(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
フィルムを構成するポリエステルの全グリコール成分において、ブタンジオール成分を15モル%以上40モル%以下含有していることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載のヒートシール性に優れた熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【背景技術】
【0002】
近年、ガラス瓶やPETボトル等の保護と商品の表示を兼ねたラベル包装、コンビニ弁当の容器と蓋を留める目的になされるバンディング包装や帯ラベル包装の用途に、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等からなる延伸フィルム(所謂、熱収縮性フィルム)が広範に使用されるようになってきている。そのような熱収縮性フィルムの内、ポリ塩化ビニル系フィルムは、耐熱性が低い上に、焼却時に塩化水素ガスを発生したり、ダイオキシンの原因となる等の問題がある。また、ポリスチレン系フィルムは、耐溶剤性に劣り、印刷の際に特殊な組成のインキを使用しなければならない上、高温で焼却する必要があり、焼却時に異臭を伴って多量の黒煙が発生するという問題がある。それゆえ、耐熱性が高く、焼却が容易であり、耐溶剤性に優れたポリエステル系の熱収縮性フィルムが、収縮ラベルとして広汎に利用されるようになってきており使用量が増加する傾向にある。
【0003】
また、通常の熱収縮性ポリエステル系フィルムとしては、幅方向に大きく収縮させるものが広く利用されている。ボトルのラベルフィルムや、弁当の帯ラベルとして用いる場合、フィルムを環状にしてボトルや弁当容器に装着した後に周方向に熱収縮させなければならないため、幅方向に熱収縮する熱収縮性フィルムを装着する際には、フィルムの幅方向が周方向となるように環状体を形成した上で、その環状体を所定の長さ毎に切断してボトルや弁当容器に手かぶせ等で装着しなければならない。したがって、幅方向に熱収縮する熱収縮性フィルムからなるラベルフィルムや帯ラベルを高速でボトルや弁当容器に装着するのは困難である。それゆえ、最近では、フィルムロールから巻き出したフィルムを直接、ボトルや弁当容器に巻き付けて装着することが可能な長手方向に熱収縮するフィルムが求められている。フィルム環状体を形成してシールするセンターシール工程や、裁断、手かぶせ等の加工が不要になり、高速で装着することも可能である。
【0004】
近年コンビニエンスストア等では調理済みのうどんやラーメンなどの麺商品が増加傾向にあり、深さのあるプラスチック容器に調理済みの麺を入れ、上から蓋をかぶせ、さらに環状のシュリンクフィルムによって容器と蓋を上下から留める包装形態がなされている(所謂、帯ラベル包装)。帯ラベル包装においても、フィルムロールから直接容器に巻付けて使用する自動包装が求められており、2つのフィルムロールから巻きだした収縮フィルムを幅方向にヒートシールし、その2つのフィルムの間に被包装(麺容器)を挿入して、ヒートシールされている部分と反対側のフィルムをヒートシールすることで環状のフィルムとし、その環状フィルムを熱風等で加熱して収縮させることで被包装体と密着させ容器と蓋を留める帯ラベルになる。
帯ラベルの収縮フィルムの性能として、容器と蓋を留めることは勿論であるが、収縮による応力により容器が変形しないことが必要である。容器が変形すると商品の外観上好ましくない上に、内容物がこぼれたり、異物混入するおそれがあり問題である。また、収縮による応力によってヒートシール部が剥がれないことも必要である。ヒートシール部が剥がれることは容器と蓋を留める元来の目的を果たせなくなる。またヒートシール部においては低温でヒートシールした場合においても高い強度を有することが必要となる。上記の通り帯ラベルの2箇所のヒートシールの内、1箇所は被包装体(麺容器)を2つのフィルムの間に挿入してからシールされるが、使用するフィルムの省材料化などの観点から、被包装体と近い位置でシールされる場合が多い。そのため、シールバーの熱によりプラスチック製の被包装体が変形することがある。その変形を防ぐためにはシールバーの温度を下げる必要があり、帯ラベル用途のフィルムには低温シール性が必要となる。
以上より特に帯ラベルに使用される収縮フィルムに必要な性能としては、長手方向に十分な収縮率を有すること、収縮応力が低いことおよび低温でシールした時のヒートシール強度が高いことが挙げられる。
【0005】
例えば、特許文献1では、非晶性成分となるモノマーを使用し、ロール長手方向に収縮するポリエステル系熱収縮フィルムが記載されているが、記載の方法では二軸延伸するため、二軸目(主収縮方向)の延伸の応力が高くなり、結果収縮時の収縮応力が高くなる。さらに、二軸延伸によりフィルム面方向の配向が進み、ヒートシール性が低くなる問題点がある。さらに、二軸に延伸するための大規模な設備が必要であり、コストがかさむ問題がある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るヒートシール性に優れた熱収縮性ポリエステル系フィルムの構成について詳しく説明する。
【0013】
本発明のヒートシール性に優れた熱収縮性ポリエステル系フィルムは、主収縮方向が長手方向であり、下記要件(1)〜(4)を満たすことを特徴とするものである。
(1)フィルム長手方向と幅方向の屈折率の差が0.04以上0.12以下であること
(2)90℃の温水に10秒浸漬後の長手方向の収縮率が 40%以上80%以下であること
(3)90℃熱風で測定したフィルム長手方向の最大収縮応力が2MPa以上5MPa以下であること
(4)フィルム同士を温度130℃、圧力2kg/cm
2でヒートシールした後の剥離強度が 3N/15mm以上 20N/15mm以下であること
なお、上記「長手方向」とはフィルム製膜時の製膜方向(すなわちロール状に巻き取ったフィルムの巻取り方向)をさす。
【0014】
本発明のヒートシール性に優れた熱収縮性ポリエステル系フィルムは、上記要件(1)〜(4)を全て満足することにより、長手方向に十分な熱収縮率を有するとともに、熱収縮応力が低いので容器の変形を極めて少なくすることが可能であり、かつ高い低温ヒートシール性を有するのでヒートシール部の剥離が起こりにくく、特にプラスチックの帯ラベル用途に好適に用いることができる。
上記要件を満足する本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、後述の特定の組成のポリエステル原料を使用し、特定の製造方法を採用ことにより製造することができる。
【0015】
〔本発明のヒートシール性に優れた熱収縮性ポリエステル系フィルムの特性〕
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、90℃の温水中で無荷重状態で10秒間に亘って処理したときに、収縮前後の長さから、下式1により算出したフィルムの長手方向の熱収縮率(すなわち、90℃の温湯熱収縮率)が、40%以上80%以下である。
熱収縮率={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100(%)・・式1
【0016】
90℃における長手方向の温湯熱収縮率が40%未満であると、帯ラベルとして使用する場合に、収縮量が小さいために、熱収縮した後のラベルにシワやタルミが生じてしまうので好ましくない。一方、90℃における長手方向の温湯熱収縮率は80%より大きい場合、同時に収縮応力も高くなり、被包装容器が変形する問題が生じる。長手方向の温湯熱収縮率は75%以下であることがより好ましく、70%以下であることが更に好ましい。なお、90℃における長手方向の温湯熱収縮率の下限値は45%以上であるとより好ましく、50%以上であるとさらに好ましい。
【0017】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、90℃の熱風で測定したフィルム長手方向の収縮応力の最大値が2MPa以上5MPa以下であることが好ましい。90℃熱風における収縮応力が2MPa未満であると、収縮仕上げ後に帯ラベルとしてタイトな仕上がりにならず、容器と蓋を留める元来の目的を果たせなくなり問題である。また収縮応力が5MPaを超えると、その力により容器が変形してしまい外観上好ましくない上に、内容物がこぼれたり、異物混入の原因となり問題である。さらに、調理済み麺を入れた商品は帯ラベルごと電子レンジなどで再加熱される場合があり、その際に再加熱された帯ラベルは再び収縮しようとし、収縮応力が発生する。収縮応力が5MPa以上であると、再加熱による収縮応力により、容器の変形が発生してしまい問題である。
【0018】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、フィルム同士を温度130℃、圧力 2 kg/cm
2でヒートシールした後の剥離強度(ヒートシール剥離強度)が3N/15mm以上20N/15mm以下であることが好ましい。ヒートシール剥離強度が3N/15mm未満であると、帯ラベルとして収縮仕上げ時に、ラベルの収縮応力によりシール部が剥離してしまい問題である。また、ヒートシール剥離強度は高いほうが好ましいが、現状得られる上限は20N/15mmである。
【0019】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚みは、ラベル用途や帯ラベルを含むバンディング用途の熱収縮性フィルムとして6〜30μmが好ましい。また、8〜28μmがより好ましく、10μm〜26μmが特に好ましい。厚みが厚すぎる場合は、収縮応力の絶対値が大きくなり、バンディング用途で容器が変形してしまう場合がある。
【0020】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、長手方向と幅方向の屈折率の差が0.04以上0.12以下であることが好ましい。0.04未満であることはすなわち、無配向のフィルムであるか、二軸配向したフィルムであることを示すが、無配向のフィルムでは求められる熱収縮性を得ることができず、二軸配向のフィルムでは結晶化が進むために十分なヒートシール性を得ることができず好ましくない。一方、屈折率の差が0.12を超える場合でも結晶化が進んでいるため求められるヒートシール性が得られず好ましくない。より好ましくは、長手方向と幅方向の屈折率の差が0.05以上0.11以下であり、特に好ましくは0.06以上0.10以下である。
【0021】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、式2に示す係数が0.03以上0.08以下であることが好ましい。
面配向係数 = {(長手方向の屈折率+幅方向の屈折率)/2― 厚み方向の屈折率}・・・式2
面配向係数が0.03未満であると、ラベルの機械的強度が著しく低下し、例えば容器に包装した帯ラベルが搬送時に破れるなどのトラブルとなり問題である。また、面配向係数が0.080を超えると、フィルムの結晶性が高くなりヒートシール剥離強度が低下してしまい好ましくない。
【0022】
〔本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムに用いるポリエステル〕
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムに用いるポリエステルは、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸を主たる構成成分とすることが好ましい。テレフタル酸を主たる構成成分とするとは、ポリエステルを構成するジカルボン酸成分100モル%中、50モル%以上がテレフタル酸であることを意味する。テレフタル酸は、60モル%以上であることがより好ましく、70モル%以上であることがさらに好ましい。
【0023】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムを構成するポリエステルに含まれるテレフタル酸以外の他のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オルトフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、および脂環式ジカルボン酸等を挙げることができる。
【0024】
脂肪族ジカルボン酸(例えば、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等)をポリエステルに含有させる場合、含有率は3モル%未満(ジカルボン酸成分100モル%中)であることが好ましい。
【0025】
また、3価以上の多価カルボン酸(例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸およびこれらの無水物等)をポリエステルに含有させないことが好ましい。これらの多価カルボン酸を含有するポリエステルを使用して得た熱収縮性ポリエステル系フィルムでは、必要な高収縮率を達成しにくくなる。
【0026】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムに用いるポリエステルを構成する多価アルコール成分としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、ビスフェノールA等の芳香族系ジオール等を挙げることができる。上記のうち、エチレングリコールを多価アルコール成分として最も多く含有することが好ましい。エチレングリコールの好ましい含有量は、多価アルコール成分100モル%中、40モル%以上、より好ましくは45モル%以上である。
【0027】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムに用いるポリエステルは、1,4-ブタンジオールを含有させることが好ましい。1,4−ブタンジオールを含有することでフィルムのガラス転移温度(Tg)を低下させることが可能となるが、ガラス転移温度の低下により延伸時の延伸力を低下させることでき、結果的にフィルムの収縮応力が低下する。また、ガラス転移温度の低下により、ヒートシール後の剥離強度が高くなる。これはガラス転移温度の低下により分子鎖の運動性が高くなり、ヒートシール時の熱と圧力により分子鎖同士が絡まりあう効果が高くなったと考えられる。1,4−ブタンジオール成分の含有量は多価アルコール成分100モル%中、15モル%以上40モル%以下であることが好ましい。1,4−ブタンジオール成分が15モル%未満であると、低収縮応力および高いヒートシール性が得られず好ましくない。また40モル%を超えると、延伸応力が低くなりすぎて延伸後のフィルムの厚み精度が悪くなり、好ましくない。1,4−ブタンジオールの含有量は好ましくは、15モル%以上40%モル以下であり、より好ましくは16モル%以上39モル%以下であり、特に好ましくは、17モル%以上38モル以下%である。
【0028】
また、ポリエステルは、全ポリエステル樹脂中における多価アルコール成分100モル%中あるいは多価カルボン酸成分100モル%中の非晶質成分となり得る1種以上のモノマー成分の合計10モル%以上であることが高い収縮性を持たせる点で好ましい。10モル%未満であると必要な収縮率が得られず、収縮仕上げ時に収縮不足となる。非晶モノマー成分は10モル%以上、好ましくは11モル%以上、より好ましくは12モル%以上、特に好ましくは13モル%以上である。また、非晶成分となるモノマー成分の合計の上限は特に限定されないが、上限は40モル%が好ましい。
ここで、上記の「非晶質成分となり得る」の用語の解釈について詳細に説明する。
【0029】
本発明において、「非晶性ポリマー」とは、具体的にはDSC示差走査熱量分析装置における測定で融解による吸熱ピークを有さない場合を指す。非晶性ポリマーは実質的に結晶化が進行しておらず、結晶状態をとりえないか、結晶化しても結晶化度が極めて低いものである。
【0030】
一般的には、モノマーユニットが多数結合した状態であるポリマーについて、ポリマーの立体規則性が低い、ポリマーの対象性が悪い、ポリマーの側鎖が大きい、ポリマーの枝分かれが多い、ポリマー同士の分子間凝集力が小さい、などの諸条件を有する場合、非晶性ポリマーとなる。しかし存在状態によっては、結晶化が十分に進行し、結晶性ポリマーとなる場合がある。例えば、側鎖が大きいポリマーであっても、ポリマーが単一のモノマーユニットから構成される場合、結晶化が十分に進行し、結晶性となり得る。そのため、同一のモノマーユニットであっても、ポリマーが結晶性になる場合もあれば、非晶性になる場合もあるため、本発明では「非晶質成分となり得るモノマー由来のユニット」という表現を用いた。
【0031】
ここで、本発明においてモノマーユニットとは、1つの多価アルコール分子および1つの多価カルボン酸分子から誘導されるポリマーを構成する繰り返し単位のことであり、また、ε−カプロラクトンの場合は、ラクトン環の開環で得られる構成単位を示す。
【0032】
テレフタル酸とエチレングリコールからなるモノマーユニットがポリマーを構成する主たるモノマーユニットである場合、イソフタル酸とエチレングリコールからなるモノマーユニット、テレフタル酸とネオペンチルグリコールからなるモノマーユニット、テレフタル酸と1.4−シクロヘキサンジメタノールからなるモノマーユニット、イソフタル酸とブタンジオールからなるモノマーユニット等が、上記の非晶質成分となり得るモノマー由来のユニットとして挙げられる。
【0033】
非晶質成分となり得るモノマーとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,2−ジエチル1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジ−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、ヘキサンジオールを挙げることができる。これらの中でも、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールまたはイソフタル酸を用いるのが好ましい。また、ε−カプロラクトンを用いることも好ましい。より好ましくは、ネオペンチルグリコールまたは1,4−シクロヘキサンジメタノールであり、さらに好ましくはネオペンチルグリコールである。
【0034】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムを形成する樹脂の中には、必要に応じて各種の添加剤、例えば、ワックス類、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、減粘剤、熱安定剤、着色用顔料、着色防止剤、紫外線吸収剤等を添加することができる。
【0035】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムを形成する樹脂の中には、フィルムの作業性(滑り性)を良好にする滑剤としての微粒子を添加することが好ましい。微粒子としては、任意のものを選択することができるが、例えば、無機系微粒子としては、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム等、有機系微粒子としては、例えば、アクリル系樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子等を挙げることができる。微粒子の平均粒径は、0.05〜3.0μmの範囲内(コールターカウンタで測定した場合)で、必要に応じて適宜選択することができる。
【0036】
熱収縮性ポリエステル系フィルムを形成する樹脂の中に上記粒子を配合する方法としては、例えば、ポリエステル系樹脂を製造する任意の段階において添加することができるが、エステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応開始前の段階でエチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し、重縮合反応を進めるのが好ましい。また、ベント付き混練押出し機を用いてエチレングリコールまたは水等に分散させた粒子のスラリーとポリエステル系樹脂原料とをブレンドする方法、または混練押出し機を用いて、乾燥させた粒子とポリエステル系樹脂原料とをブレンドする方法等によって行うのも好ましい。
【0037】
〔本発明のヒートシール性に優れた熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法〕
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、その製造方法について何ら制限される物ではないが、例えば、上記したポリエステル原料を押出機により溶融押し出しして未延伸フィルムを形成し、その未延伸フィルムを以下に示す方法により製造することによって得ることができる。
【0038】
原料樹脂を溶融押し出しする際には、ポリエステル原料をホッパードライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥するのが好ましい。そのようにポリエステル原料を乾燥させた後に、押出機を利用して、200〜300℃の温度で溶融しフィルム状に押し出す。かかる押し出しに際しては、Tダイ法、チューブラー法等、既存の任意の方法を採用することができる。
【0039】
そして、押し出し後のシート状の溶融樹脂を急冷することによって未延伸フィルムを得ることができる。なお、溶融樹脂を急冷する方法としては、溶融樹脂を口金より回転ドラム上にキャストして急冷固化することにより実質的に未配向の樹脂シートを得る方法を好適に採用することができる。
【0040】
さらに、得られた未延伸フィルムを、後述するように、所定の条件で長手方向に延伸し、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムを得ることが可能となる。
【0041】
通常の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、収縮させたい方向に未延伸フィルムを延伸することによって製造される。本発明では主収縮方向である長手方向に一軸延伸する。長手方向に一軸延伸する場合、未延伸フィルムを複数のロール群が連続的に配置した縦延伸機に導き、予熱ロール上(低速ロール)でフィルムを所定の温度まで加熱した後、予熱ロールの下流に予熱ロールよりも速度の速いロール(高速ロール)を設けて、低速ロールと高速ロールの速度差によってフィルムを長手方向に延伸する。なお、長手方向の一軸延伸による製造手段は、横方向の延伸設備を使用しないので簡易な設備で製造できる利点を有する。
【0042】
この時の縦延伸方式は特に規定しないが、二段延伸などの多段延伸が好ましい。多段延伸にすることにより延伸時の応力が分散し、フィルムに残留する応力が低下する。さらに、面配向の増加も抑制されるために、ヒートシール性が向上する。
【0043】
この時の延伸倍率は特に規定は無いが、2倍以上6倍以下が好ましい。延伸倍率が2倍未満であると、物質収支的に高い収縮率が得られにくい上に厚み精度が悪くなる。また延伸倍率が6倍を上回ると、面配向が促進されヒートシール剥離強度が低下するだけでなく、収縮応力が高くなり好ましくない。また、本発明のフィルムにおいては二軸延伸することは好ましくない。例えば、未延伸フィルムをテンターを用いて幅方向に延伸した後、主収縮方向の長手方向に延伸する方法が考えられるが、長手方向の延伸時の延伸応力が高くなり収縮応力が高くなってしまううえに、二軸延伸によりフィルムの結晶化がすすみ、良好なヒートシール性が得られなくなる。
【0044】
またフィルムを延伸前および延伸中に加熱する方法は特に規定しないが、上述のロール上で加熱する方法以外にも、低速ロールと高速ロールの間で赤外ヒーターや集光赤外ヒーターを用いて加熱してもよい。
【0045】
また長手方向の延伸温度がTg+5℃未満であると、延伸時に破断が生じやすくなり、好ましくない。またTg+40℃より高いと、フィルムの熱結晶化が進んで収縮率が低下するので好ましくない。より好ましくはTg+8℃以上Tg+37℃以下であり、更に好ましくはTg+11℃以上Tg+34℃以下である。
【0046】
また上記の長手方向の延伸の後に、長手方向の収縮率が高くなりすぎないように調整する目的および収縮応力を低下させる目的で、長手方向に緩和する処理および加熱処理を施すことが好ましい。長手方向に緩和する方法は特に限定しないが、例えば、縦延伸工程の後に、縦延伸機の高速ロールよりも速度の遅いロールを設け、縦延伸機とそのロールの間で、セラミックヒータを用いてフィルムを再加熱することにより、フィルムを長手方向に収縮させて緩和させる方法がある。また別の例として、縦延伸後のフィルムを、フィルム両端をクリップで把持して加熱することができるテンター装置に導き、加熱処理をしながら、テンター内部においてフィルムの両端部をカットする、もしくはクリップを開くことで、テンター内部でフィルムの両端を把持しない状態にし、テンター後のロールの速度をテンター入り口の速度よりも遅くすることにより両端を把持されていないフィルムを長手方向に収縮させて緩和させる方法がある。加熱処理の方法は特に限定しないが、例えばフィルム両端をクリップで把持して加熱することができるテンター装置に導き、熱風で加熱処理する方法がある。上記の長手方向の緩和における緩和率は2%以上10%以下が好ましい。緩和率が2%未満であると、長手方向の収縮率の調整(低下)や収縮応力の抑制の効果が十分でなく好ましくない。また、緩和率が10%を超えると収縮率の低下や応力の低下が大きすぎ規定の範囲を下回るため好ましくない。加熱処理温度はフィルムのTg以上Tg+40℃以下が好ましい。加熱温度がTg未満であると上記の効果が得られず、Tg+40℃を超えると収縮率が低下しすぎてしまい好ましくない。また、上記の緩和処理は単独で用いてもよく、加熱処理と組み合わせて用いてもよいが、両者を組み合わせることが好ましい。
【実施例】
【0047】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明は、係る実施例の態様に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することが可能である。
【0048】
また、フィルムの評価方法は下記の通りである。
[Tg(ガラス転移点)]
示差走査熱量分析装置(セイコー電子工業株式会社製、DSC220)を用いて、未延伸フィルム5mgをサンプルパンに入れ、パンのふたをし、窒素ガス雰囲気下で−40℃から120℃に10℃/分の昇温速度で昇温して測定した。Tg(℃)はJIS−K7121−1987に基づいて求めた。
【0049】
[固有粘度 (IV)]
ポリエステル0.2gをフェノール/1,1,2,2-テトラクロルエタン(60/40(重量比))の混合溶媒50ml中に溶解し、30℃でオストワルド粘度計を用いて測定した。単位はdl/gである。
【0050】
[熱収縮率(温湯熱収縮率)]
フィルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、所定温度±0.5℃の温水中に無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた後、25℃±0.5℃の水中に10秒間浸漬し、水中から引き出してフィルムの縦および横方向の寸法を測定し、下記式1にしたがって、それぞれ熱収縮率を求めた。熱収縮率の大きい方向を主収縮方向とした。
熱収縮率={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100(%) 式1
【0051】
[収縮応力]
熱収縮性フィルムから主収縮方向の長さが200mm、幅20mmのサンプルを切り出し、東洋ボールドウィン社製(現社名オリエンテック)の加熱炉付き強伸度測定機(テシロン(オリエンテック社の登録商標))を用いて測定した。加熱炉は予め90℃に加熱しておき、チャック間距離は100mmとした。加熱炉の送風を一旦止めて加熱炉の扉を開け、サンプルをチャックに取付け、その後速やかに加熱炉の扉を閉めて、送風を再開した。
収縮応力を30秒以上測定し、測定中の最大値を最大収縮応力(MPa)とした。
【0052】
[ヒートシールした後の剥離強度]
JIS Z1707に準拠してヒートシール強度を測定した。具体的な手順を簡単に示す。ヒートシーラーにて、サンプルのコート処理やコロナ処理等を実施していない本発明のフィルム同士を接着した。シール条件は、上バー温度130℃、下バー温度100℃、圧力2kg/cm
2、時間2秒とした。接着サンプルは、シール幅が15mmとなるように切り出した。剥離強度は、万能引張試験機「DSS−100」(島津製作所製)を用いて引張速度200mm/分で測定した。剥離強度は、15mmあたりの強度(N/15mm)で示す。
【0053】
[面配向係数]
フィルム長手方向、幅方向、厚み方向の屈折率をアタゴ社製の「アッベ屈折計4T型」を用いて、各試料フィルムを23℃、65%RHの雰囲気中で2時間以上放置した後に測定した。測定結果より以下の式2を用いて面配向係数を求めた
面配向係数 = {(長手方向の屈折率+幅方向の屈折率)/2― 厚み方向の屈折率}・・・式2
【0054】
[収縮仕上り性]
コンビニエンスストアで市販されているプラスチック製の麺容器(長辺220mm × 短辺150mm×高さ50mm、)に対して、容器の胴部と蓋部をフィルムで留めるように、容器上下に幅90mmの2枚のフィルムを設置し、フィルム端同士(2箇所)を130℃でヒートシールした。すなわち、この時ヒートシールして環状になったフィルムを麺容器にかぶせた状態となる。この時、フィルムの収縮方向(長手方向)が環状フィルムの周方向になるようにし、麺容器の長辺同士を環状フィルムで留めるように位置し、環状フィルムの幅方向中点と容器長辺の中点が一致するようにした。また、容器に対する環状フィルムのたるみ量は25%とした。この麺容器と環状フィルムを熱風シュリンクトンネル(日本テクノロジーソリューション製 TORNAD 2500)を用いて、設定温度110℃の熱風にて加熱収縮させ、収縮仕上がり性を評価した。収縮仕上り性の評価においては、容器の変形、ヒートシール部の破れの2点において評価した。
【0055】
(容器の変形)
容器の変形は、容器の一方の長辺の中点からもう一方の長辺の中点の距離Aの収縮前と収縮後の変化を変形量Rとした(下記の式3)
変形量R = A(収縮前)― A’(収縮後) ・・・式3
上記変化量が大きいものを容器変形が大きいと判断し、基準は以下のようにした
○ : 0mm≦ R < 2mm
△ : 3mm≦ R < 5mm
× : 5mm≦ R
【0056】
(ヒートシール部の剥がれ)
ヒートシールの剥がれは収縮仕上げ後の2箇所のヒートシール部を観察し、以下の基準で判断した。
○ : 剥がれなし
△ : 一部剥がれあり。
× : 少なくとも一方のヒートシール部がすべて剥がれる
【0057】
<ポリエステル原料の調製>
[合成例1]
撹拌機、温度計および部分環流式冷却器を備えたステンレススチール製オートクレーブに、ジカルボン酸成分としてジメチルテレフタレート(DMT)100モル%と、多価アルコール成分としてエチレングリコール(EG)100モル%とを、エチレングリコールがモル比でジメチルテレフタレートの2.2倍になるように仕込み、エステル交換触媒として酢酸亜鉛を0.05モル%(酸成分に対して)、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.225モル%(酸成分に対して)を添加し、生成するメタノールを系外へ留去しながらエステル交換反応を行った。その後、280℃で26.7Paの減圧条件のもとで重縮合反応を行い、固有粘度0.75dl/gのポリエステル1を得た。組成を表1に示す。
[合成例2〜5]
合成例1と同様の方法により、表1に示すポリエステル2〜5を得た。ポリエステル2の製造の際には、滑剤としてSiO2(富士シリシア社製サイリシア266;平均粒径1.5μm)をポリエステルに対して7200ppmの割合で添加した。なお、表中、TPAはテレフタル酸、IPAはイソフタル酸、NPGはネオペンチルグリコール、BDは1,4−ブタンジオール、CHDMはシクロヘキサンジメタノールである。なおポリエステルの固有粘度は、それぞれ、2:0.75dl/g,3:0.75dl/g,4:1.20dl/g、5:0.75dl/gであった。なお、各ポリエステルは、適宜チップ状にした。各ポリエステルの組成は表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
[実施例1]
上記したポリエステル1、ポリエステル2、ポリエステル3およびポリエステル4を質量比 4:6:66:24で混合して押出機に投入した。しかる後、その混合樹脂を280℃で溶融させてTダイから押出し、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さがμmの未延伸フィルムを得た。未延伸フィルムのTgは65℃であった。当該未延伸フィルムを複数のロール群が連続的に配置した縦延伸機に導き、予熱ロール状でフィルム温度85℃(Tg+20℃)になるまで加熱した後に、ロール延伸法によって長手方向の延伸倍率を4.0倍、延伸後のフィルムの厚さが20μmになるように縦延伸した。縦延伸後は表面温度25℃に設定された冷却ロールで冷却したのち、該当フィルムの両面からセラミックヒーターを用いて再加熱を行い、その後のロールを上記冷却ロールよりも速度を下げることにより、緩和率5%で長手方向に緩和処理を行った。その後テンターを用いて、フィルム温度が80℃(Tg+15℃)になるまで加熱処理を行った。次いでフィルムの両縁部を裁断除去後、ロール状に巻き取った。得られたフィルムの特性を上記の方法により評価した。製造条件を表2に、評価結果を表3に示す。
【0060】
[実施例2]
長手方向の延伸倍率を3.0倍とし、長手方向への延伸後のフィルムの厚さが20μmになるように溶融させた混合樹脂のTダイから押出し量を調整した以外は実施例1と同様とした。製造条件を表2に、評価結果を表3に示す。
【0061】
[実施例3]
長手方向の延伸倍率を5.0倍とし、長手方向への延伸後のフィルムの厚さが20μmになるように溶融させた混合樹脂のTダイから押出し量を調整した以外は実施例1と同様とした。製造条件を表2に、評価結果を表3に示す。
【0062】
[実施例4]
上記したポリエステルの質量比を、ポリエステル1、ポリエステル2、ポリエステル3およびポリエステル4で、10:6:70:16で混合して押出機に投入し、長手方向の延伸時のフィルム温度を90℃(Tg+20℃)にし、延伸後の熱処理の温度を85℃(Tg+15℃)にした以外は実施例1と同様とした。この時、未延伸フィルムのTgは70℃であった。製造条件を表2に、評価結果を表3に示す。
【0063】
[実施例5]
上記したポリエステルの質量比を、ポリエステル2、ポリエステル3およびポリエステル4で、6:56:38で混合して押出機に投入し、長手方向の延伸時のフィルム温度を80℃(Tg+15℃)にし、延伸後の熱処理の温度を75℃(Tg+10℃)にした以外は実施例1と同様とした。この時、未延伸フィルムのTgは65℃であった。製造条件を表2に、評価結果を表3に示す。
【0064】
[実施例6]
延伸後の熱処理時のフィルム温度を95℃(Tg+30℃)にした以外は実施例2と同様にした。製造条件を表2に、評価結果を表3に示す。
【0065】
[実施例7]
長手方向の延伸倍率を3.0倍にし、長手方向への延伸後のフィルムの厚さが20μmになるように溶融させた混合樹脂のTダイから押出し量を調整して、延伸後の熱処理時のフィルム温度を95℃(Tg+30℃)にした以外は、実施例5と同様にした。製造条件を表2に、評価結果を表3にしめす。
【0066】
[比較例1]
上記したポリエステルの質量比を、ポリエステル1、ポリエステル2、ポリエステル3およびポリエステル4で、18:6:66:10で混合して押出機に投入し、縦延伸後の長手方向への緩和を実施せず、延伸後の熱処理時のフィルム温度を95℃(Tg+23℃)にした以外は実施例1と同様にした。この時の未延伸フィルムのTgは72℃であった。製造条件を表2に、評価結果を表3にしめす。
【0067】
[比較例2]
上記したポリエステル1、ポリエステル2、ポリエステル3およびポリエステル4を質量比4:15:66:15で混合して押出機に投入した。しかる後、その混合樹脂を280℃で溶融させてTダイから押出し、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さが240μmの未延伸フィルムを得た。未延伸フィルムのTgは70℃であった。その未延伸フィルムをテンターに導き、フィルム温度が100℃(Tg+30℃)になるまで加熱して、延伸倍率4.0倍で横方向に延伸した。その後、該当横延伸後のフィルムを複数のロール群が連続的に配置した縦延伸機に導き、予熱ロール状でフィルム温度85℃(Tg+15℃)になるまで加熱した後に、ロール延伸法によって長手方向の延伸倍率を3.0倍、延伸後のフィルムの厚さが20μmになるように縦延伸した。縦延伸後は表面温度25℃に設定された冷却ロールで冷却したのち、該当フィルムを再度テンターに導いた。該当テンターでは、フィルム端部を把持するクリップの間隔は一定で(すなわち、延伸および弛緩はさせず)、フィルム温度が80℃(Tg+10℃)になるまで加熱処理を行った。次いで該当熱処理後のフィルムの両縁部を裁断除去後、ロール状に巻き取った。得られたフィルムの特性を上記の方法により評価した。製造条件を表2に、評価結果を表3に示す。
【0068】
[比較例3]
長手方向の延伸時のフィルム温度を90℃(Tg+25℃)にし、延伸倍率を8.0倍とし、長手方向への延伸後のフィルムの厚さが20μmになるように溶融させた混合樹脂のTダイから押出し量を調整し、縦延伸後の長手方向の緩和を実施しなかった以外は実施例1と同様とした。製造条件を表2に、評価結果を表3に示す。
[比較例4]
上記したポリエステル4、ポリエステル5を質量比15:85で混合して押出機に投入した。しかる後、その混合樹脂を280℃で溶融させてTダイから押出し、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さが110μmの未延伸フィルムを得た。未延伸フィルムのTgは68℃であった。当該未延伸フィルムを複数のロール群が連続的に配置した縦延伸機に導き、予熱ロール状でフィルム温度75℃(Tg+7℃)になるまで加熱した後に、ロール延伸法によって長手方向の延伸倍率を5.0倍にして延伸した。その後フィルムをテンターに導き、フィルム温度が90℃(Tg+22℃)になるまで加熱し、幅方向に延伸倍率1.1倍で延伸し、フィルムの厚さが20μmになるようにした。次いでフィルムの両縁部を裁断除去後、ロール状に巻き取った。得られたフィルムの特性を上記の方法により評価した。製造条件を表2に、評価結果を表3に示す。
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】
評価の結果、実施例1〜7のフィルムは十分な収縮性を有し、収縮応力が低く、ヒートシール性に優れているために収縮仕上げ時に容器の変形やヒートシールの剥がれが発生しない、帯ラベル用途において品質が高く、実用上優れたフィルムであった。
【0072】
一方で、比較例1のフィルムはヒートシール性が低いために、収縮仕上げ時においてヒートシール部分の剥がれが発生してしまった。また、比較例2は収縮応力が高い上に、ヒートシール性が低いために収縮仕上げ時に容器の変形が発生してしまい、またヒートシール部の剥がれも発生した。比較例3は、ヒートシールの剥がれは発生しなかったものの、収縮応力が高いために、容器の変形が発生した。比較例4のフィルムは、収縮応力が高いために容器の変形が発生し、ヒートシール部分の剥がれも発生した。すなわち、比較例1〜4は帯ラベル用途のフィルムとして不適であり、実用上問題のあるフィルムであった。