特許第6988088号(P6988088)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6988088
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】送風装置及び衣服
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/002 20060101AFI20211220BHJP
   F04D 29/40 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   A41D13/002 105
   F04D29/40
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-252251(P2016-252251)
(22)【出願日】2016年12月27日
(65)【公開番号】特開2018-104845(P2018-104845A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年6月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】喜嶋 裕司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 高史
(72)【発明者】
【氏名】神田 伊吹
(72)【発明者】
【氏名】小林 晃洋
【審査官】 原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/009108(WO,A1)
【文献】 特開平07−000225(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0270457(US,A1)
【文献】 特開2005−016419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/002
F04D 29/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が着る衣服に形成される取り付け孔に着脱可能であって、前記衣服の外部の空気を前記衣服の内部に送り込むファンを有するファン本体と、
前記ファン本体に対して着脱可能なアダプタと、
を備えた送風装置であって、
前記アダプタは、複数の突起を有し、
前記ファン本体は、
前記ファンの軸方向に沿って前後方向に延びる筒部と、
前記筒部の外周面において、前記筒部の円周方向の異なる位置に、前記筒部の円周方向に沿って延びるよう設けられた複数のガイドレールと、
前記筒部の外周面において、前記複数のガイドレールの前方の位置に、前記筒部の円周方向に沿ってそれぞれ一端から他端に延びるよう設けられた複数の取り付け溝と、
前記筒部の前記外周面において、前記複数の取り付け溝の前方の位置に、前記筒部の円周方向に沿って延びるように設けられ、前記筒部から突出されたフランジと、
前記複数のガイドレールの間において、前記筒部の軸方向に延びるように設けられた複数の切り欠きであって、前記複数の切り欠きを構成する各々の切り欠きが前記複数の取り付け溝を構成する各々の取り付け溝の前記一端につながるように設けられた複数の切り欠きと、
を有し、
前記フランジの外径は、前記筒部の外径よりも大きく、
前記複数の取り付け溝と前記フランジとが、前記ファンの軸方向に並んで配置され、
前記複数の取り付け溝を構成する各々の取り付け溝は、前記フランジ側に向かって幅が狭くなるよう構成され、
前記アダプタ及び前記ファン本体の前記衣服への装着は、
前記複数の突起を構成する各々の突起を前記複数の切り欠きを構成する各々の切り欠きに対して前記筒部の軸方向に進入させて、前記フランジと前記アダプタで前記衣服を挟み、
前記フランジと前記アダプタで前記衣服を挟んだ後に、前記アダプタと前記ファン本体を、前記ファンの軸方向に交差する方向に相対回転させることで行われ、
前記アダプタと前記ファン本体とが相対回転されると、前記複数の突起を構成する各々の突起が前記複数の取り付け溝を構成する各々の取り付け溝内で移動するよう構成されている、
送風装置。
【請求項2】
前記取り付け孔は円形であり、
前記フランジの外径は、多角形状をなすとともに、前記筒部の外径よりも大き
請求項1に記載の送風装置。
【請求項3】
前記複数の取り付け溝を構成する各々の取り付け溝は、第1取り付け溝と、前記筒部の円周方向において前記第1取り付け溝の奥に設けられた第2取り付け溝と、前記第1取り付け溝と前記第2取り付け溝とを接続する段差部とを含み、前記第2取り付け溝は前記第1取り付け溝よりも前記フランジ側に向かって幅が狭くなるよう構成され、
前記ファン本体及び前記アダプタを停止させると、前記アダプタと前記ファン本体とが互いに固定される、
請求項1または2に記載の送風装置。
【請求項4】
前記ファン本体は、
前記ファンの軸方向と略平行に前記空気を吸い込む吸気口と、
前記空気を排出する排気口と、
を有する、請求項1乃至の何れか1項記載の送風装置。
【請求項5】
前記ファン本体は、
前記ファンの軸方向と略平行に前記空気を吸い込む吸気口と、
前記空気を排出する排気口と、
を有し、
前記取り付け溝は、前記ファンの軸方向において前記吸気口と前記排気口との間に配置される、
請求項1乃至の何れか1項記載の送風装置。
【請求項6】
前記ファンを駆動するモータを有し、
前記モータは、電圧を印加する電源部に接続される、
請求項1乃至の何れか1項記載の送風装置。
【請求項7】
請求項1乃至の何れか1項に記載された前記送風装置と、
前記送風装置を取り付け及び取り外し可能な前記取り付け孔と、
を有する衣服。
【請求項8】
前記取り付け孔の内径は、前記筒部の外径よりも大きく、前記フランジの外径よりも小さく、
前記筒部が前記取り付け孔に挿入され、かつ、前記フランジと前記アダプタとにより前記衣服を挟んで前記送風装置が取り付けられる、
請求項に記載の衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衣服の内側に空気を送り込む送風装置及び衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の送風装置の例が特許文献1、2に記載されている。特許文献1に記載された送風装置は、フレームと、フレーム内に設けたモータと、モータの回転軸に取り付けたファンと、フレームに取り付けたベローズ部と、フレームに設けた係合片と、ベローズ部の下端に設けたクリップと、を有する。特許文献1に記載された送風装置は、係合片を衣服のベルトに掛けた状態で、モータを駆動してファンを回転させる。ベローズ部の下端から空気が取り入れられ、空気はベローズ部を通過して衣服の内側に送られる。
【0003】
特許文献2に記載された送風装置は、本体部品と取付部品とを備えている。本体部は、収納部とフランジ部とを有する。収納部は、モータ及び羽根車を収納する。取付部品は円環形状である。特許文献2に記載された送風装置を衣服に取り付ける場合は、本体部品の収納部を衣服の孔に挿入し、フランジ部を衣服に接触させる。次に、衣服の裏側から収納部を覆うように取付部品を本体部品に取り付けて、取付部品を衣服に接触させる。このように、フランジ部と取付部品とで衣服を挟み込むことにより、送風装置が衣服に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−239625号公報
【特許文献2】国際公開第2006−009108号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1、2に記載された送風装置は、衣服またはベルトのいずれか一方に対して取り付け可能であり、取り付け対象が限られるという問題があった。
【0006】
また、従来の技術では送風装置の小型化、風量の増大といった課題もあった。
【0007】
本開示の目的は、衣服及びベルトの何れにも取り付け可能な小型で風量の大きな送風装置、及び送風装置を取り付け可能な衣服を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態の送風装置は、作業者が着る衣服の外部の空気を前記衣服の内部に送り込むファンを有するファン本体と、前記ファン本体に対して着脱可能なアダプタと、を有し、前記アダプタの前記ファン本体への装着は、前記アダプタと前記ファン本体を、前記ファンの軸方向に交差する方向に相対回転させることで行われる。
【0009】
他の実施形態の衣服は、送風装置と、前記送風装置を取り付け及び取り外し可能な取り付け孔と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
一実施形態の送風装置は、衣服及びベルトの何れにも取り付け可能である。また、他の実施形態の衣服は、送風装置を取り付け及び取り外し可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態である送風装置を作業服に取り付けた状態を示す模式図である。
図2】送風装置のファンユニットを分解した状態の斜視図である。
図3】ファンユニットを組み立てた状態を示す斜視図である。
図4】ファンユニットを組み立てた状態を示す斜視図である。
図5】ファンユニットを構成するファン本体の正面図である。
図6】ファン本体の背面図である。
図7】送風装置の制御系統を示すブロック図である。
図8】ファンユニットを作業服に取り付ける前の状態を示す側面断面図である。
図9】ファンユニットを作業服に取り付けた状態を示す側面断面図である。
図10】ファンユニットを構成するスリーブの側面図である。
図11】送風装置が有する操作部の模式図である。
図12】ファンユニットを取り付ける作業服の模式図である。
図13】送風装置の操作例を示すフローチャートである。
図14】送風装置のファンユニットの他の例を示す斜視図である。
図15図14のファンユニットの正面図である。
図16図14のファンユニットの側面図である。
図17図14に示すベルトアダプタの正面図である。
図18図14のファンユニットの平面図である。
図19図14のファンユニットの底面図である。
図20図14のファンユニットを分解した状態の側面図である。
図21図14のファンユニットをベルトに取り付けた状態の模式図である。
図22】ファン本体の他の例を有するファンユニットを分解した側面図である。
図23図22のファンユニットを組み立てた状態の側面断面図である。
図24図22のファンユニットを組み立てた状態の側面断面図である。
図25図22のファンユニットを作業服に取り付けた状態の正面図である。
図26図22のファンユニットを作業服に取り付けた状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、送風装置の一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。各図に示された構成のうち、同じ構成は同じ符号を付してある。
【0014】
図1に示す送風装置10は、ファンユニット11、操作部12及び電源部13を有する。ファンユニット11は、作業者が着る作業服34の裾34Aよりも上に取り付けられる。送風装置10は、複数組、具体的には2組のファンユニット11を有し、2組のファンユニット11は同一の構成である。このため、便宜上、1組のファンユニット11に基づき構成を説明する。ファンユニット11は、図2図3及び図4のように、ファン本体14及びスリーブ15を有する。ファン本体14は、図5及び図6に示すケーシング16と、図7のようにケーシング16内に設けた電動モータ17と、ケーシング16内に設けたインバータ回路18と、ケーシング16内に設けられ、かつ、電動モータ17により駆動されるファン19と、を有する。電動モータ17はブラシレスモータであり、電動モータ17は、ロータ及びステータを有する。ステータはコイルを有し、ロータ及びファン19は回転軸に取り付けられた軸流ファンである。インバータ回路18は複数のスイッチング素子を有し、インバータ回路18は電動モータ17のステータに接続されている。
【0015】
ケーシング16は、合成樹脂製または金属製であり、ケーシング16は、図2のように、筒部20、吸気口21及び排気口22を有する。吸気口21及び排気口22は、ケーシング16の内部と外部とをつなぐ。筒部20は、径方向で外側に突出したフランジ23を有する。図8及び図9に示すように、筒部20の中心線A1方向で、筒部20は、フランジ23と排気口22との間に配置されている。吸気口21は、中心線A1方向でフランジ23と同じ位置に配置されている。
【0016】
筒部20の外周面に、ガイドレール24が設けられている。ガイドレール24は、筒部20の円周方向に沿って円弧状に設けられている。ガイドレール24は、筒部20の円周方向で異なる位置に複数設けられている。複数のガイドレール24とフランジ23との間に、取り付け溝25がそれぞれ設けられている。複数の取り付け溝25は、筒部20の円周方向に沿って設けられている。ガイドレール24とガイドレール24との間に切り欠き26がそれぞれ設けられ、切り欠き26は取り付け溝25に個別につながっている。複数のガイドレール24は、取り付け溝25に向けて突出する突起27をそれぞれ有する。
【0017】
スリーブ15は、合成樹脂製または金属製であり、かつ、図2及び図10のように環状である。スリーブ15の内径は、筒部20の外径よりも大きく、かつ、フランジ23の外径よりも小さい。スリーブ15の内周面に突起28が設けられている。突起28は、スリーブ15の円周方向に間隔をおいて複数設けられている。突起28の数は、切り欠き26の数と同じである。
【0018】
操作部12は、図11に示すタクタイルスイッチ29、ランプ30及び図7に示すコントローラ31を有する。コントローラ31は、中央演算処理装置、記憶部、入出力インタフェースを備えたマイクロコンピュータである。コントローラ31は、インバータ回路18、タクタイルスイッチ29及びランプ30に接続されている。タクタイルスイッチ29の操作により、電源のオン・オフの切り替えと、各種のモードの切り替えと、を行うことが可能である。タクタイルスイッチ29のオン・オフ、及びモードの種類に応じてランプ30の点灯数または点灯位置が異なる。コントローラ31は、電源がオンされている状態で各種のモードを切り替えて、インバータ回路18を制御する。
【0019】
電源部13は、インバータ回路18を介して電動モータ17に接続される。電源部13は、収容ケース32と、収容ケース32に収容された電池セルと、を有する。電池セルは、直流電源であり、かつ、充電及び放電を繰り返し行うことの可能な二次電池である。電池セルは、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケルカドミウム電池の何れかを用いることができる。2組のファンユニット11のファン本体14は、それぞれケーブル33を介して操作部12及び電源部13に接続されている。ケーブル33は、電力ケーブル及び信号ケーブルを含む。ケーブル33とファン本体14との接続構造は、第1構造または第2構造の何れでもよい。第1構造は、ケーブル33の端部がファン本体14に固定されるものである。第2構造は、ケーブル33の端部がプラグを介してファン本体14に対して着脱可能なものである。
【0020】
ファンユニット11は、作業者W1が着る作業服34に対して取り付け及び取り外しが可能である。図12のように、作業服34の任意の箇所、例えば、後身頃の腰部に対応する箇所に取り付け孔35が設けられている。本開示の作業服34は、複数箇所、例えば、2箇所に取り付け孔35が設けられている。取り付け孔35は、作業服34の背面視で円形であり、取り付け孔35の内径は、筒部20の外径以上であり、かつ、フランジ23の外径未満である。1箇所の取り付け孔35に1組のファンユニット11が取り付けられる。
【0021】
ファンユニット11を作業服34に取り付ける例を、図8及び図9を参照して説明する。ファン本体14を作業服34の外側B1に配置し、スリーブ15を作業服34の内側B2に配置する。また、スリーブ15と筒部20とを同心状に配置する。ファン本体14の筒部20を取り付け孔35に挿入し、フランジ23を作業服34に接触させる。筒部20をスリーブ15の内側に進入させ、かつ、スリーブ15の突起28を、切り欠き26に進入させる。さらに、作業者W1はファン本体14とスリーブ15とを第1方向に相対回転させ、作業者は突起28が突起27を乗り越えたことを触感で認識し、ファン本体14及びスリーブ15を停止する。すると、フランジ23及びスリーブ15が図9のように作業服34を挟んだ状態となり、ファンユニット11が作業服34に取り付けられる。このように、突起27と突起28との係合力で、ファン本体14とスリーブ15とが互いに固定され、図9のように、ファンユニット11が組み立てられる。
【0022】
ファンユニット11を作業服34に取り付けた状態で、作業者W1が操作部12を操作して電源をオンし、かつ、何れかのモードを選択すると、電源部13から電動モータ17に電圧が印加され、ファン19が回転する。すると、作業服34の外側B1の空気が吸気口21を通ってケーシング16内に進入し、ケーシング16内の空気は、排気口22から作業服34の内側B2へ排出される。すると、作業服34の内側B2で強制的に空気の流れが形成される。作業服34の内側B2を流れる空気は、襟部36、袖部37等を通り、作業服34の外側B1に排出される。このため、空気が作業服34の内側B2に滞留することを抑制でき、作業服34の内側B2の温度上昇を抑制できる。したがって、作業者W1の熱中症対策に寄与できる。また、ファン19を、羽根を取り付けた回転軸の軸方向、または回転軸と略平行に空気を吸い、かつ、排出する軸流ファンとすることで、送風装置10の薄型化、及び風量の増大が可能である。
【0023】
図13は、送風装置10の操作例を示すフローチャートである。作業者W1がステップS1でタクタイルスイッチ29を所定時間以上押すと、電源がオンされる。電源のオンとは、電源部13からコントローラ31に微弱電流が供給されて、コントローラ31が起動することを意味する。電源がオンしている状態で、作業者W1がステップS2でタクタイルスイッチ29を所定時間未満押すと、ターボモード電圧が電動モータ17に印加される。ターボモード電圧とは、最大風速電圧という意味である。さらに、ステップS3でタクタイルスイッチ29を所定時間未満押すと、強モード電圧が電動モータ17に印加される。強モード電圧とは、ターボモード電圧より低い電圧という意味である。
【0024】
さらに、ステップS4でタクタイルスイッチ29を所定時間未満押すと、中モード電圧が電動モータ17に印加される。中モード電圧とは、強モード電圧より低い電圧という意味である。さらに、ステップS5でタクタイルスイッチ29を所定時間未満押すと、弱モード電圧が電動モータ17に印加される。弱モード電圧とは、中モード電圧より低い電圧という意味である。さらに、ステップS6でタクタイルスイッチ29を所定時間以上押すと、電源がオフされる。電源オフとは、電源部13からコントローラ31に電力が供給されないことを意味する。このため、コントローラ31は機能が停止し、また、電動モータ17は停止する。
【0025】
ファンユニット11を作業服34から取り外す場合は、作業者W1がファン本体14とスリーブ15とを第2方向に相対回転させると、突起28が取り付け溝25内で移動して突起27を乗り越える。そして、ファン本体14とスリーブ15とを互いに離れさせると、突起28が切り欠き26から退出する。したがって、ファン本体14とスリーブ15とを分離できる。このように、スリーブ15は、ファン本体14に対して着脱可能である。また、ファン本体14を作業服34に対して移動させ、筒部20を取り付け孔35から抜き出す。
【0026】
送風装置10は、前述したファンユニット11の他、図14に示すファンユニット38を構成することも可能である。ファンユニット38は、ファン本体14及びベルトアダプタ39を有する。つまり、ファン本体14は、スリーブ15またはベルトアダプタ39の何れに対しても着脱が可能である。
【0027】
ベルトアダプタ39は、アダプタ本体40と、アダプタ本体40に取り付けたフック41と、アダプタ本体40に設けたクランプ42と、を有する。アダプタ本体40は、合成樹脂製または金属製であり、アダプタ本体40は、図14図15図16図17図18及び図19のように、筒形状の収納部43と、収納部43の端部に接続された排気管44と、を有する。排気管44は、収納部43の径方向に沿って配置されている。排気管44は、ファン19の軸方向に対して所定の角度をなすようにファン本体14に接続されている。フック41及びクランプ42は、排気管44の外面に設けられている。ベルトアダプタ39の平面視で、フック41は、排気管44に対して収納部43が接続された箇所の反対側に設けられている。クランプ42は、収納部43の配置領域において、排気管44に設けられており収納部43から離れる方向に延ばされた板片である。
【0028】
収納部43は、開口部45からファン本体14を収納可能である。つまり、収納部43の内径は、筒部20の外径よりも大きく、かつ、フランジ23の外径よりも小さい。図17のように、収納部43の内面に突起46が設けられている。突起46は、収納部43の円周方向に間隔をおいて複数設けられている。
【0029】
ファン本体14をアダプタ本体40に固定する場合は、図20のように、ファン本体14と収納部43とを中心線A1を中心として同心状に配置する。そして、ファン本体14とアダプタ本体40とを近づけ、突起46を切り欠き26に進入させる。次いで、ファン本体14とアダプタ本体40とを第1方向に相対回転すると、突起46が取り付け溝25内で移動する。作業者W1は、突起46が突起27を乗り越えたことを触感で認識し、ファン本体14及びアダプタ本体40を停止する。このようにして、ファンユニット38が組み立てられる。なお、ファンユニット38においても、操作部12及び電源部13は、図21のようにファン本体14に接続される。
【0030】
作業者W1は図21に示す作業ズボン52のベルト48に掛ける。ファン本体14の吸気口21は作業服34の裾34Aより下に位置する。ベルト48は、作業ズボン52を作業者W1の腰に対して位置決めする。図21は、2組のファンユニット38を、作業者W1の脇腹に相当する位置でベルト48に掛けた例である。作業服34の一部は、ベルト48を覆っている。また、作業服34の内側B2に排気管44を位置させ、作業服34の裾34Aをクランプ42と排気管44との間に差し込む。つまり、クランプ42は、裾34Aを支持する。収納部43及びファン本体14は、作業服34の外側B1に位置する。なお、ファンユニット38はベルト48に限らず作業服34のポケットや作業ズボン52のウエスト部など、フック41で取り付け可能な位置の何れかに取り付け可能である。
【0031】
作業者W1が操作部12を操作して電動モータ17を回転させると、ファン19が回転する。作業服34の外側B1の空気は、吸気口21からケーシング16内に吸い込まれ、排気口22から排気管44内に排出される。排気管44内の空気は、排気口47から作業服34の内側B2に排出される。したがって、ファンユニット38は、ファンユニット11と同様の効果を得ることができる。また、排気管44は筒形状であり、排気口47から空気を排出するため、作業服34の内側B2に対して空気を排出する向きを設定し易い。
【0032】
ファン本体14の変更例を、図22図23及び図24を参照して説明する。ファン本体14のガイドレール24に複数の突起、例えば、3個の突起49,50,51が設けられている。突起49,50,51は、筒部20の円周方向に間隔をおいて配置されている。
【0033】
図22のファン本体14をベルトアダプタ39に取り付ける場合は、中心線A1を中心としてファン本体14と収納部43とを同心状に配置する。ファン本体14は作業服34の外側B1に配置し、ベルトアダプタ39を作業服34の内側B2に配置する。そして、筒部20を取り付け孔35に進入させ、フランジ23と収納部43の端部とで、作業服34を挟む。
【0034】
ここで、ファン本体14とベルトアダプタ39とを接続する際に、突起46を取り付け溝25に挿入した状態で、中心線A1を中心として、ファン本体14とベルトアダプタ39との相対位置を任意に変更及び位置決めができる。図23に示すファンユニット38は、突起46を突起49と突起50との間に停止させて、ファン本体14とベルトアダプタ39とを位置決めした例である。図24に示すファンユニット38は、突起46が突起51を乗り越えた位置で停止させて、ファン本体14とベルトアダプタ39とを位置決めした例である。
【0035】
このように、中心線A1を中心として、ファン本体14とベルトアダプタ39との相対位置を任意に変更すると、作業服34に対するファン本体14の円周方向の位置を変更することなく、排気管44から作業服34の内側B2に排出される空気の方向を、図25及び図26のように変更可能である。
【0036】
図25は、2組のファンユニット38から排出される空気の向きを示す線分D1同士の間隔が、襟部36に近づくことに伴い狭くなるように、ベルトアダプタ39をファン本体14に対して位置決めした例を示す。図26は、2組のファンユニット38から排出される空気の向きを示す線分D1同士の間隔が、襟部36に近づくことに伴い広がるように、ベルトアダプタ39をファン本体14に対して位置決めした例を示す。したがって、作業者が作業服34の内側B2において、排気管44から任意の箇所に向けて空気を排出することが可能である。
【0037】
なお、図22図23及び図24に示すファンユニット38は、図21のように、フック41をベルト48に掛けて用いることも可能である。ベルトアダプタ39とファン本体14とを第2方向に相対回転させて、突起46を取り付け溝25から退出すると、ファン本体14とベルトアダプタ39とを分離できる。このように、ベルトアダプタ39は、ファン本体14に対して着脱可能である。
【0038】
本実施形態において説明した事項の意味を説明すると、作業服34は衣服の一例であり、作業ズボン52はズボンの一例であり、ファン本体14、スリーブ15は第1アダプタの一例であり、ベルトアダプタ39は、第2アダプタの一例である。突起27,28、ガイドレール24及び取り付け溝25は、第1固定機構の一例である。突起27,46,49,50,51、ガイドレール24及び取り付け溝25は、第2固定機構の一例である。突起27,49,50,51は、第1突起の一例であり、突起28は、第2突起の一例であり、突起46は第3突起の一例である。突起46,49,50,51、取り付け溝25及びガイドレール24は、風向変更機構の一例である。ファン本体14は、作業服34の裾34Aの上側、または裾34Aの下側の何れかに選択的に配置することが可能である、
送風装置は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、電源部は、直流電源または交流電源の何れでもよい。直流電源は、一次電池または二次電池の何れでもよい。また、ファンユニット11,38は、単数または3組以上設けてもよい。作業服34に設ける取り付け孔35の数は、ファンユニットの数以上であればよい。ファン19は軸流ファンとしたが、ファン19はシロッコファンであってもよい。第1固定機構は、筒部20の外周面に設ける雄ねじ部と、スリーブ15の内周面に設ける雌ねじ部と、により構成可能である。第2固定機構は、筒部20の外周面に設ける雄ねじ部と、収納部43の内周面に設ける雌ねじ部と、により構成可能である。また、ファン19が吸い込んだ空気を作業ズボン52の内側に吐出するような構成も可能である。
【0039】
衣服は、人間の上半身を覆う着衣であり、作業服、制服、Tシャツ、ジャンパー等を含む。ズボンは、人間の下半身を覆う着衣であり、作業ズボン、パンツ、スラックス、ジーンズ等を含む。ベルトは、皮革、合成皮革等、何でもよい。送風装置10は、ファンユニット11,38を備えていればよい。送風装置10は、操作部12、電源部13及びケーブル33を備えているもの、または備えていないもの、の何れでもよい。
【符号の説明】
【0040】
10…送風装置、14…ファン本体、15…スリーブ、24…ガイドレール、25…取り付け溝、27,28,46,49,50,51…突起、34…作業服、34A…裾、38…ファンユニット、39…ベルトアダプタ、42…クランプ、44…排気管、48…ベルト、52…作業ズボン。
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