較正データ、および/または撮像デバイス1415からのロケータ1450の低速較正に応じて検出および追跡することができる。その上、仮想オブジェクトに接触するユーザの感覚を含む触覚フィードバックをユーザに、コントローラ1530、信号経路1540、および触覚装置1520によって与えることができる。
【0159】
触覚装置1520は、仮想オブジェクトに接触するユーザの感覚を含む触覚フィードバックを与える。1つの実施形態では、触覚装置1520は、コントローラ1530から受け取った命令に従って駆動される。1つの実施形態では、触覚装置1520は、グローブ本体1510の2つの指骨間の関節に対応する部分に結合される。他の実施形態では、触覚装置1520は、グローブ本体1510全体を覆うか、グローブ本体1510の他の部分(たとえば、2つの別々の指の間の関節に対応するエリア)に置かれる。触覚装置1520は、たとえば複数のアクチュエータとすることができる。
【0160】
コントローラ1530は、ある決まった機能を実施するために命令を触覚装置1520に与えるデバイスである。コントローラ1530は、コンソール1420から命令または触覚フィードバックを受け取ることができ、それに応じて触覚装置1520を駆動する。コントローラ1530は、1つまたは複数の触覚装置(たとえば、アクチュエータ)に対する命令を生成する、
図3A〜13Bに描写された流体デバイスなどの複数の流体デバイスを含む。
図1、
図2および
図14に関して上で詳細に論じたように、流体デバイスは構成可能であり、複数の流体デバイスを結合して、たとえば、デコーダのような複合流体デバイスを形成することができる。デコーダは、たとえば、コントローラ1530内のいくつかの論理的接続、および/または触覚装置1520への接続を減らす助けになり得る。それゆえに、コントローラ1530は、
図3A〜13Bに関して上述したものからなる様々な組み合わせを含む、複数の流体デバイスから構成することができる。
【0161】
追加構成情報
本開示の実施形態についての以上の説明は例示の目的で提示されており、網羅的なものではなく、あるいは開示されたそのままの形に本開示を限定するものではない。当業者には、上記の開示に照らして多くの修正形態および変形形態が可能であることが理解できよう。
【0162】
本明細書のいくつかの部分は、情報の操作のアルゴリズムおよび記号表現に関して本開示の実施形態について説明している。これらのアルゴリズムに関する説明および表現は、データ処理技術分野の当業者がその仕事の内容を他の当業者に事実上伝えるために通常使用されている。これらの動作は、機能的、計算的、または論理的に説明されているが、コンピュータプログラムまたは同等の電気回路、マイクロコードなどによって実現されると理解される。さらに、これらの動作装置をモジュールと呼ぶことが場合により便利であることも、一般性を失うことなく判明している。説明された動作およびその関連するモジュールは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはこれらの任意の組み合わせとして具現化することができる。
【0163】
本明細書に記載のステップ、動作、または処理のいずれも、1つまたは複数のハードウェアまたはソフトウェアモジュールだけで、または他のデバイスとの組み合わせで実施または実現することができる。1つの実施形態では、ソフトウェアモジュールが、コンピュータプログラムコードを含有するコンピュータ可読媒体を備えたコンピュータプログラム製品によって実現され、このコンピュータプログラムコードは、記載されたステップ、動作、または処理のいずれか、または全部を実施するために、コンピュータプロセッサによって実行することができる。
【0164】
本開示の実施形態はまた、本明細書の動作を実施するための装置とも関連があり得る。この装置は、必要とされる目的のために特別に造ることができ、かつ/または、コンピュータに記憶されたコンピュータプログラムによって選択的に起動もしくは再構成される汎用計算デバイスを備えることができる。このようなコンピュータプログラムは、非一時的な有形のコンピュータ可読記憶媒体、または電子的命令を記憶するのに適している任意の種類の媒体に記憶することができ、これらの媒体はコンピュータシステムバスに結合することができる。さらに、本明細書で言及されるいずれの計算システムも、単一のプロセッサを含むことができ、あるいは計算能力の増大のために多数のプロセッサ設計を使うアーキテクチャとすることができる。
【0165】
本開示の実施形態はまた、本明細書に記載の計算処理によって製造される製品にも関連があり得る。このような製品は、計算処理から得られた情報を備えることができ、この情報は、非一時的な有形のコンピュータ可読記憶媒体に記憶され、本明細書に記載のコンピュータプログラム製品または他のデータ組み合わせの任意の実施形態を含み得る。
【0166】
最後に、本明細書に使用される言葉は、主として読みやすさおよび教示の目的のために選ばれており、本発明の主題を詳細に叙述または範囲を定めるために選ばれてはいないことがある。したがって、本開示の範囲は、本明細書の「発明を実施するための形態」によってではなく、本明細書に基づいて出願時に出されるいずれかの特許請求の範囲によって限定されるものである。それゆえに、諸実施形態の開示は、添付の特許請求の範囲に明示されている本開示の範囲を限定するものではなく、例示するものである。