(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6988026
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】ロボットの放熱構造
(51)【国際特許分類】
B25J 19/00 20060101AFI20211220BHJP
【FI】
B25J19/00 M
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-125971(P2020-125971)
(22)【出願日】2020年7月24日
(65)【公開番号】特開2021-74866(P2021-74866A)
(43)【公開日】2021年5月20日
【審査請求日】2020年8月26日
(31)【優先権主張番号】201911064008.3
(32)【優先日】2019年11月4日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521049012
【氏名又は名称】温州怡沃机械科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100115303
【弁理士】
【氏名又は名称】岩永 和久
(72)【発明者】
【氏名】鄭修志
【審査官】
貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−226042(JP,A)
【文献】
特開平9−85673(JP,A)
【文献】
実開昭56−15686(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットの放熱構造であって、
円形板と、前記円形板に設けられるロボット本体と、鉛直に設けられる円筒と、を含み、
前記円筒は、上方に開口して設けられ、
前記円形板は、前記円筒の上端に水平に設けられ、
前記円形板と前記円筒とは、回転自在に接続され、
前記円形板の下方には、回転軸が鉛直に設けられ、
前記回転軸の下端は、前記円筒と回転自在に接続され、
前記回転軸の上端には、リングが外装して固定され、
前記リングと前記円形板との間には、一方向軸受が設けられ、
前記一方向軸受の内輪と外輪は、それぞれ前記リング及び前記円形板と固定して接続され、
前記円筒の側壁には、貫通するように入気孔が緊密に分布し、
前記円形板には、貫通するように通気孔が鉛直方向に沿って緊密に分布し、
前記リングには、風を前記入気孔から前記通気孔に引き出す環状羽根が外装して固定され、
前記円筒の内部には、油圧シリンダと、L字型をなす支持具と、前記回転軸を正回転又は反転させるモータと、が固定して設けられ、
前記円形板には、貫通するように差込孔が鉛直方向に沿って設けられ、
前記差込孔の内部には、寸法と形状が前記差込孔に対応する位置規制柱が、挿設され、
前記位置規制柱の下端は、前記差込孔から延出して前記油圧シリンダのピストンロッドと固定して接続され、
前記支持具は、前記円形板の下方に位置し、
前記支持具は、鉛直に設けられる接続部と、水平に設けられる支持部とから構成され、
前記接続部は、前記円筒と固定して接続され、
前記支持部には、貫通するように案内孔が鉛直方向に沿って設けられ、
前記位置規制柱は、側壁が前記案内孔の孔壁と密着して前記案内孔の内部に穿設される、
ことを特徴とするロボットの放熱構造。
【請求項2】
前記円形板は、第一転がり軸受によって前記円筒と回転自在に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載のロボットの放熱構造。
【請求項3】
前記モータは、前記回転軸の一側に設けられ、
前記モータは、伝動機構によって前記回転軸を回転させる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のロボットの放熱構造。
【請求項4】
前記伝動機構は、前記モータの主軸と固定して接続される主歯車と、前記回転軸と固定して接続される副歯車と、を含み、
前記主歯車と前記副歯車とは、噛み合って設けられる、
ことを特徴とする請求項3に記載のロボットの放熱構造。
【請求項5】
前記伝動機構は、前記モータの主軸と固定して接続される主動輪と、前記回転軸と固定して接続される従動輪と、を含み、
前記主動輪と前記従動輪とは、同期ベルトによって接続される、
ことを特徴とする請求項3に記載のロボットの放熱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機械技術分野に関し、特にロボットに関し、具体的にはロボットの放熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットは、仕事を自動的に行うことができる機器装置であり、指示に従うことができるだけではなく、予め書いたプログラムを実行でき、更に、人工知能技術によって設定された綱領に基づいて行動することもできる。人力に頼る仕事、例えば製造業、建築業、又は危ない産業を補助する又は取って代わることを使命とする。
【0003】
高周波で運行しているロボットは、大量な熱量を生じるため、長時間に熱を影響を受け、寿命が短くなる。上記問題に対し、従来の解決手段は、対応の放熱装置を付設してロボットの熱を放散させるが、放熱装置とロボットとは互いに独立するため、組み合わせた構造が緩んでおり、占地面積が大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第108789496号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の技術的課題を解決するために、緊密的な構造を有するロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を実現するために、本発明のロボットの放熱構造は、円形板と、前記円形板に設けられるロボット本体と、鉛直に設けられる円筒と、を含み、前記円筒は、上方に開口して設けられ、前記円形板は、前記円筒の上端に水平に設けられ、前記円形板と前記円筒とは、回転自在に接続され、前記円形板の下方には、回転軸が鉛直に設けられ、前記回転軸の下端は、前記円筒と回転自在に接続され、前記回転軸の上端には、リングが外装して固定され、前記リングと前記円形板との間には、一方向軸受が設けられ、前記一方向軸受の内輪と外輪は、それぞれ前記リング及び前記円形板と固定して接続され、前記円筒の側壁には、貫通するように入気孔が緊密に分布し、前記円形板には、貫通するように通気孔が鉛直方向に沿って緊密に分布し、前記リングには、風を前記入気孔から前記通気孔に引き出す環状羽根が外装して固定され、前記円筒の内部には、油圧シリンダと、L字型をなす支持具と、前記回転軸を正回転又は反転させるモータと、が固定して設けられ、前記円形板には、貫通するように差込孔が鉛直方向に沿って設けられ、前記差込孔の内部には、寸法と形状が前記差込孔に対応する位置規制柱が、挿設され、前記位置規制柱の下端は、前記差込孔から延出して前記油圧シリンダのピストンロッドと固定して接続され、前記支持具は、前記円形板の下方に位置し、前記支持具は、鉛直に設けられる接続部と、水平に設けられる支持部とから構成され、前記接続部は、前記円筒と固定して接続され、前記支持部には、貫通するように案内孔が鉛直方向に沿って設けられ、前記位置規制柱は、側壁が前記案内孔の孔壁と密着して前記案内孔の内部に穿設される。
【0007】
動作の原理:前記モータが前記回転軸によって前記リングを正回転させる時、前記油圧シリンダが前記位置規制柱を駆動して前記差込孔から完全に離れさせ、前記一方向軸受の内輪と外輪とが結合状態にあることで、前記リングが前記円形板を一定角度回転させて前記ロボット本体の位置を調節し、角度調節完了後、前記油圧シリンダが前記位置規制柱を駆動して再び前記差込孔内に挿入することで、円周方向に前記円形板の回転を規制し、前記ロボット本体の仕事安定性を確保する。前記モータが前記回転軸により前記リングを反転させる時、前記一方向軸受の内輪と外輪とが離脱状態にあり、前記リングが空回りして前記環状羽根を回転させ、風が前記入気孔から吸い込まれて前記通気孔から排出され、前記ロボット本体の熱が放散するため、前記ロボット本体の仕事安定性が向上する。
【0008】
前記ロボットの放熱構造において、
前記円形板は、第一転がり軸受によって前記円筒と回転自在に接続される。本実施例において、前記第一転がり軸受における内輪と外輪とは、いずれも静合手段によってそれぞれ前記円形板及び前記円筒と固定して接続される。
【0009】
前記ロボットの放熱構造において、前記モータは、前記回転軸の一側に設けられ、前記モータは、伝動機構によって前記回転軸を回転させる。
【0010】
前記ロボットの放熱構造において、前記伝動機構は、前記モータの主軸と固定して接続される主歯車と、前記回転軸と固定して接続される副歯車と、を含み、前記主歯車と前記副歯車とは、噛み合って設けられる。
【0011】
もう一つの案として、前記ロボットの放熱構造において、前記伝動機構は、前記モータの主軸と固定して接続される主動輪と、前記回転軸と固定して接続される従動輪と、を含み、前記主動輪と前記従動輪とは、同期ベルトによって接続される。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、従来技術に比べ、具体的には以下の改良及び利点を有する。
【0013】
従来技術と比べ、本発明のロボットの放熱構造は、ロボットの角度を調節する旋転機構と、ロボットの熱を放散させる放熱機構と、が円筒に設けられることで、各部品の間隔を効果的に減少させ、装置全体の構造が緊密で簡潔であり、占用空間が小さい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本願に記載の各方向が、
図1と同じ向きに装置を見た際の方向である。
【
図1】円形板を円周方向に位置決めしたロボットの放熱構造の構造図である。
【
図2】円形板を円周方向に位置決めしていないロボットの放熱構造の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、
図1〜
図2を参照しながら本実施形態について説明する。本発明の実施例に係る技術的内容を明確かつ完全に説明する。明らかに、以下に説明する実施例は、本発明の実施例の一部にすぎず、すべての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者は、創作的な努力なしで得られるすべての実施例は、本発明の保護範囲内に含まれる。
【0017】
図1に示すように、本発明のロボットの放熱構造は、円形板1と、円形板1に設けられるロボット本体2と、鉛直に設けられる円筒3と、を含む。円筒3は、上方に開口して設けられ、且つ底部が封止して設けられる。
【0018】
具体的には、円形板1は、円筒3の上端に水平に設けられ、円形板1と円筒3とは、回転自在に接続される。本実施例において、円形板1と円筒3とは、同じ中心線を有し、円形板1は、第一転がり軸受4によって円筒3と回転自在に接続される。第一転がり軸受4における内輪と外輪とは、いずれも静合手段によってそれぞれ円形板1及び円筒3と固定して接続されることが好適である。
【0019】
図1に示すように、円形板1の下方には、回転軸5が鉛直に設けられ、回転軸5の下端は、円筒3と回転自在に接続される。回転軸5の下端は、第二転がり軸受6によって円筒3と接続されることが好適である。円筒3の内部には、回転軸5を正回転又は反転させるモータ7が固定して設けられる。本実施例において、モータ7は、回転軸5の一側に設けられ、モータ7は、伝動機構によって回転軸5を回転させる。伝動機構は、モータ7の主軸と固定して接続される主歯車と、回転軸5と固定して接続される副歯車9と、を含み、主歯車8と副歯車9とは、噛み合って設けられる。
【0020】
更に、回転軸5の上端には、リング10が外装して固定され、リング10と円形板1との間には、一方向軸受11が設けられ、一方向軸受11の内輪と外輪は、それぞれリング10及び円形板1と固定して接続される。好ましくは、リング10と回転軸5とは、溶接手段によって固定して接続され、一方向軸受11における内輪と外輪とは、いずれも溶接手段によってそれぞれリング10及び円形板1と固定して接続される。円筒3の側壁には、貫通するように複数の入気孔3aが緊密に分布し、円形板1には、貫通するように複数の通気孔1aが鉛直方向に沿って緊密に分布し、リング10には、風を入気孔3aから通気孔1aに引き出す環状羽根12が外装して固定される。
【0021】
図1に示すように、円筒3の内部には、油圧シリンダ13が固定して設けられ、円形板1には、貫通するように差込孔が鉛直方向に沿って設けられ、差込孔1bの内部には、寸法と形状が差込孔1bに対応する位置規制柱14が、挿設され、位置規制柱14の下端は、差込孔1bから延出して油圧シリンダ13のピストンロッドと固定して接続される。更に、円形板1の下方には、支持具15が設けられ、支持具15は、鉛直に設けられる接続部15bと、水平に設けられる支持部15aとから構成され、接続部15bは、円筒3と固定して接続され、支持部15aには、貫通するように案内孔が鉛直方向に沿って設けられ、位置規制柱14は、側壁が案内孔の孔壁と密着して案内孔の内部に穿設される。
【0022】
動作の原理:
図1と
図2に示すように、モータ7が回転軸5によってリング10を正回転させる時、油圧シリンダ13が位置規制柱14を駆動して差込孔1bから完全に離れさせ、一方向軸受11の内輪と外輪とが結合状態にあることで、リング10が円形板1を一定角度回転させてロボット本体2の位置を調節し、角度調節完了後、油圧シリンダ13が位置規制柱14を駆動して再び差込孔1b内に挿入することで、円周方向に円形板1の回転を規制し、ロボット本体2の仕事安定性を確保する。モータ7が回転軸5によりリング10を反転させる時、一方向軸受11の内輪と外輪とが離脱状態にあり、リング10が空回りして環状羽根12を回転させ、風が入気孔3aから吸い込まれて通気孔1aから排出され、ロボット本体2の熱が放散するため、ロボット本体2の仕事安定性が向上する。
【0024】
本実施例二は、実施例一に比べ、構造及び原理が基本的に同じであり、伝動機構は、モータ7の主軸と固定して接続される主動輪と、回転軸5と固定して接続される従動輪と、を含むことと、主動輪と従動輪とは、同期ベルトによって接続されることとが、両者の違いである。
【符号の説明】
【0025】
1 円形板
1a 通気孔
1b 差込孔
2 ロボット本体
3 円筒
3a 入気孔
4 第一転がり軸受
5 回転軸
6 第二転がり軸受
7 モータ
8 主歯車
9 副歯車
10 リング
11 一方向軸受
12 環状羽根
13 油圧シリンダ
14 位置規制柱
15 支持具
15a 支持部
15b 接続部