【実施例1】
【0015】
図1を用いて本発明の実施例1に係る回転電機について説明する。
図1に示すように、本実施例に係る回転電機は、フレーム1内に軸受2を介して回転自在に支持される回転軸3と、回転軸3の外周部に固定された回転子4と、回転子4の外周部にエアギャップを介して対向配置され、フレーム1内に配される固定子5とを備えて構成された密閉型の発電機である。
【0016】
この回転電機には、固定子5の上方に固定子5とは離間して設けられた冷却器としての熱交換器10と、回転軸3の軸方向両側に取り付けられた軸流ファン11と、冷却風を誘導するガイド板12と、固定子鉄心8の軸方向両側に配置された仕切り板13とが設けられている。
【0017】
回転子4は、回転子鉄心6と、この回転子鉄心6に巻着された回転子コイル7とを備えている。また、固定子5は、上述した固定子鉄心8と、この固定子鉄心8に巻着された固定子コイル9とを備えている。以下、この固定子コイル9の固定子鉄心8から軸方向両側に突出している部分をコイルエンド(固定子コイルエンド)9aと称する。
【0018】
熱交換器10は、軸流ファン11によって循環させられることによって熱交換器10を下から上へ通過する空気(冷却風)を、熱交換により冷却する。熱交換器10の軸方向両側には隔壁14が設けられており、熱交換器10で冷却された空気はフレーム1の上部に流出するようになっている。
【0019】
また、軸流ファン11は、軸方向外側から軸方向内側へ向かって送風を行うように設置されている。軸流ファン11は、コイルエンド9aの径方向内側に設置され、熱交換器10により冷却された冷却風を、回転電機の内部(ガイド板12よりも軸方向内側)へ向けて送風する。
【0020】
ガイド板12は、コイルエンド9aの外周面であってコイルエンド9aの先端から所定距離離間した位置から仕切り板13の後述する通風口13jよりも径方向外側に亘って設けられ、回転電機の内部側と外部側との空間を隔てている。ガイド板12は、熱交換器10を通った冷却風をコイルエンド9aの先端側へ誘導するとともに、軸流ファン11によって回転電機の内部へ送られた冷却風を回転子4側およびコイルエンド9a側へ誘導する。
【0021】
仕切り板13は、コイルエンド9aが挿通される貫通孔13a(
図3参照)と、この貫通孔13aの周囲に周方向に離間して設けられた複数の通風口13jとを有している。
【0022】
さらに、この本実施例の回転電機においては、フレーム1の内部空間の軸方向の距離が、上端部分および下端部分に比較して上下方向の中央部分で長くなるように、フレーム1の軸方向両側面(以下、正面カバー1a,1b)を、その上端部および下端部から上下方向の中央部分に向かって軸方向外側へ膨出させることにより、冷却風誘導手段を構成している。
図1に示す例では、正面カバー1a,1bを側面視「く」の字状に傾斜させている。
【0023】
このように構成される本実施例に係る回転電機では、軸流ファン11の回転により熱交換器10へ流入した冷却風は、当該熱交換器10により冷却されてフレーム1の上部側へ流出した後、熱交換器10を覆うケーシング15と隔壁14との間を通ってフレーム1の内部へ流入しコイルエンド9aの先端部分を冷却する。
【0024】
コイルエンド9aの先端部分を冷却した冷却風は、その後、軸流ファン11によって回転子4及び固定子5側へ送り出され、一部は、仕切り板13に形成された貫通孔13aを通って回転子4、固定子5を順に冷却し、熱交換器10へと流れる。また、軸流ファン11によって送り出された冷却風の他の一部は、コイルエンド9aの固定子鉄心8側を冷却した後、仕切り板13に設けられた通風口13jを通って固定子5の表面を冷却して熱交換器10へと流れる。
【0025】
ここで、本実施例では、正面カバー1a,1bを、上端部および下端部に比較して上下方向の中央部分で軸方向外側へ膨出するように形成し、軸流ファン11から正面カバー1a,1bまでの空間が広くなるように構成したため、
図1中に一点鎖線で示す構造とした場合に比較して、熱交換器10により冷却されてフレーム1の内部に流入した冷却風が、熱交換器10から軸流ファン11までの間のみならず、フレーム1の下部(コイルエンド9aの下部側)へも流れやすくなり、これによってコイルエンド9aの下部へ到達する冷却風の流量が増え、コイルエンド9aの下部が確実に冷却される。
【0026】
また、正面カバー1a,1bを側面視「く」の字状に形成し、フレーム1の内部空間の下端側の軸方向の距離が上下方向の中央部分に比較して小さくなるようにしたことにより、冷却風をフレーム1の下部で滞留させることなく軸流ファン11によって回転子4および固定子5側へ送り出すことができ、冷却風を円滑に循環させることができる。
【0027】
したがって、本実施例に係る回転電機によれば、熱交換器10によって冷却された冷却風をコイルエンド9aの先端側全体へ行き渡らせることができ、回転電機全体を効率よく確実に冷却することが可能となる。
【0028】
なお、本実施例では正面カバー1a,1bを側面視「く」の字状とする例を示したが、正面カバー1a,1bは、上下方向の端部から上下方向の中央部分に向かって径方向外側へ膨出した形状とすることで熱交換器10によって冷却された冷却風をコイルエンド9aの先端側全体へ行き渡らせることができればよく、例えば側面視弧状とするなど、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【実施例2】
【0029】
図2を用いて本発明の実施例2に係る回転電機について説明する。
図2に示すように、本実施例に係る回転電機は上述した実施例1と比較して、フレーム1の形状が異なる。すなわち、本実施例においては、正面カバー1a,1bを平板状とする一方、フレーム1の内部空間の径方向の距離が、上端部分および下端部分に比較して上下方向の中央部分で長くなるように、フレーム1の側面(以下、側面カバー1c,1d)を、上端部および下端部から上下方向の中央部分に向かって径方向外側へ膨出させることにより、冷却風誘導手段を構成している。
図2に示す例では、側面カバー1c,1dを正面視「く」の字状に傾斜させている。
【0030】
その他の構成は実施例1と概ね同様であり、以下、同様の作用を奏する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0031】
このように構成される本実施例に係る回転電機によれば、側面カバー1c,1dを、上端部および下端部に比較して上下方向の中央部分で径方向外側へ膨出するように形成したため、
図2中に一点鎖線で示す構造とした場合に比較して、熱交換器10により冷却されてフレーム1の内部に流入した冷却風が、熱交換器10から軸流ファン11までの間のみならず、フレーム1の下部(コイルエンド9aの下部側)へも流れやすくなり、これによってコイルエンド9aの下部へ到達する冷却風の流量が増え、コイルエンド9aの下部が確実に冷却される。
【0032】
また、側面カバー1c,1dを正面視「く」の字状に形成し、フレーム1の内部空間の下端側の径方向の距離が上下方向の中央部分に比較して小さくなるようにしたことにより、冷却風をフレーム1の下部で滞留させることなく軸流ファン11によって回転子4および固定子5側へ送り出すことができ、冷却風を円滑に循環させることができる。
【0033】
したがって、熱交換器10によって冷却された冷却風をコイルエンド9aの先端側全体へ行き渡らせることができ、回転電機全体を効率よく確実に冷却することが可能となる。
【0034】
なお、本実施例では側面カバー1c,1dを正面視「く」の字状とする例を示したが、側面カバー1c,1dは、上下方向の端部から上下方向の中央部分に向かって径方向外側へ膨出した形状とすることで熱交換器10によって冷却された冷却風をコイルエンド9aの先端側全体へ行き渡らせることができればよく、例えば正面視弧状とするなど、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【実施例3】
【0035】
図3を用いて本発明の実施例3に係る回転電機について説明する。
本実施例に係る回転電機は、上述した実施例1と比較して、正面カバー1a,1bを平板状とする一方、
図3に示すように、仕切り板13に設ける通風口13b〜13iの大きさをその位置によって変化させたものである。
【0036】
すなわち、
図3に示すように、本実施例において仕切り板13は、貫通孔13aの周囲に配される通風口13b〜13iの大きさを、その上部側に位置するものに比較して下部側に位置するものが大きくなるように構成している。より具体的には、本実施例では、通風口13b〜13fに比較して仕切り板13の下部側に設けられた通風口13g及び13hの直径が大きく、さらに通風口13g及び13hに比較して通風口13iの直径が大きくなっている。
【0037】
その他の構成は実施例1と概ね同様であり、以下、同様の作用を奏する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0038】
このように構成される本実施例に係る回転電機によれば、仕切り板13に設けた通風口13b〜13iのうち、下部側に位置する通風口13g,13hおよび通風口13iの直径をそれよりも上方に位置する通風口13b〜13fに比較して大きく形成したことにより、全ての通風口を同一の大きさとした場合に比較して、熱交換器10により冷却されてフレーム1の内部に流入した冷却風が、熱交換器10から軸流ファン11までの間のみならず、フレーム1の下部(コイルエンド9aの下部側)へも流れやすくなり、これによってコイルエンド9aの下部へ到達する冷却風の流量が増え、コイルエンド9aの下部が確実に冷却される。
【0039】
したがって、本実施例に係る回転電機によれば、熱交換器10によって冷却された冷却風をコイルエンド9aの先端側全体へ行き渡らせることができ、回転電機全体を効率よく確実に冷却することが可能となる。
【0040】
なお、
図3では通風口13b〜13iの形状を真円として示したが、通風口13b〜13iの形状は真円に限らず、例えば長穴などであってもよい。
【0041】
また、上述した実施例1〜3を適宜組み合わせることが可能であることは言うまでもない。