特許第6988053号(P6988053)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6988053
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】タバコ抽出物を作製する方法
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/24 20060101AFI20211220BHJP
   A24B 15/16 20200101ALI20211220BHJP
【FI】
   A24B15/24
   A24B15/16
【請求項の数】11
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-562269(P2019-562269)
(86)(22)【出願日】2018年5月9日
(65)【公表番号】特表2020-519274(P2020-519274A)
(43)【公表日】2020年7月2日
(86)【国際出願番号】EP2018062119
(87)【国際公開番号】WO2018210677
(87)【国際公開日】20181122
【審査請求日】2019年12月12日
(31)【優先権主張番号】1707761.1
(32)【優先日】2017年5月15日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】シンチュレバー, マリーナ
【審査官】 山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−229102(JP,A)
【文献】 特表2009−502160(JP,A)
【文献】 特表2014−530633(JP,A)
【文献】 特開平06−098746(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/184977(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 1/00−15/42
B01D 11/00−12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タバコ抽出物を作製する方法であって、
(a)タバコ及び捕捉溶媒を仕切られた容器内に供給するステップであって、前記タバコ及び捕捉溶媒が仕切りによって分離され、前記容器は前記タバコ及び捕捉溶媒が互いに接触できないように構成されている、ステップ、
(b)前記容器を通して超臨界抽出溶媒を流すステップであって、前記抽出溶媒及び任意の溶解物質が前記仕切りを通過することができ、それによって、タバコ成分が、前記タバコから前記抽出溶媒中に抽出されて前記仕切りを越えて運ばれ、前記抽出溶媒が前記捕捉溶媒と接触し、タバコ成分が前記抽出溶媒から前記捕捉溶媒中に移行する、ステップ
を含み、
溶解したタバコ成分を含有する前記捕捉溶媒をカートリッジ内に提供するステップであって、前記カートリッジが喫煙品内で使用されるように構成されている、ステップをさらに含む、方法。
【請求項2】
前記仕切りが、泡鐘トレイ、網目プレート、弁板、焼結プレート、又は微細メッシュである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(c)前記抽出溶媒が亜臨界であるように前記容器内の条件を変え、それによって前記抽出溶媒と残存する任意の溶解タバコ成分とを分離し、そのうちの少なくとも一部を引き続き前記捕捉溶媒に溶解させる、ステップ
をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記抽出溶媒が二酸化炭素を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(a)及び(b)の間、
温度が308〜473Kの範囲内であり、
圧力が8〜85MPaの範囲内である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記捕捉溶媒がエアロゾル発生剤を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記捕捉溶媒が、ポリオールを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記タバコ成分が、ニコチン並びにタバコの香り及び香味のうちの1つ又は複数を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記捕捉溶媒が、前記容器の上側部分であって、下側部分にあるタバコの上に供給され、前記仕切りが、泡鐘トレイ、網目プレート、又は弁板の形態である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記捕捉溶媒が、前記容器の下側部分であって、上側部分にあるタバコの下に供給され、前記仕切りが、焼結プレート又は微細メッシュの形態である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
喫煙品内で使用されるように構成されているカートリッジであって、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法によって得ることができるタバコ抽出物を含有する、カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タバコ抽出物を作製する方法、及び該方法から得られるタバコ抽出物に関する。本発明はまた、喫煙品に使用するための該タバコ抽出物を含有するカートリッジ、及び該タバコ抽出物を含む喫煙品を提供する。
【背景】
【0002】
タバコ材料中に含有される物質を放出し、これらをエアロゾルとして送達することを目的として、タバコ材料は喫煙品内で加熱される。
【0003】
喫煙品、例えば、紙巻タバコ、葉巻タバコなどは、使用中にタバコを燃焼させてタバコの煙を作り出す。化合物を燃焼させずに放出する製品を作り出すことによって、タバコを燃焼させるこれらの物品に代わるものを提供しようとする試みがなされてきた。そのような製品の例は、材料を加熱するが燃焼させないことによって化合物を放出する加熱デバイスである。材料は、例えば、タバコ製品であっても他の非タバコ製品であってもよく、これらの製品は、ニコチンを含有していてもしていなくてもよい。
【0004】
電子タバコ、又は「eシガレット」は、可燃性製品に代わるものとして配合された別の製品である。これらのデバイスは、加熱時に吸入可能なエアロゾルを発生する揮発性(volatilisble)溶液を含有する。これらの溶液は、タバコの成分を含有してもよい。したがって、タバコ成分を選択的に抽出することができると有用である。
【0005】
欧州特許第1915064号は、タバコを抽出するステップを含む、再生タバコを作製するための方法を記載している。該抽出方法は、超臨界二酸化炭素を使用してタバコ成分を抽出し、次いでタバコ成分を含有する超臨界二酸化炭素をプロピレングリコールに接触させる。タバコ成分は、プロピレングリコール中に移行する。二酸化炭素は、全体を通して超臨界である。
【概要】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、タバコ抽出物を作製する方法であって、
(a)タバコ及び捕捉溶媒を仕切られた容器内に供給するステップであって、タバコ及び捕捉溶媒が仕切りによって分離され、容器はタバコ及び捕捉溶媒が互いに接触できないように構成されている、ステップ;
(b)容器を通して超臨界抽出溶媒を流すステップであって、抽出溶媒及び任意の溶解物質が仕切りを通過することができ、それによって、タバコ成分が、タバコから抽出溶媒中に抽出されて仕切りを越えて運ばれ、抽出溶媒が捕捉溶媒と接触し、タバコ成分が超臨界抽出溶媒から捕捉溶媒中に移行する、ステップ
を含む、方法が提供される。
【0007】
本発明者らは、超臨界抽出溶媒を使用する抽出方法を変化させると、タバコ抽出物の組成及び/又は抽出物の物理的特性が変化することを確証した。
【0008】
抽出溶媒は、ステップ(a)及び(b)を通して超臨界である。ある場合には、該方法は、等圧等温であってもよい。等圧等温条件を使用するということは、溶媒が全体を通して超臨界のままであり、抽出溶媒を再加熱又は再加圧する必要がないことを意味している。1つの容器しか必要とされないので、装置の構成は欧州特許第1915064号より単純である。さらに、単一槽を使用すると、より大きな多槽構成体(欧州特許第1915064号)と比較して、装置を超臨界条件に維持するのに必要とされるエネルギーが低減する。
【0009】
プロセスの終了時に、該方法は、
(c)抽出溶媒が亜臨界であるように容器内の条件を変え、それによって抽出溶媒と残存する任意の溶解タバコ成分とを分離し、そのうちの少なくとも一部を引き続き捕捉溶媒に溶解させる、ステップ
を追加的に含んでもよい。
【0010】
亜臨界条件に移行することによって、溶解したタバコ成分の捕捉溶媒への移行が強化され、抽出物の官能的特性が向上する。ある場合には、(d)溶媒和されていない任意のタバコ成分を溶解させる捕捉溶媒で洗浄する、さらなるステップ。(本発明者らは、例えば、一部が容器壁に凝縮している場合があることを観察した。)
【0011】
容器は、幾つもの方式で構成することができる。例えば:
− 一実施形態では、捕捉溶媒は、容器の上側部分であって、下側部分にあるタバコの上に供給されてもよく、仕切りは、泡鐘トレイ、網目プレート、弁板などの形態であってもよい。
− 代替実施形態では、捕捉溶媒は、容器の下側部分であって、上側部分にあるタバコの下に供給されてもよく、仕切りは、焼結プレート、微細メッシュなどの形態であってもよい。焼結プレートの孔径又はメッシュのメッシュサイズは、約1〜100μmであることが好適である。
【0012】
ある場合には、超臨界抽出溶媒は、容器を通して循環されてもよく、通過する度にタバコの成分を抽出する。ある場合には、外部管路を設けて、超臨界抽出溶媒が容器の中を入口から出口まで流れ、次いで外部管路を通って循環し、入口に戻ることができるようにしてもよい。ある容器の構成では、入口は容器の底部にあってもよく、出口は最上部にあってもよい。ある容器の構成では、入口は容器の最上部にあってもよく、出口は底部にあってもよい。タバコが出口に隣接して配置され、捕捉溶媒が入口に隣接して配置されている構成では、溶解したタバコ成分が外部管路を通過する。外部管路が存在する場合、外部管路は容器と同じ超臨界条件に維持される(すなわち、系は等圧等温である。)。
【0013】
ある場合には、捕捉溶媒はエアロゾル発生剤を含む。ある場合には、捕捉溶媒は、1つ又は複数のエアロゾル発生剤からなる又は本質的になる。
【0014】
ある場合には、上の方法に使用される抽出溶媒は、二酸化炭素を含む。ある場合には、抽出溶媒は、二酸化炭素からなる又は本質的になる。
【0015】
ある場合には、上の方法に使用される捕捉溶媒は、ポリオールを含む。ある場合には、捕捉溶媒は、グリセロール及び/又はプロピレングリコールを含む。ある場合には、捕捉溶媒は、グリセロールからなる又は本質的になる。
【0016】
ある場合には、本明細書に記載される方法によって抽出されたタバコ成分は、ニコチン並びにタバコの香り及び香味のうちの1つ又は複数を含む。
【0017】
ある場合には、本明細書に記載される方法は、溶解したタバコ成分を含有する捕捉溶媒をカートリッジ内に提供するステップであって、カートリッジが喫煙品内で使用されるように構成されている、ステップをさらに含んでもよい。
【0018】
本発明の第2の態様によれば、本明細書に記載される方法によって得られる又は得ることができるタバコ抽出物が提供される。
【0019】
さらなる態様によれば、喫煙品内で使用されるように構成されているカートリッジであって、本明細書に記載される方法によって得られる又は得ることができるタバコ抽出物を含有するカートリッジが提供される。カートリッジは、電子タバコ内で使用されるように構成されていてもよい。
【0020】
さらなる態様によれば、本明細書に記載される方法によって得られる又は得ることができるタバコ抽出物を含有する喫煙品が提供される。ある場合には、喫煙品は、差し込み可能なカートリッジ内にタバコ抽出物を含有してもよく、カートリッジは、喫煙品内で使用されるように構成されている。喫煙品は、マウスピースを追加的に含んでもよい。喫煙品は、タバコ抽出物を含有する捕捉溶媒を使用中に揮発させるヒーターを追加的に含んでもよい。
喫煙品は、電子タバコであってもよい。
【0021】
さらなる態様によれば、吸入可能なエアロゾルを発生させるための、本明細書に記載される方法によって得られる又は得ることができるタバコ抽出物の使用が提供される。ある場合には、タバコ抽出物は、吸入可能なエアロゾルを発生させるために、喫煙品内で使用される。
【0022】
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の説明から明らかとなろう。これらの説明は、単なる例として示される。
【詳細な説明】
【0023】
誤解を避けるために、「タバコ抽出物」という用語は、本明細書で使用される場合、タバコ成分を含有する捕捉溶媒を指す。
【0024】
超臨界流体は、その臨界点を上回る温度及び圧力での任意の物質であり、その状態では、液相と気相とは個別に存在しない。超臨界流体は気体のように固体を通り抜けて拡散し、液体のように材料を溶解させることができる。超臨界流体は、気体より高い流体密度を有しており、したがってより高い溶媒能を有する。
【0025】
ある場合には、1つ又は複数の香料がタバコ抽出物に添加されてもよい。本明細書で使用される場合、「香料」という用語は、現地の規制が許す場合に、成人消費者向け製品に所望の味又は香りを作り出すために使用することができる材料を指す。香料として、抽出物(例えば、甘草、アジサイ、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メンソール、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、薬草、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、モモ、リンゴ、ドランビュイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、はちみつエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カッシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ピーマン、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、又はハッカ(Mentha)属の任意の種からのミント油)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性化剤又は刺激剤、糖及び/又は代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びに他の添加剤、例えば、チャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、又は息清涼剤を挙げることができる。香料は、模造品、合成若しくは天然原材料、又はそれらのブレンドであってもよい。香料は、任意の好適な形態、例えば、油、液体、又は粉末であってもよい。
【0026】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル発生剤」は、加熱時にエアロゾルの発生を促進する作用物質である。エアロゾル発生剤は、初期の気化を促進することにより、並びに/又は気体から吸入可能な固体及び/若しくは液体エアロゾルへの凝縮を促進することにより、エアロゾルの発生を促進することができる。
【0027】
一般に、好適なエアロゾル発生剤として、ポリオール、例えば、ソルビトール、グリセロール、及びグリコール、例えば、プロピレングリコール又はトリエチレングリコール;非ポリオール、例えば一価アルコール、高沸点炭化水素、酸、例えば乳酸、グリセロール誘導体、エステル、例えば、ジアセチン、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、クエン酸トリエチル、又はミリスチン酸エステル、例えば、ミリスチン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピル、並びに脂肪族カルボン酸エステル、例えば、ステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチル、及びテトラデカン二酸ジメチルが挙げられるが、これらに限定されない。ある場合には、エアロゾル発生剤は、グリセロール、プロピレングリコール、トリアセチン、及びミリスチン酸イソプロピルのうちの1つ又は複数を含み、好適にはグリセロール及び/又はプロピレングリコールを含む。
【0028】
エアロゾル発生剤のタバコに対する重量比(乾燥重量)は、約2:1〜約1:3、好適には3:2〜約1:2、好適には約1:1であってもよい。
【0029】
本発明による方法は、水をタバコに添加するという初期ステップを追加的に含んでもよい。添加される水の量は、タバコの乾燥重量に基づいて約2%〜約20%、好適には約2%、5%、又は8%〜約12%、15%、18%、又は20%であってもよい。この水との事前処理によって、極性のタバコ成分(香料など)のタバコから捕捉溶媒への移行が増大する。
【0030】
本発明による方法において、超臨界条件下で圧力を高くすると、溶媒能が増大し、抽出の効率が増大する。しかし、より高い圧力を実現し、維持するためには、より多くのエネルギーが必要とされる。よって、超臨界条件は、これらの相反する要件の釣り合いを取るように好適に選択される。超臨界流体が二酸化炭素を含む場合、抽出が行われる圧力は、ある場合には、約8MPa、10MPa、15MPa、20MPa、又は25MPa〜約85MPa、70MPa、55MPa、40MPa、又は30MPaであってもよく、好適には8〜85MPa、15〜40MPa、又は20〜30MPaであってもよい。超臨界流体が二酸化炭素を含む場合、抽出が行われる温度は、ある場合には、約308K、318K、又は328K〜約473K、430K、390K、又は350Kであってもよく、好適には308〜473K、308〜430K、又は328〜350Kであってもよい。
【実施例】
【0031】
分析法
下に報告する水分活性値は、Aqualab Prewater Activity計量器を使用して、24.9〜25.2℃で測定した。この水分活性値は、露点法を使用して決定した。
下に報告する粘度値は、Bohlin Instruments製のGemini Rheometerを使用して、25℃で測定した。
【0032】
事前抽出(タバコの事前処理):
挽いた355μm〜3.5mmの範囲の粒子径のバージニア種のタバコ葉を、水の添加(総タバコ重量の10%)によって事前処理した。タバコと水との混合物を平衡化させるために水の添加後15分間放置した(この時間は水が十分に吸収されるのに十分な時間である)。
【0033】
実施例1:本発明による方法の実施例
底部に溶媒の入口及び最上部に出口、並びに出口を入口に接続する外部循環管路を有するステンレス鋼の抽出容器(5Lオートクレーブ)に、事前処理したタバコ(1.2kgに加えて10重量%の水)を入れた。タバコを、抽出容器の底部にあるステンレス鋼の焼結プレート上に置いた。この焼結プレートは、タバコの下の狭い入口を通して抽出容器に入る超臨界流体を分散させる。
【0034】
ろ紙をタバコの最上部上に置いて、タバコ粒子を所定の位置に保持し、タバコ粒子が循環ループ/配管辺りに移らないようにした。
【0035】
0.5kgのグリセロールを含有する捕捉液をタバコの最上部上に置いた。
【0036】
二酸化炭素は、5〜23kg/時の速度で系に好適に圧送され得る。
【0037】
実施例1の場合、二酸化炭素を10kg/時の速度で系に圧送しながら、抽出チャンバ及び循環管路を26MPa及び338Kに維持した。これらの条件で、二酸化炭素は超臨界である。
挽きタバコの床を通して超臨界CO流体を流し、タバコの成分を溶解させた。タバコ成分を含有する超臨界COの流れは、次いでグリセロールを通過し、タバコ成分はグリセロール中に移行した。
【0038】
COを180分間循環させ、次いで系を除圧した。除圧段階の間に超臨界COからの抽出物の分離が行われた。COの除去は圧力及び温度の低減によって実現し、それと共に抽出された化合物がグリセロール中に吸収された。
【0039】
比較試験
比較試験を、実施例1と同じ条件を使用して実行した。しかし、装置は異なっていた。1.2kgのグリセロールを、抽出チャンバとは別個の分解チャンバ内に供給した。分離チャンバと抽出チャンバとは移送ラインで連結した。超臨界溶媒は、2つのチャンバを通して循環させた。
比較試験の他のすべての態様は実施例1と同じであった。
この比較試験は、欧州特許第1915064号に一般的に記載されるプロセスの代表的な実施例である。
【0040】
データ
【0041】
【表1】
【0042】
驚くべきことに、多チャンバ構成体(比較試験)ではなく単一チャンバ構成(実施例1)を使用すると、抽出物の組成が変わることがわかる。
【0043】
オリエンタル種又はバーレー種の出発タバコを使用したときに同様の結果が観察された。
【0044】
本明細書に記載される様々な実施形態は、特許請求される特徴の理解及び教示を助けるために提示されるに過ぎない。これらの実施形態は、実施形態の代表的な実例として提供されるに過ぎず、網羅的及び/又は排他的なものではない。本明細書に記載する利点、実施形態、実施例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求される範囲によって規定される通りの本発明の範囲を限定するもの、又は特許請求される範囲の等価物を限定するものとして考えられるべきではなく、特許請求される発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、修正を行うことができることが理解されるべきである。本発明の様々な実施形態は、本明細書に具体的に記載されるもの以外の、開示される要素、成分、特徴、部品、ステップ、手段などの適正な組み合わせを好適に含む、それらからなる、又はそれらから本質的になることができる。加えて、本開示は、現在のところ特許請求されていないが将来特許請求される可能性のある他の発明を含み得る。