(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
保管庫(2)の内部を冷却する冷却器(13)と、前記保管庫の内部を加熱する加熱器(15)と、を備え、前記冷却器および前記加熱器を制御して前記保管庫に保管されている作物に対するヒートショック処理を実施する庫内温度制御装置であって、
前記保管庫に保管される前記作物の収穫前の温度条件であるプレハーベスト条件を収集する情報収集部(S100)と、
前記情報収集部により収集された前記プレハーベスト条件に基づいて前記作物に対して実施するヒートショック処理条件を特定する処理条件特定部(S105、S107)と、
前記処理条件特定部により特定された前記ヒートショック処理条件に従って前記冷却器および前記加熱器を制御する温度制御部(S106、S108、S110)と、を備えた庫内温度制御装置。
前記作物の前記プレハーベスト条件が所定条件を満たした際に前記作物の低温障害の発生が抑制されるよう前記作物に対して実施するヒートショック処理条件を記憶する記憶部(101)と、
前記情報収集部により収集された前記作物の前記プレハーベスト条件が前記所定条件を満たしているか否かを判定する条件判定部(S104)と、を備え、
前記処理条件特定部は、前記条件判定部により前記作物の前記プレハーベスト条件が所定条件を満たしていると判定された場合、前記作物に対して実施するヒートショック処理条件を、前記記憶部から読み出して特定する請求項1に記載の庫内温度制御装置。
前記プレハーベスト条件には、前記作物の品目、前記作物の品種、施肥履歴、前記作物が収穫されるまでの積算温度、前記作物が収穫されるまでの積算湿度、前記作物が収穫されるまでの最高温度、前記作物が収穫されるまでの最低温度、前記作物が所定温度以上に曝された積算時間および病害虫発生状況の少なくとも1つが含まれる請求項1ないし3のいずれか1つに記載の庫内温度制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係る庫内温度制御装置の構成について
図1〜
図2を用いて説明する。庫内温度制御装置1は、保管庫2の内部を冷却する冷却器としての蒸発器13と、保管庫2の内部を加熱する加熱器としての電気ヒータ15と、を備え、作物等の収穫物を保管する保管庫2の内部の温度を制御する。
【0011】
庫内温度制御装置1は、圧縮機10、放熱器11、膨張弁12、蒸発器13、ヒータコンタクタ103、電気ヒータ15、温度センサ16、制御部100、記憶部101、受信機102およびバーコードリーダー104を備えている。圧縮機10、放熱器11、膨張弁12および蒸発器13は、上記圧縮式の冷凍サイクルを構成するものであり、冷媒配管14を介して接続されている。
【0012】
圧縮機10は、冷媒を圧縮して吐出するものである。圧縮機10は、吐出容量が固定された固定容量型の圧縮機構を電動モータにて回転駆動する電動圧縮機で構成されている。圧縮機10の電動モータは、制御部100から出力される制御信号に応じて、その回転数が制御される。
【0013】
圧縮機10の冷媒吐出側には、放熱器11の冷媒入口側が接続されている。放熱器11は、第1送風機111から送風された外気と圧縮機10から吐出された冷媒とを熱交換させて冷媒を放熱させる熱交換器である。
【0014】
放熱器11の冷媒出口側には、膨張弁12の冷媒入口側が接続されている。膨張弁12は、放熱器11から流出した冷媒を減圧膨張させる減圧装置である。膨張弁12は、絞り開度を変更可能に構成された弁体と、この弁体の絞り開度を変化させる電動アクチュエータとを有する電気式膨張弁で構成されている。膨張弁12は、制御部100から出力される制御信号に応じて、その絞り開度が制御される。
【0015】
膨張弁12の冷媒出口側には、蒸発器13の冷媒入口側が接続されている。蒸発器13は、第2送風機131によって保管庫2の内部空間を循環送風される空気と冷媒とを熱交換させて冷媒を蒸発させる熱交換器である。第2送風機131から蒸発器13に送風された空気は、蒸発器13における冷媒の蒸発潜熱による吸熱作用によって冷却される。蒸発器13は、保管庫2の内部を冷却する冷却器に相当する。
【0016】
電気ヒータ15は、保管庫2の内部を加熱する装置である。本実施形態の電気ヒータ15は、抵抗体に電流を流すことによって生じる熱で保管庫2の内部を加熱する。電気ヒータ15は、保管庫2の内部を加熱する加熱器に相当する。
【0017】
ヒータコンタクタ103は、電気ヒータ15に電流を供給する電路を開閉する電磁接触機により構成されている。ヒータコンタクタ103は、制御部100から出力される制御信号に応じて、電路の開閉が制御される。
【0018】
温度センサ16は、保管庫2の内部に設置されている。温度センサ16は、保管庫2の内部温度を検出し、検出した温度を示す信号を制御部100に出力する。
【0019】
制御部100は、制御処理や演算処理を行うCPU、プログラムやデータ等を記憶するROM、RAM等の記憶部等を備えたマイクロコンピュータとして構成されている。制御部100は、記憶部に記憶されたプログラムに従って各種処理を実施する。
【0020】
制御部100には、記憶部101、受信機102およびバーコードリーダー104が接続されている。
【0021】
記憶部101は、各種データを記憶する外部記憶装置である。記憶部101は、ハードディスクドライブによって構成されている。記憶部101には、制御部100からの書き込み指示に応じて各種データが書き込まれる。
【0022】
受信機102は、外部からの信号を受信して受信データを制御部100に出力する装置である。本実施形態の受信機102は、後述する情報処理装置3から送信される信号を受信することが可能となっている。
【0023】
バーコードリーダー104は、バーコードを読み取り、読み取ったデータを出力する装置である。本実施形態では、作物を収納する段ボールやプラコン等の運搬用箱4に貼り付けられたバーコードを読み取るためにバーコードリーダー104が用いられる。
【0024】
次に、情報処理装置3について、
図3を参照して説明する。情報処理装置3は、作物を栽培するハウス内の温度、病害虫発生状況等の環境を統合的に管理するものであり、ハウス内に設置されている。情報処理装置3は、操作部、表示部および制御部(いずれも図示せず)を備えたコンピュータによって構成されている。情報処理装置3には、複数の温度センサ30が接続されている。温度センサ30は、温度を検出し、検出した温度を示す信号を情報処理装置3に出力する。
【0025】
情報処理装置3の制御部は、CPU、メモリ、I/O等を備えたコンピュータとして構成されており、CPUはメモリに記憶されたプログラムに従って各種処理を実施する。
【0026】
情報処理装置3の制御部の処理としては、複数の温度センサ30により検出された温度を周期的に収集し、温度データとしてメモリに記憶させる処理、作物のプレハーベスト条件を表すバーコードを作成する処理、作成したバーコードを図示しないプリンタでシールに印刷する処理等がある。
【0027】
収穫された作物は、この作物のプレハーベスト条件を表すバーコードが印刷されたバーコードシールが貼られた運搬用箱4に入れて保管庫2まで運搬されるようになっている。
【0028】
なお、作物のプレハーベスト条件には、作物の品目(例えば、トマト)、品種(例えば、○○トマト)、熟度(例えば、mature green)、収穫直前の30日間の最高温度等の情報が含まれる。
【0029】
図4は、運搬用箱4の外観図である。この運搬用箱4には、情報処理装置3により作成されたバーコードシール40が貼り付けられている。ハウス内で収穫された作物は、この運搬用箱4を用いて保管庫2に運搬されるようになっている。
【0030】
ところで、トマト等の夏野菜を低温の庫内で低温貯蔵すると、低温障害が発生しやすいといった問題がある。低温障害の具体例としては、細胞が破壊して柔らかくなる軟化、例えば、トマトが赤くならない追熟不良、表皮に斑点や黒ずみが発生するピッティング等がある。
【0031】
このような低温障害を抑制するため、本実施形態の庫内温度制御装置1は、作物を低温貯蔵する前もしくは貯蔵中に、保管庫内を加熱するようにして保管庫内に保管された作物にヒートショックを与えるヒートショック処理を実施する。
【0032】
このように、作物を低温貯蔵する前もしくは貯蔵中に、保管庫内を加熱してトマトにストレスを与え、その後、低温貯蔵することで低温障害の発生を抑制することが可能となり、高い品質を維持することが可能となる。
【0033】
本発明者らの研究によれば、収穫前の作物が置かれる温度条件であるプレハーベスト条件により、ヒートショックを与える際の最適な温度条件が異なることが分かった。例えば、5月に収穫されたトマトと11月に収穫されたトマトでは、収穫直前の所定期間の最高温度であったり、作物が収穫されるまでの積算温度等のプレハーベスト条件が異なる。このようなプレハーベスト条件により、作物に対して与えるべき最適な温度条件が異なることが分かった。
【0034】
本実施形態の庫内温度制御装置1の記憶部101には、作物のプレハーベスト条件が所定条件を満たした際に作物の低温障害の発生が抑制されるよう作物に対して実施するヒートショック処理条件が記憶されている。
【0035】
図5は、ヒートショック処理条件の登録データの一例である。入力情報として、品目(トマト)、品種(○○トマト)、熟度(例えば、mature green)、収穫直前の30日間の最高温度(25℃)が含まれており、出力情報として高温処理温度(38℃)、高温処理時間(72時間)が含まれている。
【0036】
庫内温度制御装置1の制御部100は、保管庫2に保管される作物の収穫前の温度条件であるプレハーベスト条件を収集し、このプレハーベスト条件に基づいて保管庫2に保管される作物に対して実施するヒートショック処理条件を特定し、このヒートショック処理条件に従って冷却器および加熱器を制御する処理を実施する。
【0037】
なお、
図5には、○○トマトについてのヒートショック処理条件の登録データを示してあるが、実際には、バナナ、なす、マンゴー等の作物についてのヒートショック処理条件の登録データも庫内温度制御装置1の記憶部101に登録されている。
【0038】
次に、庫内温度制御装置1の制御部100の処理について
図6を参照して説明する。なお、運搬用箱4に収納された作物は、保管庫2内に搬入されているものとする。制御部100は、作業者の操作に従って
図6に示す処理を開始する。
【0039】
まず、制御部100は、S100にて、保管庫2内の作物のプレハーベスト条件を収集する。具体的には、
図4に示したような、運搬用箱4に貼り付けられたバーコードシール40のバーコードをバーコードリーダー104により読み取らせることによって、作物のプレハーベスト条件を収集する。なお、プレハーベスト条件には、作物の品目(例えば、トマト)、作物の品種(例えば、○○トマト)、作物の収穫直前の所定期間内の最高温度(例えば、25℃)が含まれる。
【0040】
次に、制御部100は、S102にて、保管庫2内の作物がヒートショック効果のある品種であるか否かを判定する。例えば、トマト、バナナ、なす、マンゴー等は、ヒートショック効果のある品目(品種)であると判定し、リンゴ等はヒートショック効果のない品目(品種)であると判定する。
【0041】
ここで、保管庫2内の作物が○○トマトである場合、制御部100は、S104において、S100にて収集されたプレハーベスト条件に基づいて保管庫2内の作物のプレハーベスト条件が所定条件を満たしているか否かを判定する。具体的には、プレハーベスト条件に含まれる作物の収穫直前の所定期間内の最高温度が所定温度以下の場合に、情報収集部により収集された作物のプレハーベスト条件が所定条件を満たしていると判定する。
【0042】
より具体的には、保管庫2内の作物の収穫直前の30日の最高温度が26.4℃以下となっている場合に、情報収集部により収集された作物のプレハーベスト条件が所定条件を満たしていると判定する。
【0043】
また、保管庫2内の作物の収穫直前の30日の最高温度が26.4℃よりも高い場合には、情報収集部により収集された作物のプレハーベスト条件が所定条件を満たしていないと判定する。
【0044】
ここで、S100にて収集されたプレハーベスト条件に基づいて保管庫2内の作物の収穫直前の30日の最高温度が26.4℃以下となっている場合、制御部100は、S106にて、作物に対して実施するヒートショック処理条件を、記憶部101から読み出して特定する。
【0045】
例えば、
図5に示したように、保管庫2内の作物が、品目(トマト)、品種(○○トマト)、収穫前30日間の最高温度(25℃)となっており、高温処理温度が38℃、高温処理時間が72時間として記憶部101に登録されている場合、高温処理温度を38℃、高温処理時間を72時間として特定する。
【0046】
次に、制御部100は、S106にて、第1温度で第1期間、ヒートショック処理を実施する。ここでは、第1温度を高温処理温度である38℃とし、第1期間を高温処理時間である72時間としてヒートショック処理を実施する。制御部100は、72時間、温度センサ16により検出される温度が38℃に近付くようにヒータコンタクタ103および電気ヒータ15を制御する。
【0047】
次に、第1期間が経過すると、制御部100は、S110にて、低温貯蔵処理を実施する。ここでは、低温処理期間である2週間(336時間)、保管庫2内の温度が低温処理温度(例えば、3℃)となるよう低温貯蔵処理を実施する。具体的には、336時間、温度センサ16により検出される温度が低温処理温度に近付くように圧縮機10の電動モータの回転数、第1送風機111、第2送風機131等を制御する。そして、第2期間が経過すると、制御部100は、本処理を終了する。
【0048】
また、S104に判定の際に、保管庫2内の作物の収穫直前の30日の最高温度が26.4℃以下よりも高くなっている場合、制御部100は、S107にて、作物に対して実施するヒートショック処理条件を特定する。ここでは、高温処理温度を41℃、高温処理期間を72時間として特定する。
【0049】
次に、制御部100は、S106にて、第2温度で第2期間、ヒートショック処理を実施する。ここでは、第2温度を高温処理温度である41℃とし、第2期間を高温処理時間である72時間としてヒートショック処理を実施する。制御部100は、72時間、温度センサ16により検出される温度が41℃に近付くようにヒータコンタクタ103および電気ヒータ15を制御する。
【0050】
次に、第2期間が経過すると、制御部100は、S110にて、低温貯蔵処理を実施する。そして、第2期間が経過すると、制御部100は、本処理を終了する。
【0051】
また、保管庫2内の作物がリンゴ等のヒートショック効果のない品目(品種)である場合、S102の判定はNOとなり、制御部100は、ヒートショック処理S106、S108を実施することなく、S110へ進み、低温貯蔵処理を実施する。
【0052】
次に、トマトに高温処理を含むヒートショック処理を実施した場合と、高温処理を実施することなく低温貯蔵した場合の低温障害指数について、
図7を参照して説明する。
【0053】
図7は、5月、6月、11月に収穫したトマトに高温処理を含むヒートショック処理を実施した場合(高温処理)と、トマトに高温処理を実施することなく低温貯蔵した場合(無処理)の低温障害指数の比較例を表している。
【0054】
低温障害指数は、細胞が破壊して柔らかくなる軟化、例えば、トマトが赤くならない追熟不良、表皮に斑点や黒ずみが発生するピッティング等を総合的に評価した指標である。低温障害指数が大きいほど、品質が悪化していることを意味する。
【0055】
なお、5月に収穫したトマトの収穫前30日間の最高温度は26.4℃、6月に収穫したトマトの収穫前30日間の最高温度は29.9℃、11月に収穫したトマトの収穫前30日間の最高温度は28.6℃となっている。
【0056】
図7の右側の高温処理は、38℃で3日間、高温処理を実施した後、3℃で2週間、低温貯蔵し、その後20℃で棚持ち試験を実施した場合の低温障害指数を表している。また、
図7の左側の無処理は、高温処理を実施することなく、3℃で2週間、低温貯蔵し、その後20℃で棚持ち試験を実施した場合の低温障害指数を表している。
【0057】
5月と6月に収穫されたトマトに高温処理を含むヒートショック処理を実施した場合には、トマトに高温処理を実施することなく低温貯蔵した場合と比較して、低温障害指数がより小さくなっている。つまり、高温処理を含むヒートショック処理により、低温障害の発生が抑制されている。
【0058】
しかし、11月に収穫されたトマトに高温処理を含むヒートショック処理を実施した場合には、トマトに高温処理を実施することなく低温貯蔵した場合と比較して、低温障害指数がより大きくなっている。つまり、高温処理を含むヒートショック処理により、低温障害の発生が抑制されていない。
【0059】
特に、5月に収穫したトマトの収穫前30日間の最高温度は26.4℃となっており、トマトの収穫前30日間の最高温度が26.4℃以下の場合に、38℃で3日間、高温処理を実施した後、3℃で2週間、低温貯蔵した場合に、低温障害指数が大きく抑制されることが確認できた。
【0060】
図8は、いちごの品種である(○○いちご、△△いちご、××いちご)に対して42℃で4時間、高温処理した場合の効果を示したものである。具体的には、カビ抑制、腐り抑制、オセ抑制、シワ抑制、食味維持について示してある。なお、オセは、自重でつぶれることを意味する。
【0061】
○○いちごと××いちごは、カビ抑制効果が確認できたが、△△いちごでは、カビ抑制効果は確認できなかった。また、○○いちごは食味を維持することができたが、△△いちごと××いちごは食味を維持することができなかった。
【0062】
このように、同一条件でヒートショック処理を実施した場合、品種によってヒートショック処理の効果が異なることが分かる。すなわち、品種毎にヒートショック処理条件を変更するのが好ましい。
【0063】
以上、説明したように、本実施形態の庫内温度制御装置は、保管庫2の内部を冷却する蒸発器13と、保管庫2の内部を加熱する電気ヒータ15と、を備えている。そして、蒸発器13および電気ヒータ15を制御して保管庫2に保管されている作物に対するヒートショック処理を実施する。また、庫内温度制御装置は、保管庫2に保管される作物の収穫前の温度条件であるプレハーベスト条件を収集し、このプレハーベスト条件に基づいて作物に対して実施するヒートショック処理条件を特定する。そして、このヒートショック処理条件に従って冷却器および加熱器を制御する。
【0064】
このような構成によれば、保管庫に保管される作物の収穫前の温度条件であるプレハーベスト条件に基づいて作物に対して実施するヒートショック処理条件を特定し、このヒートショック処理条件に従って蒸発器13および電気ヒータ15が制御されるので、より確実にヒートショックによる品質維持効果を得ることができる。
【0065】
また、上記したように、庫内温度制御装置は、作物のプレハーベスト条件が所定条件を満たした際に作物の低温障害の発生が抑制されるよう作物に対して実施するヒートショック処理条件を記憶する記憶部101を備えている。そして、情報収集部により収集された作物のプレハーベスト条件が所定条件を満たしているか否かを判定し、作物のプレハーベスト条件が所定条件を満たしていると判定された場合、作物に対して実施するヒートショック処理条件を、記憶部から読み出して特定する。
【0066】
このように、作物のプレハーベスト条件が所定条件を満たしていると判定された場合、作物に対して実施するヒートショック処理条件を、記憶部から読み出して特定することができる。
【0067】
また、上記したように、情報収集部は、保管庫に保管されている作物のプレハーベスト条件および作物の品種を含む作物情報を収集し、処理条件特定部は、情報収集部により収集された作物情報に含まれる作物のプレハーベスト条件および作物の品種に基づいて作物に対して実施するヒートショック処理条件を特定する。
【0068】
このように、作物のプレハーベスト条件および作物の品種に基づいて作物に対して実施するヒートショック処理条件を特定するので、異なる品種の作物に対して異なるヒートショック処理条件で冷却器および加熱器を制御することができる。
【0069】
また、上記したように、プレハーベスト条件には、作物の収穫直前の所定期間内の最高温度が含まれている。また、記憶部には、プレハーベスト条件に含まれる作物の収穫直前の所定期間内の最高温度が所定温度以下の場合に、作物に対して実施するヒートショック処理条件が記憶されている。
【0070】
また、庫内温度制御装置は、プレハーベスト条件に含まれる作物の収穫直前の所定期間内の最高温度が所定温度以下の場合に、情報収集部により収集された作物のプレハーベスト条件が所定条件を満たしていると判定する。
【0071】
このように、プレハーベスト条件に含まれる作物の収穫直前の所定期間内の最高温度が所定温度以下の場合に、プレハーベスト条件に含まれる作物の収穫直前の所定期間内の最高温度が所定温度以下の場合に作物に対して実施するヒートショック処理条件を、記憶部から読み出して特定することができる。
【0072】
また、庫内温度制御装置は、プレハーベスト条件を示すバーコードを読み取るバーコードリーダー104を備えている。そして、バーコードリーダー104により読み取られたバーコードにより作物のプレハーベスト条件を収集する。
【0073】
このように、バーコードリーダー104により読み取られたバーコードにより作物のプレハーベスト条件を収集することで、プレハーベスト条件を正確に収集することができる。
【0074】
(他の実施形態)
(1)上記実施形態では、S100にて、保管庫2内の作物のプレハーベスト条件を収集する際に、バーコードリーダー104を用いてバーコードシール40のバーコードを読み取ることで、作物のプレハーベスト条件を収集するようにした。
【0075】
これに対し、受信機102を介して情報処理装置3から保管庫2内の作物のプレハーベスト条件を示す信号を受信することで、作物のプレハーベスト条件を収集するようにしてもよい。
【0076】
このように、受信機102を介して情報処理装置3から保管庫2内の作物のプレハーベスト条件を示す信号を受信することにより、作物のプレハーベスト条件を収集することで、プレハーベスト条件を正確に、かつ、速やかに収集することができる。
【0077】
(2)上記実施形態では、バーコードを読み取るバーコードリーダー104を備えるようにしたが、例えば、バーコードリーダー104に代えて、QRコードを読み取るQRコードリーダーを備えるよう構成することもできる(QRコードは登録商標)。
【0078】
(3)上記実施形態では、S100にて、保管庫2内の作物のプレハーベスト条件を収集するようにした。これに対し、プレハーベスト条件とともに収穫前の栽培地のエチレン量を収集するようにしてもよい。
【0079】
(4)上記実施形態では、保管庫の内部を加熱する加熱器として電気ヒータ15を用いたが、電気ヒータ15に限定されるものではなく、例えば、ガスヒータ等を用いることもできる。
【0080】
(5)上記実施形態では、ハウス内で作物を栽培する例を示したが、作物を路地栽培するケースに適用することもできる。
【0081】
(6)プレハーベスト条件には、作物の品目、作物の品種、施肥履歴、作物が収穫されるまでの積算温度、作物が収穫されるまでの積算湿度、作物が収穫されるまでの最高温度、作物が収穫されるまでの最低温度、作物が所定温度以上に曝された積算時間および病害虫発生状況の少なくとも1つが含まれるようにすることができる。
【0082】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0083】
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、庫内温度制御装置は、保管庫の内部を冷却する冷却器と、保管庫の内部を加熱する加熱器と、を備えている。そして、冷却器および加熱器を制御して保管庫に保管されている作物に対するヒートショック処理を実施する。
【0084】
また、庫内温度制御装置は、保管庫に保管される作物の収穫前の温度条件であるプレハーベスト条件を収集する情報収集部を備えている。また、情報収集部により収集されたプレハーベスト条件に基づいて作物に対して実施するヒートショック処理条件を特定する処理条件特定部を備えている。さらに、処理条件特定部により特定されたヒートショック処理条件に従って冷却器および加熱器を制御する温度制御部を備えている。
【0085】
また、第2の観点によれば、庫内温度制御装置は、作物のプレハーベスト条件が所定条件を満たした際に作物の低温障害の発生が抑制されるよう作物に対して実施するヒートショック処理条件を記憶する記憶部を備えている。
【0086】
また、収集した作物のプレハーベスト条件が所定条件を満たしているか否かを判定し、このプレハーベスト条件が所定条件を満たしていると判定された場合、作物に対して実施するヒートショック処理条件を、記憶部から読み出して特定する。
【0087】
このように、作物のプレハーベスト条件が所定条件を満たしていると判定された場合、作物に対して実施するヒートショック処理条件を、記憶部から読み出して特定することができる。
【0088】
また、第3の観点によれば、情報収集部は、保管庫に保管されている作物のプレハーベスト条件および作物の品種を含む作物情報を収集する。また、処理条件特定部は、情報収集部により収集された作物情報に含まれる作物のプレハーベスト条件および作物の品種に基づいて作物に対して実施するヒートショック処理条件を特定する。
【0089】
このように、作物のプレハーベスト条件および作物の品種に基づいて作物に対して実施するヒートショック処理条件を特定するので、異なる品種の作物に対して異なるヒートショック処理条件で冷却器および加熱器を制御することができる。
【0090】
また、第4の観点によれば、プレハーベスト条件には、作物の収穫直前の所定期間内の最高温度が含まれている。また、記憶部には、プレハーベスト条件に含まれる作物の収穫直前の所定期間内の最高温度が所定温度以下の場合に、作物に対して実施するヒートショック処理条件が記憶されている。
【0091】
また、条件判定部は、プレハーベスト条件に含まれる作物の収穫直前の所定期間内の最高温度が所定温度以下の場合に、情報収集部により収集された作物のプレハーベスト条件が所定条件を満たしていると判定する。
【0092】
そして、処理条件特定部は、条件判定部により作物のプレハーベスト条件が所定条件を満たしていると判定された場合、プレハーベスト条件に含まれる作物の収穫直前の所定期間内の最高温度が所定温度以下の場合に作物に対して実施するヒートショック処理条件を、記憶部から読み出して特定する。
【0093】
このように、プレハーベスト条件に含まれる作物の収穫直前の所定期間内の最高温度が所定温度以下の場合に、プレハーベスト条件に含まれる作物の収穫直前の所定期間内の最高温度が所定温度以下の場合に作物に対して実施するヒートショック処理条件を、記憶部から読み出して特定することができる。
【0094】
また、第5の観点によれば、プレハーベスト条件には、作物の品目、作物の品種、施肥履歴、作物が収穫されるまでの積算温度、作物が収穫されるまでの積算湿度、作物が収穫されるまでの最高温度、作物が収穫されるまでの最低温度、作物が所定温度以上に曝された積算時間および病害虫発生状況の少なくとも1つが含まれる。
【0095】
このように、プレハーベスト条件には、作物の品目、作物の品種、施肥履歴、作物が収穫されるまでの積算温度、作物が収穫されるまでの積算湿度、作物が収穫されるまでの最高温度、作物が収穫されるまでの最低温度、作物が所定温度以上に曝された積算時間および病害虫発生状況の少なくとも1つを含ませることができる。
【0096】
また、第6の観点によれば、庫内温度制御装置は、プレハーベスト条件を示す識別コードを読み取る識別情報読取器を備え、情報収集部は、識別情報読取器により読み取られた識別コードにより作物のプレハーベスト条件を収集する。
【0097】
このように、識別情報読取器により読み取られた識別コードにより作物のプレハーベスト条件を収集することで、プレハーベスト条件を正確に収集することができる。
【0098】
また、第7の観点によれば、プレハーベスト条件を特定するための情報を受信するための受信機を備え、情報収集部は、受信機を介してプレハーベスト条件を収集する。
【0099】
このように、受信機を介してプレハーベスト条件を示す信号を受信することにより、プレハーベスト条件を収集することで、プレハーベスト条件を正確に、かつ、速やかに収集することができる。
【0100】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、S100の処理が情報収集部に相当し、S105、S107の処理が処理条件特定部に相当し、S106、S108、S110が温度制御部に相当する。また、S104が条件判定部に相当し、バーコードリーダー104、QRコードリーダー(図示せず)が識別情報読取器に相当する。