特許第6988260号(P6988260)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6988260
(24)【登録日】2021年12月6日
(45)【発行日】2022年1月5日
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/62 20060101AFI20211220BHJP
   A47C 7/02 20060101ALI20211220BHJP
   A47C 7/72 20060101ALI20211220BHJP
   A47C 7/54 20060101ALI20211220BHJP
【FI】
   A47C7/62 Z
   A47C7/02 A
   A47C7/72
   A47C7/02 Z
   A47C7/54 Z
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-160491(P2017-160491)
(22)【出願日】2017年8月23日
(65)【公開番号】特開2019-37374(P2019-37374A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2020年7月31日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示日 :平成29年7月7日 展示会名:SAIBI PARTY 開催場所:コクヨ株式会社 東京ショールーム(東京都港区港南1丁目8番35号) 公開者 :コクヨ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】由井 克人
【審査官】 田中 佑果
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−131574(JP,A)
【文献】 特開2017−064292(JP,A)
【文献】 特開2013−094405(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02395427(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/62
A47C 7/02
A47C 7/72
A47C 7/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座と、この座の両側に配された側パネルとを具備してなる椅子において、
前記側パネルの少なくとも一方の内面における前記座の座面よりも上方に位置する部位にコンセントを設け
前記座の両側縁部上に肘掛を兼ねるホールド部材を設けているとともに、
前記ホールド部材の前端面が前記側パネルの前端面よりも後方に位置しており、それら前端面間かつホールド部材の上端面よりも下方に前記コンセントを配している椅子。
【請求項2】
前記座の前端面と前記側パネルの前端面とを略面一に構成している請求項1記載の椅子。
【請求項3】
前記側パネルがその内部に前記コンセントに接続された配線を当該側パネルの底面側に導くための配線挿通空間を備えている請求項1又は2記載の椅子。
【請求項4】
前記コンセントを、着座者から見て左側の前記側パネルに設けている請求項1、2又は3記載の椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンセントを備えた椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の椅子として、座の前縁部下側にコンセントバーを設け、そのコンセントバーに電源その他のコンセントを設けたものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ところが、このような構成のものでは、コンセントが椅子の正面に露出するため見栄えが損なわれるだけでなく、コンセントの位置が座面よりも下側にあるため、そのコンセントにプラグを抜き差しする際に着座者が大きく腰を折り曲げてアクセスしなければならないという不便さがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−94405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上に説明した従来の椅子が有する課題、すなわち、見栄えが悪く、コンセントへのアクセスが不便であるという課題を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明に係る椅子は、座と、この座の両側に配された側パネルとを具備してなる椅子において、前記側パネルの少なくとも一方の内面における前記座の座面よりも上方に位置する部位にコンセントを設け、前記座の両側縁部上に肘掛を兼ねるホールド部材を設けているとともに、前記ホールド部材の前端面が前記側パネルの前端面よりも後方に位置しており、それら前端面間かつホールド部材の上端面よりも下方に前記コンセントを配しているものである。
【0007】
なお、本発明において、「コンセント」とは、電源コンセントに限らず、情報コンセントや、USB端子等、あるいはそれらを複合させたものを含む概念である。
【0010】
請求項4記載の発明に係る椅子は、請求項1、2又は3記載の構成のものにおいて、前記座の前端面と前記側パネルの前端面とを略面一に構成しているものである。
【0011】
請求項5記載の発明に係る椅子は、請求項1、2、3又は4記載の構成のものにおいて、前記側パネルがその内部に前記コンセントに接続された配線を当該側パネルの底面側に導くための配線挿通空間を備えているものである。
【0012】
請求項6記載の発明に係る椅子は、請求項1、2、3、4又は5記載の構成のものにおいて、前記コンセントを、着座者から見て左側の前記側パネルに設けているものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、見栄えが悪く、コンセントへのアクセスが不便であるという、従来の椅子が有する課題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る椅子を示す全体斜視図。
図2】同実施形態に係る椅子を示す正面図。
図3】同実施形態に係る椅子を示す平面図。
図4】同実施形態に係る椅子を示す右側面図。
図5図2におけるA−A断面図。
図6図2におけるB−B断面図。
図7図2におけるC−C断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態を、図1図7を参照しつつ以下に述べる。
【0016】
本実施形態は、本発明を一人用の椅子Chに適用した場合のものである。この椅子Chは、図1図3及び図5図7に示すように、座1と、この座1の両側に配された側パネル2とを具備してなり、前記側パネル2の少なくとも一方の内面2aにおける前記座1の座面1aよりも上方に位置する部位にコンセント3を設けたものである。
【0017】
前記座1は、図1図2及び図5に示すように、例えば厚みのある平面視略矩形状のものであり、その底面1b四隅にはキャスタ11が設けられている。すなわち、座1の底面1bは、キャスタ11の存在により床面から離れた位置に配されており、この座1の底面1bと床面との間に空間が形成されている。
【0018】
前記側パネル2は、図1図2及び図5に示すように、前記座1の両側面1cに下端部2bを添接させて座面1aよりも上方に延設されたものであり、座1に着座した着座者の左右両側を覆い隠し得る形態をなしている。ここで、図1図3及び図5図7に示すように、前記座1の前端面1dと前記側パネル2の前端面2cとは、略面一に構成されている。そして、図1図7に示すように、これら両側パネル2の後端間には、背面パネル4が配されている。すなわち、この背面パネル4は、図5に示すように、下端部4aを座1の背面1eに添設させて座面1aよりも上方に延設されたものである。この背面パネル4と前記両側パネル2との入隅部分には、図1図3図6及び図7に示すように、それら側パネル2及び背面パネル4の内面2a、4bになめらかに連続する肉厚部41が形成されている。
【0019】
また、この椅子Chは、図1図2及び図5に示すように、前記座1の両側縁部及び後縁部上に、肘掛を兼ねるホールド部材5を有している。このホールド部材5は、図1図3及び図5図7に示すように、着座者の腰部を囲繞すべく設けられた平面視U字状のもので、その前端面5aは前記側パネル2の前端面2cよりも後方に位置させてある。そして、このホールド部材5の前端面5aと前記側パネル2の前端面2cとの間に前記コンセント3を配している。この実施形態におけるコンセント3は、いわゆる電源コンセントと称されるものであり、このコンセント3に接続された配線6は、例えば、前記側パネル2の内部に形成された配線挿通空間2xを通して側パネル2の底面2dに導かれるように構成されている。なお、この実施形態におけるコンセント3は、着座者から見て左側の前記側パネル2に設けられている。
【0020】
以上説明した椅子Chは、図1に示すように、移動可能なテーブルTと組み合わせて使用されることが想定されている。このテーブルTは、扁平な脚羽根T21を有する対をなすT字脚T2上に天板T1を支持させたものであり、不使用時にはその脚羽根T21の先端部を前記椅子Chの座1の底面1bと床面との間の空間に挿入して接近収納しておくことができる。このテーブルTの天板上T1には、パーソナルコンピュータ等を載置して使用されるものであり、このパーソナルコンピュータに接続された電源コードを前記椅子Chのコンセント3に接続することができるようになっている。
【0021】
このような構成のものであれば、前記コンセント3が椅子Chの正面に臨むことがなくコンセント3が目立って全体の見栄えを損ねるという不具合を抑制することができる。しかも、前記コンセント3は座面1aよりも上方に設けられているため、このコンセント3にプラグを抜き差しする際に着座者が大きく姿勢を変える必要がなくなる。
【0022】
また、この実施形態では、座1の両側縁部及び後縁部上に、肘掛を兼ねるホールド部材5を有しているので、着座者の腰部のホールド感を高めることができるとともに、必要に応じて肘を掛けることも可能となり、使用感を向上させることができる。
【0023】
さらに、前記ホールド部材5の前端面5aは前記側パネル2の前端面2cよりも後方に位置させてあり、このホールド部材5の前端面5aと前記側パネル2の前端面2cとの間に前記コンセント3を配しているので、コンセント3に着座者が密着することがなく、コンセント3の周囲に空間が形成される。そのため、安全性を確保することができるだけでなく、このコンセント3へのプラグの着脱が容易になるとともに、プラグに接続された配線類の取り回しも容易になる。
【0024】
加えて、前記座1の前端面1dと前記側パネル2の前端面2cとを面一に構成しているので、椅子Ch全体を凹凸部分のないコンパクトなものにすることができる。特にこの実施形態のように、椅子Chの全体を平面視矩形状のものにしておけば、複数の椅子Chを収納する際にも相互に密着させて効率よく配置することができる。しかも、座1又は側パネル2が前方に突出することがないため、衝突等を招くことなく、着座者の着座又は離席操作を円滑に行うことができる。
【0025】
その上、前記側パネル2が、その内部に前記コンセント3に接続された配線を当該側パネル2の底面2e側に導くための配線挿通空間2xを備えているので、配線類が外部に露出するのを最小限にとどめることができる。
【0026】
そして、前記コンセント3を、着座者から見て左側の前記側パネル2に設けているので、大部分のパーソナルコンピュータへの接続が容易になる。すなわち、ほとんどのパーソナルコンピュータは、使用者から見て背面又は左側に電源端子が配されているため、係るパーソナルコンピュータとこの椅子Chのコンセント3とを最短距離で結ぶことが可能になる。
【0027】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0028】
例えば、コンセントは、以上説明した電源コンセントに限らず、情報コンセントや、USB端子等、あるいはそれらを複合させたものであってもよい。
【0029】
また、背面パネルは、必ずしも必要ではないが、前記実施形態のように側面パネルの後端間に背面パネルを設けておけば、着座者を囲うような空間を座面状に形成することができるため、集中した作業に適したものとなる。また、前記背面パネルは、背もたれとして機能させることができるような形態にすることも可能である。
【0030】
さらに、ホールド部材は、必ずしも必要なものではないが、このようなホールド部材を設けておけば、着座者がコンセントに密着するのを効果的に防止することができるだけでなく、そのホールド部材を肘掛として使用することもでき、着座感を向上させることもできる。
【0031】
加えて、座の前端面と側パネルの前端面との位置関係は任意に設定してよい。また、着座者から見て右側の側パネルにコンセントを設けてもかまわない。
【0032】
一方、コンセントに接続された配線を当該側パネルの外部に導くための態様として、側パネルの内部の配線挿通空間を利用する以外の態様を採用してもよく、側パネルの内部の配線挿通空間を利用する場合であっても、配線挿通空間の態様は種々考えられる。例えば、座が中空のものであれば、側パネルと座との対向する部位にそれぞれ開口を設け、この開口を介して配線を座の内部に導く態様が考えられる。
【0033】
そして、上述した実施形態のような一人用の椅子だけでなく、複数人用の椅子に本発明を適用してもよい。
【0034】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々変更してよい。
【符号の説明】
【0035】
Ch…椅子
1…座
1a…座面
2…側パネル
2a…側パネルの内面
3…コンセント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7