(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、発明を実施するための形態(以下、実施形態という)につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0022】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るピッキング装置の概略構成を示す図である。実施形態1に係るピッキング装置100は、作業エリア14内のトレー13にランダムに積み上げ収容されたワーク(対象物)15のピッキング及び搬送作業を行う。本実施形態では、リング形状のワーク15をピッキング及び搬送作業の対象とする例について説明する。
【0023】
図1に示すように、ピッキング装置100は、例えば基台3上に設置された多関節アーム2と、この多関節アーム2の先端に取り付けられた多関節一指ハンド1によって構成される。多関節アーム2及び多関節一指ハンド1は、制御装置4によって位置及び姿勢が制御される。
【0024】
多関節アーム2は、基台3側から順に、第1アーム部21a、第2アーム部21b、第3アーム部21c、及び第4アーム部21dを有している。
【0025】
第1アーム部21aは、基台3と第1軸22aを介して回動可能に連結されている。
【0026】
第2アーム部21bは、第1アーム部21aと第2軸22bを介して回動可能に連結されている。
【0027】
第3アーム部21cは、第2アーム部21bと第3軸22cを介して回動可能に連結されている。
【0028】
第4アーム部21dは、第3アーム部21cと第4軸22dを介して回動可能に連結されている。
【0029】
第4アーム部21dの先端には、第5軸22eを介して回動可能に連結されたハンドエフェクタ23が設けられている。
【0030】
第1軸22a、第2軸22b、第3軸22c、第4軸22d、及び第5軸22eには、それぞれ駆動部としてロータリアクチュエータ(図示せず)が設けられている。
【0031】
ハンドエフェクタ23には、複数の関節部を有する指機構11と、この指機構11を駆動する駆動部12とを備える多関節一指ハンド1が取り付けられている。すなわち、多関節一指ハンド1は、ハンドエフェクタ23を介して、多関節アーム2に支持されている。
【0032】
作業エリア14内の所定位置には、俯瞰センサ5が設けられている。俯瞰センサ5としては、例えばカメラや赤外線センサが用いられる。制御装置4は、俯瞰センサ5によって取り込まれた画像を解析することで、ピッキング装置100とトレー13内のワーク15との位置を把握することができる。
【0033】
ハンドエフェクタ23には、ハンドアイセンサ6が取り付けられている。ハンドアイセンサ6としては、例えばステレオ3Dカメラやレーザスキャナが用いられる。制御装置4は、ハンドアイセンサ6によって取り込まれた画像を解析することで、ワーク15の3次元形状を検出することができる。
【0034】
図2は、実施形態1に係る多関節一指ハンドの伸展状態における概略構造図である。
図3は、実施形態1に係る伸展状態の多関節一指ハンドを、
図2に示す破線矢示方向から見た概略構造図である。
図4は、実施形態1に係る多関節一指ハンドの屈曲状態における概略構造図である。
【0035】
図2から
図4に示すように、指機構11は、第1リンク111a、第2リンク111b、及び第3リンク111cを備えている。
【0036】
図2から
図4に示す例では、3つの第2リンク111b(111b−1,111b−2,111b−3)を備えた例を示している。指機構11は、第2リンク111bを1つ以上有することで、屈曲状態においてワーク15を引っ掛けて把持することができる。なお、第2リンク111bの数は1つ以上であれば良く、第2リンク111bの数により本発明が限定されるものではない。以下、第1リンク111a、各第2リンク111b、及び第3リンク111cを特に区別する必要がない場合には、単に「リンク111」ともいう。
【0037】
各リンク111は、それぞれ関節部112を介して屈曲可能に連結されている。各関節部112は、それぞれの回動軸が平行に設けられている。各関節部112には、各関節部112が伸展状態を保つように付勢バネ115が設けられている。
【0038】
これにより、指機構11は、各関節部112が一列に並んだ状態となり、
図2及び
図3に示す伸展状態を維持することができる。また、ピッキング装置100は、上述した構成の多関節一指ハンド1を備えることで、多関節一指ハンド1の移動時において、ワーク15を引っ掛けて把持する前の伸展状態を維持することができ、指機構11の揺れを抑制することができる。
【0039】
なお、指機構11は、付勢バネ115に代えて、板バネや他の弾性部材を用いた構成であっても良い。また、弾性部材によって各リンク111を連結し、関節部112が構成される態様であっても良い。
【0040】
図2に示すように、指機構11は、
図4に示す屈曲状態において内側となる側に切り欠き116が設けられている。
図2に示す例では、各関節部112を介して対向する各リンク111の一方に切り欠き116が設けられている。
【0041】
これにより、各リンク111は、指機構11が
図4に示す屈曲状態となる第1方向に屈曲可能となる。より具体的には、各第2リンク111bは、第1リンク111aに対して、第1方向に屈曲し、第3リンク111cは、各第2リンク111bに対して、第1方向に屈曲する。
【0042】
なお、切り欠き116の態様は上記に限るものではない。
図5は、実施形態1に係る多関節一指ハンドの関節部の変形例を示す図である。
【0043】
図5に示すように、各関節部112を介して対向する各リンク111の双方が切り欠かれた構造であっても良い。
【0044】
また、各リンクには、
図4に示す指機構11の屈曲状態において内側となる側にワイヤ113が滑動可能に挿通されている。ワイヤ113の一方端113aは、第3リンク111cに設けられたワイヤ固定部114に固定されている。
【0045】
図2から
図4に示す例において、駆動部12は、軸方向に直動する直動軸12aを駆動する直動アクチュエータである。直動アクチュエータは、例えば、モータの回転運動をボールネジ等によって直線運動に変換し、直動軸12aを駆動する。なお、直動アクチュエータの構造は上記に限るものではなく、例えば、直動エアシリンダ、リニアサーボ、又は圧電アクチュエータ等であっても良い。
【0046】
ワイヤ113の他方端は、駆動部12である直動アクチュエータの直動軸12aに接合されている。すなわち、第3リンク111cは、第1リンク111a、及び各第2リンク111bに挿通されたワイヤ113を介して直動軸12aに連結されている。
【0047】
図6は、実施形態1に係る指機構のリンクの横断面図である。
図6に示すように、各リンク111には、ワイヤ113が挿通される挿通孔117を設けるのが好ましい。さらには、各リンク111に設ける挿通孔117の口径を、各リンク111毎に僅かに異ならせても良い。このようにすれば、挿通孔117とワイヤ113との間に生じる摩擦力を各リンク毎に異ならせることができる。これにより、各関節部112の屈曲優先度を設定することができる。
【0048】
図7は、実施形態1に係る駆動部の第1変形例を示す図である。
図8は、実施形態1に係る駆動部の第2変形例を示す図である。
【0049】
図7に示す例では、滑車12bを設けて駆動部12(直動アクチュエータ)における直動軸12aの軸方向を変化させた例を示している。また、
図8に示す例では、駆動部12(回転モータ)の回転軸にローラ12cを設けてワイヤ13を巻き取る例を示している。駆動部12の構成は、ワイヤ13を実線矢示方向に引くことが可能な構成であればどのような構成であっても良く、駆動部12の構成により本発明が限定されるものではない。
【0050】
上述した構成の多関節一指ハンド1を備えたピッキング装置100において、多関節一指ハンド1の移動時には、付勢バネ115による付勢力によって、
図4に示す指機構11の屈曲状態において外側となる側で、対向する第1リンク111aの端面と第2リンク111b−1の端面とが突き当たる。また、対向する第2リンク111b−1の端面と第2リンク111b−2の端面とが突き当たる。また、対向する第2リンク111b−2の端面と第2リンク111b−3の端面とが突き当たる。これにより、多関節一指ハンド1は、
図2及び
図3に示す伸展状態となる。
【0051】
また、ワーク15を引っ掛けて把持するピッキング動作時には、駆動部12によってワイヤ113が
図2から
図4に示す実線矢示方向に引っ張られることで、各関節部112に設けられた付勢バネ115の付勢力に抗して指機構11が第1方向に徐々に屈曲していく。そして、
図4に示す指機構11の屈曲状態において内側となる側で、対向する第1リンク111aの端面と第2リンク111b−1の端面とが突き当たる。また、対向する第2リンク111b−1の端面と第2リンク111b−2の端面とが突き当たる。また、対向する第2リンク111b−2の端面と第2リンク111b−3の端面とが突き当たる。また、対向する第2リンク111b−3の端面と第3リンク111cの端面が突き当たる。これにより、多関節一指ハンド1は、
図4に示す屈曲状態となる。この屈曲状態において、多関節一指ハンド1は、ワーク15を引っ掛けて把持することができる。
【0052】
また、本実施形態では、
図2に示すように、第2リンク111b−3には、
図4に示す指機構11の屈曲状態において外側となる側にも切り欠き116が設けられている。このため、第3リンク111cは、指機構11の屈曲方向、すなわち第1方向と、この第1方向に対して逆方向となる第2方向との双方に屈曲可能となる。これにより、多関節一指ハンド1の移動時において指機構11の先端部にワーク15やトレー13によって外力が作用した場合に、指機構11にかかる負荷による破損を防止することができる。
【0053】
図9は、実施形態1に係る多関節一指ハンドの屈曲状態における概略構造の変形例を示す図である。
【0054】
図9に示す例において、第2リンク111b−2,111b−3は、屈曲状態において内側となる側に設けられた切り欠き116を大きくしている。具体的には、第2リンク111b−2,111b−3間、及び、第2リンク111b−3、第3リンク111c間の各関節部112の屈曲角度を略90°としている。これにより、ワーク15を第2リンク111b−1と第3リンク111cとで挟み把持することができ、ワーク15を確実に把持することができる。
【0055】
さらに、他の関節部112、具体的には、第1リンク111a、第2リンク111b−1間、及び、第2リンク111b−1、第2リンク111b−2間の各関節部112の屈曲度合いを大きく(例えば、略90°)しても良い。このようにすれば、ワーク15を指機構11で巻き込んで把持することができ、ワーク15をより確実に把持することができる。
【0056】
なお、各関節部112における屈曲度合いは、ワーク15の大きさ等に応じて適宜変更することが可能であり、各関節部112における屈曲度合いにより本発明が限定されるものではない。
【0057】
図10は、実施形態1に係る多関節一指ハンドの先端部分の具体的な形状例を示す図である。
図11は、実施形態1に係る多関節一指ハンドの先端部分を、
図10に示す実線矢示方向から見た図である。
図12は、実施形態1に係る多関節一指ハンドの先端部分を、
図10に示す破線矢示方向から見た図である。
【0058】
図10から
図12に示すように、第3リンク111cの先端には、指機構11の屈曲方向、すなわち第1方向に湾曲した爪部111Aを有している。
【0059】
図13は、実施形態1に係る多関節一指ハンドにおけるピッキング動作の一例を示す第1図である。
図14は、実施形態1に係る多関節一指ハンドにおけるピッキング動作の一例を示す第2図である。
図15は、実施形態1に係る多関節一指ハンドにおけるピッキング動作の一例を示す第3図である。
図15において、Xは、ピッキング装置100のハンドエフェクタ23の回動軸を示している。
【0060】
図13から
図15に示すように、実施形態1に係る多関節一指ハンド1は、ピッキング動作時において、まず、第3リンク111cが屈曲して第3リンク111cの爪部111Aによってワーク15を引っ掛ける(
図13)。続いて、多関節一指ハンド1は、第2リンク111b−3、第2リンク111b−2、第3リンク111b−1の順で屈曲しワーク15を把持する(
図14、
図15)。
【0061】
本実施形態に係る多関節一指ハンド1は、第3リンク111cの爪部111Aが指機構11の屈曲方向に湾曲しているため、
図13に示すピッキング動作の初動においてワーク15を引っ掛け易くなる。
【0062】
例えば、複数のワーク15がトレー13内にランダムに積み上げられた状態でも、爪部111Aがワーク15間の隙間に入り易くなる。また、ワーク15がトレー13内で平置きされた状態でも、爪部111Aによってワーク15を引っ掛けて浮き上がらせることができる。
【0063】
また、本実施形態に係る多関節一指ハンド1は、ピッキング動作時に指機構11が屈曲していく過程において、指機構11の先端部の振れ幅が大きいため、ワーク15のピッキングの成功率が高くなる。
【0064】
例えば、
図15に示すように、ハンドエフェクタ23の回動軸Xから離れた位置(
図15に示す例では、ハンドエフェクタ23の回動軸XからLだけ離れた位置)にワーク15がある場合でも、ワーク15を捉え易い。
【0065】
このように、本実施形態に係る多関節一指ハンド1は、ピッキング動作時におけるワーク15と多関節一指ハンド1との位置ズレを、指機構11の先端部の振れによって受動的に補完することができ、ワーク15のピッキングの成功率を高めることができる。
【0066】
以上説明したように、実施形態1に係る多関節一指ハンド1、及びピッキング装置100は、複数の関節部112を有し、複数の関節部112が伸展状態を保つように付勢力が与えられた指機構11と、付勢力に抗して指機構11を屈曲させる駆動部12とを備える。指機構11は、第1リンク111aと、第1リンク111aに対して、第1方向に屈曲可能に連結された1以上の第2リンク111bと、第2リンク111bに対して、第1方向、及び第1方向に対して逆方向となる第2方向の双方に屈曲可能に連結された第3リンク111cとを備える。
【0067】
また、駆動部12は、軸方向に直動軸12aを駆動する直動アクチュエータを用いて構成される。第3リンク111cは、第1リンク111a及び第2リンク111bに挿通されたワイヤ113を介して直動軸12aに連結されている。
【0068】
上述のように構成された多関節一指ハンド1は、駆動部12である直動アクチュエータを作動させることで指機構11が屈曲し、ワーク15を指機構11に引っ掛けて把持することができる。また、多関節一指ハンド1の移動時において、ワーク15を引っ掛けて把持する前の伸展状態を維持することができ、指機構11の揺れを抑制することができる。さらに、多関節一指ハンド1の移動時において、指機構11の先端部にワーク15やトレー13によって外力が作用した場合に、指機構11にかかる負荷による破損を防止することができる。
【0069】
また、第3リンク111cの先端に、指機構11の屈曲方向、すなわち第1方向に湾曲した爪部111Aを設けることで、ピッキング動作の初動においてワーク15を引っ掛け易くなる。
【0070】
また、多関節一指ハンド1は、ピッキング動作時に指機構11が屈曲していく過程において、指機構11の先端部の振れが大きい。このため、ピッキング動作時におけるワーク15と多関節一指ハンド1との位置ズレを、指機構11の先端部の振れによって受動的に補完することができ、ワーク15のピッキングの成功率を高めることができる。
【0071】
このように、本実施形態によれば、ワーク15を把持するための構造を簡素化することができ、ワーク15の認識処理や駆動制御が容易な多関節一指ハンド1、及びピッキング装置100が得られる。
【0072】
(実施形態2)
図16は、実施形態2に係るピッキング装置における多関節一指ハンドの先端位置の具体例を示す図である。
図17は、
図16に示す多関節一指ハンドの先端部分の具体的な形状の一例を示す図である。
図18は、多関節一指ハンドの先端位置の比較例を示す図である。なお、上述した実施形態1で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0073】
図16及び
図17に示すように、多関節一指ハンド1は、指機構11の伸展状態において、ハンドエフェクタ23の回動軸Xの延長軸上に第3リンク111cの爪部111Aの先端が位置する構成としている。
【0074】
図18に示すように、ハンドエフェクタ23の回動軸Xの延長軸に対して第3リンク111cの爪部111Aの先端がずれている(
図18に示す例では、ハンドエフェクタ23の回動軸Xの延長軸に対して第3リンク111cの爪部111Aの先端が距離dだけずれている)場合には、ハンドエフェクタ23の回動位置によってずれた分だけ補正する必要があり制御が複雑になる。
【0075】
本実施形態では、指機構11の伸展状態において、多関節一指ハンド1が取り付けられるハンドエフェクタ23の回動軸Xの延長軸上に多関節一指ハンド1の先端部、すなわち第3リンク111cの爪部111Aの先端が重なる構成とすることで、ハンドエフェクタ23の回動位置によるずれを抑制することができ、制御が容易になる。
【0076】
(実施形態3)
図19は、実施形態3に係るピッキング装置の概略構成を示す図である。
図19に示すピッキング装置100aでは、
図1に示す実施形態1の構成に加え、ハンドエフェクタ23と多関節一指ハンド1との間に力覚センサ7が取り付けられている。その他の構成要素は、上述した実施形態1,2と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0077】
力覚センサ7としては、例えばひずみゲージや圧電素子等を組み合わせて構成されるセンサであり、互いに直交する3軸の方向に作用する力の大きさと、各軸回りに作用するモーメントの大きさを同時に検出することができる。制御装置4aは、力覚センサ7からの入力信号を解析することで、多関節一指ハンド1に作用する力を検知することができる。
【0078】
この力覚センサ7を備えることで、制御装置4aは、ワーク15の有無や、指機構11の屈曲方向に対して逆向きに掛かる力等、多関節一指ハンド1に作用する力を検知して信頼性の高い制御が可能となる。
【0079】
(実施形態4)
図20は、実施形態4に係る多関節一指ハンドの伸展状態における概略構造図である。
図21は、実施形態4に係る多関節一指ハンドの屈曲状態における概略構造図である。
【0080】
図20、
図21に示す例では、指機構11の屈曲状態において内側となる側にワイヤ113−1が滑動可能に挿通されている。ワイヤ113−1の一方端113a−1は、第3リンク111cに設けられたワイヤ固定部114−1に固定されている。
【0081】
また、
図20、
図21に示す例では、指機構11の屈曲状態において外側となる側にワイヤ113−2が滑動可能に挿通されている。ワイヤ113−2の一方端113a−2は、第3リンク111cに設けられたワイヤ固定部114−2に固定されている。
【0082】
図20、
図21に示す例において、駆動部12は、支点X1を軸心として回動運動するシーソー120の両端部にワイヤ113−1,113−2の他方端が接合され、モータ121によってシーソー120を回動させることによって指機構11を駆動するシーソー機構である。
【0083】
本実施形態において、指機構11の第1リンク111aは、ベース126に固定されている。
【0084】
シーソー120は、ベース126に固定されたシーソーベース127に、支点X1を軸心として回動可能に設けられている。また、シーソー120の支点X1にはシーソープーリー122が設けられている。
【0085】
モータ121は、ベース126に固定されたモータベース128に固定されている。モータ121の軸心X2にはモータプーリー123が設けられている。
【0086】
シーソープーリー122とモータプーリー123とにベルト124が巻き掛けられ、モータプーリー123、ベルト124、シーソープーリー122を介して、モータ121の駆動力がシーソー120に伝達される。
【0087】
モータ121によって
図20に示す破線矢示方向にモータプーリー123が回転すると、モータ121の駆動力がシーソー120に伝達され、ガイドローラ125−1,125−2を介して、
図21に示す実線矢示方向にワイヤ113−1,113−2が滑動する。これにより、多関節一指ハンド1は、
図21に示す屈曲状態となる。
【0088】
上述した構成の多関節一指ハンド1を備えたピッキング装置100において、多関節一指ハンド1の移動時には、多関節一指ハンド1が
図20に示す伸展状態となる。
【0089】
また、ワーク15を引っ掛けて把持するピッキング動作時には、駆動部12によってワイヤ113−1,113−2が滑動することで、指機構11が第1方向に徐々に屈曲し、多関節一指ハンド1が
図21に示す屈曲状態となる。
【0090】
本実施形態では、
図20に示すように、駆動部12(シーソー機構)によってワイヤ113−1,113−2にかかる張力で、多関節一指ハンド1の伸展状態が保たれる。これにより、多関節一指ハンド1の移動時において意図せず多関節一指ハンド1が屈曲することなく、より正確にワーク15を捉えることができる。
【0091】
(実施形態5)
図22は、実施形態5に係る多関節一指ハンドのニュートラル状態における概略構造図である。
図23は、実施形態5に係る多関節一指ハンドの移動時における概略構造図である。
図24は、実施形態5に係る多関節一指ハンドのピッキング動作時における概略構造図である。
【0092】
本実施形態では、上述した実施形態1の
図10に示す多関節一指ハンドの先端部分の具体的な形状例を実施形態4に適用した場合における動作について説明する。
【0093】
上述した実施形態2では、指機構11の伸展状態において、多関節一指ハンド1が取り付けられるハンドエフェクタ23の回動軸の延長軸上に多関節一指ハンド1の先端部が重なる構成とする例を示したが、本実施形態では、モータ121が駆動力を発生していない状態において、付勢バネ115による付勢力によって
図22に示すニュートラル状態が維持される。
【0094】
多関節一指ハンド1の移動時には、
図23に示す破線矢示方向にモータプーリー123を回転させることで、
図23に示す実線矢示方向にワイヤ113−1,113−2を滑動させ、多関節一指ハンド1が取り付けられるハンドエフェクタ23の回動軸の延長軸上に多関節一指ハンド1の先端部が重なるようにする。これにより、実施形態2と同様に、ハンドエフェクタ23の回動位置によるずれを抑制することができ、制御が容易になる。
【0095】
また、ピッキング動作時には、
図24に示す破線矢示方向にモータプーリー123を回転させることで、
図24に示す実線矢示方向にワイヤ113−1,113−2を滑動させ、指機構11を屈曲状態とすることで、ワーク15を引っ掛けて把持する。
【0096】
本実施形態では、上述したように、移動時及びピッキング動作時において能動的に指機構11の姿勢制御が行えるので、より精密に指機構11を制御することができる。