特許第6987989号(P6987989)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6987989マグネトロン温度調節方法、装置及びシステム、可変周波数電源及びマイクロ波機器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987989
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】マグネトロン温度調節方法、装置及びシステム、可変周波数電源及びマイクロ波機器
(51)【国際特許分類】
   H01J 23/34 20060101AFI20211220BHJP
【FI】
   H01J23/34 B
【請求項の数】14
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2020-524364(P2020-524364)
(86)(22)【出願日】2018年4月17日
(65)【公表番号】特表2021-501452(P2021-501452A)
(43)【公表日】2021年1月14日
(86)【国際出願番号】CN2018083390
(87)【国際公開番号】WO2019085408
(87)【国際公開日】20190509
【審査請求日】2020年4月30日
(31)【優先権主張番号】201711035721.6
(32)【優先日】2017年10月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518315760
【氏名又は名称】深▲セン▼麦格米特電気股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shenzhen Megmeet Electrical Co., Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】官継紅
【審査官】 鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−129147(JP,A)
【文献】 特許第4356618(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 23/34
H05B 6/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネトロンを流れた陽極電流、又は、可変周波数電源の入力電力、又は、マグネトロンの両端に加えられた陽極電圧を確定し、前記陽極電流又は前記入力電力又は前記陽極電圧により前記マグネトロンの陽極閾値電圧を取得し、前記可変周波数電源の出力電力が、前記マグネトロンの作動を駆動するためであることと、
取得された前記マグネトロンの陽極閾値電圧により前記可変周波数電源の出力電力を調節することと、
を含むことを特徴とするマグネトロン温度調節方法。
【請求項2】
前記の前記陽極電流又は前記入力電力又は前記陽極電圧により前記マグネトロンの陽極閾値電圧を取得することは、
前記マグネトロンの両端に加えられた陽極電圧、前記マグネトロンの等価抵抗、及び前記可変周波数電源の出力電力を確定することと、
前記マグネトロンの陽極電圧、前記マグネトロンの等価抵抗、及び前記可変周波数電源の出力電力により、前記マグネトロンの陽極閾値電圧を算出することと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の前記可変周波数電源の出力電力を確定することは、
前記可変周波数電源の入力電力及び入力電圧を取得することと、
前記可変周波数電源の入力電力と、入力電圧と電力効率との対応関係により、前記可変周波数電源の出力電力を算出することと
を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記の前記マグネトロンの陽極閾値電圧により前記可変周波数電源の出力電力を調節することは、
前記マグネトロンの陽極閾値電圧により、前記マグネトロンの陽極温度を算出することと、
算出された前記マグネトロンの陽極温度により可変周波数電源の出力電力を調節することと
を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記の前記マグネトロンの陽極温度により可変周波数電源の出力電力を調節することは、
前記マグネトロンの陽極温度が所定の温度閾値よりも大きいか否かを判断することと、
大きい場合に、前記可変周波数電源の出力電力を低減させることと、
小さい場合に、前記可変周波数電源の作動を維持することと
を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記の前記可変周波数電源の出力電力を低減させることは、
前記可変周波数電源の出力電力を確定することと、
前記可変周波数電源の出力電力が所定の最小電力よりも大きいか否かを判断することと、
大きい場合に、前記可変周波数電源の作動を維持することと、
小さい場合に、前記可変周波数電源の作動を止めることと
を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記の前記マグネトロンの陽極閾値電圧により前記可変周波数電源の出力電力を調節することは、
マグネトロンの陽極閾値電圧と可変周波数電源の出力電力とのマッピング関係を記憶している所定の関連表を取得することと、
前記所定の関連表から前記マグネトロンの陽極閾値電圧に対応する出力電力を調べることと、
前記調べられた出力電力になるように可変周波数電源の出力電力を調節することと
を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記マグネトロンの両端に加えられた陽極電圧を確定することは、
前記可変周波数電源の入力電力が所定の電力範囲に収められると、前記可変周波数電源の入力電力に対応する陽極電圧を陽極閾値電圧として確定すること
を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項9】
マグネトロンを流れた陽極電流、又は、可変周波数電源の入力電力、又は、マグネトロンの両端に加えられた陽極電圧を確定する確定モジュールであって、前記陽極電流又は前記入力電力又は前記陽極電圧により前記マグネトロンの陽極閾値電圧を取得し、前記可変周波数電源の出力電力が、前記マグネトロンの作動を駆動するためである確定モジュールと、
取得された前記マグネトロンの陽極閾値電圧により前記可変周波数電源の出力電力を調節する調節モジュールと
を備えることを特徴とするマグネトロン温度調節装置。
【請求項10】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに通信接続されるメモリとを備え、前記メモリは、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行可能なコマンドを記憶しており、前記コマンドは、前記少なくとも1つのプロセッサが請求項1乃至8の何れか1項に記載のマグネトロン温度調節方法の実行に用いられることができるように、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行される
ことを特徴とするコントローラ。
【請求項11】
マグネトロンを駆動する可変周波数電源であって、
前記マグネトロンを駆動する可変周波数回路と、
第1電圧サンプリング回路、前記可変周波数回路の第1出力電圧をサンプリングする第1電圧サンプリング回路であって、前記第1出力電圧が前記マグネトロンの両端に加えられた陽極電圧と対応関係を有し、前記第1電圧サンプリング回路が、前記可変周波数回路と前記マグネトロンとの間の第1ノードに接続される第1入力端と、前記可変周波数回路と前記マグネトロンとの間の第2ノードに接続される第2入力端と、第1出力端とを備える第1電圧サンプリング回路と、
それぞれ前記第1電圧サンプリング回路の第1出力端と前記可変周波数回路に接続され、前記第1出力電圧と前記マグネトロンの両端に加えられた陽極電圧との対応関係により、前記マグネトロンの両端の陽極電圧を算出する請求項10に記載のコントローラと
を備えることを特徴とする可変周波数電源。
【請求項12】
前記可変周波数電源は、増幅回路をさらに備え、前記増幅回路の入力端が前記第1電圧サンプリング回路の第1出力端に接続され、前記増幅回路の出力端が前記コントローラに接続されることを特徴とする請求項11に記載の可変周波数電源。
【請求項13】
マグネトロンと、
前記マグネトロンに接続され、前記マグネトロンを駆動する可変周波数電源と、
前記可変周波数電源とマグネトロンとの間にカップリングされ、前記可変周波数電源の第2出力電圧をサンプリングする第2電圧サンプリング回路であって、前記第2出力電圧が、前記マグネトロンの両端に加えられた陽極電圧と対応関係を有する第2電圧サンプリング回路と、
それぞれ前記第2電圧サンプリング回路の出力端と前記可変周波数電源に接続され、前記第2出力電圧と前記マグネトロンの両端に加えられた陽極電圧との対応関係により、前記マグネトロンの両端の陽極電圧を算出する請求項10に記載のコントローラと
を備えることを特徴とするマグネトロン温度調節システム。
【請求項14】
請求項10に記載のコントローラを備えることを特徴とするマイクロ波機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、マイクロ波機器の分野に関し、特にマグネトロン温度調節方法及びその装置、コントローラ、可変周波数電源、マグネトロン温度調節システム及びマイクロ波機器に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波機器は、工業分野、軍事分野や民生分野などを含む各分野にわたって広く適用されている。
【0003】
従来のマイクロ波機器は、マイクロ波が発生されるようにマグネトロンを駆動し、マイクロ波によりマイクロ波機器の負荷に影響を与えるようにすることができる。
【0004】
出願人は、本願の実現中に、従来の技術に少なくとも以下の問題があることを発見した。マイクロ波機器が負荷へ影響を与えている際に、負荷に不確定性があるため、マグネトロン温度の急激な上昇を引き起すことになり、この場合、対応する措置を取らないと、マグネトロンが温度過昇により非常に損害されやすく、マグネトロンの耐用年数が極めて大きく短縮される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の実施例は、マグネトロン温度調節方法及びその装置、コントローラ、可変周波数電源、マグネトロン温度調節システム及びマイクロ波機器を提供することを目的とし、従来の技術におけるマグネトロンが温度過昇状態に作動しがちで耐用年数が短縮されるという技術的問題を解決している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した技術的問題を解決するために、本願の実施例は、以下の技術的手段を提供する。
【0007】
第1側面において、本願の実施例は、マグネトロンを流れた陽極電流、又は、可変周波数電源の入力電力、又は、マグネトロンの両端に加えられた陽極電圧を確定し、前記可変周波数電源の入力電力又は出力電力が、前記マグネトロンの作動を駆動するためであることと、前記陽極電流又は前記入力電力又は前記陽極電圧により、前記可変周波数電源の出力電力を調節することとを含むマグネトロン温度調節方法を提供する。
【0008】
選択的には、前記の前記陽極電流又は前記入力電力又は前記陽極電圧により、前記可変周波数電源の出力電力を調節することは、前記マグネトロンの両端に加えられた陽極電圧、前記マグネトロンの等価抵抗、及び前記可変周波数電源の出力電力を確定することと、前記マグネトロンの陽極電圧、前記マグネトロン等価抵抗、及び前記可変周波数電源の出力電力により前記マグネトロンの陽極閾値電圧を算出することと、前記マグネトロンの陽極閾値電圧により前記可変周波数電源の出力電力を調節することとを含む。
【0009】
選択的には、前記の前記可変周波数電源の出力電力を確定することは、前記可変周波数電源の入力電力及び入力電圧を取得することと、前記可変周波数電源の入力電力と、入力電圧と、電力効率との対応関係により、前記可変周波数電源の出力電力を算出することとを含む。
【0010】
選択的には、前記の前記マグネトロンの陽極閾値電圧により前記可変周波数電源の出力電力を調節することは、前記マグネトロンの陽極閾値電圧により、前記マグネトロンの陽極温度を算出することと、前記マグネトロンの陽極温度により可変周波数電源の出力電力を調節することとを含む。
【0011】
選択的には、前記の前記マグネトロンの陽極温度により可変周波数電源の出力電力を調節することは、前記マグネトロンの陽極温度が所定の温度閾値よりも大きいか否かを判断することと、大きい場合に、前記可変周波数電源の出力電力を低減させることと、小さい場合に、前記可変周波数電源の作動を維持することとを含む。
【0012】
選択的には、前記の前記可変周波数電源の出力電力を低減させることは、前記可変周波数電源の出力電力を確定することと、前記可変周波数電源の出力電力が所定の最小電力よりも大きいか否かを判断することと、大きい場合に、前記可変周波数電源の作動を維持することと、小さい場合に、前記可変周波数電源の作動を止めることとを含む。
【0013】
選択的には、前記の前記マグネトロンの陽極閾値電圧により前記可変周波数電源の出力電力を調節することは、マグネトロンの陽極閾値電圧と可変周波数電源の出力電力とのマッピング関係を記憶している所定の関連表を取得することと、前記所定の関連表から前記マグネトロンの陽極閾値電圧に対応する出力電力を調べることと、前記調べられた出力電力になるように可変周波数電源の出力電力を調節することとを含む。
【0014】
選択的には、前記マグネトロンの両端に加えられた陽極電圧を確定することは、前記可変周波数電源の入力電力が所定の電力範囲に収められると、前記可変周波数電源の入力電力に対応する陽極電圧を陽極閾値電圧として確定することを含む。
【0015】
第2側面において、本願の実施例は、マグネトロンを流れた陽極電流、又は、可変周波数電源の入力電力、又は、マグネトロンの両端に加えられた陽極電圧を確定する確定モジュールであって、前記可変周波数電源の入力電力又は出力電力が、前記マグネトロンの作動を駆動するためである確定モジュールと、前記陽極電流又は前記入力電力又は前記陽極電圧により、前記可変周波数電源の出力電力を調節する調節モジュールとを備えるマグネトロン温度調節装置を提供する。
【0016】
第3側面において、本願の実施例は、少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサに通信接続されるメモリとを備え、ここで、前記メモリは、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行可能なコマンドを記憶しており、前記コマンドは、前記少なくとも1つのプロセッサが上述した何れか1項のマグネトロン温度調節方法の実行に用いられることができるように、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されるコントローラを提供する。
【0017】
第4側面において、本願の実施例は、マグネトロンを駆動する可変周波数電源であって、前記マグネトロンを駆動する可変周波数回路と、前記可変周波数回路の第1出力電圧をサンプリングする第1電圧サンプリング回路であって、前記第1出力電圧が、前記マグネトロンの両端に加えられた陽極電圧と対応関係を有し、前記第1電圧サンプリング回路が、前記可変周波数回路と前記マグネトロンとの間の第1ノードに接続される第1入力端と、前記可変周波数回路と前記マグネトロンとの間の第2ノードに接続される第2入力端と、第1出力端とを備える第1電圧サンプリング回路と、それぞれ前記第1電圧サンプリング回路の第1出力端と前記可変周波数回路に接続され、前記第1出力電圧と前記マグネトロンの両端に加えられた陽極電圧との対応関係により、前記マグネトロンの両端の陽極電圧を算出する上記コントローラとを備える可変周波数電源を提供する。
【0018】
選択的には、前記可変周波数電源は、増幅回路をさらに備え、前記増幅回路の入力端が前記第1電圧サンプリング回路の第1出力端に接続され、前記増幅回路の出力端が前記コントローラに接続される。
【0019】
第5側面において、本願の実施例は、マグネトロンと、前記マグネトロンに接続され、前記マグネトロンを駆動する可変周波数電源と、前記可変周波数電源とマグネトロンとの間にカップリングされ、前記可変周波数電源の第2出力電圧をサンプリングする第2電圧サンプリング回路であって、前記第2出力電圧が、前記マグネトロンの両端に加えられた陽極電圧と対応関係を有する第2電圧サンプリング回路と、それぞれ前記第2電圧サンプリング回路の出力端と前記可変周波数電源に接続され、前記第2出力電圧と前記マグネトロンの両端に加えられた陽極電圧との対応関係により、前記マグネトロンの両端の陽極電圧を算出する上記コントローラとを備えるマグネトロン温度調節システムを提供する。
【0020】
第6側面において、本願の実施例は、上記コントローラを備えるマイクロ波機器を提供する。
【0021】
第7側面において、本願の実施例は、コンピュータにより実行可能なコマンドを記憶している非一時的なコンピュータに読み込み可能な記憶媒体を提供し、前記コンピュータにより実行可能なコマンドは、マイクロ波機器に上述したような何れか1項に記載のマグネトロン温度調節方法を実行させるためである。
【0022】
本願の各実施例において、まず、マグネトロンを流れた陽極電流、又は、可変周波数電源の入力電力、又は、マグネトロンの両端に加えられた陽極電圧を確定し、可変周波数電源の入力電力又は出力電力がマグネトロンの作動を駆動するためであり、次に、陽極電流又は入力電力又は陽極電圧により、可変周波数電源の出力電力を調節する。これにより、可変周波数電源の出力電力を適時に調節することにより、マグネトロンの陽極温度を調節し、マグネトロン温度過昇による損害を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
1つ又は複数の実施例は、それに対応する図面における図により例示的に説明するが、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものとはならず、図面にける同じ参照数字番号を有する要素は同じ要素を示し、特別に断っていない限り、図面における図は比例限度とならない。
【0024】
図1】本願の実施例によるマイクロ波機器の構造を模式的に示す図である。
図1a】本願の実施例によるマグネトロンの等価回路のモデルを模式的に示す図である。
図1b】本願の実施例によるマグネトロンの両端に加えられた陽極電圧、及びマグネトロンを流れた陽極電流が経時的に変化することを模式的に示す図である。
図2】本願の実施例による他のマイクロ波機器の構造を模式的に示す図である。
図3】本願の実施例による1KW、2450Mのマグネトロンの陽極温度と陽極電圧との関係を模式的に示す図である。
図4】本願の実施例による可変周波数電源の電力効率と、入力電力と、入力電圧との関係を模式的に示す図である。
図5】本願の実施例による第1電圧サンプリング回路の構造を模式的に示す図である。
図5a】本願の他の実施例による第1電圧サンプリング回路の構造を模式的に示す図である。
図6】本願の他の実施例によるマイクロ波機器の構造を模式的に示す図である。
図7】本願の更に他の実施例によるマイクロ波機器の構造を模式的に示す図である。
図8】本願の実施例による第2電圧サンプリング回路の構造を模式的に示す図である。
図8a】本願の実施例によるマグネトロンの両端に加えられた陽極電圧、及び第2電圧サンプリング回路によりサンプリングされた第2出力電圧が経時的に変化することを模式的に示す図である。
図9】本願の実施例によるコントローラの構造を模式的に示す図である。
図10】本願の実施例によるマグネトロン温度調節装置の構造を模式的に示す図である。
図10a図10における調節モジュールの構造を模式的に示す図である。
図11図10aにおける確定ユニットの構造を模式的に示す図である。
図12図10aにおける調節ユニットの一つの構造を模式的に示す図である。
図13図10aにおける調節ユニットのもう一つの構造を模式的に示す図である。
図14図12における第1調節サブユニットの構造を模式的に示す図である。
図15】本願の実施例によるマグネトロン温度調節方法のフローを模式的に示す図である。
図15a図15における工程52のフローを模式的に示す図である。
図16図15aにおける工程521のフローを模式的に示す図である。
図17図15aにおける工程523の一つのフローを模式的に示す図である。
図18図15aにおける工程523のもう一つのフローを模式的に示す図である。
図19図17における工程5233のフローを模式的に示す図である。
図20図19における工程52332のフローを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本願の目的、技術的手段及び利点をさらに明らかにするために、以下、図面及び実施例と合わせて、本願をさらに詳しく説明する。ここに記載されている具体的な実施例は、本願を解釈するものに過ぎず、本願を限定するものではないと理解すべきである。
【0026】
本願の実施例によるマイクロ波機器は、工業用マイクロ波機器、医療用マイクロ波機器、民生マイクロ波機器、軍事マイクロ波機器などを含む。工業分野において、工業用マイクロ波機器は、材料への急速な加熱、乾燥や、材料の変性などに用いることができる。医療用分野において、医療用マイクロ波機器は、医薬品への殺菌や、病巣部位へのアブレーションなどに用いることができる。民生分野において、民生マイクロ波機器は、マイクロ波による食べ物への加熱などに用いることができる。軍事分野において、マイクロ波機器は、ナビゲーションのための目標検出などに用いることができる。
【0027】
本願の実施例によるマイクロ波機器は、可変周波数マイクロ波機器であってもよく、他の種類のマイクロ波機器であってもよい。
【0028】
図1を参照すると、図1は、本願の実施例によるマイクロ波機器の構造を模式的に示す図である。図1に示すように、当該マイクロ波機器10は、可変周波数電源11と、マグネトロン12と、作動チャンバー13と、冷却ユニット14とを備え、可変周波数電源11は、マグネトロン12に接続される。
【0029】
再び図1を参照すると、可変周波数電源11は、整流フィルターユニット111と、電力変換ユニット112と、高圧変圧器113と、高圧整流フィルターユニット114と、内部コントローラ116とを備える。整流フィルターユニット111の入力端は、外部電源の投入に用いられ、整流フィルターユニット111の出力端は、電力変換ユニット112の入力端に接続され、電力変換ユニット112の出力端は、高圧変圧器113の一次側巻線に接続され、高圧変圧器113の二次側巻線は、高圧整流フィルターユニット114の入力端に接続され、高圧整流フィルターユニット114の出力端は、マグネトロン12に接続され、コントローラ115は、電力変換ユニット112に接続される。
【0030】
可変周波数電源11は、マグネトロン12の作動を駆動し、マグネトロン12へ必要な電圧と電流を供給することができる。ここで、整流フィルターユニット111は、外部電源の投入に用いられるとともに、外部電源に対して整流とフィルター処理を行い、直流電圧を出力する。ここで、当該外部電源は、電気事業者による電気の電圧であってもよく、工業用電圧であってもよい。
【0031】
内部コントローラ116は、入力電圧や電流などの情報を採取し、実動作での入力電力を算出し、所望のパルス幅変調信号(Pulse Width Modulation;PWM)又はパルス周波数変調信号(Pulse Frequency Modulation;PFM)又は両方の混合波に変換し、電力変換ユニット112を定格電力により作動するように駆動するためである。
【0032】
高圧変圧器113の出力は、高圧整流フィルターユニット114により処理された後、高圧整流フィルターユニット114から、滑らかな直流高圧をマグネトロン12の陽極へ出力するとともに、さらにフィラメント電圧の一方をマグネトロン12のフィラメントに供給する。
【0033】
マグネトロン12は、可変周波数電源11による電気エネルギーを対応するマイクロ波に変換し、作動チャンバー13内に置かれた負荷131を加熱することができ、例えば、マイクロ波機器は電子レンジである場合に、作動チャンバー13においてマイクロ波で加熱すべき食べ物が置かれる。
【0034】
図1aを参照すると、図1aは、本願の実施例によるマグネトロンの等価回路のモデルを模式的に示す図である。図1aに示すように、マグネトロン12が真空電子管であるので、その等価回路のモデルは、電圧調整管ZDと等価抵抗Rにより並列に接続されてなる回路モデルと同等にしてもよく、ここで、電圧調整管ZDの安定電圧がマグネトロン12の陽極閾値電圧であり、等価抵抗Rがマグネトロン12の等価内部抵抗である。
【0035】
図1bを参照すると、図1bは、本願の実施例によるマグネトロンの両端に加えられた陽極電圧及びマグネトロンを流れた陽極電流が経時的に変化することを模式的に示す図である。図1bに示すように、座標軸は縦座標が陽極電圧であり、陽極電圧をEbmと記し、横座標が時間であり、時間をtと記する。さらに、陽極閾値電圧をVTと記する。座標軸1b2は縦座標が陽極電流であり、陽極電流をItと記し、横座標が時間tである。
【0036】
図1bから分るように、マグネトロン12にパワー周波数電源が投入されると、座標軸のゼロ点において、パワー周波数電源がゼロ点を超えた箇所にある時に、可変周波数電源11の陽極出力電圧の絶対値が小さく、マグネトロン12を駆動することができないので、マグネトロン12がカットオフ状態になる。パワー周波数電源がゼロ点を超えると、ネットワーク側電源が次第に高くなり、可変周波数電源11の陽極出力電圧の絶対値も次第に大きくなり、かつ、次第にa点に対応する陽極電圧まで大きくなり、即ち、マグネトロン12の陽極閾値電圧VTに達し、この場合、陽極電流Itがマグネトロン12を流れ始める。パワー周波数電源が次第に高くなるにつれて、陽極電流Itの絶対値も次第に大きくなり、それと同時に、陽極電圧の絶対値も次第に大きくなる。通電時間が5マイクロ秒を超えると、パワー周波数電源は低減され始め、それに伴い、陽極電圧Ebmは、b点に対応する陽極電圧になるまで低減され、b点になると、陽極電圧Ebmは、マグネトロン12の駆動に十分ではなくなるので、陽極電流Itがゼロに低減される。
【0037】
さらに、時間がa又はbである場合、陽極電圧は、陽極閾値電圧に等しく、ユーザは、陽極閾値電圧が速く算出されるように、a又はb点を選択して陽極電圧を採取してよい。
【0038】
ここで、陽極電圧Ebmと、陽極閾値電圧VTと、等価抵抗Rとの間の関数関係は、
Ebm=VT+R*Itで、ただし、a<t<bである。
【0039】
冷却ユニット14は、可変周波数電源11及びマグネトロン12の作動時に発生された熱を取り除くことができ、可変周波数電源11及びマグネトロン12の確実かつ安定的な作動が可能になる。
【0040】
幾つかの実施例において、整流フィルターユニット111、電力変換ユニット112、高圧変圧器113、及び高圧整流フィルターユニット114は、纏めて可変周波数回路と言ってもよく、即ち、整流フィルターユニット111、電力変換ユニット112、高圧変圧器113、及び高圧整流フィルターユニット114に備えられた機能は、可変周波数回路の形で実現されてもよい。当業者にとっては、駆動マグネトロン12としての可変周波数駆動電源は、上述した各電気ユニット(例えば、整流フィルターユニット111、電力変換ユニット112、高圧変圧器113、及び高圧整流フィルターユニット114)の他に、業務上の必要に応じて、さらに他の応用ニーズを実現するために、自ら可変周波数回路に他の電気ユニットを追加してもよいと理解されるべきである。
【0041】
上述したマイクロ波機器10によれば、マイクロ波機器10は、負荷131への加熱中に、負荷131に不確定性があるため、マグネトロン12が温度過昇状態において作動することになりがちである。例えば、電子レンジでポップコーンを作る場合は、初期に、トウモロコシの水分が一応十分で、マグネトロンにより出力されたマイクロ波のほとんどがトウモロコシに吸収され、この時のマグネトロンの温度上昇が比較的に低い。しかし、ポップコーンを作るプロセスが終わる直前に、トウモロコシの水分の含有量が少なく、ほとんどのマイクロ波がトウモロコシに吸収されず、マグネトロン内に反射され、マグネトロンの急激な温度上昇になってしまう。市場統計データによると、家庭用電子レンジ損害の原因には、マグネトロンの損害が5割にも達し、温度過昇がマグネトロンの損害の要因となる。
【0042】
また、例えば、工業用マイクロ波機器は、資材の乾燥によく利用されているが、初期には、資材の水分の含有量が十分で、マグネトロンの温度上昇を制御することができる。資材の乾燥が完了する直前に、資材の水分の含有量が少なく、多くのマイクロ波がマグネトロン内に反射され、マグネトロンの急激な発熱が引き起こされ、マグネトロンへの過熱による損害に非常になりやすい。市場統計データによると、一般的な2450M工業用マイクロ波機器のマグネトロン損害の割合が一層高く、通常、毎年の損害率が高くて15%にも達し、その要因も温度過昇である。
【0043】
また、マイクロ波機器10における冷却ユニット14が故障になると、マグネトロン12の熱が適時に取り除かれないため、マグネトロン12が急激に温度上昇になりがちで、マグネトロン12の損害になってしまう。
【0044】
上述したマイクロ波機器の種々の欠陥に鑑みて、本願の実施例は、もう一つのマイクロ波機器を提供する。図2に示すように、当該マイクロ波機器10における可変周波数電源は、第1電圧サンプリング回路117をさらに備え、第1電圧サンプリング回路117は、可変周波数回路とマグネトロン12との間の第1ノード116aに接続される第1入力端117aと、可変周波数回路とマグネトロン12との間の第2ノード116bに接続される第2入力端117bと、第1出力端117cとを備えるという点において、図1に示すマイクロ波機器とは異なる。第1電圧サンプリング回路117は、可変周波数回路の第1出力電圧V0をサンプリングするためであり、ここで、第1出力電圧V0がマグネトロンの両端に加えられた陽極電圧Ebm=f(V0)と対応関係を有し、内部コントローラ116が、第1出力電圧と、マグネトロン12の両端に加えられた陽極電圧との対応関係により、マグネトロン12の両端の陽極電圧を算出する。さらに、内部コントローラ116は、陽極電圧によりマグネトロンの陽極温度を調節する。
【0045】
具体的に、マイクロ波機器によるマグネトロンの陽極温度の調節の具体的な作動原理は、下記の通りである。
【0046】
まず、可変周波数電源11は、設定された電力により動作する。当該設定された電力は、可変周波数電源11内に初期設定された初期電力であってよい。動作する中に、内部コントローラ116は、第1電圧サンプリング回路117からフィードバックされたマグネトロンの陽極電圧を受信する。
【0047】
さらに、内部コントローラ116は、マグネトロン12の陽極電圧によりマグネトロン12の陽極温度を算出してもよい。
【0048】
具体的に、図3を参照すると、図3は、本願の実施例による1KW、2450Mのマグネトロンの陽極温度と陽極閾値電圧との関係を模式的に示す図である。図3に示すように、横座標は、マグネトロン12の陽極閾値電圧を示し、縦座標は、マグネトロン12の陽極温度を示す。マグネトロン12の作動時に、マグネトロン12の陽極温度は、次第に高くなり、それに伴い、対応する陽極閾値電圧も高くなる。無論、マグネトロン12の陽極温度が350℃になると、マグネトロン光12の陽極閾値電圧は、既に−3100V程度に上昇した。この場合、マグネトロン12の寿命は急激に短縮され、マグネトロン陽極に取り付けられた磁石も何時でも磁気爆発になるリスクがある。
【0049】
総じて言えば、図3に示すように、マグネトロン12の陽極温度taと陽極閾値電圧VTは、正の相関関係を有し、このような関係が下記の式(1)で表される。
ta=f(VT) ・・・(1)
【0050】
図4を参照すると、図4は、本願の実施例による可変周波数電源の電力効率と、入力電力と、入力電圧との関係を模式的に示す図である。図4に示すように、横座標は可変周波数電源の入力電力を示し、縦座標は可変周波数電源の電力効率を示す。同一の入力電圧に対して、可変周波数電源の電力効率と入力電力とは、正の相関関係になる。同一の入力電力に対して、可変周波数電源の電力効率と入力電圧とは、正の相関関係になる。
【0051】
総じて言えば、図4に示すように、可変周波数電源の電力効率EFFと、入力電力Pinと、入力電圧Vinとの関係は、下記の式(2)で表される。
EFF=f(Vin,Pin) ・・・(2)
【0052】
可変周波数電源は、設定された電力作動モードにおいて作動し、その実動作での入力電力Pinは既知であり、電力効率Effが知られると、下記の式(3)で出力電力Poを算出することができる。
Po=Pin*Eff ・・・(3)
【0053】
出力電力Poが算出されると、マグネトロンの陽極電流Itを採取することで、下記の式(4)に合わせて陽極電圧Ebmを算出することができる。
Ebm=Po/It ・・・(4)
【0054】
上述したように、内部コントローラ116は、第1電圧サンプリング回路117により可変周波数回路の第1出力電圧V0をサンプリングしてマグネトロン12の両端の陽極電圧Ebmを算出し、即ち、陽極電圧Ebmが既知である。一般的に、実際の応用においては、マグネトロン12の陽極電圧は一般的に1000Vよりも大きく、外部電圧検出機器によりマグネトロン12の陽極電圧Ebmを直接的に採取する採取コストが比較的に高いとともに、採取の難しさが大きい。これにより、本実施例は、可変周波数回路の第1出力電力を採取することにより、陽極電圧Ebmを間接的に推算するが、この手段は簡単で行いやすく、コストが節約される。
【0055】
内部コントローラ116は、可変周波数電源11の入力電力Pin及び入力電圧Vinを取得すると、可変周波数電源11の入力電力Pinと、入力電圧Vinと、電力効率EFFとの対応関係(図4に示す式(2)に合わせる)により、電力効率EFFが確定される。そして、内部コントローラ116は、式(3)により可変周波数電源11の出力電力Poを算出する。引き続き、内部コントローラ116は、下記の式で、
Ebm=VT+R*It
It=Po/Ebm
Po=Pin*Eff
Ebm=f(V0)
ただし、Rがマグネトロンの等価抵抗であり、R、Pin、Eff、V0及びf(V0)が既知であり、これにより、上記の式に合わせれば、陽極閾値電圧VTを算出することができる。
【0056】
最後に、内部コントローラ116は、式(1)に合わせて、マグネトロン12の陽極閾値電圧により、マグネトロン12の陽極温度を算出する。
【0057】
内部コントローラ116は、マグネトロン12の陽極温度により可変周波数電源11の出力電力Poを調節し、ここで、当該出力電力Poは、マグネトロン12の陽極温度が変更されるように、マグネトロン12の作動を駆動するためである。

【0058】
具体的に、内部コントローラ116は、マグネトロン12の陽極温度が所定の温度閾値よりも大きいか否かを判断し、大きい場合に、マグネトロン12の陽極温度が低減されるように、可変周波数電源11の出力電力Poを低減させる。小さい場合に、可変周波数電源11の作動を維持し、即ち、可変周波数電源11の元の出力電力Poを維持してもよく、マグネトロン12の陽極温度が所定の温度閾値よりも小さいことが確保される限り、可変周波数電源11の出力電力Poを向上させてもよい。ここでの所定の温度閾値は、ユーザにより業務上の要求に応じて自ら設置される。
【0059】
幾つかの実施例において、マグネトロン12の陽極温度が所定の温度閾値よりも大きく、内部コントローラ116が可変周波数電源11の出力電力Poを低減させている中に、内部コントローラ116は、可変周波数電源11の出力電力Poが所定の最小電力よりも大きいか否かを判断し、大きい場合に、可変周波数電源11の作動を維持しつつ、引き続きマグネトロン12の陽極温度を検出する。小さい場合に、可変周波数電源11が既にマグネトロン12の陽極温度に対する制御力を失ってしまうことを示し、この場合、可変周波数電源11が所定の最小電力に従って動作するようにしても、マグネトロン12の陽極温度は、やはり過昇になり、こうすると、内部コントローラ116は、マグネトロン12が温度過昇状態において作動しないように、可変周波数電源11の作動を止めなければならない。また、マイクロ波機器10中の冷却ユニット14が故障になり、例えば、冷却水ポンプ、ファンなどが故障になると、可変周波数電源11がその設定された最小電力に従って動作することを非常に引き起こしやすく、また、マグネトロン12も温度過昇になるので、この場合、可変周波数電源を切る対策をとる必要が大きい。
【0060】
総じて言えば、上述した各実施例は、「マグネトロンの陽極電圧によりマグネトロンの陽極温度を算出し、さらにマグネトロンの陽極温度により可変周波数電源の出力電力を調節する」という調節方式を述べたが、幾つかの実施例において、内部コントローラ116は、さらに、可変周波数電源11の出力電力がさらに調節されるように、マグネトロン12の陽極電圧により直接的に表を調べて可変周波数電源11の出力電力を確定してもよい。これにより、まず、内部コントローラ116は、所定の関連表を取得する。当該所定の関連表は、ユーザにより実際的経験に基づいて予め作成して得られるものであり、ここで、当該関連表には、マグネトロン12の陽極閾値電圧と可変周波数電源11の出力電力とのマッピング関係が予め記憶されている。そして、マグネトロン12の陽極温度を調節する時に、内部コントローラ116は、算出されたマグネトロンの陽極閾値電圧により、所定の関連表を走査し、所定の関連表からマグネトロン12の陽極閾値電圧に対応する可変周波数電源11の出力電力を調べる。最後に、内部コントローラ116は、調べられた出力電力になるように可変周波数電源11の現在の出力電力を調節することで、マグネトロン12の陽極温度の調節を完了させる。
【0061】
上述したように、本願の実施例は、マグネトロン12を精確に反映可能な陽極電圧を直接的に取得することで、マグネトロン12の陽極閾値電圧を間接的に取得し、さらに陽極温度を精確に確定するが、少なくとも下記の利点を有する。マグネトロン12のケースに設けられた温度センサーにより検出された温度パラメータに対して、マグネトロンの温度を直接的に検出することは、マグネトロン12のケースが鉄製のもので熱伝導性が悪いので、異なる冷却条件下で、ケースの温度がマグネトロン12の本当の陽極温度を実際に反映することができない。なお、コストが比較的に高い温度プローブを設けなければならないとともに、温度情報を処理するための対応する回路が必要であるため、このような手段は、コスト上において優位性がない。しかし、本願の実施例では、マグネトロン12を精確に反映可能な陽極電流を直接的に採取することで、マグネトロン12の陽極閾値電圧を間接的に取得し、さらにマグネトロン12の陽極温度を精確に確定することができ、精確かつ確実に可変周波数電源11の出力電力を調節することによりマグネトロン12の陽極温度が調節され、マグネトロン12の温度過昇による損害を回避することが確保される。


【0062】
幾つかの実施例において、上述したマグネトロンの両端に加えられた陽極閾値電圧を確定する方式の他に、マグネトロンの陽極閾値電圧と可変周波数電源の入力電力との対応関係により、陽極閾値電圧を確定してもよい。例えば、可変周波数電源の入力電力が所定の電力範囲に収められると、可変周波数電源の入力電力に対応する陽極電圧を陽極閾値電圧として確定する。当該所定の電力範囲は、製品の設計によって確定され、また、当該所定の電力範囲は、単一点の入力電力値、例えば、特定の時点の瞬時電力値であってもよい。
【0063】
可変周波数電源の出力電力を調節する場合に、上述した実施形態の他に、下記の実施形態により可変周波数電源の出力電力を調節してもよく、例えば、マグネトロンを流れた陽極電流を確定し、当該陽極電流により可変周波数電源の出力電力を調節してもよい。具体的に、図1bから分かるように、陽極電流がIaやIb、又は、IaやIbの近傍領域にある場合に、IaやIbに対応する陽極電圧は、陽極閾値電圧VTであり、又は、IaやIbの近傍領域にある陽極電流に対応する陽極電圧は、陽極閾値電圧VTに同等すると見積もることができる。それぞれのマグネトロンの陽極閾値電圧VTと陽極電流IaやIbとはマッピング関係を有するので、ユーザは、陽極閾値電圧VTと陽極電流IaやIbについてマッピング表を作成し、サンプリングされてきた陽極電流IaやIbによりマッピング表を調べることにより、陽極閾値電圧VTを確定することができる。
【0064】
また、例えば、可変周波数電源の入力電力を確定し、可変周波数電源の入力電力により可変周波数電源の出力電力を調節してもよい。具体的に、図1bと図4から分かるように、可変周波数電源の入力電力と陽極電流IaやIbとが関数関係を有し、かつ、それぞれのマグネトロンの陽極閾値電圧VTが陽極電流IaやIbとマッピング関係を有するので、ユーザは、陽極閾値電圧VTと入力電力についてマッピング表を作成し、入力電力によりマッピング表を調べることにより、陽極閾値電圧VTを確定することができる。
【0065】
さらにまた、例えば、マグネトロンの両端に加えられた陽極電圧を確定し、当該陽極電圧により可変周波数電源の出力電力を調節してもよい。具体的に、ユーザは、陽極閾値電圧VTと陽極電圧についてマッピング表を作成し、陽極電圧によりマッピング表を調べ、陽極閾値電圧VTを確定してもよい。
【0066】
とにかく、可変周波数電源の出力電力を調節する方式は様々があり、当業者は、本願の実施例に教えられたことにより、可変周波数電源の出力電力を調節するために作られた他の置換や変形が、本願の保護範囲に収めるべきであることを理解すべきであるが、ここに繰り返して説明しない。
【0067】
図5を参照すると、高圧整流フィルターユニット114は、第1ダイオードD1と、第2ダイオードD2と、第1コンデンサC1と、第2コンデンサC2とを備える。第1電圧サンプリング回路117は、第1抵抗R1と、第2抵抗R2とを備え、第1抵抗R1の一端が第1ノード116aに接続され、第1抵抗R1の他端と第2抵抗R2の一端がともに第2ノード116bに接続され、第2抵抗R2の他端が接地接続され、ここで、第2ノード116bから第1出力電圧V0が出力されて採取される。無論、V0=Ebm*R2/(R1+R2)である。これにより、V0を取得すれば、Ebmを算出することができる。
【0068】
幾つかの実施例において、サンプリングされた電圧の振幅と負荷持ち上げ力を向上させるために、図5aに示すように、可変周波数電源11は、さらに増幅回路118を備え、増幅回路118の入力端が第1電圧サンプリング回路117の第1出力端に接続され、増幅回路118の出力端が内部コントローラ116に接続されるという点において、図5に示す実施例とは異なる。増幅回路118は、第1出力電圧の電圧振幅と負荷持ち上げ力を向上させることができる演算増幅器であってもよい。
【0069】
図6に示すように、マイクロ波機器10は、さらに、可変周波数電源11に接続される外部コントローラ15を備えるという点において、上述した各実施例とは異なる。外部コントローラ15は、可変周波数電源11へ目標電力情報を送信し、可変周波数電源11中の電力変換ユニット112が所望のパルス幅変調信号(Pulse Width Modulation;PWM)又はパルス周波数変調信号(Pulse Frequency Modulation;PFM)又は両方の混合波に変換して、定格電力により作動するようにする。また、外部コントローラ15は、さらに、可変周波数電源11によりフィードバックされた種々の制御情報を受信することにより、可変周波数電源の出力電力を調節し、システム電力を柔軟に調節するとともに可変周波数電源11の動作状況を監視する目的を達成させる。
【0070】
上述した各実施例において、上記各実施例に記載されるマグネトロン温度を調節するための各制御論理は、ソフトウェアモジュールの形で存在してもよく、かつ、当該ソフトウェアモジュールは、コマンドの形で可変周波数電源11における内部コントローラ116に記憶されてもよく、また、外部コントローラ15に記憶されてもよいと理解される。
【0071】
こうすると、上述した各実施例と区別するために、本願の実施例の他の側面として、本願の実施例は、さらにマグネトロン温度調節システムを提供する。図7に示すように、当該マグネトロン温度調節システム20は、マグネトロン21と、可変周波数電源22と、第2電圧サンプリング回路23と、外部コントローラ24と、作動チャンバー25と、冷却ユニット26とを備える。可変周波数電源22は、マグネトロン21に接続され、マグネトロン21を駆動するためであり、第2電圧サンプリング回路23は、可変周波数電源22とマグネトロン21との間にカップリングされ、可変周波数電源22の第2出力電圧をサンプリングするためであり、第2出力電圧はマグネトロン21の両端に加えられた陽極電圧と対応関係を有し、マグネトロン21を流れた陽極電流をサンプリングするためである。外部コントローラ24は、それぞれ第2電圧サンプリング回路23の出力端及び可変周波数電源22に接続されている。
【0072】
本実施例において、内容が互いに衝突しない限り、マグネトロン21、可変周波数電源22、第2電圧サンプリング回路23、及び外部コントローラ24は、上記各実施例における記載を引用してよいが、ここに繰り返して説明しない。
【0073】
上述したように、図7に示すように、ここでの外部コントローラ24は、マグネトロン温度を調節するための各制御論理の幾つかのコマンドを記憶しており、可変周波数電源22の内部コントローラは、可変周波数電源22を正常に働かせる制御センターとなる。
【0074】
同様に、上述した各実施例における内部コントローラ116についての紹介は、いずれも外部コントローラ24に適用されるが、ここに繰り返して説明しない。
【0075】
図8に示すように、第2電圧サンプリング回路23は、第1巻線W1と、第3コンデンサC3と、第4コンデンサC4と、第3ダイオードD3と、第4ダイオードD4と、第3抵抗R3とを備え、ここで、第1巻線W1が可変周波数電源22における高圧整流フィルターユニットの二次側巻線W2及びW3と比例関係を有するという点において、図5図5aや図6に示す実施例とは異なっており、こうすると、第3抵抗R3の両端電圧V0(即ち、第2出力電圧)を取得することで、比例関係により、陽極電圧Ebmを算出することができる。
【0076】
図8aに示すように、第2出力電圧V0の電圧波形と陽極電圧Ebmの電圧波形とは、いずれも正弦波形である。図8aから分かるように、V0を取得すれば、Ebmを算出することができる。こうすると、上述した各実施例による式により、陽極閾値電圧を算出することができ、さらに陽極閾値電圧によりマグネトロンの温度を調節することができる。
【0077】
本実施例において、当該マグネトロン温度調節システム20は、何れのタイプのマイクロ波機器にも適用することができる。
【0078】
上述した各実施例において、内部コントローラ又は外部コントローラは、コントローラとして、汎用のプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、シングルチップマイクロコンピュータ、ARM(Acorn RISC Machine)やその他のプログラム可能論理回路、個別ゲート又はトランジスタ論理、個別のハードウェア部品、又はこれらの何れかの組合せであってもよい。また、コントローラは、さらに、何れかの従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラや状態機械であってもよい。コントローラは、計算機器の組合せ、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、1つ又は複数のマイクロプロセッサとDSPコアの結合、又は何れかの他のこのような配置として実現されてもよい。
【0079】
本願の実施例のさらに他の側面として、本願の実施例は、コントローラを提供する。図9を参照すると、図9は、本願の実施例によるコントローラの構造を模式的に示す図である。図9に示すように、コントローラ30(内部コントローラ又は外部コントローラ)は、少なくとも1つのプロセッサ31と、前記少なくとも1つのプロセッサ31に通信接続されるメモリ32とを備え、ここで、図9には、1つのプロセッサ31を例とする。プロセッサ31及びメモリ32は、バス又はその他の方式により接続され、図9には、バスによる接続を例とする。
【0080】
ここで、メモリ32は、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行可能なコマンドを記憶しており、前記コマンドは、前記少なくとも1つのプロセッサ31が上述したマグネトロン温度調節の制御論理の実行に用いられることができるように、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行される。
【0081】
これにより、コントローラ30は、適時に可変周波数電源の出力電力を調節することによりマグネトロンの陽極温度を調節し、マグネトロンの温度過昇による損害を回避することを確保することができる。
【0082】
本願の実施例の他の側面として、本願の実施例は、マグネトロン温度調節装置を提供する。当該マグネトロン温度調節装置は、ソフトウェアシステムとして、図2及び図6に示す可変周波数電源11における内部コントローラ116内に記憶されてもよく、図7に示す外部コントローラ内に記憶されてもよい。当該マグネトロン温度調節装置は、メモリに記憶された幾つかのコマンドを含み、プロセッサは、上記マグネトロン温度調節の制御論理を完成させるために、当該メモリにアクセスし、コマンドを呼び出して実行することができる。
【0083】
図10に示すように、当該マグネトロン温度調節装置40は、確定モジュール41と、調節モジュール42とを備える。
【0084】
確定モジュール41は、マグネトロンを流れた陽極電流、又は、可変周波数電源の入力電力、又は、マグネトロンの両端に加えられた陽極電圧を確定し、可変周波数電源の入力電力又は出力電力用于マグネトロンの作動を駆動するものである。
【0085】
調節モジュール42は、陽極電流又は入力電力又は陽極電圧により、可変周波数電源の出力電力を調節するものである。
【0086】
これにより、可変周波数電源の出力電力を適時に調節することにより、マグネトロンの陽極温度を調節し、マグネトロン温度過昇による損害を回避することができる。
【0087】
幾つかの実施例において、図10aに示すように、当該調節モジュール42は、確定ユニット421と、計算ユニット422と、調節ユニット423とを備える。
【0088】
確定ユニット421は、マグネトロンの両端に加えられた陽極電圧、マグネトロンの等価抵抗、及び可変周波数電源の出力電力を確定するものであり、計算ユニット422は、マグネトロンの陽極電圧、マグネトロン等価抵抗、及び可変周波数電源の出力電力により、マグネトロンの陽極閾値電圧を算出するものであり、調節ユニット423は、マグネトロンの陽極閾値電圧により可変周波数電源の出力電力を調節するものである。
【0089】
当該マグネトロン温度調節装置40は、適時に可変周波数電源の出力電力を調節することによりマグネトロンの陽極温度を調節し、マグネトロンの温度過昇による損害を回避することができる。
【0090】
幾つかの実施例において、図11に示すように、確定ユニット421は、第1取得サブユニット4211と、第1計算サブユニット4212とを備える。
【0091】
第1取得サブユニット4211は、可変周波数電源の入力電力及び入力電圧を取得するものであり、第1計算サブユニット4212は、可変周波数電源の入力電力と、入力電圧と、電力効率との対応関係により、可変周波数電源の出力電力を算出するものである。
【0092】
幾つかの実施例において、図12に示すように、調節ユニット423は、第2算出サブユニット4231と、第1調節サブユニット4232とを備える。
【0093】
第2算出サブユニット4231は、マグネトロンの陽極閾値電圧により、マグネトロンの陽極温度を算出するものであり、第1調節サブユニット4232は、マグネトロンの陽極温度により可変周波数電源の出力電力を調節するものである。
【0094】
図13に示すように、当該調節ユニット423は、第2取得サブユニット4233と、調べサブユニット4234と、第2調節サブユニット4235とを備えるという点において、図12に示す実施例とは異なる。
【0095】
第2取得サブユニット4233は、マグネトロンの陽極閾値電圧と可変周波数電源の出力電力とのマッピング関係を記憶している所定の関連表を取得するものであり、調べサブユニット4234は、所定の関連表からマグネトロンの陽極閾値電圧に対応する可変周波数電源の出力電力を調べるものであり、第2調節サブユニット4235は、調べられた出力電力になるように可変周波数電源の出力電力を調節するものである。
【0096】
幾つかの実施例において、図14に示すように、第1調節サブユニット4232は、判断サブユニット42321と、低減サブユニット42322と、維持サブユニット42323とを備える。
【0097】
判断サブユニット42321は、マグネトロンの陽極温度が所定の温度閾値よりも大きいか否かを判断するものであり、低減サブユニット42322は、大きい場合に、可変周波数電源の出力電力を低減させるものであり、維持サブユニット42323は、小さい場合に、可変周波数電源の作動を維持するものである。
【0098】
幾つかの実施例において、低減サブユニット42322は、具体的に、可変周波数電源の出力電力を確定し、可変周波数電源の出力電力が所定の最小電力よりも大きいか否かを判断し、大きい場合に、可変周波数電源の作動を維持し、小さい場合に、可変周波数電源の作動を止めることに用いられる。
【0099】
装置の実施例と上述した各実施例は、同一の構想に基づくものであるので、内容が互いに衝突しない限り、装置の実施例の内容は上述した各実施例のものを引用してよいが、ここに繰り返して説明しない。
【0100】
本願の実施例の他の側面として、本願の実施例は、マグネトロン温度調節方法を提供する。本願の実施例に係るマグネトロン温度調節方法の機能は、上記図10から図14に示すマグネトロン温度調節装置のソフトウェアシステムにより実行される他に、ハードウェアプラットフォームにより実行されてもよい。例えば、マグネトロン温度調節方法は、適当なタイプの演算能力を有するプロセッサの電子機器、例えば、シングルチップマイクロコンピュータ、デジタルプロセッサ(Digital Signal Processing、DSP)、プログラム可能論理コントローラ(Programmable Logic Controller、PLC)などで実行されてもよい。
【0101】
下記の各実施例に係るマグネトロン温度調節方法の対応する機能は、コマンドの形で電子機器のメモリに記憶されており、下記の各実施例のマグネトロン温度調節方法の対応する機能を実行しようとする場合に、電子機器のプロセッサは、メモリにアクセスし、対応するコマンドを呼び出して実行することで、下記の各実施例のマグネトロン温度調節方法の対応する機能を実現する。
【0102】
メモリは、不揮発性のコンピュータに読み込み可能な記憶媒体として、不揮発性ソフトウェアプログラム、不揮発性のコンピュータにより実行可能なプログラムやモジュール、例えば、上記の実施例におけるマグネトロン温度調節装置40の対応するプログラムコマンド/モジュール(例えば、図10から図14に示す各モジュールやユニット)、又は、下記の実施例のマグネトロン温度調節方法の対応する工程を記憶することに用いられる。プロセッサは、メモリに記憶されている不揮発性ソフトウェアプログラム、コマンドやモジュールを作動させることにより、マグネトロン温度調節装置40の種々の機能応用及びデータ処理を実行し、即ち、下記の実施例に係るマグネトロン温度調節装置40の各モジュールとユニットの機能や、下記の実施例に係るマグネトロン温度調節方法の対応する工程の機能を実現する。
【0103】
メモリは、高速ランダムアクセスメモリを備えてもよく、さらに、例えば、少なくとも1つのディスクメモリ、フラッシュメモリや、その他の不揮発性固体メモリといった不揮発性メモリを備えてもよい。幾つかの実施例において、メモリは、プロセッサに対して遠隔に設けられるメモリを選択的に備えてもよく、これらの遠隔メモリは、ネットワークを介してプロセッサに接続されることができる。上述したネットワークの実例は、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク、移動通信ネットワークやそれらの組合せを含むが、これらに限らない。
【0104】
前記プログラムコマンド/モジュールは、前記メモリに記憶されており、前記1つ又は複数のプロセッサにより実行されると、上記の何れかの方法の実施例におけるマグネトロン温度調節方法を実行し、例えば、下記の実施例に記載される図15から図20に示す各工程を実行するが、図10から図14に示す各モジュールとユニットの機能を実現してもよい。
【0105】
図15に示すように、当該マグネトロン温度調節方法50は、
マグネトロンを流れた陽極電流、又は、可変周波数電源の入力電力、又は、マグネトロンの両端に加えられた陽極電圧を確定し、可変周波数電源の入力電力又は出力電力が、マグネトロンの作動を駆動するためである工程51と、
陽極電流又は入力電力又は陽極電圧により、可変周波数電源の出力電力を調節する工程52と
を含む。
【0106】
工程51において、マグネトロンの両端に加えられた陽極電圧を確定する中に、可変周波数電源の入力電力が所定の電力範囲に収められると、可変周波数電源の入力電力に対応する陽極電圧を陽極閾値電圧として確定してもよい。
【0107】
当該方法によれば、可変周波数電源の出力電力を適時に調節することにより、マグネトロンの陽極温度を調節し、マグネトロン温度過昇による損害を回避することができる。
【0108】
幾つかの実施例において、図15aに示すように、工程52は、
マグネトロンの両端に加えられた陽極電圧、マグネトロンの等価抵抗、及び可変周波数電源の出力電力を確定する工程521と、
マグネトロンの陽極電圧、マグネトロン等価抵抗、及び可変周波数電源の出力電力により、マグネトロンの陽極閾値電圧を算出する工程522と、
マグネトロンの陽極閾値電圧により可変周波数電源の出力電力を調節する工程523と
を含む。
【0109】
幾つかの実施例において、図16に示すように、工程521は、
可変周波数電源の入力電力と入力電圧を取得する工程5211と、
可変周波数電源の入力電力と、入力電圧と、電力効率との対応関係により、可変周波数電源の出力電力を算出する工程5212と
を含む。
【0110】
幾つかの実施例において、図17に示すように、工程523は、
マグネトロンの陽極閾値電圧により、マグネトロンの陽極温度を算出する工程5231と、
マグネトロンの陽極温度により可変周波数電源の出力電力を調節する工程5233と
を含む。
【0111】
図17に示す実施例とは異なる点として、図18に示すように、工程523は、
マグネトロンの陽極閾値電圧と可変周波数電源の出力電力とのマッピング関係を記憶している所定の関連表を取得する工程5232と、
所定の関連表からマグネトロンの陽極閾値電圧に対応する可変周波数電源の出力電力を調べる工程5234と、
調べられた出力電力になるように、可変周波数電源の出力電力を調節する工程5236と
を含む。
【0112】
幾つかの実施例において、図19に示すように、工程5233は、
マグネトロンの陽極温度が所定の温度閾値よりも大きいか否かを判断する工程52331と、
大きい場合に、可変周波数電源の出力電力を低減させる工程52332と、
小さい場合に、可変周波数電源の作動を維持する工程52333と
を含む。
【0113】
幾つかの実施例において、図20に示すように、工程52332は、
可変周波数電源の出力電力を確定する工程523321と、
可変周波数電源の出力電力が所定の最小電力よりも大きいか否かを判断する工程523322と、
大きい場合に、可変周波数電源の作動を維持する工程523323と、
小さい場合に、可変周波数電源の作動を止める工程523324と
を含む。
【0114】
装置の実施例と方法の実施例は、同一の構想に基づくものであるので、内容が互いに衝突しない限り、方法の実施例の内容は、装置の実施例のものを引用してよいが、ここに繰り返して説明しない。
【0115】
本願の実施例のさらに他の側面として、本願の実施例は、コンピュータにより実行可能なコマンドを記憶している非一時的なコンピュータに読み込み可能な記憶媒体を提供し、前記コンピュータにより実行可能なコマンドは、マイクロ波機器に上述したような何れか1項に記載のマグネトロン温度調節方法を実行させ、例えば、上述した何れかの方法の実施例におけるマグネトロン温度調節方法を実行させ、例えば、上述した何れかの装置の実施例におけるマグネトロン温度調節装置を実行させるためである。
【0116】
当該方法によれば、可変周波数電源の出力電力を適時に調節することにより、マグネトロンの陽極温度を調節し、マグネトロン温度過昇による損害を回避することができる。
【0117】
最後に説明すべきこととして、上記の実施例は、本願の技術的手段を説明するものに過ぎず、それを制限するものではなく、本願の見解では、上記の実施例又は異なる実施例における技術的特徴同士は組み合わせてもよく、工程は何れの順番で実現されてもよく、また、上述したような本願の異なる側面における多くの他の変更があるが、簡単化するために、詳細に記載されていない。前記の実施例を参照して本願を詳しく説明したが、当業者は、やはり前記各実施例に記載された技術的手段を修正したり、その一部の技術的特徴を等価置換したりすることができ、これらの修正や置換によっても、対応する技術的手段が実質的に本願の各実施例の技術的手段の範囲から逸脱しないことを理解すべきである。
図1
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図5a
図6
図7
図8
図8a
図9
図10
図10a
図11
図12
図13
図14
図15
図15a
図16
図17
図18
図19
図20