特許第6987974号(P6987974)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6987974部品実装システム、部品実装装置および部品実装方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987974
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】部品実装システム、部品実装装置および部品実装方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20211220BHJP
   H05K 13/00 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   H05K13/08 Z
   H05K13/00 Z
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-511572(P2020-511572)
(86)(22)【出願日】2018年4月6日
(86)【国際出願番号】JP2018014715
(87)【国際公開番号】WO2019193746
(87)【国際公開日】20191010
【審査請求日】2020年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】杉山 昂太郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 恒太
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−034142(JP,A)
【文献】 特開2015−095586(JP,A)
【文献】 特開2012−064831(JP,A)
【文献】 特開2017−017049(JP,A)
【文献】 特開2017−045904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して部品を実装する部品実装部と、制御部とを含む部品実装装置と、
前記制御部と通信可能なサーバと、を備え、
前記制御部は、品質不良が発生する可能性のある複数種類の動作状態変化を取得するとともに、前記動作状態変化の種類に応じた情報を、前記サーバに送信するように構成されており、
前記サーバは、前記動作状態変化の種類に応じた情報に基づいて、基板の検査種類を指示するように構成されており、
前記部品実装装置は、複数の基板を内部に配置することが可能に構成されており、
前記サーバは、前記部品実装部の部品を吸着するノズルの交換、供給する部品の交換、実装中の搭載異常、認識した部品の中心のしきい値以上のずれ、ユーザの操作による部品搭載中の非常停止による前記動作状態変化の場合、実装中の基板に対して検査を実行するように指示するとともに、部品落下、前記部品実装装置のカバーの開放による前記動作状態変化の場合、前記部品実装装置内の全ての基板に対して検査を実行するように指示するように構成されている、部品実装システム。
【請求項2】
前記動作状態変化は、実装動作異常、実装動作の停止、および、実装条件の変化、のうち少なくとも1つに関する、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項3】
前記実装動作異常に関する前記動作状態変化は、部品落下、実装中の搭載異常、認識した部品の中心のしきい値以上のずれを含み、
前記実装動作の停止に関する前記動作状態変化は、ユーザの操作による部品搭載中の非常停止、前記部品実装装置のカバーの開放を含み、
前記実装条件の変化に関する前記動作状態変化は、前記部品実装部の部品を吸着するノズルの交換、供給する部品の交換を含む、請求項2に記載の部品実装システム。
【請求項4】
記サーバは、前記動作状態変化の種類に応じた情報に基づいて、前記部品実装装置内の複数の基板のうち、検査を実行する基板を指示するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項5】
前記部品実装装置または前記部品実装装置より下流の装置に設けられ、検査種類を通知する通知部をさらに備え、
前記サーバは、前記動作状態変化の種類に応じた情報に基づいて、基板の検査種類を前記通知部により指示するように構成されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項6】
部品が実装された基板を受け入れるバッファコンベアをさらに備え、
前記サーバは、前記動作状態変化の情報に基づいて、基板の検査種類を前記通知部により指示するとともに、検査対象の基板を前記バッファコンベアに停止させる指示を行うように構成されている、請求項に記載の部品実装システム。
【請求項7】
前記部品実装装置の下流に配置された基板検査装置をさらに備え、
前記サーバは、前記動作状態変化の種類に応じた情報に基づいて、前記基板検査装置に、基板の検査種類を指示するように構成されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項8】
前記基板検査装置は、前記動作状態変化の種類に応じた情報に基づいて、通常とは異なる種類の基板検査を行うように構成されている、請求項に記載の部品実装システム。
【請求項9】
前記部品実装装置は直列に複数設けられており、
前記サーバは、前記部品実装装置において前記動作状態変化が取得された場合に、最下流の前記部品実装装置、または、さらに下流の装置に、基板の検査種類を指示するように構成されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項10】
複数の基板を内部に配置することが可能な部品実装装置であって、
基板に対して部品を実装する部品実装部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、品質不良が発生する可能性のある複数種類の動作状態変化を取得するとともに、前記動作状態変化の種類に応じた種類の基板検査が行われるように、情報を送信するように構成されており、
前記制御部は、前記部品実装部の部品を吸着するノズルの交換、供給する部品の交換、実装中の搭載異常、認識した部品の中心のしきい値以上のずれ、ユーザの操作による部品搭載中の非常停止による前記動作状態変化の場合、実装中の基板に対して検査が行われるように情報を送信するとともに、部品落下、前記部品実装装置のカバーの開放による前記動作状態変化の場合、前記部品実装装置内の全ての基板に対して検査が行われるように情報を送信するように構成されている、部品実装装置。
【請求項11】
複数の基板を内部に配置することが可能な部品実装装置の部品実装部により基板に対して部品を実装し、
品質不良が発生する可能性のある複数種類の動作状態変化を取得し、
前記動作状態変化の種類に応じて、基板の検査種類を指示し、
前記部品実装部の部品を吸着するノズルの交換、供給する部品の交換、実装中の搭載異常、認識した部品の中心のしきい値以上のずれ、ユーザの操作による部品搭載中の非常停止による前記動作状態変化の場合、実装中の基板に対して検査を実行するように指示するとともに、部品落下、前記部品実装装置のカバーの開放による前記動作状態変化の場合、前記部品実装装置内の全ての基板に対して検査を実行するように指示する、部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品実装システム、部品実装装置および部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品実装装置が知られている。このような部品実装装置は、たとえば、特開2015−095586号公報に開示されている。
【0003】
上記特開2015−095586号公報には、基板に対して部品を実装する装着ヘッドと、部品実装動作中に部品の落下を検知する制御部とを備える部品移載装置(部品実装装置)が開示されている。この部品移載装置では、部品実装動作中に部品の落下を検知した場合に、部品実装中の基板を、下流の基板検査装置において異物検査を行う異物検査対象基板に設定するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−095586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特開2015−095586号公報の部品移載装置(部品実装装置)では、部品実装動作中に部品の落下を検知した場合に、基板の異物検査を行うことができるものの、部品の落下以外の基板を検査することが好ましい状態が生じた場合には、異物検査などの追加の検査が行われないので、部品を実装した基板の異常を見逃す場合があるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、部品を実装した基板の異常を見逃すことを抑制することが可能な部品実装システム、部品実装装置および部品実装方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による部品実装システムは、基板に対して部品を実装する部品実装部と、制御部とを含む部品実装装置と、制御部と通信可能なサーバと、を備え、制御部は、品質不良が発生する可能性のある複数種類の動作状態変化を取得するとともに、動作状態変化の種類に応じた情報を、サーバに送信するように構成されており、サーバは、動作状態変化の種類に応じた情報に基づいて、基板の検査種類を指示するように構成されており、部品実装装置は、複数の基板を内部に配置することが可能に構成されており、サーバは、部品実装部の部品を吸着するノズルの交換、供給する部品の交換、実装中の搭載異常、認識した部品の中心のしきい値以上のずれ、ユーザの操作による部品搭載中の非常停止による動作状態変化の場合、実装中の基板に対して検査を実行するように指示するとともに、部品落下、部品実装装置のカバーの開放による動作状態変化の場合、部品実装装置内の全ての基板に対して検査を実行するように指示するように構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面による部品実装システムでは、上記のように構成することによって、品質不良が発生する可能性のある複数種類の動作状態変化に基づいて、基板検査を行うことができるので、部品落下以外の場合でも検査を行うことができる。これにより、品質不良が発生する可能性のある基板を確実に検査することができるので、部品を実装した基板の異常を見逃すことを抑制することができる。また、動作状態変化に応じた検査を行うことができるので、必要な検査を効率よく行うことができるとともに、精度よく検査を行うことができる。また、品質不良リスクのある基板を必要に応じて取り除くことができるので、品質不良リスクのある基板が部品実装システムから流出するのを抑制することができる。
【0009】
上記第1の局面による部品実装システムにおいて、好ましくは、動作状態変化は、実装動作異常、実装動作の停止、および、実装条件の変化、のうち少なくとも1つに関する。このように構成すれば、実装動作異常、実装動作の停止、および、実装条件の変化のうち少なくとも1つに関する複数種類の動作状態変化に基づいて、検査を行うことができるので、部品を実装した基板の異常を見逃すことを効果的に抑制することができる。
【0010】
この場合、好ましくは、実装動作異常に関する動作状態変化は、部品落下、実装中の搭載異常、認識した部品の中心のしきい値以上のずれを含み、実装動作の停止に関する動作状態変化は、ユーザの操作による部品搭載中の非常停止、部品実装装置のカバーの開放を含み、実装条件の変化に関する動作状態変化は、部品実装部の部品を吸着するノズルの交換、供給する部品の交換を含む。このように構成すれば、上記のような複数の動作状態変化に対して、それぞれ基板検査を行うことができるので、部品を実装した基板の異常を見逃すことをより効果的に抑制することができる。
【0011】
上記第1の局面による部品実装システムにおいて、好ましくは、サーバは、動作状態変化の種類に応じた情報に基づいて、部品実装装置内の複数の基板のうち、検査を実行する基板を指示するように構成されている。このように構成すれば、動作状態変化に応じて検査する基板の数を変えることができるので、常に全ての基板を検査する場合に比べて、検査時間を短縮することができる。
【0012】
上記第1の局面による部品実装システムでは、サーバは、部品実装部の部品を吸着するノズルの交換、供給する部品の交換、実装中の搭載異常、認識した部品の中心のしきい値以上のずれ、ユーザの操作による部品搭載中の非常停止による動作状態変化の場合、実装中の基板に対して検査を実行するように指示するとともに、部品落下、部品実装装置のカバーの開放による動作状態変化の場合、部品実装装置内の全ての基板に対して検査を実行するように指示するように構成されている。これにより、部品実装部の部品を吸着するノズルの交換、供給する部品の交換、実装中の搭載異常、認識した部品の中心のしきい値以上のずれ、ユーザの操作による部品搭載中の非常停止による動作状態変化の場合は、全ての基板を検査する必要がないので、検査時間が増大するのを抑制することができる。また、部品落下、部品実装装置のカバーの開放による動作状態変化の場合、実装中の該当基板以外の部品実装装置内の基板にも影響する可能性があるので、全ての基板を検査することにより、品質不良が発生する可能性のある基板をより確実に検査することができる。
【0013】
上記第1の局面による部品実装システムにおいて、好ましくは、部品実装装置または部品実装装置より下流の装置に設けられ、検査種類を通知する通知部をさらに備え、サーバは、動作状態変化の種類に応じた情報に基づいて、基板の検査種類を通知部により指示するように構成されている。このように構成すれば、通知部による通知に基づいて、動作状態変化の種類に応じた基板検査をユーザにより行うことができるので、基板検査装置を設けない場合でも、部品を実装した基板の異常を見逃すことを抑制することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、部品が実装された基板を受け入れるバッファコンベアをさらに備え、サーバは、動作状態変化の情報に基づいて、基板の検査種類を通知部により指示するとともに、検査対象の基板をバッファコンベアに停止させる指示を行うように構成されている。このように構成すれば、検査対象の基板をユーザがバッファコンベアから取り出して基板検査を行うことができる。
【0015】
上記第1の局面による部品実装システムにおいて、好ましくは、部品実装装置の下流に配置された基板検査装置をさらに備え、サーバは、動作状態変化の種類に応じた情報に基づいて、基板検査装置に、基板の検査種類を指示するように構成されている。このように構成すれば、基板検査装置により、動作状態変化の種類に応じた基板検査を行うことができるので、ユーザが基板検査を行う場合に比べて、ユーザの作業負担を軽減することができる。
【0016】
この場合、好ましくは、基板検査装置は、動作状態変化の種類に応じた情報に基づいて、通常とは異なる種類の基板検査を行うように構成されている。このように構成すれば、品質不良が発生する可能性のある基板に対して、通常とは異なる種類の基板検査を行うことができるので、基板検査装置による基板検査により異常を容易かつ精度よく発見することができる。
【0017】
上記第1の局面による部品実装システムにおいて、好ましくは、部品実装装置は直列に複数設けられており、サーバは、部品実装装置において動作状態変化が取得された場合に、最下流の部品実装装置、または、さらに下流の装置に、基板の検査種類を指示するように構成されている。このように構成すれば、直列に複数の部品実装装置が設けられている部品実装システムにおいて、品質不良が発生する可能性のある基板が生じた場合でも、最下流の部品実装装置までは搬送されるので、他の基板への部品実装動作を中断させる必要がない。これにより、基板への部品実装動作の作業効率が低下するのを抑制することができる。なお、直列とは、複数の部品実装装置が同じ基板に対して順次部品を実装するように接続されている状態である。つまり、複数の部品実装装置が直線的なライン上に配置されている場合、複数の部品実装装置が折れ曲がったライン上に配置されている場合などを含む。
【0018】
この発明の第2の局面による部品実装装置は、複数の基板を内部に配置することが可能な部品実装装置であって、基板に対して部品を実装する部品実装部と、制御部と、を備え、制御部は、品質不良が発生する可能性のある複数種類の動作状態変化を取得するとともに、動作状態変化の種類に応じた種類の基板検査が行われるように、情報を送信するように構成されており、制御部は、部品実装部の部品を吸着するノズルの交換、供給する部品の交換、実装中の搭載異常、認識した部品の中心のしきい値以上のずれ、ユーザの操作による部品搭載中の非常停止による動作状態変化の場合、実装中の基板に対して検査が行われるように情報を送信するとともに、部品落下、部品実装装置のカバーの開放による動作状態変化の場合、部品実装装置内の全ての基板に対して検査が行われるように情報を送信するように構成されている。
【0019】
この発明の第2の局面による部品実装装置では、上記のように構成することによって、品質不良が発生する可能性のある複数種類の動作状態変化に基づいて、基板検査を行うことができるので、部品落下以外の場合でも検査を行うことができる。これにより、品質不良が発生する可能性のある基板を確実に検査することができるので、部品を実装した基板の異常を見逃すことを抑制することができる。また、動作状態変化に応じた検査を行うことができるので、必要な検査を効率よく行うことができるとともに、精度よく検査を行うことができる。
【0020】
この発明の第3の局面による部品実装方法は、複数の基板を内部に配置することが可能な部品実装装置の部品実装部により基板に対して部品を実装し、品質不良が発生する可能性のある複数種類の動作状態変化を取得し、動作状態変化の種類に応じて、基板の検査種類を指示し、部品実装部の部品を吸着するノズルの交換、供給する部品の交換、実装中の搭載異常、認識した部品の中心のしきい値以上のずれ、ユーザの操作による部品搭載中の非常停止による動作状態変化の場合、実装中の基板に対して検査を実行するように指示するとともに、部品落下、部品実装装置のカバーの開放による動作状態変化の場合、部品実装装置内の全ての基板に対して検査を実行するように指示する
【0021】
この発明の第3の局面による部品実装方法では、上記のように構成することによって、品質不良が発生する可能性のある複数種類の動作状態変化に基づいて、基板検査を行うことができるので、部品落下以外の場合でも検査を行うことができる。これにより、品質不良が発生する可能性のある基板を確実に検査することができるので、部品を実装した基板の異常を見逃すことを抑制することができる。また、動作状態変化に応じた検査を行うことができるので、必要な検査を効率よく行うことができるとともに、精度よく検査を行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、上記のように、部品を実装した基板の異常を見逃すことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態による部品実装システムを示したブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態による部品実装システムにおける部品実装装置の全体構成を示した図である。
図3】本発明の第1実施形態による部品実装システムにおける部品実装装置の外観を示した概略図である。
図4】本発明の第1実施形態による部品実装システムにおける部品実装装置の制御的な構成を示したブロック図である。
図5】本発明の第1実施形態による部品実装システムにおける部品実装装置に設けられたヘッドユニットを説明するための図である。
図6】本発明の第1実施形態による部品実装システムにおける部品実装装置の内部に配置される基板を説明するための図である。
図7】本発明の第1実施形態による部品実装システムにおける部品実装装置の実装動作制御処理を説明するためのフローチャートである。
図8】本発明の第2実施形態による部品実装システムを示したブロック図である。
図9】本発明の第2実施形態による部品実装システムにおける部品実装装置の実装動作制御処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図1図6を参照して、本発明の第1実施形態による部品実装システム100の構成について説明する。
【0026】
(部品実装システムの構成)
第1実施形態による部品実装システム100は、基板Sに部品Eを実装して、部品Eが実装された基板Sを製造するように構成されている。なお、部品Eは、LSI、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗器などの小片状の電子部品を含む。部品実装システム100は、図1に示すように、サーバ1と、印刷機2と、部品実装装置3と、バッファコンベア4とを備えている。部品実装装置3(3a、3b、3c)は、基板製造ラインに沿って印刷機2の下流に複数設けられている。
【0027】
また、部品実装システム100では、基板製造ラインに沿って上流側(右側)から下流側(左側)に向かって基板Sが搬送されるように構成されている。また、部品実装システム100を構成する各装置(印刷機2および部品実装装置3)は、各々が制御部を有する自立型の装置であり、各装置の動作は、各々の制御部により個別に制御されている。また、サーバ1は、制御プログラム(生産プログラム)を実行して部品実装システム100全体を統括する役割を有している。つまり、サーバ1と各装置とが生産計画に関する情報を随時送受信することにより、部品実装システム100において部品Eが実装された基板Sの生産が行われるように構成されている。
【0028】
次に、部品実装システム100を構成する各装置の構成について説明を行う。
【0029】
サーバ1は、部品実装システム100の各装置を制御するように構成されている。
【0030】
印刷機2は、スクリーン印刷機であり、クリーム半田を基板Sの実装面上に塗布する機能を有する。また、印刷機2は、半田印刷後の基板Sを下流の部品実装装置3(3a)に受け渡すように構成されている。
【0031】
部品実装装置3は、クリーム半田が印刷された基板Sの所定の実装位置に部品Eを実装(搭載)する機能を有する。また、部品実装装置3(3a〜3c)は、基板Sの搬送方向に沿って複数配置されている。複数の部品実装装置3は、基板Sの搬送方向上流から、部品実装装置3a、部品実装装置3b、部品実装装置3cの順で配置されている。部品実装装置3a〜3cは、同様の構成を有している。また、部品実装装置3(3a〜3c)は、図2に示すように、基台31と、一対のコンベア32と、部品供給部33と、ヘッドユニット34と、支持部35と、一対のレール部36と、部品認識撮像部37と、撮像ユニット38と、制御部39とを備えている。
【0032】
また、部品実装装置3は、図3に示すように、筐体30aにより覆われている。また、筐体30aには、カバー30bが設けられている。部品実装装置3は、カバー30bを開放することにより、ユーザが内部にアクセスすることが可能になる。また、部品実装装置3は、カバー30bが開放されると、運転が停止されるように構成されている。つまり、部品実装装置3は、カバー30bが閉塞されている状態で、部品実装動作を行うように構成されている。
【0033】
また、部品実装装置3は、図4に示すように、通信部301と、通知部302と、非常停止ボタン303と、カバー開閉検知部304と、を含んでいる。
【0034】
図2に示すように、一対のコンベア32は、基台31上に設置され、基板SをX方向に搬送するように構成されている。また、一対のコンベア32は、搬送中の基板Sを実装作業位置で停止させた状態で保持するように構成されている。また、一対のコンベア32は、基板Sの寸法に合わせてY方向の間隔を調整可能に構成されている。
【0035】
部品供給部33は、一対のコンベア32の外側(Y1側およびY2側)に配置されている。また、部品供給部33には、複数のテープフィーダ331が配置されている。
【0036】
テープフィーダ331は、複数の部品Eを所定の間隔を隔てて保持したテープが巻き付けられたリール(図示せず)を保持している。テープフィーダ331は、リールを回転させて部品Eを保持するテープを送出することにより、テープフィーダ331の先端から部品Eを供給するように構成されている。部品Eを保持したテープが終わると、次のテープ(リール)に替えられる。
【0037】
ヘッドユニット34は、一対のコンベア32の上方と部品供給部33の上方との間を移動するように設けられている。また、ヘッドユニット34は、ノズル341a(図5参照)が下端に取り付けられた複数(5つ)の実装ヘッド341と、基板認識撮像部342と、を含んでいる。また、ヘッドユニット34には、Z軸モータ343(図4参照)と、R軸モータ344(図4参照)とが設けられている。また、ヘッドユニット34には、実装ヘッド341のノズル341aの先端に負圧および正圧を発生させる空気圧発生部345(図4参照)が配管を介して接続されている。なお、実装ヘッド341は、請求の範囲の「部品実装部」の一例である。
【0038】
実装ヘッド341は、基板Sに対して部品Eを実装するように構成されている。具体的には、実装ヘッド341は、昇降可能(Z方向に移動可能)に構成され、空気圧発生部345によりノズル341aの先端部に発生された負圧によって、テープフィーダ331から供給される部品Eを吸着して保持し、基板Sにおける実装位置に部品Eを装着(実装)するように構成されている。
【0039】
基板認識撮像部342は、基板Sの位置および姿勢を認識するために、基板SのフィデューシャルマークFを撮像するように構成されている。そして、フィデューシャルマークFの位置を撮像して認識することにより、基板Sにおける部品Eの実装位置を正確に取得することが可能である。基板認識撮像部342は、上方(Z1方向側)から基板Sを撮像するように構成されている。
【0040】
Z軸モータ343は、複数の実装ヘッド341を各々上下方向(Z方向)に移動させるように構成されている。R軸モータ344は、実装ヘッド341を上下方向(Z方向)の回転軸線回りに回転させるように構成されている。空気圧発生部345は、ノズル341aの先端に正圧および負圧を供給するように構成されている。空気圧発生部345による負圧により、ノズル341aの先端に部品Eが吸着される。また、空気圧発生部345による正圧により、ノズル341aの先端から部品Eを離間させる。
【0041】
支持部35は、X軸モータ351を含んでいる。支持部35は、X軸モータ351を駆動させることにより、支持部35に沿ってヘッドユニット34をX方向に移動させるように構成されている。支持部35は、両端部が一対のレール部36により支持されている。
【0042】
一対のレール部36は、基台31上に固定されている。X1側のレール部36は、Y軸モータ361を含んでいる。レール部36は、Y軸モータ361を駆動させることにより、支持部35を一対のレール部36に沿ってX方向と直交するY方向に移動させるように構成されている。ヘッドユニット34が支持部35に沿ってX方向に移動可能であるとともに、支持部35がレール部36に沿ってY方向に移動可能であることによって、ヘッドユニット34はXY方向に移動可能である。
【0043】
部品認識撮像部37は、基台31の上面上に固定されている。部品認識撮像部37は、一対のコンベア32の外側(Y1側およびY2側)に配置されている。部品認識撮像部37は、部品Eの実装に先立って部品Eの吸着状態(吸着姿勢)を認識するために、実装ヘッド341のノズル341aに吸着された部品Eを下方(Z2方向側)から撮像するように構成されている。これにより、実装ヘッド341のノズル341aに吸着された部品Eの吸着状態を取得することが可能である。たとえば、部品認識撮像部37の撮像により、ノズル341aに対する部品Eの吸着位置を取得することが可能である。また、部品認識撮像部37の撮像により、ノズル341aに対する部品Eの水平面内における回転量を取得することが可能である。これにより、撮像結果に基づいて、部品Eの位置補正および回転補正を行うことが可能である。
【0044】
撮像ユニット38は、ヘッドユニット34に取り付けられている。これにより、撮像ユニット38は、ヘッドユニット34がXY方向に移動することにより、ヘッドユニット34とともにXY方向に移動するように構成されている。また、撮像ユニット38は、部品Eの吸着動作時に、吸着位置の部品Eの吸着前後の画像を撮像するように構成されている。また、撮像ユニット38は、図5に示すように、部品Eの実装動作時に、実装位置の部品Eの実装(搭載)前後の画像を撮像するように構成されている。
【0045】
また、撮像ユニット38は、基板Sの実装位置の高さを測定するための画像を撮像するように構成されている。撮像ユニット38は、図5に示すように、複数のカメラ381と、照明382とを含んでいる。これにより、撮像ユニット38は、吸着位置および実装位置を複数の方向(角度)から撮像することが可能である。また、撮像ユニット38は、ステレオ光学系の複数のカメラ381を含んでいる。これにより、撮像ユニット38の撮像結果に基づいて、吸着位置および実装位置の3次元的な位置情報を取得することが可能である。また、撮像ユニット38により撮像された吸着前後の画像に基づいて、部品Eの吸着判定が行われる。また、撮像ユニット38により撮像された実装(搭載)前後の画像に基づいて、部品Eの搭載判定が行われる。部品Eの吸着判定および搭載判定は、たとえば、前後の画像の差分を用いて行われる。
【0046】
照明382は、カメラ381による撮像の際に発光するように構成されている。照明382は、カメラ381の周囲に設けられている。照明382は、LED(発光ダイオード)などの光源を有している。
【0047】
制御部39は、CPUを含んでおり、一対のコンベア32による基板Sの搬送動作、ヘッドユニット34による実装動作、部品認識撮像部37、撮像ユニット38、基板認識撮像部342による撮像動作などの部品実装装置3の全体の動作を制御するように構成されている。
【0048】
通信部301は、外部の装置と通信可能に構成されている。つまり、制御部39は、通信部301を介して、サーバ1と通信可能である。通信部301は、有線または無線により外部の装置と通信するように構成されている。
【0049】
通知部302は、部品実装装置3の状態を通知するように構成されている。通知部302は、たとえば、液晶ディスプレイなどの表示部を含んでいる。また、通知部302は、部品実装装置3の運転状態を表示するように構成されている。
【0050】
非常停止ボタン303は、ユーザが操作することにより、部品実装装置3の運転を停止させるためのボタンである。
【0051】
カバー開閉検知部304は、カバー30bの開閉を検知するように構成されている。カバー開閉検知部304によるカバー30bの開放が検知されると、部品実装装置3の運転が停止される。
【0052】
図6に示すように、部品実装装置3は、複数の基板Sを内部に配置することが可能に構成されている。部品実装装置3は、上流側から順に配置された位置P1、位置P2、位置P3のそれぞれに、基板Sを配置することが可能に構成されている。部品実装装置3は、基板Sが位置P1に搬入される。そして、基板Sは、位置P2に移動される。位置P2において、基板Sに部品Eが実装される。その後、基板Sは、位置P3に移動される。そして、基板Sは、位置P3から下流の装置に搬出される。
【0053】
図1に示すように、バッファコンベア4は、部品Eが実装された基板Sを受け入れるように構成されている。また、バッファコンベア4は、上流の部品実装装置3(3c)から基板Sを受け取り、基板Sを一時的に保持するように構成されている。また、バッファコンベア4は、基板Sをさらに下流の装置に送り出すように構成されている。バッファコンベア4は、上流の部品実装装置3cにより動作が制御されるように構成されている。
【0054】
ここで、第1実施形態では、部品実装装置3の制御部39は、品質不良が発生する可能性のある複数種類の動作状態変化を取得するように構成されている。また、制御部39は、動作状態変化の種類に応じた情報を、サーバ1に送信するように構成されている。
【0055】
動作状態変化は、実装動作異常、実装動作の停止、および、実装条件の変化、のうち少なくとも1つに関する。具体的には、実装動作異常に関する動作状態変化は、部品Eの落下と、実装中の搭載異常と、認識した部品Eの中心のしきい値以上のずれと、を含む。部品Eの落下の動作状態変化は、実装ヘッド341により、部品供給部33から部品Eを吸着し、実装位置に搬送する過程において、部品Eが落下することである。部品Eの落下は、部品装着直前に、撮像ユニット38によりノズル341aの先端を撮像することにより検知される。また、部品Eの落下は、空気圧発生部345の負圧の変化により検知される。
【0056】
実装中の搭載異常の動作状態変化は、部品Eが基板Sの正しい実装位置に実装されていない場合の状態である。実装中の搭載異常は、撮像ユニット38により、部品Eの実装位置を撮像することにより検知される。具体的には、撮像ユニット38により、部品Eの実装位置を実装前後において撮像し、実装前後の画像の差分により、部品Eが正しく実装されているか否かが検知される。
【0057】
認識した部品Eの中心のしきい値以上のずれの動作状態変化は、実装ヘッド341に吸着された部品Eの中心位置がしきい値以上ずれている場合の状態である。認識した部品Eの中心おしきい値以上のずれは、部品認識撮像部37による撮像結果に基づいて検知される。
【0058】
また、実装動作の停止に関する動作状態変化は、ユーザの操作による部品搭載中の非常停止と、部品実装装置3のカバー30bの開放と、を含む。ユーザの操作による部品搭載中の非常停止の動作状態変化は、ユーザにより非常停止ボタン303が押下され、非常停止された状態である。部品実装装置3のカバー30bの開放の動作状態変化は、ユーザによりカバー30bが開放され実装動作が停止された状態である。カバー30bの開放は、カバー開閉検知部304により検知される。
【0059】
また、実装条件の変化に関する動作状態変化は、実装ヘッド341の部品Eを吸着するノズル341aの交換と、供給する部品Eの交換と、を含む。実装ヘッド341の部品Eを吸着するノズル341aの交換の動作状態変化は、実装ヘッド341のノズル341aが交換されて、1枚目の基板Sに対して、交換したノズル341aにより部品Eを搭載した場合である。供給する部品Eの交換の動作状態変化は、部品Eを保持するテープが交換されて、1枚目の基板Sに対して、交換したテープの部品Eを搭載した場合である。
【0060】
制御部39は、品質不良が発生する可能性のある動作状態変化を取得した場合、該当するエリアの周辺を撮像ユニット38により撮像する制御を行う。また、制御部39は、撮像結果に基づいて、異常を判定する。異常の状態により、制御部39は、リトライを行う。なお、リトライにより異常が解消した場合、制御部39は、動作状態変化の情報をサーバ1には送信しない。
【0061】
また、第1実施形態では、サーバ1は、動作状態変化の種類に応じた情報に基づいて、基板Sの検査種類を指示する(情報を送信する)ように構成されている。つまり、サーバ1は、上流の部品実装装置3により品質不良が発生する可能性のある動作状態変化を記憶しておき、最下流の部品実装装置3により実装動作が終了した段階で、実装動作を停止して報知するための制御を行うように構成されている。
【0062】
サーバ1は、動作状態変化の種類に応じた情報に基づいて、基板Sの検査種類を最下流の部品実装装置3cの通知部302により指示するように構成されている。具体的には、サーバ1の情報(指示)に基づいて、部品実装装置3cの制御部39は、通知部302に、動作状態変化の種類と、動作状態変化に応じた検査方法と、を表示させる制御を行う。
【0063】
部品Eの落下の場合、基板S上の異物検査を行う。また、実装中の搭載異常の場合、基板S上の該当する搭載位置および部品Eの検査を行う。また、認識した部品Eの中心のしきい値以上のずれの場合、部品供給部33の状態(テープフィーダ331の状態、テープの状態)と、ノズル341aの状態の検査を行う。
【0064】
また、ユーザの操作による部品搭載中の非常停止の場合、非常停止の時の前後に実装動作を行っていた部品Eの搭載位置の検査を行う。つまり、非常停止された場合に、実装動作中の部品Eが実装されたか否かを検査する。部品実装装置3のカバー30bの開放の場合、カバー30bの開放により非常停止された時の前後に実装動作を行っていた部品Eの搭載位置の検査を行う。また、基板S上の異物検査を行う。つまり、カバー30bの開放により異物が混入したか否かも検査される。
【0065】
また、実装ヘッド341の部品Eを吸着するノズル341aの交換の場合、交換したノズル341aにより搭載した部品Eの搭載結果の検査を行う。また、供給する部品Eの交換の場合、交換されたテープから供給された部品Eの搭載結果の検査を行う。
【0066】
また、サーバ1は、動作状態変化の種類に応じた情報に基づいて、部品実装装置3内の複数の基板Sのうち、検査を実行する基板Sを指示するように構成されている。具体的には、サーバ1は、実装ヘッド341の部品Eを吸着するノズル341aの交換、供給する部品Eの交換、実装中の搭載異常、認識した部品Eの中心のしきい値以上のずれ、ユーザの操作による部品搭載中の非常停止による動作状態変化の場合、実装中の基板Sに対して検査を実行するように指示するように構成されている。つまり、サーバ1は、動作状態変化が生じた部品実装装置3において、動作状態変化が発生した時に位置P2(図6参照)に位置していた基板Sの検査を実行するための情報(指示)を送信する。また、サーバ1は、部品Eの落下、部品実装装置3のカバー30bの開放による動作状態変化の場合、部品実装装置3内の全ての基板Sに対して検査を実行するように指示するように構成されている。つまり、サーバ1は、動作状態変化が生じた部品実装装置3において、動作状態変化が発生した時に位置P1、P2およびP3(図6参照)に位置していた基板Sの検査を実行するための情報(指示)を送信する。
【0067】
また、サーバ1は、動作状態変化の情報に基づいて、基板Sの検査種類を通知部302により指示するように構成されている。具体的には、サーバ1は、部品実装装置3において動作状態変化が取得された場合に、最下流の部品実装装置3の通知部302に、基板Sの検査種類を指示する(情報を送信する)ように構成されている。また、サーバ1は、検査対象の基板Sをバッファコンベア4に停止させる指示を行うように構成されている。具体的には、サーバ1は、バッファコンベア4を停止させるための情報(指示)を部品実装装置3cに送信する。そして、部品実装装置3cの制御部39の制御により、バッファコンベア4が停止される。
【0068】
(実装動作制御処理の説明)
次に、図7を参照して、部品実装システム100の実装動作制御処理について説明する。
【0069】
図5の実装動作制御処理は、各部品実装装置3の制御部39により行われる。
【0070】
図7のステップS1において、基板IDが取得される。基板IDは、基板認識撮像部342による撮像に基づいて取得する。あるいは、基板IDは、サーバ1または上流の装置からの通信により取得する。ステップS2において、実装動作が開始される。具体的には、実装ヘッド341により、部品供給部33から部品Eが吸着され、基板Sの装着位置(実装位置)に部品Eが実装される。
【0071】
ステップS3において、動作状態変化を検出したか否かが判断される。動作状態変化を検出すれば、ステップS4に進み、動作状態変化を検出しなければ、ステップS6に進む。
【0072】
ステップS4において、動作状態変化の情報をサーバ1に送信する。具体的には、基板IDおよび動作状態変化の種類の情報がサーバ1に送信される。ステップS5において、必要に応じて部品Eが廃棄される。たとえば、実装ヘッド341が部品Eを吸着している状態で、非常停止された場合などでは、吸着している部品Eが廃棄される。
【0073】
ステップS6において、実装中の部品実装装置3における全ての部品Eの実装が完了したか否かが判断される。つまり、その部品実装装置3により実装予定の部品Eが基板Sに全て実装されたか否かが判断される。実装が完了すれば、ステップS7に進み、実装が完了していなければ、ステップS3に戻る。ステップS7において、自機が特定の装置であるか否かが判断される。特定の装置は、たとえば、下流にすぐにバッファコンベア4がある装置や、ユーザが指定した装置や、最下流の部品実装装置3(3c)などである。つまり、特定の装置は、自機により、動作状態変化を確認(チェック)して、動作状態変化の種類に応じた動作を行うことが指定された装置である。最下流の部品実装装置3であるか否かが判断される。最下流の部品実装装置3(3c)であれば、ステップS8に進み、最下流の部品実装装置3(3c)でなければ、ステップS12に進む。
【0074】
ステップS8において、サーバ1の動作状態変化の情報を確認する。具体的には、サーバ1と通信することにより、実装を完了した基板Sについて、動作状態変化の情報を確認する。ステップS9において、実装を完了した基板Sについて、動作状態変化の記録があるか否かが判断される。動作状態変化があれば、ステップS10に進み、動作状態変化がなければ、ステップS12に進む。
【0075】
ステップS10において、異常内容を警告表示させる。具体的には、サーバ1の情報(指示)に基づいて、通知部302に、動作状態変化の種類に基づく表示を表示させる。ステップS11において、バッファコンベア4に停止指示を送信する。これにより、動作状態変化の情報を有する基板Sがバッファコンベア4上に停止される。ステップS12において、基板Sが搬出される。そして、実装動作制御処理が終了される。
【0076】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0077】
第1実施形態では、上記のように、制御部39を、品質不良が発生する可能性のある複数種類の動作状態変化を取得するとともに、動作状態変化の種類に応じた情報を、サーバ1に送信するように構成する。また、サーバ1を、動作状態変化の種類に応じた情報に基づいて、基板Sの検査種類を指示するように構成する。これにより、品質不良が発生する可能性のある複数種類の動作状態変化に基づいて、基板検査を行うことができるので、部品落下以外の場合でも検査を行うことができる。その結果、品質不良が発生する可能性のある基板Sを確実に検査することができるので、部品Eを実装した基板Sの異常を見逃すことを抑制することができる。また、動作状態変化に応じた検査を行うことができるので、必要な検査を効率よく行うことができるとともに、精度よく検査を行うことができる。また、品質不良リスクのある基板Sを必要に応じて取り除くことができるので、品質不良リスクのある基板Sが部品実装システム100から流出するのを抑制することができる。
【0078】
また、第1実施形態では、上記のように、動作状態変化は、実装動作異常、実装動作の停止、および、実装条件の変化、のうち少なくとも1つに関する。これにより、実装動作異常、実装動作の停止、および、実装条件の変化のうち少なくとも1つに関する複数種類の動作状態変化に基づいて、検査を行うことができるので、部品Eを実装した基板Sの異常を見逃すことを効果的に抑制することができる。
【0079】
また、第1実施形態では、上記のように、実装動作異常に関する動作状態変化は、部品落下、実装中の搭載異常、認識した部品Eの中心のしきい値以上のずれを含み、実装動作の停止に関する動作状態変化は、ユーザの操作による部品搭載中の非常停止、部品実装装置3のカバー30bの開放を含み、実装条件の変化に関する動作状態変化は、実装ヘッド341の部品Eを吸着するノズル341aの交換、供給する部品Eの交換を含む。これにより、上記のような複数の動作状態変化に対して、それぞれ基板検査を行うことができるので、部品Eを実装した基板Sの異常を見逃すことをより効果的に抑制することができる。
【0080】
また、第1実施形態では、上記のように、サーバ1を、動作状態変化の種類に応じた情報に基づいて、部品実装装置3内の複数の基板Sのうち、検査を実行する基板Sを指示するように構成する。これにより、動作状態変化に応じて検査する基板Sの数を変えることができるので、常に全ての基板Sを検査する場合に比べて、検査時間を短縮することができる。
【0081】
また、第1実施形態では、上記のように、サーバ1を、実装ヘッド341の部品Eを吸着するノズル341aの交換、供給する部品Eの交換、実装中の搭載異常、認識した部品Eの中心のしきい値以上のずれ、ユーザの操作による部品搭載中の非常停止による動作状態変化の場合、実装中の基板Sに対して検査を実行するように指示するとともに、部品落下、部品実装装置3のカバー30bの開放による動作状態変化の場合、部品実装装置3内の全ての基板Sに対して検査を実行するように指示するように構成する。これにより、実装ヘッド341の部品Eを吸着するノズル341aの交換、供給する部品Eの交換、実装中の搭載異常、認識した部品Eの中心のしきい値以上のずれ、ユーザの操作による部品搭載中の非常停止による動作状態変化の場合は、全ての基板Sを検査する必要がないので、検査時間が増大するのを抑制することができる。また、部品落下、部品実装装置3のカバー30bの開放による動作状態変化の場合、実装中の該当基板S以外の部品実装装置3内の基板Sにも影響する可能性があるので、全ての基板Sを検査することにより、品質不良が発生する可能性のある基板Sをより確実に検査することができる。
【0082】
また、第1実施形態では、上記のように、部品実装装置3に、検査種類を通知する通知部302を設け、サーバ1を、動作状態変化の種類に応じた情報に基づいて、基板Sの検査種類を通知部302により指示するための信号を送信するように構成する。これにより、通知部302による通知に基づいて、動作状態変化の種類に応じた基板検査をユーザにより行うことができるので、基板検査装置を設けない場合でも、部品Eを実装した基板Sの異常を見逃すことを抑制することができる。
【0083】
また、第1実施形態では、上記のように、サーバ1を、動作状態変化の情報に基づいて、基板Sの検査種類を通知部302により指示するための信号を送信するとともに、検査対象の基板Sをバッファコンベア4に停止させるための信号を送信するように構成する。これにより、検査対象の基板Sをユーザがバッファコンベア4から取り出して基板検査を行うことができる。
【0084】
また、第1実施形態では、上記のように、部品実装装置3を直列に複数設け、サーバ1を、部品実装装置3において動作状態変化が取得された場合に、最下流の部品実装装置3cに、基板Sの検査種類を指示する信号を送信するように構成する。これにより、直列に複数の部品実装装置3(3a〜3c)が設けられている部品実装システム100において、品質不良が発生する可能性のある基板Sが生じた場合でも、最下流の部品実装装置3cまでは搬送されるので、他の基板Sへの部品実装動作を中断させる必要がない。その結果、基板Sへの部品実装動作の作業効率が低下するのを抑制することができる。
【0085】
(第2実施形態)
図8を参照して、本発明の第2実施形態による部品実装システム200の構成について説明する。この第2実施形態では、最下流の部品実装装置の下流にバッファコンベアが設けられている上記第1実施形態とは異なり、最下流の部品実装装置の下流に基板検査装置が設けられている構成の例について説明する。
【0086】
(部品実装システムの構成)
第2実施形態による部品実装システム200は、基板Sに部品Eを実装して、部品Eが実装された基板Sを製造するように構成されている。部品実装システム200は、図8に示すように、サーバ1と、印刷機2と、部品実装装置3と、基板検査装置5とを備えている。部品実装装置3(3a、3b、3c)は、基板製造ラインに沿って印刷機2の下流に複数設けられている。
【0087】
基板検査装置5は、最下流の部品実装装置3cの下流に設けられている。また、基板検査装置5は、可視光またはX線により基板Sの外観を検査する機能を有する。また、基板検査装置5は、上流の部品実装装置3(3c)から基板Sを受け取り、基板検査を行うように構成されている。また、基板検査装置5は、動作状態変化の種類に応じた情報に基づいて、通常とは異なる種類の基板検査を行うように構成されている。つまり、基板検査装置5は、動作状態変化を有する基板Sに対して、動作状態変化の種類に応じた基板検査を、通常の検査に加えて行うように構成されている。
【0088】
ここで、第2実施形態では、部品実装装置3の制御部39は、品質不良が発生する可能性のある複数種類の動作状態変化を取得することが可能である。また、制御部39は、動作状態変化の種類に応じた種類の基板検査が行われるように、情報をサーバ1に送信するように構成されている。
【0089】
また、第2実施形態では、サーバ1は、動作状態変化の種類に応じた情報に基づいて、基板Sの検査種類を指示するように構成されている。具体的には、サーバ1は、動作状態変化の種類に応じた情報に基づいて、基板検査装置5に、基板Sの検査種類を指示する(情報を送信する)ように構成されている。つまり、第2実施形態では、実装動作において、動作状態変化が生じた場合に、該当する基板Sを、基板検査装置5により検査するように構成されている。
【0090】
(実装動作制御処理の説明)
次に、図9を参照して、部品実装システム100の実装動作制御処理について説明する。
【0091】
図9の実装動作制御処理は、各部品実装装置3の制御部39により行われる。
【0092】
図9のステップS1において、基板IDが取得される。ステップS2において、実装動作が開始される。具体的には、実装ヘッド341により、部品供給部33から部品Eが吸着され、基板Sの装着位置(実装位置)に部品Eが実装される。
【0093】
ステップS3において、動作状態変化を検出したか否かが判断される。動作状態変化を検出すれば、ステップS4に進み、動作状態変化を検出しなければ、ステップS6に進む。
【0094】
ステップS4において、動作状態変化の情報をサーバ1に送信する。ステップS5において、必要に応じて部品Eが廃棄される。
【0095】
ステップS6において、実装中の部品実装装置3における全ての部品Eの実装が完了したか否かが判断される。実装が完了すれば、ステップS12に進み、実装が完了していなければ、ステップS3に戻る。ステップS12において、基板Sが搬出される。そして、実装動作制御処理が終了される。
【0096】
その後、搬出された基板Sが基板検査装置5に搬入されると、基板検査装置5の制御部によりステップS13の基板検査処理が行われる。具体的には、基板検査装置5がサーバ1を確認し、検査する基板Sが動作状態変化を有しているか否かを確認する。動作状態変化を有している基板Sであれば、基板検査装置5により、動作状態変化に応じた基板検査が行われる。
【0097】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0098】
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0099】
第2実施形態では、上記のように、制御部39を、品質不良が発生する可能性のある複数種類の動作状態変化を取得するとともに、動作状態変化の種類に応じた情報を、サーバ1に送信するように構成する。また、サーバ1を、動作状態変化の種類に応じた情報に基づいて、基板Sの検査種類を指示するように構成する。これにより、部品Eを実装した基板Sの異常を見逃すことを抑制することができる。
【0100】
また、第2実施形態では、上記のように、部品実装装置3の下流に基板検査装置5を設ける。また、サーバ1は、動作状態変化の種類に応じた情報に基づいて、基板検査装置5に、基板Sの検査種類を指示するように構成する。これにより、基板検査装置5により、動作状態変化の種類に応じた基板検査を行うことができるので、ユーザが基板検査を行う場合に比べて、ユーザの作業負担を軽減することができる。
【0101】
また、第2実施形態では、上記のように、基板検査装置5を、動作状態変化の種類に応じた情報に基づいて、通常とは異なる種類の基板検査を行うように構成する。これにより、品質不良が発生する可能性のある基板Sに対して、通常とは異なる種類の基板検査を行うことができるので、基板検査装置5による基板検査により異常を容易かつ精度よく発見することができる。
【0102】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0103】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0104】
たとえば、上記第1実施形態では、サーバの指示(情報)に基づいて、部品実装装置に設けられた通知部により動作状態変化に応じた基板の検査種類を通知する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、サーバの指示(情報)に基づいて、部品実装装置のさらに下流の装置に設けられた通知部により動作状態変化に応じた基板の検査種類を通知してもよい。また、サーバの指示(情報)に基づいて、他の装置により動作状態変化に応じた基板の検査種類を通知してもよい。たとえば、ユーザが携帯する端末により通知してもよい。
【0105】
また、上記第1実施形態では、サーバが、複数の部品実装装置のうち最下流の部品実装装置に、動作状態変化に応じた基板の検査種類を指示する(情報を送信する)構成の例を示したが、本発明はこれに限れられない。本発明では、サーバが、複数の部品実装装置のうち最下流の部品実装装置のさらに下流の装置に、動作状態変化に応じた基板の検査種類を指示する(情報を送信する)構成でもよい。
【0106】
また、上記第1実施形態では、動作状態変化に応じた基板の検査種類の通知に基づいて、ユーザが基板を検査する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、最下流の基板実装装置により、動作状態変化に応じた種類の基板検査を行ってもよい。
【0107】
また、上記第1および第2実施形態では、部品実装装置に3つの基板を配置することが可能な構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品実装装置に2つ以下または4つ以上の基板を配置することが可能な構成でもよい。
【0108】
また、上記第1および第2実施形態では、部品実装装置が1つの実装レーンを有する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品実装装置が複数の実装レーンを有する構成でもよい。
【0109】
また、上記第1および第2実施形態では、部品実装システムに3つの部品実装装置が設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品実装システムに2つ以下または4つ以上の部品実装装置が設けられていてもよい。
【0110】
また、上記第1および第2実施形態では、説明の便宜上、実装動作制御処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、実装動作制御処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0111】
1 サーバ
3、3a、3b、3c 部品実装装置
4 バッファコンベア
5 基板検査装置
30b カバー
39 制御部
100、200 部品実装システム
302 通知部
341 実装ヘッド(部品実装部)
341a ノズル
E 部品
S 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9