特許第6988054号(P6988054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6988054粒状導電性アセチレンカーボンブラックの調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6988054
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】粒状導電性アセチレンカーボンブラックの調製方法
(51)【国際特許分類】
   C09C 1/58 20060101AFI20211220BHJP
   C09C 1/54 20060101ALI20211220BHJP
   C01B 32/00 20170101ALI20211220BHJP
   B01J 2/00 20060101ALI20211220BHJP
   H01B 1/04 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   C09C1/58
   C09C1/54
   C01B32/00
   B01J2/00 A
   H01B1/04
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-106503(P2020-106503)
(22)【出願日】2020年6月19日
(65)【公開番号】特開2021-31673(P2021-31673A)
(43)【公開日】2021年3月1日
【審査請求日】2020年6月19日
(31)【優先権主張番号】201910771382.0
(32)【優先日】2019年8月20日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520224546
【氏名又は名称】焦作市和▲興▼化学工▲業▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(72)【発明者】
【氏名】▲賈▼水利
(72)【発明者】
【氏名】焦菊▲ラン▼
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼▲寧▼▲寧▼
【審査官】 仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−113641(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/065438(WO,A1)
【文献】 特表2011−506656(JP,A)
【文献】 特開平02−145659(JP,A)
【文献】 特開平04−356565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09C 1/58
C09C 1/54
C01B 32/00
B01J 2/00
H01B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性アセチレンカーボンブラックの原料に対して、温度が80℃以上の脱イオン水による湿潤、湿式造粒及び乾燥を順に行うことを含み、
前記湿式造粒は、脱イオン水と前記温度が80℃以上の脱イオン水のみによる湿潤後の導電性アセチレンカーボンブラックの原料とを均一に混合することで行われ
前記温度が80℃以上の脱イオン水は、液水及び/又は圧力が0.5〜0.7MPaである水蒸気である
ことを特徴とする粒状導電性アセチレンカーボンブラックの調製方法。
【請求項2】
前記温度が80℃以上の脱イオン水は、液水であり、
前記湿潤は、前記導電性アセチレンカーボンブラックの原料と予め設定された量の温度が80℃以上の前記液水とを均一に混合することで行われる
ことを特徴とする請求項1に記載の粒状導電性アセチレンカーボンブラックの調製方法。
【請求項3】
前記導電性アセチレンカーボンブラックの原料と混合される前記液水との質量比が2.5:1〜3.5:1であることを特徴とする請求項2に記載の粒状導電性アセチレンカーボンブラックの調製方法。
【請求項4】
前記液水の温度が90℃以上であることを特徴とする請求項2に記載の粒状導電性アセチレンカーボンブラックの調製方法。
【請求項5】
前記液水の温度が95℃以上であることを特徴とする請求項2に記載の粒状導電性アセチレンカーボンブラックの調製方法。
【請求項6】
前記温度が80℃以上の脱イオン水は、水蒸気であり、
前記湿潤は、前記導電性アセチレンカーボンブラックの原料に予め設定された量の前記水蒸気を導入することで行われる
ことを特徴とする請求項1に記載の粒状導電性アセチレンカーボンブラックの調製方法。
【請求項7】
前記導電性アセチレンカーボンブラックの原料と導入される前記水蒸気の質量比が2.5:1〜3.5:1であることを特徴とする請求項6に記載の粒状導電性アセチレンカーボンブラックの調製方法。
【請求項8】
前記温度が80℃以上の脱イオン水は、液水と水蒸気とを任意の比例で混合してなるものであり、
前記湿潤は、前記導電性アセチレンカーボンブラックの原料と予め設定された量の温度が80℃以上の前記液水とを均一に混合することと、前記導電性アセチレンカーボンブラックの原料に予め設定された量の前記水蒸気を導入することで行われる
ことを特徴とする請求項1に記載の粒状導電性アセチレンカーボンブラックの調製方法。
【請求項9】
前記導電性アセチレンカーボンブラックの原料と、混合される前記液水及び導入される前記水蒸気の合計質量との質量比が2.5:1〜3.5:1であることを特徴とする請求項8に記載の粒状導電性アセチレンカーボンブラックの調製方法。
【請求項10】
前記導電性アセチレンカーボンブラックの原料と前記脱イオン水との質量比が2.5:6.5〜3.5:5.5であることを特徴とする請求項2又は3又は4に記載の粒状導電性アセチレンカーボンブラックの調製方法。
【請求項11】
目標粒径の粒状導電性アセチレンカーボンブラックを篩分することをさらに含み、前記篩分が前記乾燥のあと又は前記乾燥と同時に行われることを特徴とする請求項1に記載の粒状導電性アセチレンカーボンブラックの調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、導電性カーボンブラックの技術分野に属し、具体的に、粒状導電性カーボンブラック及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性カーボンブラックは、水不溶性のものであり、造粒時に脱イオン水だけを用いて湿潤攪拌を行うと、均一に撹拌することができなく、造粒後の粒子の範囲が、0.2〜0.6mmとなり、比較的に広い。分散剤を加える改善すると、不純物が間接的に導入され粒状アセチレンブラックの純度が下がるようになり、一部の製品要求を満たすことができなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本出願に係る粒状導電性カーボンブラック及びその調製方法は、導電性カーボンブラックの原料の親水性を改善し、調製できた粒状導電性カーボンブラックの粒径の大小をコントロールすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願における実施例は、下記のように実現される。
【0005】
第1の局面として、本出願における例による粒状導電性カーボンブラックの調製方法は、導電性カーボンブラックの原料に対して、温度が80℃以上の水による湿潤、湿式造粒及び乾燥を順に行うことを含む。
【0006】
上記の技術案では、導電性カーボンブラックの原料が水不溶性なものであるため、発明者の検討により、導電性カーボンブラックの原料に対して、温度が80℃以上の水による湿潤及び造粒を順に行う場合、導電性カーボンブラックの原料の分散性が優れ、その効果が分散剤を加える場合の効果と同等することを見出した。
【0007】
温度が80℃以上の水は、常温の脱イオン水と比べ、表面張力より小さく、カーボンブラックの微孔構造により進入しやすく、導電性カーボンブラックの原料の表面に水膜が形成されにくく、導電性カーボンブラックの原料の微孔構造に進入することに寄与でき、湿潤効果が良好であることを、発明者がさらに見出した。さらに、湿式造粒及び乾燥により、粒径均一な粒状導電アセチレンブラックを調製することができる。
【0008】
そして、本出願では、温度が80℃以上の水による湿潤だけで導電性カーボンブラックの原料の親水性を改善し、分散剤を加えないため、調製できた粒状導電性カーボンブラックが純粋である。
【0009】
第1の局面において、本出願における第1の局面の第1種の好ましい例として、温度が80℃以上の水が液水であり、湿潤が、導電性カーボンブラックの原料と予め設定された量の温度が80℃以上の液水とを均一に混合することで行われる。
【0010】
好ましくは、導電性カーボンブラックの原料と混合される液水との質量比が2.5:1〜3.5:1である。
【0011】
好ましくは、液水の温度が90℃以上である。
【0012】
好ましくは、液水の温度が95℃以上である。
【0013】
上記の例では、温度が80℃以上の水が液水である場合、表面張力がより小さく、カーボンブラックの微孔構造に進入しやすく、導電性カーボンブラックの原料の表面に水膜が形成されにくく、導電性カーボンブラックの原料の微孔構造に進入することに寄与でき、湿潤効果が良好である。
【0014】
第1の局面において、本出願における第1の局面の第2種の好ましい例として、温度が80℃以上の水が水蒸気であり、湿潤が、導電性カーボンブラックの原料に予め設定された量の水蒸気を導入することで行われる。
【0015】
好ましくは、導電性カーボンブラックの原料と導入される水蒸気との質量比が2.5:1〜3.5:1である。
【0016】
上記の例では、水蒸気が液水である場合、表面張力がより小さく、カーボンブラックの微孔構造に進入しやすく、導電性カーボンブラックの原料の表面に水膜が形成されにくく、導電性カーボンブラックの原料の微孔構造に進入することに寄与でき、湿潤効果が良好である。
【0017】
第1の局面において、本出願における第1の局面の第3種の好ましい例として、温度が80℃以上の水が液水と水蒸気とを任意の比例で混合してなるものであり、湿潤が、導電性カーボンブラックの原料と予め設定された量の温度が80℃以上の液水とを均一に混合することと、導電性カーボンブラックの原料に予め設定された量の水蒸気を導入することで行われる。
【0018】
好ましくは、導電性カーボンブラックの原料と、混合される液水及び導入される水蒸気の合計質量との質量比が2.5:1〜3.5:1である。
【0019】
上記の例では、水蒸気と液水とを混合して使用することにより導電性カーボンブラックの原料を湿潤する目的を達することができる。
【0020】
第1の局面において、本出願における第1の局面の第4種の好ましい例として、上記の水蒸気の圧力が0.5〜0.7MPaである。
【0021】
上記の例では、上記の水蒸気の圧力が、水蒸気が導電性カーボンブラックの原料の微孔構造に進入して、導電性カーボンブラックの原料の浸潤効果及び効率を向上させることに寄与できる。
【0022】
また、高温状態で、酸素ガスが存在する場合、導電性カーボンブラックの原料が酸化される恐れがあるため、酸素ガス含有のガスを導入することができない。
【0023】
第1の局面において、本出願における第1の局面の第5種の好ましい例として、上記の湿式造粒は、溶媒と温度が80℃以上の水による湿潤後の導電性カーボンブラックの原料とを均一に混合することで行われる。
【0024】
溶媒は水を含む。
【0025】
好ましくは、導電性カーボンブラックの原料と溶媒との質量比が2.5:6.5〜3.5:5.5である。
【0026】
上記の例では、温度が80℃以上の水による浸潤、及び導電性カーボンブラックの原料と水の直接混合により、造粒の目的を果たす。これによって、温度が80℃以上の水の用量が省かれ、エネルギ及びコストが抑えられるとともに、両者により浸潤効果がよりよくなる。
【0027】
第1の局面において、本出願における第1の局面の第6種の好ましい例として、上記の粒状導電性カーボンブラックの調製方法が、目標粒径の粒状導電性カーボンブラックを篩分することをさらに含み、篩分が乾燥のあと又は乾燥と同時に行われる。
【0028】
上記の例では、篩分により、規定粒径範囲以外の粒状導電性カーボンブラックを篩い出し、調製できた粒状導電性カーボンブラックを規定粒径分布範囲内に収める。
【0029】
第2の局面は、本出願における例による粒状導電性カーボンブラックが、上記の粒状導電性カーボンブラックの調製方法により調製される。
【0030】
上記の技術案では、該粒状導電性カーボンブラックが、性能が優れ、新型鉛蓄電池、リチウム一次、二次電池及び超高圧ケーブル等の分野に広く利用できる。
【0031】
第2の局面において、本出願における第2の局面の第1種の好ましい例として、上記の粒状導電性カーボンブラックの粒径分布が0.6〜1mmであり、粒状導電性カーボンブラックの2次粒径分布が4〜8μmである。
【0032】
上記の例では、粒状導電性カーボンブラックの粒径分布が0.6〜1mmである場合、生産要求を満たすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、実施例を用いて本出願の実施案を詳細に説明するが、下記の実施例は、本出願を説明するものに過ぎず、本出願の範囲を限定するものではない。実施例において、具体的な条件を明記しないものについて、従来の条件又はメーカーの勧めの条件下で行うことが可能である。使用する試剤又は器械のうちの製造メーカーが明記されていないものが、市販の従来品を使用することが可能である。
【0034】
導電性カーボンブラックの原料は、不溶性のものである。発明者の検討により以下のことを見出した。導電性カーボンブラックの原料は、多くの微孔構造を含む。導電性カーボンブラックの原料と脱イオン水とを直接混合して造粒する場合、脱イオン水が表面張力で導電性カーボンブラックの原料の表面に水膜を形成し、導電性カーボンブラックの原料と脱イオン水との更なる結合が阻止されるので、導電性カーボンブラックの原料の湿潤効果、造粒効果が悪くなり、造粒の均一性も悪くなる。
【0035】
とくに、カーボンブラック吸油量が220ml/L以上、ヨウ素の吸着性能が60〜100mg/gである導電性カーボンブラックの原料は、一般のゴム及び樹脂に適用できるとともに、新型鉛蓄電池、リチウム一次、二次電池及び超高圧ケーブル等の分野にも適用できるが、その水溶性が極めて劣る。
【0036】
以下、本出願における実施例による粒状導電性カーボンブラック及びその調製方法を具体的に説明する。
【0037】
本出願による粒状導電性カーボンブラック調製方法は、導電性カーボンブラックの原料に対して、温度が80℃以上の水による湿潤、湿式造粒及び乾燥を順に行うことを含む。
【0038】
温度が80℃以上の水は、液水及び/又は水蒸気を含む。
【0039】
本出願における実施例では、温度が80℃以上の水は、高温の液水又は水蒸気であってもく、高温の液水と水蒸気をともに使用してもよい。
【0040】
温度が80℃以上の水が液水である場合、湿潤は、導電性カーボンブラックの原料と予め設定された量の温度が80℃以上の液水とを均一に混合することで行われる。
【0041】
温度が80℃以上の水が水蒸気である場合、湿潤は、導電性カーボンブラックの原料に予め設定された量の水蒸気を導入することで行われる。
【0042】
温度が80℃以上の水が液水と水蒸気とを任意の比例で混合してなるものである場合、湿潤は、導電性カーボンブラックの原料と予め設定された量の温度が80℃以上の液水とを均一に混合することと、導電性カーボンブラックの原料に予め設定された量の水蒸気を導入することで行われる。
【0043】
なお、液水を霧化して導電性カーボンブラックの原料表面に直接噴射してもよい。
【0044】
高温の液水と水蒸気とを混合して使用する場合、両者は、任意の比例で混合されてもよい。質量比で90%の高温液水と10%の水蒸気と、質量比で80%の高温液水と20%の水蒸気と、質量比で50%の高温液水と20%の水蒸気と、質量比で20%の高温液水と80%の水蒸気と、又は、質量比で10%の高温液水と90%の水蒸気とが混合されてもいが、これらに限定されない。
【0045】
高温液水は、80℃、90℃、又は95℃のものを使用することが可能である。
【0046】
好ましくは、高温液水の温度が90℃以上である。
【0047】
好ましくは、液水の温度が、95℃以上である。
【0048】
温度が80℃以上の水は、常温の脱イオン水と比べ、表面張力がより小さく、カーボンブラックの微孔構造により進入しやすいので、導電性カーボンブラックの原料の表面において水膜が形成されにくい。このため、温度が80℃以上の水が導電性カーボンブラックの原料の微孔構造に進入して良好に湿潤を行い、さらに、湿式造粒及び乾燥により粒径均一な粒状導電アセチレンブラックを調製することに寄与できる。
【0049】
温度が80℃以上の水が水蒸気を含む場合、水蒸気の圧力を0.5〜0.7MPaにする。適切の圧力は、水蒸気を導電性カーボンブラックの原料の微孔構造に速く進入させることに寄与できる。
【0050】
本出願における実施例では、水蒸気の圧力が、0.5MPaであってもよく、0.6MPa又は0.7MPaであってもよい。
【0051】
なお、上記の圧力は、絶対圧であり、1気圧の圧力が0.1MPaであることから、気圧に対する相対圧力が0.4〜0.6MPaとなる。
【0052】
好ましくは、一部の性能要求を満たすため、本出願の導電性カーボンブラックの原料のカーボンブラック吸油量が220ml/L以上であり、導電性カーボンブラック料のヨウ素吸着性能が60〜100mg/gである。
【0053】
湿式造粒は、温度が80℃以上の水で湿潤された導電性カーボンブラックの原料を湿式造粒機内に入れて行われる。必要の場合に溶媒を加える。
【0054】
なお、湿式造粒してなる粒状導電性カーボンブラックにおける水の質量比は、65〜75%となる。温度が80℃以上の水で湿潤された導電性カーボンブラックの原料における水の質量比が65〜75%未満となる場合、湿式造粒時に溶媒を加える必要がある。
【0055】
本出願における実施例では、湿式造粒してなる粒状導電性カーボンブラックにおける水の質量比は、65%、70%又は75%であってもよい。
【0056】
溶媒は、水、カルボキシメチルセルロース水溶液、はちみつ水溶液及びリグニンのうちの1種又は複数種を含む。溶媒がカルボキシメチルセルロース水溶液、はちみつ水溶液及びリグニンのうちの1種又は複数種である場合、導電性カーボンブラックの原料における溶媒の質量比を改めて調整する必要がある。
【0057】
通常、溶媒は、水である。
【0058】
上記の導電性カーボンブラックの原料を温度が80℃以上の水で湿潤する場合、導電性カーボンブラックの原料と温度が80℃以上の水との質量比が2.5:1〜3.5:1である。
【0059】
十分の予算がある場合、温度が80℃以上の水による湿潤で導電性カーボンブラックの原料における水の質量比を65〜75%にし、湿式造粒において溶媒を添加しないようにしてもよい。
【0060】
経済的な案として、取り敢えず、温度が80℃以上の水による湿潤で導電性カーボンブラックの原料における水の質量比を8〜12%にし、そして、湿式造粒において常温の脱イオン水を加えて乾燥前の粒状導電性カーボンブラックの原料における水の質量比を65〜75%にする。
【0061】
また、温度が80℃以上の水による湿潤で導電性カーボンブラックの原料における水の質量比を8〜12%超にし、湿式造粒において残り分の溶媒を添加するようにしてもよい。
【0062】
即ち、上記の導電性カーボンブラックの原料を温度が80℃以上の水で湿潤するとき、導電性カーボンブラックの原料と温度が80℃以上の水との質量比を2.5:1〜3.5:1にし、湿式造粒時に導電性カーボンブラックの原料と脱イオン水との質量比を2.5:6.5〜3.5:5.5にする。
【0063】
該方法により、一部の水の温度を80℃以上に加熱する必要がないので、経済的な選択肢である。該方法において、導電性カーボンブラックの原料は、一部の温度が80℃以上の水によってすでに浸潤され、そのあとの湿式造粒過程において、その他の脱イオン水と結合して粒状導電性カーボンブラックの原料を得る。
【0064】
乾燥は、順に行われる20〜60minの第1回乾燥と、20〜60minの第2回乾燥と、20〜60minの第3回乾燥を含む。
【0065】
ただし、第1回乾燥の温度が120〜180℃であり、第2回乾燥の温度が220〜280℃であり、第3回乾燥の温度が120〜180℃である。第1回乾燥の比較的に低い温度によって、粒状導電性カーボンブラックにおける溶媒を徐々に揮発させることができる。第2回乾燥において比較的に高い温度に昇温させることは、溶媒の揮発過程において、粒状導電性カーボンブラックをより安定な構成に形成させることに寄与できる。第3回乾燥の降温で、粒状導電性カーボンブラックの最後の脱溶媒処理を完成させる。
【0066】
本出願における実施例では、第1回乾燥の温度は、120℃、150℃、又は180℃であってもよく、120〜150℃、150〜180℃、又は120〜180℃であってもよい。第2回乾燥の温度は、220℃、250℃、又は280℃であってもよく、220〜250℃、250〜280℃、220〜280℃であってもよい。第3回乾燥の温度は、120℃、150℃、又は180℃であってもよい、120〜150℃、150〜180℃、又は120〜180℃であってもよい。
【0067】
好ましくは、乾燥過程において又は乾燥のあとに、粒状導電性カーボンブラックに対して篩分を行う。
【0068】
篩分は、規定粒径範囲以外の粒状導電性カーボンブラックを篩い出すものであり、調製できた粒状導電性カーボンブラックを規定粒径分布範囲内に収めることができる。
【0069】
本出願による粒状導電性カーボンブラックは、上記の粒状導電性カーボンブラックの調製方法により調製されるものである。
【0070】
該粒状導電性カーボンブラックの粒径分布が0.6〜1mmとなり、粒状導電性カーボンブラックの2次粒径の分布が4〜8μmとなるため、一般のゴム及び樹脂に適用できるとともに、新型鉛蓄電池、リチウム一次、二次電池及び超高圧ケーブル等の分野にも適用できる。
【0071】
なお、上記の2次粒径は、D50の2次粒径であり、即ち粒状導電性カーボンブラックにおける50%の粒子の2次粒径である。
【0072】
以下、実施例を用いて本出願に係る粒状導電性カーボンブラック及びその調製方法をさらに詳しく説明する。
【0073】
実施例1
【0074】
本出願における実施例により、粒状導電性カーボンブラック及びその調製方法を提供し、その調製方法は、以下ステップを含む。
【0075】
1.湿潤
【0076】
カーボンブラック吸油量が220ml/L以上であり、ヨウ素吸着性能が60〜100mg/gである導電性カーボンブラックの原料を用い、導電性カーボンブラックの原料と0.6MPaの水蒸気とを3:1の質量比で浸潤装置に導入して浸潤を行い、同時に、窒素ガスを導入して浸潤装置内の圧力を一定に保つ。
【0077】
2.湿式造粒
【0078】
水蒸気により湿潤された導電性カーボンブラックの原料を湿式造粒機内に入れ、脱イオン水を加えて湿式造粒を行う。調製できた粒状導電性カーボンブラックにおける水の質量比が70%となるように、加えられる脱イオン水と導電性カーボンブラックの原料との質量比を6:3にする。
【0079】
3.乾燥
【0080】
粒状導電性カーボンブラックに対して、30minの温度が150℃である第1回乾燥、30minの温度が250℃である第2回乾燥及び30minの温度が150℃である第3回乾燥をそれぞれ行って粒状導電性カーボンブラックを得る。
【0081】
実施例2
【0082】
本出願における実施例により、粒状導電性カーボンブラック及びその調製方法を提供し、その調製方法は、以下ステップを含む。
【0083】
1.湿潤
【0084】
カーボンブラック吸油量が220ml/L以上であり、ヨウ素吸着性能が60〜100mg/gである導電性カーボンブラックの原料を用い、導電性カーボンブラックの原料と90℃の高温水とを3:1の質量比で浸潤装置に導入して浸潤を行い、同時に、窒素ガスを導入して浸潤装置内の圧力を一定に保つ。
【0085】
2.湿式造粒
【0086】
温度が90℃である高温液水により湿潤された導電性カーボンブラックの原料を湿式造粒機内に入れ、脱イオン水を加えて湿式造粒を行う。調製できた粒状導電性カーボンブラックにおける水の質量比が70%となるように、加えられる脱イオン水と導電性カーボンブラックの原料との質量比を6:3にする。
【0087】
3.乾燥
【0088】
粒状導電性カーボンブラックに対して、30minの温度が150℃である第1回乾燥、30minの温度が250℃である第2回乾燥及び30minの温度が150℃である第3回乾燥をそれぞれ行って粒状導電性カーボンブラックを得る。
【0089】
実施例3
【0090】
本出願における実施例により、粒状導電性カーボンブラック及びその調製方法を提供し、その調製方法は、以下ステップを含む。
【0091】
1.湿潤
【0092】
カーボンブラック吸油量が220ml/L以上であり、ヨウ素吸着性能が60〜100mg/gである導電性カーボンブラックの原料を用い、導電性カーボンブラックの原料と、質量比が50%である0.7MPaの水蒸気及び50%である80℃の高温水からなる混合水とを、2.5:1の質量比で浸潤装置に導入して浸潤を行い、同時に、窒素ガスを導入して浸潤装置内の圧力を一定に保つ。
【0093】
2.湿式造粒
【0094】
温度が80℃以上の水により湿潤された導電性カーボンブラックの原料を湿式造粒機内に入れ、脱イオン水を加えて湿式造粒を行う。調製できた粒状導電性カーボンブラックにおける水の質量比が75%となるように、加えられる脱イオン水と導電性カーボンブラックの原料との質量比を6.5:2.5にする。
【0095】
3.乾燥
【0096】
粒状導電性カーボンブラックに対して、20minの温度が180℃である第1回乾燥、60minの温度が280℃である第2回乾燥及び20minの温度が180℃である第3回乾燥をそれぞれ行って粒状導電性カーボンブラックを得る。
【0097】
実施例4
【0098】
本出願における実施例により、粒状導電性カーボンブラック及びその調製方法を提供し、その調製方法は、以下ステップを含む。
【0099】
1.湿潤
【0100】
カーボンブラック吸油量が220ml/L以上であり、ヨウ素吸着性能が60〜100mg/gである導電性カーボンブラックの原料を用い、導電性カーボンブラックの原料と、質量比が50%である0.5MPaの水蒸気及び20%である95℃の高温水からなる混合水とを、3.5:1の質量比で浸潤装置に導入して浸潤を行い、同時に、窒素ガスを導入して浸潤装置内の圧力を一定に保つ。
【0101】
2.湿式造粒
【0102】
温度が80℃以上の水により湿潤された導電性カーボンブラックの原料を湿式造粒機内に入れ、脱イオン水を加えて湿式造粒を行う。調製できた粒状導電性カーボンブラックにおける水の質量比が65%となるように、加えられる脱イオン水と導電性カーボンブラックの原料との質量比を5.5:3.5にする。
【0103】
3.乾燥
【0104】
粒状導電性カーボンブラックに対して、60minの温度が120℃である第1回乾燥、20minの温度が220℃である第2回乾燥及び60minの温度が120℃である第3回乾燥をそれぞれ行って粒状導電性カーボンブラックを得る。
【0105】
実施例5
【0106】
本出願における実施例により、粒状導電性カーボンブラック及びその調製方法を提供し、その調製方法は、以下ステップを含む。
【0107】
1.湿潤
【0108】
カーボンブラック吸油量が220ml/L以上であり、ヨウ素吸着性能が60〜100mg/gである導電性カーボンブラックの原料を用い、導電性カーボンブラックの原料と0.6MPaの水蒸気とを3:7の質量比で浸潤装置に導入して浸潤を行い、同時に、窒素ガスを導入して浸潤装置内の圧力を一定に保つ。
【0109】
2.湿式造粒
【0110】
水蒸気により湿潤された導電性カーボンブラックの原料を湿式造粒機内に入れ、湿式造粒を行って、調製できた粒状導電性カーボンブラックにおける水の質量比を70%にする。
【0111】
3.乾燥
【0112】
粒状導電性カーボンブラックに対して、温度が150℃である第1回乾燥、温度が250℃である第2回乾燥及び温度が150℃である第3回乾燥をそれぞれ行って粒状導電性カーボンブラックを得る。
【0113】
実施例6
【0114】
本出願における実施例により、粒状導電性カーボンブラック及びその調製方法を提供し、その調製方法は、以下ステップを含む。
【0115】
1.湿潤
【0116】
カーボンブラック吸油量が220ml/L以上であり、ヨウ素吸着性能が60〜100mg/gである導電性カーボンブラックの原料を用い、導電性カーボンブラックの原料と0.1MPaの水蒸気とを3:1の質量比で浸潤装置に導入して浸潤を行い、同時に、窒素ガスを導入して浸潤装置内の圧力を一定に保つ。
【0117】
2.湿式造粒
【0118】
水蒸気により湿潤された導電性カーボンブラックの原料を湿式造粒機内に入れ、脱イオン水を加えて湿式造粒を行う。調製できた粒状導電性カーボンブラックにおける水の質量比が70%となるように、加えられる脱イオン水と導電性カーボンブラックの原料との質量比を6:3にする。
【0119】
3.乾燥
【0120】
粒状導電性カーボンブラックに対して、30minの温度が150℃である第1回乾燥、30minの温度が250℃である第2回乾燥及び30minの温度が150℃である第3回乾燥をそれぞれ行って粒状導電性カーボンブラックを得る。
【0121】
実施例7
【0122】
本出願における実施例により、粒状導電性カーボンブラック及びその調製方法を提供し、その調製方法は、以下ステップを含む。
【0123】
1.湿潤
【0124】
カーボンブラック吸油量が220ml/L以上であり、ヨウ素吸着性能が60〜100mg/gである導電性カーボンブラックの原料を用い、導電性カーボンブラックの原料と0.6MPaの水蒸気とを3:1の質量比で浸潤装置に導入して浸潤を行い、同時に、窒素ガスを導入して浸潤装置内の圧力を一定に保つ。
【0125】
2.湿式造粒
【0126】
水蒸気により湿潤された導電性カーボンブラックの原料を湿式造粒機内に入れ、脱イオン水を加えて湿式造粒を行う。調製できた粒状導電性カーボンブラックにおける水の質量比が70%となるように、加えられる脱イオン水と導電性カーボンブラックの原料との質量比を6:3にする。
【0127】
3.乾燥
【0128】
粒状導電性カーボンブラックに対して90minの温度が200℃である乾燥を行う。
【0129】
比較例1
【0130】
本出願における比較例により、粒状導電性カーボンブラック及びその調製方法を提供し、その調製方法は、以下ステップを含む。
【0131】
1、湿式造粒
【0132】
カーボンブラック吸油量が220ml/L以上であり、ヨウ素吸着性能が60〜100mg/gである導電性カーボンブラックの原料を用い、導電性カーボンブラックの原料を湿式造粒機内に入れ、脱イオン水を加えて湿式造粒を行う。調製できた粒状導電性カーボンブラックにおける水の質量比が70%となるように、加えられる脱イオン水と導電性カーボンブラックの原料との質量比を7:3にする。
【0133】
2、乾燥
【0134】
粒状導電性カーボンブラックに対して、30minの温度が150℃である第1回乾燥、30minの温度が250℃である第2回乾燥及び30minの温度が150℃である第3回乾燥をそれぞれ行って粒状導電性カーボンブラックを得る。
【0135】
比較例2
【0136】
本出願における比較例により、粒状導電性カーボンブラック及びその調製方法を提供し、その調製方法は、以下ステップを含む。
【0137】
1、湿式造粒
【0138】
カーボンブラック吸油量が220ml/L以上であり、ヨウ素吸着性能が60〜100mg/gである導電性カーボンブラックの原料を用い、導電性カーボンブラックの原料を湿式造粒機内に入れ、脱イオン水及びポリビニルピロリドン分散剤を加えて湿式造粒を行う。調製できた粒状導電性カーボンブラックにおける水の質量比が70%となるように、加えられる脱イオン水と導電性カーボンブラックの原料との質量比を5:5にする。
【0139】
2、乾燥
【0140】
粒状導電性カーボンブラックに対して、30minの温度が150℃である第1回乾燥、30minの温度が250℃である第2回乾燥及び30minの温度が150℃である第3回乾燥をそれぞれ行って粒状導電性カーボンブラックを得る。
【0141】
比較例3
【0142】
本出願における比較例により、粒状導電性カーボンブラック及びその調製方法を提供し、その調製方法は、以下ステップを含む。
【0143】
1.湿潤
【0144】
カーボンブラック吸油量が220ml/L以上であり、ヨウ素吸着性能が60〜100mg/gである導電性カーボンブラックの原料を用い、導電性カーボンブラックの原料と50℃の水とを3:1の質量比で浸潤装置に導入して浸潤を行い、同時に、窒素ガスを導入して浸潤装置内の圧力を一定に保つ。
【0145】
2.湿式造粒
【0146】
温度が90℃である高温液水により湿潤された導電性カーボンブラックの原料を湿式造粒機内に入れ、脱イオン水を加えて湿式造粒を行う。調製できた粒状導電性カーボンブラックにおける水の質量比が70%となるように、加えられる脱イオン水と導電性カーボンブラックの原料との質量比を6:3にする。
【0147】
3.乾燥
【0148】
粒状導電性カーボンブラックに対して、30minの温度が150℃である第1回乾燥、30minの温度が250℃である第2回乾燥及び30minの温度が150℃である第3回乾燥をそれぞれ行って粒状導電性カーボンブラックを得る。
【0149】
比較例4
【0150】
本出願における比較例により、粒状導電性カーボンブラック及びその調製方法を提供し、その調製方法は、以下ステップを含む。
【0151】
1.湿潤
【0152】
カーボンブラック吸油量が220ml/L以上であり、ヨウ素吸着性能が60〜100mg/gである導電性カーボンブラックの原料を用い、導電性カーボンブラックの原料と0.6MPaの水蒸気とを1:1の質量比で浸潤装置に導入して浸潤を行い、同時に、窒素ガスを導入して浸潤装置内の圧力を一定に保つ。
【0153】
2.湿式造粒
【0154】
水蒸気により湿潤された導電性カーボンブラックの原料を湿式造粒機内に入れ、脱イオン水を加えて湿式造粒を行う。調製できた粒状導電性カーボンブラックにおける水の質量比が90%となるように、加えられる脱イオン水と導電性カーボンブラックの原料との質量比を8:1にする。
【0155】
3.乾燥
【0156】
粒状導電性カーボンブラックに対して、30minの温度が150℃である第1回乾燥、30minの温度が250℃である第2回乾燥及び30minの温度が150℃である第3回乾燥をそれぞれ行って粒状導電性カーボンブラックを得る。
【0157】
比較例5
【0158】
本出願における比較例により、粒状導電性カーボンブラック及びその調製方法を提供し、その調製方法は、以下ステップを含む。
【0159】
1.湿潤
【0160】
カーボンブラック吸油量が220ml/L以上であり、ヨウ素吸着性能が60〜100mg/gである導電性カーボンブラックの原料を用い、導電性カーボンブラックの原料と0.6MPaの水蒸気とを1:5の質量比で浸潤装置に導入して浸潤を行い、同時に、窒素ガスを導入して浸潤装置内の圧力を一定に保つ。
【0161】
2.湿式造粒
【0162】
水蒸気により湿潤された導電性カーボンブラックの原料を湿式造粒機内に入れ、脱イオン水を加えて湿式造粒を行う。調製できた粒状導電性カーボンブラックにおける水の質量比が50%となるように、加えられる脱イオン水と導電性カーボンブラックの原料との質量比を4:5にする。
【0163】
3.乾燥
【0164】
粒状導電性カーボンブラックに対して、30minの温度が150℃である第1回乾燥、30minの温度が250℃である第2回乾燥及び30minの温度が150℃である第3回乾燥をそれぞれ行って粒状導電性カーボンブラックを得る。
【0165】
実験例1
【0166】
実施例1〜7及び比較例1〜5により調製できた乾燥後の粒状導電性カーボンブラックのそれぞれを用いて、下記の試験を行う。
【0167】
GB/T14853.6に規定の方法でカーボンブラック吸油量を測定し、GB/T3780.1に規定のアセチレンブラックのヨウ素吸着量試験方法でヨウ素吸着量を測定し、GB/T14853.6に規定の方法でアセチレンブラックの粒子強度を測定し、GB/T14853.5−2013に規定のゴム用造粒カーボンブラックの第5部分の粒子サイズ分布の方法で平均粒径及び最大粒径を測定し、GB/T19077.1に規定の方法でアセチレンブラックの2次粒径(D50)を測定し、GB/T3781.5に規定の方法でアセチレンブラックにおける粗粒分(325メッシュ)を測定し、分光光度法で鉄含有量を測定する。そのデータは、表1に示される。
【0168】
【表1】
【0169】
実施例1、実施例2、実施例3、実施例4及び実施例5から分かるように、水蒸気及び/又はお湯で浸潤された導電性カーボンブラックの原料は、いずれも親水性が改善され、ほぼ全部の調製できた粒状導電性カーボンブラックの粒径分布が0.6〜1mmに収められた。
【0170】
実施例1と実施例6の比較から分かるように、水蒸気の圧力が比較的に小さい場合、水蒸気が導電性カーボンブラックの原料に完全に進入できないため、調製できた粒状導電性カーボンブラックの粒径分布が劣り、粒径分布が0.4〜0.95mmとなり、最大粒径が1.35mmとなる。
【0171】
実施例1と実施例7の比較から分かるように、段階的に乾燥しなかった粒状導電性カーボンブラックの粒径分布が劣り、粒径分布が0.51〜1.34mmとなり、最大粒径が1.41mmとなる。
【0172】
実施例1と比較例1の比較から分かるように、脱イオン水と導電性カーボンブラックの原料とを直接混合する場合、調製できた粒状導電性カーボンブラックの平均粒径が0.2〜0.7mmとなり、脱イオン水が導電性カーボンブラックの原料を浸潤できなく、脱イオン水と導電性カーボンブラックの原料との混合が劣る。
【0173】
実施例1と比較例2の比較から分かるように、分散剤の分散性が優れるが、分散剤により新たな不純物が導入され、調製できた粒状導電性カーボンブラックが不純になる。
【0174】
実施例2と比較例3の比較から分かるように、50℃の水の浸潤効果が劣るため、脱イオン水と導電性カーボンブラックの原料との混合が劣り、調製できた粒状導電性カーボンブラックの平均粒径が0.3〜0.71mmとなる。
【0175】
実施例1と比較例4、5の比較から分かるように、導電性カーボンブラックの原料に対する脱イオン水の添加が過量になる場合、粒子が窪んで粒状にすることができなく、導電性カーボンブラックの原料に対する脱イオン水の添加が過少になる場合、粒子が固まらなくて裂けるようになり、造粒性が劣る。
【0176】
上記のように、本出願における実施例による粒状導電性カーボンブラック及びその調製方法のうちの、粒状導電性カーボンブラックの調製方法は、温度が80℃以上の水で導電性カーボンブラックの原料を浸潤することにより、導電性カーボンブラックの原料の親水性を向上させ、温度が80℃以上の水が導電性カーボンブラックの原料の微孔構造に進入できるので、湿潤効果が良好である。さらに、湿式造粒及び乾燥により、粒径均一な粒状導電アセチレンブラックが調製される。調製できた粒状導電性カーボンブラックの粒径分布が0.6〜1mmとなり、2次粒径分布が4〜8μmとなり、一般のゴム及び樹脂に適用できるとともに、新型鉛蓄電池、リチウム一次、二次電池及び超高圧ケーブル等の分野にも適用できる。
【0177】
上記は、本出願の具体的な実施例にすぎず、本出願を限定するものではない。当業者にとって、本出願が各種の変更や改良されてもよい。本出願の精神及び主旨から逸脱しない限り、行われる如何なる変更、均等置換、改良等は、いずれも本出願の保護範囲内に属する。