(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1回転軸を有し、供給された被処理物を前記第1回転軸の回転に伴い送るスクリュと、前記スクリュを取り囲むように配置され、第1ろ過溝が形成された積層状ろ体とを含み、被処理物の濃縮を行うスクリュ式濃縮部と、
第2回転軸と、前記第2回転軸の軸方向に沿って配置され、第2ろ過溝が形成された積層状回転ろ体と、前記積層状回転ろ体を内側に収容する筐体とを含み、前記スクリュ式濃縮部に接続され、前記スクリュ式濃縮部により濃縮された被処理物の脱水を行う回転体式脱水部とを備え、
前記スクリュ式濃縮部は、下流側に向けて斜め上方に15度以上45度以下の角度範囲で傾斜して配置され、
前記スクリュ式濃縮部と前記回転体式脱水部の前記筐体の側壁とを接続する筒形状の接続部材をさらに備え、
前記接続部材は、前記回転体式脱水部の脱水処理が完了した被処理物の排出口の下端よりも下方に設けられている、固液分離装置。
前記スクリュ式濃縮部の前記第1ろ過溝を通過したろ液を受け取るろ液受け部と、前記ろ液受け部とは区切られて設けられ、前記回転体式脱水部の前記第2ろ過溝を通過したろ液を貯留する貯留部とを一体的に含むタンクと、
前記貯留部に貯留されたろ液中に含まれる被処理物を、前記スクリュ式濃縮部に返送するポンプとをさらに備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固液分離装置。
第1回転軸を有し、供給された被処理物を前記第1回転軸の回転に伴い送るスクリュと、前記スクリュを取り囲むように配置され、第1ろ過溝が形成された積層状ろ体とを含み、被処理物の濃縮を行うスクリュ式濃縮装置と、
第2回転軸と、前記第2回転軸の軸方向に沿って配置され、第2ろ過溝が形成された積層状回転ろ体と、前記積層状回転ろ体を内側に収容する筐体とを含み、前記スクリュ式濃縮装置に接続され、前記スクリュ式濃縮装置により濃縮された被処理物の脱水を行う回転体式脱水装置と、
被処理物が供給され、供給された被処理物の固体成分を凝集してフロック化するとともに、被処理物を前記スクリュ式濃縮装置に供給する混和槽とを備え、
前記スクリュ式濃縮装置は、下流側に向けて斜め上方に15度以上45度以下の角度範囲で傾斜して配置され、
前記スクリュ式濃縮装置と前記回転体式脱水装置の前記筐体の側壁とを接続する筒形状の接続部材をさらに備え、
前記接続部材は、前記回転体式脱水装置の脱水処理が完了した被処理物の排出口の下端よりも下方に設けられている、固液分離システム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(固液分離システムの構成)
図1〜
図10を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本発明の一実施形態による固液分離システム100は、
図1に示すように、固液分離装置100aと、凝集部100bとを含んでいる。
【0020】
固液分離システム100は、汚泥などの被処理物を外部の被処理物貯留槽Tから受け取り、複数回(3回)に分けて凝集剤を供給して撹拌することにより、被処理物を凝集するように構成されている。また、固液分離システム100は、凝集された被処理物に対して濃縮処理および脱水処理を行うことにより、含水率が小さな被処理物(脱水ケーキ)を排出するように構成されている。なお、固液分離装置100aでは、回転体式脱水部3に高分子凝集剤または無機凝集剤が供給されるように構成されている。
【0021】
固液分離システム100は、後述するスクリュ式濃縮部2で主に重力ろ過による濃縮処理を行うように構成されている。その後、固液分離システム100は、スクリュ式濃縮部2に接続される後述する回転体式脱水部3で主に圧搾ろ過による脱水処理を行うように構成されている。スクリュ式濃縮部2は、特許請求の範囲の「スクリュ式濃縮装置」の一例である。回転体式脱水部3は、特許請求の範囲の「回転体式脱水装置」の一例である。
【0022】
なお、重力ろ過とは、例えば、細かな隙間などにより液分(ろ液)をこし取るようなろ過であり、被処理物の液分に作用する重力により、固体成分と液体成分とを分離させるろ過である。また、圧搾ろ過とは、被処理物を加圧(圧搾)することにより、被処理物から液体成分を絞り出すろ過である。
【0023】
被処理物とは、水(液体成分)と固体成分との混合物である。たとえば、被処理物は、汚泥である。濃縮処理とは、凝集された被処理物の含水率を、被処理物の流動性を保持しながら、所定の含水率(たとえば約94〜約98%、より好ましくは、約96%)まで低下させる処理である。なお、スクリュ式濃縮部2は、固液分離処理の前段階で凝集処理を行う凝集部100b(後述する混和槽7)から越流により被処理物が供給される。凝集部100bから供給される被処理物の含水率は、たとえば、約98.0〜約99.5%である。また、脱水処理とは、被処理物の流動性を失わせて被処理物の容積を小さくし、濃縮処理よりも含水率をさらに低下させる処理である。脱水処理により、被処理物の含水率は、たとえば、約70〜約88%まで低下する。なお、脱水処理された被処理物は、回転体式脱水部3のから脱水ケーキ(図示せず)として排出される。
【0024】
ここで、スクリュ式濃縮部2と回転体式脱水部3とは、水平方向に並ぶように設けられている。以下では、水平方向のうち、スクリュ式濃縮部2と回転体式脱水部3とが並ぶ方向をX方向とし、水平方向のうち、X方向に直交する方向をY方向とする。また、上下方向をZ方向として説明する。さらに、X方向のうち、スクリュ式濃縮部2から回転体式脱水部3に向かう方向をX1方向とし、その反対方向をX2方向とする。
【0025】
(固液分離装置の構成)
次に、
図1〜
図10を参照して固液分離装置100aの構成について説明する。
【0026】
固液分離装置100aは、
図1に示すように、タンク(サービスタンク)1と、スクリュ式濃縮部2と、回転体式脱水部3と、貯留部凝集剤供給部4と、回転体凝集剤供給部5と、接続部材6とを備えている。なお、スクリュ式濃縮部2は、主に、被処理物の濃縮処理を行うことにより、装置外部(装置下方)に排出される比較的澄んだ(含有する固体成分が少ない)ろ液と、被処理物とを分けるように構成されている。回転体式脱水部3は、主に、スクリュ式濃縮部2により濃縮処理された被処理物の脱水処理を行うことにより、タンク1に貯留される比較的濁った(含有する固体成分が多い)ろ液と、装置外部に排出される被処理物(脱水ケーキ)とを分けるように構成されている。
【0027】
〈タンクの構成〉
図1に示すように、タンク1は、貯留部10と、ろ液受け部11とを一体的に含んでいる。貯留部10とろ液受け部11とは、平面視(上方から見て)において、互いに重なるように構成されている。貯留部10とろ液受け部11とは、互いに区切られて設けられており、互いに被処理物の直接的な受け渡しが行われないように構成されている。また、タンク1には、スクリュ式濃縮部2と回転体式脱水部3とが直上に設置されている。スクリュ式濃縮部2と回転体式脱水部3とは、タンク1を介して一体的に設けられている。
【0028】
貯留部10は、被処理物を被処理物貯留槽Tから受け取り、被処理物を貯留するように構成されている。また、貯留部10は、回転体式脱水部3の後述する第2ろ過溝S2(
図10参照)を通過したろ液を貯留するように構成されている。つまり、貯留部10は、回転体式脱水部3における脱水処理により得られたろ液(主に被処理物の液体成分)を貯留するように構成されている。
【0029】
貯留部10には、撹拌ポンプ10aと、供給ポンプ10bとが設けられている。撹拌ポンプ10aは、貯留部10に被処理物貯留槽Tおよびスクリュ式濃縮部2から供給された被処理物と、貯留部10に貯留部凝集剤供給部4から供給された無機凝集剤とを撹拌することにより、被処理物を凝集する(固体成分(フロック)の濃度を高める)ように構成されている。また、供給ポンプ10bは、貯留部10に貯留され、凝集された被処理物をスクリュ式濃縮部2の上流側(前段側)に設けられる凝集部100bに供給(返送)するように構成されている。なお、供給ポンプ10bは、特許請求の範囲の「ポンプ」の一例である。
【0030】
ろ液受け部11は、スクリュ式濃縮部2の後述する第1ろ過溝S1(
図2参照)を通過したろ液を受け取るように構成されている。つまり、ろ液受け部11は、スクリュ式濃縮部2における濃縮処理により得られた比較的澄んだろ液(被処理物)を受け取るように構成されている。また、ろ液受け部11には、ろ液排出口11aが設けられている。ろ液受け部11は、ろ液排出口11a側が低くなるようにろ液排出口11aに向けて斜め方向に傾斜している。
【0031】
(スクリュ式濃縮部の構成)
図1に示すように、スクリュ式濃縮部2は、被処理物の流入口21aを含む供給部材21と、スクリュ22と、積層状ろ体23と、外枠24と、モータ25と、を備えている。
【0032】
スクリュ式濃縮部2は、概して、直線状に延びる細長形状を有している。スクリュ式濃縮部2は、下流側(X1方向側)に向けて斜め上方に傾斜して配置されている。すなわち、スクリュ式濃縮部2は、回転体式脱水部3に近づくにつれて、上方に位置するように構成されている。一例ではあるが、スクリュ式濃縮部2は、水平面に対して約30度の傾斜角度により傾斜している。スクリュ式濃縮部2は、平面視において、X方向に延びている。以下では、スクリュ式濃縮部2の延びる方向をA方向として説明する。また、A方向のうち下流に向かう方向をA1方向とし、その反対方向をA2方向として説明する。
【0033】
スクリュ22は、直線状に延びる棒状の第1回転軸22aを含んでいる。第1回転軸22aは、スクリュ式濃縮部2と同一の方向(A方向)に延びている。すなわち、第1回転軸22aは、下流側(X1方向側)に向けて斜め上方に傾斜して配置されている。
【0034】
〈供給部材の構成〉
図1に示すように、供給部材21は、中空の管状の部材である。供給部材21は、上端に流入口21aが設けられている。供給部材21の内側には、スクリュ22の一部が配置されている。供給部材21のA2方向側には、モータ25が隣接して配置されている。
【0035】
〈スクリュの構成〉
図1に示すように、スクリュ22は、第1回転軸22aと、羽根部22bとを含んでいる。第1回転軸22aは、供給部材21をA方向に貫通し、A2方向端部においてモータ25に接続されている。スクリュ22は、流入口21aから供給された被処理物を、A1方向(回転体式脱水部3側)に送るように構成されている。
【0036】
羽根部22bは、第1回転軸22aの外周面に設けられている。また、羽根部22bは、第1回転軸22aの軸方向(A方向)に向けて螺旋状に延びている。また、羽根部22bは、1個の連続した羽根により形成されており、第1回転軸22aの軸方向(A方向)のピッチが略等間隔になるように形成されている。なお、スクリュ22は、分割された複数の羽根により構成されてもよい。
【0037】
〈積層状ろ体の構成〉
図1に示すように、積層状ろ体23は、全体として、スクリュ22を取り囲むようにスクリュ22を内側に配置するとともに、A方向に延びる筒形状を有している。
【0038】
図2に示すように、積層状ろ体23は、複数の固定板26と、複数のスペーサ27と、複数の可動板28とを含んでおり、固定板26と可動板28とがA方向に交互に積層された積層構造を有している。
【0039】
〈固定板の構成〉
図2に示すように、固定板26は、A方向に略直交する方向に延びる円環形状を有している。すなわち、固定板26は、中心に固定板26をA方向に貫通する円形状の貫通穴26aを有している。なお、固定板26は、動くことがないように、固定板26の外縁部の複数箇所に接触する外枠24により、固定されている。
【0040】
貫通穴26aには、スクリュ22が通されている。貫通穴26aは、固定板26が回転するスクリュ22に接触することのない所定の大きさを有している。すなわち、貫通穴26aの内周半径は、スクリュ22の回転中心軸線αから羽根部22bの最外縁部(羽根部22bの中で最も第1回転軸22aから離間した部分)までの距離よりも大きい。
【0041】
固定板26は、外縁部近傍に、固定板26をA方向に貫通し、スペーサ27が取り付けられるネジ穴26bを有している。ネジ穴26bは、1個の固定板26に対して、半径方向に所定間隔を隔てて複数設けられている。
【0042】
〈スペーサの構成〉
図3に示すように、スペーサ27は、A方向に延びる雄ネジ部27aと、A2方向側から雄ネジ部27aの一端を支持する柱形状の本体部27bとを有している。本体部27bは、A方向において厚みt1を有している。
【0043】
図2に示すように、スペーサ27は、固定板26の一方表面側(A2方向側)から、ネジ穴26bに取り付けられている。スペーサ27のA2方向側の端面には、スペーサ27が取り付けられている固定板26とは異なる他の固定板26が接触状態で配置されている。すなわち、スペーサ27は、A方向に隣接する2個の固定板26を、互いに隙間t1だけ離間させる機能を有している。
【0044】
〈可動板の構成〉
図2に示すように、可動板28は、A方向に略直交する方向に延びる円環形状を有している。すなわち、可動板28は、中心に固定板26をA方向に貫通する円形状の貫通穴28aを有している。
【0045】
貫通穴28aには、スクリュ22が通されている。貫通穴28aは、回転するスクリュ22に可動板28が接触可能な所定の大きさを有している。すなわち、貫通穴28aの内周半径は、スクリュ22の回転中心軸線αから羽根部22bの最外縁部(羽根部22bの中で最も第1回転軸22aから離間した部分)までの距離よりも小さい。また、可動板28は、A方向に隣接する2個の固定板26の間に配置されている。また、可動板28のA方向の厚みt2は、A方向に隣接する2個の固定板26の間隔t1(スペーサ27の本体部27b(
図3参照)の厚みt1)よりも小さい。また、可動板28は、固定板26のように、外枠24(
図1参照)により固定されることなく、移動可能に構成されている。
【0046】
詳細には、可動板28は、スクリュ22の回転に伴い、羽根部22bにより、A方向に直交し、回転中心軸線αから離間する方向に偏心した状態で移動(回転)されるとともに、可動板28を挟み込む2個の固定板26の間で羽根部22bによりA方向に移動(揺動)されるように構成されている。
【0047】
〈ろ過溝およびろ水流出溝の構成〉
図2に示すように、隣接する固定板26間には、スペーサ27により、隙間t1の第1ろ過溝S1が形成されている。また、A方向において、隣接する固定板26間の第1ろ過溝S1の可動板28を除く部分には、隙間(t1−t2)の第1ろ水流出溝G1が形成されている。第1ろ水流出溝G1とは、A方向に隣接して配置される2個の固定板26と、可動板28との間の隙間部分である。
【0048】
スクリュ式濃縮部2は、スクリュ22を回転させることにより、第1ろ過溝S1(第1ろ水流出溝G1)にろ液を通過させることによって、被処理物から液体成分を分離するように構成されている。この際、スクリュ式濃縮部2は、スクリュ22を回転させることにより、2個の固定板26の間で可動板28を継続的に動かし続けることが可能に構成されている。このため、第1ろ水流出溝G1(第1ろ過溝S1)の目詰まりを抑制可能に構成されている。すなわち、スクリュ式濃縮部2は、第1ろ水流出溝G1(第1ろ過溝S1)のセルフクリーニングを行うように構成されている。
【0049】
〈外枠の構成〉
図1に示すように、外枠24は、積層状ろ体23を外側から取り囲む骨組み構造を有している。外枠24は、固定板26の外縁部の周方向の複数箇所に接触することにより、積層状ろ体23を構成する各固定板26を互いに固定している。
【0050】
(接続部材の構成)
図1に示すように、接続部材6は、スクリュ式濃縮部2と回転体式脱水部3との間に配置され、スクリュ式濃縮部2と回転体式脱水部3とを接続している。
【0051】
詳細には、接続部材6は、A2方向側に配置されるスクリュ式濃縮部2の外枠24と、A1方向側に配置される回転体式脱水部3の後述する筐体31の側壁31aとを接続している。接続部材6は、ボルトやナットなどの固定部材(図示せず)により外枠24および側壁31aのそれぞれに対して固定されている。接続部材6は、スクリュ式濃縮部2を下流側(X1方向側)に向けて斜め上方に傾斜させた状態で、スクリュ式濃縮部2と回転体式脱水部3とを接続している。接続部材6のA1方向側の端部6bの開口6cの下端は、スクリュ式濃縮部2への被処理物の流入口21aの下端よりも上方に設けられ、回転体式脱水部3の脱水処理が完了した被処理物(脱水ケーキ)の排出口31cの下端よりも下方に設けられている。また、接続部材6の開口6cの下端は、下列の最上流の回転体32よりも上方で、かつ、下列の最上流の回転体32の近傍に配置されている。このように構成することで、回転体式脱水部3内の水位が低い状態でもスクリュ式濃縮部2を満水状態に保つことができるので、スクリュ式濃縮部2へ押し込み水頭をかけて、より効率よく濃縮処理を行うことができる。
【0052】
接続部材6は、スクリュ式濃縮部2と同一方向(A方向)に延びる筒形状を有している。接続部材6は、A2方向側の端部の開口6aを介して、スクリュ式濃縮部2の積層状ろ体23の内部領域と連通している。また、接続部材6は、A1方向側の端部の開口6cを介して、回転体式脱水部3の筐体31の内部領域と連通している。また、接続部材6は、開口6cを介して、被処理物を回転体式脱水部3の筐体31の内部に供給(排出)するように構成されている。接続部材6の側壁31a側(A1方向側)の端部6bは、回転体式脱水部3の筐体31の内部に突出して設けられている。すなわち、開口6cは、側壁31aから筐体31の内側に離間した位置に配置されている。端部6bは、側壁31aと略平行な端面を有している。
【0053】
接続部材6の開口6cの下端は、
図1に一点鎖線で示すように、混和槽7の後述する越流口7a(スクリュ式濃縮部2へ被処理物を越流により供給するために、混和槽7に設けられる口部分)の下端よりも上方に設けられている。
【0054】
(回転体式脱水部)
回転体式脱水部3は、
図4に示すように、側壁31aおよび31bを含む筐体31と、複数の回転体32と、複数のモータ33(
図5参照)と、バッフル板34と、汚泥掻き取り板35と、排出シュート36と、水位計37とを備えている。
【0055】
筐体31は、複数の回転体32を囲むように設けられ、開放された下端開口31dがタンク1の上部開口1aに接続されている箱状の部材である。筐体31のX2方向側の側壁31aには、上記の通り、接続部材6が接続されている(取り付けられている)。筐体31のX1方向側の側壁31bには、被処理物(脱水ケーキ)の排出口31cが設けられている。側壁31aおよび31bは、筐体31のX方向の両端部にそれぞれ配置され、X方向に直交する方向(Z方向およびY方向)に延びる板状の部材である。
【0056】
〈回転体の構成〉
回転体32は、積層状回転ろ体300と、積層状回転ろ体300に挿通され、Y方向に延びる第2回転軸310とを含んでいる。
【0057】
積層状回転ろ体300は、被処理物を排出口31cに送るように、排出口31cに向かって上下2列に複数配置されている。詳細には、下列の積層状回転ろ体300は、所定の間隔を隔てて配置されており、互いに同方向(
図1において時計回り方向)に回転することにより、被処理物を排出口31cに送るように構成されている。また、上列の積層状回転ろ体300は、互いに下列の積層状回転ろ体300とは逆方向(
図1において反時計回り方向)に回転することにより、被処理物を排出口31cに送るように構成されている。
【0058】
複数の回転体32は、全体として、下流に向かうにつれて、上方に傾斜するように配置されている。すなわち、複数の回転体32により形成される被処理物の経路(上列の回転体32と、下列の回転体32との間の領域)は、下流に向かうにつれて、上方に傾斜するように構成されている。また、複数の回転体32により形成される被処理物の経路は、下流に向かうにつれて、徐々に幅が狭くなるように構成されている。
【0059】
積層状回転ろ体300は、
図6および
図7に示すように、第2回転軸310に沿って積層された複数のろ片を含む。
【0060】
詳細には、
図8に示すように、積層状回転ろ体300は、複数の中径円板ろ片301、複数の小径円板ろ片302、および、複数の大径円板ろ片303の3種のろ片を含んでいる。
【0061】
中径円板ろ片301、小径円板ろ片302および大径円板ろ片303は、ともに、円環形状を有している。すなわち、中径円板ろ片301、小径円板ろ片302および大径円板ろ片303は、ともに、第2回転軸310を挿通する貫通穴304を中心に有している。また、中径円板ろ片301、小径円板ろ片302および大径円板ろ片303は、ともに、貫通穴304を介して第2回転軸310に嵌合している。
【0062】
積層状回転ろ体300は、第2回転軸310を取り囲むように第2回転軸310が貫通穴304に挿通された状態で、中径円板ろ片301、小径円板ろ片302および大径円板ろ片303がY方向に交互に積層された多重板構造を有している。
【0063】
積層状回転ろ体300は、Y方向に並ぶ複数の中径円板ろ片301間に、大径円板ろ片303および小径円板ろ片302を交互に配置(積層)することにより構成されている。要するに、積層状回転ろ体300は、Y方向に、中径円板ろ片301、大径円板ろ片303、中径円板ろ片301、小径円板ろ片302の順に、各ろ片を繰り返し配置(積層)することにより構成されている。あるいは、中径円板ろ片301、小径円板ろ片302、中径円板ろ片301、大径円板ろ片303の順に、各ろ片を繰り返し配置(積層)してもよい。
【0064】
〈中径円板ろ片の構成〉
中径円板ろ片301は、円板形状の板状部301aと、板状部301aの一方表面に設けられる複数(4個)の凸部301bと、板状部301aの他方表面に設けられる複数(4個)の凸部301cとを有している。
【0065】
複数の凸部301bは、中径円板ろ片301の中心から所定距離だけ離間した位置に配置されるとともに、中径円板ろ片301の周方向において等ピッチ間隔で配置されている。複数の凸部301cは、Y方向において、凸部301bと重なる位置にそれぞれ設けられている。また、凸部301bの一方表面からの突出量d1は、小径円板ろ片302の厚みd3および大径円板ろ片303の厚みd4よりも大きい(d1>d3、d1>d4)。
【0066】
図9に示すように、凸部301cは、板状部301aの他方表面から僅かに突出しているだけであり、実際には、板状部301aの他方表面と略同一面上に位置している(略面一である)。また、凸部301cの他方表面からの突出量d2は、凸部301bの一方表面からの突出量d1よりも極めて小さい(d1>>d2)。なお、各図では、説明の便宜上、凸部301cの突出量d2を、実際の突出量よりも大きく図示している。
【0067】
中径円板ろ片301は、凸部301bを、Y方向の一方向側に隣接する他の中径円板ろ片301の凸部301cに接触させるとともに、凸部301cを、Y方向の他方側に隣接する他の中径円板ろ片301の凸部301bに接触させた状態で積層されている。このため、中径円板ろ片301の板状部301aは、隣接する他の中径円板ろ片301の板状部301aから、隙間(d1+d2)だけ離間している。すなわち、中径円板ろ片301の板状部301aは、隣接する他の中径円板ろ片301の板状部301aから、凸部301bと凸部301cとの突出量の合計だけ離間している。
【0068】
図10に示すように、また、隣接する2個中径円板ろ片301(板状部301a)間には、凸部301bおよび凸部301cにより、隙間(d1+d2)の第2ろ過溝S2が形成されている。
【0069】
〈小径円板ろ片の構成〉
図8に示すように、小径円板ろ片302は、概して、円板形状を有している。また、小径円板ろ片302は、周方向において等ピッチ間隔で配置され、外縁部から小径円板ろ片302の中心に向けて切り欠かれた複数(4個)の切欠部302aを有している。複数の切欠部302aは、Y方向において、中径円板ろ片301の凸部301bおよび凸部301cと重なる位置に設けられている。また、切欠部302aは、凸部301bに係合するように構成されている。小径円板ろ片302は、切欠部302aを、中径円板ろ片301の凸部301bに係合させた状態で、隣接する2個の中径円板ろ片301(板状部301a)間に配置されている。
【0070】
図10に示すように、小径円板ろ片302の厚みd3は、隣接する2個の中径円板ろ片301(板状部301a)の隙間(d1+d2)よりも小さい。したがって、隣接する2個の中径円板ろ片301(板状部301a)と、小径円板ろ片302との間には、隙間(d1+d2-d3)のろ水流出溝G21が形成されている。
【0071】
すなわち、隣接する2個の中径円板ろ片301間の第2ろ過溝S2の小径円板ろ片302を除く部分には、隙間(d1+d2-d3)のろ水流出溝G21が形成されている。このため、小径円板ろ片302は、第2ろ過溝S2が形成されるY方向の揺動範囲βにおいて、揺動可能に構成されている。回転体式脱水部3は、第2回転軸310の回転に伴い小径円板ろ片302が揺動し、中径円板ろ片301の側面を擦りながら回転するので、ろ水流出溝G21(第2ろ過溝S2)の目詰まりを抑制することができる。すなわち、回転体式脱水部3は、ろ水流出溝G21(第2ろ過溝S2)をセルフクリーニングすることができる。また、ろ水流出溝G21は、被処理物に含まれる液体成分を通過させることにより、被処理物をろ過するように構成されている。
【0072】
〈大径円板ろ片の構成〉
図8に示すように、大径円板ろ片303は、円板形状を有している。また、大径円板ろ片303は、大径円板ろ片303の中心から所定距離だけ離間した位置に配置されるとともに、周方向において等ピッチ間隔で配置される複数(4個)の貫通穴303aを有している。
【0073】
複数の貫通穴303aは、Y方向において、中径円板ろ片301の凸部301bおよび凸部301cと重なる位置に設けられている。また、貫通穴303aは、中径円板ろ片301の凸部301bおよび凸部301cに嵌合するように構成されている。また、大径円板ろ片303は、貫通穴303aに、中径円板ろ片301の凸部301bを嵌合させた状態で、隣接する2個の中径円板ろ片301(板状部301a)間に配置されている。
【0074】
図10に示すように、大径円板ろ片303の厚みd4は、隣接する中径円板ろ片301(板状部301a)の隙間(d1+d2)よりも小さい。したがって、隣接する2個の中径円板ろ片301(板状部301a)と、大径円板ろ片303との間には、隙間(d1+d2-d4)のろ水流出溝G22が形成されている。
【0075】
すなわち、隣接する2個の中径円板ろ片301間の第2ろ過溝S2の大径円板ろ片303を除く部分には、隙間(d1+d2-d4)のろ水流出溝G22が形成されている。このため、大径円板ろ片303は、第2ろ過溝S2が形成されるY方向の揺動範囲γにおいて、揺動可能に構成されている。回転体式脱水部3は、第2回転軸310の回転に伴い大径円板ろ片303が揺動し、中径円板ろ片301の側面を擦りながら回転するので、ろ水流出溝G22(第2ろ過溝S2)の目詰まりを抑制することができる。すなわち、回転体式脱水部3は、ろ水流出溝G22(第2ろ過溝S2)をセルフクリーニングすることができる。また、ろ水流出溝G22は、被処理物に含まれる液体成分を通過させることにより、被処理物をろ過するように構成されている。
【0076】
回転体式脱水部3は、一般的な回転体式脱水装置と比較して、より早い回転速度でモータ33(第2回転軸310)を回転させるように構成されている。具体例として、一般的な回転体式脱水装置の回転速度が毎分0.5回転であるのに対して、回転体式脱水部3は、約2倍の毎分1回転の回転速度でモータ33(第2回転軸310)を回転させるように構成されている。
【0077】
図7に示すように、上列(下列)の回転体32の大径円板ろ片303と、隣接する他の上列(下列)の回転体32の大径円板ろ片303とは、Y方向において互いに重なるように交互に配置されている。すなわち、上列(下列)の回転体32の大径円板ろ片303は、隣接する他の上列(下列)の回転体32の小径円板ろ片302を挟み込む2個の中径円板ろ片301の間に食い込むように配置されている。また、上列(下列)の回転体32の中径円板ろ片301と、隣接する他の上列(下列)の回転体32の中径円板ろ片301とは、Y方向において、略同じ範囲(位置)に設けられている。
【0078】
図6に示すように、モータ33は、複数の積層状回転ろ体300のそれぞれの第2回転軸310の軸方向(Y方向)の一方端部に設けられている。また、モータ33は、複数(10個)の積層状回転ろ体300毎(回転体32毎)に設けられている。なお、積層状回転ろ体300毎にモータ33を設けるのではなく、一部の積層状回転ろ体300にモータ33を設け、モータ33が設けられていない積層状回転ろ体300にチェーン等で動力を伝達するように構成してもよい。
【0079】
図1に示すように、バッフル板34は、タンク1のスクリュ式濃縮部2と回転体式脱水部3とを区切る側壁31aと、下列の最上流に配置される回転体32との間に配置されている。また、バッフル板34は、側壁31aと、回転体32との間の隙間を埋めるように配置されている。
【0080】
汚泥掻き取り板35は、下列の最下流の回転体32、および、上列の最下流の回転体32にそれぞれ1個ずつ設けられ、回転体32の積層状回転ろ体300の間に詰まった固形物を掻き取って、除去するように構成されている。排出シュート36は、筐体31の排出口31cに設けられ、回転体式脱水部3から排出された排出物の排出経路を構成している。
【0081】
図1に示すように、水位計37は、回転体式脱水部3の内部の上面に設けられている。また、水位計37は、上列の最上流に配置される回転体32よりも上方(Z1方向)に設けられている。固液分離システム100は、水位計37により、回転体式脱水部3の内部の水位を検知した場合には、回転体式脱水部3の内部の水位が上昇しないように、スクリュ式濃縮部2への被処理物の供給を停止するように構成されている。
【0082】
回転体凝集剤供給部5は、スクリュ式濃縮部2により濃縮された被処理物に高分子凝集剤、あるいは無機凝集剤を供給するように構成されている。詳細には、回転体凝集剤供給部5は、スクリュ式濃縮部2から排出された被処理物に対して、回転体式脱水部3の下列の最上流に配置される回転体32の上方から供給するように構成されている。なお、回転体凝集剤供給部5によって回転体式脱水部3に供給された高分子凝集剤、あるいは無機凝集剤は、回転体32により被処理物と撹拌される。
【0083】
(凝集部の構成)
次に、
図1を参照して、凝集部100bの構成について説明する。
【0084】
凝集部100bは、混和槽7と、混和槽凝集剤供給部8と、羽根車9とを備えている。混和槽7は、固液分離装置100aの貯留部10から被処理物が供給されるように構成されている。また、混和槽7は、被処理物を越流により排出して、被処理物をスクリュ式濃縮部2に供給する越流口7aを含んでいる。混和槽凝集剤供給部8は、混和槽7に高分子凝集剤を供給するように構成されている。羽根車9は、混和槽7内に配置されている。また、羽根車9には、駆動源としてのモータ9aが設けられている。羽根車9は、混和槽7に供給された被処理物と高分子凝集剤とを撹拌することにより、処理対象物を凝集する(固体成分(フロック)の濃度を高める)ように構成されている。
【0085】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0086】
本実施形態では、上記のように、スクリュ22および第1ろ過溝S1が形成された積層状ろ体23を含み、被処理物の濃縮を行うスクリュ式濃縮部2と、第2回転軸310および積層状回転ろ体300を含み、スクリュ式濃縮部2に接続され、スクリュ式濃縮部2により濃縮された被処理物の脱水を行う回転体式脱水部3とを設ける。これにより、従来のように回転体式脱水部3のみにより1段階で固液分離処理を行う場合と比較して、スクリュ式濃縮部2と回転体式脱水部3とにより2段階で固液分離処理を行うことができるので、第1回転軸22a(スクリュ22)の回転および第2回転軸310の回転を速くしたとしても、被処理物の含水率を低くすることができる。その結果、固液分離装置100aは、被処理物の含水率を低くすることができるとともに、効率よく被処理物を排出することができる。また、前段にスクリュ式濃縮部2を用いることによって、脱水処理ではなく濃縮処理により被処理物の含水率をほどよく低下させて、流動性を有したまま被処理物を回転体式脱水部3に供給することができるので、回転体式脱水部3に被処理物を詰まらせることなく、効果的に脱水処理を行うことができる。また、スクリュ式濃縮部2を下流側に向けて斜め上方に傾斜して配置した場合、スクリュ式濃縮部2を水平に配置した場合に比べ、スクリュ式濃縮部2内部における被処理物の滞留時間を長くしてスクリュ式濃縮部2における被処理物に対する重力濾過をより効果的にできるとともに、スクリュ式濃縮部2に供給された被処理物が回転体式脱水部3に向けて水平に流れることに起因して、略濃縮されていない被処理物が回転体式脱水部3に流れ込むことを抑制することができる。また、被処理物の流入口に対して排出口をより高所に配置することができるので、脱水処理により、被処理物の含水率を効果的に下げることができる。
【0087】
本実施形態では、上記のように、スクリュ式濃縮部2と回転体式脱水部3との間に配置され、スクリュ式濃縮部2を下流側に向けて斜め上方に傾斜させた状態で、スクリュ式濃縮部2と回転体式脱水部3の筐体31の側壁31aとを接続する筒形状の接続部材6を設ける。これにより、接続部材6により、スクリュ式濃縮部2を下流側に向けて斜め上方に傾斜させた状態で、スクリュ式濃縮部2と回転体式脱水部3の筐体31とを接続するとともに、スクリュ式濃縮部2から回転体式脱水部3に被処理物を供給することができる。
【0088】
本実施形態では、上記のように、スクリュ式濃縮部2を、下流側に向けて斜め上方に傾斜して配置し、接続部材6に、回転体式脱水部3の筐体31の側壁31aから、回転体式脱水部3の筐体31の内側に突出する端部6bを設ける。これにより、接続部材6の筐体31の内側に突出する端部6bにより、積層状回転ろ体300に近い位置で回転体式脱水部3に被処理物を供給することができるので、回転体式脱水部3に供給された被処理物に対して即座に脱水処理を開始して、効果的に脱水処理を行うことができる。
【0089】
本実施形態では、上記のように、接続部材6を、スクリュ式濃縮部2への被処理物の流入口21aの下端よりも上方に設け、回転体式脱水部3の脱水処理が完了した被処理物の排出口の下端よりも下方に設ける。これにより、比較的低い位置から回転体式脱水部3に被処理物を供給することができるので、高い位置から回転体式脱水部3に被処理物を供給する場合とは異なり、接続部材6を介して回転体式脱水部3に被処理物が供給される際の被処理物に加わる衝撃を抑制することができる。その結果、衝撃により被処理物中のフロックが崩れるのを抑制することができる。
【0090】
本実施形態では、上記のように、スクリュ式濃縮部2の第1ろ過溝S1を通過したろ液を受け取るろ液受け部11と、ろ液受け部11とは区切られており、回転体式脱水部3の第2ろ過溝S2を通過したろ液を貯留する貯留部10とを一体的に含むタンク1と、貯留部10に貯留されたろ液中に含まれる被処理物を、スクリュ式濃縮部2に返送する供給ポンプ10bとを設ける。これにより、固形分の少ない比較的澄んだろ液をろ液受け部11で受けて装置外部へ排出し、固形分の多い比較的濁ったろ液を貯留部10で貯留することが可能となる。また、ろ液受け部11と貯留部10とを別体とする場合よりも、装置構成を簡素化することができる。また、スクリュ式濃縮部2から排出されるろ液と比較して、回転体式脱水部3から排出され、固体成分を多く含む濁ったろ液を供給ポンプ10bにより返送(再循環)させることによって、被処理物の固液分離処理を確実に行うことができる。
【0091】
本実施形態では、上記のように、混和槽7に、越流によりスクリュ式濃縮部2に被処理物を供給する越流口7aを設け、被処理物を回転体式脱水部3に供給する開口6cを含み、スクリュ式濃縮部2と回転体式脱水部3との間に配置され、スクリュ式濃縮部2を下流側に向けて斜め上方に傾斜させた状態で、スクリュ式濃縮部2と回転体式脱水部3とを接続する筒形状の接続部材6を設け、接続部材6の開口6cの下端を、越流口7aの下端よりも上方に配置する。これにより、スクリュ式濃縮部2内部における被処理物の滞留時間を長くしてスクリュ式濃縮部2における被処理物に対する重力濾過をより効果的にできるとともに、混和槽7からスクリュ式濃縮部2に越流により被処理物を供給したとしても、略濃縮されていない被処理物が回転体式脱水部3に流れ込むことを防止することができる。
【0092】
(実施例)
次に、本発明の実施例および比較例について説明する。
【0093】
実施例では、スクリュ式濃縮装置の下流側を水平方向から上方に30度傾けて、被処理物の濃縮処理を行った。スクリュ式濃縮装置は、直径200mmのスクリュと、92枚の固定板とを備える。
【0094】
比較例では、スクリュ式濃縮装置の下流側を水平方向から上方に60度傾けて、被処理物の濃縮処理を行った。スクリュ式濃縮装置は、実施例と同一の構成を備える。
【0095】
(実施例・比較例の測定結果および評価)
実施例および比較例では、スクリュの回転数が5[rpm]、10[rpm]、17.5[rpm]である各場合において、濃縮処理後の被処理物の含水率、および、被処理物の処理量を測定した。なお、処理量とは、スクリュ式濃縮装置により処理される被処理物の量を意味する。
【0096】
<比較例の測定結果>
比較例では、5[rpm]の場合、含水率が90[%]弱となり、処理量が排出不良(被処理物の詰まり)により測定不能となった。
【0097】
比較例では、10[rpm]の場合、含水率が90[%]弱となり、処理量が排出不良(被処理物の詰まり)により測定不能となった。
【0098】
比較例では、17.5[rpm]の場合、含水率が92.8[%]となり、処理量が54.2[kg−DS/h]となった。
【0099】
<実施例の測定結果>
実施例では、5[rpm]の場合、含水率が95.1[%]となり、処理量が13.3[kg−DS/h]となった。
【0100】
実施例では、10[rpm]の場合、含水率が93.3[%]となり、処理量が37.9[kg−DS/h]となった。
【0101】
実施例では、17.5[rpm]の場合、含水率が89.6[%]となり、処理量が68.7[kg−DS/h]となった。
<評価>
実施例では、小さい回転数で、適度に流動性を有し、濃縮処理後の被処理物として好ましいとされる96[%]前後の含水率の被処理物が得られることがわかった。一方、比較例では、実施例よりも含水率が小さくなり、排出不良を起こしやすいことがわかった。
【0102】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0103】
たとえば、上記一実施形態では、スクリュ式濃縮部を、下流側に向けて斜め上方に傾斜して配置した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、スクリュ式濃縮部を水平に配置するとともに、回転体式脱水部の筐体を、下流側に向けて斜め上方に傾斜して配置してもよい。この場合、回転体式脱水部の筐体の下側に、回転体式脱水部の筐体を持ち上げて傾ける傾斜機構を設けてもよい。また、スクリュ式濃縮部と回転体式脱水部の筐体との両方を、下流側に向けて斜め上方に傾斜して配置してもよい。
【0104】
また、上記一実施形態では、被処理物貯留槽からタンクの貯留部に被処理物を直接供給するように、固液分離システムを構成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、たとえば、被処理物貯留槽から混和槽に被処理物を直接供給するように、固液分離システムを構成してもよい。
【0105】
また、上記一実施形態では、スクリュ式濃縮部の下流側を水平方向から上方に約30度傾斜させた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、スクリュ式濃縮部において適切に濃縮処理が行われ、被処理物が回転体式脱水部に供給されるならば、スクリュ式濃縮部の下流側を水平方向から上方に30度以外の異なる角度で傾斜させてもよい。なお、好ましくは、スクリュ式濃縮部の下流側を水平方向から上方に15度以上45以下の角度範囲で傾斜させるのがよい。
【0106】
また、上記一実施形態では、接続部材を用いて、スクリュ式濃縮部と回転体式脱水部とを接続した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、接続部材を用いることなく、スクリュ式濃縮部と回転体式脱水部とを直接接続してもよい。
【0107】
また、上記一実施形態では、接続部材を、直線状に延びる筒状に形成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、たとえば、接続部材を、スクリュ式濃縮部の延びる方向と水平方向とに延びるように、折れ曲がり部を有する形状に形成してもよい。
【0108】
また、上記一実施形態では、接続部材の端部を、回転体式脱水部の筐体の側壁から回転体式脱水部の筐体の内側に突出して設けた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、たとえば、接続部材の端部(端面)を、回転体式脱水部の筐体の側壁の内面と略同一平面上に配置してもよい。
【0109】
また、上記一実施形態では、回転体式脱水部(回転体式脱水装置)の第2モータを第2回転軸の軸方向の一方側にのみ配置した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、回転体式脱水部(回転体式脱水装置)の第2モータを第2回転軸の軸方向の一方側および他方側に交互に配置してもよい。
【0110】
また、上記一実施形態では、回転体式脱水部に高分子凝集剤または無機凝集剤を供給するように構成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、スクリュ式濃縮部の下流側に高分子凝集剤または無機凝集剤を供給するように構成してもよい。このように、スクリュ式濃縮部の後段および/または回転体式脱水部の前段(回転体式脱水部の下列の最上流に配置される回転体の上方)に、高分子凝集剤または無機凝集剤を供給するように構成することで、スクリュ式濃縮部により、流動性を保持しながら所定の含水率まで下げられた被処理物に対して再度凝集剤を注入することになるので、例えばスクリュ式濃縮部の前段で凝集剤を注入するものに比べ、懸濁汚水の固分の粒子と、凝集剤の粒子との接触機会を増やす事ができ、より効果的に凝集処理を行うことができるように構成されている。
【0111】
また、上記一実施形態では、回転体式脱水部から排出されたろ液をタンクに貯留し、混和槽を経てスクリュ式濃縮部(スクリュ式濃縮装置)に返送(再循環)するように構成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、タンクを設けず、回転体式脱水部から排出されたろ液を、タンクに貯留しなくてもよい。なお、タンクを設けない場合、被処理物は、被処理物貯留層から凝集部へ直接ポンプで送るなどして対応するとともに、回転体式脱水部から排出されたろ液は被処理物貯留槽へポンプで送るなどして対応する。