(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6987993
(24)【登録日】2021年12月3日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】インクレチン類似体およびその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 14/575 20060101AFI20211220BHJP
A61K 38/26 20060101ALI20211220BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20211220BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20211220BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20211220BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20211220BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
C07K14/575ZNA
A61K38/26
A61P1/16
A61P3/04
A61P3/06
A61P3/10
A61P29/00
【請求項の数】18
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-532952(P2020-532952)
(86)(22)【出願日】2018年12月14日
(65)【公表番号】特表2021-506825(P2021-506825A)
(43)【公表日】2021年2月22日
(86)【国際出願番号】US2018065605
(87)【国際公開番号】WO2019125929
(87)【国際公開日】20190627
【審査請求日】2020年6月15日
(31)【優先権主張番号】62/608,644
(32)【優先日】2017年12月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100196966
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】アルシナ−フェルナンデス,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】コスクン,テイマー
(72)【発明者】
【氏名】グォ,リリ
(72)【発明者】
【氏名】ク,ホンチャン
【審査官】
馬場 亮人
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/067716(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 14/575
A61K 38/26
A61P 3/10
A61P 3/06
A61P 3/04
A61P 1/16
A61P 29/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
YX2X3GTX6TSDYSIX13LDKX17AQX20AFIEYLLEGGPSSGAPPPSを含むインクレチン類似体またはその医薬的に許容可能な塩であって、
式中、
X2はAibであり、
X3はQまたはHであり、
X6はαMeFまたはαMeF(2F)であり、
X13はLまたはαMeLであり、
X17は結合に使用できる官能基をもった任意のアミノ酸であり、および前記官能基はC16−C22脂肪酸に結合し、
X20はAib、QまたはHであり、
(配列番号5)、およびC末端アミノ酸は場合によってはアミド化され、
X17は、次の構造:
(2−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチル)a−(γGlu)b−CO−(CH2)c−CO2H、[式中、aは、0、1または2であり、bは1または2であり、およびcは16〜18の整数である]をもつK側鎖のε-アミノ基への結合を介して化学的に修飾されるKである、
インクレチン類似体またはその医薬的に許容可能な塩。
【請求項2】
aは1である、請求項1に記載のインクレチン類似体。
【請求項3】
aは2である、請求項1に記載のインクレチン類似体。
【請求項4】
bは1である、請求項2または3に記載のインクレチン類似体。
【請求項5】
bは2である、請求項2または3に記載のインクレチン類似体。
【請求項6】
cは18である、請求項2〜5のいずれか1項に記載のインクレチン類似体。
【請求項7】
X13はαMeLである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクレチン類似体。
【請求項8】
X13はLである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクレチン類似体。
【請求項9】
X3はQである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクレチン類似体。
【請求項10】
X3はHである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクレチン類似体。
【請求項11】
X6はαMeFである、請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクレチン類似体。
【請求項12】
X6はαMeF(2F)である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクレチン類似体。
【請求項13】
配列番号5〜11からなる群から選択される式を有するインクレチン類似体。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のインクレチン類似体、および
医薬的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項15】
糖尿病、脂質異常症、脂肪肝疾患、メタボリック症候群、非アルコール性脂肪性肝炎および肥満からなる群から選択される病気の治療における使用のための、請求項1〜13のいずれか1項に記載のインクレチン類似体を含む組成物。
【請求項16】
2型糖尿病の治療における使用のための、請求項1〜13のいずれか1項に記載のインクレチン類似体を含む組成物。
【請求項17】
糖尿病、脂質異常症、脂肪肝疾患、メタボリック症候群、非アルコール性脂肪性肝炎および肥満からなる群から選択される病気の治療のための薬剤の製造における請求項1〜13のいずれか1項に記載のインクレチン類似体の使用。
【請求項18】
2型糖尿病の治療のための薬剤の製造における請求項1〜13のいずれか1項に記載のインクレチン類似体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、グルコース依存性インスリン分泌性ポリペプチド(GIP)、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)およびグルカゴン受容体のそれぞれで活性をもつインクレチン類似体に関する。本明細書に記載したインクレチン類似体は、これらの各受容体で平均した活性を供給し、および持続性作用をもつ構造的特徴を有し得る。そのようなインクレチン類似体は、2型糖尿病(T2DM)、脂質異常症、メタボリック症候群、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および/または肥満のような障害の治療に有用であり得る。
【0002】
過去数十年間にわたって糖尿病の有病率は上昇し続けている。T2DMは、全糖尿病の約90%に相当する糖尿病の最も一般的な形態である。T2DMは、インスリン抵抗性に起因する高血糖値によって特徴付けられる。現状のT2DMの標準治療としては、食事と運動、ならびに経口薬およびGLP−1受容体アゴニストのようなインクレチンベースの治療を含む注射用血糖降下薬による治療が挙げられる。
【背景技術】
【0003】
GLP−1は36−アミノ酸ペプチドであり、その主要な生理活性を有する断片は、グルコース依存性インスリン分泌を刺激し、および糖尿病患者における高血糖を予防する30−アミノ酸、C−末端アミド化ペプチド(GLP−1
7−36;配列番号2)として作られる。現在、デュラグルチド、エキセナチドおよびリラグルチドを含む様々なGLP−1類似体がT2DMの治療に使用できる。しかしながら、現在市販されている多くのGLP−1受容体アゴニストは、嘔気嘔吐などの胃腸の副作用によって用量が制限されている。経口薬およびインクレチンベース療法による治療が不十分な場合にインスリンによる治療が考慮される。利用可能な治療選択肢にかかわらず、承認された治療を受ける有意な個体数が糖コントロール目標に達していない(例えば、Casagrandeら(2013)Diabetes Care 36:2271−2279を参照)。
【0004】
非管理下の糖尿病は、そのような個体の疾病率および死亡率に影響を及ぼす1つ以上の状態をもたらし得る。T2DMの主なリスク因子の1つは肥満であり、T2DMをもつ大部分の個体(約90%)が肥満気味か肥満である。体脂肪の減少は高血糖および心血管系イベントを含む肥満関連合併症の改善をもたらすことは裏付けのある事実である。したがって、グルコース調節および減量に有効な治療は、より良い疾病管理に必要である。
【0005】
それらを考慮して、研究されている新しい治療には、GLP−1受容体での活性だけでなく、GIPおよび/またはグルカゴン受容体などの1つ以上の他の受容体でも活性をもつ化合物が含まれる。事実、特定の化合物は、三重アゴニスト活性(すなわち、グルカゴン、GLP−1およびGIP受容体のそれぞれで活性)をもつと記載されている。例えば、国際特許出願公開番号WO2015/067716は、三重アゴニスト活性を有するグルカゴン類似体を記載する。同様に、国際特許出願番号WO2016/198624は、三重アゴニスト活性を有している、それ自体がGLP−1類似体であるエクセンディン−4の類似体を記載する。同様に、国際特許出願番号WO2014/049610およびWO2017/116204は、それぞれ三重アゴニスト活性をもつ様々な類似体を記載する。さらに、国際特許出願番号WO2017/153375は、GIP活性も有ると表明しているグルカゴンおよびGLP−1のコアゴニストを記載する。
【0006】
それにもかかわらず、減量の利点と良好な副作用プロファイルを伴う効果的なグルコース調節を供給できる、特にT2DMの治療法の必要性は依然として存在する。1日1回、週3回、週2回または週1回ほどの低い頻度で投与することを許容するために十分な作用延長期間での使用に利用できる治療薬も必要である。
【0007】
本明細書に記載したインクレチン類似体は上記の必要性を満たすことを目指す。したがって、本開示はGIP、GLP−1およびグルカゴン受容体のそれぞれで活性をもったインクレチン類似体を記載する。有利には、本明細書に記載したインクレチン類似体は、各受容体で有意な活性を供給する用量の投与を考慮した平均した活性を有し、過剰な活性と関連する望ましくない副作用を回避しながら受容体作動性の利点を提供する。さらに、本明細書に記載したインクレチン類似体は、1日1回、週3回、週2回または週1回ほどの低い頻度で投与することを許容するGIP、GLP−1およびグルカゴン受容体のそれぞれで作用延長期間を有する。このように、インクレチン類似体は強化されたグルコース調節、体重低下および/または改善された身体組成などの代謝的利点、プロタンパク転換酵素サブチリシン/ケキシンタイプ9(PCSK9)の低下などの脂質利点、および/または骨量もしくは骨形成の増加または骨吸収の減少などの他の利点をもたらす。本開示はまた、肥満、NAFLD、NASH、脂質異常症、および/または代謝障害を含む他の障害または状態のための有効な治療法を記載する。
【発明の概要】
【0008】
一実施形態において、式:YX
2X
3GTX
6TSDYSIX
13LDKX
17AQX
20AFIEYLLEGGPSSGAPPPS[式中、X
2はAibであり、X
3はQまたはHであり、X
6はαMeFまたはαMeF(2F)であり、X
13はLまたはαMeLであり、X
17は結合に使用できる官能基をもった任意のアミノ酸であり、この場合、官能基はC
16−C
22脂肪酸に結合し、X
20はAib、QまたはH(配列番号5)であり、およびC末端アミノ酸が場合によってアミド化されている]を含むインクレチン類似体、またはその医薬的に許容可能な塩が提供される。
【0009】
別の実施形態では、脂質異常症、脂肪肝疾患、メタボリック症候群、NASH、肥満およびT2DMなどの病気を治療する方法を提供する。そのような方法は、本明細書に記載した有効量のインクレチン類似体を、それを必要とする個体に投与する少なくとも1工程を含む場合がある。いくつかの例では、病気は脂肪肝疾患、肥満、NASHまたはT2DMである。
【0010】
別の実施形態では、本明細書に記載したインクレチン類似体は治療用に提供される。例えば、本明細書に記載したインクレチン類似体は、脂質異常症、脂肪肝疾患、メタボリック症候群、NASH、肥満およびT2DMなどの病気の治療で使用するために提供される。いくつかの例では、病気は脂肪肝疾患、肥満、NASHまたはT2DMである。
【0011】
別の実施形態では、本明細書に記載したインクレチン類似体は、脂質異常症、脂肪肝疾患、メタボリック症候群、NASH、肥満およびT2DMの治療薬の製造用に提供される。いくつかの例では、病気は脂肪肝疾患、肥満、NASHまたはT2DMである。
【0012】
別の実施形態では、本明細書に記載したインクレチン類似体および医薬的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
【0013】
特に断りがない限り、本明細書で使用される技術および科学用語の全ては、本開示が属する当業者によって一般に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書に記載したものと類似または均等なあらゆる方法および材料は、インクレチン類似体、医薬組成物、および方法の実施または試験で使用し得るが、好ましい方法および材料は本明細書に記載される。
【0014】
さらに、不定冠詞「a」または「an」による要素への言及は、文脈が明らかに唯一の要素であることが必要であることを明確にしない限り、1以上の要素が存在する可能性は排除されない。したがって、不定冠詞「a」または「an」は「少なくとも1つ」を意味する。
【0015】
GIPは、42−アミノ酸ペプチド(配列番号4)であり、かつインクレチンであり、グルコース存在下で膵臓ベータ細胞からインスリン分泌を刺激することによってグルコース恒常性に生理的役割を果たす。
【0016】
GLP−1は、36−アミノ酸ペプチド(配列番号2)であり、かつインクレチンでもあり、グルコース依存性インスリン分泌を刺激し、糖尿病患者における高血糖を予防することが示されている。
【0017】
グルカゴンは、肝細胞上のグルカゴン受容体に結合し、そしてグルカゴン受容体を活性化することにより、グリコゲノリシスと称されているプロセスを介して、肝臓にグリコーゲンの形態に貯蔵されたグルコースを放出させて血糖を維持するのに役立つ29−アミノ酸ペプチド(配列番号1)である。
【0018】
オキシントモジュリン(OXM)は、29−アミノ酸配列のグルカゴンだけでなく、グルカゴンおよびGLP−1受容体の両方を活性化するオクタペプチドカルボキシ末端延長(配列番号3)も含む37−アミノ酸ペプチドであり、GLP−1受容体と比較してグルカゴン受容体に対する効力が僅かに大きい。
【0019】
T2DMに加えて、GIP、GLP−1および/またはグルカゴン受容体の1つ以上で活性をもつインクレチンおよびその類似体は、例えば、肥満、NAFLDおよびNASH、脂質異常症、メタボリック症候群、骨関連障害、アルツハイマー病およびパーキンソン病を含む多数の他の状態、疾患または障害に治癒的価値の潜在性を有していると記載されている。例えば、Jallら(2017)Mol.Metab.6:440−446;Carboneら(2016)J.Gastroenterol.Hepatol.31:23−31;Finanら(2016)Trends Mol.Med.22:359−376;Choiら(2017)Potent body wheight loss and efficacy in a NASH animal model by a novel long−acting GLP−1/Glucagon/GIP triple−agonist(HM15211)、ADA Poster 1139−P;Ding(2008)J.Bone Miner.Res.23:536−543;Taiら(2018)Brain Res.1678:64−74;Mullerら(2017)Physiol.Rev.97:721−766;Finanら(2013)Sci.Transl.Med.5:209、Holscher(2014)Biochem.Soc.Trans.42:593−600を参照されたい。
【0020】
本明細書で使用するとき、「約」は、例えば、規定した濃度、長さ、分子量、pH、配列同一性、期間、温度または体積などの1つもしくは複数の値の統計的に有意な範囲内を意味する。そのような1つの値または範囲は、典型的には20%以内、より典型的には10%以内、およびさらに典型的には5%以内の桁内にあり得る。「約」によって包含される許容偏差は、研究下の特定の系に依存するであろうし、および当業者によって容易に理解され得る。
【0021】
本明細書で使用するとき、およびGIP、GLP−1またはグルカゴン受容体の1つ以上に関して、「活性」、「活性化する」、「活性化している」などは、本明細書に記載したインクレチン類似体のような化合物が受容体に結合し、受容体で応答を誘導する能力を意味し、これは下記のインビトロアッセイなどの当該技術分野で公知のアッセイを用いて測定される。
【0022】
本明細書で使用するとき、「結合に利用できる官能基をもったアミノ酸」は、例えばリンカーの手段によって脂肪酸に結合し得る官能基をもった任意の天然または非天然アミノ酸を意味する。そのような官能基の例としては、これらに限定されないが、アルキニル、アルケニル、アミノ、アジド、ブロモ、カルボキシル、クロロ、ヨードおよびチオール基が挙げられる。そのような官能基を含む天然アミノ酸の例は、K(アミノ)、C(チオール)、E(カルボキシル)およびD(カルボキシル)を含む。
【0023】
本明細書で使用するとき、「C
16−C
22脂肪酸」は、16〜22の炭素原子をもつカルボン酸を意味する。本明細書に記載した使用に好適なC
16−C
22脂肪酸は飽和一酸または飽和二酸であり得る。本明細書で使用するとき、「飽和」は、脂肪酸が炭素−炭素二重結合または三重結合を含まないことを意味する。
【0024】
本明細書で使用するとき、「有効量」は、本明細書に記載の1以上のインクレチン類似体またはその医薬的に許容可能な塩を必要とする個体に単回または反復投与すると、例えば診断または治療下の個体に所望の効果を提供する、その量、濃度または用量を意味する。有効量は、当業者が公知技術を使用することにより、および類似環境で得られた結果を観察することにより容易に決定することができる。個体の有効量の決定において、哺乳動物の種;そのサイズ、年齢および一般的な健康状態;発症している具体的な疾患または障害;疾患または障害の程度もしくは病変もしくは重症度;個々の患者の応答;投与された特定のインクレチン類似体;投与方法;投与した製剤の生体内利用特性;選択した用法;併用薬の使用およびその他の関連環境を含む、これらに限定されない多くの因子が考慮される。
【0025】
本明細書で使用するとき、「作用延長期間」は、インクレチン類似体の結合親和性および活性が天然のヒトGIP、GLP−1およびグルカゴンペプチドより長期間続くことを意味し、少なくとも1日1回、またはさらに週3回、週2回もしくは週1回ほどの低い頻度で投与することを許容する。インクレチン類似体の時間作用プロファイルは、公知の薬物動態試験法、例えば以下の例で利用した試験法を用いて測定し得る。
【0026】
本明細書で使用するとき、「インクレチン類似体」は、個々のGIP、GLP−1およびグルカゴン、特にヒトGIP(配列番号4)、GLP−1(配列番号2)およびグルカゴン(配列番号1)と構造類似性を有するが複数の差異を有する化合物を意味する。本明細書に記載したインクレチン類似体は、GIP、GLP−1およびグルカゴン受容体のそれぞれで親和性と活性(すなわち、三重アゴニスト活性)を有する化合物が得られるアミノ酸配列を含む。
【0027】
本明細書で使用するとき、「それを必要とする個体」は、例えば、本明細書に掲げたものを含む処置または治療を必要とする状態、疾患、障害を有するヒトなどの哺乳類を意味する。
【0028】
本明細書で使用するとき、「治療する」、「治療している」「治療するため」などは、状態、疾患、障害または兆候の進行または重度を制限、遅延、停止または逆転させることを意味する。
【0029】
本明細書で使用するとき、およびインクレチン類似体に関して、「三重アゴニスト活性」は、GIP、GLP−1およびグルカゴン受容体のそれぞれで活性をもつインクレチン類似体、特に、各受容体において平均した有意な活性を有し、過剰な活性と関連する望ましくない副作用を回避しながらその受容体の作動の利点を供給する類似体を意味する。さらに、三重アゴニスト活性をもつインクレチン類似体はGIP、GLP−1およびグルカゴン受容体のそれぞれで長時間作用が持続し、これは、有利には1日1回、週3回、週2回または週1回ほどの低い頻度で投与することを可能にする。
【0030】
本明細書で使用するとき、「治療する」、「治療するため」などは、状態、疾患、障害または兆候の進行または重度を制限、遅延、停止または逆進させることを意味する。
【0031】
本明細書で使用するとき、およびインクレチン類似体に関して、「三重アゴニスト活性」は、グルカゴン、GIPおよびGLP−1受容体のそれぞれで活性をもったインクレチン類似体、特に、各受容体において平均した有意な活性をもち、過剰な活性と関連する望ましくない副作用を回避しながら受容体のアゴニストの利点を提供する類似体を意味する。さらに、三重アゴニスト活性をもつインクレチン類似体は、グルカゴン、GIPおよびGLP−1受容体のそれぞれで作用延長期間を有し、これは、1日1回、週3回、週2回または週1回ほどの低い頻度で投与することを許容する。
【0032】
本明細書に記載したインクレチン類似体の構造的特徴は、GIP、GLP−1およびグルカゴン受容体のそれぞれで有意な活性を有し、各受容体において好ましい活性効果(すなわち、三重アゴニスト活性)を与えるが、3つ全ての受容体に活性をもたらす有意な用量で投与する場合、2つの受容体のどちらかの活性を圧倒し、または望ましくない副作用をもたらすほど任意の1つの受容体に過剰な活性を生じない類似体が得られる。特定の実施形態における、および配列番号5に関して、そのような構造的特徴の非限定的な例としては、最適なグルカゴン活性に寄与することが分った6位のαMeFまたはαMeF(2F)、最適なグルカゴンおよびGIP活性に寄与することが分った13位のLまたはαMeL;最適なGIP活性に寄与することが分った20位のAib;最適なグルカゴン活性に寄与することが分った17位のアシル化;ならびに最適なグルカゴンおよび/またはGIP活性に寄与することが分った25位のYが挙げられる。そのような構造的特徴の他の例としては、3つ全ての受容体における最適結合および効力に寄与することが分った22、24および28−39位の本明細書に記載したアミノ酸が挙げられる。
【0033】
本明細書に記載したインクレチン類似体の構造的特徴はまた、水溶液中の類似体の溶解性の改良、物理化学的な製剤安定性の改良、薬物動態プロファイルの拡張、および免疫原性の潜在力の最小化を含む、治療法としての発展性と関連する他の多くの利益的属性をもつ類似体をもたらす。そのような属性をもたらす特定の構造的特徴の非限定的な例としては、最適な薬物動態(PK)プロファイルおよび発展性に寄与するC
20脂肪酸をもつ17位のアシル化;最適PKプロファイルおよび発展性に寄与する20位のAibまたはH;および最適PK、免疫原性、発展性および安定性に寄与する22、24および28−39位の本明細書に記載したアミノ酸が挙げられる。
【0034】
前述の構造的特徴リストは例示的であって包括的ではないこと、および本明細書に記載した例示的類似体の利益的特徴の組み合わせは、単独では少しの改良結果もないが、本明細書に記載した構造的特徴の新規な組み合わせによって達成されることに注目する必要がある。加えて、前述の改良リストの上述の効果は排他的ではなく、これらの修飾の多くが下記のように、本明細書に記載した化合物の特性に重要な他の効果も有している。
【0035】
本明細書に記載したインクレチン類似体のアミノ酸配列は、標準の1文字コードを用いて本明細書で一般的に示した天然アミノ酸(例えば、L=ロイシン)、ならびに天然アミノ酸のα−メチル置換残基(例えば、α−メチルロイシン(αMeL)、α−メチルリシン(αMeK)、α−メチルフェニルアラニン(αMeF)、およびα−メチル2−フルオロフェニルアラニン(αMeF(2F))、および特定の他の非天然アミノ酸、例えばα−アミノイソ酪酸(Aib)を組み込んでいる。これらのアミノ酸の構造は以下に示す。
【化1】
【0036】
上記したように、本明細書に記載したインクレチン類似体は天然ヒトペプチドの一部と構造類似性をもつが、多くの構造的差異がある。例えば、天然のヒトGIP(配列番号4)と比較すると、本明細書に記載したインクレチン類似体は2、3、6、7、13、14、17、18〜21、23〜25、28〜29および30〜42位の1つ以上で修飾を含む。いくつかの例では、本明細書に記載したインクレチン類似体は、2、3、6、7、13、14、17、18、21、23〜25、29および30〜42各位に天然のヒトGIP(配列番号4)アミノ酸について修飾を含む。特定の例では、本明細書に記載したインクレチン類似体は次のアミノ酸修飾:すなわち、2位のAib;3位のQまたはH、6位のαMeFまたはαMeF(2F)、7位のT;13位のLまたはαMeL;14位のL;C
16〜C
22脂肪酸をもつK側鎖のε−アミノ基への共役を介して、場合によってはリンカーの使用を介して修飾される17位の修飾K残渣;18位のA;19位のQ;20位のQまたはH;21位のA;23位のI;24位のE;25位のY;28位のE;29位のG;および30−42位アミノ酸の次のアミノ酸配列:GPSSGAPPPS(配列番号12)(およびテールの切端類似体)による置換を含む。さらに他の例では、本明細書に記載したインクレチン類似体はアミド化されている。本明細書に記載した修飾に加えて、本明細書に記載のインクレチン類似体は、1つ以上の付加的なアミノ酸修飾を含んでもよく、但し、類似体は尚、GIP、GLP−1およびグルカゴン受容体の個々に結合し、活性化することができる。
【0037】
上記したように、本明細書に記載したインクレチン類似体は、例えば、共役に使用できる官能基をもった天然もしくは非天然アミノ酸にリンカーの方法で結合させた脂肪酸部分を含む。そのような結合は、時々アシル化と呼ばれる。特定の例では、共役に使用できる官能基をもったアミノ酸は、K、C、EおよびDであり得る。特定の例では、共役に使用できる官能基をもったアミノ酸はKであり、この場合、共役はK側鎖のε−アミノ基に対する。
【0038】
本明細書に記載したインクレチン類似体のアシル化は、この構造の一体性のために最適な位置であると決定された配列番号5の17位である。脂肪酸および特定の実施形態においてはリンカーが、アルブミン結合剤として作用し、持続時間の長い化合物を作るための可能性を提供する。
【0039】
本明細書に記載したインクレチン類似体は、直接結合またはリンカーのいずれかによってアミノ酸の官能基に化学的に結合するC
16〜C
22脂肪酸を利用する。脂肪酸の長さと組成は、インクレチン類似体の半減期、インビボ動物モデルでの効力、およびその溶解性と安定性に影響を及ぼす。C
16〜C
22飽和脂肪一酸または二酸への共役は、所望の半減期、インビボ動物モデルでの所望の効力および所望の溶解と安定特性を示すインクレチン類似体をもたらす。
【0040】
本明細書に記載した使用のための飽和C
16〜C
22脂肪酸の例としては、その分岐および置換誘導体を含むパルミチン酸(ヘキサデカン酸)(C
16一酸)、ヘキサデカン二酸(C
16二酸)、マルガリン酸(ヘプタデカン酸)(C
17一酸)、ヘプタデカン二酸(C
17二酸)、ステアリン酸(C
18一酸)、オクタデカン二酸(C
18二酸)、ノナデシル酸(ノナデカン酸)(C
19一酸)、ノナデカン二酸(C
19二酸)、アラキジン酸(エイコサン酸)(C
20一酸)、エイコサン二酸(C
20二酸)、ヘンイコシル酸(ヘンエイコサン酸)(C
21一酸)、へンエイコサン二酸(C
21二酸)、ベヘン酸(ドコサン酸)(C
22一酸)、ドコサン二酸(C
22二酸)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
特定の例では、C
16〜C
22脂肪酸は飽和C
18一酸、飽和C
18二酸、飽和C
19一酸、飽和C
19二酸、飽和C
20一酸、飽和C
20二酸、およびその分岐および置換誘導体の場合がある。さらに特定の例では、C
16〜C
22脂肪酸はステアリン酸、アラキジン酸またはエイコサン二酸、特にアラキジン酸の場合がある。
【0042】
いくつかの例では、リンカーは、1〜4つのアミノ酸、アミノポリエチレングリコールカルボキシラートまたはその混合物をもち得る。特定の例では、アミノポリエチレングリコールカルボキシラートは次の構造:H−{NH−CH
2−CH
2−[O−CH
2−CH
2]
m−O−(CH
2)
p−CO}
n−OH、を有し、式中、mは1〜12の任意の整数、nは1〜12の任意の整数、およびpは1〜2である。
【0043】
特定の例では、リンカーは、1つ以上の(2−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチル)部分を、場合によっては1〜4のアミノ酸を組み合わせて有し得る。
【0044】
リンカーが少なくとも1つのアミノ酸を含む例においては、アミノ酸は1〜4のグルタミン酸またはγ−グルタミルアミノ酸残基であり得る。いくつかの例では、リンカーはそのD型を含む、1つまたは2つのグルタミン酸またはγ−グルタミルアミノ酸残基を含み得る。例えば、リンカーは1つまたは2つのγ−グルタミルアミノ酸残基を含み得る。あるいは、リンカーは、最大36の(2−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチル)部分と組み合わせて使用する1〜4のアミノ酸残基(例えば、グルタミン酸またはγ−グルタミルアミノ酸など)を含むことができる。具体的には、リンカーは、1〜4のグルタミン酸またはγ−グルタミルアミノ酸および1〜4の(2−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチル)部分の組み合わせの場合がある。他の例では、リンカーは、1または2のγ−グルタミルアミノ酸と1つまたは2つの(2−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチル)部分の組み合わせであり得る。
【0045】
特定の例では、本明細書に記載したインクレチン類似体は、次式:(2−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチル)
a−(γGlu)
b−CO−(CH
2)c−CO
2H、式中、aは0、1または2であり、bは1または2であり、およびcは16または18である。特定の例では、aは2であり、bは1であり、およびcは18であり、その構造は以下:
【化2】
に示される。
【0046】
別の特定の例では、aは1であり、bは2であり、およびcは18であり、その構造は以下:
【化3】
に示される。
【0047】
別の特定の例では、aは0であり、bは2であり、およびcは18であり、その構造は以下:
【化4】
に示される。
【0048】
別の特定の例では、aは1であり、bは1であり、およびcは18であり、その構造は以下:
【化5】
に示される。
【0049】
以下の例1−6の化学構造で示されるように、上記のリンカー脂肪酸部分はリシン(K)側鎖のイプシロン(ε)アミノ基に結合することができる。
【0050】
GIP、GLP−1およびグルカゴン受容体の個々に対する本明細書に記載したインクレチン類似体の親和性は、例えば、以下の例で記載したものを含む、受容体結合レベルを測定するための当該技術分野で公知の技術を使用して測定してもよく、一般に阻害定数(K
i)値として表される。また、本明細書に記載したインクレチン類似体の活性は、例えば下記のインビトロ活性アッセイを含む当該技術分野で公知の技術を使用して測定してもよく、一般に、用量応答曲線で半最大シミュレーションを起こす化合物の濃度、50%効果濃度(EC
50)値で表現される。
【0051】
本明細書に記載したインクレチン類似体は、非経口経路(例えば、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内または経皮)によって投与し得る医薬組成物として製剤化することができる。そのような医薬組成物および、それを調製するための技術は当該技術分野では周知である。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(Troy,Ed.,21
st Edition,Lippincott,Williams&Wilkins,2006)を参照されたい。特定の例では、インクレチン類似体は皮下に投与される。
【0052】
本明細書に記載したインクレチン類似体は、多数の無機および有機酸/塩基の一部と反応し、医薬的に許容可能な酸/塩基さらに塩を形成し得る。医薬的に許容可能な塩およびそれを調製するための一般的な技術は、当該技術分野では周知である(例えば、StahlらHandbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use,2
nd Revised Edition(Wiley−VCH,2011)を参照)。本明細書に記載した使用のための医薬的に許容可能な塩は、ナトリウム、トリフルオロ酢酸、塩酸および酢酸塩を含む。
【0053】
本開示はまた、新規中間体および本明細書に記載のインクレチン類似体またはその医薬的に許容可能な塩の合成法を供給し、したがってそれらを包含する。本明細書に記載の中間体およびインクレチン類似体は、当該技術分野で公知の様々な技術によって調製し得る。例えば、化学合成を使用する方法は、以下の実施例で図示する。記載した各経路の特定の合成工程は、本明細書に記載のインクレチン類似体の異なる調製方法を組み合わせてもよい。試薬および出発原料は当業者には容易に入手できる。
【0054】
本明細書に記載のインクレチン類似体は、一般に広い用量域で有効である。例えば、週1回の投与の用量は、約0.01〜約30mg/人/週の範囲内、約0.1〜約10mg/人/週の範囲内または更に約0.1〜約3mg/人/週の範囲内に入ってもよい。したがって、本明細書に記載のインクレチン類似体は、毎日、週3回、週2回または週1回、特に週1回投与してもよい。
【0055】
本明細書に記載のインクレチン類似体は、様々な状態、障害、疾患または兆候を治療するために使用し得る。特に、個体のT2DMを治療する方法が提供される場合、そのような方法は、本明細書に記載のインクレチン類似体またはその医薬的に許容可能な塩の有効量を、そのような治療を必要とする個体に投与する少なくとも1工程を含む。
【0056】
さらに、個体の肥満を治療する方法が提供される場合、そのような方法は、本明細書に記載のインクレチン類似体またはその医薬的に許容可能な塩の有効量を、そのような治療を必要とする個体に投与する少なくとも1工程を含む。
【0057】
さらに、個体の非治療的減量を誘導する方法を提供する場合、そのような方法は、本明細書に記載のインクレチン類似体またはその医薬的に許容可能な塩の有効量を、そのような治療を必要とする個体に投与する少なくとも1工程を含む。
【0058】
さらに、個体のメタボリック症候群を治療する方法を提供する場合、そのような方法は、本明細書に記載のインクレチン類似体またはその医薬的に許容可能な塩の有効量を、そのような治療を必要とする個体に投与する少なくとも1工程を含む。
【0059】
さらに、個体のNASHを治療する方法を提供する場合、そのような方法は、本明細書に記載のインクレチン類似体またはその医薬的に許容可能な塩の有効量を、そのような治療を必要とする個体に投与する少なくとも1工程を含む。
【0060】
さらに、個体のFLDを治療する方法を提供する場合、そのような方法は、本明細書に記載のインクレチン類似体またはその医薬的に許容可能な塩の有効量を、そのような治療を必要とする個体に投与する少なくとも1工程を含む。
【0061】
これらの方法では、インクレチン類似体の有効性は、例えば血糖の有意な低下の観察、インスリンの有意な増加の観察、HbA1cの有意な減少の観察、および/または体重の有意な減少の観察によって評価することができる。
【0062】
あるいは、本明細書に記載のインクレチン類似体またはその医薬的に許容可能な塩は、それを必要とする個体の骨強度を改善するために使用し得る。いくつかの例では、それを必要とする個体は、骨増殖症または類骨組織形成機能低下をもっているか、または骨折、筋‐関節補強回復術、補綴用インプラント、歯科用インプラント、および/または脊椎固定術から治癒している。本明細書に記載のインクレチン類似体は、パーキンソン病またはアルツハイマー病のような他の障害の治療用に使用してもよい。
本発明の様々な実施形態を以下に示す。
1.以下の式:
YX2X3GTX6TSDYSIX13LDKX17AQX20AFIEYLLEGGPSSGAPPPS、
式中、
X2はAibであり、
X3はQまたはHであり、
X6はαMeFまたはαMeF(2F)であり、
X13はLまたはαMeLであり、
X17は結合に使用できる官能基をもった任意のアミノ酸であり、および前記官能基はC16−C22脂肪酸に結合し、
X20はAib、QまたはHであり、
(配列番号5)、およびC末端アミノ酸は場合によってはアミド化される、
を含むインクレチン類似体またはその医薬的に許容可能な塩。
2.X17位の、結合に使用できる官能基をもつ前記アミノ酸は、K、C、EおよびDからなる群から選択される、上記1に記載のインクレチン類似体。
3.X17位の、結合に使用できる官能基をもつ前記アミノ酸はKである、上記1に記載のインクレチン類似体。
4.X17位の、結合に使用できる官能基をもつ前記アミノ酸および前記C16−C22脂肪酸が、前記アミノ酸と脂肪酸間のリンカーによって結合される、上記1〜3のいずれかに記載のインクレチン類似体。
5.前記リンカーは1〜4のアミノ酸を含む、請求書4に記載のインクレチン類似体。
6.前記アミノ酸はグルタミン酸またはγ-グルタミルである、上記5に記載のインクレチン類似体。
7.前記リンカーは、次の構造:
H−{NH−CH2−CH2−[O−CH2−CH2]m−O−(CH2)p−CO}n−OH、[式中、mは1〜12の任意の整数であり、nは1〜12の任意の整数であり、およびpは1または2である]をさらに含む、上記4〜6のいずれかに記載のインクレチン類似体。
8.前記リンカーは、1〜4の(2−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチル)部分をさらに含む、上記4〜7のいずれかに記載のインクレチン類似体。
9.X17は、次の構造:
(2−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチル)a−(γGlu)b−CO−(CH2)c−CO2H、[式中、aは、0、1または2であり、bは1または2であり、およびcは16〜18の整数である]をもつK側鎖のε-アミノ基への結合を介して化学的に修飾されるKである、上記1に記載のインクレチン類似体。
10.aは1である、上記9に記載のインクレチン類似体。
11.aは2である、上記9に記載のインクレチン類似体。
12.bは1である、上記9〜11のいずれかに記載のインクレチン類似体。
13.bは2である、上記9〜11のいずれかに記載のインクレチン類似体。
14.cは18である、上記9〜13のいずれかに記載のインクレチン類似体。
15.X13はαMeLである、上記1〜14のいずれかに記載のインクレチン類似体。
16.X13はLである、上記1〜14のいずれかに記載のインクレチン類似体。
17.X3はQである、上記1〜16のいずれかに記載のインクレチン類似体。
18.X3はHである、上記1〜16のいずれかに記載のインクレチン類似体。
19.X6はαMeFである、上記1〜18のいずれかに記載のインクレチン類似体。
20.X6はαMeF(2F)である、上記1〜18のいずれかに記載のインクレチン類似体。
21.配列番号5〜11からなる群から選択される式を有するインクレチン類似体。
22.T2DM、肥満、脂肪肝疾患、NASH、脂質異常症およびメタボリック症候群からなる群から選択される病気を治療する方法であって、
上記1〜21のいずれかに記載の有効量のインクレチン類似体を、それを必要とする個体に投与する工程を含む、方法。
23.2型糖尿病を治療する方法であって、
上記1〜21のいずれかに記載の有効量のインクレチン類似体を、それを必要とする個体に投与する工程を含む、方法。
24.上記1〜21のいずれかに記載のインクレチン類似体、および
医薬的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤を含む、医薬組成物。
25.糖尿病、脂質異常症、脂肪肝疾患、メタボリック症候群、非アルコール性脂肪性肝炎および肥満からなる群から選択される病気の治療における使用のための上記1〜21のいずれかに記載のインクレチン類似体。
26.2型糖尿病の治療における使用のための上記1〜21のいずれかに記載のインクレチン類似体。
27.糖尿病、脂質異常症、脂肪肝疾患、メタボリック症候群、非アルコール性脂肪性肝炎および肥満からなる群から選択される病気の治療のための薬剤の製造における上記1〜21のいずれかに記載のインクレチン類似体の使用。
28.2型糖尿病の治療のための薬剤の製造における上記1〜21のいずれかに記載のインクレチン類似体の使用。
【実施例】
【0063】
ペプチド合成
実施例1:
実施例1は次の記載:Y−Aib−QGT−αMeF−TSDYSILLDKK((2−[2−(2―アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチル)
2−(γGlu)−CO−(CH
2)
18−CO
2H)AQ−Aib−AFIEYLLEGGPSSGAPPPS−NH
2(配列番号6)で表される化合物である。
【0064】
以下は、アミノ酸残基の構造が拡張されている残基Aib2、αMeF6、K17およびAib20を除き、標準の1文字アミノ酸コードを使用した実施例1の構造の描写である。
【化6】
【0065】
実施例1のペプチド骨格は、Symphony Xペプチドシンセサイザー(Protein Technologies社、ツーソン、アリゾナ州)でフルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)/tert−ブチル(t−Bu)化学を使用して合成される。
【0066】
樹脂は、0.3−0.4ミリ当量/gを置換した1%DVB架橋化ポリスチレン(Fmoc−Rink−MBHA低負荷樹脂、100−200メッシュ、EMDミリポア)からなる。標準の側鎖保護基が使用される。Fmoc−Lys(Mtt)−OHを17位のリシンに使用し、Boc−Tyr(tBu)−OHを1位のチロシンに使用する。Fmoc基は、DMF中20%ピペリジンを使用して各カップリング工程(2x7分)の前に除去する。全ての標準アミノ酸カップリングは、理論に対して9倍モル過剰のペプチド負荷において、Fmocアミノ酸(0.3mM)、ジイソプロピルカルボジイミド(0.9mM)およびオキシマ(0.9mM)の等モル比を用いて、1級アミンには1時間、2級アミンには3時間で完了する。例外は、Cα−メチル化アミノ酸へのカップリングであり、3時間で結合する。ペプチド骨格の合成が完了した後、樹脂をDCMで6回、完全に洗浄し、残留DMFを除去する。17位のリシン上のMtt保護基は、DCM中で30%ヘキサフルオロイソプロパノール(オークウッドケミカルズ)を2回処理(2x40分処理)してペプチド樹脂から選択的に除去する。
【0067】
その後の脂肪酸リンカー部分の連結は、2−[2−(2−Fmoc−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−酢酸(Fmoc−AEEA−OH、ChemPep社)、Fmoc−グルタミン酸α−t−ブチルエステル(Fmoc−Glu−OtBu、Ark Pharm社)、モノ−OtBu−エイコサン二酸(WuXi AppTec社、上海、中国)のカップリングによって達成される。3倍過剰の試薬(AA:PyAOP:DIPEA=1:1:1モル/モル)を1時間の各カップリング反応に使用する。
【0068】
合成が完了した後、ペプチド樹脂をDCMで洗浄し、次いで完全に風乾する。乾燥樹脂を、10mLの開裂するための混合試薬(トリフルオロ酢酸:水:トリイソプロピルシラン、95:2.5:2.5体積比)を用いて室温で2時間処理した。樹脂を濾別し、2mLの無溶媒TFAで2回洗浄し、合わせた濾液を5倍量の冷ジエチルエーテル(−20℃)で処理し、粗ペプチドを沈降させる。次いで、ペプチド/エーテル懸濁液を3500rpmで2分間遠心分離し、固形ペレットを生成して上清をデカントし、固形ペレットは、さらに2回エーテルで破砕し、真空乾燥する。粗ペプチドは、20%アセトニトリル/20%酢酸/60%水に溶解し、100%アセトニトリルおよび0.1%TFA/水緩衝系の線形勾配法(30−50%アセトニトリル、60分)でLuna5μMフェニルヘキシル分取用カラム(21x250mm、フェノメネクス)上の逆相高速液体クロマトグラフィーにより精製する。ペプチドの精製は分析用逆相高速液体クロマトグラフィーを用いて評価し、プーリング絶対値基準は>95%である。実施例1の捕集された主なプール純度は99.2%であることがわかる。最終主要製品プールのその後の凍結乾燥により凍結乾燥されたペプチドTFA塩が得られる。分子量はLC−MSによって決定される(観測値M+4H+/4=1219.9;計算値M+4H+/4=1220.1)。
【0069】
実施例2:
実施例2は次の記載:Y−Aib−QGT−αMeF−TSDYSI−αMeL−LDKK((2−[2−(2―アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチル)
2−(γGlu)−CO−(CH
2)
18−CO
2H)AQ−Aib−AFIEYLLEGGPSSGAPPPS−NH
2(配列番号7)で表される化合物である。
【0070】
以下は、アミノ酸残基の構造が拡張されている残基Aib2、αMeF6、αMeL13、K17およびAib20を除き、標準の1文字アミノ酸コードを使用した実施例2の構造の描写である。
【化7】
【0071】
実施例1について上記したのと同様な方法を使用して、ペプチド骨格を合成し、脂肪酸−リンカー部分を結合し、純度を分析して実施例2の分子量を確認する。
【0072】
実施例3:
実施例3は次の記載:Y−Aib−HGT−αMeF(2F)−TSDYSILLDKK((2−[2−(2‐アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチル)
2−(γGlu)−CO−(CH
2)
18−CO
2H)AQ−Aib−AFIEYLLEGGPSSGAPPPS−NH
2(配列番号8)で表される化合物である。
【0073】
以下は、アミノ酸残基の構造が拡張されている残基Aib2、αMeF(2f)6、K17およびAib20を除き、標準の1文字アミノ酸コードを使用した実施例3の構造の描写である。
【化8】
【0074】
実施例1について上記したのと同様な方法を使用して、ペプチド骨格を合成し、脂肪酸−リンカー部分を結合し、純度を分析して実施例3の分子量を確認する。
【0075】
実施例4:
実施例4は次の記載:Y−Aib−HGT−αMeF(2F)−TSDYSILLDKK((2−[2−(2―アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチル)−(γGlu)−CO−(CH
2)
18−CO
2H)AQ−Aib−AFIEYLLEGGPSSGAPPPS−NH
2(配列番号9)で表される化合物である。
【0076】
以下は、アミノ酸残基の構造が拡張されている残基Aib2、αMeF(2F)6、K17およびAib20を除き、標準の1文字アミノ酸コードを使用した実施例4の構造の描写である。
【化9】
【0077】
実施例1について上記したのと同様な方法を使用して、ペプチド骨格を合成し、脂肪酸−リンカー部分を結合し、純度を分析して実施例4の分子量を確認する。
【0078】
実施例5:
実施例5は次の記載:Y−Aib−QGT−αMeF(2F)−TSDYSILLDKK((2−[2−(2―アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチル)−(γGlu)−CO−(CH
2)
18−CO
2H)AQQAFIEYLLEGGPSSGAPPPS−NH
2(配列番号10)で表される化合物である。
【0079】
以下は、アミノ酸残基の構造が拡張されている残基Aib2、αMeF(2F)6およびK17を除き、標準の1文字アミノ酸コードを使用した実施例5の構造の描写である。
【化10】
【0080】
実施例1について上記したのと同様な方法を使用して、ペプチド骨格を合成し、脂肪酸−リンカー部分を結合し、純度を分析して実施例5の分子量を確認する。
【0081】
実施例6:
実施例6は次の記載:Y−Aib−QGT−αMeF(2F)−TSDYSILLDKK((2−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチル)−(γGlu)−CO−(CH
2)
18−CO
2H)AQHAFIEYLLEGGPSSGAPPPS−NH
2(配列番号11)で表される化合物である。
【0082】
以下は、アミノ酸残基の構造が拡張されている残基Aib2、αMeF(2F)6およびK17を除き、標準の1文字アミノ酸コードを使用した実施例6の構造の描写である。
【化11】
【0083】
実施例1について上記したのと同様な方法を使用して、ペプチド骨格を合成し、脂肪酸−リンカー部分を結合し、純度を分析して実施例6の分子量を確認する。
【0084】
インビトロ機能
結合親和性
放射性リガンド競合結合アッセイを行って、実施例の化合物および比較分子の平衡解離定数を決定する。そのようなアッセイは、シンチレーション近接測定(SPA)法およびヒトGIP受容体(GIPR)、GLP−1受容体(GLP−1R)またはヒトグルカゴン受容体(GcgR)を過剰発現するトランスフェクトHEK293細胞から調製した膜を使用する。
【0085】
アッセイは、試験類似体のアシル化部分が、標準アッセイ緩衝材中で使用した蛋白質成分(例えば、アルブミン)に結合しないように非特異的遮断薬バシトラシンの存在下で実施する。
【0086】
競争曲線は、百分率特異的抑制(y軸)対化合物の対数濃度(x軸)としてプロットし、可変勾配をもつ4パラメーター非線形回帰適合(ABaseまたはGenedata)を使用して分析する。K
i値は、式K
i=IC
50/(1+(D/K
d))に従って計算し、この場合、IC
50は50%結合抑制が生じる化合物の濃度であり、Dはアッセイに使用される放射性リガンドの濃度であり、Kdは受容体および放射性リガンドに関する平衡解離定数であり、飽和結合分析から決定される(以下の表1に提示)。
【0087】
【表1】
【0088】
例示類似体および比較分子のK
i値は表2に示される。
【0089】
【表2】
【0090】
表2で見られるように、例示の類似体はGIP、GLP−1およびGcg受容体のそれぞれで親和性を有している。
【0091】
機能活性:
機能活性は、GIP−R−GLP−1R−およびGcgRを発現しているHEK−293クローン細胞株で決定される。各受容体過剰発現細胞株は、20μLアッセイ体積中、1X GlutaMAX(商標)(Gibco Cat# 35050)、0.25%FBS(ウシ胎児血清、Gibco Cat#26400)、0.05%画分V BSA(ウシ血清アルブミン、Gibco Cat# 15260)、250μM IBMXおよび20mM HEPES(Gibco Cat# 15630)を補充したDMEM(Gibco Cat#31053)培地でペプチド(20ポイントCRC、2.75倍のラボサイトエコー直接希釈)を用いて処理した。
【0092】
室温で60分間インキュベーションした後、細胞内で生成したcAMPの増加をCisBio cAMP Dynamic 2 HTRFアッセイキット(62AM4PEJ)を用いて定量する。簡潔に、細胞内のcAMPレベルは、細胞溶解緩衝液のcAMP−d2共役体、続いて細胞溶解緩衝液の抗体抗−cAMP−Eu
3+−クリプテートも添加することによって検出する。結果として生じる競合アッセイは、少なくとも60分間室温でインキュベーションした後、320nmで励起し、665および620nmで発光するパーキンエルマー社製EnVision(登録商標)装置を使用して検出する。EnVision装置(665nm/620nm
*10,000)は、存在するcAMPの量に逆比例し、cAMP標準曲線を用いてウエルあたりのnM cAMPに変換した。
【0093】
各ウエルで発生したcAMP量(nM)は、ヒトGLP−1(7−36)NH
2、ヒトGcg、またはヒトGIP(1−42)NH
2のいずれかで観察された最大応答の百分率に変換する。相対EC
50値は、百分率最大応答対、4パラメーターロジスティック方程式に当て嵌めた添加ペプチドの濃度を使用した非線形回帰分析によって誘導する。
【0094】
例示の類似体ならびにhGIP(1−42)NH
2、hGLP−1(7−36)NH
2およびhGcgに関するデータを以下の表3に示す。
【0095】
【表3】
【0096】
表3で見られるように、FBSおよびBSAの存在下で、ヒトGIP−R、GLP−1RおよびGcgR cAMPアッセイで決定されたように、例示類似体はアゴニスト活性をもつが、天然リガンドより低い。
【0097】
追加的なcAMPアッセイセットは、ヒトGLP−1、GIPおよびグルカゴン受容体を発現するHEK293細胞で行った。均一時間分解蛍光分析を用い、非特異的遮断材としてカゼイン存在下でアッセイを行い、例示類似体と比較分子の固有効力を決定した。
【0098】
細胞内cAMPレベルは、標準曲線を使用して外挿法で決定した。化合物の用量応答曲線は、最小(緩衝液だけ)と最大(各対照リガンドの最大濃度)値に正規化した刺激の百分率としてプロットし、可変勾配をもつ4−パラメーター非線形回帰曲線適合(Genedata Screener13)を使用して分析した。EC
50は、用量応答曲線における半最大シミュレーションを起こす化合物の濃度である。
【0099】
データは以下の表4で提供する。
【0100】
【表4】
【0101】
表4で見られるように、例示類似体は、0.1%カゼインの存在下でヒトGIP、GLP−1およびグルカゴン受容体からcAMPを刺激する。
【0102】
配列番号1−ヒトグルカゴン
HSQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNT
配列番号2−ヒトGLP−1(7−36)アミド
HAEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGR−NH
2
配列番号3−ヒトOXM
HSQGTFTSDYSKYLDSRRAQDFVQWLMNTKRNRNNIA
配列番号4−ヒトGIP
YAEGTFISDYSIAMDKIHQQDFVNWLLAQKGKKNDWKHNITQ
配列番号5−インクレチン類似体
YX
2X
3GTX
6TSDYSIX
13LDKX
17AQX
20AFIEYLLEGGPSSGAPPPS
[式中、
X
2はAibであり;
X
3はQまたはHであり;
X
6はαMeFまたはαMeF(2F)であり;
X
13はLまたはαMeLであり;
X
17は共役に利用できる官能基をもった任意のアミノ酸であり、この場合、官能基はC
16−C
22脂肪酸に結合する;
X
20はAib、QまたはHである]
配列番号6−インクレチン類似体
Y−Aib−QGT−αMeF−TSDYSILLDKK((2−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチル)
2−(γGlu)−CO−(CH
2)
18−CO
2H)AQ−Aib−AFIEYLLEGGPSSGAPPPS−NH
2
配列番号7−インクレチン類似体
Y−Aib−QGT−αMeF−TSDYSI−αMeL−LDKK((2−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチル)
2−(γGlu)−CO−(CH
2)
18−CO
2H)AQ−Aib−AFIEYLLEGGPSSGAPPPS−NH
2
配列番号8−インクレチン類似体
Y−Aib−HGT−αMeF(2F)−TSDYSILLDKK((2−[2−(2‐アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチル)
2−(γGlu)−CO−(CH2)
18−CO
2H)AQ−Aib−AFIEYLLEGGPSSGAPPPS−NH
2
配列番号9−インクレチン類似体
Y−Aib−QGT−αMeF(2F)−TSDYSILLDKK((2−[2−(2‐アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチル)−(γGlu)−CO−(CH
2)
18−CO
2H)AQ−Aib−AFIEYLLEGGPSSGAPPPS−NH
2
配列番号10−インクレチン類似体
Y−Aib−QGT−αMeF(2F)−TSDYSILLDKK((2−[2−(2‐アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチル)−(γGlu)−CO−(CH
2)
18−CO
2H)AQQAFIEYLLEGGPSSGAPPPS−NH
2
配列番号11−インクレチン類似体
Y−Aib−HGT−αMeF(2F)−TSDYSILLDKK((2−[2−(2‐アミノ−エトキシ)−エトキシ]−アセチル)−(γGlu)−CO−(CH
2)
18−CO
2H)AQHAFIEYLLEGGPSSGAPPPS−NH
2
配列番号12−人工配列
GPSSGAPPPS
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]